(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】多層構造の無機物層を含む分離膜一体型電極の製造方法及びそれによる分離膜一体型電極
(51)【国際特許分類】
H01M 50/449 20210101AFI20240723BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20240723BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20240723BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20240723BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240723BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240723BHJP
H01M 50/46 20210101ALI20240723BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20240723BHJP
H01M 50/426 20210101ALN20240723BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/446
H01M50/403 D
H01M50/489
H01M50/46
H01M4/139
H01M50/403 B
H01M50/426
(21)【出願番号】P 2022536610
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(86)【国際出願番号】 KR2021001005
(87)【国際公開番号】W WO2021153966
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011990
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0005334
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ホ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ブム・ヨン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ギル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・グ・ハン
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0082289(KR,A)
【文献】特開2011-171290(JP,A)
【文献】特開2015-038012(JP,A)
【文献】特表2018-508926(JP,A)
【文献】特開2016-134237(JP,A)
【文献】国際公開第2018/155288(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/063997(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1)第1無機物粒子及び第1バインダー高分子を含み、粘度が5000cP~20000cPである第1無機物層スラリーを製造する段階と、
S2)第2無機物粒子及び第2バインダー高分子を含む第2無機物層スラリーを製造する段階と、
S3)電極集電体の少なくとも一面に電極活物質層が形成された単位電極を準備する段階と、
S4)前記S3)段階の単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に前記第1無機物層スラリーから構成された第1無機物層を形成し、前記第1無機物層上に前記第2無機物層スラリーから構成された第2無機物層を形成する段階と、
を含み、
前記第1無機物粒子のD50直径は前記単位電極の電極活物質層の気孔サイズより大きく、前記第2無機物粒子のD50直径は前記第1無機物粒子のD50直径より小さく、
前記S1)段階~S3)段階は順序に関係なく実施するか、2個以上を同時に実施することができる、分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項2】
前記S1)段階は、
前記第1無機物粒子と第1溶媒を混合して第1無機物溶液を製造する段階と、
前記第1バインダー高分子と前記第1溶媒を混合して第1バインダー溶液を製造する段階と、
前記第1無機物溶液と前記第1バインダー溶液を混合して第1無機物層スラリーを製造する段階と、を含む、請求項1に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項3】
前記S2)段階は、
前記第2無機物粒子と第2溶媒を混合して第2無機物溶液を製造する段階と、
前記第2バインダー高分子と前記第2溶媒を混合して第2バインダー溶液を製造する段階と、
前記第2無機物溶液と前記第2バインダー溶液を混合して第2無機物層スラリーを製造する段階と、を含む、請求項1または2に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項4】
前記第1無機物粒子の直径は500nm~3μmであり、
前記第2無機物粒子の直径は20nm~300nmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項5】
前記S1)段階の第1無機物層スラリー及び/または前記S2)段階の第2無機物層スラリーに分散剤をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項6】
前記第2無機物粒子は直径の相異なる粒子が混合されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項7】
前記第2無機物粒子は、前記S2)段階で粒子の直径が小さい順に順次混合する段階をさらに含むことにより製造される、請求項6に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項8】
前記第2無機物粒子を混合するとき、粒径の小さい粒子を混合する段階と粒径の大きい粒子を混合する段階との間に分散剤を混合する段階をさらに含む、請求項7に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項9】
前記第1無機物層スラリーは前記第2無機物層スラリーより粘度が高い、請求項1から8のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項10】
前記第2無機物層スラリーの粘度は300cP~3000cPである、請求項3に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項11】
前記S4)段階で、前記単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に前記第1無機物層スラリーを塗布してから乾燥して前記第1無機物層を形成し、前記第1無機物層上に前記第2無機物層スラリーを塗布してから乾燥して第2無機物層を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項12】
前記S4)段階で、前記第1無機物層及び/または前記第2無機物層を形成した後、それぞれ回転ロールの間に通過させるか平板プレスを用いて前記単位電極を圧縮する段階をさらに含む、請求項11に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項13】
前記圧縮する段階は、20℃~200℃で実施する、請求項12に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項14】
前記第1無機物粒子及び/または前記第2無機物粒子は、AlOOH、Al(OH)
3、及びAl
2O
3の中で少なくとも1種以上を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項15】
前記第2無機物粒子は表面改質されたものを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の分離膜一体型電極の製造方法。
【請求項16】
電極集電体の少なくとも一面に電極活物質層が形成された単位電極と、
前記単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に形成された第1無機物層と、
前記第1無機物層上に形成された第2無機物層とを含む分離膜一体型電極であって、
第1無機物層は、第1無機物粒子及び第1バインダー高分子を含み、
第2無機物層は、第2無機物粒子及び第2バインダー高分子を含み、
前記第1無機物粒子のD50直径は前記単位電極の電極活物質層の気孔サイズより大きく、前記第2無機物粒子のD50直径は前記第1無機物粒子のD50直径より小さい、分離膜一体型電極。
【請求項17】
請求項16に記載の分離膜一体型電極を少なくとも
2層以上積層し、これを
回転ロールの間に通過させるか平板プレスを用いて圧縮して単位セルを製造する段階を含む、電極組立体の製造方法。
【請求項18】
請求項16に記載の分離膜一体型電極を含む、電極組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2020年01月31日付の韓国特許出願第2020-0011990号、及び2021年01月14日付の韓国特許出願第2021-0005334号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は多層構造の無機物層を含む分離膜一体型電極の製造方法及びそれによる分離膜一体型電極に関し、具体的には、単位電極の電極活物質層の気孔サイズより直径が大きい第1無機物粒子を含む第1無機物層と前記第1無機物粒子の直径より直径が小さい第2無機物粒子を含む第2無機物層とを含む分離膜一体型電極の製造方法及びそれによる分離膜一体型電極に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池の構成要素の中で分離膜は、正極と負極を隔離して両電極間の電気的短絡を防止しながら電解質及びイオンを通過させる役割を果たす。分離膜はそれ自体が二次電池の電気化学的反応に参加しないが、電解液に対する濡れ性、多孔性程度、熱収縮率のような物理的性質によって二次電池の性能及び安全性に大きな影響を及ぼす。
【0004】
二次電池の分離膜としてポリオレフィン系の多孔性基材を多く使う。前記多孔性基材は高温で熱収縮するので、正極と負極を隔離する役割を正常に果たすことができない。よって、二次電池が短絡するか電池が発火または爆発するなどの安全性の問題がずっと提起されて来た。
【0005】
多孔性基材の欠点を補うために、多孔性基材の片面または両面にコーティング層を追加し、前記コーティング層に多孔性基材の欠点を補うことができる多様な物質を付け加えるかまたはコーティング層の物性を変える方法が使われる。コーティング層にアルミナ(Al2O3)のような金属酸化物または水酸化アルミニウム(Al(OH)3)のような金属水酸化物を無機物として添加して分離膜の熱収縮を抑制するか耐熱性を向上させている。
【0006】
無機物を含むコーティング層は電極との接着性が弱い欠点がある。また、多孔性基材の片面または両面にコーティング層が付加されるので、二次電池のうち化学反応に参加しない部分が増えるという欠点もある。
【0007】
このような分離膜の欠点を改善するために、電極活物質層に無機物コーティング層を形成して従来の分離膜の役割を果たすようにする分離膜一体型電極が提示された。分離膜一体型電極を用いた電極組立体は別途の多孔性基材がなくて熱収縮及びこれによる短絡のおそれがなく、二次電池のうち化学反応に参加しない部分を最小化する利点もある。
【0008】
図1は従来の分離膜一体型電極の模式図である。従来の分離膜一体型電極は、電極活物質層20上に無機物を直接塗布またはコーティングするかまたは電極活物質層20上に予め形成された無機物層30を接合する方式で形成される。集電体10の一面に電極活物質層20が塗布されており、最上層に無機物層30が塗布されている。
【0009】
図1のような従来の分離膜一体型電極は、無機物層30の粒子の直径が電極に形成された電極活物質層20の気孔より小さい場合が多い。分離膜の役割のためにサイズの小さい無機物粒子を使ったが、むしろ無機物層30の粒子が電極活物質層20の気孔を塞いで電池の抵抗を増加させることがある。また、無機物層を接着するバインダーが電極に形成された電極活物質層20の気孔を塞ぐこともある。前記のように、電池の抵抗が増加する場合、むしろ電池容量が減少し、電池の寿命が縮む問題点が発生する。
【0010】
特許文献1は多層から構成された無機物粒子層を備えているが、これは無機物コーティング層の役割による多層構造であるだけで、電極の気孔を塞がないための構造については認識していない。
【0011】
特許文献2も集電体、活物質層、無機物層を備えた電極に関するものである。特許文献2は2種以上の粒子の直径を有する無機物層を設け、セラミック分離膜自体のイオン伝導度を高めるために多様なサイズ及び形態のセラミックフィラーを使っているが、これは分離膜自体の性能を向上させるためのものであるだけで、電池の気孔を塞ぐかこれによる電池の性能低下を認識していない。
【0012】
日常生活で密接に使っている二次電池の安全性を向上させ、高容量及び高密度の要請に応じることができる二次電池の開発のために、電極の気孔を塞がない分離膜一体型電極及びこれを用いた二次電池を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第2016-0112266号公報
【文献】韓国公開特許第2008-0082289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記のような問題を解決するためのもので、別途の分離膜なしに分離膜の役割を果たす多層構造の無機物層が電極の一面に付着された分離膜一体型電極であって、電極活物質層の気孔を塞がず電池の性能低下がないだけでなく抵抗が低い分離膜一体型電極を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、別途の分離膜がなく、前記分離膜の役割を果たす多層構造の無機物層も高分子基材を含まないので、高温でも優れた安全性を有する分離膜一体型電極を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために、本発明が提供する分離膜一体型電極の製造方法は、S1)第1無機物粒子及び第1バインダーを含み、粘度が5000cP~20000cPである第1無機物層スラリーを製造する段階、S2)第2無機物粒子及び第2バインダーを含む第2無機物層スラリーを製造する段階、S3)電極集電体の少なくとも一面に電極活物質層が形成された単位電極を準備する段階、及びS4)前記S3)段階の単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に前記第1無機物層スラリーから構成された第1無機物層を形成し、前記第1無機物層上に前記第2無機物層スラリーから構成された第2無機物層を形成する段階を含み、前記第1無機物粒子のD50直径は前記単位電極の電極活物質層の気孔サイズより大きく、前記第2無機物粒子のD50直径は前記第1無機物粒子の直径より小さく、前記S1)段階~S3)段階は順序に関係なく実施するか、2個以上を同時に実施することができる。
【0016】
前記S1)段階は、前記第1無機物粒子と第1溶媒を混合して第1無機物溶液を製造する段階、前記第1バインダー高分子と前記第1溶媒を混合して第1バインダー溶液を製造する段階、及び前記第1無機物溶液と前記第1バインダー溶液を混合して第1無機物層スラリーを製造する段階を含むことができる。
【0017】
前記S2)段階は、前記第2無機物粒子と第2溶媒を混合して第2無機物溶液を製造する段階、前記第2バインダー高分子と前記第2溶媒を混合して第2バインダー溶液を製造する段階、及び前記第2無機物溶液と前記第2バインダー溶液を混合して第2無機物層スラリーを製造する段階を含むことができる。
【0018】
前記第1無機物粒子の直径は500nm~3μmであり、前記第2無機物粒子の直径は20nm~300nmであることができる。
【0019】
前記S1)段階の第1無機物層スラリー及び/または前記S2)段階の第2無機物層スラリーは分散剤をさらに含むことができる。
【0020】
前記分散剤は一般的に電池に使える物質であればその種類に限定されない。その一例として、前記分散剤はアクリル系共重合体からなる群から選択された1種以上の混合物であることができる。また、前記分散剤は酸からなる群から選択された1種以上の混合物であることができる。
【0021】
前記第2無機物粒子は直径の相異なる粒子が混合されることができる。
【0022】
前記第2無機物粒子は、前記S2)段階で直径の小さい順に順次混合する段階をさらに含むことにより製造されることができる。
【0023】
前記第2無機物粒子を混合するとき、粒径の小さい粒子を混合する段階と粒径の大きい粒子を混合する段階との間に分散剤を混合する段階をさらに含むことができる。
【0024】
前記第1無機物層スラリーは前記第2無機物層スラリーより粘度が高くてもよい。
【0025】
前記第2無機物層スラリーの粘度は300cP~3000cPであることができる。
【0026】
前記S4)段階で、前記第1無機物層スラリーと前記第2無機物層スラリーは単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に同時にコーティングすることができる。
【0027】
前記S4)段階で、前記単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に前記第1無機物層スラリーを塗布してから乾燥して前記第1無機物層を形成し、前記第1無機物層上に前記第2無機物層スラリーを塗布してから乾燥して第2無機物層を形成することができる。
【0028】
前記第1無機物層及び/または前記第2無機物層を形成した後、それぞれラミネーションする段階をさらに含むことができる。
【0029】
前記ラミネーションは50℃~200℃で実施することができる。
【0030】
前記第1無機物粒子及び/または前記第2無機物粒子は、AlOOH、Al(OH)3、及びAl2O3の中で少なくとも1種以上を含むことができる。
【0031】
前記第2無機物粒子は表面改質されたものであってもよい。
【0032】
前記第1バインダー高分子と前記第2バインダー高分子は同じ物質であり、分子量または共重合体の組成比にのみ差があることができる。
【0033】
前記第2バインダー高分子は前記第1バインダー高分子と化学的成分が異なることができる。
【0034】
前記第2バインダー高分子の分子構造が分岐状を有することができる。
【0035】
前記第1無機物層及び/または前記第2無機物層の厚さはそれぞれ3μm以上20μm未満であることができる。好ましくは、前記第1無機物層及び/または前記第2無機物層の厚さは3μm以上10μm以下であることができる。
【0036】
前記第1無機物層の厚さと前記第2無機物層の厚さを合わせた無機物層全体の厚さは30μm未満であることができる。好ましくは、無機物層全体の厚さは20μm以下であることができる。
【0037】
前記第1無機物層の厚さと前記第2無機物層の厚さは同一であってもよい。
【0038】
本発明は、先に言及した製造方法の中でいずれか一つによって製造された分離膜一体型電極であることができる。
【0039】
また、本発明は、前記分離膜一体型電極を含む電極組立体を提供する。
【0040】
また、本発明は、前記分離膜一体型電極を少なくとも1層以上積層し、これをラミネーションして単位セルを製造する段階を含むことができる。
【0041】
前記単位セルは20回以上充放電して使うことができるものであることができる。
【0042】
本発明は、前記のような構成の中で相反しない一つまたは二つ以上の構成を選択して組み合せることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明による分離膜一体型電極の製造方法は、無機物粒子の直径、性質及び無機物層を形成するスラリーの性質が異なる第1無機物層と第2無機物層を形成し、第1無機物層によって既存電極の気孔を維持し、第2無機物層によって電極の気孔が均一に形成されるようにし、電気的短絡を防止する役割を果たすようにする。
【0044】
本発明による分離膜一体型電極は、多孔性高分子基材がなく、吸熱反応する無機物を使うので、高温でも優れた安全性を有する。また、第1無機物層によって単位電極の電極活物質層が既存の気孔を維持することができるので、従来の分離膜一体型電極より抵抗が低い電極組立体を提供することができる。電極組立体の抵抗が低下することによって電池の容量及び寿命が向上する。
【0045】
また、本発明は第2無機物層の気孔サイズを調節することにより、従来の分離膜一体型電極に比べて電気的短絡を防止する効果が優れる。理論的には、第2無機物層の気孔サイズが従来の高分子多孔性基材の気孔サイズに近接するほどに減少する場合、従来の高分子多孔性基材とほぼ同じ程度に電気的短絡を防止し、第2無機物層及び分離膜一体型電極の耐久性が向上する効果を有することができる。
【0046】
また、分離膜基材がないので、分離膜基材がある従来の電極組立体の製造方法に比べて製造方法が単純であるので、電極組立体の製造方法及びラミネーション工程を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図2】本発明の第1実施例による分離膜一体型電極の模式図である。
【
図3】本発明の第2実施例による分離膜一体型電極の模式図である。
【
図4】本発明の第1実施例による分離膜一体型電極を積層した電極組立体の模式図である。
【
図5】本発明の第3実施例による分離膜一体型電極を積層した電極組立体の模式図である。
【
図6】本発明の第4実施例による分離膜一体型電極を積層した電極組立体の模式図である。
【
図7】本発明の比較例と実施例の45回充放電後の容量維持率に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0049】
明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0050】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのもので、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0051】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0052】
本発明による分離膜一体型電極の製造方法は、S1)第1無機物粒子及び第1バインダーを含み、粘度が5000cP~20000cPである第1無機物層スラリーを製造する段階、S2)第2無機物粒子及び第2バインダーを含む第2無機物層スラリーを製造する段階、S3)電極集電体の少なくとも一面に電極活物質層が形成された単位電極を準備する段階、及びS4)前記S3)段階の単位電極の電極活物質層の少なくとも一面に前記第1無機物層スラリーから構成された第1無機物層を形成し、前記第1無機物層上に前記第2無機物層スラリーから構成された第2無機物層を形成する段階を含み、前記第1無機物粒子の直径は前記単位電極の電極活物質層の気孔サイズより大きく、前記第2無機物粒子の直径は前記第1無機物粒子の直径より小さく、前記S1)段階~S3)段階は順序に関係なく実施するか、2個以上を同時に実施することができることを特徴とする。
【0053】
前記S1)段階で、前記第1無機物層スラリーは前記第1無機物粒子と前記第1バインダーを第1溶媒に一度に混合する方法で製造することができる。また、前記第1無機物粒子と第1溶媒を混合して第1無機物溶液を製造する段階、前記第1バインダー高分子と前記第1溶媒を混合して第1バインダー溶液を製造する段階、及び前記第1無機物溶液と前記第1バインダー溶液を混合して第1無機物層スラリーを製造する段階を含む方法で前記第1無機物層スラリーを製造することができる。
【0054】
前記のように第1無機物溶液を製造した後、これとは別に第1バインダー溶液を製造する段階を経る場合、第1無機物層スラリーの粘度を調節することがより容易な利点がある。
【0055】
前記のような方法は前記第2無機物層スラリーを形成する場合にも適用することができる。
【0056】
本発明による製造方法で製造された分離膜一体型電極の第1実施例の模式図を
図2に示している。
【0057】
図2のように、本発明の第1実施例による分離膜一体型電極は、電極活物質層200が一面に形成された電極集電体100を含む単位電極250、前記単位電極250の一面に形成され、直径が前記単位電極250の電極活物質層200の気孔サイズより大きい第1無機物粒子及び第1バインダー高分子を含む第1無機物層300、及び前記第1無機物層300に塗布され、直径が前記第1無機物粒子より小さい第2無機物粒子及び第2バインダー高分子を含む第2無機物層400を含むことができる。
【0058】
前記単位電極250は、電極集電体100及びその少なくとも一面に形成された電極活物質層200から構成される。
図2は、一例示として、一面にのみ形成された電極活物質層200を備えているが、前記電極活物質層200は両面にも形成可能である。
【0059】
したがって、本発明の可能な実施例としては、電極集電体の片面または両面に形成された電極活物層の2種の組合せによる単位電極、前記単位電極の電極活物質層の片面または両面に形成された無機物層の2種の組合せが可能であるので、総5種の組合せを構成することができる。具体的には、電極集電体の一面にそれぞれ形成された本発明による層の2種の組合せ、電極集電体の両面に形成された電極活物質層と各一面に形成された無機物層の2種の組合せ、両面に形成された無機物層の1種の組合せの総5種の組合せが可能である。
【0060】
前記電極集電体100は、一般的に3μm~500μmの厚さを有することができる。前記電極集電体100はその表面に微細な凹凸を形成して電極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な物理的形態として使われることができる。電池に化学的変化を引き起こさないながら高い導電性を有するものであれば、前記電極集電体として使用する物質は特に制限されない。正極集電体と負極集電体は共に本発明の電極集電体として使うことができる。
【0061】
前記正極集電体は、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、及びアルミニウムまたはステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタンまたは銀で表面処理したものの中で選択される1種を使うことができ、好ましくはアルミニウムを使うことができる。前記負極集電体は、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅またはステンレススチールの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを使うことができる。
【0062】
前記電極活物質層200は電極集電体100の片面または両面に形成されることができる。前記電極活物質層200の厚さは電池の容量及び活物質の種類によって変わることができる。一般的に、電極集電体100の一面に形成された電極活物質層200は3μm~500μmの厚さを有することができる。
【0063】
前記電極活物質層200に正極集電体を使う場合、使用可能な正極活物質は、例えばリチウムニッケル酸化物(LiNiO2)などの層状化合物または1種またはそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2-xO4(ここで、xは0~0.33)、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li2CuO2);LiV3O8、LiV3O4、V2O5、Cu2V2O7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi1-xMxO2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGa、x=0.01~0.3)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2-xMxO2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTa、x=0.0~0.1)またはLi2Mn3MO8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土類金属イオンに置換されたLiMn2O4;ジスルフィド化合物;Fe2(MoO4)3などから構成されることができ、これらにのみ限定されるものではない。
【0064】
負極集電体を使う場合、使用可能な負極活物質は、例えば難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LixFe2O3(0≦x≦1)、LixWO2(0≦x≦1)、SnxMe1-xMe’yOz(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO2、PbO、PbO2、Pb2O3、Pb3O4、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5、GeO、GeO2、Bi2O3、Bi2O4、及びBi2O5などの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などから構成されることができる。
【0065】
前記電極活物質層200は導電材、バインダーをさらに含むことができる。
【0066】
前記導電材は、通常電極活物質を含めた混合物総重量を基準に0.1~30重量%で添加することができる。このような導電材は該当電池に化学的変化を引き起こさないながら導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば天然黒鉛または人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維または金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使うことができる。
【0067】
前記バインダーは電極活物質と導電材などの結合と電極集電体に対する結合に役立つ成分であり、通常電極活物質を含む混合物総重量を基準に0.1~30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-非共役ジエン(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン-ブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0068】
前記電極活物質はその粒子の直径及び形状が均一であってもよいが、互いに異なるサイズ及び形状を有する多様な粒子を使うこともできる。前記電極活物質の粒子の直径は800nm~20μmであることができる。また、前記粒子は、球形、棒形などの多様な形状を有することもできる。
【0069】
前記電極集電体10、100及び電極活物質層20、200は以下で説明する電極集電体及び電極活物質層に同様に適用される。
【0070】
前記単位電極250の電極活物質層200の少なくとも一面には第1無機物層300が位置し、前記第1無機物層の上面には常に第2無機物層400が位置する。
【0071】
前記第1無機物層300は、前記単位電極250の電極活物質層200の気孔サイズより直径が大きい第1無機物粒子と、これを固定するための第1バインダー高分子とを含むことができる。
【0072】
また、前記第2無機物層400は、前記第1無機物粒子の直径より直径が小さい第2無機物粒子と、これを固定するための第2バインダー高分子とを含むことができる。
【0073】
多様な可能な構成によって、前記第1無機物層300と前記第2無機物層400とは別個の層として存在することができ、単層に形成されることもできる。前記第1無機物層300と前記第2無機物層400とが一層として存在する場合、
図3のように、前記第1無機物粒子310の空隙に前記第2無機物粒子410がパッキングされる形態に構成されることができる。ここで、前記第1無機物粒子310の重量は無機物粒子全体の重量を基準に50%~90%であり、前記第2無機物粒子410の重量は無機物粒子全体の重量を基準に10%~50%であることができる。前記第2無機物粒子410の組成比が大きくなる場合、粒子直径の小さい前記第2無機物粒子410が電極活物質層の気孔に入り、むしろ抵抗を高めることがあるからである。
図3のように無機物粒子がパッキングされる形態を有する場合、前記第1無機物粒子310を含む前記第1無機物
層スラリーと前記第2無機物粒子410を含む前記第2無機物
層スラリーとはほぼ同じ粘度を有する。これは電極活物質の気孔に前記第2無機物粒子及び前記第2バインダー高分子が浸透しないようにするためである。
【0074】
前記第1無機物層300と前記第2無機物層400とが別個の層として存在する場合、前記第1無機物層300は前記単位電極250と前記第2無機物層400との間に位置することができる。ここで、前記第1無機物層300の厚さは3μm以上20μm未満であることができる。前記第1無機物層300が20μm以上の場合、抵抗を増加させて電池の容量が減少する問題点が発生し、前記第1無機物層300が3μm未満の場合、本発明が意図している無機物が電極の気孔内に浸透しないようにする効果を発揮することができない。また、電気絶縁の効果が発生しなくて短絡が発生するようになる。前記第2無機物層400の厚さは3μm以上20μm未満であることができる。これは、前記第1無機物層300と同様に、20μm以上の場合、抵抗を増加させて電池の容量が減少する問題点が発生することがあり、あまり薄い場合、無機物層全体の気孔サイズを減らすことができなくて絶縁層の役割を果たすことができず、電池の短絡を発生させることがある問題点がある。
【0075】
前記第1無機物層300は前記第2無機物層400の厚さより薄く形成されることができる。前記第1無機物層300は前記第2無機物層400を構成する前記第2無機物粒子が電極の気孔に浸透しないほどに形成され、単位電極と無機物層との間の境界の役割を果たすことができる。前記第1無機物層300の厚さと前記第2無機物層400の厚さとの間に過度に大きい差がある場合、前記第2無機物層の前記第2無機物粒子が前記単位電極250の気孔に浸透することができるので、第1無機物層300が第2無機物層400とほぼ同じ厚さ、つまり第1無機物層300は第2無機物層400の0.6倍~1倍の厚さを有することが好ましい。
【0076】
分離膜に相当する第1無機物層300と第2無機物層400の厚さが厚くなる場合、充放電サイクルによる容量維持率が急激に落ちることがある。第1無機物層300及び第2無機物層400の好ましい厚さは6μm以上40μm以下である。前記第1無機物層300と第2無機物層400の厚さは本発明のすべての実施例に同等に適用される。
【0077】
電池の内部に無機物が浸透しない分離膜一体型電極を得るためには、一層に2種の無機物を使うか多数層にサイズ、分布、形状などの異なる無機物を与えて混合することができる。ただ、無機物層が過度に厚い場合、抵抗が増加するので、単位電極に無機物粒子が浸透しないようにしながら既存の分離膜基材と同じ気孔サイズを有する層の個数を調節する必要がある。ただ5個以下の層を配置することが適切である。
【0078】
前記のように多層の場合、全体無機物層の気孔の平均サイズは0.01μm~10μmであることができ、平均気孔度は10%~95%であることができる。多層構造の無機物層の厚さの和は6μm以上40μm未満ではなければならない。これは、電極絶縁効果を発揮しながら電池の抵抗を最小化することができる範囲である。
【0079】
前記第1無機物粒子の直径は前記単位電極250の気孔サイズより大きくなることができる。
【0080】
前記第1無機物層300は、前記単位電極250の気孔に無機物が浸透することができないようにする役割を果たすことができる。前記第1無機物層300の粒子の直径は500nm~3μmであることができる。ただ、前記第1無機物層300の粒子の直径は使用する電極の種類及び対面する物質によって差があり得る。負極活物質と負極集電体を含む電極の気孔は平均的に0.5μm~1μm以内であるので、前記第1無機物層は0.5μm~8μmの直径を有することができる。また、正極活物質と正極集電体を含む正極の場合、これより気孔が少し大きいため、第1無機物層300の直径は1μm~8μmであることができる。このような直径のサイズはSEMまたはParticle Size Analyzer(製品名:MASTERSIZER 3000;製造社:Malvern)を用いて測定することができる。
【0081】
前記第1無機物層300は境界を形成するために直径の相異なる無機物から形成されることができる。直径の同じ無機物も境界を形成して第2無機物層400が電極の気孔に浸透しないようにすることができれば、使用可能である。
【0082】
前記第2無機物粒子の直径は前記単位電極250の電極活物質層200の気孔サイズより小さくてもよい。前記第2無機物粒子は、分離膜一体型電極において無機物層が従来の分離膜と同じ気孔サイズ及び気孔度を有するようにして電池の短絡を防止しイオン伝導度を維持するようにする役割を果たす。前記第2無機物粒子の直径は使用する活物質のサイズによって異なることができるが、20nm~300nmであることができる。より好ましくは、絶縁のために20nm~150nmであることができる。
【0083】
また、前記第2無機物粒子は、絶縁のために、サイズの相異なる2種の無機物粒子を使うことができる。サイズの相異なる2種の無機物粒子は最大無機物粒子の直径(D50)が60nm~300nmであることができ、最小無機物粒子の直径(D50)は20nm~80nmであることができる。
【0084】
前記のようにサイズの相異なる無機物粒子を使う場合、粒子の直径が小さい無機物粒子を先に混合した後、粒子の直径が大きい順に混合して無機物層スラリーを形成することが好ましい。ここで、サイズの小さい無機物粒子を混合した後、分散剤を混合してサイズの小さい無機物粒子が固まらないようにした後、サイズの大きい無機物粒子を混合することが電極の抵抗を低めるのにもっと効率的である。粒子の直径が異なる無機物は無機物の種類、用途、成分などによって変わることができるが、直径の大きい無機物の粒子が直径の小さい無機物の粒子とほぼ同じ範囲、すなわち直径の小さい無機物の粒子と同じかまたはそれの0.5倍~4倍程度に含まれていることが好ましい。
【0085】
前記第1無機物粒子は、球形、楕円形、亜鈴形、テトラポッド形、無定形などの多様な形態を有することができる。ここで、単位電極上に境界を容易に形成することができるように、層形成の際、網状など、第2無機物粒子が第1無機物層300を通過することができないようにする形態を形成することができる形状が好ましい。また、追加の物質を導入して単層の網状層をさらに含むことができる。
【0086】
第2無機物粒子は多様な形態が可能であるが、無機物層の気孔サイズ及び気孔度を調節することができるので球形が好ましい。
【0087】
前記第1無機物層300と第2無機物層400は絶縁層の役割を果たすことができる。前記絶縁層に使用する第1無機物粒子と第2無機物粒子は、二次電池の作動電圧範囲で酸化反応及び/または還元反応が起こらないものであれば、前記無機物の種類は特に制限されない。イオン伝達能力を有する無機物粒子を使う場合、電気化学素子内のイオン伝導度を高めて電池の性能向上をはかることができる。無機物粒子として高誘電率の無機物粒子を使う場合、液体電解質内の電解質塩、例えばリチウム塩の解離度増加によって電解液のイオン伝導度を向上させることができる。
【0088】
前記第1無機物粒子と第2無機物粒子は化学的に異なる物質であることができる。第1無機物粒子と第2無機物粒子の素材は、一般的に分離膜に使用する無機物粒子を使うことができる。また、本発明による第1無機物粒子と第2無機物粒子は前記のように化学的に異なる物質を使うこともできるが、同じ物質を使うことも可能である。
【0089】
前記第1無機物粒子と第2無機物粒子の例としては、BaTiO3、SnO2、CeO2、MgO、Mg(OH)2、NiO、CaCO3、CaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、SiO2、Al(OH)3、AlOOH、Al2O3、TiO2またはこれらの混合体を挙げることができる。このうち、高温で吸熱特性によって安全性に優れたAl(OH)3、AlOOHを使うことが好ましい。
【0090】
前記第2無機物粒子は表面改質された粒子であってもよい。このような表面改質は親水性を有するように表面処理するものであり得る。前記表面処理は酸性溶液で前記無機物粒子を処理するものであり得る。前記酸性溶液は無機物の絶縁性は維持しながら親水性のみを付与することができる物質であれば関係ない。前記表面処理としては、プラズマ表面処理を使うことができる。
【0091】
前記第1無機物粒子または第2無機物粒子の前記第1無機物層または第2無機物層内の含量はそれぞれの第1無機物層または第2無機物層の固形分全体100重量部を基準に50重量部~95重量部であることができ、好ましくは60重量部~95重量部であることができる。第1無機物粒子または第2無機物粒子の含量が第1無機物層または第2無機物層固形分全体100重量部を基準に50重量部未満の場合には、バインダーの含量が過度に多くて無機物粒子の間に形成される空間が減少する。このために、無機物層の気孔サイズ及び気孔度が減少して電池の性能が低下することがある。また、無機物の含量が無機物層固形分全体100重量部を基準に95重量部を超える場合には、バインダーの含量が過度に少なくて無機物間の接着力が弱化し、電気的短絡が発生することがある。
【0092】
第1無機物層300に使われる第1バインダー高分子は、第1無機物粒子が互いに結合するようにしながら第2無機物粒子が第1無機物層を通過して単位電極に浸透しないようにする役割を果たす。前記第1バインダー高分子が電池に影響を及ぼさないながら結合力を提供することができれば、その物質の種類は関係ない。前記バインダーとして使用可能な物質は、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、ポリエチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinylacetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethyleneoxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)及びカルボキシルメチルセルロース(carboxylmethylcellulose)からなる群から選択されたいずれか1種またはこれらのうちで2種以上の混合物を例として挙げることができる。
【0093】
第2バインダー高分子は第2無機物粒子が互いに結合するようにする役割を果たす。前記第2バインダー高分子は、電池に影響を及ぼさないながら結合力を提供するものであれば、その物質の種類は関係ない。その例として、前記第2バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、ポリエチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinylacetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethyleneoxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)及びカルボキシルメチルセルロース(carboxylmethylcellulose)からなる群から選択されたいずれか1種またはこれらのうちで2種以上の混合物を使うことができる。
【0094】
第1無機物層スラリーは第2無機物層スラリーより粘度が高くてもよい。前記第1無機物層スラリーが第2無機物層スラリーより粘度が高くて第1無機物層のバインダーが単位電極に浸透することができないようにする役割と第2無機物層400の第2無機物粒子が単位電極に浸透することができないようにする役割とを果たすことができる。例えば、前記第1無機物層スラリーが含まれた第1無機物層形成スラリーは5,000cP~20,000cPの粘度を有することができ、第2バインダー高分子が含まれた第2無機物層スラリーは300cP~3000cPの粘度を有することができる。
【0095】
前記無機物層スラリーの粘度は前記無機物層に含まれているバインダー高分子によって変わることができる。
【0096】
前記第1バインダー高分子は第2バインダー高分子と同じ物質であり、分子量または共重合体の組成比にのみ差があり得る。前記第1バインダー高分子の重量平均分子量は60万~130万であることができ、第2バインダー高分子の重量平均分子量は20万~120万であることができる。第1バインダー高分子は第1無機物層300の固形分全体100重量部を基準に5重量部~45重量部であることができる。また、第2バインダー高分子は第2無機物層400の固形分全体100重量部を基準に5~30重量部であることができる。
【0097】
前記第1バインダー高分子は第2バインダー高分子と化学的に異なる物質であることができる。ここで、第1バインダー高分子が第2バインダー高分子より粘度が高ければ、その物質には制限がない。
【0098】
前記第2バインダー高分子の分子構造は分岐状(branched)であることができる。ここで、前記第1バインダー高分子は第2バインダー高分子より粘度が高い構造である線形分子構造を有することができる。しかし、前記分子構造は例示として摘示したものであり、第1バインダー高分子の粘度が第2バインダー高分子の粘度より高ければ、その構造は多様に選択可能である。
【0099】
前記第1バインダー高分子及び第2バインダー高分子は、先に言及した分子量、組成比、分子構造、及び化学的成分の中でいずれか一つ以上を異にして選択することができる。
【0100】
また、前記無機物層スラリーの粘度は前記無機物層スラリーに含まれている無機物粒子、バインダー高分子、分散剤などの物質の重量比によって変わるか、無機物層スラリー内に含まれている固形分と溶媒の比によって変わることができる。
【0101】
前記電極集電体は、正極集電体及び負極集電体の両者を使うことができる。前記電極活物質はバインダーなどとともに混合されてスラリー状で電極集電体上に塗布されることができる。前記電極活物質が含まれたスラリー(以下、‘電極スラリー’という)を集電体上にコーティングする方法は、電極スラリーを集電体上に分配させた後、ドクターブレード(Doctor blade)などを使って均一に分散させる方法、ダイキャスティング(Diecasting)、コンマコーティング(Comma coating)、スクリーンプリンティング(Screen printing)、グラビアコーティング(Gravure coating)などを例として挙げることができる。また、別途の基材(Substrate)上に電極スラリーを成形した後、プレシング(Pressing)法またはラミネーション(Lamination)法によって集電体と接合させる方法も考慮することができる。コーティングギャップ(Coating Gap)、電極スラリー溶液の濃度、またはコーティング回数などを調節することで、最終的にコーティングされるコーティングの厚さを調節することができる。
【0102】
前記電極スラリーを形成した後、これを乾燥する過程を経ることができる。乾燥工程は電極集電体にコーティングされた電極スラリー内の溶媒及び水分を除去する過程であり、使用する溶媒によって工程過程及び時間などの具体的な条件が変わることができる。一例として、前記乾燥過程は50℃~200℃の真空オーブンで実施することができる。乾燥方法としては、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法を挙げることができる。乾燥時間に対しては特に限定されないが、通常30秒~24時間の範囲である。
【0103】
前記乾燥工程以後には、冷却過程をさらに含むことができる。前記冷却過程は、バインダーの再結晶組織がうまく形成されるように室温まで徐冷(Slow cooling)するものであることができる。
【0104】
また、必要な場合、乾燥工程の後、電極の容量密度を高め、電極集電体と電極活物質との間の接着性を増加させるために、高温に加熱された2個のロールの間に前記単位電極を通過させて所望の厚さに圧縮するラミネーション工程を実施することができる。前記ラミネーション工程は本発明で特に限定されず、公知のラミネーション工程(Pressing)が可能である。一例として、回転ロールの間に通過させるか平板プレスを用いて実施する。
【0105】
前記乾燥過程、冷却過程、ラミネーション工程はそれぞれのS1)、S2)、S3)段階の後に実施することもでき、S3)段階の後にのみ実施することもできる。
【0106】
前記単位電極の少なくとも一面に第1無機物粒子と第1バインダー高分子を含む第1スラリーを塗布して第1無機物層を形成することができる。前記第1無機物粒子と第1バインダー高分子はそれぞれ溶媒に溶解させ、これを混合することにより第1無機物層スラリーを形成することができる。前記第2無機物粒子と第2バインダー高分子を含む第2無機物層スラリーも第1無機物層スラリーと同様な方法で形成することができる。ここで、分散剤を使って第1無機物粒子及び/または第2無機物粒子を均一に分散させることができる。
【0107】
前記溶媒は、電池に影響がなく、バインダー高分子を溶解させることができる物質であれば、制限されない。前記溶媒の例としては、アセトン(acetone)、ポリカーボネート(Polycarbonate)、メチルエチルケトン(Methylethylketone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、メチレンクロライド(methylene chloride)、クロロホルム(chloroform)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、シクロヘキサン(cyclohexane)、水またはこれらの混合物の中でいずれか1種を挙げることができる。前記第1スラリーに使用する溶媒と第2スラリーに使用する溶媒とは互いに同じか異なることができる。前記溶媒は、第1スラリーには第1スラリー固形分100重量部を基準に100~500重量部を使うことができ、第2スラリーには第2スラリー固形分100重量部を基準に200~1000重量部を使うことができる。
【0108】
前記第1スラリーまたは前記第2スラリーを塗布する方法は、集電体上に分配させた後、ドクターブレード(Doctor blade)などを使って均一に分散させる方法、ダイキャスティング(Diecasting)、コンマコーティング(Comma coating)、スクリーンプリンティング(Screen printing)、グラビアコーティング(Gravure coating)などを例として挙げることができる。また、別途の基材(Substrate)上に電極スラリーを成形した後、プレシング(Pressing)法またはラミネーション(Lamination)法で集電体と接合させる方法も考慮することができる。コーティングギャップ(Coating Gap)、電極スラリー溶液の濃度、またはコーティング回数などを調節することにより、最終的にコーティングされるコーティングの厚さを調節することができる。
【0109】
前記S4)段階で、前記第1スラリーの第1無機物粒子が網状構造を形成するように塗布することができる。前記第1スラリーの第1無機物粒子が網状構造を形成する場合、前記構造により、第2無機物粒子が単位電極の気孔を塞がないようにすることができる。
【0110】
前記S4)段階で、前記第1無機物層スラリーと前記第2無機物層スラリーは単位電極の少なくとも一面に同時にコーティングされることができる。
【0111】
前記第1無機物層スラリーと前記第2無機物層スラリーが同時にコーティングされる場合は、前記第1スラリーを塗布した直後に第2スラリーを塗布する場合を含む。
【0112】
前記S4)段階で、前記単位電極の少なくとも一面に前記第1無機物層スラリーをコーティングして乾燥した後、前記第1無機物層上に前記第2無機物層スラリーをコーティングして乾燥することもできる。ここで、各前記第1無機物層スラリーをコーティングして乾燥する段階及び前記第2無機物層スラリーをコーティングして乾燥する段階の後、ラミネーション(Press)する段階をさらに含むことができる。
【0113】
前記ラミネーション(Press)は20℃~200℃で前記分離膜一体型電極をロールまたは平板でプレスする方法であってもよい。前記ラミネーション(Press)によって前記分離膜一体型電極の厚さを減少させてエネルギー密度を高めることができる。
【0114】
前記ラミネーション(Press)は電極層を形成した後にのみ実施するかまたは第2無機物層を形成した後にのみ実施することが好ましい。
【0115】
本発明は前記分離膜一体型電極の製造方法によって製造された分離膜一体型電極であることができる。
【0116】
また、本発明は先に言及した分離膜一体型電極を少なくとも二つ以上積層し、これをラミネーションして単位セルを製造する段階を含む単位セルの製造方法であることができる。
【0117】
前記実施例で言及した素材及び製造方法は本発明の以下の実施例または比較例にも同様に適用することができる。
【0118】
前記電極組立体は、
図4のように、一面に第1無機物層300及び第2無機物層400を含む分離膜一体型電極を積層することにより形成することができる。ここで、前記第1無機物層300と第2無機物層400が存在する面の方向は一方向に向かうように形成されることができる。
図4では負極集電体110と正極集電体120の一面にのみ活物質層210、220が存在するものとして表現したが、図面のように一面に活物質層が存在することができ、両面に存在することもできる。
【0119】
前記電極組立体は、
図4のように、第1無機物層300と第2無機物層400が片面に存在する分離膜一体型電極を電極集電体と活物質層のみが存在する電極の間に配置及び積層して形成することができる。
【0120】
また、
本発明の第3実施例による図5のように、第1無機物層300と第2無機物層400が両面に存在する分離膜一体型電極のみを積層して電極組立体を形成することもできる。
【0121】
図6は、本発明の第4実施例による分離膜一体型電極を積層した電極組立体の模式図である。本発明は前記記載の分離膜一体型電極を含む電極組立体であることができる。前記電極組立体は分離膜基材を含んでいない。
【0122】
本発明において、単位電極250は正極の単位電極及び負極の単位電極の両者を含むものであり、電極活物質層20、200、無機物層30、第1無機物層300、第1無機物粒子310、第2無機物層400、及び第2無機物粒子410も正極と負極の両者を含むものである。
【0123】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0124】
<実施例1-1>
S1)直径が500nm~3μmのベーマイト(第1無機物粒子)とNMP溶媒(第1溶媒)と分散剤を投入して撹拌した第1無機物溶液を製造した後、PVdFバインダー(第1バインダー高分子)とNMP溶媒(第1溶媒)を混合した第1バインダー溶液を前記第1無機物溶液と混合することで、スラリー粒子の直径がD50を基準に500nm~3μmであり、粘度が10000cP(固形分含量約29重量%)である第1無機物層スラリーを製造する。
【0125】
S2)直径が20nm~80nmであり、酸処理で表面改質したベーマイト(第2無機物粒子の一部)、分散剤、直径が60nm~300nmのベーマイト(第2無機物粒子の一部)を順にNMP溶媒(第2溶媒)に投入して撹拌した第2無機物溶液とPVdFバインダー(第2バインダー)をNMP溶媒(第2溶媒)に混合した第2バインダー溶液を混合することにより、スラリー粒子の直径がD50を基準に150nm~1μmであり、粘度が2000cP(固形分含量約20重量%)である第2無機物層スラリーを製造する。
【0126】
S3)銅電極集電体の一面にグラファイトを含む負極活物質層が形成された負極単位電極を準備する。
【0127】
S4)前記S3)段階の単位電極の一面に形成された前記負極活物質層上に前記第1無機物層スラリーを塗布してから乾燥して5μm厚さの第1無機物層を形成し、前記第1無機物層上に5μm厚さの前記第2無機物層スラリーを塗布してから乾燥して第2無機物層を形成する。
【0128】
S5)前記S4)段階の第2無機物層上に、アルミニウム電極集電体の一面にNCMを含む正極活物質層が形成された単位電極を積層して単位セルを形成する。
【0129】
<実施例1-2>
実施例1-2は実施例1-1の場合と同様に形成するが、第1無機物層の厚さが10μm、第2無機物層の厚さが10μmになるように単位セルを形成する。
【0130】
<比較例1>
比較例1は前記実施例1-1のS1)段階を経ず、前記S4)段階で前記単位電極の前記負極活物質層上に第2無機物層スラリーを塗布してから乾燥して厚さ20μmの第2無機物層のみを形成する点を除き、同様な段階を経て比較例1の単位セルを形成する。
【0131】
<比較例2>
比較例2は、前記実施例1-2でS1)段階の第1無機物層スラリーの粘度が2000cP(固形分含量約20重量%)である点を除き、同様な段階を経て比較例2の単位セルを形成する。
【0132】
<実験1>-容量測定実験
前記実施例及び比較例による単位セルを0.3Cで充電し、0.3Cで放電して初期容量を測定した後、下記表1に示した。
【0133】
<実験2>-抵抗測定
前記実施例及び比較例による単位セルを0.3Cで充電及び放電して1サイクルを実施した後、0.3Cで充電して4.2Vまで完全充電させた後(SOC 100)、第1サイクルの放電容量の50%のみを0.3Cで放電してDOD50(=SOC 50)を維持した。DOD50(=SOC50%)状態で3Cで10秒間放電して単位セルの抵抗を測定した。下記表1はDOD50(=SOC 50)のときの抵抗を示す。
【0134】
<実験3>-容量維持率実験
前記実施例及び比較例による単位セルに対して45℃の条件で充放電を50サイクル実施して、一番目放電容量に比べて50サイクル後の放電容量を計算した。ここで、充電は0.3Cで4.2Vになるまで充電し、放電は1Cの定電流で2.5Vになるまで放電した。これを下記の表1及び
図7に示した。
図7で、グラフは上から下にそれぞれ実施例1-1、実施例1-2、比較例1、比較例2である。
【0135】
【0136】
前記表1及び
図7に示すように、本発明による実施例1-1(Ex.1)及び実施例1-2(Ex.2)は、セル容量が比較例1(Comp.Ex.1)及び比較例2(Comp.Ex.2)より高く、抵抗も低いという事実が分かる。前記のように、セル容量が大きく、抵抗が低いので、実施例1-1と実施例1-2は比較例1及び比較例2と比較したとき、50サイクル後の容量維持率も比較例1及び比較例2より高いという事実が分かる。
【0137】
前記のような実験結果から、本発明のように無機物粒子の直径を異にした二つ以上の無機物層を形成し、最下層を形成するスラリーの粘度が大きい場合、第2無機物粒子及びバインダーが電極層に浸透することを抑制し、初期セル容量、抵抗、及び容量維持率が向上することが分かる。
【0138】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範囲内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は単位電極の電極活物質層の気孔サイズより直径が大きい第1無機物粒子を含む第1無機物層と前記第1無機物粒子の直径より直径が小さい第2無機物粒子を含む第2無機物層とを含む分離膜一体型電極の製造方法及びそれによる分離膜一体型電極に関するものであるので、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0140】
10、100 電極集電体
110 負極集電体
120 正極集電体
20、200 電極活物質層
210 負極活物質層
220 正極活物質層
250 単位電極
30 無機物層
300 第1無機物層
310 第1無機物粒子
400 第2無機物層
410 第2無機物粒子