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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/48 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B60P1/48 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021048490
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2021160712
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2020062649
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊博
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-103496(JP,A)
【文献】特開2008-247310(JP,A)
【文献】中国実用新案第206254853(CN,U)
【文献】特開2017-013673(JP,A)
【文献】特開平07-285369(JP,A)
【文献】特開2010-274757(JP,A)
【文献】米国特許第05542808(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナを搭載可能な車台上の後部に前後方向に起伏回動可能に連結されたダンプアームと、該ダンプアームの前端部に前方側に倒伏して前記車台上に着床した倒伏姿勢と後方側に起立する起立姿勢とに姿勢変更するように起伏回動可能に連結されたリフトアームと、コンテナに係脱可能なフックを有し、かつ、走行姿勢から前記フックが前記リフトアームの回動中心に接近する方向へ傾動又はスライドさせた非走行姿勢に姿勢変更可能に前記リフトアームの前端部に連結されるフックアームと、前記ダンプアームと前記リフトアームとでコンテナをダンプさせるべく該ダンプアームに対する該リフトアームの起伏回動をロックするロック状態と前記フックアームと前記リフトアームとでコンテナを積み下ろすべく該ダンプアームに対する該リフトアームの起伏回動のロックを解除するロック解除状態とに切り替え可能なロック装置と、を備えた荷役車両であって、
前記ロック装置は、前記リフトアームに設けられた被ロック部と、前記ダンプアームに回動可能に設けられ、回動により後方側へ起立する起立姿勢と前方側へ倒伏する倒伏姿勢とに姿勢変更することにより前記被ロック部に係止又は係止解除可能なロック部と、前記フックアームの非走行姿勢から走行姿勢への姿勢変更に連動して後方側へ移動させることで前記ロック部を所定方向に回動させて倒伏姿勢から起立姿勢への姿勢変更により前記ロック状態に切り替え、かつ、前記フックアームの走行姿勢から非走行姿勢への姿勢変更に連動して前方側へ移動させることで前記被ロック部に係止している前記ロック部を前記所定方向とは逆方向に回動させて起立姿勢から倒伏姿勢への姿勢変更により前記ロック解除状態に切り替える連動部と、を備えていることを特徴とする荷役車両。
【請求項2】
前記ロック部が前記被ロック部に対し係止解除状態で、かつ、前記フックアームが走行姿勢へ姿勢変更された状態である場合に、前記リフトアームが前記起立姿勢から前記倒伏姿勢になった時に、前記連動部が前記ロック部に干渉しないように空間を備えていることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記リフトアームが前記倒伏姿勢であることを検出するリフトアーム検出用のセンサと、前記フックアームが前記走行姿勢であることを検出するフックアーム検出用のセンサと、前記ロック部が前記倒伏姿勢であることを検出するロック部検出用のセンサと、3つの前記センサの検出状態又は非検出状態が入力される制御装置と、を備え、前記制御装置は、3つの前記センサ全てが検出状態である場合に、前記フックアームの走行姿勢から非走行姿勢への姿勢変更を禁止することを特徴とする請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記制御装置は、前記リフトアーム検出用のセンサが非検出状態である場合に、前記姿勢変更の禁止を解除するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車台上のコンテナを、車台と地上との間で積み下ろす、又は車台上でダンプ(傾斜)させてコンテナ内の積み荷(収容物)を降ろすことができる荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記荷役車両は、車台上の後部に前後方向に起伏回動可能に連結されたダンプアームと、ダンプアームの前端部に前後方向に起伏回動可能に連結されたリフトアームと、コンテナに係脱可能なフックを有し、かつ、走行姿勢からフックがリフトアームの回動中心に接近する方向である後側へ傾動可能にリフトアームの前端部に連結されるフックアームと、ダンプアームとリフトアームとでコンテナをダンプさせるべくダンプアームに対するリフトアームの起伏回動をロックするロック状態とフックアームとリフトアームとでコンテナを積み下ろすべくダンプアームに対するリフトアームの起伏回動のロックを解除するロック解除状態とに切り替え可能なアームロック装置と、を備えている。
【0003】
前記アームロック装置は、リフトアームに固定された角柱状のロック棒と、このロック棒に係合又は係合解除可能にダンプアームに回動可能に設けられたフックと、このフックを回動操作すべくダンプアーム側に取り付けられたアクチュエータとしてのアームロックシリンダと、を備えている。したがって、アームロックシリンダを短縮作動させることにより、フックを反時計回りに回転させてロック棒に係合させてアームロック装置をロック状態にする。これにより、リフトアームとダンプアームとが一体的に回動してコンテナをダンプさせる。また、前記アームロックシリンダを伸長作動させることにより、フックを時計回りに回転させてロック棒との係合を解除させてアームロック装置をロック解除状態にする。これにより、フックアームとリフトアームとでコンテナを積み下ろすことができる(特許文献1)。
【0004】
上記構成の荷役車両では、ロック棒にフックを係合又は係合解除させるべくフックを回動させるためのアクチュエータが必要になるため、コスト面において不利になるという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4133684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、コスト面において有利な荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の荷役車両は、コンテナを搭載可能な車台上の後部に前後方向に起伏回動可能に連結されたダンプアームと、該ダンプアームの前端部に前方側に倒伏して前記車台上に着床した倒伏姿勢と後方側に起立する起立姿勢とに姿勢変更するように起伏回動可能に連結されたリフトアームと、コンテナに係脱可能なフックを有し、かつ、走行姿勢から前記フックが前記リフトアームの回動中心に接近する方向へ傾動又はスライドさせた非走行姿勢に姿勢変更可能に前記リフトアームの前端部に連結されるフックアームと、前記ダンプアームと前記リフトアームとでコンテナをダンプさせるべく該ダンプアームに対する該リフトアームの起伏回動をロックするロック状態と前記フックアームと前記リフトアームとでコンテナを積み下ろすべく該ダンプアームに対する該リフトアームの起伏回動のロックを解除するロック解除状態とに切り替え可能なロック装置と、を備えた荷役車両であって、前記ロック装置は、前記リフトアームに設けられた被ロック部と、前記ダンプアームに回動可能に設けられ、回動により後方側へ起立する起立姿勢と前方側へ倒伏する倒伏姿勢とに姿勢変更することにより前記被ロック部に係止又は係止解除可能なロック部と、前記フックアームの非走行姿勢から走行姿勢への姿勢変更に連動して後方側へ移動させることで前記ロック部を所定方向に回動させて倒伏姿勢から起立姿勢への姿勢変更により前記ロック状態に切り替え、かつ、前記フックアームの走行姿勢から非走行姿勢への姿勢変更に連動して前方側へ移動させることで前記被ロック部に係止している前記ロック部を前記所定方向とは逆方向に回動させて起立姿勢から倒伏姿勢への姿勢変更により前記ロック解除状態に切り替える連動部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、被ロック部にロック部を係止してロック装置をロック状態にする場合には、フックアームをリフトアームの回動中心に接近した非走行姿勢から走行姿勢へ姿勢変更することによって、連動部が後方側へ移動してロック部を所定方向に回動させることで倒伏姿勢から起立姿勢へ姿勢変更させて被ロック部にロック部を係止する。また、被ロック部に係止しているロック部を係止解除してロック装置をロック解除状態にする場合には、フックアームを走行姿勢からリフトアームの回動中心に接近した非走行姿勢へ姿勢変更することによって、連動部が前方側へ移動してロック部を所定方向とは逆方向に回動させることで起立姿勢から倒伏姿勢へ姿勢変更させて被ロック部に係止しているロック部を係止解除する。このように、フックアームの姿勢変更に連動して連動部が、ロック部を所定方向に回動させて被ロック部に係止させる、又は被ロック部に係止しているロック部を所定方向とは逆方向に回動させて係止解除させるので、ロック部を回動操作するためのアクチュエータが不要になる。
【0009】
本発明の荷役車両は、前記ロック部が前記被ロック部に対し係止解除状態で、かつ、前記フックアームが走行姿勢へ姿勢変更された状態である場合に、前記リフトアームが前記起立姿勢から前記倒伏姿勢になった時に、前記連動部が前記ロック部に干渉しないように空間を備えていてもよい。
【0010】
コンテナの積み込みを行う場合は、フックアームを走行姿勢からリフトアームの回動中心に接近した非走行姿勢へ姿勢変更することによって、連動部がロック部を所定方向とは逆方向に回動させることで、ロック部が係止解除状態になっている状態、つまり連動部及びロック部が前方側へ共に移動している状態である。この状態でコンテナの積み込みを行うことによって、連動部とロック部とが干渉する等のトラブル発生がない。しかし、前記のようにロック部が係止解除状態になっている状態において、操作ミス等によりフックアームを非走行姿勢から走行姿勢へ姿勢変更してしまうと、連動部がロック部を起立姿勢へするために後方側へ移動する。この状態でコンテナの積み込みを行ってリフトアームが起立姿勢から倒伏姿勢になると、後方側へ移動している連動部が、前方に位置しているロック部に干渉してしまう。このため、連動部がロック部に干渉しないように連動部に空間を備えることによって、前記干渉を抑制することができる。
【0011】
本発明の荷役車両は、前記リフトアームが前記倒伏姿勢であることを検出するリフトアーム検出用のセンサと、前記フックアームが前記走行姿勢であることを検出するフックアーム検出用のセンサと、前記ロック部が前記倒伏姿勢であることを検出するロック部検出用のセンサと、3つの前記センサの検出状態又は非検出状態が入力される制御装置と、を備え、前記制御装置は、3つの前記センサ全てが検出状態である場合に、前記フックアームの走行姿勢から非走行姿勢への姿勢変更を禁止する構成であってもよい。
【0012】
コンテナの積み込みが完了したときに、リフトアームが倒伏姿勢であることを検出し、かつ、フックアームが走行姿勢であることを検出し、かつ、ロック部が倒伏姿勢であることを検出している場合、つまり3つのセンサ全てが検出状態である場合には、前述のように、連動部の空間によりロック部に干渉しない状態になっているが、この状態において、誤ってフックアームを走行姿勢からリフトアームの回動中心に接近した非走行姿勢へ姿勢変更すると、連動部がロック部に干渉してしまう。そのため、3つのセンサ全てが検出状態である場合に、制御装置が、フックアームの走行姿勢から非走行姿勢への姿勢変更を禁止することによって、前記干渉を抑制できる。
【0013】
本発明の荷役車両は、前記制御装置が、前記リフトアーム検出用のセンサが非検出状態である場合に、前記姿勢変更の禁止を解除するように構成されていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、フックアームの走行姿勢からリフトアームの回動中心に接近した非走行姿勢への姿勢変更が禁止されると、倒伏姿勢のリフトアームを再度起立姿勢側へ回動させてから、フックアームを走行姿勢から非走行姿勢へ姿勢変更する。この姿勢変更により、フックアームが走行姿勢であることをフックアーム検出用のセンサが検出しない非検出状態となり、この非検出状態でリフトアームが起伏姿勢になると、連動部がロック部に干渉することなく、ロック装置をロック状態に確実に切り替えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、フックアームの姿勢変更に連動してロック部を回動させる連動部を備えることによって、ロック部を回動操作するためのアクチュエータが不要になるので、コスト面において有利な荷役車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンテナを搭載した本発明の荷役車両の全体側面図である。
図2】フックアームを後側へ傾動してコンテナを後方に移動させた荷役車両の全体側面図である。
図3】リフトアームを回動してコンテナを地上に降ろす直前の状態を示す荷役車両の全体側面図である。
図4】リフトアームを回動してコンテナを地上に降ろした状態を示す荷役車両の全体側面図である。
図5】リフトアームとダンプアームとを上から見た平面図である。
図6】ロック装置がロック状態になっているフックアームとリフトアームとを横から見た側面図である。
図7】ロック状態になっているロック装置の斜視図である。
図8】ロック状態になっているロック装置の側面図である。
図9】フックアームを後方へ最大角度よりも小さい所定角度傾動させてロック装置をロック解除した状態を示す側面図である。
図10図9におけるロック装置の要部の側面図である。
図11】フックアームを後方へ最大角度傾動させてロック装置をロック解除した状態を示す側面図である。
図12図10におけるロック装置の要部の側面図である。
図13】リフトアームを起立姿勢から倒伏姿勢へ姿勢変更している途中の状態を示す側面図である。
図14図13における要部の拡大図である。
図15】ロック装置をロック解除した状態でリフトアームを起立姿勢から倒伏姿勢へ姿勢変更した状態を示す側面図である。
図16図13における要部の側面図である。
図17】リフトアームと操作部とをリンクを介して連結した別の実施形態を示し、ロック装置がロック解除した状態になっているフックアームとリフトアームとを横から見た側面図である。
図18図17のロック装置がロック状態になっているフックアームとリフトアームとを横から見た側面図である。
図19図18におけるXIX-XIX線断面図である。
図20図18で示した操作部の形状を示す要部の側面図である。
図21図17で示したロック部が係止解除状態においてリフトアーム4の着床前に操作ミス等により前方に位置している操作部が後方へ移動されてからリフトアーム4が着床した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る荷役車両について説明する。図1に示すように、荷役車両Vは、左右一対のシャシフレームF,F(図1では左側のみ図示)の前方に運転室Caを搭載し、シャシフレームF,Fの後方に左右一対のサブフレーム(荷役フレームともいう)1,1(図1では左側のみ図示)を搭載している。サブフレーム1,1は、図5に示すように、前後方向に長い縦フレームからなり、これら縦フレーム同士は、左右方向に延びる横フレーム1Bで連結されている。これらサブフレーム1,1上に、コンテナCtが搭載される。シャシフレームF,Fの後部には、ジャッキ装置Dが設けられている。このジャッキ装置Dは、コンテナCtを積み下ろしする作業時や積み込みする作業時に、斜め前方に位置しているジャッキ部dを手動により横軸心回りで回転させて二点鎖線で示す垂直姿勢に姿勢変更させる。これにより作業中に前輪が大きく浮き上がることがないように地上GRに荷役車両Vを安定させることができる。
【0018】
サブフレーム1,1の後端部には、図1図5に示すように、左右方向外側に突設される左右一対の案内ローラ2,2(図1図4では左側のみ図示)が回転自在に取り付けられている。これら案内ローラ2,2は、サブフレーム1上のコンテナCtを地上に降ろす際や、コンテナCtを地上からサブフレーム1上に搭載する際に、回転しながらコンテナCtを移動案内する。
【0019】
また、図5に示すように、サブフレーム1,1の後端部に、左右一対のダンプアーム3,3の後端部が回動自在に軸支されており、左右の横軸3T,3T回りでダンプアーム3,3が傾動可能に構成されている。ダンプアーム3,3は、前後方向に長い縦フレームからなり、それら縦フレームの中間部同士を左右方向で連結する中間部横フレーム3Bと、縦フレームの前端部を連結する前端部横フレーム3Cとを備えている。縦フレームの中間部の前側寄りに支持軸3Dが貫通されており、この支持軸3Dにリフトアーム4の後端部を一体回転自在に取り付けている。このリフトアーム4は、ダンプアーム3,3間に位置し、後端部がダンプアーム3,3の前端部に前後方向で重なり合っている。また、リフトアーム4の中間部とサブフレーム1,1の前端部とが一対の油圧式のリフトシリンダ5,5により連結されている。これらリフトシリンダ5,5を伸縮作動させることによって、支持軸3D回りにリフトアーム4を回動させることができる。
【0020】
図6に示すように、リフトアーム4の前端部に、略L字状のフックアーム6の基端部が左右方向の横軸7回りに回動自在に取り付けられており、フックアーム6を後述するフック8がリフトアーム4の回動中心となる支持軸3Dに接近する方向(後側)へ傾動可能に構成している。フックアーム6の上端に、後述するコンテナCtの係合部12に係合する略C字状のフック8を備えている。フックアーム6の中間部とリフトアーム4の前端部との間に油圧式のフックシリンダ9が連結されており、このフックシリンダ9の伸縮作動によって、フックアーム6を、図1及び図6に示す走行姿勢(垂直姿勢)から図9の実線で示すようにフック8がリフトアーム4の回動中心に接近する方向へ所定角度(最大角度よりも小さい角度)傾動させた非走行姿勢(以下、第1姿勢という)へ変更させることができる。また、フックシリンダ9を最大伸縮作動させることによって、フックアーム6を、図1及び図6に示す走行姿勢から図9の2点鎖線及び図11の実線で示すようにフック8がリフトアーム4の回動中心に接近する方向へ最大角度傾動させた非走行姿勢(以下、第2姿勢という)へ変更させることができる。
【0021】
コンテナCtは、前側下面に複数個(左右一対)の支持脚10を備えるとともに、後側下面に複数個(左右一対)の走行車輪11を備えた上方開放型の箱型に構成され、コンテナCtの前側には、後述するフックアーム6のフック8と係合可能な係合部12を備え、コンテナCtの後側には、開放可能なリヤゲート13を備えている。
【0022】
図6及び図7に示すように、リフトアーム4の下面には、ダンプアーム3とリフトアーム4とでコンテナCtをダンプさせるべくダンプアーム3に対するリフトアーム4の起伏回動をロックするロック状態とフックアーム6とリフトアーム4とでコンテナCtを積み下ろす又はコンテナCtを積み込むべくダンプアーム3に対するリフトアーム4の起伏回動のロックを解除するロック解除状態とに切り替え可能なロック装置14を備えている。
【0023】
ロック装置14は、ダンプアーム3の前端部横フレーム3Cから前方へ延びるように取り付けられた左右2組のブラケット15,15、16,16にそれぞれ挟んだ状態で横軸心X回りで回動可能に取り付けられた左右のロック部17,18と、リフトアーム4の後端部の両横側部に左右方向外側に突出するピン状の左右の被ロック部19,20(図7参照)と、ロック部17,18を被ロック部19,20に係止又は係止解除させるための連動部21と、を備えている。図7では、リフトアーム4を省略している。左右のロック部17,18が横軸心X回りで回動することにより後方側へ起立する起立姿勢(図7及び図8参照)にすることでロック部17,18を被ロック部19,20に係止させる。また、左右のロック部17,18が横軸心X回りで回動することにより前方側へ倒伏する倒伏姿勢(図10及び図12参照)にすることで被ロック部19,20に係止しているロック部17,18の係止を解除させる。
【0024】
ロック部17,18は、被ロック部19,20に係止する係止用切欠き17K,18Kが形成された側面視略くの字状の部材から構成され、左右方向で棒状のロッド22により連結されている。このロッド22に連動部21が係止又は係止解除することにより、左右のロック部17,18を左右の被ロック部19,20に係止する係止状態と該係止状態を解除する係止解除状態とに切り替えることができる。
【0025】
連動部21は、フックアーム6の姿勢変更に伴い前後方向に移動するように前端部がフックアーム6に連動連結されたフックアーム用ロッド23と、フックアーム用ロッド23の後端部に連結されてロック部17,18を回動操作するための操作部24と、を備えている。したがって、フックアーム6が走行姿勢から非走行姿勢へ姿勢変更すると、連動部21が前方側へ移動し、フックアーム6が非走行姿勢から走行姿勢へ姿勢変更すると、連動部21が後方側へ移動する。なお、フックアーム用ロッド23及び操作部24は、金属製であるが、金属と略同等の強度を有するものであれば、他の材料で構成することもできる。
【0026】
フックアーム用ロッド23は、リフトアーム4の下面に複数(図6では前後方向に間隔を置いて2個)の支持部25により前後方向に移動可能に支持されている。また、フックアーム用ロッド23の前端部が、フックアーム6の下端部に上端部が取り付けられた板状の第1取付部材26の下端部に後方へ延びるように取り付けられた板状の第2取付部材27の後端部に連結されている。
【0027】
操作部24は、図14に示すように、フックアーム用ロッド23の後端部に螺合連結されるナット部を備えた基端部24Aと、基端部24Aの上端から一段上側に位置して後方に延びるとともに側面視三角形状の枠部からなる先端部24Bと、基端部24Aと先端部24Bとの間に形成され後方斜め下方へ延びるとともにロッド(被当接部)22に前方から当接する当接面24cを有する当接部24C(図10参照)と、当接部24Cと先端部24Bとの間に形成されフックアーム用ロッド23の後方への移動により前記当接面24cに当接して前方斜め上方へ移動するロッド22を案内するために形成された逆Uの字状のガイド溝部24M(図8参照)と、を備えている。図10に、ロッド22に当接部24Cの当接面24cが当接する直前の状態を示し、図8に当接部24Cの当接面24cがロッド22に当接してガイド溝部24Mの上端までロッド22が移動した状態を示している。前記先端部24Bの後面に、前方斜め下方に向かう傾斜面24Kが形成されており、フックアーム用ロッド23の前方への移動によりガイド溝部24Mの上端部に位置しているロッド22に後方から当接してロッド22を傾斜面24Kに沿って下方へ移動させる。これにより、先端部24Bは、ロッド22との係止を解除させる解除部として機能する。
【0028】
ロッド(被当接部)22は、サブフレーム1上にリフトアーム4を載置したリフトアーム4の着床時に、左右のロック部17,18が係止解除状態で、当接部24Cの当接面24cの移動範囲内に位置している。また、ロッド(被当接部)22は、リフトアーム4を後方側へ回動させている時に、左右のロック部17,18が係止解除状態で、当接部24Cの当接面24cの移動範囲外に位置している。したがって、リフトアーム4を後方側へ回動させている時に、操作部24の当接部24Cがロッド(被当接部)22に当接せず、左右のロック部17,18とフックアーム6とが連動しない。このため、左右のロック部17,18が係止解除状態のまま、リフトアーム4を着床させられるため、被ロック部19,20と左右のロック部17,18との干渉を防止できる。
【0029】
次に、荷役車両Vのサブフレーム1上のコンテナCtを地上に降ろす動作について説明する。
【0030】
図1に示す、荷役車両Vのサブフレーム1,1上にコンテナCtが搭載されている走行可能状態から、フックシリンダ9を伸長作動させる。これによって、フックアーム6を後側へ傾動(姿勢変更)させて第2姿勢へ姿勢変更させる(図2参照)。この姿勢変更によって、図11及び図12に示すように、フックアーム用ロッド23が引っ張られることによって、図7及び図8に示すように、ガイド溝部24Mの上端部に係止されていたロッド22に傾斜面24Kが当接してロッド22が傾斜面24Kに沿って下方へ押し下げられる。ロッド22が傾斜面24Kの下端まで移動すると、ロッド22が傾斜面24Kの下端から外れる位置まで自重で下降し、操作部24が前方へ更に移動する。これにより、被ロック部19に係止していたロック部17の係止が解除され、ロック装置14が被ロック部19に対してロック解除される。このとき、コンテナCtは、荷役車両Vに対して後方へ移動した状態である。ロック装置14をロック解除すると、フックシリンダ9の作動は停止状態としたまま、リフトシリンダ5の伸長作動を開始してリフトアーム4を回動させてコンテナCtを持ち上げながら後方へ移動させる(図3参照)。更に、リフトシリンダ5を伸長動作させながら、コンテナCtを地上へ降ろして、コンテナCtの降ろし作業が終了する(図4参照)。尚、前記ロッド22の下降位置は、フックアーム6を第2姿勢から走行姿勢に姿勢変更に伴って、係止解除位置まで移動した操作部24が後方へ移動した時に操作部24の当接面24cがロッド22に当接する位置に規制されている。
【0031】
前記とは反対に地上に降ろしたコンテナCtをサブフレーム1上に搭載する時の積み込み動作について説明する。積み降ろし時の図4の状態と同じフックアーム6とリフトアーム4の角度で、コンテナCtの持ち上げを開始する。つまり、リフトシリンダ5を短縮作動させてリフトアーム4を前方側へ回動させて、図3に示す状態にしてから、更にリフトアーム4を前方側へ回動させることによって、図2に示すように、サブフレーム1上にリフトアーム4を載置した状態を示している。この状態から、フックシリンダ9を短縮作動させることによって、フックアーム用ロッド23を後方側へ移動させることにより、図10の状態から当接部24Cの当接面24cに当接し、ロッド22を押すことで、ロッド22がガイド溝部24Mの上端まで移動する。この移動によりロック部17が横軸心X回りに回動して起立姿勢になることで被ロック部19に係止し、ロック装置14がロック状態となる(図6図8参照)。図1にフックアーム6を走行姿勢に戻した状態(走行可能な状態)を示している。
【0032】
前述したように、被ロック部19,20にロック部17,18を係止してロック装置14をロック状態にする場合には、フックアーム6をリフトアーム4の回動中心に接近した非走行姿勢から走行姿勢へ姿勢変更することによって、連動部21が後方側へ移動することで連動部21の操作部24の当接面24cがロック部17,18のロッド22に当接し、ロック部17,18のロッド22を押すことで倒伏姿勢から起立姿勢へ姿勢変更させて被ロック部19,20にロック部17,18を係止する。また、被ロック部19,20に係止しているロック部17,18を係止解除してロック装置14をロック解除状態にする場合には、フックアーム6を走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した非走行姿勢へ姿勢変更することによって、連動部21が前方側へ移動することで連動部21の操作部24の傾斜面24Kがロック部17,18のロッド22に当接し、ロッド22を前方へ移動させる(引っ張る)ことで起立姿勢から倒伏姿勢へ姿勢変更させて被ロック部19,20に係止しているロック部17,18を係止解除する。このように、フックアーム6の姿勢変更に連動して連動部21が前後方向に移動することで、ロック部17,18を所定方向に回動させて被ロック部19,20に係止させる、又は被ロック部19,20に係止しているロック部17,18を所定方向とは逆方向に回動させて係止解除させるので、ロック部17,18を回動操作するためのアクチュエータが不要になる。
【0033】
また、コンテナCtの積み込みを行う場合は、フックアーム6を走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した非走行姿勢へ姿勢変更することによって、連動部21の操作部24でロック部17,18を移動させる(引っ張る)ことで、ロック部17,18が被ロック部19,20から係止解除状態になっている状態、つまり連動部21の操作部24及びロック部17,18が前方側へ共に移動している状態である。この状態(図13及び図14参照)でコンテナCtの積み込みを行うことによって、連動部21の操作部24とロック部17,18のロッド22とが干渉する等のトラブル発生がない。しかし、前記のようにロック部17,18が係止解除状態になっている状態において、リフトアーム4が倒伏する前に、操作ミス等によりフックアーム6を非走行姿勢から走行姿勢へ姿勢変更してしまうと、連動部21の操作部24がロック部17,18を起立姿勢へするために後方側へ移動する。この状態でコンテナCtの積み込みを行ってリフトアーム4が起立姿勢から倒伏姿勢になると、後方側へ移動している連動部21の操作部24が、前方に位置しているロック部17,18のロッド22に干渉してしまう。このため、連動部21の操作部24がロック部17,18のロッド22に干渉しないように連動部21の操作部24に空間24H形成用の逃げ部24Nを備えている。
【0034】
逃げ部24Nは、図14図16に示すように、操作部24の当接部24Cの当接面24cとは反対側の前側の面に前方斜め上方に向かう傾斜面に形成され、この傾斜面から斜め下方に開放される空間24Hが形成される。したがって、逃げ部24Nにより形成される空間24Hを設けることによって、ロック部17,18が係止解除状態で、かつ、フックアーム6が非走行姿勢から走行姿勢へ姿勢変更された状態である場合に、リフトアーム4が起立姿勢から倒伏姿勢になった時に、図16に示すように、左右のロック部17,18のロッド22が空間24Hに位置することで連動部21がロック部17,18のロッド22に干渉することがないようにしている。
【0035】
また、図6に示すように、リフトアーム4が車台上に着床した倒伏姿勢であることを検出するリフトアーム検出用の第1センサ28と、フックアーム6が走行姿勢であることを検出するフックアーム検出用の第2センサ29と、ロック部17が倒伏姿勢であることを検出するロック部検出用の第3センサ30と、3つのセンサ28,29,30の検出状態又は非検出状態が入力される制御装置31と、を備えている。
【0036】
第1センサ28は、光を照射する照射部と、照射部から照射された光がリフトアーム4に反射して戻ってくる光を受光する受光部と、を備えた光電形のセンサから構成されている。したがって、第1センサ28は、リフトアーム4が倒伏姿勢になると、照射部から照射された光がリフトアーム4に反射して戻ってくる光を受光部で受光することでリフトアーム4が倒伏姿勢であることを検出する検出状態となる。また、第1センサ28は、リフトアーム4が倒伏姿勢から起立姿勢に回動されることによって、照射部から照射された光を受光できないため、リフトアーム4が倒伏姿勢でないことを検出する非検出状態となる。
【0037】
第2センサ29は、フックアーム6の傾斜角度を検出する傾斜センサから構成されている。したがって、第2センサ29は、フックアーム6が予め設定されている角度以上に傾斜したことを検出したときに、フックアーム6が走行姿勢でないことを検出する非検出状態となる。また、第2センサ29は、フックアーム6が予め設定されている角度未満であることを検出したときに、フックアーム6が走行姿勢であることを検出する検出状態となる。
【0038】
第3センサ30は、光電型の近接スイッチからなり、ロック部17が起立姿勢になることによりロック部17に取り付けられた近接ドグ30Aが近接スイッチに近づくことで、ロック部17が起立姿勢であることを検出する非検出状態となる(図8参照)。また、ロック部17が倒伏姿勢になることにより前記近接ドグ30Aが近接スイッチから遠ざかることで、ロック部17が倒伏姿勢であることを検出する検出状態となる(図12参照)。
【0039】
制御装置31は、3つの前記センサ28,29,30全てが検出状態である場合に、フックアーム6の走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した姿勢への姿勢変更を禁止する禁止手段32を備えている。
【0040】
従って、コンテナCtの積み込みが完了したときに、リフトアーム4が倒伏姿勢であることを検出し、かつ、フックアーム6が走行姿勢であることを検出し、かつ、ロック部17,18が倒伏姿勢であることを検出している場合、つまり3つのセンサ28,29,30の全てが検出状態である場合には、前述のように、連動部21の操作部24の逃げ部24Nにより形成される空間24Hによりロック部17,18に干渉しない状態になっているが、この状態において、誤ってフックアーム6を走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した非走行姿勢へ姿勢変更すると、連動部21の操作部24がロック部17,18のロッド22に干渉してしまう。そのため、3つのセンサ28,29,30の全てが検出状態である場合に、制御装置31が、フックアーム6の走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した姿勢への姿勢変更を禁止することによって、前記干渉を抑制できるようにしている。
【0041】
また、制御装置31は、リフトアーム検出用の第1センサ28が非検出状態である場合に、禁止手段32による禁止を解除するように構成されている。
【0042】
上記のように、禁止手段32によりフックアーム6の走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した非走行姿勢への姿勢変更が禁止されると、倒伏姿勢のリフトアーム4を再度起立姿勢側へ回動させてから、フックアーム6を走行姿勢から非走行姿勢へ姿勢変更する。この姿勢変更により、フックアーム6が走行姿勢であることをフックアーム検出用の第2センサ29が検出しない非検出状態となり、この非検出状態でリフトアーム4が起伏姿勢になると、連動部21の操作部24がロック部17,18に干渉することなく、ロック装置14をロック状態に確実に切り替えることができる。
【0043】
尚、図1図4では、ロック装置14をロック解除してリフトアーム4を回動させてコンテナCtを地上GRに降ろす又は地上GRのコンテナCtを積み込む場合について説明したが、ロック装置14のロック部17,18を被ロック部19,20にロックした状態でリフトシリンダ5を伸長作動させてダンプアーム3とリフトアーム4とを一緒に回動させることで、コンテナCtをダンプさせた状態にすることができる(図示せず)。そして、コンテナCtをダンプさせた後に、リヤゲート13を開放させることによって、コンテナCt内の収容物を下方へ落下排出することができる。尚、前記のように、ダンプアーム3とリフトアーム4とでコンテナCtをダンプさせることは、例えば、特開2016-215910号公報の図13に示されるように公知である。
【0044】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
【0045】
上記実施形態では、フックアーム6の後側への姿勢変更は、走行姿勢からフックアーム6を後側へ傾動させることにより行われる場合を示したが、走行姿勢からフックアーム6を後側へスライドさせることにより行われる場合であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、フックアーム6の走行姿勢で、リフトアーム4を倒伏姿勢にした時に、連動部21の操作部24が倒伏姿勢のロック部17,18のロッド22に干渉しないように連動部21の操作部24に逃げ部24Nにより形成される空間24Hを設けたが、逃げ部を設けないで連動部21の操作部24がロック部17,18のロッド22に干渉(当接)するように構成してもよい。この場合、連動部21の操作部24がロック部17,18のロッド22に干渉(当接)した際に、いずれか一方(連動部21又はロック部17,18)が上下方向に逃げるように構成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、操作部24にロッド22との係止を解除させるための解除部である先端部24Bを設けたが、先端部24Bを省略してもよい。この場合、ロック部17,18を自重又はバネ(付勢手段)で倒伏姿勢に付勢しておき、操作部24の当接部24Cに当接してロッド22を押すことでロック部17,18を被ロック部19,20に係止した後、操作部24の当接部24Cをロッド22から前方へ移動(離間)させることによりロック部17,18を自重又はバネ(付勢手段)で倒伏姿勢に姿勢変更させるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、制御装置31は、3つの前記センサ28,29,30の全てが検出状態である場合に、フックアーム6の走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した姿勢への姿勢変更を禁止したが、フックアーム6の姿勢変更だけでなく、リフトアーム4の姿勢変更も禁止してもよい。この場合、例えば、禁止を解除する特定の解除スイッチを設けて、その解除スイッチの解除操作によりフックアーム6やリフトアーム4の姿勢変更を許可してもよい。前記リフトアーム4及びフックアーム6の姿勢を検出するセンサとしては、実施形態で示したものに限定されない。つまり、リフトアーム4及びフックアーム6の姿勢を検出できるものであればどのようなものでもよく、センサの種類や設ける場所は、限定されない。例えば、リミットスイッチでもよいし、1個のセンサだけでなく、複数のセンサからの検出情報に基づいて検出してもよい。尚、リフトアーム4の倒伏姿勢を検出するセンサは、リフトアーム4が完全に倒伏した姿勢を検出する他、倒伏する直前の姿勢を検出してその直前の姿勢を倒伏姿勢としてもよい。その際、直前の姿勢とは、連動部21とロック部17,18とが干渉し始めるときのリフトアーム4の姿勢とすればよい。また、フックアーム6の走行姿勢を検出するセンサは、フックアーム6が完全に走行姿勢に変更した姿勢を検出する他、フックアーム6が走行姿勢になる直前の姿勢を検出してその直前の姿勢を走行姿勢としてもよい。その際、直前の姿勢とは、連動部21とロック部17,18とが干渉し始めるときのフックアーム6の姿勢とすればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、制御装置31は、3つの前記センサ28,29,30の全てが検出状態である場合に、フックアーム6の走行姿勢からリフトアーム4の回動中心に接近した非走行姿勢への姿勢変更を禁止したが、どのような状況においても、フックアーム6の姿勢変更を禁止しないように構成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、支持部25を複数(2個)設けたが、1個のみ設けて実施してもよい。また、フックアーム用ロッド23が、リフトアーム4の下面に取り付けられた複数(図6では前後方向に間隔を置いて2個)の支持部25により前後方向に移動可能に支持される構成であったが、フックアーム用ロッド23を前後方向に移動可能に支持する支持部25を変形したリンク33であって、このリンク33を介してリフトアーム4と操作部24とを連結した構成であってもよい。操作部24は、フックアーム用ロッド23の後端部に連結され、操作部24とフックアーム用ロッド23とから連動部21を構成する。詳細に説明すれば、図19及び図20に示すように、リフトアーム4の後部の両横側部に一対のブラケット34,34が複数(2個)のボルト(溶接でもよい)35,35により固定され、各ブラケット34の下部とリンク33の一端部とがピン36により連結され、一対のリンク33,33の他端部と操作部24とが一本のピン37により連結されている。前記ピン37には、一方のリンク33に対する操作部24の位置及び他方のリンク33に対する操作部24の位置を規制するための一対のパイプ38,38が外嵌されている。各ブラケット34は、リフトアーム4の後部の横側部に固定される上下方向に長い第1縦板部34Aと、第1縦板部34Aの下端から左右方向内側に延びるように90度折り曲げられた水平板部34Bと、水平板部34Bの内側端から下方に延びるように90度折り曲げられリンク33の一端部がピン36を介して連結される第2縦板部34Cと、を備えている。また、操作部24は、上記実施形態で説明した形状(例えば図14の操作部24の形状)とは異なっている。具体的には、図20に示すように、操作部24は、フックアーム用ロッド23の後端部の雄螺子部が螺合する雌螺子部が形成された雌螺子部材231が載置されて溶接された基端部232と、基端部232の後端上部から後方に延びる後側部233と、を備えている。基端部232の後端部には、上方に向かうほど前方に位置する湾曲面232Aを備えている。この湾曲面232Aは、図17の状態から、フックアーム用ロッド23の後方への移動によりロッド22に前方から当接してロッド22を上方へ移動案内させる案内面を構成する。また、後側部233の下面には、それの後端から後側部233の全長の略半分までの位置から前方に向かうほど上方に位置する平坦面でなる傾斜面233Aを備えている。この傾斜面233Aは、図18の状態から、フックアーム用ロッド23の前方への移動によりロッド22を下方へ押し下げる案内面を構成する。尚、説明していない構成は、前述した実施形態の構成と同一であるため、同一の符号を付すとともに説明を省略している。
【0051】
前記のようにリンク33,33によりリフトアーム4と操作部24とが連結された構成によりサブフレーム1上のコンテナCtを地上に降ろす動作について説明する。図1に示す、荷役車両Vのサブフレーム1,1上にコンテナCtが搭載されている走行可能状態から、フックシリンダ9を伸長作動させる。これによって、フックアーム6を後側へ傾動(姿勢変更)させて第2姿勢へ姿勢変更させる(図2参照)。この姿勢変更、つまり図17の2点鎖線から実線で示す姿勢変更により、フックアーム用ロッド23が引っ張られることによって、リンク33がピン36回りに揺動される。これにより、操作部24が前方下方へ移動されるとともに、湾曲面232Aの上端部に係止されていたロッド22が傾斜面233Aに当接して傾斜面233Aに沿って下方へ押し下げられる。ロッド22が傾斜面233Aの後端まで移動すると、ロック部17が自重で横軸心X回りに回転することにより、ロッド22が傾斜面233Aの下端から外れるように下降し、操作部24が前方へ更に移動する(図17参照)。これにより、被ロック部19に係止していたロック部17の係止が解除され、ロック装置14が被ロック部19に対してロック解除される。ロック装置14をロック解除すると、前述したように、フックシリンダ9の作動は停止状態としたまま、リフトシリンダ5の伸長作動を開始してリフトアーム4を回動させてコンテナCtを持ち上げながら後方へ移動させる(図3参照)。更に、リフトシリンダ5を伸長動作させながら、コンテナCtを地上へ降ろして、コンテナCtの降ろし作業が終了する(図4参照)。
【0052】
前記とは反対に地上に降ろしたコンテナCtをサブフレーム1上に搭載する時の積み込み動作について説明する。積み降ろし時の図4の状態と同じフックアーム6とリフトアーム4の角度で、コンテナCtの持ち上げを開始する。つまり、リフトシリンダ5を短縮作動させてリフトアーム4を前方側へ回動させて、図3に示す状態にしてから、更にリフトアーム4を前方側へ回動させることによって、図2に示すように、サブフレーム1上にリフトアーム4を載置した状態を示している。この状態から、フックシリンダ9を短縮作動させることによって、フックアーム用ロッド23を後方側へ移動させる。これにより、図17の状態から、リンク33がピン36回りに上方へ揺動する。すると、操作部24が上方へ揺動して操作部24の湾曲面232Aがロッド22に当接し、操作部24がロッド22を押しながら上方へ揺動することで、ロッド22が湾曲面232Aの上端まで移動する。この移動により、ロック部17が横軸心X回りに回動して起立姿勢になることで被ロック部19に係止し、ロック装置14がロック状態となる(図18参照)。前記のように、リンク33により操作部24を後方上方へ揺動しながら、ロッド22に当接させてロッド22を上方へ移動させることによって、ロック部17を持ち上げやすい。
【0053】
図21に示すように、フックアーム6の走行姿勢において、リフトアーム4の下面4Aから実線で示す操作部24(基端部232)の下面までの高さ(距離)は、リフトアーム4の下面4Aから係止解除状態のロック部17,18のロッド22の上面までの高さ(距離)よりも低い(短い)。すなわち、操作部24(基端部232)の下方に逃げ部232B、つまりロック部17,18に干渉しないように空間232Hを備えている。このため、ロック部17,18が係止解除状態でリフトアーム4が着床する前に、操作ミス等によりフックアーム6を走行姿勢に姿勢変更しても、操作部24とロック部17,18の干渉を防止できる。具体的には、操作部24の基端部232の前方側下面にロック部17,18に干渉しないように空間232Hを形成するための逃げ部232Bを備えている。より詳しくは、湾曲面232Aの後端と前端の移動軌跡S1,S2の間の範囲(すなわち、湾曲面232Aの移動軌跡)における前方側下面に逃げ部232Bを備える。この逃げ部232Bで形成された空間232Hにより、係止解除状態のロック部17,18のロッド22に、リフトアーム4の着床前に操作ミス等により前方の位置(2点鎖線)から後方の位置(実線)へ移動された操作部24が図21に示すリフトアーム4の着床時に干渉することを防止できる。
【0054】
また、上記実施形態では、連動部21の操作部24とロック部17のロッド22とが連結されていない非連結状態であったが、連動部21の操作部24とロック部17のロッド22とをリンクにより連結した連結状態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…サブフレーム、1B…横フレーム、2…案内ローラ、3…ダンプアーム、3B…中間部横フレーム、3C…前端部横フレーム、3D…支持軸、3T…横軸、4…リフトアーム、4A…下面、5…リフトシリンダ、6…フックアーム、7…横軸、8…フック、9…フックシリンダ、10…支持脚、11…走行車輪、12…係合部、13…リヤゲート、14…ロック装置、15,16…ブラケット、17,18…ロック部、17K,18K…切欠き、19,20…被ロック部、21…連動部、22…ロッド、23…フックアーム用ロッド、24…操作部、24A…基端部、24B…先端部、24C…当接部、24H…空間、24K…傾斜面、24M…ガイド溝部、24N…逃げ部、24c…当接面、25…支持部、26…第1取付部材、27…第2取付部材、28,29,30…センサ、30A…近接ドグ、31…制御装置、32…禁止手段、33…リンク、34…ブラケット、35…ボルト、36…ピン、37…ピン、38…パイプ、231…雌螺子部材、232…基端部、233…後側部、232A…湾曲面、232B…逃げ部、232H…空間、233A…傾斜面、Ca…運転室、Ct…コンテナ、D…ジャッキ装置、F…シャシフレーム、GR…地上、S1,S2…移動軌跡、V…荷役車両、X…横軸心、d…ジャッキ部
図1
図2
図3
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