(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/00 A
(21)【出願番号】P 2021518110
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019075596
(87)【国際公開番号】W WO2020069904
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】102018216933.0
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518407205
【氏名又は名称】フェストール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ルッシュ・マルク
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-000653(JP,A)
【文献】特開昭50-078998(JP,A)
【文献】米国特許第03331408(US,A)
【文献】特開2011-020205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式の電動工具(10)であって、
電動工具(10)を、工作物及び/又はガイド要素である支台(2)上に設置するための設置部分(1)を備え、
電動工具(10)は、設置検出装置(3)を有するとともに、設置検出装置(3)によって、電動工具(10)が設置部分(1)の少なくとも1つの第1の領域(5)でもって支台(2)上に設置されている第1の設置状態及び電動工具(10)が少なくとも第1の領域(5)でもって支台(2)上に設置されていない第2の設置状態を把握し、把握された設置状態に基づいて電動工具(10)の動作状態を特定するように、構成されていて、
電動工具(10、20)は、設置検出部分(7)を有し、設置検出装置(3)は、設置検出部分(7)が支台(2)によって作動させられるかどうかに基づいて、第1及び第2の設置状態を把握するように、構成されていて、
電動工具(10)は、動作状態を特定するとき、現在把握されている設置状態と、以前に把握された設置状態とを考慮するように、構成されていて、
動作状態は、キックバック状態であり、電動工具(10)は、以前に把握された第1の設置状態の後で第2の設置状態が把握される、かつ/又は第1の設置状態から第2の設置状態への設置状態変化が把握されるとき、キックバック状態を特定するように、構成されていて、
電動工具(10)は、第2の設置状態の前に第1の設置状態が把握されなかった、かつ/又は第1の設置状態から第2の設置状態への設置状態変化が把握されなかったとき、キックバック状態を特定しない、ように構成されている、
電動工具(10)。
【請求項2】
据置き式の電動工具(20)であって、
工作物を設置するための設置部分(1)を備え、
電動工具(20)は、設置検出装置(3)を有するとともに、設置検出装置(3)によって、工作物が電動工具(20)の設置部分(1)の少なくとも1つの第1の領域上に設置されている第1の設置状態及び工作物が電動工具(20)の設置部分(1)の少なくとも第1の領域上に設置されていない第2の設置状態を把握し、把握された設置状態に基づいて電動工具(20)の動作状態を特定するように、構成されていて、
電動工具(20)は、動作状態を特定するとき、現在把握されている設置状態と、以前に把握された設置状態とを考慮するように、構成されていて、
動作状態は、キックバック状態であり、電動工具(20)は、以前に把握された第1の設置状態の後で第2の設置状態が把握される、かつ/又は第1の設置状態から第2の設置状態への設置状態変化が把握されるとき、キックバック状態を特定するように、構成されていて、
電動工具(20)は、第2の設置状態の前に第1の設置状態が把握されなかった、かつ/又は第1の設置状態から第2の設置状態への設置状態変化が把握されなかったとき、キックバック状態を特定しない、ように構成されていて、
第1及び第2の設置状態を把握するための設置検出装置(3)が、検出ユニット(4)を有し、検出ユニット(4)は、機械式に作動可能な検出ユニット(4)として又は接点スイッチとして構成されている、
電動工具(20)。
【請求項3】
第1及び/又は第2の設置状態を把握するための設置検出装置(3)が、検出ユニット(4)を有し、検出ユニット(4)は、機械式に作動可能な検出ユニット(4)として又は接点スイッチとして構成されている、請求項1に記載の電動工具(10、20)。
【請求項4】
電動工具(10)は、工具(9)を駆動するための駆動部分(26)を有し、駆動部分(26)に、検出ユニット(4)が配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の電動工具(10)。
【請求項5】
電動工具(10)は、第1のジョイント(15)を有し、第1のジョイント(15)を介して、駆動部分(26)は、検出ユニット(4)とともに設置部分(1)に対して相対的に様々な第1の位置へ移行可能である、請求項4に記載の電動工具(10)。
【請求項6】
設置検出装置(3)は、連結機構(12)を有し、連結機構(12)を介して、設置検出部分(7)は、検出ユニット(4)に機械的に連結されていて、これにより、電動工具(10)が第1の設置状態にあるか又は第2の設置状態にあるかに依存して、検出ユニット(4)が、機械式に作動させられる、請求項5に記載の電動工具(10)。
【請求項7】
連結機構(12)は、駆動部分(26)に可動に支持された連結要素(14)を有する、請求項6に記載の電動工具(10)。
【請求項8】
連結機構(12)は、第1の位置に対して不変な設置検出部分(7)と検出ユニット(3)との間の機械的な連結部を提供するように、構成されていて、ゆえに、設置検出装置(3)は、駆動部分(26)の様々な第1の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する、請求項6又は7に記載の電動工具(10)。
【請求項9】
第1のジョイント(15)は、第1の旋回ジョイントであり、連結機構は、設置検出部分(7)及び/又は支台(2)によって作動可能な作動部分(16)を有し、作動部分(16)は、第1の旋回ジョイントの旋回軸(17)に対して同心に構成されている、請求項6から8のいずれか1項に記載の電動工具(10)。
【請求項10】
電動工具(10)は、第2のジョイントを有し、第2のジョイントを介して、駆動部分(26)は、検出ユニット(4)とともに、設置部分(1)に対して相対的に、様々な第2の位置へ移行可能であり、連結機構(12)は、第2の位置に対して不変な設置検出部分(7)と検出ユニット(4)との間の機械的な連結部を提供するように、構成されていて、ゆえに、設置検出装置(3)は、駆動部分の様々な第2の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する、請求項6から9のいずれか1項に記載の電動工具(10)。
【請求項11】
第2のジョイントは、第2の旋回ジョイントであり、作動部分(16)が、第2の旋回ジョイントの旋回軸に対して同心に構成されている、請求項10に記載の電動工具(10)。
【請求項12】
設置検出部分(7)が、送り方向(8)で、電動工具(10、20)の工具(9)の後方に、前方にかつ/又は工具(9)の領域に配置されている、請求項1に記載の電動工具(10、20)。
【請求項13】
設置部分(1)は、設置面(11)を有し、設置検出部分(7)は、設置面(11)に対して相対的に移動可能に支持されている、請求項1に記載の電動工具(10、20)。
【請求項14】
電動工具(10、20)は、動作状態を特定するとき、把握された設置状態に対して付加的に、1つ又は複数の他の入力値、又は距離、力、圧力、モーメント、加速度、角速度、電流、電圧、回転数、トルク、温度及び/又は音を考慮するように、構成されている、請求項1から13のいずれか1項に記載の電動工具(10、20)。
【請求項15】
電動工具(10、20)は、把握された設置状態に依存して、他の入力値を把握するように、構成されている、請求項14に記載の電動工具(10、20)。
【請求項16】
電動工具(10、20)は、以下の、
設置検出装置が、第2の設置状態を把握する、
第2の設置状態の前に、設置検出装置が、第1の設置状態を把握する、
工具を駆動するモータに関係する電流が、所定の閾値を超える、
という条件が重なって満たされているかどうかに依存して、動作状態としてキックバック状態を特定するように、構成されている、請求項1から15のいずれか1項に記載の電動工具(10、20)。
【請求項17】
電動工具(10、20)は、把握された動作状態に対する反応として、工具(9)の駆動装置を非作動化させる、工具(9)を停止させる、かつ/又は工具(9)を安全位置へ移行させるように、構成されていることを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の電動工具(10、20)
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具、特に手持ち式の電動工具であって、電動工具を支台上に、特に工作物上にかつ/又はガイド要素上に設置するための設置部分を備えるものに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102007041097号明細書には、工作機械における使用状況を認識するための認識ユニットを備えた工作機械監視装置が記載されている。認識ユニットは、少なくとも1つの距離特性値に基づいて、使用状況を認識する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102007041097号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、簡単で確実に電動工具の動作状態を特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の電動工具によって解決されている。電動工具は、設置検出装置を有するとともに、設置検出装置によって、電動工具が設置部分の少なくとも1つの第1の領域でもって支台上に設置されている第1の設置状態及び/又は電動工具が少なくとも第1の領域でもって支台上に設置されていない第2の設置状態を把握し、把握された設置状態に基づいて電動工具の動作状態を特定するように、構成されている。
【0006】
したがって動作状態は、支台上の電動工具の設置又は非設置に基づいて特定されている。電動工具が支台上に設置されているかどうかは、極めて簡単に検出することができる。特に、そのために、従来技術で用いられるような距離認識は必須ではない。
【0007】
有利な形態では、第1及び/又は第2の設置状態の検出は、支台によって直接に又は間接に作動可能である接点スイッチ、特に機械式のスイッチによって行われる。接点スイッチは、支持体の接触によって直接に作動させることができる、又はこれに対して代替的に、間接に1つ又は複数の他の要素、とりわけ、特に支台に直接に接触する設置検出部分を介して作動させることができる。接点スイッチは、好適には、2つの状態、特に2つだけの状態、特に作動状態と非作動状態とを互いに区別するように、構成されている。
【0008】
設置部分は、好適には、設置面及び/又は設置検出部分を有する。設置検出部分は、設置面内にかつ/又はその側方に配置することができ、支台上に設置されるとき、支台によって作動させることができる。設置検出部分は、好適には、第1及び/又は第2の設置状態を把握するために用いられる。
【0009】
好適には、設置検出装置は、両方の設置状態を把握するように、構成されている。特に、設置検出装置は、現在の設置状態が第1の設置状態であるか又は第2の設置状態であるかを特定するとともに、現在把握されている設置状態に基づいてかつ/又は以前に把握された設置状態に基づいて動作状態を特定するように、構成されている。
【0010】
用語「設置」及び「設置される」は、重力ベクトルに依存しないと解されているべきである。「設置」又は「設置される」とは、重力ベクトルの方向にかつ/又は重力ベクトルとは異なる方向にも適用することができる。例えば、電動工具は、設置部分、つまり特に設置面及び/又は設置検出部分でもって、下から天井にかつ/又は横から垂直の壁に設置することができる。
【0011】
本発明はさらに、電動工具、特に据置き式の電動工具に関し、電動工具は、工作物を設置するための設置部分を備え、電動工具は、設置検出装置を有するとともに、設置検出装置によって、工作物が電動工具の設置部分の少なくとも1つの第1の領域上に設置されている第1の設置状態及び/又は工作物が電動工具の設置部分の少なくとも第1の領域上に設置されていない第2の設置状態を把握し、把握された設置状態に基づいて電動工具の動作状態を特定するように、構成されている。
【0012】
有利な発展形態は、従属請求項の対象である。
【0013】
有利には、第1及び/又は第2の設置状態を把握するための設置検出装置が、検出ユニットを有し、検出ユニットは、特に機械式に作動可能な検出ユニットとして、有利には接点スイッチとして構成されている。
【0014】
有利には、電動工具は、設置検出部分を有し、設置検出装置は、設置検出部分が支台によって作動させられるかどうかに基づいて、第1及び/又は第2の設置状態を把握するように、構成されている。
【0015】
有利には、設置検出部分が、送り方向で、電動工具の工具の後方に、前方にかつ/又は工具の領域に配置されている。
【0016】
有利には、設置部分は、設置面を有し、設置検出部分は、設置面に対して相対的に可動に支持されている。
【0017】
有利には、電動工具は、工具を駆動するための駆動部分を有し、駆動部分に、1つの又は前述の検出ユニットが配置されている。
【0018】
有利には、設置検出装置は、連結機構を有し、連結機構を介して、設置検出部分は、検出ユニットに機械的に連結されていて、これにより、電動工具が第1の設置状態にあるか又は第2の設置状態にあるかに依存して、検出ユニットが、機械式に作動させられる。
【0019】
有利には、連結機構は、駆動部分に可動に支持された連結要素を有する。
【0020】
有利には、電動工具は、第1のジョイントを有し、第1のジョイントを介して、駆動部分が、検出ユニットとともに、設置部分に対して相対的に様々な第1の位置へ移行可能である。
【0021】
有利には、連結機構は、第1の位置に対して不変な設置検出部分と検出ユニットとの間の機械的な連結部を提供するように、構成されていて、ゆえに、設置検出ユニットは、駆動部分の様々な第1の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する。
【0022】
有利には、第1のジョイントは、第1の旋回ジョイントであり、連結機構は、設置検出部分及び/又は支台によって作動可能な作動部分を有し、作動部分は、第1の旋回ジョイントの旋回軸に対して同心に構成されている。
【0023】
有利には、電動工具は、第2のジョイントを有し、第2のジョイントを介して、駆動部分は、検出ユニットとともに、設置部分に対して相対的に、様々な第2の位置へ移行可能であり、連結機構は、第2の位置に対して不変な設置検出部分と検出ユニットとの間の機械的な連結部を提供するように、構成されていて、ゆえに、設置検出装置は、駆動部分の様々な第2の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する。
【0024】
有利には、第2のジョイントは、第2の旋回ジョイントであり、作動部分が、第2の旋回ジョイントの旋回軸に対して同心に構成されている。
【0025】
有利には、電動工具は、動作状態として、エラー状態、特にキックバック状態及び/又は加工状態を特定するように、構成されている。
【0026】
有利には、電動工具は、動作状態を特定するとき、把握された設置状態に対して付加的に、1つ又は複数の他の入力値、特に距離、力、圧力、モーメント、加速度、角速度、電流、電圧、回転数、トルク、温度及び/又は音を考慮するように、構成されている。
【0027】
有利には、電動工具は、把握された設置状態に依存して、他の入力値を把握するように、構成されている。
【0028】
有利には、電動工具は、把握された動作状態に対する反応として、工具の駆動装置を非作動化させる、工具を停止させる、かつ/又は工具を安全位置へ移行させるように、構成されている。
【0029】
有利には、電動工具は、動作状態を特定するとき、現在把握されている設置状態と、以前に把握された設置状態、特に以前に把握された設置状態から現在把握されている設置状態への設置状態変化とを考慮するように、構成されている、。
【0030】
有利には、電動工具は、以下の、設置検出装置が、第2の設置状態を把握する、第2の設置状態の前に、設置検出装置が、第1の設置状態を把握する、工具を駆動するモータに関係する電流が、所定の閾値を超える、という条件が重なって満たされているかどうかに依存して、動作状態としてキックバック状態を特定するように、構成されている。
【0031】
以下、図面を参照して、例としての実施形態及び例示的な詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】第1の態様による設置検出装置を有する手持ち式の電動工具の部分領域の斜視図を示す。
【
図4】手持ち式の電動工具が第1の設置状態にある、部分領域の側面図を示す。
【
図5】第2の態様による設置検出装置を有する手持ち式の電動工具の部分領域の斜視図を示す。
【
図6】手持ち式の電動工具が第1の設置状態にある、部分領域の側面図を示す。
【
図7】電動工具の切込み部分が第1の旋回軸を中心に旋回されている、部分領域の側面図を示す。
【
図8】手持ち式の電動工具が第2の設置状態にある、部分領域の側面図を示す。
【
図10】傾斜部分が第2の旋回軸を中心に旋回されている、部分領域の切断正面図を示す。
【
図11】第3の態様による設置検出装置を有する手持ち式の電動工具の部分領域の切断正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、電動工具10を示す。電動工具は、例示的には、手持式の電動工具として構成されている。電動工具10は、支台2上に、特に工作物上にかつ/又はガイド要素上に電動工具10を設置するための設置部分1を有する。
【0034】
電動工具10は、設置検出装置3を有するとともに、設置検出装置3によって、第1の設置状態(第1の設置状態では、電動工具10が、設置部分1の少なくとも第1の領域5でもって、支台2上に設置されている)及び/又は第2の設置状態(第2の設置状態では、電動工具10が、少なくとも第1領域5でもって、支台2上に設置されていない)を把握し、そして把握された設置状態に基づいて電動工具10の動作状態を特定するように、構成されている。
【0035】
以下、例示的な他の詳細について説明する。ここでは、特に、図示されたx方向、y方向及びz方向に関して述べると、これらは、互いに直交方向に向けられている。x方向は縦方向と、y方向は横方向と、そしてz方向は高さ方向と称することもできる。
【0036】
まず基本構造について述べる。
【0037】
電動工具10は、例示的には、回転式の工具9、例えばのこ刃を有する。電動工具10は、例示的には、のこ、特に手持ち式の丸のこ、有利にはプランジ丸のことして構成されている。代替的に、電動工具10は、フライス又は研削砥石を有することもでき、例えばビスケットジョイナ又はアングルグラインダとして構成することもできる。
【0038】
設置部分1は、有利には、設置面11及び/又は設置検出部分7を有する。電動工具10の設置部分1、特に設置面11は、電動工具10の特定の整向では、好適には下方へ向けられている。設置部分1は、電動工具10の用途に応じて、例えば天井又は垂直の壁を加工するとき、上向き又は横向きに向けることもできる。例示的には、設置部分1、特に設置面11は、z方向に対して垂直に向けられている。設置部分1、特に設置面11は、有利には、xy平面を形成する。工具9は、z方向に好適には設置面11よりもさらに下方に延在する。工具9は、z方向に設置部分1を越えて下方へ突出する。設置部分1、特に設置面11と、工具9とは、工具9が工作物を加工する、特に工作物に切込みを入れる特定の動作において、設置部分1、特に設置面11が好適には工作物及び/又はガイド装置上に設置され、例えばガイドレール上に設置されているように、互いに対して配置されている。
【0039】
電動工具10は、好適には、工作物を加工するために、工作物に対して相対的に送り方向8に、特に使用者によって手動で動かされているように、構成されている。送り方向8は、例示的には、x方向に対して平行に向けられている。電動工具10が工作物に対して相対的に動かされているとき、電動工具10は、その設置部分1、特に設置面11でもって、工作物上に、かつ/又は特に工作物上に設置されているガイドレール上に設置されている。設置部分1、特に設置面11は、これが、送り方向8に、工作物及び/又はガイドレール上に設置されている状態で、工作物及び/又はガイドレールに対して相対的に摺動することができるように、構成されている。好適には、設置部分1、特に設置面11は、送り方向8でほぼ平らに構成されている。
【0040】
工具9は、好適には、設置部分1に、特に設置面11に対して相対的に可動に支持されているので、工具9は、設置部分1に、特に設置面11に対して相対的にその位置を変えることができる。好適には、工具9は、第1の旋回軸を中心に、かつ/又は特に第1の旋回軸に対して直交方向に向けられた第2の旋回軸を中心に、設置部分1に対して相対的に旋回することができる。第2の旋回軸は、例示的には、x軸に対して平行に向けられている。第1の旋回軸の向きは、好適には、第2の旋回軸を中心とする旋回位置に依存する。第2の旋回軸に対する通常の位置では、第1の旋回軸は、好適には、Y方向に対して平行に向けられている。
【0041】
第1及び/又は第2の旋回軸は、必ずしも物理的に存在していなくてよい。これらの旋回軸の一方又は両方を中心とする旋回は、好適には、1つ又は複数のスライダ機構によって行うこともできる。
【0042】
第1及び/又は第2の旋回軸を有する前述の形態に対して代替的に、電動工具は、工具9が設置部分1に対して、特に設置面11に対して相対的に旋回不能に構成することもできる。
【0043】
電動工具10が、のこ、特にプランジ丸のことして構成されている例示的なケースでは、第1の旋回軸を中心とする、のこ刃として構成された工具9の旋回によって、好適には、のこ刃の切込み深さを調整することができる、つまり、どの程度z方向に、のこ刃が下方へ設置部分1を越えて突出するか調整することができる。代替的に又は追加的に、第2の旋回軸を中心とする旋回によって、マイター角度、つまりのこ刃平面と設置部分1との間の角度を調整することができる。
【0044】
例示的な形態によれば、電動工具10は、ベース部分19を有する。ベース部分19は、ベースプレート21及び/又は第2のジョイント部分22を有する。z方向に下向きに向けられた、好適には面状のベースプレート21の最大の面は、好適には、設置部分1又は設置部分1の一部、特に設置面11を提供する。複数の第2のジョイント部分22が、好適には、ベースプレート21からz方向に上方へ突出する。これらの第2のジョイント部分22は、例示的には、x方向に互いに離間して配置されている。
【0045】
電動工具10は、例示的には、マイター部分23を有する。マイター部分23は、ベース部分19に対して相対的に前述の第2の旋回軸を中心に旋回自在に支持されている。マイター部分23は、例示的には、第1のジョイント部分25と切込み部分24とを有する。好適には、マイター部分23が旋回するとき、第1のジョイント部分25及び/又は切込み部分24は、一緒に、ベース部分19に対して相対的に旋回させられる。
【0046】
第1のジョイント部分25は、好適には、x方向で複数の第2のジョイント部分22の間に位置するとともに、特に第2のジョイント部分22に、第2の旋回軸を中心に旋回自在に支持されている。第1のジョイント部分25は、好適には、ベースプレート21からz方向に上方へ延在する。
【0047】
切込み部分24は、好適には、第1のジョイント部分25に対して相対的に前述の第1の旋回軸を中心に旋回自在に支持されている。切込み部分24は、例示的には、工具9、駆動部分26及び/又はグリップ27を有する。好適には、切込み部24が第1のジョイント部分25に対して旋回するとき、工具9、駆動部分26及び/又はハンドル27は、一緒に、第1のジョイント部分25に対して相対的に旋回する。
【0048】
駆動部分26は、好適には、工具9を駆動するための、駆動ユニット、例えばモータ、特に電気モータ及び/又は伝動装置を有する。駆動部分26は、好適には、駆動ユニットを制御するための制御ユニット、例えば電子装置アセンブリをさらに有する。
【0049】
駆動部分26は、例示的には、y方向に第1のジョイント部分25から突出する。駆動部分26は、好適には、z方向に、設置面1の上方に配置されている。駆動部分26は、例示的には、第1の設置部分1に対して、特に設置面11に対して相対的に、第1及び/又は第2の旋回軸を中心に旋回自在であり、つまり、設置部分1に対して相対的に位置を変えることができる。
【0050】
グリップ27は、例示的には、z方向に駆動部分26から上向きに突出する。グリップ27には、例示的には、操作装置28、例えばボタンが配置されていて、ボタンを介して、使用者は、工具9の駆動装置を制御することができる。
【0051】
ベース部分19、マイター部分23、切込み部分24及び駆動部分26を有する電動工具10の例示的な一形態が、特に
図12にも示されている。
【0052】
次に、設置検出装置3について説明する。
【0053】
設置検出装置3は、特に、以下に説明されている、
図3~
図11に例示されている複数の態様のうちの1つに従って構成することができる。
【0054】
先ず、3つ全ての態様で(又は他の態様でも)存在し得る特徴について述べる。
【0055】
設置検出装置3は、第1及び/又は第2の設置状態を把握するために、好適には、検出ユニット4を有する。検出ユニット4は、好適には、機械式に作動可能である。検出ユニット4は、特に押圧式のスイッチとして、特に機械式に押圧可能な接点スイッチとして構成されている。好適には、接点スイッチを押すことによって、電気的な接続が開閉されている。電動工具10は、好適には、特に前述の制御ユニットによって検出ユニット4の作動を把握するように、構成されている。好適な一形態によれば、検出ユニット4は、異なる2つの状態のみを把握することができる。
【0056】
設置検出装置3は、特に、検出ユニット4が第1の設置状態で支台2によって特に直接に又は間接に機械式に作動させられる、かつ/又は検出ユニット4が第2の設置状態で支台2によって特に直接に又は間接に作動させられないように、構成されている。検出ユニット4が接点スイッチとして構成されている場合には、接点スイッチは、第1の設置状態で支台2によって特に直接に又は間接に押されている、かつ/又は第2の設置状態で支台2によって特に直接に又は間接に押されていない。設置状態と検出ユニット4の作動との間の依存関係は、前述の依存関係に対して逆であってもよい。
【0057】
前述の形態に対して代替的に又は付加的に、検出ユニット4は、距離センサ、力センサ、圧力センサ、カメラ、磁界センサ、加速度センサ、角速度センサ及び/又はモーメントセンサを有することもできる。特に、検出ユニット4は、前述のセンサのうちの1つ又は複数を用いて、電動工具10の第1の設置状態、第2の設置状態及び/又は動作状態を特定するように、構成することができる。
【0058】
電動工具10は、好適には、設置検出部分7を有する。設置検出部分7は、特に、設置検出ユニット3の一部である。設置検出ユニット3は、設置検出部分7が支台2によって作動させられるかどうかに基づいて、第1及び/又は第2の設置状態を把握するように、構成されている。設置検出部分7は、好適には、設置部分1の一部である。設置検出部分7は、特に設置面11内に又は設置面11の傍に配置することができる。
【0059】
設置検出部分7は、好適には、これが特に第2の設置状態でz方向に設置面11からさらに下方に延在するように、配置されている。特に、設置検出部分7は、設置部分1が支台2に設置されるとき、設置検出部分7が支台2によって作動させられるように配置されている。
【0060】
設置検出部分7は、設置面11に対して相対的に可動に支持されている。特に、設置検出部分7は、設置部分1が設置面2上に設置されるとき、設置検出部分7が設置面11に対して相対的に動くように、支持されている。特に、設置検出部分7は、特に旋回自在にかつ/又は直線移動可動に支持されている。設置検出部分7は、特に第1の位置と第2の位置とに移行可能である。好適には、設置検出部分7は、第1の位置では、z方向で設置面11よりも下方に延在せず、第2の位置では、z方向で設置面11よりも下方に延在する。
【0061】
設置検出部分7は、好適には、支台2による作動によって、第1の位置から第2の位置へ移行可能である。好適には、設置検出装置3は、戻し要素、例えばばね要素を有することができる。戻し要素は、特に電動工具10が第2の設置状態にあるとき、かつ/又は設置検出部分7が支台2によって作動させられないとき、設置検出部分7を第2の位置へ押し込む又は移行させる。
【0062】
設置検出部分7は、設置面11の一部であってよい、又は設置面11に対して付加的に提供されてよい。設置検出部分7は、好適には、設置面11と同一のxy領域を占める、又は他のxy領域を占める。設置検出部分7は、特に側方で、例えばy方向で、設置面11の傍に配置することができる。さらに、設置検出部分7は、設置面11の切欠、例えば貫通部又はスリットに配置することができる。
【0063】
設置検出部分7の下面は、好適には、設置面11に対して傾斜付けられている。設置検出部分7の下面は、特に斜面として構成されている。xz断面では、設置検出部分7の下面が、設置面11を起点として斜め下方へ、しかも特に送り方向8とは反対の方向に延在する。xz平面では、下面の延在は、好適には連続している。このようにして、電動工具10が送り方向8に支台2上を摺動することができることを保証することができ、その際、設置検出部分7が邪魔になることはない。
【0064】
設置検出部分7は、送り方向8で、工具9の後方に、前方にかつ/又は工具9の領域に配置されている。好適な形態では、設置検出部分7は、送り方向8で、工具9の後方に配置されている。好適には、設置検出部分7が1つだけ設けられている。これに対して代替的に、複数の設置検出部分7を設けることもでき、これらは、特にX方向にかつ/又はY方向に分けて配置されている。
【0065】
好適には、設置検出部分7は、電動工具10のx延在部分の部分領域、特に設置部分1のx延在部分の部分領域にわたってのみ延在する。設置検出部分7が存在する設置部分1のx部分領域は、好適には、第1の領域5である。設置検出部分7が存在しないx部分領域は、第2の領域6とも称されているべきである。
【0066】
これに対して代替的に、設置検出部分7は、設置部分1、特に設置面11のx延在部分全体にわたって延在することもできる。考えられる一形態によれば、設置面1、特に設置面1全体が、設置検出部分7をなすことができる。
【0067】
設置検出装置3は、連結機構12を有し、連結機構12を介して、設置検出部分7が、検出ユニット4に機械的に連結されている。連結機構12を介して、検出ユニット4は、電動工具10が第1の設置状態にあるか又は第2の設置状態にあるかに依存して機械式に作動させられる。例示的には、検出ユニット4は、第1の設置状態では連結機構12によって機械式に作動させられ、第2の設置状態では連結機構12によって機械式に作動させられない。これに対して代替的に、連結機構12は、検出ユニット4が第1の設置状態では作動させられず、第2の設置状態では作動させられるように構成することもできる。
【0068】
検出ユニット4は、好適には、駆動部分24に配置されている。好適には、検出ユニット4は、例示的には駆動部分24に配置された制御ユニットに通信接続されているかつ/又は電気的に接続されている。駆動部分4は、例示的には、設置部分1、特に設置面11及び/又は設置検出部分7から離間して配置されている。例示的には、駆動部分4は、z方向に、設置部分1の上方、特にベースプレート21の上方に配置されている。連結機構12は、特に、設置部分1、特に設置面11及び/又は設置検出部分7を支台2上に設置することによって行われる機械式の作動を、機械式に駆動部分4に位置する制御ユニットへ導くために用いられる。
【0069】
連結機構12は、好適には、特に駆動部分26に可動に支持された連結要素14を有する。連結要素14は、特にレバー要素として構成することができる。設置検出部分7は、連結要素14の一部であってよい。これに対して代替的に、設置検出部分7を、連結部材14に対して付加的に提供することもできる。
【0070】
好適には、駆動部分26は、例えば先ほど既に述べた第1及び/又は第2の旋回軸を中心に設置部分1に対して相対的に可動に支持されている。
【0071】
電動工具10は、例示的には、第1のジョイント15を有し、ジョイント15を介して、駆動部分26は、検出ユニット4と一緒に、設置部分1に対して相対的に様々な第1の位置へ移行可能である。第1のジョイントは、特に、有利には第1の旋回軸を中心とする旋回を提供するための第1の旋回ジョイントである。第1のジョイント15は、切込みジョイントと称することもできる。
【0072】
連結機構12は、有利には、第1の位置に対して不変に設置検出部分7と検出ユニット4との間の機械的な連結部を提供するように、構成されているので、設置検出装置3が、駆動部分26の様々な第1の位置で、第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する。好適には、連結機構12は、設置検出部分7及び/又は支台2によって作動可能な作動部分16を有し、作動部分16は、第1の旋回ジョイント15の旋回軸に対して同心に構成されている。
【0073】
電動工具10は、例示的には、第2のジョイントを有する。第2のジョイントを介して、駆動部分24は、検出ユニット4と一緒に、設置部分1に対して相対的に、様々な第2の位置へ移行可能である。第2のジョイントは、特に、有利には第2の旋回軸を中心とする旋回を提供するための第2の旋回ジョイントである。第2のジョイントは、マイタージョイントと称することもできる。
【0074】
連結機構12は、有利には、第2の位置に対して不変に設置検出部分7と検出ユニット4との間の機械的な連結部を提供するように、構成されているので、設置検出装置7は、駆動部分4の様々な第2の位置で、第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する。例示的には、作動部分16は、第2の旋回ジョイントの旋回軸に対して同心に構成されている。
【0075】
以下、
図2~
図11を参照して、設置検出装置3の様々な態様について詳細に説明する。より良好な表現上の理由から、
図2~
図11では、電動工具10の部分領域又は一部のみが示されている。さらに、より良好な表現上の理由から、いくつかの図では、工具9の一部が隠されている。
【0076】
図2及び
図3では、第1の態様が示されている。第1の態様では、設置検出部分7は、連結要素14の一部である。ここでは、連結要素14は、設置面11が支台2上に設置されるとき、支台2に接触し、支台2によって直接に作動させられるように、配置されている。
【0077】
連結要素14は、例示的には、細長い、特にストリップ状の要素、特にレバー要素として構成されている。連結要素14の面状の最大の側面は、例示的には、y方向に対して垂直に向けられている。好適には、連結要素14は、その縦軸でもって、xz方向に向けられていて、設置面11のz領域から駆動部分24のz領域へ延在する。特に、連結要素14は、斜め上方へ延在する。設置検出部分7は、連結要素14の端部部分によって、特に専ら端部によって形成されている。連結要素14は、例示的には、y領域で、設置面11、特にベースプレート21と工具9との間に位置する。例示的には、設置検出部分7は、送り方向8で工具9の後方に位置する。
【0078】
連結要素14は、例示的には、駆動部分26に、有利には工具9の回転軸に対して平行に向けられた旋回軸を中心に旋回自在に支持されている。例示的には、連結部分14の旋回軸角度は、制限されている。例示的には、連結要素14は、物理的に存在する旋回軸29、例えばねじを介して旋回自在に駆動部分26に支持されている。旋回角度の制限は、例示的には、溝内でガイドされた制限要素31を介して行われる。制限要素31は、好適には、ねじとして構成されている。溝は、好適には、連結要素14に配置されていて、制限要素は、好適には、駆動部分26に取り付けられている。
【0079】
連結要素14は、例示的には、作動突出部32を有する。作動突出部32は、駆動部分26へ向けて延在する。マイター部分23の通常位置では、作動突出部32は、例示的には、y方向に延在する。作動突出部32を介して、検出ユニット4が作動させられる。
【0080】
駆動部分26には、例示的には、凹部33が設けられている。凹部33には、検出ユニット4、特に機械式に作動可能な検出ユニット、有利には接点スイッチが配置されている。連結要素14、特に作動突出部32は、凹部33内へ突出する。
【0081】
例示的には、切込み部分24、つまり特に駆動部分26及び/又は工具9は、設置部分1に対して、特に設置面11に対して相対的に、第1の旋回軸を中心に旋回自在に支持されている。この旋回自在な支持部は、例示的には、第1のジョイント15によって提供されている。駆動部分26は、第1のジョイント15を介して、設置部分1に対して相対的に様々な第1の位置へ移行させすることができる。第1のジョイント15は、例示的には、ブッシュ34と、ブッシュ34内に挿入された(物理的に存在する)旋回軸17、例示的にはピンとによって形成されている。ブッシュ34は、好適には、切込み部分24の一部であり、旋回軸17は、有利には、第1のジョイント部分25の一部である。
【0082】
連結機構12は、設置検出装置3が駆動部分26の様々な第1の位置でも第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握するように、構成されている。そのために、連結要素14に、支台2によって作動可能な作動部分16が存在し、作動部分16は、第1の旋回ジョイントの旋回軸17に対して同心に構成されている。
【0083】
例示的には、作動部分16は、設置検出部分7によって提供されている。好適には、作動部分16は、連結要素14の、丸み付けられた端部部分によって形成されている。例示的には、作動部分16は、部分円である。部分円の中心点は、旋回軸7上に位置する。好適には、作動部分16のz方向で最下点と設置面11との間の距離は、様々な、有利には全ての第1の位置で同一に維持されているので、設置面11及び設置検出部分7が支台2上に設置されるとき、設置検出部分7は、駆動部分26の、様々な、有利には全ての第1の位置で同一の作動、特に同一の作動ストロークを実行する。
【0084】
図4は、第1の設置状態を示す。ここでは、電動工具10は、設置部分1、特に設置面11でもって、支台2上に設置される。設置検出部分7は、支台2によって作動させられ、例示的には、z方向に上方へ押圧されている。連結機構12を介して、設置検出部分7の作動が、機械式に駆動部分26における検出ユニット4へ伝達されている。設置検出部分7が、支台2を、旋回軸17に対して同心に構成された、部分円状の作動部分16に接触させるので、作動部分16の作動は、旋回軸17を中心とする旋回による影響を受けず、つまりそのような旋回に対して不変である。
【0085】
以下、
図5~
図10を参照して、設置検出装置3の第2の態様について説明する。
【0086】
第2の態様は、連結要素14に対して付加的に設置検出部分7が存在する、つまり設置検出部分7と連結要素14とが2つの異なる要素であることにおいて、第1の態様とは異なる。この違いを除くと、第2の態様は、好適には、前述の観点の1つ、複数又は全てにおいて、前述の第1の態様に相当する。
【0087】
設置検出部分7は、好適にはy方向に対して平行の旋回軸を中心に、例示的には、可動に、特に旋回自在にベースプレート21にかつ/又はベースプレート21に対して相対的に取り付けられている。設置検出部分7は、好適には細長く構成されていて、その縦軸は、x方向に向けられている。設置検出部分7は、好適には、ベースプレート21の凹部に配置されている。第1の端部部分でもって、設置検出部分7は、例示的には、ベースプレート21に枢着されている。第2の端部部分で、設置検出部分7は、突出部35を有し、突出部35は、設置検出部分7の下方への旋回を制限する。好適には、突出部35は、設置検出部分7の最大の旋回位置で、ベースプレート21の上面に係合する。
【0088】
設置検出部分7は、連結要素14の作動部分16に機械的に連結されている。例示的には、作動部分16は、設置検出部分7に接触する。作動部分16は、第1の態様との関連において前述したように、第1の旋回軸17に対して同心に構成されているので、連結要素14の作動は、駆動部分26の第1の旋回位置に依存しない。例示的には、作動部分16は、ここでは円形に構成されている。
【0089】
図6は、第1の設置状態を示す。設置部分1、特に設置面11は、支台2上に設置されている。設置検出部分7は、支台2によって、特に直接に作動させられ、したがって上方へ押圧されている。設置検出部分7は、この状態で、好適には、設置面11よりも下方へ突出しない。好適には、設置検出部分7の下面は、z方向で設置面11と整合している。
【0090】
設置検出部分7の作動は、連結機構12を介して、例示的には連結要素14を介して、検出ユニット4へ機械式に伝達されている。
【0091】
図7は、同様に第1の設置状態を示す。切込み部分24は、
図7では、
図6とは異なる旋回位置にある。作動部分16が第1の旋回軸17に対して同心に構成されているので、作動部分16の、設置検出部分7によってもたらされている作動は、第1の旋回軸17を中心とする旋回位置に依存しない。
【0092】
図8は、第2の設置状態を示す。設置検出部分7は、支台2によって作動させられず、好適には、設置面11よりもさらに下方へ突出する。設置検出部分7のこの第2の位置は、連結機構12を介して、機械式に検出ユニット4へ伝達されている。例示的には、設置検出部分7の第2の位置によって、連結要素14が検出ユニット4
を作動させない。
【0093】
第2の態様では、連結機構12は、好適には、設置検出部分7と検出ユニット4との間の機械的な連結部が第2の旋回軸を中心とする旋回に対して不変に提供されるので、設置検出装置7が、第2の旋回軸を中心とする駆動部分4の異なる第2の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する、ように構成されている。例示的には、作動部分16は、第2の旋回ジョイントの旋回軸に対して同心に構成されている。
【0094】
作動部分16の相応の形態が、
図9及び
図10に示されている。(物理的に存在しない)第2の旋回軸が、例示的には、x方向に対して平行に延在する。設置検出部分7に接触する作動部分16は、yz断面で部分円状に形成されていて、この場合、部分円状の作動部分16の円の中心点は、第2の旋回軸上に位置する。好適には、作動部分16は、yz断面で凹状に形成されている。作動部分16に接触する設置検出部分7の上面が、好適には、yz断面で同様に部分円状であって、第2の旋回軸に対して同心に構成されている。設置検出部分7の上面は、特に凸状に形成されている。
【0095】
図9及び
図10では、駆動部分26及び工具9は、設置部分1に対して、特に設置面11に対して相対的な異なる第2の旋回位置にある。作動部分16の記載の形態によって、作動部分16の作動に対する第2の旋回軸を中心とする旋回の影響を最小化する又は排除することができる。
【0096】
図11は、設置検出装置3の第3の態様を示す。第3の態様によれば、検出ユニット4は、ベース部分19の一部であって、特に設置部分1に対して移動不能に支持されている。例示的には、検出ユニット4は、ベースプレート21に配置されている。検出ユニット4は、可動に、特に旋回自在に支持された設置検出部分7を介して作動可能である。設置検出部分7は、例示的には、x方向に対して平行に向けられた旋回軸を中心に旋回自在に支持されている。設置検出部分7は、z方向で検出ユニット4の下方に、しかも好適には、ベースプレート21における凹部に配置されている。
【0097】
以下、特定されているべき動作条件について説明する。電動工具10は、好適には、動作状態として、エラー状態、特にキックバック状態及び/又は加工状態を特定するように、構成されている。
【0098】
「キックバック」という用語は、典型的には、電動工具10による工作物の加工中に、電動工具10と工作物の間に突然予期せぬ力が発生し、この力によって、電動工具10が動かされてしまう状態を意味する。
【0099】
キックバックのとき、電動工具10は、支台2から持ち上がる。したがって、記載した設置検出装置3によって、特に第2の設置状態の検出によって、キックバックを認識することができる。
【0100】
これに対して代替的に又は付加的に、特定されているべき状態として、加工状態、例えば電動工具10が支台2上に設置されていることを認識することができる。
【0101】
電動工具10は、有利には、把握された動作状態に対する反応として、工具9の駆動を非作動化させる、工具9を停止させる、かつ/又は工具9を安全位置へ移行させるように、構成されている。さらに電動工具10は、有利には、把握された動作状態に対する反応として、動作状態信号を提供するように、構成されている。
【0102】
電動工具10は、特に、駆動装置を、非作動化させるために、アイドリング動作に切り替えるように、構成されている。有利には、電動工具10は、そのためにモータを非通電に切り替えるかつ/又は駆動ユニットの駆動トレーンを遮断するように、構成されている。
【0103】
電動工具10は、有利には、工具9を能動的に制動し、特に能動的に停止させるように、構成されている。好適には、電動工具10は、そのためにモータを能動的に制動するように、構成されている。電動工具10は、例えば、短絡によってかつ/又は逆の電界を印加することによってモータを制動するように、構成されている。
【0104】
電動工具10は、有利には、動作状態を特定するとき、把握された設置状態に対して付加的に、他の入力値、特に距離、力、圧力、モーメント、加速度、角速度、電流、電圧、回転数、トルク、温度及び/又は音を考慮するように、構成されている。
【0105】
有利な形態では、電動工具10は、他の入力値として、工具9の駆動に関連する電流を考慮するように、構成されている。電流は、特にモータ電流、バッテリ電流及び/又は電源電流である。好適には、電動工具10は、電流の振幅及び/又は変化率を考慮するように、構成されている。
【0106】
電動工具10は、好適には、他の入力値、特に電流を閾値と比較し、動作状態を特定するときに比較結果を考慮するように、構成されている。好適には、電動工具10は、他の入力値、特に電流が閾値を超えているとき、特にそのときだけキックバック状態を特定するように、構成されている。電動工具は、とりわけ、特に把握された回転数及び/又は把握されたかつ/又は入力された工具9の種類、特にのこ刃に基づいて、閾値に適合するように、構成されている。
【0107】
電動工具10は、好適には、他の入力値を把握された設置状態に依存して把握するように、構成されている。例えば、電動工具10は、特定の設置状態、例えば第1の設置状態及び/又は第2の設置状態が把握されているとき、有利にはそのときだけ他の入力値を把握するかつ/又は考慮するように、構成することができる。好適には、第2の設置状態で、他の入力値、特に電流が把握され、閾値と比較されている。他の入力値、特に電流が閾値を超えているとき、電動工具10は、有利には、キックバック状態を確定し、前述のいずれかの形で反応する。
【0108】
これに対して代替的に又は付加的に、電動工具は、設置状態が変化する瞬間に、又はその前後の特定の期間において、他の入力値、特に電流を把握し、閾値と比較するように、構成することもできる。他の入力値、特に電流が閾値を超えているとき、電動工具10は、好適には、キックバック状態を確定し、前述のいずれかの方法で反応する。
【0109】
電動工具10は、有利には、動作状態を特定するとき、現在把握された設置状態及び以前に把握された設置状態、特に、以前に把握された設置状態から現在把握された設置状態への設置状態変化を考慮するように、構成されている。好適には、電動工具10は、以前に把握された第1の設置状態の後で第2の設置状態が把握されている、かつ/又は第1の設置状態から第2の設置状態への設置状態変化が把握されているとき、エラー状態、特にキックバック状態を特定するように、構成されている。有利には、電動工具10は、電動工具の以前のオフ及びオンの前に把握された設置状態を、動作状態を特定するときに考慮しないように、構成されている。
【0110】
このようにして、特に、動作状態、特にキックバック状態にないにもかかわらず、電動工具10がそのような状態を推測することを防止することができる。
【0111】
図1では、電動工具10は、例えば、設置部分1の第2の領域6でもって、支台2上に設置されている。第1の領域5では、電動工具10は、支台2上に設置されていない。これに応じて、設置検出装置3は、第2の設置状態を把握する。しかしここでは、電動工具10は、キックバック状態を特定しない。というのも、第2の設置状態の前に第1の設置状態が把握されなかった、かつ/又は第1の設置状態から第2の設置状態への設置状態変化が把握されなかったからである。電動工具10が、第1の領域5、特に設置検出領域7でもって、支台2上へ摺動させられた後でようやく、第2の設置状態を把握するとき、キックバック状態が特定されている。
【0112】
好適には、電動工具10は、以下の条件が重なって満たされているとき、動作状態としてキックバック状態を特定するように、構成されている。設置検出装置3が、第2の設置状態を検出する。第2の設置状態の前に、設置検出装置3が、第1の設置状態を把握する。工具9を駆動するモータに関連している電流、特にこの電流の振幅及び/又は変化率が、所定の閾値を超える。
【0113】
電動工具10は、特に、以下の方法に従って動作することができる。
【0114】
電動工具10は、その設置部分1、特に第2の領域6でもって、支台2上に設置される。工具9の駆動装置が、操作装置28を介して始動させられる。電動工具10が、送り方向に支台2上へ摺動させられる。第1の領域5、特に設置検出部分7が、支台2へ摺動させられる。設置検出部分7が、支台2によって作動させられる。電動工具が、設置検出部分7の作動に基づいて、第1の設置状態を把握する。キックバック状態が発生する。電動工具が、第1の領域5でもって、特に設置部分1でもって、支台2から持ち上がる。設置検出部分7が、もはや支台2によって作動されていない。電動工具が、設置検出部分7の非作動に基づいて、第2の設置状態を把握し、キックバック状態にあることを特定する。特定されたキックバック状態に基づいて、電動工具9の駆動装置が非作動化させられる。
【0115】
図13は、電動工具20を示す。電動工具20は、例示的には、据置き式の電動工具として、特にのこ盤として、有利には丸のこ盤として構成されている。電動工具は、工作物36を設置するための設置部分1を有する。設置部分1は、有利には、設置面11を有する。設置部分1、特に設置面11は、好適には、z方向に対して垂直に、かつz方向に上向きに向けられている。電動工具20は、工具9を有し、工具9は、z方向に、設置部分1よりもさらに上方に延在する。電動工具20は、設置検出装置3を有するとともに、設置検出装置3によって、工作物36が電動工具20の設置部分1の少なくとも1つの第1の領域5上に設置されている第1の設置状態、及び/又は工作物36が電動工具20の設置部分1の少なくとも第1の領域5に設置されていない第2の設置状態を把握し、そして把握された設置状態に基づいて電動工具20の動作状態を特定するように、構成されている。電動工具20は、好適には、電動工具10の前述のいずれかの形態に従って又はその形態と同様に、構成されている。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下を含む。
1.
電動工具(10)、特に手持ち式の電動工具であって、
電動工具(10)を支台(2)上に、特に工作物上にかつ/又はガイド要素上に設置するための設置部分(1)を備え、
電動工具(10)は、設置検出装置(3)を有するとともに、設置検出装置(3)によって、電動工具(10)が設置部分(1)の少なくとも1つの第1の領域(5)でもって支台(2)上に設置されている第1の設置状態及び/又は電動工具(10)が少なくとも第1の領域(5)でもって支台(2)上に設置されていない第2の設置状態を把握し、把握された設置状態に基づいて電動工具(10)の動作状態を特定するように、構成されている、電動工具(10)。
2.
電動工具(20)、特に据置き式の電動工具であって、
工作物を設置するための設置部分(1)を備え、
電動工具(20)は、設置検出装置(3)を有するとともに、設置検出装置(3)によって、工作物が電動工具(20)の設置部分(1)の少なくとも1つの第1の領域上に設置されている第1の設置状態及び/又は工作物が電動工具(20)の設置部分(1)の少なくとも第1の領域上に設置されていない第2の設置状態を把握し、把握された設置状態に基づいて電動工具(20)の動作状態を特定するように、構成されている、電動工具(20)。
3.
第1及び/又は第2の設置状態を把握するための設置検出装置(3)が、検出ユニット(4)を有し、検出ユニット(4)は、特に機械式に作動可能な検出ユニット(4)として、有利には接点スイッチとして構成されている、上記1又は2の電動工具(10、20)。
4.
電動工具(10)は、工具(9)を駆動するための駆動部分(26)を有し、駆動部分(26)に、検出ユニット(4)が配置されていることを特徴とする、上記3の電動工具(10)。
5.
電動工具(10)は、第1のジョイント(15)を有し、第1のジョイント(15)を介して、駆動部分(26)は、検出ユニット(4)とともに設置部分(1)に対して相対的に様々な第1の位置へ移行可能である、上記4の電動工具(10)。
6.
電動工具(10、20)は、設置検出部分(7)を有し、設置検出装置(3)は、設置検出部分(7)が支台(2)によって作動させられるかどうかに基づいて、第1及び/又は第2の設置状態を把握するように、構成されている、上記5の電動工具(10、20)。
7.
設置検出装置(3)は、連結機構(12)を有し、連結機構(12)を介して、設置検出部分(7)は、検出ユニット(4)に機械的に連結されていて、これにより、電動工具(10)が第1の設置状態にあるか又は第2の設置状態にあるかに依存して、検出ユニット(4)が、機械式に作動させられる、上記6の電動工具(10)。
8.
連結機構(12)は、駆動部分(26)に可動に支持された連結要素(14)を有する、上記7の電動工具(10)。
9.
連結機構(12)は、第1の位置に対して不変な設置検出部分(7)と検出ユニット(3)との間の機械的な連結部を提供するように、構成されていて、ゆえに、設置検出ユニット(3)は、駆動部分(26)の様々な第1の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する、上記7又は8の電動工具(10)。
10.
第1のジョイント(15)は、第1の旋回ジョイントであり、連結機構は、設置検出部分(7)及び/又は支台(2)によって作動可能な作動部分(16)を有し、作動部分(16)は、第1の旋回ジョイントの旋回軸(17)に対して同心に構成されている、上記7から9のいずれか1つの電動工具(10)。
11.
電動工具(10)は、第2のジョイントを有し、第2のジョイントを介して、駆動部分(26)は、検出ユニット(4)とともに、設置部分(1)に対して相対的に、様々な第2の位置へ移行可能であり、連結機構(12)は、第2の位置に対して不変な設置検出部分(7)と検出ユニット(4)との間の機械的な連結部を提供するように、構成されていて、ゆえに、設置検出装置(3)は、駆動部分の様々な第2の位置で第1及び/又は第2の設置状態を正しく把握する、上記7から10のいずれか1つの電動工具(10)。
12.
第2のジョイントは、第2の旋回ジョイントであり、作動部分(16)が、第2の旋回ジョイントの旋回軸に対して同心に構成されている、上記11の電動工具(10)。
13.
設置検出部分(7)が、送り方向(8)で、電動工具(10、20)の工具(9)の後方に、前方にかつ/又は工具(9)の領域に配置されている、上記6から12のいずれか1つの電動工具(10、20)。
14.
設置部分(1)は、設置面(11)を有し、設置検出部分(7)は、設置面(1)に対して相対的に移動可能に支持されている、上記6から13のいずれか1つの電動工具(10、20)。
15.
電動工具(10、20)は、動作状態を特定するとき、把握された設置状態に対して付加的に、1つ又は複数の他の入力値、特に距離、力、圧力、モーメント、加速度、角速度、電流、電圧、回転数、トルク、温度及び/又は音を考慮するように、構成されている、上記1から14のいずれか1つの電動工具(10、20)。
16.
電動工具(10、20)は、把握された設置状態に依存して、他の入力値を把握するように、構成されている、上記15の電動工具(10、20)。
17.
電動工具(10、20)は、動作状態を特定するとき、現在把握されている設置状態と、以前に把握された設置状態、特に以前に把握された設置状態から現在把握されている設置状態への設置状態変化とを考慮するように、構成されている、上記1から16のいずれか1つの電動工具(10、20)。
18.
電動工具(10、20)は、以下の、
設置検出装置が、第2の設置状態を把握する、
第2の設置状態の前に、設置検出装置が、第1の設置状態を把握する、
工具を駆動するモータに関係する電流が、所定の閾値を超える、
という条件が重なって満たされているかどうかに依存して、動作状態としてキックバック状態を特定するように、構成されている、上記1から17のいずれか1つの電動工具(10、20)。
19.
電動工具(10、20)は、動作状態として、エラー状態、特にキックバック状態及び/又は加工状態を特定するように、構成されていることを特徴とする、上記1から18のいずれか1つの電動工具(10、20)。
20.
電動工具(10、20)は、把握された動作状態に対する反応として、工具(9)の駆動装置を非作動化させる、工具(9)を停止させる、かつ/又は工具(9)を安全位置へ移行させるように、構成されていることを特徴とする、上記1から19のいずれか1つの電動工具(10、20)。