(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6869 20180101AFI20240723BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240723BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALN20240723BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6876 Z
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2022543550
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 CN2020072727
(87)【国際公開番号】W WO2021142769
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-08-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425353
【氏名又は名称】深▲せん▼華大智造科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MGI TECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Main Building and Second floor of No.11 Building,Beishan Industrial Zone,Yantian District,Shenzhen,Guangdong 518083,China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼梅花
(72)【発明者】
【氏名】劉生茂
(72)【発明者】
【氏名】徐崇鈞
(72)【発明者】
【氏名】周爽
(72)【発明者】
【氏名】王静静
(72)【発明者】
【氏名】李計广
(72)【発明者】
【氏名】韋小芳
(72)【発明者】
【氏名】蒋慧
(72)【発明者】
【氏名】劉健
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/209946(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/086531(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/120208(WO,A2)
【文献】米国特許第05308751(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法であって、前記方法は、
シーケンシング対象である環状DNA分子を増幅テンプレートとして第1のラウンドのローリングサークル増幅を行い、第1の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
前記第1の部分のテンプレート鎖にブロッキングされた増幅プライマーまたはブロッキングされていない増幅プライマーをハイブリダイズし、次に、前記環状DNA分子を増幅テンプレートとして第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、第2の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
前記第1の部分のテンプレート鎖と前記第2の部分のテンプレート鎖のうちのいずれか一方のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして、他方のテンプレート鎖を増幅テンプレートとして多重置換増幅を行い、第2鎖シーケンシングテンプレートを生成するステップと、
それぞれ前記第1鎖シーケンシングテンプレートと前記第2鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、前記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含
み、
前記ローリングサークル増幅と前記多重置換増幅の時間を制御することによって前記第1鎖シーケンシングテンプレートと第2鎖シーケンシングテンプレートのコピー数を制御し、
前記第1鎖シーケンシングテンプレートと第2鎖シーケンシングテンプレートのコピー数の間に倍数の違いがあり、シーケンシングプロセス中に前記倍数の違いによる信号の違いによってシーケンシングされた塩基を位置決めする、
ことを特徴とするDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法。
【請求項2】
前記ブロッキングされた増幅プライマーは3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーであり、前記ブロッキングされていない増幅プライマーは多重置換増幅プライマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして、第1のラウンドのローリングサークル増幅を行ってDNAナノスフェアを形成するステップと、
前記第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
前記DNAナノスフェアに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長して第2の部分のテンプレート鎖を生成し、前記第2の部分のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして使用するステップと、
前記3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化し、多重置換増幅を行い、第2鎖シーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
前記第1鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、マシン上でシーケンシングできる、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされているDNAナノスフェアテンプレートを取得するステップと、
前記第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、前記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして、第1のラウンドのローリングサークル増幅を行ってDNAナノスフェアを形成するステップと、
前記第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に多重置換増幅プライマーをハイブリダイズするステップと、
前記DNAナノスフェアに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長して第2の部分のテンプレート鎖を生成し、前記第2の部分のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして使用するステップと、
前記多重置換増幅プライマーの作用下で、多重置換増幅を行い、第2鎖シーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
前記第1鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、マシン上でシーケンシングできる、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされているDNAナノスフェアテンプレートを取得するステップと、
前記第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、前記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして、第1のラウンドのローリングサークル増幅を行ってDNAナノスフェアを形成するステップと、
前記第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
前記DNAナノスフェアに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長するステップであって、第2のラウンドのローリングサークル増幅中に、まず、dUTPを含む混合液で延長し、一部にU塩基を持つテンプレート鎖を形成させ、次に、dNTPs混合液で延長し続け、第2の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
前記第2の部分のテンプレート鎖に多重置換増幅プライマーをハイブリダイズし、多重置換増幅を行って第2鎖シーケンシングテンプレートを生成するステップと、
前記第2鎖シーケンシングテンプレートに第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、前記3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化し、マシン上でシーケンシングできる、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされているDNAナノスフェアテンプレートを取得するステップと、
前記第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、前記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法では、シーケンシングプロセス中に異なる蛍光を有する異なる特異的抗体を加えることでブロッキング基付きの異なる塩基を特異的に認識し、塩基信号の収集を実現することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記シーケンシングプロセスは、まず、ブロッキング基付きの塩基を加え、次に、ブロッキング基付きの塩基を特異的に認識することができる異なる蛍光を有する特異的抗体を加えて信号の収集を行い、続いて抗体を溶出して信号を除去し、ブロッキング基を除去することによって、次のラウンドのサイクルに進むことを含むことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
第2鎖read2の信号
強度は、第1鎖read1の信号
強度の2倍または他の倍数である請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は核酸のシーケンシング技術分野に関し、特にDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハイスループットシーケンシングの方法には、主に、シングルエンドシーケンシング、ペアエンドシーケンシング(paired-end/mate-paired、PE/MP)があり、そのうち、PE/MPシーケンシングは双方向シーケンシングとも呼ばれ、長いシーケンスに対してその両端のシーケンスを測定しており、両端のシーケンスは「1ペア」となり、中央の距離は挿入されたフラグメントの長さであり、シーケンスの組み立て、比較等を行うことができ、遺伝子フラグメントの複製、削除及び挿入の場合、このような方法はより正確であり、ゲノム上での範囲がより広く、Paired-endとMate-pairedの違いはライブラリの構築方法である。現在、Paired-endシーケンシングが主流になり、シーケンシングの長さを増加すると同時に、構造変異分析に新しい方法を提供することができる。
【0003】
現在、ペアエンドシーケンシング方法について、異なるシーケンシングプラットフォームはシーケンシング手段が異なるが、基本的に、最初にDNAの1本の鎖であるread1をシーケンシングし、シーケンシングが完了した後、相補鎖であるread2をシーケンシングする必要があり、例えば、現在市場占有率が最も高いIllumina社によるペアエンドシーケンシングは、主にブリッジ増幅法を採用しており、まず、DNA断片化を行い、次に、両端にアダプターを加え、アダプターにはシーケンシングプライマー結合部位が含まれ、第1のラウンドのread1のシーケンシングが完了した後、第1のラウンドのシーケンシングのテンプレート鎖を除去し、ペアエンドシーケンスモジュール(Paired-End Module)を使用して、相補鎖の再生と増幅をその場でガイドし、第2のラウンドのシーケンシングで使用されるテンプレート量を達成し、第2のラウンドの相補鎖read2の合成シーケンシングを行う。
【0004】
従来のペアエンドシーケンシング方法に存在する問題は、DNAの2本の鎖を別々に順次にシーケンシングする必要があり、シーケンシングスループットを低下させ、シーケンシングコストを増加する。
【発明の概要】
【0005】
本発明はDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法を提供し、DNAの両端から同時にシーケンシングすることができ、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の同期シーケンシング、即ちread1とread2の同時シーケンシングを実現し、これにより、シーケンシング時間とシーケンシングコストを大幅に節約し、シーケンシングスループットを向上させる。
【0006】
本発明は以下の技術的手段によって実現される。
【0007】
DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法であって、
シーケンシング対象である環状DNA分子を増幅テンプレートとして第1のラウンドのローリングサークル増幅を行い、第1の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
上記第1の部分のテンプレート鎖にブロッキングされた増幅プライマーまたはブロッキングされていない増幅プライマーをハイブリダイズし、次に、上記環状DNA分子を増幅テンプレートとして第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、第2の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
上記第1の部分のテンプレート鎖と上記第2の部分のテンプレート鎖のうちのいずれかの部分のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして、他方のテンプレート鎖を増幅テンプレートとして多重置換増幅を行い、第2鎖シーケンシングテンプレートを生成するステップと、
それぞれ上記第1鎖シーケンシングテンプレートと第2鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、上記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。
【0008】
好ましい実施例において、上記ブロッキングされた増幅プライマーは3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーであり、上記ブロッキングされていない増幅プライマーは多重置換増幅プライマーである。
【0009】
好ましい実施例において、上記方法は、
一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして、第1のラウンドのローリングサークル増幅を行ってDNAナノスフェアを形成するステップと、
上記第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
上記DNAナノスフェアに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長して第2の部分のテンプレート鎖を生成し、上記第2の部分のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして使用するステップと、
上記3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化し、多重置換増幅を行って第2鎖シーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
上記第1鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、マシン上でシーケンシングできる、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされているDNAナノスフェアテンプレートを取得するステップと、
上記第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用の下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、上記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。
【0010】
好ましい実施例において、上記方法は、
一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして、第1のラウンドのローリングサークル増幅を行ってDNAナノスフェアを形成するステップと、
上記第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に多重置換増幅プライマーをハイブリダイズするステップと、
上記DNAナノスフェアに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長して第2の部分のテンプレート鎖を生成し、上記第2の部分のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして使用するステップと、
上記多重置換増幅プライマーの作用の下で、多重置換増幅を行って第2鎖シーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
上記第1鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、マシン上でシーケンシングできる、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされているDNAナノスフェアテンプレートを取得するステップと、
上記第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用の下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、上記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。
【0011】
好ましい実施例において、上記方法は、
一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして、第1のラウンドのローリングサークル増幅を行ってDNAナノスフェアを形成するステップと、
上記第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、
上記DNAナノスフェアに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続けて、テンプレート鎖の3’末端を延長するステップであって、第2のラウンドのローリングサークル増幅には、まず、dUTPを含む混合液で延長し、一部にU塩基を持つテンプレート鎖を形成させ、次に、dNTPs混合液で延長し続け、第2の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
上記第2の部分のテンプレート鎖に多重置換増幅プライマーをハイブリダイズし、多重置換増幅を行って、第2鎖シーケンシングテンプレートを生成するステップと、
上記第2鎖シーケンシングテンプレートに第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、上記3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化し、マシン上でシーケンシングできる、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされているDNAナノスフェアテンプレートを取得するステップと、
上記第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用の下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、上記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。
【0012】
好ましい実施例において、上記方法において上記ローリングサークル増幅と上記多重置換増幅の時間を制御することによって上記第1鎖シーケンシングテンプレートと第2鎖シーケンシングテンプレートのコピー数を制御する。
【0013】
好ましい実施例において、上記第1鎖シーケンシングテンプレートと第2鎖シーケンシングテンプレートのコピー数には倍数の違いがあるため、シーケンシングプロセス中に上記倍数の違いによる信号の違いによってシーケンシングされた塩基を位置決めするようにする。
【0014】
好ましい実施例において、上記方法では、シーケンシングプロセス中に異なる蛍光を有する異なる特異的抗体を加えることでブロッキング基付きの異なる塩基を特異的に認識し、塩基信号の収集を実現する。
【0015】
好ましい実施例において、上記シーケンシングプロセスは、まず、ブロッキング基付きの塩基を加え、次に、ブロッキング基付きの塩基を特異的に認識することができる異なる蛍光を有する特異的抗体を加えて信号の収集を行い、次に、抗体を溶出して信号を除去し、続いて、ブロッキング基を除去することにより、次のサイクルに進む。好ましい実施例において、上記シーケンシングはMGISEQ(登録商標)-2000シーケンサーで行われる。
【0016】
本発明によるシーケンシング方法は、2ラウンドのローリングサークル増幅と多重置換増幅によってマシン上でシーケンシングできるDNAナノスフェアテンプレートを生成し、該DNAナノスフェアテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーがハイブリダイズされ、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得することができ、これにより、シーケンシング時間とシーケンシングコストを大幅に削減し、シーケンシングスループットを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例におけるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第1の手段の原理模式図である。
【
図2】本発明の実施例におけるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第2の手段の原理模式図である。
【
図3】本発明の実施例におけるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第3の手段の原理模式図である。
【
図4】本発明の実施例におけるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第1の手段のシーケンシング信号結果図である。
【
図5】本発明の実施例におけるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第2の手段のシーケンシング信号結果図である。
【
図6】本発明の実施例におけるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第3の手段のシーケンシング信号結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態を通じて、図面を参照しながら本発明を更に詳細に説明する。以下の実施形態において、本発明がより良く理解されるために数多くの細部を説明する。しかしながら、当業者は、一部の特徴が異なる状況で省略されることができるか、または他の材料、方法によって置き換えられることができることを容易に認識することができる。
【0019】
また、本明細書に記載されている特徴、操作、または特性は、任意の適切な方法で組み合わせて、様々な実施形態を形成することができる。また、同時に、方法の説明におけるステップまたは動作は、当業者に明らかな方法で順番に交換または調整することができる。したがって、本明細書と図面における様々な順序は、ある実施例を明確に説明することのみを目的としており、特に明記しない限り、ある順序に従う必要がある場合を除き、必要な順序を意味するものではない。
【0020】
本発明による方法は、2ラウンドのローリングサークル増幅と多重置換増幅を利用してマシン上でシーケンシングできるDNAナノスフェアテンプレートを生成、ローリングサークル増幅(RCA)の時間と多重置換増幅(MDA)の時間を制御することによって第2鎖read2または第1鎖read1のテンプレートを生成することができ、このように、第2鎖read2のコピー数及び第1鎖read1のコピー数は両方とも制御可能であり、ある手段によって第2鎖と第1鎖の両方を兼ね備えるテンプレートを形成し、次に、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーをそれぞれハイブリダイズし、第2鎖read2と第1鎖read1のコピー数の違いによる信号の違いによって、例えば第2鎖read2の信号は第1鎖read1の2倍または他の倍数にすることによって、シーケンシングされた塩基に対して第1鎖read1と第2鎖read2の位置決めを行い、第1鎖と第2鎖の同期シーケンシング反応を行うことができ、これによりDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖を同期にシーケンシングさせる技術的手段を実現する。
【0021】
具体的に、本発明の実施例において、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法であって、
シーケンシング対象である環状DNA分子を増幅テンプレートとして第1のラウンドのローリングサークル増幅を行い、第1の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
上記第1の部分のテンプレート鎖にブロッキングされた増幅プライマーまたはブロッキングされていない増幅プライマーをハイブリダイズし、上記環状DNA分子を増幅テンプレートとして第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、第2の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、
上記第1の部分のテンプレート鎖と上記第2の部分のテンプレート鎖のうちのいずれか一方のテンプレート鎖を第1鎖シーケンシングテンプレートとして、他方のテンプレート鎖を増幅テンプレートとして多重置換増幅を行って第2鎖シーケンシングテンプレートを生成するステップと、
それぞれ上記第1鎖シーケンシングテンプレートと第2鎖シーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、上記DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。
【0022】
本発明において、ローリングサークル増幅は、第1のラウンドのローリングサークル増幅と第2のラウンドのローリングサークル増幅の2つの段階を含み、これにより第1の部分のテンプレート鎖と第2の部分のテンプレート鎖をそれぞれ生成する。ローリングサークル増幅の時間を制御することによって、第1の部分のテンプレート鎖と第2の部分のテンプレート鎖の長さを制御することができ、これに対応し、第1鎖と第2鎖のコピー数を制御する。ローリングサークル増幅は、一般的にDNAポリメラーゼの作用下で行われ、最も一般的に使用されるのはphi29 DNAポリメラーゼである。
【0023】
本発明において、第1の部分のテンプレート鎖と第2の部分のテンプレート鎖のうちのいずれか一方を第1鎖シーケンシングテンプレートとして使用することができ、これに対応して、他方を多重置換増幅のテンプレート鎖として第2鎖シーケンシングテンプレートを生成する。
【0024】
本発明において、第1のラウンドのローリングサークル増幅と第2のラウンドのローリングサークル増幅の間で、第1の部分のテンプレート鎖にブロッキングされた増幅プライマーまたはブロッキングされていない増幅プライマーをハイブリダイズし、第1の部分のテンプレート鎖を一時的に閉鎖する一方で、これらの増幅プライマーは、後続の多重置換増幅のプライマーシーケンスとして、または後続の第1鎖シーケンシングのプライマーとして使用されることができる。
【0025】
本発明において、これらの増幅プライマーはブロッキングされたもの、またはブロッキングされていないもののいずれかであってもよく、ブロッキングされた増幅プライマーは一般的に3’末端がブロッキング基によってブロッキングされることでポリメラーゼの作用下で延長できないプライマーを指す。本発明の一実施例において、ブロッキングされた増幅プライマーは3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーであり、該第1鎖シーケンシングプライマーの3’末端にリン酸化修飾を有し、延長できないため、第2のラウンドのローリングサークル増幅の過程において変わらない。第2のラウンドのローリングサークル増幅の後、3’末端がリン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化することができ、第1鎖シーケンシングプライマーの3’末端基はヒドロキシル基になり、ポリメラーゼ作用下で延長することができる。したがって、この脱リン酸化された第1鎖シーケンシングプライマーは後続の多重置換増幅のプライマーまたは後続の第1鎖シーケンシングのプライマーとして使用されることができ、具体的な用途は技術的手段の設計形態によって決定できる。
【0026】
ブロッキングされていない増幅プライマーは第1の部分のテンプレート鎖に結合され、第2のラウンドのローリングサークル増幅の過程において、該増幅プライマーは延長反応を起こすが、ローリングサークル増幅の延長反応に影響しない。第2のラウンドのローリングサークル増幅の後、適切な反応条件下で、MDAプライマー延長反応を行い、第2鎖シーケンシングテンプレートを生成する。したがって、本発明の一実施例において、ブロッキングされていない増幅プライマーは多重置換増幅プライマーである。
【0027】
本発明によるDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法は複数の具体的な技術的手段によって実現されることができ、本発明は制限ではなく、典型的な詳しい手段を提供し、この3種の技術的手段に基づいて、当業者は他の適切な変形された手段を作成することができるのを理解すべきである。
【0028】
図1に示すように、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第1の詳しい技術的手段は、一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして使用し、停止溶液を加えずに、第1のラウンドのローリングサークル増幅(RCA)を行ってDNAナノスフェア(DNB)を形成するステップと、次に、第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に3’末端リン酸化修飾を有する第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、続いて、該DNBに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長し、延長されたテンプレート鎖を後続で第1鎖read1のシーケンシングテンプレートとするステップと、次に、事前にハイブリダイズされた3’末端リン酸化修飾の第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化し、多重置換増幅(MDA)を行って第2鎖read2シーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、最後に、第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、このとき、DNBテンプレートにハイブリダイズされた第1鎖シーケンシングプライマーと生成された第2鎖シーケンシングテンプレートの両方があり、且つ第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行ってDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。ローリングサークル増幅(RCA)の時間と多重置換増幅(MDA)による第2鎖read2の時間の両方は制御可能であるため、このように、第2鎖read2のコピー数及び第1鎖read1のコピー数の両方は制御可能であり、第2鎖read2と第1鎖read1のコピー数による信号違いによって、例えば第2鎖read2の信号は第1鎖read1の2倍または他の倍数にすることによって、シーケンシングされた塩基に対してread1とread2の位置決めを行うことができる。
【0029】
図2に示すように、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第2の詳しい技術的手段は、一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして使用し、停止溶液を加えずに、第1のラウンドのローリングサークル増幅(RCA)を行ってDNAナノスフェア(DNB)を形成するステップと、次に、多重置換増幅(MDA)プライマーをハイブリダイズするステップと、次に、該DNBに対して第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い続け、テンプレート鎖の3’末端を延長し、延長されたテンプレートを後続で第1鎖read1のシーケンシングテンプレートとして、MDAプライマーを事前にハイブリダイズした部分に対して多重置換増幅(MDA)を行い、第2鎖read2のシーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、続いて、第1鎖read1のシーケンシングテンプレートに第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、このとき、DNBテンプレートにハイブリダイズされた第1鎖シーケンシングプライマーと生成された第2鎖シーケンシングテンプレートの両方があり、且つ第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、最後に、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。ローリングサークル増幅(RCA)の時間と多重置換増幅(MDA)による第2鎖read2の時間の両方は制御可能であるため、このように、第2鎖read2のコピー数及び第1鎖read1のコピー数の両方は制御可能であり、第2鎖read2と第1鎖read1のコピー数による信号違いによって、例えば第2鎖read2の信号は第1鎖read1の2倍または他の倍数にすることによって、シーケンシングされた塩基に対してread1とread2の位置決めを行うことができる。
【0030】
図3に示すように、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法の第3の詳しい技術的手段は、一本鎖環状DNA分子をテンプレートとして使用し、停止溶液を加えずに第1のラウンドのローリングサークル増幅(RCA)を行ってDNAナノスフェア(DNB)を形成するステップと、第1のラウンドのローリングサークル増幅によって生成された第1の部分のテンプレート鎖に3’末端リン酸化修飾を有する第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、第1鎖read1のシーケンシングに使用できるように、このプライマーを後続で脱リン酸化するステップと、次に、このDNBを2つの段階で第2のラウンドのローリングサークル増幅を行い、テンプレート鎖の3’末端を延長するステップであって、まず、dUTPを含む混合液で延長し、一部にU塩基を持つテンプレート鎖を形成させ、U塩基を含むテンプレート鎖はphi29 DNAポリメラーゼによって認識されることができないため、この部分がMDA増幅を行うことができなく、さらに、dNTPs混合液で正常な延長を行い、この部分は後続でMDA増幅に使用できるように第2の部分のテンプレート鎖を生成するステップと、次に、第2の部分のテンプレート鎖に第1鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、多重置換増幅(MDA)を行い、第2鎖read2シーケンシングテンプレートを生成し、第2鎖read2シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、次に3’末端リン酸化修飾の第1鎖シーケンシングプライマーを脱リン酸化し、このとき、DNBテンプレートにハイブリダイズされた第1鎖シーケンシングプライマーと生成された第2鎖シーケンシングテンプレートの両方があり、且つ第2鎖シーケンシングプライマーをハイブリダイズするステップと、最後に、第1鎖シーケンシングプライマーと第2鎖シーケンシングプライマーの作用下で、第1鎖シーケンシングと第2鎖シーケンシングを同時に行い、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンスを取得するステップと、を含む。ローリングサークル増幅(RCA)の時間と多重置換増幅(MDA)による第2鎖read2の時間の両方は制御可能であるため、このように、第2鎖read2のコピー数及び第1鎖read1のコピー数の両方は制御可能であり、第2鎖read2と第1鎖read1のコピー数による信号違いによって、例えば第2鎖read2の信号は第1鎖read1の2倍または他の倍数にすることによって、シーケンシングされた塩基に対してread1とread2の位置決めを行うことができる。
【0031】
本発明の方法は、適切な修飾及び変形の後、他の二本鎖DNAまたは他の構造のDNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の同期シーケンシングにも適用できる。変形された技術的手段では、異なる手段によって第1鎖read1シーケンシングテンプレートと第2鎖read2シーケンシングテンプレートの両方を形成する必要があり、第2鎖read2と第1鎖read1のコピー数にある程度の違いがあるため、read2とread1の信号強度の違いを形成し、2つのテンプレートを区別して位置決めし、これにより、DNAのセンス鎖とアンチセンス鎖のシーケンシングを同期させる方法を実現する。
【0032】
本発明の方法は、シーケンシングプロセス中に、異なる蛍光を有する異なる特異的抗体を加えることでブロッキング基付きの異なる塩基を特異的に認識することができ、塩基信号の収集を実現する。例えば、一実施例において、まず、ブロッキング基付きの塩基を加え、次に、ブロッキング基付きのA塩基とT塩基を特異的に認識することができる異なる蛍光を有する特異的抗体を加え、信号の収集を行い、次に、抗体を溶出し、信号を除去し、次に、ブロッキング基付きのC塩基とG塩基を特異的に認識することができる異なる蛍光を有する特異的抗体を加え、信号の収集を行う。このように、反応ごとに、2種の蛍光信号のみが発光し、次に、read2とread1はまた信号の違いがあり、信号の認識効果を向上させ、これにより、同期シーケンシングのシーケンシング品質を向上させる。
【0033】
以下、実施例を通じて本発明の技術的手段及び効果を説明したが、実施例は単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解すべきである。
【0034】
実施例1
【0035】
1.機器
MGISEQ(登録商標)-2000シーケンサー、MGISEQ(登録商標)-2000シーケンシング試薬スライド(715nm)、ミニローダー、PCR機、PCR8連管、ピペット一式、高速遠心分離機。
【0036】
2.試薬
本実施例に使用される試薬を下記表1に示す。
【0037】
【0038】
3.試薬準備
1)3’リン酸化第1鎖シーケンシングプライマーの溶解
3’リン酸化第1鎖シーケンシングプライマー粉末を入れた1.5ミリリットルの遠心分離管をeppendorf高速遠心分離機(5415D)で、最大回転数で5分間遠心分離し、プライマーラベルの説明に従って、1XTE緩衝試薬でプライマーを100μMのサイト占有プライマーストック溶液に溶解する。
2)1μMの3’リン酸化第1鎖シーケンシングプライマーワーキング溶液の調製を下記表2に示す。
【0039】
【表2】
3)PNK酵素試薬の調製(脱リン酸化用)を下記表3に示す。
【0040】
【0041】
4.操作ステップ
1)「MGISEQ(登録商標)-2000RSハイスループットシーケンシング試薬キット取扱説明書」を参照して大腸菌ライブラリに対してDNAナノスフェアの調製を行い、3枚のシーケンシングスライドを準備し、DNAナノスフェアをMGISEQ(登録商標)-2000シーケンシング試薬スライド(715nm)にローディングし、次に、それぞれ本発明に紹介された3つの技術的手段に従って第2鎖read2と第1鎖read1テンプレートを形成する。
2)「MGISEQ(登録商標)-2000RSハイスループットシーケンシング試薬キット取扱説明書」を参照して3セットのシーケンシング試薬キットを準備する。
3)「MGISEQ(登録商標)-2000RSハイスループットシーケンシング試薬キット取扱説明書」に従って、シーケンシング試薬キット、チップをMGISEQ(登録商標)2000シーケンサーに置き、対応するスクリプトを選択し、SE1を設定し、シーケンシングを行い、この手段の実現可能性を証明するために、このシーケンシングで第2鎖read2シーケンシングプライマーのハイブリダイズを行い、read2の第1のサイクル(cycle1)のシーケンシングを行い、シーケンシングが完了した後、read2のシーケンシング鎖をブロッキングし、次に、第1鎖read1シーケンシングプライマーをハイブリダイズし、read1の第1のサイクル(cycle1)のシーケンシングを行う。
【0042】
5.結果
結果は、
図4~
図6に示すように、
図4は本発明の第1の手段のシーケンシング信号結果であり、
図5は本発明の第2の手段のシーケンシング信号結果であり、
図6は本発明の第3の手段のシーケンシング信号結果である。結果から分かるように、以上の3種の手段は実現可能であるが、第1の手段と第2の手段は第3の手段よりも優れた。具体的に、第1の手段のread2の信号はread1の略2倍であり、第2の手段のread2の信号はread1の略2.5倍であり、第3の手段のread2の信号はread1の略1.2倍である。
【0043】
以上で具体的な例を使用して本発明を説明したが、本発明を理解するのを助けるためにのみ使用され、本発明を限定することを意図するものではない。当業者にとって、本発明の構想によれば、いくつかの単純な推論、変形または置換を行うこともできる。