(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】多種部材の位置検出ロボットビジョンシステムを有する物品の製造装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20240723BHJP
H02S 30/10 20140101ALI20240723BHJP
B23P 21/00 20060101ALI20240723BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240723BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B23P19/00 301K
H02S30/10
B23P21/00 301Z
G01B11/00 H
G01B11/24 K
(21)【出願番号】P 2021019439
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】高田 大智
(72)【発明者】
【氏名】永山 凌
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169733(JP,A)
【文献】特開昭59-90178(JP,A)
【文献】特開昭51-139347(JP,A)
【文献】特開平10-253333(JP,A)
【文献】特開2016-114448(JP,A)
【文献】特開2019-28022(JP,A)
【文献】特開2001-223382(JP,A)
【文献】米国特許第06134027(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-10/40;30/00-99/00
H10K 30/00;30/50-30/57;39/00-39/18
B65G 47/00-47/20
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主部品に補助部品を直接又は他の部材を介して取り付けて物品を製造する物品の製造装置であって、
前記補助部品を一時的に配置する仮置きエリアを有し、前記仮置きエリアから前記補助部品を移動させて前記主部品に取り付けるものであり、
前記仮置きエリアには、前記補助部品を載置する載置部と、前記載置部上の前記補助部品を撮影する撮影部があり、
前記載置部は、色が相違する第一部分と第二部分が交互に平面状に並んでおり、
前記第一部分と前記第二部分は、いずれも前記補助部品の大きさよりも小さいものであり、
前記撮影部は、前記補助部品と前記載置部との境界部分に跨って撮影するものであり、
前記撮影部によって撮影された画像を、前記第一部分又は前記第二部分のうち前記補助部品の色とのコントラストが大きい方の部分の色が背景になるように画像処理を施して加工画像を形成し、前記補助部品の形状及び位置を特定する、物品の製造装置。
【請求項2】
前記第一部分は、黒色であり、
前記第二部分は、白色である、請求項1に記載の物品の製造装置。
【請求項3】
前記第一部分と前記第二部分は、ともに正方形状の部分である、請求項1又は2に記載の物品の製造装置。
【請求項4】
前記撮影された画像をオープニング処理又はクロージング処理を行ってエッジを抽出し、前記補助部品の形状及び位置を特定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の物品の製造装置。
【請求項5】
前記主部品は、太陽電池パネルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の物品の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主部品に補助部品を取り付ける物品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造工程の自動化に伴い、様々な材質、色、形状の部品に対応できるロボットビジョンシステムが開発されている。
例えば、特許文献1のロボットビジョンシステムは、カラー画像の色差情報を用いて部品を検出し、部品を移載するシステムである。色差信号を用いて部品を検出することで、輪郭抽出が安定し、部品が変わったとしても、背景や照明の変更を抑制することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池モジュールの自動組立装置は、装置コスト低減のため、多種の製品を組み立てること、さらに今後開発される新製品にも対応できることが求められる。自動組立装置はロボットとカメラから構成され、部品のピックアップおよび組立を行うが、一製品内においても部品は多種にわたり、さらに多種製品、新製品まで含まれると、様々な色の部品が存在し、カラー画像の色差情報を用いて部品を検出する方式では、背景と同色の部品は認識が困難になる。
例えば、前記特許文献1において、背景と部品が同色で色差が無い場合は部品の検出が困難であった。その解決策として単一の製品に限定し、新製品への対応を想定しなければ、事前検討により背景色を選定できるが、品種が多種にわたる場合には都度、部品を検知することが可能な背景色を選択することが煩雑であるという問題に直面した。
【0005】
そこで、本発明は、あらゆる部品色に対応できるロボットビジョンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するにあたって、撮像背景と画像処理を組み合わせることで、背景色を任意に選択できることに注目し、鋭意検討した結果、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明の一つの様相は、主部品に取付部品を直接又は他の部材を介して取り付けて物品を製造する製造装置であって、前記製造装置には、前記取付部品を載置する載置部と、前記載置部上の前記取付部品を撮影する撮影部があり、前記載置部は、色が相違する第一部分と第二部分が交互に平面状に並んでおり、前記第一部分と前記第二部分は、いずれも前記取付部品の大きさよりも小さいものであり、前記撮影部は、前記取付部品と前記載置部との境界部分に跨って撮影するものであり、前記撮影部によって撮影された画像を、前記第一部分及び前記第二部分のうち前記取付部品の色とのコントラストが大きい方の部分の色が背景になるように画像処理を施して加工画像を形成し、前記取付部品の形状及び位置を特定することである。
【0008】
本様相によれば、あらゆる色の取付部品の位置認識が可能となる。
【0009】
好ましい様相は、前記第一部分は、黒色であり、前記第二部分は、白色であることである。
【0010】
本様相によれば、前記補助部品と背景のコントラストが大きくなり、前記補助部品の形状および位置が特定しやすい。
【0011】
より好ましい様相は、前記第一部分と前記第二部分は、ともに正方形状の部分であることである。
【0012】
本様相によれば、背景が前記第一部分の色である加工画像を形成する際、または背景が前記第二部分の色である加工画像を形成する際も同様の画像処理で加工画像を形成できる。
【0013】
より好ましい様相は、前記画像処理が、オープニング処理又はクロージング処理を行ってエッジを抽出する処理であることである。
【0014】
本様相によれば、汎用的なアルゴリズムであるため、実装が容易である。
【0015】
前記第一部分と前記第二部分は、ともにカメラの画素の好ましくは2~10ピクセル、より好ましくは2~3ピクセル程度の大きさであることである。
【0016】
本様相によれば、オープニング処理又はクロージング処理が少ない回数で良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明のロボットビジョンシステムによれば、従来では困難であった、あらゆる色の取付部品の位置認識が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の製造装置を模式的に示した斜視図である。
【
図2】
図1の製造装置のレイアウトを模式的に示す平面図である。
【
図3】
図1の製造装置の各ロボットの可動域を模式的に示す平面図である。
【
図4】
図1の製造装置のロボットを模式的に示した斜視図である。
【
図5】
図1の製造装置のロボットのハンド部の説明図であり、(a)は第1ハンド部の斜視図であり、(b)は第2ハンド部の斜視図である。
【
図6】
図1の製造装置のロボットのハンド部の説明図であり、(a)は第3ハンド部の斜視図であり、(b)は第4ハンド部の斜視図である。
【
図7】
図1の製造装置の補助用仮置エリアを示す斜視図である。
【
図8】
図1の製造装置で製造される太陽電池モジュールの斜視図である。
【
図9】
図8の太陽電池モジュールの分解斜視図である。
【
図10】
図8の太陽電池モジュールのA-A断面図である。
【
図12】
図9の第1フレーム部材の説明図であり、(a)は第1フレーム部材の斜視図であり、(b)は(a)とは異なる方向からみた斜視図である。
【
図13】
図9の第2フレーム部材の説明図であり、(a)は第2フレーム部材の斜視図であり、(b)は(a)とは異なる方向からみた斜視図である。
【
図15】
図1の製造装置を用いて太陽電池モジュールを製造する際の各ロボットの動作のフロー図である。
【
図16】
図1の製造装置を用いて太陽電池モジュールを製造する際の各工程の説明図であり、(a)は作業エリアに締結受部材を配置した状態で締結受部材に取付プレートを被せる際の斜視図であり、(b)は第1フレーム部材及び第2フレーム部材を取付プレートに配置し、第1締結要素及び第2締結要素を挿入する際の斜視図である。
【
図17】
図1の製造装置を用いて太陽電池モジュールを製造する際の各工程の説明図であり、(a)は緩衝部材を配置した状態の斜視図であり、(b)は端部に第1ガスケット部材を取り付けた太陽電池パネルを第1フレーム部材に挿入する際の斜視図である。
【
図18】
図1の製造装置を用いて太陽電池モジュールを製造する際の各工程の説明図であり、太陽電池パネルに第1ガスケット部材を取り付ける際の説明図であり、(a)は第1ガスケット部材を広げた状態で太陽電池パネルに取り付ける際の断面斜視図であり、(b)は第1ガスケット部材を太陽電池パネルに装着した状態の断面斜視図である。
【
図19】
図17(b)の端部に第1ガスケット部材を取り付けた太陽電池パネルを第1フレーム部材に挿入する際の説明図であり、(a)は太陽電池パネルの挿入角度を調整する際の断面図であり、(b)は太陽電池パネルを第1ガスケット部材に挿入した状態の断面図である。
【
図20】
図1の製造装置を用いて太陽電池モジュールを製造する際の各工程の説明図であり、(a)は太陽電池パネルの第二辺に第2ガスケット部材を取り付ける際の斜視図であり、(b)はカバー部材を第2フレーム部材に重ね、第3締結要素を挿入する際の斜視図である。
【
図21】
図1の製造装置の補助用仮置エリアにおいて第一部分に近い色の補助部品の位置を特定する際の説明図であり、(a)は補助用仮置エリアを撮影した画像であり、(b)は(a)の画像に対してオープニング処理を施した画像である。
【
図22】
図1の製造装置の補助用仮置エリアにおいて第二部分に近い色の補助部品の位置を特定する際の説明図であり、(a)は補助用仮置エリアを撮影した画像であり、(b)は(a)の画像に対してクロージング処理を施した画像である。
【
図23】本発明の他の実施形態の製造装置の載置部の説明図であり、(a)は第一部分及び第二部分が三角形状の載置部の平面図であり、(b)は第一部分及び第二部分が菱形状の載置部の平面図である。
【
図24】本発明の他の実施形態の製造装置の載置部の説明図であり、(a)はヘリンボーン状の模様の載置部の平面図であり、(b)は千鳥状の模様の載置部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態の製造装置1は、
図1のように、太陽電池モジュール100(物品)を製造するものであり、太陽電池パネル105(本体部材)に取付プレート106(板状部材)等を取り付けて太陽電池モジュール100を組み立てる組立装置である。
【0021】
製造装置1は、
図1,
図2のように、作業空間2内に、作業エリア3と、取付用仮置エリア5と、補助用仮置エリア6と、ハンド用仮置エリア7a,7bと、搬入エリア8と、搬出エリア9を備えている。
【0022】
作業エリア3は、太陽電池モジュール100を組み立てる作業領域である。
作業エリア3には、
図1のように、作業台10と、作業用撮影部11が設けられており、
図3の仮想線のように可動域R1~R3が作業台10に重なるように複数のロボット15~17が設けられている。
作業台10は、天面に作業面12があり、作業面12上で太陽電池パネル105等を組み立てる作業架台である。
【0023】
作業用撮影部11は、作業台10の作業面12よりも上方に設けられたカメラ部であり、作業面12を撮影する定点カメラ部である。
作業用撮影部11は、主部品101や補助部品102等の作業面12上への置き位置を補正する補正カメラでもある。
本実施形態の作業用撮影部11は、金属光沢による正反射を除去する偏光板を有し、偏光板を通して撮影可能となっている。そのため、主部品101や補助部品102の角度が変化しても安定的な撮像が可能であり、照明の映り込みも除去でき、安定した認識が可能である。
【0024】
ロボット15~17は、
図4のように、多関節ロボットであり、アーム部20と、ハンド部21と、ロボット側照明部22と、ロボット側撮影部23と、力覚センサー24を備えている。
アーム部20は、ベース部25と、アーム側連結部26と、ベース部25とアーム側連結部26を繋ぐ複数のリンク部27a~27fを備えている。
アーム部20は、隣接する各リンク部27a~27fが相対的に回転可能又は直線移動可能となっており、アーム側連結部26が所望の位置に移動可能となっている。
アーム側連結部26は、ハンド部21と連結可能な部位である。
【0025】
ハンド部21は、アーム部20に着脱可能に取り付けられ、主部品101や補助部品102を持ち上げたり、締結要素120~122を操作したりするロボットハンドである。
ハンド部21には、コンプライアンスユニットが設けられており、アーム部20と各ハンド部30~33の位置調整を自動で行うことが可能となっている。
【0026】
ハンド部21には、複数種類のハンド部30~33があり、それぞれ使用する用途が異なっている。
第1ハンド部30(第1ロボットハンド)は、主に主部品101を持ち上げる主部品用ハンド部である。
第1ハンド部30は、
図5(a)のように、本体部40と、複数の第1吸着パッド部42と、ハンド側連結部43を備えている。
第1ハンド部30は、本体部40の基端部側にハンド側連結部43が設けられ、本体部40の先端部側に各第1吸着パッド部42が平面的に分布して設けられている。
第1吸着パッド部42は、内部を負圧にし、吸着対象物を吸着させることが可能な真空パッドである。
【0027】
第2ハンド部31は、締結要素120~122を持ち上げ、締結要素120~122を締結操作する締結用ロボットハンド部である。
第2ハンド部31は、
図5(b)のように、本体部50と、ねじ止め部52と、ハンド側連結部53を備えている。
第2ハンド部31は、本体部50の基端部にハンド側連結部53が設けられ、本体部50の先端部にねじ止め部52が設けられている。
ねじ止め部52は、真空吸引し、その吸引力により締結要素120~122の頭部220,225,230を吸着可能となっている。
また、ねじ止め部52は、吸着した締結要素120~122を任意のトルク及び任意の推力に制御して操作可能となっている。
【0028】
第3ハンド部32(第2ロボットハンド,ガスケット用ロボットハンド)は、ガスケット部材115,116、緩衝部材117、及び締結受部材123,124を持ち上げる補助部品用ハンド部である。
第3ハンド部32は、
図6(a)のように、基端側本体部60と、先端側本体部61と、シリンダー部62と、ハンド側連結部63と、第2吸着パッド部65を備えている。
第3ハンド部32は、基端側本体部60にハンド側連結部63が設けられ、先端側本体部61に各第2吸着パッド部65が設けられている。
第3ハンド部32は、シリンダー部62によって基端側本体部60と先端側本体部61が相対的に移動し、ハンド側連結部63に対して第2吸着パッド部65が相対的に移動可能となっている。
第2吸着パッド部65は、内部を負圧にし、吸着対象物を吸着させることが可能な真空パッドである。
【0029】
第4ハンド部33は、フレーム部材110,111及びカバー部材112を持ち上げる補助部品用ハンド部である。
第4ハンド部33は、
図6(b)のように、基端側本体部70と、先端側本体部71と、シリンダー部72と、ハンド側連結部73と、マグネットグリッパー部75を備えている。
第4ハンド部33は、基端側本体部70にハンド側連結部73が設けられ、先端側本体部71にマグネットグリッパー部75が設けられている。
第4ハンド部33は、シリンダー部72によって基端側本体部70と先端側本体部71が相対的に移動し、ハンド側連結部73に対してマグネットグリッパー部75が相対的に移動可能となっている。
マグネットグリッパー部75は、永久磁石又は電磁石を内蔵し、磁力で吸着対象物を吸着することが可能となっている。
【0030】
ロボット側照明部22は、主部品101や補助部品102等の移動対象物又は締結要素120~122等の操作対象物を照らす部位である。
ロボット側照明部22は、中央に開口部を有したリング状の照明部である。
ロボット側撮影部23は、主部品101や補助部品102等の移動対象物又は締結要素120~122等の操作対象物を撮影するカメラ部である。
ロボット側撮影部23は、ロボット側照明部22の光照射方向において、ロボット側照明部22の開口部の投影面上に位置している。
力覚センサー24は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の各方向と各方向を中心に回転するモーメント力を同時に計測するセンサーである。
【0031】
ロボット15~17には、
図2のように、主部品用ロボット15(第1ロボット)と、補助部品用ロボット16,17(第2ロボット,ガスケット用ロボット,取付部品用ロボットハンド)がある。
主部品用ロボット15は、太陽電池パネル105や取付プレート106などの主部品101を運搬するロボットであり、補助部品用ロボット16,17に比べて高パワーとなっている。
主部品用ロボット15は、アーム部20のアーム側連結部26に第1ハンド部30と第2ハンド部31を選択的に連結可能となっている。
すなわち、主部品用ロボット15は、第1ハンド部30を取り付けたときには、主部品101を運搬する運搬用ロボットとなり、第2ハンド部31を取り付けたときには、締結要素120~122を操作する締結用ロボットとなる。
【0032】
補助部品用ロボット16,17は、主部品101に比べて軽量な補助部品102を運搬する運搬用ロボットである。
補助部品用ロボット16は、アーム部20のアーム側連結部26が第3ハンド部32と連結可能となっており、第2吸着パッド部65によって補助部品102を吸引して運搬可能となっている。
【0033】
補助部品用ロボット17は、アーム部20のアーム側連結部26が第3ハンド部32及び第4ハンド部33と選択的に連結可能となっている。
すなわち、補助部品用ロボット17は、第3ハンド部32を取り付けたときには、第2吸着パッド部65によって補助部品102を吸引して運搬可能となり、第4ハンド部33を取り付けたときには、マグネットグリッパー部75によって磁力によって補助部品102を吸着して運搬可能となっている。
【0034】
補助部品用ロボット16,17の間には、
図1,
図2のように補正用撮影部78が配されている。
補正用撮影部78は、補助部品用ロボット16,17が持ち上げた補助部品102の掴み位置を補正する補正カメラ部である。
【0035】
取付用仮置エリア5は、
図1のように、取付プレート106を一時的に配置する配置である。取付用仮置エリア5には、組み立て前の取付プレート106が所定の姿勢で配されている。
【0036】
補助用仮置エリア6は、
図1のように、補助部品102を一時的に配置する領域である。補助用仮置エリア6には、
図7のように、補助用コンベア80と、仮置用撮影部81(仮置側撮影部)が設けられ、補助部品102を作業空間2の外部から作業空間2に搬入する領域である。
補助用コンベア80は、
図7のように、ベルトコンベアであり、上面に補助部品102を一時的に仮置きする載置部82を有している。
載置部82は、
図7の拡大図のように、色が異なる第一部分83と、第二部分84が交互に平面状に並んで構成されている。
本実施形態の載置部82は、チェスボードパターン状の模様となっており、第一部分83と第二部分84がともに正方形状となっている。
第一部分83と第二部分84は、彩度が相違しており、第一部分83は、第二部分84との間のコントラストが大きく、第二部分84に比べて色が濃い。
本実施形態の載置部82は、第一部分83が黒色となっており、第二部分84が白色となっている。
【0037】
仮置用撮影部81は、補助用コンベア80の載置部82よりも上方に設けられたカメラ部であり、載置部82上を撮影する定点カメラである。また、仮置用撮影部81は、補助部品102の取り位置を補正する補正カメラでもある。
本実施形態の仮置用撮影部81は、金属光沢による正反射を除去する偏光板を有し、偏光板を通して撮影可能となっている。そのため、補助部品102の角度が変化しても安定的な撮像が可能であり、照明の映り込みも除去でき、安定した認識が可能である。
【0038】
ハンド用仮置エリア7aは、主部品用ロボット15のアーム部20と連結可能なハンド部30,31を一時的に配置する領域である。
ハンド用仮置エリア7bは、補助部品用ロボット17のアーム部20と連結可能なハンド部32,33を一時的に配置する領域である。
【0039】
搬入エリア8は、作業空間2の内外に亘って搬入コンベア85が設けられた領域であり、太陽電池パネル105を作業空間2の外部から作業空間2に搬入する搬入ラインである。
搬出エリア9は、作業空間2の内外に亘って搬出コンベア90が設けられた領域であり、組立済みの太陽電池モジュール100を作業空間2から作業空間2の外部に搬出する搬出ラインである。
【0040】
ここで、製造装置1の作業空間2内のレイアウトについて説明する。
【0041】
製造装置1は、
図2のように、主部品用ロボット15が作業エリア3を挟んで補助部品用ロボット16,17と反対側に位置している。すなわち、製造装置1は、作業台10を基準として、主部品用ロボット15がハンド用仮置エリア7a側に設けられており、補助部品用ロボット16,17が補助用仮置エリア6側に設けられている。
補助部品用ロボット17は、補助部品用ロボット16とともに作業エリア3と補助用仮置エリア6の間にあって、補助部品用ロボット16よりもハンド用仮置エリア7b側に位置している。
【0042】
ロボット15~17の可動域R1~R3は、
図3のように、作業エリア3上で重なっている。
主部品用ロボット15の可動域R1には、作業エリア3と、取付用仮置エリア5と、ハンド用仮置エリア7aと、搬入エリア8の一部と、搬出エリア9の一部が位置している。
補助部品用ロボット16の可動域R2には、作業エリア3と、補助用仮置エリア6の一部と、搬出エリア9の一部が位置している。
補助部品用ロボット17の可動域R3には、作業エリア3と、補助用仮置エリア6の一部と、ハンド用仮置エリア7bが位置している。
【0043】
続いて、製造対象たる太陽電池モジュール100について説明する。
【0044】
太陽電池モジュール100は、
図8,
図9のように、主部品101と、補助部品102で構成されている。
主部品101は、太陽電池モジュール100の主要部品であり、太陽電池パネル105と、取付プレート106(取付部材)がある。
【0045】
太陽電池パネル105は、
図9のように、一方の主面に受光面130を有した四角形状の板状パネルであり、受光面130を平面視したときに四辺132~135を備えている。
第一辺132は、
図10のように太陽電池パネル105の傾斜方向の下方側に位置する辺であり、平面視したときに横方向に延びる横辺である。
第二辺133は、第一辺132と対向する対辺であり、
図10のように太陽電池パネル105の傾斜方向の上方側に位置する辺であり、平面視したときに横方向に延びる横辺である。
【0046】
取付プレート106は、被設置面に太陽電池モジュール100を設置する際に被設置面に固定される板状部材であり、被設置面に対して太陽電池パネル105を傾斜した姿勢で取り付ける取付部材である。
取付プレート106は、
図9,
図11のように、本体部140と、第1隆起部141と、第2隆起部142を備えている。
【0047】
第1隆起部141は、
図9のように、本体部140に対して隆起した部位である。
第1隆起部141は、隆起方向の先端面が取付面143となっており、取付面143に挿通孔145が形成されている。
挿通孔145は、取付面143の厚み方向に貫通した貫通孔であり、第1締結要素120の軸部221を挿通可能な挿通孔である。挿通孔145の開口径は、第1締結要素120の軸部221の外径よりも大きい。
第1隆起部141は、
図11のように、裏面側に第1締結受部材123を収納可能な第1収納凹部146が形成されている。
第1収納凹部146は、本体部140に対して上方(第1隆起部141の隆起方向)に向かって窪んだ凹部である。
【0048】
第2隆起部142は、
図9のように、本体部140に対して隆起した部位であり、隆起方向の先端面が取付面147となっており、取付面147に挿通孔148が形成されている。
挿通孔148は、取付面147の厚み方向に貫通した貫通孔であり、第2締結要素121の軸部226を挿通可能な挿通孔である。挿通孔148の開口径は、第2締結要素121の軸部226の外径よりも大きい。
第2隆起部142は、
図11のように、裏面側に第2締結受部材124を収納可能な第2収納凹部150が形成されている。
第2収納凹部150は、本体部140に対して上方(第2隆起部142の隆起方向)に向かって窪んだ凹部であり、外側に向かって開放した凹溝である。
【0049】
補助部品102は、主部品101を補助する付属部品であり、太陽電池パネル105と取付プレート106を取り付ける取付部品である。
補助部品102には、
図8,
図9のように、主に、第1フレーム部材110と、第2フレーム部材111と、カバー部材112と、ガスケット部材115,116と、緩衝部材117と、締結要素120~122と、締結受部材123,124がある。
【0050】
第1フレーム部材110は、
図10のように、太陽電池パネル105の傾斜方向の端部を保護する保護フレームである。第1フレーム部材110は、金属製の強磁性体の部分を含む磁性体部品であり、磁力により吸引可能となっている。
第1フレーム部材110は、
図12のように、受光側壁部160と、端面側壁部161と、裏面側壁部162と、張出固定部163を備えており、壁部160~162によって保持凹部165が形成されている。
受光側壁部160は、太陽電池パネル105の受光面130側を覆う壁部である。
端面側壁部161は、太陽電池パネル105の端面を覆う壁部であり、受光側壁部160と裏面側壁部162を接続する接続壁部である。
裏面側壁部162は、太陽電池パネル105の裏面131側を覆う壁部である。
裏面側壁部162は、受光側壁部160と間隔を空けて対向し、端面側壁部161から受光側壁部160と同一方向に延びている。
【0051】
張出固定部163は、取付プレート106の第1隆起部141の取付面143に対して固定される部位であり、端面側壁部161から裏面側壁部162とは反対方向に張り出した張出片である。
張出固定部163は、
図12のように、挿通孔166を備えている。
挿通孔166は、張出固定部163の厚み方向に貫通した貫通孔であり、第1締結要素120の軸部221を挿通可能な挿通孔である。
挿通孔166の開口径は、第1締結要素120の軸部221の外径よりも大きい。
保持凹部165は、太陽電池パネル105の第一辺132(一辺)を含む端部を保持する凹部であり、壁部160,162の先端から端面側壁部161に向かって深さをもつ凹部である。
【0052】
第2フレーム部材111は、
図10のように、カバー部材112とともに太陽電池パネル105の傾斜方向の上端部を保護する保護フレームである。
第2フレーム部材111は、金属製の強磁性体の部分を含む磁性体部品であり、磁力により吸引可能となっている。
第2フレーム部材111は、
図13のように、裏面側壁部172と、張出固定部173と、接続壁部174を備えている。
裏面側壁部172は、太陽電池パネル105の裏面131側を覆う壁部であり、第2締結要素121と締結可能な軸穴175を備えている。
張出固定部173は、
図10,
図13のように、取付プレート106の第2隆起部142の取付面147に対して固定される部位であり、接続壁部174を介して裏面側壁部172と段差をもって連続し、反対方向に向かって張り出した張出片である。
張出固定部173は、
図13のように、挿通孔176を備えている。
挿通孔176は、張出固定部173の厚み方向に貫通した貫通孔であり、第2締結要素121の軸部226を挿通可能な挿通孔である。挿通孔176の開口径は、第2締結要素121の軸部226の外径よりも大きい。
接続壁部174は、裏面側壁部172と張出固定部173のそれぞれに対して立設され、裏面側壁部172と張出固定部173を接続する壁部である。
【0053】
カバー部材112は、第2フレーム部材111に取り付けられ、太陽電池パネル105を受光面130側から押さえる押さえ部材である。
カバー部材112は、金属製の強磁性体の部分を含む磁性体部品であり、磁力により吸引可能となっている。
カバー部材112は、
図14のように、受光側壁部180と、端面側壁部181と、固定壁部182と、位置決め壁部183を備えている。
カバー部材112は、
図10のように組み立てた状態において、第2フレーム部材111の裏面側壁部172とともに壁部180,181によって保持凹部185を形成している。
【0054】
受光側壁部180は、
図10のように、太陽電池パネル105の受光面130側を覆う壁部である。
端面側壁部181は、太陽電池パネル105の端面を覆う壁部であり、
図14のように受光側壁部180と固定壁部182を段状に接続する接続壁部である。
固定壁部182は、第2フレーム部材111の裏面側壁部172に対して固定され、第2フレーム部材111の裏面側壁部172の上面を覆う壁部であり、挿通孔186を備えている。
挿通孔186は、固定壁部182の厚み方向に貫通した貫通孔であり、第3締結要素122の軸部231を挿通可能な挿通孔である。挿通孔186の開口径は、第3締結要素122の軸部231の外径よりも大きい。
位置決め壁部183は、第2フレーム部材111の裏面側壁部172の端面を覆う壁部であり、固定壁部182との角部によってカバー部材112の位置調整をする部位である。
保持凹部185は、太陽電池パネル105の第二辺133(対辺)を含む端部を保持する凹部である。
【0055】
ガスケット部材115,116は、
図10のように断面形状が「コ」字状であって、
図9のように辺132,133の延び方向に延びた長尺状の部材であり、弾性変形可能な弾性体で構成されている。
ガスケット部材115,116は、
図10のように、受光側覆部200と、端面側覆部201と、裏面側覆部202を備えており、覆部200~202によって保護凹部205が形成されている。
【0056】
受光側覆部200は、太陽電池パネル105の受光面130側を覆う部位である。
端面側覆部201は、太陽電池パネル105の端面を覆う部位であり、受光側覆部200と裏面側覆部202を接続する接続部である。
裏面側覆部202は、太陽電池パネル105の裏面131側を覆う部位である。裏面側覆部202は、受光側覆部200と間隔を空けて対向し、端面側覆部201から受光側覆部200と同一方向に延びている。
保護凹部205は、太陽電池パネル105の第一辺132を含む端部又は第二辺133を含む端部を保護する凹部であり、覆部200,202の先端から端面側覆部201に向かって深さをもつ凹部である。
【0057】
第1締結要素120は、
図10のように、第1締結受部材123と締結可能な締結部材であり、具体的には、ねじ等の一時締結要素である。
第1締結要素120は、頭部220と、軸部221を有し、軸部221が第1締結受部材123の軸穴240と係合及びその解除が可能となっている。
【0058】
第2締結要素121は、
図10のように、第2締結受部材124と締結可能な締結部材であり、具体的には、ねじ等の一時締結要素である。
第2締結要素121は、頭部225と、軸部226を有し、軸部226が第2締結受部材124の軸穴241と係合及びその解除が可能となっている。
【0059】
第3締結要素122は、
図10のように、第2フレーム部材111と締結可能な締結部材であり、具体的には、ねじ等の一時締結要素である。
第3締結要素122は、頭部230と、軸部231を有し、軸部231が第2フレーム部材111の軸穴175と係合及びその解除が可能となっている。
【0060】
締結受部材123,124は、略四角形状の板状片であり、締結要素120,121と締結可能な軸穴240,241を備えている。
軸穴240,241は、厚み方向に深さをもった貫通孔又は有底穴であり、締結要素120,121の軸部221,226と係合可能となっている。
【0061】
ここで、太陽電池モジュール100の各部材の位置関係について説明する。
【0062】
太陽電池パネル105は、
図10のように、第一辺132を含む端部が第1フレーム部材110の保持凹部165内に挿入されており、第1フレーム部材110との間には第1ガスケット部材115が介在している。同様に、太陽電池パネル105は、第二辺133を含む端部が第2フレーム部材111とカバー部材112によって構成される保持凹部185内に挿入されており、第2フレーム部材111及びカバー部材112との間には第2ガスケット部材116が介在している。
ガスケット部材115,116は、保護凹部205内に太陽電池パネル105の辺132,133を含む端部がそれぞれ配されている。
緩衝部材117は、太陽電池パネル105の裏面131に取り付けられ、太陽電池パネル105の裏面131と取付プレート106の間に位置しており、太陽電池パネル105を支持している。
【0063】
続いて、製造装置1によって太陽電池モジュール100を製造する製造方法について
図15の各ロボット15~17の動作フローを参照しながら説明する。
なお、理解を容易にするために、主部品用ロボット15が第1ハンド部30を装着し、補助部品用ロボット16が第3ハンド部32を装着し、補助部品用ロボット17が第4ハンド部33を装着した状態を初期状態とする。
【0064】
まず、補助用仮置エリア6に設けられた仮置用撮影部81と補助部品用ロボット16のロボット側撮影部23によって補助用仮置エリア6を撮影し、補助用仮置エリア6の画像から締結受部材123,124の位置を特定する。そして、第3ハンド部32の第2吸着パッド部65によって補助用コンベア80の載置部82上の締結受部材123,124を吸着して持ち上げて補助用仮置エリア6から作業エリア3に配置する(ステップS2-1)。
【0065】
続いて、主部品用ロボット15の第1ハンド部30によって、取付用仮置エリア5に配置された取付プレート106を持ち上げて取付用仮置エリア5から作業エリア3に移動させ、
図16(a)のように締結受部材123,124が取付プレート106の収納凹部146,150内に収まるように配置する(ステップS1-1)。
【0066】
このとき、主部品用ロボット15のロボット側撮影部23によって取付用仮置エリア5を撮影し、取付用仮置エリア5の画像から取付プレート106の位置を特定し、第1ハンド部30の第1吸着パッド部42によって取付プレート106を吸着して持ち上げて作業エリア3に移動させる。
また、作業用撮影部11とロボット側撮影部23によって撮影された作業面12の画像から作業エリア3における取付プレート106の置き位置を調整しながら取付プレート106を締結受部材123,124に被せる。
【0067】
続いて、補助部品用ロボット17の第4ハンド部33のマグネットグリッパー部75によって、補助用コンベア80の載置部82上のフレーム部材110,111を吸着して持ち上げて補助用仮置エリア6から作業エリア3に移動させ、フレーム部材110,111を取付プレート106の隆起部141,142上にそれぞれ配置する(ステップS3-1)。
【0068】
適宜タイミングにて、主部品用ロボット15のハンド部21を第1ハンド部30から第2ハンド部31に交換する(ステップS1-2)。
そして、ステップS3-1にてフレーム部材110,111を取付プレート106の隆起部141,142上に配置した後に、第2ハンド部31のねじ止め部52で第1締結要素120の頭部220を吸着し、
図16(b)のように、第1締結要素120の軸部221を第1フレーム部材110の挿通孔166及び取付プレート106の挿通孔145を挿通させ、第1締結受部材123の軸穴240と係合させて固定する。同様に、第2ハンド部31のねじ止め部52で第2締結要素121の頭部225を吸着し、第2締結要素121の軸部226を第2フレーム部材111の挿通孔176及び取付プレート106の挿通孔148に挿通させ、第2締結受部材124の軸穴241と係合させて固定する(ステップS1-3)。
【0069】
このとき、力覚センサー24により、第1フレーム部材110の挿通孔166の位置を探りながら第1締結要素120の軸部221を挿通孔166に挿入する。同様に、力覚センサー24により、第2フレーム部材111の挿通孔176の位置を探りながら第2締結要素121の軸部226を挿通孔176に挿入する。
【0070】
適宜タイミングにて、補助部品用ロボット17のハンド部21を第4ハンド部33から第3ハンド部32に交換する(ステップS3-2)。
そして、ステップS1-3にて締結要素120,121の軸部221,226を締結受部材123,124の軸穴240,241に締結させた後に、補助部品用ロボット16,17の第3ハンド部32,32によって、補助用コンベア80の載置部82上の緩衝部材117,117をそれぞれ持ち上げて補助用仮置エリア6から作業エリア3に移動させ、
図17(a)のように、緩衝部材117,117を取付プレート106の本体部140上に配置する(ステップS2-2,ステップS3-3)。
【0071】
このとき、補助部品用ロボット16,17の第3ハンド部32,32によって、各緩衝部材117,117を同時に移動させてもよいし、別々に移動させてもよい。
【0072】
適宜タイミングにて、主部品用ロボット15のハンド部21を第2ハンド部31から第1ハンド部30に交換する(ステップS1-4)。
【0073】
ステップS2-2及びステップS3-3にて緩衝部材117,117を取付プレート106の本体部140上に配置した後、主部品用ロボット15の第1ハンド部30によって、搬入エリア8の搬入コンベア85上の太陽電池パネル105を持ち上げて搬入エリア8から作業エリア3に移動させ(ステップS1-5)、さらに補助部品用ロボット16,17の第3ハンド部32,32によって、補助用コンベア80の載置部82上の第1ガスケット部材115,115をそれぞれ持ち上げて補助用仮置エリア6から作業エリア3に移動させる。そして、第1ガスケット部材115の保護凹部205に太陽電池パネル105の第一辺132を含む端部が収まるように第1ガスケット部材115を太陽電池パネル105に取り付ける(ステップS2-3,ステップS3-4)
【0074】
このとき、
図18のように、第1ガスケット部材115の受光側覆部200と裏面側覆部202を相対的に離反させ、保護凹部205の間隔を広げ、広がった保護凹部205に太陽電池パネル105の端部を挿入させる。
また、補助部品用ロボット16,17の第3ハンド部32,32によって、各第1ガスケット部材115,115を同時に移動させてもよいし、別々に移動させてもよい。
【0075】
そして、
図17(b)のように、太陽電池パネル105の端部に第1ガスケット部材115,115が取り付けた状態で、主部品用ロボット15の第1ハンド部30によって太陽電池パネル105及び第1ガスケット部材115を第1フレーム部材110の保持凹部165内に挿入し、配置する(ステップS1-6)。
【0076】
このとき、
図19のように、力覚センサー24により、第1ガスケット部材115の第1フレーム部材110からの反力(摩擦力)が小さくなり、太陽電池パネル105に加わる荷重が小さくなるように、太陽電池パネル105を傾けながら太陽電池パネル105の挿入方向を調整し、挿入する。
【0077】
続いて、補助部品用ロボット16,17の第3ハンド部32,32によって、補助用コンベア80の載置部82上の第2ガスケット部材116をそれぞれ持ち上げて補助用仮置エリア6から作業エリア3に移動させ、
図20のように第2ガスケット部材116の保護凹部205に太陽電池パネル105の第二辺133を含む端部が収まるように第2ガスケット部材116を太陽電池パネル105に取り付ける(ステップS2-4,ステップS3-5)。
【0078】
このとき、ステップS2-3及びステップS3-4と同様、第2ガスケット部材116の受光側覆部200と裏面側覆部202を相対的に離反させ、保護凹部205の間隔を広げ、広がった保護凹部205に太陽電池パネル105の端部を挿入させる。
また、補助部品用ロボット16,17の第3ハンド部32,32によって、各第2ガスケット部材116,116を同時に移動させてもよいし、別々に移動させてもよい。
【0079】
適宜タイミングにて、補助部品用ロボット17のハンド部21を第3ハンド部32から第4ハンド部33に交換する(ステップS3-6)。
そして、ステップS2-4及びステップS3-5にて第2ガスケット部材116を太陽電池パネル105に取り付けた後に、補助部品用ロボット17の第4ハンド部33によって、補助用コンベア80の載置部82上のカバー部材112を持ち上げて補助用仮置エリア6から作業エリア3に移動させ、
図20(b)のようにカバー部材112を第2ガスケット部材116上に重ねる(ステップS3-7)。
【0080】
また、適宜タイミングにて、主部品用ロボット15のハンド部21を第1ハンド部30から第2ハンド部31に交換する(ステップS1-7)。
そして、ステップS3-7にてカバー部材112を第2ガスケット部材116上に重ねた後に、第2ハンド部31のねじ止め部52で第3締結要素122の頭部230を吸着し、
図20(b)のように第3締結要素122の軸部231をカバー部材112の挿通孔186に挿通させ、第2フレーム部材111の軸穴175と係合させて固定する(ステップS1-8)。
【0081】
このとき、力覚センサー24により、カバー部材112の挿通孔186の位置を探りながら第3締結要素122の軸部231を挿通孔186に挿入する。
【0082】
その後、適宜タイミングにて、主部品用ロボット15のハンド部21を第2ハンド部31から第1ハンド部30に交換する(ステップS1-9)。
そして、ステップS1-8にて第3締結要素122で締結した後に、第1ハンド部30によって作業面12上に組み上がった太陽電池モジュール100を持ち上げて作業エリア3から搬出エリア9に移動させ、搬出コンベア90上に載置し、外部に搬出する(ステップS1-10)。
【0083】
本実施形態の製造装置1は、締結受部材123等の各補助部品102を補助用仮置エリア6から作業エリア3に移動させる際において、取り位置補正動作と、掴み補正動作と、置き位置補正動作をこの順に実行し、作業エリア3での位置決めを行う。
【0084】
取り位置補正動作では、補助用仮置エリア6に設けられた仮置用撮影部81によって載置部82と補助部品102との境界部分に跨って撮影し、その撮影画像を第一部分83と第二部分84のうち補助部品102の色とコントラストが大きい方の部分の色が背景になるように画像処理を施して加工画像を作成し、加工画像から補助部品102の形状と位置を特定し、取り位置を補正する。
例えば、
図21(a)のように補助部品102の色が第二部分84よりも第一部分83の色に近い色である場合には、
図21(b)のように補助部品102に対してコントラストが大きい第二部分84が背景色になるようにオープニング処理を施して加工画像を生成する。オープニング処理とは、膨張処理を複数回行った後、同じ回数、収縮処理を行う処理である。膨張処理とは、ある画素の周辺に1つでも白い画素があれば、白に置き換える処理である。収縮処理とは、ある画素の周辺に1つでも黒い画素があれば、黒に置き換える処理である。
また、
図22(a)の補助部品102の色が第一部分83よりも第二部分84の色に近い色である場合には、
図22(b)のように補助部品102に対してコントラストが大きい第一部分83が背景色になるようにクロージング処理を施して加工画像を生成する。クロージング処理とは、収縮処理を複数回行った後、同じ回数、膨張処理を行う処理である。
このようにして、補助部品102のエッジを抽出し、加工画像から載置部82上での補助部品102の位置と形状を特定し、取り位置を補正する。
【0085】
掴み補正動作では、補助部品用ロボット16,17の間に設けられた補正用撮影部78によって、第3ハンド部32の第2吸着パッド部65に吸着された補助部品102を撮影し、撮影した画像から第3ハンド部32の第2吸着パッド部65による掴み位置を補正する。
【0086】
置き位置補正動作では、作業エリア3に設けられた作業用撮影部11と補助部品用ロボット16のロボット側撮影部23によって作業エリア3の作業面12を撮影し、作業エリア3の作業面12の画像から作業エリア3における補助部品102の置き位置を補正する。
【0087】
このように各補正動作によって補助部品102の位置を補正し、作業エリア3での位置決めを行うので、精度良く組み立てることができる。
【0088】
本実施形態の製造装置1によれば、補助部品用ロボット16によって作業エリア3に締結受部材123,124を配置し、主部品用ロボット15によって締結受部材123,124が収納凹部146,150内に収まるように取付プレート106を配置する。そして、主部品用ロボット15によって第1締結要素120の軸部221を挿通孔145に通過させて締結受部材123の軸穴240に係合させる。すなわち、取付プレート106に収納凹部146,150を設け、収納凹部146,150に締結受部材123,124を収まるように配置するので、締結受部材123,124の存在によって取付プレート106が傾かず、収納凹部146,150の挿通孔145,148の姿勢が安定する。そのため、安定的に締結要素120,121の軸部221,226を締結受部材123,124の軸穴240,241に係合させることができる。その結果、ロボットハンドを使用しても容易に組み立てることができる。
【0089】
本実施形態の製造装置1によれば、ロボット側撮影部23によって撮影された第1フレーム部材110の撮影画像に基づいて第1フレーム部材110の位置を特定し、太陽電池パネル105の第一辺132を含む端部に第1ガスケット部材115を取り付けた状態で、主部品用ロボット15によって太陽電池パネル105及び第1ガスケット部材115を第1フレーム部材110の保持凹部165に挿入し、嵌合させる。すなわち、太陽電池パネル105に第1ガスケット部材115を取り付けた状態で太陽電池パネル105と第1ガスケット部材115を第1フレーム部材110の保持凹部165に挿入し嵌合させるため、太陽電池パネル105の端部がガスケット部材115によって保護され、傷がつきにくい。また、第1フレーム部材110の位置を撮影画像によって特定して太陽電池パネル105を保持凹部165内に挿入するため、第1ハンド部30によって太陽電池パネル105を保持凹部165に挿入しやすい。
【0090】
本実施形態の製造装置1によれば、太陽電池パネル105及び第1ガスケット部材115を第1フレーム部材110の保持凹部165に挿入する際に、主部品用ロボット15は、太陽電池パネル105に加わる荷重又はモーメントに基づいて太陽電池パネル105に加わる荷重が小さくなるように太陽電池パネル105及び第1ガスケット部材115の挿入方向を調整する。そのため、太陽電池パネル105に過剰に力が加わりにくく、太陽電池パネル105が破損しにくい。
【0091】
本実施形態の製造装置1によれば、補助部品用ロボット16,17が第2ガスケット部材116の受光側覆部200と裏面側覆部202の間隔を広げて、受光側覆部200と裏面側覆部202の間に太陽電池パネル105を挿入し、太陽電池パネル105の第二辺133を含む端部に第2ガスケット部材116を取り付ける。そのため、太陽電池パネル105に第2ガスケット部材116に取り付けやすい。
【0092】
本実施形態の製造装置1によれば、主部品用ロボット15によって太陽電池パネル105を持ち上げて太陽電池パネル105を搬入エリア8から作業エリア3に移動させ、補助部品用ロボット17によってカバー部材112を持ち上げて太陽電池パネル105の一部にカバー部材112を重ね、主部品用ロボット15によってカバー部材112を太陽電池パネル105に第3締結要素122で固定して太陽電池モジュール100を組み立てる。そして、主部品用ロボット15によって太陽電池モジュール100を持ち上げて太陽電池モジュール100を搬出エリア9に移動させる。すなわち、重量物たる太陽電池パネル105の搬入エリア8から作業エリア3への移動と、組み立て後の太陽電池モジュール100の作業エリア3から搬出エリア9への移動を主部品用ロボット15によって行う。そのため、補助部品用ロボット16に主部品用ロボット15よりもパワーの小さいロボットを使用でき、コストを低減できる。
【0093】
本実施形態の製造装置1によれば、作業エリア3で取付プレート106と第2フレーム部材111を重ね、作業用撮影部11による作業エリア3の撮影画像と、主部品用ロボット15のロボット側撮影部23(締結用撮影部)による作業エリア3の撮影画像を用いて、作業エリア3における第2フレーム部材111と取付プレート106の位置を特定し、主部品用ロボット15が第2締結要素121を第2フレーム部材111と取付プレート106に挿入する。すなわち、二方向の撮影部11,23による撮影画像によって作業エリア3における第2フレーム部材111と取付プレート106の位置を特定するので、より正確に第2締結要素121を第2フレーム部材111と取付プレート106に挿入できる。
【0094】
本実施形態の製造装置1によれば、仮置用撮影部81による補助用仮置エリア6の撮影画像と、ロボット側撮影部23による補助用仮置エリア6の撮影画像を用いて、補助用仮置エリア6における補助部品102の位置を特定し、補助部品用ロボット16,17が補助用仮置エリア6に配置された補助部品102を持ち上げる。そのため、二方向の撮影部23,81による撮影画像によって補助用仮置エリア6における補助部品102の位置を特定するので、より正確に補助部品102を持ち上げることができる。
【0095】
本実施形態の製造装置1によれば、仮置用撮影部81によって撮影された画像を色が異なる第一部分83及び第二部分84のうち補助部品102の色とのコントラストが大きい方の部分の色が背景になるように画像処理を施して加工画像を形成し、補助部品102の形状及び位置を特定する。そのため、あらゆる色の補助部品102の位置認識が可能となり、載置部82に載置された補助部品102の取り位置を精度良く検知できる。
【0096】
上記した実施形態では、ロボット側撮影部23によって撮影された補助部品102の撮影画像に基づいて補助部品102の位置を特定していたが、本発明はこれに限定されるものではない。ロボット側撮影部23によって撮影された補助部品102の撮影画像と1:1で対応する情報に基づいて補助部品102の位置を特定してもよい。
【0097】
上記した実施形態では、主部品用ロボット15に第2ハンド部31を取り付け、締結要素120~122を操作していたが、本発明はこれに限定されるものではない。他のロボット16,17に第2ハンド部31を取り付け、締結要素120~122を操作してもよい。
【0098】
上記した実施形態では、三台のロボット15~17で太陽電池モジュール100を組み立てていたが、本発明はこれに限定されるものではない。二台のロボットで太陽電池モジュール100を組み立ててもよいし、四台以上のロボットで太陽電池モジュール100を組み立ててもよい。
【0099】
上記した実施形態では、載置部82は、第一部分83と第二部分84がともに正方形状となっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。載置部82の第一部分83と第二部分84は、
図23(a)のように三角形状であってもよいし、
図23(b)のように菱形状であってもよい。
【0100】
上記した実施形態では、載置部82は、チェスボードパターン状の模様を呈していたが、本発明はこれに限定されるものではない。載置部82は、
図24(a)のようにヘリンボーン状の模様を呈していてもよいし、
図24(b)のように千鳥格子状の模様を呈していてもよい。
【0101】
上記した実施形態では、第一部分83が黒色で第二部分84が白色であったが、本発明はこれに限定されるものではない。第一部分83と第二部分84との間のコントラストが大きいものであれば特に限定されない。例えば、第一部分83が赤色で第二部分84が白色であってもよいし、第一部分83が青色で第二部分84が白色であってもよい。
【0102】
上記した実施形態では、補助用仮置エリア6の補助用コンベア80上に補助部品102が載置され、自動で補助部品102が作業空間2内に供給されるものであったが、本発明はこれに限定されるものではない。補助用コンベア80の代わりに仮置き架台を設け、仮置き架台の載置部82上に補助部品102を載置してもよい。この場合、作業空間2内への補助部品102の供給は手動となる。
【0103】
上記した実施形態では、作業用撮影部11による作業エリア3の撮影画像と、主部品用ロボット15のロボット側撮影部23による作業エリア3の撮影画像を用いて、作業エリア3における第2フレーム部材111と取付プレート106の位置を特定したが、本発明はこれに限定されるものではない。作業用撮影部11によるハンド部21の撮影画像と、主部品用ロボット15のロボット側撮影部23による作業エリア3の撮影画像を用いて、作業エリア3における第2フレーム部材111と取付プレート106の位置を特定してもよい。例えば、作業用撮影部11による第2ハンド部31とは異なる第3ハンド部32や第4ハンド部33の撮影画像と、主部品用ロボット15のロボット側撮影部23による作業エリア3の撮影画像を用いて、作業エリア3における第2フレーム部材111と取付プレート106の位置を特定してもよい。
【0104】
上記した実施形態では、仮置用撮影部81による補助用仮置エリア6の撮影画像と、ロボット側撮影部23による補助用仮置エリア6の撮影画像のうち、両方の撮影画像を用いて、補助用仮置エリア6における補助部品102の位置を特定したが、本発明はこれに限定されるものではない。仮置用撮影部81による補助用仮置エリア6の撮影画像と、ロボット側撮影部23による補助用仮置エリア6の撮影画像のうち、一方の撮影画像を用いて、補助用仮置エリア6における補助部品102の位置を特定してもよい。
【0105】
上記した実施形態では、物品が太陽電池モジュール100の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。物品は、有機ELモジュール等の他の物品でもよい。
【0106】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0107】
1 製造装置
3 作業エリア
6 補助用仮置きエリア
15 主部品用ロボット(第1ロボット)
16,17 補助部品用ロボット(第2ロボット,ガスケット用ロボット)
81 仮置用撮影部
82 載置部
83 第一部分
84 第二部分
100 太陽電池モジュール(物品)
105 太陽電池パネル(本体部材)
106 取付プレート(取付部材,板状部材)
101 主部品
102 補助部品