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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20240723BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240723BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240723BHJP
   B01J 35/50 20240101ALI20240723BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F01N3/20 K ZAB
F01N3/24 L
B01D53/94 300
B01J35/50
B01J23/42 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021004213
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108962
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】小堀 清道
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-081531(JP,A)
【文献】実開平06-041090(JP,U)
【文献】特開2016-186262(JP,A)
【文献】特開2019-107596(JP,A)
【文献】特開2012-107597(JP,A)
【文献】特開2016-133021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/24
B01D 53/94
B01J 35/50
B01J 23/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の排ガスの流路に設けられる排気浄化装置であって、
排ガスが内部を流れる外殻部と、
前記外殻部の内部に配置される電気式加熱触媒と、
前記電気式加熱触媒の外周面から突出する部位であって、当該部位の外面の第1面から第2面まで、当該部位を貫通するように延びる孔部が設けられた突起部と、
第1端側の部分が前記突起部の前記孔部を貫通し、且つ、第2端が前記外殻部の外部に突出するよう配置される硬質な棒状の部位であって、前記電気式加熱触媒への電圧が印加されるよう構成される部位である電極部と、
前記電極部を前記突起部に締結する締結部と、
を備え、
前記突起部の外面には、前記電気式加熱触媒に電圧を印加するための電極層が設けられており、
前記突起部は、前記第1面及び前記第2面の双方に配置された前記締結部により挟まれるか、または、前記第1面に配置された前記締結部と、前記第2面に配置された前記電極部の一部とにより挟まれる
排気浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載された排気浄化装置において、
前記電極部の外周面における少なくとも一部には、ネジが形成されており、
前記締結部は、前記電極部の外周面の前記ネジにより、前記電極部を前記突起部に締結するよう構成される
排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された排気浄化装置において、
前記突起部における前記孔部の幅は、前記電極部における前記孔部を貫通する部分の幅よりも広い
排気浄化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載された排気浄化装置において、
前記電極部は、前記電気式加熱触媒を通過する排ガスの流れ方向と略一致する方向に延びる
排気浄化装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載された排気浄化装置において、
前記電極層は、さらに、前記電気式加熱触媒の外周面に設けられる
排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の排ガスを浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気式加熱触媒(以後、EHC(Electrically Heated Catalyst)とも記載)により、車両の排ガスを浄化する技術が知られている。このような技術の一例である特許文献1の電気加熱式触媒装置では、セラミック製のハニカム構造体の外周面にセラミック端子が設けられており、該セラミック端子の先端には金属端子が設けられている。そして、該金属端子には、電気加熱式触媒装置のケースの外部に露出する外部電極に接合されているリード線が接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6102674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の電気加熱式触媒装置では、ハニカム構造体の外周面のセラミック端子と金属端子とが、溶接又はロウ付けにより接合されている。このため、電気加熱式触媒装置が高温になった場合、セラミック端子と金属端子との接合箇所は、熱応力が生じて破損する恐れがある。
【0005】
本開示の一態様においては、熱応力による破損を抑制するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両の排ガスの流路に設けられる排気浄化装置であって、外殻部と、電気式加熱触媒と、突起部と、電極部と、締結部と、を備える。外殻部は、排ガスが内部を流れる。電気式加熱触媒は、外殻部の内部に配置される。突起部は、電気式加熱触媒の外周面から突出する部位であって、当該部位を貫通する孔部が設けられる。電極部は、突起部の孔部を貫通し、且つ、外殻部の外部に突出するよう配置され、電気式加熱触媒への電圧が印加されるよう構成される。締結部は、電極部を突起部に締結する。
【0007】
上記構成によれば、電極部は、孔部を貫通した状態で突起部に締結される。このため、電極部と突起部との熱膨張率が異なっていても、高温時におけるこれらの部位の熱膨張量の差を吸収でき、これらの部位の締結が損なわれるのを抑制できる。したがって、熱応力による破損を抑制できる。
【0008】
本開示の一態様では、電極部の外周面における少なくとも一部には、ネジが形成されていてもよい。締結部は、電極部の外周面のネジにより、電極部を突起部に締結するよう構成されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、電極部及び締結部の構造を簡素化できる。
本開示の一態様では、突起部における孔部の幅は、電極部における孔部を貫通する部分の幅よりも広くてもよい。
【0010】
上記構成によれば、孔部を貫通するように配置された電極部と突起部との間に、隙間が形成される。このため、電極部と突起部との熱膨張量の差、並びに、突起部の孔部のサイズ及び/又は電極部のサイズのバラツキが、該隙間により吸収される。したがって、電極部と突起部とをより良好に締結できる。
【0011】
本開示の一態様では、電極部は、電気式加熱触媒を通過する排ガスの流れ方向と略一致する方向に延びてもよい。
上記構成によれば、電気式加熱触媒から離れる方向に電極部が突出するのを抑制でき、排気浄化装置の大型化を抑制できる。
【0012】
本開示の一態様は、電気式加熱触媒の外周面に設けられた部位であり、当該部位を介して電気式加熱触媒に電圧が印加される電極層を更に備えてもよい。電極層は、電気式加熱触媒の外周面と、突起部の外面とにわたって形成されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、電極部を介して電気式加熱触媒に電圧を印加する際、電極部からの電流が、突起部ではなく電極層を流れるように促される。このため、電気式加熱触媒を加熱する際の消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】排気浄化装置における軸線を含む断面図である。
図2】セラミック触媒の正面図である。
図3】セラミック触媒の突起部における、軸線に沿った断面図である。
図4】電極収容部21の軸線に沿った断面図である。
図5】電極収容部21の軸線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0016】
[1.全体の構成]
本実施形態の排気浄化装置1は、車両の排ガスの流路に設けられ、エンジンからの排ガスを浄化するよう構成される(図1参照)。排気浄化装置1は、外殻部2と、電気式加熱触媒(EHC)の一例であるセラミック触媒3と、保護マット7と、正電圧と負電圧とがそれぞれ印加される2つの電極部4と、各電極部4に対応して設けられる2つのナット5及び2つの軸受6と、を備える。
【0017】
セラミック触媒3は、排ガスを浄化するよう構成されており、車両のエンジン始動後、一定期間にわたって2つの電極部4を介して電圧を印加することで、セラミック触媒3が加熱される(図2参照)。これにより、セラミック触媒3は、エンジンの始動後、早期に活性化され、浄化作用が向上する。なお、セラミック触媒3が十分に加熱された後には、セラミック触媒3への通電は停止されても良い。
【0018】
[2.外殻部]
外殻部2は、排ガスの流路の一部を構成する部材であり、排ガスが内部を流れる。外殻部2は、ケース部20と、2つの電極収容部21とを備える(図1参照)。
【0019】
ケース部20は、セラミック触媒3が内部に配置される筒状の部位であり、一例として、ケース部20における排ガスの流れ方向に直交する断面は、略円形である。また、セラミック触媒3は、当該セラミック触媒3における直線状の軸線10が、ケース部20における排ガスの流れ方向と一致するように配置され、軸線10は、ケース部20の上記断面の略中央を通過する。なお、ケース部20の形状は、筒状に限らず、適宜定められ得る。また、排気浄化装置1の車両搭載時におけるケース部20の向きは、適宜定められ得る。
【0020】
電極収容部21は、ケース部20から外側に突出する部位である。外殻部2には、2つの電極収容部21が設けられており、各電極収容部21の内部には、電極部4と、後述するセラミック触媒3の突起部31とが配置される。また、電極収容部21は、軸線10に略直交する向きに突出する壁状の部位である側部22と、軸線10に沿って広がる壁状の部位である頂部23とを備える。そして、側部22における下流側の部分には、側部22を貫通する孔部24が形成されている。
【0021】
[3.セラミック触媒]
セラミック触媒3は、格子状の構造を有する触媒担体を有する(図1、2参照)。触媒担体は、軸線10に沿って延び、当該触媒担体を貫通する角柱状の多数の孔(換言すれば、セル)が形成されており、排ガス中の有害物質の酸化、還元を促す貴金属(例えば、Pt、Pd、Rh等)を担持している。なお、本実施形態では、一例として、セルの軸線10に直交する断面は、四角形状である。しかし、これに限らず、該断面は、例えば、三角形状、六角形状、八角形状等、他の多角形状であっても良い。
【0022】
また、触媒担体は、例えば、炭化ケイ素系セラミック等といった、導電性を有する多孔質のセラミック材により構成される。しかしながら、セラミック触媒3に替えて、例えば、導電性を有する金属材料により構成された触媒担体を有するEHCを用いても良い。この場合、該EHCは、電極部4とは異なる熱膨張率を有していても良い。
【0023】
また、セラミック触媒3は、本体部30と、2つの突起部31と、2つの電極層35とを備える。
[4.本体部]
本体部30は、格子状の構造の触媒担体を形成する円柱状の部位であり、軸線10に沿って延びる(図1、2参照)。本体部30における軸線10に直交する断面は、略円形であり、軸線10は、該断面の略中央を通過する。
【0024】
なお、本体部30の形状は、円柱状に限らず、適宜定められ得る。具体的には、例えば、本体部30は、角柱状に形成されていても良い。この場合、本体部30における伸長方向に直交する断面は、例えば、四角形状、六角形状、八角形状等、様々な形状であっても良い。
【0025】
[5.突起部]
突起部31は、本体部30の外周面から突出するであり、電極収容部21に配置される(図1、2参照)。なお、突起部31は、一例として略直方体形状であるが、他の形状であっても良い。また、例えば、突起部31の根元部分をテーパ状に形成し、先端側に向かうに従い細くなるようにしても良い。また、例えば、突起部31の根元部分に段差を形成し、該根元部分が、他の部分よりも太くなるようにしても良い。
【0026】
また、突起部31は、本体部30と同じ材料により構成される。セラミック触媒3には2つの突起部31が設けられており、これらには、それぞれ、正電圧が印加される正の電極部4と、負電圧が印加される負の電極部4とが設けられる。
【0027】
また、突起部31の外面には、本体部30の外周面に交差するように広がる側面32と、外周面に沿って広がる頂面33とが形成されている。また、突起部31の側面32には、当該突起部31を貫通する孔部34が設けられている。孔部34の内側空間の形状は、一例として円柱状である。しかし、該内側空間の形状は、様々な形状であり得る。また、孔部34が突起部31を貫通する方向は、一例として、軸線10の方向と略一致する。
【0028】
また、2つの突起部31は、一例として、軸線10を挟んで対面し、且つ、軸線10の方向における略中央に設けられる。しかし、軸線10の方向における各突起部31の位置はこれに限らず、2つの突起部31のうちの双方又は一方は、例えば、上流側又は下流側の端部に位置していても良い。また、例えば、2つの突起部31は、軸線10を挟むことなく対面するように配置されても良い。つまり、各突起部31は、軸線10を挟んで対面する位置から周方向にずれた位置に配置されても良い。また、排気浄化装置1の車両搭載時における2つの突起部31が対面する方向は、適宜定められ得る。
【0029】
[6.保護マット]
セラミック触媒3は、本体部30の外周面とケース部20の内周面との間に若干の隙間が形成されるように、ケース部20に配置される(図1参照)。そして、該隙間には、クッション性を有する保護マット7が配置される。なお、保護マット7には2か所の切欠き部が形成されており、セラミック触媒3における2つの突起部31は、それぞれ、これらの切欠き部から突出する。
【0030】
[7.電極層]
電極層35は、本体部30の外周面に設けられた略均一な厚みを有する層状の部位であり、導電性の材料(例えば、タングステンカーバイド)により形成される(図1~3参照)。なお、一例として、電極層35は、導電性の材料を本体部30の外周面に溶射することで形成されても良い。
【0031】
本実施形態では、2つの電極層35が設けられており、各電極層35は、本体部30の外周面における各突起部31を囲む領域に形成される。具体的には、各電極層35は、軸線10の方向の長さ及び周方向の長さが略同一であり、本体部30の外周面における上流側の端部の付近から下流側の端部の付近まで広がる。また、各電極層35は、本体部30における軸線10に直交する断面において円弧状に広がり、周方向の中央に突起部31が位置する。
【0032】
さらに、各電極層35は、突起部31における側面32まで広がるが、頂面33には形成されていない(図3参照)。また、各電極層35は、突起部31と本体部30との間には形成されていない。
【0033】
このため、各突起部31に設けられた正及び負の電極部4に電圧が印加されると、各突起部31の周辺に形成された電極層35を介して本体部30の全体に電圧が印加される。
なお、例えば、本体部30の外周面に形成された電極層35の上に突起部31が設けられていても良い。すなわち、各電極層35は、突起部31と本体部30の外周面との間に形成され、突起部31の側面32には形成されないようにしても良い。この場合、各電極層35に塗布されたセラミック材の上に突起部31を配置し、各突起部31と本体部30とを加熱焼成することで、各突起部31を形成しても良い。
【0034】
[8.電極部]
電極部4は、セラミック触媒3に電圧を印加するための部材である(図1、2参照)。本実施形態では、正の電極部4と負の電極部4とが設けられており、これらの2つの電極部4は、それぞれ、異なる突起部31に設けられる。
【0035】
電極部4は、一例としてボルトとして構成されており、頭部40と、頭部40から直線状に延び、外周面にネジが形成された円柱状の胴部41とを備える。電極部4は、突起部31の孔部34を胴部41が貫通した状態で設けられ、胴部41に螺合したナット5が、電極部4を突起部31に締結する締結部として機能する。この時、ナット5と頭部40とにより突起部31が挟持され、胴部41は、突起部31から下流側に向かって軸線10と略同一の方向に延び、電極収容部21の外部に突出する。
【0036】
また、本実施形態では、胴部41の径(換言すれば、幅)は、円柱状である孔部34の内側空間の径(換言すれば、孔部34の幅)よりも短い。なお、幅とは、孔部34、及び、孔部34を貫通する胴部41における突起部31の突出方向の長さである。つまり、突起部31に締結された電極部4の胴部41と、突起部31における孔部34の内周面との間には、隙間が形成される。無論、これに限らず、胴部41の径と孔部34の内側空間の径とを略同一の長さとし、胴部41と孔部34の内周面との間に隙間が形成されないようにしても良い。
【0037】
また、本実施形態では、ナット5と、電極部4であるボルトとを構成する材料は、一例としてステンレスである。しかしながら、ナット5及びボルトは、ステンレス以外の材料により構成されても良い。
【0038】
[9.軸受]
上述したように、突起部31及び電極部4は、電極収容部21の内側に配置され、電極収容部21の側部22における下流側に位置する部分には、孔部24が設けられている。そして、2つの電極収容部21の孔部24には、それぞれ、絶縁性を有する軸受6が設けられている。軸受6は、絶縁性を有する材料(例えば、絶縁性セラミック等)により構成され、当該軸受6を貫通する孔部を有する。また、電極部4の胴部41は、軸受6の孔部に挿入可能となっている。なお、軸受6の孔部の内周面にネジを形成し、胴部41が孔部に螺合されるようにしても良い。
【0039】
そして、突起部31に締結された電極部4の胴部41は、電極収容部21の側部22における孔部24に向かって延びる。胴部41は、孔部24に設けられた軸受6を貫通し、電極収容部21の外部に突出する。つまり、軸受6は、胴部41と、孔部24を囲む縁部との間の隙間を封止し、外殻部2内の排ガスが該隙間から外部に流出するのを防止する。
【0040】
各電極部4における電極収容部21から外部に突出した部分は、車両のバッテリに接続される。そして、セラミック触媒3に電圧を印加する際には、これらの部分にバッテリからの電圧が印加される。
【0041】
なお、軸受6は、例えば、弾力性を有する材料(例えば、耐熱性を有するゴム)により構成されていても良い。これにより、熱膨張による突起部31の高さの変動を、軸受6により吸収できる。
【0042】
[10.電極部の変形例]
本実施形態では、電極部4は頭部40を有するボルトとして形成されているが、電極部4は、頭部を有さないスタットボルトとして構成されていても良い。そして、突起部31の両側に位置する2つのナットをスタットボルトに螺合させ、これらのナットにより突起部31を挟持することで、電極部4を突起部31に締結しても良い。なお、この場合、2つのナットが、電極部4を突起部31に締結する締結部に相当する。
【0043】
この他にも、例えば、電極部4をボルトではない棒状の部材として構成し、電極部4を突起部31の孔部34を貫通した状態で設け、例えば、カシメ加工等により電極部4の形状を変形させることで、電極部4を突起部31に締結しても良い。この場合、電極部4におけるカシメ加工により変形した部分が、電極部4を突起部31に締結する締結部に相当する。
【0044】
また、本実施形態では、各電極部4の胴部41は、突起部31から下流側に向かって軸線10と略同一の方向に延びる。しかし、2つの電極部4のうちの双方又は一方の胴部41は、突起部31から上流側に向かって軸線10と略同一の方向に延びていても良い。
【0045】
また、例えば、孔部34が軸線10とは異なる方向に突起部31を貫通するようにし、胴部41を、軸線10とは異なる方向に延びるように設けても良い。また、電極部4の胴部41は、屈曲又は湾曲した形状であっても良い。このような構成を有する場合であっても、電極収容部21の孔部24の位置を適宜調整し、胴部41が電極収容部21の外部に突出するようにすることで、同様の効果が得られる。
【0046】
[11.外殻部の構造]
排気浄化装置1の組立てを容易にするため、外殻部2を複数の部材により構成しても良い。すなわち、外殻部2において、排ガスの流れ方向に直交し、2つの電極収容部21を通過する断面を、中央断面とする。外殻部2は、中央断面の上流側に位置する上流側部材2Aと、下流側に位置する下流側部材2Bとから構成されても良い(図4参照)。
【0047】
上流側部材2Aの下流側の開口を囲む縁部には、2つの上流側収容部21Aが設けられる。各上流側収容部21Aは、上流側部材2Aの外周面を外側に突出させることで形成され、該開口の中心を挟んで対面する。また、下流側部材2Bの上流側の開口を囲む縁部にも、上流側収容部21Aと同様の2つの下流側収容部21Bが設けられる。なお、各下流側収容部21Bには、上述した孔部24が形成されている。
【0048】
そして、各突起部31に電極部4が締結されたセラミック触媒3を間に挟んで、上流側部材2Aと下流側部材2Bとを配置ことで、外殻部2が形成される。この時、各上流側収容部21Aと各下流側収容部21Bとが対面して2つの電極収容部21が形成され、各電極収容部21の内部には突起部31が配置される。その後、上流側部材2Aの下流側の開口を囲む縁部と、下流側部材2Bの上流側の開口を囲む縁部とが接合される。
【0049】
この他にも、ケース部20を構成する部材と、各電極収容部21を構成する部材とを、別の部材としても良い。すなわち、ケース部20は、中央断面の上流側に位置する上流側部材20Aと、下流側に位置する下流側部材20Bとから構成されても良い(図5参照)。上流側部材20Aの下流側の開口を囲む縁部には、該開口の中心を挟んで対面する2つの切欠き部が形成されている。また、下流側部材20Bの上流側の開口を囲む縁部にも、上流側部材20Aと同様の2つの切欠き部が形成されている。
【0050】
また、各電極収容部21は、中央断面の上流側に位置する上流側収容部材21Cと、下流側に位置する下流側収容部材21Dとから構成されても良い。なお、下流側収容部材21Dには、上述した孔部24が形成されている。
【0051】
そして、各突起部31に電極部4が締結されたセラミック触媒3を間に挟んで、上流側部材20Aと下流側部材20Bとを配置し、ケース部20を形成する。この時、上流側部材20Aの各切欠き部と下流側部材20Bの各切欠き部とが対面して2つの開口を形成し、各開口から突起部31が突出する。さらに、各突起部31を覆うように、上流側収容部材21Cと下流側収容部材21Dとが配置され、各電極収容部21が形成される。この時、上流側収容部材21Cは上流側に位置し、下流側収容部材21Dが下流側に位置する。
【0052】
その後、上流側部材20Aの下流側の開口の縁部と、下流側部材20Bの上流側の開口の縁部とが接合される。また、上流側収容部材21C及び下流側収容部材21Dがケース部20に接合されると共に、上流側収容部材21Cと下流側収容部材21Dとが互いに接合される。
【0053】
[12.効果]
(1)上記実施形態によれば、電極部4は、孔部34を貫通した状態で突起部31に締結される。このため、高温時における電極部4及び突起部31の熱膨張量の差を吸収でき、これらの部位の締結が損なわれるのを抑制できる。したがって、熱応力による破損を抑制できる。
【0054】
また、リード線等によりセラミック触媒3と電極とを接続する場合に比べ、構造が簡素化して部品点数が減少するため、信頼性の向上及びコストの低減を図ることができる。また、リード線を用いる場合に比べ、電流が通過する断面の面積が広くなり、電気抵抗を抑制できるため、セラミック触媒3の加熱時の消費電力を低減できると共に、電極部4における排ガスとの接触面積が低減するため、電極部4の劣化を抑制できる。
【0055】
また、電極部4と突起部31との締結により、保護マット7によるセラミック触媒3の保持を補助できる。
(2)また、電極部4は、ボルトとして構成されており、ナット5により突起部31に締結される。このため、電極部4と突起部31との締結構造を簡素化できる。
【0056】
(3)また、突起部31の孔部34の径は電極部4の径よりも大きく、孔部34を貫通するように配置された電極部4と突起部31との間には、隙間が形成される。このため、電極部4と突起部31との熱膨張量の差、並びに、突起部31の孔部34のサイズ及び/又は電極部4のサイズのバラツキが、該隙間により吸収される。したがって、電極部と突起部とをより良好に締結できる。また、電極部4及び突起部31の精度を緩和でき、信頼性の向上及びコストの低減を図ることができる。
【0057】
(4)また、電極部4は、軸線10の方向と略一致する方向に直線状に延びる。このため、電極部4がケース部20の周方向に突出するのを抑制でき、排気浄化装置1の大型化を抑制できる。
【0058】
(5)また、電極層35は、セラミック触媒3の外周面と、突起部31の側面32外面とにわたって形成される。このため、セラミック触媒3に電圧を印加する際、電極部4からの電流が、突起部31ではなく、電気抵抗が低い電極層35を流れるように促される。これにより、セラミック触媒3を加熱する際の消費電力を低減できる。
【0059】
[13.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、排気浄化装置1に設けられた突起部31、電極部4、及び電極収容部21の数は、2つとなっている。しかし、排気浄化装置1は、1つの突起部31、電極部4、及び電極収容部21が設けられていてもよい。この場合、2つの電極層35のうちの一方を、上記実施形態と同様にして突起部31に対応して設けても良い。また、他方の電極層35をケース部20の内周面に電気的に接続し、車両のボディを介して他方の電極層35が車両のバッテリに電気的に接続されるようにしてもよい。
【0060】
この他にも、排気浄化装置1に3つ以上の突起部31、電極部4、及び電極収容部21を設け、これらの電極部4を介して電圧を印加することで、セラミック触媒3を加熱しても良い。
【0061】
これらの構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。
(2)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…排気浄化装置、10…軸線、2…外殻部、20…ケース部、21…電極収容部、24…孔部、3…セラミック触媒、30…本体部、31…突起部、34…孔部、35…電極層、4…電極部、5…ナット、6…軸受。
図1
図2
図3
図4
図5