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特許7525604硬化性組成物およびそれを適用するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】硬化性組成物およびそれを適用するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/10 20060101AFI20240723BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240723BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C08L101/10
C08L63/00 C
C08K5/5415
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022527706
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2019118725
(87)【国際公開番号】W WO2021092882
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ヨンチュン
(72)【発明者】
【氏名】タン、チョンミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユイ
(72)【発明者】
【氏名】カン、チエン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、シウチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ナン
(72)【発明者】
【氏名】モン、チンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ツオ、チョアンウェイ
【審査官】今井 督
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-502565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C08G 59/00- 59/72
C08G 18/00- 18/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
少なくとも1つのシラン修飾ポリマーと、
エポキシ基で終端された少なくとも1つのエポキシ樹脂と、
少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を有するエポキシシラン相溶化剤であるか、または同じ分子中に、少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基を有するアミノシラン相溶化剤である、少なくとも1つの相溶化剤と、
任意選択で、少なくとも1つの硬化剤と、
相溶化剤がエポキシシラン相溶化剤である場合、硬化性組成物の総重量に基づいて0.5~20重量%の範囲、相溶化剤がアミノシラン相溶化剤である場合、硬化性組成物の総重量に基づいて0.05~15重量%の範囲の濃度の、少なくとも1つの窒素含有不飽和複素環式化合物触媒と、
任意選択で、少なくとも1つの窒素含有フェノール触媒と、
を含み、
前記窒素含有基は、アミノ基、ピリジニル基、又はピロリル基であり、
前記硬化性組成物が、成分Aおよび成分Bを含む2成分硬化性組成物であり、
前記成分Aが、前記シラン修飾ポリマー、前記エポキシ樹脂、および少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を有する前記相溶化剤を含み、かつ、前記成分Bが、前記硬化剤、前記窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、および前記窒素含有フェノール触媒を含むか、または
前記成分Aが、前記シラン修飾ポリマー、同じ分子中に少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基を有する前記相溶化剤、および任意選択で、前記窒素含有不飽和複素環式化合物触媒を含み、かつ、前記成分Bが、前記エポキシ樹脂を含み、
前記硬化性組成物が、硬化性組成物の総重量に基づいて0.5重量%~4重量%の範囲の濃度の水を成分B中に含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記窒素含有不飽和複素環式化合物触媒が、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、2,3-ジアザビシクロ[2.2.0]ヘキサ-1-エン、および1,3-ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-エンからなる群から選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記窒素含有フェノール触媒が、2,4,6-トリス(R)フェノール、2,4-ビス(R)フェノール、2,3-ビス(R)フェノール、3,4-ビス(R)フェノール、2,6-ビス(R)フェノール、2,5-ビス(R)フェノール、および3,5-ビス(R)フェノールからなる群から選択され、各Rが、アミノ(C-C)アルキル、(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル、およびジ(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキルからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記シラン修飾ポリマーが、式Iによって表され、
(RO)(3-m)Si-R-(ポリマー主鎖)-R-SiR (RO)(3-n) 式I
式中、前記ポリマー主鎖が、ポリオールから誘導されるか、または少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つのポリオールから誘導され、任意選択で、少なくとも1つの-R-SiR (RO)(3-s)で官能化され、R、R、R、R、R、およびRのそれぞれが、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、m、n、およびsのそれぞれが、0、1、または2の整数を表し、R、R、およびRのそれぞれが、独立して、直接結合、-O-、二価の(C~Cアルキレン)基、-O-(C~Cアルキレン)基、(C~Cアルキレン)-O-基、-O-(C~Cアルキレン)-O-基、-N(R)-(C~Cアルキレン)基、または-C(=O)-N(R)-(C~Cアルキレン)基を表し、式中、Rが、水素原子またはC-Cアルキル基を表す、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記相溶化剤が、少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を有する化合物であり、式IIで表されるか、またはその縮合オリゴマー/ポリマーであり、
【化1】
式中、R10が、以下からなる群が選択され、
【化2】
、式中、*が、結合部位を表し、
11が、C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-[O-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-[O-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレンからなる群から選択され、
12およびR13のそれぞれが、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ハロゲン原子、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}を表し、
tが、0、1、または2の整数を表し、xが、1~100の整数を表す、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記相溶化剤が、式IIIで表される縮合オリゴマーまたは縮合ポリマーであり、
【化3】
式中、R10が、以下からなる群が選択され、
【化4】
、式中、*が、結合部位を表し、
11が、C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-[O-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-[O-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレンからなる群から選択され、
13が、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ハロゲン原子、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}を表し、
rが、1~50の整数を表し、xが、1~100の整数を表す、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
前記相溶化剤が、以下からなる群から選択され、
【化5】
式中、xが、1~100の整数を表し、
【化6】
式中、R’が、C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-[O-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-[O-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレンからなる群から選択され、Rが、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ハロゲン原子、C-Cアルケニー基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}を表し、yが、1~50の整数を表す、請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
前記相溶化剤が、同じ分子中に少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基を有する化合物であり、式IVで表され、
【化7】
式中、R14が、NH-、ピリジニル、ピリル、NH(C-Cアルキレン)-、NH(C-Cアルキレン)-NH-、NH(C-C10アルキレン-O)-NH-、(NHCH-、(NHC-、(NH-C-Cアルキレン)CH-、(NH-C-Cアルキレン)C-、(NHCH(C-Cアルキレン)-、(NHC(C-Cアルキレン)-、(NH-C-Cアルキレン)CH(C-Cアルキレン)-、(NH-C-Cアルキレン)C(C-Cアルキレン)-、フェニルNH-、(C-Cアルキル)NH-、(C-Cアルキル)N-、(C-Cシクロアルキル)NH-、(C-Cシクロアルキル)N-、(C-Cアルケニル)NH-、(C-Cアルケニル)N-、(ヒドロキシC-Cアルキル)NH-、(ヒドロキシC-Cアルキル)N-からなる群から選択され、
15が、直接結合、フェニレン、-(C-Cアルキレン)-、フェニレン-(C-Cアルキレン)-、-NH-(C-Cアルキレン)-、-NH-NH-(C-Cアルキレン)-、-NH-(C-Cアルキレン)-NH-、-NH-(C-Cアルキレン)-NH-(C-Cアルキレン)-、および-NH-(C-Cアルキレン)-NH-(C-Cアルキレン)-NH-からなる群から選択され、
式中、R16およびR17のそれぞれが、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、-(C-C)アルキレン-O-C-Cアルキル基、-(C-C)アルキレン-O-(C-C)アルキレン-O-C-Cアルキル基、ハロゲン原子、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)]}を表し、
qが、0、1、または2の整数を表す
が、ただし式IVで表される化合物に少なくとも1つの窒素原子が存在するという条件である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
前記相溶化剤が、以下からなる群から選択される、請求項8に記載の硬化性組成物。
【化8-1】
【化8-2】
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の硬化性組成物を基材の表面上に適用するための方法であって、
(1)前記シラン修飾ポリマー、前記エポキシ樹脂、前記相溶化剤、および任意選択の前記硬化剤、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、および窒素含有フェノール触媒を組み合わせて、前駆体ブレンドを形成するステップと、
(2)前記前駆体ブレンドを基材の表面上に適用するステップと、
(3)前記前駆体ブレンドを硬化する、または前記前駆体ブレンドを硬化させるステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化性組成物、特に速乾性組成物およびそれを基材の表面上に適用するための方法に関する。硬化性組成物は、高い気密性、速い硬化速度、迅速な接着力の増強、乾燥面、および強い接着強度などの優れた性能特性を示す。
【背景技術】
【0002】
シリル化ポリマーとしても既知である、シラン修飾ポリマー(SMP)は、多種多様な用途で広く受け入れられている用途の広い高価値の工業用樹脂である。シラン修飾ポリマー(SMP)系接着剤/シーラントは、低VOC、アイソフリーおよびバブルフリー、性能特性と耐久性との良好なバランスなどの多くの利点により、ますます人気が高まっている。特に言えば、SMP系接着剤は、より高い接着強度を示し、かつ追加の塗料またはコーティング材料で上塗りすることができるという点で、シリコーン系接着剤よりも優れている。さらに、SMP系接着剤は、ポリウレタンプレポリマーを配合した接着剤よりも耐久性に優れている。
【0003】
SMP系接着剤/シーラントは、プレハブ建設(PC)、家の装飾、輸送[車両、船舶、自動車、航空機、および高速鉄道(HSR)]、産業用アセンブリ、ならびに家電製品などを含む様々な用途で使用されている。それにもかかわらず、これらの用途は、通常、特に輸送、産業用アセンブリ、および家電製品に対して、高い接着強度、剪断強度、破断点伸び、弾性などのような良好な機械的強度を依然として維持しながら、速乾性/硬化速度を必要とする。例えば、かなりの数の顧客が、5分~20分のスキン形成時間、20分以内の許容可能な接着強度の確立、1週間後の2MPaを超える剪断強度、良好な表面特性(例えば、乾燥面)および全耐用年数中の信頼できる気密性を有するSMP系接着剤を求めている。
【0004】
市場で市販されているほとんどのSMP系接着剤は、30分以上の乾燥時間しか達成できず、24時間後または1週間後でも劣った機械的強度および気密性を示すため、硬化速度および機械的強度に対するそのような高い要件は、一般にSMP系接着剤に対する大きな課題とみなされる。充填剤、樹脂比、接着促進剤、および触媒などのような要因を改変するために多くの研究者によって多くの努力がなされてきたが、これらの先行技術の研究のいずれも上記の要件を首尾よく満たすことができない。
【0005】
既存のSMP系接着剤はどれも、最終的な接着剤コーティングで優れた機械的強度を維持しながら、許容可能な硬化速度を達成することはできない。特定の理論に限定されることなく、既存のSMP系接着剤の機械的強度が劣るのは、少なくとも部分的には、SMP相とそれと組み合わせて使用される他の相との間にいかなる化学結合もないためであると推測される。様々な添加剤(例えば、硬化剤、触媒、反応加速剤、界面活性剤など)および相溶化剤を組み込んでも、SMP相とエポキシ相との間にいかなる化学結合も確立しないため、得られるブレンドが、化学的に単離されたSMP相およびエポキシ相を含み、したがって、劣った機械的強度を示す、先行技術の接着剤組成物を図1に示す。加えて、先行技術のSMP系接着剤の硬化速度が遅いのは、レシピに好適な触媒パッケージおよび水が不足しているためである。さらに、既存のSMP系シーラントには可塑剤が広く適用されており、油面および粘着面は、対処すべき大きな課題である。
【0006】
継続的な調査後、本発明者らは、驚くべきことに、上記の目標のうちの1つ以上を達成することができるエポキシ-SMPハイブリッド硬化性組成物を開発した。特に、エポキシ-SMPハイブリッド配合物に特定の触媒パッケージおよび水を含めると、高い硬化速度を首尾よく達成し、特定の相溶化剤を添加すると、機械的強度を望ましいレベルまでさらに高めることができ、特に、上記の添加剤の相対量を設計することにより、望ましい表面感を達成できることが見出された。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、独特の硬化性組成物、特に速乾性組成物および硬化性組成物を基材の表面上に適用するための方法を提供する。
【0008】
本開示の第1の態様では、本開示は、
少なくとも1つのシラン修飾ポリマーと、
エポキシ基で終端された少なくとも1つのエポキシ樹脂と、
少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を有するか、または同じ分子中に、少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基、例えばアミン基もしくはイミン基を有する少なくとも1つの相溶化剤と、
任意選択で、少なくとも1つの硬化剤と、
任意選択で、少なくとも1つの窒素含有不飽和複素環式化合物触媒と、
任意選択で、少なくとも1つの窒素含有フェノール触媒と、を含む、硬化性組成物、特に速乾性硬化性組成物を提供する。
【0009】
本開示の第2の態様では、本開示は、シラン修飾ポリマー、エポキシ樹脂、相溶化剤、ならびに任意選択の任意選択の硬化剤、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、および窒素含有フェノール触媒を組み合わせて、前駆体ブレンドを形成するステップと、(2)前駆体ブレンドを基材の表面上に適用するステップと、(3)前駆体ブレンドを硬化する、または前駆体ブレンドを硬化させるステップと、を含む、該硬化性組成物を基材の表面上に適用するための方法を提供する。
【0010】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】先行技術の硬化性組成物の概略図である。
図2】本明細書に記載の硬化性組成物の実施形態の概略図である。
図3】本開示の実施形態によるポリオール系SMPを調製するためのシリル化反応の反応機構を示す図である。
図4】本開示の別の実施形態によるポリオール系SMPを調製するためのヒドロシリル化反応の反応機構を示す図である。
図5】本開示の実施形態によるポリウレタン系SMPを調製するためのシリル化反応の反応機構を示す図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による重ね剪断強度に対するSMP/エポキシ重量比の影響を示す図である。
図7】異なる基材上での本開示の実施形態による硬化性組成物の重ね剪断強度を示す図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態による重ね剪断強度に対する硬化性組成物の配合の影響を示す図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態による重ね剪断強度に対する硬化性組成物の配合の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0013】
本明細書で開示されるように、「および/または」は、「および、または代替として」を意味する。特に記載がない限り、すべての範囲はエンドポイントを含む。特に記載がない限り、すべてのパーセンテージおよび比率は重量に基づいて計算され、すべての分子量は数平均分子量である。
【0014】
本開示の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、シラン修飾ポリマー、エポキシ樹脂、少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を有する相溶化剤を有する成分(A)と、硬化剤、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、および窒素含有フェノール触媒を有する成分(B)と、を含む「2成分」、「2液」、または「2パッケージ」組成物である。
【0015】
本開示の別の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、シラン修飾ポリマー、同じ分子中に少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基、例えばアミン基またはイミン基を有する相溶化剤、任意選択で、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒を有する成分(A)と、エポキシ樹脂を含む成分(B)と、を含む「2成分」、「2液」、または「2パッケージ」組成物である。
【0016】
本開示の別の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、シラン修飾ポリマーを有する成分(A1)と、エポキシ樹脂を含む成分(A2)と、硬化剤、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、および窒素含有フェノール触媒を有する成分(B)と、を含む「3成分」、「3液」、または「3パッケージ」組成物である。相溶化剤は、成分(A1)または成分(A2)のいずれかに含有され得るが、成分(B)に含有され得なかった。
【0017】
上記の成分(A)、(A1)、(A2)、および(B)は、触媒、充填剤、顔料、可塑剤、チキシトロープ剤、酸化防止剤、光安定剤、水分スカベンジャーなどのような任意選択の添加剤をさらに含み得る。さらに、上記の構成成分および添加剤のうちの1つ以上は、1つ以上の追加の独立した成分として提供され得、したがって、上記の2成分または3成分組成物は、「3成分」、「4成分」、またはさらに「5成分」に分割され得る。これらのバリエーションはすべて、本開示の保護範囲内にある。
【0018】
便宜上、本開示の最も好ましい実施形態は、「2成分」組成物である。組み合わされると、エポキシ樹脂または相溶化剤中のエポキシ末端基、SMPまたは相溶化剤中のシラン/シロキサン基、相溶化剤または硬化剤中のアミンおよびイミン基、相溶化剤に含有されるエポキシ末端基/シラン/シロキサン基、ならびに他の添加剤または反応物に含有される任意の他の反応性基などの各成分中の反応性基は、互いに反応して、SMP-エポキシ樹脂の化学的に統合された組み合わせを確立する。本開示の様々な実施形態によれば、組み合わされると、SMP相は、相溶化剤および存在する場合は任意選択の硬化剤を介してエポキシ樹脂と化学結合される。特定の理論に限定されることなく、本開示の例示的な実施形態が図2に示されている。図2では、SMP相およびエポキシ樹脂相がエポキシ-SMP相に統合されていることが示されているが、SMP分子およびエポキシ樹脂分子が、直接共有結合によって結合していることを意味するものではなく、2つの相の統合は、相溶化剤および存在する場合、任意選択の硬化剤の作用(例えば、相乗作用)によって達成できると仮定されることを留意されたい。図1図2との比較は、本開示の化学的に統合された組み合わせと、先行技術の化学的に単離されたシステムとの違いを明確に示している。特定の理論に限定されることなく、本開示の組成物に特別に設計された相溶化剤および任意選択の硬化剤を組み込むことにより、SMP-エポキシ樹脂の化学的に統合された組み合わせを効果的に達成し、したがって得られた組成物の機械的強度および気密性を首尾よく高めることができると推測される。特定の理論に限定されることなく、2つの触媒(つまり、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒および窒素含有フェノール触媒)を組み込むことにより、得られた組成物の硬化速度を著しく高める。
【0019】
本開示の様々な実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、接着剤、シーラント、コーティング、またはコンクリートであり得る2成分組成物であり、好ましくは2K接着剤または2Kシーラントである。本開示の硬化性組成物を基材の表面に適用して、コーティングフィルム、コンクリート層、またはそのシーラント層を形成し、物理的/化学的保護、音波/熱/照射バリア、充填材料、支持/運搬/建設構造、装飾層、またはシーリング/密閉/防水層の機能を達成することができる。加えて、本開示の硬化性組成物が接着剤として使用される場合、それは、2つ以上の同一または異なる基材を一緒に接着するために使用することができる。本開示の実施形態によれば、基材は、金属、石材、コンクリート、紙、綿、繊維板、板紙、木材、織布または不織布、エラストマー、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリエチレンカーボネート、合成および天然ゴム、シリコン、ならびにシリコーンポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのメンバーである。本開示の別の実施形態によれば、基材は、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンカーボネート、ポリブテンカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリスチレン、およびそれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマー基材である。本開示の別の実施形態によれば、基材は、木材、ポリスチレン、ナイロン、およびアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンからなる群から選択される。本開示の別の実施形態によれば、基材は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、鋳鉄、真鍮、青銅、チタン、チタン合金、マグネシウム合金、亜鉛合金、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される金属基材である。
【0020】
シラン修飾ポリマー(SMP)
本開示の様々な実施形態によれば、シラン修飾ポリマー(SMP)は、シラン基を有するポリマーであり得る。例えば、SMPは、式Iで表すことができる:
(RO)(3-m)Si-R-(ポリマー主鎖)-R-SiR (RO)(3-n)式I
式中、ポリマー主鎖は、ポリオールから誘導されるか、または少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つのポリオールから誘導され、任意選択で、少なくとも1つの-R-SiR (RO)(3-s)で官能化され、R、R、R、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、m、n、およびsのそれぞれは、0、1、または2の積分を表し、R、R、およびRのそれぞれは、独立して、直接結合、-O-、二価(C~Cアルキレン)基、-O-(C~Cアルキレン)基、(C~Cアルキレン)-O-基、-O-(C~Cアルキレン)-O-基、-N(R)-(C~Cアルキレン)基、または-C(=O)-N(R)-(C~Cアルキレン)基を表し、式中、Rは、水素原子またはC-Cアルキル基を表す。
【0021】
本開示の実施形態によれば、ポリマー主鎖は、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールから誘導することができる。
【0022】
本開示の文脈では、「シラン修飾」または「シリル化反応」は、基「R (RO)(3-m)Si-R-」、「-R-SiR (RO)(3-n)」、および「-R-SiR (RO)(3-s)」のSMP中のポリマー主鎖への結合を指し、上記のすべてのシリコーン含有置換基(基R-、RO-、R-、RO-、R-、およびRO-に関係なく、実際には水素、ヒドロキシル、アルキル、またはアルコキシ基を指す)をまとめて「シラン基」と称する。上記の「R (RO)(3-m)Si-R-」および「-R-SiR (RO)(3-n)」は、SMPの末端に結合した末端基を表し、-R-SiR (RO)(3-s)は、ポリマー主鎖の中間繰り返し単位に結合した少なくとも1つの側基を表す。
【0023】
本開示の文脈では、C-Cアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、およびn-ヘキシルが含まれ、C~Cアルキレンには、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、およびヘキサメチレンが含まれる。
【0024】
本開示の実施形態によれば、ポリマー主鎖は、ポリオールから誘導され、式Iで表されるSMPは、ポリオール(つまり、ポリマー主鎖)に結合した少なくとも1つの反応性キャッピング基(例えば、ヒドロキシル基またはアリル基など)を、シリル化反応またはヒドロシリル化反応によって、トリアルコキシシラン基と反応させることによって、またはポリイソシアネートをポリオールと反応させて、ポリウレタン中間体、つまりポリマー主鎖を形成し、これを次いでシラン化剤で官能化することによって、調製され得る。
【0025】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン中間体は、イソシアネート末端基を有するポリウレタン鎖であり、シラン化剤は、一端にシラン基および他端にイソシアネート反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基、またはアミン基など)を含む。本開示の文脈では、アミン基は、一級または二級アミン基であり得る。
【0026】
本開示の別の好ましい実施形態によれば、ポリウレタン中間体は、ヒドロキシル末端基を有するポリウレタン鎖であり、シラン化剤は、一端にシラン基および他端にイソシアネート基を含む。
【0027】
様々な実施形態では、ポリマー主鎖(ポリウレタン鎖)を調製するためのポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を有する脂肪族、脂環式、芳香族、またはヘテロアリール化合物である。好ましい実施形態では、ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC-C12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC-C15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC-C15アラリファティック(araliphatic)ポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。別の好ましい実施形態では、好適なポリイソシアネート化合物には、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートおよび/もしくは2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、カルボジイミド修飾MDI生成物、ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またはそれらの混合物が含まれる。一般に、ポリイソシアネート化合物の量は、SMPの実際の要件および得られる硬化性組成物に基づいて変動し得る。例えば、例示的な一実施形態として、ポリイソシアネート化合物の含有量は、SMPの総重量に基づいて、15重量%~60重量%、または20重量%~50重量%、または23重量%~40重量%、または25重量%~38重量%であり得る。
【0028】
本開示の一実施形態によれば、ポリマー主鎖用またはポリウレタン主鎖を調製するためのポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシル基を含むC-C15アラリファティック多価アルコール、100~5,000の分子量および1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有するポリエステルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリ(C-C10)アルキレングリコールまたは複数の(C-C10)アルキレングリコールのコポリマーであるポリエーテルポリオール、100~5,000の分子量を有するポリカーボネートジオール、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択することができ、少なくとも2つのアミノ基を含むC~C10ポリアミン、少なくとも2つのチオール基を含むC~C10ポリチオール、ならびに少なくとも1つのヒドロキシル基および少なくとも1つのアミノ基を含むC-C10アルカノールアミンからなる群から選択される追加のコモノマーも使用することができる。好ましい実施形態によれば、ポリオールは、ポリエーテルポリオールである。様々な実施形態では、ポリオールとして使用されるポリエーテルポリオールは、100~5,000g/molの分子量を有し、以下の終点値のいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲の分子量を有し得る:120、150、180、200、250、300、350、400、450、500、550、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、および5000g/mol。様々な実施形態では、ポリエーテルポリオールは、1.5~5.0の平均ヒドロキシル官能価を有し、以下の終点値のいずれか2つを組み合わせることによって得られる数値範囲の平均ヒドロキシル官能価を有し得る:1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、および5.0。好ましい一実施形態によれば、ポリオールは、500~1,200cSt、または600~1,100cSt、または700~1,000cSt、または800~950cSt、または850~920cStの平均動粘度を有し、10~100mgKOH/g、または12~90mgKOH/g、または15~80mgKOH/g、または16~70mgKOH/g、または17~60mgKOH/g、または18~50mgKOH/g、または19~40mgKOH/g、または20~30mgKOH/g、または25~28mgKOH/gのOH数を有する。本開示の好ましい実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(2-メチル-1,3-プロパングリコール)、およびポリ(エチレンオキシド-プロピレンオキシド)グリコールなどのそれらの任意のコポリマーからなる群から選択される。本開示の別の好ましい実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、少なくとも1つのポリ(C-C10)アルキレングリコールまたはそのコポリマーを含み得、例えば、ポリエーテルポリオールは、(メトキシ)ポリエチレングリコール(MPEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(2-メチル-1,3-プロパングリコール)、または一級ヒドロキシル末端基もしくは二級ヒドロキシル末端基を有するエチレンエポキシドとプロピレンエポキシドとのコポリマー(ポリエチレングリコール-プロピレングリコール)からなる群から選択され得る。
【0029】
本開示の一実施形態によれば、ポリエーテルポリオールは、触媒の存在下での、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、2-メチル-1,3-プロパングリコールおよびこれらの混合物から選択される1種以上の線状または環式のアルキレンオキシドの、適切なスターター分子との重合によって調製される。典型的なスターター分子には、分子内に少なくとも1つ、好ましくは1.5~3.0のヒドロキシル基を有するか、または1つ以上の一級アミン基を有する化合物が含まれる。分子中に少なくとも1つ、好ましくは1.5~3.0のヒドロキシル基を有する好適なスターター分子は、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサン、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、例えば、グルコース、ソルビトール、マンニトール、およびスクロースなどの糖化合物、多価フェノール、フェノールおよびホルムアルデヒドのオリゴマー縮合生成物などのレゾール、ならびにフェノール、ホルムアルデヒド、およびジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物、ならびにさらにメラミンを含む群から選択される。分子中に1つ以上の一級アミン基を有するスターター分子は、例えば、アニリン、EDA、TDA、MDA、およびPMDAからなる群から、より好ましくはTDAおよびPMDAを含む群から選択され得、最も好ましくはTDAであり得る。TDAを使用する場合、すべての異性体を、単独で、または任意の所望の混合物において使用することができる。例えば、2,4-TDA、2,6-TDA、2,4-TDAと2,6-TDAの混合物、2,3-TDA、3,4-TDA、3,4-TDAと2,3-TDAの混合物、および上記のすべての異性体の混合物も使用することができる。ポリエーテルポリオールを調製するための触媒には、アニオン重合用の水酸化カリウムなどのアルカリ触媒、またはカチオン重合用の三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒が含まれ得る。好適な重合触媒には、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛または四ホスファゼニウム化合物などの二重シアン化物錯体(DMC)触媒が含まれ得る。本開示の好ましい実施形態では、出発物質ポリエーテルポリオールには、ポリエチレン、(メトキシ)ポリエチレングリコール(MPEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(2-メチル-1,3-プロパングリコール)または一級ヒドロキシル末端基もしくは二級ヒドロキシル末端基を有するエチレンエポキシドおよびプロピレンエポキシドのコポリマー(ポリエチレングリコール-プロピレングリコール)が含まれる。
【0030】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネートの量は、イソシアネート基が、ポリオールおよび任意の追加の添加剤または調整剤に含まれるヒドロキシル基の総モル量に対して化学量論的なモル量で存在するように適切に選択される。本開示の実施形態によれば、ポリウレタン中間体(PU主鎖)は、2~50重量%、好ましくは6~49重量%、好ましくは8~25重量%、好ましくは10~20重量%、より好ましくは11~15重量%、最も好ましくは12~13重量%のNCO含有量を有する。
【0031】
ポリイソシアネートとポリオールとの間の反応は、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の反応を促進することができる1つ以上の触媒の存在下で起こり得る。理論に束縛されないが、触媒には、例えば、グリシン塩;三級アミン;トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの三級ホスフィン;モルホリン誘導体;ピペラジン誘導体;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、エチルアセトセテートなどとBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、およびNiなどの金属とから得られるものなどの様々な金属のキレート;塩化第二鉄および塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;有機酸とアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Ni、およびCuなどの様々な金属との塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクタノエート、スズ(II)ジエチルヘキサノエート、およびスズ(II)ジラウレートなどの有機スズ化合物、ならびに有機カルボン酸ジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、およびジオクチルスズジアセテート;有機カルボン酸のビスマス塩、例えば、ビスマスオクタノエート、3価および5価のAs、Sb、およびBiの有機金属誘導体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニル、またはそれらの混合物が含まれ得る。一般に、本明細書で使用される触媒の含有量は、ゼロ超であり、成分(A)の総重量に基づいて、最大3.0重量%、好ましくは最大2.5重量%、より好ましくは最大2.0重量%である。
【0032】
シラン基(特に、「R (RO)(3-m)Si-R-」、「-R-SiR (RO)(3-n)」、および「-R-SiR (RO)(3-s)」)をSMPに導入するために使用されるシラン化剤は、シラン-Xの式で表すことができ、X基は、水素、ヒドロキシル、アミン基、イミン基、イソシアネート基、ハロゲン原子(エグクロリン、ブロミン、もしくはヨウ素)、ケトキシマト、アミノ、アミド、酸アミド、アミノキシ、メルカプト、またはアルケニルオキシ基であり得る。好適なシラン化剤の例には、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルメチルジエトキシシラン、(3-アミノプロピル)-ジエトキシ-メチルシラン、(3-アミノプロピル)-ジメチル-エトキシシラン、(3-アミノプロピル)-トリメトキシシラン、N-((β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N-((β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N-((β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(6-アミノヘキシル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-11-アミノウンデシルトリメトキシシラン、N-((β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルエチルジエトキシシラン、およびそれらの混合物が含まれる。
【0033】
本開示の好ましい実施形態によれば、ポリマー主鎖は、ポリオールのみから誘導され、好ましくは、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールである。ポリマー主鎖は、ヒドロキシル基、グリシジル基、アリル基、またはそれらの組み合わせなどの2つ以上の末端基でエンキャップすることができる。ヒドロシリル化反応は、ポリオール鎖の上記の末端基とシラン化剤のX基との間で起こり、SMPを形成し得る。シリル化反応およびヒドロシリル化反応の機械的スキームを図3および図4に示し、シラン化剤は、それぞれイソシアネート-プロピレン-Si(OCHおよびSiH(OCHである。
【0034】
本開示の別の好ましい実施形態によれば、ポリマー主鎖は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応から誘導されるポリウレタン主鎖である。ポリマー主鎖は、ヒドロキシル基またはイソシアネート基などの2つ以上の末端基でエンキャップすることができる。シリル化反応は、ポリウレタン主鎖の上記の末端基とシラン化剤のX基との間で起こり、SMPを形成し得る。図5は、そのようなポリウレタン系SMPの反応機構を示し、図5に示すRは、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、zは、5~5,000、または10~4,500、または30~4,300、または50~4,000、または80~3,800、または100~3,500、または200~3,000、または300~2,500、または400~2,000、または500~1,500、または600~1,200、または700~1,000、または800~900の整数である。
【0035】
本開示の実施形態によれば、シラン化剤のモル含有量は、SMPが1.2~4.0、好ましくは1.5~3.0、より好ましくは1.8~2.5、より好ましくは2.0~2.2のシラン官能価を有するように選択される。
【0036】
一般に、SMPの量は、得られる硬化性組成物の実際の要件に基づいて変動し得る。例えば、例示的な一実施形態として、SMPの含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、10重量%~70重量%、または15重量%~70重量%、または10重量%~65重量%、または20~65重量%、または20重量%~60重量%、または12重量%~50重量%、または14~40重量%、または15重量%~30重量%、または17重量%~25重量%、または18重量%~24重量%、または20重量%~24重量%であり得る。
【0037】
エポキシ樹脂
本開示の様々な実施形態では、成分(B)は、少なくとも1つ、好ましくは2つのエポキシ末端基を有するエポキシ樹脂を含む。
【0038】
エポキシ樹脂は、エポキシ官能基を含有する任意のポリマー材料であり得る。反応性エポキシ官能基を含有する化合物は、広い範囲で変動し得、エポキシ官能基を含有するポリマーまたは2つ以上のエポキシ樹脂のブレンドが含まれる。エポキシ樹脂は、飽和もしくは不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族、または複素環式であり得、置換することができる。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ポリエポキシドを含むことができる。ポリエポキシドとは、2つ以上のエポキシ部分を含有する化合物または化合物の混合物を指す。ポリエポキシドには、部分的に高度なエポキシ樹脂、すなわち、ポリエポキシドと鎖延長剤との反応生成物が含まれ、反応生成物は、平均して、分子当たり2つ以上の未反応エポキシド単位を有する。脂肪族ポリエポキシドは、エピハロヒドリンとポリグリコールとの反応から調製され得る。脂肪族エポキシドの他の具体例には、トリメチロールプロパンエポキシド、およびジグリシジル-1,2-シクロヘキサンジカルボキシレートが含まれる。他の化合物には、例えば、多価フェノールのグリシジルエーテル(すなわち、分子当たり平均2つ以上の芳香族ヒドロキシル基を有する化合物)などのエポキシ樹脂が含まれる。
【0039】
一実施形態では、本開示の硬化性組成物に利用されるエポキシ樹脂には、エピハロヒドリンおよびフェノールまたはフェノールタイプの化合物から生成されるそれらの樹脂が含まれる。フェノールタイプの化合物には、分子当たり平均2つ以上の芳香族ヒドロキシル基を有する化合物が含まれる。フェノールタイプの化合物の例には、ジヒドロキシフェノール、ビフェノール、ビスフェノール、ハロゲン化ビフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、水素化ビスフェノール、アルキル化ビフェノール、アルキル化ビスフェノール、トリスフェノール、フェノール-アルデヒド樹脂、ノボラック樹脂(フェノールとホルムアルデヒドなどの単純アルデヒドとの反応生成物)、ハロゲン化フェノール-アルデヒドノボラック樹脂、置換フェノール-アルデヒドノボラック樹脂、フェノール-炭化水素樹脂、置換フェノール-炭化水素樹脂、フェノール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、アルキル化フェノール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、炭化水素-フェノール樹脂、炭化水素-ハロゲン化フェノール樹脂、炭化水素-アルキル化フェノール樹脂、またはそれらの組み合わせが含まれる。具体的には、フェノールタイプの化合物には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、テトラブロモビスフェノールA、フェノール-ホルムアルデヒドノボラック樹脂、アルキル置換フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン-置換フェノール樹脂、テトラメチルビフェノール、テトラメチル-テトラブロモビフェノール、テトラメチルトリブロモビフェノール、およびテトラクロロビスフェノールAが含まれる。いくつかの実施形態では、本組成物のエポキシ樹脂は、少なくとも1.5、少なくとも3、または少なくとも6の官能価を有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、エポキシ成分(B)で利用されるエポキシ樹脂は、エピハロヒドリンおよびアミンから生成されるそれらの樹脂を含む。好適なアミンには、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン、アニリン、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、エポキシ成分に利用されるエポキシ樹脂には、エピハロヒドリンおよびカルボン酸から生成されるそれらの樹脂が含まれる。好適なカルボン酸には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸および/またはヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0042】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、上記の1つ以上のエポキシ樹脂と、1つ以上のフェノールタイプの化合物および/または分子当たり平均して2つ以上の脂肪族ヒドロキシル基を有する1つ以上の化合物との反応生成物である高度なエポキシ樹脂である。あるいは、エポキシ樹脂は、炭化水素骨格、好ましくはC-C40炭化水素骨格、および1つ以上のカルボキシル部分、好ましくは2つ以上、最も好ましくは2つを有する化合物であるカルボキシル置換炭化水素と反応し得る。C-C40炭化水素骨格は、直鎖または分岐鎖のアルカンまたはアルケンであり得、任意選択で酸素を含有する。脂肪酸および脂肪酸二量体は、有用なカルボン酸置換炭化水素の中にある。脂肪酸には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルシン酸、ペンタデカン酸、マルガリン酸、アラキジン酸、およびそれらの二量体が含まれる。
【0043】
いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、ポリエポキシドと2つ以上のイソシアネート部分またはポリイソシアネートを含有する化合物との反応生成物である。例えば、そのような反応で生成されるエポキシ樹脂は、エポキシ末端ポリオキサゾリドンであり得る。
【0044】
具体的な一実施形態では、エポキシ樹脂成分は、臭素化エポキシ樹脂とフェノール性ノボラックエポキシ樹脂とのブレンドである。
【0045】
本出願の様々な実施形態によれば、エポキシ樹脂は、100~20,000グラム/モル(g/mol)、または500~15,000g/mol、または800~12,000g/mol、または1,000~10,000g/mol、または2,000~9,000g/mol、または3,000~8,000g/mol、または4,000~7,000g/mol、または5,000~6,000g/molの分子量を有する。本出願の様々な実施形態によれば、エポキシ樹脂は、1.2~10、または2~9、または3~8、または4~7、または5~6のエポキシ官能価を有する。一般に、エポキシ樹脂の量は、得られる硬化性組成物の実際の要件に基づいて変動し得る。例えば、例示的な一実施形態として、エポキシ樹脂の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、2.5重量%~65重量%、または4重量%~65重量%、または5重量%~65重量%、または6重量%~60重量%、または7重量%~50重量%、または8重量%~40重量%、または9~30重量%、または10重量%~25重量%、または11重量%~24重量%、または12重量%~22重量%、または15重量%~22重量%、または18重量%~22重量%であり得る。
【0046】
硬化剤
本出願の一実施形態によれば、相溶化剤が少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を含む化合物である場合、硬化剤は必須成分である。本出願の別の実施形態によれば、硬化剤は、任意成分であり、相溶化剤が、同じ分子中に少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基、例えばアミン基またはイミン基を含む化合物である場合、より好ましくは存在しない。
【0047】
本開示の様々な実施形態によれば、本開示の実施に使用することができる硬化剤には、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン、ポリアミノアミド、イミダゾール、ジシアンジアミド、エポキシ修飾アミン、マンニッヒ修飾アミン、マイケル付加修飾アミン、ケチミン、酸無水物、アルコール、およびフェノールなどが含まれる。本出願の最も好ましい実施形態によれば、硬化剤は、トリエチレンテトラミン(TETA)である。例示的な一実施形態として、相溶化剤が少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つのエポキシ末端基を含む化合物である場合、硬化剤は、必須構成成分であり、硬化剤の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1~8重量%、または0.125重量%~7重量%、または0.2重量%~6重量%、または0.25重量%~5重量%、または0.3重量%~4重量%、または0.4~3重量%、または0.5重量%~2.5重量%、または0.6重量%~2重量%、または0.7重量%~1重量%、または0.75重量%~0.9重量%である。硬化剤は、成分AおよびBから独立した成分として供給および伝達されるか、または成分Bに含有されるかのいずれかであり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、硬化剤は、SMPおよびエポキシ樹脂から物理的に分離された成分に含まれる。本開示の別の好ましい実施形態によれば、硬化剤は、硬化手順を加速するために特に選択された2つの触媒を含む成分に含まれる。
【0048】
別の例示的な実施形態として、相溶化剤が少なくとも1つのシラン基ならびに少なくとも1つの窒素含有基(例えば、アミン基および/またはイミン基)を含む化合物である場合、硬化剤は、任意構成成分であり、硬化剤の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、ゼロ、または0.1~8重量%、または0.125重量%~7重量%、または0.2重量%~6重量%、または0.25重量%~5重量%、または0.3重量%~4重量%、または0.4~3重量%、または0.5重量%~2.5重量%、または0.6重量%~2重量%、または0.7重量%~1重量%、または0.75重量%~0.9重量%である。存在する場合、硬化剤は、成分AおよびBから独立した成分として供給および伝達されるか、または成分Aに含有されるかのいずれかであり得る。例えば、硬化剤は、少なくとも1つのシラン基ならびに少なくとも1つの窒素含有基(例えば、アミン基および/またはイミン基)を含む相溶化剤が含有される同じ成分に含まれ得る。
【0049】
相溶化剤
本開示の硬化性組成物に有用な相溶化剤は、上記のシラン基およびエポキシ基の両方を含む「エポキシシラン」もしくは「エポキシシラン相溶化剤」と呼ばれる化合物であるか、または同じ分子中に少なくとも1つのシラン基および少なくとも1つの窒素含有基、例えばアミン基もしくはイミン基を有する「アミノシラン」もしくは「アミノシラン相溶化剤」と呼ばれる化合物であることを特に特徴とする。本開示の好ましい実施形態によれば、エポキシシラン相溶化剤およびアミノシラン相溶化剤のうちの1つのみが硬化性組成物のために選択される。
【0050】
本開示の実施形態によれば、エポキシシラン相溶化剤は、式IIによって表されるか、またはその縮合オリゴマーまたは縮合ポリマーであり得る。
【化1】
式中、R10は、以下からなる群が選択され、
【化2】
、式中、*は、R10が相溶化剤の他の部分に結合している結合部位を表し、
11は、C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-[O-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-[O-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレンからなる群から選択され、
式中、R12およびR13のそれぞれは、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ハロゲン原子、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)を表し、
tは、0、1、または2の整数を表し、xは、1~100の整数を表す。例えば、xは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の整数であり得る。
【0051】
本明細書に示されるように、「縮合オリゴマー」および「縮合ポリマー」という用語は、式IIによって表される2つ以上の化合物を縮合することによって、特にシラン基の縮合を介して得られるオリゴマーまたはポリマー化合物を指す。例えば、相溶化剤は、式IIIで表される縮合オリゴマーまたは縮合ポリマーであり得、
【化3】
式中、R10、R11、およびR13は上記の通りであり、rは1~50の整数、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50の整数を表す。
本開示の最も好ましい実施形態によれば、エポキシシラン相溶化剤は、以下の化合物のいずれか1つから選択され:
【化4】
、式中、xは1~100の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100の整数の整数を表し、
【化5】
式中、R’は、C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン、-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルキル)-[O-Si(C-Cアルキル)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレン、-(CH-O)-C-Cアルキレン-Si(C-Cアルコキシ)-[O-Si(C-Cアルコキシ)-C-Cアルキレン-(O-CH)-CH(OH)-CH-NH-C-Cアルキレンからなる群から選択され、Rは、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、ハロゲン原子、C-Cアルケン基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)を表し、yは、1~50の整数、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26の、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50の整数を表す。
【0052】
例示的な一実施形態として、エポキシシラン相溶化剤の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~15重量%、または0.6重量%~14重量%、または0.7重量%~13重量%、または0.8~12重量%、または0.9重量%~11重量%、または1重量%~10重量%、または1.1重量%~9重量%、または1.2重量%~8重量%、または1.25重量%~7重量%、または1.3重量%~6重量%、または1.2重量%~5重量%、または1.2重量%~4重量%、または1.2重量%~3重量%、または1.2重量%~2重量%、または1.2重量%~1.75重量%、または1.2重量%~1.5重量%である。エポキシシラン相溶化剤は、成分AおよびBから独立した成分として供給および伝達されるか、または成分Aに含有されるか、またはSMP、エポキシ樹脂、もしくはその両方とのブレンドとして供給および伝達されるかのいずれかであり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、硬化剤は、成分Aに含有され、つまり、SMP、エポキシ樹脂、および任意の任意添加剤とのブレンドとして含有される。
【0053】
本開示の実施形態によれば、アミノシラン相溶化剤は、式IVで表される化合物であり:
【化6】
式中、R14は、NH-、ピリジニル、ピリル、NH(C-Cアルキレン)-、NH(C-Cアルキレン)-NH-、NH(C-C10アルキレン-O)-NH-、(NHCH-、(NHC-、(NH-C-Cアルキレン)CH-、(NH-C-Cアルキレン))C-、(NHCH(C-Cアルキレン)-、(NHC(C-Cアルキレン)-、(NH-C-Cアルキレン)CH(C-Cアルキレン)-、(NH-C-Cアルキレン)C(C-Cアルキレン)-、フェニルNH-、(C-Cアルキル)NH-、(C-Cアルキル)N-、(C-Cシクロアルキル)NH-、(C-Cシクロアルキル)N-、(C-Cアルケニル)NH-、(C-Cアルケニル)N-、(ヒドロキシC-Cアルキル)NH-、(ヒドロキシC-Cアルキル)N-からなる群から選択され、
15は、直接結合、フェニレン、-(C-Cアルキレン)-、フェニレン-(C-Cアルキレン)-、-NH-(C-Cアルキレン)-、-NH-NH-(C-Cアルキレン)-、-NH-(C-Cアルキレン)-NH-、-NH-(C-Cアルキレン)-NH-(C-Cアルキレン)-、および-NH-(C-Cアルキレン)-NH-(C-Cアルキレン)-NH-からなる群から選択され、式中、R16およびR17のそれぞれは、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基で任意選択に置換されたC-Cアルキル基、C-Cアルコキシ基、-(C-C)アルキレン-O-C-Cアルキル基、-(C-C)アルキレン-O-(C-C)アルキレン-O-C-Cアルキル基、ハロゲン原子、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、-Si(C-Cアルキル)、-Si(C-Cアルコキシ)、-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルキル)、-(C-C)アルキレン-Si(C-Cアルコキシ)、または-(C-C)アルキレン-Si-{O-[Si(C-Cアルコキシ)を表し、式中、qは、0、1、または2の整数を表すが、ただし式IVで表される化合物に少なくとも2つの窒素原子が存在するという条件である。アミノシラン相溶化剤は、少なくとも1つの一級アミン基、または少なくとも2つの二級アミン基、または1つ以上の一級アミン基および少なくとも1つの二級アミン基、またはそれらの組み合わせを含み得ることに特に留意されたい。本開示の実施形態によれば、この相溶化剤に含有される窒素含有基は、アミノ、アミン、イミン、ピリジニル、またはピリルであり得るが、式IVで表されるこの相溶化剤は、異なる窒素含有基中のすべての窒素原子がアミノ基と同様の化学的機能および特性を示すため、依然として「アミノシラン」と呼ぶことができる。
【0054】
本開示の実施形態によれば、アミノシラン相溶化剤は、以下からなる群から選択され、
【化7-1】
【化7-2】
【0055】
例示的な一実施形態として、式IVによって表されるアミノシラン相溶化剤の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.5重量%~20重量%、または0.8重量%~18重量%、または1重量%~16重量%、または1.2~14重量%、または1.5重量%~12重量%、または2重量%~10重量%、または2.5重量%~9重量%、または3重量%~8.8重量%、または3.5重量%~8.5重量%、または4重量%~8重量%、または4.5重量%~7.5重量%、または5重量%~7重量%、または5.5重量%~6.5重量%、または5.5重量%~6重量%である。
【0056】
アミノシラン相溶化剤は、成分AおよびBから独立した成分として供給および伝達されるか、または成分AもしくはBに含有されるかのいずれかであり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、アミノシラン相溶化剤は、成分Aに含有される、つまり、SMPとのブレンドとして含有される。
【0057】
本開示の好ましい実施形態によれば、SMP、エポキシ樹脂、およびアミノシラン相溶化剤の量は、総アミン官能基対総エポキシ官能基のモル比が、0.8:1~4:1、または0.9:1~3:1、または1.0:1~2.5:1、または1.1:1~2.0:1、または1.2:1~1.4:1の範囲になり得るように特に選択される。
【0058】
硬化促進/加速触媒
特定の理論に限定されることなく、本開示の1つの技術的進歩は、硬化速度を高めるための硬化性組成物への2つの触媒の組み込みにあり、これらの2つの触媒はまた、例えば、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂の調製を触媒するための他の触媒と区別するために、硬化促進/加速触媒と呼ばれる。
【0059】
硬化促進/加速触媒のうちの1つは、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒である。好ましくは、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、少なくとも2つの窒素原子および少なくとも2つの複素環式基を含む。より好ましくは、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]非5-エン、2,3-ジアザビシクロ[2.2.0]ヘキサ-1-エン、および1,3-ジアザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-エンからなる群から選択される。最も好ましくは、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)である。
【0060】
窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、成分AおよびBから独立した成分として供給および伝達されるか、または成分Bに含有されるかのいずれかであり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、相溶化剤は、エポキシシラン相溶化剤であり、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、エポキシシラン相溶化剤またはエポキシ樹脂から物理的に分離された成分に含まれる。本開示の別の好ましい実施形態によれば、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、硬化剤、他の硬化促進/加速触媒、および任意の任意添加剤を含む成分に含まれる。
【0061】
例示的な一実施形態として、相溶化剤がエポキシシラン相溶化剤である場合、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.5~20重量%、または0.55重量%~15重量%、または0.6重量%~10重量%、または0.65重量%~8重量%、または0.7重量%~7重量%、または0.75~6重量%、または0.8重量%~5重量%、または0.9重量%~4重量%、または1重量%~3重量%、または1.1重量%~2重量%、または1.2重量%~1.8重量%、または0.75重量%~1.5重量%である。
【0062】
別の例示的な実施形態によれば、相溶化剤がアミノシラン相溶化剤である場合、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒は、SMPとの混合物として含有される任意構成成分である。例示的な一実施形態として、相溶化剤がアミノシラン相溶化剤である場合、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、ゼロ、または0~20重量%、または0.05重量%~15重量%、または0.08重量%~10重量%、または0.1重量%~8重量%、または0.2重量%~7重量%、または0.25~6重量%、または0.28重量%~5重量%、または0.3重量%~4重量%、または0.35重量%~3重量%、または0.4重量%~2重量%、または0.45重量%~1.8重量%、または0.5重量%~1.5重量%である。
【0063】
硬化促進/加速触媒のうちのもう1つは、窒素含有フェノール触媒である。好ましくは、窒素含有フェノール触媒は、少なくとも1つのアミノ基を含む。より好ましくは、窒素含有フェノール触媒は、2,4,6-トリス(R)フェノール、2,4-ビス(R)フェノール、2,3-ビス(R)フェノール、3,4-ビス(R)フェノール、2,6-ビス(R)フェノール、2,5-ビス(R)フェノール、および3,5-ビス(R)フェノールからなる群から選択され、各Rは、アミノ(C-C)アルキル、(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル、およびジ(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキルからなる群から独立して選択される。最も好ましくは、窒素含有フェノール触媒は、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(DMP-30)である。
【0064】
例示的な一実施形態として、相溶化剤は、エポキシシラン相溶化剤であり、窒素含有フェノール触媒は、必須構成成分である。窒素含有フェノール触媒は、成分AおよびBから独立した成分として供給および伝達されるか、または成分Bに含有されるかのいずれかであり得る。本開示の好ましい実施形態によれば、窒素含有フェノール触媒は、エポキシ官能化相溶化剤またはエポキシ樹脂から物理的に分離された成分に含まれる。本開示の別の好ましい実施形態によれば、窒素含有フェノール触媒は、硬化剤、他の硬化促進/加速触媒、および任意の任意添加剤を含む成分に含まれる。
【0065】
例示的な一実施形態として、窒素含有フェノール触媒の含有量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.001~5重量%、または0.002重量%~4重量%、または0.005重量%~3重量%、または0.007重量%~2重量%、または0.080重量%~1.5重量%、または0.010~1.25重量%、または0.012重量%~1重量%、または0.015重量%~0.75重量%、または0.017重量%~0.6重量%、または0.020重量%~0.5重量%、または0.022重量%~0.4重量%、または0.025重量%~0.3重量%である。
【0066】

本開示の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、水を含まない、つまり、水または水分が意図的にその中に組み込まれていない。換言すれば、本開示の水を含まない硬化性組成物は、原材料のうちの1つ以上または大気によって導入された微量の水分を含み得る。例えば、本開示の水を含まない硬化性組成物は、500ppm未満、または400ppm未満、または300ppm未満、または100ppm未満、または50ppm未満、または10ppm未満、または5ppm未満、または1ppm未満、または500ppb未満、または100ppb未満、または50ppb未満、または10ppb未満、または5ppb未満、または1ppb未満の水量(不純物として)を有し得る。
【0067】
本開示の別の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、水系システムであり、意図的に添加された、好ましくは成分Bに添加された水を含む。特定の理論に限定されることなく、水は、硬化手順を加速するための促進剤として使用されると推定される。例えば、本開示の水系硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~6重量%、または0.2重量%~5.5重量%、または0.5重量%~4重量%、または0.6重量%~3.8重量%、または0.65重量%~3.5重量%、または0.68~3.2重量%、または0.7重量%~3重量%、または0.72重量%~2.8重量%、または0.74重量%~2.6重量%、または0.75重量%~2重量%、または0.8重量%~1.5重量%、または0.9重量%~1.2重量%、または1.0重量%~1.1重量%の水量を有し得る。
【0068】
添加剤
本開示の様々な実施形態では、硬化性組成物は、ポリウレタン、ポリエステルポリオールの調製、またはSMP、エポキシ樹脂、硬化剤、および相溶化剤間の反応を触媒するためのものを含む上記の硬化促進/加速触媒以外の触媒;ビニル-Si[O-(C-C)アルキル]、特にビニルトリメトキシシランなどの水分スカベンジャー;鎖延長剤;架橋剤;粘着付与剤;フタル酸エステル、非芳香族二塩基酸エステル、およびリン酸エステルなどの可塑剤、二塩基酸と二価アルコールとのポリエステル、ポリプロピレングリコールおよびその誘導体、ポリスチレン;レオロジー調整剤;液体の立体障害のあるフェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤;炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、二酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、およびカーボンブラックなどの充填剤;着色剤;顔料;界面活性剤;炭化水素、酢酸エステル、アルコール、エーテル、およびケトンなどの溶媒;希釈剤;難燃剤;滑りにくい薬剤;帯電防止剤;防腐剤;殺生物剤;UV安定剤;チキソトロピー;硬化ヒマシ油、有機ベントナイト、ステアリン酸カルシウムなどのたるみ防止剤;液体ヒンダードアミン光安定剤などの光安定剤;ならびにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含み得る。これらの添加剤は、既知の方法および量で使用される。これらの添加剤は、独立した成分として伝達され、貯蔵され得、成分(A)と(B)との組み合わせの少し前または直前に硬化性組成物に組み込まれ得る。あるいは、これらの添加剤は、エポキシ基、アミノ基、およびシラン基などの反応性基に対して化学的に不活性である場合、成分(A)および(B)のいずれかに含有され得る。
【0069】
硬化促進/加速触媒以外の上記触媒とは、エポキシ基、アミノ基、およびシラン基などの反応性基間の相互作用をさらに高め得る触媒物質を指す。それは、硬化触媒としても既知であり、それぞれ独立して、または2つ以上の種の組み合わせで使用することができる。代表的な触媒には、ジメチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセトアセテート、チタンアセトアセテート、チタンエチルアセトアセテート錯体およびテトライソプロピルチタネート、ビスマスカルボキシレート、亜鉛オクトエート、ブロックされた三級アミン、ジルコニウム錯体、ならびにアミンとルイス酸触媒との組み合わせであるスズ組成物とケイ酸との付加物が含まれる。本開示の好ましい実施形態によれば、硬化促進/加速触媒以外の上記の触媒の量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01~20重量%、または0.02~15重量%、または0.03~10重量%、または0.04~8重量%、または0.05~6重量%、または0.06~5重量%、または0.07~4重量%、または0.07~3重量%、または0.08~2重量%、または0.09~1重量%、または0.1~0.8重量%である。
【0070】
本開示の実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、エポキシシラン相溶化剤のみを含み、アミノシラン相溶化剤を含まない。本開示の別の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、アミノシラン相溶化剤のみを含み、エポキシシラン相溶化剤を含まない。
【0071】
組み合わせたものの1つは、シラン修飾ポリマー、エポキシ樹脂、任意選択の硬化剤、および相溶化剤が、任意選択の硬化促進/加速触媒の存在下で互いに反応し、急速に硬化してターゲット層または構造を形成する。硬化プロセスは、例えば、0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、より好ましくは15℃~30℃、同時に300℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下の温度下で実施され得る。硬化プロセスは、例えば、望ましくは0.01バール以上、好ましくは0.1バール以上、より好ましくは0.5バール以上、より好ましくは0.9バール以上、同時に望ましくは1000バール以下、好ましくは100バール以下、より好ましくは10バール以下、より好ましくは5バール以下、より好ましくは1.5バール以下の圧力で実施され得る。本開示の例示的な実施形態によれば、硬化プロセスは、周囲温度および圧力下で行われる。硬化プロセスは、SMP-エポキシ組成物を硬化させるのに十分な所定の期間、実施され得る。例えば、硬化時間は、望ましくは、2時間以内、または1時間以内、または50分以内、または40分以内、または30分以内、または20分以内、または15分以内、または10分以内、または5分、または3分以内であり得る。
【0072】
成分Aと成分Bとの未硬化ブレンドは、バッチまたは連続プロセスによって1つ以上の基材に適用され得る。未硬化ブレンドは、例えば、重力鋳造、真空鋳造、自動圧力ゲル化(APG)、真空圧力ゲル化(VPG)、注入、フィラメントワインディング、射出(例えば、レイアップ射出)、トランスファー成形、プレプレジング、浸漬、コーティング、ポッティング、カプセル化、噴霧、ブラッシングなどの技術によって適用され得る。
【0073】
本開示の実施形態によれば、硬化性組成物は、成分Aの総重量に基づいて、35~80重量%のSMP、5~70重量%のエポキシ樹脂、1~10重量%のエポキシシラン相溶化剤、0.1~1.5重量%の硬化促進/加速触媒以外の触媒、およびバランス量の添加剤を含む成分(A)と、成分Bの総重量に基づいて、0.5~5重量%の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、0.05~1重量%の窒素含有フェノール触媒、0.5~4重量%の硬化剤、0~10重量%の水、およびバランス量の添加剤を含む成分(B)と、を含む2成分組成物であり、成分Aと成分Bとの重量比は、1:5~5:1、または1:2~2:1、または1.1:1~1:1.1、例えば1:1である。
【0074】
好ましくは、硬化性組成物は、成分Aの総重量に基づいて、35~80重量%のSMP、5~70重量%のエポキシ樹脂、1~10重量%のエポキシシラン相溶化剤、0.1~1.5重量%の硬化促進/加速触媒以外の触媒、0~30重量%の充填剤、0.2~1.5重量%の水分スカベンジャー、0~30重量%の可塑剤、0~10重量%の顔料、0~1重量%の酸化防止剤、0~1重量%の光安定剤、0~5重量%のチキシトロープ剤を含む成分(A)と、成分Bの総重量に基づいて、0.5~5重量%の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、0.05~1重量%の窒素含有フェノール触媒、0.5~4重量%の硬化剤、0~6重量%の水、0~60重量%の可塑剤、0~60重量%の充填剤、および0~5重量%の顔料を含む成分(B)と、を含む2成分組成物であり、成分Aと成分Bとの重量比は、1:5~5:1、または1:2~2:1、または1.1:1~1:1.1、例えば1:1である。
【0075】
本開示の別の実施形態によれば、硬化性組成物は、成分Aの総重量に基づいて、35~80重量%のSMP、5~70重量%のエポキシ樹脂、1~10重量%のエポキシシラン相溶化剤、0.1~1.5重量%の硬化促進/加速触媒以外の触媒、およびバランス量の添加剤を含む成分(A)と、成分Bの総重量に基づいて、0.5~5重量%の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、0.05~1重量%の窒素含有フェノール触媒、0.5~4重量%の硬化剤、0~6重量%の水、およびバランス量の添加剤を含む成分(B)と、を含む2成分組成物であり、成分Aと成分Bとの重量比は、1:5~5:1、または1:2~2:1、または1.1:1~1:1.1、例えば1:1である。
【0076】
好ましくは、硬化性組成物は、成分Aの総重量に基づいて、35~80重量%のSMP、5~70重量%のエポキシ樹脂、1~10重量%のエポキシシラン相溶化剤、0.1~1.5重量%の硬化促進/加速触媒以外の触媒、0~30重量%の充填剤、0.2~1.5重量%の水分スカベンジャー、0~30重量%の可塑剤、0~10重量%の顔料、0~1重量%の酸化防止剤、0~1重量%の光安定剤、0~5重量%のチキシトロープ剤を含む成分(A)と、成分Bの総重量に基づいて、0.5~5重量%の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、0.05~1重量%の窒素含有フェノール触媒、0.5~4重量%の硬化剤、0~60重量%の可塑剤、0~60重量%の充填剤、0~5重量%の顔料、および0~6重量%の水を含む成分(B)と、を含む2成分組成物であり、成分Aと成分Bとの重量比は、1:5~5:1、または1:2~2:1、または1.1:1~1:1.1、例えば1:1である。
【0077】
本開示の別の実施形態によれば、硬化性組成物は、成分Aの総重量に基づいて、10~90重量%のSMP、1~20重量%のアミノシラン相溶化剤、0~10重量%、好ましくは0~3重量%の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、およびバランス量の添加剤を含む成分(A)と、成分Bの総重量に基づいて、1~70重量%、好ましくは1~50重量%のエポキシ樹脂、0.1~6重量%の硬化促進/加速触媒以外の触媒(例えば、エグチン含有触媒、特にジメチルスズジネオデカノエート)、およびバランス量の添加剤を含む成分(B)と、を含む2成分組成物であり、成分Aと成分Bとの重量比は、1:5~5:1、または1:2~2:1、または1.1:1~1:1.1、例えば1:1である。
【0078】
好ましくは、本開示の硬化性組成物は、0.7~1.8、好ましくは0.8~1.5、より好ましくは0.9~1.3の窒素(例えば、アミン、アミノ、イミン、ピリジニル、およびピリル基の総モル量)対エポキシのモル比を有する。本開示の別の実施形態によれば、SMP対エポキシ樹脂の重量比は、6/1~1/3、好ましくは5/1~1/1である。
【0079】
好ましくは、硬化性組成物は、成分Aの総重量に基づいて、10~90重量%のSMP、1~20重量%のアミノシラン相溶化剤、0~3重量%の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒、0.1~2重量%の水分スカベンジャー(VTMSなど)、0~50重量%の充填剤、0~30重量%の可塑剤(DINPなど)、0~5重量%のチキシトロープ剤(SLTなど)、0~1重量%の酸化防止剤(Irganox 1135など)、0~1重量%の光安定剤(Tinuvin 765など)、0~10重量%の顔料(TiOなど)を含む成分(A)と、成分Bの総重量に基づいて、1~50重量%のエポキシ樹脂、0.1~6重量%の硬化促進/加速触媒以外の触媒(DMTなど)、0~60重量%の可塑剤(DINPなど)、0~60重量%の充填剤、0~1重量%の顔料を含む成分(B)と、を含む2成分組成物であり、成分Aと成分Bとの重量比は、10:1~1:10、または1:5~5:1、または1:2~2:1、または1.1:1~1:1.1、例えば1:1である。
【0080】
本出願の別の好ましい実施形態によれば、SMPとエポキシ樹脂との重量比は、20:1~1:10、または15:1~1:8、または10:1~1:7、または8:1~1:6、または7:1~1:5、または6:1~2:9、または5:1~2:9、または3:1~2:9、または2:1~2:9、または1:1~2:9、または1:2~2:9、または1:3~2:9である。
【0081】
本開示の好ましい実施形態によれば、本開示の硬化性組成物は、少なくとも以下の性能特性を示す:非常に速く乾燥することができる(例えば、20分未満、例えば、18分未満、または15分未満、または13分未満、または12分未満、または10分未満、または8分未満、または6分未満、または5分未満、または3分未満の皮膚形成時間を有する);許容できる気密性を達成する;例えば、96時間の防曇試験に合格する;迅速な接着力の蓄積(24時間、20時間、16時間、12時間、10時間、8時間、6時間、4時間、2時間、または1時間、または30分、または20分後に許容できる接着強度を達成することができる);および高い接着性(例えば、1時間後に0.5MPaを超える、6時間後に1.5MPaを超える、24時間後に2.5MPaを超える、1週間後に2MPaを超える、または3MPaを超える重ね剪断強度を示す)。
【実施例
【0082】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例に詳細に説明する。ただし、本開示の範囲は、当然ながら、これらの実施例に記載される配合物に限定されない。むしろ、実施例は、本開示の単なる例示である。
【0083】
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に列挙する。
【表1-1】
【表1-2】
【0084】
調製例:SMPの調製(SPUR-4000~12000)
Voranol(商標)4000LM(4000g)をN保護付きの3つ口フラスコに室温で添加し、窒素流下で110℃で4時間加熱した。フラスコ中の物質を80℃に冷却し、次いでT12(2.0g)およびIPDI(296.4g)を添加し、フラスコを80℃で4時間さらに加熱した。次いで、SCA-3303(156.93)をフラスコに添加し、混合物を80℃で4時間加熱した。反応後、さらなる特性評価、配合、および試験のために得られたSMPを密封ボトルに移した。
【0085】
本発明の実施例
表2~7に列挙した配合物に従って、異なる2成分硬化性組成物を調製し、各構成成分の相対量と得られる技術的効果との関係を調べ、SMP樹脂は、上記の調製例(SPUR-4000~12000)で調製したか、または市販で購入した(SPUR+1015LM)かのいずれかであった。
【0086】
表2~7に示される配合に従って、パートAおよびパートBは、2000rpm/分の撹拌速度下で別々のスピードミキサーでそれらの構成成分を混合することによって別々に調製した。パートAとパートBとを組み合わせ、スピードミキサーで1,000rpm/分の撹拌速度で20秒間、1,500rpm/分で20秒間完全に混合し、次いで圧力が0.2KPaの真空ミキサーで1000rpm/分で2分間さらに混合し、最後にスピードミキサーで2000rpm/分で20秒間混合した。上記の混合ステップ後、得られたブレンドは、直接特徴付けるか、または基材の表面上に適用してフィルムサンプルを生成したかのいずれかであった。
【0087】
実施例で調製されたサンプルは、以下の技術で特徴付けた。
【0088】
A.上記の調製例で調製されたSMP(SPUR-4000~12000)は、以下の条件およびパラメータを使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で特徴付けた:GPCは、2つの混合Dカラム(7.8x300mm)およびAgilent屈折率検出器を備えたAgilent 1200モデルクロマトグラフを使用して行った;カラム温度は、35℃であり、検出器の温度は、35℃であり、流量は、1.0mL/分であり、移動相は、テトラヒドロフランであり、注入量は、50μLである;検出データは、分子量が316,500~316,580g/molの範囲であるPLポリスチレンナロー標準(部品番号:2010~0101)を使用して得られた検量線に基づいて、Agilent GPCソフトウェアで収集および分析した。
【0089】
SMPは、21,662のMnおよび41,081のMwを有すると測定されたため、1.90のPDIを有すると計算することができる。
【0090】
B.タックフリー時間/スキン配合時間は、以下の手順で特徴付けた:2k接着剤サンプルの2つの液を混合し、ブレンドを亜鉛メッキ鋼の表面上にコーティングし、次いでサンプルを滑らかにし、スキンタイム試験をGB/T 13477.5-2002に従って実施する。
【0091】
C.サンプルの機械的特性は、ASTM D1708-06Aに従って測定した。ASTM D1708-06Aで導入された手順に従って、任意の実施例の硬化フィルムを犬の骨の形状の試験片にダイカットした。試験片をInstron 5566装置に固定し、50mm/分の一定速度で延伸した。降伏点での荷重(もしあれば)、試験中に試験片が支える最大荷重、破壊時の荷重、および破壊時の伸び(グリップ間の伸長)を記録した。試験片の重ね剪断強度は、接着面積が2.5cmx2.5cmのInstron 5566装置でも測定した。特に、試験片を室温(22~25℃)で硬化させ、次いで1、4、7、12、24、または168時間などの異なる時間後に重ね剪断強度を試験した。測定結果は、表2~表7にも要約した。
【0092】
表2~表5に示す実施例および比較例は、エポキシシラン相溶化剤を含み、窒素含有不飽和複素環式化合物触媒および窒素含有フェノール触媒が必須構成成分として含有されていることが分かる。
【表2】
【0093】
上記の表2から分かるように、パートAにはSMP、エポキシ、エポキシシラン、DMTが含有され、パートBには水、DBU、DMP-30が含有されていた。硬化促進触媒の相対量を調整することにより、スキンタイムを約5分まで大幅に短縮することができる。
【表3】
【0094】
表2および図6に示す実施例では、機械的特性に対するSMP/エポキシ樹脂の重量比の影響を調べた。
【表4】
【0095】
実施例17は、上記の配合物を使用することによって調製し、次いで、パートAとパートBとをブレンドし、そのブレンドを異なる基材上に適用した。これらのサンプルの機械的特性は、1週間後に測定した。サンプルは、226.2%の破断点伸び、2.0MPaの引張強度、および2.6MPaの弾性率を示し、これらのサンプルの重ね剪断強度を図7に示した。
【表5】
【0096】
表5に示す実験では、スキンタイムおよび機械的特性に対する、充填剤、可塑剤、相溶化剤、および硬化加速などの異なる構成成分の相対量の影響を調べた。
【0097】
経時的な重ね剪断強度の変化を調べるために、3つの追加の比較実験を行った。特に、これらの3つの比較実験は、KH560、DMP-30、または「充填剤および可塑剤」が省略されたことを除いて、実施例22の配合および手順を繰り返すことによって行った。各サンプルの重ね剪断強度を1週間後に測定し、実施例22の実験結果およびこれら3つの比較実験を図8に示す。実施例23は、上記の該調製実施例(SPUR-4000~12000)で得られたSMPを市販のSMP Momentive SPUR+1015LMに置き換えて行ったものであり、実施例23のサンプルも約7分のスキンタイムを示した。
【0098】
一方、表6~表7に示される実施例および比較例は、アミノシラン相溶化剤および任意選択の窒素含有不飽和複素環式化合物触媒を含む。表6~表7に示される実施例および比較例には、窒素含有フェノール触媒および水は含有されていなかった。
【0099】
表6に示される本発明の実施例および比較例では、パートA/パートBの重量比を1/1に固定し、SPUR/エポキシ重量比を約3/1に固定し、パートAにおけるSPURの投与量を48%に固定し、パートBにおけるエポキシ樹脂の投与量をパートBで16%に保つ。パートAにおけるDBUの投与量を0%~0.5%、1%、2%、および3%に増加し、パートBにおけるDMTの投与量を0%~1%に増加する。実験データが示すように、DBUおよびDMTの両方の投与量が0%の場合、約27分のスキンタイムで乾燥面を得ることができ、これは、20分未満のスキンタイムが必要な場合がある顧客の要件を満たすことができなかった。DMTの投与量を1重量%に保ち、DBUの量を0、0.5%、および1%で変動させると、それぞれ17分、15分、および14分のスキンタイムで乾燥面を達成することができ、表面の形態およびスキンタイムの両方で、顧客のニーズを満たすことができる。比較例3および4によれば、DMTの投与量を1重量%に保ちながら、DBUの投与量を2%または3%にさらに増加させると、スキンタイムを13分または9分にさらに短縮することができる。残念ながら、これら2つの比較例は、油面または粘着面を含む望ましくない表面特性を示しており、顧客のニーズを満たすことができなかった。
【表6】
【0100】
表6に示す実験結果では、「油面」は、べたつき、油っぽい、および油のような感触を示す劣化した望ましくない表面形態を指し、「乾燥面」は、上記の望ましくない特性がない表面を指す。上記の表6から分かるように、短いスキンタイムおよび良好な表面特性は、最適化された配合を使用することによってのみ達成することができる。
【0101】
表7に示される本発明の実施例および比較例では、DBUおよびDMTの投与量を1%に固定し、パートA/パートBの重量比を1/1に固定し、SMP/エポキシ重量比を約3/1に固定し、パートAにおけるSPURの投与量を48%に固定し、パートBにおけるエポキシ樹脂の投与量をパートBで16%に保つ。表7に示されるこれらの実施例では、パートAにおけるZ6020の投与量は、6%、7%、8%、10%、および14%で変動し、それぞれ0.86、1.00、1.15、1.43、および2.00のNH/エポキシモル比に対応する。表7および図9から、NH/エポキシモル比が低すぎるまたは高すぎる場合、得られる硬化性組成物は、分子量の減少および接着力の増強の遅さなどの望ましくない特性を示すことが分かる。
【表7】
【0102】
上記の表7および図9において、硬化性組成物の配合と亜鉛メッキ鋼に対する重ね剪断強度との関係を調べた。
【0103】
特定の理論に限定されることなく、本開示の硬化性組成物は、20~5分の短いスキンタイム、2.5~5MPAの良好な重ね剪断強度、100%~300%の破断点伸び、2.0~3.5MPaの引張強度、および2.0~3.5MPaの弾性率を含む優れた性能特性を示す。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9