(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/702 20230101AFI20240723BHJP
H04N 25/76 20230101ALI20240723BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H04N25/702
H04N25/76
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2022204534
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520510612
【氏名又は名称】ゼタテクノロジーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520510623
【氏名又は名称】広東京之映科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊介
(72)【発明者】
【氏名】野房 勇希
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150267(JP,A)
【文献】特開2021-121123(JP,A)
【文献】国際公開第2022/064853(WO,A1)
【文献】特開2018-201015(JP,A)
【文献】特開2012-124377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/702
H04N 25/76
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、
前記位相差検出画素群は、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成され、
前記画素部において、
異色画素間にだけ前記遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の間だけ前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている
固体撮像装置。
【請求項2】
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、
前記位相差検出画素群は、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成され、
前記画素部において、
すべての画素間に前記遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の間だけ前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている
固体撮像装置。
【請求項3】
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、
前記位相差検出画素群は、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成され、
前記画素部において、
すべての画素間に前記遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素内には前記遮光膜は形成されておらず、
前記位相差検出画素と通常画素の間だけ前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている
固体撮像装置。
【請求項4】
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、
前記位相差検出画素群は、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成され、
前記画素部において、
すべての画素間に前記遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素内には、画素配列の第1方向および前記第1方向に直交する第2方向のいずれか一方の方向における位相差検出画素間に遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の間だけ前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている
固体撮像装置。
【請求項5】
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部の膜幅が他の画素間領域の遮光膜または素子分離部より厚く形成されて遮光能力が強化されている
請求項1から4のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、
前記位相差検出画素群は、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成され、
前記位相差検出画素群は、
前記通常画素群の前記画素ユニットを形成する画素の数より多い数の同色の位相差検出画素を含んで形成されている
固体撮像装置。
【請求項7】
前記位相差検出画素群は、
前記通常画素群に隣接して配置されている少なくとも2つの画素ユニットを、第1方向および前記第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれか一方の方向に延設するようにして形成されている
請求項6記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記位相差検出画素群は、
配置方向の中央領域における複数の位相差検出画素のうち少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記中央領域における少なくとも一つの位相差検出画素により取得した位相差検出信号と他の同色の画素により取得した信号を同じ読み出しノードに読み出し可能である
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記位相差検出画素群は、
前記共有型マイクロレンズによる光が入射される一対の第1組の位相差検出画素と第2組の位相差検出画素を含み、
前記第1組の位相差検出画素から読み出された位相差検出信号と前記第2組の位相差検出画素から読み出された位相差検出信号とは異なる読み出しノードに読み込まれる
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する前記光電変換部としての光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される前記読み出しノードとしてのフローティングディフュージョンと、を含み、
前記位相差検出画素群においては、
前記位相差検出信号を取得するための前記中央領域における少なくとも一つの位相差検出画素と、前記信号を取得するための端部領域における画素は、前記フローティングディフュージョンを共有する共有構造を有する
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素群においては、
前記位相差検出信号を取得するための前記中央領域における少なくとも一つの位相差検出画素と、前記信号を取得するための端部領域における画素間の境界部に、不要な光の入射を防止する遮光膜が端部領域における画素に空間的に重なるように形成されている
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記位相差検出画素群において、
前記遮光膜は、画素配列の第1方向の縁部の膜厚が第2方向の縁部の膜厚より厚く形成されている
請求項11記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記位相差検出画素群は、
前記通常画素群に隣接して配置されている2つの第1の画素ユニットおよび第2の画素ユニットを第1方向および前記第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれか一方の方向に延設するようにして形成され、
前記位相差検出画素群において、
前記第1の画素ユニットは、
第1の同色画素、第2の同色画素、第3の同色画素、および第4の同色画素の4つが、
第1方向または第2方向に、前記第1の同色画素と前記第2の同色画素が隣接するとともに、前記第3の同色画素と前記第4の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1の同色画素と前記第3の同色画素が隣接するとともに、前記第2の同色画素と前記第4の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記第2の画素ユニットは、
第5の同色画素、第6の同色画素、第7の同色画素、および第8の同色画素の4つが、
第1方向または第2方向に、前記第5の同色画素と前記第6の同色画素が隣接するとともに、前記第7の同色画素と前記第8の同色画素が隣接し、
前記第1方向または第2方向に直交する第2方向または第1方向に、前記第5の同色画素と前記第7の同色画素が隣接するとともに、前記第6の同色画素と前記第8の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記第1の画素ユニットと前記第2の画素ユニットは、
第1方向または第2方向に、前記第2の同色画素と前記第5の同色画素が隣接するとともに、前記第4の同色画素と前記第7の同色画素が隣接するように配列され、
前記中央領域の画素ユニットは、
前記第1の画素ユニットの第2の同色画素、第4の同色画素、並びに、前記第2の画素ユニットの第5の同色画素、および第7の同色画素の4つが正方配列されて形成されている
請求項8記載の固体撮像装置。
【請求項14】
前記位相差検出画素群は、
前記第1の画素ユニットおける第1の同色画素、第2の同色画素、第3の同色画素、および第4の同色画素の4つが、第1の読み出しノードとしての第1のフローティングディフュージョンを共有する第1の共有構造と、
前記第2の画素ユニットにおける第5の同色画素、第6の同色画素、第7の同色画素、および第8の同色画素の4つが、第2の読み出しノードとしての第2のフローティングディフュージョンを共有する第2の共有構造と、を有する
請求項13記載の固体撮像装置。
【請求項15】
前記中央領域の画素ユニットにおいては、
一つの前記共有型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第2の同色画素の光電変換部、前記第4の同色画素の光電変換部、並びに、前記第2の画素ユニットの前記第5の同色画素の光電変換部、および前記第7の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置されている
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項16】
前記中央領域の画素ユニットにおいて、
前記第2の同色画素の光電変換部と前記第4の同色画素の光電変換部間、前記第5の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間、前記第2の同色画素の光電変換部と前記第5の同色画素の光電変換部間、前記第4の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に、素子分離部が形成されている
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項17】
前記中央領域の画素ユニットにおいて、
前記第2の同色画素の光電変換部と前記第4の同色画素の光電変換部間、前記第5の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に素子分離部が形成されず、前記第2の同色画素の光電変換部と前記第5の同色画素の光電変換部間、前記第4の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に、素子分離部が形成されている
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項18】
前記中央領域の画素ユニットにおいて、
前記第2の同色画素の光電変換部と前記第4の同色画素の光電変換部間、前記第5の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に素子分離部が形成されず、前記第2の同色画素の光電変換部と前記第5の同色画素の光電変換部間、前記第4の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に、素子分離部が形成されていない
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項19】
前記中央領域の画素ユニットにおいては、
第1の共有型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第2の同色画素の光電変換部と前記第2の画素ユニットの前記第5の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置され、
第2の共有型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第4の同色画素の光電変換部と前記第2の画素ユニットの前記第7の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置されている
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項20】
前記中央領域の画素ユニットにおいて、
前記第2の同色画素の光電変換部と前記第4の同色画素の光電変換部間、前記第5の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間、前記第2の同色画素の光電変換部と前記第5の同色画素の光電変換部間、前記第4の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に、素子分離部が形成されている
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項21】
前記中央領域の画素ユニットにおいて、
前記第2の同色画素の光電変換部と前記第4の同色画素の光電変換部間、前記第5の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に素子分離部が形成され、前記第2の同色画素の光電変換部と前記第5の同色画素の光電変換部間、前記第4の同色画素の光電変換部と前記第7の同色画素の光電変換部間に、素子分離部が形成されていない
請求項
13記載の固体撮像装置。
【請求項22】
前記位相差検出画素群において、
第1の個別型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第1の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置され、
第2の個別型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第3の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置され、
第3の個別型マイクロレンズが、
前記第2の画素ユニットの前記第6の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置され、
第4の個別型マイクロレンズが、
前記第2の画素ユニットの前記第8の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置されている
請求項13記載の固体撮像装置。
【請求項23】
前記位相差検出画素群において
、
第1の端部領域を形成する前記第1の画素ユニットの前記第1の同色画素および前記第3の同色画素と、前記中央領域の画素ユニットの前記第2の同色画素および前記第4の同色画素との第1の境界部
から第1の端部に向かって前記第1の個別型マイクロレンズおよび前記第2の個別型マイクロレンズに空間的に重なるように、不要な光の入射を防止する第1の遮光膜が形成され
、
第2の端部領域を形成する前記第2の画素ユニットの前記第6の同色画素および前記第8の同色画素と、前記中央領域の画素ユニットの前記第5の同色画素および前記第7の同色画素との第2の境界部から
前記第1の端部とは反対方向である第2の端部に向かって前記第3の個別型マイクロレンズおよび前記第4の個別型マイクロレンズに空間的に重なるように、不要な光の入射を防止する第2の遮光膜が形成されている
請求項22記載の固体撮像装置。
【請求項24】
第1の共有型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第1の同色画素の光電変換部、前記第2の同色画素の光電変換部、前記第3の同色画素の光電変換部、および前記第4の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置され、
第2の共有型マイクロレンズが、
前記第2の画素ユニットの前記第5の同色画素の光電変換部、前記第6の同色画素の光電変換部、前記第7の同色画素の光電変換部、および前記第8の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置され、
請求項14記載の固体撮像装置。
【請求項25】
前記位相差検出画素群の外縁部における通常画素との境界部には、他の画素間領域の遮光膜より膜幅が厚い遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素群には、
前記位相差検出画素群を形成するすべての前記位相差検出画素の光電変換部に光を入射する一つの共有型マイクロレンズを含む
請求項7記載の固体撮像装置。
【請求項26】
前記位相差検出画素群において、
前記遮光膜は、膜厚が外縁部全体にわたって一様である
請求項25記載の固体撮像装置。
【請求項27】
前記位相差検出画素群は、
前記通常画素群に隣接して配置されている2つの第1の画素ユニットおよび第2の画素ユニットを第1方向および前記第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれか一方の方向に延設するようにして形成され、
前記位相差検出画素群において、
前記第1の画素ユニットは、
第1の同色画素、第2の同色画素、第3の同色画素、および第4の同色画素の4つが、
第1方向または第2方向に、前記第1の同色画素と前記第2の同色画素が隣接するとともに、前記第3の同色画素と前記第4の同色画素が隣接し、
前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1の同色画素と前記第3の同色画素が隣接するとともに、前記第2の同色画素と前記第4の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記第2の画素ユニットは、
第5の同色画素、第6の同色画素、第7の同色画素、および第8の同色画素の4つが、
第1方向または第2方向に、前記第5の同色画素と前記第6の同色画素が隣接するとともに、前記第7の同色画素と前記第8の同色画素が隣接し、
前記第1方向または第2方向に直交する第2方向または第1方向に、前記第5の同色画素と前記第7の同色画素が隣接するとともに、前記第6の同色画素と前記第8の同色画素が隣接するように正方配列され、
前記第1の画素ユニットと前記第2の画素ユニットは、
第1方向または第2方向に、前記第2の同色画素と前記第5の同色画素が隣接するとともに、前記第4の同色画素と前記第7の同色画素が隣接するように配列されている
請求項25記載の固体撮像装置。
【請求項28】
前記位相差検出画素群において、
一つの前記共有型マイクロレンズが、
前記第1の画素ユニットの前記第1の同色画素の光電変換部、前記第2の同色画素の光電変換部、前記第3の同色画素の光電変換部、前記第4の同色画素の光電変換部、並びに、前記第2の画素ユニットの前記第5の同色画素の光電変換部、前記第6の同色画素の光電変換部、前記第7の同色画素の光電変換部、および前記第8の同色画素の光電変換部に光を入射するように配置されている
請求項27記載の固体撮像装置。
【請求項29】
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載されている固体撮像装置の製造方法であって、
前記位相差検出画素群の形成工程において、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを形成し、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜を形成し、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部を形成し、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するように形成し、
前記画素部において、
異色画素間にだけ前記遮光膜を形成し、
前記位相差検出画素と通常画素の間だけ前記
遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するように形成する
固体撮像装置の製造方法。
【請求項30】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、
前記画素部においては、
隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、
焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、
前記位相差検出画素群は、
少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、
前記画素部において、
前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、
少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成され、
前記画素部において、
異色画素間にだけ前記遮光膜が形成され、
前記位相差検出画素と通常画素の間だけ前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色フィルタやシアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの4色補色フィルタを用いてカラー画像を撮像する。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサにおいて、画素(ピクセル)は個別にカラーフィルタを備えている。フィルタとしては、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタ、主として緑色光を透過させる緑(Gr,Gb)フィルタ、および主として青色光を透過させる青(B)フィルタを含む。
各カラーフィルタを含む画素ユニットが正方配列されて1つの画素群が形成され、複数の画素群が2次元状に配列されて画素部の画素アレイが形成される。
このカラーフィルタ配列としては、ベイヤ配列が広く知られている。また、たとえば各画素に対してマイクロレンズが形成されている。
また、高感度化や高ダイナミックレンジ化を図るために、ベイヤ配列の各画素ユニットを複数の同色画素により形成したCMOSイメージセンサも提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
【0005】
このようなCMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0006】
特に近年、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)に搭載するイメージセンサの小型化・多画素化が進み、画素サイズも1μmを切るサイズが主流となりつつある。
多画素化、微細化による高解像度化を維持し、かつ、画素ピッチ縮小による感度やダイナミックレンジの低下を抑制するため、隣接した複数の同色画素をたとえば4画素ずつ配置し、解像度を追求する際には個別の画素信号を読み出し、高感度やダイナミックレンジ性能を必要とする局面では同色の画素の信号を加算して読み出す手法が一般的に採用されている。
そして、このCMOSイメージセンサは、たとえば画素ユニットの隣接する複数(2、4または9)の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する。
【0007】
この複数の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、画素に距離情報が存在し、PDAF(Phase Detection Auto Focus)機能を持つことが可能である。
なお、このCMOSイメージセンサにおいては、画素アレイに、PDAF(位相検出オートフォーカス)画素が同色で形成されていることから、通常の撮影モードでは、これらのPDAF画素の感度・シェーディング等を補正する必要がある。
【0008】
図1は、4つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有あし、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である(たとえば特許文献3参照)。
【0009】
図1の画素群1は、Gr画素の画素ユニットPU1、R画素の画素ユニットPU2、B画素の画素ユニットPU3、およびGb画素の画素ユニットPU4がベイヤ配列されている。
画素ユニットPU1は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gr)の4画素PXGrA,PXGrB,PXGrC,PXGrDが配置されている。画素ユニットPU1において、4画素PXGrA,PXGrB,PXGrC,PXGrDに対して1つのマイクロレンズMCL1が配置されている。
画素ユニットPU2は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(R)の4画素PXRA,PXRB,PXRC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU2において、4画素PXRA,PXRB,PXRC,PXRDに対して1つのマイクロレンズMCL2が配置されている。
画素ユニットPU3は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(B)の4画素PXBA,PXBB,PXBC,PXBDが配置されている。画素ユニットPU3において、4画素PXBA,PXBB,PXBC,PXBDに対して1つのマイクロレンズMCL3が配置されている。
画素ユニットPU4は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gb)の4画素PXGbA,PXGbB,PXGbC,PXGbDが配置されている。画素ユニットPU4において、4画素PXGbA,PXGbB,PXGbC,PXGbDに対して1つのマイクロレンズMCL4が配置されている。
【0010】
この第1の固体撮像装置は、隣接する2つの画素が同時にPDAFピクセルとして機能するため、低照度時のPDAFパフォーマンスが高くなる。
【0011】
図2は、2つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である(たとえば特許文献4参照)。
【0012】
図2の画素群1aは、
図1と同様に、Gr画素の画素ユニットPU1、R画素の画素ユニットPU2、B画素の画素ユニットPU3、およびGb画素の画素ユニットPU4がベイヤ配列されている。
画素ユニットPU1は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gr)の4画素PXGrA,PXGrB,PXGrC,PXGrDが配置されている。画素ユニットPU1において、4画素PXGrA,PXGrB,PXGrC,PXGrDに対してそれぞれマイクロレンズMCL01,MCL02,MCL03,MCL04が配置されている。
画素ユニットPU2は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(R)の4画素PXRA,PXRB,PXRC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU2において、4画素PXRA,PXRB,PXRC,PXRDに対してそれぞれマイクロレンズMCL11,MCL12,MCL13,MCL14が配置されている。
【0013】
画素ユニットPU3は、隣接する複数、同色(B)の4画素PXBA,PXBB,PXBC,PXBDのうちB画素PXBBに代えてG画素PXGBが配置されている。そして、画素ユニットPU3において、3画素PXBA,PXBC,PXBDに対してそれぞれ1つのマイクロレンズMCL21,MCL23,MCL24が配置されている。
画素ユニットPU4は、隣接する複数、2×2の同色(Gb)の4画素PXGbA、PXGbB,PXGbC,PXGbDが配置されている。画素ユニットPU4において、3画素PXGbB,PXGbC,PXGbDに対してそれぞれ1つのマイクロレンズMCL32,MCL33,MCL34が配置されている。
【0014】
そして、
図2の第2の固体撮像装置においては、画素ユニットPU3の画素PXGBと画素ユニットPU4の画素PXGbAに対し画素ユニットをまたがってマイクロレンズMCL35が配置され、PDAF機能を持つように構成されている。
【0015】
この第2の固体撮像装置においては、PDAF画素として機能するのは1対の画素のみであるため、低照度PDAFのパフォーマンスは低くなる傾向にあるが、光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高くなる。
【0016】
また、第3の固体撮像装置として、各画素ユニットにおいては各画素に対してそれぞれマイクロレンズが配置され、画素配列中の特定の画素ユニット、たとえばB画素4つに代えてG画素4つを有する画素ユニットにおいて4画素に対して1つのマイクロレンズが配置され、PDAF機能を持つように構成されたものが知られている(たとえば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開平11-298800号公報
【文献】特許第5471117号
【文献】US 9793313 B2
【文献】US 10249663 B2
【文献】US 9807294 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、
図1の固体撮像装置においては、隣接する2つの画素が同時にPDAF画素として機能するため、位相差画素自体の感度が高くなり、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなる一方、光学中心部の遮光面積の増大により、通常画素(通常撮影時の)の感度低下や、隣接画素との混色が増加するといった不利益がある。
【0019】
また、
図2の固体撮像装置においては、低照度被写体撮影時のオートフォーカス機能が劣化する課題がある。但し、各通常画素では画素と1対1でマイクロレンズが形成されているため、集光中心における遮光膜のよる集光損失や散乱が少ない。また、通常画素・位相差画素で2種類のため通常画撮影時の感度・隣接画素との混色は良好である。
【0020】
また、上記第3の固体撮像装置においては、隣接する2つの画素が同時にPDAF画素として機能するため、低照度のPDAFパフォーマンスが高くなり、光学中心の遮光面積が小さいため、周辺部の遮光特性や感度比特性が高いという利点があるものの、以下の不利益がある。
この構成は2種類の異なるレンズ形状が必要なため、感度のばらつきが大きくなる。
また、PDAF画素部分が青(B)から緑(G)に置き換わるため、色補正が必要になり、青(B)の解像度が低下してしまう。
【0021】
さらに、画素サイズの小型化、微細化に伴う課題について考察する。
前述したように、近年、スマートフォンなどのカメラセットの小型化に伴い、画素サイズの小型化が進んでいる。感度劣化を改善するためには、同一色の複数の画素が隣接する画素配列が主流となっている。
一方、カメラセットのオートフォーカスの手法は、合焦速度の速いPDAF方式が主流となっている。スマートフォン用の微細画素では、隣接する2つ、または4つのピクセル上に共通のマイクロレンズを形成することで位相差検出機能を付与する方式が主流である。
【0022】
ところが、上記の従来の方式では、オートフォーカスに使える画素の数はせいぜい1画素か2画素であり、画素の微細化に伴いオートフォーカス時の感度の低下が課題となってきている。
【0023】
また、この合焦時の感度改善のため、該当位相差画素に比較的近い他の位相差画素の信号を信号処理時に加算する手法も開発されているが、加算処理の増加に伴うフレームレートの低下を伴う。この方式では加算する同位相の画素間の距離は離れることによるオートフォーカス性能(測距性能)が低下し、近づけると信号補正時の補正痕が課題となるというトレードオフオフの関係となり、オートフォーカス性能と画質(補正痕無し)の両立が難しいといった課題がある。
【0024】
さらに、オートフォーカスに関連する課題について述べる。
たとえば、上述したような第3の固体撮像装置においては、画素配列中の特定の画素ユニット、たとえばB画素4つに代えてG画素4つを有する画素ユニットが、通常画素領域の通常画素ユニットと同等の位相差検出画素として形成され、G画素4つを有する画素ユニットにおいて4画素に対して1つのマイクロレンズが配置され、PDAF機能を持つように構成される。
また、たとえば
図2の固体撮像装置においては、位相差検出画素を含む領域では、同一のフローティングディフュージョンFDに2色以上の信号を読み出す必要がある。
【0025】
ところが、いずれの場合も、オートフォーカス制御のための位相差検出信号と通常画素の画素信号を同時並列的に読み出すことができないために、特に画素加算時の位相差駆動を伴うフレームレートが遅くなるという不利益がある。
【0026】
また、画素部の画素アレイにおいては、画素間のクロストーク等を抑止するために、画素間の境界部には不要の光の入射を防止する素子分離機能を遮光膜が形成され、画素の光電変換分には、光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成されている。
【0027】
ところが、微細化画素においては、画素間のクロストークを十分に抑制することが困難となっている。
特に、位相差検出画素と通常画素の境界部、位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで遮光膜または素子分離部においては、遮光能力が十分とは言い難く、画素間のクロストークを十分に抑制することが困難で、混色の発生を抑制することが困難である。
【0028】
本発明は、混色の発生を抑制でき、微細化画素においても位相差検出画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能で、しかも位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部においては、隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、前記位相差検出画素群は、少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、前記画素部において、前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、前記位相差検出画素と前記通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている。
【0030】
本発明の第2の観点は、光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部においては、隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載されている固体撮像装置の製造方法であって、前記位相差検出画素群の形成工程において、少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを形成し、前記画素部において、前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜を形成し、少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部を形成し、前記位相差検出画素と前記通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するように形成する。
【0031】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換部を含む複数の画素がアレイ状に配置された画素部を有し、前記画素部においては、隣接する複数の同色画素を含む複数の画素ユニットにより形成される通常画素群と、焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群と、が混載され、前記位相差検出画素群は、少なくとも2つの位相差検出画素の光電変換部に光を入射する少なくとも一つの共有型マイクロレンズを含み、前記画素部において、前記画素間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜が形成され、少なくとも一部の前記画素の前記光電変換部には、当該光電変換部を複数に分離しつつ遮光する素子分離部が形成され、前記位相差検出画素と前記通常画素の境界部、前記位相差検出画素群内の画素境界部のうちの少なくともいずれかで前記遮光膜または前記素子分離部は、遮光能力を強化するようにして形成されている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、混色の発生を抑制でき、微細化画素においても位相差検出画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となる。
また、本発明によれば、位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】4つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である。
【
図2】2つの同色画素で一つのマイクロレンズを共有し、かつ、PDAF機能を有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る画素部における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第1の形成例について説明するための図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る画素部における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第2の形成例について説明するための図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る画素部における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第3の形成例について説明するための図である。
【
図8】本発明の第4の実施形態に係る画素部における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第4の形成例について説明するための図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する画素群の一例を抽出して示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群の一例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る位相差検出画素群の画素配列の一例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群およびその隣接領域の一例を示す簡略断面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の一例を示す図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの一例を示す回路図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る画素部の画素アレイにおける位相差検出画素群の形成例を示す図である。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群およびその隣接領域の一例を示す簡略断面図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態に係る画素部の画素アレイにおける位相差検出画素群の形成例を示す図である。
【
図19】本発明の第4の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【
図20】本発明の第5の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【
図21】本発明の第6の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【
図22】本発明の第7の実施形態に係る画素部の画素アレイにおける位相差検出画素群の形成例を示す図である。
【
図23】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0035】
この固体撮像装置10は、
図3に示すように、画素アレイを含む画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
また、これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し駆動制御部70が構成される。
【0036】
本第1の実施形態の固体撮像装置10において、
図4に示すように、画素部20は、光電変換部(PD)を含む複数の画素PXがアレイ状(マトリクス状)に配置されて形成されている。
本第1の実施形態の画素部20においては、隣接する複数(本例では4つ)の同色画素PXを含む複数(本例では4)の画素ユニットPUにより形成される画素群PXG11,PXG112,PXG13,PXG14が2×2のマトリクス状に配置されている。
より具体的には、本第1の実施形態の画素部20においては、隣接する複数(本例では4つ)の同色画素PXを含む複数(本例では4)の画素ユニットPUにより形成される通常画素群NPXGと、焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群PDXGと、が混載されて構成されている。
【0037】
図4の例では、後述するように、画素群PXG11,PXG12,PXG14が通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14として適用され、画素群PXG13の一部が位相差検出画素群PDXG10として援用されている。
【0038】
本第1の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10は、一例として通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の画素ユニットPUを形成する画素NPXの数(4)より多い数(5以上、本例では8)の同色(本例では緑色(G))の位相差検出画素PDPXを含んで形成されている。
【0039】
なお、本第1の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10は、他の例として、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の画素ユニットPUを形成する画素NPXの数(4)と同数(4)の同色(本例では緑色(G))の位相差検出画素PDPXを含んで形成されていてもよい。この場合、4つの画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された1つの共有型マイクロレンズCMCL10が配置される。
【0040】
さらに、本第1の実施形態の通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14においては、各画素ユニットPUを形成する各画素NPXに対して平面視して略円形をなすように形成された1つの個別型マイクロレンズPMCL20が配置されている。
これに対して、位相差検出画素群PDXG10は、位相差検出画素群を形成する配置方向の中央領域ACTRにおける4つの位相差検出画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された1つの共有型マイクロレンズCMCL10と、配置方向の端部領域AEDGにおける4つの画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された4つの個別型マイクロレンズPMCL20が配置されている。
【0041】
位相差検出画素群PDXG10は、たとえば、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14に隣接して配置されている2つの画素ユニットPU211,PU212を第1方向および第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれか一方の方向(本実施形態では第1方向、X方向)に延設するようにして形成されている。
【0042】
2つの画素ユニットPU211,PU212は、同色(G)の画素ユニットとして形成されている。
【0043】
位相差検出画素群PDXG10は、複数(ここでは8)の同色画素がマトリクス状に、第1方向(X方向)および第1方向に直交する第2方向(Y方向)の少なくともいずれか一方の方向(本例ではX方向)に延設するようにして、2×4のマトリクス状に形成されている。
【0044】
そして、位相差検出画素群PDXG10は、配置方向の中央領域ACTRにおける少なくとも一つの位相差検出画素PDPXにより取得した位相差検出信号と配置方向の端部領域AEDGにおける画素PXにより取得した信号を同じ(共通の)読み出しノードとしてのフローティングディフュージョンFD11(あるいはFD12)に読み出し可能である。
【0045】
また、本実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、共有型マイクロレンズCMCL10による光が入射される一対の第1組の位相差検出画素PDPX1と第2組の位相差検出画素PDPX2を含み、第1組の位相差検出画素PDPX1から読み出された位相差検出信号と第2組の位相差検出画素PDPX2から読み出された位相差検出信号とは異なる読み出しノードとしての第1のフローティングディフュージョンFD11および第2のフローティングディフュージョンFD12に読み込まれる。
【0046】
さらに、本実施形態の画素部20において、画素PX間の境界部には不要な光の入射を防止する遮光膜SLDFが形成されている。
そして、位相差検出画素群PDXG10においては、位相差検出信号を取得するための中央領域ACTRにおける少なくとも一つの位相差検出画素PDPXと、信号を取得するための端部領域AEDGにおける検出画素DPX間の境界部に、不要な光の入射を防止する遮光膜SLDF20が端部領域AEDGにおける検出画素DPXの略全部の領域に亘って空間的に重なるように形成されている。
換言すると、端部領域AEDGにおける検出画素DPX上であって、中央領域ACTRにおける境界部BDRから端部に向かって、端部領域AEDGの略全部の領域に亘って、不要な光の入射を防止する遮光膜SLDF20が個別型マイクロレンズPMCL20等と空間的に重なるように形成されている。
【0047】
また、本実施形態では、混色やブルーミングを抑制するために、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部のうちの少なくともいずれか一方で遮光膜SLDFの幅が、遮光能力を強化するために他の領域より太く(厚く、広く)形成されている。
【0048】
ここで、本第1の実施形態に係る画素部20における遮光膜SLDFあるいは遮光能力を有する素子分離部EPSLの遮光能力を強化する形成例について説明する。
ここでは、遮光膜または素子分離部の遮光能力を強化する4つの形成例について
図5から
図8に関連付けて説明する。
なお、ここでは、位相差検出画素群PDXG10については、図面等の簡単化のため、基本的な構成として通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の画素ユニットPUを形成する画素NPXの数(4)と同数(4)の同色(本例では緑色(G))の位相差検出画素PDPXを含んで形成され、4つの画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された1つの共有型マイクロレンズCMCL20が配置されているものとする。
【0049】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る画素部20-1における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第1の形成例について説明するための図である。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る画素部20-2における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第2の形成例について説明するための図である。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る画素部20-3における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第3の形成例について説明するための図である。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る画素部20-4における遮光膜あるいは遮光能力を有する素子分離部の遮光能力を強化する第4の形成例について説明するための図である。
【0050】
本第1の実施形態に係る画素部20において、画素PX間の境界部BDRには不要な光の入射を防止する遮光膜SLDF10が形成され、少なくとも一部の画素PXの光電変換部PDには、光電変換部PDを複数に分離しつつ遮光する素子分離部ESPLが形成されている。
画素部20において、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部BRD1、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部BRD2のうちの少なくともいずれかで遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLは、遮光能力を強化するようにして形成されている。
【0051】
図5の第1の形成例では、画素部20-1において、異色画素間、たとえばR画素とG画素間、B画素とG画素間にだけ遮光膜SLDFが形成され、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの間だけ遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLが、遮光能力を強化するように膜を太く(厚く、広く)して形成されている。
【0052】
図6の第2の形成例では、画素部20-2において、すべての画素PX間に遮光膜SLDFが形成され、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの間だけ遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLが、遮光能力を強化するように膜を太く(厚く、広く)して形成されている。
【0053】
図7の第3の形成例では、画素部20-3において、すべての画素PX間に遮光膜SLDFが形成され、位相差検出画素PDPX内には遮光膜SLDFは形成されておらず、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの間だけ遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLが、遮光能力を強化するように膜を太く(厚く、広く)して形成されている。
【0054】
図8の第4の形成例では、画素部20-4において、すべての画素PX間に遮光膜SLDFが形成され、位相差検出画素DPDX内には、画素配列の第1方向(X方向)および第1方向に直交する第2方向(Y方向)のいずれか一方の方向における位相差検出画素PDPX間に遮光膜SLDFが形成され、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの間だけ遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLが、遮光能力を強化するように膜を太く(厚く、広く)して形成されている。
【0055】
このように、本第1の実施形態に係る画素部20において、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部BDR1、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部BDR2のうちの少なくともいずれかで遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLの膜幅が他の画素間領域の遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLより厚く(太く、広く)形成されて遮光能力が強化されている。
【0056】
また、本第1の実施形態に係る画素部20において、位相差検出画素群PDXG10は、好適な構成例として、通常画素NPXG群の画素ユニットPUを形成する画素の数(4)より多い数(本例では5以上の8)の同色の位相差検出画素PDPXを含んで形成される。
【0057】
なお、以上に構成等の概要について述べた位相差検出画素群PDXG10の具体的な構成例等については、後で説明する。
【0058】
以上のように、本実施形態では、画素部20において、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14は、第1の同色画素ユニットPU111、第2の同色画素ユニットPU112、第3の同色画素ユニットPU113、および第4の同色画素ユニットの4つが、第1方向に、第1の同色画素ユニットPU111と第2の同色画素ユニットPU112が隣接するとともに、第3の同色画素ユニットPU113と第4の同色画素ユニットPU114が隣接し、第1方向に直交する第2方向に、第1の同色画素ユニットPU111と第3の同色画素ユニットPU113が隣接するとともに、第2の同色画素ユニットPU112と第4の同色画素ユニットPU114が隣接するように正方配列されている。
そして、第1の同色画素ユニットPU111、第2の同色画素ユニットPU112、第3の同色画素ユニットPU113、および第4の同色画素ユニットPU114のそれぞれは、画素ユニットPUを形成する複数の同色の通常画素NPXが、q×q(qは2以上の正の整数)のマトリクス状に配列され、通常画素NPXごとに、通常画素NPXの光電変換部に光を入射する個別型マイクロレンPMCL1がそれぞれ形成されている。
あるいは、第1の同色画素ユニットPU111、第2の同色画素ユニットPU112、第3の同色画素ユニットPU113、および第4の同色画素ユニットPU114のそれぞれは、画素ユニットPUを形成する複数の同色の通常画素NPXが、q×q(qは2以上の正の整数)のマトリクス状に配列され、各画素ユニットの4通常画素NPXに対して1つの共有型のマイクロレンズCMCL20が配置されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の第1の同色画素ユニットPU111および第4の同色画素ユニットPU114を形成する通常画素NPX、並びに、位相差検出画素群PDXG10内の位相差検出画素ユニットPU211,PU212を形成する位相差検出画素PDPXは、同色の画素(たとえば緑色(G))により形成されている。
【0060】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0061】
通常のピクセル読み出し動作においては、読み出し制御系の垂直走査回路30による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われる。
【0062】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0063】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0064】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、信号処理回路に出力する。
【0065】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0066】
なお、本実施形態においては、読み出し駆動制御部70の制御の下、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の通常画素NPXの画素信号、並びに、位相差検出画素群PDXG10の位相差検出画素PDPXによる位相差情報を全て加算して読み出し可能に構成されている。
【0067】
以下、固体撮像装置10の画素部20、並びに、画素部20における複数の同色画素(本例では同色の4画素)を含む画素ユニット、通常画素群、位相差検出画素群等の具体的な構成、配置等、並びに、各部の構成および機能の概要について説明する。
【0068】
(画素部20の画素アレイ200、画素群PXG、画素ユニットPU、位相差検出画素群PDXG10の構成例)
図4は、本発明の第1の実施形態に係る画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する画素群の一例を抽出して示す図である。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群の一例を示す図である。
図11は、本発明の第1の実施形態に係る位相差検出画素群の画素配列の一例を示す図である。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群およびその隣接領域の一例を示す簡略断面図である。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の一例を示す図である。
図14は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの一例を示す回路図である。
【0069】
なお、本実施形態において、第1方向は、たとえば複数の画素が行列状に配列される画素部20の列方向(水平方向、X方向)または行方向(垂直方向、Y方向)または斜め方向である、
以下の説明では、一例として、第1方向は列方向(水平方向、X方向)とする。これに伴い第2方向は行方向(垂直方向、Y方向)とする。
【0070】
画素部20は、フォトダイオード(光電変換部)と画素内アンプとを含む複数の画素PXが2次元の行列状(マトリクス状)に配列されて画素アレイ200が形成されている。
【0071】
上述したように、画素部20は、
図4に示すように、光電変換を行う複数の同色画素(PX)を含む画素ユニット(PU)がアレイ状(
図4の例ではマトリクス状)に配置されて形成されている。
画素部20においては、隣接する複数(本例では4つ)の同色画素PXを含む複数(本例では4)の画素ユニットPUにより形成される画素群PXG11,PXG12,PXG13,PXG14が2×2のマトリクス状に配置されている。
より具体的には、画素部20は、隣接する複数(本例では4つ)の同色画素PXを含む複数(本例では4)の画素ユニットPUにより形成される通常画素群NPXGと、焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群PDXG10と、が混載されて構成されている。
【0072】
図4の例では、後述するように、画素群PXG11,PXG12,PXG14が通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14として適用され、画素群PXG13の一部が位相差検出画素群PDXG10として援用されている。
【0073】
画素PXは、基本的には、フォトダイオードと複数の画素トランジスタを含んで構成される。複数の画素トランジスタとしては、たとえば転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅機能を有するソースフォロワトランジスタ、選択トランジスタを含む。
ただし、本第1の実施形態では、一例として、
図9および
図14に示すように、画素ユニットPUの4つの同色画素PXで1つのフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)を共有する4画素共有構成が採用されている。
具体的には、後で詳述するように、4つの色画素PX11,PX12,PX13,PX14で、フローティングディフュージョンFD11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
また、共有されるフローティングディフュージョンFD11は、たとえば任意の画素の感度値の補正の際に、補正で参照する同じ画素ユニットPUの複数の画素から読み出す画素信号の加算部として機能する。
【0074】
本第1の実施形態の画素アレイ200は、隣接した複数(本第1の実施形態では4)の同色画素PXを、q×q(qは2以上の整数、本第1の実施形態では2×2)の正方配列にして画素ユニットPUが形成されて、隣接する4つの画素ユニットPUにより画素群PXGが形成され、複数の画素群PXGがマトリクス状に配列されて画素アレイ200が構成されている。
【0075】
図4の例では、図面の簡単化のため、4つの画素群PXG11,PXG12,PXG13,PXG14が2×2のマトリクス状に配置された画素アレイ200が示されている。
【0076】
(画素群PXGおよび画素ユニットPUの構成)
図4において、画素群PXG11は、G(Gb)画素の画素ユニットPU111、B画素の画素ユニットPU112、R画素の画素ユニットPU113、およびG(Gr)画素の画素ユニットPU114がベイヤ配列されている。画素群PXG11は通常画素群NPXG11として形成されている。
【0077】
画素群PXG12は、G(Gb)画素の画素ユニットPU121、B画素の画素ユニットPU122、R画素の画素ユニットPU123、およびG(Gr)画素の画素ユニットPU124がベイヤ配列されている。画素群PXG12は通常画素群NPXG12として形成されている。
【0078】
画素群PXG13は、G(Gb)画素の画素ユニットPU131、G画素の画素ユニットPU132、R画素の画素ユニットPU133、およびG(Gr)画素の画素ユニットPU134がベイヤ配列されている。
画素群PXG13は、通常画素群NPXG13として形成する場合にはB画素が適用される画素ユニットPU132の画素が画素ユニットPU131(または画素ユニットPU134)と同色のG画素により形成されている。
そして、画素群PXG13の一部が位相差検出画素群PDXG10として援用されている。
具体的には、G画素の画素ユニットPU131を位相差検出用の画素ユニットPU211として、画素ユニットPU131に対してX方向に隣接して延設するように接続されたG画素の画素ユニットPU132を位相差検出用の画素ユニットPU212として援用して、位相差検出画素群PDXG10が形成されている。
【0079】
そして、位相差検出画素群PDXG10は、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の画素ユニットPUを形成する画素NPXの数(4)より多い数(5以上、本例では2×4=8)の同色(本例では緑色(G))の位相差検出画素PDPXを含んで形成されている。
これにより、固体撮像装置10は、微細化画素においても位相差画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となることを実現している。
【0080】
画素群PXG14は、G(Gr)画素の画素ユニットPU141、B画素の画素ユニットPU142、R画素の画素ユニットPU143、およびG(Gr)画素の画素ユニットPU144がベイヤ配列されている。画素群PXG14は通常画素群NPXG14として形成されている。
【0081】
また、本実施形態では、混色やブルーミングを抑制するために、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部BDR10、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部BDR20のうちの少なくともいずれか一方で、遮光能力を強化するように遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLの幅が他の領域より厚く(太く、広く)形成されている。
【0082】
(位相差検出画素群PDXG10の構成例)
ここで、本第1の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10の具体的な構成例について説明する。
本第1の実施形態の通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14においては、各画素ユニットPUを形成する各画素NPXに対して平面視して略円形をなすように形成された1つの個別型マイクロレンズPMCL1が配置されている。
【0083】
これに対して、位相差検出画素群PDXG10は、
図10および
図11に示すように、位相差検出画素群PDXG10を形成する配置方向の中央領域ACTRにおける4つの位相差検出画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された1つの共有型マイクロレンズCMCL10が配置されている。
また、位相差検出画素群PDXG10においては、配置方向の端部領域AEDGにおける4つの画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された4つの個別型マイクロレンズPMCL20が配置されている。
【0084】
位相差検出画素群PDXG10は、たとえば、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14に隣接して配置されている2つの画素ユニットPU211,PU212を第1方向および第1方向に直交する第2方向の少なくともいずれか一方の方向(本実施形態では第1方向、X方向)に延設するようにして形成されている。
【0085】
2つの画素ユニットPU211,PU212は、同色(G)の画素ユニットとして形成されている。
【0086】
なお、各画素ユニットPU211~PU212において、
図12に示すように、各同色画素としての2画素PX-A~PX-Bは、光電変換領域PD(1,2)の光入射部分において、第1の素子分離部ESPL1により2つに分離されている。第1の素子分離部ESPL1は、たとえばバックサイド分離部としてのバックサイドメタルBSMにより2つに分離されている。
また、光電変換領域PDにおいて、バックサイドメタルBSM等により形成される第1の素子分離部ESPL1と光電変換領域PDの深さ方向に空間的に重なるように、トレンチ型バックサイド分離としての第2の素子分離部ESPL2が形成されている。第2の素子分離部RSPL2は、たとえばバックサイドディープトレンチアイソレーション(BDTI)により形成される。
これにより、同色画素PX-Aは第1の光電変換領域PD1を含み、同色画素PX-Bは第2の光電変換領域PD2を含んでいる。
また、色が異なる画素ユニット間も、第1の素子分離部ESPL1(たとえばBSM)、あるいは第1の素子分離部ESPL1(たとえばBSM)と第2の素子分離部ESPL2(たとえばBDTI)により分離されていてもよい。
なお、
図12の例において、色が異なる画素ユニット間における遮光能力を強化するために、第1の素子分離部ESPL1(たとえばBSM)と第2の素子分離部ESPL2(たとえばBDTI)の膜厚を厚くして素子分離を行うように形成することも可能である。
【0087】
なお、バックサイドメタル部BSM等により形成される第1の素子分離部ESPL1は、たとえば金、アルミニウム、チタン、銅、クロム、パラジウム、ニッケル、銀、タングステン等により形成される。
【0088】
そして、本実施形態では、上述したように、混色やブルーミングを抑制するために、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部BDR10、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部BDR20のうちの少なくともいずれか一方で、遮光能力を強化するために、遮光膜SLDFまたは素子分離部ESPLの幅が他の領域より厚く(太く、広く)形成されている。
【0089】
本第1の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10は、
図10に示すように、第1の画素ユニットPU211側に形成された第1の遮光膜SLDF21と、第2の画素ユニットPU212側に形成された第2の遮光膜SLDF22と、を有している。
【0090】
本第1の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、共有型マイクロレンズCMCL10による光が入射される一対の第1組の位相差検出画素PDPX1と第2組の位相差検出画素PDPX2を含み、第1組の位相差検出画素PDPX1から読み出された位相差検出信号と第2組の位相差検出画素PDPX2から読み出された位相差検出信号とは異なる読み出しノードとしてのフローティングディフュージョンFD11,FD12に読み込まれる。
【0091】
そして、位相差検出画素群PDXG10は、配置方向の中央領域ACTRにおける少なくとも一つの位相差検出画素PDPXにより取得した位相差検出信号と配置方向の端部領域AEDGにおける画素PXにより取得した信号を同じ(共通の)読み出しノードとしてのフローティングディフュージョンFD11(FD12)に読み出し可能である。
【0092】
さらに、本第1の実施形態の画素部20において、画素PX間の境界部BDR21,BDR22から配置方向の両端部領域AEDG1,AEDG2には不要な光の入射を防止する第1の遮光膜SLDF21および第2の遮光膜SLDF22が形成されている。
そして、位相差検出画素群PDXG10においては、位相差検出信号を取得するための中央領域ACTRにおける少なくとも一つの位相差検出画素PDPXと、信号を取得するための端部領域AEDGにおける検出画素DPX間の境界部に、不要な光の入射を防止する遮光膜SLDF20が端部領域AEDGにおける検出画素DPXの略全部の領域に亘って空間的に重なるように形成されている。
換言すると、端部領域AEDGにおける検出画素DPX上であって、中央領域ACTRにおける境界部BDRから両側の端部に向かって、端部領域AEDGの略全部の領域に亘って、不要な光の入射を防止する第1の遮光膜SLDF21および第2の遮光膜SLDF22が個別型マイクロレンズPMCL20等と空間的に重なるように形成されている。
【0093】
第1の端部領域AEDG1は、たとえば2つの画素を含む第1の端部領域AEDG1の全体に第1の遮光膜ESPL1を形成し、形成した第1の遮光膜ESPL1上に、各画素に対応するようにダミーの個別型マイクロレンズPMCL1、PMCL2を形成して構成される。
同様に、第2の端部領域AEDG2は、2つの画素を含む第2の端部領域AEDG2の全体に第2の遮光膜ESPL2を形成し、形成した第2の遮光膜ESPL2上に、各画素に対応するようにダミーの個別型マイクロレンズPMCL3、PMCL4を形成する。
【0094】
なお、本例の位相差検出画素群PDXG10において、遮光膜SLDFは、画素配列の第1方向の縁部の膜厚W1が第2方向の縁部の膜厚W2より厚く形成されている。
【0095】
本実施形態では、混色やブルーミングを抑制するために、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部のうちの少なくともいずれか一方で遮光膜SLDFの幅が、遮光能力を強化するために他の領域より太く(厚く、広く)形成されている。
【0096】
ここで、位相差検出画素群PDXG10のより具体的な構成例について説明する。
【0097】
位相差検出画素群PDXG10において、第1の画素ユニットPU211は、
図10に示すように、第1の同色画素DPX1、第2の同色画素DPX2、第3の同色画素DPX3および第4の同色画素DPX4の4つが、第1方向(X方向、または第2方向(Y方向))に、第1の同色画素DPX1と第2の同色画素DPX2が隣接するとともに、第3の同色画素DPX3と第4の同色画素DPX4が隣接し、第1方向(または第2方向)に直交する第2方向(または第1方向)に、第1の同色画素DPX1と第3の同色画素DPX3が隣接するとともに、第2の同色画素DPX2と第4の同色画素DPX4が隣接するように正方配列されている。
【0098】
第2の画素ユニットPU212は、第5の同色画素DPX5、第6の同色画素DPX6、第7の同色画素DPX7、および第8の同色画素DPX8の4つが、第1方向(または第2方向)に、第5の同色画素DPX5と第6の同色画素DPX6が隣接するとともに、第7の同色画素DPX7と第8の同色画素DPX8が隣接し、第1方向(または第2方向)に直交する第2方向(または第1方向)に、第5の同色画素DPX5と第7の同色画素DPX7が隣接するとともに、第6の同色画素DPX6と第8の同色画素DPX8が隣接するように正方配列されている。
【0099】
第1の画素ユニットPU211と第2の画素ユニットPU212は、第1方向(または第2方向)に、第2の同色画素DPX2と第5の同色画素DPX5が隣接するとともに、第4の同色画素DPX4と第7の同色画素DPX7が隣接するように配列されている。
【0100】
位相差検出画素群PDXG10において、配置方向の中央領域ACTRの画素ユニットPU213は、第1の画素ユニットPU211の第2の同色画素DPX2、第4の同色画素DPX4、並びに、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5、および第7の同色画素DPX7の4つが正方配列されて形成されている。
【0101】
位相差検出画素群PDXG10は、第1の画素ユニットPU211における第1の同色画素DPX1、第2の同色画素DPX2、第3の同色画素DPX3、および第4の同色画素DPX4の4つが、第1の読み出しノードとしての第1のフローティングディフュージョンFD11を共有する第1の共有構造CMN1を有する。
位相差検出画素群PDXG10は、第2の画素ユニットPU212における第5の同色画素DPX5、第6の同色画素DPX6、第7の同色画素DPX7、および第8の同色画素DPX8の4つが、第2の読み出しノードとしての第2のフローティングディフュージョンFD12を共有する第2の共有構造CMN2を有する。
【0102】
位相差検出画素群PDXG10は、中央領域ACTRの画素ユニットPU213においては、一つの共有型マイクロレンズCMCL10が、第1の画素ユニットPU211の第2の同色画素DPXの光電変換部PD2、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4、並びに、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5、および第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7に光を入射するように配置されている。
【0103】
また、位相差検出画素群PDXG10において、第1の個別型マイクロレンズPMCL21が、第1の画素ユニットPU211の第1の同色画素のDPX1の光電変換部PD1に光を入射するように配置されている。
第2の個別型マイクロレンズPMCL22が、第1の画素ユニットPU211の第3の同色画素DPX3の光電変換部PD3に光を入射するように配置されている。
第3の個別型マイクロレンズPMCL23が、第2の画素ユニットPU212の第6の同色画素DPX6の光電変換部PD6に光を入射するように配置されている。
第4の個別型マイクロレンズPMCL24が、第2の画素ユニットPU212の第8の同色画素DPX8の光電変換部PD8に光を入射するように配置されている。
【0104】
また、位相差検出画素群PDXG10において、第1の端部領域AEDG1を形成する第1の画素ユニットPU211の第1の同色画素DPX1および第3の同色画素DPX3と、中央領域ACTRの画素ユニットPU213の第2の同色画素DPX2および第4の同色画素DPX4との第1の境界部BDR1から第1の端部領域AEDG1に向かって第1の個別型マイクロレンズPMCL21および第2の個別型マイクロレンズPMCL22の略全体において空間的に重なるように、不要な光の入射を防止する第1の遮光膜SLDF21が形成されている。
【0105】
本第1の実施形態においては、第1の境界部BDR1から第1の端部領域AEDG1に向かって第1の個別型マイクロレンズPMCL21および第2の個別型マイクロレンズPMCL22の略全体の領域において空間的に重なるように、不要な光の入射を防止する第1の遮光膜SLDF21が形成されている。
【0106】
さらにまた、位相差検出画素群PDXG10において、第2の端部領域AEDG2を形成する第2の画素ユニットPU212の第6の同色画素DPX6および第8の同色画素DPX8と、中央領域ACTRの画素ユニットPU213の第5の同色画素DPX5および第7の同色画素DPX7との第2の境界部BDR2から第1の端部とは反対方向である第2の端部に向かって第3の個別型マイクロレンズPMCL23および第4の個別型マイクロレンズPMCL24の略全体の領域において空間的に重なるように、不要な光の入射を防止する第2の遮光膜SLDF22が形成されている。
【0107】
本第1の実施形態においては、第2の境界部BDR2から第2の端部領域AEDG2に向かって第3の個別型マイクロレンズPMCL23および第4の個別型マイクロレンズPMCL24の略全体の領域において空間的に重なるように、不要な光の入射を防止する第2の遮光膜SLDF22が形成されている。
【0108】
位相差検出画素群PDXG10は、
図13に示すように、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220(221~224)が形成されている。
【0109】
上述したように、本第1の実施形態では、
図14に示すように、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4画素共有構成が採用されていてもよい。
ここで、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4画素共有の一構成例について説明する。
【0110】
(画素ユニットの4画素共有の構成例)
図14は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの回路系の一例を示している。
【0111】
図14の画素部20において、画素群PXGの画素ユニットPUは、4つの画素(本実施形態では色画素、ここではG画素)、すなわち、第1色画素PX11、第2色画素PX12、第3色画素PX13、および第4色画素PX14が2×2の正方に配置されている。
【0112】
第1色画素PX11は、第1光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD11、および転送トランジスタTG11-Trを含んで構成されている。
【0113】
第2色画素PX12は、第2光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD12、および転送トランジスタTG12-Trを含んで構成されている。
【0114】
第3色画素PX13は、第3光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD13、および転送トランジスタTG13-Trを含んで構成されている。
【0115】
第4色画素PX14は、第4光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD14、および転送トランジスタTG14-Trを含んで構成されている。
【0116】
そして、画素群PXGを形成する画素ユニットPUは、4つの色画素PX11,PX12,PX13,PX14で、フローティングディフュージョンFD11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
【0117】
このような4画素共有構成において、たとえば第1色画素PX11、第2色画素PX12、第3色画素PX13、第4色画素PX14が、同色、たとえばG(Gr,Gb(緑))画素として形成される。
たとえば、第1色画素PX11のフォトダイオードPD11が第1の緑色(G)光電変換部として機能し、第2色画素PX12のフォトダイオードPD12が第2の緑色(G)光電変換部として機能し、第3色画素PX13のフォトダイオードPD13が第3の緑色(G)光電変換部として機能し、第4色画素PX14のフォトダイオードPD14が第4の緑色(G)光電変換部として機能する。
【0118】
フォトダイオードPD11、PD12、PD13、PD14としては、たとえば埋め込みフォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオードPD11,PD12,PD13,PD14を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込みフォトダイオード(PPD)では、フォトダイオードPDの電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0119】
フォトダイオードPD11,PD12,PD13,PD14は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0120】
転送トランジスタTG11-Trは、フォトダイオードPD11とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG11により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG11-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG11が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0121】
転送トランジスタTG12-Trは、フォトダイオードPD12とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG12により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG12-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG12が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD12で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0122】
転送トランジスタTG13-Trは、フォトダイオードPD13とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG13により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG13-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG13が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD13で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0123】
転送トランジスタTG14-Trは、フォトダイオードPD14とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG14により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG14-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG14が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD14で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0124】
リセットトランジスタRST11-Trは、
図14に示すように、電源線VDD(または電源電位)とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号RST11により導通状態が制御される。
リセットトランジスタRST11-Trは、読み出し制御系の制御の下、たとえば読み出しスキャン時に、制御信号RST11がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11を電源線VDD(またはVRst)の電位にリセットする。
【0125】
ソースフォロワトランジスタSF11-Trと選択トランジスタSEL11-Trは、電源線VDDと垂直信号線LSGNの間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF11-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD11が接続され、選択トランジスタSEL11-Trは制御信号)SEL11により導通状態が制御される。
選択トランジスタSEL11-Trは、制御信号SEL11がHレベルの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF11-TrはフローティングディフュージョンFD11の電荷を電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(信号)VSL(PIXOUT)を垂直信号線LSGNに出力する。
【0126】
このような構成において、画素ユニットPUの各画素PX11、PX12、PX13、PX14の転送トランジスタTG11-Tr,TG12-Tr,TG13-Tr,TG14-Trを個別にオン、オフさせ、フォトダイオードPD11、PD12、PD13、PD14で光電変換されて蓄積された電荷を順次共通フローティングディフュージョンFD11に転送させた場合、画素単位の画素信号VSLが垂直信号線LSGNに送出され、カラム読み出し回路40に入力される。
【0127】
一方、各画素PX11、PX12、PX13、PX14の転送トランジスタTG11-Tr,TG12-Tr,TG13-Tr,TG14-Trの複数を同時にオン、オフさせ、フォトダイオードPD11、PD12、PD13、PD14で光電変換されて蓄積された電荷を共通フローティングディフュージョンFD11に同時並列的に転送させた場合、フローティングディフュージョンFD11は加算部として機能する。
この場合、画素ユニットPU内の複数、すなわち、2,3、または4画素の画素信号を加算した加算信号が垂直信号線LSGNに送出され、カラム読み出し回路40に入力される。
【0128】
以上説明したように、本第1の実施形態においては、画素部20は、光電変換部(PD)を含む複数の画素PXがアレイ状に配置されて形成されている。
画素部20においては、隣接する複数(本例では4つ)の同色画素PXを含む複数(本例では4)の画素ユニットPUにより形成される画素群PXG11,PXG112,PXG13,PXG14が2×2のマトリクス状に配置されている。本第1の実施形態の画素部20においては、隣接する複数(本例では4つ)の同色画素PXを含む複数(本例では4)の画素ユニットPUにより形成される通常画素群NPXGと、焦点機能を制御するための位相差情報を検出するための位相差検出画素群PDXGと、が混載され、画素群PXG11,PXG12,PXG14が通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14として適用され、画素群PXG13の一部が位相差検出画素群PDXG10として援用されている。
位相差検出画素群PDXG10は、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14の画素ユニットPUを形成する画素NPXの数(4)より多い数(5以上、本例では2×4=8)の同色(本例では緑色(G))の位相差検出画素PDPXを含んで形成されている。
【0129】
そして、本第1の実施形態によれば、位相差検出画素PDPXと通常画素NPXの境界部BDR10、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部BDR20のうちの少なくともいずれか一方で遮光膜SLDFの幅が他の領域より厚く(太く、広く)形成され、位相差検出画素PDPXと通常画素NPX間の素子分離を強化することができることから、混色やブルーミングを効率よく抑制することが可能となる。
【0130】
さらに、本第1の実施形態の通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14においては、各画素ユニットPUを形成する各画素NPXに対して平面視して略円形をなすように形成された1つの個別型マイクロレンズCMCL1が配置されている。
これに対して、位相差検出画素群PDXG10は、位相差検出画素群を形成する配置方向の中央領域ACTRにおける4つの位相差検出画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された1つの共有型マイクロレンズCMCL10と、配置方向の端部領域AEDGにおける4つの画素PDPXの光電変換部に光を入射する平面視して略円形をなすように形成された4つの個別型マイクロレンズPMCL20が配置されている。
位相差検出画素群PDXG10は、たとえば、通常画素群NPXG11,NPXG12,NPXG14に隣接して配置されている2つの同色(G)の画素ユニットPU211,PU212を第1方向(X方向)に延設するようにして形成されている。
【0131】
そして、位相差検出画素群PDXG10は、配置方向の中央領域ACTRにおける少なくとも一つの位相差検出画素PDPXにより取得した位相差検出信号と配置方向の端部領域AEDGにおける画素PXにより取得した信号を同じ(共通の)読み出しノードとしてのフローティングディフュージョンFD11(FD12)に読み出し可能である。
【0132】
したがって、本第1の実施形態によれば、微細化画素においても位相差画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となる。
【0133】
また、本第1の実施形態によれば、位相差検出画素群PDXG10は、共有型マイクロレンズCMCL10による光が入射される一対の第1組の位相差検出画素PDPX1と第2組の位相差検出画素PDPX2を含み、第1組の位相差検出画素PDPX1から読み出された位相差検出信号と第2組の位相差検出画素PDPX2から読み出された位相差検出信号とは異なる読み出しノードとしてのフローティングディフュージョンFD11,FD12に読み込まれる。
【0134】
したがって、本第1の実施形態によれば、位相差検出画素を含む領域では、同一のフローティングディフュージョンFDに2色以上の信号を読み出すことができ、その結果、位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能となる。
【0135】
また、本第1の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0136】
以上のように、本第1の実施形態によれば、混色の発生を抑制でき、微細化画素においても位相差検出画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となり、また、位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能となる。
【0137】
(第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態に係る画素部の画素アレイにおける位相差検出画素群の形成例を示す図である。
図16は、本発明の第2の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群およびその隣接領域の一例を示す簡略断面図である。
図17は、本発明の第2の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【0138】
本第2の実施形態の画素部20Aが、上述した第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
【0139】
第1の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、平面視して略円形をなすように形成された一つの共有型マイクロレンズCMCL10が、第1の画素ユニットPU211の第2の同色画素DPXの光電変換部PD2、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4、並びに、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5、および第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7に光を入射するように配置されている。
【0140】
これに対して、本第2の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Aは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、平面視して長円形(楕円形)をなすように形成された2つの共有型マイクロレンズCMCL11、CMCL12が適用されている。
【0141】
本第2の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Aは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第1の共有型マイクロレンズCMCL11が、第1の画素ユニットPU211の第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5に光を入射するように配置されている。
同様に、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の共有型マイクロレンズCMCL12が、第1の画素ユニットPU211の第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第2の画素ユニットPU212の第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7に光を入射するように配置されている。
【0142】
なお、本第2の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10Aにおける素子分離部220Aの形成は、上記した第1の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10と同様に行われている。
【0143】
すなわち、位相差検出画素群PDXG10Aは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220A(221~224)が形成されている。
【0144】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本第2の実施形態によれば、微細化画素においても位相差検出画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となり、また、位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能となる。
【0145】
また、本第2の実施形態によれば、位相差検出画素と通常画素の境界部、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部のうちの少なくともいずれか一方で遮光膜幅が他の領域より厚く(太く、広く)形成されていることから、混色やブルーミングを効率よく抑制することが可能となる。
また、本第3の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0146】
(第3の実施形態)
図18は、本発明の第3の実施形態に係る画素部の画素アレイにおける位相差検出画素群の形成例を示す図である。
【0147】
本第3の実施形態の画素部20Bが、上述した第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
【0148】
第1の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、平面視して略円形をなすように形成された一つの共有型マイクロレンズCMCL10が、第1の画素ユニットPU211の第2の同色画素DPXの光電変換部PD2、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4、並びに、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5、および第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7に光を入射するように配置されている。
【0149】
これに対して、本第3の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Bは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213のみではなく、第1の画素ユニット211および第2の画素ユニット212において、平面視して略円形をなすように形成された2つの共有型マイクロレンズCMCL11B、CMCL12Bが適用されている。
【0150】
本第3の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、第1の画素ユニット211において、第1の共有型マイクロレンズCMCL11Bが、第1の画素ユニットPU211の第1の同色画素DPX1の光電変換部PD1、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2、第3の同色画素DPX3の光電変換部PD3、および第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4に光を入射するように配置されている。
同様に、第2の画素ユニットPU212において、第2の共有型マイクロレンズCMCL12Bが、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5、第6の同色画素DPX6の光電変換部PD6、第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7、および第8の同色画素DPX8の光電変換部PD8に光を入射するように配置されている。
【0151】
なお、本第3の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10Bにおける素子分離部220Bの形成は、上記した第1の実施形態に係る位相差検出画素群PDXG10と同様に行われている。
【0152】
すなわち、位相差検出画素群PDXG10Aは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220A(221~224)が形成されている。
【0153】
本第3の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本第3の実施形態によれば、微細化画素においても位相差検出画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となり、また、位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能となる。
【0154】
また、本第3の実施形態によれば、位相差検出画素と通常画素の境界部、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部のうちの少なくともいずれか一方で遮光膜幅が他の領域より厚く(太く、広く)形成されていることから、混色やブルーミングを効率よく抑制することが可能となる。
また、本第3の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0155】
(第4の実施形態)
図19は、本発明の第4の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【0156】
本第4の実施形態の画素部20Cが、上述し第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
【0157】
第1の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220A(221~224)が形成されている。
【0158】
これに対して、本第4の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Cは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に選択的に素子分離部(223,224)が形成されず、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220B(221,222)が選択的に形成されている。
【0159】
本第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができることはもとより、他領域への不要輻射を抑制することが可能で、画素間のクロストークを小さくすることができる。
【0160】
(第5の実施形態)
図20は、本発明の第5の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【0161】
本第5の実施形態の画素部20Dが、上述した第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
【0162】
第1の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間、第s2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220A(221~224)が形成されている。
【0163】
これに対して、本第5の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Dは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に選択的に素子分離部(221,222)が形成されていないとともに、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220B(223,224)が選択的に形成されていない。
【0164】
本第5の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができることはもとより、他領域への不要輻射を抑制することが可能で、画素間のクロストークを小さくすることができる。
【0165】
(第6の実施形態)
図21は、本発明の第6の実施形態に係る画素アレイを形成する位相差検出画素群における素子分離部の形成例を示す図である。
【0166】
本第6の実施形態の画素部20Eが、上述した第2の実施形態の画素部20Aと異なる点は、次の通りである。
【0167】
第2の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Aは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220A(221~224)が形成されている。
【0168】
これに対して、本第6の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Eは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4間、第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に選択的に素子分離部(223,224)が形成されており、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2と第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5間、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4と第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7間に、BSM、あるいはBSMとBDTI等により構成される素子分離部220B(221,222)が選択的に形成されていない。
【0169】
本第6の実施形態によれば、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができることはもとより、他領域への不要輻射を抑制することが可能で、画素間のクロストークを小さくすることができる。
【0170】
(第7の実施形態)
図22は、本発明の第7の実施形態に係る画素部の画素アレイにおける位相差検出画素群の形成例を示す図である。
【0171】
本第7の実施形態の画素部20Fが、上述した第1の実施形態の画素部20と異なる点は、次の通りである。
【0172】
第1の実施形態の位相差検出画素群PDXG10は、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、平面視して略円形をなすように形成された一つの共有型マイクロレンズCMCL10が、第1の画素ユニットPU211の第2の同色画素DPXの光電変換部PD2、第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4、並びに、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5、および第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7に光を入射するように配置されている。
【0173】
これに対して、1本第2の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Aは、中央領域ACTRの画素ユニットPU213において、平面視して長円形(楕円形)をなすように形成された1の共有型マイクロレンズCMCL11Fが適用されている。
【0174】
本第7の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Fは、第1の画素ユニットPU211および第2の画素ユニット212において、1つの共有型マイクロレンズCMCL11F1が、第1の画素ユニットPU211の第1の同色画素DPX1の光電変換部PD1、第2の同色画素DPX2の光電変換部PD2、第3の同色画素DPX3の光電変換部PD3、および第4の同色画素DPX4の光電変換部PD4に光を入射するように配置され、かつ、第2の画素ユニットPU212の第5の同色画素DPX5の光電変換部PD5、第6の同色画素DPX6の光電変換部PD6、第7の同色画素DPX7の光電変換部PD7、および第8の同色画素DPX8の光電変換部PD8に光を入射するように配置されている。
【0175】
本第7の実施形態の位相差検出画素群PDXG10Fにおいては、位相差検出画素群PDXG10Fの外縁部PEDGにおける通常画素NPXとの境界部BDRには、他の画素間領域の遮光膜SLDFより膜幅が厚い遮光膜SLDF20Fが形成されている。
そして、位相差検出画素群PDXG10には、位相差検出画素群を形成するすべての位相差検出画素PDPX(1~8)の光電変換部PDに光を入射する一つの共有型マイクロレンズCMCL20Fを含む。
【0176】
なお、本第7の実施形態の位相差検出画素群PDXG10においては、遮光膜SLDF20Fは、膜厚が外縁部全体にわたって一様である。
【0177】
本第7の実施形態によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
すなわち、本第7の実施形態によれば、微細化画素においても位相差検出画素の感度低下を抑制することができ、入射光量の低い撮影シーンにおいても高速かつ良好な合焦性能を持つ高い位相差性能を実現することが可能となり、また、位相差検出画素群において同一の読み出しノードに同色の画素信号を、高画質でフレームレートを落とすことなく読み出すことが可能となる。
【0178】
また、本第7の実施形態によれば、位相差検出画素と通常画素の境界部、位相差検出画素群PDXG10内の画素境界部のうちの少なくともいずれか一方で遮光膜幅が他の領域より厚く(太く、広く)形成されていることから、混色やブルーミングを効率よく抑制することが可能となる。
また、本第7の実施形態によれば、より優れた低照度PDAF(位相検出オートフォーカス)性能とより優れた遮光性能を同時に実現することが可能で、ひいてはより精度の高い画質を実現することが可能となる。
【0179】
以上説明した固体撮像装置10,10A~10Fは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0180】
図23は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0181】
本電子機器800は、
図23に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10A~10Dが適用可能なCMOSイメージセンサ810を有する。
さらに、電子機器800は、このCMOSイメージセンサ810の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)820を有する。
電子機器800は、CMOSイメージセンサ810の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)830を有する。
【0182】
信号処理回路830は、CMOSイメージセンサ810の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路830で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0183】
上述したように、CMOSイメージセンサ810として、前述した固体撮像装置10,10A~10Fを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0184】
10,10A~10F・・・固体撮像装置、20,20A~20F・・・画素部、200,200A~200F・・・画素アレイ、PX・・・画素、PDPX,DPX・・・位相差検出画素、PXG・・・画素群、NPXG・・・通常画素群、PDXG・・・位相差検出画素群、PU・・・画素ユニット、CMCL20, CMCL21, CMCL22・・・共有型マイクロレンズ、PMCL20, PMCL21, PMCL22・・・個別型マイクロレンズ、SLDF, SLDF20,SLDF21, SLDF22・・・遮光膜、FD,FD11,FD12・・・フローティングディフュージョン(読み出しノード)、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・読み出し駆動制御部、800・・・電子機器、810・・・CMOSイメージセンサ、820・・・光学系、830・・・信号処理回路(PRC)。