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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/21 20180101AFI20240723BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240723BHJP
   C09J 107/00 20060101ALI20240723BHJP
   C09J 121/00 20060101ALI20240723BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20240723BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20240723BHJP
   D03D 15/40 20210101ALI20240723BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240723BHJP
   C09J 7/29 20180101ALI20240723BHJP
【FI】
C09J7/21
C09J7/38
C09J107/00
C09J121/00
B32B27/12
D03D15/283
D03D15/40
B32B27/00 M
C09J7/29
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022555431
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 JP2021036322
(87)【国際公開番号】W WO2022075201
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2020169242
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021032975
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145079
【氏名又は名称】株式会社寺岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】浅井 雄志
(72)【発明者】
【氏名】細野 駿
(72)【発明者】
【氏名】小川 晋二
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】堀内 吉史
(72)【発明者】
【氏名】ロフマディ アンディ
(72)【発明者】
【氏名】マヘシャ アラン ソレンティ
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-021950(JP,A)
【文献】特開2014-139299(JP,A)
【文献】特開2005-126522(JP,A)
【文献】特開2012-097155(JP,A)
【文献】特開平11-279876(JP,A)
【文献】特開2015-203032(JP,A)
【文献】特開2012-097373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布と、
前記基布の一方の面に配置されるラミネート層と、
前記基布の他方の面に配置される粘着剤層と、
を含む粘着テープであって、
前記基布は、経糸および緯糸により構成される織布または編布であり、
前記ラミネート層は、ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂により構成され、
前記粘着剤層は、天然ゴム、合成ゴム又は天然ゴムと合成ゴムの混合物を主成分とするゴム系粘着剤により構成され、
前記経糸は、ポリエステル製ウーリー加工糸であ
前記緯糸は、ポリエチレン製仮撚糸またはポリエチレン製フラットヤーンである、
粘着テープ。
【請求項2】
前記緯糸がポリエチレン製仮撚糸である、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記緯糸が、ポリエチレン製フラットヤーンである、請求項1に記載の粘着テープ。
【請求項4】
経糸および緯糸により構成される基布と、
前記基布の一方の面に配置されるラミネート層と、
前記基布の他方の面に配置される粘着剤層と、
を含む粘着テープであって、
前記粘着剤層は、天然ゴム、合成ゴム又は天然ゴムと合成ゴムの混合物を主成分とするゴム系粘着剤により構成され、
前記ラミネート層は、前記基布側から第一ラミネート層と第二ラミネート層を有し、
前記第一ラミネート層は、低密度ポリエチレンと、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はエチレン-アクリル酸エチル共重合体を含み、
前記第二ラミネート層は、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンを含む
粘着テープ。
【請求項5】
前記第一ラミネート層において、前記低密度ポリエチレンの量Aが60~95質量部であり、前記エチレン-酢酸ビニル共重合体又はエチレン-アクリル酸エチル共重合体の量Bが5~40質量部(ただし量Aと量Bの合計は100質量部)である、請求項に記載の粘着テープ。
【請求項6】
前記第二ラミネート層において、前記高密度ポリエチレンの量Cが55~90質量部であり、前記低密度ポリエチレンの量Dが10~45質量部(ただし量Cと量Dの合計は100質量部)である、請求項又はに記載の粘着テープ。
【請求項7】
前記第一ラミネート層の樹脂量が10g/m以上、35g/m以下であり、前記ラミネート層の総樹脂量が30g/m以上である、請求項のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【請求項8】
前記第二ラミネート層の樹脂量が10g/m以上、35g/m以下であり、前記ラミネート層の総樹脂量が30g/m以上である、請求項~7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包、養生等の用途に好適に使用される粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
農業、土木、建築、運搬などの広い分野における資材の固定用、結束用、或いは塗装マスキング用として、粘着テープが広く使われている。また、そのような粘着テープには、多様な対象に貼り付けが可能な粘着性や適度な基材強度、作業上の利便性を向上させるための手による切断の容易さ(手切性)や、剥離性を備えることが求められている。
【0003】
このような手切性を改良した粘着テープとして特許文献1には、マルチフィラメントを独立編みしたタテ糸に熱可塑性樹脂を主材とするフラットヤーンをヨコ糸として挿入して形成した基布を用い、その表裏面に熱可塑性樹脂がラミネートされ、その片面又は両面に感圧性粘着剤が塗布されている粘着テープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-294189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
粘着テープは、上記のような基布の表面を熱可塑性樹脂のラミネート層で覆い、下塗り剤層を介して粘着剤層が形成される構造が一般的であり、この構造の粘着テープを巻回して製品としている。
【0006】
ここで、粘着テープを被貼着体に貼り付け、引き剥がしを行う際に、粘着剤が被貼着体に残ったり(以下、この現象を「粘着剤残り」ともいう。)、巻回した粘着テープからラミネート層が剥がれたりすることがある(以下、基布からラミネート層が剥がれる現象を「ラミ剥がれ」ともいう。)。
【0007】
従来の粘着テープは、粘着テープのロールを巻き戻した際に生じる反り(カール)や、粘着テープを巻き戻した後、張力を緩めた際に生じる幅方向の反り(カッピング)を抑制したり、ラミ剥がれを抑制したりするために、基布の両面にラミネート層を形成して基布とラミネート層とを一体化している。又、粘着剤残りを防止するために、基布と粘着剤層との間にラミネート層を配置し、且つ、該ラミネート層の表面に下塗剤を塗布している。これらは、粘着テープの生産工程の複雑化や、ラミネート層を多層化する等、粘着テープの製造コストが増大する要因となっている。
【0008】
又、ラミネート層の多層化は粘着テープの厚みの増大につながることから、粘着テープを巻回した際、巻径が増加し、巻回体の重量が増加して輸送コストが増大するという問題も発生する。
【0009】
ここで、材料コストや製造コストなどを低減させるためにラミネート層を単層化したり、ラミネート層の樹脂量や粘着剤量を少なくしたりすると、基布とラミネート層や、基布と粘着剤層との接合力が低下し、粘着剤残りやラミ剥がれが生じやすくなってしまう。
【0010】
又、梱包用や養生用の粘着テープには、梱包作業や養生作業を効率的に行うため、ハサミやカッター等の切断具を使用せずに粘着テープを手で容易に切断することができる性質が求められる(以下、粘着テープを切断具を使用せずに切断する操作を「手切り」もしくは「手切れ」といい、これに基づく性能を「手切性」という)。
【0011】
従来の粘着テープでは、基布の経糸に仮撚加工が施されたマルチフィラメント糸(以下、「仮撚糸」ともいう。)が用いられているため、粘着テープの長さ方向の強度は向上するが、手切性が悪化し、手切りの際に強い力を要したり、切断面に十分に切断されたかった経糸があらわれて毛羽立ちが生じたりするという不具合も発生する。
【0012】
又、仮撚糸は、糸直径が大きいため、基布を構成する糸が粘着テープのラミネート層表面や粘着剤表面にあらわれないようにするためには、該糸を包埋する量のラミネート樹脂や粘着剤を用いて該糸を樹脂内等に包埋する必要があり、粘着テープの材料コストが増加する要因となる。
【0013】
一方、基布とラミネート層との接合力が低下すると、基布を構成する経糸と緯糸の交点の固定力も低下するため、手切りの際に切断の直進性が損なわれたり、ラミネート層が基布から剥離したりして、手切性が損なわれるという問題が生じる。
【0014】
さらに、粘着テープには、貼り付けや引き剥がしを行う際に一定のコシ(Stiffness)やハリ(Anti-drate stiffness)が求められるが、製造コストを低減するために粘着テープの層数を少なくしたり、ラミネート層を薄くしたりすると、粘着テープのコシやハリが無くなってしまい、粘着テープの取扱性が低下するという問題が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの課題を解決するため、本発明では、以下の態様の粘着テープを提供するものである。
(A)基布と、基布の一方の面に配置されるラミネート層と、基布の他方の面に配置される粘着剤層と、を含む粘着テープであって、粘着テープの基布は、経糸および緯糸により構成される織布または編布であり、ラミネート層は、ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂により構成され、粘着剤層は、天然ゴムまたは合成ゴムを主成分とするゴム系粘着剤により構成され、経糸は、ポリエステル製ウーリー加工糸である粘着テープ。
(B)基布と、基布の一方の面に配置されるラミネート層と、基布の他方の面に配置される粘着剤層と、を含む粘着テープであって、基布は、経糸および緯糸により構成される織布または編布であり、粘着剤層は、天然ゴム、合成ゴム又は天然ゴムと合成ゴムの混合物を主成分とするゴム系粘着剤により構成され、ラミネート層は、低密度ポリエチレンと、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はエチレン-アクリル酸エチル共重合体を含む第一ラミネート層と、低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンを含む第二ラミネート層と、を有し、第一ラミネート層は基布側に配置され、第二ラミネート層は背面側に配置される粘着テープ。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る粘着テープは、ポリエステル製ウーリー加工糸を経糸とした基布を用い、ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂で構成されるラミネート層及びゴム系粘着剤で構成される粘着剤層と組み合わせることにより、総厚が薄く、ラミ剥がれや粘着剤残りが抑制され、手切性に優れており、製造の容易さや材料使用量の低減によるコスト低減が可能である。
【0017】
又、本発明の別の態様に係る粘着テープは、第一ラミネート層を、低密度ポリエチレンと、エチレン-酢酸ビニル共重合体又はエチレン-アクリル酸エチル共重合体との混合物とすることにより、基布とラミネート層との接合力を向上させてラミ剥がれを抑制することができる。又、ラミネート層が基布と強く接合することにより、基布の経糸と緯糸の交点が強く接合し、粘着テープの手切性が向上する。
【0018】
本発明の一態様に係る粘着テープは、溶融温度の低い低密度ポリエチレンを主成分とする樹脂からなる第一ラミネート層を基布側に積層することにより、ラミネート層が基布の繊維間に浸透し、ラミネート層と基布との接合力を向上させることができる。
【0019】
本発明の一態様に係る粘着テープは、第一ラミネート層を構成する低密度ポリエチレンにエチレン-酢酸ビニル共重合体又はエチレン-アクリル酸エチル共重合体を添加することにより、第一ラミネート層の熱間接着力(ホットタック性)が向上し、ラミネート層と基布との接合力をさらに向上させることができる。
【0020】
基布にポリエチレンをラミネート加工する場合、溶融温度が低く延展性の高い低密度ポリエチレンを用いることが、生産性の面で有利である。しかし、粘着テープには一定のコシ・ハリが求められ、ラミネート層を低密度ポリエチレンのみで構成する場合や、第一ラミネート層と同様の混合樹脂を用いた場合には、該コシ・ハリが得られない。そこで本発明では、第二ラミネート層に高密度ポリエチレンを加えることで、粘着テープにコシ・ハリを持たせている。
【0021】
尚、高密度ポリエチレンのみでは溶融温度が高く、第一ラミネート層との接合力が低下する。そのため、本発明の粘着テープは、低密度ポリエチレンを主成分として、エチレン-酢酸ビニル共重合体やエチレン-アクリル酸エチル共重合体を添加した第一ラミネート層と、高密度ポリエチレンを主成分として低密度ポリエチレンを添加した第二ラミネート層を積層することにより、ラミネート層と基布との接合力を向上させ、且つ、粘着テープにコシ・ハリを持たせている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】仮撚糸とウーリー加工糸を比較する概念図である。
図2】基布にラミネート層および粘着剤層を形成した際の概念図である。
図3】本発明の一実施形態に係る粘着テープの断面をあらわす概略図である。
図4】本発明の別の実施形態に係る粘着テープの断面をあらわす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<基布>
本発明の粘着テープに用いる基布には、長繊維の経糸および緯糸により構成される織布もしくは編布を用いることができる。織布の織組織は、平織、綾織、朱子織などから切断方向や強度など目的とする諸特性に応じて選択することができる。又、本発明の粘着テープに用いられる編布は経糸および緯糸の一方で連続したループを形成し、他方をこのループに挿通した組織を有する布である。経糸・緯糸のいずれにループを形成するかは、目的とする粘着テープの手切りによる切断方向に基づき決定すればよく、ループを形成する糸と垂直な方向を手切りの方向とすればよい。尚、以下で説明する経糸は、その伸長方向が粘着テープの長さ方向と略平行に配置される糸であり、緯糸は、伸長方向が粘着テープの長さ方向と略垂直に配置される糸をいう。
【0024】
(経糸)
織布や編布の経糸の材質には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステルが用いられ、これらの中でも特に汎用性のあるPETが好ましい。経糸に用いるポリエステル製繊維は、ラミネート層を構成するポリエチレン樹脂よりも融点が高いため、基布にラミネート加工を行う際の糸の溶融や収縮などを防ぐことができる。又、ポリエステル繊維は、ポリプロピレン(PP)やナイロン(Ny)など他の合成繊維と比較して糸の伸度が低いため、粘着テープを幅方向に手切りする際、経糸の伸びを抑えて切断面の毛羽立ちやほつれを抑えることができる。
【0025】
経糸には、通常の仮撚糸やウーリー加工糸を用いることができる。ウーリー加工糸とは、熱可塑性の長繊維で構成されるフィラメント糸に撚りをかけて熱セットした後、解撚したものであり、仮撚糸と比較して各単糸が捲縮性を有するため、単糸同士の接触が少ない。そのため、手切り時に単糸間の摩擦抵抗が加わらず、弱い力で粘着テープの手切りを行う事ができる。本発明の一態様ではポリエステル製ウーリー加工糸を基布の経糸として用いる。
【0026】
(緯糸)
粘着テープの基布に用いる緯糸には、ラミネート層及び粘着剤層の形成に影響しない範囲であれば特に制限はなく、粘着テープの基布に一般的に使用される繊維を用いることができる。ポリエステル製ウーリー加工糸を用いてもよい。これにより、経糸のみをウーリー加工糸とした場合よりもさらに基布の単糸とラミネート層および粘着剤層との接合面積を増やすことができ、粘着剤残りやラミ剥がれを抑制することができる。又、経糸のみをウーリー加工糸とした場合よりさらに基布の厚みを薄くすることができ、基布を包埋するためのラミネート樹脂や粘着剤の量を削減することができる。更に、粘着テープの縦方向にも手切れ性が求められる場合に、緯糸の切断強度が低下するため手切性が向上する。
【0027】
粘着テープの基布に用いる緯糸には、ポリエチレン製仮撚糸を用いてもよい。緯糸をラミネート層と同材質とすることにより、ラミネート層と基布の接合力が増加し、よりラミ剥がれを抑制することができる。
【0028】
粘着テープの基布に用いる緯糸には、ポリエチレン製フラットヤーンを用いてもよい。緯糸をラミネート層と同材質とすることにより、ラミネート層と基布の接合力が増加し、よりラミ剥がれを抑制することができる。又、緯糸をフラットヤーンとすることにより、ラミネート層および粘着剤層と基布との接合面積が増加し、ラミ剥がれや粘着剤残りをより抑制することができる。
【0029】
経糸に従来の仮撚糸と、本発明で使用するウーリー加工糸を使用する場合の違いについて図1に示す繊維方向の断面の概念図を用いて説明する。
図1(a)に示すように、仮撚糸2は仮撚加工により単糸1が密集して1本の糸を形成していることから、仮撚糸2の厚さであるa寸法が大きい。これに対しウーリー加工糸3は、解撚されているため、後述する基布へのラミネート層の形成や粘着剤層の形成を行う際に、図1(b)に示すように糸が扁平となり、ウーリー加工糸3の厚さa’寸法はa寸法よりも小さくなる。
【0030】
粘着剤の表面に基布の経糸や緯糸が露出すると、粘着テープの粘着面における粘着剤の面積が減少することから、粘着テープの粘着力が低下する。又、ラミネート層の表面に基布の経糸や緯糸があらわれると、ラミネート層の表面に凹凸が生じ、粘着テープを被着体に貼り付けた際の外観不良や、該凹凸部に汚れが付着するなどの不具合が生じる。更に、粘着剤やラミネート層の表面に基布の経糸や緯糸が露出すると、粘着テープの保管時や使用時の雰囲気条件により露出した糸が吸水・吸湿した場合、水分がラミネート層と基布の間もしくは粘着剤層と基布との間に侵入し、ラミネート層や粘着剤層と基布との接合力が低下する。
【0031】
これらの不具合を防止するため、基布をラミネート層および粘着剤層で包埋し、基布がラミネート層および粘着剤層の表面に現れないようにする必要がある。その場合に、ウーリー加工糸は該包埋に用いる樹脂量や粘着剤量が仮撚糸に比べて少なく、図2(b)に示すウーリー加工糸3を用いた場合のラミネート層4の厚みb’と粘着剤層5の厚みc’の合計は、図2(a)に示す仮撚糸2を用いた場合のラミネート層4の厚みbと粘着剤層5の厚みcの合計よりも小さくなる。したがって、ラミネート層4の形成に必要な樹脂量や粘着剤層5の形成に必要な粘着剤量が少なくなり、仮撚糸を使用した場合と比較して材料コストを抑えることができる。
【0032】
更に、経糸にウーリー加工糸を用いることによる手切性の向上に加え、ラミネート層および粘着剤層を薄層化することにより、ラミネート層や粘着剤層を切断する際の切断強度も低下させることができ、より手切性が向上する。
【0033】
緯糸には、仮撚糸やウーリー加工糸、フラットヤーンなどを粘着テープに求められる性能に応じて選択することができる。
【0034】
仮撚糸を緯糸に用いる場合、ウーリー加工糸である経糸との強度差が大きくなるため、粘着テープを長さ方向に手切りするよりも幅方向に手切りする方が容易となり、粘着テープを幅方向に手切りする際の直進性が向上する。
【0035】
ウーリー加工糸を緯糸に用いる場合、経糸のみにウーリー加工糸を用いた場合と比較して更に基布の厚みが薄くなり、ラミネート層に用いる樹脂や粘着剤の量をさらに減少させて粘着テープを薄くすることができる。又、粘着テープの長さ方向にも手切性が求められる場合、緯糸にウーリー加工糸を用いることで、長さ方向の破断強度が低下して手切性が向上する。
【0036】
更に、緯糸にウーリー加工糸を用いることで、基布とラミネート層および粘着剤層との接合面積が増加し、粘着剤残りやラミ剥がれを効果的に抑制する効果も得られる。
【0037】
フラットヤーンを緯糸に用いる場合、ウーリー加工糸との破断強度差が大きくなり、幅方向に手切りする際の直進性が向上する。又、フラットヤーンを用いることで、緯糸とラミネート層および粘着剤層との接合面積が増加し、粘着剤残りやラミ剥がれを効果的に抑制する効果も得られる。
【0038】
緯糸の材質は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、6ナイロンや6,6ナイロン等のポリアミド、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、綿や麻等の植物繊維等を用いることができる。又、これらの材質の繊維を混紡した繊維を用いてもよい。
【0039】
これらの材質の内、ラミネート層と同様のポリエチレンを用いると、基布とラミネート層との接合力が上昇し、ラミ剥がれをより抑制することができる。又、ポリエチレン繊維を用いることで、粘着テープの長さ方向の手切性を向上させるたり、ラミネート加工時の加工安定性を向上させることができる。
【0040】
経糸の繊度は、15デニール以上、80デニール以下であることが好ましく、20デニール以上、70デニール以下であることがさらに好ましい。経糸の繊度が15デニール以上であれば、糸強度が低くなりすぎることがなく、基布の織加工が容易となる。又、経糸の繊度が70デニール以下である場合、粘着テープの手切性が低下することがない。
【0041】
経糸を構成する単糸の繊度は、0.3デニール以上、4デニール以下が好ましく、さらに好ましくは0.5デニール以上、2デニール以下である。単糸の繊度が0.3デニール以上であるポリエステル繊維は、ウーリー加工糸とした際にも破断強度が十分に得られ、基布にラミネート加工を行う際の加工性の低下が抑制できる。又、単糸の繊度が4デニール以下であることで、切断に要する力が増加することがなく、手切性が良い。
【0042】
経糸の密度は、1インチ当たり20本以上、180本以下であることが好ましく、50本以上、150本以下であることがさらに好ましい。20本以上の場合、経糸密度が低くなりすぎることがなく、基布の長さ方向の強度が低下せず、基布にラミネート層を形成する際の加工が容易となる。又、経糸の密度が180本以下であれば、経糸の本数が多くなりすぎて手切りの際に力を要することもなく、製造コストの上昇も抑制できる。
【0043】
緯糸に用いる繊維の繊度は、仮撚糸やウーリー加工糸を用いる場合、30デニール以上、250デニール以下であることが好ましく、50デニール以上、200デニール以下であることがさらに好ましい。緯糸の繊度が30デニール以上である場合、粘着テープが薄くなり過ぎることが防止でき、粘着テープの取扱性が低下することを抑制できる。250デニール以下の場合、粘着剤層の表面に凹凸が生じて粘着性能が低下することを抑制し、又、この凹凸を包埋する樹脂を際には粘着剤量や樹脂量が増加して製造コストが上昇するも抑制できる。緯糸にフラットヤーンを用いる場合、50デニール以上、500デニール以下の繊度であることが好ましい。50デニール以上の場合、フラットヤーンが薄くなり過ぎることがなく、ラミネート加工時における糸の熱劣化を抑制でき、又、500デニール以下の場合フラットヤーンが厚くなり過ぎることがなく、ラミネート層や粘着剤層に用いる樹脂や粘着剤の量の増加を抑制して粘着テープのコストが増加することを防止できる。
【0044】
緯糸の密度は、仮撚糸やウーリー加工糸を用いる場合、1インチ当たり10本以上、100本以下であることが好ましく、15本以上、70本以下であることがさらに好ましい。10本以上の場合、緯糸密度の低下が抑制でき、基布の幅方向の強度を維持でき、基布にラミネート層を形成する際の加工が容易であり、又、手切りの際に切断面の直進性が損なわれることがない。緯糸密度が100本以下の場合、緯糸の本数が粘着テープを長さ方向に手切りする際に要する力が過剰となることがなく、製造コストも抑制できる。緯糸にフラットヤーンを用いる場合、1インチ当たり5本以上、30本以下であることが好ましく、8本以上、25本以下であることが更に好ましい。5本以上の場合、緯糸密度の低下が抑制でき、基布の幅方向の強度を維持でき、基布にラミネート層を形成する際の加工が容易となる、又、手切りの際に切断面の直進性が損なわれることがない。30本以下の場合、緯糸の本数が粘着テープを長さ方向に手切りする際に要する力が過剰となることがなく、製造コストも抑制できる。
【0045】
ラミネート層や粘着剤層との接合力を上げるため、基布のこれらの形成面には物理的もしくは化学的なアンカー処理を行ってもよい。物理的処理としては、コロナ処理、UV処理、スパッタリング処理等が挙げられ、化学的処理としては、有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系などから選択した樹脂を塗布する処理が挙げられる。
【0046】
<ラミネート層>
本発明の粘着テープにおけるラミネート層は、ポリエチレンを含む熱可塑性樹脂により構成される。
ポリエチレンは融点が100~150℃であって、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート、ナイロンなど他の汎用的な熱可塑性樹脂と比較して低い。そのため、基布にラミネート層を形成する際の樹脂の溶融温度が低く、製造コストを抑えることができる。
【0047】
ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等を用いることができ、これらの複数種類を混合して使用することもできる。低密度ポリエチレンを選択することにより基布との接着性を向上させることができ、高密度ポリエチレンを選択することによりラミネート層に一定の硬さを付与して粘着テープの取扱性を向上させることができるなど、樹脂構成の選択により粘着テープに求められる諸特性を発現させることが可能である。
本発明において、低密度ポリエチレンとは密度0.911g/cmを超え、0.925g/cm以下のポリエチレンであり、高密度ポリエチレンは密度が0.940g/cmを超えるポリエチレンを意味する。なお、密度0.925g/cmを超え、0.940g/cm以下の中密度ポリエチレンを高密度ポリエチレンの一部として使用することもできる。
【0048】
ラミネート層に用いるポリエチレン樹脂に、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)やエチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)等を添加して、基布との接合性をさらに向上させることができる。
【0049】
具体的には、本発明の一態様に係る粘着テープのラミネート層は、LDPEを主成分とし、これにEVA又はEEAを添加した混合物を基布側に配置した第一ラミネート層と、HDPEを主成分とし、これにLDPEを添加した混合物を第一ラミネート層に積層した第二ラミネート層から構成される。この構成により、基布とラミネート層との接合力を向上させ、且つ、貼り付けや引き剥がしを行う際に必要なコシ・ハリを粘着テープに持たせることができる。
【0050】
第一ラミネート層におけるLDPEの量Aは、好ましくは60~95質量部であり、より好ましくは70~90質量部である。また、EVA又はEEAの量Bは好ましくは5~40質量部であり、より好ましくは10~30質量部である。なお、量Aと量Bの合計は100質量部である。量Bが5質量部以上であれば、粘着テープに必要なラミネート層と基布との十分な接合力が得られる。又、量Bを増加させることにより基布と第一ラミネート層との接合力は向上するが、EVAやEEAはLDPEと比較して一般に単価が高く、量Bの増加に伴い製造コストも増加する。量Bが40質量部以下では、製造コストの増加を抑制し、粘着テープに必要なラミネート層と基布との接合力が得られる混合比とすることができる。
【0051】
第一ラミネート層の樹脂量は、粘着テープに要求される基布との接合力を確保できる量であればよく、5g/m以上、好ましくは10g/m以上、より好ましくは20g/m以上とすることができる。樹脂量の上限は粘着テープに求められる機能に応じて決定すればよい。なお、樹脂量が少なくなると、第一ラミネート層の熱容量が小さく、基布との接触により樹脂温度が低下して、第一ラミネート層と基布との接合力を十分に得られない場合がある。樹脂量が多くなりすぎると、樹脂の硬化に時間を要するため、生産速度が低下し、生産性に影響を与えることとなる。35g/m以下であれば、生産性の低下を抑制することができる。
【0052】
第二ラミネート層におけるHDPEの量Cは好ましくは55~90質量部であり、より好ましくは60~80質量部である。LDPEの量Dは好ましくは10~45質量部であり、より好ましくは20~40質量部である。なお、量Cと量Dの合計は100質量部である。
量Cが55質量部以上であれば、粘着テープに必要なコシ・ハリが十分に得られる。又、量Dが10質量部以上であれば、混合樹脂の流動性が確保でき、ラミネート加工の加工性の低下が抑制できる。又、上記の構成比であれば第一ラミネート層との接合力が低下して層間?離が生じることを抑制できる。
【0053】
第二ラミネート層の樹脂量は、粘着テープに必要なコシ・ハリに応じて決定することができるが、通常5g/m以上、好ましくは7g/m以上、より好ましくは10g/m以上である。樹脂量の上限は粘着テープに求められる機能に応じて決定すればよい。
第一ラミネート層と第二ラミネート層の樹脂量の総量は上記下限値の合計以上であるが、30g/m以上が好ましく、35g/m以上がより好ましく、40g/m以上がさらに好ましい。樹脂量の総量の上限は粘着テープに求められる機能に応じて決定すればよいが、手切り性の観点から樹脂量総量は60g/m以下が好ましく、50g/m以下がより好ましい。
【0054】
<粘着剤層>
粘着剤層には、天然ゴム、合成ゴム又は天然ゴムと合成ゴムの混合物を主成分とする粘着剤を使用することができる。ゴム系粘着剤は、アクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤と比較して被着体選択性が低いことから、基布およびラミネート層のいずれとも強く接合するため、粘着剤残りを抑制することができる。
【0055】
天然ゴムとしては、天然ゴムラテックスを酸で凝固・乾燥させてシート化したシートゴムや、凝固した小粒状のゴムを洗浄・乾燥した後、成形したブロックゴム等を用いることができる。
【0056】
シートゴムには、シートを燻煙しながら乾燥させたリブドスモークドシート(RSS)や凝固物を水洗した後、熱風乾燥したクレープなどがある。RSSは色調や異物の割合に応じて等級が分類されている。本発明の粘着剤成分としてシートゴムを用いる場合には、単一の等級のみを用いてもよいし、複数の等級のシートゴムを混合して用いてもよい。
【0057】
ブロックゴムには、標準グレードの他、粘度安定剤が添加されたCVグレードや、変色防止剤が添加されたLグレードなどがある。本発明の粘着剤成分としてブロックゴムを用いる場合には、単一のグレードのみを用いてもよいし、複数のグレードのブロックゴムを混合して用いてもよい。
【0058】
合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)やブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等のジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)やエチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の非ジエン系ゴム等、粘着テープが使用される環境や粘着テープに求められる粘着力等の諸特性を満たす合成ゴムを選択して使用することができる。本発明の粘着剤層には、天然ゴムと合成ゴムの混合物を主成分とする粘着剤を用いてもよい。
【0059】
粘着剤には、主成分とするゴム系粘着剤以外に、粘着力を調整するための充填剤や粘着付与樹脂、粘着剤の軟化成分としての可塑剤等を含むことができる。充填剤としては、重質炭酸カルシウムやカーボンブラック、酸化チタン、タルク、セルロース粉等が挙げられ、これらの一種を単独でもしくは二種以上を混合して使用することができる。粘着付与樹脂としては、ロジン系樹脂や、テルペン系樹脂、炭化水素系樹脂、フェノール系樹脂等の各種粘着付与樹脂を用いることができ、これらの一種を単独でもしくは二種以上を組み合わせて使用することができる。可塑剤としては、フタル酸系、イソフタル酸系、テレフタル酸系、アジピン酸系及びそれらのポリエステル系可塑剤、リン酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤等を単独でもしくは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0060】
粘着剤は、上記の充填剤等以外に、本発明の分野において公知の各種添加剤を含むことができる。この様な添加剤としては、難燃剤、顔料、老化防止剤、滑剤等が挙げられ、これらの一種もしくは二種以上を組み合わせて含むことができる。
【0061】
<その他>
ラミネート層の基布側と反対の背面側に離型剤を塗布して背面処理層を形成することができる。背面処理層を形成することで、粘着テープを巻回した際にラミネート層表面への粘着剤残りや、基布からラミネート層が剥離するラミ剥がれを防止することができる。離型剤としては、長鎖アルキル系離型剤(ステアリルアクリレートとアクリル酸、酢酸ビニルまたはアクリロニトリルとの共重合物、ステアリルアクリルアミドとアクリロニトリルやアクリル酸との共重合物、ステアリルビニルエーテルとアクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリルとの共重合物等)や、付加反応型、縮合反応型、カチオン重合型、ラジカル重合型等のシリコーン系離型剤等が挙げられる。
【0062】
<製造方法>
粘着テープの製造方法は特に限定されず、公知の製造方法を用いて製造することができる。例えば、基布を織成もしくは編成した後、その片面にポリエチレンを含む樹脂をラミネート加工する。ラミネート加工の方法は、ポリエチレンを含む樹脂を熱溶融して基布に押出成形したり、ポリエチレンを含む樹脂のフィルムを基布に重ねて熱圧着したりする方法がある。また、基布のラミネート層を形成する面には、基布とラミネート層との密着性を向上させるために物理的もしくは化学的なアンカー処理を行ってもよい。物理的処理としては、コロナ処理、UV処理、スパッタリング処理等が挙げられ、化学的処理としては、有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系などから選択した樹脂を塗布する処理が挙げられる。
【0063】
具体的には、本発明の一実施形態に係る粘着テープのラミネート層は、まず、LDPEを主成分とし、これにEVA又はEEAを添加した混合物を熱溶融した後、押出成形等により基布表面に第一ラミネート層を形成する。次に、HDPEを主成分とし、これにLDPEを添加した混合物を熱溶融した後、押出成形等により第一ラミネート層の背面側に第二ラミネート層を形成する。
【0064】
次に、別途混合調製した粘着剤組成物を、基布の、ラミネート層とは反対側の面に塗布し、粘着剤層を形成する。基布の粘着剤層を形成する面には、基布と粘着剤層との密着性を向上させるために物理的もしくは化学的なアンカー処理を行ってもよい。物理的処理としては、コロナ処理、UV処理、スパッタリング処理等が挙げられ、化学的処理としては、有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系などから選択した樹脂を塗布する処理が挙げられる。
【0065】
粘着剤層は、各種塗布装置を用いて形成することができる。塗布装置としては、例えばカレンダー加工機、ロールコーター、ダイコーター、リップコーター、マイヤーバーコーター、グラビアコーター等を挙げることができる。
【0066】
上記の方法により製造された、本発明の一実施形態の粘着テープ10の構成を、図3(a)から(c)を用いて説明する。これらは緯糸配向方向の断面(緯糸断面)を模式的に示すもので、経糸6(ウーリー加工糸3)については簡略化して示している。図3(a)には緯糸として仮撚糸7を用いた構成を、図3(b)には緯糸としてウーリー加工糸8を用いた構成を、図3(c)には緯糸としてフラットヤーン9を用いた構成を記載している。この構成では、経糸6としてウーリー加工糸3を、緯糸として仮撚糸7、ウーリー加工糸8またはフラットヤーン9を用い、これらを平織して基布としている。この基布の片面にラミネート層4を設け、他面に粘着剤層5を設け、更に、ラミネート層の背面側10Bには離型剤を塗布して背面処理層11を設けている。
図4は、本発明の別の実施形態である、ラミネート層として2層のラミネート層を用いる粘着テープ20の経糸配向方向の断面(経糸断面)を模式的に示すものである。
この粘着テープ20は、経糸12および緯糸13から構成される基布14と、基布14の一方の面に配置されるラミネート層15と、基布14の他方の面に配置される粘着剤層16とから構成される。ラミネート層15は、LDPEとEVA又はEEAとの混合物からなる第一ラミネート層17と、HDPEとLDPEの混合物からなる第二ラミネート層18とから構成されている。尚、図4に示す構成では、粘着テープ20の背面側20Bである第二ラミネート層の表面に、背面処理層19を形成した例を記載している。
【0067】
尚、製造された粘着テープは、ロール状に巻回して所定の幅に切断した後、側面を包装材、例えばポリエチレンフィルムで保護したり、ポリエチレンフィルムの個包装に収納したりすることで、粘着テープの側面が他の粘着テープや梱包材との接触を防止した状態で箱詰めすることができる。
【実施例
【0068】
以下、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、各原材料の物性値等は製造業者のカタログ値等の公表値を記載している。
実施例及び比較例において使用した樹脂材料は以下の通りである。
LDPE:商品名「NUC8000」、日本ユニカ―社製
HDPE:商品名「NUC8009」、日本ユニカ―社製
EVA:商品名「E181L」、TOTAL社製
EEA:商品名「EA101」、Dow Chemical社製
【0069】
実施例A1
経糸として繊度30デニール、フィラメント数36本のポリエチレンテレフタレート(PET)製ウーリー加工糸を、緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のPET製仮撚糸を用い、経糸は78本/インチ、緯糸は18本/インチの密度で平織物を作成して基布とした。
この基布の一方の面に、押出ラミネータを用いて低密度ポリエチレンを積層し、ラミネート層を形成した。粘着剤は、ニーダーにより素練りした天然ゴム(RSS#3)100質量部に、充填剤として重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製,平均粒子径12μm)160質量部、可塑剤としてプロセスオイル(EMGルブリカンツ社製,商品名「モービルサーム610」)30質量部、粘着付与樹脂として脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製,商品名「クイントン(登録商標)R100」)100質量部および素練り促進剤と老化防止剤を合計1質量部添加し、これらを混合して調整した。この粘着剤を、カレンダー塗工機を用い、基布のラミネート層を形成した面の反対側の面に塗布し、粘着剤層を形成して総厚140μmの粘着テープを得た。基布がラミネート層の表面にあらわれない状態とするために使用した樹脂量は40g/mであり、基布が粘着剤層の表面にあらわあれない状態とするために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0070】
実施例A2
ラミネート層の背面側に長鎖アルキル系離型剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製,商品名「ピーロイル1010」)を塗布したこと以外は実施例A1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0071】
実施例A3
ラミネート層を形成する前の基布にコロナ処理を施したこと以外は実施例A1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0072】
実施例A4
ラミネート層を形成する前の基布にアンカー処理としてコロナ処理を施し、ラミネート層の背面側に長鎖アルキル系離型剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製,商品名「ピーロイル1010」)を塗布したこと以外は実施例A1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0073】
実施例A5
緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のPET製ウーリー加工糸を用いたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚130μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は90g/mであった。
【0074】
実施例A6
緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のHDPE製仮撚糸を用いたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0075】
実施例A7
緯糸として繊度300デニールのHDPE製フラットヤーンを1インチ当たり17本の密度で用いたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚135μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は100g/mであった。
【0076】
実施例A8
粘着剤として、EPDM(住友化学社製,商品名「エスプレン#301」)100質量部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製,平均粒子径12μm)170質量部、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製,商品名「SUNTHENE4240」)15質量部、脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製,商品名「クイントン(登録商標)N180」)30質量部および素練り促進剤、滑剤および老化防止剤を合計2質量部添加し、これらを混合したものを使用した以外は実施例A5と同様にして、総厚135μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は95g/mであった。
【0077】
実施例A9
粘着剤として、天然ゴム(RSS#3)70質量部、EPDM(住友化学社製,商品名「エスプレン#301」)30質量部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製,平均粒子径12μm)170質量部、ナフテン系プロセスオイル(日本サン石油社製,商品名「SUNTHENE4240」)15質量部、脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製,商品名「クイントン(登録商標)N180」)30質量部および素練り促進剤、滑剤および老化防止剤を合計2質量部添加し、これらを混合したものを使用した以外は実施例A5と同様にして、総厚135μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は100g/mであった。
【0078】
実施例A10
経糸として繊度15デニール、フィラメント数12本のPET製ウーリー加工糸を用いたこと以外は実施例A5と同様にして、総厚120μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は30g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は100g/mであった。
【0079】
実施例A11
経糸として繊度75デニール、フィラメント数48本のPET製ウーリー加工糸を用いたこと以外は実施例A5と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は100g/mであった。
【0080】
実施例A12
経糸として繊度75デニール、フィラメント数24本のPET製ウーリー加工糸を用いたこと以外は実施例A5と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は115g/mであった。
【0081】
実施例A13
経糸の密度を20本/インチとしたこと以外は実施例A5と同様にして、総厚130μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0082】
実施例A14
経糸の密度を150本/インチとしたこと以外は実施例A5と同様にして、総厚150μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は95g/mであった。
【0083】
実施例A15
経糸として繊度30デニール、フィラメント数36本のPET製ウーリー加工糸を、緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のHDPE製仮撚糸を用い、経糸を78本/インチ、緯糸を18本/インチの密度として、経糸が独立鎖編みとなるタテ編地を編成した。このタテ編地を基布として用いたこと以外は実施例A6と同様にして、総厚140μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0084】
実施例A16
経糸として繊度30デニール、フィラメント数36本のPET製ウーリー加工糸を、緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のPET製ウーリー加工糸を用い、経糸は78本/インチ、緯糸は18本/インチの密度で平織物を作成して基布とした。この基布の一方の面に、押出ラミネータを用いて高密度ポリエチレンを積層し、更に、その上に低密度ポリエチレンを押出ラミネータを用いて積層してラミネート層を形成した。次に、基布の他方の面に実施例A1と同様の粘着剤を、カレンダー塗工機を用いて塗布し、粘着剤層を形成して総厚130μmの粘着テープを得た。基布がラミネート層の表面にあらわれない状態とするために使用した樹脂の総量は35g/mであり、基布が粘着剤層の表面にあらわあれない状態とするために使用した粘着剤量は90g/mであった。
【0085】
比較例A1
実施例A4と同様のアンカー処理を施した基布を用い、実施例A1で使用した押出ラミネータを用いてPET樹脂をラミネート加工しようとしたところ、溶融樹脂の延展性が悪く、ラミネート層の形成に時間を要したため、試作を中止した。
【0086】
比較例A2
実施例A4と同様のアンカー処理を施した基布を用い、実施例A1で使用した押出ラミネータを用いてPP樹脂をラミネート加工しようとしたところ、溶融樹脂の延展性が悪く、ラミネート層の形成に時間を要したため、試作を中止した。
【0087】
比較例A3
経糸として繊度30デニール、フィラメント数36本のPET製仮撚糸を用いたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚145μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は45g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は110g/mであった。
【0088】
比較例A4
経糸として繊度15デニール、フィラメント数12本のPET製仮撚糸を用いたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚130μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は35g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は100g/mであった。
【0089】
比較例A5
経糸として繊度30デニール、フィラメント数12本の6ナイロン(PA6)製ウーリー加工糸を用いた事以外は実施例A4と同様にして、総厚150μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は115g/mであった。
【0090】
比較例A6
アクリル系粘着剤(綜研化学,SKダイン702L)100g当り、硬化剤(綜研化学,L45)0.2gを添加し、酢酸エチルで粘度調整した粘着剤を用いたこと以外は実施例A5と同様にして、層厚125μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は38g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は63g/mであった。
【0091】
参考例A1
経糸として繊度100デニール、フィラメント数96本のPET製ウーリー加工糸を用い、経糸の密度を60本/インチとしたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚160μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は55g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は125g/mであった。
【0092】
参考例A2
経糸として繊度100デニール、フィラメント数24本のPET製ウーリー加工糸を用い、経糸の密度を60本/インチとしたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚170μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は60g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は130g/mであった。
【0093】
参考例A3
経糸として繊度36デニール、フィラメント数36本のPET製ウーリー加工糸を用い、経糸の密度を15本/インチとしたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚130μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は40g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は100g/mであった。
【0094】
参考例A4
経糸として繊度15デニール、フィラメント数12本のPET製ウーリー加工糸を用い、経糸の密度を190本/インチとしたこと以外は実施例A4と同様にして、総厚160μmの粘着テープを得た。ラミネート層を形成するために使用した樹脂量は50g/mであり、粘着剤層を形成するために使用した粘着剤量は120g/mであった。
【0095】
<評価方法>
以上の実施例A1~A16、比較例A1~A6および参考例A1~A5として得られた粘着テープの諸特性を以下の方法により評価した。結果を表1~表4に記載する。
【0096】
[評価用サンプルの作成]
実施例A1~A16、比較例A1~A6および参考例A1~A5で得られた粘着テープの原反を巻量25mの巻回品に分割した後、50mm幅に切断して評価用サンプルとした。
【0097】
[厚み]
JIS Z 0237:2009が規定する厚さの測定方法に基づき粘着テープの総厚さを測定した。
【0098】
[粘着剤残り]
JIS Z 0237:2009の粘着力の測定方法に従って測定用サンプルを作成した。このサンプルを、温度23±1℃、相対湿度50±5%の雰囲気下で72時間保管した後、試験板に対する180°引きはがし粘着力の測定方法と同様の方法により、試験板から粘着テープを剥離させた。剥離後の試験板を目視観察し、粘着剤が付着している試験片の数を計数し、以下の基準に基づき評価を行った。
〇〇〇 粘着剤残り発生せず
〇〇 粘着剤残り発生率3%未満
〇 粘着剤残り発生率5%未満
△ 粘着剤残り発生率10%未満
× 粘着剤残り発生率10%以上
【0099】
[ラミ剥がれ]
巻回状態の評価サンプルを温度65℃、相対湿度80%の雰囲気下で24時間保管した後、手で1m分を引き剥がした。引き剥がし後の粘着テープを目視観察し、粘着テープのラミネート層が基材から剥離している試験片の数を計数し、以下の基準に基づき評価を行った。
〇〇〇 ラミ剥がれ発生せず
〇〇 ラミ剥がれ発生率3%未満
〇 ラミ剥がれ発生率5%未満
△ ラミ剥がれ発生率10%未満
× ラミ剥がれ発生率10%以上
【0100】
[手切性]
50mm幅×25m巻の粘着テープを1m毎に手切りし、切断部に生じる毛羽の内、最長2mmを超える毛羽を有する切断部の数を計数した。切断点数は各サンプルについて100箇所とした。
〇〇〇 毛羽立ち発生せず
〇〇 毛羽立ち発生率5%未満
〇 毛羽立ち発生率10%未満
△ 毛羽立ち発生率20%未満
× 毛羽立ち発生率20%以上
【0101】
[引裂強さ]
50mm幅に切断する前の粘着テープの原反から測定用サンプルを採取し、JIS Z 0237:2009の引裂強さの測定方法に従って測定を行った。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
実施例B1
経糸として繊度30デニール、フィラメント数36本のポリエチレンテレフタレート(PET)製ウーリー加工糸を、緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のPET製仮撚糸を用い、経糸は78本/インチ、緯糸は18本/インチの密度で平織物を作成して基布とした。
この基布の一方の面をコロナ処理した後、押出ラミネータを用いてコロナ処理面にLDPE80質量部とEVA20質量部(以下、構成比80:20のように記す)の混合樹脂を樹脂量27g/mで積層して第一ラミネート層を形成した。その後、押出ラミネータを用いて第一ラミネート層の表面にHDPE:LDPE=70:30(構成比)の混合樹脂を樹脂量13g/mで積層して第二ラミネート層を形成し、第二ラミネート層の表面に長鎖アルキル系離型剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製,商品名「ピーロイル1010」)を塗布して背面処理層を形成した。粘着剤は、素練りした天然ゴム(RSS#3)100質量部に、充填剤として重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製,平均粒子径12μm)160質量部、可塑剤としてプロセスオイル(EMGルブリカンツ社製,商品名「モービルサーム610」)30質量部、粘着付与樹脂として脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製,商品名「クイントン(登録商標)R100」)100質量部および素練り促進剤と老化防止剤を合計1質量部添加し、これらを混合して調製した。この粘着剤を、カレンダー塗工機を用い、基布のラミネート層を形成した面の反対側の面に塗布して粘着剤層を形成し、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0107】
実施例B2
第一ラミネート層のEVAをEEAに替え、構成比をLDPE:EEA=80:20に変更したこと以外は実施例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0108】
実施例B3
第一ラミネート層の構成比をLDPE:EEA=60:40としたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0109】
実施例B4
第一ラミネート層の構成比をLDPE:EEA=95:5としたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0110】
実施例B5
第二ラミネート層の構成比をHDPE:LDPE=55:45としたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0111】
実施例B6
第二ラミネート層の構成比をHDPE:LDPE=90:10としたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0112】
実施例B7
第一ラミネート層の樹脂量を20g/m、第二ラミネート層の樹脂量を20g/mとしたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0113】
実施例B8
第一ラミネート層の樹脂量を10g/m、第二ラミネート層の樹脂量を30g/mとしたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0114】
実施例B9
第一ラミネート層の樹脂量を30g/m、第二ラミネート層の樹脂量を10g/mとしたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0115】
実施例B10
第一ラミネート層の樹脂量を33g/m、第二ラミネート層の樹脂量を7g/mとしたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0116】
実施例B11
第一ラミネート層の樹脂量を24g/m、第二ラミネート層の樹脂量を11g/mとし、ラミネート層の総樹脂量を35g/mとしたこと以外は実施例2と同様にして、総厚135μmの粘着テープを作製した。
【0117】
実施例B12
第一ラミネート層の樹脂量を30g/m、第二ラミネート層の樹脂量を15g/mとし、ラミネート層の総樹脂量を45g/mとしたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚150μmの粘着テープを作製した。
【0118】
実施例B13
第一ラミネート層の樹脂量を5g/m、第二ラミネート層の樹脂量を35g/mとしたこと以外は実施例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0119】
実施例B14
第一ラミネート層の樹脂量を35g/m、第二ラミネート層の樹脂量を5g/mとしたこと以外は実施例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0120】
実施例B15
第一ラミネート層の樹脂量を20g/m、第二ラミネート層の樹脂量を10g/mとしたこと以外は実施例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0121】
比較例B1
経糸として繊度30デニール、フィラメント数36本のポリエチレンテレフタレート(PET)製ウーリー加工糸を、緯糸として繊度100デニール、フィラメント数48本のPET製仮撚糸を用い、経糸は78本/インチ、緯糸は18本/インチの密度で平織物を作成して基布とした。この基布の一方の面をコロナ処理した後、押出ラミネータを用いてコロナ処理面にLDPEを樹脂量40g/mで積層してラミネート層を形成した。その後、ラミネート層の表面に長鎖アルキル系離型剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製,商品名「ピーロイル1010」)を塗布して背面処理層を形成した。粘着剤は、ニーダーにより素練りした天然ゴム(RSS#3)100質量部に、充填剤として重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製,平均粒子径12μm)160質量部、可塑剤としてプロセスオイル(EMGルブリカンツ社製,商品名「モービルサーム610」)30質量部、粘着付与樹脂として脂肪族系炭化水素樹脂(日本ゼオン社製,商品名「クイントン(登録商標)R100」)100質量部および素練り促進剤と老化防止剤を合計1質量部添加し、これらを混合して調整した。この粘着剤を、カレンダー塗工機を用い、基布のラミネート層を形成した面の反対側の面に塗布して粘着剤層を形成し、総厚135μmの粘着テープを作製した。
【0122】
比較例B2
ラミネート層に用いるLDPEをHDPEとしたこと以外は比較例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0123】
比較例B3
基布のコロナ処理面に、LDPEを樹脂量27g/mで積層した後、さらにLDPEを樹脂量13g/mで積層することによりラミネート層を形成したこと以外は比較例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0124】
比較例B4
基布のコロナ処理面に、LDPEを樹脂量27g/mで積層した後、さらにHDPEを樹脂量13g/mで積層することによりラミネート層を形成したこと以外は比較例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0125】
比較例B5
第二ラミネート層の樹脂をHDPEのみとしたこと以外は実施例B2と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0126】
比較例B6
第一ラミネート層の樹脂をLDPEのみとしたこと以外は実施例B1と同様にして、総厚140μmの粘着テープを作製した。
【0127】
<評価方法>
実施例B1~B15および比較例B1~B6として得られた粘着テープの諸特性を以下の方法により評価した。結果を表5~表7に記載する。
【0128】
[ラミ接着力]
基布にラミネートされた粘着テープ基材から幅25mm×200mmの試験片を採取する。試験片の基布とラミネート層を端部から約75mm剥がしとり、基布側を引張試験機(JIS B 7721)の上側チャックに約25mmつかむ。つかみ間隔100mm、引張速度300±30mm/minで引張り、基布からラミネート層の剥がれる加重を測定した。
【0129】
[巻返し試験]
ロール状の粘着テープを70℃×24時間で加熱促進し、約1mの長さを手で素早くテープを高速で巻き出し、テープ背面剤のラミ剥がれ有無を確認した。
【0130】
[剛軟度]
粘着テープから測定用サンプルを採取し、JIS P 8125のこわさ試験方法に従って測定を行った。
【0131】
[引裂強度]
粘着テープから測定用サンプルを採取し、JIS Z 0237:2009の引裂強さの測定方法に従って測定を行った。
【0132】
[手切性]
50mm幅×25m巻の粘着テープを1m毎に手切りし、切断部に生じる毛羽の内、最長2mmを超える毛羽を有する切断部の数を計数した。切断点数は各サンプルについて100箇所とした。
〇 毛羽立ち発生率5%未満
△ 毛羽立ち5%以上、10%未満
× 毛羽立ち発生率10%以上又は手切りできず
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】
【表7】
【0136】
ラミネート層にEVA又はEEAを用いなかった比較例B1~B4およびB6では、基布とラミネート層の接合力が弱いことから手切りに際して基布とラミネート層との剥離が生じ、粘着テープを幅方向に手切りすることができなかった(表7中、『手切性』の評価が「×」)。これに対しラミネート層にEVA又はEEAを用いた実施例B1~B15では手切りを行う事ができ、且つ、切断部の毛羽立ちも少ないものであった。尚、比較例B5では、粘着テープの手切性に問題は無かったが、巻返し試験において第一ラミネート層と第二ラミネート層の間で層間?離が発生した。
【0137】
又、比較例B1~B4およびB6では、引裂強度の測定においてサンプルに破断が発生せず、引裂強度の測定ができなかったが、実施例B1~B15では、破断強度を測定することができ、その測定値も比較的小さい値であった。
【0138】
更に、第一ラミネート層にEVA又はEEAを用いた実施例ではラミ接着力が比較例B1~B4およびB6に比べて高く、基布の両面にラミネート層を配置しない場合であっても基布とラミネート層とが強固に接合していることがわかる。
【符号の説明】
【0139】
1 単糸
2 仮撚糸
3 ウーリー加工糸
4 ラミネート層
5 接着剤層
6 経糸
7 仮撚糸
8 ウーリー加工糸
9 フラットヤーン
10、20 粘着テープ
10B、20B 背面側
11、19 背面処理層
12 経糸
13 緯糸
14 基布
15 ラミネート層
17 第一ラミネート層
18 第二ラミネート層
図1
図2
図3
図4