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特許7525647バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びそのバッテリーパックを含む自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びそのバッテリーパックを含む自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240723BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240723BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240723BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240723BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20240723BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/503 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/643
H01M10/6569
H01M50/213
H01M50/291
H01M50/503
H01M50/548 201
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022566237
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2021014148
(87)【国際公開番号】W WO2022080870
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0132071
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ホ・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ウク・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジン-ハク・コン
(72)【発明者】
【氏名】ジャ-オン・グ
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-518313(JP,A)
【文献】特開2019-075303(JP,A)
【文献】特表2019-522320(JP,A)
【文献】特開2013-062023(JP,A)
【文献】特開2018-037159(JP,A)
【文献】特開2014-022151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 10/613
H01M 10/6569
H01M 10/625
H01M 10/643
H01M 50/213
H01M 50/291
H01M 50/503
H01M 50/548
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極が下方に向かい、負極が上方に向かうように起立して配置される複数個の円筒状のバッテリーセルと、
前記複数個のバッテリーセルを収容するセルハウジングと、
前記セルハウジングの上部をカバーし、前記複数個のバッテリーセルの各々の負極と電気的に接続する上部プレートと、
前記上部プレートと対向して配置され、前記セルハウジングの下部をカバーし、前記複数個のバッテリーセルの各々の正極と電気的に接続する下部プレートと、
前記複数個のバッテリーセルが部分的に浸漬されるように前記セルハウジング内に満たされ、前記複数個のバッテリーセルを冷却する相変化物質と、を含み、
前記下部プレートは、前記正極と対応する位置で、前記下部プレートから上方へ突出して形成され、前記正極と接触する接触突起を含み、
前記接触突起は、前記正極が形成された前記バッテリーセルの一面と前記下部プレートとの間に、前記相変化物質が満たされる空間を提供する、ことを特徴とする、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記上部プレートの上側に取り付けられ、前記複数個のバッテリーセルを冷却するヒートシンクを含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記相変化物質が、
前記複数個のバッテリーセルの温度上昇時に気化して前記上部プレート側へ移動し、前記ヒートシンクによって液化して前記下部プレート側へ移動することを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記セルハウジングの内壁上部には、
前記液化した前記相変化物質の前記下部プレート側への移動をガイドするガイドリブが備えられることを特徴とする、請求項3に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記セルハウジング内で前記複数個のバッテリーセルの動きを防止するように前記複数個のバッテリーセルを固定する少なくとも一つのセル固定部材を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
前記セル固定部材は、
一対で設けられ、
前記一対のセル固定部材は、
前記複数個のバッテリーセルの上部が挿入され、前記セルハウジングの内側上部に固定される上部セル固定部材と、
前記複数個のバッテリーセルの下部が挿入され、前記セルハウジングの内側下部に固定される下部セル固定部材と、を含むことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリーモジュール。
【請求項7】
前記上部セル固定部材及び前記下部セル固定部材には、
前記複数個のバッテリーセルの挿入のための複数個のセル挿入孔が形成されることを特徴とする、請求項6に記載のバッテリーモジュール。
【請求項8】
前記上部プレートの周縁部は、
前記セルハウジングの周縁部とシーム接合されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも一つのバッテリーモジュールと、
前記少なくとも一つのバッテリーモジュールをパッケージングするパックケースと、を含む、バッテリーパック。
【請求項10】
請求項9に記載のバッテリーパックを少なくとも一つ含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びそのバッテリーパックを含む自動車に関する。
【0002】
本出願は、2020年10月13日出願の韓国特許出願第10-2020-0132071号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適用性が高く、且つ、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)またはハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に適用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少できるという一次的な長所だけでなく、エネルギー使用に伴う副産物が全く生じないという点で、環境にやさしく、エネルギー効率が向上できることから、新しいエネルギー源として注目を集めている。
【0004】
現在、広く使用される二次電池の種類としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セル、即ち、単位バッテリーセルの作動電圧は約2.5V~4.5Vである。したがって、これよりさらに高い出力電圧が要求される場合、複数のバッテリーセルを直列接続してバッテリーパックを構成する。また、バッテリーパックに要求される充放電容量によって複数のバッテリーセルを並列接続してバッテリーパックを構成し得る。したがって、上記バッテリーパックに含まれるバッテリーセルの数は、要求される出力電圧または充放電容量によって多様に設定可能である。
【0005】
なお、複数のバッテリーセルを直列・並列接続してバッテリーパックを構成する場合、少なくとも一つのバッテリーセルからなるバッテリーモジュールを先に構成し、このような少なくとも一つのバッテリーモジュールを用いてその他の構成要素を追加してバッテリーパックを構成する方法が一般的である。
【0006】
マルチモジュール構造のバッテリーパックは、複数の二次電池が狭い空間に密集する形態で製造されるため、各二次電池で発生する熱を容易に放出すること重要である。二次電池バッテリーの充電または放電の過程は、電気化学的反応によって行われるので、充放電過程で発生したバッテリーモジュールの熱が効果的に除去されなければ、熱蓄積が起こり、結果的にバッテリーモジュールの劣化が促進され、場合によっては発火または爆発が起こり得る。
【0007】
そこで、高出力・大容量のバッテリーモジュール及びそれが装着されたバッテリーパックには、それに内蔵されているバッテリーセルを冷却する冷却システムが必須である。
【0008】
従来のバッテリーモジュールは、通常、冷却のためにバッテリーセルとヒートシンクとの間に熱伝導物質(Thermal Interface Material;TIM)を接触させて熱を放出する冷却構造を適用していた。
【0009】
しかし、このような従来冷却構造では、低い冷却性能によってバッテリーモジュール及びバッテリーパック、延いてはこれらのバッテリーモジュールやバッテリーパックを備える電気自動車などの性能を高めにくくなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、冷却性能を極大化することができ、バッテリーセルからベンティングガスが排出されたとき、高温のベンティングガスによって熱暴走現象などのような二次的なイベントが発生することを効果的に防止可能な構造を有するバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びそのバッテリーパックを含む自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を達成するための本発明の一実施例によるバッテリーモジュールは、正極が下方に向かい、負極が上方に向かうように起立して配置される複数個の円筒状バッテリーセルと、前記複数個のバッテリーセルを収容するセルハウジングと、前記セルハウジングの上部をカバーし、前記複数個のバッテリーセルの各々の負極と電気的に接続する上部プレートと、前記上部プレートと対向して配置され、前記セルハウジングの下部をカバーし、前記複数個のバッテリーセルの各々の正極と電気的に接続する下部プレートと、前記複数個のバッテリーセルが部分的に浸漬されるように前記セルハウジング内に満たされ、前記複数個のバッテリーセルを冷却する相変化物質と、を含む。
【0012】
前記バッテリーモジュールは、前記上部プレートの上側に取り付けられ、前記複数個のバッテリーセルを冷却するヒートシンクを含み得る。
【0013】
前記相変化物質は、前記複数個のバッテリーセルの温度上昇時に気化して前記上部プレート側へ移動し、前記ヒートシンクによって液化して前記下部プレート側へ移動し得る。
【0014】
前記セルハウジングの内壁上部には、前記液化した前記相変化物質の前記下部プレート側への移動をガイドするガイドリブが備えられ得る。
【0015】
前記バッテリーモジュールは、前記セルハウジング内で前記複数個のバッテリーセルの動きを防止するように前記複数個のバッテリーセルを固定する少なくとも一つのセル固定部材をさらに含み得る。
【0016】
前記セル固定部材は、一対で設けられ、前記一対のセル固定部材は、前記複数個のバッテリーセルの上部が挿入され、前記セルハウジングの内側上部に固定される上部セル固定部材と、前記複数個のバッテリーセルの下部が挿入され、前記セルハウジングの内側下部に固定される下部セル固定部材と、を含み得る。
【0017】
前記上部セル固定部材及び前記下部セル固定部材には、前記複数個のバッテリーセルの挿入のための複数個のセル挿入孔が形成され得る。
【0018】
前記上部プレートの周縁部は、前記セルハウジングの周縁部とシーム接合され得る。
【0019】
なお、本発明の一実施例によるバッテリーパックは、前述したような本発明の一実施例による少なくとも一つのバッテリーモジュールと、前記少なくとも一つのバッテリーモジュールをパッケージングするパックケースと、を含む。
【0020】
また、本発明の一実施例による自動車は、前述したような本発明の一実施例による少なくとも一つのバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0021】
以上のような多様な実施例において、冷却性能を極大化することができるだけでなく、バッテリーセルからベンティングガスが排出されたとき、高温のベンティングガスによる熱暴走現象などのような二次的なイベントが発生することを効果的に防止可能な構造のバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及びそのバッテリーパックを含む自動車を提供することができる。
【0022】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを説明するための図である。
図2図1のバッテリーモジュールの分解斜視図である。
図3図1のバッテリーモジュールの断面図である。
図4図1のバッテリーモジュールの上部プレートとセルハウジングとの結合を説明するための図である。
図5図1のバッテリーモジュールのバッテリーセルの電極の接続を説明するための図である。
図6図1のバッテリーモジュールの冷却原理を説明するための図である。
図7】本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールの一部を示す図である。
図8】本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールの一部を示す図である。
図9】本発明の一実施例によるバッテリーパックを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。ここで説明される実施例は、発明の理解を助けるために例示的に示したものであり、本発明は、ここで説明する実施例とは相違に多様に変形して実施できることを理解せねばならない。なお、発明の理解を助けるために、添付の図面は、実際の縮尺ではなく一部構成要素が誇張されて示され得る。
【0025】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュールを説明するための図であり、図2は、図1のバッテリーモジュールの分解斜視図であり、図3は、図1のバッテリーモジュールの断面図であり、図4は、図1のバッテリーモジュールの上部プレートとセルハウジングとの結合を説明するための図であり、図5は、図1のバッテリーモジュールのバッテリーセルの電極の接続を説明するための図であり、図6は、図1のバッテリーモジュールの冷却原理を説明するための図である。
【0026】
図1図6を参照すると、バッテリーモジュール10は、バッテリーセル100、セルハウジング200、少なくとも一つのセル固定部材300、400、ヒートシンク500、相変化物質600、上部プレート700及び下部プレート800を含み得る。
【0027】
前記バッテリーセル100は複数個が備えられ、前記複数個のバッテリーセル100は、円筒状二次電池として備えられ得る。前記複数個のバッテリーセル100は、相互に積層されて電気的に接続され得る。
【0028】
前記バッテリーセル100が円筒状二次電池である場合において、バッテリーセル100の長手方向の一側面の中心部には正極110が備えられ得る。前記バッテリーセル100の長手方向の他側面の中心部には、負極130が備えられ得る。前記正極110が形成された面には、バッテリーセル100の内圧が一定の水準以上に増加した場合において、安全性の確保のためにベンティング(venting)されることでバッテリーセル100の内圧を低めるベンティング部(図示せず)が備えられ得る。
【0029】
前記セルハウジング200は、前記複数個のバッテリーセル100を収容し得る。このために、前記セルハウジング200には、前記複数個のバッテリーセル100を収容し得る収容空間が設けられ得る。
【0030】
前記セルハウジング200の内部には、ガイドリブ220が設けられ得る。
【0031】
前記ガイドリブ220は、前記セルハウジング200の内壁上部に備えられ、後述する相変化物質600の液化L時、前記相変化物質600の下側への移動をガイドし得る。具体的には、前記ガイドリブ220は、内部温度の上昇によって気化Vされてからさらに液化Lする相変化物質600、セルハウジング200の内側面及び上部プレート700に液化Lする相変化物質600の、後述する下部プレート800へのより速やかな移動をガイドできる。
【0032】
前記少なくとも一つのセル固定部材300、400は、前記セルハウジング200内で前記複数個のバッテリーセル100の動きを防止するように前記複数個のバッテリーセル100を固定し得る。
【0033】
このような前記セル固定部材300、400は一対で備えられ得る。前記一対のセル固定部材300、400は、上部セル固定部材300及び下部セル固定部材400からなり得る。
【0034】
前記上部セル固定部材300は、前記複数個のバッテリーセル100の上部が挿入され、前記セルハウジング200の内側上部に固定され得る。このために、前記上部セル固定部材300には、前記複数個のバッテリーセル100の上部が挿入される複数個のセル挿入孔350が形成され得る。
【0035】
前記下部セル固定部材400は、前記複数個のバッテリーセル100の下部が挿入され、前記セルハウジング200の内側下部に固定され得る。このために、前記下部セル固定部材400には、前記複数個のバッテリーセル100の下部が挿入される複数個のセル挿入孔450が形成され得る。
【0036】
前記ヒートシンク500は、前記複数個のバッテリーセル100を冷却するためのものであって、後述する上部プレート700の上部に取り付けられ得る。前記ヒートシンク500は、後述する上部プレート700の上部の代りに、前記セルハウジング200に取り付けられ得る。
【0037】
前記相変化物質600は、前記複数個のバッテリーセル100を効率的に冷却するための絶縁油として機能するものであって、前記セルハウジング200内に部分的に満たされ得る。これによって、前記複数個のバッテリーセル100は、前記セルハウジング200内で前記相変化物質600に部分的に浸漬され得る。
【0038】
前記相変化物質600は、前記複数個のバッテリーセル100の温度上昇時に気化Vして、後述する上部プレート700側へ移動し、前記ヒートシンク500によって液化Lして、後述する下部プレート800側へ移動し得る。このような気化V及び液化Lは循環して反復され得、これによって、前記バッテリーセル100の冷却は、より効果的に行われる。
【0039】
前記相変化物質600は、より効果的な循環のために、フッ素系であり、かつ沸点の低い物質として設けられ得る。例えば、前記相変化物質600は、35~50℃の沸点を有する物質として備えられ得る。また、前記相変化物質600は、消火機能を有する物質を含み得る。これによって、前記バッテリーモジュール10内における火事の発生時、前記相変化物質600によって迅速に火事を鎮圧できる。
【0040】
前記上部プレート700は、前記セルハウジング200の上部をカバーするように前記セルハウジング200と結合し得る。ここで、前記上部プレート700は、前記セルハウジング200とシーム構造によって結合し得る。これは、前記セルハウジング200の気密構造を極大化するためであり、前記セルハウジング200内の前記相変化物質600の蒸発を防止するためである。前記シーム構造は、前記上部プレート700の周縁及び前記セルハウジング200の上部の周縁で行われ得る。即ち、前記上部プレート700の周縁は、前記セルハウジング200の上部の周縁とシーム接合され得る。
【0041】
前記上部プレート700は、前記複数個のバッテリーセル100の負極130と電気的に接続される。このために、前記上部プレート700は、金属材質で設けられ、前記複数個のバッテリーセル100の負極130と溶接によって結合し得る。即ち、本実施例において、前記上部プレート700は、前記セルハウジング200を密封するためのカバーとして機能するだけでなく、前記バッテリーセル100の電気的接続のためのバスバーとしても機能できる。
【0042】
これによって、本実施例では、前記上部プレート700によって二つの機能を共に具現可能であることから、前記バッテリーセル100の負極130同士の電気的接続のための別のバスバー構造物が不要となる。
【0043】
一方、前記上部プレート700と前記セルハウジング200との絶縁のために、前記上部プレート700は、前記セルハウジング200との結合部分で絶縁処理され得る。本実施例では、前記上部プレート700は、前記シーム接合される周縁部で絶縁処理されることで前記セルハウジング200と絶縁され得る。もし、セルハウジング200が金属材質ではなく非金属材質で備えられるなら、このような絶縁処理は省略可能である。
【0044】
前記下部プレート800は、前記上部プレート700と対向して配置され、前記セルハウジング200の下部をカバーし得る。このような前記下部プレート800は、前記セルハウジング200に一体で形成されるか、または別に備えられて前記セルハウジング200の底部に取り付けられ得る。
【0045】
前記下部プレート800は、前記複数個のバッテリーセル100の正極110と電気的に接続され得る。このように、前記下部プレート800は、前記セルハウジング200の底部を密封するためのカバーとして機能するだけでなく、前記上部プレート700と共に前記バッテリーセル100の電気的接続のためのバスバーとしても機能できる。
【0046】
このために、前記下部プレート800は金属材質で設けられ、前記複数個のバッテリーセル100の正極110と溶接によって結合し得る。一方、前記下部プレート800が前記セルハウジング200に一体で形成される場合、前記セルハウジング200も、金属材質として設けられ得る。この場合、前記セルハウジング200は、前記上部プレート700との絶縁のために、前述したように前記上部プレート700との結合部分に絶縁処理され得る。前記下部プレート800が前記セルハウジング200に別に取り付けられる構造である場合、前記セルハウジング200は非金属材質として設けられ、この場合、前記絶縁処理を省略し得る。
【0047】
これによって、本実施例では、前記下部プレート800によって前記セルハウジング200の密封とバッテリーセル100の正極110同士の電気的接続を共に具現可能であることから、前記バッテリーセル100の正極110の接続のための別のバスバー構造物が不要である。
【0048】
このように、本実施例では、前記セルハウジング200を密封するための前記上部プレート700及び前記下部プレート800が、前記バッテリーセル100の電極110、130の電気的接続のためのバスバーの機能も共に果たすため、別の追加的なバスバー構造物が省略可能であり、前記バッテリーモジュール10の製造コストを節減し、製造効率を向上させることができる。
【0049】
一方、本発明において、前記バッテリーセル100は、セルハウジング200内で正極110が下方に向かい、負極130が上方に向かうように起立して配置される。即ち、前記バッテリーセル100は、上述したように、正極110が下部プレート800と対面して接触し、負極130が上部プレート700と対面して接触するように配置される。
【0050】
円筒状バッテリーセルの場合、長手方向の両側面に各々正極110と負極130が形成され、正極110が形成された面には、周辺領域に比べて剛性が弱く設計され、バッテリーセル100の内圧増加時に優先的に破断することでバッテリーセル100の内部に発生したガスが排出されるようにするベンティング部が形成される。
【0051】
本発明によるバッテリーモジュール10は、ベンティング部が形成された面、即ち、正極110が形成された面が下方に向かう構造を有し、これによって正極110が液相の相変化物質600に浸漬される構造を有する。これによって、本発明の一実施例によるバッテリーモジュール10は、バッテリーセル100の内圧増加による高温のベンティングガス噴出時に、バッテリーモジュール10の内部の温度が急激に上昇することを防止でき、これによってガス噴出による二次的なイベントの発生を防止して二次電池使用上の安全性を確保することができる。
【0052】
また、本実施例による前記バッテリーモジュール10は、エネルギー密度の面でも省略可能な別の追加的なバスバー構造物の体積だけバッテリーセル100の容積を確保できる。また、本実施例による前記バッテリーモジュール10は、前記相変化物質600によって冷却性能も極大化できる。
【0053】
次は、図7を参照して、本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールを説明する。本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールは、前述した実施例によるバッテリーモジュールと比較して、下部プレート800に接触突起810が形成された点が相違するだけであり、その外の構成要素は実質的に同一である。したがって、本発明の他の実施例によるバッテリーモジュールを説明する際し、前述した実施例と重複する説明は省略し、異なる部分を中心にして説明する。
【0054】
前記接触突起810は、下部プレート800から上方へ突出して形成される。前記接触突起810は、バッテリーセル100の正極110と対応する位置に形成され、正極110と接触する。前記接触突起810は、バッテリーセル100の個数に対応して設けられ得る。
【0055】
前記接触突起810は、下部セル固定部材400に形成されたセル挿入孔450内で、正極110が形成されたバッテリーセル100の一面と下部プレート800との間を離隔させ、これによって液相の相変化物質600が満たされる空間を提供する。前記接触突起810は、複数のバッテリーセル100の電気的接続のために導電性材質からなり得る。
【0056】
このように、前記下部セル固定部材400に形成されたセル挿入孔450内で正極110と下部プレート800との間に空間が形成され、その中に相変化物質600が満たされる場合、バッテリーセル100のベンティング発生時に、効果的な冷却及び高温のガスによる発火などの二次イベントの発生を効果的に防止することができる。
【0057】
一方、図8を参照して本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールを説明する。本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールは、図7に示したバッテリーモジュールと比較して下部セル固定部材400に液相の相変化物質600が移動する流路Pが形成された点で差があるだけで、その外の構成要素は実質的に同一である。これによって、本発明のさらに他の実施例によるバッテリーモジュールを説明するに際して、前記流路Pを中心にして説明し、前述した実施例と重複する説明は省略する。
【0058】
前記流路Pは、下部セル固定部材400に形成され、下部セル固定部材400の上面と下部セル固定部材400に形成されたセル挿入孔450の内側面との間を貫通して形成される。前記液状の相変化物質600は、流路Pを通して正極110と下部プレート800との間の空間へ円滑に流入し得る。
【0059】
図9は、本発明の一実施例によるバッテリーパックを説明するための図である。
【0060】
図9を参照すると、バッテリーパック1は、前述した実施例による少なくとも一つのバッテリーモジュール10と、前記少なくとも一つのバッテリーモジュール10をパッケージングするパックケース50と、を含み得る。
【0061】
なお、前記バッテリーパック1は、自動車のエネルギー源として自動車に備えられ得る。例えば、バッテリーパック1は、電気自動車、ハイブリッド自動車及びその他のバッテリーパック1をエネルギー源として使用可能なその他の方式で自動車に備えられ得る。また、バッテリーパック1は、自動車の他にも、二次電池を用いる電力貯蔵装置(Energy Storage System)などのその他の装置や器具及び設備などにも備えられ得ることは、勿論である。
【0062】
このように、本実施例によるバッテリーパック1と自動車のようなバッテリーパック1を備える装置や器具及び設備は、前述したバッテリーモジュール10を含むことから、前述したバッテリーモジュール10による長所を全て有するバッテリーパック1及びそれを備える自動車などの装置や器具及び設備などが具現可能である。
【0063】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはいけない。
【符号の説明】
【0064】
1 バッテリーパック
10 バッテリーモジュール
50 パックケース
100 バッテリーセル
110 電極(正極)
130 電極(負極)
200 セルハウジング
220 ガイドリブ
300 上部セル固定部材
350 セル挿入孔
400 下部セル固定部材
450 セル挿入孔
500 ヒートシンク
600 相変化物質
700 上部プレート
800 下部プレート
810 接触突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9