(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】船舶用アンローダー
(51)【国際特許分類】
B65G 67/60 20060101AFI20240723BHJP
B63B 27/22 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B65G67/60 B
B63B27/22
(21)【出願番号】P 2021047666
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】森 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】土手 高広
(72)【発明者】
【氏名】松村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】森 達也
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-227677(JP,A)
【文献】実開昭56-003137(JP,U)
【文献】特許第4395668(JP,B2)
【文献】実開昭51-050782(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/60
B63B 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を船体側から船体の外側へ搬送するためのコンベアベルトと、前記船体に設置された横向きの支軸回りを俯仰可能に構成され前記コンベアベルトを支持するブームと、を備え、前記船体に対する前記ブームの俯仰角度を変更可能に構成された船舶用アンローダーであって、
前記船体に設置された定滑車と、
前記ブームと一体的に俯仰可能なロック状態と
、前記ブームの先端側が接地していることで前記ブームとは独立して移動可能なフリー状態と
、に切り替え可能に構成された動滑車を含み前記ブームに設置された動滑車ユニットと、
前記定滑車および前記動滑車に巻き掛けられているワイヤーであって、前記ロック状態では前記ワイヤーの巻き取り動作および前記ワイヤーの繰り出し動作に伴って前記動滑車ユニットを介して前記ブームを俯仰動作させ、前記フリー状態では前記俯仰角度の変化に伴って前記ブームに対する前記動滑車ユニットの位置を変更するワイヤーと、
前記動滑車ユニットから離隔した箇所に設置されて前記動滑車ユニットと連結部材を介して連結され、前記ワイヤーに張力を付与するように前記動滑車ユニットに荷重を付与するウェイトと、
前記ロック状態において前記ワイヤーの巻き取り動作および前記ワイヤーの繰り出し動作を行うことで前記俯仰角度を変更する駆動源と、
を備え
、
前記ウェイトを前記ブームに連結する連結軸をさらに備え、
前記ウェイトは、前記連結軸回りを揺動可能に前記連結軸に支持されており、
前記連結部材は、前記連結軸から離隔した連結位置において前記ウェイトに連結されている、船舶用アンローダー。
【請求項2】
前記ウェイトの揺動運動をガイドするウェイトガイドをさらに備え、
前記ウェイトガイドは、前記ウェイトに取り付けられたウェイトガイドローラと、前記ブームに固定され前記連結軸を中心とする円弧状に形成され、前記ウェイトが揺動することで前記ウェイトガイドローラが転がるガイドレールと、を備えている、請求項1に記載の船舶用アンローダ。
【請求項3】
前記ウェイトは、前記ブームの水平方向の側方に配置されている、請求項1または請求項2に記載の船舶用アンローダー。
【請求項4】
前記ブームに支持され前記ブームの上方に位置し前記動滑車ユニットを支持する固定フレーム、を有する架台をさらに備え、
前記ウェイトの高さ位置は前記固定フレームの高さ位置よりも低く設定され、
前記連結部材は、連結ワイヤーを含み、
前記連結ワイヤーは、前記固定フレームに支持された前記動滑車ユニットと前記固定フレームの下方に配置された前記ウェイトとを連結して
おり、
前記ウェイトは、前記連結軸回りを所定の上限位置と下限位置との間で上下に揺動し、前記下限位置においても前記ブームの下面よりも上方に位置している、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の船舶用アンローダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用アンローダーに関する。
【背景技術】
【0002】
ばら物運搬船の船倉に貯められた石灰石等のばら物を陸揚げするための船舶用アンローダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の船舶用アンローダーは、船体に対して俯仰可能なブームを有している。ブームにはベルトコンベアが設置されている。ベルトコンベアは、船倉から当該ベルトコンベアに払い出されたばら物をブーム先端に搬送し、さらに、ブーム先端から、陸に設置されたホッパへ払い出す。
【0003】
ばら物運搬船が埠頭に接岸した状態で荷揚げ作業が行なわれるとき、潮の干満および積み荷の減少に伴って埠頭の地面に対する船体の高さ位置が大きく変化することは避けられない。特に、外洋に面した埠頭で荷揚げ作業が行われる場合、波浪によって船体が上下動することがある。このような船体の上下位置の変化に伴って、地面に対してブームも上下動してしまう。すなわち、陸側に設置されたホッパに対するブーム先端の高さ位置も変化する。ばら物の陸揚げ時において、ホッパに対するブーム先端の高さ位置が変化すると、ばら物の一部がホッパ外に落下するおそれがあり、また、ばら物が発生する粉塵が多くなる。このため、ブーム先端をホッパに載せた状態でばら物を陸揚げすることが考えられる。ブーム先端をホッパに載せた状態でばら物を陸揚げするためには、船体の上下動に対してブームを自由に俯仰させることが考えられる。このような構成とすることで、船体に対してブームが俯仰自在となり、ホッパとブーム先端との相対的な高さ位置を変化させずに済む。
【0004】
特許文献1に記載の船舶用アンローダーは、船体(1)の上下動に対してブーム(12)を支軸(25)回りに自由に俯仰させる構成、すなわち、ブーム先端をホッパ(11)に載せた状態で陸揚げ可能な構成を有している。具体的には、ブーム(12)の上面に、ワイヤー(41)の一端が固定されている。また、ワイヤー(41)の中間部は、船体側に設置された定滑車(40)、ブーム(12)に取り付けられた誘導滑車(33)、および、ブーム(12)の下方においてブーム(12)に対して上下方向に移動可能な動滑車(34)に巻かれている。ワイヤー(41)の他端は、ブーム(12)に設置された巻揚機(31)の巻胴(32)に取り付けられている。
【0005】
ブーム(12)の先端をホッパ(11)に対して着地および離陸させるためにブーム(12)を巻揚機(31)の動力によって俯仰動作させるときには、動滑車(34)は、定位置に保持され定滑車として動作する。そして、巻揚機(31)は、ワイヤー(41)を巻胴(32)に巻込むことによってブーム(12)を仰起させ、ワイヤー(41)を巻胴(32)から繰出すことによってブーム(12)を倒伏させる。
【0006】
一方、ブーム(12)の先端をホッパ(11)に載せた状態で荷揚げ作業が行われるとき、動滑車(34)は、ブーム(12)に対して上下に移動可能となり、動滑車として動作する。そして、ブーム(12)に対して船体(1)が俯仰動作すると、俯仰動作に応じた量だけ、動滑車(34)が上下に移動する。これにより、船体(1)の上下運動にかかわらず、ブーム(12)の先端をホッパ(11)に受けた状態を維持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の構成において、動滑車(34)がブーム(12)に対して上下移動するとき、動滑車(34)は、ワイヤー(41)から大きな張力を受ける。このため、動滑車(34)は、ワイヤー(41)の張力に抗して上下移動できるようにするために、大型の重量物であるウェイトを積まなければならない。動滑車(34)自体に大型の重量物であるウェイトを積む構成では、動滑車(34)のレイアウトの制約が大きくなり、動滑車(34)のレイアウトの自由度が低い。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、船体の上下動に伴いブームに対して船体が俯仰することができ、且つ、動滑車のレイアウトの自由度をより高くできる船舶用アンローダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の船舶用アンローダーを要旨とする。
【0011】
(1)被搬送物を船体側から船体の外側へ搬送するためのコンベアベルトと、前記船体に設置された横向きの支軸回りを俯仰可能に構成され前記コンベアベルトを支持するブームと、を備え、前記船体に対する前記ブームの俯仰角度を変更可能に構成された船舶用アンローダーであって、
前記船体に設置された定滑車と、
前記ブームと一体的に俯仰可能なロック状態と前記ブームとは独立して移動可能なフリー状態とに切り替え可能に構成された動滑車を含み前記ブームに設置された動滑車ユニットと、
前記定滑車および前記動滑車に巻き掛けられているワイヤーであって、前記ロック状態では前記ワイヤーの巻き取り動作および前記ワイヤーの繰り出し動作に伴って前記動滑車ユニットを介して前記ブームを俯仰動作させ、前記フリー状態では前記俯仰角度の変化に伴って前記ブームに対する前記動滑車ユニットの位置を変更するワイヤーと、
前記動滑車ユニットから離隔した箇所に設置されて前記動滑車ユニットと連結部材を介して連結され、前記ワイヤーに張力を付与するように前記動滑車ユニットに荷重を付与するウェイトと、
前記ロック状態において前記ワイヤーの巻き取り動作および前記ワイヤーの繰り出し動作を行うことで前記俯仰角度を変更する駆動源と、
を備えている、船舶用アンローダー。
【0012】
(2)前記ウェイトを前記ブームに連結する連結軸をさらに備え、
前記ウェイトは、前記連結軸回りを揺動可能に前記連結軸に支持されており、
前記連結部材は、前記連結軸から離隔した連結位置において前記ウェイトに連結されている、前記(1)に記載の船舶用アンローダー。
【0013】
(3)前記ウェイトは、前記ブームの水平方向の側方に配置されている、前記(1)または前記(2)に記載の船舶用アンローダー。
【0014】
(4)前記ブームに支持され前記ブームの上方に位置し前記動滑車ユニットを支持する固定フレーム、を有する架台をさらに備え、
前記ウェイトの高さ位置は前記固定フレームの高さ位置よりも低く設定され、
前記連結部材は、連結ワイヤーを含み、
前記連結ワイヤーは、前記固定フレームに支持された前記動滑車ユニットと前記固定フレームの下方に配置された前記ウェイトとを連結している、前記(1)~前記(3)の何れか1項に記載の船舶用アンローダー。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、船体の上下動に伴いブームに対して船体が俯仰することができ、且つ、動滑車のレイアウトの自由度をより高くできる船舶用アンローダーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る船舶用アンローダーおよびこの船舶用アンローダーが設置された船舶の模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、船舶用アンローダーの主要部の側面図である。
【
図3】
図3は、船舶用アンローダーの定滑車周辺の図である。
【
図4】
図4は、ワイヤーのレイアウトを説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、動滑車ユニットおよび動滑車ユニット架台の主要部の側面図である。
【
図6】
図6は、動滑車ユニットおよび動滑車ユニット架台の主要部の平面図である。
【
図9】
図9は、動滑車の周辺の主要部の側面図である。
【
図10】
図10は、船舶用アンローダーにおけるテンショナの周辺の側面図である。
【
図12】
図12は、着床機構のショックアブソーバの内部構造を説明するための主要部の断面図である。
【
図13】
図13は、船舶用アンローダーを制御するための構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、船舶用アンローダーの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図16】
図16(A)および
図16(B)は、フリー状態において動滑車ユニットが中間位置にある状態を示す図である。
【
図17】
図17(A)は、フリー状態において動滑車ユニットが上昇限位置にある状態を示す図であり、
図17(B)は、フリー状態において動滑車ユニットが上昇非常限位置にある状態を示す図である。
【
図18】
図18(A)は、フリー状態において動滑車ユニットが下降限位置にある状態を示す図であり、
図18(B)は、フリー状態において動滑車ユニットが下降非常限位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る船舶用アンローダー10およびこの船舶用アンローダー10が設置された船舶1の模式的な平面図である。
図2は、船舶用アンローダー10の主要部の側面図である。
図3は、船舶用アンローダー10の定滑車周辺の図である。
図4は、ワイヤー25のレイアウトを説明するための模式図である。
図5は、動滑車ユニット28および動滑車ユニット架台33の主要部の側面図である。
図6は、動滑車ユニット28および動滑車ユニット架台33の主要部の平面図である。
図7は、動滑車ユニット28の平面図である。
図8は、
図6の矢印VIII方向に見た図である。
図9は、動滑車53の周辺の主要部の側面図である。
図10は、船舶用アンローダー10におけるテンショナ29の周辺の側面図である。
図11は、
図2の着床機構18の周辺の拡大図である。
図12は、着床機構18のショックアブソーバ75の内部構造を説明するための主要部の断面図である。
図13は、船舶用アンローダー10を制御するための構成の一例を示すブロック図である。
図14は、船舶用アンローダー10の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図15(A)および
図15(B)は、ロック状態を示す図である。
図16(A)および
図16(B)は、フリー状態において動滑車ユニット28が中間位置P3にある状態を示す図である。
図17(A)は、フリー状態において動滑車ユニット28が上昇限位置P2にある状態を示す図であり、
図17(B)は、フリー状態において動滑車ユニット28が上昇非常限位置P1にある状態を示す図である。
図18(A)は、フリー状態において動滑車ユニット28が下降限位置P4にある状態を示す図であり、
図18(B)は、フリー状態において動滑車ユニット28が下降非常限位置P5にある状態を示す図である。
【0019】
図1~
図3を参照して、船舶用アンローダー10は、石灰石、鉄鉱石、石炭等のばら物200(多数の塊状片)を海上輸送する船舶1に設置されている。船舶1は、船倉4を有しており、この船倉4にばら物200が収容される。船舶1内には、図示しないばら物搬送機構が設置されている。このばら物搬送機構は、ばら物200を船倉4から船舶用アンローダー10の後述するベルトコンベア14まで搬送する。船舶用アンローダー10は、船舶1の船体2の甲板3に設置されている。
【0020】
船舶用アンローダー10は、船体2の甲板3に設置された台座5上に設置されている。船舶1が岸壁に係留されている状態において、船舶用アンローダー10は、上述したばら物搬送機構から払い出されたばら物200を、船舶用アンローダー10の基端部10bから先端部10aに搬送し、岸壁に設置されたホッパ100に払い出すように構成されている。ホッパ100は、ばら物200を船舶用アンローダー10から受け入れる受け入れ施設の一例である。ホッパ100は、筒状に形成されている。ホッパ100の上端面101は、中央にばら物通過用の貫通孔が形成された構成を有しており、貫通孔の周囲の枠部分において船舶用アンローダー10の後述する着床車輪71(被受け部材)を受ける。ホッパ100には、図示しないベルトコンベアが接続されている。このベルトコンベア等が、ばら物200をばら物保管地区(図示せず)に搬送する。
【0021】
船舶用アンローダー10は、船体2に対して、縦向きの第1旋回支軸11回りを旋回(揺動)可能に構成されているとともに、横向きの俯仰支軸12回りを俯仰(揺動)可能に構成されている。そして、船舶用アンローダー10は、船体2に対するブーム13の俯仰角度θを変更可能に構成されている。これにより、船舶用アンローダー10は、平面視において船体2の内側に配置された状態から、平面視において船体2の外側に突出してホッパ100と上下に向かい合う位置(突出位置)まで移動可能である。本実施形態では、船舶用アンローダー10がこの突出位置に配置されている状態を基準に説明する。また、本実施形態では、船舶用アンローダー10は、船体2の上下運動に伴って、船体2が船舶用アンローダー10に対して俯仰支軸12回りを揺動可能に構成されている。これにより、例えば、船舶1における積み荷の変化に伴う喫水高さの変化や、波浪による船体2の上下運動の影響を受けずに、船舶用アンローダー10がホッパ100に接地した状態を維持できる。すなわち、船舶用アンローダー10からホッパ100へのばら物200の搬送を、船体2の上下運動にかかわらず安定して継続できる。
【0022】
船舶用アンローダー10は、ブーム13と、ブーム13に取り付けられたベルトコンベア14と、船舶用アンローダー10の基端部10bにおいてブーム13に取り付けられてブーム13を船体2に対して第1旋回支軸11回りに旋回させる旋回機構15と、ブーム13を船体2に対して俯仰支軸12回りに俯仰させる俯仰機構16と、船舶用アンローダー10の先端部10aにおいてブーム13に取り付けられて船舶用アンローダー10をホッパ100に着床(接地)させるための着床機構18と、船舶用アンローダー10の先端部10aに取り付けられたシュート19と、制御部20と、を有している。
【0023】
ブーム13は、船体2に対して第1旋回支軸11回りに旋回可能に、且つ、船体2に設置された横向きの俯仰支軸12回りを船体2に対して俯仰可能に構成され、且つ、ベルトコンベア14を支持するアーム状部材である。ブーム13は、本実施形態では、側面視において上下逆さのV字状に形成されており、基端部10b側の部分が先端部10a側の部分に対して傾斜した形状を有している。なお、ブーム13は、側面視において真っ直ぐなアーム形状であってもよい。本実施形態では、ブーム13は伸縮式ではなく、ブーム13の全長は一定となっている。なお、ブーム13を伸縮可能に構成し、ブーム13の基端部10bと先端部10aとの間の距離を変更可能に構成されていてもよい。ブーム13は、鋼材を用いて形成されている。
【0024】
ブーム13は、上部13aと、下部13bと、上部13aと下部13bとを連結する連結部13cと、を有しており、トラス構造を含んでいる。ブーム13の上部13aおよび下部13bは、上下に並んでおり、船舶用アンローダー10の基端部10bから先端部10aにかけて延びている。連結部13cは、上部13aおよび下部13bの間に配置されている。ブーム13にベルトコンベア14が設置されている。
【0025】
ベルトコンベア14は、船舶用アンローダー10の基端部10bから先端部10aへばら物200を搬送するために設けられている。なお、本実施形態では、船舶用アンローダー10の基端部10bを単に「基端部」という場合があり、また、船舶用アンローダー10の先端部10aを単に「先端部」という場合がある。ベルトコンベア14は、本実施形態では、ブーム13の上部13aの上方と上部13aの下方とに設置されており、下部13bの上方に位置している。
【0026】
ベルトコンベア14は、ばら物200(被搬送物)を船体2側から船体2の外側へ搬送するためのコンベアベルト14aと、コンベアベルト14aを支持する複数の支持ローラ14bと、コンベアベルト14aを駆動するためのコンベアモータ14cと、を有している。
【0027】
コンベアベルト14aは、側面視において無端状に配置された可撓性ベルトであり、船舶用アンローダー10の基端部10bから先端部10aにかけて配置されている。基端部10bにおけるコンベアベルト14aの上方に、上述したばら物搬送機構からのばら物200が払い出される船体シュート(図示せず)が設置されている。コンベアベルト14aの上部領域は、ブーム13の上部13aの上方に設置されており、コンベアベルト14aの回転駆動に伴いばら物200を基端部10bから先端部10aへ搬送する。先端部10aにおけるコンベアベルト14aの下方にシュート19が設置されており、コンベアベルト14aからシュート19に向けてばら物200が落下するように構成されている。コンベアベルト14aの下部領域は、本実施形態では、ブーム13の上部13aの下方で且つブーム13の下部13bの上方に配置されている。
【0028】
支持ローラ14bは、本実施形態では、ブーム13の上部13aにおいて、基端部10bから先端部10aにかけて複数設置されており、コンベアベルト14aの内周面を受けている。コンベアモータ14cは、例えば電動モータであり、コンベアモータ14cの出力回転によって、コンベアベルト14aが回転駆動する。
【0029】
上記の構成を有するブーム13およびベルトコンベア14は、基端部10b側に設置された横向きの俯仰支軸12、第1旋回台21、および、上下を向く第1旋回支軸11によって、船体2に対して俯仰支軸12回りを俯仰可能に、且つ、第1旋回支軸11回りを旋回可能なように、船体2に支持されている。
【0030】
具体的には、ブーム13の基端部10bの下部13bに、俯仰支軸12が配置されている。俯仰支軸12は、甲板3が水平な姿勢のときにおいて水平に延びる軸である。俯仰支軸12は、ブーム13と第1旋回台21とを連結している。第1旋回台21は、基端部10bにおいてブーム13の下方に配置された回転台であり、図示しないスラスト軸受等を介して台座5に載せられている。また、第1旋回台21および台座5に亘って上下(例えば、船体2が静止姿勢にあるときの鉛直方向)に延びる第1旋回支軸11が設置されており、第1旋回台21は、台座5(船体2)に対して第1旋回支軸11回りを旋回可能である。第1旋回台21およびブーム13は、油圧モータを含む旋回機構15によって旋回移動される。
【0031】
次に、俯仰機構16の構成を説明する。
【0032】
図2~
図4を参照して、俯仰機構16は、ワイヤー25と、ワイヤー25の一端25aが取り付けられたウィンチ26と、船体2に設置されワイヤー25の中間部が巻き掛けられた定滑車27と、ブーム13に設置されワイヤー25の中間部が巻き掛けられた動滑車ユニット28と、動滑車ユニット28に巻かれているワイヤー25に張力を付与するためのテンショナ29と、先端部10aにおいてブーム13に支持された着床機構18と、を有している。
【0033】
本実施形態では、ワイヤー25は、想像線である二点鎖線で示している場合がある。本実施形態では、ワイヤー25として、2系統のワイヤーが用いられている。具体的には、ワイヤー25として、第1ワイヤー25Aと第2ワイヤー25Bが設けられている。本実施形態では、第1ワイヤー25Aと第2ワイヤー25Bを総称する場合は、ワイヤー25という。第1ワイヤー25Aと第2ワイヤー25Bは、船舶用アンローダー10の幅方向B(左右方向)に対称に配置されており、互いに同様の構成を有して互いに同様の動作を行う。ワイヤー25の詳細な配列は後述する。
【0034】
ウィンチ26は、ワイヤー25の巻き取り動作および繰り出し動作を行うために設けられている。本実施形態では、ウィンチ26は、基端部10bと先端部10aの間におけるブーム13の中間点において、ブーム13の上部13aの上方に設置されている。また、本実施形態では、ウィンチ26は、テンショナ29の後述するウェイト64の略真上に設置されている。
【0035】
ウィンチ26は、ウィンチドラム26aと、ウィンチモータ26b(切替機構)と、を有している。
【0036】
ウィンチドラム26aは、ワイヤー25が巻かれる部分である。また、ウィンチドラム26aには、ワイヤー25の一端25aが固定されている。このワイヤー25の一端25aは、ウィンチドラム26aと一体的に回転する。ウィンチドラム26aは、ウィンチモータ26bによって回転駆動される。ウィンチモータ26bは、電動モータまたは油圧モータ等のモータを含んでいる。ウィンチモータ26bの出力軸は、例えば、減速機構を介してウィンチドラム26aに動力伝達可能に連結されている。この減速機構として、プーリ・ベルト式、チェーン・歯車式、歯車同士が噛み合う歯車式等、種々の減速機構を例示できる。ウィンチモータ26bの出力軸が回転方向の一方に回転することで、ウィンチドラム26aがワイヤー25を巻き取るように回転する。一方、ウィンチモータ26bの出力軸が回転方向の他方に回転することで、ウィンチドラム26aがワイヤー25を送り出すように回転する。上記の構成を有するウィンチ26は、ウィンチ架台30に支持されている。
【0037】
ウィンチ架台30は、本実施形態では、ブーム13に設置されている。なお、ウィンチ架台30は、甲板3に設置されていてもよい。ウィンチ架台30は、例えば鋼材を組み合わせて形成されている。ウィンチ架台30は、ウィンチ26の下方に配置されている。ウィンチ架台30は、ブーム13の上部13aに固定されこの上部13aから上方に延びる複数の脚部と、複数の脚部に支持された天井部と、を有している。
【0038】
定滑車27は、俯仰機構16における最も上方に配置された部材である。本実施形態では、定滑車27は、船体2の甲板3の上方において、船体2に設置されている。より具体的には定滑車27は、第2旋回台32に支持されている。第2旋回台32は、船体2における甲板3よりも上方部分に配置されており、上下に延びる第2旋回支軸31回りを船体2に対して旋回可能である。第2旋回支軸31は、第1旋回支軸11と同軸である。第2旋回台32は、定滑車27を横向きの支軸6回りに回転可能に支持しており、定滑車27とは第2旋回支軸31回りを一体回転する。定滑車27は、複数個(本実施形態では、8個)設けられており、支軸6回りを互いに独立して回転可能である。
【0039】
本実施形態では、定滑車27として、第1定滑車27Aと第2定滑車27Bとが設けられている。本実施形態では、幅方向Bの一方側半分(4つ)の定滑車27が、第1ワイヤー25A用の第1定滑車27Aとして設けられており、幅方向Bの他方側半分(4つ)の定滑車27が、第2ワイヤー25B用の第2定滑車27Bとして設けられている。これら第1定滑車27Aおよび第2定滑車27Bを総称するときは、単に定滑車27という。
【0040】
定滑車27から先端部10a側且つ下方に、動滑車ユニット28が配置されている。
【0041】
動滑車ユニット28は、ブーム13と一体的に俯仰可能なロック状態とブーム13とは独立して移動可能なフリー状態とを切り替え可能にブーム13に設置されている。ロック状態においては、ブーム13に対する位置が一定の定滑車として機能することで、ワイヤー25の移動に伴うブーム13の俯仰動作が可能である、一方、フリー状態においては、ブーム13の先端部(後述する着床機構18)がホッパ100に着床している状態において、俯仰角度θの変化に伴ってブーム13に対する動滑車ユニット28の位置が変化することで、ブーム13に対する船体2の俯仰動作を許容する。定滑車27と動滑車ユニット28は、定滑車27と動滑車ユニット28とが対向している対向方向Cに離隔して配置されている。対向方向Cは、本実施形態では先端部10aから基端部10b側に進むに従い上方に進む方向である。
【0042】
図2および
図4~
図8を参照して、動滑車ユニット28は、本実施形態では、ブーム13の上部13aの上方に配置されている。なお、動滑車ユニット28は、ブーム13の上部13aと下部13bとの間に配置されていてもよいし、ブーム13の下方に配置されていてもよい。動滑車ユニット28は、船舶用アンローダー10に設けられた動滑車ユニット架台33によって対向方向Cに移動可能に支持されている。
【0043】
動滑車ユニット架台33は、本実施形態では、ブーム13に支持されブーム13の上方に位置する架台であり、鋼材を用いて形成されている。動滑車ユニット架台33は、対向方向Cにおける定滑車27側に設定された上昇非常限位置P1(一端位置)およびこの一端とは反対の他端側に設定された下降非常限位置P5(他端位置)との間で移動可能なように動滑車ユニット28を支持している。
【0044】
動滑車ユニット架台33は、複数の支柱としての先端支柱34、中間支柱35、および基端支柱36と、これらの支柱34,35,36に支持された固定フレーム37と、を有している。
【0045】
先端支柱34は、先端部10aおよび基端部10bのうちの先端部10a寄りに配置されている。先端支柱34は、本実施形態では、基端部10b側に進むに従い上方に進む傾斜形状に形成されている。先端支柱34のうち先端部10a側端部は、ブーム13の上部13aおよび下部13bに固定されている。先端支柱34のうち、基端部10b側の端部に、中間支柱35が固定されている。中間支柱35は、ブーム13の上部13aに固定されており、この上部13aから上方に向けて延びている。中間支柱35から基端部10b側に進んだ位置に、基端支柱36が配置されている。基端支柱36は、ウィンチ架台30に隣接している。
【0046】
固定フレーム37は、動滑車ユニット28を対向方向Cに移動可能に支持するために設けられている。固定フレーム37は、先端支柱34の上端に連結軸38を介して連結されている。この連結軸38は、横向きに配置されており、連結軸38回りの固定フレーム37の向きを調整可能に構成されている。固定フレーム37は、中間支柱35および基端支柱36の上端に固定されている。固定フレーム37は、本実施形態では、鋼材を用いて形成されており、平面視において、矩形の枠状に形成されている。
【0047】
図5および
図6を参照して、固定フレーム37は、先端枠37aと、一対の中間枠37b,37cと、基端枠37dと、を有している。
【0048】
先端枠37aは、幅方向Bに延びている。先端枠37aの両端に上述した連結軸38が取り付けられている。先端枠37aには、先端ストッパ39が固定されている。先端ストッパ39は、本実施形態では、幅方向Bにおける先端枠37aの両端寄りに配置されている。各先端ストッパ39は、動滑車ユニット28が後述する下降非常限位置P5に到達したときに動滑車ユニット28を受けることで、動滑車ユニット28が先端部10a側に移動することを規制する。幅方向Bにおける先端枠37aの両端から対向方向Cに沿って中間枠37b,37cが延びている。
【0049】
各中間枠37b,37cの上面および下面に、ガイド部材40が設けられている。ガイド部材40は、対向方向Cに沿って延びる部材であり、本実施形態では、対向方向Cに沿って延びるレール部材である。中間枠37b,37cにおける基端部10b側の端部に、基端枠37dが設けられている。
【0050】
基端枠37dは、固定フレーム37のうち基端部10b側に配置されており、幅方向Bに延びている。基端枠37dのうち、先端部10a側の面には、基端ストッパ41が固定されている。基端ストッパ41は、本実施形態では、幅方向Bにおける基端枠51dの両端寄りに配置されている。各基端ストッパ41は、動滑車ユニット28が後述する上昇非常限位置P1に到達したときに動滑車ユニット28を受けることで、動滑車ユニット28が基端部10b側に移動することを規制する。上記の構成により、動滑車ユニット架台33は、対向方向Cにおける定滑車27側に設定された上昇非常限位置P1(一端位置)およびこの一端とは反対の先端部10a側に設定された下降非常限位置P5(他端位置)との間で移動可能なように動滑車ユニット28を支持する。各基端ストッパ41は、皿ばね等の弾性部材を含んでおり、動滑車ユニット28を受けるときにおける動滑車ユニット28との衝撃をこの弾性部材によって緩和する。基端枠37dのうち、基端部10b側部分の上方および下方には、ガイドローラユニット42が設置されている。
【0051】
図4~
図8を参照して、ガイドローラユニット42は、定滑車27と動滑車ユニット28との間においてワイヤー25を受けるために設けられている。本実施形態では、第1ワイヤー25Aは、4つの定滑車27および動滑車ユニット28の4つの動滑車53に巻かれており、ガイドローラユニット42は、この第1ワイヤー25Aを受ける。同様に、第2ワイヤー25Bは、4つの定滑車27および動滑車ユニット28の4つの動滑車53に巻かれており、ガイドローラユニット42は、この第2ワイヤー25Bを受ける。
【0052】
ガイドローラユニット42は、幅方向Bに並ぶ第1ワイヤー25A用の第1ガイドローラユニット42Aと、第2ワイヤー25B用の第2ガイドローラユニット42Bと、を有している。
【0053】
第1ガイドローラユニット42Aは、基端枠37dに固定され基端枠37dから上方に延びる上側ガイドローラブラケット43と、上側ガイドローラブラケット43に支持された上側支軸44と、上側支軸44に支持された複数の上側ローラ45と、上側ローラ45の上方において上側ガイドローラブラケット43に固定された上側抜け止め部材46と、基端枠37dに固定され基端枠37dから下方に延びる下側ガイドローラブラケット47と、下側ガイドローラブラケット47に支持された下側支軸48a,48bと、下側支軸48aに支持された複数の下側滑車49と、下側滑車49の下方において下側支軸48bに支持された下側ローラ50と、を有している。
【0054】
上側支軸44は、幅方向Bに延びる支軸であり、動滑車53の上側部分と対向方向Cに対向している。上側ローラ45は、第1ワイヤー25A用の第1動滑車53Aの数に1を加えた数設けられて幅方向Bに並んでおり、上側支軸44回りを回転自在である。上側抜け止め部材46は、第1ワイヤー25Aが過度に上方に移動することを規制するために設けられた、幅方向Bに延びる梁状部分であり、通常時には第1ワイヤー25Aとは接触しない。第1ワイヤー25Aが過度に上側に移動したときに、上側抜け止め部材46に第1ワイヤー25Aが接触することで、第1ワイヤー25Aがそれ以上上方に移動することが規制される。
【0055】
下側支軸48a,48bは、幅方向Bに延びる支軸であり、動滑車53の下側部分と対向方向Cに対向している。下側滑車49は、第1ワイヤー25A用の第1動滑車53Aの数と同じ数設けられて幅方向Bに並んでおり、第1ワイヤー25Aを受けつつ下側支軸48a回りを回転自在である。下側ローラ50は、第1ワイヤー25Aが過度に下方に移動することを規制するために設けられたローラであり、下側滑車49の数と同じ数設けられて、対応する下側滑車49と上下に並んでいる。第1ワイヤー25Aの移動とともに下側滑車49が回転しつつ、下側ローラ50も、第1ワイヤー25Aと接触したときに回転し、第1ワイヤー25Aのスムーズな移動を案内する。
【0056】
第2ガイドローラユニット42Bは、第1ガイドローラユニット42Aと、幅方向Bに対称な形状に形成されている。第2ガイドローラユニット42Bは、第1ガイドローラユニット42Aと同様の構成を有しており、上側ガイドローラブラケット43と、上側支軸44と、複数の上側ローラ45と、上側抜け止め部材46と、下側ガイドローラブラケット47と、下側支軸48a,48bと、複数の下側滑車49と、複数の下側ローラ50と、を有している。よって、第2ガイドローラユニット42Bの詳細な説明は省略する。
【0057】
上述の構成を有するガイドローラユニット42から先端部10a側に進んだ位置に、動滑車ユニット28が配置されている。動滑車ユニット28は、固定フレーム37のガイド部材40に支持されており、フリー状態においてガイド部材40上を対向方向Cに移動可能に構成されている。
【0058】
動滑車ユニット28は、可動フレーム51と、可動フレーム51に支持された動滑車支軸52と、動滑車支軸52に取り付けられた複数の動滑車53と、を有している。
【0059】
本実施形態では、複数の動滑車53として、複数の第1動滑車53Aおよび複数の第2動滑車53Bが設けられている。本実施形態では、第1動滑車53Aおよび第2動滑車53Bを総称する場合は、動滑車53という。
【0060】
可動フレーム51は、平面視において中央部分に空洞が形成された構成を有している。
【0061】
可動フレーム51は、先端枠51aと、一対の中間枠51b,51cと、基端枠51dと、を有している。
【0062】
先端枠51aは、可動フレーム51のうち先端部10a側に配置されており、幅方向Bに延びている。幅方向Bにおける先端枠51aの両端から対向方向Cに沿って中間枠51b,51cが延びている。
【0063】
各中間枠51b,51cの上面および下面に、車輪54が設けられている。車輪54は、固定フレーム37のガイド部材40上を回転移動可能に配置されている。車輪54は、幅方向Bの一方側において対向方向Cに離隔して複数箇所(本実施形態では2箇所)に配置されており、幅方向Bの一方側において合計4つの車輪が配置されている。同様に、車輪54は、幅方向Bの他方側において対向方向Cに離隔して複数箇所(本実施形態では2箇所)に配置されており、幅方向Bの他方側において合計4つの車輪が配置されている。各車輪54は、幅方向Bにおける可動フレーム51の外側に配置されている。各車輪54は、軸受部を介して可動フレーム51と対向方向Cに一体的に移動可能に、且つ、横向きの回転軸線回りを相対回転可能に連結されている。
【0064】
なお、本実施形態では、固定フレーム37のガイド部材40をレールとし可動フレーム51に設けた車輪54をこのガイド部材40上で回転移動させる形態を例に説明しているが、この通りでなくてもよい。固定フレーム37に対して可動フレーム51を対向方向Cにスライド可能な構成であれば、リニアガイド等の他のスライド構造が採用されてもよい。中間枠51b,51cにおける先端部10a側の端部は、基端枠51dから基端部10b側に突出しており、動滑車ユニット28が後述する上昇非常限位置P1に到達したときに、固定フレーム37の基端ストッパ41と接触可能である。
【0065】
基端枠51dは、可動フレーム51のうち基端部10b側に配置されており、幅方向Bに延びている。本実施形態では、可動フレーム51の基端枠51dに動滑車ブラケット55が固定されている。動滑車ブラケット55は、可動フレーム51の基端枠51dから先端部10a側に延びている。本実施形態では、動滑車ブラケット55は、幅方向Bに離隔して並ぶ複数(本実施形態では、5つ)のプレート56を有している。これらのプレート56は、動滑車支軸52を支持している。
【0066】
動滑車支軸52は、横向きに配置された支軸である。動滑車支軸52は、複数の動滑車53を、図示しない軸受を介して動滑車支軸52回りに回転可能に支持している。本実施形態では、複数の動滑車53として、第1動滑車53Aおよび第2動滑車53Bが設けられている。第1動滑車53Aは、動滑車ユニット28に第1および第2ワイヤー25A,25Bが巻かれる数(本実施形態では、前述したように4)と同じ数設けられており、幅方向Bに離隔して配置されている。同様に、第2動滑車53Bは、動滑車ユニット28に第1ワイヤー25Aが巻かれる数(本実施形態では、前述したように4)と同じ数設けられており、幅方向Bに離隔して配置されている。各動滑車53は、可動フレーム51の上方および下方に突出している。各第1動滑車53Aは、対応する第1定滑車27Aと対向方向Cに向かい合っている。同様に、各第2動滑車53Bは、対応する第2定滑車27Bと対向方向Cに向かい合っている。
【0067】
図7および
図9を参照して、動滑車53の上側に上側抜け止め部材57が配置されているとともに、動滑車53の下側に下側抜け止め部材58が配置されている。さらに、動滑車53のうちの先端部10a側に、先端側抜け止め部材59,60が配置されている。
【0068】
上側抜け止め部材57は、動滑車ブラケット55のプレート56に固定されており、幅方向Bに延びるバーを有しており、このバーが各動滑車53の上方において各動滑車53に隣接している。下側抜け止め部材58は、動滑車ブラケット55のプレート56に固定されており、幅方向Bに延びるバーを有しており、このバーが各動滑車53の下方において各動滑車53に隣接している。先端側抜け止め部材59,60は、可動フレーム51の先端枠51aに固定されており、幅方向Bに延びるバーをそれぞれ有しており、これら一対のバーは、各動滑車53のうち先端部10a側部分において各動滑車53を上下に挟むようにして各動滑車53に隣接している。上記の構成により、各動滑車53は、動滑車53の円周方向における4箇所で抜け止め部材57~60と隣接している。これにより、各動滑車53に巻き掛けられたワイヤー25が動滑車53の径方向外方に移動して動滑車53から外れてしまうことを防止できる。
【0069】
図2~
図6を参照して、上述の構成を有するウィンチドラム26a、定滑車27、および、動滑車53に、ワイヤー25が巻き掛けられている。ワイヤー25は、例えば、金属細線を複数束ねて形成された可撓性部材である。
【0070】
本実施形態では、1本のワイヤー25が、複数の定滑車27および複数の動滑車53に巻かれている。より具体的には、第1ワイヤー25Aが複数の第1定滑車27Aおよび複数の第1動滑車53Aに巻き掛けられており、第2ワイヤー25Bが複数の第2定滑車27Bおよび複数の第2動滑車53Bに巻き掛けられている。
【0071】
本実施形態では、第1ワイヤー25Aは、一端25aがウィンチドラム26aに固定されている。第1ワイヤー25Aは、ウィンチドラム26aから延びて幅方向Bにおける例えば最も一方側の第1定滑車27Aに巻きかけられ、次いで幅方向Bにおける例えば最も一方側の第1動滑車53Aに巻き掛けられている。第1ワイヤー25Aは、さらに、順番に、第1定滑車27Aと第1動滑車53Aに交互に巻き掛けられており、本実施形態では、4つの第1定滑車27Aおよび第1動滑車53Aに巻き掛けられている。第1ワイヤー25Aの他端25bは、本実施形態では、支軸6に取り付けられたフックに固定されている。
【0072】
本実施形態では、第2ワイヤー25Bは、第1ワイヤー25Aと幅方向Bに対称な配置となるように第2定滑車27Bおよび第2動滑車53Bに巻き掛けられている。より具体的には、第2ワイヤー25Bは、一端25aがウィンチドラム26aに固定されている。第2ワイヤー25Bは、ウィンチドラム26aから延びて幅方向Bにおける例えば最も他方側の第2定滑車27Bに巻きかけられ、次いで幅方向Bにおける例えば最も他方側の第2動滑車53Bに巻き掛けられている。第2ワイヤー25Bは、さらに、順番に、第2定滑車27Bと第2動滑車53Bに交互に巻き掛けられており、本実施形態では、4つの第2定滑車27Bおよび第2動滑車53Bに巻き掛けられている。第2ワイヤー25Bの他端25bは、本実施形態では、支軸6に取り付けられたフックに固定されている。
【0073】
図2、
図5および
図10を参照して、上記の構成を有するワイヤー25には、テンショナ29によって張力が付与されている。これにより、動滑車ユニット28は、動滑車ユニット架台33およびブーム13に対して対向方向Cに移動した後に、移動した後の位置に留まることができる。テンショナ29は、本実施形態では、動滑車ユニット28の高さ位置よりも低い高さ位置に配置されている。本実施形態では、テンショナ29は、幅方向Bに並んで一対配置されている。なお、一方のテンショナ29は、図面には現れていない。これら一対のテンショナ29は、幅方向Bに対称な構成を有しているので、幅方向Bの一方側のテンショナ29の構成を主に説明し、幅方向Bの他方側のテンショナ29の詳細な説明は省略する。
【0074】
テンショナ29は、連結部材としてのテンショナワイヤ61と、複数のテンショナ滑車62,63と、ウェイト64と、ウェイト64を支持するとともにブーム13に連結されるウェイト連結軸65と、ウェイト64の移動をガイドするウェイトガイド66と、を有している。
【0075】
テンショナワイヤ61は、動滑車ユニット架台33の固定フレーム37に支持された動滑車ユニット28と、固定フレーム37の下方に配置されたウェイト64とを連結している。本実施形態では、テンショナワイヤ61は、ウェイト連結軸65から離隔した連結位置P6においてウェイト64に連結されている。テンショナワイヤ61は、可撓性の金属ワイヤーを含んでいる。テンショナワイヤ61の一端61aは、可動フレーム51に固定されており、本実施形態では、可動フレーム51の先端枠51aのうち、固定フレーム37から下方に突出している部分に固定されている。テンショナワイヤ61は、可動フレーム51から先端部10a側に進んだ後、テンショナ滑車62に巻き掛けられて基端部10b側に向いた後、基端部10bに向けて進みながら幅方向Bにおけるブーム13の外側に進み、さらに、テンショナ滑車63に巻き掛けられて下方を向いた後、ウェイト64に向けて進んでいる。テンショナワイヤ61の他端61bは、ウェイト64に固定されており、本実施形態では、ウェイト64の上面に固定されている。なお、テンショナワイヤ61の中間部に、1または複数のターンバックルが設けられることにより、ターンバックルを調整することで、テンショナワイヤ61の全長を微調整可能としてもよい。
【0076】
テンショナ滑車62は、動滑車ユニット架台33の例えば中間支柱35に取り付けられており、テンショナ滑車62の中心軸線回りを回転可能である。テンショナ滑車63は、ウィンチ架台30における先端部10a側の脚部に取り付けられており、テンショナ滑車63の中心軸線回りを回転可能である。
【0077】
ウェイト連結軸65は、ブーム13の例えば上部13aから幅方向Bにおけるブーム13の外側に伸びる軸部材であり、本実施形態では、側面視において、動滑車ユニット28とウィンチ26との間に配置されている。本実施形態では、ウェイト連結軸65は、側面視においてコンベアベルト14aで囲まれた領域内に配置されている。ウェイト連結軸65は、横向きの支軸であり、ウェイト64をこのウェイト連結軸65回りに揺動可能に支持している。
【0078】
ウェイト64は、側面視においてウィンチ26の下方に配置されている。本実施形態では、ウェイト64の高さ位置は動滑車ユニット架台33の固定フレーム37の高さ位置よりも低く設定されている。ウェイト64は、動滑車ユニット28から離隔した箇所に設置されて動滑車ユニット28とはテンショナワイヤ61(連結部材)を介して連結され、ワイヤー25に張力を付与するように動滑車ユニット28に荷重を付与する。ウェイト64は、幅方向Bにおけるブーム13の外側方に配置されている。
【0079】
ブーム13は、ウェイト連結軸65から基端部10b側に延びるウェイトアーム67と、このウェイトアーム67に固定されたウェイト本体68と、を有している。
【0080】
ウェイトアーム67の一端にウェイト連結軸65が連結されているとともに、ウェイトアーム67の他端にウェイト本体68が固定されている。ウェイト本体68は、例えば、ブロック状の錘であり、本実施形態では、直方体状に形成されている。ウェイトアーム67の長さ、および、ウェイト本体68の形状を適宜設定することで、ウェイト連結軸65からのウェイト64の重心位置を調整できる。ウェイト本体68の上部に、テンショナワイヤ61の他端61bが固定されている。本実施形態では、ウェイト64は、動滑車ユニット28が対向方向Cに移動することに伴い、ウェイト連結軸65回りを下限位置P8と上限位置P7との間で揺動する。
【0081】
ウェイトガイド66は、ウェイト64の揺動運動をガイドするために設けられている。ウェイトガイド66は、ウェイト64に対して基端部10b側に配置されている。ウェイトガイド66は、ウェイト64に設けられたウェイトガイドローラ69と、ウェイトガイドローラ69が嵌められたガイドレール70と、を有している。
【0082】
ウェイトガイドローラ69は、例えばウェイト本体68のうち基端部10b側の端面に形成された軸部に取り付けられている。本実施形態では、ウェイト連結軸65の周方向に互いに離隔した2つのウェイトガイドローラ69が設けられている。
【0083】
ガイドレール70は、ブーム13に固定されており、ウェイト連結軸65を中心とする円弧形状に形成されている。ガイドレール70は、ブーム13の上部13aおよび下部13bに固定されている。ガイドレール70の下端は、側面視においてブーム13から下方に突出しないように配置されている。ウェイト連結軸65回りにウェイト64が揺動することで、ウェイトガイドローラ69がガイドレール70に対して転がる。
【0084】
動滑車ユニット28は、ロック状態において、上昇非常限位置P1に位置している。このとき、ウェイト64は、上限位置P7に位置している。一方、動滑車ユニット28は、フリー状態において、上昇非常限位置P1と下降非常限位置P5との間を対向方向Cに沿って直線移動可能である。そして、動滑車ユニット28が下降非常限位置P5にあるとき、ウェイト64は、下限位置P8に位置している。ウェイト64は、対向方向Cにおける動滑車ユニット28の位置に応じて、ウェイト連結軸65回りを上限位置P7と下降位置P8との間で揺動する。
【0085】
次に、着床機構18の構成を説明する。
【0086】
図2、
図11および
図12を参照して、着床機構18は、船舶用アンローダー10のうちホッパ100の上端面101に受けられる部分の機構であり、この上端面101と接触するときの衝撃を緩和するための機構を含んでいる。着床機構18は、ブーム13における先端部10a寄りに配置されており、シュート19に隣接している。本実施形態では、着床機構18は、シュート19を挟んで一対設けられており、これら一対の着床機構18が、幅方向Bに離隔して配置されている。なお、一対の着床機構18の構成は、幅方向Bに対称で互いに同様の形状であるので、以下では、一方の着床機構18の構成を主に説明する。
【0087】
着床機構18は、着床車輪71と、着床車輪71とブーム13とを連結し着床車輪71に作用する荷重を緩衝する緩衝機構72と、を有している。
【0088】
着床車輪71は、ブーム13のうち俯仰支軸12が設置されている基端部10b側とは反対側の先端部10a側に配置され、ばら物200をホッパ100に受けられるように設けられた被受け部材である。着床車輪71は、ブーム13の下部13bの下方に配置されている。着床車輪71は、基端部10bと先端部10aとが向かい合う方向(ブーム13の長手方向A)においてブーム13がホッパ100に対して移動する際に、ホッパ100に対して転がるように構成されている。本実施形態では、着床車輪71は、幅方向Bに沿った横向きの中心軸線回りを回転可能である。
【0089】
なお、本実施形態では、船舶用アンローダー10のうちホッパ100に直接接触する被受け部材として着床車輪71を例に説明するが、この通りでなくてもよい。被受け部材として、球面継手状の部材を設け、ホッパ100に対して被受け部材が水平方向に移動自在に構成されていてもよいし、被受け部材として、ブロック等の塊部材が用いられてもよい。上記球面継手状の部材は、例えば、後述するリンク部材73に固定された中空半球状の外殻と、この外殻に上部が収容され且つ下部がこの外殻から下方に突出する球と、を有している。そして、球がホッパ100の上端面101上を転がることが可能に構成されている。
【0090】
緩衝機構72は、着床車輪71を支持するリンク部材73と、リンク部材73を支持する第1リンク軸74と、リンク部材73に連結されたショックアブソーバ75と、を有している。
【0091】
リンク部材73は、着床車輪71が上方に変位したときにショックアブソーバ75の後述するロッド79を下方に変位させるように着床車輪71とショックアブソーバ75とを連結するアーム状部材である。リンク部材73は、ブーム13の長手方向Aに沿って延びている。リンク部材73の一端に着床車輪71が取り付けられている。リンク部材73の中間部に第1リンク軸74が取り付けられている。第1リンク軸74は、ブーム13の下部13bに固定されブーム13の下方に延びる例えばV字状のリンク支持部材76によって支持されている。リンク部材73の他端は、第2リンク軸77を介してショックアブソーバ75に連結されている。リンク部材73は、第1リンク軸74回りを揺動可能に構成されており、且つ、第2リンク軸77回りを揺動可能に構成されている。
【0092】
ショックアブソーバ75は、着床車輪71とブーム13との間に配置されている。本実施形態では、ショックアブソーバ75は、着床車輪71がホッパ100と接触すること等によって上方に変位したときに、リンク部材73から引張荷重を受けるように構成されている。ショックアブソーバ75は、ブーム13の下部13bに連結されている。本実施形態では、ショックアブソーバ75の上端部と、リンク支持部材76の上端部と、動滑車ユニット架台33の先端支柱34の先端部と、ブーム13の下部13bは、ブーム13の下部13bに設けられた連結中心部13dによって互いに連結されている。本実施形態では、ショックアブソーバ75は、ショックアブソーバ支軸78を介してショックアブソーバ支軸78回りに回転可能にブーム13に連結されている。
【0093】
ショックアブソーバ75は、ロッド79と、ロッド79に固定されたピストン80と、ロッド79の一部およびピストン80を収容するシリンダ81と、シリンダ81内においてシリンダ81とピストン80との間に配置された複数のばね部材82と、を有している。
【0094】
ロッド79は、着床車輪71およびブーム13の何れか一方に連結された部材であり、本実施形態では、リンク部材73を介して着床車輪71に連結されている。本実施形態ではロッド79の下端に第2リンク軸77が取り付けられており、この第2リンク軸77を介してロッド79とリンク部材73とが連結されている。ロッド79は、第2リンク軸77から上方に延びており、大部分がシリンダ81内に配置されている。ロッド79の上端に円柱状のピストン80が固定されており、ロッド79とピストン80とが一体的に移動する。
【0095】
シリンダ81の上端部にショックアブソーバ支軸78が取り付けられている。シリンダ81は、ショックアブソーバ支軸78回りを揺動可能である。シリンダ81の下端には貫通孔が形成されており、この貫通孔をロッド79が貫通している。シリンダ81の下端とピストン80との間に複数のばね部材82が配置されている。
【0096】
ばね部材82は、弾性部材であり、本実施形態では、皿ばね部材である。皿ばね部材は、外力が作用していない自由状態において内周部の高さ位置と外周部の高さ位置が異なる円環状部材である。ばね部材82は、複数設けられており、ロッド79が通された状態でピストン80とシリンダ81の下部との間に配置されている。換言すれば、ばね部材82は、シリンダ81のうちロッド79が突出する突出側端部(下端部)とピストン80との間に配置されている。ばね部材82のばね定数は、着床車輪71およびリンク部材73の自重と、着床車輪71がホッパ100から受ける荷重と、に応じて適宜設定される。本実施形態では、着床車輪71が上方に移動すると、リンク部材73が第1第1リンク軸74回りを揺動してロッド79が下方に移動する。このロッド79に作用する荷重が、ばね部材82によって受けられる。
【0097】
なお、本実施形態では、シリンダ81がブーム13に取り付けられロッド79がリンク部材73に連結される形態を例に説明しているが、この通りでなくてもよい。例えば、シリンダ81がリンク部材73に連結されロッド79がブーム13に取り付けられてもよい。この場合、ピストン80の上方にばね部材82が配置され、着床車輪71が上方に移動することによってシリンダ81が下方に移動すると、シリンダ81とピストン80との間のばね部材82が弾性変形して着床車輪71に作用する衝撃を緩和する。なお、ばね部材82は、コイルばね等の他の弾性部材であってもよい。
【0098】
上記の構成を有する着床機構18に隣接して、シュート19が配置されている。シュート19は、コンベアベルト14aによって先端部10aに搬送されたばら物200をホッパ100に送り出すための筒状部材である。シュート19は、先端部10aにおいて横向きのシュート支軸83を用いてブーム13の下部13bに支持されており、シュート支軸83回りを揺動可能である。シュート19は、側面視において着床車輪71の上方から下方にかけて配置されている。
【0099】
図2、
図5、
図6、
図11および
図13を参照して、次に、船舶用アンローダー10の動作を制御するための構成を説明する。船舶用アンローダー10は、制御部20を有している。制御部20は、例えば、船体2に設置されている。制御部20は、本実施形態では、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むコンピュータである。なお、制御部20は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を含む構成であってもよいし、PLC(Programmable Logic Controller)を用いて形成されていてもよいし、シーケンス回路等を用いて形成されていてもよい。制御部20は、例えば、ROMまたはハードディスク(HDD)等の記憶装置に格納されたプログラムをCPUが実行することで、プログラム的に各種機能を発揮する。
【0100】
制御部20は、複数のセンサに接続されている。具体的には、動滑車ユニット28に、上昇非常限センサ91(一端位置センサ)、上昇限センサ92(一端側位置センサ)、中間位置センサ93、下降限センサ94(他端側位置センサ)、および、下降非常限センサ95(他端位置センサ)が設けられている。
【0101】
中間位置センサ93は、ロック状態からフリー状態となったときにおける動滑車ユニット28の中間位置P3(初期位置)を検出するためのセンサである。中間位置P3は、固定フレーム37内側の先端ストッパ39と基端ストッパ41との間の略中央の位置である。
【0102】
上昇限センサ92は、フリー状態において、動滑車ユニット28が上昇限位置P2に達したことを検出するためのセンサである。上昇限位置P2は、中間位置P3から基端部10b側に進んだ位置であり、可動フレーム51が基端ストッパ41とは接触しない位置である。
【0103】
上昇非常限センサ91は、フリー状態において、動滑車ユニット28が上昇非常限位置P1に達したことを検出するためのセンサである。上昇非常限位置P1は、可動フレーム51が基端ストッパ41に接触する位置である。
【0104】
下降限センサ94は、フリー状態において、動滑車ユニット28が下降限位置P4に達したことを検出するためのセンサである。下降限位置P4は、中間位置P3から先端部10a側に進んだ位置であり、可動フレーム51が先端ストッパ39とは接触しない位置である。下降非常限センサ95は、フリー状態において、動滑車ユニット28が下降非常限位置P5に達したことを検出するためのセンサである。下降非常限位置P5は、可動フレーム51が先端ストッパ39に接触する位置である。各センサ91~95は、固定フレーム37の例えば一方の中間枠37bに取り付けられている。
【0105】
また、動滑車ユニット28の可動フレーム51の例えば一方の中間枠51bには、対向方向Cに並ぶ基端側ストライカー85、中間ストライカー86、および、先端側ストライカー87が取り付けられている。
【0106】
動滑車ユニット28が上昇非常限位置P1にあるとき、上昇非常限センサ91が基端側ストライカー85を検出することで、動滑車ユニット28が上昇非常限位置P1にあることが検出される。動滑車ユニット28が上昇限位置P2にあるとき、上昇限センサ92が基端側ストライカー85を検出することで、動滑車ユニット28が上昇限位置P2にあることが検出される。動滑車ユニット28が中間位置P3にあるとき、中間ストライカー86が中間位置センサ93に隣接配置されており、中間位置センサ93が中間ストライカー86を検出することで、動滑車ユニット28が中間位置P3にあることが検出される。動滑車ユニット28が下降限位置P4にあるとき、下降限センサ94が先端側ストライカー87を検出することで、動滑車ユニット28が下降限位置P4にあることが検出される。動滑車ユニット28が下降非常限位置P5にあるとき、下降非常限センサ95が先端側ストライカー87を検出することで、動滑車ユニット28が下降非常限位置P5にあることが検出される。なお、各センサ91~95は、動滑車ユニット28の上述した位置P1~P5を検出可能な構成であればよく、具体的な構成は限定されない。
【0107】
また、制御部20には、接地センサ96が接続されている。接地センサ96は、着床車輪71がホッパ100等の物体に接触しているか否かを検出するためのセンサである。接地センサ96は、例えばリンク支持部材76に取り付けられた接触式のセンサである。接地センサ96は、着床車輪71がホッパ100から離隔している離隔状態と、着床車輪71がホッパ100に接触して離隔状態から上昇変位した接地状態と、を検出する。例えば、離隔状態におけるリンク部材73のうち第1リンク軸74から基端部10b側部分の位置を検出することで、接地センサ96は、離隔状態を検出する。一方、着床車輪71がホッパ100に接触してブーム13の自重がホッパ100に受けられることで、ブーム13に対して着床車輪71が上昇すると、リンク部材73のうち第1リンク軸74から先端部10a側部分がブーム13側に上昇変位する。これに伴い、リンク部材73のうち第1リンク軸74から基端部10b側部分がブーム13から遠ざかるように下降変位する。この下降変位を接地センサ96が検出することで、接地センサ96は、接地状態を検出する。
【0108】
また、制御部20は、ウィンチモータ26bに接続されており、上記センサ91~96の検出結果に基づいてウィンチモータ26bを制御する。
【0109】
次に、
図14に示すフローチャートを参照しつつ、制御部20による船舶用アンローダー10の動作の一例を説明する。なお、以下では、フローチャート以外に適宜図面を参照しながら説明する。
【0110】
この動作の一例では、スタート時点ではロック状態となっている。そして、まず、制御部20は、着床車輪71がホッパ100に着床しているか否かを判定する(ステップS1)。例えば、ブーム13をホッパ100に向けて移動している等により着床車輪71がホッパ100に接触していないとき(ステップS1でNO)、制御部20は、ロック状態を維持する。
【0111】
ロック状態では、
図15(A)および
図15(B)に示すように、動滑車ユニット28は、上昇非常限位置P1に配置されており、基端ストッパ41に受けられて基端部10b側への移動が規制されているとともに、第1および第2ワイヤー25A,25Bによって先端部10a側への移動も規制されている。すなわち、動滑車ユニット28は、上昇非常限位置P1において第1および第2ワイヤー25A,25Bによって動滑車ユニット架台33に押し付けられることで、ブーム13にロックされたロック状態となり、ブーム13と一体的に俯仰可能である。
【0112】
ロック状態では、制御部20は、オペレータからの指示に沿ってウィンチモータ26bを駆動することで、ウィンチドラム26aを回転して第1および第2ワイヤー25A,25Bの巻き取り動作および繰り出し動作を行う。これにより、制御部20は、ブーム13を船体2に対して俯仰動作させる。ロック状態では、ウィンチモータ26bによってワイヤー25が巻き取り動作および繰り出し動作がされることに伴って、ワイヤー25は、動滑車ユニット28および動滑車ユニット架台33を介してブーム13を俯仰動作し、俯仰角度θを変更する。すなわち、各ワイヤー25の他端25bと動滑車ユニット28までの間におけるワイヤー25の長さを変化させることで、船体2に対してブーム13が矢印D1に示すように俯仰支軸12回りを俯仰動作する。
【0113】
ロック状態において、オペレータが制御部20を操作すること等によって操作終了信号が制御部20に与えられる(ステップS2でYES)まで、ロック状態では、ステップS1,S2の処理が繰り返される。
【0114】
一方、着床車輪71がホッパ100の上端面101に接地することで接地センサ96が接地状態を検出すると(ステップS1でYES)、制御部20は、フリー状態(ステップS3~S9)に移行する。
【0115】
フリー状態では、まず、
図16(A)および
図16(B)に示すように、制御部20は、動滑車ユニット28を中間位置P3に移動させる(ステップS3)。具体的には、着床車輪71がホッパ100に着床していることにより、ブーム13は、着床車輪71と俯仰支軸12とによって両持ち支持されており、ワイヤー25によって持ち上げられなくてもよい。この状態において、制御部20は、ワイヤー25をウィンチドラム26aから動滑車ユニット28側に繰り出すようにウィンチモータ26bを駆動する。これにより、動滑車ユニット28は、上昇非常限位置P1から中間位置P3に向けて移動する。そして、中間位置センサ93が中間ストライカー86を検出すると、動滑車ユニット28が中間位置P3に到達したこととなる。このとき、制御部20は、ウィンチモータ26bを停止する。なお、動滑車ユニット28は、上昇非常限位置P1と下降非常限位置P5との間に位置しているときにフリー状態となっている。
【0116】
フリー状態において、動滑車ユニット28は、ワイヤー25から受けるカテナリ張力と、動滑車ユニット28の自重と、テンショナワイヤ61(ウェイト64)から受ける張力と、が釣り合った状態となる。このため、フリー状態において、ブーム13と船体2との相対位置が一定のときには動滑車ユニット28は静止する。そして、フリー状態において、積荷が少なくなることで船体2の喫水高さが上昇したり、波浪によって船体2が上下に揺れることでブーム13に対して船体2が俯仰動作する場合、俯仰角度θの変化に伴ってブーム13(固定フレーム37)に対する動滑車53の位置が対向方向Cに移動する。このように、動滑車ユニット28が対向方向Cに移動することで、ブーム13に対して矢印D2に示すように船体2が自由に俯仰可能となる。フリー状態では、ワイヤー25は、俯仰角度θの変化に伴ってブーム13に対する動滑車ユニット28の位置を対向方向Cに沿って変更する。
【0117】
次に、制御部20は、動滑車ユニット28が上昇限位置P2まで到達したか否かを判定する(ステップS4)。例えば、ブーム13の先端部10aがホッパ100に着床した状態で船体2が所定量上方に移動することで俯仰角度θが変化し、
図17(A)に示すように、動滑車ユニット28が中間位置P3から基端部10b側に所定量移動すると、動滑車ユニット28の基端側ストライカー85は、上昇限位置P2まで到達する。この場合、上昇限センサ92は、動滑車ユニット28が上昇限位置P2まで到達したことを検出する(ステップS4でYES)。このとき、ブーム13に対して船体2が比較的緩やかに俯仰することにより、動滑車ユニット28が上昇非常限位置P1まで到達していなければ(ステップS5でNO)、制御部20は、動滑車ユニット28を中間位置P3に戻す(ステップS3)。このとき、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動することでワイヤー25をウィンチドラム26aから動滑車ユニット28側へ繰り出す。このとき、制御部20は、動滑車ユニット28が中間位置P3に到達するまで、ウィンチモータ26bを駆動し(ステップS3)、再びステップS4の処理を実行する。これにより、船体2がさらに上昇可能となる。
【0118】
一方、ブーム13に対して船体2が勢いよく俯仰することにより、動滑車ユニット28が上昇限位置P2を超えて
図17(B)に示すように上昇非常限位置P1まで到達した場合(ステップS5でYES)、制御部20は、動滑車ユニット28をロック状態に移行するとともに非常巻上を行う(ステップS10)。このとき、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動することでワイヤー25をウィンチドラム26aに巻き戻してワイヤー25によって動滑車ユニット28を基端ストッパ41に押し付けることで、フリー状態からロック状態に移行する。さらに、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動し続けることで、ブーム13を俯仰支軸12回りに所定量持ち上げる。このときのブーム13の持ち上げ量は、一定の俯仰支軸12回りの一定の角度であってもよいし、ブーム13が起立した状態での物理的に限界の俯仰角度θまででもよい。ロック状態に移行するとともに非常巻上が行われた場合、制御部20の制御は終了する。
【0119】
一方、ステップS4において、動滑車ユニット28が上昇限位置P2まで到達していない場合(ステップS4でNO)、制御部20は、動滑車ユニット28が下降限位置P4まで到達したか否かを判定する(ステップS6)。
【0120】
例えば、ブーム13の先端部10aがホッパ100に着床した状態で船体2が所定量下方に移動することで俯仰角度θが変化し、
図18(A)に示すように、動滑車ユニット28が先端部10a側に所定量移動すると、動滑車ユニット28の先端側ストライカー87は、下降限位置P4まで到達する。この場合、下降限センサ94は、動滑車ユニット28が下降限位置P4まで到達したことを検出する(ステップS6でYES)。このとき、ブーム13に対して船体2が比較的緩やかに俯仰することにより、動滑車ユニット28が下降非常限位置P5まで到達していなければ(ステップS7でNO)、制御部20は、動滑車ユニット28を中間位置P3に戻す(ステップS3)。このとき、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動することでワイヤー25を動滑車ユニット28からウィンチドラム26a側へ巻き戻す。このとき、制御部20は、動滑車ユニット28が中間位置P3に到達するまで、ウィンチモータ26bを駆動し(ステップS3)、再びステップS4の処理を実行する。これにより、船体2がさらに下降可能となる。
【0121】
一方、ブーム13に対して船体2が勢いよく俯仰することにより、動滑車ユニット28が下降限位置P4を超えて
図18(B)に示すように、下降非常限位置P5まで到達した場合(ステップS7でYES)、制御部20は、動滑車ユニット28をロック状態に移行するとともに非常巻上を行う(ステップS10)。このとき、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動することでワイヤー25をウィンチドラム26aに巻き戻してワイヤー25によって動滑車ユニット28を基端部10b側に移動させて基端ストッパ41に押し付けることで、フリー状態からロック状態に移行する。さらに、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動し続けることで、ブーム13を俯仰支軸12回りに上述した所定量持ち上げる。
【0122】
動滑車ユニット28が上昇限位置P2と下降限位置P4との間にあるとき(ステップS6でNO)、制御部20は、着床車輪71がホッパ100から浮き上がることによりホッパ100から離隔したか否か、すなわち、接地状態から離隔状態への移行の有無を判定する(ステップS8)。例えば、船体2の揺れが激しいことによって着床車輪71がホッパ100から意図せず浮き上がってしまうことがある。このような場合、着床車輪71がホッパ100から浮き上がることでリンク部材73が変位したことを接地センサ96が検出する(ステップS8でYES)。
【0123】
すなわち、着床車輪71が接地状態から離隔状態への移行が検出されたとき、制御部20は、動滑車ユニット28をロック状態に移行するとともに非常巻上を行う(ステップS10)。この場合、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動してワイヤー25をウィンチドラム26aに巻き戻してワイヤー25によって動滑車ユニット28を上昇非常限位置P1まで移動させて基端ストッパ41に押し付けることで、フリー状態からロック状態に移行する。さらに、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動し続けることで、ブーム13を俯仰支軸12回りに上述した所定量持ち上げる。
【0124】
一方、着床車輪71がホッパ100に着床した(接触した)ままの場合(ステップS8でNO)、制御部20は、操作終了信号が与えられているか否かを判断する(ステップS9)。制御部20は、操作終了信号を与えられていない場合(ステップS9でNO)、再びステップS4の処理を行う。一方、オペレータが制御部20を操作すること等によって操作終了信号が制御部20に与えられている場合(ステップS9でYES)、制御部20は、動滑車ユニット28をロック状態に移行する(ステップS11)。この場合、制御部20は、ウィンチモータ26bを駆動してワイヤー25をウィンチドラム26aに巻き戻してワイヤー25によって動滑車ユニット28を上昇非常限位置P1まで移動させて基端ストッパ41に押し付けることで、フリー状態からロック状態に移行する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態によると、第1および第2ワイヤー25A,25Bは、それぞれ複数の第1定滑車27Aおよび複数の第2動滑車53Bに巻かれている。この構成によると、フリー状態のとき、船体2はブーム13に対して自由に俯仰可能である。このとき、各ワイヤー25A,25Bは、俯仰角度θの変化に応じて動くが、各ワイヤー25A,25Bは、対応する複数の第1動滑車53Aおよび複数の第2動滑車53Bに巻かれている。これにより、各動滑車53A,53Bの移動量は、1本のワイヤーに1つのみの動滑車を掛ける構成と比べて格段に小さくて済む。よって、動滑車53A,53Bの移動のためのスペースを極めて小さくできる。
【0126】
また、フリー状態において、動滑車ユニット28は、ブーム13の上方において対向方向Cに沿って移動することで、ブーム13に対する船体2の俯仰を許容する。そして、動滑車ユニット28は、もともとワイヤー25のために設けておくことが必要な空間に配置されている。よって、動滑車ユニット28が固定フレーム37のガイド部材40上を動作するための専用の空間を設ける必要がない。また、動滑車ユニット28は、ブーム13上に配置されるので、ブーム13下の空間において邪魔な存在となることがない。よって、船体2の上下動に伴いブーム13に対して船体2が俯仰可能な船舶用アンローダー10を、より小さなスペースに設置できる。
【0127】
また、本実施形態によると、第1動滑車53Aと第2動滑車53Bが水平方向に並んで配置されている。この構成によると、二重系統のワイヤー25A,25Bを、動滑車53A,53Bの移動距離を少なくして設置できる。その上、動滑車ユニット28が上下に大きくならずに済む。
【0128】
また、本実施形態によると、動滑車ユニット28を上昇非常限位置P1に配置することでロック状態となり、動滑車ユニット28を上昇非常限位置P1と下降非常限位置P5との間に配置することでフリー状態となる。このような簡易な構成で、ロック状態とフリー状態とを切り替えることができる。
【0129】
また、本実施形態によると、接地状態が検出されたときに、フリー状態に移行する。これにより、ブーム13の先端部10aがホッパ100に接地した状態において、船体2の上下運動に伴う俯仰角度θの変化を自由に行わせることができる。
【0130】
また、フリー状態において、俯仰角度θの変化に伴って動滑車ユニット28が上昇限位置P2に到達したとき、制御部20は、動滑車ユニット28を中間位置P3に移動させる。これにより、再び動滑車ユニット28が上昇限位置P2に向けて移動することが可能となり、より大きな大きな俯仰角度θとなることが可能である。しかも、本実施形態では、船体2が急に大きく動くこと等によって動滑車ユニット28が上昇非常限位置P1まで到達すると、フリー状態からロック状態に切り替わる。これにより、ブーム13が船体2に対して俯仰支軸12回りに過度に振られることを防止できる。
【0131】
また、フリー状態において、俯仰角度θの変化に伴って動滑車ユニット28が下降限位置P4に到達したとき、制御部20は、動滑車ユニット28を中間位置P3に移動させる。これにより、再び動滑車ユニット28が下降限位置P4に向けて移動することが可能となり、より大きな大きな俯仰角度θとなることが可能である。しかも、本実施形態では、船体2が急に大きく動くこと等によって動滑車ユニット28が下降非常限位置P5まで到達すると、フリー状態からロック状態に切り替わる。これにより、ブーム13が船体2に対して俯仰支軸12回りに過度に振られることを防止できる。
【0132】
また、フリー状態において接地状態から離隔状態への移行が検出されたときには、フリー状態からロック状態に移行する。この構成によると、大きな波浪によって船体2が大きく上下すること等によって着床車輪71がホッパ100から意図せず離隔してしまった場合に、ウィンチ26およびワイヤー25によってブーム13を持ち上げることができる。これにより、ブーム13が意図せず垂れ下がってしまうことを防止できる。
【0133】
また、本実施形態によると、フリー状態のとき、船体2に対してブーム13が自由に俯仰可能である。このとき、定滑車27と動滑車53との間のワイヤー25の長さは変化せず、代わりに、動滑車ユニット28が固定フレーム37のガイド部材40上を動くことで、俯仰角度θの変動によるワイヤー25のたるみを吸収することが出来る。しかも、テンショナ29のウェイト64が動滑車ユニット28から離隔した箇所に接地されているので、重量物であるウェイト64の形状およびレイアウトの自由度を高くできる。
【0134】
また、本実施形態によると、テンショナワイヤ61は、ウェイト連結軸65から離隔した連結位置P6においてウェイト64に連結されている。この構成によると、ウェイト連結軸65と連結位置との間の距離を適宜設定することで、ウェイト64が動滑車ユニット28を引っ張る荷重を容易に調整できる。
【0135】
また、本実施形態によると、ウェイト64は、ブーム13の水平方向の側方に配置されている。この構成によると、ウェイト64がブーム13に対して上下に大きく張り出さずに済み、コンパクトに配置できる。
【0136】
また、本実施形態によると、ウェイト64の高さ位置は動滑車ユニット架台33の固定フレーム37の高さ位置よりも低く設定されており、テンショナワイヤ61は、動滑車ユニット架台33に支持された動滑車ユニット28と固定フレーム37の下方に配置されたウェイト64とを連結している。この構成によると、重量物であるウェイト64は低い位置に設置でき、且つ、動滑車ユニット28を高い位置に設置できる。これにより、対向方向Cに沿って移動する動滑車ユニット28の可動領域を広いスペースに確保できる。
【0137】
また、本実施形態によると、着床機構18は、着床車輪71に作用する荷重を緩衝する緩衝機構72を有している。この構成によると、ブーム13の先端側に配置された着床車輪71がホッパ100に接地する際の衝撃を緩和してブーム13に伝達できるので、ブーム13への負荷を小さくできる。また、波浪影響、積荷減少やバラスト水調整により船体2が前後(船首・船尾方向)に傾動したときにおいて、幅方向Bに一対設けられた着床車輪71の片方がホッパ100から浮き上がりブーム13が一輪受けとなるが、このとき、過大な荷重がもう一方の着床車輪71に発生しない様に緩衝機構72が機能できる。さらに、波浪により一対の着床車輪71の片方がホッパ100から一旦浮き上がり再度ホッパ100へ着床する際の打撃力を、緩衝機構72によって緩衝できる。これにより、着床車輪71やブーム13への異常荷重の作用を防ぎ機械的な保護を行うことができる。
【0138】
また、本実施形態によると、緩衝機構72のショックアブソーバ75において、衝撃を吸収するのがばね部材82なので、耐久性に優れる。また、シリンダ81内にばね部材82が配置されているので、塩害に対しても耐久性に優れる。
【0139】
また、本実施形態によると、ばね部材82が皿ばね部材であることで、ばね部材82をシリンダ81内に配置し易い。また、多数のばね部材82をシリンダ81内に配置することで、これらのばね部材82は、ロッド79からの大きな荷重を受けることができる。
【0140】
また、本実施形態によると、ばね部材82は、常時ピストン80をシリンダ81の突出端部である下端部側から遠ざかる方向(上側方向)に押しておけばよいので、ショックアブソーバ75の構成を簡易にできる。ショックアブソーバ75の構成が簡易であるので耐久性を高くできる。
【0141】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0142】
本実施形態では、ワイヤー25A,25Bがそれぞれ複数の第1動滑車53Aおよび複数の第2動滑車53Bに巻かれている形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。ワイヤー25A,25Bは、それぞれ1つのみの第1動滑車53Aおよび1つのみの第2動滑車53Bに巻かれていてもよい。また、第1および第2ワイヤー25A,25Bの何れか一方は省略されてもよい。
【0143】
また、本実施形態では、動滑車ユニット28がブーム13の上方に配置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。動滑車ユニット28は、ブーム13の下方に配置されてもよい。
【0144】
また、本実施形態では、ウェイト64が動滑車ユニット28から離隔した箇所に設置される形態を例に説明した。しかしながら、この通りでなくてもよい。ウェイト64は、動滑車ユニット28の可動フレーム51に設置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、船舶用アンローダーとして、広く適用できる。
【符号の説明】
【0146】
2 船体
10 船舶用アンローダー
12 俯仰支軸
13 ブーム
14a コンベアベルト
25 ワイヤー
26b ウィンチモータ(駆動源)
27 定滑車
28 動滑車ユニット
33 動滑車ユニット架台
53 動滑車
61 テンショナワイヤ(連結部材、連結ワイヤー)
64 ウェイト
65 ウェイト連結軸
200 ばら物(被搬送物)
P6 連結位置
θ 俯仰角度