IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 環球晶圓股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7525568シリコンインゴット単結晶を製造するための方法
<>
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図1
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図2
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図3
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図4
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図5
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図6
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図7
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図8
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図9
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図10
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図11
  • 特許-シリコンインゴット単結晶を製造するための方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】シリコンインゴット単結晶を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 15/20 20060101AFI20240723BHJP
   C30B 29/06 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C30B15/20
C30B29/06 502Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163958
(22)【出願日】2022-10-12
(65)【公開番号】P2023058033
(43)【公開日】2023-04-24
【審査請求日】2022-11-28
(31)【優先権主張番号】63/254,539
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515087558
【氏名又は名称】環球晶圓股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Global Wafers Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.8 Industrial East Road 2,Science Park,Hsinchu City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 一雄
(72)【発明者】
【氏名】中西 正美
(72)【発明者】
【氏名】蘇 玉聖
(72)【発明者】
【氏名】徐 文慶
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-218245(JP,A)
【文献】特開2005-200228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 15/20
C30B 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触坩堝(NOC)法によってシリコンインゴット単結晶を製造する、シリコンインゴット単結晶の製造方法であって、
シリコンインゴット単結晶成長ステップであって、上記シリコンインゴット単結晶が坩堝内のシリコン融液中で成長され、
前記シリコン融液中に低温領域を提供することと、
結晶成長を開始するため、シリコン種を融液面に接触するよう提供することであって、シリコン単結晶が前記融液面に沿って前記シリコン融液の内側へ向かって成長することと
を含む、シリコンインゴット単結晶成長ステップと、
前記シリコン単結晶の温度勾配を制御するための制御ステップであって、前記融液面の下の前記シリコン単結晶の液面下温度勾配がG1として設定され、前記融液面の上の前記シリコン単結晶の液面上温度勾配がG2として設定され、前記シリコン単結晶の前記液面下温度勾配G1と前記液面上温度勾配がG2が式(1)であるG2/G1<6を満たす、制御ステップと、
前記シリコンインゴット単結晶を得るため前記シリコン単結晶の前記温度勾配を制御する前記制御ステップが繰り返される、連続成長ステップと
を含む、
シリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項2】
軸方向に沿った前記融液面の下の前記シリコン単結晶の液面下長さがd1であり、前記融液面での前記シリコン単結晶の温度がTsであり、成長界面での前記シリコン単結晶の温度がTmであり、前記液面下温度勾配G1が(Tm-Ts)/d1であり、前記液面上温度勾配G2が前記液面下温度勾配G1よりも大きい、
請求項1に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項3】
前記融液面の下の前記シリコン単結晶と前記低温領域との間に成長界面が存在し、前記シリコン単結晶の成長の間、前記シリコン単結晶が、前記成長界面からの距離の増加に伴い空孔濃度が減少する空孔濃度分布と、前記成長界面からの前記距離の前記増加に伴い格子間シリコン原子濃度が減少する格子間シリコン原子濃度分布とを有し、
前記液面下温度勾配G1と前記液面上温度勾配G2が、前記空孔濃度及び前記格子間シリコン原子濃度において、前記成長界面からの前記距離の前記増加に伴い、前記シリコン単結晶の前記空孔濃度及び前記格子間シリコン原子濃度がそれぞれ減少することで互いに近づくよう制御される、
請求項1に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項4】
前記空孔濃度分布と前記格子間シリコン原子濃度分布との間に交点が存在し、前記交点での前記シリコン単結晶の前記空孔濃度が前記格子間シリコン原子濃度と実質的に等しく、前記成長界面と前記交点との間の距離が臨界距離Zcである、
請求項3に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項5】
G2/G1が増加するにつれ前記臨界距離Zcが減少する、
請求項4に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項6】
G2/G1が増加するにつれ前記交点での前記シリコン単結晶の温度が増加する、
請求項4に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項7】
前記交点での前記シリコン単結晶の前記空孔濃度が空孔平衡濃度Cveqであり、G2/G1が減少するにつれ前記空孔平衡濃度Cveqが空孔濃度閾値Cvminに近づくよう減少する、
請求項4に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項8】
前記液面下温度勾配G1がより高いと前記空孔濃度閾値Cvminに対応する最小G2/G1がより低い値を有する、
請求項7に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項9】
軸方向に沿った前記シリコン融液の下の前記シリコン単結晶の液面下長さがd1であり、G2/G1が同一である条件の下で、前記臨界距離Zcが前記液面下長さd1の増加に伴い減少する、
請求項4に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項10】
前記液面下長さd1が同一である条件において、前記G2/G1が大きくなると前記臨界距離Zcが短くなる、
請求項9に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項11】
前記交点での前記シリコン単結晶の前記空孔濃度が空孔平衡濃度Cveqであり、軸方向に沿った前記シリコン融液の前記融液面の下の前記シリコン単結晶の液面下長さがd1であり、前記空孔平衡濃度Cveqと前記液面下長さd1との間の関係を示す関係図において、G2/G1が大きくなると、前記空孔平衡濃度Cveqの傾斜が前記液面下長さd1の増加に伴って、より減少する、
請求項4に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項12】
前記シリコン単結晶の前記液面下温度勾配G1と前記液面上温度勾配G2が、式(2)である1<G2/G1<6を更に満たす、
請求項1に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項13】
前記シリコン単結晶の前記液面下温度勾配G1と前記液面上温度勾配G2が、式(3)である2<G2/G1<3を更に満たす、
請求項1に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項14】
前記連続成長ステップが、前記シリコンインゴット単結晶の成長速度を調整するステップを更に含む、
請求項1に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。
【請求項15】
記連続成長ステップにおける前記シリコンインゴット単結晶の成長速度が毎秒0.0002cm~毎秒0.002cmである、
請求項14に記載のシリコンインゴット単結晶の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は半導体製造技術に関するものであり、より具体的には、欠陥が非常に少ないシリコンインゴット単結晶を製造するための方法に関する。
【0002】
通信、ディスプレイ、太陽電池、人工知能(AI)といったハイテク技術の開発に伴い、情報化社会は将来的により活発に発展するであろう。これら分野の発展を支える半導体部品の主要材料としてのシリコンインゴット単結晶に対しては、品質要件がより高く設定される。このため、ハイテクノロジー産業の発展に対応する高品質シリコンインゴット単結晶の需要も増加している。
【0003】
現在、そのような超高品質シリコンインゴット単結晶はチョクラルスキー成長法(以降、「CZ成長法」と呼称)を用いることにより主に製造されている。図1は、CZ成長法を用いることによりシリコンインゴット単結晶を成長するための従来の製造装置の概略図である。図1を参照し、CZ成長法を用いることによりシリコンインゴット単結晶を成長するための製造装置10は、坩堝12と、坩堝12に設けられたシリコン融液13と、成長したシリコンインゴット14を引き出すための引出し機構15とを含む。図1に示すように、CZ成長法を用いることにより結晶成長が実行されるとき、成長界面GIはシリコン融液の融液面上に存在し、成長界面GIを形成するシリコン融液は主に、図1に示す上向きに突出する成長界面GIとして、表面張力により液面から突出した薄く小さな融液で構成される。このため、CZ成長法を用いることにより結晶成長が実行されるとき、成長界面GIにおける温度分布を制御することが難しいことが技術的課題である。より具体的には、CZ成長法を用いた理論上無欠陥のシリコンインゴット単結晶の製造において、点欠陥の濃度を減少させるため次の方法が採用される:成長界面付近の温度勾配は格子間シリコン原子の拡散流が増加するよう急勾配に設定され、これにより対消滅により空孔を消滅させる、即ち、空孔の濃度を格子間シリコン原子の濃度と共に減少させることにより、点欠陥の濃度を可能な限り減少させる。
【0004】
しかし、CZ成長法を用いる関連技術において、点欠陥制御のために用いることのできる成長界面付近のシリコンインゴット単結晶のインゴット結晶の範囲は非常に狭い。制御を行うため、成長速度vは非常に正確である必要があり、シリコンインゴット単結晶の成長条件は複雑な手法を通じて制御する必要がある。具体的には、これら制御変数は、成長界面に沿った温度分布均一化と、温度勾配の制御と、引出し速度とを少なくとも含む。関連技術はこの複雑な制御に対する完全な理論的解決策をまだ提供できていないことから、関連技術の多くは試行錯誤で行われており、関連技術におけるCZ成長法の無欠陥技術には汎用性と再現性が欠如している。
【0005】
近年、CZ成長法の該課題を解決するため、特許文献1(日本特許5398775号)はもう1つのシリコンインゴット単結晶の成長法を提供しており、これは、坩堝壁に接触することなくシリコン融液内でシリコンインゴット単結晶を成長できるNOC法(非接触坩堝法)である。図2に示すように、該製造方法は、坩堝22と、坩堝22に設けられたシリコン融液23と、成長したシリコンインゴット24を引出すための引出し機構25とを含む。図2に示すように、NOC法において、シリコン融液23中の低温領域23Rを形成するため、断熱材26が坩堝22の底部に提供される。加えて、シリコンインゴット単結晶24はシリコン融液23中で成長する。
【0006】
しかし、関連技術において、NOC法を用いることにより無欠陥で且つ超高品質のシリコンインゴット単結晶を如何にして効果的に成長させるかの完全な理論的解決策が欠如している。
【0007】
本発の発明者は、特許文献2(台湾特許公開202144628号公報)に基づき化学原理を応用して徹底的に研究し、NOC法を用いることにより成長されたシリコンインゴット単結晶における点欠陥の分布を算出するためのシミュレーションモデルを提供する。これにより、シリコンインゴット単結晶の成長環境及び条件をより正確に制御することができる。
【0008】
特許文献2(台湾特許公開202144628号公報)において確立されているシミュレーションモデルにおいて、異なる温度分布及び異なる温度勾配は、成長されたシリコンインゴット単結晶に異なる分布の点欠陥を引き起こす可能性がある、と最初に示唆されている。しかし、関連技術において、シリコンインゴット単結晶をより正確に製造するため、フィールドにおける温度勾配を如何にして具体的に設定するかの研究が不足している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
関連技術は、複雑な点欠陥に対する理論的解決策をまだ提供できておらず、関連技術の多くは試行錯誤で行われており、関連技術においてCZ成長法の無欠陥技術における汎用性と再現性が欠如している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシリコンインゴット単結晶の製造方法は、構築されたNOC結晶における格子空孔と格子間フラックスとの間のシミュレーション関係に基づき、且つシリコンインゴット単結晶の成長におけるシリコン融液の融液面の上の温度勾配とシリコン融液の融液面の下の温度勾配との二段階制御を通じて実行され、非常に少ない欠陥(又は無欠陥)の超高品質シリコンインゴット単結晶の効果的な成長を実現することが可能である。
【0011】
本発明は、非接触坩堝法を用いることによりシリコンインゴット単結晶を製造する、シリコンインゴット単結晶を製造するための方法を提供する。該方法は、シリコンインゴット単結晶成長ステップと、シリコン単結晶の温度勾配を制御するための制御ステップと、連続成長ステップとを含む。シリコンインゴット単結晶成長ステップにおいてシリコンインゴット単結晶は坩堝内のシリコン融液中で成長し、シリコンインゴット単結晶成長ステップは、シリコン融液中に低温領域を提供することと、結晶成長を開始するためシリコン融液の融液面に接触するようシリコン種を提供することと、シリコン融液の融液面に沿ってシリコン融液の内側へ向かってシリコン単結晶が成長することとを含む。シリコン単結晶の温度勾配を制御するための制御ステップにおいて、シリコン融液の融液面の下のシリコン単結晶の液面下温度勾配はG1であり、シリコン融液の融液面の上のシリコン単結晶の液面上温度勾配はG2であり、シリコン単結晶の液面下温度勾配G1とシリコン単結晶の液面上温度勾配G2は、G2/G1<6を満たす。連続成長ステップにおいて、シリコンインゴット単結晶を得るため、シリコン単結晶の温度勾配を製造するステップが繰り返される。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、軸方向に沿ったシリコン融液の融液面の下のシリコン単結晶の長さはd1であり、シリコン融液の融液面でのシリコン単結晶の温度はTsであり、成長界面でのシリコン単結晶の温度はTmであり、液面下温度勾配G1は(Tm-Ts)/d1であり、液面上温度勾配G2は液面下温度勾配G1よりも大きい。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、シリコン融液の融液面の下のシリコン単結晶と低温領域との間には成長界面が存在する。シリコン単結晶の成長の間、シリコン単結晶は、成長界面からの距離の増加に伴い空孔濃度が減少する空孔濃度分布、並びに成長界面からの距離の増加に伴い格子間シリコン原子濃度が減少する格子間シリコン原子濃度分布を有する。液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2は、空孔濃度分布及び格子間シリコン原子濃度分布において、成長界面からの距離の増加に伴い、シリコン単結晶の空孔濃度分布及び格子間シリコン原子濃度分布がそれぞれ減少し、それに応じて互いに接近するよう制御される。1つの実施形態において、空孔濃度分布と格子間シリコン原子濃度分布との間に交点が存在し、交点でのシリコン単結晶の空孔濃度分布は格子間シリコン原子濃度分布と実質的に等しく、成長界面と交点との間の距離は臨界距離Zcである。1つの実施形態において、G2/G1が増加するにつれ臨界距離Zcは減少する。交点でのシリコン単結晶の温度は、G2/G1が増加するにつれ増加する。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、交点でのシリコン単結晶の空孔濃度は空孔平衡濃度Cveqであり、空孔平衡濃度CveqはG2/G1が減少するにつれ空孔濃度閾値Cvminに接近するよう減少する。1つの実施形態において、液面下温度勾配G1が高くなると、空孔濃度閾値Cvminに対応する最小G2/G1はより低い値を有する。
【0015】
本発明の1つの実施形態において、軸方向に沿ったシリコン融液の融液面の下のシリコン単結晶の液面下長さはd1であり、同一のG2/G1の場合、臨界距離Zcは液面下長さd1の増加に伴い減少する。1つの実施形態において、同一の液面下長さd1の場合、G2/G1が大きくなると、臨界距離Zcは短くなる。
【0016】
本発明の1つの実施形態において、交点でのシリコン単結晶の空孔濃度は空孔平衡濃度Cveqであり、軸方向に沿ったシリコン融液の融液面の下のシリコン単結晶の液面下長さはd1である。空孔平衡濃度Cveqと液面下長さd1との間の関係を示す関係グラフにおいて、G2/G1が大きくなると、空孔平衡濃度Cveqの傾斜は液面下長さd1の増加に伴いより減少する。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、シリコン単結晶の液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2は式(2)を更に満たす。
【0018】
1<G2/G1<6 (2)
【0019】
本発明の1つの実施形態において、シリコン単結晶の液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2は式(3)を更に満たす。
【0020】
2<G2/G1<3 (3)
【0021】
本発明の1つの実施形態において、連続成長ステップは、シリコンインゴット単結晶の成長速度を調整するステップを更に含む。1つの実施形態において、シリコン単結晶成長ステップにおける成長速度は毎秒0.0002 cm~毎秒0.002 cmである。
【発明の効果】
【0022】
上記に基づき、本発明によると、超高品質シリコンインゴット単結晶の製造のための制御因子は主に、特定の関係を満たすよう二段階でシリコン融液の融液面の上と下のシリコン単結晶の温度勾配を制御することにより達成されることから、本発明のシリコンインゴット単結晶の製造方法は成長界面付近のフィールド全体の温度分布及び引出し速度の非常に高精度で且つ複雑な制御を基本的に必要としない。従って、本発明のシリコンインゴット単結晶の製造方法は、優れた品質のシリコンインゴット単結晶を製造するための汎用性及び良好な制御性を伴って実現されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1は、CZ成長法を用いることによりシリコンインゴット単結晶を成長させるための従来の製造装置の概略図である。
【0024】
図2は、NOC法を用いることによりシリコンインゴット単結晶を成長させるための従来の製造装置の概略図である。
【0025】
図3は、本発明の1つの実施形態におけるNOC法の概略図である。
【0026】
図4は、NOC法における2つの段階において温度勾配が3 K cm-1及び10 K cm-1のとき、成長界面からの距離zに伴い変化する
の濃度分布を示すグラフである。
【0027】
図5における黒点曲線は、2つの段階における異なる温度勾配の下での交点と成長界面との間の正規化距離の分布を表す左のY軸の値に対応し、図5における白点曲線は、異なる温度勾配の下での交点での温度変化分布を表す右のY軸の値に対応する。
【0028】
図6は、G1が3 K cm-1のときの、G2/G1に伴い変化する交点での空孔濃度を示す概略関係図である。
【0029】
図7は、G1が6 K cm-1のときの、G2/G1に伴い変化する交点での空孔濃度を示す概略関係図である。
【0030】
図8は、2つの段階における異なる温度勾配条件の下での交点の正規化距離とシリコン単結晶の液面下長さd1との関係を示す模式図である。
【0031】
図9は、G1が3 K cm-1であり、G2/G1及び液面上温度勾配G2が異なるときの、交点での空孔平衡濃度とシリコン単結晶の液面下長さd1との間の関係を示す概略図である。
【0032】
図10は、液面下温度勾配G1が6 K cm-1であり、液面上温度勾配G2が12 K cm-1であり、G2/G1が2.0である条件における、交点での空孔平衡濃度とシリコン単結晶の液面下長さd1との間の関係の概略図を示す。
【0033】
図11は、G1が6 K cm-1あり、成長速度vが0.000144 cms-1である交点での空孔平衡濃度Cveqの二次元分布を示す概略図であり、X軸は異なるG2/G1比を表し、Y軸はシリコン単結晶の液面下長さd1を表す。
【0034】
図12は、本発明の1つの実施形態における、シリコン融液の融液面の上の温度勾配及びシリコン融液の融液面の下の温度勾配の測定におけるシリコンインゴット単結晶の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図3は、本発明の1つの実施形態におけるNOC法の概略図である。
【0036】
図3の左側を参照し、本実施形態のNOC法によりシリコンインゴット単結晶を成長するための製造装置100は、坩堝120と、坩堝120に設けられた液状シリコン融液130と、シリコン融液中に成長したシリコンインゴット単結晶140と、成長したシリコンインゴット単結晶を取り出すための引出し機構150と、種結晶160と、温度勾配コントローラ170とを含む。温度勾配コントローラ170は、底部ヒータ170Bと側部ヒータ170Sとを含む。本実施形態において、坩堝120の底部の下に設けられた断熱材180を用いることにより、シリコン融液130の中央部分に大きく深い低温領域130Rが効果的に確立されることができる。
【0037】
確立された理論的根拠に基づき、本発明の発明者は、成長するシリコン単結晶の温度勾配に焦点を当てて温度勾配に関して更なる集中的な研究を行い、シリコン単結晶の温度勾配を、シリコン融液の融液面130Sの下の液面下温度勾配G1とシリコン融液130の融液面130Sの上の液面上温度勾配G2とに分割した。本発明の発明者は、シリコンインゴット単結晶の点欠陥の分布における温度勾配の影響を計算するための、より具体的なシミュレーションモデルを提供する。
【0038】
具体的には、図3の右側は、シリコン融液の融液面の上及び下に対応する成長したシリコンインゴット単結晶の温度勾配分布を示し、X軸は温度を表し、Y軸は引出し軸に沿ったシリコン単結晶の長さを表し、X/Yは温度勾配を表す。シリコン融液の融液面を図3の右側に示す起点として設定したとき、図3の右側のX軸とY軸との交点の上の長さはシリコン融液の融液面の上の成長したシリコン単結晶の長さを表し、X軸とY軸との交点の下の長さはシリコン融液の融液面の下の成長したシリコン単結晶の長さを表す。
【0039】
図3に示すように、製造装置100はNOC法を採用し、底部ヒータ170Bと側部ヒータ170Sとを含む温度勾配コントローラ170をシリコン融液中に熱電界構造を確立するために利用することができることで、シリコン融液130は坩堝120の中央部分においてより大きな範囲の低温領域130Rを生成し、低温領域130Rの温度は坩堝120の周囲の低温領域130Rよりも低い。具体的には、低温領域130Rにおいて、シリコン融液の温度はシリコンの凝固点(約1410℃のFp)と融点(約1414℃のMp)の間に維持される。低温領域130Rは、その内部での自然な結晶成長を可能とする。更に、図3の左側は低温領域130Rを概略的に図示しているのみであるが、その境界はこれに限定されない。
【0040】
例えば、図3の左側で引出し軸の方向に沿って、成長界面をGIで標記しているが、その境界はこれに限定されない。
【0041】
続けて図3を参照し、シリコン種結晶160を用いてシリコン融液130の融液面で核生成が生じる。シリコン種結晶160は結晶成長を開始するためシリコン融液130の融液面と接触し、シリコン単結晶がシリコン融液130の融液面に沿ってシリコン融液130の内部に向かって成長する。より具体的には、図3は、特定の時点での成長したシリコン単結晶の長さ及び温度の分布を示す概略図である。図3の左側に示すように、シリコン融液130の融液面の下に成長したシリコン単結晶の下部140Aの長さはd1であり、シリコン融液130の融液面の上に成長したシリコン単結晶の上部140Bの長さはd2である。シリコン単結晶の下部140Aは、低温領域130Rと接触する成長界面GI上で成長し続ける。シリコン単結晶140の成長の間、成長界面GIは動的に移動する。更に、成長したシリコン単結晶140は引出し機構150により、低速且つ制御された方法で取り出される。
【0042】
図3の右側に示すように、成長界面GIでのシリコン単結晶の下部140Aの温度は実質的に融点Tmに近く、延伸軸に沿った融液面130Sの交点でのシリコン単結晶の下部140A及びシリコン単結晶の上部140Bの温度はTsである。本発明において、特許文献2(台湾特許公開202144628号公報)に基づき、発明者はシリコンインゴット単結晶の成長の間の超高品質シリコンインゴット単結晶の成長におけるシリコン単結晶の温度勾配の影響を更に探求した。
【0043】
より詳細には、NOC法において、成長プロセスにおけるシリコン単結晶140について、シリコン融液130の融液面130Sが境界と見なされ、シリコン単結晶の下部140Aの液面下温度勾配G1とシリコン単結晶の上部140Bの液面上温度勾配G2が制御される。以下の説明で構築される欠陥形成メカニズムに基づき、発明者はシリコン単結晶の成長ステップにおける理論的計算及び検証を通じて、シリコン単結晶の液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2が式(1):G2/G1<6を満たすようにすることにより、シリコン単結晶の成長の間の点欠陥の拡散の間の動的平衡を効果的に改善することができ、空孔と格子間シリコン原子とを対でより効率的に消滅させることができることを発見した。
【0044】
具体的には、軸方向に沿ったシリコン融液の融液面の下のシリコン単結晶の長さはd1であり、シリコン融液の融液面でのシリコン単結晶の温度はTsであり、成長界面でのシリコン単結晶の温度はTmであり、液面下温度勾配G1は(Tm-Ts)/d1を通じて得られる。1つの実施形態において、液面上温度勾配G2は液面下温度勾配G1よりも大きい。該状況下で、式(1)は式(2):1<G2/G1<6を更に満たす。
【0045】
本発明のシリコンインゴット単結晶の製造方法は、NOC法によりシリコンインゴット単結晶を製造し、(1)シリコンインゴット単結晶の成長ステップと、(2)シリコン単結晶の温度勾配を制御する制御ステップと、(3)連続成長ステップとを含む。
【0046】
(1)シリコンインゴット単結晶の成長ステップにおいて、図3に示すように、シリコンインゴット単結晶140は坩堝120内でシリコン融液130中に成長する。具体的には、シリコンインゴット単結晶の成長ステップは、(1-1)シリコン融液130中に低温領域130Rを提供し、結晶成長を開始するためシリコン融液130の融液面に接触するようシリコン種結晶160を提供することを含む。図3に示すように、シリコン単結晶140はシリコン融液130の融液面130Sに沿って成長する。一定時間成長した後、長さd2を有するシリコン単結晶の上部140Bが融液面130S上に成長する。一方、シリコン単結晶140が該液面上で成長するとき、シリコン単結晶140はまた同時にシリコン融液130の内側へ向かって成長する。同一時間成長した後、長さd1を有するシリコン単結晶140の下部140Aが融液面130Sの下に成長する。
【0047】
本発明において、(2)シリコン単結晶の温度勾配を制御する制御ステップにおいて、シリコン融液130の融液面の下のシリコン単結晶の下部140Aの液面下温度勾配はG1となるよう制御され、シリコン融液130の融液面130S上に露出したシリコン単結晶の上部140Bの液面上温度勾配はG2となるよう制御され、成長プロセスの間、シリコン単結晶の下部140Aの液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2は式(1)であるG2/G1<6を満たすことに注意されたい。この方法において、点欠陥の拡散の間の動的平衡はシリコン単結晶の成長の間に効果的に改善され、空孔と格子間シリコン原子を対でより効率的に消滅させることができる。
【0048】
(3)連続成長ステップにおいて、シリコンインゴット単結晶を得るため、シリコン単結晶の温度勾配を制御する制御ステップが繰り返される。
【0049】
上記に基づき、図3に示すように、本発明のシリコンインゴット単結晶の製造方法において、NOCプロセスの間、空孔濃度CV及び格子間シリコン原子濃度CIの構築された濃度分布、並びに特定の関係性を満たす液面上温度勾配G2と液面下温度勾配G1との間のG2/G1比を通じて、超高品質シリコンインゴット単結晶を製造することが可能となる。
【0050】
上記の技術的課題を考慮し、本発明の発明者は最初に、特許文献2(台湾特許公開202144628号公報)における空孔と格子間シリコン原子のバランスをとるため、NOC法において成長したシリコンインゴット単結晶のために構築した分布モデルを構築した。以前の理論モデル及びNOC法の計算に基づき、次の(A)~(E)が更に研究された:
【0051】
(A)シリコン単結晶における空孔濃度CV(z)及び格子間シリコン原子濃度CI(z)をボロンコフ(Voronkov)のプロファイルを用いることにより算出
【0052】
シリコン単結晶における空孔濃度CV(z)及び格子間シリコン原子濃度CI(z)は成長界面からの距離z(cm)の関数として単純に設定することができる。対消滅後のCV(z)とCI(z)は平衡における質量作用の法則により支配される:
【0053】
はそれぞれ空孔平衡濃度と格子間シリコン原子平衡濃度である。
【0054】
特許文献2(台湾特許公開202144628号公報)に説明されるように、
は次の式(2)と(3)として表現することができる:
該式において、
はそれぞれ成長界面がTmのときの空孔平衡濃度及び格子間シリコン原子平衡濃度である。
はそれぞれ空孔及び格子間シリコン原子の形成エネルギーであり、kBはボルツマン定数(=8.617×10-5 eVK-1=1.38×10-16 erg K-1)である。
【0055】
空孔のフラックス及び格子間シリコン原子のフラックスはそれぞれ次の式(4)と(5)として表現することができる:
該式において、
は空孔と格子間シリコン原子の拡散平衡濃度及び格子間シリコン原子平衡濃度であり、
はそれぞれ空孔及び格子間シリコン原子の形成エネルギーであり、kBはボルツマン定数(=8.617×10-5 eVK-1=1.38×10-16 erg K-1)である。
はそれぞれ空孔の拡散定数及び格子間シリコン原子の拡散定数であり、Gは温度勾配(dT/dz)であり、v(cm s-1)はシリコン融液に向かった成長の成長速度であり、QV *及びQI *はそれぞれ空孔の伝達熱及び格子間シリコン原子の伝達熱である。第3項の
は移動結晶による欠陥輸送による対流項である。採用されたパラメータは以下の通りであり、採用されたパラメータは中村氏の博士論文(K. Nakamura, S. Maeda, S. Togawa, T. Saishoji, J. Tomioka, High Purity Silicon VI, PV2000-17, (2000) 31.)及び論文(K. Nakamura, Doctoral thesis for Tohoku University, “Study of Diffusion of Point Defects in a Single Crystal of Silicon during Growth Process and Formation of Secondary Defects”, Chapter 3, Table 3-5, 2002.)に基づいて決定された。パラメータを表1に列記する:

【0056】
表1
【0057】
定常状態において:
【0058】
上記の式(1)と式(6)は同時に満たされるべきである。この関係を解決するためVoronkovのプロファイルから基本的な方程式を導き出すことができ、これはこの解釈が成長界面付近の点欠陥の分布の定性的な傾向を単純に与えることができるためであり、点欠陥の濃度の間の関係は次のように得ることができる:。
該式において、Csは合併濃度差と呼ばれる。
であり、K(x)= Km exp(-x)であり、
であり、
であり、
である。
ドリフト項はTの影響を受けやすく、上記の式(7)は次のように表現することができる:
【0059】
式(8)は次のように表現することができる:
式(8)は次の2つの手順により数値的に解くことができる。第1の数値法はx=0からの数値近似法であり、初期のY(0)は単一の決定方法
において決定されることができ、dxに対応するdY(x)はdY(x)=f(x)dxとして決定することができる。正確な定性的傾向は成長界面付近で計算されることができるが、誤差は成長界面から離れるほど大きくなる傾向がある。これは成長界面から外挿した計算である。
第2の数値法は成長界面x=0からx=xendまでの数値法であり、xendは成長界面から離れた位置である。初期Y(xend)は単一の方法で決定することはできない。このため、合理的な値を推定するため
が採用される。Y(xend)の暫定初期値として、次の表現が得られる:
Vリッチ(空孔が格子間シリコン原子よりも多い)領域において:
Iリッチ(格子間シリコン原子が空孔よりも多い)領域において:
このため、成長界面からの終点が計算の前に一意に決定される。計算結果は始点と終点との間を内挿した定性的傾向を示す。
交点でのCV(z)とCI(z)の濃度分布は上記の2つの数値解法を用いて計算することができる。式(1)を用いるとき、CV(z)とCI(z)は次のように得ることができる:
【0060】
(B)Voronkovのプロファイルの臨界点付近のIリッチ領域の空孔濃度CVと格子間シリコン原子濃度CIとの交点
上述した第1の数値法が、CV(x)、CI(x)、及びIリッチ領域の交点と臨界点を推定するために用いられる。この場合、Csは非常に小さな値に設定され、これは推定値の不一致を防ぐため、Iリッチ領域から0.1、Vリッチ領域から-0.1である。この条件はJ=JI(z)-JV(z)=0の臨界点付近で満たされる。臨界点での(v/G)Crは次のように表現することができる:
式(14)において、(v/G)Cr=2.23× 10-5 cm2K-1s-1でドリフト項を伴わず、(v/G)Cr=1.44× 10-5 cm2K-1s-1でドリフト項を伴う。
【0061】
(C)G0を用いることによりIリッチ領域及びVリッチ領域のCs濃度を決定
上記の第2の数値法が、広い範囲のxにわたるCS、CV(x)、及びCI(x)を推定するために用いられる。このプロセスの間、初期xendの値としてx=6が用いられる。第1の数値法のように、成長界面の終点は計算の前に一意に決定される。計算結果は始点と終点との間の内挿する定性的傾向を示す。
臨界点で、CV(x)とCI(x)の両方の濃度の曲線分布は、図4に示すように、成長界面からの距離が増加するにつれやや小さな値へ向かって減少する傾向を有する。そのような傾向はNOC法にとって非常に有用であり、残留点欠陥はG0とvを制御することにより減少させることができる。
式(7)から、CsはG0とvの関数であることが得られる。この値は、x=xendから成長界面x=0まで推定される。先ず、適切なCsが与えられ、仮のY(0)が第2の数値法を用いて推定される。このプロセスは、正しいY(0)=0.87が得られるまで繰り返される。
【0062】
(D)線形T曲線を用いてNOC成長における温度勾配の2つの段階にわたる空孔濃度CV及び格子間シリコン原子濃度CIを表現
図3に示すように、動的に成長するシリコン単結晶140の温度勾配G1とG2はNOCプロセスの間にシリコン融液130の融液面130Sで劇的に変化することから、本発明の発明者は本出願における上述した技術的課題を考慮し、境界としての融液面とは別にNOC成長におけるシリコン単結晶の温度勾配を制御する。図3に示すように、シリコン単結晶の下部140Aの液面下温度勾配G1とシリコン単結晶の上部140Bの液面上温度勾配G2がそれぞれ制御される。
中間におけるシリコン単結晶の急な温度変化を表すためにGを用いるとき、線形T曲線は有用である。Linear Tプロファイルにおいて、臨界点での(v/G)Crは次のように表現することができる:
式(15)において、z=0.5cmで(v/G)Cr=2.07× 10-5 cm2K-1s-1である。従って、G=10 Kcm-1のとき、v=0.000207 cm s-1である。Linear Tプロファイルにおいて、上記式(9)は次のように表現することができる:
具体的には、
上述した第2の数値法を用いるとき、空孔濃度CV(z)と格子間シリコン原子濃度CI(z)の全体的なプロファイルをxの関数として表現するには2つの計算段階を要する。Linear Tプロファイルにおいて、xは次のようなzの関数として表現することができる:
図4は、空孔濃度CV(z)と格子間シリコン原子濃度CI(z)との間の関係を2つの段階での温度勾配のxの関数として示し、G1=3であり、G2=10である。図4は、成長界面(x=0)からx=0.5 (z=10 cm)までのVモードと、x=0.5からx=6までのIモードを示す。Csは1.0× 1014 cm3からVモードであり、Csは0.5× 1014 cm3からVモードである。
【0063】
図4は、NOC法での2つの段階における温度勾配が3 K cm-1および10 K cm-1のときの、成長界面からの距離zに伴い変化する
の濃度分布を示すグラフである。図4に示すように、シリコン単結晶を成長するプロセスにおいて、シリコン単結晶は、空孔濃度が成長界面からの距離が増加するにつれ減少する空孔濃度分布CVを有し、格子間シリコン原子濃度が成長界面からの距離が減少するにつれ増加する格子間シリコン原子濃度分布CIを有する。液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2は制御され、空孔濃度分布と格子間シリコン原子濃度分布において、成長界面からの距離が増加するにつれ、シリコン単結晶における空孔濃度と格子間シリコン原子濃度はそれぞれ減少することで互いに近づく。
【0064】
より具体的には、図4において130Sと標記された破線はシリコン融液130の融液面130Sを表し、X軸での0は成長界面GIの位置を表す。図4におけるY軸は空孔濃度と格子間シリコン原子濃度を表す。図4から分かるように、成長プロセスにおける対消滅のため、空孔濃度と格子間シリコン原子濃度は成長界面から離れるにつれそれぞれ同時に減少し、両方がほぼゼロに到達する。
【0065】
加えて、図4に示すように、特定の時点及び位置で、空孔濃度CV(z)は平衡点Eに示すように格子間シリコン原子濃度CI(z)と等しく、濃度が等しい交点は濃度バランスポイントCeqと呼ばれる。換言すれば、この平衡点Eで、理論的に空孔濃度は格子間シリコン原子濃度と等しい。該状況下で、成長界面と交点との間の距離は臨界距離Zcである(図4におけるX軸はZcが正規化距離xであることを示す)。
【0066】
(E)交点での空孔濃度CV上のNOC成長での2つの段階における温度勾配に対するシリコン結晶長さの比の二次元分布
【0067】
空孔濃度CVと格子間シリコン原子濃度CIの曲線分布の交点の位置は、第2の数値法を用いることにより計算され、2つの段階の温度勾配はLinear Tプロファイルとして設定される。研究は、シリコン融液中の結晶シリコンの下部140Aの長さd1及びG2/G1が交点の位置に影響する重要パラメータであることを示している。シリコン融液の融液面の上の結晶シリコンの上部140Bの正規化長さx2は定数に設定される(x2=5.5)。更に、成長界面GIからの距離が遠いことから、融液面の温度はシリコン単結晶の下部140Aの長さd1が増加するにつれ減少する。
【0068】
具体的には、図5における黒点曲線は左のY軸の値に対応し、これは2つの段階の異なる温度勾配比における交点と成長界面との間の正規化距離の分布を表し、図5における白点曲線は右のY軸の値に対応し、これは2つの段階での異なる温度勾配比における交点での温度変化分布を表す。Linear Tプロファイルにおいて、界面又は融液面位置から交点までの距離Zcは、等式(18)から正規化距離Xを用いて次の等式として表現することができる:
Voronkovのプロファイルについて、次の等式を用いることができる:
図5において、d1は5 cm、G1は3 K cm-1として設定され、成長速度vは毎秒0.000144 cmとして設定される。連続成長ステップはシリコンインゴット単結晶の成長速度を調整することも含んでよく、シリコン単結晶成長ステップにおける成長速度は毎秒0.0002 cm~毎秒0.002 cmの範囲に制御されてよい。
【0069】
図5における黒点曲線と左のY軸上のその対応する値を参照されたい。本実施形態において、融液面位置と成長界面との間の臨界距離Zcの正規化値xはおよそ0.2に近い。図5おける黒点曲線と左のY軸上の値から分かるように、G2/G1が増加するにつれ臨界距離Zcは減少する。換言すれば、G2/G1が小さくなると、交点は成長界面から更に遠くなる。G2/G1が6より大きいとき、交点と成長界面との間の臨界距離Zcの正規化距離xは定数値に近く、およそ0.4と0.6の間であり、これはシリコン融液130の融液面130Sの位置に近い。
【0070】
一方、図5における白点曲線と右のY軸上のその対応する値を参照し、交点でのシリコン単結晶の温度もG2/G1の関数として示される。図5おける白点曲線と右のY軸上の値から分かるように、交点の温度はG2/G1の増加に伴い増加する。換言すれば、交点の温度はG2/G1の変化に伴い低くなり、図5の右側に示すように1590Kと1600Kの間の値により示されるように、臨界点に近い最低温度に最終的に達する。
【0071】
図6は、G1が3 K cm-1のときのG2/G1に伴い変化する交点での空孔濃度を示す概略関係図である。図6において、軸方向に沿った融液面の下のシリコン単結晶の長さd1は5 cmである。上述したように、交点で、シリコン単結晶の空孔濃度CVは格子間シリコン原子濃度CIに等しく、交点でのシリコン単結晶の空孔濃度は空孔平衡濃度Cveqと呼ばれる。図6に示すように、空孔平衡濃度CveqはG2/G1が減少するにつれ減少し、図6において、交点での最低空孔平衡濃度CveqはG2/G1が約3 K cm-1のときに現れている。該状況下で、最小空孔濃度閾値Cvminはおよそ1.0×1014と1.5×1014の間である。
【0072】
図7は、G1が6 K cm-1のときのG2/G1に伴い変化する交点での空孔濃度を示す概略関係図である。図7図6と同一の条件を有し、唯一の差異は、図6におけるG1が3 K cm-1であるのに対し図7におけるG1が6 K cm-1である点にある。図7に示すように、空孔平衡濃度CveqはG2/G1が減少するにつれ空孔濃度閾値Cvminに近づくよう減少する。更に、図7において、交点での最低空孔平衡濃度Cveqが現れるG2/G1は、約1 K cm-1まで低くなり得る。該状況下で、最小空孔濃度閾値Cvminは約0.5×1014である。
【0073】
図6図7の比較から分かるように、交点での最低空孔濃度閾値Cvminが現れる最小G2/G1は、G1が大きくなるにつれ小さくなる。例えば、G1が約3 K cm-1である図6において、交点での最低空孔濃度閾値Cvminが現れる最小G2/G1は約3である。一方、G1が約6 K cm-1である図7において、交点での最低空孔濃度閾値Cvminが現れる最低G2/G1は約1へと減少する。
【0074】
図8は、2つの段階における異なる温度勾配の下での交点の正規化距離とシリコン単結晶の液面下長さd1との間の関係を示す概略図である。図8における黒点曲線は、交点での臨界距離Zc(正規化距離Xs)が、液面上温度勾配G2が10.5 K cm-1である条件においてシリコン単結晶140の液面下長さd1が増加するにつれ減少することを示している。換言すれば、液面下長さd1が長くなるほど、交点での臨界距離Zc(正規化距離Xs)が融液面130Sに近づく。
【0075】
一方、図8において、白点曲線での条件は黒点曲線での条件と同一であるが、図8における白点曲線は、G2/G1が5.0であり液面上温度勾配G2が15 K cm-1である状態においても、交点での臨界距離Zc(正規化距離Xs)がシリコン単結晶の液面下長さd1の増加に伴い減少することを示している。図8における黒点曲線と白点曲線の傾向から、シリコン単結晶の液面下長さd1が増加するにつれ、交点での臨界距離Zcがシリコン融液130の融液面130Sに近づくことが分かる。
【0076】
加えて、図8において黒点曲線と白点曲線とを比較し、G2/G1が増加するにつれ、交点の位置がシリコン融液130の融液面130Sに近づくことが分かる。例えば、シリコン単結晶の液面下長さd1が5 cmのとき、5.0のG2/G1を有する正規化距離Xcの正規化値Xs1は、3.5のG2/G1を有する臨界距離Zcの正規化値Xs2未満である。つまり、G2/G1が大きいほど、正規化距離Xsは小さくなり、臨界距離は融液面130Sに近づく。
【0077】
上記に基づき、交点でのシリコン単結晶の空孔濃度は空孔平衡濃度Cveqと呼ばれる。図9は、G1が3 K cm-1であり、G2/G1及び液面上温度勾配G2が異なるときの、交点での空孔平衡濃度Cveqとシリコン単結晶の液面下長さd1との間の関係を示す概略図である。図9における黒点曲線を参照し、黒点曲線は、G2/G1が5.0でありG2が15 Kcm-1である状態において、シリコン単結晶の液面下長さd1が増加するにつれ、交点での空孔平衡濃度Cveqが徐々に減少することを示している。逆に、図9における白点曲線を参照し、白点曲線は、G2/G1が3.5でありG2が10.5 Kcm-1である状態において、交点での空孔平衡濃度Cveqが液面下長さd1=25cmである範囲内で僅かに低下することを示している。図9から、G2/G1が大きいほど、シリコン単結晶の液面下長さd1が増加するにつれ空孔平衡濃度Cveqの傾斜がより減少することが分かる。G2/G1が小さいほど、空孔平衡濃度Cveqの変化は比較的緩やかである傾向にある。
【0078】
加えて、図9の黒点曲線を白点曲線と比較し、G2/G1が小さくなると、交点での空孔平衡濃度Cveqが小さくなることが分かる。
【0079】
図10は、液面下温度勾配G1が6 K cm-1であり、液面上温度勾配G2が12 K cm-1であり、G2/G1が2.0である条件の下での、交点での空孔平衡濃度Cveqとシリコン単結晶の液面下長さd1との間の関係を示す概略図である。図10に示すように、シリコン単結晶の液面下長さd1の増加に伴い、空孔平衡濃度Cveqが大きく減少する。
【0080】
図9図10を比較し、液面下温度勾配G1が大きくなった場合、より小さな空孔平衡濃度Cveqを得るためにG2/G1は対応して減少されるべきであることが分かる。加えて、液面下長さd1は、シリコン融液中の低温領域の形成位置と熱電界温度勾配分布とに密接に関係する。発明者の入念な研究は、シリコンインゴット単結晶の成長ステップにおいて、成長するシリコン単結晶の温度勾配は、液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2を式(1)により定義された範囲であるG2/G1<6を満たすようG1とG2を制御するため、2つの段階に空間的に分割される必要があることを発見した。加えて、上述した条件を満たす温度勾配制御ステップは、超高品質で欠陥の少ないシリコン単結晶を汎用的に且つ再現性よく成長するため、時間と共に動的に繰り返される。
【0081】
図11は、G1が6 K cm-1であり成長速度vが0.000144 cms-1である交点での空孔平衡濃度Cveqの二次元分布を示す概略図であり、X軸は異なるG2/G1比を表し、Y軸はシリコン単結晶の液面下長さd1を表す。図11における実線は、G2/G1及びd1のための空孔平衡濃度Cveqの等濃度曲線を示している。図11に示すように、G2/G1が小さいとき、空孔平衡濃度Cveqは低い値を有する。空孔平衡濃度Cveqは、G2/G1が大きくなると高くなる傾向を有する。
【0082】
更に、図11から、G2/G1が6に近く液面下長さd1が比較的低い領域において比較的高い空孔平衡濃度Cveqが現れ、該比較的高い空孔平衡濃度Cveqは空孔濃度と格子間シリコン原子濃度は平衡を達成する可能性が低いことを意味し、対消滅を完遂することがより困難であることが分かる。このため、研究の後、発明者は、シリコン単結晶の液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2が式(1)により定義された範囲であるG2/G1<6を満たすとき、超高品質で欠陥の少ないシリコン単結晶を汎用的に且つ再現性よく成長することが可能であることを提唱する。
【0083】
一方、G2/G1が1に近く液面下長さd1が比較的長い領域において比較的低い空孔平衡濃度Cveqが現れ、該比較的長い液面下長さd1は、実行される結晶成長のため、融液面から遠い距離でシリコン単結晶が濃度平衡を維持するよう、製造プロセスの間に低温領域を融液面の下のより深い位置へとより精度よく制御する必要があることを意味する。このため、シリコン単結晶の液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2が式(2)により定義される範囲である1<G2/G1<6を更に満たすことが好ましい。上記範囲を満たすことにより、超高品質で欠陥の少ないシリコン単結晶を成長することが可能であるのみならず、プロセス制御の点で製造マージンを更に改善することができる。単結晶シリコンの液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2は、式(3)により定義される範囲である2<G2/G1<3を更に満たすことが好ましい。上記式(3)により定義される範囲が満たされるとき、良好な濃度制御結果を得ることができ、超高品質で欠陥の少ないシリコン単結を成長するために汎用性を更に改善することができる。
【0084】
本発明を通して、無欠陥領域を有する超高品質シリコンインゴット単結晶の成長を次の実施例を例として具体的に説明する。
【0085】
実施例1
実施例1において、坩堝のサイズは直径250 mmであり、シリコン原材料の重量は10 kgであった。シリコンインゴット単結晶の製造装置において、シリコン原材料を石英坩堝内に充填し、所定の位置に配置した。このケースでは、坩堝の底部の下方に、次の構造を有するプレート(直径250 mm)を予め配置した。該プレートは、環状プレートで組み立てられた直径200 mmのグラファイト製の円形の熱シールドによって形成され、環状プレートは熱伝導率の良い材料製であり、円形の熱シールドの周囲に配置されている。
【0086】
次いで、シリコン原材料を完全に溶融させるため、温度をアルゴン(Ar)雰囲気中で約1,420℃まで上昇させた。次に、坩堝の温度をSiの融点温度よりも1.5k低い温度まで下降させ、結晶成長を開始するため、Si種結晶がシリコン融液の融液面と接触するようシリコン融液の融液面に到達させた。この後には、ネッキング技術を用いることにより、結晶は種結晶からの成長された結晶の転位を受けない。
【0087】
加えて、低温領域を増加させるためシリコン融液全体の温度を下降させ、成長のための引出しを開始する前に、結晶はシリコン融液の融液面に沿ってシリコン融液の内部に向かって拡散して成長した。後続の二段階温度制御が実行される間、シリコン単結晶は継続して成長され、シリコン単結晶の上部とシリコン単結晶の下部はシリコン融液の融液面上で成長した。
【0088】
該状況下で、シリコン融液の融液面130Sの下方のシリコン単結晶の下部の液面下温度勾配を上述したシミュレーションモデルによりG1として計算し、シリコン融液の融液面130Sから露出したシリコン単結晶の上部の液面上温度勾配を上述したシミュレーションモデルによりG2として計算した。図12に示すように、液面上温度勾配G2の計算された位置を図12に示しており、液面上温度勾配G2は融液面130Sの上方の特定の長さ(通常1cm)の位置P1でのシリコン単結晶の上部140Bの温度を計算することと、融液面130Sの位置P2でのシリコン単結晶の上部140Bの温度を計算することとにより得ることができる。
【0089】
一方、液面下温度勾配G1の測定位置を図12に示しており、液面下温度勾配G1はシリコン融液130の成長界面GIの上方の特定の長さ(通常1cm)の位置P3でのシリコン単結晶の下部140Aの温度を測定することと、成長界面GIの位置P4でのシリコン単結晶の下部140Aの温度を測定することとにより得ることができる。実施例1において、測定点P1とP2との間の距離が0.7cmであることから、後述する表におけるG2のために更なる変換を行った。詳細な温度勾配G1及びG2は下方の表2にまとめている。
【0090】
この後、シリコンインゴット単結晶を、0.2 K/minの冷却速度でシリコン融液の温度を下降させつつ、低温領域を用いてシリコン融液中で成長した。結晶を所定のサイズまで成長した後、成長するにつれ、成長した無転位のシリコンインゴット単結晶を毎秒0.000144 cmの引上げ速度で引上げた。その間、シリコンインゴット単結晶はシリコン融液中で継続して成長された。
【0091】
成長プロセスの間、観察窓を通じてシリコンインゴット単結晶の縁部を観察を継続して実行することで、シリコンインゴット単結晶が坩堝壁に接触しないことを確実にした。液面下温度勾配G1と液面上温度勾配G2、並びにG2/G1を継続して制御し、成長時間は210分であった。シリコンインゴット単結晶が所定の長さに到達したとき、成長したシリコンインゴット単結晶をシリコン融液から分離するため、引出し速度を徐々に増加させ、成長を終了するためシリコンインゴット単結晶の底部を細く絞った。成長されたインゴットは、成長方向に向いて凹んだ底部を有する。
【0092】
実施例2~3
実施例2~3において、G1、G2、G2/G1を変更したことを除き、結晶成長には実施例1と同一のステップ及び条件を採用した。
【0093】
比較例1
比較例1において、G2/G1が6を超えるようG1とG2を変更したことを除き、結晶成長を実施例1と同一のステップ及び条件を採用することにより行った。
【0094】
COP欠陥評価方法
【0095】
COPを評価するための測定条件は次のとおりである:
研磨されたウェハ:完全な粒子数検査
高機能機器のCOP欠陥は基本的にゼロ。
【0096】
このため、現在半導体に採用されているシリコンインゴット単結晶のための品質要件は満たす。該状況下で、COP濃度は粒子カウンターにより検出することはできない。理論的に、シリコンインゴット単結晶において格子空孔に蓄積する0.1 μmサイズの微小欠陥のCOP濃度は107 /cm3程度であり、このようにして形成されたシリコンインゴット単結晶は欠陥がほとんどないと見なすことができる。
【0097】
上述した実施例1の製造方法に基づき製造されたシリコンインゴット単結晶は、2 kgの重量、51 mmの長さ、177 mmの最大直径を有する。更に、上述した評価設備及び評価方法によると、シリコンインゴット単結晶の頂部から約70 mmの部分から成長したシリコンインゴット単結晶はCOPを有さないことを保証することができ、つまり、既存の試験設備及び条件を採用することにより、このようにして成長されたシリコンインゴット単結晶はCOPといった測定可能な点欠陥を有さないことを保証することができる。
【0098】
加えて、実施例2~3において測定されたシリコンインゴット単結晶の重量、長さ、最大直径を下記表2にまとめている。上述した評価設備及び評価方法によると、シリコンインゴット単結晶の頂部から約70 mmの部分から成長したシリコンインゴット単結晶はCOPを有さないことを保証することができ、つまり、つまり、既存の試験設備及び条件を採用することにより、このようにして成長されたシリコンインゴット単結晶は測定可能なCOPを有さないことを保証することができる。
【0099】


表2
【0100】
このようにして、本明細書において確立された理論的根拠を用いることにより、そしてシリコン単結晶の液面上温度勾配及び液面下温度勾配を特定の関係を満たすよう二段階において制御することにより、このようにして成長されたシリコンインゴット単結晶はCOPなしに得ることができる。このため、本発明は、改善された結晶品質に貢献することのできるシリコンインゴット単結晶を製造するための方法である。
【0101】
特に、本発明は、シリコン融液の液面上温度勾配及び液面下温度勾配を二段階で制御するNOC法によってシリコンインゴット単結晶の製造方法を完全に構築しており、オペレーターは、シリコン融液の温度勾配を二段階で制御することにより、確立された点欠陥濃度関係を有するシリコンインゴット単結晶をより精密で容易に製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の方法は、無欠陥で超高品質なシリコンインゴット単結晶を効果的に成長するために適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
100:製造装置
120:坩堝
130:シリコン融液
130R:低温領域
130S:融液面
140:シリコン単結晶
140A:シリコン単結晶の下部
140B:シリコン単結晶の上部
150:引出し機構
160:種結晶
170:温度勾配コントローラ
180:断熱材
d1、d2:長さ
GI:成長界面
G1:液面下温度勾配
G2:液面上温度勾配
Tm:融点
Ts:温度
E:平衡点
X、Y:軸
P1、P2、P3、P4:測定点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12