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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】制御装置および電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20240723BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20240723BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20240723BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01H47/00 C
H02H7/18
H01H9/54 C
G01R31/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021186868
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074098
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】多田 元気
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-344669(JP,A)
【文献】特開2005-163706(JP,A)
【文献】特開2007-255413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00
H01H 9/54
G01R 31/00
H02H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレーを制御する制御装置であって、
入力信号が入力され、出力信号および診断信号を出力する制御素子と、
前記出力信号のレベルを示す出力モニタ信号を生成するモニタ用回路と、
前記出力モニタ信号と前記診断信号との関係に基づいて、当該制御装置の異常の有無を判定する判定部とを備え、
前記出力信号は前記リレーを駆動する信号であり、
前記モニタ用回路の一つの端子は、前記制御素子における前記出力信号の出力端子に電気的に接続されており、
前記診断信号は、前記出力信号の出力先の状態をモニタするための信号であり、
前記判定部は、前記入力信号および前記診断信号を用いて、前記出力信号の出力先の異常の有無を判定する
制御装置。
【請求項2】
リレーを制御する制御装置であって、
入力信号が入力され、出力信号および診断信号を出力する制御素子と、
前記出力信号のレベルを示す出力モニタ信号を生成するモニタ用回路と、
前記出力モニタ信号と前記診断信号との関係に基づいて、当該制御装置の異常の有無を判定する判定部とを備え、
前記出力信号は前記リレーを駆動する信号であり、
前記モニタ用回路の一つの端子は、前記制御素子における前記出力信号の出力端子に電気的に接続されており、
前記診断信号は、前記出力信号の出力先の状態をモニタするための信号であり、
前記モニタ用回路には前記出力信号が入力され、前記モニタ用回路から前記出力モニタ信号が出力され、
前記モニタ用回路は、抵抗とトランジスタとを含むか、前記出力信号を所定の割合で分圧する複数の抵抗で構成されている
制御装置。
【請求項3】
請求項に記載の制御装置において、
前記判定部は、前記入力信号および前記診断信号を用いて、前記出力信号の出力先の異常の有無を判定する
制御装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の制御装置において、
前記判定部は、前記入力信号および前記診断信号を用いて、前記出力信号の出力先がオープン状態であるか否かの判定および、前記出力信号の出力先が短絡状態であるか否かの判定の少なくとも一方を行う
制御装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置と、
電池と、
前記リレーとを備える
電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリレーの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池が接続された電池パックは、様々な負荷への電力供給に用いられる。このとき、電池と負荷の間にはリレーが配置され、そのリレーのオン/オフは、リレー駆動回路により制御される。
【0003】
ここで、駆動回路に用いられる制御素子には、信号の出力先の状態を診断することができるものがある。出力先の状態を診断することで、リレーの故障の有無等を検知することができる。
【0004】
特許文献1には、非対称ブリッジを有するリニアソレノイドの駆動回路において、制御手段に二つの診断結果が入力され、それらの診断結果に基づいて非対称ハーフブリッジ回路及びリニアソレノイドの動作状態を判定することが記載されている。
【0005】
特許文献2には、ドライバに入力する制御信号と、異常検出手段から出力されたモニタ信号とを比較した結果に基づいて、負荷駆動系の異常を診断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-27465号公報
【文献】特開2007-255413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、リレーの制御装置には信頼性向上の余地があった。たとえば、特許文献1の技術では、インテリジェント・パワー・スイッチの故障が想定されていなかった。また、特許文献2の技術では、ドライバから負荷への出力信号はモニタしていなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、リレーの制御装置における異常の検知の確実性を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の情報処理装置は、
リレーを制御する制御装置であって、
入力信号が入力され、出力信号および診断信号を出力する制御素子と、
前記出力信号のレベルを示す出力モニタ信号を生成するモニタ用回路と、
前記出力モニタ信号と前記診断信号との関係に基づいて、当該制御装置の異常の有無を判定する判定部とを備え、
前記出力信号は前記リレーを駆動する信号であり、
前記モニタ用回路の一つの端子は、前記制御素子における前記出力信号の出力端子に電気的に接続されており、
前記診断信号は、前記出力信号の出力先の状態をモニタするための信号である制御装置である。
【0010】
本発明の第1の電池パックは、
上記の制御装置と、
電池と、
前記リレーとを備える
電池パックである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リレーの制御装置における異常の検知の確実性を高める技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る制御装置の機能構成を例示するブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る制御装置のハードウエア構成を例示する図である。
図3】集積回路のハードウエア構成を例示する図である。
図4】正常な制御装置における各信号の関係を例示する表である。
図5図4の表に対し、制御素子に異常があり、診断信号が正しく出力されない場合の、各信号の関係を加えた表である。
図6図4の表に対し、モニタ用回路に異常があり、出力モニタ信号が正しく出力されない場合の、各信号の関係を加えた表である。
図7】第1の実施形態に係る電池パックの機能構成を例示するブロック図である。
図8】第2の実施形態に係る電池パックの構成を例示する図である。
図9】第2の実施形態に係る制御装置の構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る制御装置10の機能構成を例示するブロック図である。また、図2は、本実施形態に係る制御装置10のハードウエア構成を例示する図である。本実施形態に係る制御装置10は、リレー20を制御する装置である。制御装置10は、制御素子12、モニタ用回路14、および判定部16を備える。制御素子12には入力信号Viが入力される。制御素子12は、出力信号Voおよび診断信号Vdを出力する。モニタ用回路14は、出力信号Voのレベルを示す出力モニタ信号Vmを生成する。判定部16は、出力モニタ信号Vmと診断信号Vdとの関係に基づいて、制御装置10の異常の有無を判定する。ここで、出力信号Voはリレー20を駆動する信号である。モニタ用回路14の一つの端子は、制御素子12における出力信号Voの出力端子に電気的に接続されている。そして、診断信号Vdは、出力信号Voの出力先の状態をモニタするための信号である。以下に詳しく説明する。
【0015】
図1の例において、制御装置10は制御部15をさらに備える。制御部15は、入力信号Viを出力する。制御部15から出力された入力信号Viは制御素子12に入力される。制御部15および判定部16はたとえば集積回路40を用いて実現される。集積回路40については詳しく後述する。また、制御部15から出力された入力信号Viは判定部16にも入力される。ただし、判定部16に入力信号Viが入力される代わりに、判定部16は入力信号Viの信号レベルを示す情報を制御部15から取得してもよい。制御部15と判定部16との信号および情報の入出力は集積回路40内で行われて良い。
【0016】
図3は、集積回路40のハードウエア構成を例示する図である。本図において制御装置10の制御部15および判定部16は、集積回路40を用いて実装されている。集積回路40は、例えば SoC(System On Chip)である。
【0017】
集積回路40は、バス402、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410、及びネットワークインタフェース412を有する。バス402は、プロセッサ404、メモリ406、ストレージデバイス408、入出力インタフェース410、及びネットワークインタフェース412が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ404などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。プロセッサ404は、マイクロプロセッサなどを用いて実現される演算処理装置である。メモリ406は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現されるメモリである。ストレージデバイス408は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどを用いて実現されるストレージデバイスである。
【0018】
入出力インタフェース410は、集積回路40を周辺デバイスと接続するためのインタフェースである。本実施形態において入出力インタフェース410には少なくとも制御素子12、およびモニタ用回路14が接続されている。
【0019】
ネットワークインタフェース412は、集積回路40を通信網に接続するためのインタフェースである。この通信網は、例えば CAN(Controller Area Network)通信網である。なお、ネットワークインタフェース412が通信網に接続する方法は、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0020】
ストレージデバイス408は、制御部15および判定部16の機能を実現するためのプログラムモジュールをそれぞれ記憶している。プロセッサ404は、このプログラムモジュールをメモリ406に読み出して実行することで、制御部15および判定部16の機能を実現する。
【0021】
集積回路40のハードウエア構成は本図に示した構成に限定されない。例えば、プログラムモジュールはメモリ406に格納されてもよい。この場合、集積回路40は、ストレージデバイス408を備えていなくてもよい。
【0022】
制御素子12は集積回路により実現される。制御素子12はたとえばインテリジェントパワーデバイス(IPD)である。制御素子12は、入力された入力信号Viに応じた出力信号Voを出力する。さらに、制御素子12は、出力信号Voの出力先の状態を示す診断信号Vdを出力する。制御素子12内部において診断信号Vdは、出力信号Voのレベルを用いた判定の結果に従い、生成される。診断信号Vdは判定部16へ入力される。入力信号Vi、出力信号Vo、および診断信号Vdの信号レベルは、それぞれ所定のしきい値を基準としてハイレベルまたはローレベルで表される。入力信号Viおよび診断信号Vdは、たとえば二値の信号である。しきい値は入力信号Vi、出力信号Vo、および診断信号Vdについて互いに異なる値であっても良い。制御素子12は、さらに過熱を検出する機能や、過熱や過電流に対する保護機能を有していても良い。
【0023】
制御素子12から出力された出力信号Voはリレー20に入力される。この出力信号Voによりリレー20がオン/オフされる。リレー20の種類は特に限定されない。リレー20は有接点リレーであってもよいし、無接点リレーであってもよい。また、出力信号Voはモニタ用回路14に対しても入力される。モニタ用回路14は、入力された出力信号Voのレベルを示す出力モニタ信号Vmを出力する。図2では、モニタ用回路14が抵抗142とトランジスタ141とを含む例を示しているが、モニタ用回路14の構成は本例に限定されない。たとえば、モニタ用回路14は出力信号Voを所定の割合で分圧する複数の抵抗で構成されても良い。その場合、出力モニタ信号Vmは図4から図6に示した例とは反転する。すなわち、図4から図6に示した出力モニタ信号Vmの「H」を「L」に読み替え、「L」を「H」に読み替えれば良い。
【0024】
本図の例において、トランジスタ141のベース端子がモニタ用回路14の入力端子として機能する。制御素子12の出力信号Voの出力端子とトランジスタ141のベース端子とが電気的に接続される。すなわち、出力信号Voの出力端子とトランジスタ141のベース端子とは同電位となる。そして、トランジスタ141のコレクタ端子には抵抗142の一端が接続され、抵抗142の他端には定電圧Vdcが印加されている。一方、トランジスタ141のエミッタ端子はGNDに接続される。そして、トランジスタ141のコレクタ端子が集積回路40の入出力インタフェース410に接続される。すなわち、トランジスタ141のコレクタ端子の電圧が出力モニタ信号Vmとして判定部16に入力される。このような構成により、出力信号Voのレベルを示す出力モニタ信号Vmが得られる。
【0025】
特に本例のモニタ用回路14によれば、ハイレベルの出力信号Voに対してローレベルの出力モニタ信号Vmが出力され、ローレベルの出力信号Voに対してハイレベルの出力モニタ信号Vmが出力される。ハイレベルの出力モニタ信号Vmは、定電圧Vdcと同じ電圧となる。リレー20を駆動する出力信号Voはある程度高い電圧であり得る。ここでモニタ用回路14を用いることで、出力信号Voの電圧レベルを集積回路40の入出力インタフェース410に入力可能な電圧レベルの範囲に変換することができる。
【0026】
図4は、正常な制御装置10における各信号の関係を例示する表である。本図中、「L」は信号がローレベルであることを示し、「H」は信号がハイレベルであることを示す。本実施形態において判定部16は、入力信号Viおよび診断信号Vdを用いて、出力信号Voの出力先の異常の有無を判定することができる。具体的には、判定部16は、入力信号Viおよび診断信号Vdを用いて、出力信号Voの出力先がオープン状態であるか否かの判定および、出力信号Voの出力先が短絡状態であるか否かの判定の少なくとも一方を行うことができる。出力信号Voの出力先には、リレー20、モニタ用回路14、制御素子12とリレー20とをつなぐ配線、および制御素子12とモニタ用回路14とをつなぐ配線が含まれる。
【0027】
図4を参照し、制御装置10の動作について説明する。まず、リレー20をオフ状態にしようとする場合、制御部15から制御素子12へローレベルの入力信号Viが入力される。そして、正常なリレー20に対して制御素子12からはローレベルの出力信号Voが出力され、リレー20がオフ状態となる。このとき、制御素子12から出力される診断信号Vdはローレベルとなる。また、モニタ用回路14から出力される出力モニタ信号Vmはハイレベルとなる。
【0028】
一方、リレー20が断線しているなど、出力信号Voの出力先がオープン状態である場合には、ローレベルの入力信号Viに対して出力信号Voはハイレベルとなる。そして、制御素子12から出力される診断信号Vdがハイレベルとなるとともに、出力モニタ信号Vmはローレベルとなる。
【0029】
リレー20をオン状態にしようとする場合、制御部15から制御素子12へハイレベルの入力信号Viが入力される。そして、正常なリレー20に対して制御素子12からはハイレベルの出力信号Voが出力され、リレー20がオン状態となる。このとき、制御素子12から出力される診断信号Vdはハイレベルとなる。また、モニタ用回路14から出力される出力モニタ信号Vmはローレベルとなる。
【0030】
一方、出力信号Voの出力先が短絡状態である場合には、ハイレベルの入力信号Viに対して出力信号Voはローレベルとなる。そして、制御素子12から出力される診断信号Vdがローレベルとなるとともに、出力モニタ信号Vmはハイレベルとなる。なお、出力信号Voの出力先が短絡状態であるとは、GNDに対して短絡状態であることを意味する。制御素子12に過電流防止機能がある場合には、出力信号Voから出力される電流に制限がかかる。
【0031】
以上の各状態において、判定部16は、入力信号Viと診断信号Vdをモニタすることで、以下のように出力信号Voの出力先の異常の有無を判定する。判定部16は、入力信号Viがローレベルかつ診断信号Vdがローレベルである場合に、出力信号Voの出力先に異常がなく、リレー20が正常にオフされたと判定する。判定部16は、入力信号Viがローレベルかつ診断信号Vdがハイレベルである場合に、出力信号Voの出力先がオープン状態であると判定する。判定部16は、入力信号Viがハイレベルかつ診断信号Vdがハイレベルである場合に、出力信号Voの出力先に異常がなく、リレー20が正常にオンされたと判定する。そして判定部16は、入力信号Viがハイレベルかつ診断信号Vdがローレベルである場合に、出力信号Voの出力先が短絡状態であると判定する。
【0032】
また、判定部16は、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmをモニタすることで、制御素子12およびモニタ用回路14における異常の有無を判定することができる。以下に詳しく説明する。
【0033】
図5は、図4の表に対し、制御素子12に異常があり、診断信号Vdが正しく出力されない場合の、各信号の関係を加えた表である。また、図6は、図4の表に対し、モニタ用回路14に異常があり、出力モニタ信号Vmが正しく出力されない場合の、各信号の関係を加えた表である。図5および図6中、「L」は信号がローレベルであることを示し、「H」は信号がハイレベルであることを示す。本例において、制御素子12およびモニタ用回路14いずれもが正常である場合、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmは常にハイとローの関係が逆となる。すなわち、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmの一方がハイレベル、かつ他方がローレベルとなる。それに対し、制御素子12に異常がある場合には、ハイレベルであるべき診断信号Vdがローレベルになったり、ローレベルであるべき診断信号Vdがハイレベルになったりする。また、モニタ用回路14に異常がある場合には、ハイレベルであるべき出力モニタ信号Vmがローレベルになったり、ローレベルであるべき出力モニタ信号Vmがハイレベルになったりする。その結果、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmの関係が一致する。このように、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmの関係が一致する場合に、判定部16は、制御装置10に異常があると判定する。
【0034】
なお、制御装置10における信号の関係は図4から図6の例に限定されない。判定部16は、入力信号Viと診断信号Vdとを比較し、これらが予め定められた関係を満たすか否かに基づいて、出力信号Voの出力先の異常の有無を判定することができる。また、判定部16は、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmとを比較し、これらが予め定められた関係を満たすか否かに基づいて、制御装置10の異常の有無を判定することができる。また、判定部16は、診断信号Vdと出力モニタ信号Vmと、さらに入力信号Viとを比較し、これらが予め定められた関係を満たすか否かに基づいて、制御装置10の異常の有無を判定してもよい。
【0035】
以上の様に、本実施形態に係る制御装置10は、制御素子12の診断信号Vdを用いてリレー20の異常を検知できる。またここで、仮に制御素子12の故障等により制御素子12の診断信号Vdに欠陥がある場合であっても、出力信号Voを直接モニタ可能な出力モニタ信号Vmを用いることで、制御装置10に異常が生じていることを検知することができる。すなわち、制御装置10は二重の異常検知機能を有しており、制御素子12の診断信号Vdのみを用いる場合よりも、異常の検知の確実性を高めることができる。
【0036】
なお、通常、制御素子12の構成はモニタ用回路14の構成よりも複雑であり、故障が起きやすいと考えられる。したがって、判定部16が制御装置10に異常が生じていると判定した場合、診断信号Vdが異常である(すなわち、図5における異常のケースである)と判断しても良い。その場合には、判定部16は、入力信号Viと出力モニタ信号Vmとの関係が所定の関係を満たすか否かに基づいて、出力信号Voの出力先であるリレー20の状態を判定しても良い。
【0037】
図7は、本実施形態に係る電池パック50の機能構成を例示するブロック図である。本実施形態に係る電池パック50は制御装置10、電池30およびリレー20を備える。制御装置10およびリレー20については上述した通りである。電池30は、特に限定されないが、たとえばリチウムイオン電池である。電池30は、一以上の電池セルが接続された電池モジュールであっても良い。電池30において複数の電池セルは直列に接続されていても良いし、並列に接続されていても良い。また、電池30において、三つ以上の電池セルが直列および並列で接続されていても良い。電池パック50の用途は特に限定されないが、たとえば車両等の移動体に搭載される。
【0038】
電池パック50は負荷60に接続され、電池30の電気エネルギーが負荷60に供給される。その際、制御装置10に制御されたリレー20により、電池30と負荷60との電気的な接続がオン/オフされる。負荷60は特に限定されないが、たとえばモーター駆動用インバータ、家庭用100Vインバータ等のインバータ、ヒーター、DC-DCコンバータ、またはエアコンである。また、電池30が充電可能である場合、電池30には少なくとも一時的に、リレー20を介して充電器が接続される構成であっても良い。本実施形態に係る電池パック50は、異常を検知可能な制御装置10を備えている。したがって、制御素子12等の故障により正しく電力供給の制御が行えない状態である場合に、そのことを検知できる。
【0039】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。本実施形態に係る制御装置10によれば、判定部16は、出力モニタ信号Vmと診断信号Vdとの関係に基づいて、制御装置10の異常の有無を判定する。したがって、制御素子12の診断信号Vdのみを用いる場合よりも、異常の検知の確実性を高めることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る電池パック50の構成を例示する図である。本実施形態に係る電池パック50および制御装置10は以下に説明する点を除いて、第1の実施形態に係る電池パック50および制御装置10と同じである。
【0041】
本実施形態に係る電池パック50は、複数のリレー20を備える。そして本実施形態に係る制御装置10は複数のリレー20を制御する。本図の例において具体的には、電池パック50は、リレー20a、リレー20bおよびリレー20cを備える。これらの各リレーは、第1の実施形態で説明したリレー20と同じである。本図の例において、電池30は、複数の電池セルが直列に接続された電池モジュールである。リレー20aおよびリレー20bは、リレー20の陽極と負荷60の一方の端子との接続をオン/オフし、リレー20cは、電池30の陰極と負荷60の他方の端子との接続をオン/オフする。リレー20aに対してリレー20bと抵抗とが並列に接続されている。
【0042】
本実施形態において制御装置10は、制御装置10はバッテリーマネジメントシステム(BMS)に含まれる。そして制御装置10は、所定のシーケンスに従って、各リレー20を制御する。そのことで、過大電流等を予防しつつ、所望の電力供給動作または充電動作が行われる。なお、図8は、三つのリレー20を含む電池パック50の例を示しているが、電池パック50は、さらに多くのリレー20を含んでも良い。
【0043】
図9は、本実施形態に係る制御装置10の構成を例示する図である。本実施形態において制御装置10は、複数のリレー20を制御するために複数の制御素子12および複数のモニタ用回路14を備えている。各制御素子12は第1の実施形態で説明した制御素子12と同じであり、各モニタ用回路14は第1の実施形態で説明したモニタ用回路14と同じである。本図の例において具体的には、制御装置10は制御素子12a、制御素子12b、制御素子12c、モニタ用回路14a、モニタ用回路14b、およびモニタ用回路14cを備えている。各制御素子12および各モニタ用回路14は集積回路40に接続されている。制御部15は、所定のシーケンスに従って各リレー20を制御するために、各制御素子12を独立に制御する。すなわち、制御部15は各制御素子12に対し、独立に入力信号Viを出力する。そして判定部16は、各制御素子12に対する入力信号Viを取得する。本図の例では、制御部15は三つの入力信号Viを出力する。判定部16には、三つの入力信号Viが入力される。また、判定部16には、各制御素子12から出力された診断信号Vdおよび、各モニタ用回路14から出力された出力モニタ信号Vmが入力される。
【0044】
本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用および効果が得られる。
【0045】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. リレーを制御する制御装置であって、
入力信号が入力され、出力信号および診断信号を出力する制御素子と、
前記出力信号のレベルを示す出力モニタ信号を生成するモニタ用回路と、
前記出力モニタ信号と前記診断信号との関係に基づいて、当該制御装置の異常の有無を判定する判定部とを備え、
前記出力信号は前記リレーを駆動する信号であり、
前記モニタ用回路の一つの端子は、前記制御素子における前記出力信号の出力端子に電気的に接続されており、
前記診断信号は、前記出力信号の出力先の状態をモニタするための信号である
制御装置。
2. 1.に記載の制御装置において、
前記判定部は、前記入力信号および前記診断信号を用いて、前記出力信号の出力先の異常の有無を判定する
制御装置。
3. 2.に記載の制御装置において、
前記判定部は、前記入力信号および前記診断信号を用いて、前記出力信号の出力先がオープン状態であるか否かの判定および、前記出力信号の出力先が短絡状態であるか否かの判定の少なくとも一方を行う
制御装置。
4. 1.から3.のいずれか一つに記載の制御装置と、
電池と、
前記リレーとを備える
電池パック。
【符号の説明】
【0046】
10 制御装置
12 制御素子
14 モニタ用回路
15 制御部
16 判定部
20 リレー
30 電池
40 集積回路
50 電池パック
60 負荷
141 トランジスタ
142 抵抗
402 バス
404 プロセッサ
406 メモリ
408 ストレージデバイス
410 入出力インタフェース
412 ネットワークインタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9