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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H01M10/48 301
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021193252
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2023079672
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】八木 弘雅
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/039120(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0026251(US,A1)
【文献】特開2021-34219(JP,A)
【文献】特表2014-507757(JP,A)
【文献】特開2020-119820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の側面に幅広面をそれぞれ有し、前記幅広面を対向させて順に並べた複数の単電池と、
前記複数の単電池が並べられた方向において、前記複数の単電池の両端を拘束する拘束部材と、
前記複数の単電池が並べられた方向において、隣接する2つの単電池に架渡され、当該2つの単電池を相互に電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに、前記複数の単電池が並べられた方向に沿って取り付けられた第1張力センサと、
を備えており、
前記拘束部材は、前記複数の単電池が並べられた方向において両端から前記複数の単電池を挟み込む一対のエンドプレートと、
前記一対のエンドプレートを連結するバインドバーと、
を備えており、
前記バインドバーに、前記複数の単電池が並べられた方向に沿って取り付けられた第2張力センサを備える、電池モジュール。
【請求項2】
前記第1張力センサと前記バスバーとの間には、絶縁部材が設けられている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1張力センサは、歪ゲージである、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-190600号公報には、複数の単電池を備える電池モジュールが開示されている。同公報で開示された電池モジュールでは、該電池モジュールに含まれる各単電池にセンサが取り付けられている。センサによって検知された情報から、電池モジュールに含まれる各単電池の状態を把握することができる。
【0003】
また、特開2016-100237号公報および国際公開第2019/039120号に開示される電池モジュールは、該電池モジュールに含まれる複数の単電池を所定の方向に拘束する拘束部材を備えることが記載されている。これらの公報では、拘束部材にセンサを取り付けることが開示されている。センサは、拘束部材の劣化や、電池モジュールに含まれた単電池の異常を検知できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-190600号公報
【文献】特開2016-100237号公報
【文献】国際公開第2019/039120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本発明者は、複数の単電池を備える電池モジュールにおいて、該電池モジュールの充電によって異常な膨らみ方をした単電池を検出したい、と考えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される電池モジュールは、対向する一対の側面に幅広面をそれぞれ有し、上記幅広面を対向させて順に並べた複数の単電池と、上記複数の単電池が並べられた方向において、上記複数の単電池の両端を拘束する拘束部材と、上記複数の単電池が並べられた方向において、隣接する2つの単電池に架渡され、当該2つの単電池を相互に電気的に接続するバスバーと、上記バスバーに、上記複数の単電池が並べられた方向に沿って取り付けられた第1張力センサと、を備える。
【0007】
かかる構成の電池モジュールでは、複数の単電池が並べられた方向に沿って、バスバーに第1張力センサが取り付けられていることによって、該電池モジュールの充電による、各単電池が膨らむ度合いを把握することができる。各単電池の膨張度合いを把握することで、電池モジュールの充電による膨らみ方が異常な単電池を検出することができる。
【0008】
ここで開示される電池モジュールの好適な一態様では、上記第1張力センサと上記バスバーとの間には、絶縁部材が設けられている。かかる構成によると、バスバーと、第1張力センサにおける回路との間を絶縁することができ、バスバーの伸びを高い精度で検出することができる。また、電池モジュールの充放電によって高温になりうるところ、第1張力センサをかかる高温から保護することができる。
【0009】
また、ここで開示される電池モジュールの好適な他の一態様では、上記第1張力センサは、歪ゲージである。かかる構成によると、歪ゲージで取得された歪量に基づいて、各単電池の異常な膨らみを検出することができる。
【0010】
また、ここで開示される電池モジュールの好適な他の一態様では、上記拘束部材は、上記複数の単電池が並べられた方向において両端から上記複数の単電池を挟み込む一対のエンドプレートと、上記一対のエンドプレートを連結するバインドバーと、を備えている。上記バインドバーに、上記複数の単電池が並べられた方向に沿って取り付けられた第2張力センサを備える。バインドバーに第2張力センサを取り付けることによって、電池モジュール全体における異常な膨らみを検出することができる。このため、異常な膨らみ方をした単電池の存在を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、電池モジュール100の斜視図である。
図2図2は、第1張力センサ40の一例を示す斜視図である。
図3図3は、制御装置の制御の一例を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、ここで開示される電池モジュールの一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。ここで開示される技術は、特に言及されない限りにおいて、ここで説明される実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、数値範囲を示す「A~B」などの表記は、特に言及されない限りにおいて「A以上B以下」を意味するとともに、「Aを上回り、かつ、Bを下回る」の意味をも包含する。
【0013】
本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して一対の電極(正極と負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電反応が生じる蓄電デバイス一般をいう。かかる二次電池は、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池の他に、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなども包含する。以下では、上述した二次電池のうち、リチウムイオン二次電池を対象とした場合の実施形態について説明する。
【0014】
〈電池モジュール100〉
図1は、電池モジュール100の斜視図である。図1に示されているように、電池モジュール100は、複数の単電池10と、拘束部材20と、バスバー30と、第1張力センサ40と、を備えている。
【0015】
〈単電池10〉
単電池10は、例えば、いずれも扁平な角型であり、同一形状を有している。この実施形態では、単電池10は、矩形状の底面10aと、底面10aの長辺から延びた幅広面10bと、底面10aの長辺から延びた幅狭面10cと、底面10aに対向する上端面10dと、を有している。対向する一対の側面に幅広面をそれぞれ有している。図1において、矢印Xは幅広面10bの幅方向を示している。図1において、矢印Yは単電池10の高さ方向を示している。単電池10は、例えば、リチウムイオン二次電池である。
【0016】
単電池10は、例えば、発電要素たる電極体(図示なし)と、電池ケースを有している。電極体は、例えば、正極と、負極と、正極と負極とを絶縁するセパレータと、を備えている。電池ケースは、例えば、電極体を収容する筐体である。この実施形態では、電池ケースの上端面10dには、正極端子14および負極端子15が取り付けられている。なお、上記電極体としては、この種のリチウムイオン二次電池に使用されるものが特に制限なく採用されうる。かかる電極体の構成は、ここで開示される技術を特徴づけるものではないため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0017】
図1に示されているように、複数の単電池10は、幅広面10bを対向させて順に並べられている。図1では、複数の単電池10が並べられた方向を矢印Zで示している。以下、複数の単電池10が並べられた方向を「複数の単電池10の配列方向Z」あるいは「配列方向Z」とも称する。配列方向Zにおいて、隣接する2つの単電池10は、一方の単電池10の正極端子14と、他方の単電池の負極端子15とが隣り合うように配列されている。
【0018】
〈拘束部材20〉
拘束部材20は、一対のエンドプレート22と、バインドバー24と、を備えている。一対のエンドプレート22は、平板形状であり、同一形状を有している。エンドプレート22は、複数の単電池10の配列方向Zの両端にそれぞれ配置されている。エンドプレート22は、配列方向Zの両端から複数の単電池10を挟み込んでいる。バインドバー24は、棒状あるいは平板状の、一対のエンドプレート22を連結する部材である。一対のエンドプレート22とバインドバー24とは、例えば締結部材(ボルト等)で相互に締結されうる。この実施形態では、一対のエンドプレート22の間に配置された複数の単電池10は、バインドバー24を介して定寸で拘束されている。
【0019】
〈バスバー30〉
バスバー30は、図1に示されているように、配列方向Zにおいて、隣接する2つの単電池10に架渡され、当該2つの単電池10を相互に電気的に接続する部材である。この実施形態では、バスバー30は、平板状である。バスバー30は、例えば、隣接する2つの単電池のうちの一方の単電池の正極端子14と、他方の単電池の負極端子15とに架渡されている。バスバー30は、例えば、銅または銅合金で構成されているとよいが、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されていてもよい。バスバー30の断面積は、例えば、70mm以下であるとよく、60mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましい。バスバー30の隣接端子間抵抗は、1mΩ以下であることが好ましい。
【0020】
ところで、電池モジュールを充放電すると、該電池モジュールを構成する複数の単電池が膨張収縮する。かかる膨張収縮によって単電池が劣化するところ、その劣化度合いは、各単電池によって異なる。本発明者は、電池モジュールを構成する複数の単電池のなかで、電池モジュールを充電したときに異常な膨らみ方をする単電池を検出したい、と考え、バスバーに張力センサを取り付けることを検討した。
【0021】
〈第1張力センサ40〉
第1張力センサ40は、例えば、配列方向Zに沿った各単電池10の膨張を検知するセンサである。第1張力センサ40は、図1に示されているように、バスバー30に、配列方向Zに沿って取り付けられている。ここで、第1張力センサ40に関して「配列方向Zに沿って取り付けられる」とは、例えば、第1張力センサ40が配列方向Zにおけるバスバー30の張力変化を検出できるように取り付けられることをいう。第1張力センサ40とバスバー30との間には、絶縁部材が設けられることが好ましい。第1張力センサ40が金属線や金属箔等の抵抗体からなるセンサである場合、第1張力センサ40とバスバー30との間に別途絶縁部材を配置するとよい。あるいは、例えば市販されている歪ゲージのように、抵抗体(例えば、後述のセンサ本体)と絶縁部材とを備える張力センサを使用してもよい。絶縁部材は、例えば、柔らかく、耐熱性を有する樹脂材料からなることが好ましい。かかる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0022】
図2は、第1張力センサ40の一例を示す斜視図である。第1張力センサ40は、図2に示されているように、センサ本体41、リード線42、絶縁部材43、およびカバー部材44を備えている。センサ本体41は、この実施形態では、第1張力センサ40における張力を検出するための回路を構成している。センサ本体41は、例えば、複数回折り曲げられた金属線、あるいは金属箔からなる。センサ本体41は、図2に示されているように、絶縁部材43とカバー部材44との間に挟み込まれる。リード線42は、図2に示されているように、センサ本体41から延びた部材である。リード線42は、例えば、センサ本体41と、後述する制御装置の取得部とを接続する部材である。絶縁部材43は、この実施形態では、センサ本体41と、測定対象となるバスバー30と、の間に配置される部材である。カバー部材44は、例えば、絶縁部材43上に配置されたセンサ本体41を保護する部材である。カバー部材44は、例えば、上述の樹脂材料で構成されている。
【0023】
この実施形態では、第1張力センサ40は、歪ゲージである。かかる歪ゲージとしては、市販されている歪ゲージであって、この種の用途で使用される歪ゲージを特に制限なく採用することができる。
【0024】
図1に示された実施形態では、第1張力センサ40は、配列方向Zにリード線42が沿うように、バスバー30に取り付けられている。また、第1張力センサ40は、電池モジュール100に含まれるすべてのバスバー30に取り付けられている。
【0025】
〈第2張力センサ50〉
この実施形態では、電池モジュール100は、第2張力センサ50を備えている。第2張力センサ50は、図1に示されているように、バインドバー24に、配列方向Zに沿って取り付けられている。ここで、第2張力センサ50に関して「配列方向Zに沿って取り付けられる」とは、例えば、第2張力センサ50が配列方向Zにおけるバインドバー24の張力変化を検出できるように取り付けられることをいう。第2張力センサ50とバインドバー24との間には、上記のような絶縁部材が設けられることが好ましい。第2張力センサ50は、第1張力センサ40として使用されるものと同じであってもよい。この実施形態では、第2張力センサ50として歪ゲージを用いる。このとき、歪ゲージ(第2張力センサ50)は、配列方向Zに該歪ゲージのリード線が沿うように、バインドバー24に取り付けられる。
【0026】
第1張力センサ40および第2張力センサ50は、例えば、図示されない制御装置に接続されている。かかる制御装置は、例えば、予め定められたプログラムに沿って駆動するコンピュータによって具現化されうる。制御装置の各機能は、例えば、制御装置を構成する各コンピュータの演算装置(プロセッサ、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)とも称される)や記憶装置(メモリーやハードディスクなど)等のハードウェアと、ソフトウエアとの協働によって処理される。例えば、制御装置の各構成および処理は、コンピュータによって具現化されるデータを予め定められた形式で記憶するデータベース、データ構造、予め定められたプログラムに従って所定の演算処理を行う処理モジュール等として、または、それらの一部として具現化されうる。
【0027】
この実施形態では、制御装置は、機能ブロックとして、検知部と、取得部と、記憶部と、判定部と、通知部と、を備えている。
【0028】
―検知部-
検知部は、この実施形態では、第1検知部と、第2検知部と、を備えている。第1検知部は、例えば、各バスバー30に取り付けられた各第1張力センサ40からの情報を検知するように構成されている。各第1張力センサ40からの情報は、例えば、該第1張力センサ40で計測された抵抗値である。第1検知部は、例えば、電池モジュール100のn回目の充電直後(nは2以上の整数。以下同じ。)における各第1張力センサ40の抵抗値を検知する。第2検知部は、例えば、バインドバー24に取り付けられた第2張力センサ50からの情報を検知するように構成されている。第2張力センサ50からの情報は、例えば、該第2張力センサ50で計測された抵抗値である。第2検知部は、例えば、電池モジュール100のn回目の充電直後における第2張力センサ50の抵抗値を検知する。
【0029】
―取得部-
取得部は、この実施形態では、第1取得部と、第2取得部と、を備えている。第1取得部は、例えば、電池モジュール100の初回充電直後からn回目の充電直後までの、第1張力センサ40の抵抗増加量ΔRAn(以下、単に「抵抗増加量ΔRAn」とも称する)を取得する。抵抗増加量ΔRAnは、例えば、下記式(1):
ΔRAn=RAn-RA1 (1)
により規定されうる。上記式(1)中、RAnは、電池モジュール100のn回目の充電直後における第1張力センサ40の抵抗値である。また、RA1は、電池モジュール100の初回充電直後における第1張力センサ40の抵抗値である。
【0030】
この実施形態では、第1取得部は、電池モジュール100の初回充電直後からn回目の充電直後における各バスバー30の伸び量ΔWAn(以下、単に「伸び量ΔWAn」とも称する)を取得する。伸び量ΔWAnは、例えば、下記式(2):
ΔWAn=WAn-WA1 (2)
により規定されうる。上記式(2)中、WAnは、電池モジュール100のn回目の充電直後の、配列方向Zにおけるバスバー30の長さである。また、WA1は、電池モジュール100の初回充電開始直後におけるバスバー30の長さである。なお、この実施形態では、第1取得部は、抵抗増加量ΔRAnに基づいて、伸び量ΔWAnを取得する。例えば、予め抵抗値と伸び量の実測値から得られた検量線を用いて、電池モジュール100の使用時の抵抗値から、バスバー30の伸び量を計算することができる。また、例えば、電池モジュール100の抵抗値は温度により変化しうる。そのため、特に限定するものではないが、予め、温度別の検量線を用意しておくとよい。張力センサ40の近くに温度センサ(熱電対等)を配置しておき、かかる温度別の検量線を用いてバスバー30の伸び量を計算すると、検出精度を高めることができるため、好ましい。
【0031】
第2取得部は、例えば、電池モジュール100の初回充電直後からn回目の充電直後までの、第2張力センサ50の抵抗増加量ΔRBn(以下、単に「抵抗増加量ΔRBn」とも称する)を取得する。抵抗増加量ΔRBnは、例えば、下記式(3):
ΔRBn=RBn-RB1 (3)
により規定されうる。上記式(3)中、RBnは、電池モジュール100のn回目の充電直後における第2張力センサ50の抵抗値である。また、RB1は、電池モジュール100の初回充電直後における第2張力センサ50の抵抗値である。
【0032】
この実施形態では、第2取得部は、電池モジュール100のn回目の充電直後におけるバインドバー24の伸び量ΔWBn(以下、単に「伸び量ΔWBn」とも称する)を取得する。伸び量ΔWBnは、例えば、下記式(4):
ΔWBn=WBn-WB1 (4)
により規定されうる。上記式(4)中、WBnは、電池モジュール100のn回目の充電直後の、配列方向Zにおけるバインドバー24の長さである。また、WB1は、電池モジュール100の初回充電直後におけるバインドバー24の長さである。なお、この実施形態では、第2取得部は、抵抗増加量ΔRBnに基づいて、伸び量ΔWBnを取得する。
【0033】
―記憶部-
記憶部は、この実施形態では、第1記憶部と、第2記憶部と、第3記憶部と、を備えている。第1記憶部は、この実施形態では、バスバー30に関して、予め定められた伸び量ΔWApを記憶している。この実施形態では、予め定められた伸び量ΔWApを、「単電池10の膨らみ方が異常である」と判定する基準値とすることができる。予め定められた伸び量ΔWApは、例えば、下記式(5):
ΔWAp=(WA1-WA0)×j (5)
により規定されうる。上記式(5)中、WA0は、電池モジュール100の初回充電開始前におけるバスバー30の長さである。また、jは、1.0~1.1の実数である。
【0034】
第2記憶部は、この実施形態では、バインドバー24に関して、予め定められた伸び量ΔWBpを記憶している。この実施形態では、予め定められた伸び量ΔWBpを、「電池モジュール100に膨らみ方が異常な単電池10が存在する」と判定する基準値とすることができる。予め定められた伸び量ΔWBpは、例えば、下記式(6):
ΔWBp=(WB1-WB0)×k (6)
により規定されうる。上記式(6)中、WB0は、電池モジュール100の初回充電開始前におけるバインドバー24の長さである。また、kは、1.0~1.1の実数である。
【0035】
第3記憶部は、この実施形態では、検知部および取得部で取得された情報を一時的に記憶する。
【0036】
―判定部-
判定部は、この実施形態では、電池モジュール100の充電による単電池10の膨らみ方が異常であるか、否かを判定する。例えば、判定部は、第1記憶部に記憶された予め定められた伸び量ΔWApと、第1取得部で取得された各単電池10の伸び量ΔWAnと、を比較する。また、判定部は、第2記憶部に記憶された予め定められた伸び量ΔWBpと、第2取得部で取得されたバインドバーの伸び量ΔWBnと、を比較する。この実施形態では、判定部は、かかる比較に基づいて上記判定を行う。
【0037】
―通知部-
通知部は、この実施形態では、電池モジュール100において充放電時に異常な膨らみ方をする単電池10があることを通知する。通知部は、例えば、判定部と、表示手段と、接続されている。例えば、判定部が電池モジュール100の充電による単電池10の膨らみ方を「異常である」と判定したときに、当該単電池10を検出する信号を表示手段(ディスプレイ等)に通知する。例えば、予め電池モジュール100に含まれる複数の単電池10の各々をナンバリングしておくとよい。この場合、表示手段は、膨らみ方が「異常である」と判定された単電池10に付された番号を表示することができる。
【0038】
以下、電池モジュール100の充電によって異常な膨らみ方をした単電池10を検出する手順の一例を説明する。図3は、制御装置の制御の一例を説明するフロー図である。図3に示された実施形態では、ステップS1において、取得部が、各バスバー30の伸び量ΔWAnおよびバインドバー24の伸び量ΔWBnを取得する。このステップでは、例えば、予め、取得部は、電池モジュール100の初回充電開始直後に、各第1張力センサ40で測定された抵抗値RA1と、第2張力センサ50で測定された抵抗値RB1と、を取得しておく。取得部は、電池モジュール100のn回目の充電直後に、各第1張力センサ40で測定された抵抗値RAnと、第2張力センサ50で測定された抵抗値RBnと、を取得する。次いで、取得部は、抵抗値RAnと、抵抗値RBnと、に基づいて、各バスバー30の抵抗増加量ΔRAnおよびバインドバー24の抵抗増加量ΔRBnを取得し、各バスバー30の伸び量ΔWAnおよびバインドバー24の伸び量ΔWBnを取得することができる。
【0039】
次いで、ステップS2において、判定部は、各バスバー30の伸び量ΔWAnおよびバインドバー24の伸び量ΔWBnが、それぞれ、予め定められた伸び量ΔWApおよび予め定められた伸び量ΔWBp以下であるかを比較する。かかる比較によって、各バスバー30の伸び量ΔWAnおよびバインドバー24の伸び量ΔWBnが、いずれも、予め定められた伸び量ΔWApまたは予め定められた伸び量ΔWBp以下であると判定された場合は(Yes)、電池モジュール100の充電による膨らみ方が異常な単電池10はない、と判断される(終了)。その後、電池モジュール100の充放電は継続されてもよい。
【0040】
一方、各バスバー30の伸び量ΔWAnおよびバインドバー24の伸び量ΔWBnのなかで、1つでも予め定められた値よりも大きいと判定されるものがあった場合は(No)、制御装置は、電池モジュール100の充電による膨らみ方が異常である単電池10を検出する。この実施形態では、伸び量ΔWAnが予め定められた伸び量ΔWApよりも大きいと判定されたバスバー30を検出することによって、上記のような単電池10を検出する。例えば、ステップS3において、判定部は、電池モジュール100における端のバスバー30の伸び量ΔWAnと、予め定められた伸び量ΔWApと、を比較する。ここで、伸び量ΔWAnが予め定められた値よりも大きいと判断された場合は(Yes)、電池モジュール100の充電による膨らみ方が異常である単電池10として、端の単電池10が検出される(ステップS4)。なお、上記「端のバスバー30」とは、例えば、エンドプレート22に最も近いバスバー30をいい、図1中のバスバー301およびバスバー305が例示される。また、上記「端の単電池10」とは、エンドプレート22に隣接する単電池10をいい、図1中の単電池101および単電池106が例示される。
【0041】
一方、端のバスバー30の伸び量ΔWAnが予め定められた値よりも大きいと判断されなかった場合は(No)、ステップS5において、判定部は、電池モジュール100における連続する2つのバスバー30の伸び量ΔWAnと、予め定められた伸び量ΔWApと、を比較する。ここで、「連続する2つのバスバー30」とは、例えば、連続する3つの単電池10(例えば、図1中の単電池101~103)に架渡された2つのバスバー30をいい、図1中のバスバー301およびバスバー302が例示される。連続する2つのバスバー30(例えば、図1中のバスバー301およびバスバー302)の伸び量ΔWAnが、予め定められた伸び量ΔWApよりも大きい、と判断された場合は(Yes)、電池モジュール100の充電による膨らみ方が異常である単電池10として、連続する2つのバスバー30が架渡された単電池10(例えば、図1中の単電池102)が検出される(ステップS6)。
【0042】
ステップS5において、連続する2つのバスバー30の伸び量ΔWAnが、予め定められた伸び量ΔWApよりも大きい、と判断されなかった場合(No)、例えば、ステップS4において電池モジュール100の充電による膨らみ方が異常である単電池10が既に検出されていることがある。一方、ステップS4における検出がなかった場合、この実施形態では、第1張力センサ40または第2張力センサ50に異常(例えば、張力センサの誤作動等)を調査する(ステップS7)。特に限定するものではないが、例えば、両端のバスバー30以外で1つだけ、あるいは連続しないバスバー30の伸び量に異常がある場合、張力センサの異常が疑われる。また、例えば、全バスバー30の伸び量の合計が、バインドバー24の伸び量と著しく異なる場合、張力センサの異常が疑われる。
【0043】
この実施形態では、ステップS4およびステップS6のいずれか一方において、異常な膨らみ方をした単電池10が検出された場合、通知部によって当該単電池10の所在が表示手段に表示される。上記検出後、電池モジュール100の使用を停止する(終了)。また、例えば、ステップS7において張力センサに異常が発見された場合、電池モジュール100の使用を停止する(終了)。
【0044】
以下、ここで開示される技術に関する一試験例について、説明する。ただし、ここで開示される技術を下記試験例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、下記試験例における符号に関して、図1中の符号を参照されたい。
【0045】
<単電池の作製>
電池モジュールを構成する単電池として、単電池Aと単電池Bとを用意した。
-単電池A-
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、正極活物質:AB:PVDF=94:3:3の質量比でN-メチルピロリドン(NMP)中でプラネタリミキサを用いて混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを厚み15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥した。その後、これをプレスすることにより正極シートを作製した。また、負極活物質としての天然黒鉛(C)と、バインダとしてのスチレンブタジエンラバー(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比においてイオン交換水中で混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、厚み10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥した。その後、これをプレスすることにより負極シートを作製した。また、2枚のセパレータシート(厚さ20μmのPP/PE/PPの三層構造の多孔質ポリオレフィンシートに耐熱層を形成させたセパレータシート)を用意した。
【0046】
作製した正極シートと負極シートと用意した2枚のセパレータシートとを重ね合わせ、捲回して捲回電極体を作製した。作製した捲回電極体の正極シートと負極シートにそれぞれ電極端子を溶接して取り付けた。これを、注液口を有する電池ケースに収容した。続いて、電池ケースの注液口から非水電解液を注入し、当該注液口を気密に封止した。非水電解液としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート(EMC)とを30:40:30の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.2Mの濃度で溶解させたものを用いた。
【0047】
そして、所定の条件の下、初期充電およびエージング処理を行った。このようにして、単電池Aを作製した。
【0048】
-単電池B-
負極活物質としての人造黒鉛および酸化シリコンと、バインダとしてのスチレンブタジエンラバー(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、人造黒鉛:酸化シリコン:SBR:CMC=95:3:1:1の質量比においてイオン交換水中で混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、上記銅箔の両面に塗布し、乾燥した。その後、これをプレスすることにより負極シートを作製した。それ以外は単電池Aと同じ材料および手順を用いて、単電池Bを作製した。なお、上述した単電池Bの負極シートは、単電池Aの負極シートよりも充電時に膨張しやすくなるように構成されている。そのため、単電池Bは、単電池Aよりも充電時に膨張しやすい。
【0049】
なお、単電池A,Bは、いずれも、幅が148mmであり、高さが91mmであり、厚みが26.5mmである、一対の対向する幅広面を有する角形リチウムイオン二次電池であった。単電池A,Bの電池容量は、50Ahであった。
【0050】
<電池モジュールの作製>
-サンプル1-
6個の単電池Aと、一対のエンドプレートおよびバインドバーを有する拘束部材と、5個の板状バスバーP(銅製)と、6個の歪ゲージと、を用意した。6個の単電池Aを、幅広面を対向させて順に並べた。単電池Aが並べられた方向において、両端をエンドプレートで挟み込み、バインドバーを取り付けて拘束した。次いで、上記方向において、隣接する2つの単電池にバスバーPを架渡した。具体的には、図1中の符号301~305の位置にバスバーPを取り付けた。そして、各バスバーP、およびバインドバーに、上記方向に沿って歪ゲージを取り付けた。このようにして、本例の電池モジュールを作製した。なお、バスバーPの断面積は、20mm(幅20mm×厚み1mm)であった。また、歪ゲージは、ゲージ回路(センサ本体)をポリイミドフィルムで挟み込んだ歪ゲージ(共和電業社製の「箔歪みゲージKFRB」)を使用した。
【0051】
-サンプル2-
5個の単電池Aと、1個の単電池Bと、を用意した。図1中の符号101の位置に単電池Bを配置し、符号102~106の位置に単電池Aを配置した。それ以外はサンプル1と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。
【0052】
-サンプル3-
5個の単電池Aと、1個の単電池Bと、を用意した。図1中の符号102の位置に単電池Bを配置し、符号101,103~106の位置に単電池Aを配置した。それ以外はサンプル1と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。
【0053】
-サンプル4-
4個の単電池Aと、2個の単電池Bと、を用意した。図1中の符号101,102の位置に単電池Bを配置し、符号103~106の位置に単電池Aを配置した。それ以外はサンプル1と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。
【0054】
-サンプル5-
バスバーPに替えて板状バスバーQ(銅製)を使用したこと以外はサンプル1と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。なお、バスバーQの断面積は、60mm(幅20mm×厚み3mm)であった。
【0055】
-サンプル6-
バスバーPに替えて上記バスバーQを使用したこと以外はサンプル2と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。
【0056】
-サンプル7-
バスバーPに替えて上記バスバーQを使用したこと以外はサンプル3と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。
【0057】
-サンプル8-
バスバーPに替えて上記バスバーQを使用したこと以外はサンプル4と同様の部材および手順を用いて、本例の電池モジュールを作製した。
【0058】
<電池モジュールの充電>
各電池モジュールのSOCを0%に調整して、25℃の温度環境下に置いた。次いで、各電池モジュールに対して、50Aの電流値で、2.5Vから4.2Vの間の充放電を1サイクルとする充放電を行った。充電から放電への切り替え時、および、放電から充電への切り替え時に、1時間の休止を設けた。かかる充放電を500サイクル行い、満充電状態で停止した。
【0059】
<バスバーおよびバインドバーの伸び量の測定>
上記停止後、歪ゲージで検出された抵抗値に基づいて、各バスバーまたはバインドバーの伸び量を測定した。また、上記伸び量と、バスバーまたはバインドバーの弾性係数を用いて、張力を測定した。結果を表1の該当欄に示す。なお、表1に記載の数値に関して、サンプル2~4における伸び量(mm)および張力(kN)は、サンプル2~4の測定結果からサンプル1の測定結果を減じた値(伸び量の増加分)である。また、サンプル6~8における伸び量(mm)および張力(kN)は、サンプル6~8の測定結果からサンプル5の測定結果を減じた値(伸び量の増加分)である。このため、サンプル1,4の測定結果は「-」(不記載)としている。また、本試験例では、サンプル2~4のバスバー伸び量に関して、サンプル1との差分が0.10mmを超えた場合に、「サンプル1よりも大きい」と評価した。サンプル2~4のバスバー張力に関して、サンプル1との差分が10kNを超えた場合に、「サンプル1よりも大きい」と評価した。サンプル2~4のバインドバー伸び量に関して、サンプル1との差分が0.1mmを超えた場合に、「サンプル1よりも大きい」と評価した。また、サンプル6~8のバスバー伸び量に関して、サンプル5との差分が0.02mmを超えた場合に、「サンプル5よりも大きい」と評価した。サンプル6~8のバスバー張力に関して、サンプル5との差分が5kNを超えた場合に、「サンプル5よりも大きい」と評価した。サンプル6~8のバインドバー伸び量に関して、サンプル5との差分が0.1mmを超えた場合に、「サンプル5よりも大きい」と評価した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示されているように、単電池Bを図1中の符号101の位置に配置したサンプル2,6では、バスバー301の伸び量がサンプル1またはサンプル5よりも大きくなった。このため、図1中の符号101の位置にある単電池10の膨らみ方が異常であると判断することができる。また、単電池Bを図1中の符号102の位置に配置したサンプル3,7では、バスバー301の伸び量およびバスバー302の伸び量が、サンプル1またはサンプル5よりも大きくなった。このため、図1中の符号102の位置にある単電池10の膨らみ方が異常であると判断することができる。また、単電池Bを図1中の符号101および102の位置に配置したサンプル4,8では、バスバー301の伸び量およびバスバー302の伸び量が、サンプル1またはサンプル5よりも大きくなった。さらに、バスバー301の伸び量が、バスバー302の伸び量よりも大きくなった。このため、図1中の符号101および符号102の位置にある単電池10の膨らみ方が異常であると判断することができる。
【0062】
また、表1に示されているように、バスバー伸び量の結果とバスバー張力の結果とは、相関していた。このことから、バスバーの伸び量だけでなく、バスバーの張力の測定によっても異常な膨らみ方をした単電池を検出できることがわかった。
【0063】
バインドバーの伸び量に関して、サンプル1およびサンプル2~4と、サンプル5およびサンプル6~8と、を比較すると、単電池Bの存在によって、バインドバーの伸び量が増加することがわかった。さらに、単電池Bの数が増えると(サンプル4,8)、バインドバーの伸び量の増加度合いがより大きくなることがわかった。
【0064】
また、サンプル1~4の結果、およびサンプル5~8の結果から、バスバーの断面積が異なっても、バスバーの伸び量、バスバーの張力、およびバインドバーの伸び量のいずれにも同様の傾向が確認された。このことから、バスバーの断面積によらず、ここで開示される技術の効果を実現できることがわかった。ただし、バスバーの断面積が大きくなると、単電池の膨張がバスバーの伸び量を反映しにくくなり、バスバーは変形しにくくなりうる。一方で、かかる変形しにくさによって単電池の端子構造に歪みが生じて変形し、電気的な接続や単電池の気密性が低下するリスクが高まりうる。そのため、単電池の膨張を反映する効果と、バスバーの変形抑制効果と、端子構造の変形抑制効果とのバランスを考慮しつつ、バスバーの断面積を適宜設定するとよい。
【0065】
図1に示されているように、ここで開示される電池モジュール100は、対向する一対の側面に幅広面10bをそれぞれ有し、幅広面10bを対向させて順に並べた複数の単電池10と、複数の単電池10が並べられた方向Zにおいて、複数の単電池10の両端を拘束する拘束部材20と、複数の単電池10が並べられた方向Zにおいて、隣接する2つの単電池10に架渡され、当該2つの単電池10を相互に電気的に接続するバスバー30と、バスバー30に、複数の単電池10が並べられた方向Zに沿って取り付けられた第1張力センサ40と、を備えている。電池モジュール100では、複数の単電池10が並べられた方向Zに沿って、バスバー30に第1張力センサ40が取り付けられていることによって、電池モジュール100の充電による、各単電池10が膨らむ度合いを把握することができる。各単電池10の膨張度合いを把握することで、電池モジュール100の充電による膨らみ方が異常な単電池10を検出することができる。
【0066】
また、第1張力センサ40のセンサ本体41とバスバー30との間には、絶縁部材43が設けられている。図1,2に示された実施形態では、第1張力センサ40は、センサ本体41と絶縁部材43とを備えており、該絶縁部材43を介して、センサ本体41がバスバー30上に取り付けられている。この実施形態では、単電池10を直列接続している。直列接続される単電池10の数または単電池10の配置部位によっては、バスバー30と第1張力センサ40の回路(センサ本体41)との間に、数百ボルトもの電圧がかかりうる(電位差が生じうる)。絶縁部材43を備えた第1張力センサ40を使用することによって、バスバー30と、該第1張力センサ40における回路(センサ本体41)との間を絶縁することができ、バスバー30の伸びを高い精度で検出することができる。また、電池モジュール100の充放電によって高温になりうるところ、センサ本体41をかかる高温から保護することができる。
【0067】
また、この実施形態では、第1張力センサ40は、歪ゲージである。第1張力センサ40として歪ゲージを使用することによって、該歪ゲージで取得された歪量に基づいて、各単電池10の異常な膨らみを検出することができる。
【0068】
また、拘束部材20は、複数の単電池10が並べられた方向Zにおいて両端から複数の単電池10を挟み込む一対のエンドプレート22と、一対のエンドプレート22を連結するバインドバー24と、を備えている。バインドバー24に、複数の単電池10が並べられた方向Zに沿って取り付けられた第2張力センサ50を備える。バインドバー24に第2張力センサ50を取り付けることによって、電池モジュール100全体における異常な膨らみを検出することができるため、異常な膨らみ方をした単電池10の存在を検出することができる。
【0069】
以上、ここで開示される電池モジュールについて、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態は、ここで開示される技術を限定しない。また、ここで開示される電池モジュールは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【0070】
例えば、上記実施形態では拘束部材20のバインドバー24に第2張力センサ50を取り付けているが、これに限定されない。ここで開示される技術では、第2張力センサ50の取り付けを省略して、第1張力センサ40の取り付けのみとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 単電池
14 正極端子
15 負極端子
20 拘束部材
22 エンドプレート
24 バインドバー
30 バスバー
40 第1張力センサ
50 第2張力センサ
100 電池モジュール
図1
図2
図3