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特許7525483誘電分光センシング装置及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】誘電分光センシング装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 22/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
G01N22/00 Y
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021522477
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2019061613
(87)【国際公開番号】W WO2020106556
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】62/769,617
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/832,933
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521167914
【氏名又は名称】ザテック、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100180079
【弁理士】
【氏名又は名称】亀卦川 巧
(74)【代理人】
【識別番号】230101177
【弁護士】
【氏名又は名称】木下 洋平
(72)【発明者】
【氏名】アーテル、ジョンソン、アール
(72)【発明者】
【氏名】デリンジャー、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ティルク、ジェイスン、グラント
(72)【発明者】
【氏名】ボウル、デイヴィッド、ジェイ
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/124104(WO,A1)
【文献】特表2011-508872(JP,A)
【文献】特開2009-031102(JP,A)
【文献】特開2009-281907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0346131(US,A1)
【文献】特表2018-512882(JP,A)
【文献】特表2010-527443(JP,A)
【文献】特開2009-145290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 22/00 - G01N 22/04
G01N 27/00 - G01N 27/92
A61B 5/00 - A61B 5/398
G01N 33/48 - G01N 33/98
JDREAMIII
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部本体および下部本体から形成され、前記下部本体の第一表面及び該第一表面と対向する前記上部本体の第二表面との間、並びに、前記上部本体から延びる第一フィンおよび前記下部本体から延びる第二フィンによって画定されるテスト空間であって、前記第一フィン及び第二フィンの間で画定される液体入口から毛細管現象を介して液体が前記テスト空間に入ることを可能にする距離分の間隔を空けて前記第一表面と第二表面の間が設けられた前記テスト空間と、前記第一フィンの少なくとも一部を形成する第二挿入体を具えた本体と、
前記第一表面に設けられ、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成された第一感知電極、該第一感知電極から間隔を空けて前記第一表面に設けられ、出力無線周波数(RF)信号を送るように構成された第二感知電極、および前記第二表面に設けられたフローティング電極を含む電極を具え、
前記第二挿入体が、該第二挿入体上に設けられた前記第一感知電極及び第二感知電極のうちの少なくとも1つを有する
誘電分光(DS)センシング装置。
【請求項2】
前記本体が、第一本体端部と第二本体端部を具え、前記DSセンシング装置が、前記第一本体端部および前記第二本体端部と接続するように構成されたキャップをさらに具え、
前記キャップが前記第一本体端部と接続されたとき、前記キャップが、前記キャップまたは前記本体を傷つけないように、前記第一本体端部から取外し可能であり、前記キャップが前記第二本体端部と接続された後に前記第二本体端部から前記キャップを取外すと、前記キャップまたは前記本体を傷つけるので、前記キャップが前記第二本体端部と接続されたとき、前記キャップが、第二本体端部から取外しできない、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項3】
前記本体が、第一本体端部および第二本体端部を含み、前記液体入口が、前記第二本体端部の一部として前記本体から延びる片持ち梁部分によって画定され、該片持ち梁部分が、前記第一フィンおよび第二フィンを含み、
前記第一フィンが、前記本体から前記第一表面を延ばし、前記第二フィンが、前記本体から前記第二表面を延ばし、
前記第一フィンが第一周縁部を含み、前記第二フィンが第二周縁部を含み、前記第一周縁部および前記第二周縁部のそれぞれが、前記第一表面と前記第二表面の間で、それぞれの外側面から前記液体入口に向かって傾斜している、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項4】
ヒータをさらに具え、前記ヒータが、フレックス回路である支持体上に設けられ、前記フレックス回路が、前記上部本体と前記下部本体の間に介在し、前記フレックス回路が、前記上部本体と前記下部本体の少なくとも一方の隆起部分に設けられ、前記上部本体と前記下部本体の他方に形成された空洞に受け入れられる、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項5】
記フレックス回路が、前記第二挿入体によって前記液体入口から離されるように、前記第二挿入体と前記下部本体または前記上部本体のいずれか一方との間に設けられる、請求項4に記載のDSセンシング装置。
【請求項6】
前記第二挿入体から延び、前記第二挿入体を前記フレックス回路から間隔を空けて設けるように構成され、前記ヒータを収容するように構成された少なくとも1つのリッジをさらに具える、請求項5に記載のDSセンシング装置。
【請求項7】
ヒータをさらに具え、該ヒータとともに支持体に設けられたたサーミスタをさらに具える、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項8】
ヒータをさらに具え、該ヒータとともにフレックス回路に設けられたサーミスタをさらに具える、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項9】
前記本体が、前記第二フィンの少なくとも一部を形成する第一挿入体をさらに含み、前記上部本体に画定され、前記第挿入体を受入れるように構成された上部本体挿入体空洞と、前記下部本体に画定され、前記第一挿入体を受入れるように構成された下部本体挿入体空洞をさらに具える、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項10】
記本体が、前記第二フィンの少なくとも一部を形成する第一挿入体をさらに含み、前記第一挿入体が、該第一挿入体上に設けられた前記フローティング電極を有する、請求項1に記載のDSセンシング装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかの誘電分光(DS)センシング装置を組立てる方法であって、
前記下部本体に第一挿入体を取付けるステップと、
前記上部本体に前記第二挿入体を取付けるステップと、
前記下部本体と前記上部本体を接続して、前記本体を形成するステップを含み、
前記第一挿入体が前記第一感知電極の第一端子端および前記第二感知電極の第二端子端うち少なくとも一方を具え、
前記第二挿入体が、前記上部本体のレッジ面に配置され、第一射出成形段差に当接し、該第二挿入体上に設けられた前記フローティング電極を具える、
DSセンシング装置を組立てる方法。
【請求項12】
前記下部本体と前記上部本体を接続して、本体を形成する前記ステップが、前記第一挿入体と前記上部本体の間に液密シールを形成することを含み、
前記液密シールを形成する前記ステップが、第一感知電極の第一端子端と、第二感知電極の第一端子端と、対応する第二端子端のうちの少なくとも1つの間で、前記第一感知電極を横切って前記液密シールを形成することを含む、請求項11に記載のDSセンシング装置を組立てる方法。
【請求項13】
前記第一挿入体を取付ける前記ステップが、前記第一挿入体を前記上部本体の空洞および前記下部本体の空洞に設けることと、前記上部本体の前記空洞および前記下部本体の前記空洞のいずれか一方に回路支持体を重ね合わせて、前記回路支持体が前記第一挿入体によってテスト空間から離され、前記回路支持体が前記第一挿入体と、前記上部本体および前記下部本体のいずれか一方の間にあることを含む、請求項11に記載のDSセンシング装置を組立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
誘電分光(Dielectric spectroscopy:DS)は,ラベルフリー(label-free)、非破壊、およびリアルタイムの方法として、生物医学(biomedical)分野における有用な分析ツールとされ、最小限の試料調製で、RF/マイクロ波分野と生物/生化学試料との相互作用が研究されてきた。ヒトの血液、脊髄液、乳房組織、皮膚などの生体物質の分子特性は、病気の検出や臨床診断への応用のために、DSを用いて研究されている。しかしながら、一般的なDSシステムは、大型で高価なものが多く、状況によってはコスト的に厳しいものがある。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9,995,701号公報には、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成された入力と、出力無線周波数(RF)信号を解析装置に送る出力とを有するセンサを含むDSシステムが記載されている。センサは、実質的に同一平面上にある第一および第二感知電極と、フローティング電極とを具える。第一感知電極は入力に接続され、第二感知電極は出力に接続される。フローティング電極は、液体ポートを介して液体物質を受け取るように連通可能に接続された液体チャネルを画定する空間によって、感知電極から間隔を空けて配置されている。
【0003】
より直感的で使い勝手の良いシステムにするための改良が前述のDSシステムに加えられてよい。
【発明の概要】
【0004】
上記の観点から、本発明のDSセンシング装置は、第一表面と、毛細管現象を介して、テスト空間に連通可能に接続されている液体入口から液体がテスト空間に入ることを可能にする距離分の間隔を空けて第一表面と対向する第二表面との間に、テスト空間を画定する本体を含む。本体に設けられた電極は、第一表面に設けられ、入力無線周波数(RF)信号を受信するように構成された第一感知電極、第一感知電極から間隔を空けて第一表面に設けられ、出力無線周波数(RF)信号を送るように構成された第二感知電極、および第二表面に設けられたフローティング電極を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1はDSセンシング装置および解析装置の斜視図。
図2図2図1に示されたDSセンシング装置の斜視図。
図3図3図1に示されたDSセンシング装置の平面図。
図4図4図1に示されたDSセンシング装置の側面図。
図5図5図1に示されたDSセンシング装置の分解斜視図。
図6図6図1に示されたDSセンシング装置の別の分解斜視図。
図7図7図1に示されたDSセンシング装置の分解平面図。
図8図8図1に示されたDSセンシング装置の別の分解平面図。
図9図9はDSセンシング装置および本発明の別の態様による解析装置の平面図。
図10図10は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の分解斜視図。
図11図11図10のDSセンシング装置の別の分解斜視図。
図12図12図10のDSセンシング装置の側方断面図。
図13図13図12のDSセンシング装置の部分拡大図。
図14図14は本発明の別の態様によるDSセンシング装置に内蔵されているフレックス回路。
図15図15は本発明の別の態様によるDSセンシング装置に内蔵されているフレックス回路。
図16図16は本発明の別の態様によるDSセンシング装置に内蔵されているフレックス回路。
図17図17は本発明の別の態様によるDSセンシング装置に内蔵されているフレックス回路。
図18図18は本発明の別の態様によるDSセンシング装置に内蔵されているフレックス回路。
図19図19は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の部分的な断面図。
図20図20は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の部分的な断面図。
図21図21は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の部分的な断面図。
図22図22は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の部分的な断面図。
図23図23は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の本体の概略的な断面図。
図24図24は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の本体の概略的な断面図。
図25図25は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の概略的な断面図。
図26図26は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の概略的な断面図。
図27図27は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の概略的な断面図。
図28図28は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の本体の斜視図。
図29図29は本発明の別の態様によるDSセンシング装置の本体の斜視図。
図30図30は開位置にある蓋を有する本発明の別の態様によるDSセンシング装置の平面図。
図31図31は開ロック位置にある蓋を有する図30のDSセンシング装置の斜視図。
図32図32は閉位置にある蓋を有する図30のDSセンシング装置の平面図。
図33図33は開ロック位置にある蓋を有する図30のDSセンシング装置の部分的な斜視図。
図34図34は閉位置にある蓋を有する図30のDSセンシング装置の斜視図。
図35図35図30のDSセンシング装置の分解斜視図。
図36図36は開ロック位置にある蓋を有する図30のDSセンシング装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本願の明細書および図面は、言うまでもなく、単なる例示であり、本開示から逸脱することなく、開示された構造に様々な修正および変更を加えることができることを理解すべきである。ここで、図面を参照すると、同じ数字は、いくつかの図を通して同様の部分を指す。
【0007】
図1は、DSセンシング装置100に対応するポゴピン94および連結機構96を有するハウジング92を含む解析装置90を示す。解析装置90は、ハウジング92内にDSセンシング装置100を受入れ、ポゴピン94を介して回路内のDSセンシング装置100に接続するように構成されている。図2図8は、第一本体端部104と第二本体端部110を有する本体102を含むDSセンシング装置100を示している。DSセンシング装置100は、第一本体端部104および第二本体端部110と協働するキャップ112を含む。本体102は、上部本体114、下部本体120、および上部本体114と下部本体120との間に介在し、上部本体114と下部本体120を接続しているスペーサ122から作られる。
【0008】
図2および図4図6に示されているように、上部本体114は、解析装置90の連結機構96と位置合わせされ、第一本体端部104と第二本体端部110の間に設けられた切欠き124を含む。このようにして、切欠き124および連結機構96は、DSセンシング装置100が解析装置90に挿込まれた場合に、DSセンシング装置100と解析装置90が適切に配置されるように構成されている。さらに、切欠き124はそれぞれ、ユーザが便利に取扱うための把持部を具える。
【0009】
スペーサ122は、下部本体120によって画定される第一表面130、上部本体114によって画定され、第一表面130から間隔を空けて設けられた第二表面132との間に介在する。スペーサ122は、第一表面130と第二表面132の間の間隔を画定する厚さを有する。スペーサ122の厚さは200~300ミクロンであり、少なくとも1つの実施形態によれば、スペーサ122の厚さは250ミクロンである。250ミクロンのスペーサ122は、10%の厚さの公差(すなわち、±25ミクロン)を含んでもよい。スペーサ122は、平面である第一スペーサ面134および平面である第二スペーサ面140を含む。DSセンシング装置100が組立てられると、第一スペーサ面134は第一表面130に接し、第二スペーサ面140は第二表面132に接する。少なくとも1つの実施形態によれば、スペーサ122は、両面接着テープである。
【0010】
図5図8に示されているように、本体102の下部本体120に設けられた第一表面130には、第一組立ピン142および第一組立孔144が設けられている。スペーサ122によって画定された第一組立孔150は、上部本体114と下部本体120が組立てられたときに、第一組立ピン142をその中に受入れるように配置されている。第一組立ピン142および第一組立孔144に対応する第二組立ピン152および第二組立孔154は、第二表面132に設けられ、本体102の上部本体114に設けられる。スペーサ122によって画定された第二組立開口部孔は、上部本体114と下部本体120が組立てられたときに、第二組立ピン152をその中に受入れるように配置されている。組立ピン142、152および組立孔144、154は、上部本体114および下部本体120が組立てられたときに、互いにカチッと留まる(snap)するようにそれぞれ構成される。組立ピン142、152および組立孔144、154が一旦カチッと留められると、ユーザは、DSセンシング装置100の一部を傷つけることなく、下部本体120および上部本体114を分解することができない。一実施形態では、上部本体114および下部本体120は、少なくとも1つの溶剤溶接を用いてスペーサ122にそれぞれ固定される。代替的な実施形態では、上部本体114および下部本体120は、少なくとも1つの溶剤溶接を用いて互いに直接固定される。当業者であれば、組立ピン142、152と対応する組立孔144、154との間の同様の固定関係が、組立ピン142、152と対応する組立孔144、154を第一および第二表面130、132について入れ替える、または別の方法で再配置することによって達成され得ることを理解するであろう。
【0011】
図2図5に示されているように、下部本体120の第一本体端部104に設けられたバックル162は、第一下側指部164、第二下側指部170、および下側支持部172を含む。バックル162は、上部本体114から延びる第一上側指部174、第二上側指部180、および上側支持部182をさらに含む。第一下側指部164および第二下側指部170はそれぞれ、下側支持部172から間隔を空けて、下側支持部172の両側に設けられている。第一下側指部164および第二下側指部170は、下側支持部172に向かって押されると、下側支持部172に向かってたわむように構成されている。第一上側指部174および第二上側指部180はそれぞれ、上側支持部182から間隔を空けて、上側支持部182の両側に設けられている。第一上側指部174および第二上側指部180は、下側支持部172に向かって押されると、上側支持部182に向かってたわむように構成されている。
【0012】
第一突起184、第二突起190、第三突起192、および第四突起194が、それぞれ第一下側指部164、第二下側指部170、第一上側指部174、および第二上側指部180に設けられている。第一下側指部164および第二下側指部170に設けられた突起184、190は、下側支持部172とは反対の方向に延びており、第一上側指部174および第二上側指部180に設けられた突起184、190は、上側支持部182とは反対の方向に延びている。
【0013】
キャップ112は、第一キャップ開口部202を画定する第一キャップ側壁200と、第二キャップ開口部210を画定する第二キャップ側壁204を含む。第一キャップ開口部202および第二キャップ開口部210のそれぞれは、キャップ112が第一本体端部104と接続されたときに、第一、第二、第三、および第四突起184、190、192、194のうちの2つを受入れるように構成されており、それによって、キャップ112を本体102に対して固定位置にロックする。注目すべきは、キャップ112が、第一本体端部104に対してリバーシブルであることであり、第一キャップ開口部202と第二キャップ開口部210のそれぞれが、第一および第三突起184、192または第二および第四突起190、194のいずれかを受入れるように構成されている。このようにして、キャップ112は、第一本体端部104に対してキャップ112が180度回転することによって区別される2つの向きで、第一本体端部104に係合してもよい。キャップ112を第一本体端部104との固定位置から取外すためには、突起184、190、192、194を内側に押して、キャップ開口部202、210から押出し、それによって固定位置からキャップ112のロックを解除する。突起184、190、192、194がキャップ開口部202、210から押出されると、指部164、170、174、180は、支持部172、182に向かってたわみ、内側に押込まれていないときは、指部164、170、174、180は、支持部172、182からさらに離れたたわまない位置まで後退するように構成されている。このようにして、一旦接続されても、キャップ112および第一本体端部104は、DSセンシング装置100のどの部分も傷つけることなく分解されるように構成されている。
【0014】
図2図8に示されているように、第二本体端部110は、本体102の一端であって、第一本体端部104とは反対方向に設けられている。第二本体端部110は、第二本体端部110の一部として本体102から延びる第一フィン214および第二フィン220を含む片持ち梁部分(cantilever portion)によって画定される液体入口212を含む。より具体的には、片持ち梁部分は、レッジ面224からずらされた台座面222から延びている。第一フィン214は、上部本体114から一体的に形成され、上部本体114によって画定される第二表面132を延ばし、第二フィン220は、下部本体120から一体的に形成され、下部本体120によって画定される第一表面130を延ばす。台座面222およびレッジ面224の両方は、フィン214、220が台座面222から延びる方向に対して直交する平面上にそれぞれ存在する。
【0015】
台座面222およびフィン214、220は、ネックダウン部分230を画定する。より具体的には、第一フィン214および第二フィン220のそれぞれは、レッジ面224の外縁244の内側に配置された第一側縁232、234および第二側縁240、242をそれぞれ含む。このようにして、図2に示されるように、第一フィン214及び第二フィン220は、台座面222及びレッジ面224よりも正面図の外形が薄い液体入口212を画定する。
【0016】
第一表面130および第二表面132は、フィン214、220が、液体入口212から毛細管現象によって液体が流入するテスト空間250を画定するように、互いに間隔を空けて配置されている。液体入口212は、テスト空間250と連通可能に接続されている。テスト空間250は18μL以下であり、DSセンシング装置100の少なくとも1つの実施形態によれば、テスト空間は約9μLである。液体入口212およびテスト空間250は、毛細管現象によって液体入口212およびテスト空間250に入る液体が、ウィッキング要素なしで引込まれるように構成されている。代わりに、液体の流れを起こす毛細管現象は、上部本体114と下部本体120の間の間隔によって促進される。
【0017】
図2、4、および5に示されているように、第一フィン214は、第一外側面254から、第二表面132および液体入口212に向かって傾斜している第一周縁部252を含む。第二フィン220は、同様に、第二外側面262から、第一表面130および液体入口212に向かって傾斜している第二周縁部260を含む。
【0018】
示された実施形態における液体入口212は、フィン214、220の周縁部252、260に沿って液体を受入れるように構成されている。図4を参照して、周縁部252、260は、本体102の側面図では、「未満」記号(「<」)形状を形成する。この構成により、DSセンシング装置100のユーザは、例えば、自分の指で自分の皮膚を刺して、第一周縁部252と第二周縁部260の間に血液の液滴を付着させ、これがテスト空間250に引込まれ、これにより、テスト空間250に検査対象の液体を充填するためのピペットやスポイトが不要になる。図3に示されるように、テスト空間250は、正面から見たときに概ね長方形である。図3および図4に示されるように、キャップ112が本体102に配置されていないときには、フィン214、220の周縁部252、260および側縁232,234、240、242によって、周囲の空気に開放された長方形のテスト空間250が設けられる。
【0019】
フィン214、220が長方形以外の形状の場合、周縁部252、260も直線以外の形状であってもよい。また、各周縁部252、260の外形は、(1)図2、4、および5に示されている面取りした面、(2)半径、(3)面取りした面と半径との組合わせのうちの1つであってよい。また、フィン214、220上の斑部(図3の点描領域)のような表示領域264が、テスト空間250の輪郭を示し、ユーザに血液の液滴の的となる場所を示す不透明または半透明の部分を具えてもよい。例えば、図3に示されるように、液体がテスト空間250内に存在するときに、ユーザが見て分かるように構成された視覚的に透明なセクション270によってテスト空間250の輪郭が示される。
【0020】
図3および図5図8に示されるように、電極またはそれらの少なくとも一部は、テスト空間250内の液体に対してDS検査を実施できるように、テスト空間250内に存在する。液体がテスト空間250に充填され、キャップ112が閉じられると、DSセンシング装置100は、解析装置90に挿込まれるように構成されており、これにより、テスト空間250内の液体に対してDS検査を行うことができる。
【0021】
第一感知電極272および第二感知電極274は、下部本体120の第一表面130上に設けられており、テスト空間250内の第一表面130上に位置するそれぞれの第一端子端280、282から、台座面222の反対側に位置するそれぞれの第二端子端284、290まで延びる。テスト空間250内に液体が供給されたときに、液体がスペーサ122と第一表面130の間、およびスペーサ122と第二表面132の間を移動できないように、接着剤が、スペーサ122と第一表面の間、およびスペーサ122と第二表面132の間に設けられる。この構造では、感知電極272、274は、その上に接着剤が塗布されたスペーサ122によって覆われたときに、テスト空間250内の液体が台座面222を越えてそれぞれの感知電極272、274の第二端子端284、290に向かって移動できないような方法で、第一表面130に、例えば、印刷されて、設けられる。フローティング電極292は、上部本体114の第二表面132に設けられ、テスト空間250を挟んで感知電極272、274から間隔を空けて配置されている。感知電極272、274およびフローティング電極292のそれぞれは、例えば、シャドーマスクおよびリフトオフプロセスを用いたスパッタ蒸着により、適切な表面に蒸着された導電性材料(例えば、金、銅またはアルミニウム)であってよい。このような実施形態では、感知電極272、274およびフローティング電極292のそれぞれは、25ミクロン以下の厚さで形成されてよい。
【0022】
図5および図6に示されるように、スペーサ122は、スペーサ122が上部本体114に組付けられたときに、感知電極272、274第二端子端284、290および上部本体114のピン開口部302、304と対応するピン孔294、300を含み、解析装置90にアクセス可能なDSセンシング装置100の外部に第二端子端284、290を露出させる。図2、3、および5に示されるように、上部本体114の第二本体端部110は、台座面222とレッジ面224の間に設けられたピン開口部302、304を画定する。ピン開口部302、304は、スペーサ122が上部本体114上に配置されたときに、スペーサ122内のピン孔294、300とそれぞれ位置合わせされる。
【0023】
解析装置90のコネクタ、すなわち、ポゴピン94は、ピン開口部302、304およびピン孔294、300を通って延び、それぞれの感知電極272、274の第二端子端284、290と電気的に接続し、米国特許9,995,701号公報に詳細に記載されている感知電極272、274に適切な入力および出力RF信号を送ることができる。具体的には、第一表面130上の第一感知電極272は、入力RF周波数信号を受信するように構成され、第一感知電極272から間隔を空けて配置された第一表面130上の第二感知電極274は、出力RF信号を出力するように構成される。サンプルが解析されると、入力RF信号は、サンプルを介してテスト空間250と接続され、第二表面132上のフローティング電極292を第一感知電極272および第二感知電極274に回路で接続する。
【0024】
図2図6に示されるように、第二本体端部110は、下部本体120の台座面222とレッジ面224の間の第二外側面262から一体的に形成された第一ロック機構310を含む。第二本体端部110はさらに、台座面222とレッジ面224の間の第一外側面254から一体的に形成され、ピン開口部302、304の間に位置する第二ロック機構312を含む。一実施形態によれば、第一ロック機構310および第二ロック機構312は、それぞれ、下部本体120および上部本体114から一体的に形成されている。
【0025】
第一ロック機構310および第二ロック機構312のそれぞれは、第二本体端部110と隣り合う傾斜面314、320を有する楔形状をしており、各楔形状の先端はテスト空間250の方を向いている。各第一および第二ロック機構310、312のそれぞれは、各傾斜面314、320と隣り合うほぼ直交な面322、324を含む。傾斜した面314、320およびほぼ直交な面322、324はそれぞれ交わり、外向きのエッジ330、332を形成する。第一および第二ロック機構310、312はそれぞれ、傾斜面314、320およびほぼ直交な面322、324の間に配置された2つの横方向の面334、340、342、344を含む。傾斜面314、320、ほぼ直交な面322、324および横方向の面334、340、342、344は、それぞれ一緒になって、第一および第二ロック機構310、312を画定する楔形状を形成する。
【0026】
図2、3、5、および6に示されるように、キャップ112は、上側キャップ壁352内の第一ノッチ350と、上側キャップ壁360内の第二ノッチ354を画定する。キャップ112が第二本体端部110と接続されると、上側キャップ壁352および上側キャップ壁360のそれぞれの内面362、364が、第一ロック機構310および第二ロック機構312の傾斜面314、320上をスライドする。ノッチ350、354はそれぞれ、キャップ112が第二本体端部110と接続されたときに、第一ロック機構310または第二ロック機構312のいずれかを受入れることができる。ロック機構310、312が一旦ノッチ350、354と係合すると、上側キャップ壁352および上側キャップ壁360の内面362、364は、キャップ112を第二本体端部110から離すためにエッジ330、332を通過できない。このようにして、第一ロック機構310および第二ロック機構312の両方は、第一ノッチ350または第二ノッチ354のいずれかとロック位置で係合するように構成されている。第一ロック機構310および第二ロック機構312が、一旦、第一ノッチ350または第二ノッチ354のいずれかとロック位置で係合すると、DSセンシング装置100の一部も傷つけることなく、第一ロック機構310および第二ロック機構312のいずれも、ノッチ350、354から取外すことができない。その結果、キャップ112が第二本体端部110と接続されると、DSセンシング装置100を傷つけることなく、キャップ112を第二本体端部110から取り外すことができない。当業者であれば、第一ロック機構310および第二ロック機構312の位置を、それぞれ第一ノッチ350および第二ノッチ354の位置と入れ替えても、キャップ112と第二本体端部110の間に同じロック関係が実現できることを理解できるであろう。
【0027】
キャップ112は、上側キャップ壁352内に画定されたピンホール370、372と、上側キャップ壁360内に画定されたピンホール374、380を具える。ピンホール370、372、374、380は、解析装置90のポゴピン94を受入れるように構成されており、キャップ112が第二本体端部110と組み合わされたときに、解析装置90がピン開口部302、304にアクセスできるようになっている。上側キャップ壁352のピンホール370、372は、下側キャップ壁360のピンホール374、380と同軸である。その結果、キャップ112は、第二本体端部110に対して上下逆にすることが可能であり、すなわち、キャップ112は、第二本体端部110に対してキャップ112の向きを180度回転することによって区別される2つの向きで第二本体端部110に係合することができ、各位置において、ポゴピン94はピン開口部302、304にアクセス可能である。
【0028】
図2図6に示されるように、第二本体端部110は、ピン開口部302、304とテスト空間250の間に位置し、第二本体端部110の外周に配置されたガスケット382を含む。より具体的には、ガスケット382は、ピン開口部302、304と台座面222の間に配置されている。キャップ112が第二本体端部110に組み合わされると、キャップ112はテスト空間250の上に配置され、液体入口212に溜まった液体がガスケット382を越えてピン開口部302、304に向かって通過できないような液密シールがガスケット382およびキャップ112によって形成される。その結果、液密シールにより、キャップ112が第二本体端部110と接続されたときに、テスト空間250内の液体によってピン開口部302、304が汚染されない。さらに、キャップ112が第二本体端部110と接続されたときに、第二本体端部110を周囲の空気から遮断するようにキャップ112と液密シールとが一緒になって構成されており、それによって、キャップ112が第二本体端部110と接続されたときに、空気がテスト空間250に入るのを防止することができる。液密シールは、例えば、キャップ112と第二本体端部110の間のプラスチックとプラスチックの接触によって達成されてもよい。
【0029】
図2、3および図5図8に示されるように、DSセンシング装置100は、感知電極272、274およびテストサンプルa(図示せず)を含むテスト空間250を所定の温度に加熱するように構成された加熱システムを含んでもよい。DSセンシング装置100の加熱システムは、30秒以内にテスト空間250を37℃±0.5℃に加熱するように構成されてもよい。別の実施形態では、テスト空間250は、60秒以内に37℃±0.5℃に加熱されてもよい。図5図8に示されるように、DSセンシング装置100の加熱システムは、回路支持体である支持体384を具え、それは、図示された実施形態では、上部本体114と下部本体120との間に設けられた、プリント回路基板(PCB)である。より具体的には、支持体384は、上部本体114とスペーサ122との間に介在している。第一支持面390は、平面であり、第一スペーサ面134に接する。支持体384は、本体102内に設けられており、第一本体端部104に向かって配置された第一支持端部392と、反対方向に延び、第二本体端部110に向かって延びる第二支持端部394を含む。第二支持端部394は、第二本体端部110内に延び、ガスケット382に到達する前に終端する。図19~22、図28、および図29に示されているものと同様の別の実施形態では、第二支持端部394は、ガスケット382に到達する前に終端しておらず、第二本体端部110の中にさらに延びている。
【0030】
また、図5~7に示されるように、DSセンシング装置100の加熱システムは、少なくとも1つのヒータ400、第一サーミスタ402、導電性インサート404、電極接点410、412、414、420と接続された加熱システム回路を具える。第一サーミスタ402、少なくとも1つのヒータ400、および電極接点410、412、414、420のそれぞれは、第二支持面422上に設けられる。第二支持面422は、平面である。少なくとも1つのヒータ400および第一サーミスタ402は、第二支持端部394上に配置されている。少なくとも1つのヒータ400は、テスト空間250と比較して、液密シールの反対側に配置され、これにより、液体が少なくとも1つのヒータ400に接するのを妨げることができる。
【0031】
図6に戻って、上部本体114は、支持体384、少なくとも1つのヒータ400、および第一サーミスタ402を含む加熱システムを上部本体空洞424に収容する。このようにして、支持体384にり付けられている間、少なくとも1つのヒータ400および第一サーミスタ402は、上部本体114の第二表面132から間隔を空けて配置される。一実施形態では、支持体384、少なくとも1つのヒータ400、および第一サーミスタ402を含む加熱システムの構成要素は、それぞれ、上部本体空洞424内で第二表面132から約5ミリメートルの間隔を空けて配置される。一実施形態では、少なくとも1つのヒータ400は、60℃~80℃の温度範囲内で周期的な熱負荷を実行して、テスト空間250を所定の温度にすることができる。当業者であれば、少なくとも1つのヒータ400をテスト空間250の近くに配置することで、テスト空間250を加熱する際に、より高レベルのコントロールと高効率を可能にすること、および、少なくとも1つのヒータ400およびテスト空間250を一緒に周囲温度から断熱することで、この利点がさらに改善され得ることを理解するであろう。
【0032】
図5図7に示されるように、加熱システムの電極接点410、412、414、420は、第一支持端部392に配置される。電極接点410、412、414、420は、本体102を横切るように横方向に一列に並んでいる。本体102に対して、内側電極接点412、414は、第一サーミスタ402に対応し、外側電極接点410、420は、少なくとも1つのヒータ400に対応する。電極接点は、上部本体114によって画定された上部本体孔430を介して、DSセンシング装置100の外部から解析装置90のポゴピン94にアクセス可能である。図5図7には4つの電極接点が図示されているが、当業者であれば、加熱システムの性能を変更するために、必要に応じて支持体384に対して電極および対応する接点が追加または再配置され得ることを理解するであろう。
【0033】
図9には、その上に設けられたバーコード432を特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されている。図示されているように、バーコード432は、特定のDSセンシング装置100を識別するために使用することができるQRコード(登録商標)である。解析装置90のハウジング92は、DSセンシング装置100を解析装置90に固定するためのドア434を含む。ドア434がハウジング92内にDSセンシング装置100を覆って閉じられると、ドア434は、ハウジング92内にDSセンシング装置100を固定する。解析装置90は、DSセンシング装置100がハウジング92内に配置されると、バーコード432をスキャンするように構成される。
【0034】
図10図13には、図1図8のDSセンシング装置100の別の実施形態が示されている。図10図13の実施形態では、図1図8のDSセンシング装置100と同様の構成要素は、同じ参照数字で示されているが、その後に接尾符(')が続く。図10には、支持体442上、具体的には、第一支持端部444上に設けられた電極接点410'、412'、414'、420'を有する回路支持体である支持体442を特徴とするフレックス回路440を含むDSセンシング装置100の一実施形態が示されている。図示されているように、支持体442は、支持体442が上部本体114'と下部本体120'の間に介在するように、本体102'に挿入されるように構成されている。このため、下部本体120'は、支持体442を受入れるように構成された第一表面130'に画定された下部本体支持空洞450を具え、第二表面132'は、DSセンシング装置100が組立てられたときに支持体442を下部本体支持空洞450に圧入するように構成された、下部本体支持空洞450に対応する隆起部分452を具える。
【0035】
支持体442が本体102'と組合わされたとき、第一支持端部444は、第一本体端部104'に向かって配置され、下部支持部172'および上部支持部182'の手前で終端する。支持体442の第二支持端部454は、支持体442が本体102'と組合わされたときに、第二支持端部454が第二本体端部110'に向かって配置されるように、第一支持端部444とは反対方向に延びる。第二支持端部454から一体的に形成されたタブ460は、隆起部分452の下向きの傾斜面464と隆起部分452からずらされた上部本体114'のオフセット面470に沿って設けられた第一タブ面462とともに延びる。タブ460の遠位端472は、オフセット面470に沿って、第一射出成形段差480の第一面474に向かって延び、テスト空間250'とは反対側の第一射出成形段差480の側面で終端する。第一サーミスタ402'は、タブ460の遠位端472の、第一タブ面462とは反対側の第二タブ面482上に設けられる。図示されているように、第二支持端部454は、第二支持端部454が第一挿入体484によって液体入口212'から離され、第二本体端部110'において下部本体支持空洞450に収容されるように、第一挿入体484と下部本体120'との間を、第二本体端部110'を通ってフィン214'、220'まで延びる。
【0036】
図10に示されるように、第一感知電極272'および第二感知電極274'は、図12および図13に示されるように、周縁部260'を含む第二フィン220'の少なくとも一部を形成する第一挿入体484上に設けられている。第一挿入体484は、第二本体端部分110'において下部本体120'と組合わされるように構成されており、第一挿入体484は、第二本体端部110'において、下部本体120'によって画定される第一表面130'を覆って設けられる。このため、下部本体120'は、第一挿入体484を受入れるように構成された下部本体挿入体空洞490を具え、第一挿入体484は、フレックス回路440を下部本体挿入体空洞490に係合させるように構成された少なくとも1つのリッジ492を含む。図11に示されるように、上部本体114'は、DSセンシング装置100が組立てられたときに、第一挿入体484が下部本体挿入体空洞490および上部本体挿入体空洞494内に配置されるように、第一挿入体484を受入れるように構成された上部本体挿入体空洞494を含む。
【0037】
図11に示されるように、フローティング電極292'が、第二挿入体500上に設けられており、第二挿入体500は、第二本体端部110'において上部本体114'と組合わされるように構成されている。図12および図13に示されるように、第二挿入体500が上部本体114'と組合わされると、第二挿入体500は、周縁部252'を含む第一フィン214'の少なくとも一部と、第二本体端部110'における第二表面132'を形成し、テスト空間250'を画定する。この構造では、第一挿入体484によって画定された第二周縁部260'と第二挿入体500によって画定された第一周縁部252'が一緒になって液体入口212'を形成し、第一挿入体484の内面276'と第二挿入体500の内面278'がテスト空間250'を画定する。上部本体114'のオフセット面470は、第二タブ面482を第一挿入体484の内面276'と位置合わせして、第一サーミスタ402'を、テスト空間250'とは反対側の射出成形段差480の側面おいて、テスト空間250'と同じ高さに配置できる距離だけ、隆起部分452からずらされている。
【0038】
DSセンシング装置100を組立てるための第一挿入体484および第二挿入体500を準備する際に、第一感知電極272'、第二感知電極274'およびフローティング電極292'は、このような複数の挿入体上に大量生産的に設けられる。その結果として、第一感知電極272'および第二感知電極274'を第一挿入体484上に形成し、フローティング電極292'を第二挿入体500上に形成することによって、DS検知装置100が作り易くなる。上述したように、感知電極272'、274'およびフローティング電極292'のそれぞれは、例えば、シャドーマスクおよびリフトオフプロセスを用いたスパッタ蒸着によって適切な表面に蒸着された導電性材料(例えば、金、銅またはアルミニウム)であってよい。例えば、図2図8に示された実施形態では、上部本体114または下部本体120全体をマスクしなければならないのとは対照的に、図10図13に示された実施形態では、それぞれの挿入体484、500のみをマスクする必要がある。このように、上部本体114または下部本体120と比較して挿入体484、500の大きさが相対的に小さいため、同じ製造段階でより多くの部品を処理することができる。これにより、製造コストを大幅に削減することができる。
【0039】
図10に示されるように、第三組立孔502および第四組立孔504は、下部本体120'によって画定される第一表面130'に画定される。第三組立孔502および第四組立孔504は、第一表面130'の横方向の中心に配置され、図11に示されるように、DSセンシング装置100が組立てられたときに、上部本体114'によって画定された第二表面132'から下部本体120'に向かって延びる第三組立ピン510および第四組立ピン512に対応している。第三組立ピン510および第四組立ピン512は、第二表面132'の横方向の中心に配置され、フレックス回路440は、対応する第一フレックス回路組立孔514および第二フレックス回路組立孔520を画定する。注目すべきは、DSセンシング装置100に、第一フレックス回路組立孔514および第二フレックス回路組立孔520のような複数のフレックス回路組立孔を設けることで、DSセンシング装置100が組立てられたときに、上部本体114'および下部本体120'に対するフレックス回路440の回転を防止することができるということである。
【0040】
第三組立ピン510および第四組立ピン512は、上部本体114'および下部本体120'が組立てられたときに、第三組立孔502および第四組立孔504とそれぞれスナップ接続するように構成されている。第三組立ピン510が第三組立孔502と、第四組立ピン512が第四組立孔504と一旦スナップ接続を形成すると、ユーザは、DSセンシング装置100の一部を傷つけることなく、下部本体120'および上部本体114'を分解することができない。一実施形態では、上部本体114'および下部本体120'はそれぞれ、少なくとも1つの溶剤溶接を用いて、支持体442および互いに固定される。当業者であれば、第一表面130'および第二表面132'について、組立ピン510、512および対応する組立孔502、504を入替える、または別の方法で再配置することによって、第三組立ピン510、第四組立ピン512、第三組立孔502、および第四組立孔504の間と同じロック関係を達成できることを理解するであろう。
【0041】
図12および図13に示されるように、DSセンシング装置100が組立てられると、第二挿入体500は、上部本体114'の第一レッジ面522に据えられ、第一射出成形段差480の第二面524に当接し、第一射出成形段差480の第二面524は、第一射出成形段差480の第一面474とは反対側にある第一射出成形段差480の反対側を画定する。第二レッジ面530は、第一射出成形段差480分第一レッジ面522からずらされており、上部本体挿入体空洞494の一部として形成されている。第一挿入体484が、下部本体挿入体空洞490および上部本体挿入体空洞494内で上部本体114'と下部本体120'の間に配置された状態で、第一挿入体484は、第二レッジ面530に据えられ、上部本体114'の隆起部分452から形成された第二射出成形段差532に当接する。第一挿入体484と第二レッジ面530との据え置き関係によって、テスト空間250'内のテストサンプルが第一挿入体484と上部本体114'の第二レッジ面530の間を流れないように、テスト空間250'からの液体に対して不透過性であるシールをその間にもたらす。第二射出成形段差532の高さは、第一挿入体484が上部本体114'の隆起部分452と同一平面になるように、第二レッジ面530からの第一挿入体484の高さと一致する。この構造では、テスト空間250'の高さは、第二挿入体500上の第一射出成形段差480の高さによって画定される、第一挿入体484と第二挿入体500の間のオフセット距離である。上部本体挿入体空洞494内に設けられた第一挿入体484は、第二支持端部454が第一挿入体484によって液体入口212'から離され、第二本体端部110'で下部本体支持体空洞450内に収容され、フレックス回路440が第一挿入体484と下部本体120'の間にあるように、下部本体支持キャビティ450内に配置されたフレックス回路440と重なる。
【0042】
DSセンシング装置100が組立てられると、少なくとも1つのリッジ492によって、フレックス回路440と第一挿入体484に一定の間隔が保たれる。このようにして、第一挿入体484およびフレックス回路440は、テスト空間250'と反対側の第一挿入体484の側の第二支持端部454上にヒータ400'を収容し、テスト空間250'と反対側の第一射出成形段差480の側の第二タブ面482上に、テスト空間250'と同じ高さで第一サーミスタ402'を収容するように構成される。注目すべきは、第一サーミスタ402'をテスト空間250'と同じ高さに位置させると、テスト空間250'の温度を追跡するのに有利である、ということである。
【0043】
第一挿入体484は、少なくとも1つのリッジ492によって画定される少なくとも1つの加熱システム空洞を含む。図11に示されるように、第一挿入体484は、少なくとも1つのリッジ492によって画定される第一加熱システム空洞534および第二加熱システム空洞540を含む。少なくとも1つのリッジ492は、第一挿入体484の長手方向において、第一挿入体484の側部に設けられた第一側部リッジ542、第一挿入体484の長手方向において、第一挿入体484のもう一方の側部に設けられた第二側部リッジ544、および第一側部リッジ542と第二側部リッジ544とを接続するための、第一側部リッジ542と第二側部リッジ544の間で第一挿入体484を横切って設けられた中間リッジ550を含む。第一加熱システム空洞534は、第一側部リッジ542と第二側部リッジ544を接続する第一挿入体突起部552によってさらに画定される。
【0044】
第一加熱システム空洞534および第二加熱システム空洞540のそれぞれは、少なくとも1つのヒータ400'および第一サーミスタ402'を含む加熱システムの構成要素を受入れるように構成される。少なくとも1つのヒータ400'および第一サーミスタ402'は、テスト空間250'に対して第一加熱システム空洞534および第二加熱システム空洞540内で様々な組合わせおよび位置で受入れられ得る。例えば、少なくとも1つのヒータ400'は、第二加熱システム空洞540に設けられた第一サーミスタ402'とともに、第一加熱システム空洞534に設けられてもよい。または、第一サーミスタ402'が、第二加熱システム空洞540に設けられた少なくとも1つのヒータ400'とともに、第一加熱システム空洞534に設けられてもよい。この構造では、少なくとも1つのヒータ400'は、中間リッジ550によって第一サーミスタ402'から離されている。また、少なくとも1つのヒータ400'と第一サーミスタ402'が、第一加熱システム空洞534または第二加熱システム空洞540に一緒に設けられてもよい。
【0045】
図10に示されるように、フレックス回路440は、支持体442上に設けられたヒータ400'及び第一サーミスタ402'を含む。図示された実施形態では、ヒータ400'は、テスト空間250'に対して第一サーミスタ402'の前に配置されている。複数のヒータ400'が、様々な構成で第一サーミスタ402と組合わされてよい。例えば、図14には、第一サーミスタ402よりもテスト空間250'に近い位置であって、テスト空間250'に対して第一サーミスタ402よりも第一支持端部444から遠い位置に配置された2つのヒータ400を特徴とするフレックス回路440の別の実施形態が示されている。図15には、第一サーミスタ402よりもテスト空間250'から遠い位置であって、第一サーミスタ402よりも第一支持端部444に近い位置に配置された2つのヒータ400を特徴とするフレックス回路440の別の実施形態が示されている。図16には、第一サーミスタ402よりもテスト空間250'に近い位置であって、テスト空間250'に対して第一サーミスタ402よりも第一支持端部444から遠い位置に配置された1つのヒータ400を特徴とするフレックス回路440の別の実施形態が示されている。図17には、サーミスタ402よりもテスト空間250'から遠い位置であって、第一サーミスタ402よりも第一支持端部444に近い位置に配置された1つのヒータ400を特徴とするフレックス回路440の別の実施形態が示されている。図18には、第一サーミスタ402よりもテスト空間250'に近い位置と遠い位置にそれぞれ配置された2つのヒータ400を特徴とするフレックス回路440の別の実施形態が示されている。
【0046】
一実施形態では、第二サーミスタ(図示せず)が、DSセンシング装置100内に設けられ、周囲温度を測定するように構成されている。第二サーミスタは、第二サーミスタがDSセンシング装置100の外部からアクセスできない、または見えないように、DSセンシング装置100内に設けられている。一実施形態では、DSセンシング装置100は、周囲温度15℃から35℃の範囲で動作するように設計される。
【0047】
テスト空間250'の加熱は、様々なヒータ構成で達成され得る。別の例として、図19を参照すると、DSセンシング装置100の一実施形態は、第一フィン214にオーバーモールドされた上部挿入体806、および第二フィン220にオーバーモールドされた下部挿入体808を含む端部挿入体を特徴とする。上部挿入体806および下部挿入体808はそれぞれ、鋼、または誘導電流を引き起こし、熱を発生させるのに適切な他の材料から作られてもよい。DSセンシング装置100が解析装置812に挿し込まれたときに、解析装置812内に設けられ、各挿入体806、808と位置合わせされた誘導コイル816が、テスト空間250を加熱する結果となる電流を各挿入体806、808に誘導するように構成される。
【0048】
図20には、銅製であって、キャップ112の上側キャップ壁352、下側キャップ壁360、および上面906内に設けられているオーバーモールドされたキャップ挿入体904を具えることを特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されている。キャップ112が第二本体端部110と接続されたとき、キャップ挿入体904は、少なくとも3つの側面からテスト空間250と面している。解析装置812内に設けられた解析装置ヒータ910は、熱エネルギーを生成し、DSセンシング装置100が解析装置812に挿し込まれたときに、熱ビア912を介して熱エネルギーをキャップ挿入体904に伝えるように構成される。熱エネルギーが解析装置ヒータ910からテスト空間250の周囲に設けられたキャップ挿入体904に伝わると、キャップ挿入体904は、テスト空間250を囲むキャップ112の内部で熱エネルギーを放散し、それによってテスト空間250を加熱する。ある使用方法では、キャップ112の任意の部分が41℃のユーザ接触温度を超えないように、十分な時間をかけてキャップ112を予め加熱してもよい。
【0049】
図21には、修正された上部挿入体1004および修正された下部挿入体1006を特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されており、それぞれがDSセンシング装置100の外部に露出している部分を含む。示されているように、上側挿入体1004および下側挿入体1006のそれぞれは、銅から作られており、DSセンシング装置100の外部に部分的に露出している。上側および下側挿入体1004、1006の露出した部分は、キャップ112が第二本体端部110と接続されたときに、キャップ挿入体904と接続するように構成されている。その結果、解析装置ヒータ910がキャップ挿入体904に熱エネルギーを伝えると、キャップ112の内部で熱エネルギーを放散させることに加えて、キャップ挿入体904は上下の挿入体1004、1006に熱エネルギーを伝える。このようにして、熱エネルギーは、第一フィン214および第二フィン220内に伝えられ、図20に示された実施形態と比較して、テスト空間250をより直接的に加熱する。
【0050】
図22には、第一フィン214内に設けられた修正された上部挿入体1104を特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されており、上部挿入体1104の一部は、ガスケット382を通過して延び、第二本体端部110内で終端している。修正された下部挿入体1106が第二フィン220に設けられ、下部挿入体1106の一部は、ガスケット382を通過して延び、第二本体端部110内で終端する。上部挿入体1104および下部挿入体1106のそれぞれは、支持体384に設けられたヒータ1110に接続されており、ヒータ1110からテスト空間250に熱エネルギーを伝え、それによってテスト空間250を加熱するように構成されている。ヒータ1110は、コンデンサであってもよいエネルギー貯蔵ユニット(図示せず)によって電力供給される。コンデンサとして、エネルギー貯蔵ユニットはまた、超コンデンサであってもよい。エネルギー貯蔵ユニットは、ヒータに接続され、解析装置812のような外部電源から充電される。さらに、接点410、412、414、420と同様の接点を支持体384に設けて、患者がテスト空間250に血液を充填する前に、解析装置812から電力を供給されてもよい。
【0051】
DSセンシング装置100の加熱システムの実施形態とは別に、当業者であれば、上部本体114と下部本体120の間の間隔を別の方法で空けるために、両面接着テープとしてのスペーサ122の代替物が設けられてもよいということが理解できるであろう。例えば、図23には、250ミクロンの厚さを有し、上部本体114と下部本体120との間に固定された固体アクリル板としての修正されたスペーサ1280が示されている。修正されたスペーサ1280は、10%の公差(すなわち、±25ミクロン)を含んでもよい。図24に示された別の実施形態では、DSセンシング装置100は、上部本体114の第二表面132に形成された射出成形段差1282を具え、射出成形段差1282の高さに応じて下部本体120および上部本体114の一部が間隔を空けて配置されている。射出成形段差1282は250ミクロンであり、10%の公差(すなわち±25ミクロン)を含んでもよい。当業者であれば、射出成形段差1282が、上部本体114または下部本体120のいずれから形成されてもよいことを理解するであろう。
【0052】
図25には、第一フィン214に埋込まれた少なくとも1つのヒータ400を具えることを特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されている。第一フィン214は、少なくとも1つのヒータ400の外面1410が第一フィン214の第一外側面254と同一平面になるように、少なくとも1つのヒータ400を受入れるように構成された凹部1404を具える。支持体384は、本体102から少なくとも1つのヒータ400まで延びる。第一サーミスタ402は、本体102内の、支持体384上に設けられる。
【0053】
図26には、少なくとも1つのヒータ400および第一サーミスタ402が互いに隣り合い、上部本体114とスペーサ122との間に介在していることを特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されている。少なくとも1つのヒータ400が、本体102に設けられる一方で、第一サーミスタ402は、第一フィン214に設けられる。少なくとも1つのヒータ400および第一サーミスタ402は、本体102内でテスト空間250に対して液密シール(例えば、ガスケット382によってもたらされる)の反対側に配置された支持体384に接続される。第一サーミスタ402、少なくとも1つのヒータ400、および支持体384のそれぞれは、上部本体114に画定された上部本体凹部1504に受入れられる。
【0054】
図27には、少なくとも1つのヒータ400および第一サーミスタ402が、スペーサ122によって画定された深さを有するギャップ内で、下部本体120と上部本体114との間に介在していることを特徴とするDS検知装置100の一実施形態が示されている。少なくとも1つのヒータ400および第一サーミスタ402は、本体102内でテスト空間250に対して液密シール(例えば、ガスケット382によってもたらされる)の反対側に配置された支持体384に接続される。上部本体114は、少なくとも1つのヒータ400を受入れるように構成された上部本体ヒータ空洞1610を具え、下部本体120は、少なくとも1つのヒータ400を受入れるように構成された下部本体ヒータ空洞1604を具える。
【0055】
図28には、テスト空間250と第一サーミスタ402の間に少なくとも1つのヒータ400が設けられていることを特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されており、図29には、少なくとも1つのヒータ400とテスト空間250の間に第一サーミスタ402が設けられていることを特徴とするDSセンシング装置100の一実施形態が示されている。このように、第一サーミスタ402は、テスト空間250に対して、少なくとも1つのヒータ400の前または後ろのいずれに設けられてもよい。また、図28および図29のそれぞれには、本体102を横切るように横方向に一列に並んだ対応する接点1716、1720、1722を有する加熱システム電極1704、1706、1710、1714を具えることを特徴とするDSセンシング装置100の実施形態が示されている。内側の接点1720は、少なくとも1つのヒータ400と第一サーミスタ402の両方に対応し、外側の接点は、少なくとも1つのヒータ400に対応する。導電性インサート404は、少なくとも1つのヒータ400に接続され、テスト空間250に熱を伝えるように構成されたオーバーモールドされた銅製の挿入体であってもよい。注目すべきは、第一サーミスタ402をDSセンシング装置100の加熱システムに組み込むことで、DSセンシング装置100が、少なくとも1つのヒータ400を調節するために使用される温度データ入力を受取ることができ、それによって、テスト空間250内の試料の温度を所望の範囲内に維持する精度を向上させることができる、ということである。
【0056】
図30図36には、本体1922と、本体1922と協働するキャップ1924を含むDSセンシング装置1920が示されている。本体1922は、毛細管現象によって液体入口1928から液体が入るテスト空間1926を画定する。電極またはそれらの少なくとも一部は、テスト空間1926内に存在し(図30参照)、これにより、テスト空間1926内の液体に対してDS試験を実施することができる。液体がテスト空間1926に充填され、キャップ1924が閉じられた後(図32参照)、DSセンシング装置1920は、テスト空間1926内の液体に対してDS試験が実施できるように、解析装置(図示せず)に挿込まれるように構成される。
【0057】
本体1922およびキャップ1924は、アクリルまたはアクリルガラスとしても知られるポリ‐メチルメタクリレート(PMMA)から製造されてもよい。したがって、本体1922およびキャップ1924は、透明であり得るので、液体がテスト空間1926内に存在することをユーザに視覚的に示すことができ、また、感知電極1932、1934およびフローティング電極1936の位置を示すことができる。
【0058】
最終的に組立てられると、本体1922は、ベース部分1940と、ベース部分1940から延びる片持ち梁部分1942を含む。図31および図32を参照すると、片持ち梁部分1942は、ベース部分1940からそれぞれ延びる第一フィン1944および第二フィン1946を含む。特に、電極1932、1934、1936を示していない図33を参照すると、第一フィン1944は、第一内面1948を画定し、第二フィン1946は、第一内面1948から間隔を空けて対向する第二内面1952を画定する。第一内面1948は、毛細管現象により液体入口1928から液体がテスト空間1926に入ることができる距離だけ、第二内面1952から間隔を空けて配置されている。図示された実施形態では、第一内面1948は、平面(フラット)であり、同じく平面である第二内面1952と平行である。第一内面1948は、第二内面1952から約500μm以下、好ましくは約50μmの間隔を空けてよい。第一感知電極1932および第二感知電極1934は、第一内面1948に設けられ、フローティング電極1936は、テスト空間1926内で感知電極1932、1934から間隔を空けるように、第二内面1952に設けられる。図示された実施形態のフィン1944、1946は、平面図で長方形として示されているが、フィン1944、1946は、他の形状をとることができ、例えば、湾曲した周縁部を有していてもよい。
【0059】
第一フィン1944は、ベース部分1940に向かって第一外面1956から第一内面1948および液体入口1928に傾斜している面取りされた周縁部1954を含む。第二フィン1946は、同様に、ベース部分1940に向かって第二外面1960から第二内面1952および液体入口1928に傾斜している面取りされた周縁部1958を含む。
【0060】
図示された実施形態における液体入口1928は、テスト空間1926の周縁部に沿って設けられる。図31を参照すると、液体入口1928は、平面図でL字型になっている。この構成により、DSセンシング装置1920のユーザは、例えば、自分の指の皮膚を刺して、面取りされた周縁部1954、1958に血液の液滴を付着させ、これをテスト空間内に引き込むことができ、これにより、テスト空間1926に試験すべき液体を充填するためのピペットまたはスポイトの必要性を回避することができる。図示された実施形態では、液体入口1928は、ベース部分1940から最も遠くに間隔を空けて配置されているテスト空間1926の線形端に沿っており、また、テスト空間1926の最も遠い端部からベース部分1940に向かって延びる側周縁端部を含む。図示された実施形態では、テスト空間1926は、平面図で全体として長方形であり(図30参照)、液体入口1928は、この長方形の2つの隣り合う辺に沿って配置される。このように、液体入口1928は、比較的長く、テスト空間1926の最長寸法とほぼ等しい。図示された実施形態では、キャップ1924が本体1922上に配置されていないときには、長方形のテスト空間1926の2つの辺は閉じられており、すなわち、周囲に開放されていないが、少なくとも1つ、例えば、最も遠いエッジとベース部分1940の間に延びる辺に平行な辺は、周囲に開放されてもよい。
【0061】
フィン1944、1946が長方形以外の構成をとる場合、面取りされた周縁部1954、1958も直線以外の構成をとることができる。透明ではないまたは半透明の部分を設けるべくフィン1944、1946上につや消しを施して、例えば、ユーザに血液の液滴の的となる場所を示すために、テスト空間1926の輪郭を示してもよい。また、各面取りされた端部の外形は、(1)図30図36に示される面取り、(2)半径、(3)面取りと半径の組み合わせ、のいずれでもよい。
【0062】
本体1922は、フィン1944および1946がベース部分1940から延びるのと同じ方向に、ベース部分1940から延びるキャップキャッチ1962および1964をさらに含む。フィン1944、1946およびキャップキャッチ1962、1964の両方は、片持ち梁部分1942に最も近いベース部分1940のエッジを画定するレッジ面1968からずれた位置にある台座面1966から延びる。台座面1966とレッジ面1968の両方は、フィン1944、1946がベース部分1940から延びる方向に対して直交するそれぞれの平面上に存在する。キャップキャッチ1962、1964は、キャップ1924が一旦図32に示されている閉じた位置になったときに、本体1922からキャップ1924を取外すことができないように、キャップ1924と協働する。このように、DSセンシング装置1920は、キャップキャッチ1962、1964および/またはキャップ1924を壊さない限り、キャップ1924が図31に示される閉じた位置に置かれた後にキャップ1924を開くことができないという点で、「シングルユース」装置であってもよい。図33に戻って参照すると、ガスケット1970は、キャップ1924が本体1922に対して閉じた位置にあるときに、キャップ1924と協働すべく(その上面が台座面1966である)台座1972を取り囲み、液体がDSセンシング装置1920から漏れ出すのを防ぐ。
【0063】
図34を参照すると、本体1922は、本体1922の周縁1982に沿って、より詳細には本体1922のベース部分1940に設けられた蓋コネクタ凹部1980を含む。蓋コネクタ凹部1980は、キャップ1924が開ロック位置にあるときに、キャップ1924を本体1922に対して固定するように、キャップ1924に設けられた対応する突起1984を受入れるように形作られる(図31参照)。開ロック位置にあるときに、突起1984が、蓋コネクタ凹部1980に受入れられると、突起1984は蓋コネクタ凹部1980の側面と摩擦係合する。これにより、本体1922に対するキャップ1924の位置が固定され、ユーザがキャップ1924を保持してキャップ1924が本体1922に対して移動しないようにする必要がないという点で、テスト空間1926の充填が容易になる。突起1984は、突起1984と蓋コネクタ凹部1980の側面との間の摩擦力に打ち勝つことによって、蓋コネクタ凹部1980から取外し可能であり、これにより、本体1922に対するキャップ1924の枢動が可能となり(図30参照)、DSセンシング装置1920は、図31に示される開ロック位置から図30に示される開位置を経て、図32に示される閉位置に移動することができる。
【0064】
引き続き図34を参照すると、本体1922は、ヒンジコネクタ凹部(以下、本体ヒンジコネクタ凹部1986と称する。)を含む。同様に、キャップ1924は、ヒンジコネクタ凹部(以下、キャップヒンジコネクタ凹部1988と称する。)を含む。ヒンジコネクタ連結部1992は、本体ヒンジコネクタ凹部1986およびキャップヒンジコネクタ凹部1988に受入れられ、本体1922およびキャップ1924のそれぞれに接続されて、本体1922に対するキャップ1924の(図31に示される)開ロック位置から(図32に示される)閉位置への移動を可能にする。また、ヒンジコネクタ連結部1992によって、本体1922に対するキャップ1924の若干の並進移動が可能となる。
【0065】
図35には、本体1922の分解図が示されており、この本体1922は、第一(上)部分2002、第二(下)部分2004、および上部分2002と下部分2004との間に介在するスペーサ2006で構成されてもよい(図33参照)。スペーサ2006は、上部分2002に下部分2004を接続し、テスト空間1926を設けるべく第一内面1984と第二内面1952の間に適切な間隔を具えるために用いられる両面接着テープであってもよい。スペーサ2006は、ポリ‐メチルメタクリレート(PMMA)から作られてもよく、上部分2002の下部分2004への取付けを可能にするために、両面に接着剤が塗布されてもよい。
【0066】
感知電極1932、1934のそれぞれは、上部分2002に設けられ、第一フィン1944上のテスト空間1926内の第一内面1948に位置するそれぞれの第一端子端2012、2014から、ベース部分1940内に位置するそれぞれの第二端子端2016、2018まで延びている。感知電極1932、1934は、下部分2004もスペーサ2006に貼付けられた状態で、その上に接着剤が塗布されたスペーサ2006によって覆われたときに、テスト空間1926内の液体が台座面1966を越えてそれぞれの感知電極1932、1934の第二端子端2016、2018に向かって移動できないような方法で、第一内面1948に沿って、例えば、印刷されて、設けられる。フローティング電極1936は、下部分2004上の第二内面1952に設けられる。感知電極1932、1934およびフローティング電極1936のそれぞれは、例えば、シャドーマスクおよびリフトオフプロセスを用いたスパッタ蒸着によって適切な表面に蒸着された導電性材料(例えば、金、銅またはアルミニウム)であってよい。一例として、感知電極1932、1934およびフローティング電極1936のそれぞれは、1000オングストローム以下の厚さで形成されてよい。
【0067】
スペーサ2006は、スペーサ2006が上部分2002のベース部分1940の第一内面1948上に適切に配置されたときに、感知電極1932、1934のそれぞれの第二端子端2016、2018と位置合わせされたピン開口部2022、2024を含む。同様に、下部品2004は、スペーサ2006が上部品2002上に適切に配置され、下部品2004がスペーサ2006上に適切に配置されたときに、スペーサ2006のピン開口部2022、2024とそれぞれ位置合わせされたピン開口部2026、2028を含む。コネクタまたはポゴピンは、開口部2026、2022および開口部2028、2024を通って延び、それぞれの感知電極1932、1934の第二端子端2016、2018と電気的につながり、感知電極1932、1934に適切な入力および出力RF信号を送ることができる。このことは、米国特許第9,995,701号公報に詳細に記載されている。
【0068】
接着テープとして上述してきたスペーサ2006は、ベース部1940における上部分2002および下部分2004の周縁と一致する周縁を有する。スペーサ2006は、本体1922の片持ち梁部分1942に、あったとしても、ほとんど延びていない。しかしながら、スペーサ2006は、各フィン1944、1946の一端に沿って片持ち梁部分に延びる指状の延長部2032を含んでもよい。このように、上述したように、液体入口1928は、指状の延長部2032の位置により、各長方形のフィン1944、1946の2つの縁上にのみ存在してもよい。図33を参照すると、指状の延長部2032を除いて、スペーサ2006の周縁部は、台座面1966およびレッジ面1968と同一平面上になるように終端し、その結果、スペーサ2006の1つのエッジは、テスト空間1926の1つのエッジを画定する台座面1966と同一平面上となる。
【0069】
キャップ1924は、ヒンジコネクタ連結部1992を介して本体1922にヒンジ連結される。ヒンジコネクタ連結部1992は、本体1922に対するキャップ1924の枢動および並進移動の両方を可能にする方法で、キャップ1924および本体1922と接続されてよい。キャップ1924は、キャップ1924が閉位置(図32参照)にあるときに、本体1922の片持ち梁部分1942が受入れられる受入口2040を含む。また、キャップ1924は、台座面1972と同様の構成である凹状のレッジ2042を含んでもよく、これは、ガスケット1970を具える場合には、ガスケット1970と協働することができる。キャップ1924が閉位置にあるとき、テスト空間1926内の液体は、DS試験が実行できるように、少なくとも30分間、その中の液体の蒸発を妨げるように周囲から密封される。特に図36を参照すると、キャップ1924に設けられた角度付き突出部2044は、フィン1944、1946、より詳細にはフィン1944、1946の面取りされた周縁部1954、1958と協働する。これにより、テスト空間1926内の液体に対してDS試験が行われている間、第一内面1948と第二内面1952の間の所望の間隔を維持することができる。角度付き突出部2048の角度付き表面は、面取りされた周縁部1954、1958の角度付き表面と一致してもよい。
【0070】
使用時には、DSセンシング装置1920を、図31および33に示された開ロック位置にあるキャップ1924と一緒に包装することができる。血液のような液体の液滴は、例えば、ユーザの指から直接、面取りされた周縁部1954、1958に付着させてもよい。次に、液体の液滴は、液体入口1928を通って、ウィッキング要素を必要とせずに毛細管現象によってテスト空間1926に引込まれる。その後、キャップ1924が閉じられ(図32)、例えば、ポゴピンが、それぞれの第二端子端2016、2018と接する解析装置(図示せず)にDSセンシング装置1920を搭載してもよい。
【0071】
上述した様々な実施形態、他の特徴および機能、またはそれらの代替物若しくは変種が、好ましくは、他の多くの異なるシステムまたはアプリケーションに結合され得ることが理解されるであろう。また、現在予測されていない、または予期されていない様々な代替、修正、変形、または改良が、当業者によって後になされ得るが、それらもまた、以下の特許請求の範囲に包含されることを意図している。
図1
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