(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】粒子の除去のための清浄な乾燥したガスの使用及びそのためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240723BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20240723BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20240723BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240723BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20240723BHJP
G01N 1/34 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
B01D46/00 F
B01D53/26
C12M1/34 D
C12M1/34 Z
C12Q1/04
G01N1/34
(21)【出願番号】P 2021511552
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 US2019048873
(87)【国際公開番号】W WO2020047295
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508087099
【氏名又は名称】ラピッド マイクロ バイオシステムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンズ, リッチ
(72)【発明者】
【氏名】フラトン, ケン
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-229404(JP,A)
【文献】特表2008-517745(JP,A)
【文献】特開平03-037547(JP,A)
【文献】特表2005-502354(JP,A)
【文献】特表2015-514424(JP,A)
【文献】米国特許第05862439(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子除去アセンブリであって、
(a)フィルタ、
(b)乾燥機、
(c)フローコントローラ、及び
(d)出口、
を含み、
前記フィルタ、前記乾燥機、前記フローコントローラ、及び前記出口は、ガスが前記フィルタ、前記乾燥機、前記フローコントローラ、及び前記出口を通って流れることを可能にするように接続され、前記フローコントローラは、前記出口を通る流量を制御し、
前記アセンブリは、前記出口の上流に前記ガスを貯蔵するためのリザーバをさらに備え、
前記リザーバが前記フィルタ及び前記乾燥機の下流にあ
り、
前記フローコントローラはバルブを含み、
前記フローコントローラが前記リザーバの下流にある、
粒子除去アセンブリ。
【請求項2】
前記フィルタが前記乾燥機の上流にある、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記乾燥機が前記フローコントローラの上流にある、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記出口が吹き出しノズルである、請求項1~3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記吹き出しノズルが、複数の開口部を備える、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記フィルタが、繊維フィルタ、ポリマーフィルタ、ぺーパーフィルタ、金属メッシュフィルタ、膜、活性炭、電気集塵器、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~
5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記乾燥機が、蒸発式乾燥機、膜式乾燥機、吸収式乾燥機、吸着式乾燥機、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~
6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記乾燥機が膜式乾燥機を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記フィルタが
孔径≦0.1μmである、請求項1~
8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記フィルタ及び前記乾燥機を通過した
ガスにおいて、0.5~1μmのサイズの粒子
の粒子数濃度が90,000
以下、及び1~5μmのサイズの粒子
の粒子数濃度が1000
以下となるように、前記フィルタ及び前記乾燥機が構成されている、請求項1~
9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記フィルタ及び前記乾燥機を通過した
ガスの蒸気圧露点
が-20℃
以下となるように、前記フィルタ及び前記乾燥機が構成されている、請求項1~
10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記フィルタ及び前記乾燥機を通過した
ガスの総油量
が0.1mg/m
3
以下となるように、前記フィルタ及び前記乾燥機が構成されている、請求項1~
11のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
サンプル画像化デバイスであって、
(a)画像化装置
(b)請求項1~
12のいずれか一項に記載の粒子除去アセンブリ
を備える、サンプル画像化デバイス。
【請求項14】
インキュベーターをさらに含む、請求項
13に記載のデバイス。
【請求項15】
サンプル中のコロニーを検出する方法であって、
請求項1~
12のいずれか一項に記載のアセンブリを作動させ、前記サンプルを含むサ
ンプル容器の表面から粒子を除去する工程
前記サンプル容器内の前記サンプルを画像化する工程
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの業界、特に食品、飲料、ヘルスケア、電子、製薬業界では、細菌、酵母、カビなどの微生物による汚染の程度に関して、サンプルを迅速に分析することが不可欠である。
【0002】
いわゆる、微生物の計数又はコロニーの計数のような、ある微生物培養技術では、サンプル中の微生物細胞の数を定量化する。その場での微生物複製に基づく微生物計数法は、一般に、サンプル中の各微生物細胞に対して視覚的に検出可能な1つの「コロニー」を生成する。したがって、視覚可能なコロニーを計数することにより、微生物学者はサンプル中の微生物細胞の数を正確に決定することができる。微生物の計数を行うために、細菌細胞をペトリ皿(「寒天プレート」)の寒天培地の表面に分散させ、その場(in situ)での細菌の複製を可能にする条件下で培養できる。微生物の計数は、単純で、超高感度で、安価で、定量的であるが、時間がかかる場合もある。コロニーはデジタル画像化できる。しかしながら、ある場合では、ほこりやその他のデブリによってコロニーの計数がより困難になる場合がある。
【0003】
したがって、サンプルの迅速かつ正確な微生物の計数のための、サンプル容器からほこり及び他のデブリを除去するための構成要素を含む検出デバイスが求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、粒子除去アセンブリを提供する。アセンブリは、例えば、サンプル(例えば、環境サンプル)の正確な微生物の係数のため、サンプル容器からほこりや他のデブリを除去するために使用できる。
【0005】
一態様では、本発明は、フィルタ(例えば、0.01ミクロンフィルタ)、乾燥機(例えば、膜式乾燥機)、フローコントローラ(例えば、バルブ)及び出口(例えば、吹き出しノズル)を含む粒子除去アセンブリを提供する。アセンブリでは、ガスはフィルタ、乾燥機、及び出口を通って流れ、フローコントローラはアセンブリを通る流量を制御する。粒子除去アセンブリは、サンプルの検出の前に、サンプル容器(例えば、蓋、底部、又は画像化される他の部分)からほこりや他のデブリを除去するために使用できる。一実施形態では、フィルタは乾燥機から上流にあり、すなわち入口により近く、及び/又は、乾燥機はフローコントローラから上流にあり、例えば、ガスは供給源からフィルタを通って乾燥機、そして出口に流れる。フローコントローラは、任意の適切な位置(例えば、乾燥機と出口との間)に配置され、アセンブリを通るガスの流れを制御することができる。
【0006】
ある実施形態では、出口(例えば、吹き出しノズル)は、複数の開口部を含む。実施形態では、フィルタは、繊維フィルタ、ポリマーフィルタ、ぺーパーフィルタ、金属メッシュフィルタ、膜(メンブレン)、活性炭、電気集塵器、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。フィルタは、気孔率≦0.1μmとできる。実施形態では、乾燥機は、蒸発式乾燥機、膜式乾燥機、吸収式乾燥機、吸着式乾燥機、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。アセンブリは、出口の上流にガスを貯蔵するためのリザーバをさらに含むことができ、例えば、リザーバは、フィルタ及び乾燥機の下流にある。実施形態では、フィルタ及び乾燥機を通過した後、ガスは、0.5~1μmのサイズの粒子≦90,000粒子/m3、及び1~5μmのサイズの粒子≦1000粒子/m3であり、ガスは、蒸気圧露点≦-20℃であり、及び/又は、ガスの総油量≦0.1mg/m3である。いくつかの実施形態では、粒子除去アセンブリは、サンプル容器(例えば、サンプル容器の画像化可能な表面からのほこり及び他のデブリ)の、少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を除去する。いくつかの実施形態では、乾燥機は、ガス中の水又は他の液体の少なくとも60質量%(例えば、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%)を除去する。
【0007】
別の態様では、本発明は、画像化装置、及び粒子除去アセンブリを含む、サンプル画像化デバイスを提供し、粒子除去アセンブリは、画像化の前にガスをサンプル容器に向け導くように構成された出口(例えば、吹き出しノズル)を含む。実施形態では、ガスは、0.5~1μmのサイズの粒子≦90,000粒子/m3、及びサイズ1~5μmの粒子≦1000粒子/m3であり、ここで、ガスは、蒸気圧露点≦-20℃及び/又は総油量≦0.1mg/m3である。画像化デバイスは、画像化の前にサンプル容器が保管されるインキュベーターをさらに含むことができる。
【0008】
本発明はまた、画像化装置と、本明細書に記載されるような及び粒子除去アセンブリを含む画像化デバイスを提供する。デバイスは、インキュベーターをさらに含むことができる。
【0009】
別の態様では、本発明は、サンプルの検出、例えば、微生物の計数のための方法を提供する。この方法は、一定量の清浄な、及び/又は乾燥したガス(例えば、空気、窒素、又はアルゴン)を、サンプル容器の表面に粒子状物質を除去するのに十分な時間、例えば10秒以下の間(例えば、5秒、3秒、2秒、1秒、又は0.5秒以下の間)、適用する工程を含み、サンプル容器内のサンプルを検出(例えば、画像化)する。ある実施形態では、ガス中の粒子状物質の質量濃度は、30μg/m3未満(例えば、10、5、1、0.5、0.1、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、又は0.00001μg/m3未満)、及び/又は粒子数濃度が20,000粒子/cm3未満(例えば、10,000、5,000、1000、500、100、50、10、5、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01粒子/cm3未満)である。代替的に、又は追加的に、液体、例えば、水を、100ppm未満(例えば、50、10、7、5、3、2、1、0.5、0.2、0.01、又は0.001ppm未満)含む。例えば、ガスは、サイズ0.1~0.5μmの粒子≦20,000粒子/m3、サイズ0.5~1μmの粒子≦400粒子/m3、及びサイズ1~5μmの粒子≦10粒子/m3とでき、蒸気圧露点≦-20℃(例えば、≦-40℃又は≦-70℃)であり、総油(エアロゾル及び蒸気)量≦0.1mg/m3(例えば0≦01mg/m3)である。
【0010】
本発明は、本明細書に記載の粒子除去アセンブリを作動させて、サンプルを含むサンプル容器の表面から粒子を除去する工程、及びサンプル容器内のサンプルを画像化する工程によって、サンプル中のコロニーを検出する方法を提供する。本発明は、ガス源を作動させて、サンプルを含むサンプル容器の表面から粒子を除去する工程、サンプル容器内のサンプルを画像化する工程によってサンプル中のコロニーを検出する方法を提供し、ここで、ガスは、サイズ0.5~1μmの粒子≦90,000粒子/m3、1~5μmのサイズの粒子≦1000粒子/m3であり、例えば、ガスの蒸気圧露点≦-20℃、及び/又は総油量≦0.1mg/m3である。実施形態では、サンプルは微生物を含み、方法は、サンプル中の微生物コロニーの数を定量化する工程をさらに含む。実施形態では、この方法は、サンプルを2回以上画像化する工程をさらに含み、サンプルは画像化の間インキュベート(培養)される。
【0011】
さらに別の態様では、本発明は、例えば、微生物の計数のために、サンプルを検出する方法を提供する。この方法は、粒子除去アセンブリを作動させてサンプル容器から粒子状物質を除去する工程と、サンプル容器内のサンプルを検出(例えば、画像化)する工程とを含む。
【0012】
その他の特徴及び利点は、以下の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1は、本発明の粒子除去アセンブリの分解図の例であり、本発明の粒子除去アセンブリは、フィルタ、乾燥機(例えば、膜式乾燥機)、フローコントローラ(例えば、バルブ)、及び出口(例えば、吹き出しノズル)を含む。
【0014】
図2は、本発明の粒子除去アセンブリの例であり、ガス用のリザーバ、フィルタ、乾燥機、例えば、膜式乾燥機、フローコントローラ(例えば、バルブ)、及び出口(例えば、吹き出しノズル)を含む。
【0015】
図3は、本発明の粒子除去アセンブリを含む、サンプル画像化デバイスの側面図の概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0016】
本発明は、例えば、環境、製薬、生物学、及び他のサンプルに存在する微生物(例えば、細菌、真菌、又は原生生物)のコロニーの計数を改善するために、サンプル容器からほこり及び他のデブリを除去するための粒子除去アセンブリ及び方法を特徴とする。本発明のアセンブリは、粒子除去のための構成要素、例えば、フィルタ、乾燥機、フローコントローラ、及び出口を含む。
【0017】
粒子除去アセンブリ
サンプル容器上のほこり及び他の粒子(例えば、固体粒子、水、又は油)は、例えば、微生物の列挙・計数のための、サンプルの正確な検出(例えば、画像化)を妨げる可能性がある。本発明の粒子除去アセンブリは、サンプル容器(サンプル容器を介して、検出、例えば、画像化が行われる)の部分(例えば、蓋又は底部)からほこり及び他のデブリを除去することによって、コロニー計数における誤検出を低減するのに役立つ。特に、アセンブリ、デバイス、及び方法は、サンプル容器が複数回画像化されるときに位置が変わる可能性がある可動粒子を除去するのに特に有用である。
【0018】
本発明の粒子除去アセンブリは、フィルタ、乾燥機(例えば、膜式乾燥機)、フローコントローラ(例えば、バルブ)、及び出口(例えば、吹き出しノズル)を含み得る。ガス入口も存在することが理解されよう。例示的なアセンブリを
図1及び2に示す。フィルタ(例えば、0.01μmフィルタ)は、それを流れるガス(例えば、空気、アルゴン、窒素)から粒子を除去する。乾燥機はガスから水やその他の液体を取り除く。出口(例えば、吹き出しノズル)は、濾過された乾燥ガスをサンプル容器の表面(例えば蓋)に向けて導き、そこからほこり及び他のデブリを除去する。フィルタと乾燥機は、粒子除去のために使用されるガスの品質を保証する。ガス源に粒子がない、及び/又は十分に乾燥している場合、これらの構成要素の1つ又は複数をアセンブリから省略することもできる。適切なガスとしては、空気、窒素、及びアルゴンが挙げられる。
【0019】
ある場合では、フィルタは、ガスからの粒子状物質の除去に適した任意のフィルタとできる。フィルタの例としては、特に限定されるものではないが、繊維フィルタ(例えば、層状ガラス繊維又は綿)、ポリマーフィルタ(例えば、ポリエステル又はポリウレタン)、ぺーパーフィルタ、金属メッシュフィルタ、膜(メンブレン)、活性炭、又はそれらの組み合わせ、例えば、高効率粒子空気(HEPA)フィルタが挙げられる。代替的に、又は追加的に、フィルタは、ガスから粒子を除去するための電気集塵を含むことができる。他のフィルタは当技術分野で知られているものである。本発明の粒子除去アセンブリは、2つ以上のフィルタを、例えば、直列に含むことができ、各フィルタは、同じ又は異なるタイプであり、及び/又は異なるサイズの粒子を捕捉するための異なる気孔率を有する。例えば、本発明に有用なフィルタは、粗い粒子、すなわち、10μmを超える直径を有する粒子を除去するための第1の段階を有することができ、ガスからより細かい粒子を除去するためのこれに続く段階を有することができる。
【0020】
本発明に有用なフィルタは、100μm~0.001μm、例えば、100μm~10μm、50μm~5μm、10μm~1μm、10μm~.001μm、5μm~0.5μm、1μm~0.1μm、1μm~0.001μm、0.5μm~0.05μm、0.1μm~0.001μm、0.05μm~0.005μm、又は0.01μm~0.001μmの孔径を有するものとできる。本発明の例示的なフィルタは、0.01μmの孔径を有する。
【0021】
本発明の粒子除去アセンブリのフィルタは、ガスから、粒子状物質の少なくとも50%を除去するものとでき、例えば、ガスから、粒子状物質の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.95%、少なくとも99.995%、少なくとも99.9995%、少なくとも99.99995%、又は少なくとも99.999995%を除去するものとできる。代替的に、又は追加的に、1つ又は複数のフィルタは、粒子状物質の質量濃度を30μg/m3未満、例えば、10、5、1、0.5、0.1、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、又は0.00001μg/m3未満とすることとができ、及び/又は粒子数濃度を20,000粒子/cm3未満に低減することができ、例えば、10,000、5,000、1000、500、100、50、10、5、1、0.5、0.1、0.05、0.02、0.01、0.005、0.002、又は0.001粒子/cm3に低減することができる。
【0022】
乾燥機の例としては、特に制限されるものではないが、蒸発式乾燥機、膜式乾燥機、吸収式乾燥機、例えば、ハロゲン化物又は硫酸塩乾燥機、吸着式乾燥機、例えば、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、又は分子ふるい、又はこれらの組み合わせが含まれる。他のガス乾燥機は当技術分野で知られているものである。本発明の粒子除去アセンブリのための例示的な乾燥機は、膜式乾燥機である。本発明の粒子除去アセンブリは、2つ以上の乾燥機を、例えば、直列に含むことができ、各乾燥機は、同じ又は異なるタイプの乾燥機であり、及び/又はガスから異なる液体を捕捉するように構成される。例えば、本発明に有用な乾燥機は、ガスから残留有機液体を除去するための第1の段階と、ガスから水蒸気を除去するための第2の段階とを含むことができる。さらに、乾燥機は、乾燥機を出るガスの温度を下げるために、例えば、乾燥したガスにさらに液体が取り込まれることを低減するために、温度制御され得る。
【0023】
本発明の粒子除去アセンブリの乾燥機は、流入ガスから液体の、少なくとも50質量%を除去するものとでき、例えば、流入ガスから液体の、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.95%、少なくとも99.995%、少なくとも99.9995%、少なくとも99.99995%、又は少なくとも99.999995%を除去するものとできる。ある実施形態では、乾燥機は、流入ガスから水の、少なくとも50質量%を除去するものとでき、例えば、流入ガスから水の、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.95、少なくとも99.995%、少なくとも99.9995%、少なくとも99.99995%、又は少なくとも99.999995%を除去するものとできる。代替的に、又は追加的に、乾燥機(又は複数の乾燥機)は、液体(例えば、水)が10ppm未満であるガスを生成することができ、液体(例えば、水)が、例えば、100、50、10、7、5、3、2、1、0.5、0.20.01、又は0.001ppm未満のガスを生成することができる。
【0024】
粒子除去アセンブリは、ISO8573-1:2010に準拠して空気を生成することもできる。例えば、粒子除去アセンブリは、例えば、クラス7:4:4又は6:4:4の空気から、クラス3:3:2、3:2:2:、3:1:2:、3:3:1、3:2:1、3:1:1、2:3:2、2:2:2:、2:1:2、2:3:1、2:2:1、2:3:1、2:1:1、1:3:2、1:2:2、1:1:2、1:1:1、又は1:3:1の空気を生成できる。別の例では、粒子除去アセンブリは、これらのクラスの品質の粒子及び水を有する空気以外のガスを生成する。したがって、粒子除去アセンブリは、0.5~1μmのサイズの粒子≦90,000粒子/m3及び1~5μmのサイズの粒子≦1000粒子/m3、例えば、0.1~0.5μmの粒子のサイズの粒子≦400,000粒子/m3、0.5~1μmのサイズの粒子≦6,000粒子/m3、1-5μmのサイズの粒子≦100粒子/m3(例えば、サイズ0.1~0.5μmの粒子≦20,000粒子/m3、サイズ0.5~1μmの粒子≦400粒子/m3、サイズ1~5μmの粒子10粒子/m3)のガスを生成することができる。生成されたガスは、蒸気圧露点≦-20℃(例えば≦40℃又は70℃)とでき、及び/又は生成されたガスは、総油(エアロゾル及び蒸気)量≦0.1mg/m3、例えば、≦0.01mg/m3含むものとできる。
【0025】
本発明の粒子除去アセンブリは、リザーバを含むことができる。リザーバは、フィルタ及び/又は乾燥機の下流に配置することができる。リザーバは、出口からのガスの均一かつ一定の流れを確保するために、清浄なガス及び/又は乾燥したガスを貯蔵するために使用することができる。
【0026】
本発明の粒子除去アセンブリのフローコントローラは、出口を出るガスの存在、非存在、及び/又は流量を制御するバルブを含む。フローコントローラは、フィルタ及び/又は乾燥機とアセンブリの出口との間など、任意の適切な位置に配置することができる。フローコントローラのバルブは、これに限定されるものではないが、バタフライバルブ、ダイヤフラムバルブ、グローブバルブ、ニードルバルブ、又はポペットバルブを含む、ガスフローを制御又は調整するための任意の適切なバルブとできる。他の適切な弁は、当技術分野で知られているものとできる。バルブの作動は、例えば、迅速なコロニー計数のためのGROWTHDIRECT(登録商標)システム(Rapid Micro Biosystems、マサチューセッツ州ローウェル)などの、機器の作動を制御するコンピュータ実装プログラム等を使用して、外部から制御することができ、それによって、ガスは測定中の所望の時間に供給される。
【0027】
本発明の粒子除去アセンブリの出口、例えば吹き出しノズルは、清浄な乾燥したガスを、粒子で汚染されている可能性のある表面に向けて導き、それらを表面から除去する。出口(例えば、吹き出しノズル)は、ガス流を導くための1つ又は複数の開口部を有することができ、さらに、出口を出るガスが、サンプル容器の所望の領域全体から粒子を除去するような広がりを有することを確実にするように適したサイズ及び形状を有するものとできる。例えば、
図1及び2に示されるように、出口、すなわち吹き出しノズルは、ガスの流れの方向に垂直な直線方向に広がる、複数の開口部を有する。当業者は、出口の開口部のサイズ、形状、及び数が、サンプル容器のサイズ及び形状に基づいて変更され得ることを理解するであろう。
【0028】
サンプル画像化デバイス
本発明の一態様では、粒子除去アセンブリは、例えば、GROWTHDERT(登録商標)システムを使用して、又は米国特許第7,582,415号に記載されているように、微生物の自動検出に有用である。適切なサンプル容器としては、ペトリ皿、及び米国特許第9,057,046号、第9,745,546号、及び2015/0072377に記載されているような、同様の容器が挙げられる。特に、粒子除去アセンブリは、培地又は培地と接触している膜上で増殖する微生物を有するサンプル容器から、一定量の加圧された清浄な乾燥したガスをサンプル容器(例えば、蓋)に向けて導くことによって、ほこりやその他のデブリを除去するのに役立つ。検出は、標識の検出又は微生物の固有の特性の検出(例えば、自家蛍光)を含むことができる。
【0029】
本発明はまた、画像化装置と、粒子除去アセンブリとを含むサンプル画像化デバイスを提供し、ここで、粒子除去アセンブリは、出口(例えば、吹き出しノズル)を含み、出口は、画像化の前に、ガスをサンプル容器に向け導くように構成される。例示的なサンプル画像化デバイスが
図3に示されている。示されているように、デバイスは、各サンプル容器を画像化位置に向かって回転させる、複数のサンプル容器を保持することができるターンテーブルを含む。粒子除去アセンブリは、一定量の加圧された清浄な乾燥したガスを使用して、画像化する前に、サンプル容器から粒子を取り除くことができるように配置される。粒子が除去されると、サンプル容器を画像化できる。サンプル画像化デバイスはまた、微生物の増殖のためのインキュベーターを含むことができ、サンプル画像化デバイスは、インキュベーション中の様々な時点でサンプル容器の画像化を可能にするように構成され、各画像化の前に、粒子除去アセンブリを使用してサンプル容器上の粒子を除去する。
【0030】
サンプル画像化デバイスは、例えば、少なくとも5、10、又は100cfmの空気流、例えば5~1000cfm、10~100cfm、250~750cfm、又は500~600cfmの空気流を含むことができ、画像化装置からサンプル容器から除去された任意の粒子状物質を一掃する。
【0031】
使用方法
本発明は、サンプル容器を清掃し、検出(例えば画像化)の前に粒子状物質を除去する方法を提供する。この方法は、一定量の清浄な、及び/又は乾燥したガス(例えば、空気、窒素、又はアルゴン)をサンプル容器の表面に粒子状物質を除去するのに十分な時間、例えば10秒以下(例えば、5秒、3秒、2秒、1秒、又は0.5秒以下、例えば0.1~10秒又は0.5~5秒)適用する工程を含む。ある実施形態では、ガス中の粒子状物質の質量濃度は、30μg/m3未満(例えば、10、5、1、0.5、0.1、0.005、0.001、0.0005、0.0001、0.00005、又は0.00001μg/m3未満)であり、及び/又は粒子数濃度が20,000粒子/cm3未満(例えば、10,000、5,000、1000、500、100、50、10、5、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01粒子/cm3未満)である。代替的に、又は追加的に、ガスは、液体、例えば、水が100ppm未満であり、液体、例えば、水は、例えば、50、10、7、5、3、2、1、0.5、0.2、0.01、又は0.001ppm未満の液体を有する。清浄な乾燥したガスは、ISO8573-1:2010に準拠した空気、例えばクラス1:3:2、1:2:2、1:1:2、又は1:3:1の空気、又は同等の特性を有するその他のガスとできる。例えば、ガスは、サイズ0.5~1μmの粒子≦90,000粒子/m3及びサイズ1~5μmの粒子≦1000粒子/m3、例えばサイズ0.1~0.5μmの粒子≦400,000粒子/m3、サイズ0.5~1μmの粒子≦6,000粒子/m3、サイズ1~5μmの粒子≦100粒子/m3(例えば、サイズ0.1~0.5μmの粒子≦20,000粒子/m3、サイズ0.5~1μmの粒子≦400粒子/m3、及びサイズ1~5μmの粒子≦10粒子/m3)を含むものとでき、蒸気圧露点≦-20℃、例えば≦-40℃又は≦-70℃であり、及び/又は総油(エアロゾル及び蒸気)量≦0.1mg/m3、例えば≦0.01mg/m3である。
【0032】
清浄な、及び/又は乾燥したガスは、本明細書に記載の粒子除去アセンブリによって生成することができる。
【0033】
ガス供給の速度は、ほこり除去に適した任意の速度、例えば、最大で1000、500、又は100cfm、例えば、最大で50、10、5、1、0.5、0.3、又は0.1cfm、例えば、0.0001~1000cfm、0.0001~500cfm、0.0001~100cfm、0.0001~50cfm、0.0001~10cfm、0.0001~5cfm、0.0001~1cfm、又は0.0001~0.1cfm、0.001~100cfm、0.001~50cfm、0.001~10cfm、0.001~5cfm、0.001~1cfm、又は0.001~0.1cfm、0.01~100cfm、0.01~50cfm、0.01~10cfm、0.01~5cfm、0.01~1cfm、又は0.01~0.1cfm、0.1~100cfm、0.1~50cfm、0.1~10cfm、0.1~5cfm、又は0.1~1cfmとできる。出口でのガスの圧力は、任意の適切な圧力、例えば、最大25バール、例えば、最大で20、15、10、5、又は3バール、例えば1~25、1~20、1~15、1~10、1~5、1~3、1.5~25、1.5~20、1.5~15、1.5~10、1.5~5、又は1.5~3バールとできる。
【0034】
清浄な、及び/又は乾燥したガス、例えば、本明細書に記載の粒子除去アセンブリを使用して生成されるガスにより、サンプル容器の表面上のほこり及び他のデブリによって生成され得る誤検出の数を減らすことによって、サンプル中のコロニーを正確に数えることが容易になる。例えば、検出(例えば、画像化)の前に、清浄な、及び/又は乾燥したガス、例えば、粒子除去アセンブリによって生成されたガスを使用することにより、誤検出の数を少なくとも2、5、10、15、20、25、50、75、100、250、500、750、又は1000倍、例えば5~500、5~100、5~50、5~25、又は5~20倍減らすことができる。清浄な、及び/又は乾燥したガス(例えば、粒子除去アセンブリによって生成されるガス)の使用は、マイクロコロニー(例えば、直径(又は2つの独立した次元において)1000、750、500、250、100、75、又は50μm未満のサイズのマイクロコロニー)を検出する場合に、特に有用である場合がある。検出を繰り返して、例えば、繰り返される各画像化の前に、例えば、粒子除去アセンブリを使用して、サンプル容器上の粒子を除去することによって、生育しているコロニーを生育していない微生物から識別することができる。複数の検出が採用される場合、サンプル容器は、例えば、密閉されたインキュベーションチャンバー内で、検出の間インキュベートされるか又は保存されるものとできる。サンプル容器はさらに、インキュベーター又は保管領域、粒子状物質除去の場所、及び自動システムを使用した検出(粒子状物質除去の場所とは異なる場合)の間で移動することができる。そのようなシステムは、検出から取得されたデータをさらに分析し、例えば、微生物コロニーの数を計数することができる。
【0035】
コロニーの検出は、任意の適切な方法によって行うことができ、細胞又は培地中の標識、又は細胞の固有の光学特性、例えば、自家蛍光に基づくことができる。検出は通常、カメラを使用した光学画像化によって行われる。
【0036】
サンプル容器は、本明細書に記載されるような任意の適切なサイズとできる。さらに、ガスと接触するサンプル容器の領域は、1mmから100mmの間、例えば、10mmから80mmの間の断面寸法を有するものとできる。この領域は、2つの直交する線において、同じ大きさを持つものとできる。検出される領域は、多角形、例えば、正方形、円形、楕円形、又は他の任意の形状とできる。
【0037】
サンプルを収集し、サンプル画像化デバイス、例えば、迅速なコロニー計数のためのGROWTHDIRECT(登録商標)システムにサンプル容器を設置した後、清浄な、及び/又は乾燥したガス(例えば、本発明の粒子除去アセンブリからのガス)を使用して、サンプル中のコロニーを検出する前にサンプル容器からほこりやその他のデブリを除去することができる。いくつかの実施形態では、粒子除去アセンブリは、一定量の清浄な乾燥したガスをサンプル容器に向けて導く。自動化されたシステムは、画像化ための位置において、サンプル容器の存在を検出することができ、自動化されたシステムのコントローラは、粒子除去アセンブリのフローコントローラと通信して、フローコントローラのバルブを開き、出口(例えば吹き出しノズル)から一定量のガスをサンプル容器に排出する。
【0038】
本発明の粒子除去アセンブリと共に使用することができる手動又は自動コロニー計数のための他の方法及び機器は、当技術分野で知られている。
【実施例】
【0039】
粒子除去アセンブリの一例を
図2及び3に示す。この実施例では、外部供給源からの空気が粒子除去アセンブリに導入される。アセンブリには、手動のオン/オフバルブが含まれる。アセンブリに入る空気は、0.01フィルタと膜式乾燥機(Festo)を通過する。乾燥機を出る空気は、0.4リットルのリザーバ(Festo)に貯蔵される。空気圧制御のポペットバルブ(Festo)は、吹き出しノズル(McMaster-Carr)からの空気の放出を制御する。コンポーネント間のチューブ接続は示されていないが、プラスチックや金属などの任意の適切な材料である。
図3は、迅速なコロニー計数のためのGROWTHDIRECT(登録商標)システムの粒子除去アセンブリを示す。迅速なコロニー計数のためのGROWTHDIRECT(登録商標)システムを用いた粒子除去アセンブリの使用により、誤検出の数は2~3/1000から1~2/10,000に低減した。
【0040】
他の実施形態は、特許請求の範囲内にある。