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特許7525561監視システムにおける更新された分析手順の検証
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】監視システムにおける更新された分析手順の検証
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/34 20060101AFI20240723BHJP
   G06Q 10/06 20230101ALN20240723BHJP
【FI】
G06F11/34 166
G06Q10/06
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022140578
(22)【出願日】2022-09-05
(65)【公開番号】P2023055636
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】21196087
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ケスキカンガス, アクセル
(72)【発明者】
【氏名】エフスタティウ, ヨルギオス
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0159685(US,A1)
【文献】米国特許第10896116(US,B1)
【文献】特開2021-136665(JP,A)
【文献】特開2002-027685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/34
G06Q 10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の監視デバイス(12、14、16)を備える監視システム(10)において分析手順の更新されたバージョンを評価するための方法(100)であって、前記複数の監視デバイスのうちの少なくともいくつかの監視デバイスが、類似の環境を監視するように構成され、前記方法は、
前記監視システムにおいて利用可能な処理リソースを識別すること(S110)と、
前記複数の監視デバイスの中から、利用可能な処理リソースが識別された第1の監視デバイスを選択すること(S120)と、
前記複数の監視デバイスの中から、前記第1の監視デバイスと類似の環境を監視する第2の監視デバイスを選択すること(S130)と、
前記第2の監視デバイスによって監視データを収集すること(S140)と、
前記監視データに対して前記分析手順の現行バージョンを実行すること(S150)であって、それによって第1の結果を生成する、前記分析手順の現行バージョンを実行すること(S150)と、
前記監視データを前記第1の監視デバイスに送ること(S155)と、
前記第1の監視デバイスにおいて、前記監視データに対して前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行すること(S160)ことであって、それによって第2の結果を生成する、前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行すること(S160)と、
前記第1の結果に基づいて、前記分析手順の前記現行バージョンを実行するときの前記第2の監視デバイスの性能を示す第1の性能値を計算すること(S170)と、
前記第2の結果に基づいて、前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行するときの前記第1の監視デバイスの性能を示す第2の性能値を計算すること(S180)と、
前記第1の性能値と前記第2の性能値との間の比較に基づいて前記分析手順の前記更新されたバージョンを評価すること(S190)と
を特徴とする、分析手順の更新されたバージョンを評価するための方法(100)。
【請求項2】
前記第1の性能値および前記第2の性能値が、それぞれ、前記分析手順の前記現行バージョンおよび前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行するための、時間、利用される電力リソースまたは利用される処理リソースを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の性能値および前記第2の性能値が、それぞれ、前記分析手順の前記現行バージョンおよび前記分析手順の前記更新されたバージョンの正確さまたは信頼性を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の監視デバイスが、前記監視データに対して前記分析手順の前記現行バージョンを実行し、前記第1の結果を前記第1の監視デバイスに送り(S157)、前記第1の監視デバイスが前記第1の性能値を計算する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の監視デバイスが、前記第2の結果を前記第2の監視デバイスに送り(S165)、前記第2の監視デバイスが前記第1の性能値と前記第2の性能値とを計算する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記評価が改善を示すという条件で、前記分析手順の前記更新されたバージョンを前記第2の監視デバイスに送信すること(S195)をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記評価が改善を示すという条件で、前記分析手順の前記更新されたバージョンを前記複数の監視デバイスのうちの第3の監視デバイスに送信すること(S195)をさらに含み、前記第2の監視デバイスおよび前記第3の監視デバイスが、類似の環境を監視するように構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の監視デバイスを選択することが、前記複数の監視デバイスの中から、前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行し、評価するために十分な利用可能な処理リソースを有する監視デバイスを識別することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の監視デバイスが、前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行するための第1のハードウェアを備え、前記第2の監視デバイスが、前記分析手順の前記現行バージョンを実行するための第2のハードウェアを備え、前記第1のハードウェアおよび前記第2のハードウェアの各々がハードウェアアクセラレータCPUまたはGPUを備え、前記第1のハードウェアと前記第2のハードウェアとが類似のタイプのものである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記分析手順の前記更新されたバージョンが、ディープラーニングフレームワークにおいて動作するディープラーニングモデルを使用して実行され、前記ディープラーニングモデルと前記ディープラーニングフレームワークとのうちの少なくとも一方が更新される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記分析手順の前記現行バージョンおよび前記分析手順の前記更新されたバージョンが物体認識を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
複数の監視デバイス(12、14、16)を備える監視システム(10)において分析手順の更新されたバージョンを評価するための評価システム(200)であって、前記複数の監視デバイスのうちの少なくともいくつかの監視デバイスが、類似の環境を監視するように構成され、前記評価システムは、
前記監視システムにおいて利用可能な処理リソースを識別するように構成された識別機能(220)と、
前記複数の監視デバイスの中から、利用可能な処理リソースが識別された第1の監視デバイスを選択し、さらに、前記複数の監視デバイスの中から、前記第1の監視デバイスと類似の環境を監視する第2の監視デバイスを選択するように構成された選択機能(230)と、
前記第2の監視デバイスを使用して監視データを収集するように構成された監視データ収集機能(240)と、
前記監視データを前記第1の監視デバイスに送るように構成された監視データ送信機能(250)と、
前記監視データに対して前記分析手順の現行バージョンを実行し、それによって第1の結果を生成し、さらに、前記第1の監視デバイスを使用して、前記監視データに対して前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行し、それによって第2の結果を生成するように構成された分析手順実行機能(260)と、
前記第1の結果に基づいて、前記分析手順の前記現行バージョンを実行するときの前記第2の監視デバイスの性能を示す第1の性能値を計算し、さらに、前記第2の結果に基づいて、前記分析手順の前記更新されたバージョンを実行するときの前記第1の監視デバイスの性能を示す第2の性能値を計算するように構成された計算機能(270)と、
前記第1の性能値と前記第2の性能値との間の比較に基づいて前記分析手順の前記更新されたバージョンを評価するように構成された評価機能(280)と
を実行するように構成された回路(210)を特徴とする、評価システム(200)。
【請求項13】
前記監視システムがカメラシステムを備え、前記第1の監視デバイスが第1のカメラを備え、前記第2の監視デバイスが第2のカメラを備える、請求項12に記載の評価システム。
【請求項14】
前記監視システムが、
前記第1の監視デバイスが第1のレーダーデバイスを備え、前記第2の監視デバイスが第2のレーダーデバイスを備える、レーダーシステムと、
前記第1の監視デバイスが第1のオーディオデバイスを備え、前記第2の監視デバイスが第2のオーディオデバイスを備える、オーディオシステムと
のうちの少なくとも一方を備える、請求項12または13に記載の評価システム。
【請求項15】
処理能力を有するデバイスによって実行されたときに請求項1に記載の方法を実行するように適応されたコンピュータコード命令をそれの上に記憶した非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の監視デバイスを備える監視システムにおける更新された分析手順の評価に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、カメラ、レーダーデバイスおよびオーディオデバイスなどの複数の監督/監視デバイスを備える監視システムは、一般的に、特定の周囲またはシーン中の物体とイベントとについての知識を獲得するために使用される。そのようなマルチデバイスシステムの監視デバイスは、たとえば不正アクセスおよび犯罪行為の検出、および監視される周囲またはシーン内で動きを追跡することを可能にするために地理的に分散され得る。
【0003】
監視デバイスによって収集された監視データは、しばしば、監視される環境またはシーン中の物体と音と動きと変化とを検出し、認識するために採用される、コンピュータ支援分析手順にかけられる。好ましくは、分析手順は、特にこの目的のために開発されたソフトウェアによって定義される。そのようなソフトウェアの開発者は、しかしながら、ソフトウェア障害を決定し、補正するために、新しいリリースをテストし、検証する問題に直面することが知られている。ソフトウェア障害は、プログラマーによる誤りまたは間違いの結果として生じ、ソフトウェアコード中のバグにつながり得る。この障害が実行された場合、いくつかの状況では、システムは、間違った結果を生成するか、または作動を停止することさえあり、システムの故障またはダウンタイムを引き起こす。
【0004】
したがって、新しい開発をテストすることが一般的に行われている。理想的には、新しい開発は入力と事前条件とのできる限り多くの組合せの下でテストされる。しかしながら、ソフトウェアテストに伴う基本的な課題は、入力と状態とハードウェアタイプとのすべての組合せの下でのテストが一般に実現可能でないことであり、それにより、開発者は、利用可能な時間とリソースとのために実現可能であるテストを選択するために何らかのストラテジーを使用する。
【0005】
1つのストラテジーは、ソフトウェアの新しいバージョンを、インストールされた監視システムの小さいセットなど、選択されたユーザのサブセットによってテストさせることである。性能が十分である場合、新しいバージョンは残りのユーザまたはシステムに展開されることができる。このストラテジーは、テスト中のソフトウェアの品質についての何らかの情報を与え得るが、故障とシステムダウンタイムとを回避するためにテストが十分であること、および監督/監視システムの選択されたセットがすべての可能な環境およびハードウェアタイプについて代表的なものであることを保証することは依然として困難である。従来技術の例は、データ処理パイプラインの挙動を決定論的に再生するための協調構成要素インターフェースコントロールフレームワークに関する、米国特許出願公開第2020/0159685(A1)号と、自律車両を制御するために使用されるソフトウェアにおけるパフォーマンスリグレッションの検出に関する、米国特許第10,896,116(B1)号とに開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2020/0159685(A1)号
【文献】米国特許第10,896,116(B1)号
【非特許文献】
【0007】
【文献】D.Zhengら、「Deep Learning for Scene Classification:A Survey」、Computer Vision and Pattern Recognition、2021年
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、知られている方法における問題のうちの少なくともいくつかを克服または軽減する、複数の監視デバイスを備える監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための方法を提供することである。
【0009】
本発明は独立クレーム1、12および15によって定義される。したがって、第1の態様によれば、監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための方法が提供され、本システムは複数の監視デバイスを備え、監視デバイスのうちの少なくともいくつかは、類似の環境を監視するように構成される。本方法は、
監視システムにおいて利用可能な処理リソースを識別することと、
複数の監視デバイスの中から、利用可能な処理リソースがそれについて識別された第1の監視デバイスを選択することと、
複数の監視デバイスの中から第2の監視デバイスを選択することと、
第2の監視デバイスによって監視データを収集することと、
監視データに対して現在の分析手順を実行し、それによって第1の結果を生成することと、
監視データを第1の監視デバイスに送ることと、
第1の監視デバイスにおいて監視データに対して更新された分析手順を実行し、それによって第2の結果を生成することと、
第1の結果に基づいて、現在の分析手順を実行するときの第2の監視デバイスの性能を示す第1の性能値を計算することと、
第2の結果に基づいて、更新された分析手順を実行するときの第1の監視デバイスの性能を示す第2の性能値を計算することと、
第1の性能値と第2の性能値との間の比較に基づいて、更新された分析手順を評価することとを含む。
【0010】
いくつかの利点が本態様に関連する。第1に、更新された分析手順を実行するために利用可能な処理リソースに基づいて監視デバイスを選択することによって、過剰なリソースを評価のために効率的に使用することができる。これにより、システムの全体的性能への影響を低減して評価を実行することが可能になる。第2に、第2の監視デバイスによって収集された監視データに対して更新された分析手順を実行するために第1の監視デバイスを使用することにより、第2の監視デバイスの動作を妨害したり第2の監視デバイスの動作に影響を及ぼしたりすることなしに、更新された分析手順を評価することが可能になる。したがって、第2の監視デバイスに負担をかけることなしに、第2の監視デバイスよりも多い利用可能なリソースを有し得る第1の監視デバイスを、更新された分析手順を評価するために利用することができる。第3に、第2の監視デバイスと類似の環境を監視するように構成されたいくつかのまたはすべての監視デバイスについての評価を有効であると見なすことができる。言い換えれば、本態様によれば、第2の監視デバイス、および/または第2の監視デバイスと同じ環境または類似の環境を監視する他の監視デバイスに更新が展開される前に、第2の監視デバイスによって収集された監視データを使用して、第1の監視デバイスにおいて更新をテストすることが可能になる。
【0011】
更新された分析手順の評価とは、一般に、故障を見つけ、更新された分析手順が使用に適していることを検証する意図をもって分析手順を実行することを意味する。より詳細には、これは、更新されたバージョンに誤りが追加されていないこと、さらに、分析手順の性能が損なわれていないことを検証することを伴い得る。以下でより詳細に説明するように、分析手順の性能は、いくつかの例では、手順自体の性能、すなわち、正確さと信頼性との観点からの手順の成果の品質に、いくつかの例では、利用された処理リソースまたは時間に関し得る。
【0012】
監視システムは、監督または観測中の、地理的ロケーションまたはエリアなど、環境を保つために使用され得る。監督および監視という用語は本開示では互換的に使用され得る。
【0013】
環境(またはシーン)とは、それが監視デバイスによって監視される、または「見られる」際の任意の物理的な場所、領域、または空間であると理解され得る。同じ(または少なくとも部分的に同じ)物理的な場所を監視する2つの監視デバイスは、したがって、それらが同じ物理的ロケーション、すなわち、同じ地理的エリアまたは空間から(少なくとも部分的に)生じるので、(たとえば異なる視角および視距離により)わずかに異なるが、依然として類似すると見なされ得る環境を表す監視データを収集し得る。特に、環境は、監視システムの監視カメラによって撮像されるシーンであるか、または、それぞれレーダーシステムまたはオーディオシステムのレーダーデバイスまたはオーディオデバイスによって監視される領域であり得る。複数の監視デバイスは、いくつかの実装形態では、地理的に分散され、異なる位置または角度から、同じ物理的ロケーションまたは物体、またはそれの少なくとも部分的に重複する部分を監視するように構成され得る。環境は、したがって、それぞれの監視デバイスによって観測される際に類似すると見なされ得る。代替的に、複数の監視デバイスは、異なる物理的ロケーション、物体またはオーディオ環境を監視していることがある。この場合、「類似の環境」は、類似性要件を満たす、監視デバイスによって監視される際の、ロケーションまたは物体として理解され得る。屋内環境または屋外環境など、特定のタイプの監視される環境は、たとえば、類似であると見なされ得る。オフィス環境、エレベータ、階段、駐車場、ドライブウェイなど、特定のタイプの監視される屋内環境または屋外環境も類似であると見なされ得る。類似性は、たとえば、監視される領域、またはそのような領域の画像を複数の事前定義されたシーンカテゴリーのうちの1つに分類することを目的とした、シーン分類方法を使用して決定され得る。そのような方法の例は、たとえば、D.Zhengら、「Deep Learning for Scene Classification:A Survey」、Computer Vision and Pattern Recognition、2021年に記載されている。したがって、一例では、「エレベータ」として分類される環境、ならびに、それぞれ「非常口」および「図書館」として分類される環境は類似であると見なされ得る。シーン分類は、さらに、たとえば照明に関する光学特性、ならびに、環境がそこから監視される視野角および仰角に関連し得る。したがって、「バックライト」という特性が追加された「エレベータ」という分類は、バックライト付きエレベータを含む環境を類似であるとして定義し得る。
【0014】
同様の推理が監視される物体に適用され得るので、たとえば、ドア、車、およびショーケースなど、特定のカテゴリーまたはタイプの物体を備える監視される環境は、類似性要件を満たすと見なされ得る。監視システムがオーディオシステムである場合、「類似の環境」という用語は、いくつかの例では、監視されるオーディオ環境、もしくは(サウンドスケープと呼ばれることがある)音響環境、またはいくつかの共通の特徴を共有する音響リソースのセットとして理解され得る。たとえば、2つのオーディオ環境が類似の音響効果を有する場合、または音が類似のソースから生じる場合、それらの2つのオーディオ環境は類似であると見なされ得る。
【0015】
代替または上記への追加として、環境またはシーンはオペレータまたは設置者によって類似であると定義され得ることが諒解されよう。
【0016】
監視システムがカメラシステムまたはレーダーシステムを備える場合、監視される環境は、いくつかの例では、シーンと呼ばれ得る。シーンは、それのサイズおよび形状がカメラまたはレーダーデバイスの視野(FOV)によって定義される何らかの物理的エリアまたは空間として理解され得る。
【0017】
監視データは、監視される環境に関連するいくつかの特性または性質を記述するデータのセットとして理解され得る。監視データは、たとえば、(たとえば、監視システムがカメラシステムを備える場合は)カメラ、(たとえば、監視システムがレーダーシステムを備える場合は)レーダーデバイス、または(たとえば、監視システムがオーディオシステムを備える場合は)オーディオデバイスによって収集され得、したがって、それぞれ光学情報、電波情報、または音響情報を含み得る。監視データは、いくつかの例では、特定の時点で収集され得る(カメラシステムの場合は単一の画像など)か、またはある時間期間中に連続的に収集され得る(ビデオシーケンスまたはオーディオストリームなど)。
【0018】
利用可能な処理リソースは、実際のプロセッサ利用またはプロセッサ負荷を監視することによって識別され得る。代替的に、またはさらに、利用可能な処理リソースは、たとえば履歴データまたは知られている利用パターンに基づいて推定され得る。さらに、利用可能な処理リソースは現在のまたは将来のプロセッサ利用に関し得る。後者の場合、更新された分析手順は、処理リソースが利用可能であると決定または推定された後の時点で実行されるようにスケジュールされ得る。いくつかの例では、利用可能な処理リソースは、監視される環境に関心がないまたはほとんどないか、または物理的ロケーションがモニタにとってあまり重要でない時間における期間として定義され得る。これは、たとえば、イベントがあまりない時間期間として理解され得る。
【0019】
分析手順は、処理ユニット、たとえばプロセッサが、監視データについての情報を決定するために実行することができる方法を定義する、実行可能な論理ルーチン(たとえば、命令行、ソフトウェアプログラムなど)として理解され得る。情報は、たとえば、監視される環境中で認識される物体または音、または監視される環境中で生じる動き、イベントまたは行為に関し得る。分析手順は、したがって、たとえばカメラシステムまたはレーダーシステムによって収集された監視データに基づく、たとえば物体検出、物体追跡、物体識別、物体再識別、物体マスキング、行為認識、および動き検出を伴い得る。分析手順は、さらに、たとえばオーディオシステムによって収集された監視データに基づく、音声検出と、発砲検出と、音響三角測量と、侵入検出と、音声検出とを伴い得る。分析手順の成果は結果と呼ばれ得る。現在の分析手順および更新された分析手順の結果は、監視データに対して更新された分析手順を評価し、検証するために分析され得る。
【0020】
すでに述べたように、第1の性能値および第2の性能値は、それぞれ現在の分析手順および更新された分析手順を実行するのにかかる時間を示し得る。さらなる例では、性能値は、電力消費、すなわち、それぞれ現在の手順および更新された手順を実行するときにそれぞれの監視デバイス、処理手段または全体システムによって利用される電力を(たとえば、ワットで)示し得る。性能値は、さらに、分析手順を実行するために利用された処理リソースに関し得る。
【0021】
これらのデータ、すなわち、時間消費、利用された電力リソースまたは利用された処理リソースは、更新された分析手順を評価するときに入力として使用され得る。これらの測度のいずれかにおける増加は、更新された分析手順が現在の分析手順に対して損なわれたことを示し得る。
【0022】
代替的に、またはさらに、第1の性能値および第2の性能値は、それぞれ現在の分析手順および更新された分析手順の正確さまたは信頼性を示し得る。性能値は、たとえば、監視される環境中の物体、行為または音を正しく認識する能力に関し得、更新された分析手順の評価は、現在の分析手順を更新された分析手順と交換することによって性能が損なわれないことを保証する目的を果たし得る。
【0023】
概して、アイデアは、監視データに対して(場合によってはリソースを消費する)更新された分析手順を実行するために、利用可能な処理リソースがそれについて識別された第1の監視デバイスを利用することである。しかしながら、現在の分析手順、第1の性能値および第2の性能値の計算、およびそれら2つの比較など、残りの計算および動作は、とりわけ、監視システムのアーキテクチャと、一般に利用可能な処理リソースとに応じて、たとえば第2の監視デバイスによって、または(中央処理手段、中央プロセッサまたは中央回路とも呼ばれる)遠隔に所在する処理手段によって、他の場所で実行され得ることが諒解されよう。したがって、現在の分析手順は、第2の監視デバイス、または現在の分析手順がインストールされた中央処理手段のいずれかによって実行され得る。さらに、それぞれ現在の分析手順および更新された分析手順からの結果に基づく第1の性能値および第2の性能値の計算は第1の監視デバイス、第2の監視デバイスまたは中央処理手段によって実行され得る。
【0024】
したがって、一実施形態では、第2の監視デバイスは、監視データに対して現在の分析手順を実行し、第1の性能値を計算する第1の監視デバイスに第1の結果を送り得る。第1の監視デバイスは、さらに、第2の結果に基づいて第2の性能値を計算し得る。
【0025】
別の実施形態では、第1の監視デバイスは、第1の性能値と第2の性能値とを計算し得る第2の監視デバイスに第2の結果を送り得る。
【0026】
上記のように、第1の性能値と第2の性能値との間の比較を含む、更新された分析手順の評価は、第1の監視デバイスと第2の監視デバイスとのうちの1つによって、または第1の性能値および第2の性能値が、それぞれの性能値の計算を実行する監視デバイスからそれに送られ得る中央処理手段によって実行され得る。
【0027】
評価が改善を示すか、または少なくとも、更新された分析手順がそれの意図された目的を果たすように、更新された分析手順が仕様と要件とを満たすことを、評価が示す場合、更新された分析手順は、第2の監視デバイスに、および/または、第2の監視デバイスによって監視される環境と同じ環境または類似の環境を監視するように構成された、第3の監視デバイスなど、他の監視デバイスに送られ得る。言い換えれば、更新された分析手順は、第1の監視デバイスにおいて検証され、確認された後に、監視システム中の残りの監視デバイスのうちの1つまたはいくつかに展開され得る。更新された分析手順は、第2の監視デバイスによって監視される環境と同じまたは類似の環境を監視するシステムのすべての監視デバイスについて検証され、確認されたと見なされ得る。以下でさらに説明するように、同じまたは類似の環境を監視する監視デバイスは、好ましくは、妥当性確認の信頼性をさらに高めるように、類似のハードウェアタイプのものであり得る。
【0028】
更新された分析手順の送信、またはアップグレードは、評価が完了するとすぐにか、所定のまたはスケジュールされた時点で自動的にか、またはユーザによる要求時に手動で実行され得る。
【0029】
更新された分析手順が仕様と要件とを満たさないことを評価が示す場合、更新された分析手順は、第1の監視デバイスからロールバックされ、第1の監視デバイスの後続の動作を妨害しないように、たとえば現在の分析手順と交換され得る。
【0030】
第1の監視デバイスは、システムの複数の監視デバイスの中から、更新された分析手順を実行する(および場合によっては評価する)ための十分な処理リソースを有すると決定された監視デバイスとして選択され得る。必要とされるリソースは、たとえば更新を与える開発者またはエンティティによって、更新された分析手順とともにサブミットされる仕様または要求として含められるか、または現在の分析手順を実行するために必要とされるリソースに基づいて推定され得る。さらなる例では、利用された処理リソースは、更新された分析手順の実行中に監視され、将来の更新のために入力として使用され得る。
【0031】
好ましくは、第1の監視デバイスおよび第2の監視デバイスは、第1の監視デバイスにおける更新された分析手順の評価が第2の監視デバイスについても有効であることを保証するように、類似のタイプのものであり得る。これは、更新された分析手順がそれに対して評価されるべきである他の監視デバイスにも当てはまる。監視デバイスは、したがって、類似であるか、類似のタイプのものであるか、または類似のハードウェアを備え得る。より詳細には、類似の監視デバイスは、類似の機構、または分析手順を実行するためのタイプの機構を備え得る。たとえば第1の監視デバイスおよび第2の監視デバイスなど、類似の監視デバイスは、たとえば、ハードウェアアクセラレータ、中央処理ユニット(CPU)、または分析手順を実行するグラフィックス処理ユニット(GPU)である類似のハードウェアを備え得る。ハードウェアアクセラレータの例は、ニューラルネットワーク(NN)アクセラレータ、ニューラルプロセッサ、ディープラーニングプロセッサ(DLP)および人工知能(AI)アクセラレータを含む。
【0032】
分析手順は、通常、ディープラーニングモデルと呼ばれる、モデルをトレーニングすることを伴い得るタイプの機械学習として理解され得るディープラーニング手法によって実行され得る。分析手順は、したがって、目下の分析手順を実行するように構成され、トレーニングされたディープラーニングモデルを使用して実行され得る。一般的なレベルで見られるように、そのようなディープラーニングモデルへの入力は、画像データ、レーダーデータまたはオーディオデータなど、分析されるべき監督または監視データであり得、出力は、基準レベルに対する監督データについての1つまたは複数の分析結果についての信頼性スコアを表すテンソルであり得る。監督データが画像データであり、分析手順が物体検出手順である場合、出力テンソルは、ピクセルレベルに対する画像データについての1つまたは複数のオブジェクトクラスについての信頼性スコアを表し得る。言い換えれば、ディープラーニングモデルは、あらゆるピクセルについて、1つまたは複数のオブジェクトクラスの各々の物体を示すピクセルの確率を決定し得る。
【0033】
分析手順は、ディープラーニングモデルがトレーニングされた後に更新されたと見なされ得る。トレーニングは、たとえば、新しい入力データへのアクセスによって動機付けされ得る。分析手順は、さらに、ディープラーニングモデルならびにハードウェアを設計し、トレーニングし、それらと対話するために使用され得るディープラーニングフレームワークが修正または更新された場合に、更新されたと見なされ得る。これは、たとえば、フレームワークプロバイダがディープラーニングフレームワークの新しいバージョンをリリースする場合がそうであり得る。ディープラーニングフレームワークの変化は、ある例では、ディープラーニングモデルの新しいトレーニングを動機付けし得る。更新された分析手順は、したがって、現在の分析手順のディープラーニングモデルおよびディープラーニングフレームワークと比較して、更新されたまたは少なくとも異なるディープラーニングモデルとディープラーニングフレームワークとのうちの少なくとも一方として理解され得る。したがって、更新された分析手順は、いくつかの例によれば、ディープラーニングフレームワーク中で動作するディープラーニングモデルを使用して実行され得、ディープラーニングモデルとディープラーニングフレームワークとのうちの少なくとも一方が更新される。
【0034】
監視システムまたは監督システムは、いくつかの実装形態では、類似のシーンを閲覧するように構成されたカメラシステムであるか、またはそのようなカメラシステムを備え得ることが諒解されよう。したがって、第1の監視デバイスは第1のカメラを備え、第2の監視デバイスは第2のカメラを備え得る。さらに、監視される環境は、いくつかの例では、カメラの少なくとも部分的に重複する視野によって定義され得るシーンであり得る。監視データは、したがって、第2のカメラによってキャプチャされた画像または画像ストリームを含み得る。
【0035】
監視システムは、レンジを決定し、環境を撮像するためにレーザーを採用する光検知および測距(LIDAR)システムをさらに備え得る。
【0036】
いくつかの実装形態では、監視システムは、第1の監視デバイスである第1のレーダーデバイスと、第2の監視デバイスである第2のレーダーデバイスとを備えるレーダーシステムであるか、またはそのような第1のレーダーデバイスとそのような第2のレーダーデバイスとを備えるレーダーシステムを備え得る。監視データは、そのような場合、電波情報を含み得る。
【0037】
さらに、いくつかの実装形態では、監視システムは、環境中の音を監視するためのオーディオシステムであるか、またはそのようなオーディオシステムを備え得る。第1の監視デバイスは、したがって、第1のオーディオデバイスを備え、第2の監視デバイスは第2のオーディオデバイスを備え、監視データは、第2のオーディオデバイスによってキャプチャされる音情報を含み得る。
【0038】
第2の態様によれば、それのうちの少なくともいくつかが類似の環境を監視するように構成された、複数の監視デバイスを備える、カメラシステム、レーダーシステムまたはオーディオシステムなど、監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するように構成された評価システムが提供される。評価システムは、
監視システムにおいて利用可能な処理リソースを識別するように構成された識別機能と、
複数の監視デバイスの中から、利用可能な処理リソースがそれについて識別された第1の監視デバイスを選択し、さらに、複数の監視デバイスの中から第2の監視デバイスを選択するように構成された選択機能と、
第2の監視デバイスを使用して監視データを収集するように構成された監視データ収集機能と
を実行するように構成された回路を備える。回路は、さらに、
監視データを第1の監視デバイスに送るように構成された監視データ送信機能と、
監視データに対して現在の分析手順を実行し、それによって第1の結果を生成し、さらに、第1の監視デバイスを使用して、監視データに対して更新された分析手順を実行し、それによって第2の結果を生成するように構成された分析手順実行機能と、
第1の結果に基づいて、現在の分析手順を実行するときの第2の監視デバイスの性能を示す第1の性能値を計算し、さらに、第2の結果に基づいて、更新された分析手順を実行するときの第1の監視デバイスの性能を示す第2の性能値を計算するように構成された計算機能と、
第1の性能値と第2の性能値との間の比較に基づいて、更新された分析手順を評価するように構成された評価機能と
を実行するように構成される。
【0039】
第3の態様によれば、第2の態様に関して説明した回路など、処理能力を有するデバイスによって実行されたときに第1の態様の方法を実行するように適応されたコンピュータコード命令をそれの上に記憶した非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0040】
第1の態様による方法の上述の随意の追加の特徴は、適用可能なとき、これらの第2および第3の態様にも当てはまる。過度の反復を回避するために、上記を参照する。
【0041】
本発明の利用可能性のさらなる範囲は、以下に与える発明を実施するための形態から明らかになろう。しかしながら、この発明を実施するための形態から本発明の範囲内の様々な変更および改変が当業者に明らかになるので、発明を実施するための形態および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例として与えられているにすぎないことを理解されたい。
【0042】
したがって、そのような方法は変動し得るので、説明した方法の特定の行為に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態について説明する目的のためのものにすぎず、限定的なものでないことを理解されたい。本明細書および添付の請求項で使用する際、冠詞「a」、「an」、「the」および「前記(said)」は、コンテキストが別段に明らかに規定しない限り、要素のうちの1つまたは複数があることを意味するものとすることに留意しなければならない。したがって、たとえば、「ユニット(a unit)」または「ユニット(the unit)」への言及はいくつかのデバイスなどを含み得る。さらに、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「含んでいる(containing)」という単語および同様の用語は他の要素またはステップを除外しない。
【0043】
次に、添付の図を参照しながら、本発明の上記および他の態様についてより詳細に説明する。図は、限定的なものと考えられるべきでなく、代わりに、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明を説明し、理解するために使用される。全体にわたって同様の参照番号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】いくつかの実施形態による、監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための例示的な評価システムを示す図である。
図2a】複数の監視デバイスを備える監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための方法の実施形態のフローチャートである。
図2b】複数の監視デバイスを備える監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための方法の実施形態のフローチャートである。
図3】本開示の一実施形態による、例示的なシステムを示す図である。
図4】本開示の別の実施形態による、例示的なシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、現在、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、本発明について以下でより十分に説明する。本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性と完全性とのために、および添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の範囲を当業者に伝達するために与えられる。
【0046】
図1は、監視システム10によって監視される同じまたは類似の物理的ロケーション中の物体または行為を認識するためのコンピュータ支援方法など、更新された分析手順をテストし、検証するために使用され得る評価システム200を備える、本発明の一実施形態を示す。更新された分析手順は、利用可能な処理リソースを有することが識別された選択された監視デバイス12に対して評価される。更新された分析手順の評価が成功した場合、更新はシステム10の他の監視デバイス14、16に展開され得る。
【0047】
監視システム10は、たとえば、レーダーシステム、オーディオシステムまたはカメラシステムであるか、または、そのようなシステムを備え得ることが諒解されよう。図1の以下の説明では、カメラシステム10を備える例示的な実施形態が開示されている。カメラシステム10は複数のカメラ12、14、16を備える。本例では、すべての3つのカメラ12、14、16は、類似の環境またはシーンを監視すると見なされ得る。第1のカメラ12および第2のカメラ14は、少なくとも部分的に重複する視野FOVをもつ、わずかに異なる角度および位置から、同じ3次元空間20または物理的ロケーションを監視している。第1のカメラ12および第2のカメラ14によってキャプチャされたそれぞれのシーンは、したがって、視角に関してわずかに異なり得るが、一般的な記述子(すなわち、特徴)に関しては依然として類似であると見なされ得る。第3のカメラ16は異なる3次元空間22を監視するが、2つの監視される物理的ロケーション20、22が同じ分類に属し、および/または共通の特徴のセットを共有すると仮定すると、第3のカメラ16によってキャプチャされた得られたシーン(または画像)は、第1のカメラ12および第2のカメラ14によってキャプチャされたシーンと類似であると見なされ得る。
【0048】
しかしながら、代替構成における第1のカメラ12は、第2のカメラ14によって監視される環境とは異なる環境を監視するように構成され得ることが諒解されよう。そのような構成において、第1のカメラ12は、主に、更新された分析手順を実行するために使用され得る、それの利用可能な処理リソースのために採用され得る。
【0049】
評価システム200は、図2aおよび図2bに関して説明するように、評価システム200の機能、すなわち、方法ステップに対応する機能を実行するように構成された回路210を備える。さらに、評価システムは、上述の方法ステップを実行するためのコンピュータコード命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体またはメモリ217を備え得るか、またはそのような非一時的コンピュータ可読媒体またはメモリ217に通信可能に接続され得る。評価システム200は、いくつかの実装形態では、監視デバイス12、14、16のうちの1つまたはいくつかの間に分散され得るか、または監視システム10から構造的に分離され得る。後者の場合、評価システム200は、監視システム10から遠隔に構成され得、したがって、中央処理手段または中央回路を備える中央評価システム200と呼ばれることがある。
【0050】
図2aおよび図2bは、上述のように、すなわち、複数の監視デバイスのうちの少なくともいくつかが類似のシーンを撮像するように構成された、複数の監視デバイスを備える監督または監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための方法100の実施形態のフローチャートを示す。以下では、図1に示されているように、少なくとも第1のカメラ12と第2のカメラ14とを備えるカメラシステムによって監視システムを例示する。
【0051】
方法100は、更新された分析手順を実行するために好適な第1のカメラを識別し、選択する目的で、たとえば、実際のプロセッサ利用を監視することによって、または履歴データに基づいてプロセッサ利用を推定することによって、カメラシステム中の利用可能な処理リソースを識別するS110行為を含む。利用可能な処理リソースは、さらに、その間に特定のシーンを監視することがあまり重要でない時間における期間として識別され得る。特定の例示的な例として、鉄道プラットフォームを含むシーンが考えられ得る。あまり重要でない期間は、この場合、列車が鉄道プラットフォームを離れた直後、および次の列車が到着するまでの期間によって表され得る。この期間中に、事故の危険性は比較的低いと決定され得、それにより、シーンを監視することは(安全の観点から)あまり重要でなくなり得る。
【0052】
利用可能な処理リソースが識別されるS110と、利用可能な処理リソースを有する第1のカメラが選択されるS120。好ましくは、更新された分析手順を実行するための十分な利用可能なまたは過剰なリソースを有するカメラが第1のカメラとして選択されS120得る。
【0053】
方法100は、複数のカメラの中から第2のカメラを選択することS130をさらに備える。第2のカメラは、たとえば、現在の分析手順のアップグレードの必要がそれのために識別されたカメラであり得る。第2のカメラは、たとえば、システム中の他のカメラと比較して損なわれた性能を呈し得る。この第2のカメラは、画像をキャプチャするS140ために使用され得、画像は第1のカメラに送られS155得る。本例では、現在の分析手順は第2のカメラによって画像に対して実行されS150得る。しかしながら、現在の分析手順は、いくつかの例では、中央処理手段または第1のカメラなど、別のエンティティによっても実行され得ることが諒解されよう。
【0054】
現在の分析手順の成果は、たとえば、画像中の認識された物体または行為についての情報を備え得る第1の結果と呼ばれることがある。
【0055】
第1のカメラにおいて受信されると、画像は、第2の結果を生成するために実行されるS160、更新された分析手順によって分析される。上記と同様に、第2の結果は、認識された画像中の物体または行為についての情報を含み得る。
【0056】
第1の結果は、現在の分析手順を実行するときの第2のカメラの性能を示す第1の性能値を計算するS170ために使用される。第1の性能値は、たとえば、現在の分析プロセスの正確さまたは信頼性を定量化する品質測度、または現在の分析プロセスを実行するためのプロセッサ利用または時間消費を示す測度と見なされ得る。
【0057】
同様に、第2の結果は、第2の性能値を計算するS180ために使用され、第2の性能値は、更新された分析プロセスについて、上記で説明した現在の分析プロセスに対するものと類似の測度を示し得る。計算S170、S180は、第1のカメラまたは第2のカメラにおいて、または中央プロセッサなど、中央に位置する処理手段において実行され得る。本例では、第1の結果は、第1の性能値を計算しS170得る第1のカメラに送られるS157。さらに、図1bに示されているように、第2の結果は、第2の性能値を計算しS180得る第2のカメラに送られS165得る。
【0058】
現在の分析プロセスと更新された分析プロセスの両方が、第2のカメラによって撮影された同じ画像に対して実行されたので、更新された分析手順は、第1の性能値と第2の性能値とを比較することによって評価されるS190。評価は、たとえば、それぞれ現在の分析手順および更新された分析手順を実行するのにかかる時間を考慮に入れ得る。さらなる例では、性能値は、それぞれ現在の分析手順および更新された分析手順を実行するときに利用される電力消費を示し得る。評価の成果は、たとえば改善の指示であるか、または少なくとも、更新された分析手順がそれの意図された目的を果たすように、更新された分析手順が仕様と要件とを満たすことであり得る。好ましくは、第1のカメラおよび第2のカメラ(および、カメラシステムの、すべてのカメラなど、可能なさらなるカメラ)は、同じまたは類似のハードウェアタイプのものであり得る、すなわち、第1のカメラに対する更新された分析手順の実行がカメラシステムの第2の(およびさらなる)カメラを一層表すように、分析手順を実行するための同じまたは類似のタイプのハードウェアを備え得る。
【0059】
本方法は、したがって、評価が改善を示すか、または更新された分析手順が分析手順に関連する仕様と要件とを満たすと仮定すると、更新された分析手順を第2のカメラに送信するS195さらなる行為を含み得る。要件および仕様は、監視システムに対する他の要件と全体的要件とに応じて、たとえば設置者またはオペレータによってケースバイケースで定義され得る。
【0060】
図3は、たとえば上記で説明したカメラシステム、レーダーシステム、ライダーシステムまたはオーディオシステムを備える監視システムにおいて、更新された分析手順を評価するための評価システム200の実施形態の概略ブロック図である。評価システム200は、評価システム200の機能、たとえば、図2aおよび図2bに関して説明した方法ステップに対応する機能を実行するように構成された回路210を備える。回路210は、中央処理ユニット(CPU)、マイクロコントローラ、またはマイクロプロセッサなど、プロセッサ215を含み得る。評価システム200は、メモリ217など、非一時的コンピュータ可読記憶媒体をさらに備え得る。メモリ217は、バッファ、フラッシュメモリ、ハードドライブ、リムーバブルメディア、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または別の好適なデバイスのうちの1つまたは複数であり得る。一般的な構成では、メモリ217は、長期データ記憶のための不揮発性メモリと、回路217のためのシステムメモリとして機能する揮発性メモリとを含み得る。メモリ217はデータバスを介して回路210とデータを交換し得る。付随する制御ライン、およびメモリ217と回路210との間のアドレスバスも存在し得る。メモリは、プロセッサ215によって実行されたときに評価システム200の機能を実行するように構成された、プログラムコードの形態の命令219を含み得る。評価システム200の機能は、たとえば、カメラシステム10などの監視システムにおいて利用可能な処理リソースを識別することと、複数の監視デバイスの中から利用可能な処理リソースがそれについて識別された第1のカメラ12などの第1の監視デバイスを選択することと、複数の監視デバイスの中から第2のカメラ14などの第2の監視デバイスを選択することと、第2のカメラ14を使用して画像などの監視データを収集することと、画像を第1のカメラ12に送ることと、第1の結果を生成するために画像に対して現在の分析手順を実行することと、第2の結果を生成するために、第1のカメラ12を使用して画像に対して更新された分析手順を実行することと、第1の結果に基づいて第1の性能値を計算することと、第2の結果に基づいて第2の性能値を計算することと、第1の性能値と第2の性能値との間の比較に基づいて更新された分析手順を評価することとであり得る。
【0061】
カメラシステム10のカメラ12、14は、いくつかの例では、評価システム200の一部を形成し得る。他の例では、カメラシステム10のカメラ12、14は評価システム200から構造的に分離され得る。後者の場合、評価システム200はカメラシステム10から遠隔に構成され得る。さらなる例では、評価システム200、または評価システム200の一部は、第1のカメラ12および第2のカメラ14中など、カメラシステム10にわたって、および/または遠隔ロケーションに分散され得る。
【0062】
図4は、図3に関して上記で説明した評価システムと同様に構成され得る、評価システム200の実施形態の概略ブロック図である。図4に示されているように、回路210は、少なくとも識別機能220と、選択機能230と、画像キャプチャ機能240と、画像送信機能250と、分析手順実行機能260と、計算機能270と、評価機能280とを実行するように構成される。
【0063】
分析手順実行機能260は、しばしばディープラーニングモデルと呼ばれるモデルをトレーニングすることを伴い得るタイプの機械学習として理解され得るディープラーニング手法を採用し得る。ディープラーニングモデルは、いくつかの処理レイヤを使用することによってデータ中のアブストラクションをモデル化するように設計されたアルゴリズムのセットに基づき得る。処理レイヤは非線形変換からなり得、各処理レイヤは、変換されたデータを後続の処理レイヤに渡す前にデータを変換し得る。データの変換は処理レイヤの重みとバイアスとによって実行され得る。処理レイヤは完全に接続され得る。ディープラーニングモデルは、限定としてではなく例として、ニューラルネットワークと畳み込みニューラルネットワークとを含み得る。畳み込みニューラルネットワークは、非線形性およびプーリングでインターリーブされたトレーニング可能フィルタの階層からなり得る。畳み込みニューラルネットワークは大規模物体認識タスクにおいて使用され得る。
【0064】
ディープラーニングモデルは教師ありまたは教師なし設定においてトレーニングされ得る。教師あり設定では、ディープラーニングモデルは、データを分類するか、または成果を正確に予測するためにラベル付けされたデータセットを使用してトレーニングされる。入力データがディープラーニングモデルに供給される際に、モデルは、モデルが適切に適合されるまでそれの重みを調整し、それはクロス妥当性確認プロセスの一部として行われる。教師なし設定では、ディープラーニングモデルはラベル付けされないデータセットを使用してトレーニングされる。ラベル付けされないデータセットから、ディープラーニングモデルは、データセットからのデータを、共通の性質を有するデータのグループにクラスタ化するために使用することができるパターンを発見する。一般的なクラスタ化アルゴリズムは、階層、k平均、およびガウス混合モデルである。したがって、ディープラーニングモデルは、データの表現を学習するようにトレーニングされ得る。
【0065】
ディープラーニングモデルへの入力は、したがって、図4に示されている例では、カメラシステムのカメラデバイスからの画像データなど、監督データまたは監視データであり得る。
【0066】
監督データに対して分析手順を実行するために好適である多くの異なるディープラーニングネットワークが存在し、入力および出力の詳細な形態、すなわち、入力データについてどのフォーマットが必要とされ、出力テンソルがどのフォーマットを有するかは、これらのネットワーク間で異なることがある。ディープラーニングモデルからの出力は、ディープラーニングモデルからのテンソル出力が、各分析結果について、たとえば、各クラスまたはカテゴリーについて信頼性スコアしきい値を設定することによって解釈される、しきい値処理技法を使用して解釈され得る。しきい値は、データが、ある分析結果として、たとえば、分析手順が物体検出手順である場合は、ある物体クラスに属するとして解釈されるために必要とされる、最小信頼性スコアを設定する。
【0067】
分析手順はたとえば、新しい入力データへのアクセスに応答して、ディープラーニングモデルがトレーニングされた後に更新されたと見なされ得る。分析手順は、さらに、ディープラーニングモデルを設計し、トレーニングし、ディープラーニングモデルと対話するために使用されるディープラーニングフレームワークを更新または修正することによって更新されたと見なされ得る。
【0068】
当業者は、本発明が上記で説明した実施形態に限定されないことに気づく。反対に、多くの改変および変形が添付の特許請求の範囲の範囲内で可能である。そのような改変および変形は、図面と本開示と添付の特許請求の範囲との研究から、特許請求の範囲に記載された発明を実践する際に当業者によって理解され、実施され得る。
図1
図2a
図2b
図3
図4