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▶ サウジ アラビアン オイル カンパニーの特許一覧 ▶ キング・アブドゥッラー・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】自動プローブ正規化付きクローラ車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 61/06 20060101AFI20240723BHJP
   B62D 57/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B62D61/06
B62D57/02 L
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021530967
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019063446
(87)【国際公開番号】W WO2020112903
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】62/772,700
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/689,797
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】319003493
【氏名又は名称】キング・アブドゥッラー・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ファドゥル・アブデルラティフ
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥルラー・アル-ハンナビ
(72)【発明者】
【氏名】サヘジャド・パテル
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アブデルカデル
(72)【発明者】
【氏名】ジェフ・エス・シャムマ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104742993(CN,A)
【文献】特表2018-506040(JP,A)
【文献】特開2013-174531(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0542588(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0194042(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 61/06
B62D 57/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を横断するための磁気ロボットクローラ車両であって、
シャーシと、
前記シャーシに装着され、前記車両の通常の動作中に前記表面を横断するように構成された複数のホイールであって、
2つの磁気駆動ホイールであって、前記駆動ホイールが、横方向に離間され、回転軸の回りを回転し、前記駆動ホイールが、独立して駆動されるよう構成され、それによって、前記車両を前記表面に沿って駆動および操舵し、前記車両の長手軸が、前後方向に前記横方向の回転軸に直角をなして、かつ前記2つの駆動ホイールの間の中間点を通るよう延在する、2つの磁気駆動ホイール、および
安定化ホイールであって、長手軸方向に前記2つの磁気駆動ホイールから離間され、前記車両が前記駆動ホイールによって駆動され操舵される間、前記表面に沿って受動的に転がるように構成されている安定化ホイール、を含む、複数のホイールと、
前記シャーシによって支持されるセンサプローブアセンブリであって、前記センサプローブアセンブリのプローブトランスデューサが前記長手軸上に位置決めされる、センサプローブアセンブリと、
少なくとも前記センサプローブアセンブリに結合されたプローブ正規化機構であって、前記表面の曲率の関数として、前記車両の通常の動作中に、前記表面に対して所定の角度で前記センサプローブアセンブリの少なくとも前記プローブトランスデューサを受動的に維持するように構成されているプローブ正規化機構と、を備え
前記センサプローブアセンブリは、
固定されたプローブトランスデューサシャフトの回りを回転するプローブホイールを有する乾式結合ホイールプローブであって、前記プローブホイールが、一般に、前記表面に沿って前記車両の走行方向に受動的に転がるように構成され、前記プローブトランスデューサシャフト内の前記プローブトランスデューサが、前記所定の角度で前記表面の特性を測定するように構成されている、乾式結合ホイールプローブを備える、磁気ロボットクローラ車両。
【請求項2】
前記センサプローブアセンブリは、前記プローブトランスデューサが前記2つの駆動ホイールの間の中間点に位置決めされるように、前記シャーシに装着される、請求項1に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項3】
前記センサプローブアセンブリを前記シャーシに移動可能に結合するセンササポートであって、前記表面の曲率に応答して、少なくとも上下方向に前記シャーシに対して前記センサプローブアセンブリを受動的に移動させ、それによって、前記センサプローブアセンブリを前記表面と接触させて維持するように構成されている、センササポートアセンブリをさらに備える、請求項1に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項4】
前記センササポートは、
前記プローブトランスデューサシャフトを支持する1つ以上のシャフトであって、少なくとも1つのマウントによって前記シャーシに結合され、前記少なくとも1つのマウントが少なくとも前記上下方向に前記1つ以上のシャフトを前記シャーシに対して移動させるように構成される、1つ以上のシャフトと、
少なくとも前記センサプローブアセンブリと、前記シャーシとの間に力を加え、前記プローブホイールを下方に促して前記表面と接触させる構成された1つ以上のばね要素と、を備える、請求項3に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項5】
前記プローブ正規化機構は、
前記車両の通常の動作中に前記表面に接触して前記表面に沿って移動するように構成されたフローティングホイールを含むフローティングホイールアセンブリであって、前記フローティングホイールが前記シャーシに移動可能に結合され、前記表面の曲率に応答して少なくとも上下方向に前記シャーシに対して移動可能であり、前記上下方向が、前記長手軸および前記回転軸の両方に対して略直角をなす、フローティングホイールアセンブリと、
前記フローティングホイールアセンブリと前記センサプローブアセンブリとを機械的にリンクする機械的リンケージであって、前記プローブ正規化機構が本質的に受動的であり、前記機械的リンケージが少なくとも前記上下方向における前記フローティングホイールの運動を中心軸の回りで、かつ、前記表面の曲率の関数として、前記車両の通常の動作中に前記表面に対して所定の角度で前記センサプローブアセンブリを維持するレートで、前記トランスデューサシャフトの回転に変換するよう構成される、機械的リンケージと、を備える、請求項1に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項6】
前記機械的リンケージは、
前記プローブトランスデューサシャフトに固定的に取り付けられた第1のリンケージアームと、
第2のリンケージアームであって、一端部で前記第1のリンケージアームに枢動可能に結合され、他端部で前記フローティングホイールアセンブリに枢動可能に結合される、第2のリンケージアームと、を含む、マルチリンケージシステムを備える、請求項5に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項7】
前記第1および第2のリンケージアームは、固定された関係で互いに接合される、請求項6に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項8】
前記フローティングホイールアセンブリは、前記フローティングホイールを前記シャーシに移動可能に結合し、
ホイールサポートシャフトであって、前記フローティングホイールが一端部で前記ホイールサポートシャフトに装着され、前記ホイールサポートシャフトが少なくとも前記上下方向において前記シャーシに対して前記ホイールサポートシャフトを直線的に移動させるよう構成されるマウントによって前記シャーシに第2の端部で結合され、前記第2のリンケージアームが前記ホイールサポートシャフトに枢動可能に結合される、ホイールサポートシャフトをさらに備える、請求項6に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項9】
ホイールサポートアセンブリは、前記フローティングホイールアセンブリと前記シャーシとの間に力を加え、前記フローティングホイールを下方に促して前記表面と接触させる構成された1つ以上のばね要素をさらに備える、請求項8に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項10】
前記リンケージシステムは、前記上下方向における前記フローティングホイールの運動の関数として、中心軸の回りで前記トランスデューサシャフトを回転させるように構成される、請求項8に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項11】
前記フローティングホイールは、前記機械的リンケージによって前記シャーシに移動可能に結合される、請求項5に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項12】
フローティングホイールアセンブリおよびセンサプローブホイールは、列をなして配置されている、請求項1に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項13】
前記安定化ホイールおよびセンサプローブは、前記車両の長手軸に位置決めされる、請求項1に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項14】
前記安定化ホイールは、前記車両が表面を横断しているとき、前記駆動ホイールの後ろに位置決めされるキャスタホイールである、請求項1に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項15】
表面を横断するための磁気ロボットクローラ車両であって、
シャーシと、
前記シャーシに装着され、前記車両の通常の動作中に前記表面を横断するように構成された複数のホイールであって、
横方向に離間され、回転軸の回りを回転する2つの磁気駆動ホイールであって、前記駆動ホイールが独立して駆動されるよう構成され、それによって、前記車両を前記表面に沿って駆動および操舵し、前記車両の長手軸が前後方向に前記横方向の回転軸に直角をなして、かつ前記2つの駆動ホイールの間の中間点を通るよう延在する、2つの磁気駆動ホイール、および
安定化ホイールであって、長手軸方向に前記2つの磁気駆動ホイールから離間され、前記表面に沿って転がるように構成されている安定化ホイール、を含む、複数のホイールと、
前記シャーシによって支持されるセンサプローブアセンブリであって、前記センサプローブアセンブリのプローブトランスデューサが前記長手軸上に位置決めされる、センサプローブアセンブリと、
少なくとも前記センサプローブアセンブリに結合されたプローブ正規化機構であって、前記表面の曲率の関数として、前記車両の通常の動作中に、前記表面に対して所定の角度で前記センサプローブアセンブリの少なくとも前記プローブトランスデューサを維持するように構成されているプローブ正規化機構と、を備え
前記プローブ正規化機構は、
前記シャーシに取り付けられ、前記シャーシから前記表面までの距離を測定するように構成された距離センサと、
前記距離センサに通信可能に結合されたコンピューティングデバイスであって、前記測定された距離に基づいて前記表面の曲率を計算するための命令を実行することによって構成されるプロセッサを含むコンピューティングデバイスと、
アクチュエータまたはモータを備える機械的駆動機構であって、前記計算された表面曲率の関数として前記コンピューティングデバイスのプロセッサによって生成された制御信号に基づいて、前記表面に対する前記センサプローブアセンブリの配向を機械的に調整するように構成される機械的駆動機構と、を備える、磁気ロボットクローラ車両。
【請求項16】
前記機械的駆動機構は、モータであり、前記プローブ正規化機構は、
前記モータの出力と前記センサプローブアセンブリとを機械的にリンクする機械的リンケージであって、前記モータ出力の回転を、前記シャーシに対する中心軸の回りの前記センサプローブアセンブリのトランスデューサシャフトの回転に変換するように構成された機械的リンケージをさらに備える、請求項15に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【請求項17】
前記機械的駆動機構はリニアアクチュエータであり、前記アクチュエータは前記シャーシに装着され、前記安定化ホイールはアクチュエータシャフトの端部に装着され、前記アクチュエータは前記安定化ホイールに対して前記シャーシを上昇または下降させ、それにより、前記表面に対する前記センサプローブアセンブリの検査角度を変更させるように構成される、請求項15に記載の磁気ロボットクローラ車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月29日に出願された「PERCHING UAV WITH RELEASABLE CRAWLER」と題する米国仮出願第62/772,700号の35U.S.C.119(e)、および2019年11月20日に出願された「CRAWLER VEHICLE WITH AUTOMATIC PROBE NORMALIZATION」と題する米国出願第16/689,797号の35U.S.C.120に基づいて利益を主張し、これらは参照によりそれぞれ全体として本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ロボット車両に関し、特に、磁気駆動ホイールと、車両によって横断される表面を検査する検査プローブと、を備える、ロボット検査車両に関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの業界では、安全性を確実にし、性能を最適化するために、機器の定期的な検査が重要である。例えば、石油産業および関連分野では、液体および気体、ならびにそれらの混合物がパイプラインを介して輸送され、これらの原料はまた、大きいタンクに貯蔵される。
【0004】
この業界では、パイプライン、貯蔵タンクなどの完全性を維持するために、そのような表面を検査するようセンサデバイスが用いられ得ることが知られている。特に、検査車両は、対象物(例えば、パイプまたはタンク)の表面全体を走行し、パイプ壁の品質に関する情報を記録するために使用され得る。これらの検査車両の大部分は、超音波または磁気センサを使用して検査を行う。記録された情報に基づいて、検査されている表面(例えば、パイプ壁)の任意の亀裂または他の欠陥が、検出および記録されて、その後の是正措置が講じられることを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過去には、工場設備、船舶、水中プラットホーム、パイプライン、および貯蔵タンクなどの様々な構造物を検査するために使用される異なる検査車両設計が存在している。構造物を検査するために好適な検査車両を利用することができない場合、代替案は、人々がこれらの構造物を検査するためにアクセスすることを可能にする足場を構築することであるが、検査者の物理的安全性に対する多大なコストおよび危険性がある。過去の検査車両は、そのような表面を効果的に検査するために必要な制御、操縦性、および小型パッケージング(すなわち、サイズ)が欠けていた。
【0006】
加えて、そのような検査車両で使用され得るいくつかの異なるセンサが存在するが、1つの好ましいタイプの超音波センサは、表面の超音波検査を実施して壁厚を測定し、腐食を検出するように構成される乾式結合プローブ(DCP)である。乾式結合プローブは、通常、ホイールの形態で構築され、シャフト(車軸)は、外側のタイヤがシャフトの周りを回転する一方で、シャフト内にトランスデューサ構成要素が堅固に埋設されているため、固定して保持されることになる。そのため、プローブのシャフトは、トランスデューサが常に表面を指すように保持および位置決めされることが好ましく、これは、ホイールがそのロールおよびピッチ方向に傾斜しないことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書でなされた開示が提示するのは、これらおよび他の考察に関するものである。
【0008】
本発明の一態様によると、表面を横断するための磁気ロボットクローラ車両が開示される。車両は、シャーシと、シャーシに装着され、表面を横断している間、シャーシを支持する複数のホイールと、を備える。特に、複数のホイールは、横方向に離間され回転軸の回りを回転する2つの離間した磁気駆動ホイールを含む。駆動ホイールは、独立して駆動されるよう構成され、それによって、車両を表面に沿って駆動および操舵する。(参考までに、車両は前後方向に回転軸に対して直角をなすよう延在し、2つのホイールの中間点を通る長手軸を有する。)また、長手軸方向に2つの磁気駆動ホイールから離間され、表面に沿って転がるよう構成された安定化ホイールも含まれる。車両はまた、シャーシによって支持されるセンサプローブアセンブリ、および少なくともセンサプローブアセンブリに結合されたプローブ正規化機構を含む。プローブ正規化機構は、表面の曲率の関数として、車両の通常の動作中に、表面に対して所定の角度でセンサプローブアセンブリの少なくともプローブトランスデューサを維持するように構成される。
【0009】
これらおよび他の態様、特徴、ならびに利点は、本発明の特定の実施形態の付随する説明、ならびに添付の図面および特許請求の範囲から理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】1つ以上の開示された実施形態による、磁気ロボットクローラ車両の底面図である。
図1B】1つ以上の開示された実施形態による、図1Aの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図1C】1つ以上の開示された実施形態による、図1A図1Bの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図2A】1つ以上の開示された実施形態による、図1A図1Cの磁気ロボットクローラ車両の例示的なセンサプローブアセンブリの簡略化された底面図である。
図2B】1つ以上の開示された実施形態による、図1A図1Cの磁気ロボットクローラ車両の例示的なセンサプローブおよびプローブキャリアアセンブリの簡略化された側面図である。
図2C図1A図1Cの磁気ロボットクローラ車両の例示的なセンサプローブアセンブリの簡略化された側面図であり、1つ以上の開示された実施形態による代替的なプローブ装着構成を示し、適切な正規化されたプローブ角度(左の画像)および不適切な正規化(右の画像)を示す。
図3A】1つ以上の開示された実施形態による、磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図3B】1つ以上の開示された実施形態による、図3Aの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図4A】1つ以上の開示された実施形態による、磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図4B】1つ以上の開示された実施形態による、図4Aの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図5A】1つ以上の開示された実施形態による、磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図5B】1つ以上の開示された実施形態による、図5Aの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図6A】1つ以上の開示された実施形態による、磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図6B】1つ以上の開示された実施形態による、図6Aの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図6C】1つ以上の開示された実施形態による、図6A図6Bの磁気ロボットクローラ車両の側面図である。
図7】1つ以上の開示された実施形態による例示的なモータ支援されたプローブ正規化機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概要および序論として、自動プローブ正規化機構を有する小型磁気ロボットクローラ車両が開示される。車両は、表面の幾何学的形状および配向にかかわらず、高い機敏性および操縦性でほぼ全ての曲率の強磁性表面を横断することができ、検査センサを用いて横断した表面の検査を実施するように構成されている。
【0012】
そのような検査車両で使用され得るいくつかの異なるセンサが存在するが、1つの好ましいタイプの超音波センサは、表面の超音波検査を実施して例えば、壁厚のような横断した構造の特性を測定し、腐食を検出するように構成される乾式結合プローブ(DCP)である。乾式結合プローブは、通常、ホイールの形態で構築され、シャフト(車軸)は、外側のタイヤがシャフトの周りを回転する一方で、シャフト内にトランスデューサ構成要素が堅固に埋設されているため、固定して保持されることになる。そのため、プローブのシャフトは、トランスデューサが常に表面を指すように保持および位置決めされることが好ましく、これは、ホイールがそのロールおよびピッチ方向に傾斜しないことを意味する。
【0013】
実際には、表面の曲率が異なると、適切な測定を確実にするよう、検査されるべき面にトランスデューサが直接向いていることを確実にするために、ホイールのシャフトの回転調整が必要になる。プローブ角度を校正するこのプロセスは、正規化と称される。プローブの正規化は通常、手動プロセスである。例えば、パイプを検査する場合、異なるパイプ直径ごとに正規化を実施する必要がある。さらに、パイプを円周方向に検査することは一定の曲率を課すが、長手軸方向に検査することは平面を検査することと事実上同等である。したがって、両方の間の移行をシームレスに行うことはできず、移行を完了する前に手動の正規化を行う必要がある。
【0014】
そのため、DCPを使用する上での課題の1つは、プローブが検査されている表面に対して常に直角をなして(垂直に)維持されることが好ましく、これは、検査車両が可動性であり、表面をナビゲートする間の課題となり得る。さらなる課題は、検査されている表面に近接または接触させてプローブを維持することである。これは、検査車両がパイプまたはタンクの表面を周方向、長手軸方向、および螺旋状に駆動し得るため、特に困難であり、これは、検査車両の場所にかかわらず、DCPが検査されている表面に対して垂直であることを確実にするよう、DCPが再び位置合わせされなければならないことを意味する。
【0015】
開示される実施形態は、依然として多用途制御を可能にしつつ、車両の運動に対する重力の影響を最小化する非重力依存動作で車両の運動を提供する解決策を提供する。開示される実施形態はまた、検査が実施されているとき、および検査車両が、表面の様々な曲率度の範囲にもかかわらず表面に沿って様々な異なるトラックで操舵および/または移動されている間、検査されている表面に対してセンサを安定化し、その適切な高さを維持し、センサ(例えば、DCP)を正規化する機構(デバイス/装置)を対象とする。いくつかの例示的な実施形態では、プローブ角度は、車両のシャーシに対してプローブの配向を制御することによって正規化される。加えて、または代替的に、プローブは、シャーシに対して固定された配向を有することができ、プローブの正規化は、表面に対して車両の姿勢を調整することを伴う。クローラの前述の態様は、本明細書でさらに説明されるように、検査車両の全体的なサイズおよび重量を同時に低減しつつ、検査クローラの開発に共通する複数の主要な課題に取り組む。
【0016】
図1A図1Cを参照すると、本発明の実施形態による例示的なロボットクローラ車両100が示されている。図1Aは、一定の構成要素が省略された車両100の簡略化された底面図を提供する。図1Bおよび図1Cは、それぞれ、平面111および曲面111上を横断する車両100の簡略化された側面図を提供する。図示されるように、車両100は、表面111にわたって制御可能に駆動され得る、三輪磁気クローラ検査車両の形態であり得る。例えば、車両100は、1つ以上のオンボードセンサプローブを使用して、表面111の1つ以上の領域を検査するロボットデバイスであり得、車両は、車両の動作を制御するために車両にコマンドを送信することができるユーザによって制御され得る。このようにして、ユーザは、車両を表面にわたって効果的に駆動することができ、車両を停止および操舵することもできる。車両はまた、自律的に駆動するように構成されてもよい。
【0017】
ロボット車両100は、第1のシャーシ部112を含む。2つの磁気駆動ホイール117および118は、第1のシャーシ部によって支持されている。また、第1のシャーシ部には、車両を安定化させる安定化ホイール128が装着されている。安定化ホイール128は、キャスタホイール、キャスタボールまたはオムニホイールであり得る。図1Aおよび図1Bでは、例としてキャスタホイール128を使用するクローラ構成が示されている。
【0018】
上述のように、各駆動ホイールは、ロボット検査車両100が、金属パイプまたは金属貯蔵タンクなどの強磁性金属表面111に磁気的に取り付けられ、その表面にわたって移動可能となることを可能にするよう磁化され得る。キャスタホイール128を表面11と接触させて維持するために、キャスタボールも磁化することができる。特定の構成または車両の走行の方向に応じて、後部安定化ホイール128は駆動ホイールの前に配置することができ、したがって、従うのではなく、先導することができることを理解されたい。本明細書に記載の例示的なシャーシ、駆動ホイール、および安定化ホイールの配置は、限定することを意図していないことも理解されたい。代替的な車両、駆動ホイール、および安定化ホイールの構成は、開示される実施形態の範囲から逸脱することなく実装することができる。
【0019】
矢印「D」で示されるロボット車両の前方方向の走行では、ロボット車両の駆動ホイール117および118は、車両を前後に推進するモータに応答して、いずれかの方向に軸154の回りを回転する。駆動ホイールの回転軸154はまた、第1のシャーシ部112を通って幅方向に延びる横軸154とも称される。横軸に対して直角をなし、かつ第1のシャーシ部の中間を通って長手方向に延在する(例えば、クローラが上にある平面に対して平行であり、車両を左右側/半分に二等分する)ものが、長手軸150である。また、図1Bには、長手軸および横軸の両方に対して直角をなして延在し、表面111に対して垂直な(クローラが平面上にあるとき)垂直軸152も示されている。
【0020】
本明細書でさらに説明されるように、各駆動ホイールが、車両を前後方向に推進するとともに、車両を操舵するように個別に作動され構成され得ることも理解され得るであろう。離間した駆動ホイールは、車両100に安定性を提供する。加えて、駆動ホイールは、ホイールと、車両が移動され得る強磁性表面111との間に引張力を生じさせる強力な磁石を含み得、この構造的配置は、車両が傾くことへの抵抗を支援する。
【0021】
図にはその全体が示されていないが、車両は制御モジュールを含み得る。制御モジュールは、モータ、モータから駆動ホイール117および118に機械力を伝達するための駆動アセンブリ、電源(例えば、バッテリ)を含むことができる。制御モジュールはまた、図1Bに示されるように、コントローラ190を含むことができる。コントローラは、コンピュータ可読非一時記憶媒体194に記憶されるコードの形態にある命令を実行することによって構成されるプロセッサ192を含む。コントローラは、とりわけ、センサからの感知データを処理する、記憶された命令を処理する、およびモータ、アクチュエータなどロボット車両に共通して見られる任意の数の異なる電子的に制御された構成要素に対して制御命令/信号を生成することによって、車両の動作を電子的に制御することができる。
【0022】
自動プローブ正規化機構
左ホイール118と右ホイール117との間には、検査プローブアセンブリ130を車両100の第1のシャーシ部112に装着するためのセンササポートアセンブリまたは「プローブキャリア」170が設けられる。本明細書に記載の例示的な実施形態では、センサプローブアセンブリ130は、検査されている表面に沿って転がり、センサ測定値を捕捉するように構成されたローラセンサプローブ(例えば、前述のDCP)である。
【0023】
図2Aおよび図2Bに簡単に目を向けると、それぞれ、プローブアセンブリ130の簡略化されたクローズアップ底面図および側面図である。プローブ130は、固定されたプローブトランスデューサシャフト132の回りを回転するプローブホイール134を含むアセンブリである。プローブトランスデューサシャフトは、駆動ホイール117および118(図示せず)の回転軸に対しても略平行である外側プローブホイールの回転軸に沿って略配向される。
【0024】
好ましくは、横方向(例えば、長手軸に沿って)において車両の中間点に設けられたプローブホイール134。
【0025】
1つ以上の開示された実施形態の顕著な態様によると、プローブキャリア170は、プローブアセンブリ130を支持し、動作中にプローブホイール134を表面と接触させてまたは表面近くで維持するように構成され、パイプ上を螺旋状または長手方向に駆動するときに、異なる表面曲率および曲面が離間したホイール間にクリープする(例えば、車両に近くなるようカーブまたはクラウンする)という事実を補償するよう、プローブアセンブリ130を少なくとも上下方向に移動させることができる。
【0026】
図2Aは、プローブキャリア170装着システムの例示的な構成を示す底平面図である。この構成では、プローブキャリア170は、プローブホイールアセンブリが装着されているプラットホーム状のキャリア構造171を備える。より具体的には、プローブホイールの回転車軸は、プラットホーム171によって各端部で支持されている。プローブキャリアプラットホーム171は、シャーシに移動可能に装着され、それにより、ばね172によってばね支援される縦方向にスライドするシャフト174を使用して、表面111に対する上/下方向のプローブホイールの位置の自己調整を提供する。より具体的には、プローブホイールの回転車軸132の反対の端部は、例えば、ローラ軸受(図示せず)を用いて、プローブキャリアプラットホーム171に装着され得る。図2Bは、プローブキャリア170アセンブリのクローズアップ側面図であり、プローブホイール車軸132が装着されているプラットホーム状のキャリア構造171を示し、また、以下でさらに説明される自動正規化機構160を示している。
【0027】
さらに、図2A図2Bおよび図1A図1Cは、シャーシとフローティングプローブキャリアアセンブリプラットホーム171との間を延在する2つの圧縮ばね172を示している。シャーシと、プローブキャリア170からシャーシに延在する1つ以上のシャフト174によって案内され得るプローブキャリアとの間に加えられるばね膨張力は、プローブアセンブリ130の高さを調整し、それによりプローブホイール134を表面111と接触させて維持することに役立つ。図示されるように、ばね172の1つは回転車軸の前に設けられ、他のばねは後ろに設けられるが、ばねの正確な数およびばねの配置は、キャリア170がばね付勢され、下向きに押されてホイール134を表面と接触させて維持するのであれば、重要でない。
【0028】
プローブキャリア170によって提供されるプローブホイールの上下運動は一般的に受動的であるが、運動は、ばねなどを使用して付勢または支援され得る。例えば、限定されないが、図2Aは、それぞれが、それぞれのシャフト(図示せず)の長さの周りに配置され、シャーシ112(図示せず)に対して圧縮される圧縮ばね172を示す。シャーシおよびフローティングプラットホームを押圧するばね力は、動作中にプローブアセンブリを表面に向かって効果的に押圧し、曲率における変化に適応するようプローブホイールの高さを自己調整することによって、プローブホイール134を表面と接触させて維持することに役立つ。加えて、または代替的に、表面に対してプローブホイール134を維持する力は、磁石、例えば、ホイール134の左側および右側に配設される、ローラホイール磁石を使用して提供され得る。プローブアセンブリ130および自己調整プローブキャリア170の例示的な構成は、非限定的な例として提供され、異なるタイプの検査プローブをサポートし、1つ以上の自由度でプローブの運動を提供するために代替的な装着システムを使用することができる。
【0029】
図2Cに示される別の例示的な構成では、プローブホイールの回転車軸は、2つの縦方向に配向されたシャフト138によって各端部で支持され得る。特定の装着構成は図示されていないが、縦方向に配向されたシャフト138は、シャーシ112またはプローブキャリア170にスライド可能に装着され得る。例えば、シャフト138は、それぞれのリニア軸受(図示せず)を使用してプローブキャリアまたはシャーシに装着され得、シャフトがそれを通って上/下方向に移動することを可能にし、それにより、プローブホイールが上下方向に移動することを可能にする。
【0030】
プローブの検査角度の正規化に関して、ホイールプローブをクローラの中間(すなわち、長手軸150に沿って)および2つの駆動ホイールの間に配置すると、パイプに対するプローブの位置合わせに関する問題が著しく単純化されることに留意されたい。プローブのこの配置は、正規化の問題を3自由度(DoF)の課題から特定の1DoF課題に基本的に軽減し、克服するべき唯一の課題は、本明細書に記載する自動プローブ正規化機構によって取り組まれるプローブトランスデューサの前/後検査角度pである。さらに、ホイールプローブをクローラの中心に配置することにより、他のクローラで生じ得る(プローブが操舵前にパイプから持ち上げられない限り)、プローブホイール134が横に引きずられることに関する問題を排除することができる。したがって、本明細書に開示される例示的なクローラ車両は、パイプからプローブを持ち上げることを必要とせずに(すなわち、操舵時に単にプローブの回りを枢動することによって)操縦を行いながらプローブの読み取り値を連続的に取ることができる。
【0031】
なお、例えば、DCPは、完全な測定値を取得するためにその内部トランスデューサ構成要素が検査表面に対して垂直であることを一般に必要とするため、横断した表面111とローリングセンサプローブホイール134との間で正規化された接触が維持されることが好ましい。例えば、図2Cは、表面111(左に示されている)で適切に正規化され、プローブ角度pを有して適切に正規化されていない、例えば、表面と直角をなしていない(右に示されている)プローブトランスデューサを示す。そのため、開示された実施形態によれば、車両100は、表面111に対してプローブの受動的正規化を提供する自動正規化機構160を含む。
【0032】
図1A図1Cに示される例示的な実施形態では、正規化機構160は、表面曲率「感知」デバイスまたは機構を含むことができる。特に、車両100は、クローラの中心のどこかに装着される受動的なフローティングホイール、キャスタボール162を含む。図示されるように、キャスタボール162は、好ましくは、長手軸150に沿って、好ましくは、後部サポートキャスタ128と駆動ホイール117および118との間の中間点に設けられる。キャスタボール162は、表面111に対してキャスタボール162を維持するように構成された直線的にスライドするサポートアセンブリ164によって支持される。例えば、直線的にスライドするサポートアセンブリ164は、キャスタボール162が一端部に装着され、シャーシ112に装着される外側シャフトハウジング内で直線的にスライドするように構成されるシャフトを含むことができる。したがって、直線的にスライドするサポートアセンブリ164は、表面111の曲率の関数として、シャーシに対してキャスタボールが上/下方向に直線的に移動することを可能にするように構成され得る。例えば、図1Bに示される実施形態では、キャスタボールは、車両が平面111を横断しているとき、シャーシに対して「低い」位置に示されている。図1Cに示されるように、キャスタボールは、曲面111を横断するときにシャーシ112に近づく。したがって、パイプ直径が小さいほど(すなわち、表面の曲率が大きいほど)、キャスタボールがシャーシに近いことが理解されるであろう。
【0033】
キャスタボール162を表面11と接触させて維持するために、キャスタボールを磁化することができる。加えて、または代替的に、直線的にスライドするサポート164は、例えば、ばね(図示せず)で付勢されて、スライドするシャフトとシャーシとの間に十分な押力を提供し、キャスタボール162が表面と接触したままであることを確実にすることができる。
【0034】
受動的に転がるボールキャスタ162が図1A図1Cに関連して示され、説明されているが、表面111に接触してそれに沿って移動されるのに適した任意のデバイス、例えば、駆動ホイール117および118の回転軸154に対して平行な固定された回転軸の回りを回転するホイールを利用することができる。
【0035】
前述のように、直線的に浮遊(フロート)しているキャスタボール162は、好ましくは、第1のシャーシ部112に対して少なくとも上/下方向に移動可能である。車両の構成に応じて、サポートアセンブリ164が、より大きな自由度でキャスタボール162を移動可能に支持するように構成され得ることが理解されるべきである。そのような、フローティングホイールを支持し、それを表面曲率の関数として1つ以上の方向に移動させることを可能にするための他の機構が利用され得ることも理解されるべきである。
【0036】
ここで図1A図1Cに戻り、図2Aおよび2Bを引き続き参照すると、前述のように、自動プローブ正規化機構160は、表面曲率の関数として表面111に対するプローブ130の角度pを調整するように構成され、それにより、測定値を捕捉するためのプローブトランスデューサシャフト132の適切な配向を容易にする。図1B図1Cに示される例示的な構成では、正規化機構160は、表面曲率の関数として上下に移動する、フローティングキャスタボール162の機械的運動を、プローブ角度pを調整するよう、すなわち、プローブトランスデューサ132が表面111により直接的に向くよう、プローブトランスデューサシャフトの回転に変換するように構成された機械的リンケージ165を含み得、それによって受動的かつ自動の正規化を提供する。
【0037】
機械的リンケージ165の1つの例示的な構成は、図1Bに見られるように、キャスタボールの並進運動をプローブトランスデューサ要素の角度にリンクするスライダークランクリンケージを含むことができる。スライダークランクリンケージの要素は、キャスタボール162に一端部で、例えば、キャスタボールの車軸で枢動可能に装着されるリンケージアーム166を含み、キャスタボールに対して自由に枢動する。リンケージアーム166はまた、他方の端部で第2のリンケージアーム167に枢動可能に装着される。第2のリンケージアーム167は、第2のリンケージアームを回転させるとプローブ配向が変化するようプローブトランスデューサシャフト132に固定的に装着され、図示されるように、プローブのトランスデューサの検査方向と同じ方向に配向される。
【0038】
リンケージアーム166および167の長さおよびそれらのそれぞれの装着点の相対位置を含むスライダークランクリンケージの幾何学的形状は、パイプ直径の範囲に対して、好ましくは、その可動域にわたって最小の偏差で正規化されたプローブ角度pを達成するために、プローブと表面との適切な位置合わせを確実にするよう設計される。リンケージは2つの極値の間で設計されるため、キャスタボールの並進位置と対応するプローブの補正角度との間にわずかな偏差がある場合もある。その結果、スライダークランクリンケージ運動の特性により、ホイールプローブ130の検査方向が、動作中、横断した表面に対して略直角をなしたまま(すなわち、表面111に対して1つ以上の方向に「正規化された」または「垂直配向」)であることを可能にする。
【0039】
上述の例示的な自動プローブ正規化機構は、非限定的な例として提供される。プローブ正規化機構の他の構成は、開示された実施形態の範囲から逸脱することなく使用することができる。例えば、図3Aおよび3Bは、図3Aにおいて平面および図3Bにおいて曲面を横断するスライダークランクリンケージ365を備えるプローブ正規化機構360に対する別の例示的な配置を含む車両300を示す。例示的なスライダークランクリンケージ365は、キャスタボール362の可動域および表面311の曲率にわたって、表面の垂直線352に対する検査角度偏差pに改善された制御を提供することができる。より具体的には、図示されるように、第1のスライダークランクリンケージアーム366は、直線的にスライドするシャフト363に一端部で枢動可能に取り付けられて示されている。さらに、第2のスライダークランクリンケージアーム367は、図1A図1Cに示される実施形態と比較して細長く、表面311に近接する端部で第1のリンケージアーム366に枢動可能に結合され、さもなければ図1A図1Cの実施形態と同様にトランスデューサシャフト332に固定的に結合される。
【0040】
図4Aおよび図4Bは、受動的プローブ正規化機構460の別の例示的な構成を有する車両400をさらに示す。車両400は、図4Aにおいて平面および図4Bにおいて曲面を横断している状態で示される。車両400は、図1A図1Cに関連して示され説明された車両100と同じ基本的構成、すなわち、2つの離間した磁気駆動ホイール(1つのホイール417のみが示される)、安定化キャスタホイール428、および2つの駆動ホイールの間に位置決めされ、表面511との接触を維持するようにプローブホイールの受動的高さ調整を可能にするばね付勢デバイスであるプローブキャリアアセンブリ470に装着されるセンサプローブアセンブリ430を有する。
【0041】
車両400はまた、プローブ角度の受動的正規化を提供する簡略化されたリンケージシステムを含む。正規化機構460は、リンケージアーム466を備え、曲率調整キャスタボール462は、アームの一端部に装着され、アームは、他端部でプローブホイールシャフト432に装着される。リンケージアーム466および正規化機構460の幾何学的形状は、より一般的には、表面が平坦であるときに、表面411と後部キャスタホイール428、駆動ホイール417およびキャスタボール462との間の接点が同一平面であるよう構成され得、プローブホイールは、そのトランスデューサが好ましい検査角度(例えば、表面と直角をなすように)で表面411を指すように正規化される。曲率が大きくなると(例えば、パイプ直径が小さくなると)、図4Bに示すように、キャスタボール462はシャーシ412に向かって移動し、その結果、曲面が他のホイールに対してキャスタボールを効果的に持ち上げるため、プローブホイールに固定的に装着されたリンケージアーム466がプローブトランスデューサシャフト432を回転させ始める。これにより、プローブシャフト432に角回転が生じ、それにより、プローブトランスデューサが表面411と位置合わせされて、適切な正規化が達成される。いくらかの残留正規化エラーが発生する可能性があるが、適切なリンク寸法とヒンジ位置で車両を構成することにより、エラーを許容範囲にまで最小化できる。
【0042】
図5Aおよび図5Bは、プローブ正規化機構560の別の例示的な構成を組み込んだクローラ車両500の側面図である。車両500は、図5Aにおいて平面511および図5Bにおいて曲面511を横断している状態で示される。車両500は、図1A図1Cに関連して示され説明された車両100と同じ基本的構成、すなわち、2つの離間した磁気駆動ホイール(1つのホイール517のみが示される)、安定化キャスタホイール528、および2つの駆動ホイールの間に位置決めされ、表面511との接触を維持するようにプローブホイールの受動的高さ調整を可能にするばね付勢デバイスであるプローブキャリアアセンブリ570に装着されるセンサホイールプローブ530を有する。
【0043】
自動プローブ正規化機構560は、表面に対してプローブトランスデューサシャフト532を正規化するように、シャーシに対してプローブ配向を調整するように構成される。図5A図5Bに示される例示的な構成では、プローブ正規化機構560は、プローブホイール534のトランスデューサシャフト532に結合され、プローブトランスデューサを回転させるように設計された磁気リング566を含むことができる。特に、磁気リングの直径は、磁石と鉄表面511との間に小さなエアギャップ590を残すように設計されており、それにより、磁石は、鉄表面によって影響を与えられる磁場と自身を位置合わせすることができる。図5Bに示されるように、鉄表面511との磁気的位置合わせを維持するための磁石の回転は、トランスデューサシャフトを回転させるのに役立ち、それにより、表面511へのプローブトランスデューサの受動的正規化を提供する。加えて、プローブシャフトまたは磁石リングには、磁石の過回転を防止するために、例えば、磁石が180度回転するのを防止するために、機械的ストッパーが嵌合され得る。
【0044】
図6A図6Cは、プローブ正規化機構660の別の例示的な構成を組み込んだクローラ車両600の側面図である。車両600は、図6Aにおいて平面611および図6B図6Cにおいて曲面611を横断している状態で示される。車両600は、図1A図1Cに関連して示され説明された車両100と同じ基本的構成、すなわち、2つの離間した磁気駆動ホイール(1つのホイール617のみが示される)、安定化キャスタホイール628、および2つの駆動ホイールの間に位置決めされ、表面611との接触を維持するようにプローブホイール674の受動的高さ調整を可能にするばね付勢デバイスであるプローブキャリア670に装着されるセンサホイールプローブ630を有する。
【0045】
しかしながら、前述の実施形態は、シャーシおよび横断した表面に対してプローブの配向を受動的に調整するプローブ正規化機構を含んでいたが、車両600は、プローブ630がシャーシ612に対して一般的に固定された配向で維持されるよう構成され、プローブ正規化機構660は、表面曲率の範囲にわたって表面611に対するプローブ630の配向を調整するようシャーシの姿勢を調整するように構成され、それにより、測定値を捕捉するためのプローブトランスデューサシャフト632の適切な検査角度pが維持される。
【0046】
図6A図6Bに示される例示的な構成では、プローブ正規化機構660は、シャーシ612の下側に装着され、センサから表面611までの距離を測定するように構成された1つ以上の距離測定センサ694を含むことができる。図示されるように、センサは、車両支持ホイール、例えば、駆動ホイール617とキャスタホイール628との間の中間に配置することができる。さらに、プロセッサ692を使用して、測定された距離、車両の既知の幾何学的形状(例えば、車両のホイールのサイズおよび相対位置、およびプローブに対するその相対位置)を用いて表面曲率、その結果、プローブの検査角度pが所望の検査角度(例えば、検査されている表面611に対して直角をなす)と同じになるためにプローブの配向をどれだけ調整する必要があるかを決定するよう構成され得る車両制御コンピュータ690(またはロボットと通信する外部コンピューティングデバイス)。
【0047】
車両600はまた、所望の検査角度を達成するために方向性プローブ630を位置合わせするように構成されたアクチュエータ663を含む。このような位置合わせを実施するために多くのタイプのアクチュエータを使用することができる。例えば、図6Aに示される実施形態では、後キャスタホイール628は、シャーシ612に装着されたリニアアクチュエータ663のシャフトの端部に装着され得る。制御コンピュータ690は、計算された表面曲率に基づいて、リニアアクチュエータ663にシャフトを延長させ、それによって後端部でクローラのシャーシ612を持ち上げるように構成することができる。結果として、シャーシ612は、駆動ホイールの軸の回りで枢動され、プローブが関心表面611に対して垂直になるように、シャーシに対して固定された配向で維持されるプローブの角度が変更される。加えて、距離センサからのフィードバック測定値は、パイプの直径およびプローブを位置合わせするために必要な要求されるリニアアクチュエータ調整を反映するために、制御コンピュータ690によって相互に関連付けられ得る。図6Bは、プローブ角度pの正規化前の曲面上の例示的な車両600を示している。図6Cは、駆動ホイール軸の回りでシャーシを枢動させることによるプローブ角度pの正規化後の同じ曲面上の例示的な車両600を示している。
【0048】
検査表面に対してプローブを受動的かつ自動的に正規化するための前述の例示的な実施形態に加えて、または代替的に、表面に対するプローブの角度の作動および調整を実施またはさもなければ支援するために、任意のタイプの動力付きアクチュエータまたはモータを使用することができる。例えば、正規化機構は、ホイールプローブのシャフトに直接的にまたは適切な機械的リンケージを使用して接続されたアクチュエータまたはモータを含むことができ、測定された表面曲率の関数として検査角度を制御可能に調整するために使用することができる。
【0049】
例えば、プローブの検査角度を調整するための例示的なモータ支援され、制御されたプローブ正規化機構760のクローズアップ図である図7に示されるように。図1A図1Cに関連して説明された例示的な車両100と同様に、プローブは、プローブトランスデューサシャフト732の回りを回転し、シャーシに結合され、かつばね装着システムを用いてプローブの高さを受動的に制御するように構成されたプローブキャリア770によって支持されるプローブホイール734を備える。図示されるように、正規化機構760は、プローブキャリア770に装着され、スライダークランクリンケージシステム765を介してプローブトランスデューサシャフト732にリンクされるモータ750を含む。モータは、制御コンピュータ690から受信する好適に構成された制御信号に基づいて、出力駆動シャフトを回転させるように構成される。駆動シャフトに結合された機械的リンケージシステム765は、モータの回転をプローブトランスデューサシャフト732の回転に変換して、プローブ角度を調整し、プローブの能動的な自動正規化を提供する。
【0050】
上述の開示された例示的な実施形態から理解できるように、自動プローブ正規化機構は、プローブアセンブリに機械的にリンクされ、受動的に感知または能動的に測定された表面曲率に基づいて、プローブを表面に対して所定の検査角度で維持するよう構成される。リンケージアームの配置、それぞれの長さ、枢動点、および他のそのようなパラメータを含む、自動プローブ正規化機構の幾何学的形状は、必要に応じて、車両構成(例えば、車両の支持ホイールのサイズ、形状、および相対位置)およびアプリケーション依存要件(例えば、表面曲率の予想される範囲)の関数として定義することができ、プローブの角度を受動的および/または能動的に調整し、表面に対して適切に正規化されたプローブを維持することができる好適に応答する自動プローブ正規化機構を提供する。
【0051】
本発明の様々な組み合わせ、代替、および修正が当業者によって想到され得ることを理解されたい。本発明では、添付の特許請求の範囲の範囲内にある、かかる全ての代替、修正、および変形を包含することが意図されている。
【0052】
図面中の類似した数字は、いくつかの図面を通して類似の要素を表し、図面に関連して記載され示された全ての構成要素および/またはステップが、全ての実施形態または配置に必要とされるわけではないことが理解されるべきである。
【0053】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本開示を限定することを意図していない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈で別に明示していない限り、複数形も含むことを意図している。「comprises(備える)」および/または「comprising(備える)」という用語は、本明細書において使用される場合、記載される特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明記しているが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらのグループの存在または追加を排除しないことをさらに理解されたい。
【0054】
また、本明細書において使用される表現および専門用語は、説明目的のものであり、限定として見なされるべきではない。本明細書における「including(含む)」、「comprising(備える)」、または「having(有する)」、「containing(含有する)」、「involving(伴う)」、およびこれらの変形の使用は、これらに続いて列挙される項目、およびこれらの均等物、ならびに追加項目を包含することを意味する。
【0055】
上述の主題は、単に例示として提供されており、限定されるものと解釈されるべきではない。例示的な実施形態ならびに説明および記載された用途に従うことなく、かつ、以降の特許請求の範囲に記載され、これらの記載と同等の構造および機能またはステップによって定義される本開示によって包含される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が、本明細書に記載される主題に対して行われ得る。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7