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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】発光ダイオード回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20240723BHJP
   G09G 3/32 20160101ALI20240723BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240723BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01L33/00 J
G09G3/32 A
G09G3/20 611A
G09G3/20 670H
G09F9/33
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022067869
(22)【出願日】2022-04-15
(65)【公開番号】P2022165932
(43)【公開日】2022-11-01
【審査請求日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】63/177345
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111112306
(32)【優先日】2022-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501358079
【氏名又は名称】友達光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AUO Corporation
【住所又は居所原語表記】No.1,Li-Hsin Rd.2,Science-Based Industrial Park,Hsinchu,Taiwan.
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 俊雨
(72)【発明者】
【氏名】呉 仰恩
(72)【発明者】
【氏名】蘇 松宇
(72)【発明者】
【氏名】王 賢軍
(72)【発明者】
【氏名】王 雅榕
(72)【発明者】
【氏名】謝 嘉定
(72)【発明者】
【氏名】黄 建富
(72)【発明者】
【氏名】林 欣瑩
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534786(JP,A)
【文献】特表2008-544569(JP,A)
【文献】特開2010-205777(JP,A)
【文献】特開2003-264314(JP,A)
【文献】特開2009-004483(JP,A)
【文献】特開2004-279668(JP,A)
【文献】国際公開第2009/084857(WO,A2)
【文献】特開2010-034610(JP,A)
【文献】特開2011-159722(JP,A)
【文献】特開2013-172147(JP,A)
【文献】特開2007-327753(JP,A)
【文献】特開2010-287611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置における発光ダイオード回路であって、
複数のトランジスタであって、該複数のトランジスタの第1の端子が、互いに電気的に結合され、第1の基準電圧を受けるよう構成される、複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタと第2の基準電圧との間に電気的に結合される、発光ダイオードコンポーネントであって、前記複数のトランジスタと同数の複数のP-Nダイオードを有し、前記複数のP-Nダイオードは、互いに直列に結合され、且つ単一のチップ上に集積される、発光ダイオードコンポーネントと、
を有し、
前記複数のトランジスタは、前記発光ダイオードコンポーネントを構成する全てのP-Nダイオードを駆動して発光させるよう構成され、前記複数のトランジスタのうちのそれぞれの第2の端子は、前記複数のP-Nダイオードのうちの対応する1つの陽極に電気的に結合され、
前記複数のP-Nダイオードのm番目のP-Nダイオードに欠陥が生じたことに応答して、前記複数のトランジスタの(m+1)番目のトランジスタのゲート端子が、ゲート駆動信号を受信するよう構成され、前記(m+1)番目のトランジスタが、前記複数のP-Nダイオードの(m+1)番目のP-Nダイオードに前記第1の基準電圧を伝達するよう構成され
前記発光ダイオード回路は、前記発光ダイオードコンポーネントを通過する電流があるか否かを検出するよう構成された検出回路を含む、発光ダイオード回路。
【請求項2】
前記複数のトランジスタのm番目のトランジスタのゲート端子が、ゲート駆動信号を受信したことに応答して、前記m番目のトランジスタが、前記複数のP-Nダイオードのm番目のP-Nダイオードに前記第1の基準電圧を伝達して、前記複数のP-Nダイオードの前記m番目のP-Nダイオードからn番目のP-Nダイオードまでを駆動して発光させるよう構成され、ここでm及びnは1よりも大きい整数であり、mはn以下である、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項3】
前記複数のトランジスタは、複数の異なるゲート駆動信号に応答して順次にオンにされ、前記複数のP-Nダイオードのうち少なくとも1つを駆動して発光させるよう構成される、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項4】
前記発光ダイオードコンポーネントは、複数の電極パッドを有し、前記複数の電極パッドのそれぞれは、前記複数のP-Nダイオードのうちの対応する1つの陰極又は陽極と、前記複数のトランジスタの対応する1つとの間に電気的に結合され、前記複数の電極パッドは、独立した電極として露出している、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項5】
前記発光ダイオードコンポーネントは、少なくとも1つの相互接続構造を更に有し、前記複数の電極パッドのうち少なくとも2つは、前記少なくとも1つの相互接続構造を通して直列に結合される、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項6】
前記発光ダイオードコンポーネントは、基体を更に有し、前記発光ダイオードコンポーネントの前記複数のP-Nダイオードは、前記基体上に集積される、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項7】
前記複数のP-Nダイオードは、複数のp型ドーピング層と複数のn型ドーピング層とを有し、前記複数のp型ドーピング層及び前記複数のn型ドーピング層は、対応して前記基体上に配置される、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項8】
前記複数のP-Nダイオードのうちの第1のP-Nダイオードの前記p型ドーピング層は、前記複数のP-Nダイオードのうちの第2のP-Nダイオードの前記n型ドーピング層に電気的に結合され、前記第2のP-Nダイオードは、前記第1のP-Nダイオードに隣接する、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【請求項9】
前記発光ダイオードコンポーネントは、
前記複数のP-Nダイオードにおける対応するp型ドーピング層に電気的に結合される、複数の第1の電極パッドと、
前記複数のP-Nダイオードにおける対応するn型ドーピング層に電気的に結合される、複数の第2の電極パッドと、
を更に有する、請求項に記載の発光ダイオード回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年4月20日付けで出願された米国仮特許出願第63/177,345号及び2022年3月30日付けで出願された台湾特許出願第111112306号の優先権を主張し、これらは、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、発光ダイオード(LED)コンポーネント及びLED回路に関する。より詳細には、本開示は、複数のP-Nダイオード構造を含むLEDコンポーネント及びLED回路に関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどのアクティブマトリクス型のマイクロLEDディスプレイは、駆動回路又はトランジスタを用いて、それぞれが1つのダイオード構造しか持たないLEDコンポーネントを駆動するが、かかる駆動手法は、大きな電力消費に帰着し得る。さらに、ダイオード構造に欠陥が生じた場合には、LEDコンポーネントの全体を交換する必要があり、したがってディスプレイの製造者又は消費者が追加的なコストを負担することになり得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、基体と複数のP-Nダイオード構造とを含む、発光ダイオードコンポーネントを提供する。前記P-Nダイオード構造は、互いに直列に結合され、互いに横方向に隣接して配置され、且つ前記基体上に集積される。前記P-Nダイオード構造は、複数のp型ドーピング層と複数のn型ドーピング層とを有し、前記p型ドーピング層及び前記n型ドーピング層は、対応して前記基体上に配置される。前記P-Nダイオード構造のうちの第1のP-Nダイオード構造の前記p型ドーピング層は、前記P-Nダイオード構造のうちの第2のP-Nダイオード構造の前記n型ドーピング層に電気的に結合され、前記第2のP-Nダイオード構造は、前記第1のP-Nダイオード構造に隣接する。
【0005】
本開示はまた、複数のトランジスタと発光ダイオードコンポーネントとを含む、表示装置における発光ダイオード回路を提供する。前記トランジスタの第1の端子は、互いに電気的に結合され、第1の基準電圧を受けるよう構成される。前記発光ダイオードコンポーネントは、前記トランジスタと第2の基準電圧との間に電気的に結合される。前記発光ダイオードコンポーネントは、複数のP-Nダイオードを有し、前記P-Nダイオードは、互いに直列に結合され、且つ単一のチップ上に集積される。前記トランジスタは、前記発光ダイオードコンポーネントを駆動して発光させるよう構成され、前記トランジスタのうちのそれぞれの第2の端子は、前記P-Nダイオードのうちの対応する1つの陽極に電気的に結合される。
【0006】
添付の図面を参照して以下の実施形態の詳細な説明を読むことにより、本発明をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の幾つかの実施形態によるLED回路の図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態によるLEDコンポーネントの構造の図である。
図3A】本開示の幾つかの実施形態によるLEDコンポーネントの図である。
図3B】本開示の幾つかの実施形態による、図3AにおけるLEDコンポーネントの断面図である。
図4A】本開示の幾つかの実施形態によるLEDコンポーネントの図である。
図4B】本開示の幾つかの実施形態による、図4AにおけるLEDコンポーネントの断面図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態による表示装置におけるLED回路の図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態による、図5におけるLED回路の一部の図である。
図7A】本開示の幾つかの実施形態による、発光期間中に動作する図5におけるLED回路の図である。
図7B】本開示の幾つかの実施形態による、発光期間中に動作する図5におけるLED回路の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態が詳細に参照され、その例が本明細書で記載され、添付図面に示される。本開示は実施形態と関連して説明されるが、本開示をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことは理解されよう。反対に本開示は、添付される請求項により定義される本開示の趣旨及び範囲に含まれ得る代替形態、変更形態及び等価形態をも包含することが意図されている。当業界における標準的な慣行に従って、図面は単に理解のために用いられるものであり、定縮尺で描かれてはいないことに留意されたい。それゆえ、図面は本開示の実際の実施形態を制限するものではない。実際には、種々の特徴の寸法は、議論を明確にするために、任意に増大又は縮小させられたものであり得る。理解をより適切にするために、図面及び説明において、同一の又は同様の部分を参照するために、可能な限り、同じ参照番号が使用される。
【0009】
本明細書において使用される用語は一般に、本発明の文脈内で、また各用語が使用される特定の文脈において、当該分野における通常の意味を持つ。
【0010】
本開示で使用される「有する(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(having)」、「包含する(containing)」、「伴う(involving)」等の用語は、制約するものではないと理解されるべきであり、すなわち、含むがそれに限定するものではないことを意味すると理解されるべきである。加えて、本開示で使用される用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含む。さらに、種々の要素を説明するために「第1の」、「第2の」等の用語が本明細書で使用され得るが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことは理解されよう。これらの用語は、或る要素を別の要素から区別するために使用されるものである。
【0011】
ほとんどのアクティブマトリクス型マイクロLEDディスプレイは、駆動回路又はトランジスタを用いて、それぞれが1つのダイオード構造しか持たないLEDコンポーネントを駆動するが、かかる駆動手法は、大きな電力消費に帰着し得る。本開示の一実施形態は、複数のP-Nダイオード構造を集積するLEDコンポーネントを提供する。ここで図1を参照されたい。図1は、本開示の幾つかの実施形態によるLED回路の図である。図1に示されるLED回路は、トランジスタt1を用いてLEDコンポーネント120を駆動する。トランジスタt1は、基準電圧VDDを受け、LEDコンポーネント120に電気的に結合されており、LEDコンポーネント120は、基準電圧VSSに電気的に結合される。LEDコンポーネント120は、互いに直列に結合された2つのP-Nダイオード構造d1及びd2を含み、P-Nダイオード構造d1及びd2は、LEDコンポーネント120として集積される。
【0012】
動作時には、トランジスタt1の第1の端子は基準電圧VDDを受け、トランジスタt1のゲート端子がゲート駆動信号を受信してトランジスタt1がオンにされたことに応答して、トランジスタt1は基準電圧VDDをLEDコンポーネント120に伝達する。LEDコンポーネント120の両端間の電圧差が、P-Nダイオード構造d1及びd2の合わせた順方向電圧よりも大きい場合、P-Nダイオード構造d1及びd2は導通され、電流i1がP-Nダイオード構造d1及びd2を通過する。
【0013】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造d1とd2とは、同一の構造、物理的特性及び/又は順方向電圧を持つ。代替の実施形態においては、P-Nダイオード構造d1とd2とは、異なる構造、物理的特性及び/又は順方向電圧を持つ。
【0014】
図1におけるLEDコンポーネント120は、2つのP-Nダイオード構造d1及びd2を含むため、それぞれが1つのダイオード構造しか持たないLEDコンポーネントをトランジスタを用いて駆動する上述した駆動手法と比較すると、図1におけるLED回路は、同じ明るさを実現するために、より小さい電流を使用することができる。電流i1が小さいため、図1に示されるLED回路の電力消費は小さい。
【0015】
ここで図2を参照されたい。図2は、本開示の幾つかの実施形態によるLEDコンポーネント220の構造の図である。幾つかの実施形態においては、図1におけるLEDコンポーネント120は、図2に示されるLEDコンポーネント220の構造と類似する構造を持つ。LEDコンポーネント220は、図1に示されるP-Nダイオード構造d1及びd2に対応する、P-Nダイオード構造d1及びd2を含む。
【0016】
図2に示されるように、P-Nダイオード構造d1及びd2のそれぞれは、P-Nダイオードの一般的な構造を持つ。例えば、幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造d1は、基体221と、p型ドーパント(複数の場合もある)を含むp型ドーピング層222と、複数の量子井戸(MQW)の構造を持つ活性層と、n型ドーパント(複数の場合もある)を含むn型ドーピング層223と、電極Pとを含む。同様に、P-Nダイオード構造d2は、基体221と、p型ドーピング層224と、活性層と、n型ドーピング層225と、電極Nとを含む。P-Nダイオード構造d1及びd2は、ともに基体221上に集積される。幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造d1及びd2は、導電性の相互接続構造226を通して、互いと電気的に結合される。例えば、図2に示されるように、P-Nダイオード構造d1のn型ドーピング層223は、相互接続構造226を通して、P-Nダイオード構造d2のp型ドーピング層224に電気的に結合され、これにより、P-Nダイオード構造d1及びd2は、互いに直列に結合されることとなり、図1に示されるLED回路におけるLEDコンポーネント120として使用することができる。
【0017】
図1におけるLEDコンポーネント120及び図2におけるLEDコンポーネント220においては、2つのP-Nダイオード構造d1及びd2のみが、互いに直列に結合されている。本開示の一実施形態は、直列に結合された更なるP-Nダイオード構造を含むLEDコンポーネントを提供する。ここで図3Aを参照されたい。図3Aは、本開示の幾つかの実施形態によるLEDコンポーネント320の図である。LEDコンポーネント320は、P-Nダイオード構造D1~Dnを含む。P-Nダイオード構造D1~Dnは、互いに直列に結合され、互いに横方向に隣接して配置され、単一の構造として集積される。例えば、図3Aに示されるように、P-Nダイオード構造D1~Dnのそれぞれは、水平方向(例えば図3AにおけるX方向)に沿って延在し、P-Nダイオード構造D1~Dnは、該水平方向を横切る方向(例えば図3AにおけるY方向)に沿って横方向に互いに隣接するよう配置される。
【0018】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1~Dnのそれぞれは、対応する電極パッドに電気的に結合される。具体的には、P-Nダイオード構造D1は、電極パッドP1(図の明確さのため図3Aには示されていない)及びN1に電気的に結合され、電極N1は、P-Nダイオード構造D1の底部の相対的に右側の部分に配置され、電極P1は、P-Nダイオード構造D1の底部の相対的に左側の部分に配置される。同様に、P-Nダイオード構造D2~Dnは、対応する電極パッドP2~Pn及びN2~Nnに電気的に結合される。
【0019】
幾つかの実施形態においては、電極パッドP1~Pnは、P-Nダイオード構造D1~Dnの陽極として使用され、電極パッドN1~Nnは、P-Nダイオード構造D1~Dnの陰極として使用され、ここで該陽極は、比較的高い電圧を受けるよう構成され、該陰極は、比較的低い電圧を受けるよう構成される。
【0020】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1の電極パッドN1は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造D2の電極パッドP2(図の明確さのため図3Aには示されていない)に電気的に結合され、P-Nダイオード構造D2の電極パッドN2は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造D3の電極パッドP3(図の明確さのため図3Aには示されていない)に電気的に結合され、P-Nダイオード構造D3の電極パッドN3は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造D4の電極パッドP4(図の明確さのため図3Aには示されていない)に電気的に結合される等する。最後に、P-Nダイオード構造D(n-1)の電極パッドN(n-1)は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造Dnの電極パッドPnに電気的に結合される。これらの結合/接続関係に基づいて、P-Nダイオード構造D1~Dnが、互いに直列に結合される。P-Nダイオード構造D1~Dnの該直列接続は、図6を通して、後の段落において、更に議論される。
【0021】
幾つかの実施形態においては、電極パッドは、互いから約3μm~300μmだけ離隔される。例えば、図3Aにおいて、P-Nダイオード構造D(n-1)の電極パッドN(n-1)とP-Nダイオード構造Dnの電極パッドNnとの間の距離DISは、約3μm~300μmである。
【0022】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1~Dnは、同一の基体上に集積される。ここで図3Bを参照されたい。図3Bは、本開示の幾つかの実施形態による、図3AにおけるLEDコンポーネント320の断面図である。図3Bに示されるように、図3AにおけるP-Nダイオード構造D1~Dnのそれぞれは、p型ドーピング層324と、活性層326と、n型ドーピング層328とを含む。これら3つの層は、1つのP-Nダイオード構造として配置されるよう、対応して配置される。換言すれば、P-Nダイオード構造D1~Dnのそれぞれは、p型ドーピング層324と、活性層326と、n型ドーピング層328とを含み、P-Nダイオード構造D1~Dnのp型ドーピング層324と、活性層326と、n型ドーピング層328とは、同一の基体322上に集積される。
【0023】
図3Bに示された実施形態においては、p型ドーピング層324は、n型ドーピング層328と基体322との間に配置される。幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1~Dnのうちの隣接する2つのP-Nダイオード構造の一方のp型ドーピング層324は、相互接続構造(例えば後の段落において更に議論される図6における相互接続構造CON)を通して、P-Nダイオード構造D1~Dnのうちの当該隣接する2つのP-Nダイオード構造の他方のn型ドーピング層328に、電気的に結合される。
【0024】
幾つかの実施形態においては、図3Aにおける電極パッドP1~Pn及びN1~Nnは、図3Bに示された構造を通して、P-Nダイオード構造D1~Dnに電気的に結合される。具体的には、図3Bに示されるように、電極パッドPnは、P-Nダイオード構造Dnのp型ドーピング層324に電気的に結合され、電極パッドNnは、P-Nダイオード構造Dnのn型ドーピング層328に電気的に結合される。幾つかの実施形態においては、電極パッドP1~P(n-1)は、同様の態様で、対応するP-Nダイオード構造D1~D(n-1)のp型ドーピング層324に電気的に結合され、電極パッドN1~N(n-1)は、同様の態様で、対応するP-Nダイオード構造D1~D(n-1)のn型ドーピング層328に電気的に結合される。
【0025】
幾つかの実施形態においては、動作時に、電極パッドPnが比較的高い電圧を受け、電極パッドNnが比較的低い電圧を受けると、電流が形成されて電極パッドPnからp型ドーピング層324、活性層326、n型ドーピング層328、次いで電極パッドNnへと流れる。該電流が活性層326を通過するとき、P-Nダイオード構造Dnが発光する。
【0026】
幾つかの実施形態においては、電極パッドP1~Pn及びN1~Nnは、全て独立した電極として露出する。したがって、LEDコンポーネント320が回路で使用される場合、電極パッドP1~Pn及びN1~Nnは、独立した電極として使用することができ、異なるピン、回路若しくは電気的なコンポーネントに電気的に結合するように構成されてもよいし、又は異なる信号を受信するよう構成されてもよい。
【0027】
図3A及び図3Bの実施形態は単なる例であることは、留意されるべきである。幾つかの実施形態においては、直列に結合された複数のP-Nダイオード構造を含むLEDコンポーネントは、図4A又は図4Bに示されたLEDコンポーネントの構造を持ってもよい。ここで図4A及び図4Bを参照されたい。図4Aは、本開示の幾つかの実施形態によるLEDコンポーネント420の図である。図4Bは、本開示の幾つかの実施形態による図4AにおけるLEDコンポーネント420の断面図である。図4Aにおいても、LEDコンポーネント420は、直列に結合されたP-Nダイオード構造D1~Dnを持つ。しかしながら、図3Aの実施形態とは異なり、電極N1~Nnが、P-Nダイオード構造D1~Dnの底部の相対的に左側の部分に配置され、電極P1~Pnが、P-Nダイオード構造D1~Dnの底部の相対的に右側の部分に配置されている。
【0028】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1の電極パッドN1(図の明確さのため図4Aには示されていない)は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造D2の電極パッドP2に電気的に結合され、P-Nダイオード構造D2の電極パッドN2(図の明確さのため図4Aには示されていない)は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造D3の電極パッドP3に電気的に結合され、P-Nダイオード構造D3の電極パッドN3(図の明確さのため図4Aには示されていない)は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造D4の電極パッドP4に電気的に結合される等する。最後に、P-Nダイオード構造D(n-1)の電極パッドN(n-1)(図の明確さのため図4Aには示されていない)は、相互接続構造を通して、P-Nダイオード構造Dnの電極パッドPnに電気的に結合される。これらの結合/接続関係により、P-Nダイオード構造D1~Dnは、互いに直列に結合される。
【0029】
幾つかの実施形態においては、図4AにおけるLEDコンポーネント420は、図4Bに示されたLEDコンポーネントのような構造を持つ。P-Nダイオード構造D1~Dnのそれぞれは、n型ドーピング層424と、活性層426と、p型ドーピング層428とを持ち、P-Nダイオード構造D1~Dnは、ともに同一の基体422上に集積される。図4Bに示されるように、P-Nダイオード構造Dnの電極パッドPnは、p型ドーピング層428に電気的に結合され、P-Nダイオード構造Dnの電極パッドNnは、n型ドーピング層424に電気的に結合され、P-Nダイオード構造D1~D(n-1)の電極パッドP1~P(n-1)及びN1~N(n-1)が、同様の接続関係を通して、p型ドーピング層428及びn型ドーピング層424に電気的に結合される。動作時には、電極パッドP1~Pnが比較的高い電圧を受け、電極パッドN1~Nnが比較的低い電圧を受けると、電流が電極パッドP1~Pnからp型ドーピング層428、活性層426、n型ドーピング層424、次いで電極パッドN1~Nnへと流れることとなる。
【0030】
以上に説明されたように、図3A図4BにおけるLEDコンポーネントはいずれも、互いに直列に結合された複数のP-Nダイオード構造を持つ。本開示はまた、表示装置におけるLED回路を提供し、該LED回路は、かかるLEDコンポーネントを含む。ここで図5を参照されたい。図5は、本開示の幾つかの実施形態による、表示装置におけるLED回路500の図である。LED回路500は、トランジスタT1~Tnと、LEDコンポーネント520とを含む。トランジスタT1~Tnの第1の端子は、互いに電気的に結合され、基準電圧VDDを受けるよう構成され、トランジスタT1~Tnの第2の端子は、LEDコンポーネント520を駆動して発光させるよう構成される。LEDコンポーネント520は、トランジスタT1~Tnと基準電圧VSSとの間に電気的に結合される。
【0031】
LEDコンポーネント520は、複数のP-NダイオードD1~Dnを含み、P-NダイオードD1~Dnは、互いに直列に結合されて単一のチップ上に集積される。換言すれば、LEDコンポーネント520は、LED回路500における単一のチップであり、LED回路500は、トランジスタT1~Tnを用いて、当該チップを駆動して発光させる。
【0032】
幾つかの実施形態においては、図5に示されるように、LEDコンポーネント520は、電極パッドP1~Pn及びN1~Nnを含み、電極パッドP1~Pn及びN1~Nnのそれぞれは、P-NダイオードD1~Dnの対応する1つとトランジスタT1~Tnの対応する1つとの間に電気的に結合される。具体的には、電極P1は、P-NダイオードD1の陽極とトランジスタT1との間に電気的に結合され、電極N1は、P-NダイオードD1の陰極とトランジスタT2との間に電気的に結合され、電極P2は、P-NダイオードD2の陽極とトランジスタT2との間に電気的に結合され、電極N2は、P-NダイオードD2の陰極とトランジスタT3との間に電気的に結合される等する。最後に、電極Pnは、P-NダイオードDnの陽極とトランジスタTnとの間に電気的に結合され、電極Nnは、P-NダイオードDnの陰極と基準電圧VSSとの間に電気的に結合される。
【0033】
幾つかの実施形態においては、LEDコンポーネント520の電極パッドP1~Pn及びN1~Nnは、独立した電極として露出しており、それによりトランジスタT1~Tnは、導電線を通して、電極パッドP1~Pn及びN1~Nnに電気的に結合され得る。
【0034】
幾つかの実施形態においては、LEDコンポーネント520は、図3Aに示されるLEDコンポーネントの構造を持ち、LED回路500は、トランジスタT1~Tnを通して、LEDコンポーネント320のようなLEDコンポーネントを駆動するよう構成される。ここで図6を参照されたい。図6は、本開示の幾つかの実施形態による、図5におけるLED回路500の一部の図である。図6におけるLED回路620は、図5におけるLEDコンポーネント520に対応し、図3AにおけるLEDコンポーネント320の構造に類似する構造を持つ。図6においては、P-Nダイオード構造D1~Dnは、LEDコンポーネント620として集積され、P-Nダイオード構造D1~Dnのそれぞれは、対応する電極パッドに電気的に結合される。例えば、図6に示されるように、P-Nダイオード構造D1は、電極パッドP1及びN1に電気的に結合される。
【0035】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1の電極パッドN1は、相互接続構造CONを通して、P-Nダイオード構造D2の電極パッドP2に電気的に結合され、それによりP-Nダイオード構造D1とD2とが、互いに直列に結合される。同様に、図6に示されるように、P-Nダイオード構造D2~Dnの電極パッドが、相互接続構造CONを通して電気的に結合され、それによりP-Nダイオード構造D2~Dnも、互いに直列に結合される。
【0036】
幾つかの実施形態においては、P-Nダイオード構造D1~Dnの隣接する2つのP-Nダイオード構造の一方のn型ドーピング層は、相互接続構造CONを通して、P-Nダイオード構造D1~Dnの当該隣接する2つのP-Nダイオード構造の他方のp型ドーピング層に電気的に結合される。例えば、P-Nダイオード構造D1のn型ドーピング層は、相互接続構造CONを通して、P-Nダイオード構造D2のp型ドーピング層に電気的に結合される。
【0037】
ここで図7Aを参照されたい。図7Aは、本開示の幾つかの実施形態による、発光期間中に動作する、図5におけるLED回路500の図である。図7Aの実施形態においては、トランジスタT1のゲート端子がゲート駆動信号を受信し、トランジスタT1がオンにされて、P-Nダイオード構造D1に基準電圧VDDを伝達する。P-Nダイオード構造D1~Dnが互いに直列に結合されているため、電流I1がトランジスタT1、P-Nダイオード構造D1、D2、...を通過し、最後にP-Nダイオード構造Dnを通過することとなる。かくして、P-Nダイオード構造D1~Dnの全てが、発光することとなる。換言すれば、図7Aの実施形態においては、LEDコンポーネント520におけるP-Nダイオード構造D1~Dnの全てを駆動して発光させるためには、トランジスタT1のみがオンにされるだけでよい。
【0038】
幾つかの実施形態においては、トランジスタT1のゲート端子が受信するゲート駆動信号は、ゲート駆動回路により供給される。幾つかの実施形態においては、LED回路500は、トランジスタT1~Tnのゲート端子に電気的に結合されたゲート駆動回路を更に含み、該ゲート駆動回路は、トランジスタT1~Tnにゲート駆動信号を供給して、トランジスタT1~Tnの1つ以上をオンにするよう構成される。
【0039】
一方、LEDコンポーネント520におけるP-Nダイオード構造D1~Dnの1つに欠陥が生じた場合、LED回路500は、欠陥が生じていないP-Nダイオード構造を導通させるために、どのトランジスタがオンにされるべきかを決定することができ、LEDコンポーネント520全体を交換する必要はない。ここで図7Bを参照されたい。図7Bは、本開示の幾つかの実施形態による、発光期間中に動作する、図5におけるLED回路500の図である。図7Bの実施形態において、P-Nダイオード構造D1に欠陥があると仮定した場合、ゲート駆動信号はトランジスタT2のゲート端子に供給され、トランジスタT2がオンにされて、基準電圧VDDをP-Nダイオード構造D2に伝達する。P-Nダイオード構造D2~Dnの直列接続のため、P-Nダイオード構造D2~Dnが発光することとなる。換言すれば、P-Nダイオード構造D1~DnのうちのP-Nダイオード構造Dm(すなわちP-Nダイオード構造D1~Dnのうちのm番目のP-Nダイオード構造)に欠陥がある場合、トランジスタT(m+1)(すなわちトランジスタT1~Tnのうちの(m+1)番目のトランジスタ)のゲート端子にゲート駆動信号が供給され、トランジスタT(m+1)がP-NダイオードD(m+1)に基準電圧VDDを伝達し、それによりP-Nダイオード構造D(m+1)~Dnが発光することとなる。換言すれば、LED回路500は、欠陥があるP-Nダイオード構造(複数の場合もある)を回避または迂回し、欠陥がないP-Nダイオード構造(複数の場合もある)が発光するよう駆動することができる。
【0040】
幾つかの実施形態においては、LED回路500は、LEDコンポーネント520を通過する電流があるか否かを検出するよう構成された検出回路を更に含む。かかる検出回路を利用することにより、欠陥を生じたP-Nダイオード構造がLEDコンポーネント520中にあるか否かを確認することができる。例えば、トランジスタT1のゲート端子がゲート駆動信号を受信したが、該検出回路がLEDコンポーネント520を通過する電流を検出しない場合には、トランジスタT1に電気的に結合されたP-Nダイオード構造D1に欠陥が生じていることが確認される。
【0041】
幾つかの実施形態においては、LED回路500におけるトランジスタT1~Tnは、P-Nダイオード構造D1~Dnの少なくとも1つが発光するまで、順次にオンにされる(すなわちトランジスタT1~Tnが1つずつオンにされる)。かかる実施形態においては、トランジスタT1~Tnのゲート端子が、順次にゲート駆動信号を受信し、トランジスタT1~Tnがそれぞれオンにされて、LEDコンポーネント520を駆動して発光させる。
【0042】
幾つかの実施形態においては、LED回路500は、基準電圧VDDの大きさに応じて、又はLED回路500の仕様若しくは電力消費に応じて、トランジスタT1~Tnのうちどれがオンにされるべきかを決定してもよい。例えば、LED回路500の設計者が、高い輝度を実現しつつ可能な限り最小の電力消費となるよう意図する場合には、小さな電流を用いて、多くのn個のP-Nダイオード構造D1~Dnを駆動して発光させることができ、かかる手法はLED回路500の電力消費を小さくすることを支援し得る。
【0043】
結論として、本開示の種々の実施形態において、複数の直列に結合されたP-Nダイオード構造が、単一のLEDコンポーネントとして集積され、かかるLEDコンポーネントは、発光しつつ電力消費を抑えるよう、LED回路内で利用することができる。さらに、複数のトランジスタが、かかるLEDコンポーネントの対応するP-Nダイオード構造の電極に電気的に結合された場合、該P-Nダイオード構造のうち1つ以上は、オンにされるよう選択することができる。それゆえ、或るP-Nダイオード構造に欠陥が生じた場合、欠陥が生じていない他のP-Nダイオード構造が選択されて、発光するようオンにすることができ、LEDコンポーネント全体が交換される必要はない。
【0044】
本発明をその或る特定の実施形態を参照してかなり詳細に説明してきたが、他の実施形態が可能である。したがって、添付の請求項の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記載に限定されるべきではない。本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本発明の構造に様々な変更及び変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。上記に鑑みて、添付の請求項の範囲内に入ることを条件として、本発明は、本発明の変更形態及び変形形態を包含することが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B