(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】タイヤ、リトレッドタイヤ、及びリトレッドタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240723BHJP
B60C 11/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B60C19/00 G
B60C11/02 A
(21)【出願番号】P 2021109737
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】桑山 勲
(72)【発明者】
【氏名】清村 崇
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/207422(WO,A1)
【文献】特開2021-000855(JP,A)
【文献】特開2021-000854(JP,A)
【文献】特開2020-083044(JP,A)
【文献】特開2020-079041(JP,A)
【文献】特開2004-013399(JP,A)
【文献】特開2021-044674(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0505906(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
B60C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1層以上のベルト層からなるベルトを備え、
トレッド踏面に主溝を有し、
通信装置が、前記主溝の溝底よりもタイヤ径方向内側で、且つ、前記ベルトの最内側ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、前記ベルトの最小幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に埋設されており、
前記通信装置は、タイヤ径方向外側を前記ベルトに覆われていない、タイヤ。
【請求項2】
前記通信装置は、前記ベルトの最大幅ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側に埋設されている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記通信装置は、前記ベルトの最外側ベルト層の外側表面よりもタイヤ径方向内側に埋設されている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記通信装置は、前記ベルトの最大幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に埋設されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記ベルトは、非金属ベルトである、請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項6】
1層以上のベルト層からなるベルトを備え、且つ、前記ベルトの最外側ベルト層の外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分が除去された、台タイヤと、
前記台タイヤの前記ベルトの最内側ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、前記ベルトの最小幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に埋設された、通信装置と、
前記台タイヤのタイヤ径方向外側に接着された、トレッド部材と、
を含み、
前記通信装置は、タイヤ径方向外側を前記ベルトに覆われていない、リトレッドタイヤ。
【請求項7】
前記通信装置は、タイヤ周方向に延びる環状のゴム部材の一部に埋設されている、請求項6に記載のリトレッドタイヤ。
【請求項8】
通信装置が埋設されたリトレッドタイヤを得るための、リトレッドタイヤの製造方法であって、
1層以上のベルト層からなるベルトを備えるタイヤから、前記ベルトの最外側ベルト層の外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分を除去して台タイヤを生成することと、
前記台タイヤの前記ベルトの最内側ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、前記ベルトの最小幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に、前記通信装置のタイヤ径方向外側が前記ベルトに覆われないように、前記通信装置を設置することと、
トレッド部材を、前記台タイヤのタイヤ径方向外側から前記台タイヤに接着させることと、
を含む、リトレッドタイヤの製造方法。
【請求項9】
前記通信装置は、環状のゴム部材の一部に埋設されており、
前記通信装置を設置することは、前記ゴム部材を、前記台タイヤのタイヤ径方向外側から前記台タイヤに巻き付けることを含む、請求項8に記載のリトレッドタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ、リトレッドタイヤ、及びリトレッドタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤにRFIDタグなどの通信装置を埋設した構成が知られている。例えば、特許文献1には、タイヤを構成する複数の構成要素の間にRFIDタグが設けられたタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイヤの有用性の更なる向上が依然として求められている。例えば、タイヤにおいて、タイヤをリトレッドすることを考慮に入れた位置に通信装置が埋設されることが求められている。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、タイヤの有用性を向上させた、タイヤ、リトレッドタイヤ、及びリトレッドタイヤの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るタイヤは、1層以上のベルト層からなるベルトを備え、トレッド踏面に主溝を有し、通信装置が、前記主溝の溝底よりもタイヤ径方向内側で、且つ、前記ベルトの最内側ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、前記ベルトの最小幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に埋設されており、前記通信装置は、タイヤ径方向外側を前記ベルトに覆われていない。
本発明に係るタイヤによれば、タイヤがリトレッドされる際に通信装置が切り取られず、通信装置を継続して使用することができる。また、タイヤがリトレッドされる場合に、通信装置をタイヤに埋設又はタイヤから摘出する際にベルトが妨げとなりにくい。さらに、タイヤがリトレッドされる際に露出する、台タイヤのタイヤ径方向外側の表面の近傍に通信装置が埋設されることで、通信装置のメンテナンス性を向上させることができる。したがって、本発明に係るタイヤによれば、タイヤの有用性を向上させることができる。
【0007】
本発明に係るタイヤでは、前記通信装置は、前記ベルトの最大幅ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側に埋設されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、タイヤのリトレッド時に、通信装置をタイヤに埋設又はタイヤから摘出する際にベルトが妨げとなりにくい。
【0008】
本発明に係るタイヤでは、前記通信装置は、前記ベルトの最外側ベルト層の外側表面よりもタイヤ径方向内側に埋設されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、タイヤのリトレッドの際に通信装置が傷つきにくい。
【0009】
本発明に係るタイヤでは、前記通信装置は、前記ベルトの最外側ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に埋設されていることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、通信装置のタイヤ径方向に対する通信性とタイヤ幅方向に対する通信性との両立を図ることができる。
【0010】
本発明に係るタイヤでは、前記ベルトは、非金属ベルトであることが好ましい。かかる構成を有するタイヤによれば、通信装置がベルトに近づけて埋設されることによる、通信装置の通信性の低下が生じにくい。
【0011】
本発明に係るリトレッドタイヤは、1層以上のベルト層からなるベルトを備え、且つ、前記ベルトの最外側ベルト層の外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分が除去された、台タイヤと、前記台タイヤの前記ベルトの最内側ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、前記ベルトの最小幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に埋設された、通信装置と、前記台タイヤのタイヤ径方向外側に接着された、トレッド部材と、を含み、前記通信装置は、タイヤ径方向外側を前記ベルトに覆われていない。
本発明に係るリトレッドタイヤによれば、リトレッドタイヤが再びリトレッドされる際に通信装置が切り取られず、通信装置を継続して使用することができる。また、リトレッドタイヤが再びリトレッドされる場合に、通信装置をリトレッドタイヤに埋設又はリトレッドタイヤから摘出する際にベルトが妨げとなりにくい。さらに、リトレッドタイヤが再びリトレッドされる際に露出する台タイヤのタイヤ径方向外側の表面の近傍に通信装置が埋設されることで、通信装置のメンテナンス性を向上させることができる。したがって、本発明に係るリトレッドタイヤによれば、リトレッドタイヤの有用性を向上させることができる。
【0012】
本発明に係るリトレッドタイヤでは、前記通信装置は、タイヤ周方向に延びる環状のゴム部材の一部に埋設されていることが好ましい。かかる構成を有するリトレッドタイヤによれば、リトレッドタイヤの製造時に台タイヤに通信装置を安定して配置しやすくなり、リトレッドタイヤの生産性を向上させることができる。
【0013】
本発明に係るリトレッドタイヤの製造方法は、通信装置が埋設されたリトレッドタイヤを得るための、リトレッドタイヤの製造方法であって、1層以上のベルト層からなるベルトを備えるタイヤから、前記ベルトの最外側ベルト層の外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分を除去して台タイヤを生成することと、前記台タイヤの前記ベルトの最内側ベルト層の内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、前記ベルトの最小幅ベルト層よりもタイヤ幅方向外側に、前記通信装置のタイヤ径方向外側が前記ベルトに覆われないように、前記通信装置を設置することと、トレッド部材を、前記台タイヤのタイヤ径方向外側から前記台タイヤに接着させることと、を含む。
本発明に係るリトレッドタイヤの製造方法によれば、リトレッドタイヤが再びリトレッドされる際に通信装置が切り取られず、通信装置を継続して使用可能なリトレッドタイヤを製造することができる。また、リトレッドタイヤが再びリトレッドされる場合に、通信装置をリトレッドタイヤに埋設又はリトレッドタイヤから摘出する際にベルトが妨げとなりにくい。さらに、リトレッドタイヤが再びリトレッドされる際に露出する台タイヤのタイヤ径方向外側の表面の近傍に通信装置が埋設されることで、通信装置のメンテナンス性を向上させることができる。したがって、本発明に係るリトレッドタイヤの製造方法によれば、リトレッドタイヤの有用性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係るリトレッドタイヤの製造方法では、前記通信装置は、環状のゴム部材の一部に埋設されており、前記通信装置を設置することは、前記ゴム部材を、前記台タイヤのタイヤ径方向外側から前記台タイヤに巻き付けることを含むことが好ましい。かかるリトレッドタイヤの製造方法によれば、リトレッドタイヤの製造時に台タイヤに通信装置を安定して配置しやすくなり、リトレッドタイヤの生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、タイヤの有用性を向上させることができる、タイヤ、リトレッドタイヤ、及びリトレッドタイヤの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態におけるタイヤの、タイヤ幅方向断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるタイヤの、リトレッド時に台タイヤとトレッド部材とが分離している状態を示す、タイヤ幅方向断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態におけるリトレッドタイヤの製造方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、通信装置が埋設されたゴム部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照して説明する。各図において共通する部材及び部位には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意されたい。
【0018】
本明細書において、「タイヤ」は、1回もリトレッドされていないタイヤであってもよく、或いは、1回以上リトレッドされたタイヤであってもよい。本明細書では、1回以上リトレッドされたタイヤを、1回もリトレッドされていないタイヤと区別する場合に、「リトレッドタイヤ」ともいう。
【0019】
本明細書において、「タイヤ幅方向」とは、タイヤの回転軸と平行な方向をいう。「タイヤ径方向」とは、タイヤの回転軸と直交する方向をいう。「タイヤ周方向」とは、タイヤの回転軸を中心にタイヤが回転する方向をいう。
【0020】
また、本明細書において、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸に近い側を「タイヤ径方向内側」と称し、タイヤ径方向に沿ってタイヤの回転軸から遠い側を「タイヤ径方向外側」と称する。一方、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLに近い側を「タイヤ幅方向内側」と称し、タイヤ幅方向に沿ってタイヤ赤道面CLから遠い側を「タイヤ幅方向外側」と称する。
【0021】
本明細書において、特に断りのない限り、タイヤの各要素の位置関係等は、基準状態で測定されるものとする。「基準状態」とは、タイヤを適用リムであるホイールのリムに組付け、規定内圧を充填し、無負荷とした状態である。
【0022】
また、タイヤを適用リムであるホイールのリムに装着し、タイヤに規定内圧を充填し、規定荷重を負荷した状態で、路面と接する接地面をトレッド踏面Tという。そして、タイヤを適用リムであるホイールのリムに装着し、タイヤに規定内圧を充填し、規定荷重を負荷した状態で、路面と接する接地面のタイヤ幅方向の両端をトレッド端TEという。以下において、タイヤは、内腔に空気が充填され、トラック又はバス等の車両に装着されるものとして説明する。ただし、タイヤの内腔には空気以外の流体が充填されていてもよく、タイヤは、トラック又はバス以外の車両に装着されてもよい。
【0023】
本明細書において、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO (The European Tyre and Rim Technical Organization)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA (The Tire and Rim Association, Inc.)のYEAR BOOK等に記載されている、或いは、将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に上記産業規格に含まれ得るサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTOのSTANDARDS MANUAL2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられる。
【0024】
本明細書において、「規定内圧」とは、上記のJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合は、「規定内圧」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。さらに、本明細書において、「規定荷重」とは、上記産業規格に記載されている適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する荷重をいう。上記産業規格に記載のないサイズの場合には、「規定荷重」は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重をいうものとする。
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るタイヤ1について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態におけるタイヤ1をタイヤ幅方向に沿って切断した、タイヤ幅方向断面図である。
図1において、タイヤ1は、タイヤ1を適用リムであるホイールのリムRに組付け、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で示されている。
【0027】
タイヤ1は、一対のビード部2と、一対のサイドウォール部3と、トレッド部4とを有している。サイドウォール部3は、トレッド部4とビード部2との間に延在している。詳細は後述するが、タイヤ1には、通信装置11が埋設されている。
【0028】
本実施形態において、タイヤ1は、タイヤ1に埋設された通信装置11と、通信装置11が埋設されたゴム部材12を除いて、タイヤ赤道面CLに対して対称な構成であるものとして説明する。しかしながら、タイヤ1は、タイヤ赤道面CLに対して非対称な構成とされていてもよい。
【0029】
タイヤ1は、ビード部2に配置された一対のビードコア5と、一対のビードコア5間にトロイダル状に延在する1枚以上のプライからなるカーカス6と、カーカス6のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置された1層以上のベルト層からなるベルト7と、を備えている。
【0030】
ビードコア5は、タイヤ周方向に延在する環状のケーブルビードからなっている。本実施形態では、ビードコア5の延在方向に直交する面の断面形状(タイヤ幅方向の断面形状)は、六角形又は略六角形とされている。ただし、ビードコア5のタイヤ幅方向の断面形状は、円形又は四角形等、任意の形状とされていてもよい。ケーブルビードは、例えば、高炭素の鋼線をゴム被覆して構成されている。ビードコア5のタイヤ径方向外側には、ゴム材料等で形成されたビードフィラー8が設けられている。
【0031】
カーカス6は、一対のビードコア5間にトロイダル状に延在する1枚以上(本実施形態では1枚)のプライからなる。プライは、例えば、ナイロンコードなどの有機繊維コードをゴム被覆して構成されている。カーカス6の端部側はビードコア5に係止されている。具体的には、カーカス6は、ビードコア5間に配置されたカーカス本体部6Aと、ビードコア5の周りにタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側へ折り返されているカーカス折返し部6Bと、を有している。カーカス折返し部6Bは、任意の長さとされてもよい。また、カーカス6は、ビードコア5の周りにタイヤ幅方向外側からタイヤ幅方向内側へ折り返されているカーカス折返し部6Bを有する構造、カーカス折返し部6Bを有していない構造、或いはカーカス折返し部6Bがビードコア5に巻きつけられている構造とされてもよい。
【0032】
ベルト7は、カーカス6のクラウン域のタイヤ径方向外側に配置されている。ベルト7は、タイヤ赤道面CLにおいてタイヤ径方向に積層された1層以上のベルト層によって構成されている。
【0033】
本実施形態では、ベルト7は、4層のベルト層7A~7Dで構成されている。より具体的には、4層のベルト層7A~7Dは、タイヤ径方向外側からベルト層7A、7B、7C、及び7Dの順に配置されている。ベルト層7Dの幅方向外側には、ベルトアンダークッションゴム9が配置されている。
【0034】
本明細書において、タイヤ径方向において最も外側に配置されているベルト層を、「最外側ベルト層」という。本実施形態では、ベルト層7Aが、最外側ベルト層である。タイヤ径方向において最も内側に配置されているベルト層を、「最内側ベルト層」という。本実施形態では、ベルト層7Dが、最内側ベルト層である。さらに、タイヤ幅方向における長さが最も長いベルト層を、「最大幅ベルト層」という。本実施形態では、ベルト層7Cが、最大幅ベルト層である。また、タイヤ幅方向における長さが最も短いベルト層を、「最小幅ベルト層」という。本実施形態では、ベルト層7Aが、最小幅ベルト層である。ただし、1つのベルト層が、最外側ベルト層、最内側ベルト層、最大幅ベルト層、及び最小幅ベルト層の2つ以上に該当していてもよい。例えば、ベルト7が1層のベルト層で構成されている場合、最外側ベルト層、最内側ベルト層、最大幅ベルト層、及び最小幅ベルト層は、全てベルト7を構成する1層のベルト層を指す。
【0035】
ベルト7は、通信装置11の無線通信を妨げない材料で形成されていてもよい。本実施形態では、ベルト7は、非金属ベルトである。具体的には、ベルト7を構成するベルト層7A~7Dのそれぞれに含まれるベルトコードが、非金属材料で形成されている。非金属材料は、例えば、ガラス又はプラスチック等の材料であってもよい。これにより、通信装置11がベルト7に近づけて埋設されることによる、通信装置11の通信性の低下が生じにくい。そのため、通信装置11を、ベルト7の近傍の歪みの小さい部分に埋め込むことができる。ただし、ベルト7は、例えば、スチールコード等を含む、金属ベルトであってもよい。
【0036】
トレッド部4のトレッド踏面Tには、主溝が設けられている。本明細書では、主溝は、トレッド踏面Tに設けられた1以上の溝のうち、溝底が最もタイヤ径方向内側に位置する溝である。本実施形態では、トレッド踏面Tには、タイヤ周方向に沿って延在する、4つの周方向主溝10が設けられている。ただし、主溝の数は任意の数とされてもよい。また、主溝は、周方向溝でなくてもよい。
【0037】
タイヤ1には、通信装置11が設けられている。
【0038】
通信装置11は、無線通信を行う。通信装置11は、例えば、RF(Radio Frequency)タグである。RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグともいう。通信装置11は、制御部及び記憶部を構成するIC(Integrated Circuit)チップと、ICチップに接続された1つ以上のアンテナと、を備える。ICチップは、タイヤ1の識別情報、製造年月日、又は、タイヤ1がリトレッドされた回数など、タイヤ1に関する任意の情報を記憶してもよい。例えば、通信装置11は、直線状、波状、又は螺旋状に延びる2つのアンテナがICチップから互いに反対方向に延びるように設けられ、装置全体として長手状の形状を有していてもよい。通信装置11は、通信装置11の長手方向とタイヤ1の周方向とが略平行になるように、タイヤ1に埋設されていてもよい。ただし、アンテナは、任意の形状とされてもよく、ICチップ内に配置されてもよい。
【0039】
ICチップは、1つ以上のアンテナで受信する電磁波により発生する誘電起電力により動作してもよい。すなわち、通信装置11は、パッシブ型の通信装置であってもよい。或いは、通信装置11は、電池を更に備え、自らの電力により電磁波を発生して通信可能であってもよい。すなわち、通信装置11は、アクティブ型の通信装置であってもよい。
【0040】
通信装置11は、周方向主溝10の溝底よりもタイヤ径方向内側であって、且つ、ベルト7の最内側ベルト層7Dの内側表面よりもタイヤ径方向外側に、埋設されている。本明細書において、ベルト層7A~7Dの「内側表面」とは、ベルト層7A~7Dのタイヤ径方向内側に面している表面をいう。これにより、
図2に示されるように、タイヤ1がリトレッドされる際に通信装置11が切り取られず台タイヤ1Aに残ることで、通信装置11を継続して使用することができる。
図2は、
図1に示されるタイヤ1の、リトレッド時に台タイヤ1Aとトレッド部材1Bとが分離している状態を示す、タイヤ幅方向断面図である。
【0041】
さらに、通信装置11は、ベルト7の最小幅ベルト層7Aよりもタイヤ幅方向外側に埋設されている。これにより、通信装置11よりもタイヤ幅方向外側に設置された電子機器と通信装置11が通信をする場合に、ベルト7が通信装置11の通信の妨げとなりにくい。
【0042】
例えば、通信装置11は、「タイヤ1がリトレッドされた回数」を記憶していてもよい。タイヤ1のリトレッド時に、無線通信により、通信装置11に記憶された「タイヤ1がリトレッドされた回数」が更新されることで、通信装置11は、「タイヤ1がリトレッドされた回数」を継続して記憶することができる。さらに、タイヤ1がリトレッドされる際に露出する、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sの近傍に通信装置11が埋設されることで、タイヤ1のリトレッド時に、通信装置11を台タイヤ1Aから摘出しやすい。このため、通信装置11が故障した際の、通信装置11のメンテナンス性を向上させることができる。
【0043】
再び
図1を参照して、通信装置11は、タイヤ径方向外側をベルト7に覆われていない。これにより、通信装置11よりもタイヤ径方向外側に設置された電子機器と通信装置11が通信をする場合に、ベルト7が通信装置11の通信の妨げとなりにくい。タイヤ1のリトレッド時に、通信装置を台タイヤ1Aに埋設又は台タイヤ1Aから摘出する際にベルト7が妨げとなりにくい。一方で、通信装置11は、ベルト7を構成する少なくとも1層のベルト層7A~7Dにタイヤ径方向外側を覆われていてもよい。これにより、車両の走行中にタイヤ1に釘などの異物が刺さった場合であっても、通信装置11が傷つきにくい。
【0044】
本実施形態では、通信装置11は、ベルト7の最大幅ベルト層7Cの内側表面よりもタイヤ径方向外側に埋設されていてもよい。これにより、タイヤ1のリトレッド時に、通信装置11を台タイヤ1Aに埋設又は台タイヤ1Aから摘出する際にベルト7が妨げとなりにくい。
【0045】
通信装置11は、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向内側に埋設されていてもよい。本明細書において、ベルト層7A~7Dの「外側表面」とは、ベルト層7A~7Dのタイヤ径方向外側に面している表面をいう。これにより、タイヤ1のリトレッドの際に、研磨装置によってタイヤ1からトレッド部材1Bが除去される際に、通信装置11よりもタイヤ径方向外側に位置する最外側ベルト層7Aが、研磨装置が通信装置11まで到達することを防ぐことができる。したがって、通信装置11が傷つきにくくなる。
【0046】
通信装置11は、ベルト7の最大幅ベルト層7Cよりもタイヤ幅方向外側に埋設されていてもよい。これにより、通信装置11よりもタイヤ幅方向外側に設置された電子機器と通信装置11が通信をする場合に、ベルト7が通信装置11の通信の妨げとなりにくい。そのため、通信装置11のタイヤ径方向に対する通信性とタイヤ幅方向に対する通信性との両立を図ることができる。
【0047】
通信装置11は、トレッド端TEよりもタイヤ幅方向外側に埋設されていてもよい。このように、路面と接するために、釘などの異物が刺さる可能性が高いトレッド踏面Tから外れた位置に通信装置11が配置されていることで、通信装置11が傷つく蓋然性を低下させることができる。
【0048】
図2、
図3及び
図4を参照して、本発明の一実施形態におけるリトレッドタイヤ1の製造方法を説明する。
図3は、本発明の一実施形態におけるリトレッドタイヤ1の製造方法を示すフローチャートである。
図4は、通信装置11が埋設されたゴム部材12の概略図である。本製造方法の説明では、予め通信装置11が埋設されているタイヤ1をリトレッドする際に、タイヤ1から通信装置11を摘出し、新しい通信装置11を埋設して、新しい通信装置11が埋設されたリトレッドタイヤ1を製造するものとして説明する。しかしながら、本製造方法は、通信装置11が埋設されていないタイヤ1をリトレッドする際に、通信装置11を埋設して、通信装置11が埋設されたリトレッドタイヤ1を製造するために用いられてもよい。或いは、本製造方法は、通信装置11が埋設されているタイヤ1を、タイヤ1に通信装置11を残したまま、リトレッドして、通信装置11が埋設されたリトレッドタイヤ1を製造するために用いられてもよい。
【0049】
ステップS101:1層以上のベルト層7A~7Dからなるベルト7を備えるタイヤ1から、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分を除去して台タイヤ1Aを生成する。
【0050】
具体的には、研磨装置により、タイヤ径方向外側から、タイヤ1の所定の位置までトレッドゴムを研磨(バフィング)して、台タイヤ1Aを生成する。タイヤ1には、所定の位置よりもタイヤ径方向内側に通信装置11が埋設されている。所定の位置は、トレッド部4のトレッド踏面Tに設けられた周方向主溝10の溝底よりもタイヤ径方向内側であって、且つ、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向外側である範囲に含まれる位置である。
【0051】
ステップS102:台タイヤ1Aから通信装置11を摘出する。
【0052】
具体的には、摘出装置により、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sから、台タイヤ1Aに埋設された通信装置11を摘出する。本実施形態では、通信装置11の周囲に位置するゴムと共に通信装置11が摘出されるが、通信装置11のみが摘出されてもよい。摘出した通信装置11は、修理、或いは新しい通信装置11と交換される。なお、通信装置11が正常に動作している場合には、本ステップS102及びステップS103は、実施されなくてもよい。
【0053】
ステップS103:台タイヤ1Aのベルト7の最内側ベルト層7Dの内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、ベルト7の最小幅ベルト層7Aよりもタイヤ幅方向外側に、通信装置11のタイヤ径方向外側がベルト7に覆われないように、通信装置11を設置する。
【0054】
本実施形態では、通信装置11は、
図4に示されるように、タイヤ周方向に延びる環状のゴム部材12の一部に埋設されている。貼付装置により、通信装置11が埋設されたゴム部材12を、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側から台タイヤ1Aに巻き付ける。このとき、ゴム部材12は、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sのうち、通信装置11を台タイヤ1Aから摘出する際にゴムが取り除かれた部分に配置されてもよい。このように、予め通信装置11が埋設されているゴム部材12を用意することで、台タイヤ1Aに通信装置11を安定して配置しやすくなる。このため、リトレッドタイヤ1の生産性を向上させることができる。ただし、ゴム部材12は、環状ではなく、帯状とされてもよい。また、台タイヤ1Aに、ゴム部材12に埋設されていない状態の通信装置11を設置してもよい。
【0055】
ゴム部材12を構成するゴム材料は、台タイヤ1Aにおいてゴム部材12の周囲に位置するゴム材料と同じゴム材料とされてもよい。これにより、加硫の際に、台タイヤ1Aとゴム部材12とが接着しやすくなる。ただし、ゴム部材12を構成するゴム材料は、台タイヤ1Aにおいてゴム部材12の周囲に位置するゴム材料よりもカーボンの含有率が低い、導電性が高いゴム材料とされてもよい。これにより、リトレッドタイヤ1に埋設された通信装置11の通信性を向上させることができる。
【0056】
ステップS104:トレッド部材1Bを、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側から台タイヤ1Aに接着させる。
【0057】
本実施形態では、トレッド部材1Bは、台タイヤ1Aとの接着を簡便にする観点から、台タイヤ1Aとの接着前に加硫されている。すなわち、本製造方法は、プレキュア製法(プレキュアリング)である。しかしながら、トレッド部材1Bは、未加硫であってもよい。すなわち、本製造方法は、リモールド製法であってもよい。貼付装置により、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sに、接着ゴムを配置して、トレッド部材1Bを貼り付ける。
【0058】
その後、加硫装置(例えば、加硫缶)により、接着ゴムを介してトレッド部材1Bを貼り付けた台タイヤ1Aを加硫して、トレッド部材1Bを台タイヤ1Aに接着させる。
【0059】
このようにして、本製造方法により、通信装置11が埋設されたリトレッドタイヤ1を得ることができる。より具体的には、本製造方法により、1層以上のベルト層7A~7Dからなるベルト7を備え、且つ、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分が除去された、台タイヤ1Aと、台タイヤ1Aのベルト7の最内側ベルト層7Dの内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、ベルト7の最小幅ベルト層7Aよりもタイヤ幅方向外側に埋設された、通信装置11と、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側に接着されたトレッド部材1Bと、を含むリトレッドタイヤ1を得ることができる。なお、リトレッドタイヤ1において、通信装置11は、タイヤ径方向外側をベルト7に覆われていない。
【0060】
以上述べたように、本発明の一実施形態に係るタイヤ1は、1層以上のベルト層7A~7Dからなるベルト7を備え、トレッド踏面Tに主溝(周方向主溝10)を有し、通信装置11が、主溝(周方向主溝10)の溝底よりもタイヤ径方向内側で、且つ、ベルト7の最内側ベルト層7Dの内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、ベルト7の最小幅ベルト層7Aよりもタイヤ幅方向外側に埋設されており、通信装置11は、タイヤ径方向外側をベルト7に覆われていない。かかる構成によれば、タイヤ1がリトレッドされる際に通信装置11が切り取られず、通信装置11を継続して使用することができる。また、タイヤ1がリトレッドされる場合に、通信装置11をタイヤ1に埋設又はタイヤ1から摘出する際にベルト7が妨げとなりにくい。さらに、タイヤ1がリトレッドされる際に露出する、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sの近傍に通信装置11が埋設されることで、通信装置11のメンテナンス性を向上させることができる。したがって、したがって、タイヤ1の有用性が向上する。
【0061】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、通信装置11は、ベルト7の最大幅ベルト層7Cの内側表面よりもタイヤ径方向外側に埋設されていることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1のリトレッド時に、通信装置11をタイヤ1に埋設又はタイヤ1から摘出する際にベルト7が妨げとなりにくい。
【0062】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、通信装置11は、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向内側に埋設されていることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ1のリトレッドの際に通信装置11が傷つきにくい。
【0063】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、通信装置11は、ベルト7の最大幅ベルト層7Cよりもタイヤ幅方向外側に埋設されていることが好ましい。かかる構成によれば、通信装置11のタイヤ径方向に対する通信性とタイヤ幅方向に対する通信性との両立を図ることができる。
【0064】
本発明の一実施形態に係るタイヤ1では、ベルト7は、非金属ベルトであることが好ましい。かかる構成によれば、通信装置11がベルト7に近づけて埋設されることによる、通信装置の通信性の低下が生じにくいことができる。
【0065】
本発明の一実施形態に係るリトレッドタイヤ1は、1層以上のベルト層7A~7Dからなるベルト7を備え、且つ、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分が除去された、台タイヤ1Aと、台タイヤ1Aのベルト7の最内側ベルト層7Dの内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、ベルト7の最小幅ベルト層7Aよりもタイヤ幅方向外側に埋設された、通信装置11と、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側に接着された、トレッド部材1Bと、を含み、通信装置11は、タイヤ径方向外側をベルト7に覆われていない。かかる構成によれば、リトレッドタイヤ1が再びリトレッドされる際に通信装置11が切り取られず、通信装置11を継続して使用することができる。また、リトレッドタイヤ1が再びリトレッドされる場合に、通信装置11をリトレッドタイヤ1に埋設又はリトレッドタイヤ1から摘出する際にベルト7が妨げとなりにくい。さらに、リトレッドタイヤ1が再びリトレッドされる際に露出する台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sの近傍に通信装置11が埋設されることで、通信装置11のメンテナンス性を向上させることができる。したがって、リトレッドタイヤ1の有用性が向上する。
【0066】
本発明の一実施形態に係るリトレッドタイヤ1では、通信装置11は、タイヤ周方向に延びる環状のゴム部材12の一部に埋設されていることが好ましい。かかる構成によれば、リトレッドタイヤ1の製造時に台タイヤ1Aに通信装置11を安定して配置しやすくなり、リトレッドタイヤ1の生産性を向上させることができる。
【0067】
本発明の一実施形態に係るリトレッドタイヤ1の製造方法は、通信装置11が埋設されたリトレッドタイヤ1を得るための、リトレッドタイヤ1の製造方法であって、1層以上のベルト層7A~7Dからなるベルト7を備えるタイヤ1から、ベルト7の最外側ベルト層7Aの外側表面よりもタイヤ径方向外側の位置からタイヤ径方向外側の部分を除去して台タイヤ1Aを生成することと、台タイヤ1Aのベルト7の最内側ベルト層7Dの内側表面よりもタイヤ径方向外側であって、ベルト7の最小幅ベルト層7Aよりもタイヤ幅方向外側に、通信装置11のタイヤ径方向外側がベルト7に覆われないように、通信装置11を設置することと、トレッド部材1Bを、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側から台タイヤ1Aに接着することと、を含む。かかる構成によれば、リトレッドタイヤ1が再びリトレッドされる際に通信装置11が切り取られず、通信装置11を継続して使用可能なリトレッドタイヤ1を製造することができる。また、リトレッドタイヤ1が再びリトレッドされる場合に、通信装置11をリトレッドタイヤ1に埋設又はリトレッドタイヤ1から摘出する際にベルト7が妨げとなりにくい。さらに、リトレッドタイヤ1が再びリトレッドされる際に露出する台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側の表面Sの近傍に通信装置11が埋設されることで、通信装置11のメンテナンス性を向上させることができる。したがって、リトレッドタイヤ1の有用性が向上する。
【0068】
本発明の一実施形態に係るリトレッドタイヤ1の製造方法では、通信装置11は、環状のゴム部材12の一部に埋設されており、通信装置11を設置することは、ゴム部材12を、台タイヤ1Aのタイヤ径方向外側から台タイヤ1Aに巻き付けることを含むことが好ましい。かかる構成によれば、リトレッドタイヤ1の製造時に台タイヤ1Aに通信装置11を安定して配置しやすくなり、リトレッドタイヤ1の生産性を向上させることができる。
【0069】
本発明を諸図面及び実施形態に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各実施形態に含まれる構成又は機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能である。また、各実施形態に含まれる構成又は機能等は、他の実施形態に組み合わせて用いることができ、複数の構成又は機能等を1つに組み合わせたり、分割したり、或いは一部を省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1:タイヤ、 1A:台タイヤ、 1B:トレッド部材、 2:ビード部、 3:サイドウォール部、 4:トレッド部、 5:ビードコア、 6:カーカス、 6A:カーカス本体部、 6B:カーカス折返し部、 7:ベルト、 7A~7D:ベルト層、 8:ビードフィラー、 9:ベルトアンダークッションゴム、 10:周方向主溝(主溝)、 11:通信機器、 12:ゴム部材、 CL:タイヤ赤道面、 T:トレッド踏面、 TE:トレッド端、 S:表面