(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】リンゴワックスでコーティングしたキャンディ
(51)【国際特許分類】
A23G 3/36 20060101AFI20240723BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A23G3/36
A23G3/34 101
(21)【出願番号】P 2021518722
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(86)【国際出願番号】 EP2019077531
(87)【国際公開番号】W WO2020074668
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】102018217341.9
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516389411
【氏名又は名称】カッチェス ファッシン ゲーエムベーハー. プルス ツェオー.コマンディトゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】KATJES FASSIN GMBH. + CO. KOMMANDITGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アイディン、ビュレント
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-020281(JP,A)
【文献】特表2007-514727(JP,A)
【文献】特開2016-032465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア(101)と、コア(101)を境界付ける外面(102)とを含む菓子(100)であって、コア(101)の外面(102)の少なくとも一部がコーティング剤(103)でコーティングされ、
コーティング剤(103)が、リンゴワックスを含み、
菓子(100)がビーガンソフトキャンディであ
り、
前記コーティング剤(103)が、
- 1~20重量%のリンゴワックス、
- 50~98重量%の植物油、および
- 0.1~5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
をそれぞれ、コーティング剤(103)の総重量に基づいて含む、
菓子(100)。
【請求項2】
菓子(100)が、菓子(100)の重量に基づいて0.001重量%~0.1重量%の範囲内の量でリンゴワックスを含有する、請求項1に記載の菓子(100)。
【請求項3】
リンゴワックスが、以下の工程を含む方法によって得ることができる、
i) リンゴ皮を含む組成物を有機溶剤で抽出すること、
ii) リンゴワックスを得るために、抽出物から有機溶媒を少なくとも部分的に蒸発させること
請求項1または2に記載の菓子(100)。
【請求項4】
リンゴ皮を含む組成物が、脱ペクチン化リンゴポマースである、請求項3に記載の菓子(100)。
【請求項5】
有機溶媒が、アルコール、エーテル、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、またはそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される、請求項3または4に記載の菓子(100)。
【請求項6】
リンゴワックスが、以下の特性の少なくとも1つを達成する、
(α) リンゴワックスの総重量を基準として10~50重量%の範囲内のノナコサン含量、
(β) リンゴワックスの総重量を基準として20~80重量%の範囲内のウルソール酸含量
請求項1~5のいずれかに記載の菓子(100)。
【請求項7】
以下の工程(301、302、303)を含み、
I) 菓子前駆塊を提供すること、
II) コア(201)と、コア(201)を境界付ける外面(202)とを含む菓子前駆体(200)を得るために菓子前駆塊を成形すること、
III) コア(201)の外面(202)の少なくとも一部をコーティング剤(103)でコーティングすること、
コーティング剤(103)が、リンゴワックスを含み、
工程I)(301)において提供される菓子前駆塊が、ビーガンソフトキャンディ前駆塊であ
り、
前記コーティング剤(103)が、
- 1~20重量%のリンゴワックス、
- 50~98重量%の植物油、および
- 0.1~5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
をそれぞれ、コーティング剤(103)の総重量に基づいて含む、
菓子(100)を製造するための方法(300)。
【請求項8】
前記リンゴワックスが、請求項3~6のいずれかで定義されるリンゴワックスである、請求項7に記載の方法(300)。
【請求項9】
菓子(100)をコーティングするためのコーティング剤(103)として、または
菓子(100)をコーティングするためのコーティング剤(103)の成分としてのリンゴワックスの使用であって、
菓子(100)がビーガンソフトキャンディであ
り、
前記コーティング剤(103)が、
- 1~20重量%のリンゴワックス、
- 50~98重量%の植物油、および
- 0.1~5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
をそれぞれ、コーティング剤(103)の総重量に基づいて含む、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアと、該コアを境界付ける外面とを備え、該コアの外面の少なくとも一部、好ましくは該コアの外面全体が、コーティング剤でコーティングされている菓子、菓子の製造方法、この方法によって得ることができる菓子、およびリンゴワックスの使用に関する。
【0002】
菓子は広く普及しており、一般に好まれている高級食品である。先行技術において一般的に知られている菓子を製造する1つの方法は、液状菓子前駆塊をワンパート型またはマルチパート型に注ぐことを含む。従来技術におけるこの一般的な方法で製造された菓子には、脂肪含有菓子、および糖塊から製造された菓子(砂糖菓子)が含まれる。脂肪含有菓子の例はチョコレートである。糖塊から作られる菓子には、キャンディが含まれる。キャンディの中では、ハードキャンディとソフトキャンディとが区別される。ハードキャンディはまた、咳止めドロップのような医学的に活性なキャンディを含む。ハードキャンディがそれを保持するスティックを備えている場合、それはロリポップ(lollipop)と呼ばれる。ソフトキャンディの例には、フルーツガム、リコリス(licorice)、トフィー、およびチューイキャンディが含まれる。
【0003】
キャンディは、スタンピング機によって、またはキャンディ前駆塊を、金属、ゴム被覆金属、ゴム、または寸法安定性プラスチックから作製された鋳型に注ぎ、次いで塊を硬化させることによって製造することができる。このようなキャンディの製造に適した方法の例は、DE 872 149 C、DE 872 149 C、DE 10 2007 031 747 A1またはDE 40 04 688 A1に記載されている。
【0004】
キャンディ、特にフルーツガムが後の貯蔵中に互いに付着するのを防止するために、それらは通常、フルーツガムの表面に所望の光沢を与えるコーティング剤でコーティングされる。さらに、コーティング剤はまた、食品の貯蔵寿命および強度を改善する。
【0005】
食品のコーティング剤として植物油、酸化防止剤、およびワックスの混合物を使用することは、従来技術から知られており、通常使用されるワックスは、蜜蝋(E 901)、カンデリラワックス(E902;メキシコ砂漠植物の葉から抽出される天然物質)、カルナウバ蝋(E903;ワックスパームの葉表面から得られる天然物質)、シェラック(E904;ガムラック(gum-lac)から作られる天然樹脂であり、ラックカイガラムシ(lac insect)の排泄から順番に得られる)、またはこれらのワックスの混合物である。フルーツキャンディのような菓子の場合には、コーティング剤の成分として蜜蝋が特に適している。
【0006】
本発明の全体的な目的は、従来技術から生じる欠点を少なくとも部分的に克服することである。本発明の特定の目的は、コーティング剤でコーティングされ、従来技術から知られている蜜蝋および/またはカルナウバ蝋でコーティングされた菓子と比較して、互いにくっつく傾向が低減され、したがって貯蔵安定性も改善されたビーガン菓子を提供することである。本発明のさらなる目的は、コーティング剤でコーティングされ、コーティング剤が、先行技術から知られている蜜蝋および/またはカルナウバ蝋を含むコーティング剤よりも菓子の色にあまり顕著な影響を及ぼさない、ビーガン菓子を提供することである。本発明のさらなる目的は、好ましくは、コーティング剤でコーティングされ、蜜蝋および/またはカルナウバ蝋がコーティング剤の成分である先行技術から公知の菓子と比較して、改善された熱安定性を有するビーガン菓子を提供することである。また、本発明の基礎をなす目的は、コーティング剤でコーティングされ、蜜蝋および/またはカルナウバ蝋がコーティング剤の成分である先行技術から公知の砂糖菓子と比較して改善された光沢を有するビーガン菓子を好適に提供することであった。本発明の目的は、ワックスでコーティングされ、先行技術から公知の蜜蝋および/またはカルナウバ蝋でコーティングされた菓子と比較して、より少ないワックスでコーティングされ、しかも同等の光沢および/または同等の粘着傾向を有する、ビーガン菓子を提供することである。さらに、本発明の基礎をなす目的は、コーティング剤でコーティングされ、蜜蝋および/またはカルナウバ蝋がコーティング剤の構成成分である先行技術から知られている菓子と比較して、コーティング剤による表面の密封が改善され、したがって食品が臭気、味および湿気の損失に対してさらに大きな保護を有する、好ましくはビーガン菓子を好適に提供することであった。
【0007】
これらの目的の少なくとも1つの少なくとも部分的な達成への寄与は、独立請求項によってなされる。従属請求項は、これらの目的の少なくとも1つの少なくとも部分的な達成に寄与する好ましい実施形態を提供する。
【0008】
本発明の目的の少なくとも1つの達成への寄与は、コアと、コアを境界付ける外面とを含み、コアの外面の少なくとも一部、好ましくはコアの外面全体がコーティング剤でコーティングされ、コーティング剤が、リンゴワックスを含むことを特徴とする菓子によってなされる。
【0009】
コアの形状としては、菓子、好ましくは砂糖菓子、さらにより好ましくはキャンディのための当業者に知られている全ての形状が適切である。コアの好ましい実施形態では、表面は、コアの少なくとも一方の側にレリーフを含む。好ましいレリーフは、スタンプされたパターンまたはスタンプされた図形表現、またはその両方を含む。好ましい図形表現は、キャラクター、文字、数字、および三次元描写、またはそれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択される1つを含む。好ましい三次元描写は、物体、輸送手段、生命体、食品、食材(foodstuff)、および前記品目のいずれかの構成要素、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つの描写である。好ましい輸送手段は、列車、自動車、および飛行機、またはそれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択されるものである。好ましい生物は、ヒト、動物、および植物、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるものである。好ましい食品は果物である。好ましい食剤は果物である。ここでは、三次元描写が、どのように真に迫って、歪められて、または理想化されて、モデルと比較されるかは重要ではない。
【0010】
本発明の菓子は、好ましくは砂糖菓子、特にキャンディ、非常に特に好ましくはソフトキャンディ、例えばチューイキャンディ、フルーツガムまたはトフィー、またはハードキャンディ、例えば咳止めドロップまたはロリポップである。
【0011】
ソフトキャンディは、非常に粘性があり、噛むようなコンシステンシーを有する。ソフトキャンディは、食べるときに噛むことが好まれる。咀嚼中、ソフトキャンディは徐々に溶解する傾向がある。ソフトキャンディは、ソフトキャンディの総重量に基づいて、1~20重量%、5~20重量%、10~20重量%、または15~20重量%の範囲内の水分含量を有することができる。好ましいソフトキャンディは、弾性的に変形可能である。特に好ましいソフトキャンディは、70以下、好ましくは65以下、より好ましくは60以下、より好ましくは55以下、より好ましくは50以下、より好ましくは45以下、より好ましくは40以下、より好ましくは35以下、より好ましくは30以下、より好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらにより好ましくは20以下、さらにより好ましくは15以下、最も好ましくは10以下のショア硬度Aを有する。別の好ましいソフトキャンディは、フルーツガム、ワインガム、トフィー、およびチューイキャンディ、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるものである。別の好ましいソフトキャンディは親水コロイドを含む。好ましい親水コロイドはゼラチンである。特に好ましいソフトキャンディは、動物起源の成分を全く含まず、従ってビーガンである。さらに、本発明のソフトキャンディは、ソフトキャンディ1kg当たり0.5g未満、好ましくはソフトキャンディ1kg当たり0.2g未満、より好ましくはソフトキャンディ1kg当たり0.1g未満のテオブロミンまたはテオブロミン誘導体の含有量を有することが好ましい。本発明のソフトキャンディは、テオブロミンまたはテオブロミン誘導体を含有しないことがさらに好ましい。さらに、カカオバターは、本発明のソフトキャンディ中に、ソフトキャンディ15重量%未満の含有量で、好ましくはソフトキャンディ5重量%未満の含有量で、さらに好ましくはソフトキャンディ0.1重量%未満の含有量で存在することが好ましい。本発明のソフトキャンディは、カカオバターを含有しないことがさらに好ましい。
【0012】
ハードキャンディは、好ましくは硬質で脆い。好ましいハードキャンディは、弾性的に変形可能ではない。好ましいハードキャンディはガラス様構造を含む。別の好ましいハードキャンディは、ハードキャンディの総重量に基づいて、1重量%~4重量%、好ましくは1重量%~3重量%の範囲内の水分含量を有する。ハードキャンディは、好ましくは、消費時に吸引される。煮菓子とも呼ばれる。ハードキャンディという用語には、棒をつけたハードキャンディも含まれており、これをロリポップと呼ぶ。非常に特に好ましいハードキャンディは、70を超える、好ましくは75を超える、より好ましくは80を超える、より好ましくは85を超える、より好ましくは90を超える、さらにより好ましくは95を超える、最も好ましくは100を超えるショア硬度Aを有する。別の好ましいハードキャンディは吸湿性である。別の好ましいハードキャンディは、30%未満のGF値を有する。別の好ましいハードキャンディは、ゼラチンを全く含有しない。
【0013】
菓子は、必須成分として糖もしくは糖代替物またはその両方を含む菓子前駆塊から製造される。好ましい糖は、多糖、スクロース、グルコース、フルクトース、および転化糖、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるものである。好ましい糖代替物は、イソモルト、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、およびポリデキストロース、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つである。別の好ましい菓子前駆塊は、さらに、ミルク調製物、植物油脂、乳化剤、カラーミクスチャー、油、活性物質、植物抽出物およびフレーバリングまたはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つを含む。好ましい油は精油である。好ましい精油は、ユーカリ油、ミント油、およびメントール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つである。好ましい活性物質は、去痰薬効果、鎮痛効果、腫脹軽減効果、および抗炎症効果、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つを有する。好ましい植物抽出物は、ハーブ抽出物、根抽出物、および樹皮抽出物、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるものである。好ましいハーブ抽出物は、セージ、バックホーンプランテーン(buckhorn plantain)、カウスリップ(cowslip)、およびマロウ、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つからの抽出物である。好ましい根抽出物は、しばしば単にリコリスと呼ばれるカンゾウ根抽出物である。好ましいフレーバリングは、合成フレーバリングまたは天然フレーバリングまたはその両方である。別の好ましいフレーバリングは、フルーツフレーバリングである。
【0014】
本発明の菓子の好ましい実施形態では、コーティング剤は、リンゴワックス、植物油、および少なくとも1つの酸化防止剤を含む。
【0015】
好ましい植物油は、特に、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、ゴマ油、ベフラワー油、トール油、アマニ油、コルザ油、マスタード油、オリーブ油、茶種子油、トウモロコシ油、コムギ胚芽油、コリアンダー油、チストル油、サフロンチストル油、ボレージ油、イブニングプリムローズ油、フェンネル油もしくはブラッククラント種子油、またはこれらの油の少なくとも2つの混合物であり、特に、ヒマワリ油の使用が好ましい。
【0016】
好ましい酸化防止剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グアヤク樹脂、レシチン、ノルジヒドログアレチン酸、没食子酸プロピル、没食子酸ドデシル、トコフェロール、トリヒドロキシブチロフェノン、アスコルビン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、モノイソプロピルクエン酸、チオジプロピオン酸、またはこれらの酸化防止剤の少なくとも2つの組み合わせであり、特に、α-トコフェロール(ビタミンE)のような脂溶性または油溶性酸化防止剤の使用が好ましい。
【0017】
本発明の菓子の好ましい実施形態において、コーティング剤が、
- 1~20重量%、より好ましくは2.5~17.5重量%、最も好ましくは5~15重量%のリンゴワックス、
- 50~98重量%、より好ましくは60~97重量%、最も好ましくは70~96重量%の植物油、そしてまた
- 0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.25重量%~2.5重量%、最も好ましくは0.5重量%~1.5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
を含み、
ここで、与えられる量は、それぞれの場合においてコーティング剤の総重量に基づく。
【0018】
本発明の菓子のさらなる好ましい実施形態において、コーティング剤が、
- 1~20重量%、より好ましくは2.5~17.5重量%、最も好ましくは5~15重量%のリンゴワックス、
- 75重量%~98重量%、より好ましくは80重量%~97重量%、最も好ましくは83.5重量%~94重量%の植物油、そしてまた
- 0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.25重量%~2.5重量%、最も好ましくは0.5重量%~1.5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
を含み、
ここで、与えられる量は、それぞれの場合においてコーティング剤の総重量に基づいており、好ましくは合計で100重量%までである。
【0019】
本発明によれば、菓子は、それぞれの場合において菓子の重量に基づいて、0.001重量%~0.1重量%の範囲内、より好ましくは0.005重量%~0.05重量%の範囲内、最も好ましくは0.005重量%~0.025重量%の範囲内の量でリンゴワックスを含有することがさらに好ましい。さらに、本発明によれば、菓子が、それぞれの場合において菓子の重量に基づいて、0.01重量%~1重量%の範囲内、より好ましくは0.05重量%~0.5重量%の範囲内、最も好ましくは0.1重量%~0.25重量%の範囲内の量でコーティング剤を含むことが好ましい。
【0020】
コーティング剤に含有されるリンゴワックスは、当業者に公知のリンゴ皮からリンゴワックスを得るための任意の方法によって得ることができる。リンゴワックスは、好ましくは、以下の工程を含む方法によって得ることができる:
i) リンゴ皮を含む組成物を、有機溶媒、好ましくは例えばエタノールのようなアルコール、エーテル、炭化水素、例えばクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、またはそれらの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される有機溶媒で抽出すること、
ii) リンゴワックスを得るために、抽出物から有機溶媒を少なくとも部分的に蒸発させること
【0021】
工程i)で使用される、リンゴ皮を含む適切な組成物は、ペクチン製造産業の廃棄物である脱ペクチン化リンゴポマースである。脱ペクチン化リンゴポマースからリンゴワックスを製造する方法は、例えばWO 93/17083 A1に記載されている。
【0022】
加えて、本発明によれば、リンゴワックスは、以下の特性の少なくとも1つを達成することが好ましいが、好ましくは、以下の特性の両方を達成する:
(α) それぞれの場合においてリンゴワックスの総重量に基づいて10~50重量%の範囲内、好ましくは15~40重量%の範囲内、最も好ましくは20~35重量%の範囲内のノナコサン含量、
(β) それぞれの場合においてリンゴワックスの総重量に基づいて20重量%~80重量%の範囲内、好ましくは25重量%~70重量%の範囲内、最も好ましくは35重量%~70重量%の範囲内のウルソール酸含量
【0023】
冒頭で述べた目的を達成するための貢献は、以下の工程を含む菓子の製造方法によってもなされる。
I) 菓子前駆塊を提供すること、
II) コアと、コアを境界付ける外面とを含む菓子前駆体を得るために菓子前駆塊を成形すること、
III) コアの外面の少なくとも一部、好ましくはコアの外面全体をコーティング剤でコーティングすること、
コーティング剤がリンゴワックスを含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の方法の工程I)において、菓子前駆塊が最初に提供される。菓子前駆塊は、さらなる加工によって菓子を製造することができる塊である。好ましい菓子前駆塊は、必須成分として、糖または糖代替物またはその両方を含む。好ましい糖は、多糖、スクロース、グルコース、フルクトース、および転化糖、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるものである。好ましい糖代替物は、イソモルト、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、およびポリデキストロース、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つである。別の好ましいハードキャンディ塊は、ミルク調製物、植物脂肪、乳化剤、カラーミクスチャー、油、活性物質、植物抽出物、およびフレーバリング、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つをさらに含む。好ましい油は精油である。好ましい精油は、ユーカリ油、ミント油、およびメントール、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つである。好ましい活性物質は、去痰薬効果、鎮痛効果、腫脹軽減効果、および抗炎症効果、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つを有する。好ましい植物抽出物は、ハーブ抽出物、根抽出物、および樹皮抽出物、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択されるものである。好ましいハーブ抽出物は、セージ、バックホーンプランテーン、カウスリップ、およびマロウ、またはそれらの少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される1つからの抽出物である。好ましい根抽出物は、しばしば単にリコリスと呼ばれるカンゾウ根抽出物である。好ましいフレーバリングは、合成フレーバリングまたは天然フレーバリングまたはその両方である。別の好ましいフレーバリングは、フルーツフレーバリングである。工程II)における成形の間、菓子前駆塊は、好ましくは120~145℃の範囲内、好ましくは130~155℃の範囲内、より好ましくは140~160℃の範囲内の加工温度を有する。工程II)における成形中に菓子前駆体が有する加工温度は、菓子前駆塊が良好な流動特性を特徴とするように選択される。この状態では、菓子前駆塊は液体として記載される。
【0025】
本発明の工程II)では、菓子前駆塊を成形して、コアと、コアを境界付ける外面とを含む菓子前駆体を得る。本発明の方法の一実施形態において、この成形は、例えばWO 2016/113318 A1に記載されているように、出口開口部を有するノズルを用いて菓子前駆塊を成形し、菓子前駆塊で基材を覆い、成形体を得ることによって行われる。本発明の方法の別の実施形態では、この成形は、粉末を保持する担体を提供することによって実施され、この担体では、粉末が、平らな粉末ベッドを含み、平らな粉末ベッドが、多数のネガ型を含み、さらなる工程で、ネガ型が、次いで菓子前駆塊で充填される。このような方法は、例えばDE 10 2014 009321 A1に記載されている。
【0026】
コアと、コアを境界付ける外面とを含む菓子前駆体を得るために、菓子前駆塊が、例えば、国際公開第2016/113318号A1に記載の方法、またはDE 10 2014 009321 A1に記載の方法により成形されると、菓子前駆塊は硬化され、ここで、硬化は、乾燥(例えば、国際公開第2016/113318号A1に記載の方法の場合)または冷却、特に能動冷却方法または受動的にまたは両方による冷却(例えば、DE 10 2014 009321 A1に記載の方法の場合)からなり得る。
【0027】
上述の方法で菓子前駆体が得られたら、コアの外面の少なくとも一部、好ましくはコアの外面全体が、コーティング剤でコーティングされる工程III)にある。
【0028】
菓子前駆体のコーティングは、当業者が菓子前駆体、例えばソフトキャンディまたはハードキャンディをコーティング剤、好ましくは液体コーティング剤でコーティングするのに適していると考える任意の方法によって行うことができる。これらの方法は、菓子前駆体をコーティング剤中に浸漬すること、菓子前駆体上にコーティング剤を広げること、またはコーティング剤を菓子前駆体上に噴霧または滴下することであり得、特に液体コーティング剤を噴霧することが優先される。この噴霧は、好ましくは、噴霧装置を備えたミキサー中で実施され、その結果、菓子前駆体は、噴霧プロセスの間に混合され得、そしてコーティング剤での菓子前駆体のコーティングが可能な限り均一であることを確実にする。菓子前駆体がコーティング剤でコーティングされる温度は、特にコーティング剤の融点に依存する。温度は、コーティング剤が噴霧プロセス中に液体であり、かつ、均一な噴霧を確実にするのに十分に低い粘度を有するように選択される。菓子としてのフルーツガムの場合、菓子前駆体は、好ましくは、ワックスドラムとして知られるものでコーティングされる。
【0029】
本発明の方法は、コーティング剤がリンゴワックスを含むことを特徴とする。本発明の方法の好ましい実施形態では、工程III)で使用されるコーティング剤が、リンゴワックス、植物油、および少なくとも1つの酸化防止剤を含む。
【0030】
好ましい植物油は、特に、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、ゴマ油、ベフラワー油、トール油、アマニ油、コルザ油、マスタード油、オリーブ油、ティーシード油、トウモロコシ油、コムギ胚芽油、コリアンダー油、チストル油、サフロンチストル油、ボレージ油、イブニングプリムローズ油、フェンネル油もしくはブラッククラント種子油、またはこれらの油の少なくとも2つの混合物であり、特に、ヒマワリ油の使用が好ましい。
【0031】
好ましい酸化防止剤の例は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グアヤク樹脂、レシチン、ノルジヒドログアレチン酸、没食子酸プロピル、没食子酸ドデシル、トコフェロール、トリヒドロキシブチロフェノン、アスコルビン酸、ジラウリルチオジプロピオネート、モノイソプロピルクエン酸、チオジプロピオン酸、またはこれらの酸化防止剤の少なくとも2つの組み合わせであり、特に、α-トコフェロール(ビタミンE)のような脂溶性または油溶性酸化防止剤の使用が好ましい。
【0032】
本発明の方法の好ましい態様において、工程III)において使用されるコーティング剤が、
- 1~20重量%、より好ましくは2.5~17.5重量%、最も好ましくは5~15重量%のリンゴワックス、
- 50~98重量%、より好ましくは60~97重量%、最も好ましくは70~96重量%の植物油、そしてまた
- 0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.25重量%~2.5重量%、最も好ましくは0.5重量%~1.5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
を含み、
ここで、与えられる量は、それぞれの場合においてコーティング剤の総重量に基づく。
【0033】
本発明の方法のさらなる好ましい実施形態において、工程III)において使用されるコーティング剤が、
- 1~20重量%、より好ましくは2.5~17.5重量%、最も好ましくは5~15重量%のリンゴワックス、
- 75重量%~98重量%、より好ましくは80重量%~97重量%、最も好ましくは83.5重量%~94重量%の植物油、そしてまた
- 0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.25重量%~2.5重量%、最も好ましくは0.5重量%~1.5重量%の少なくとも1つの酸化防止剤
を含み、
ここで、与えられる量は、それぞれの場合においてコーティング剤の総重量に基づいており、好ましくは合計で100重量%までである。
【0034】
リンゴワックスは、それぞれの場合において菓子の重量に基づいて、0.001重量%~0.1重量%の範囲内、より好ましくは0.005重量%~0.05重量%の範囲内、最も好ましくは0.005重量%~0.025重量%の範囲内の量で使用されることがさらに好ましい。加えて、本発明によれば、コーティング剤は、それぞれの場合において菓子の重量に基づいて、0.01重量%~1重量%の範囲内、より好ましくは0.05重量%~0.5重量%の範囲内、最も好ましくは0.1重量%~0.25重量%の範囲内の量で使用されることが好ましい。
【0035】
特に好適なリンゴワックスは、本発明の菓子に関連して好ましいリンゴワックスとして既に上述したリンゴワックスである。
【0036】
冒頭で述べた目的を達成するための貢献は、本発明の方法によって得ることができ、好ましくは本発明の方法によって得られる菓子、好ましくはソフトキャンディまたはハードキャンディによってもなされる。
【0037】
冒頭で述べた目的を達成するための貢献は、さらに、菓子をコーティングするため、好ましくはソフトキャンディまたはハードキャンディを製造するためのコーティング剤として、またはコーティング剤の成分としてリンゴワックスを使用することによってなされる。好ましいリンゴワックスは、ここでもまた、本発明の砂糖キャンディに関連して好ましいリンゴワックスとして冒頭で既に記載されているリンゴワックスである。
【実施例】
【0038】
以下、実施例および図面を参照して本発明を説明するが、本発明の限定を意味する実施例および図面はない。
【0039】
実施例1-ゼラチンベースのフルーツガム
【0040】
実施例1は、ゼラチンベースのフルーツガムの形態の本発明の菓子の、本発明による製造に関する。
【0041】
まず、粉末ボックスを、成形用粉末のキャリアとして用意した。使用した成形粉末は、コーンスターチに対して100g当たり4.5~8.0gの含水量を有するコーンスターチであった。粉末ボックスにコーンスターチを充填し、これを粉末ボックス中の平らなコーンスターチベッドに引き出した。キャンディ成形用のネガ型をスタンピングするために、プラスター/ステンレス鋼製の成形ダイを準備した。成形ダイは、保持部分と、製造されるキャンディのポジティブ形状を有する別の部分とからなっていた。スタンピング中に粉末にプレスされる成形ダイの下側ダイ表面は、ここでは、製造されるフルーツガムの上面に対応する。このダイ表面はレリーフを含む。レリーフは、イチゴの表面の一部の三次元描写である。成形ダイは、コーンスターチベッドにプレスすることによってネガ型を打ち抜くために使用された。ネガ型をコーンスターチベッド上に均等な分布で打ち抜き、成形ダイをコーンスターチベッド内に、少なくとも1cmのコーンスターチが各ネガ型の下に残るような深さだけプレスした。各スタンピングの後、成形ダイは、スタンピングされたネガ型を損傷することなく、垂直上方に除去された。
【0042】
次いで、フルーツガム前駆塊のレシピを、原料を秤量することによって組み立てた。レシピは、レシピに基づいてそれぞれ、
- 純度99.5%、pH7、甘味100、およびECカテゴリーIを有する、44重量%のスクロース、
- 31重量%のグルコースシロップであって、使用されるシロップがDE 42 SE、pH 4.8~5.3、乾燥物質が、グルコースシロップの約80重量%であり、乾燥物質が、乾燥物質に基づいてそれぞれ、6重量%のデキストロース、37重量%のマルトース、および57重量%の多糖を含むシロップ、
- 飲料水条例の要件を満たす17%の水、
- ゼラチンに基づいてそれぞれ、84%~86%のタンパク質、9%~12%の水、2%~4%のミネラルを含む、6重量%のゼラチン、
- 1.5重量%の酸、クエン酸一水和物、酸に対して8.6重量%の残留水、酸性度90、インバージョンレート0.64、
- 果実抽出物から得た0.25重量%の着色料、
- 0.25重量%のフレーバリング、濃縮物としての果実から得た天然フレーバリング
からなっていた。
【0043】
その後、ゼラチンをレシピに従って水に溶解し、ゼラチン溶液を得た。次に、レシピのスクロースを十分な容量の銅なべに入れ、スクロースを110℃で溶解した。次いで、グルコースシロップを添加し、得られた溶液を、混合スプーンで連続的に撹拌しながら、銅なべ中で116℃まで最終沸騰させた。沸騰時間は約8分であった。次に、塊を熱を加えずに放置し、約90℃に冷却した。この温度で、ゼラチン溶液、着色料、フレーバリング、および酸をレシピに従って添加し、撹拌し、ソフトキャンディ前駆塊を得た。脱気を可能にするために、フルーツガム前駆塊を10分間静置した。次に、フルーツガム前駆塊を注ぎ袋に移した。注ぎ袋を使用して、フルーツガム前駆塊を注ぐことによって、上記のようにして製造されたコーンスターチ中のネガ型を充填した。注いでいる間、フルーツガム前駆塊は約70℃の温度を有していた。充填ネガ型を得た。フルーツガム前駆塊を乾燥室内の粉末ボックス内のネガ型中で30℃の温度で48時間成熟させ、フルーツガム前駆体を得た。次いで、製造されたソフトキャンディ前駆体がネガ型から離型されるように粉末ボックスを反転させ、その結果、フルーツガム前駆体およびコーンスターチが粉末ボックスからメッシュスクリーン上に落下した。メッシュスクリーンを1分間振盪することにより、過剰のコーンスターチをフルーツガム前駆体から除去した。ここで選択したメッシュスクリーンは、ソフトキャンディ前駆体がメッシュスクリーン上に残り、コーンスターチ粒子がスクリーンを通って落下し、下の容器に集められるものであった。さらに、フルーツガム前駆体に圧縮空気を吹き付けて清浄にした。
【0044】
実施例2-デンプンベースのフルーツガム
【0045】
実施例2は、デンプンベースのビーガンフルーツガムの形態の本発明の菓子の、本発明による製造に関する。
【0046】
まず、粉末ボックスを、成形用粉末のキャリアとして用意する。使用される成形粉末は、コーンスターチに対して100g当たり5~9gの含水量を有するコーンスターチである。粉末ボックスにコーンスターチを充填し、これを粉末ボックス内の平らなコーンスターチベッドに引き出す。キャンディ成形用のネガ型をスタンピングするために、プラスター/ステンレス鋼製の成形ダイを準備する。成形ダイは、保持部分と、製造されるフルーツガムのポジティブ形状を有する別の部分とからなる。スタンピング中に粉末にプレスされる成形ダイの下側ダイ表面にはレリーフが付いている。レリーフは、イチゴの表面の一部の三次元描写である。成形ダイは、コーンスターチベッドにプレスすることによってネガ型を打ち抜くために使用される。ネガ型を、コーンスターチベッド上に均一な分布で打ち抜き、成形ダイを、コーンスターチベッド内に、少なくとも1cmのコーンスターチが各ネガ型の下に残るような深さだけプレスする。各スタンピングの後、成形ダイは、スタンピングされたネガ型を損傷することなく、垂直上方に除去される。
【0047】
最初に、フルーツガム前駆塊のレシピを、原料を秤量することによって組み立てる。レシピは、
- 35.0重量%のスクロース、
- 45.0重量%の、Cargill Inc.製のHM (=高マルトース)グルコースシロップ、
- 16.05重量%の変性デンプン、
- 2.0重量%の果汁濃縮物、
- 0.30重量%のフレーバリング、
- 0.3重量%の果実/植物濃縮物、
- 1.2重量%の酸(クエン酸、リンゴ酸、および乳酸)、
- 0.15重量%の離型ワックス、および
スクロースに対して1:0.8の比率のレシピ水からなる。
【0048】
次いで、上記の原料のスクロース、変性デンプン、レシピ水、およびグルコースシロップを混合する。この混合物を加熱コイル中で約125~130℃の温度および約5バールの逆圧で沸騰させる。沸騰混合物によって生成した蒸気は、蒸気分離空間内で放散される。真空容器への出口は、ニードル弁によって調節される。真空容器中で、糖塊は、水分含量のさらなる減少を受け、同時に約90~95℃に冷却される。その塊は、ポンプによって真空容器から連続的に引き出される。果汁濃縮物、果実/植物濃縮物、フレーバリング、および酸は、レシピに従ってフルーツガム塊に添加され、撹拌され、したがって、フルーツガム前駆塊が生成される。
【0049】
フルーツガム前駆塊を注ぎ袋に移す。注ぎ袋を使用して、フルーツガム前駆塊を注ぐことによって、上記のように製造されたコーンスターチ中のネガ型を充填する。注いでいる間、前駆塊は約70~80℃の温度を有する。充填ネガ型を得る。注がれた塊を、40℃の温度で48時間、乾燥室内の粉末ボックス内のネガ型に入れておく。次いで、粉末ボックスを反転させて、製造されたフルーツガム前駆体をネガ型から離型する。フルーツガム前駆体およびコーンスターチは、粉末ボックスからメッシュスクリーン上に落下する。メッシュスクリーンを1分間振盪することにより、過剰のコーンスターチをフルーツガム前駆体から除去する。ここで選択されるメッシュスクリーンは、フルーツガム前駆体がメッシュスクリーン上に残り、コーンスターチ粒子がスクリーンを通って落下し、その下の容器に集めることができるものである。さらに、フルーツガム前駆体に圧縮空気を吹き付けて清浄にする。
【0050】
次いで、このようにして得られた実施例1および2からのフルーツガム前駆体を、7.5重量%のリンゴワックス(WO 93/17083 A1の13頁の実施例1の手順に従って得られた)、91.75重量%のヒマワリ油、および0.75重量%のα-トコフェロールを含有する、ソフトキャンディ前駆体の総重量に基づいて0.15重量%のコーティング剤で、ワックスドラム中でコーティング/ワックス処理した。これは、未処理の製品をワックスドラム内で回転させ、コーティング剤を連続的に送り込みながら、同時にそれらを前方に輸送することによって行われる。製品を一緒に擦ることにより、コーティング剤が表面に分配され、実施例1および2からのフルーツガムがろう付け/密封される。
【0051】
比較例1-ゼラチンベースのフルーツガム
【0052】
実施例1に従ってゼラチンベースのフルーツガムを製造したが、リンゴワックスの代わりに同量の蜜蝋を含有するコーティング剤を用いた。
【0053】
比較例2-デンプンベースのフルーツガム
【0054】
実施例2に従ってデンプンベースのフルーツガムを製造したが、リンゴワックスの代わりに同量の蜜蝋を含有するコーティング剤を用いた。
【0055】
比較例1および2からの蜜蝋被覆フルーツガムと比較して、実施例1および2からのリンゴワックスで被覆されたフルーツガムは、改善された光沢を示し、長期貯蔵後に互いに粘着する傾向が減少した。
【0056】
実施例3-リンゴワックスと蜜蝋/カルナウバ蝋との比較
【0057】
フルーツガム(Katjes「Glucksherzen」)を同量のコーティング剤(ワックス、ヒマワリ油、酸化防止剤(α-トコフェロール)を含む)でコーティングした。これは、コーティング剤を連続的に送り込んだワックスドラム中で未処理製品を回転させることによって行われる。製品を一緒に擦るとコーティング剤が表面に分配される。次に、処理されたフルーツガムを20℃で4週間貯蔵し、その後、1~5のスケールで流動性を評価する(ここで、「5」は最良を意味し、「1」は最悪を意味する)。
【表1】
AW =リンゴワックス、CW =カルナウバ蝋、BCW =蜜蝋とカルナウバ蝋の混合物
【0058】
ドラム中に5分間0.9g/kgのコーティング剤でリンゴワックスの投入することによって、ドラム中に5分間1.2g/kgのコーティング剤を投入する際に蜜蝋を含むコーティング剤で得られるものや、ドラム中に5分間1.8g/kgのコーティング剤を投入する際にカルナウバ蝋を含むコーティング剤で得られるもの、ドラム中に5分間1.5g/kgのコーティング剤を投入する際に蜜蝋-カルナウバ蝋混合物を含むコーティング剤で得られるものと同等に良好な結果が得られた。したがって、より少ない原料を使用し、より短い処理時間で、比較的良好な結果が達成される。光沢は、全てのサンプルにおいて比較的良好であった。
【0059】
図中:
図1は、本発明の菓子を断面で示す。
図2は、コーティング剤でコーティングされる前の菓子前駆体を断面で示す。
図3は、菓子を製造するための本発明の方法の略図を示す。
【0060】
図1は、キャンディの形態の本発明の菓子100を断面で示す。
図1に示すように、菓子またはキャンディ100は、コア101と、リンゴワックス、油、および酸化防止剤を含むコーティング剤103で完全にコーティングされた、コア100を境界付ける外面102とを備える。
【0061】
図2は、本発明の方法の工程II)の後に得ることができるような、菓子前駆体200を示す。菓子前駆体は、コア201と、コア201を境界付ける外面202とを含む。
【0062】
図3は、菓子100を製造するための本発明の方法100のフローチャートを示す。工程I)301において、菓子前駆塊が最初に提供される。工程II)302において、菓子前駆塊は、次に、コア201と、コア201を境界付ける外面202とを含む、
図2に示される菓子前駆体200を得るために成形される。この工程は、例えば、菓子前駆塊を対応するネガ型に導入し、続いて、冷却して菓子前駆体200を得ることによって型内で菓子前駆塊を硬化させること、または3Dプリンタによって菓子前駆塊を所望の形状に変換し、続いて乾燥によって硬化させて菓子前駆体200を得ることを含むことができる。工程III)303では、菓子前駆体200の外面202の少なくとも一部、好ましくはコア201の外面全体が、リンゴワックスを含むコーティング剤103でコーティングされる。このコーティングは、例えば、適切な混合デバイス中で液体形態で存在するコーティング剤で菓子前駆体200を蝋付けすることによって行うことができる。
【符号の説明】
【0063】
100 本発明の菓子
101 コア
102 外面
103 コーティング剤
200 菓子前駆体
201 コア
202 外面
300 方法
301 工程I)
302 工程II)
303 工程III)