(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】骨伝導スピーカー及びイヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240723BHJP
H04R 25/00 20060101ALI20240723BHJP
H04R 1/28 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
H04R1/00 317
H04R25/00 F
H04R1/28 310B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076639
(22)【出願日】2022-05-06
(62)【分割の表示】P 2020569945の分割
【原出願日】2019-01-05
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】201810623408.2
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514156013
【氏名又は名称】深▲セン▼市韶音科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SHOKZ CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floors 1-4,Factory Building 26,Shancheng Industrial Park,Shiyan Street,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong 518108,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 金波
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【審査官】佐久 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-102274(JP,A)
【文献】特開2008-017398(JP,A)
【文献】特開2007-116248(JP,A)
【文献】特表2015-505204(JP,A)
【文献】特表2005-536140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと駆動装置とを備える骨伝導スピーカーであって、
前記パネルは、前記駆動装置に伝達可能に接続されており、
前記パネルの全部又は一部は、音を伝導するためにユーザの身体に接触するかまたは当接するように構成されており、
前記パネルが前記ユーザの身体と接触するかまたは当接する領域が、法線を有しており、
前記駆動装置の軸は、前記領域の前記法線に平行ではなく、
記駆動装置は、コイル及び磁気システムを含み、前記駆動装置の軸は、前記コイルの半径方向平面及び/又は前記磁気システムの半径方向平面に対して垂直であり、
前記コイルは、第1の伝達経路を介して前記パネルに接続されており、前記第1の伝達経路は、第1の伝達部品を含み、
前記磁気システムは、第2の伝達経路を介して前記パネルに接続されており、前記第2の伝達経路は、第2の伝達部
品と、振動伝達シートと、前記第1の伝達部品と、を含み、
前記第1の伝達経路に含まれかつ前記パネルに接続される前記第1の伝達部品は、前記第2の伝達経路にも含まれており、前記磁気システムから前記第2の伝達経路を介して前記パネルへ振動を伝達するように構成されており、
前記振動伝達シートの2つの縁部は、前記第1の伝達部品のフランジの内側に固定されており、
前記振動伝達シートの中心は、前記第2の伝達部品の一端に機械的に接続されていることを特徴とする骨伝導スピーカー。
【請求項2】
前記骨伝導スピーカーは、ハウジングをさらに含み、
前記ハウジングは、接続媒体を介して前記パネルに接続され、或いは、
前記ハウジングと前記パネルとは、一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項3】
前記コイルは、接続部品を介して前記パネル及び/又は前記ハウジングに接続され
ており、前記接続部品は、前記第2の伝達部品に対応することを特徴とする請求項2に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項4】
前記接続部品上に補強材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項5】
前記補強材は、ファサード又は支持ロッドであることを特徴とする請求項4に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項6】
前記接続部品の一方の側は、前記コイルの軸が前記領域の前記法線に平行でないように、前記接続部品の他方の側よりも短いことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項7】
前記接続部品は中空円筒であり、前記中空円筒の一端面は、前記コイルの一端面に接続されており、前記中空円筒の他端面は、前記パネル及び/又は前記ハウジングに接続されていることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項8】
前記接続部品は、接続ロッド群であり、前記接続ロッドの各々の一端は、前記コイルの一端面に接続されており、前記接続ロッドの各々の他端は、前記パネル及び/又はハウジングに接続されており、前記接続ロッドの各々は、前記コイルの周りに円周方向に配置されていることを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項9】
前記パネルが前記ユーザの身体と接触するかまたは当接する前記領域は、平面であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項10】
前記パネルが前記ユーザの身体と接触するかまたは当接する前記領域は、準平面であり、前記領域の法線は、前記領域の平均法線であり、前記平均法線は、
【数1】
によって表され、
【数2】
前記準平面は、平面の少なくとも50%以内の点の法線と平均法線との間の角度が所定の閾値未満である平面であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項11】
前記所定の閾値は10°未満であることを特徴とする請求項10に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項12】
前記パネルの面積は、20mm
2~1000mm
2の範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項13】
前記パネルの辺長の長さは、5mm~40mm、又は18mm~25mm、又は11~18mmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項14】
前記駆動装置の前記軸が、前記パネルを介して前記骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有する場合に、前記領域の前記法線は、前記骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有しており、前記駆動装置の前記軸と前記領域の前記法線との間の前記正の方向における角度は鋭角であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【請求項15】
前記駆動装置によって生成される駆動力が位置している直線と、前記領域の前記法線との間の角度は、5°~80°の任意の値、又は15°~70°の任意の値、又は25°~50°の任意の値、又は25°~40°の任意の値、又は28°~35°の任意の値、又は27°~32°の任意の値、又は30°~35°の任意の値、又は25°~60°の任意の値、又は28°~50°の任意の値、又は30°~39°の任意の値、又は31°~38°の任意の値、32°~37°の任意の値、又は33°~36°の任意の値、又は33°~35.8°の任意の値、又は33.5°~35°の任意の値であることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の骨伝導スピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本開示は、2018年6月15日に出願された中国特許出願第201810623408.2号の優先権を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、一般に、スピーカー、より具体的には、骨伝導スピーカー又は骨伝導イヤホンの音質を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、音の振動が空気を介して外耳道を通して鼓膜に伝達されるため、人々は、音を聞くことができる。鼓膜によって形成される振動は、人間の聴覚神経を駆動して音の振動を知覚させることができる。骨伝導スピーカーが作動しているとき、音の振動が、人間の皮膚、皮下組織、及び骨を通して人間の聴覚神経に伝達されることにより、人々は、音を聞くことができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態は、骨伝導スピーカーを提供する。骨伝導スピーカーは、駆動装置及びパネルを含んでもよい。駆動装置は、直線に位置する駆動力を生成してもよい。パネルは、駆動装置に伝達可能に接続されてもよい。パネルは、音を伝導してもよい。パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、法線を有してもよい。法線は、直線と平行でなくてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、直線は、パネルを介して骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有してもよく、法線は、骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有してもよく、2つの線の間の正の方向における角度は鋭角であってもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、駆動装置は、コイル及び磁気システムを含んでもよい。コイルの軸と磁気システムの軸は、法線と平行でなくてもよい。軸は、コイルの半径方向平面と、磁気システムの半径方向平面のうちの少なくとも1つに垂直であってもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーは、ハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングは、接続媒体を介してパネルに接続されてもよく、又はハウジングとパネルは、一体的に形成されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、コイルは、第1の伝達経路を介してパネル及びハウジングの少なくとも1つに接続されてもよく、磁気システムは、第2の伝達経路を介してパネル及びハウジングの少なくとも1つに接続されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の伝達経路は接続部品を含んでもよく、第2の伝達経路は振動伝達シートを含んでもよい。接続部品の剛性は、振動伝達シートの剛性よりも高くてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の伝達経路又は第2の伝達経路上の部品の剛性は、部品の弾性率及び厚さと正に相関し、部品の表面積と負に相関してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、補強材は、接続部品上に設けられてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、補強材は、ファサード又は支持ロッドであってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、接続部品は、中空円筒であってもよい。中空円筒の一端面は、コイルの一端面に接続されてもよく、中空円筒の他端面は、パネル及びハウジングの少なくとも1つに接続されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、接続部品は、接続ロッド群であってもよい。各接続ロッドの一端は、コイルの一端面に接続されてもよく、各接続ロッドの他端は、パネル及びハウジングの少なくとも1つに接続されてもよい。各接続ロッドは、コイルの周りに円周方向に配置されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、駆動力は、xoy平面座標系の第1の象限及び第3の象限のうちの少なくとも1つにおいて成分を有してもよい。xoy平面座標系の原点oは、骨伝導スピーカーのユーザの身体との接触面上に位置してもよい。x軸は、人間の冠状軸に平行であってもよい。y軸は、人間の矢状軸に平行であってもよい。x軸の正の方向は、ユーザの身体の外側に向かう方向であってもよい。y軸の正の方向は、人体の前方に向かう方向であってもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、駆動装置の数は、少なくとも2つであってもよい。各駆動装置によって生成された駆動力からなる合力の位置している直線は、法線と平行でなくてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、第1の駆動装置によって生成された第1の駆動力の位置している直線は法線に平行であってもよく、第2の駆動装置によって生成された第2の駆動力の位置している直線は法線に垂直であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、パネルの面積は、20mm2~1000mm2の範囲にあってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、パネルの辺長の長さは、5mm~40mm、又は18mm~25mm、又は11~18mmの範囲であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、駆動力の位置している直線と法線との間に角度が形成されてもよい。角度は、5°~80°の間の値、又は15°~70°の間の値、又は25°~50°の間の値、又は25°~40°の間の値、又は28°~35°の間の値、又は27°~32°の間の値、又は30°~35°の間の値、又は25°~60°の間の値、又は28°~50°の間の値、又は30°~39°の間の値、又は31°~38°の間の値、又は32°~37°の間の値、又は33°~36°の間の値、又は33°~35.8°の間の値、又は33.5°~35°の間の値であってもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、駆動力の位置している直線と法線との間の角度は、26°±0.2、27°±0.2、28°±0.2、29°±0.2、30°±0.2、31°±0.2、32°±0.2、33°±0.2、34°±0.2、34.2°±0.2、35°±0.2、35.8°±0.2、36°±0.2、37°±0.2、又は38°±0.2であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、平面であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、準平面であってもよい。領域の法線は、領域の平均法線であってもよい。平均法線は、
【数1】
によって表されてもよい。
【数2】
準平面は、平面の少なくとも50%以内の点の法線と平均法線との間の角度が所定の閾値未満である平面であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、所定の閾値は10°未満であってもよい。
【0025】
本開示の別の実施形態は、別の骨伝導スピーカーを提供する。骨伝導スピーカーは、パネル及び駆動装置を含んでもよい。パネルは、駆動装置に伝達可能に接続されてもよい。パネルは、音を伝導してもよい。パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、法線を有してもよい。駆動装置の軸は、法線と平行でなくてもよい。駆動装置は、コイル及び磁気システムを含んでもよい。駆動装置の軸は、コイルの半径方向平面及び/又は磁気システムの半径方向平面に垂直であってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーは、ハウジングをさらに含んでもよい。ハウジングは、接続媒体を介してパネルに接続されてもよく、又はハウジングとパネルは、一体的に形成されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、コイルは、接続部品を介してパネル及び/又はハウジングに接続されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、補強材は、接続部品上に設けられてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、補強材は、ファサード又は支持ロッドであってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、接続部品の一方の側は、コイルの軸が法線と平行でないように、他方の側よりも短くてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、接続部品は、中空円筒であってもよい。中空円筒の一端面は、コイルの一端面に接続されてもよく、中空円筒の他端面は、パネル及び/又はハウジングに接続されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、接続部品は、接続ロッド群であってもよい。各接続ロッドの一端は、コイルの一端面に接続されてもよく、各接続ロッドの他端は、パネル及び/又はハウジングに接続されてもよい。各接続ロッドは、コイルの周りに円周方向に配置されてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、平面であってもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、準平面であってもよい。領域の法線は、領域の平均法線であってもよい。平均法線は、
【数3】
によって表されてもよい。
【数4】
準平面は、平面の少なくとも50%以内の点の法線と平均法線との間の角度が所定の閾値未満である平面であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、所定の閾値は10°未満であってもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、パネルの面積は、20mm2~1000mm2の範囲にあってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、パネルの辺長の長さは、5mm~40mm、又は18mm~25mm、又は11~18mmの範囲であってもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、駆動装置の軸は、パネルを介して骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有してもよく、法線は、骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有してもよく、2つの線の間の正の方向における角度は鋭角であってもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、駆動力の位置している直線と法線との間の角度は、5°~80°の間の値、又は15°~70°の間の値、又は25°~50°の間の値、又は25°~40°の間の値、又は28°~35°の間の値、又は27°~32°の間の値、又は30°~35°の間の値、又は25°~60°の間の値、又は28°~50°の間の値、又は30°~39°の間の値、又は31°~38°の間の値、又は32°~37°の間の値、又は33°~36°の間の値、又は33°~35.8°の間の値、又は33.5°~35°の間の値であってもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、駆動力の位置している直線と法線との間の角度は、26°±0.2、27°±0.2、28°±0.2、29°±0.2、30°±0.2、31°±0.2、32°±0.2、33°±0.2、34°±0.2、34.2°±0.2、35°±0.2、35.8°±0.2、36°±0.2、37°±0.2、又は38°±0.2であってもよい。
【0041】
本開示の別の実施形態は、別の骨伝導スピーカーを提供する。骨伝導スピーカーは、パネルと、少なくとも2つの駆動装置とを含んでもよい。パネルは、2つの駆動装置のそれぞれに伝達可能に接続されてもよい。パネルは、音を伝導してもよい。パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、法線を有してもよい。第1の駆動装置の軸は法線に平行であってもよく、第2の駆動装置の軸は法線に垂直であってもよい。駆動装置は、コイル及び磁気システムを含んでもよい。駆動装置の軸は、コイルの半径方向平面及び/又は磁気システムの半径方向平面に垂直であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、平面であってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、準平面であってもよい。領域の法線は、領域の平均法線であってもよい。平均法線は、
【数5】
によって表されてもよい。
【数6】
準平面は、平面の少なくとも50%以内の点の法線と平均法線との間の角度が所定の閾値未満である平面であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、所定の閾値は10°未満であってもよい。
【0045】
本開示の別の実施形態は、骨伝導イヤホンを提供する。骨伝導イヤホンは、前述のいずれか1つに記載の骨伝導スピーカーを含んでもよい。
【0046】
本開示の別の実施形態は、骨伝導スピーカーを設置する方法を提供する。この方法は、パネルを駆動装置に伝達可能に接続することを含んでもよい。駆動力は、直線に位置してもよい。パネルは、音を伝導してもよい。パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、法線を有してもよい。この方法はまた、直線が法線と平行にならないように、駆動装置とパネルの相対位置を設置することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、この方法は、駆動力がxoy平面座標系の第1の象限及び第3の象限のうちの少なくとも1つにおいて成分を有するという駆動装置及びパネルの相対位置を設置することを含んでもよい。xoy平面座標系の原点oは、骨伝導スピーカーのユーザの身体との接触面上に位置してもよい。x軸は、人間の冠状軸に平行であってもよい。y軸は、人間の矢状軸に平行であってもよい。x軸の正の方向は、ユーザの身体の外側に向かう方向であってもよい。y軸の正の方向は、人体の前方に向かう方向であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、駆動装置の数は少なくとも2つであってもよく、この方法は、各駆動装置とパネルの相対位置を、各駆動装置によって生成された駆動力からなる合力の位置している直線が法線と平行ではないように設置することを含んでもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、平面であってもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体と相互作用する領域は、準平面であってもよい。領域の法線は、領域の平均法線であってもよい。平均法線は、
【数7】
によって表されてもよい。
【数8】
準平面は、平面の少なくとも50%以内の点の法線と平均法線との間の角度が所定の閾値未満である平面であってもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、所定の閾値は10°未満であってもよい。
【0052】
実行実施形態に従って本開示をさらに説明する。これらの実行実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。これらの実施形態は、類似の参照番号が図面の少なくとも2つの図において類似の構造を示す非限定的な実行実施形態である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る、例示的な骨伝導スピーカーの応用シナリオ及び構造を示す概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な角度方向を示す概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る人間の皮膚及び骨に作用する例示的な骨伝導スピーカーの構造を示す概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカーの角度相対変位関係を示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカーの周波数応答曲線を示す概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る異なる角度θでの例示的な骨伝導スピーカーの周波数応答曲線の低周波数部分を示す概略図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態に係る異なるパネル及びハウジング材料を備えた例示的な骨伝導スピーカーの周波数応答曲線の高周波部分を示す概略図である。
【
図8】本開示の実施形態1に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図9A】本開示の実施形態2に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図9B】本開示の実施形態2に係る例示的な骨伝導スピーカーの分解構造を示す概略図である。
【
図9C】本開示のいくつかの実施形態に係る
図9Bにおける例示的な骨伝導スピーカーの縦断面構造を示す概略図である。
【
図9D】本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカー内のブラケットの構造を示す概略図である。
【
図9E】本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカー内のブラケットの構造を示す概略図である。
【
図10】本開示の実施形態3に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図11】本開示の実施形態4に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図12】本開示の実施形態5に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図13】本開示の実施形態6に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図14】本開示の実施形態7に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図15】本開示の実施形態8に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図16】本開示の実施形態9に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態に係る骨伝導スピーカーを設置する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示の実施形態に関する技術的解決策を説明するために、実施形態の説明において参照される図面の簡単な紹介を以下で提供する。明らかに、以下で説明される図面は、本開示のいくつかの実施例又は実施形態にすぎない。当業者は、さらなる創造的な努力なしに、これらの図面に従って本開示を他の同様のシナリオに適用することができる。
【0055】
本開示及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、「a」、「an」の単数形、及び「the」は、内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を備える。本開示で使用されるとき、「含む」、「含み」、「備える」、及び/又は「備え」という用語は、述べられたステップ及び要素の存在を特定するが、1つ以上の他のステップ及び要素の存在又は追加を妨げないことがさらに理解される。「基づく」という用語は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味する。「一実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」を意味する。「別の実施形態」という用語は、「少なくとも1つの他の実施形態」を意味する。「A及び/又はB」という用語は、「A及びBの少なくとも1つ」、言い換えれば、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味する。他の用語の関連する定義は、以下の説明に記載されている。
【0056】
以下、一般性を失うことなく、本開示における骨伝導関連技術を説明する際に、「骨伝導スピーカー」又は「骨伝導イヤホン」の説明を使用する。この説明は、骨伝導適用の一形態にすぎない。当業者であれば、「スピーカー」又は「イヤホン」は、「プレーヤー」、「補聴器」などの他の同様の単語に置き換えることもできる。実際、本開示の様々な実装は、他の非スピーカータイプの聴覚器に容易に適用することができる。例えば、当業者は、骨伝導スピーカーの基本原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、骨伝導スピーカーを実装する特定の方法及びステップの形態及び詳細に様々な修正及び変更を行うことができる。特に、周囲音のピックアップ及び処理機能を骨伝導スピーカーに追加して、スピーカーが補聴器の機能を実現することを可能にする。例えば、マイクロフォンは、ユーザ/着用者の周囲音をピックアップし、特定のアルゴリズムの下で、処理された音(又は生成された電気信号)を骨伝導スピーカー部に送信してもよい。すなわち、骨伝導スピーカーは、周囲音をピックアップする機能を含み、特定の信号処理後に処理された音を骨伝導スピーカー部分を通してユーザ/着用者に伝達することにより、骨伝導補聴器の機能を実現するように変更してもよい。単なる例として、ここで説明するアルゴリズムには、ノイズ除去、自動利得制御、音響フィードバック抑制、広ダイナミックレンジ圧縮、能動的環境認識、能動的騒音防止、指向処理、耳鳴防止処理、マルチチャネル広ダイナミックレンジ圧縮、能動的ハウリング抑制、音量調節など、又はそれらの任意の組み合わせが含まれてもよい。
【0057】
骨伝導スピーカーは、骨を通して聴覚系に音を伝達し、それによって人々は音を聞くことができる。一般に、骨伝導スピーカーは、以下のステップにより音を発生させて、伝導する。ステップ1において、骨伝導スピーカーは、音響情報を含む電流信号及び/又は電圧信号などの音情報を含む信号を取得するか又は生成してもよい。ステップ2において、伝達装置とも呼ばれる、骨伝導スピーカーの駆動装置は、信号に基づいて振動を発生させてもよい。ステップ3において、伝達部品は、振動をスピーカーのパネル又はハウジングに伝達してもよい。
【0058】
ステップ1において、骨伝導スピーカーは、異なる方法に従って、音情報を含む信号を取得するか又は生成してもよい。音情報は、特定のデータフォーマットを有するビデオファイル又はオーディオファイルを指してもよいか、又は特定の方法で音に変換できるデータ又はファイルを指してもよい。音情報を含む信号は、骨伝導スピーカー自体の記憶ユニットから取り込んでもよいか、又は骨伝導スピーカー以外の情報生成システム、記憶システム、又は伝送システムから取り込んでもよい。ここで議論される音信号は、電気信号に限定されないが、振動を発生させるために処理可能な音情報を含む、光信号、磁気信号、機械的信号などの他の形態を含んでもよい。音信号は、1つの信号源に限定されず、複数の信号源から取り込んでもよい。複数の信号源のそれぞれは、関連していてもよく、互いに関連していなくてもよい。音信号の伝達又は生成は、有線であっても無線であってもよく、リアルタイムであってもよいし、遅延されてもよい。例えば、骨伝導スピーカーは、有線又は無線接続を介して音情報を含む電気信号を受信してもよいし、記憶媒体からデータを直接取得して音信号を生成してもよい。いくつかの実施形態では、集音機能を有する部品を骨伝導補聴器に追加してもよく、周囲の音信号を受信して処理して、ノイズを低減する効果を達成することができる。有線接続は、金属ケーブル、光ケーブル、金属及び光ハイブリッドケーブルなどを含んでもよいが、これらに限定されない。金属及び光ハイブリッドケーブルは、同軸ケーブル、通信ケーブル、フレキシブルケーブル、スパイラルケーブル、非金属シースケーブル、金属シースケーブル、多芯ケーブル、ツイストペアケーブル、リボンケーブル、シールドケーブル、電気通信ケーブル、対ケーブル、二芯平行配線、又はツイストペアを含んでもよい。
【0059】
上記実施形態は、説明の便宜のためだけのものである。有線接続媒体はまた、他の電気的又は光信号伝送キャリアなどの他のタイプであってもよい。無線接続は、無線通信、自由空間光通信、音声通信、又は電磁誘導を含んでもよいが、これらに限定されない。無線通信は、IEEE302.11シリーズの規格、IEEE302.15シリーズの規格(例えば、ブルートゥース(登録商標)技術、ZigBee技術など)、第1世代モバイル通信技術、第2世代モバイル通信技術(例えば、FDMA、TDMA、SDMA、CDMA、SSMA)、一般パケット無線サービス技術、第3世代モバイル通信技術(例えば、CDMA2000、WCDMA(登録商標)、TD-SCDMA、WiMAX)、第4世代モバイル通信技術(例えば、TD-LTE、FDD-LTE)、衛星通信(例えば、GPS技術)、近距離無線通信(NFC)、又はISM帯域(2.4GHzなど)で動作する他の技術を含んでもよいが、これらに限定されない。自由空間光通信は、可視光、赤外線信号などを含んでもよいが、これらに限定されない。音声通信は、音波、超音波信号などを含んでもよいが、これらに限定されない。電磁誘導は、近距離無線通信技術を含んでもよいが、これに限定されない。上記実施形態は、説明の便宜のためだけのものである。無線接続媒体はまた、Z波技術、他の充電された民間の無線周波数帯域、又は軍事用の無線周波数帯域などの他のタイプであってもよい。例えば、技術のいくつかの例示的なシナリオとして、骨伝導スピーカーは、ブルートゥース(登録商標)技術を介して他の装置から音情報を含む信号を取得するか、又は骨伝導スピーカーの記憶ユニットからデータを直接取得して、音信号を生成してもよい。
【0060】
ここで、記憶装置/記憶ユニットとは、直接装着型ストレージ、ネットワーク接続型ストレージ、ストレージエリアネットワークなどを含む記憶システム上の記憶装置を指す。記憶装置は、ソリッドステート記憶装置(例えば、ソリッドステートディスク、ハイブリッドハードディスクなど)、メカニカルハードディスク、USBフラッシュメモリ、メモリスティック、メモリカード(例えば、CF、SDなど)、他のドライバ(例えば、CD、DVD、HD DVD、Blu-ray(登録商標)など)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などの汎用タイプの記憶装置を含んでもよいが、これらに限定されない。RAMは、計数放電管、セレクトロン、遅延線メモリ、ウィリアムス管、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、サイリストランダムアクセスメモリ(T-RAM)、ゼロコンデンサランダムアクセスメモリ(Z-RAM)などを含んでもよいが、これらに限定されない。ROMは、バブルメモリ、ツイスターメモリ、フィルムメモリ、メッキ線メモリ、磁気コアメモリ、ドラムメモリ、CD-ROM、ハードディスク、テープ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、相変化メモリ、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ、強誘電体ランダムアクセスメモリ、不揮発性SRAM、フラッシュメモリ、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ、プログラマブル読み取り専用メモリ、マスクROM、フローティングゲートランダムアクセスメモリ、ナノランダムアクセスメモリ、レーストラックメモリ、抵抗変化型メモリ、プログラマブル金属化ユニットなどを含んでもよいが、これらに限定されない。上記記憶装置/記憶ユニットは、いくつかの例の一覧である。記憶装置/記憶ユニットは、これに限定されない記憶装置を用いてもよい。
【0061】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る、例示的な骨伝導スピーカーの応用シナリオ及び構造を示す概略図である。
図1に示すように、骨伝導スピーカーは、駆動装置101、伝達部品102、パネル103、ハウジング104などを含んでもよい。駆動装置101は、伝達部品102を介してパネル103及び/又はハウジング104に振動信号を伝達することにより、パネル103又はハウジング104を人間の皮膚に接触させて音を人体に伝達してもよい。いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーの骨103及び/又はハウジング104は、耳珠で人間の皮膚と接触することにより、音を人体に伝達してもよい。いくつかの実施形態では、パネル103及び/又はハウジング104はまた、耳介の裏側で人間の皮膚と接触してもよい。
【0062】
骨伝導スピーカーは、音情報を含む信号を振動に変換して音を発生させてもよい。振動の発生は、エネルギーの変換を伴い得る。骨伝導スピーカーは、特定の駆動装置を使用して、信号を機械的振動に変換してもよい。変換プロセスは、いくつかの異なるタイプのエネルギーの共存及び変換を伴い得る。例えば、電気信号は、変換装置を介して機械的振動に直接変換されて音を発生させてもよい。別の例として、光信号は音情報を含んでもよく、駆動装置は、光信号を振動信号に変換するプロセスを実装してもよいか、又は最初に光信号を電気信号に変換し、次に電気信号を振動信号に変換してもよい。駆動装置の動作中に共存し変換できる他のタイプのエネルギーは、熱エネルギー、磁場エネルギーなどを含んでもよい。駆動装置のエネルギー変換方法は、可動コイル、静電気、圧電、可動鉄片、空気圧、電磁気などを含んでもよいが、これらに限定されない。骨伝導スピーカーの周波数応答範囲及び音質は、駆動装置内の異なる変換方法及び様々な物理的部品の性能によって影響を受け得る。例えば、動的コイル型変換装置において、巻回された円筒コイルを振動伝達シートに機械的に接続し、磁場中の信号電流によってコイルを駆動して振動伝達シートを駆動して音を発生させてもよい。また、振動伝達シートの材料伸縮、折り目の変形、折り目のサイズ、形状、固定方法、永久磁石の磁気密度は、いずれも骨伝導スピーカーの最終的な音質に大きな影響を与える可能性がある。さらに別の例として、振動伝達シートは、鏡面対称構造、中心対称構造、又は非対称構造を有してもよい。振動伝達シート上に不連続な多孔質構造を設けることにより、振動伝達シートの変位がより大きくなるようにして、骨伝導スピーカーの感度をより高くし、振動及び音の出力を向上させてもよい。他の例として、振動伝達シートは、トーラス構造を有してもよく、中心に向かって放射するトーラス内に複数のストラットが配置されてもよい。
【0063】
明らかに、当業者であれば、骨伝導スピーカーの音質に影響を与え得る変換方法及び特定の装置の基本原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、理想的な音質を得るために、上述の影響因子に対して適切な選択、組み合わせ、修正又は変更を行ってもよい。例えば、高密度の永久磁石、及びより理想的な振動プレート材料又は設計を使用して、より良い音質を達成することができる。
本明細書で使用される「音質」という用語は、音の品質を反映すると理解されてもよく、処理、伝達、又は他のプロセス後の音声の忠実度を指す。音質は、ラウドネス、トーン、音色の3つの要素によって主に記述される。ラウドネスは、人間の耳による音強度の主観的な知覚を指し、音の強さの対数に比例してもよい。音の強さの対数が大きいほど、音は大きくなる。ラウドネスはまた、音の周波数及び波形に関連し得る。トーンは、ピッチとも呼ばれ、人間の耳の音波振動の周波数に対する主観的な知覚を指す。トーンは、主に、音の基本周波数によって決定されてもよい。基本周波数が高いほど、トーンが高くなる。トーンはまた、音の強さに関連し得る。音色とは、人間の耳の音の特性に対する主観的な知覚を指す。音色は、音のスペクトル構造によって主に決定されてもよく、音のラウドネス、持続時間、確立プロセス、又は減衰プロセスなどの要因にも関連し得る。音のスペクトル構造は、基本周波数、高調波周波数のカウント、高調波周波数の分布、大きさ、及び位相関係によって記述してもよい。異なるスペクトル構造は、異なる音色を有してもよい。2つの音の基本周波数及びラウドネスが同じであっても、2つの音の高調波構造が異なる場合、音色も異なっていてもよい。
【0064】
図1に示すように、本開示のいくつかの実施形態によって示される骨伝導スピーカーによれば、駆動装置によって生成された駆動力は、直線B(すなわち、駆動力の振動方向)に位置してもよい。パネル103の直線B及び法線Aは、角度θを形成してもよい。すなわち、線Bは、線Aと平行ではない。
【0065】
パネルは、人間の皮膚などのユーザの身体に接触するか又は隣接する領域を有してもよい。パネルが他の材料(例えば、シリコーンなどの軟質材料)で覆われてユーザの着用快適性を高める場合、パネルとユーザの身体は直接接触する代わりに互いに隣接してもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーがユーザの身体に着用される場合、パネルのすべての領域は、ユーザの身体に接触するか、又は隣接してもよい。いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーがユーザの身体に着用される場合、パネルの一部は、ユーザの身体に接触するか、又は隣接してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザの身体に接触するか又は隣接するために使用されるパネルの領域は、パネル領域の50%以上を占めてもよく、より好ましくは、パネル領域の60%以上を占めてもよい。一般に、パネルがユーザの身体に接触するか又は隣接するパネルの領域は、平面又は曲面であってもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体に接触するか又は隣接するパネルの領域が平面である場合、その法線は、法線の一般的な定義を満たしてもよい。いくつかの実施形態では、パネルがユーザの身体に接触するか又は隣接するパネルの領域が曲面である場合、その法線は、その領域の平均法線であってもよい。
【0067】
【0068】
さらに、曲面は、平面に近い準平面、すなわち、平面の少なくとも50%内の任意の点の法線と平均法線との間の角度が所定の閾値未満である平面であってもよい。いくつかの実施形態では、閾値は10°未満であってもよい。いくつかの実施形態では、閾値はさらに5°未満であってもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、駆動力の位置している線Bと、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル103上の領域の法線A’は、角度θを有してもよい。角度θの値は、0°~180°の範囲であってもよく、さらに、0°~180°の範囲内であってもよいが、90°に等しくなくてもよい。いくつかの実施形態では、直線Bが骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有し、かつパネル103の法線A(又はユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル103上の領域の法線A’)も骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有するとすると、直線A又はA’と直線Bとの間の、それらの正の方向における角度θは、鋭角、すなわち、0°<θ<90°であってもよい。
【0070】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な角度方向を示す概略図である。
図2に示すように、いくつかの実施形態では、駆動装置によって生成された駆動力は、xoy平面座標系の第1の象限及び/又は第3の象限において成分を有してもよい。xoy平面座標系は、参照座標系である。原点oは、骨伝導スピーカーが人体に着用された後、人体とパネル及び/又はハウジングとの接触面に位置してもよい。x軸は人間の冠状軸に平行であってもよく、y軸は人間の矢状軸に平行であってもよい。x軸の正の方向は人体の外側に向かってもよく、y軸の正の方向は人体の前方に向かってもよい。象限は、平面矩形座標系における水平軸(すなわち、x軸)及び垂直軸(すなわち、y軸)によって分割された4つの領域として理解されるべきである。各領域は、象限と呼ぶことができる。各象限は原点を中心としてもよく、x軸及びy軸は分割線である。右上の領域(x軸の正の半軸とy軸の正の半軸とによって囲まれた領域)は、第1の象限と呼ぶことができる。左上の領域(x軸の負の半軸とy軸の正の半軸とによって囲まれた領域)は、第2の象限と呼ぶことができる。左下の領域(x軸の負の半軸とy軸の負の半軸とによって囲まれた領域)は、第3の象限と呼ぶことができる。右下の領域(x軸の正の半軸とy軸の負の半軸とによって囲まれた領域)は、第4の象限と呼ぶことができる。座標軸上の点は、いずれの象限にも属さない。ここで説明される駆動力は、xoy平面座標系の第1の象限及び/又は第3の象限に直接位置してもよいことを理解されたい。駆動力はまた、他の方向に向かってもよく、xoy平面座標系の第1の象限及び/又は第3の象限の突起又は成分は0ではなく、z軸方向の突起又は成分は0であってもよいし、0でなくてもよい。z軸は、xoy平面に対して垂直であってもよく、原点oを通過してもよい。いくつかの実施形態では、駆動力の位置している線と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線との間の最小角度θは、任意の鋭角であってもよい。例えば、角度θは、5°~80°の好ましい範囲、15°~70°のより好ましい範囲、さらに25°~60°のより好ましい範囲、25°~50°のより好ましい範囲、28°~50°のより好ましい範囲、30°~39°のより好ましい範囲、31°~38°のより好ましい範囲、32°~37°のより好ましい範囲、33°~36°のより好ましい範囲、33°~35.8°のより好ましい範囲、33.5°~35°のより好ましい範囲にあってもよい。具体的には、角度θは、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、34.2°、35°、35.8°、36°、37°、又は38°などであってもよい。誤差は0.2度以内に制御されてもよい。駆動力の方向の説明は、本開示における駆動力の制限として理解されるべきではないことに留意されたい。いくつかの他の実施形態では、駆動力はまた、xoy平面座標系の第2及び第4の象限において成分を有してもよく、y軸などに位置してもよい。
【0071】
図3は、本開示のいくつかの実施形態に係る人間の皮膚及び骨に作用する例示的な骨伝導スピーカーの構造を示す概略図である。骨伝導スピーカーは、音情報を含む信号を受信し、ピックアップし、又は生成し、音情報を駆動装置を介して音波振動に変換してもよい。振動は、伝達部品を通してパネル又はハウジングと接触して人間の皮膚320に伝達されてもよく、振動は、ユーザが音を聞くように、人間の骨格310にさらに伝達されてもよい。一般性を失うことなく、上記聴覚系及び感覚器官の対象は、ヒト、又は聴覚系を有する動物であってもよい。骨伝導スピーカーの人間の使用に関する以下の説明は、骨伝導スピーカーの使用シナリオを制限するものではないことに留意されたい。同様の説明も他の動物に適用されてもよい。
【0072】
図3に示すように、骨伝導スピーカーは、駆動装置(他の実施形態では変換装置とも呼ぶ)と、伝達部品303と、パネル301と、ハウジング302とを含んでもよい。
【0073】
パネル301の振動は、人が音を聞くように、組織と骨を通して聴覚神経に伝達されてもよい。パネル301は、人間の皮膚に直接接触してもよいし、特定の材料からなる振動伝達層を通して人間の皮膚に接触してもよい。パネル301が人体と接触する領域は、耳珠、乳様突起、耳の後ろの近く、又は他の位置にあってもよい。
【0074】
質量、サイズ、形状、剛性、振動減衰などのパネルの物理的特性は、すべて、パネルの振動効率に影響を与え得る。当業者は、実際の必要に応じて適切な材料で形成されたパネルを選択するか、又は異なる型を使用してパネルを異なる形状に注入してもよい。例えば、パネルの形状は、長方形、円形、又は楕円形であってもよい。別の例として、パネルの形状は、長方形、円形、又は楕円形の縁部を切断することによって得られる形状(例えば、円形を対称的に切断して楕円形又は長円形状に似た形状を得ることなど、これに限定されない)であってもよい。さらに好ましくは、パネルは、中空であってもよい。単なる例として、パネルの面積サイズは、必要に応じて設置されてもよい。いくつかの実施形態では、パネルの領域サイズは、20mm2~1000mm2の範囲であってもよい。具体的には、パネルの辺長は、5mm~40mm、又は18mm~25mm、又は11~18mmの範囲であってもよい。例えば、パネルは、長さが22mmで、幅が14mmの長方形であってもよい。別の例として、パネルは、長軸が25mmで、短軸が15mmの楕円形であってもよい。
【0075】
ここで言及されるパネル材料は、鋼、合金、プラスチック、及び単一又は複合材料を含んでもよいが、これらに限定されない。鋼は、ステンレス鋼、炭素鋼などを含んでもよいが、これらに限定されない。合金は、アルミニウム合金、クロム-モリブデン鋼、レニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、マグネシウム-リチウム合金、ニッケル合金などを含んでもよいが、これらに限定されない。プラスチックは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレン(PS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ブローンナイロンなどを含んでもよいが、これらに限定されない。単一又は複合材料は、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、グラファイト繊維、グラフェン繊維、炭化ケイ素繊維、アラミド繊維、又は他の補強材を含んでもよいが、これらに限定されない。単一又は複合材料はまた、ガラス繊維強化不飽和ポリエステルなどの他の有機材料及び/又は無機材料の複合材料、エポキシ樹脂又はフェノール樹脂マトリックスからなる様々なタイプのガラス鋼などを含んでもよい。
【0076】
いくつかの他の実施形態では、骨伝導スピーカーのパネルの外側は、皮膚と接触している振動伝達層で包まれてもよい。パネルと振動伝達層とからなる振動系は、発生した音波振動を人体組織に伝達してもよい。振動伝達層は、複数の層を含んでもよい。振動伝達層は、1つ以上の材料で形成されてもよく、異なる振動伝達層の材料は、同じであっても異なっていてもよい。複数の振動伝達層は、パネルの垂直方向に重ね合わせるか、パネルの水平方向に配置するか、又はパネルに対してある角度で重ね合わせてもよい。各層とパネルとの間の角度は、同じであっても異なってもよいか、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。振動伝達層は、プラスチック(高分子量ポリエチレン、インフレーションナイロン、エンジニアリングプラスチックなどを含んでもよいが、これらに限定されない)、ゴム、又は同じ性能を達成できる他の単一又は複合材料などの、特定の吸着、可撓性、及び化学的特性を有する材料で構成されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーがユーザの身体に着用される場合、パネルのすべての領域は、ユーザの身体に接触するか、又は隣接してもよい。いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーがユーザの身体に着用される場合、パネルの一部は、ユーザの身体に接触するか、又は隣接してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザの身体に接触するか又は隣接するために使用されるパネルの領域は、パネル領域の50%以上を占めてもよく、より好ましくは、パネル領域の60%以上を占めてもよい。一般に、ユーザの皮膚は、比較的平坦である。パネルが皮膚に接触する領域を大きな変動がない平面又は準平面に設置すると、パネルが皮膚に接触する領域は大きくなり、音量を大きくなる。例えば、パネルは、中央部に平面を有し、縁部にアーク面取り部を有する複合構造を有してもよい。したがって、パネルは、人間の皮膚と完全に接触し、異なる人々の適合性を保証するために曲面を有してもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、パネル301は、ハウジング302と協働して、駆動装置を収容するための密閉型空洞又は準密閉型空洞(例えば、パネル又はハウジング内の孔)を形成してもよい。具体的には、パネル301とハウジング302とが一体的に形成されてもよく、すなわち、パネルとハウジングとが同じ材料で構成されてもよく、構造において2つの間に境界はない。パネル301はまた、スナップ、リベット留め、ホットメルト、又は溶接によってハウジング302に機械的に接続されてもよい。いくつかの他の実施形態では、パネル301及びハウジング302は、接続媒体を介して機械的に接続されてもよい。接続媒体は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シェラック、ブチルゴムなどの接着剤を含んでもよい。接続媒体はまた、振動伝達シート、接続ロッドなどの、特定の構造を有する接続部品を含んでもよい。ハウジングの剛性、パネルの剛性、及びハウジングとパネル間の接続の剛性はすべて、スピーカーの周波数応答に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、ハウジングとパネルの両方は、より高い剛性を有する材料で形成されてもよいが、ハウジングとパネルとの間の接続媒体の剛性は、比較的小さい。駆動装置が振動すると、パネルとハウジングとは、非同期で振動してもよい。いくつかの他の実施形態では、ハウジングとパネルの両方は、より高い剛性を有する材料で形成されてもよく、ハウジングとパネルとの間の接続媒体の剛性も大きくなり、その結果、振動系の全体的な剛性は高くなる可能性があり、共振部分は、より多くの高周波成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、パネル及びハウジングの剛性は、パネル及びハウジングの剛性を調整することによって増加されてもよく、高周波領域のピーク及び谷は、より高い周波数帯域領域に調整されてもよい。部品の剛性と音質との間の関係についてのより詳細な説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、
図7及びその説明を参照されたい)。
【0079】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、より大きな剛性及びより軽い重量を有してもよく、全体として機械的に振動してもよい。ハウジングは、振動の一貫性を確保し、相互に相殺された音漏れを形成し、良い音質及び高い音量を確保してもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングは、孔を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、ハウジングの孔は、骨伝導スピーカーの音漏れを調整してもよい。
【0080】
剛性は、力を受けたときに弾性変形に抵抗する材料又は構造物の能力として理解されてもよく、部品の材料の弾性率、形状、構造、又は設置方法に関連してもよい。例えば、部品の剛性は、部品の弾性率及び厚さに正に関連し、部品の表面積に負に関連する。いくつかの実施形態では、部品は、パネル、ハウジング、伝達部品などであってもよい。具体的には、パネルなどのシート状部品の剛性は、以下の式で表してもよい。
【数10】
ここで、kはパネルの剛性を示し、Eはパネルの弾性率を示し、hはパネルの厚さを示し、dはパネルの半径を示す。半径が小さいほど、厚さが厚くなり、パネルの弾性率が大きいほど、対応するパネルの剛性が大きくなることが分かる。いくつかの他の実施形態では、棒状又は帯状の伝達部品の剛性は、以下の式で表してもよい。
【数11】
ここで、kは伝達部品の剛性を示し、Eは伝達部品の弾性率を示し、hは伝達部品の厚さを示し、wは伝達部品の幅を示し、lは伝達部品の長さを示す。伝達部品が小さいほど、厚さが厚くなり、幅が大きくなり、弾性率が大きくなり、対応する伝達部品の剛性が大きくなることがわかる。
【0081】
いくつかの実施形態では、駆動装置は、パネルとハウジング(例えば、パネル又はハウジング内に孔を有する)とによって形成された密閉型空間又は準密閉型空間に位置してもよい。いくつかの他の実施形態では、駆動装置は、ハウジングによって形成された密閉型空間又は準密閉型空間に位置してもよく、パネルは、ハウジングとは独立して設けられている。パネルとハウジングを別々に設置することについてのより多くの説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、
図15及びその説明を参照されたい)。駆動装置は、電気信号を異なる周波数及び振幅の振動に変換してもよい。駆動装置の動作モードは、可動コイル、可動鉄片、圧電セラミック、又は他の動作方法を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0082】
単なる一例として、以下の説明は、例として可動コイル方式を取り上げてもよい。
図3では、駆動装置は、可動コイル駆動方法を使用してもよく、コイル304及び磁気システム307を含んでもよい。
【0083】
磁気システム307は、第1の磁気部品3071、第1の磁気伝導性部品3072、及び第2の磁気伝導性部品3073を含んでもよい。本開示で説明される磁気部品は、磁石などの、磁場を生成してもよい部品を指す。磁気部品は磁化方向を有してもよく、磁化方向は、磁気部品内の磁場の方向を指す。第1の磁気部品3071は、1つ以上の磁石を含んでもよい。いくつかの実施形態では、磁石は、金属合金磁石、フェライトなどを含んでもよい。金属合金磁石は、ネオジム磁石、サマリウムコバルト、アルミニウムニッケルコバルト、鉄クロムコバルト、アルミニウム鉄ホウ素、鉄炭素アルミニウムなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。フェライトは、バリウムフェライト、鋼フェライト、マンガンフェライト、リチウムマンガンフェライトなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0084】
磁気伝導性部品はまた、磁場(例えば、第1の磁気部品3071によって生成された磁場)の分布を調整してもよい磁場コンセントレータ又は鉄心と呼ばれてもよい。いくつかの実施形態では、第1の磁気伝導性部品3072の下面は、第1の磁気部品3071の上面に機械的に接続されてもよい。第2の磁気伝導性部品3073は、底壁及び側壁を含んでもよい凹状構造を有してもよい。第2の磁気伝導性部品3073の底壁の内側は、第1の磁気部品3071に機械的に接続されてもよく、側壁は、第1の磁気部品3071を取り囲み、第1の磁気部品3071と磁気ギャップを形成してもよい。第1の磁気伝導性部品3072、第2の磁気伝導性部品3073と、第1の磁気部品3071との間の機械的接続は、結合接続、ロッキング接続、溶接接続、リベット接続、ボルト接続など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0085】
磁気伝導性部品は、軟磁性材料で製造された素子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、例示的な軟磁性材料は、金属材料、金属合金材料、金属酸化物材料、アモルファス金属材料などを含んでもよい。例えば、軟磁性材料は、鉄、鉄-シリコンベース合金、鉄-アルミニウムベース合金、ニッケル鉄ベース合金、鉄コバルトベース合金、低炭素鋼、ケイ素鋼板、ケイ素鋼板、フェライトなどを含んでもよい。いくつかの実施形態では、磁石は、例えば、鋳造、プラスチック加工、切削加工、粉末冶金など、又はそれらの任意の組み合わせによって製造されてもよい。鋳造は、砂型鋳造、インベストメント鋳造、圧力鋳造、遠心鋳造などを含んでもよい。プラスチック加工は、圧延、鋳造、鍛造、スタンピング、押出、引き抜きなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。切削加工は、旋削、フライス加工、プラニング、研削などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、磁気伝導性部品は、3D印刷技術、コンピュータ数値制御工作機械などによって製造されてもよい。
【0086】
駆動装置の構造の説明は、本開示の限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、磁気システムは、上から下に一緒に積み重ねられてもよい複数の磁気部品を含んでもよい。追加の磁気伝導性部品は隣接する磁気部品の間に設置されてもよく、他の磁気伝導性部品は上部磁気部品の上面に設置されてもよい。磁気部品は、磁場を生成する部品であってもよい。磁気伝導性部品は、磁場の分布を調整してもよい。特定の磁場分布要件に従って設置された磁気システムの構造は、骨伝導スピーカーに使用されてもよく、本開示に限定されない。
【0087】
コイル304は、第1の磁気部品3071と第2の磁気伝導性部品3073との間の磁気ギャップ内に配置されてもよい。通電後、磁気ギャップ内に位置するコイル304は、アンペールの力(例えば、駆動力)によって振動するように駆動されてもよい。磁気システム307は、反力の作用により振動を発生させてもよい。駆動装置は、コイル304及び/又は磁気システム307の振動をパネル及び/又はハウジングに伝達する伝達部品303をさらに含んでもよい。アンペールの力は、導線が磁場内で受ける力であってもよい。アンペールの力の方向は、導線の方向と磁場とによって決定される平面に垂直であってもよく、左手の法則によって決定されてもよい。電流方向及び磁場方向が変化すると、アンペールの力の方向も変化してもよい。いくつかの実施形態では、磁気システムによって生成された磁場は静的である。電流方向が変化すると、駆動力の方向は、直線に沿って切り替えてもよい。直線は、駆動力の位置している線と考えてもよい。コイルは、駆動力によって振動を発生させてもよく、磁気システムは反力により振動を発生させてもよい。両者の振動は、一般的に同じ直線に沿っているが、方向は反対である。直線は、振動の位置している直線とみなすことができ、駆動力の位置している直線と同等(すなわち、平行)であってもよいし、同じであってもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、コイルの振動は、第1の伝達部品を通してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよく、磁気システムの振動は、第2の伝達部品を通してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、通電後、コイルは、アンペールの力の影響下で振動を発生させてもよい。コイルの振動は、第1の伝達部品を通してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよく、コイルは、磁場を介して磁気システムと相互作用してもよい。磁気システムによって受信された反力はまた、振動を発生させてもよく、磁気システムの振動は、第2の伝達部品を通してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよい。いくつかの実施形態では、伝達部品は、接続ロッド、接続ポスト、及び/又は振動伝達シートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、伝達部品は、ハウジングに伝達される振動エネルギーを低減してもよい振動伝達過程において減衰効果を生じさせる適度な弾性力を有することにより、ハウジング振動による外部への骨伝導スピーカーの音漏れを効果的に抑制し、異常な共鳴音による異音の発生を回避し、音質を向上させる効果を達成することができる。また、ハウジング内/上に位置する伝達部品の位置は、振動の伝達効率に与える影響度が異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、伝達部品は、駆動装置を、吊り下げられているか、又は支持されているなどの異なる状態にしてもよい。また、振動伝達シートは、厚さの薄い板状のものであってもよい。特定の振動伝達シートの本体は、環構造であってもよく、中心に向かって放射状で配置された複数の分岐又は複数の接続片は、リング本体構造に設けられてもよい。分岐又は接続片の数は、2つ以上であってもよい。伝達部品についてのより詳細な説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、特定の実施形態の部分を参照されたい)。
【0090】
いくつかの実施形態では、駆動力の位置している直線は、駆動装置が振動する直線と共線的であってもよいし、平行であってもよい。例えば、移動コイルの原理を有する駆動装置において、駆動力の方向は、コイル及び/又は磁気システムの振動方向と同じであってもよいし、逆であってもよい。パネルは平面又は曲面であってもよく、或いは、パネルはいくつかの突起又は溝を有してもよい。いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーがユーザの身体に着用される場合、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線は、駆動力の位置している線と平行ではない。一般的には、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域は、比較的平坦であり、より詳細には、曲率の変化がほとんどない平面又は準平面であってもよい。ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域が平面である場合、パネル上の任意の点における法線は、領域の法線であってもよい。ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域が平面ではない場合、領域の法線は、平均法線であってもよい。平均法線についてのより多くの説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、
図1及びその説明を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域が平面ではない場合、領域の法線は、以下のように決定されてもよい。パネルが人間の皮膚と接触している領域内の点は選択されてもよく、点におけるパネルの接平面は決定され、次に、点を通過し、接平面に垂直である線は決定されてもよい。直線は、パネルの法線としてもよい。本開示の特定の実施形態によれば、駆動力の位置している直線(又は駆動装置が振動する直線)は、領域の法線と角度θ(0°<θ<180°)を有してもよい。いくつかの実施形態では、駆動力の位置している線は、パネル(又はパネル及び/又はハウジングが人間の皮膚と接触している表面)を介して骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有してもよく、特定のパネル(又はパネル及び/又はハウジングが人間の皮膚と接触している表面)の法線は、骨伝導スピーカーの外に指している正の方向を有してもよく、2つの線の間の正の方向における角度は、鋭角であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカー300は、パネル301と、ハウジング302と、第1の伝達部品303と、コイル304と、振動伝達シート305と、第2の伝達部品306と、磁気システム307とを含んでもよい。コイル304及び磁気システム307の振動は、異なる経路を介してパネル301及び/又はハウジング302に伝達されてもよい。例えば、コイル304の振動は、第1の伝達経路を介してパネル301及び/又はハウジング302に伝達されてもよく、磁気システム307の振動は、第2の伝達経路を介してパネル301及び/又はハウジング302に伝達されてもよい。第1の伝達経路は、第1の伝達部品303を含んでもよく、第2の伝達経路は、第2の伝達部品306と、振動伝達シート305と、第1の伝達部品303とを含んでもよい。具体的には、第1の伝達部品303の一部は、フランジ付き構造であってもよい。フランジは、コイル304の構造に適合した環形状であってもよく、コイル304の一端面に機械的に接続されてもよい。第1の伝達部品303の他の部分は、パネル及び/又はハウジングに機械的に接続されてもよい接続ロッドであってもよい。コイル304は、磁気システム307の磁気ギャップに完全に又は部分的にスリーブ化されてもよい。第2の伝達経路において、第2の伝達部品306は、磁気システム307及び振動伝達シート305に機械的に接続されてもよい。振動伝達シート305の縁部は、第1の伝達部品303のフランジに固定されてもよい。振動伝達シート305の中心は、第2の伝達部品306の一端に機械的に接続されてもよい。振動伝達シート305の縁部は、第1の伝達部品303のフランジの内側に機械的に接続されてもよく、接続は、スナップ嵌め接続、ホットプレス接続、リベット接続、結合接続、射出成形接続などを含んでもよい。第1の伝達経路及び第2の伝達経路はまた、他の構造を有してもよく、また、この実施形態は、伝達部品の制限として解釈されるべきではないことに留意されたい。伝達部品についてのより詳細な説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、コイル304及び磁気システム307の両方は、環構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、コイル304及び磁気システム307は、相互に平行な軸を有してもよく、コイル304及び磁気システム307の軸は、コイル304の半径方向平面及び/又は磁気システム307の半径方向平面に垂直であってもよい。いくつかの実施形態では、コイル304及び磁気システム307は、同じ中心軸を有してもよい。コイル304の中心軸は、コイル304の半径方向平面に垂直であり、コイル304の幾何学的中心を通過してもよい。磁気システム307の中心軸は、磁気システム307の半径方向平面に垂直であり、磁気システム307の幾何学的中心を通過してもよい。コイル304又は磁気システム307の軸とパネル301の法線とは、上述した角度θを有してもよい。
【0093】
この実施形態では、通電後、コイル304は、磁気システム307によって生成された磁場内にアンペールの力及び振動を発生させ、コイル304の振動を第1の伝達部品303を通してパネル301に伝達してもよい。磁気システム307が受ける反力によって発生する振動は、第2の伝達部品306、振動伝達シート305、及び第1の伝達部品303を通してパネル301に伝達されてもよい。コイル304の振動及び磁気システム307の振動はパネル301を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は音を聞くことができる。要するに、コイル304によって発生する振動及び磁気システム307によって発生する振動は、パネル301に伝達されてもよい複合振動を形成してもよい。複合振動はパネル301を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0094】
単なる例として、
図3を参照して、駆動力Fと皮膚変形Sとの間の関係について説明する。駆動装置によって生成された駆動力がパネル302の法線に平行である場合(すなわち、角度θがゼロである場合)、駆動力と皮膚全体の変形との間の関係は、以下の式で表してもよい。
【数12】
【0095】
駆動装置の駆動力がユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線に垂直である場合(すなわち、角度θが90度である場合)、垂直方向の駆動力と皮膚全体の変形との間の関係は、以下の式で表してもよい。
【数13】
剪断弾性率Gと弾性率Eとの間の関係は、以下の式で表してもよい。
【数14】
【0096】
駆動装置の駆動力がユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線に平行ではない場合、水平駆動力及び垂直駆動力は、以下の式(7)及び(8)で表してもよい。
【数15】
【数16】
駆動力Fと皮膚変形Sとの間の関係は、以下の式(9)で表してもよい。
【数17】
【0097】
皮膚のポアソン比が0.4である場合、角度θと皮膚全体の変形との間の関係の詳細な説明は、
図4を参照してよい。
【0098】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカーの角度相対変位関係を示す概略図である。
図4に示すように、角度θと皮膚全体の変形との間の関係は、角度θが大きいほど、相対変位が大きくなり、皮膚全体の変形Sが大きくなることであってもよい。角度θが大きくなるほど、相対変位が小さくなり、垂直方向の皮膚変形
【数18】
も小さくなる。角度θが90度に近いと、垂直方向の皮膚変形
【数19】
は徐々に0に近づく。
【0099】
低周波数部分における骨伝導イヤホンの音量は、皮膚全体の変形Sに正に関連してもよい。Sが大きいほど、骨伝導の低周波数部分の音量は大きくなる。高周波部分における骨伝導イヤホンの音量は、垂直方向の皮膚変形
【数20】
に正に関連してもよい。
【数21】
が大きいほど、骨伝導の低周波数部分の音量は大きくなる。
【0100】
皮膚のポアソン比が0.4である場合、角度θと皮膚全体の変形Sとの間の、角度θと垂直方向の皮膚変形
【数22】
との間の関係の詳細な説明は、
図4を参照してよい。
図4に示すように、角度θと皮膚全体の変形Sとの間の関係は、角度θが大きいほど、皮膚全体の変形Sが大きくなり、対応する骨伝導イヤホンの低周波数部分の音量が大きくなることであってもよい。
図4に示すように、角度θと垂直方向の皮膚変形
【数23】
との間の関係は、角度θが大きいほど、垂直方向の皮膚変形が小さくなり、対応する骨伝導イヤホンの高周波部分の音量が小さくなることであってもよい。
【0101】
式(8)及び
図4の曲線から、角度θが大きくなるにつれて、皮膚全体の変形Sが増加する速度は、垂直方向の皮膚変形
【数24】
の速度とは異なることがわかる。皮膚全体の変形Sは、より速く増加し、次いで減速し、垂直方向の皮膚変形
【数25】
は、ますます速く減少する。骨伝導イヤホンの低周波及び高周波の音量のバランスをとるために、角度θは、適切な大きさにする必要がある。例えば、θの範囲は、5°~80°、15°~70°、25°~50°、25°~35°、25°~30°などの範囲にあってもよい。
【0102】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカーの周波数応答曲線を示す概略図である。
図5に示すように、横軸は振動周波数を示し、縦軸は骨伝導イヤホンの振動強度を示す。いくつかの実施形態では、500~6000Hzの周波数の範囲において、周波数応答曲線が平坦であるほど、骨伝導性イヤホンの音質がより良いと考えられる。骨伝導イヤホンの構造、部分の設計、及び材料特性は、周波数応答曲線に影響を与え得る。一般に、低周波数は、500Hzよりも高い音を指し、中間周波数は、500Hz~4000Hzの範囲の音を指し、高い周波数は、4000Hzより大きい音を指す。
図5に示すように、骨伝導イヤホンの周波数応答曲線は、低周波数域の2つの共振ピーク(510及び520)、高周波数域内の第1の高周波谷530、第1の高周波ピーク540、及び第2の高周波ピーク550を有してもよい。低周波数域の2つの共振ピーク(510、520)は、振動伝達シートとイヤホン固定部品との組み合わせ動作によって発生させてもよい。第1の高周波谷530及び第1の高周波ピーク540は、高周波でのハウジング側の変形によって生成されてもよく、第2の高周波ピーク550は、高周波でのシェルパネルの変形によって生成されてもよい。
【0103】
異なる共振ピーク及び高周波ピーク/谷の位置は、対応する部品の剛性に関連してもよい。この剛性は、一般に、柔軟性及び剛性の程度と呼ばれ、力を受けたときに弾性変形に抵抗する材料又は構造物の能力である。剛性は、材料自体のヤング率及び構造寸法に関連する。剛性が大きいほど、力を受けたときの構造物の変形は小さくなる。上記のように、500~6000Hzの周波数応答は、骨伝導イヤホンにとって特に重要である。この周波数域では、鋭いピーク及び谷は予想されない。周波数応答曲線が平坦であるほど、イヤホンの音質は良くなる。いくつかの実施形態では、高周波数域のピーク及び谷は、シェルパネル及びシェルバックパネルの剛性を調整することによって、より高い周波数域に調整されてもよい。
【0104】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に係る異なる角度θでの例示的な骨伝導スピーカーの周波数応答曲線の低周波数部分を示す概略図である。
図6に示すように、パネルは、皮膚と接触して、振動を皮膚に伝達してもよい。このプロセスでは、皮膚はまた、骨伝導スピーカーの振動に影響を与え得て、これにより、骨伝導スピーカーの周波数応答曲線に影響を与え得る。上記の分析から、角度が大きいほど、同じ駆動力下で皮膚全体の変形が大きくなり、骨伝導スピーカーに対応すると、パネルに対する皮膚の弾性の低下に相当することが分かった。さらに、駆動装置の駆動力の位置している線と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線とが、特定の角度θを形成してもよいことが理解されてもよい。特に、角度θが大きくなると、周波数応答曲線の低周波数域の共振ピークが低周波数域に調整されてもよいため、低周波帯域が深くなり、低周波部分が大きくなる。振動伝達シートを骨伝導スピーカーに追加するなど、音の低周波部分を改善する他の技術的手段と比較して、角度を設置することは、低周波数エネルギーを増加させながら振動の増加を効果的に抑制し、それによって振動感覚を相対的に低減することができ、これにより、骨伝導スピーカーの低周波感度を大幅に向上させ、音質及び人間の経験を向上させる。なお、いくつかの実施形態では、低周波数域及び低振動の増加は、0°~90°の範囲で角度θが増加するにつれて表現されてもよく、振動又は音信号の低周波数域におけるエネルギーは増加し、振動感知は増加することに留意されたい。しかしながら、低周波数域でのエネルギーの増加が振動の増加より大きくてもよいため、相対的効果は相対的に低減される。
【0105】
図6から、角度が比較的大きい場合、低周波数域の共振ピークがより低い周波数域に現れ、周波数曲率の平坦部分が長くなり、それによってイヤホンの音質が改善されることが分かる。
【0106】
図7は、本開示のいくつかの実施形態に係る異なるパネル及びハウジング材料を備えた例示的な骨伝導スピーカーの周波数応答曲線の高周波部分を示す概略図である。
図7に示すように、パネルとハウジングの材料が硬い場合、第1の高周波ピークと第2の高周波ピークに対応する周波数が高くなる。パネルとハウジングの材料が軟質である場合、第1の高周波ピークと第2の高周波ピークに対応する周波数が低くなる。パネルとハウジングの材料が硬い場合、第1の高周波谷に対応する周波数が高くなる。パネル及びハウジングの材料が軟質である場合、第1の高周波谷に対応する周波数は、パネルとハウジングの材料が硬い場合よりも低くなる。パネルとハウジングの剛性(より硬い)材料は、高周波のピーク/谷が現れると、対応する周波数値を増加させ得ることがわかる。
図5の説明によれば、1000~10000Hzの周波数応答は、骨伝導イヤホンにとって特に重要であることが知られている。この周波数域では、鋭いピーク及び谷は予想されない。周波数応答曲線が平坦であるほど、イヤホンの音質は良くなる。
図7中のパネル及びハウジングの剛性(より硬い)材料は、周波数曲率の平坦部分を長くすることにより、イヤホンの音質を改善してもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、異なる部品(例えば、ハウジング、伝達部品、駆動装置など)の剛性は、材料のヤング率、厚さ、サイズなどに関連してもよい。以下で、ハウジングの剛性とハウジングの材料との関係を例示して説明する。いくつかの実施形態では、ハウジングは、シェルパネルと、シェルバックパネルと、ハウジング側とを含んでもよい。シェルパネル、シェルバックパネル及びハウジング側は、同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。例えば、シェルバックパネル及びシェルパネルは同じ材料で形成されてもよく、ハウジング側は他の材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、いくつかの条件下で、ハウジング材料のヤング率が大きいほど、ハウジングの剛性が高くなる。イヤホンの周波数応答曲線のピーク及び谷は、高周波数に変化してもよく、これにより、高周波のピーク及び谷をより高い周波数に調整するのに役立つ。いくつかの実施形態では、ハウジング材料のヤング率を調整して、周波数応答曲線のピーク及び谷をより高い周波数に調整してもよい。いくつかの実施形態では、特定のヤング率を有する材料を使用してもよい。ハウジングのヤング率は、2000MPaより大きくてもよい。好ましくは、ハウジングのヤング率は、4000MPaより大きくてもよい。好ましくは、ハウジングのヤング率は、6000MPaより大きくてもよい。好ましくは、ハウジングのヤング率は、8000MPaより大きくてもよい。好ましくは、ハウジングのヤング率は12000MPaより大きくてもよく、より好ましくは、ハウジングのヤング率は15000MPaより大きくてもよい。さらに好ましくは、ハウジングのヤング率は18000MPaより大きくてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、ハウジングの剛性を調整することによって、骨伝導イヤホンの周波数応答曲線における高周波ピーク-谷周波数は、1000Hz以上であってもよい。好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、2000Hz以上であってもよい。好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、4000Hz以上であってもよい。好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、6000Hz以上であってもよい。より好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、8000Hz以上であってもよい。より好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、10000Hz以上であってもよい。より好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、12000Hz以上であってもよい。さらに好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、14000Hz以上であってもよい。さらに好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、16000Hz以上であってもよい。さらに好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、18000Hz以上であってもよい。さらに好ましくは、高周波ピーク-谷周波数は、20000Hz以上であってもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングの剛性を調整することによって、骨伝導イヤホンの周波数応答曲線における高周波ピーク-谷周波数は、人間の耳の聴覚範囲外にあってもよい。いくつかの実施形態では、ハウジングの剛性を調整することによって、イヤホンの周波数応答曲線における高周波ピーク-谷周波数は、人間の耳の聴覚範囲内にあってもよい。いくつかの実施形態では、複数の高周波ピーク/谷がある場合、ハウジングの剛性を調整することにより、骨伝導イヤホンの周波数応答曲線における1つ以上の高周波ピーク/谷周波数は、人間の耳の聴覚範囲外にあってもよく、残りの1つ以上の高周波ピーク/谷周波数は、人間の耳の聴覚範囲内にあってもよい。例えば、第2の高周波ピークは、人間の耳の聴覚範囲外にあってもよく、これにより、第1の高周波谷及び第1の高周波ピークは、人間の耳の聴覚範囲内にあってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、ハウジングの剛性を改善することは、シェルパネル、シェルバックパネル、及びハウジング側の接続モードを変更して、ハウジング全体がより高い剛性を確実に有するようにすることによって達成されてもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル、シェルバックパネル、及びハウジング側は、全体として形成されてもよい。いくつかの実施形態では、シェルバックパネル及びハウジング側は、全体として形成されてもよい。シェルパネルとハウジング側とは、接着剤によって直接固定されてもよいし、スナップ又は溶接によって固定されてもよい。接着剤は、粘度が高く硬度が高い接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル及びハウジング側は全体として形成されてもよく、シェルバックパネル及びハウジング側は、接着剤によって直接固定されてもよいし、スナップ又は溶接によって固定されてもよい。接着剤は、粘度が高く硬度が高い接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル、シェルバックパネル、及びハウジング側は、独立した部品であってもよい。上記3つの部品は、接着剤、スナップ又は溶接など、又はそれらの任意の組み合わせによって固定的に接続されてもよい。例えば、シェルパネル及びハウジング側は接着剤によって接続されてもよく、シェルバックパネル及びハウジング側は、スナップ又は溶接によって接続されてもよい。別の例として、シェルバックパネル及びハウジング側は接着剤によって接続されてもよく、シェルパネル及びハウジング側は、スナップ又は溶接によって接続されてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、異なるヤング率を有する材料を使用して一致させて、ハウジングの全体的な剛性を改善してもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル、シェルバックパネル、及びハウジング側は、1つの材料で形成されてもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル、シェルバックパネル、及びハウジング側は、異なる材料で形成されてもよく、異なる材料は、同じヤング率又は異なるヤング率を有してもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル及びシェルバックパネルは同じ材料で形成されてもよく、ハウジング側は他の材料で形成されてもよい。2つの材料のヤング率は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、ハウジング側の材料のヤング率は、シェルパネル及びシェルバックパネルのヤング率よりも大きくてもよいし、ハウジング側の材料のヤング率は、シェルパネル及びシェルバックパネルのヤング率よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル及びハウジング側は同じ材料で形成されてもよく、シェルバックパネルは他の材料で形成されてもよい。2つの材料のヤング率は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、シェルバックパネルの材料のヤング率は、シェルパネル及びハウジング側のヤング率よりも大きくてもよいし、シェルバックパネルの材料のヤング率は、シェルパネル及びハウジング側のヤング率よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、シェルバックパネル及びハウジング側は同じ材料で形成されてもよく、シェルパネルは他の材料で形成されてもよい。2つの材料のヤング率は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、シェルパネルの材料のヤング率は、シェルバックパネル及びハウジング側のヤング率よりも大きくてもよいし、シェルパネルの材料のヤング率は、シェルバックパネル及びハウジング側のヤング率よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、シェルパネル、シェルバックパネル、及びハウジング側の材料は、すべて異なってもよい。3つの材料のヤング率は、同じであっても異なっていてもよく、全て2000MPa以上であってもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、振動伝達シート及びイヤホン固定部品の剛性を調整することにより、骨伝導イヤホンの低周波数域の2つの共振ピーク周波数は、両方とも2000Hz未満であってもよい。好ましくは、骨伝導イヤホンの低周波数域の2つの共振ピーク周波数は、1000Hz未満であってもよい。より好ましくは、骨伝導イヤホンの低周波数域の2つの共振ピーク周波数は、500Hz未満であってもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、骨伝導イヤホンの各部品(例えば、ハウジング、ハウジングブラケット、振動伝達シート、又はイヤホン固定部品)の剛性を調整することにより、高周波数域のピークと谷をより高い周波数に調整し、低周波数共振ピークを低周波数に調整して、1000Hz~10000Hzの範囲の周波数応答曲線プラットフォームを確保し、それによって骨伝導イヤホンの音質を向上させることができる。
【0113】
一方、骨伝導イヤホンは、振動伝達中に音漏れを引き起こし得る。音漏れとは、骨伝導イヤホンの内部部品の振動、又はハウジングの振動により周囲の空気の量が変化することにより、周囲の空気が圧縮された領域又はまばらな領域を形成して周囲に伝播し、その結果、周囲の環境に音が伝達されるので、骨伝導イヤホンの着用者以外の人がイヤホンからの音を聞くことができることを指す。本開示は、ハウジングの構造又は剛性を変更することによって骨伝導イヤホンの音漏れを低減するための解決策を提供してもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーの音漏れは、振動伝達層(図には示されていない)を含む適切に設計された振動発生部分によってさらに効果的に低減されてもよい。好ましくは、振動伝達層の表面に孔を設けることにより、音漏れを低減してもよい。例えば、振動伝達層は、パネルに接着されてもよく、振動伝達層上の結合領域は、振動伝達層上の非結合領域よりも凸状であってもよい。空洞は、非結合領域の下に位置してもよい。振動伝達層の非結合領域とハウジング表面には、それぞれ、音導入孔が設けられてもよい。好ましくは、音導入孔の一部を有する非結合領域は、ユーザに接触しなくてもよい。一方、音導入孔は、振動伝達層の非結合領域の面積を効果的に低減し、振動伝達層の内側と外側の空気を通過させ、内側と外側の空気圧の差を減らすため、非結合領域の振動を低減させてもよい。一方、音導入孔は、ハウジングの内部空気振動によって形成された音波をハウジングの外側に導き、ハウジングの振動によって形成された漏れた音波を、ハウジングの外側に空気を押し出すことによって相殺することにより、漏れた音波の振幅を低減させてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、駆動装置によって生成された駆動力の方向とパネルの方向との間の角度は、一意でなくてもよい。
図8~16を参照して、駆動装置及びパネルを設置する方法を、異なる実施形態の観点から例示している。
【0116】
実施形態1
図8は、本開示の実施形態1に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図8に示されるように、いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカー800は、パネル801、ハウジング802、第1の伝達部品803、コイル804、振動伝達シート805、及び磁気システム806を含んでもよい。パネル801及びハウジング802は、密閉型又は準密閉型空洞を形成してもよく、第1の伝達部品803、コイル804、振動伝達シート805、及び磁気システム806を含む駆動装置は、空洞内に位置してもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、コイル804及び磁気システム806の両方は、環構造を有してもよい。いくつかの実施形態では、コイル804及び磁気システム806は、相互に平行な軸を有してもよい。駆動装置の軸は、コイル804及び/又は磁気システム806の軸を指す。駆動装置の軸と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線とは、角度θ(0°<θ<90°)を形成してもよい。具体的には、駆動装置の軸と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線とは、角度θを形成してもよい。コイル804又は磁気システム806の軸とその法線との空間的関係についてのより多くの説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、
図3及びその説明を参照されたい)。
【0118】
いくつかの実施形態では、第1の伝達部品803の一部は、コイル804の構造に適合した環構造を有してもよい。環構造は、コイル804の一端面に機械的に接続されてもよく、第1の伝達部品803の他の部分は、パネル及び/又はハウジングに機械的に接続された接続ロッドであってもよい。コイル804の全部又は一部は、磁気システム806の磁気ギャップにスリーブ化されてもよい。コイル804の全部又は一部は、磁気システム806の環状溝にスリーブ化されてもよい。いくつかの実施形態では、磁気システム806の環状端面は、振動伝達シート805の外縁に機械的に接続されてもよい。第1の伝達部品803は、振動伝達シート805の中間領域を通過し、振動伝達シート805に固定的に接続されてもよい。
【0119】
通電後、コイル804は、磁気システム806によって生成された磁場内にアンペールの力及び振動を発生させ、コイル804の振動を第1の伝達部品803を通してパネル801に伝達してもよい。磁気システム806が受ける反力によって発生する振動は、振動伝達シート805を通して第1の伝達部品803に直接伝達され、さらにパネル801に伝達されてもよい。コイル804の振動及び磁気システム806の振動はパネル801を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は音を聞くことができる。振動伝達シートは、磁気システム806及び第1の伝達部品803に直接接続されるので、磁気システム806によって発生する振動は、第1の伝達部品803を通してパネルに直接伝達されてもよいことが理解されてもよい。さらに、コイル804によって発生する振動及び磁気システム806によって発生する振動は、パネル801に伝達される複合振動を形成してもよく、次いで、複合振動は、パネル801を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0120】
実施形態2
図9Aは、本開示の実施形態2に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。骨伝導スピーカー900aは、パネル901、ハウジング902、第1の伝達部品903、コイル904、振動伝達シート905、第2の伝達部品906、及び磁気システム907を含んでもよい。第1の伝達部品903は中空円筒であってもよく、第1の伝達部品903の一端面はパネル901に機械的に接続されてもよく、第1の伝達部品903の他端面は、コイル904の一端に機械的に接続されてもよい。コイル904の全部又は一部は、磁気システム907の環状溝又は磁気ギャップにスリーブ化されてもよい。コイル904と磁気システム907の両方は環構造を有してもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、コイル904及び磁気システム907は、相互に平行な軸を有してもよい。コイル904又は磁気システム907の軸と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線との空間的関係についてのより多くの説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、
図3及びその説明を参照されたい)。磁気システム907の中心又は中心に近い領域は、第2の伝達部品906の一端に機械的に接続
されてもよく、第2の伝達部品906の他端は、振動伝達シート905の中心領域又は中心近くの領域に機械的に接続されてもよい。振動伝達シート905の外縁は、第1の伝達部品903のフランジの内側に機械的に接続されてもよい。接続方法は、クランプ接続、ホットプレス接続、結合接続、射出成形接続などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0121】
この実施形態では、通電後、コイル904は、磁気システム907によって生成された磁場内にアンペールの力及び振動を発生させ、コイル904の振動を第1の伝達部品903を通してパネル901に伝達してもよい。磁気システム907が受ける反力によって発生する振動は、第2の伝達部品906、振動伝達シート905、及び第1の伝達部品903を通してパネル901に伝達されてもよい。コイル904の振動及び磁気システム907の振動はパネル901を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は音を聞くことができる。要するに、コイル904によって発生する振動及び磁気システム907によって発生する振動は、パネル901に伝達される複合振動を形成してもよく、次いで、複合振動は、パネル901を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0122】
図9Aに示す実施形態は、
図8に示す実施形態とは異なっていてもよい。
図9Aに示すように、第1の伝達部品を接続ロッドから中空円筒構造に変更することにより、第1の伝達部品とコイルとの組み合わせは、より十分であり、構造はより安定してもよい。同時に、スピーカーの高次モード(すなわち、スピーカー上の異なる点の振動が一致しない)の周波数を増加させ、かつ骨伝導スピーカーの周波数応答曲線の低周波共振ピークをより低い周波数に移動させることにより、周波数応答曲線の平坦領域を広くし、スピーカーの音質を向上させてもよい。
【0123】
図9Bは、本開示の実施形態2に係る例示的な骨伝導スピーカーの分解構造を示す概略図である。
図9Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る
図9Bにおける例示的な骨伝導スピーカーの縦断面構造を示す概略図である。
図9B及び
図9Cに示す骨伝導スピーカーの構造は、
図9Aに示す構造に対応してもよい。
【0124】
図9Bに示すように、骨伝導スピーカー900bは、振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910、ブラケット及び振動伝達シート911、コイル912、接続部品913、ボルト及びナットアセンブリ914、上部磁石915、磁気伝導プレート916、下部磁石917、磁気伝導カバー918、多機能キーPCB919、多機能ボタンシリコーン920、スピーカーシェル921、イヤフック多機能ボタン922、及びイヤフック923を含んでもよい。
図9Cに示すように、振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910は、面に取り付けられたシリコーン9101及び振動プレート9102をさらに含んでもよい。ブラケット及び振動伝達シート911は、ブラケット9111及び振動伝達シート9112をさらに含んでもよい。ボルト及びナットアセンブリ914は、ボルト9141及びナット9142をさらに含んでもよい。振動プレート9102は、前述のパネルと機能的に同等であってもよく、面に取り付けられたシリコーン9101は、パネルを覆う軟質材料と同等であってもよい。面に取り付けられたシリコーン9101は必須の部分でなくてもよいことが理解されてもよい。いくつかの実施形態では、面に取り付けられたシリコーン9101は省略されてもよい。ブラケット9111は、前述の第1の伝達部品に対応してもよい。接続部品913は、前述の第2の伝達部品に対応してもよい。スピーカーシェル921は、前述のハウジングと同等であってもよい。
【0125】
図9Cに示すように、振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910は、スピーカーシェル921と組み合わされて、磁気システム、伝達部品、及び他の部品を収容するための密閉型又は準密閉型空洞を形成してもよい。磁気伝導カバー918は、凹状構造を有してもよく、具体的には、底部プレート及び側壁を含む。上部磁石915、磁気伝導プレート916、及び下部磁石917は、磁気伝導カバー918の底部プレート上に上から下に積み重ねられてもよい。上部磁石915、磁気伝導プレート916、下部磁石917、及び磁気伝導カバー918は、それぞれ、貫通孔を備え、ボルト及びナットアセンブリ914によって一緒に組み立てられて、磁気システムを形成してもよい。磁気伝導カバー918と上部磁石915、磁気伝導プレート916、及び底部プレートに設けられた下部磁石917との間に磁気ギャップが形成されてもよい。コイル912は、部分的又は全体的に磁気ギャップ内に配置されてもよい。
図9D及び
図9Eに示すように、ブラケット9111は、不均一な厚さを有する環構造を有してもよい。具体的には、一方の側は他方の側よりも厚くてもよい。ブラケット9111の一端面のサイズは、コイル912に対応し、コイル912の一端面に機械的に接続されてもよく、ブラケット9111の他端は、振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910に隣接するか、又は機械的に接続されてもよい。一方の側が他方の側よりも厚いブラケット9111の構造は、振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910に対して駆動装置を傾けてもよく、これにより、駆動装置の軸(又は駆動力の方向)及び面に取り付けられたシリコーン部品910の接触面(人間の皮膚と接触する面)の法線が角度θを有することを保証する。接続部品913は、磁気システムの上部磁石915を振動伝達シート9112と接続し、同時に振動伝達としての機能を実行してもよい。特定の接続方法は、ボルト接続、結合接続、溶接接続などを含んでもよいが、これらに限定されない。振動伝達シート9112の縁部は、ブラケット9111の内側にスナップ化されてもよい。ブラケット9111はまた、コイルの振動及び磁気システムの振動を振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910に伝達する機能を実行してもよい。ブラケットの外縁は、スピーカーシェル921の内壁の溝又は制限スロットにスナップ化され、空洞内に固定されてもよく、これにより、ブラケットは伝達を実現できる一方で、駆動装置全体を吊り下げたり支持したりすることもできる。
【0126】
図9D及び9Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な骨伝導スピーカー内のブラケットの構造を示す概略図である。
図9D及び9Eに示すように、単なる例として、ブラケット9111は、環状の本体91111を有してもよい。本体は、環状のシート構造であってもよく、本体の形状に適合した環状のファサード91112は、本体に設けられてもよい。ファサード91112の一方の側は、他方の側よりも低くてもよい(例えば、ファサードA側は、ファサードB側よりも低くなる)。高い側と低い側との間の遷移は、高さが連続的に変化する接続部分C及びDを介して、又は高さが非連続的に変化する接続部分を介して実行されてもよい。例えば、接続部分C及びDは、高さが不連続に変化する階段状の構造で構成される。A側、B側、接続部分C、及び接続部分Dは、ファサード91112の4つの異なる部分とみなすことができ、構造上明らかな境界がなく、互いに一体的に形成されてもよいことに留意されたい。A側、B側、接続部分C、及び接続部分Dもまた、互いに構造的に独立して、追加の接続方法によって一緒に組み立てられてもよい。特定の接続方法は、結合接続、溶接接続、ホットメルト接続などを含んでもよいが、これらに限定されない。ブラケット9111を使用して、コイルを振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910に接続して、振動伝達を実現してもよい。具体的には、ブラケット本体91111の下端面は、コイルの上端面に固定的に接続されてもよく、ファサード91112の上端面は、振動プレート及び面に取り付けられたシリコーン部品910に隣接するか、又は機械的に接続されてもよい(
図9Cを参照)。いくつかの実施形態では、振動プレートと面に取り付けられたシリコーン部品910と駆動装置(例えば、コイル)との間の距離は比較的長くてもよく、これにより、ファサードの高さは大きくなり得る。ファサード91112が薄い場合、強さは低く、容易に損傷し得、ファサード91112が厚い場合、伝達に影響を与え、音質に影響を与える。いくつかの実施形態では、いくつかの補強材91113はファサード91112の外側又は内側に設けられてもよく、これにより、音質に影響を与えることなくファサード91112の強さを保証してもよい。いくつかの実施形態では、補強材91113は、ファサード91112に垂直なより小さなファサードであってもよく、その一端面は、本体91111に機械的に接続されてもよく、他端面は、ファサード91112に機械的に接続されてもよい。接続方法は、結合接続、溶接接続、熱可塑性成形、一体成形などを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、補強材91113はまた、短ストラットであってもよい。ストラットは、ファサードと本体との間に斜めに支持されてもよい。ストラットの一端は本体91111に機械的にされてもよく、他端はファサード91112に機械的に接続されてもよい。接続方法は、結合接続、溶接接続、熱可塑性成形、一体成形などを含んでもよいが、これらに限定されない。
実施形態3
【0127】
図10は、本開示の実施形態3に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。骨伝導スピーカー900と比較して、骨伝導スピーカー1000の違いは、第1の伝達部品1003の設置位置及び長さであってもよい。第1の伝達部品1003は、複数の接続ロッド又は接続ポストを含んでもよい。接続ロッドの一部の一端は、パネル1001に機械的に接続されてもよい。接続ロッドの他の部分の一端は、ハウジングの第1の側1002に機械的に接続されてもよく、各接続ロッドの他端は、コイル1004の一端面に機械的に接続されてもよい。すなわち、各接続ロッドは、コイルとパネル及び/又はコイル1004に沿ったハウジングとの間に分配されてもよく、接続ロッドは、等間隔で分配されてもよいか、又は異なる間隔で分配されてもよい。この実施形態の変形として、第1の伝達部品1003はまた、第1の伝達部品903のような中空円筒として設計されてもよく、その断面は、コイルのサイズ及び形状に適合してもよい。第1の伝達部品1003の第1の端面は、コイルの一端に機械的に接続されてもよく、第1の伝達部品1003の第2の端面の一部は、パネル1001に機械的に接続されてもよく、他の部分は、ハウジング1002に機械的に接続されてもよい。
【0128】
骨伝導スピーカー900と比較して、骨伝導スピーカー1000の第1の伝達部品1003の長さはより短くてもよく、これにより、スピーカーが高次モード(すなわち、スピーカー上の異なる点の振動が一致しない)を生成する周波数をさらに増加させてもよい。
【0129】
実施形態4
図11は、本開示の実施形態4に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図11に示すように、骨伝導スピーカー1100は、駆動装置1101、伝達部品1102、パネル1103、及びハウジング1105を含んでもよい。伝達部品1102は、振動伝達シート、接続ロッド、及び接続ポストなどの構造を含んでもよい。伝達部品1102は、駆動装置1101によって発生する振動又は駆動力をパネル1103に伝達する伝達経路として、駆動装置1101及びパネル1103に機械的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、パネルと駆動装置との間の距離が比較的長いため、伝達経路の長さを長くする必要がある。さらに、伝達部品の長さを長くする必要がある。例えば、接続ロッド又は接続ポストの長さを長くする必要がある。伝達部品の構造が薄ければ、強さが相対的に低くなり、長時間の振動により損傷する場合がある。この問題を解決するために伝達部品の構造をどんどん厚く設置すると、振動の伝達にも影響を与えて、音質に影響を与え得る。いくつかの実施形態では、追加の補強材1104を伝達部品の表面に設けて、伝達部品の強さを増加させて、伝達部品の構造に小さな影響を与え得る。いくつかの実施形態では、補強材1104は、ファサード、稜線部、ストラットなどを含んでもよい。補強材1104と伝達部品1102との間の接続方法は、結合接続、溶接接続、熱可塑性成形、一体成形などを含んでもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、複数の補強材1104は、伝達部品の表面に設けてもよい。環状の伝達部品の場合、補強材は、伝達部品の円周の周りに等間隔又は不等間隔で分配されてもよい。補強材についてのより多くの説明は、本開示の他の箇所で見出してもよい(例えば、
図9D及び
図9Eならびにそれらの説明を参照されたい)。
【0130】
他の実施形態と比較して、
図11に示す骨伝導スピーカー1100は、伝達部品に追加された補強材1104を有してもよい。伝達部品の強さを増加させる一方で、スピーカーが高次モード(すなわち、スピーカー上の異なる点の振動が一致しない)を生成する周波数を増加させてもよく、それによって音が良くなり得る。
【0131】
実施形態5
図12は、本開示の実施形態5に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図12に示すように、いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカー1200の第1の伝達部品1203の一端は、ハウジング1202の底面に機械的に接続されてもよく、すなわち、駆動装置全体は、パネルに対してハウジング1202に傾斜して固定されてもよい。
【0132】
具体的には、ハウジング1202及びパネル1201の両方は、大きな硬度を有してもよく、比較的高い剛性を有する接続媒体を介して一体的に形成されてもよいか又は接続されてもよい。通電後、コイル1204によって発生する振動及び磁気システム1207によって発生する振動は、ハウジング1202に伝達され、次にパネル1201に伝達される複合振動を形成してもよい。複合振動はパネル1201を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0133】
実施形態6
図13は、本開示の実施形態6に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図13に示すように、いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカー1300は、ハウジング1302、ハウジングとは独立して設けられているパネル1301、及び駆動装置を含んでもよい。駆動装置は、第1の伝達部品1303、コイル1304、振動伝達シート1305、第2の伝達部品1306、及び磁気システム1307を含んでもよい。ハウジング1302は、第1のハウジング13021及び第3の伝達部品13022を含んでもよい。第1のハウジング13021は、空洞を有する直方体であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のハウジング13021は、密閉型円筒、空洞を有する球体などであってもよい。駆動装置は、空洞内に位置してもよく、駆動装置の内部構造は、上記実施形態のいずれであってもよい。
【0134】
第1のハウジング13021の上側は、第3の伝達部品13022を介してパネル1301の上側に機械的に接続されてもよく、第1のハウジング13021の下側は、パネル1301の下側に直接接続されてもよい。第1のハウジング13021とパネル1301との接続方法は、上記方法に限定されなくてもよい。例えば、第1のハウジング13021の下側は、第3の伝達部品13022を介してパネル1301の下側に機械的に接続されてもよく、第1のハウジング13021の上側は、パネル1301の上側に直接接続されてもよい。別の例として、第1のハウジング13021の中央領域のみは、第3の伝達部品を介してパネルに機械的に接続されてもよい。第3の伝達部品は、棒状、板状、又は中空の柱状構造であってもよい。
【0135】
この実施形態では、通電後、コイル1304は、磁気システム1307によって生成された磁場内にアンペールの力及び振動を発生させ、コイル1304の振動を第1の伝達部品1303を通して第1のハウジング13021に伝達してもよい。第1のハウジング13021は、第3の伝達部品13022を介して、又は直接、振動をパネル1301に伝達してもよい。磁気システム1307が受ける反力によって発生する振動は、第2の伝達部品1306と振動伝達シート1305との間の接続を介して第1のハウジング13021に伝達されてもよい。第1のハウジング13021は、第3の伝達部品13022を介して、又は直接、振動をパネル1301に伝達してもよい。コイル1304の振動及び磁気システム1307の振動はパネル1301を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は音を聞くことができる。要するに、コイル1304によって発生する振動及び磁気システム1307によって発生する振動は、複合振動を形成し、最初に第1のハウジング13021に伝達され、次に直接又は第3の伝達部品13022を通してパネル1301に伝達されてもよい。複合振動はパネル1301を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0136】
実施形態7
図14は、本開示の実施形態7に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図14に示すように、骨伝導スピーカー1400は、互いに独立している第1の伝達経路と第2の伝達経路を有してもよい。具体的には、第1の伝達経路は、第1の伝達部品1403を含んでもよい。第2の伝達経路上の伝達部品は、振動伝達シート1405及び第2の伝達部品1406を含んでもよい。互いに独立している第1の伝達経路と第2の伝達経路を有する骨伝導スピーカー1400は、2つの伝達経路に共通の伝達部品がないことを意味し得る。
【0137】
図14に示すように、骨伝導スピーカー1400は、パネル1401、ハウジング1402、第1の伝達部品1403、コイル1404、振動伝達シート1405、第2の伝達部品1406、及び磁気システム1407を含んでもよい。パネル1401及びハウジング1402は、密閉型又は準密閉型空洞を形成してもよく、第1の伝達部品1403、コイル1404、振動伝達シート1405、第2の伝達部品1406、及び磁気システム1407を含む駆動装置は、空洞内に位置してもよい。駆動装置の軸と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線とは、角度θ(0°<θ<90°)を形成してもよい。磁気システム1407の底面は、第2の伝達部品1406を介して振動伝達シート1405に機械的に接続されてもよく、振動伝達シート1405の外縁は、ハウジング1402に機械的に接続されてもよい。例えば、振動伝達シート1405の外縁は、ハウジング1402の底部又はハウジング1402の側部に機械的に接続されてもよく、又は、一方の部分がハウジング1402の底部に機械的に接続されてもよく、他の部分がハウジング1402の側部に機械的に接続されてもよい。
【0138】
この実施形態では、通電後、コイル1404は、磁気システム1407によって生成された磁場内にアンペールの力及び振動を発生させ、コイル1404の振動を第1の伝達部品1403を通してパネル1401に伝達してもよい。磁気システム1407が受ける反力によって発生する振動は、第2の伝達部品1406及び振動プレート1405を通してハウジング1402の底部及び側面に伝達されてもよい。ハウジングは、磁気システム1407の振動をパネル1401に伝達してもよい。最後に、コイル1404の振動及び磁気システム1407の振動は、パネル1401を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は音を聞くことができる。振動伝達シートがハウジング1402に直接接続されるので、磁気システム及びハウジング1402はソフト接続されてもよいことが理解されてもよい。磁気システム1407によって発生する振動は、ハウジング1402の底面及びハウジング1402の一方の側に直接伝達されてもよい。コイル1404によって発生する振動及び磁気システム1407によって発生する振動は、パネル1401に伝達される複合振動を形成してもよい。複合振動がパネル1401を通して人体の皮膚及び骨に伝達されるとき、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0139】
実施形態8
図15は、本開示の実施形態8に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図15に示す骨伝導スピーカー1500は、二重振動伝達シート構造を含んでもよい。スピーカーの振動周波数応答曲線の低周波数域は、追加のピークを有してもよく、これにより、スピーカーの低周波数応答をより敏感にして、音質を改善する。具体的には、
図15に示すように、骨伝導スピーカー1500は、パネル1501、ハウジング1502、第1の伝達部品1503、コイル1504、第1の振動伝達シート1505、第2の振動伝達シート1506、第2の伝達部品1507、及び磁気システム1508を含んでもよい。パネル1501、第1の伝達部品1507、第1の振動伝達シート1505、第2の伝達部品1507、及び磁気システム1508の間の接続方法は、
図9に示すものと同じであってもよい。第2の振動伝達シート1506の縁部は、ハウジング1502の開口端面に機械的に接続されてもよい。第1の伝達部品1503は、第2の振動伝達シート1506の中央領域を通過し、第2の振動伝達シート1506に固定的に接続されてもよい。第2の振動伝達シート1506の中心軸面は、第1の伝達部品1503の固体円筒体にスナップ化されてもよい。
【0140】
この実施形態における骨伝導スピーカー1500の動作原理は、以下の説明のようになり得る。通電後、コイル1504は、磁気システム1508によって生成された磁場内にアンペールの力及び振動を発生させ、コイル1504の振動を第1の伝達部品1503を通してパネル1501に直接伝達してもよい。磁気システム1508が受ける反力によって発生する振動は、第2の伝達部品1507及び第1の振動伝達シート1505を通してパネル1501に伝達されてもよい。ハウジング1502の振動は、第2の振動プレートを通してパネル1501に伝達されてもよい。次に、コイル1504の振動及び磁気システム1508の振動は、パネル1501を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は音を聞くことができる。パネル1501とハウジング1502との間のソフト接続は、第2の振動伝達シート1506を介して実現されてもよいことが理解されてもよい。コイル1504によって発生する振動及び磁気システム1508によって発生する振動は、パネル1501及びハウジング1502に伝達される複合振動を形成してもよい。次に、複合振動はパネル1501を通して人体の皮膚及び骨に伝達されてもよく、これにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0141】
実施形態9
図16は、本開示の実施形態9に係る例示的な骨伝導スピーカーの軸方向断面構造を示す概略図である。
図16に示すように、さらに別の実施形態では、骨伝導スピーカー1600は、パネル1601、ハウジング1602、及び2つの駆動装置1605及び1606を含んでもよい。パネル1601及びハウジング1602は、密閉型又は準密閉型空洞を形成してもよく、2つの駆動装置1605及び1606は、空洞内に位置してもよい。この実施形態における駆動装置は、本開示の前述の実施形態における駆動装置であってもよい。駆動装置1605は、第1の伝達部品1603を介してパネル1601に機械的に接続されてもよい。駆動装置1606は、第2の伝達部品1604を介して空洞内に設けられた仕切板に機械的に接続されてもよい。駆動装置1605と駆動装置1606との間には、一定の角度が形成されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動装置1606は、直角に曲げられた第2の伝達部品1604を介してパネル又はハウジングに直接接続されてもよい。いくつかの実施形態では、駆動装置1605の軸は、パネルの法線に平行でなくてもよく、駆動装置1606の軸は、パネルの法線に垂直でなくてもよいことに留意されたい。パネルに対する2つの駆動装置の位置は、2つの駆動装置によって生成された駆動力の結果として生じる方向の直線と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線とが角度θ(0°<θ<90°)を形成してもよい位置であってもよい。さらに、駆動装置の数も3、4、又はそれ以上であってもよいことが理解されてもよい。空洞内の各駆動装置の位置を調整することにより、各駆動装置によって生成された駆動力の結果として生じる方向の直線と、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線とは、角度θ(0°<θ<90°)を形成してもよい。
【0142】
この実施形態では、駆動装置1605の駆動力は、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線に平行であってもよい。駆動装置1606の駆動力は、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線に垂直であってもよい。2つの駆動装置を同時に振動させ、2種類の振動をパネルに伝達した後、パネル1601を通して人体の皮膚及び骨に複合振動を伝達することにより、人々は骨伝導音を聞くことができる。
【0143】
本開示はまた、骨伝導イヤホンを提供する。使用中、イヤホンホルダー/イヤホンストラップは、骨伝導スピーカーをユーザの特定の部分(例えば、頭部)に固定し、振動ユニットとユーザとの間にクランプ力を提供してもよい。接触面を駆動装置に接続して、ユーザと接触し続けて、振動によって音をユーザに伝達してもよい。骨伝導スピーカーが対称な構造であり、両側の2つの駆動装置によって提供される駆動力が反対方向で同じであると仮定すると、イヤホンホルダー/イヤホンストラップの中心点は、同等の固定端部として選択されてもよい。骨伝導スピーカーがステレオサウンドを提供できる場合、つまり、2つの変換装置によって提供される瞬間的な駆動力の大きさが異なる場合、又は骨伝導スピーカーが非対称構造である場合、イヤホンラック/イヤホンストラップの内外の他の点又は領域は、同等の固定端として選択されてもよい。本明細書で使用される場合、固定端は、振動を発生させる過程において骨伝導スピーカーの位置が相対的に固定される同等の端と見なすことができる。固定端と振動ユニットは、イヤホンホルダー/イヤホンストラップを介して接続されてもよく、伝達関係は、イヤホンホルダー/イヤホンストラップと、イヤホンホルダー/イヤホンストラップによって提供されるクランプ力とに関連してもよく、クランプ力は、イヤホンホルダー/イヤホンストラップの物理的特性に依存し得る。好ましくは、イヤホンラック/イヤホンストラップによって提供されるクランプ力のような物理的特性、イヤホンラック/イヤホンストラップの品質などを変化させると、骨伝導スピーカーの音響伝達効率を変化させてもよく、これにより、特定の周波数範囲におけるシステムの周波数応答に影響を与える。例えば、より高い強度の材料で形成されたイヤホンホルダー/イヤホンストラップ及びより低い強度の材料で形成されたイヤホンホルダー/イヤホンストラップは、異なるクランプ力を提供してもよく、或いは、イヤホンホルダー/イヤホンストラップに弾性力を与える補助装置を追加するなど、イヤホンホルダー/イヤホンストラップの構造を変更することはクランプ力を変更してもよく、それにより音の伝達効率に影響を与える。着用されるとき、イヤホンホルダー/イヤホンストラップのサイズの変化は、クランプ力の大きさにも影響を与え得る。クランプ力は、イヤホンホルダー/イヤホンストラップの両端の振動ユニット間の距離とともに増加してもよい。
【0144】
特定のクランプ力条件を満たすイヤホンホルダー/イヤホンストラップを得るために、当業者は、異なる剛性及び異なる弾性率を有する材料を選択して、イヤホンラック/イヤホンストラップを製造するか、又はイヤホンラック/イヤホンストラップのサイズを調整してもよい。イヤホンホルダー/イヤホンストラップのクランプ力は、音の伝達効率に影響を与えるだけでなく、低周波数域でのユーザの音体験にも影響を与え得ることに留意されたい。ここに記載されているクランプ力は、接触面とユーザの間の圧力であってもよい。好ましくは、クランプ力は、0.1N~5Nの範囲にあってもよい。より好ましくは、クランプ力は、0.2N~4Nの範囲にあってもよい。より好ましくは、クランプ力は、0.2N~3Nの範囲にあってもよい。より好ましくは、クランプ力は、0.2N~1.5Nの範囲にあってもよく、より好ましくは、クランプ力は、0.3N~1.5Nの範囲にあってもよい。
【0145】
骨伝導スピーカーの前述の実施形態は、単なる例であってもよく、これらの実施形態に記載された部品及び構造は、本開示の制限として解釈されるべきではないことに留意されたい。これらの実施形態における部品、形状、構造、及び接続方法は、組み合わされてもよい。例えば、
図11における補強材は、
図9~
図16に示される実施形態のいずれかに適用されてもよい。
図9における骨伝導スピーカー900aの第1の伝達部品903はまた、骨伝導スピーカー1000の第1の伝達部品1003と同時にパネル及びハウジングに接続されてもよく、骨伝導スピーカー1200のようにハウジングの後部に接続されてもよい。
【0146】
図17は、本開示のいくつかの実施形態に係る骨伝導スピーカーを設置する方法を示すフローチャートである。方法1700は、本開示の特定の実施形態に係る骨伝導スピーカーの設置に含まれるステップであってもよい。
【0147】
1710では、パネルと駆動装置の伝達を接続してもよい。いくつかの実施形態では、振動伝達シートなどの伝達部品及び接続部品を使用して、駆動装置をパネルに接続してもよい。構造的接続に加えて、伝達部品はまた、振動を伝達する役割を果たしてもよい。具体的には、駆動装置は、コイル及び磁気システムを含んでもよい。コイル及び磁気システムの振動は、異なる経路を介してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよい。例えば、コイルの振動は、第1の伝達経路を通してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよく、磁気システムの振動は、第2の伝達経路を通してパネル及び/又はハウジングに伝達されてもよい。第1の伝達経路は、第1の伝達部品を含んでもよい。第2の伝達経路は、第2の伝達部品、振動伝達シート、及び第1の伝達部品を含んでもよい。第1の伝達部品は、接続ポスト又は接続ロッドであってもよい。第2の伝達部品は、接続ポスト又は接続ロッドであってもよい。
【0148】
いくつかの実施形態では、骨伝導スピーカーは、パネルの駆動部品と駆動装置とを接続することにより、駆動装置によって発生する振動をパネルに伝達し、それにより、人体に取り付けられたパネルを通してさらに振動を人体に伝達してもよい。パネルと駆動装置との間の伝達接続は駆動装置によって生成された振動信号を効果的に伝達することにより、人体は信号を受信してもよい。いくつかの実施形態では、パネル、伝達部品、及び駆動装置は、一般に剛性の材料であり、互いに堅固に接続されて送信されるオーディオ信号の品質を改善する。
【0149】
1720では、駆動装置とパネルの相対位置は、駆動装置によって生成された駆動力の位置している線がパネルの法線と平行ではないように設置されてもよい。具体的には、駆動装置とパネルの相対位置は、前述の様々な実施形態に従って設置されてもよい。採用される設置方法は、伝達部品の構造を変更することを含んでもよい。例えば、伝達部品を、一方の側が他方の側よりも低い構造に設置することにより、駆動力の位置している直線がパネルの法線と平行ではないことを確保する。採用された設置方法はまた、技術的目的を達成するためにパネル又はハウジングの構造を改善することを含んでもよい。例えば、パネルに対して傾斜したプラットフォームをハウジング内に設置し、駆動装置をプラットフォームに設置してもよい。別の例として、駆動装置をハウジング内に水平に設置し、パネルを傾斜させてハウジングを覆ってもよい。駆動力の位置している直線が、ユーザの身体に接触するか又は隣接するパネル上の領域の法線と平行ではないように、駆動装置をパネルに対して傾斜させることができる限り、本開示には任意の方法を適用してもよく、本開示はこれを制限しない。
【0150】
骨伝導スピーカーを設置する2つのステップにおいて必要なシーケンスはないことに留意されたい。2つのステップの順序は逆であってもよい。いくつかの実施形態では、2つのステップは、完全に別個のプロセスでなくてもよく、すなわち、2つのステップは、同時に実行されてもよい。例えば、駆動装置がパネルに接続される場合、両者の相対的な位置関係は調整される。
【0151】
以上のように基本概念を説明してきたが、この詳細な開示を読んだ当業者にとって、上記の詳細な開示は、単なる例として説明されているに過ぎず、限定的ではないことは明らかである。本明細書には明示的に述べられていないが、様々な変更、改良、及び修正は、当業者にとって、意図しているものであり、そして可能である。これらの変更、改良及び修正は、本開示によって示唆されるものとし、本開示の例示的な実施形態の趣旨及び範囲内にある。
【0152】
さらに、所定の用語が、本開示の実施形態を説明するために使用されている。例えば、「一実施形態」、「実施形態」及び/又は「いくつかの実施形態」という用語は、この実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「実施形態」又は「一実施形態」又は「代替実施形態」の2つ以上の言及は、必ずしも全てが同一の実施形態を指しているわけではないことを強調し、それを理解するものとする。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、本開示の1つ以上の実施形態において適切に組み合わせることができる。
【0153】
さらに、当業者には理解されるように、本開示の態様は、本明細書において、任意の新規で有用なプロセス、機械、製造、又は組成物、又はそれらの新規で有用な改良を含む、多くの特許性のある種類又は文脈のいずれかで例示及び説明することができる。したがって、本開示の態様は、完全にハードウェア、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによる実装により実施されてもよく、実装は、本明細書では、一般的に、「ユニット」、「モジュール」、又は「システム」と総称することができる。さらに、本開示の態様は、具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する1つ以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を用いてもよい。
【0154】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願における処理要素又はシーケンスの記載された順序、数字、文字、又は他の指定の使用は、本願のプロセス及び方法の順序を限定することを意図しない。上記開示は、現在、本開示の様々な有用な実施形態であると現在考えられる様々な実施例を通して論じているが、そのような詳細は説明を目的としてなされていることに過ぎず、添付の特許請求の範囲は、開示される実施形態に限定されず、むしろ、開示される実施形態の精神及び範囲内にある変形例及び等価な構成を包含するように意図されることが理解されるべきである。例えば、上述した様々な部品の実装は、ハードウェア装置において具現化されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューションとして、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイス上にインストールとして実装されてもよい。
【0155】
同様に、本開示の実施形態の前述の説明では、様々な本発明の実施形態の1つ以上の理解を助ける開示を合理化する目的で、様々な特徴が単一の実施形態、図、又はその説明にまとめられることが理解されるべきである。しかしながら、この開示方法は、特許請求される主題が各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とするとの意図を反映したものであるとは解釈されてはならない。むしろ、本発明の実施形態は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ないものである。
【0156】
いくつかの実施形態では、本出願の特定の実施形態を記載して主張するために用いられる量又は特性を表す数は、いくつかの実例では用語「約」、「おおよそ」又は「実質的」によって修正されると理解されるべきである。例えば、別途に規定されない限り、「約」、「おおよそ」又は「実質的」は、それらが記載する値の±1%、±5%、±10%、又は±20%変化量を表すことができる。したがって、いくつかの実施形態では、明細書又は添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、特定の実施形態によって取得されることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告された有意の数字の数にかんがみて、そして通常の丸め技術を適用することにより、解釈されるべきである。本出願のいくつかの実施形態の広い範囲に記載される数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告されている。
【0157】
最後に、本明細書に開示された本出願の実施形態は、本出願の実施形態の原理を例示するものであると理解されるべきである。採用される他の修正は、本出願の範囲内であってもよい。したがって、一例として、本出願の実施形態の代替的な構成は、本明細書の内容に応じて利用されてもよい。これにより、本願の実施形態は、図示及び説明されたものに厳密に限定されない。
【符号の説明】
【0158】
101 駆動装置
102 伝達部品
103 骨、パネル
104 ハウジング
300 骨伝導スピーカー
301 パネル
302 パネル、ハウジング
303 第1の伝達部品、伝達部品
304 コイル
305 振動伝達シート
306 第2の伝達部品
307 磁気システム
310 骨格
320 皮膚
510 共振ピーク
520 共振ピーク
530 第1の高周波谷
540 第1の高周波ピーク
550 第2の高周波ピーク
800 骨伝導スピーカー
801 パネル
802 ハウジング
803 第1の伝達部品
804 コイル
805 振動伝達シート
806 磁気システム
900 骨伝導スピーカー
901 パネル
902 ハウジング
903 第1の伝達部品
904 コイル
905 振動伝達シート
906 第2の伝達部品
907 磁気システム
910 シリコーン部品
911 振動伝達シート
912 コイル
913 接続部品
914 ナットアセンブリ
915 上部磁石
916 磁気伝導プレート
917 下部磁石
918 磁気伝導カバー
919 多機能キーPCB
920 多機能ボタンシリコーン
921 スピーカーシェル
922 イヤフック多機能ボタン
923 イヤフック
1000 骨伝導スピーカー
1001 パネル
1002 第1の側、ハウジング
1003 第1の伝達部品
1004 コイル
1100 骨伝導スピーカー
1101 駆動装置
1102 伝達部品
1103 パネル
1104 補強材
1105 ハウジング
1200 骨伝導スピーカー
1201 パネル
1202 ハウジング
1203 第1の伝達部品
1204 コイル
1207 磁気システム
1300 骨伝導スピーカー
1301 パネル
1302 ハウジング
1303 第1の伝達部品
1304 コイル
1305 振動伝達シート
1306 第2の伝達部品
1307 磁気システム
1400 骨伝導スピーカー
1401 パネル
1402 ハウジング
1403 第1の伝達部品
1404 コイル
1405 振動伝達シート、振動プレート
1406 第2の伝達部品
1407 磁気システム
1500 骨伝導スピーカー
1501 パネル
1502 ハウジング
1503 第1の伝達部品
1504 コイル
1505 第1の振動伝達シート
1506 第2の振動伝達シート
1507 第2の伝達部品、第1の伝達部品
1508 磁気システム
1600 骨伝導スピーカー
1601 パネル
1602 ハウジング
1603 第1の伝達部品
1604 第2の伝達部品
1605 駆動装置
1606 駆動装置
1700 方法
3071 第1の磁気部品
3072 第1の磁気伝導性部品
3073 第2の磁気伝導性部品
9101 シリコーン
9102 振動プレート
9111 ブラケット
9112 振動伝達シート
9141 ボルト
9142 ナット
13021 第1のハウジング
13022 第3の伝達部品
91111 本体、ブラケット本体
91112 ファサード
91113 補強材