IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-エネルギー貯蔵システム 図1
  • 特許-エネルギー貯蔵システム 図2
  • 特許-エネルギー貯蔵システム 図3
  • 特許-エネルギー貯蔵システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/317 20210101AFI20240723BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240723BHJP
   H01M 10/60 20140101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M50/317 101
H01M50/317 201
H01M10/658
H01M10/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022552231
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-01
(86)【国際出願番号】 CN2022073236
(87)【国際公開番号】W WO2023137707
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】劉越
(72)【発明者】
【氏名】王増忠
(72)【発明者】
【氏名】鄭陳鈴
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-204193(JP,A)
【文献】特開2016-062757(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128909(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013203601(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012217383(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/30-50/397
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システムであって、
第1のケース(1)と、
前記第1のケース(1)の内部に設置され、第2のケース(21)と前記第2のケース(21)内に設置された電池(22)を含む電池コンテナ(2)と、
前記第1のケース(1)と前記第2のケース(21)との間に設置され、且つ内部空間が前記第1のケース(1)と前記第2のケース(21)との間の空間と流体分離される密閉部品(3)と、
前記第2のケース(21)に取り付けられ、開く時に前記第2のケース(21)の内部空間と前記密閉部品(3)の内部空間とを連通させる第1の防爆弁(4)と、
前記第1のケース(1)に取り付けられ、開く時に前記密閉部品(3)の内部空間と前記第1のケース(1)の外部空間とを連通させる第2の防爆弁(5)と、
前記第1のケース(1)の内壁に取付けられる第1の保温部品(9)と、
前記密閉部品(3)の外周に設置され、且つ前記第1の保温部品(9)と前記第2のケース(21)との間に位置する第2の保温部品(10)と
を含
前記密閉部品(3)は前記第1の保温部品(9)を貫通し、
前記第1の保温部品(9)の厚さが前記第1のケース(1)と前記第2のケース(21)との間の距離より小さい、
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記第2の防爆弁(5)は、前記密閉部品(3)の内部空間の圧力が前記第2の防爆弁(5)の開き圧力よりも大きい時に開くように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記第2の防爆弁(5)と前記第1の防爆弁(4)とを連動させるために、前記第1の防爆弁(4)と前記第2の防爆弁(5)との間に接続される接続部品(6)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記第1の防爆弁(4)は第1の弁本体(41)と第1の弁コア(42)とを含み、前記第1の防爆弁(4)が開き状態にある時、前記第2のケース(21)の内部空間と前記密閉部品(3)の内部空間とを連通するように、前記第1の弁コア(42)は前記第1弁本体(41)に対して移動し、
前記第2の防爆弁(5)は、第2の弁本体(51)と第2の弁コア(52)とを含み、前記第2の防爆弁(5)が開き状態にある時、前記密閉部品(3)の内部空間と前記第1のケース(1)の外部空間とを連通するように、前記第2の弁コア(52)は前記第2の弁本体(51)に対して移動し、
前記接続部品(6)は前記第1の弁コア(42)と前記第2の弁コア(52)との間に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記接続部品(6)は剛性ロッドを含む、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記第1の防爆弁(4)と前記第2のケース(21)との間に設置された第1のガスケット(7)と、前記第2の防爆弁(5)と前記第1のケース(1)との間に設置された第2のガスケット(8)と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記第2の保温部品(10)の硬度は前記第1の保温部品(9)の硬度よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記第1の保温部品(9)は岩綿を含み、及び/又は
前記第2の保温部品(10)は保温発泡綿を含む、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はエネルギー貯蔵技術分野に関し、特にエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー産業の急速な発展はエネルギー貯蔵業界の進歩を推進し、エネルギー貯蔵製品の絶えずの発展に伴い、エネルギー貯蔵技術は小容量研究から大容量応用へと発展し、エネルギー貯蔵コンテナ、移動エネルギー貯蔵車等の大型エネルギー貯蔵製品が相次いで登場した。
【0003】
エネルギー貯蔵製品の安全は、エネルギー貯蔵製品の性能に影響を与える重要な要素である。
【発明の概要】
【0004】
本願はエネルギー貯蔵システムを提供し、エネルギー貯蔵システムの安全性を効果的に向上させる。
【0005】
第1の態様では、本願は以下を含むエネルギー貯蔵システムを提供し、それは、
第1のケースと、
第1のケースの内部に設置され、第2のケースと第2のケース内に設置された電池を含む電池コンテナと、
第1のケースと第2のケースとの間に設置され、且つ内部空間が第1のケースと第2のケースとの間の空間から流体分離される密閉部品と、
第2のケースに取り付けられ、開く時に第2のケースの内部空間と密閉部品の内部空間とを連通させる第1の防爆弁と、
第1のケースに取り付けられ、開く時に密閉部品の内部空間と第1のケースの外部空間とを連通させる第2の防爆弁と、を含む。
【0006】
密閉部品を設置することにより、第1のケースと第2のケースとの間の流体密閉を実現することができ、第1のケースと第2のケースとの間の空間と密閉部品の内部空間とを流体分離することができ、電池の熱暴走が発生した時、第1の防爆弁を介して密閉部品の内部空間に入った流体が第1のケースと第2のケースとの間の空間に漏れず、第1のケースと第2のケースとの間の空間内の圧力の増大、ひいては、爆発を引き起こすことを防止することができ、エネルギー貯蔵システムの安全性を効果的に向上させる。
【0007】
いくつかの実施例において、第2の防爆弁は、密閉部品の内部空間の圧力が第2の防爆弁の開き圧力よりも大きい時に開くように構成される。当該実施例において、第1の防爆弁と第2の防爆弁との間に接続部品を設置しなくてもよく、第2の防爆弁の開きは密閉部品の内部空間の圧力の大きさに依存し、第1の防爆弁が開くと、電池内部のガスは第1の防爆弁を介して密閉部品の内部空間に入り、密閉部品の内部空間の圧力を増大させ、密閉部品の内部空間の圧力が第2の防爆弁の開き圧力に達するまで増大する時、第2の防爆弁が開く。
【0008】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは、第2の防爆弁と第1の防爆弁とを連動させるように、第1の防爆弁と第2の防爆弁との間に接続される接続部品をさらに含む。
【0009】
接続部品を設置することにより、第2の防爆弁と第1の防爆弁との連動を実現することができ、即ち、第1の防爆弁が開く時、第1の防爆弁は接続部品を介して第2の防爆弁を同時に開くように駆動し、密閉部品内のガスをタイムリーに排出する目的を実現し、密閉部品内にガスが蓄積して爆発が発生することを防止する。当該実施例の利点は、密閉部品が使用中に何らかの原因で流体漏れが発生したとしても、第2の防爆弁を第1の防爆弁の状態変化に伴って適時に開き、急速に圧力を解放することができることである。
【0010】
いくつかの実施例において、第1の防爆弁は第1の弁本体と第1の弁コアとを含み、第1の防爆弁が開き状態にある時、第2のケースの内部空間と密閉部品の内部空間とを連通するために、第1の弁コアは第1弁本体に対して移動し、第2の防爆弁は、第2の弁本体と第2の弁コアとを含み、第2の防爆弁が開き状態にある時、密閉部品の内部空間と第1のケースの外部空間とを連通するために、第2の弁コアは第2の弁本体に対して移動し、接続部品は第1の弁コアと第2の弁コアとの間に接続される。
【0011】
第1の防爆弁が開く時、第1の弁コアは第1の弁本体に対して第2の防爆弁に近接する方向に移動し、圧力解放口を開き、圧力解放口を介して密閉部品の内部空間にガスを排出できるようにさせる。第1の弁コアが第1の弁本体に対して移動する時、接続部品を介して第2の弁コアが第1の防爆弁から離れる方向に移動するように駆動され、それによって第2の防爆弁の圧力解放口を開き、密閉部品内部のガスを第1のケースの外に排出させ、圧力解放の目的を実現する。
【0012】
いくつかの実施例において、接続部品は剛性ロッドを含む。剛性ロッドを採用する利点は、第1の弁コア移動時に接続部品を介して第2の弁コアを直接駆動して同期移動を開始させることができ、連動遅れを防止することができることである。
【0013】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは、第1の防爆弁と第2のケースとの間に設置された第1のガスケットと、第2の防爆弁と第1のケースとの間に設置された第2のガスケットと、をさらに含む。
【0014】
第1のガスケットと第2のガスケットを設置することにより、第1の防爆弁と第2のケースとの間及び第2の防爆弁と第1のケースとの間の密閉効果を強化し、密閉部品の内部空間内のガス漏れを防止することができる。
【0015】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは第1の保温部品をさらに含み、第1の保温部品は第1のケースの内壁に取付けられ、密閉部品は第1の保温部品を貫通する。
【0016】
第1の保温部品を設置することにより、エネルギー貯蔵システムの保温機能を実現し、エネルギー貯蔵システムが外部環境の温度に与える影響を回避することができる。
【0017】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは第2の保温部品をさらに含み、第1の保温部品の厚さが第1のケースと第2のケースとの間の距離より小さく、第2の保温部品は密閉部品の外周に設置され、且つ第1の保温部品と第2のケースとの間に位置する。
【0018】
密閉部品が第1の保温部品を貫通するため、密閉部品には第1の保温部品による保温ができない。第2の保温部品を設置することにより、密閉部品と第2のケースとの間の部分を保温することができ、第1のケースが第2の防爆弁を設置することにより保温効果が低下することを回避する。
【0019】
いくつかの実施例において、第2の保温部品の硬度は第1の保温部品の硬度より小さい。このような設置は第1のケースと第2のケースとの間の実際の距離に応じて、第2の保温部品を適切に圧縮することができ、第1のケースと第2のケースとの間の空間を埋め尽くし、保温効果を実現することを保証する。
【0020】
いくつかの実施例において、第1保温部品は岩綿を含み、及び/又は、第2の保温部品は保温発泡綿を含む。
【0021】
上記説明は本願の技術案の概略にすぎず、本願の技術案をより明確に理解することができ、明細書の内容に従って実施することができ、本願の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確に分かりやすくするために、以下は特に本願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は本願の実施例に必要な図面に対して簡単に説明する。明らかに、以下の記述の図面はただ本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的労働を付しない前提でも、図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
図1】本願のいくつかの実施例に開示されたエネルギー貯蔵システムの第1の防爆弁と第2の防爆弁が閉状態にある構造図である。
図2】本願のいくつかの実施例に開示されたエネルギー貯蔵システムの第1の防爆弁と第2の防爆弁が開状態にある構造図である。
図3】本願の別のいくつかの実施例に開示されたエネルギー貯蔵システムの第1の防爆弁と第2の防爆弁が閉状態にある構造図である。
図4】本願の別のいくつかの実施例に開示されたエネルギー貯蔵システムの第1の防爆弁と第2の防爆弁が開状態にある構造図である。図面において、図面は実際の比例に従って描くことではない。
【符号の説明】
【0023】
1 第1のケース
2 電池コンテナ
21 第2のケース
22 電池
3 密閉部品
4 第1の防爆弁
41 第1の弁本体
42 第1の弁コア
5 第2の防爆弁
51 第2の弁本体
52 第2の弁コア
6 接続部品
7 第1のガスケット
8 第2のガスケット
9 第1の保温部品
10 第2の保温部品
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に組み合わせて本願の技術案の実施例について詳細に説明する。以下の実施例は、本願の技術案をより明確に説明するために過ぎず、一例のみとして使用され、それによって本願の保護範囲を限定することはできない。
【0025】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術と科学用語は、本願の当業者が通常に理解しているものと同じ意味である。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものであり、本願を限定することを意図しているものではない。本願の明細書と特許請求の範囲及び上述の図面の説明における用語「含む」と「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0026】
本願の実施例の説明では、技術用語「第1」、「第2」等は、異なるオブジェクトを区別するのみに使用され、相対的な重要性を指示し又は暗示し、又は指示された技術的特徴の数、特定の順序、又は主従関係を暗黙的に示すとは理解されない。また、用語「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容の範囲内である。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容の範囲内である。
【0027】
本明細書で言及される「実施例」は、実施例で説明される特定の特徴、構造又は特性に合わせて、本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所で当該フレーズが現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と排他的な、独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本明細書に記載された実施例が他の実施例に合わせられることができることを明示的又は暗黙的に理解している。
【0028】
本願の実施例の説明において、用語「及び/又は」は、関連オブジェクトを記述する関連関係にすぎず、例えば、A及び/又はBは、Aが単独に存在し、AとBが同時に存在し、Bが単独に存在する3つの関係が存在することを意味することができる。また、本明細書における文字「/」は一般的に、前後に関連するオブジェクトが「又は」の関係であることを示す。
【0029】
本願の実施例の説明において、用語「複数」は、特に特定の限定がない限り、2つ以上を指す。同様に、特に特定の限定がない限り、「複数組」は2組以上を指し、「複数シート」は2シート以上を指す。
【0030】
本願の実施例の説明において、技術用語「中心」、「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「縦」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等が指示された方向又は位置関係は、図に示した方向又は位置関係に基づいたものであり、単に、本願の実施形態を説明し、説明を簡略化することを便利にするためであり、指定された装置又は要素が特定の方向、特定の方向で構成され、操作しなければならないことを指示し又はは暗示することでなく、したがって、本願の実施例に対する制限と理解することはできない。
【0031】
本願の実施例の説明において、特に明確な規定と限定がない限り、技術用語「取付」、「連結」、「接続」、「固定」等の用語は広く理解されるべきであり、例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよく、機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの要素の内部の連通又は2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上記用語の本願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0032】
太陽エネルギー、風力エネルギー等の新エネルギーの普及と応用に伴い、エネルギー貯蔵技術も伴って発展している。動力電池はエネルギーが比較的に高く、耐用年数が長く、定格電圧が高く、高出力耐力、自己放電率が低く、軽量、グリーン環境保護及び生産が基本的に水を消費しない等の利点を有しているため、徐々に水力、火力、風力、太陽光発電所等のエネルギー貯蔵電源システムに応用されている。
【0033】
本願の発明者は、エネルギー貯蔵システムには複数の電池コンテナが設けられており、電池コンテナ内に電池が設けられ、電池に熱暴走が発生した場合、電池内部のガスは防爆弁を介して直接電池コンテナ内に排出され、可燃ガスは電池コンテナの爆燃と爆発事件を引き起こす可能性があることに注目した。
【0034】
エネルギー貯蔵システムの安全性を高め、エネルギー貯蔵システムが電池コンテナの熱暴走時の爆発を防止するために、発明者はエネルギー貯蔵システムの構造を改良した。
【0035】
図1図4に示すように、本願が提供するエネルギー貯蔵システムにかかるいくつかの実施例において、当該エネルギー貯蔵システムは、第1のケース1、電池コンテナ2、密閉部品3、第1の防爆弁4及び第2の防爆弁5を含み、電池コンテナ2は第1のケース1の内部に設置され、電池コンテナ2は第2のケース21と第2のケース21内に設置された電池22を含み、密閉部品3は第1のケース1と第2のケース21の間に設置され、且つ第1のケース1と第2のケース21の間の空間は密閉部品3の内部空間と流体分離され、第1の防爆弁4が開く時に第2のケース21の内部空間と密閉部品3の内部空間とを連通するために、第1の防爆弁4は第2のケース21に取付けられ、第2の防爆弁5が開く時に密閉部品3の内部空間と第1のケース1の外部空間とを連通するために、第2の防爆弁5は第1のケース1に取付けられる。
【0036】
密閉部品3を設置することにより、第1のケース1と第2のケース21との間の流体密閉を実現することができ、第1のケース1と第2のケース21との間の空間と密閉部品3の内部空間とを流体分離させ、電池22の熱暴走が発生した時、第1の防爆弁4を介して密閉部品3の内部空間に入った流体が第1のケース1と第2のケース21との間の空間に漏れず、第1のケース1と第2のケース21との間の空間内の圧力の増大、ひいては、爆発を引き起こすことを防止することができ、エネルギー貯蔵システムの安全性を効果的に向上させる。
【0037】
密閉部品3を介して電池22が熱暴走した時の指向性排煙通路が形成され、電池内部の圧力がタイムリーに解放される。
【0038】
第1の防爆弁4を介して密閉部品3の内部空間に入った流体は、第2の防爆弁5を圧迫し続け、第2の防爆弁5が開いた後に第1のケース1の外に流れ、電池22の圧力の解放を実現することができる。
【0039】
第1の防爆弁4と第2の防爆弁5の構造は同じであってもよく、異なってもよい。
【0040】
いくつかの実施例において、密閉部品3はスリーブ構造を採用することができ、密閉部品3の両端はそれぞれ第1のケース1と第2のケース21に接続され、第1の防爆弁4と第2の防爆弁5はそれぞれ密閉部品3の両端に位置している。密閉部品3と第1の防爆弁4及び第2の防爆弁5との間は、溶接又はボルト接続等の方法で接続することができる。
【0041】
いくつかの実施例において、第1のケース1と第2のケース2は硬質材料で製造される。第1のケース1と第2のケース21は、円筒体、直方体又は他の形状であってもよい。
【0042】
図1図2に示すように、いくつかの実施例において、第2の防爆弁5は、密閉部品3の内部空間の圧力が第2の防爆弁5の開き圧力よりも大きい時に開くように構成される。当該実施例において、第1の防爆弁4と第2の防爆弁5との間には接続部品を設置しなくてもよく、第2の防爆弁5の開きは密閉部品3の内部空間の圧力の大きさに依存し、第1の防爆弁4が開くと、電池22の内部のガスは第1の防爆弁4を介して密閉部品3の内部空間に入り、密閉部品3の内部空間の圧力を増大させ、密閉部品3の内部空間の圧力が第2の防爆弁5の開き圧力に達するまで増大する時、第2の防爆弁5が開く。
【0043】
図3図4に示すように、いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは接続部品6をさらに含み、接続部品6は第1の防爆弁4と第2の防爆弁5との間に接続され、第2の防爆弁5と第1の防爆弁4とを連動させる。接続部品6を設置することにより、第2の防爆弁5と第1の防爆弁4との連動を実現することができ、即ち、第1の防爆弁4が開く時、第1の防爆弁4は接続部品6を介して第2の防爆弁5を同時に開くように駆動し、密閉部品3内のガスをタイムリーに排出する目的を実現し、密閉部品3内にガスが蓄積して爆発が発生することを防止する。当該実施例の利点は、密閉部品3が使用中に何らかの原因で流体漏れが発生したとしても、第2の防爆弁5を第1の防爆弁4の状態変化に伴って適時に開き、急速に圧力を解放することができることである。
【0044】
いくつかの実施例において、第1の防爆弁4は第1の弁本体41と第1の弁コア42とを含み、第1の防爆弁4が開き状態にある時、第2のケース21の内部空間と密閉部品3の内部空間とを連通するように、第1の弁コア42は第1弁本体41に対して移動する。第2の防爆弁5は、第2の弁本体51と第2の弁コア52とを含み、第2の防爆弁5が開き状態にある時、密閉部品3の内部空間と第1のケース1の外部空間とを連通するように、第2の弁コア52は第2の弁本体51に対して移動する。接続部品6は第1の弁コア42と第2の弁コア52との間に接続される。
【0045】
第1の防爆弁4が開く時、第1の弁コア42は第1の弁本体41に対して第2の防爆弁5に近接する方向に移動し、圧力解放口を開き、圧力解放口を介して密閉部品3の内部空間にガスを排出できるようにさせる。第1の弁コア42が第1の弁本体41に対して移動する時、接続部品6を介して第2の弁コア52が第1の防爆弁から離れる方向に移動するように駆動され、それによって第2の防爆弁5の圧力解放口を開き、密閉部品3内部のガスを第1のケース1の外に排出させ、圧力解放の目的を実現する。
【0046】
いくつかの実施例において、接続部品6は剛性ロッドを含む。剛性ロッドを採用する利点は、第1の弁コア42移動時に接続部品6を介して第2の弁コア52を直接駆動して同期移動を開始させることができ、連動遅れを防止することができることである。
【0047】
例えば、接続部品6は円筒状のロッドであってもよい。
【0048】
いくつかの実施例において、接続部品6の中心には、第1の弁コア42と第2の弁コア52との接続を容易にし、接続部品6の総重量を軽減することもできる貫通孔が設けられている。
【0049】
上記各実施例において、第1の防爆弁4と第2の防爆弁5は一方向防爆弁又は平衡防爆弁を用いることができる。
【0050】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは、第1の防爆弁4と第2のケース21との間に設置された第1のガスケット7と、第2の防爆弁5と第1のケース1との間に設置された第2のガスケット8と、をさらに含む。
【0051】
第1のガスケット7と第2のガスケット8を設置することにより、第1の防爆弁4と第2のケース21との間及び第2の防爆弁5と第1のケース1との間の密閉効果を強化し、密閉部品3の内部空間内のガス漏れを防止することができる。
【0052】
第1のガスケット7と第2のガスケット8の構造は同じであってもよく、異なってもよい。
【0053】
図1図4に示した実施例において、第1のガスケット7はO形ゴムリングを含み、第1の弁本体41の第2のケース21に近接する側面には凹溝が設けられ、O形ゴムリングは当該凹溝に設置されている。第1の弁本体41の第2のケース21に近接する側面は第2のケース21の外壁に接触する。
【0054】
第2のガスケット8はゴムリングを含み、且つ当該ゴムリングは第1のケース1から第2のケース21に向ける方向に沿って外径が漸増する部分を含む。第1のケース1には取付孔が設けられ、組立て時、当該ゴムリングが第1のケース1の外部に落下することを防止するために、当該ゴムリングは第1のケース1の内部から外へ向けて第1のケース1の取付孔に取り付けることができる。当該ゴムリングは、第1のケース1と第2のケース21との間の空間内のガスが第2の防爆弁5の取付隙間を介して漏れることを防止するために、第2の防爆弁5の外周に外嵌的に装着されている。
【0055】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは第1の保温部品9をさらに含み、第1の保温部品9は第1のケース1の内壁に取付けられ、密閉部品3は第1の保温部品9を貫通する。
【0056】
第1の保温部品9を設置することにより、エネルギー貯蔵システムの保温機能を実現し、エネルギー貯蔵システムが外部環境の温度に与える影響を回避することができる。
【0057】
いくつかの実施例において、第1の保温部品9は、第1のケース1の内部空間を全体的且つ全面的に保温するために、第1のケース1の内壁全体を覆う。
【0058】
いくつかの実施例において、第1の保温部品9は岩綿を含む。岩綿の構造は固定しやすく、良い保温効果を有する。
【0059】
第1の保温部品9はボルト等の接続部品を介して第1のケース1の内壁に取付けることができる。
【0060】
いくつかの実施例において、エネルギー貯蔵システムは第2の保温部品10をさらに含み、第1の保温部品9の厚さが第1のケース1と第2のケース21との間の距離より小さく、第2の保温部品10は密閉部品3の外周に設置され、且つ第1の保温部品9と第2のケース21との間に位置する。
【0061】
密閉部品3が第1の保温部品9を貫通するため、密閉部品3には第1の保温部品9による保温ができない。第2の保温部品10を設置することにより、密閉部品3と第2のケース21との間の部分を保温することができ、第1のケース1が第2の防爆弁5を設置することにより保温効果が低下することを回避する。
【0062】
いくつかの実施例において、第2の保温部品10の硬度は第1の保温部品9の硬度より小さい。このような設置は第1のケース1と第2のケース21との間の実際の距離に応じて、第2の保温部品10を適切に圧縮することができ、第1のケース1と第2のケース21との間の空間を埋め尽くし、保温効果を実現することを保証する。
【0063】
いくつかの実施例において、第2の保温部品10は保温発泡綿を含む。保温発泡綿の硬度は岩綿に対して少し小さく、一定の圧縮性を有し、隙間の大きさが確定ではない空間を充填するのに適している。
【0064】
本願により提供されるエネルギー貯蔵システムは、エネルギー貯蔵コンテナ又は移動エネルギー貯蔵車等であってもよい。
【0065】
以下は図1図4を組み合わせて、本願により提供されるエネルギー貯蔵システムのいくつかの実施例における構造を説明する。
【0066】
図1図2に示すように、エネルギー貯蔵システムは、第1のケース1、電池コンテナ2、密閉部品3、第1の防爆弁4、第2の防爆弁5、第1のガスケット7、第2のガスケット8、第1の保温部品9及び第2の保温部品10を含む。
【0067】
第1のケース1の内部には複数の電池コンテナ2が設けられ、電気コンテナと電池コンテナ2を冷却するための水冷コンテナ等がさらに設けられている。
【0068】
電池コンテナ2は、第2のケース21と第2のケース21の内部に設置された電池22含む。第1の防爆弁4は第2のケース21に取付けられ、第2の防爆弁5は第1のケース1に取付けられ、密閉部品3は第1のケース1と第2のケース21との間に位置し、且つ第1の防爆弁4と第2の防爆弁5との間に接続される。
【0069】
第1のガスケット7は第1の防爆弁4と第2のケース21との間に設置され、第2のガスケット8は第2の防爆弁5と第1のケース1との間に設置される。第1の保温部品9は第1のケース1の内壁に取付けられ、第2の保温部品10は密閉部品3の外周に設置され、且つ第1の保温部品9と第2のケース21との間に位置している。
【0070】
本実施例におけるエネルギー貯蔵システムは、電池22の熱暴走が発生した時、第1の防爆弁4と第2の防爆弁5を介してガスを第1のケース1の外部に直接排出し、可燃ガスの堆積を回避し、可燃ガスによる爆燃と爆発を防止することができ、さらに保温機能を有し、保温が必要な応用シーンに適応することができる。
【0071】
当該実施例において、密閉部品3の内部空間に空気が収納されており、第1の防爆弁4が開く時、電池内部のガスが密閉部品3内に入り込み、密閉部品3内の圧力が上昇し続け、第2の防爆弁5が開く圧力に達する時、第2の防爆弁5が開き、電池内部のガスが第1のケース1の外部に直接排出され、圧力の解放を実現する。
【0072】
図3図4に示した実施例において、図1図2に示した実施例に対して接続部品6が追加され、接続部品6は第1の防爆弁4の第1弁コア42と第2の防爆弁5の第2弁コア52との間に接続され、第1の防爆弁4に圧力が受けられて開けられる時、接続部品6を介してその変位が第2の防爆弁5に伝達され、第2の防爆弁5の第2の弁コア52が力を受けて開けられ、それによって連動開けと圧力解放の目的を達成する。
【0073】
同様に、本実施例におけるエネルギー貯蔵システムも、電池22の熱暴走が発生した時、第1の防爆弁4と第2の防爆弁5を介してガスを第1のケース1の外部に直接排出し、可燃ガスの堆積を回避し、可燃ガスによる爆燃と爆発を防止することができ、さらに保温機能を有し、保温が必要な応用シーンに適応することができる。
【0074】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱しない状況において、様々な改良を行うことができ、その中の部品を等価物で置き換えることができる。特に、構造の衝突がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴は何れも任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
図1
図2
図3
図4