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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】給餌装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/80 20170101AFI20240723BHJP
【FI】
A01K61/80
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022208866
(22)【出願日】2022-12-26
(65)【公開番号】P2024092732
(43)【公開日】2024-07-08
【審査請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石若 裕子
(72)【発明者】
【氏名】安居 覚
(72)【発明者】
【氏名】利根 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智博
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実公平2-12870(JP,Y2)
【文献】特開昭62-55032(JP,A)
【文献】特表2008-541736(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111838044(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0200583(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚を飼育する飼育場において水面よりも上方に配置される駆動部と、
前記飼育場において水中に配置される従動部と、
前記駆動部および前記従動部を接続する支柱部と、
前記駆動部および前記従動部に掛け回され、前記駆動部からの駆動力によって前記駆動部および前記従動部の間を回転する無端状の回転部と、
前記魚の餌を収容する開閉可能な箱体であり、前記回転部に取り付けられ、前記回転部の回転に伴い前記駆動部および前記従動部の間を往復移動する給餌箱と、
前記支柱部の水中における任意の位置に設けられ、前記魚へ給餌するために、前記駆動部から前記従動部へと移動する前記給餌箱を開放する開放部と
を備え
前記給餌箱は、
前記給餌箱の移動方向の前側が開放された箱本体と、
前記箱本体に開閉可能に接続され、前記箱本体を閉鎖する蓋体と、
前記蓋体から、前記給餌箱の移動方向のうち前記駆動部から前記従動部へ向けた往路方向と交差する方向へ突出する突出部とを有し、
前記開放部は、
前記往路方向と交差する方向へ突出し、移動する前記給餌箱に対して前記突出部と当接する第1凸部を有し、
前記往路方向へ移動する前記給餌箱に対して、前記第1凸部が前記突出部を介して前記蓋体を押すことで前記箱本体を開放する、給餌装置。
【請求項2】
前記給餌箱は、
前記箱本体を閉鎖する向きへ前記蓋体を付勢する付勢部
を有する、請求項に記載の給餌装置。
【請求項3】
前記第1凸部は、
前記支柱部に対して、着脱可能であるとともに前記往路方向における複数の位置に取り付け可能である、請求項に記載の給餌装置。
【請求項4】
前記給餌箱は、
前記回転部に対して前記往路方向に複数取り付けられ、
前記開放部は、
前記第1凸部を複数有し、
複数の前記第1凸部は、
前記支柱部に対して前記往路方向における複数の位置にそれぞれ取り付けられ、少なくともいずれか一つが前記突出部と当接する、請求項に記載の給餌装置。
【請求項5】
前記突出部は、
前記蓋体に接続される中間板と、
前記中間板から前記往路方向と直交する第1直交方向へ突出する突出片と
を有し、
前記第1凸部は、
前記支柱部から前記往路方向と直交する第1直交方向へ突出するとともに、前記支柱部における前記往路方向および前記第1直交方向のそれぞれと直交する第2直交方向の一部から突出し、
前記突出片は、
前記中間板における前記第2直交方向の一部から突出し、かつ、前記第2直交方向に沿って位置変更が可能である、請求項に記載の給餌装置。
【請求項6】
前記突出片は、
前記中間板に対して前記第2直交方向へスライド移動可能である、請求項に記載の給餌装置。
【請求項7】
前記突出部は、
前記蓋体に接続される中間板と、
前記中間板から前記往路方向と直交する第1直交方向へ突出する突出片と
を有し、
前記第1凸部は、
前記支柱部から前記往路方向と直交する第1直交方向へ突出するとともに、前記支柱部における前記往路方向および前記第1直交方向のそれぞれと直交する第2直交方向の一部から突出し、かつ、前記第2直交方向に沿って位置変更が可能である、請求項に記載の給餌装置。
【請求項8】
前記第1凸部は、
前記支柱部に対して前記第2直交方向へスライド移動可能である、請求項に記載の給餌装置。
【請求項9】
前記支柱部は、
前記給餌箱の移動方向のうち前記従動部から前記駆動部へ向けた復路方向における前記水面よりも上方に、前記支柱部における前記復路方向および前記復路方向と直交する第1直交方向のそれぞれと直交する第2直交方向の全体から突出する第2凸部
を有する、請求項1~のいずれか一つに記載の給餌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給餌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚を飼育する生け簀などの飼育場に設置され水中の魚へ給餌する給餌装置として、上方から水面へ餌を散布するものが知られている(たとえば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-75544号公報
【文献】特開平4-183341号公報
【文献】特開2003-158949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記したような従来の給餌装置では、上方から散布された餌が水面付近で停滞してしまい、水温または水中に溶解している酸素の量(溶存酸素量)などの影響で所定の深度にいる魚へ餌が行き渡らないことがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、魚の飼育場の状況に応じて、任意の深度で魚へ給餌することができる給餌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る給餌装置は、駆動部と、従動部と、支柱部と、回転部と、給餌箱と、開放部とを備える。駆動部は、魚を飼育する飼育場において水面よりも上方に配置される。従動部は、飼育場において水中に配置される。支柱部は、駆動部および従動部を接続する。回転部は、無端状であり、駆動部および従動部に掛け回され、駆動部からの駆動力によって駆動部および従動部の間を回転する。給餌箱は、魚の餌を収容する開閉可能な箱体であり、回転部に取り付けられ、回転部の回転に伴い駆動部および従動部の間を往復移動する。開放部は、支柱部の水中における任意の位置に設けられ、魚へ給餌するために、駆動部から従動部へと移動する給餌箱を開放する。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、魚の飼育場の状況に応じて、任意の深度で魚へ給餌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る給餌装置の設置状態を示す概略斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る給餌装置の全体構成を示す概略斜視図である。
図3図3は、給餌箱の構成を示す概略斜視図(その1)である。
図4図4は、給餌箱の構成を示す概略斜視図(その2)である。
図5図5は、給餌箱の構成を示す概略斜視図(その3)である。
図6図6は、給餌装置における給餌パターンの説明図である。
図7図7は、給餌装置における餌補給動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する給餌装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<給餌装置の設置状態>
まず、図1を参照して実施形態に係る給餌装置10の設置状態について説明する。図1は、実施形態に係る給餌装置10の設置状態を示す概略斜視図である。
【0011】
なお、図1を含む各図には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。
【0012】
図1に示すように、給餌装置10は、生け簀などの魚を飼育する飼育場に設置される。給餌装置10は、飼育場の任意の位置に、単数または複数設置される。給餌装置10は、たとえば、固定用フレーム30を介して設置される。固定用フレーム30は、たとえば、一端部が給餌装置10の後述する支柱部13(図2参照)に固定され、他端部が飼育場の外部の壁などの被固定部(図示せず)に固定される。
【0013】
また、給餌装置10は、飼育場への設置状態において、上部が水面Wよりも上方に配置される。給餌装置10における水面Wよりも上方の部位(上部)には、後述する駆動部11などの駆動系および後述する給餌箱20へ餌を補給するための機構などが設けられる。給餌装置10における水面Wよりも上方の部位(上部)以外は、水中に配置される。
【0014】
<給餌装置の全体構成>
次に、図2を参照して給餌装置10の全体構成について説明する。図2は、実施形態に係る給餌装置10の全体構成を示す概略斜視図である。
【0015】
図2に示すように、給餌装置10は、駆動部11と、従動部12と、支柱部13と、回転部14と、給餌箱20と、開放部131とを備える。駆動部11は、駆動プーリ111と、駆動用モータ112とを備える。駆動プーリ111は、後述する回転部14を回転させるために回転する。駆動プーリ111は、回転部14へ駆動力を伝達する。
【0016】
駆動用モータ112は、駆動プーリ111へ駆動力を付与する。駆動用モータ112は、駆動プーリ111を所定の方向へ回転させる。給餌装置10では、駆動用モータ112の駆動力によって回転部14を回転させることで、魚への給餌を自動化することができる。駆動部11は、給餌装置10の設置状態において、水面W図1参照)よりも上方に配置される。駆動部11を水面Wよりも上方に配置することで、駆動系への浸水を抑制することができる。
【0017】
従動部12は、従動プーリ121を備える。従動プーリ121は、駆動プーリ111の回転に追従して回転する。従動プーリ121は、駆動プーリ111とに回転部14が掛け回された状態で駆動プーリ111との間で回転部14へテンションを付与するよう駆動プーリ111から離れる方向(後述する往路方向Z1と同方向)へ付勢されている。従動部12は、給餌装置10の設置状態において、水中W図1参照)に配置される。
【0018】
支柱部13は、矩形の柱状部材であり、駆動部11と従動部12とを接続するよう駆動部11と従動部12との間に設けられる。開放部131と、第2凸部15とを備える。開放部131は、支柱部13における後述する第2直交方向Yに沿って配置される面134,135(図10参照)のうち、一方の面134に設けられる。なお、開放部131については、図2を用いて後述する。
【0019】
第2凸部15は、支柱部13の面134,135(図10参照)のうち、一方の面134の反対側の面となる他方の面135に設けられる。なお、第2凸部15については、図10を用いて後述する。
【0020】
回転部14は、たとえば、無端ベルトである。回転部14は、駆動プーリ111と従動プーリ121とに掛け回される。回転部14は、駆動プーリ111から伝達される駆動力によって、駆動プーリ111と従動プーリ121との間において無限軌道で回転する。
【0021】
給餌箱20は、魚の餌を収容する箱体である。給餌箱20は、開閉可能に設けられる。給餌箱20は、回転部14に取り付けられる。給餌箱20は、回転部14の外周面から第2直交方向Yへ突出するように、回転部14に取り付けられる。回転部14に取り付けられた給餌箱20は、回転部14の回転に伴い駆動部11(駆動プーリ111)と従動部12(従動プーリ121)との間を往復移動する。
【0022】
給餌箱20は、回転部14に複数(図示の例では、3つであり、位置(深度)の異なる給餌箱20A、20B.20C)取り付けられる。給餌箱20は、給餌箱20の移動方向のうちの往路方向Z1に所定の間隔をあけて配置される。なお、給餌箱20は、回転部14に単数で取り付けられる構成でもよい。また、給餌箱20の詳細については、図3~5を用いて後述する。
【0023】
開放部131は、支柱部13の水中における任意の位置に設けられる。開放部131は、支柱部13の一方の面134において、給餌箱20の往路方向Z1に沿って所定の間隔をあけて設けられる。開放部131は、駆動部11から従動部12へと移動する、すなわち、往路方向Z1へ移動する給餌箱20が到達すると、給餌箱20を開放する。
【0024】
開放部131は、第1凸部132と、取付溝133とを備える。第1凸部132は、往路方向Z1と交差する方向へ突出している。第1凸部132は、支柱部13から往路方向Z1と直交する第1直交方向Xへ突出している。また、第1凸部132は、支柱部13における往路方向Z1と第1直交方向Xとのそれぞれと直交する第2直交方向Yの一部から突出している。第1凸部132は、往路方向Z1へ移動する給餌箱20に対して後述する突出部24と当接する。
【0025】
取付溝133は、支柱部13の一方の面134の任意の位置において、第1直交方向Xへ延びて形成される。取付溝133は、往路方向Z1における複数の位置に形成される。取付溝133には、第1凸部132が第2直交方向Yから挿入されることで取り付けられる。第1凸部132は、支柱部13に対して、取付溝133において第2直交方向Yへスライド移動可能であり、このため、取付溝133の一端部、他端部および中央部の3カ所へ位置を変更することができる。
【0026】
このように、第1凸部132は、支柱部13に対して着脱可能である。また、第1凸部132は、往路方向Z1における複数の位置に取り付け可能である。
【0027】
このため、給餌装置10では、給餌箱20が回転部14に対して往路方向Z1に複数取り付けられ、開放部131において複数の第1凸部132が支柱部13に対して往路方向Z1における複数の位置に取り付けられる。給餌装置10では、図2に示すように、たとえば、複数の第1凸部132のうち少なくともいずれか1つの第1凸部132が、突出片26と当接して給餌箱20を開放する。
【0028】
このように、給餌装置10では、駆動プーリ111から伝達される駆動力によって回転部14が回転し、回転部14の回転に伴い給餌箱20が往路方向Z1へ移動する。給餌箱が往路方向Z1へ移動して給餌箱20が任意の位置(深度)の開放部131へ到達すると、開放部131によって給餌箱20が開放される。給餌箱20が開放されると、給餌箱20から餌が排出される。これにより、水中における任意の位置(深度)で魚へ給餌することができる。なお、餌が排出された給餌箱20は、従動部12を通過すると、往路方向Z1から移動進路を変えて、駆動部11へ向けた復路方向Z2へ移動する。
【0029】
<給餌箱の構成>
次に、図3~5を参照して給餌箱20の構成について説明する。図3~5は、給餌箱20の構成を示す概略斜視図である。なお、図3には、後述する突出片26の取り付け後の状態を示している。また、図4には、突出片26の取り付け後の状態を示している。また、図5には、後述する箱本体21が開放された状態を示している。
【0030】
図3および5に示すように、給餌箱20は、箱本体21と、蓋体22と、ヒンジ部23と、突出部24と、付勢部27と、固定部28とを備える。箱本体21は、給餌箱20の移動方向、すなわち、往路方向Z1(図2参照)および復路方向Z2(図2参照)の前側となる面が開放された矩形状の箱体(容器)である。箱本体21は、魚の餌を収容する。
【0031】
箱本体21は、開口部211と、突起部212とを備える。開口部211は、上記したように、箱本体21における往路方向Z1および復路方向Z2の前側となる面に形成される。突起部212は、側方へ突出した部位であり、後述する付勢部27の一端部を固定する。箱本体21は、給餌箱20が往路方向Z1へ移動する場合には、開口部211が下方を向いている。また、箱本体21は、給餌箱20が復路方向Z2へ移動する場合には、開口部211が上方を向いている。
【0032】
蓋体22は、箱本体21の開口部211を閉鎖するように、箱本体21の開口部211の前方に設けられる。なお、蓋体22が閉じた状態では、箱本体21に収容された魚の餌が箱本体21から排出されない。また、蓋体22は、突起部221を備える。突起部221は、側方へ突出した部位であり、付勢部27の他端部を固定する。ヒンジ部23は、箱本体21と蓋体22との間に設けられ、箱本体21に対して蓋体22を開閉可能に接続する。
【0033】
突出部24は、蓋体22から往路方向Z1と交差する方向へ突出するように設けられる。突出部24は、蓋体22から往路方向Z1と直交する第1直交方向Xへ突出するように設けられる。突出部24は、中間板25と、突出片26とを備える。中間板25は、蓋体22に接続される。突出片26は、中間板25から第1直交方向Xへ突出している。中間板25は、蓋体22と突出片26との間に介在し、蓋体22と突出片26とを接続するとともに、突出片26を抑える。
【0034】
突出片26は、中間板25における、往路方向Z1(図1参照)と第1直交方向Xのそれぞれと直交する第2直交方向Yの一部から突出するように設けられる。図4に示すように、中間板25は、先端面に第2直交方向Yに延びた溝251が形成される。溝251は、中間板25の先端面から第1直交方向Xへ向かうほど拡径する形状に形成される。突出片26は、基端面に第2直交方向Yに延びた突起261が設けられる。突起261は、溝251に対応する形状であり、突出片26の基端面から第1直交方向Xへ向かうほど拡径する形状に形成される。
【0035】
突出片26は、突起261が中間板25の溝251に第2直交方向Yから挿入されることで、中間板25に取り付けられる。このため、突出片26は、中間板25に対して第2直交方向Yへスライド移動可能である。また、突出片26は、中間板25に対して第2直交方向Yへスライド移動可能なため、第2直交方向Yへ位置を変更することができる。本実施形態では、突出片26は、中間板25の一端部、他端部および中央部の3カ所へ変更することができる。
【0036】
付勢部27は、引張コイルばねである。付勢部27は、箱本体21の突起部212と蓋体22の突起部221との間に設けられる。付勢部27は、蓋体22を、箱本体21を閉鎖する向きへ付勢している。固定部28は、箱本体21を、回転部14の外周面に固定する。固定部28は、一端部が箱本体21に固定されるとともに、他端部が回転部14の外周面上に固定される。なお、付勢部27は、蓋体22を閉鎖する向きへ付勢すればよいため、引張コイルばねに限定されず、たとえば、圧縮コイルばねまたは板ばねなどであってもよい。
【0037】
図5に示すように、給餌箱20は、突出片26が押圧されると、蓋体22が付勢部27の付勢力に抗しながら開放する向きへ移動する。これにより、箱本体21の開口部211は開放され、箱本体21から餌が排出される。また、突出片26の押圧が解除されると、蓋体22が付勢部27の付勢力によって閉鎖する向きへ移動する。これにより、箱本体21の開口部211は閉鎖される。
【0038】
<給餌装置における給餌パターン>
次に、図6を参照して給餌装置10における給餌パターンについて説明する。図6は、給餌装置10における給餌パターンの説明図である。なお、図6には、給餌装置10の概略斜視を示している。また、図6においては、3つの給餌箱20(20A、20B,20C)の突出片26が第2直交方向Yに異なる位置に配置され、異なる位置の3つの突出片26が3つの開放部131の第1凸部132とそれぞれ当接している状態を例示している。
【0039】
図6に示すように、給餌箱20Aの場合、突出片26が中間板25の一端部に配置されている。この場合、突出片26は、支柱部13の一方の面134の一端部に配置されている第1凸部132と当接する。これにより、蓋体22が付勢部27の付勢力に抗して移動して、箱本体21が開放される。また、給餌箱20Bの場合、突出片26が中間板25の一端部に配置されている。この場合、突出片26は、支柱部13の一方の面134の中央部に配置されている第1凸部132と当接する。これにより、蓋体22が付勢部27の付勢力に抗して移動して、箱本体21が開放される。また、給餌箱20Cの場合、突出片26が中間板25の他端部に配置されている。この場合、突出片26は、支柱部13の一方の面134の他端部に配置されている第1凸部132と当接する。これにより、蓋体22が付勢部27の付勢力に抗して移動して、箱本体21が開放される。
【0040】
このように、突出片26と第1凸部132との位置の組み合わせによって、たとえば、水中W図1参照)における3つの位置(深度)のそれぞれで給餌することができる。また、たとえば、給餌箱20Aの位置と給餌箱20Cの位置とで給餌し、給餌箱20Bの位置では給餌しないなど、水中Wにおける3つの位置(深度)のうち1つまたは2つの位置(深度)で給餌することもできる。
【0041】
<給餌装置における餌補給動作>
次に、図7を参照して給餌装置10における餌補給動作について説明する。図7は、給餌装置10における餌補給動作の説明図である。なお、図7には、給餌装置10の側面を模式的に示している。
【0042】
図7に示すように、給餌装置10は、餌補給機構を備える。餌補給機構は、給餌箱20の復路側に設けられる、上記した第2凸部15を備える。第2凸部15は、給餌箱20の復路方向Z2における水面W図1参照)よりも上方に設けられる。第2凸部15は、支柱部13における第2直交方向Yの全体から突出している。このため、第2凸部15は、突出片26が第2直交方向Yのいずれに位置していても、突出片26と当接する。
【0043】
餌補給機構では、第2凸部15が、復路方向Z2へ移動する給餌箱20の突出片26と当接すると、蓋体22が付勢部27の付勢力に抗して移動して箱本体21を開放する。開放された箱本体21の開口部211は、上方へ向けて開口しているため、開口部211へ餌を投下することで、開口部211から餌を補給することができる。
【0044】
なお、開口部211から餌を補給する場合、たとえば、餌補給機構の上方に設置された餌タンク40から餌が投入されてもよい。これにより、給餌箱20への餌の補給を自動化することができる。
【0045】
上述してきた実施形態により、以下の給餌装置10が実現される。
【0046】
実施形態に係る給餌装置10は、魚を飼育する飼育場において水面Wよりも上方に配置される駆動部11と、飼育場において水中Wに配置される従動部12と、駆動部11および従動部12を接続する支柱部13と、駆動部11および従動部12に掛け回され、駆動部11からの駆動力によって駆動部11および従動部12の間を回転する無端状の回転部14と、魚の餌を収容する開閉可能な箱体であり、回転部14に取り付けられ、回転部14の回転に伴い駆動部11および従動部12の間を往復移動する給餌箱20と、支柱部13の水中における任意の位置に設けられ、魚へ給餌するために、駆動部11から従動部12へと移動する給餌箱20を開放する開放部131とを備える。
【0047】
このような実施形態によれば、水中Wにおける任意の位置で開放部131によって給餌箱20が開放されるため、水中Wにおける任意の位置(深度)で魚へ給餌することができる。これにより、生け簀などの魚の飼育場における、魚が集まるような水温または溶存酸素量などの状況に応じて、任意の深度(深度)で魚へ給餌することができる。また、給餌装置10は、魚の飼育場の状況に応じて、任意の深度で魚へ給餌することができるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0048】
また、実施形態に係る給餌装置10において、給餌箱20は、給餌箱20の移動方向の前側が開放された箱本体21と、箱本体21を閉鎖する蓋体22と、箱本体21に対して蓋体22を開閉可能に接続するヒンジ部23と、蓋体22から移動方向の往路方向Z1と交差する方向へ突出する突出部24とを有し、開放部131は、往路方向Z1と交差する方向へ突出し、移動する給餌箱20に対して突出部24と当接する第1凸部132を有する。
【0049】
このような実施形態によれば、往路方向Z1へ移動する給餌箱20に対して、蓋体22から突出している突出部24に第1凸部132が当接することで、突出部24を介して蓋体22が押され、蓋体22が押されることで箱本体21が開放される。開放された箱本体21からは魚の餌が水中へ排出される。このように、上記構成によれば、水中Wで給餌箱20を開放する機構を実現できるとともに、水中Wにおける任意の位置(深度)で魚へ給餌することができる。
【0050】
また、実施形態に係る給餌装置10において、給餌箱20は、箱本体21を閉鎖する向きへ蓋体22を付勢する付勢部27を有する。
【0051】
このような実施形態によれば、突出部24に第1凸部132が当接することで開放された箱本体21が、給餌箱20がさらに移動することで、突出部24が第1凸部132を乗り越えて第1凸部132の当接が解除されると、付勢部27の付勢力によって蓋体22が閉じる。すなわち、箱本体21から餌が排出されると、自動で蓋体22を閉じることができる。
【0052】
また、実施形態に係る給餌装置10において、第1凸部132は、支柱部13に対して、着脱可能であるとともに往路方向Z1における複数の位置に取り付け可能である。
【0053】
このような実施形態によれば、第1凸部132が支柱部13に対して着脱可能であり、また、給餌箱20の往路方向Z1において第1凸部132の位置の変更が可能となるため、水中Wにおける任意の位置(深度)に開放部131を設けることができるとともに、複数の位置(深度)に開放部131を設けることができる。
【0054】
また、実施形態に係る給餌装置10において、給餌箱20は、回転部14に対して往路方向Z1に複数取り付けられ、開放部131は、第1凸部132を複数有し、複数の第1凸部132は、支柱部13に対して往路方向Z1における複数の位置にそれぞれ取り付けられ、少なくともいずれか1つが突出部24と当接する。
【0055】
このような実施形態によれば、複数の第1凸部132のうちの少なくとも1つが突出部24と当接することで、設定した位置(深度)において複数の給餌箱20が開くようになる。これにより、一定の深度で連続して魚へ給餌することができる。
【0056】
また、実施形態に係る給餌装置10において、突出部24は、蓋体22に接続される中間板25と、中間板25から往路方向Z1と直交する第1直交方向Xへ突出する突出片26とを有し、第1凸部132は、支柱部13から往路方向Z1と直交する第1直交方向Xへ突出するとともに、支柱部13における往路方向Z1および第1直交方向Xのそれぞれと直交する第2直交方向Yの一部から突出し、突出部24は、中間板25における第2直交方向Yの一部から突出し、かつ、第2直交方向Yに沿って位置変更が可能である。
【0057】
このような実施形態によれば、突出片26の位置を変更することで、突出片26と当接する第1凸部132の位置において魚へ給餌し、突出片26と当接しない第1凸部132の位置においては魚へ給餌せずに給餌箱20が通過する。これにより、一定の深度で連続して魚へ給餌することができるとともに、魚へ給餌する深度の切り替えを容易に行うことができる。
【0058】
また、実施形態に係る給餌装置10において、突出片26は、中間板25に対して第2直交方向Yへスライド移動可能である。
【0059】
このような実施形態によれば、突出片26が第2直交方向Yへスライド移動可能であるため、第2直交方向Yに沿って位置の変更が容易となる。
【0060】
また、実施形態に係る給餌装置10において、突出部24は、蓋体22に接続される中間板25と、中間板25から往路方向Z1と直交する第1直交方向Xへ突出する突出片26とを有し、第1凸部132は、支柱部13から往路方向Z1と直交する第1直交方向Xへ突出するとともに、支柱部13における往路方向Z1および第1直交方向Xのそれぞれと直交する第2直交方向Yの一部から突出し、かつ、第2直交方向Yに沿って位置変更が可能である。
【0061】
このような実施形態によれば、第1凸部132の位置を変更することで、突出片26と当接する第1凸部132の位置において魚へ給餌し、突出片26と当接しない第1凸部132の位置においては魚へ給餌せずに給餌箱が通過する。これにより、一定の深度で連続して魚へ給餌することができるとともに、魚へ給餌する深度の切り替えを容易に行うことができる。
【0062】
また、実施形態に係る給餌装置10において、第1凸部132は、支柱部13に対して第2直交方向Yへスライド移動可能である。
【0063】
このような実施形態によれば、第1凸部132が第2直交方向Yへスライド移動可能であるため、第2直交方向Yに沿って位置の変更が容易となる。
【0064】
また、実施形態に係る給餌装置10において、支柱部13は、給餌箱20の移動方向の復路方向Z2における水面Wよりも上方に、支柱部13における復路方向Z2および復路方向Z2と直交する第1直交方向Xのそれぞれと直交する第2直交方向Yの全体から突出する第2凸部15を有する。
【0065】
このような実施形態によれば、復路方向Z2へ移動する給餌箱20に対して、蓋体22から突出している突出部24に第2凸部15が当接することで、突出部24を介して蓋体22が押され、蓋体22が押されることで箱本体21が開放される。そして、給餌箱20の復路移動では箱本体21の上方が開放されるため、この状態で箱本体21への餌の補給が可能となる。
【0066】
なお、上記した実施形態では、駆動部11において駆動源である駆動用モータ112の駆動力で駆動プーリ111を駆動する構成であるが、給餌装置10が小型である場合、たとえば、駆動プーリ111を回転させるためのハンドルが設けられ、駆動用モータ112に代えて駆動源を作業者などの人力とする構成としてもよい。
【0067】
また、上記した実施形態では、突出片26を第2直交方向Yから溝251へ挿入してスライド移動させる構成であるが、これに限定されず、たとえば、突出片26にピンが設けられ、溝251の一端部、他端部および中央部に対応する孔が形成され、突出片26のピンを対応する孔に挿通させることで、位置を変更可能に突出片26が取り付けられる構成としてもよい。
【0068】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 給餌装置
11 駆動部
12 従動部
13 支柱部
14 回転部
20 給餌箱
21 箱本体
22 蓋体
23 ヒンジ部
24 突出部
25 中間板
26 突出片
27 付勢部
131 開放部
132 第1凸部
15 第2凸部
水面
水中
X 第1直交方向
Y 第2直交方向
Z1 往路方向
Z2 復路方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7