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特許7525606産業機械の状態監視装置及び状態監視方法
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  • 特許-産業機械の状態監視装置及び状態監視方法 図1
  • 特許-産業機械の状態監視装置及び状態監視方法 図2A
  • 特許-産業機械の状態監視装置及び状態監視方法 図2B
  • 特許-産業機械の状態監視装置及び状態監視方法 図3
  • 特許-産業機械の状態監視装置及び状態監視方法 図4A
  • 特許-産業機械の状態監視装置及び状態監視方法 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】産業機械の状態監視装置及び状態監視方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240723BHJP
   B25J 9/22 20060101ALI20240723BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J9/22 A
G05B23/02 301P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022534113
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2021024968
(87)【国際公開番号】W WO2022004847
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2020115433
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】篠原 成貴
【審査官】稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-228029(JP,A)
【文献】特開2019-164470(JP,A)
【文献】特開平1-250109(JP,A)
【文献】特開2020-23024(JP,A)
【文献】特開2004-174662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺機器が接続されたコントローラによる制御下における産業機械を撮影する撮像装置と、
前記撮像装置によって取得された映像データと前記コントローラの入出力信号とを時間軸に沿って関連付けることにより、前記産業機械及び前記入出力信号の状態変化を表す動画を生成する動画生成部と、
前記動画生成部によって生成された動画を再生する動画再生装置と、を備え、
前記入出力信号は、前記産業機械又は前記周辺機器から前記コントローラへの入力信号及び前記コントローラから前記産業機械又は前記周辺機器への出力信号を含む、産業機械の状態監視装置。
【請求項2】
前記動画生成部は、前記映像データのフレームレートと同じ周期の下、各フレームの記録時刻における前記入出力信号の値を取得する、請求項1に記載の産業機械の状態監視装置。
【請求項3】
前記動画生成部は、
前記産業機械の動画像が表示される動画像表示欄と、
前記時間軸、当該時間軸と平行に延びるフレームバー、及び前記時間軸と平行に延びるタイムチャートが表示されるタイムライン欄と、を含む動画を生成し、
前記フレームバーには、各フレームにおける前記産業機械の静止画像が前記時間軸に沿って複数枚配置され、
前記タイムチャート欄には、作業者によって選択された前記入出力信号の前記時間軸に沿った変化を示すタイムチャート画像が表示される、請求項1又は2に記載の産業機械の状態監視装置。
【請求項4】
前記コントローラにおいて出力信号の値を規定するためのプログラムを記憶するプログラム記憶部と、
前記タイムライン欄を含む編集画像における作業者による操作に基づいて前記プログラムを編集するプログラム編集部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の産業機械の状態監視装置。
【請求項5】
前記動画再生装置は、前記産業機械の教示装置である、請求項1から4の何れかに記載の産業機械の状態監視装置。
【請求項6】
周辺機器が接続されたコントローラによる制御下における産業機械を撮像装置によって撮影し、
前記撮像装置によって取得された映像データと前記コントローラの入出力信号とを時間軸に沿って関連付けることにより、前記産業機械及び前記入出力信号の状態変化を表す動画を生成し、
前記動画を動画再生装置によって再生し、
前記入出力信号は、前記産業機械又は前記周辺機器から前記コントローラへの入力信号及び前記コントローラから前記産業機械又は前記周辺機器への出力信号を含む、産業機械の状態監視方法。
【請求項7】
周辺機器が接続されかつロボットを制御するコントローラと、
撮像装置によって撮影された前記ロボットの映像データと前記コントローラの入出力信号とを時間軸に沿って関連付けることにより、前記ロボット及び前記入出力信号の状態変化を表す動画を生成する動画生成部と、
前記動画生成部によって生成された動画を再生する動画再生装置と、を備え、
前記入出力信号は、前記ロボット又は前記周辺機器から前記コントローラへの入力信号及び前記コントローラから前記ロボット又は前記周辺機器への出力信号を含む、ロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、産業機械の状態監視装置及び状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットをロボット制御装置によって制御するロボットシステムにおいて、ロボット制御装置には様々な周辺機器が接続される。このようなロボットシステムでは、システムを拡張する際や、ロボット制御装置と周辺機器との間の通信障害に対応する際には、ロボット制御装置の出力信号や入力信号の状態を確認する必要がある。
【0003】
特許文献1に示されたロボット監視システムでは、ロボット制御装置による制御下で動作するロボットを撮像装置によって撮像し、撮像装置が撮像して得た画像情報を時刻情報及びロボットの作業内容情報と関連付けて保存し、保存した画像情報を時刻情報及び作業内容情報とともに表示装置に表示する。このロボット監視システムによれば、不都合が発生した箇所を作業者に早期かつ容易に特定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-168016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにロボットの動作を撮像装置によって記録することによってロボットの状態を監視する技術は既知である。しかしながら従来のロボットの状態監視装置では、ロボットの動作状態とロボット制御装置の出力信号や入力信号の状態との相関を明らかにすることができない。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、産業機械の動作状態とそのコントローラの信号の状態との相関を時間軸に沿って容易に明らかにできる産業機械の状態監視装置及び状態監視方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、コントローラによる制御下における産業機械を撮影する撮像装置と、前記撮像装置によって取得された映像データと前記コントローラの入力信号及び出力信号の少なくとも何れかである入出力信号とを時間軸に沿って関連付けることにより、前記産業機械及び前記入出力信号の状態変化を表す動画を生成する動画生成部と、前記動画生成部によって生成された動画を再生する動画再生装置と、を備える、産業機械の状態監視装置である。
【0008】
本開示の一態様は、コントローラによる制御下における産業機械を撮像装置によって撮影し、前記撮像装置によって取得された映像データと前記コントローラの入力信号及び出力信号の少なくとも何れかである入出力信号とを時間軸に沿って関連付けることにより、前記産業機械及び前記入出力信号の状態変化を表す動画を生成し、前記動画を動画再生装置によって再生する、産業機械の状態監視方法である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、産業機械の動作状態とそのコントローラの入出力信号の状態との相関を時間軸に沿って容易に明らかにできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係るロボット状態監視装置を備えるロボットシステムの概略図である。
図2A】カメラによって撮影される映像データのフレームレートと入出力信号の更新周期との関係を模式的に示す図である。
図2B】カメラによって撮影される映像データのフレームレートと入出力信号の更新周期との関係を模式的に示す図である。
図3】動画生成部によって生成される動画の一例を示す図である。
図4A】プログラム編集部によるプログラム編集画像(作業者による編集操作前)の一例を示す図である。
図4B】プログラム編集部によるプログラム編集画像(作業者による編集操作後)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係るロボット状態監視装置2を備えるロボットシステム1について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係るロボット状態監視装置2を備えるロボットシステム1の概略図である。
【0013】
ロボットシステム1は、産業機械としてのロボット3と、第1周辺機器41と、第2周辺機器42と、ロボット3や周辺機器41,42の状態を監視するロボット状態監視装置2と、を備える。
【0014】
本実施形態では、ロボット3は、例えば、後述のコントローラ51から送信される制御信号に応じて、ワークを所定の位置で把持し、把持したワークを所定の位置まで搬送する一連の搬送動作を実行する搬送ロボットとした場合について説明するが、本開示はこれに限らない。ロボット3は、溶接ロボットや塗装ロボット等、コントローラ51から送信される制御信号に応じて動作するものであればどのようなものでもよい。
【0015】
ロボット状態監視装置2は、ロボット3を制御するロボット制御装置5と、ロボット3の搬送動作を撮影する撮像装置としてのカメラ6と、動画を再生する動画再生装置7と、を備える。
【0016】
カメラ6は、ロボット3の近傍に設けられる。カメラ6は、ロボット制御装置5による制御下におけるロボット3の搬送動作を、所定のフレームレートの下で撮影し、取得したロボット3の映像データをロボット制御装置5へ送信する。
【0017】
ロボット制御装置5は、周辺機器41,42と通信線43を介して通信する通信手段(図示省略)、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理手段(図示省略)、各種プログラムを格納したHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の補助記憶手段(図示省略)、及び演算処理手段がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)といった主記憶手段(図示省略)、等のハードウェアによって構成されるコンピュータである。図1に示すようにロボット制御装置5には、上記ハードウェア構成によってコントローラ51、プログラム記憶部52、動画生成部53、プログラム編集部54、及び動画保存部55等の各種機能が実現される。
【0018】
コントローラ51は、周辺機器41,42と通信線43を介してデジタル信号やアナログ信号をやり取りするとともに、プログラム記憶部52に記憶されたプログラムに従ってロボット3を制御する。
【0019】
プログラム記憶部52には、コントローラ51において、このコントローラ51からロボット3や周辺機器41,42へ出力される出力信号の値を規定するためのプログラムが複数記憶されている。なおプログラム記憶部52に記憶された複数のプログラムのうち少なくとも一部のプログラムは、後述のプログラム編集部54によって編集可能となっている。
【0020】
動画生成部53は、カメラ6から送信されるロボット3の映像データと、コントローラ51の入出力信号と、を取得するとともに、取得した映像データと入出力信号とを共通の時間軸に沿って関連付けることにより、ロボット3及び入出力信号の状態変化を表す動画(後述の図3参照)を生成し、動画保存部55に保存する。ここで動画生成部53が取得するコントローラ51の入出力信号とは、ロボット3や周辺機器41,42からコントローラ51へ入力されるデジタル入力信号(DI[1],DI[2],…)及びアナログ入力信号(AI[1],AI[2],…)、並びにコントローラ51からロボット3や周辺機器41,42へ出力されるデジタル出力信号(DO[1],DO[2],…)及びアナログ出力信号(AO[1],AO[2],…)の少なくとも何れかである。なお本実施形態において、デジタル信号とは、ON及びOFFからなる2値のみを取り得る信号をいい、アナログ信号とは、所定範囲内の整数値を取り得る信号をいう。
【0021】
動画再生装置7は、例えば、ロボット制御装置5と通信可能なタブレット端末等の携帯通信端末である。動画再生装置7は、動画生成部53によって生成され、動画保存部55に保存された動画を、作業者の操作に応じて再生する。
【0022】
次に、動画生成部53において動画を生成する手順について図2A図2B、及び図3を参照しながら説明する。
【0023】
図2A及び図2Bは、カメラ6によって撮影される映像データのフレームレート[fps]と入出力信号の更新周期[秒]との関係を模式的に示す図である。図2A及び図2Bには、動画生成部53において取得する入出力信号としてデジタル入出力信号DI[1]のみを図示する。図2A及び図2Bに示す例では、映像データのフレームレートを60[fps]とした場合、すなわち映像データを構成する各フレームは1/60[秒]毎に撮影される場合について示すが、本開示はこれに限らない。また図2Aに示す例では、デジタル入力信号DI[1]の更新周期を1/20[秒]とした場合を示し、図2Bに示す例では、デジタル入力信号DI[1]の更新周期を1/40[秒]とした場合について示すが、本開示はこれに限らない。
【0024】
図2A及び図2Bに示すように、カメラ6によって撮影される映像データは、フレームレートに応じた周期である1/60[秒]毎に撮影される複数のフレームF1,F2,F3,F4…によって構成される。より具体的には、フレームF1は時刻t1において撮影され、フレームF2は時刻t1の1/60[秒]後の時刻t2において撮影され、フレームF3は時刻t1の2/60[秒]後の時刻t3において撮影され、フレームF4は時刻t1の3/60[秒]後の時刻t4において撮影される。
【0025】
動画生成部53は、このようなカメラ6の映像データのフレームレートと同じ周期の下、各フレームF1~F4の記録時刻t1~t4におけるデジタル入力信号DI[1]の値を取得し、取得したカメラ6の映像データとデジタル入力信号DI[1]とを共通の時間軸に沿って関連付けることにより、ロボット3及びデジタル入力信号DI[1]の状態変化を表す後述の図3に示すような動画を生成する。
【0026】
上述のように図2Aに示す例では、デジタル入力信号DI[1]は1/20[秒]毎に更新される。このため、時刻t1において“OFF”であったデジタル入力信号DI[1]の値は、時刻t4において“ON”に切り替わる。従ってこの場合、動画生成部53は、フレームF1の記録時刻t1ではデジタル入力信号DI[1]の値として“OFF”を取得し、フレームF2の記録時刻t2ではデジタル入力信号DI[1]の値として“OFF”を取得し、フレームF3の記録時刻t3ではデジタル入力信号DI[1]の値として“OFF”を取得し、フレームF4の記録時刻t4ではデジタル入力信号DI[1]の値として“ON”を取得する。
【0027】
また上述のように図2Bに示す例では、デジタル入力信号DI[1]は1/40[秒]毎に更新される。このため、時刻t1において“OFF”であったデジタル入力信号DI[1]の値は、時刻t2と時刻t3との間の時刻t5において“ON”に切り替わり、その後時刻t4において“OFF”に切り替わる。従ってこの場合、動画生成部53は、フレームF1の記録時刻t1ではデジタル入力信号DI[1]の値として“OFF”を取得し、フレームF2の記録時刻t2ではデジタル入力信号DI[1]の値として“OFF”を取得し、フレームF3の記録時刻t3ではデジタル入力信号DI[1]の値として“ON”を取得し、フレームF4の記録時刻t4ではデジタル入力信号DI[1]の値として“OFF”を取得する。
【0028】
以上のように動画生成部53では、カメラ6の映像データのフレームレートと同じ周期の下、各フレームの記録時刻におけるコントローラ51の入出力信号の値を取得する。このため、動画生成部53においてコントローラ51の入出力信号の状態変化を全て取得できるよう、カメラ6のフレームレートの逆数(各フレームの撮影周期)は、コントローラ51の入出力信号の更新周期以下とすることが好ましい。
【0029】
図3は、動画生成部53によって生成される動画の一例を示す図である。
【0030】
動画生成部53は、以上のように取得したロボット3の映像データとコントローラ51の入出力信号とを共通の時間軸に沿って関連付けることにより、図3に例示するような動画像表示欄81(図3中、上段左側参照)と、信号状態表示欄82(図3中、上段右側参照)と、タイムライン欄83(図3中、下段参照)と、を含む動画を生成する。
【0031】
信号状態表示欄82には、後述のタイムバー833によって特定される時刻t(以下、「現在時刻t」という)の値と、作業者によって選択された入出力信号(図3の例では、デジタル出力信号DO[1]と、アナログ出力信号AO[1]と、デジタル入力信号DI[1]と、アナログ入力信号AI[1]と、が選択された場合を示す)の現在時刻tにおける値が表示される。
【0032】
動画像表示欄81には、ロボット3の動画像(すなわち、カメラ6によって所定のフレームレートの下で撮影される静止画像を連続再生した画像)が表示される。なお図3には、上述の現在時刻tにおけるロボット3の静止画像を表示した場合を示す。
【0033】
タイムライン欄83には、図3において左右方向に沿って延びる時間軸830と、この時間軸830の下方において時間軸830と平行に延びる帯状のフレームバー831と、このフレームバー831の下方において時間軸830と平行に延びる入出力信号のタイムチャート欄832と、図3において上下方向に沿って時間軸830、フレームバー831、及びタイムチャート欄832をまたがって延びるタイムバー833と、が表示される。ここで上述の現在時刻tとは、タイムバー833の時間軸830上における座標値に相当する。
【0034】
フレームバー831には、各フレームにおけるロボット3の静止画像が時間軸830に沿って複数枚(図3の例では6枚)配置される。すなわち、上述の動画像表示欄81に表示されるロボット3の動画像は、このフレームバー831において時間軸830に沿って配置される複数枚の静止画像を連続再生した画像となっている。
【0035】
タイムチャート欄832には、作業者によって選択された複数の入出力信号DO[1],AO[1],DI[1],及びAI[1]の値の時間軸830に沿った変化を示すタイムチャート画像が表示される。
【0036】
作業者は、動画再生装置7を操作することにより、タイムバー833の位置を固定しながら、時間軸830とフレームバー831とタイムチャート欄832とを一体的に左右方向にスクロールさせたり、時間軸830とフレームバー831とタイムチャート欄832との位置を固定しながら、タイムバー833のみを左右方向にスクロールさせたりすることができる。
【0037】
次に、プログラム編集部54によって、プログラム記憶部52に記憶されているプログラムを編集する手順について図4A及び図4Bを参照しながら説明する。なお以下では、プログラム記憶部52に記憶されている複数のプログラムのうち、コントローラ51のデジタル出力信号DO[1]の値を規定するプログラムをプログラム編集部54によって編集する場合について説明する。
【0038】
プログラム編集部54は、生成した動画を動画再生装置7によって再生している間に作業者によって所定のプログラム編集開始操作が行われた場合、再生中の動画を停止するとともに図4Aに例示するようなプログラム編集画像を動画再生装置7に表示し、デジタル出力信号DO[1]のプログラムを編集するプログラム編集モードに移行する。
【0039】
プログラム編集部54は、図4Aに示すように、少なくともタイムライン欄83を含むプログラム編集画像を動画再生装置7に表示する。プログラム編集画像におけるタイムライン欄83は、各フレームにおけるロボット3の静止画像が表示されるフレームバー831と、プログラム編集部54によって編集可能なプログラムによって生成されるデジタル出力信号DO[1]のタイムチャート欄832と、を少なくとも含む。
【0040】
プログラム編集部54は、図4Aに示すようなプログラム編集画像における作業者による動画再生装置7に対する所定の編集操作に基づいてデジタル出力信号DO[1]の値を規定するプログラムを編集する。作業者は、プログラム編集画像においてデジタル出力信号DO[1]の値を直接変更することが可能となっている。プログラム編集部54は、プログラム編集画像において作業者による編集操作を受け付けると、編集操作による変更後のデジタル出力信号DO[1]の値とフレームバー831に表示されるロボット3の状態とを関連付けるようにしてデジタル出力信号DO[1]のプログラムを編集する。
【0041】
プログラム編集部54によるプログラムの編集の一例について、図4Bを参照しながら説明する。図4A及び図4Bには、ロボット3のハンドは、時刻th~tiまでの間で開いており、時刻ti以降で閉じた場合を示す。また図4Bにおいて、実線はプログラム編集部54によって編集される前のプログラムに従って生成されるデジタル出力信号DO[1]の値を示し、破線は作業者による編集操作によって変更された後のデジタル出力信号DO[1]の値を示す。また図4Bには、時刻ti以降におけるデジタル出力信号DO[1]の値を“0”から“1”に変更する編集操作を行った場合を示す。プログラム編集部54は、作業者によって図4Bに示すような編集操作が行われると、変更後のデジタル出力信号DO[1]の値とロボット3の状態とを関連付けるようにしてデジタル出力信号DO[1]のプログラムを編集する。より具体的には、プログラム編集部54は、ロボット3のハンドが開いている間は“0”を出力し、ロボット3のハンドが閉じている間は“1”を出力するようにデジタル出力信号DO[1]のプログラムを編集する。したがってプログラム編集部54による編集後のプログラムによれば、コントローラ51は、ロボット3のハンドが開いている間はデジタル出力信号DO[1]の値を“0”とし、ロボット3のハンドが閉じている間はデジタル出力信号DO[1]の値を“1”とする。
【0042】
以上のようなロボット状態監視装置2では、以下の手順に従ってロボット3や周辺機器41,42の状態を監視する。先ず、カメラ6を用いることによって、コントローラ51による制御下におけるロボット3を撮影する。次に、動画生成部53を用い、カメラ6によって取得された映像データとコントローラ51の入出力信号とを時間軸に沿って関連付けることによってロボット3及び入出力信号の状態変化を表す図3に示すような動画を生成し、動画保存部55に保存する。次に、動画再生装置7を用いることによって、動画保存部55に保存された動画を再生する。
【0043】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態に係るロボット状態監視装置2は、コントローラ51による制御下におけるロボット3を撮影するカメラ6と、このカメラ6によって取得された映像データとコントローラ51の入出力信号とを共通の時間軸830に沿って関連付けることにより、ロボット3及び入出力信号の状態変化を表す動画を生成する動画生成部53と、この動画生成部53によって生成され、動画保存部55に保存された動画を再生する動画再生装置7と、を備える。本実施形態によれば、これのような動画を生成することにより、作業者は動画再生装置7によって再生される動画を視るだけで、ロボット3の動作状態とコントローラ51の入出力信号の状態とを同時に確認でき、ひいてはロボット3の動作状態とコントローラ51の入出力信号の状態との相関を時間軸830に沿って容易に明らかにできる。
【0044】
また本実施形態に係るロボット状態監視装置2において、動画生成部53は、カメラ6によって撮影された映像データのフレームレートと同じ周期の下、各フレームの記録時刻におけるコントローラ51の入出力信号の値を取得する。本実施形態によれば、各フレームの撮影周期を入出力信号の更新周期以下とすることにより、コントローラ51の入出力信号の状態変化を全て取得することができる。
【0045】
また本実施形態に係るロボット状態監視装置2において、動画生成部53は、ロボット3の動画像が表示される動画像表示欄81と、時間軸830に沿って複数配置された各フレームにおけるロボット3の静止画像を含むフレームバー831及び時間軸830に沿った入出力信号のタイムチャート画像が表示されるタイムライン欄83と、を含む動画を生成する。本実施形態によれば、このような動画像表示欄81及びタイムライン欄83を含む動画を生成することにより、作業者は動画再生装置7によって再生される動画を視るだけで、ロボット3の動作状態とコントローラ51の入出力信号の状態とを同時に確認でき、ひいてはロボット3の動作状態とコントローラ51の入出力信号の状態との相関を時間軸830に沿って容易に明らかにできる。
【0046】
また本実施形態に係るロボット状態監視装置2において、プログラム編集部54は、タイムライン欄83を含むプログラム編集画像における作業者による編集操作に基づいて、プログラム記憶部52に記憶されているプログラムを編集する。これにより作業者は、タイムライン欄83に表示されているロボット3の状態に合わせて視覚的に容易にプログラムを編集することができるので、便利である。
【0047】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更及び変形が可能である。
【0048】
例えば上記実施形態では、本開示の産業機械の状態監視装置をロボット状態監視装置2に適用したが、これに限定されない。ロボット3以外にも各種工作機械等の産業機械の状態監視装置に適用可能である。
【0049】
また例えば上記実施形態では、動画再生装置7を、通信機能及び動画表示機能を備えるタブレット端末等の携帯通信端末とした場合について説明したが、これに限定されない。動画再生装置7は、ロボット3に所定の動作を教示するために作業者が操作可能な操作キーや動画を表示可能なディスプレイを備える携帯性の教示装置としてもよい。これにより、作業者が教示装置と動画再生装置との両方を同時に使用したい場合には、機器を持ち替える負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…ロボットシステム
2…ロボット状態監視装置(産業機械の状態監視装置)
3…ロボット(産業機械)
41…第1周辺機器
42…第2周辺機器
43…通信線
5…ロボット制御装置
51…コントローラ
53…動画生成部
54…プログラム編集部
55…動画保存部
6…カメラ(撮像装置)
7…動画再生装置(動画再生装置、産業機械の教示装置)
81…動画像表示欄
82…信号状態表示欄
83…タイムライン欄
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B