(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】管路位置合わせ構造及びその位置合わせ管路
(51)【国際特許分類】
F16L 27/08 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
F16L27/08 Z
(21)【出願番号】P 2022117804
(22)【出願日】2022-07-25
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515358838
【氏名又は名称】ペガトロン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ユン-テン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン-シェン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ユー-シェン チェン
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03508580(US,A)
【文献】中国実用新案第212745437(CN,U)
【文献】米国特許第06561551(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0043803(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0359248(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部筐体に設けられて連通管を接続するための位置合わせ管路であって、該連通管は連通管軸心線を有し、該位置合わせ管路は、
管本体軸心線を有し、該連通管が接続可能な第1端及び該第1端に対する第2端を含む管本体と、
該管本体を囲んで該第2端に設けられ、該外部筐体に対し移動可能に接続されるコネクタ
であって、該コネクタは該外部筐体を向く第1接続面を含む、コネクタと、
固定ベースと、
該コネクタに転動可能に分散して設けられる複数のボールであって、該コネクタが該外部筐体に対し該管本体軸心線の径方向に移動できるように、ボールの少なくとも一部が該外部筐体に接触することで、該連通管が該第1端に挿入されると、該コネクタが該外部筐体に対し位置合わせ移動でき、該管本体軸心線と該連通管軸心線が位置合わせされる複数のボールと、を含み、
該コネクタは該固定ベースを向く第2接続面を含み、該一部のボールが該第2接続面に設けられて該固定ベースに
接触し、
該固定ベースは、該外部筐体と結合されて、該複数のボール及び該コネクタを収容するための収容空間を形成する、
位置合わせ管路。
【請求項2】
該一部のボールが該第1接続面に設けられて該外部筐体に接触する、請求項1に記載の位置合わせ管路。
【請求項3】
該第1接続面に設けられる該複数のボールの数は少なくとも6個である、請求項2に記載の位置合わせ管路。
【請求項4】
該コネクタは該固定ベースとの間に間隙を有する外縁を含む、請求項1に記載の位置合わせ管路。
【請求項5】
該第2接続面に設けられる該複数のボールの数は少なくとも6個である、請求項1に記載の位置合わせ管路。
【請求項6】
該管本体は該第1端に設けられる突起構造をさらに含み、該連通管は、該連通管が該第1端に挿入されると、該突起構造の移動を規制して位置規制を達成する位置規制構造をさらに含む、請求項1に記載の位置合わせ管路。
【請求項7】
該位置合わせ管路は該第2端に設けられるねじ部をさらに含み、該コネクタが該ねじ部と該突起構造との間に位置する、請求項6に記載の位置合わせ管路。
【請求項8】
外部筐体に接続される管路位置合わせ構造であって、
連通管軸心線を有する連通管と、
請求項1から7のいずれか1項に記載の位置合わせ管路と、を含み、該位置合わせ管路の該第1端が該連通管に接続され、該位置合わせ管路の該第2端が該外部筐体に接続される、管路位置合わせ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路位置合わせ構造及びその位置合わせ管路に関し、特に、継手接続箇所を容易に位置合わせし、漏水リスクを低減することができる管路位置合わせ構造及びその位置合わせ管路に関する。
【背景技術】
【0002】
市販のコンピュータ装置には、コンピュータ内部を放熱するための水冷放熱システムが搭載されていることが多い。一般的なコンピュータ装置内の水冷液体管路は、複数の管路を相互接続して適切な流通管路として組み立ててなる。管路の接続箇所では一端が雄継手であり、他端が雌継手であるように設計されることが多く、雄継手と雌継手は面接触し、且つ雄継手と雌継手の管路軸心線が位置合わせされるように接触面に沿って摺動できる。防水機能を強化するために、雄継手と雌継手の接触面の外部をさらにOリング(O-ring)で覆うことがある。
【0003】
しかし、雄継手と雌継手が面接触し、その接触面の移動抵抗が大きいため、組立時、雄継手と雌継手との接触位置を精密に調整することが困難であり、雄継手と雌継手の管路軸心線の位置合わせが困難である。また、雄継手と雌継手が接触面に沿って摺動する際に、雄継手と雌継手の接触面に空隙が発生し得るため、液体が空隙から流出することが依然として懸念され、Oリングによる漏れ防止効果は非常に限られている。
【0004】
従って、上記問題を解決できる防水及び位置合わせ機能を有する管路を如何にして提供するかは、検討に値する課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、継手接続箇所を容易に位置合わせし、漏水リスクを低減することができる位置合わせ管路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の位置合わせ管路は外部筐体に設けられて連通管を接続するために用いられ、連通管は連通管軸心線を有する。位置合わせ管路は管本体、コネクタ及び複数のボールを含む。管本体は、管本体軸心線を有し、連通管が接続可能な第1端及び該第1端に対する第2端を含む。コネクタは管本体を囲んで第2端に設けられ、外部筐体に対し移動可能に接続される。複数のボールはコネクタに転動可能に分散して設けられ、且つコネクタが外部筐体に対し管本体軸心線の径方向に移動できるように、ボールの少なくとも一部が外部筐体に接触し、これにより連通管が第1端に挿入されると、コネクタが外部筐体に対し位置合わせ移動でき、管本体軸心線と連通管軸心線が位置合わせされる。
【0007】
本発明の一実施例によれば、コネクタは外部筐体を向く第1接続面を含み、一部のボールが第1接続面に設けられて外部筐体に接触する。
【0008】
本発明の一実施例によれば、第1接続面に設けられる複数のボールの数は少なくとも6個である。
【0009】
本発明の一実施例によれば、位置合わせ管路は、外部筐体と結合して複数のボール及びコネクタを収容するための収容空間が形成される固定ベースをさらに含む。
【0010】
本発明の一実施例によれば、コネクタは、固定ベースとの間に間隙を有する外縁を含む。
【0011】
本発明の一実施例によれば、コネクタは固定ベースを向く第2接続面を含み、一部のボールが第2接続面に設けられて固定ベースに接触する。
【0012】
本発明の一実施例によれば、第2接続面に設けられる複数のボールの数は少なくとも6個である。
【0013】
本発明の一実施例によれば、管本体は、第1端に設けられる突起構造をさらに含み、連通管は、連通管が第1端に挿入されると、突起構造の移動を規制して位置規制を達成する位置規制構造をさらに含む。
【0014】
本発明の一実施例によれば、位置合わせ管路は第2端に設けられるねじ部をさらに含み、コネクタがねじ部と突起構造との間に位置する。
【0015】
本発明の別の主な目的は、継手接続箇所を容易に位置合わせし、漏水リスクを低減することができる管路位置合わせ構造を提供することである。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の管路位置合わせ構造は連通管と上記の位置合わせ管路を含む。連通管は連通管軸心線を有する。位置合わせ管路の第1端が連通管に接続され、位置合わせ管路の第2端が外部筐体に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施例の位置合わせ管路と連通管が結合されていない管路位置合わせ構造の模式図である。
【
図2】本発明の一実施例の固定ベースが装着されていない位置合わせ管路の模式図である。
【
図3】本発明の一実施例の位置合わせ管路の模式図である。
【
図4】本発明の一実施例の位置合わせ管路の断面図である。
【
図5】本発明の一実施例の位置合わせ管路と連通管が結合した管路位置合わせ構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の技術内容についてさらに理解を深められるように、特に具体的な実施例を挙げて説明する。
【0019】
以下、本発明の一実施例の管路位置合わせ構造及び位置合わせ管路について、
図1~
図5を併せて参照されたい。
図1は本発明の一実施例の位置合わせ管路と連通管が結合されていない管路位置合わせ構造の模式図である。
図2は本発明の一実施例の固定ベースが装着されていない位置合わせ管路の模式図である。
図3は本発明の一実施例の位置合わせ管路の模式図である。
図4は本発明の一実施例の位置合わせ管路の断面図である。
図5は本発明の一実施例の位置合わせ管路と連通管が結合した管路位置合わせ構造の模式図である。
【0020】
図1~
図3に示すように、本発明の一実施例において、管路位置合わせ構造900は、例えば、コンピュータ内部に実装されている水冷放熱システムの液体管路であり、管路位置合わせ構造900は管路の継手接続箇所を容易に位置合わせし、漏水リスクを低減することができる。コンピュータは外部筐体800を含む。管路位置合わせ構造900はコンピュータの外部筐体800内に設けられる。管路位置合わせ構造900は連通管910と位置合わせ管路1を含む。連通管910は内部に液体を流すためのものであり、連通管軸心線911と位置規制構造912を含む。連通管軸心線911は連通管910の中心に沿って延在する軸心線である。位置規制構造912は、位置合わせ管路1を止めるための連通管910内側の突起領域である。
【0021】
本発明の一実施例において、位置合わせ管路1は管本体10、コネクタ20、複数のボール30、固定ベース40及びねじ部60を含む。管本体10は連通管910と連通して液体を内部に流すためのものであり、管本体10は管本体軸心線11、第1端12、第1端12に対する第2端13及び突起構造14を含む。管本体軸心線11は管本体10の中心に沿って延在する軸心線であり、連通管軸心線911と管本体軸心線11が平行である。連通管軸心線911と管本体軸心線11が互いに位置合わせされると、位置合わせ管路1と連通管910は完全に位置合わせされる。第1端12と第2端13は管本体10の対向する両端であり、第1端12は連通管910が接続可能である。突起構造14は第1端12に設けられる管本体10外側の突起領域であり、突起構造14の形状は位置規制構造912に対応する。管本体10が連通管910に挿入されると、位置規制構造912の突起領域が突起構造14の突起領域の移動を止めて規制し、位置規制の機能を奏する。
【0022】
図1と
図3~
図5に示すように、コネクタ20は第2端13に設けられ、外部筐体800に対し移動可能に接続される。本実施例において、コネクタ20は管本体10を囲む円形の環状構造である。コネクタ20は、外部筐体800を向く第1接続面21と、外縁22と、固定ベース40を向く第2接続面23とを含み、外縁22の対向する両側にそれぞれ第1接続面21及び第2接続面23が接続される。
【0023】
複数のボール30はコネクタ20の第1接続面21及び第2接続面23に転動可能に分散して設けられ、第1接続面21に設けられるボール30は外部筐体800に接触し、第2接続面23に設けられるボール30は固定ベース40に接触する。ボール30の設計によって、コネクタ20は外部筐体800及び固定ベース40に対し管本体軸心線911の径方向に移動可能となり、これにより位置合わせ管路1は連通管910に対し上下に移動可能となる。本実施例において、第1接続面21と第2接続面23のそれぞれに、外部筐体800又は固定ベース40に接触するための8個のボール30が露出するが、ボール30の数はこれに限定されない。発明者が行った実際の実験によれば、第1接続面21と第2接続面23のそれぞれに少なくとも6個のボール30が露出すれば、コネクタ20が外部筐体800及び固定ベース40に対し垂直方向に穏やかに移動する効果を達成し得る。
【0024】
本実施例において、固定ベース40は、外部筐体800と結合して収容空間41が形成される環状筐体であり、コネクタ20及び複数のボール30が収容空間41内に転動可能に設けられる。固定ベース40とコネクタ20の外縁22との間に間隙50を有し、これによって外部筐体800及び固定ベース40に対するコネクタ20の移動のための十分な移動空間が提供され、位置合わせ管路1は連通管910に対し上下に移動可能となる。本発明の一具体的な実施例によれば、ねじ部60は第2端13に設けられ、コネクタ20がねじ部60と突起構造14との間に位置する。ねじ部60は位置合わせ管路1と他の管路又は筐体とを互いに結合させるために用いられる。
【0025】
図1と
図5に示すように、位置合わせ管路1と連通管910を組み立てる際に、作業者は連通管910を管本体10に挿入し、位置規制構造912が突起構造14を止めて規制するまで管本体10を移動してもよく、こうして横方向の位置規制を達成し得る。次に、作業者は複数のボール30が外部筐体800及び固定ベース40の壁面上で転動し、コネクタ20が外部筐体800に対し位置合わせ移動できるように、管本体10に縦方向に力を加えてもよい。複数のボール30が外部筐体800及び固定ベース40上で転動することによって、接触面の摩擦力を低下させることができ、また間隙50により提供される移動空間によって、位置合わせ管路1は連通管軸心線911と管本体軸心線11が位置合わせされるように容易に上下に移動可能となり、これにより連通管910と位置合わせ管路1が互いに位置合わせされる効果が達成される。また、連通管軸心線911と管本体軸心線11は連通管910と位置合わせ管路1の接触面に沿って移動するものではないため、管路内の液体が接触面に沿って流出することがなく、よって優れた防漏効果を達成し得る。
【0026】
本発明の管路位置合わせ構造及び位置合わせ管路の設計によれば、複数のボールの転動及びコネクタ20と固定ベース40との間の間隙により提供される移動空間の特徴によって、接触面の摩擦力を低下させ、連通管と位置合わせ管路の継手接続箇所を容易に位置合わせすることができる。管路内の液体が接触面に沿って流出することがないため、優れた防漏効果を達成し得る。また、管路外に追加のOリングを設置する必要がないため、材料と組立コストが節減され、従来技術に存在する問題が解決される。
【0027】
上記は単なる実施例に過ぎず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことに注意されたい。例えば本発明の基本構成を逸脱しないものであれば、全て本特許の主張する権利範囲内であるものとし、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0028】
位置合わせ管路1
管本体10
管本体軸心線11
第1端12
第2端13
突起構造14
コネクタ20
第1接続面21
外縁22
第2接続面23
ボール30
固定ベース40
収容空間41
間隙50
ねじ部60
外部筐体800
管路位置合わせ構造900
連通管910
連通管軸心線911
位置規制構造912