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特許7525654電池パック、車両及びエネルギー貯蔵装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電池パック、車両及びエネルギー貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20240723BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20240723BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240723BHJP
   H01M 50/133 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/103
H01M50/15
H01M10/058
H01M50/131
H01M50/249
H01M10/04 Z
H01M50/133
H01M50/244 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022572482
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 CN2021095533
(87)【国際公開番号】W WO2021238871
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202010447938.3
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】姜熙
(72)【発明者】
【氏名】潘▲儀▼
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-220218(JP,A)
【文献】特開2012-146588(JP,A)
【文献】特開2001-236937(JP,A)
【文献】特開2015-125824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池を含む電池列を少なくとも1つ含む電池パックであって、
各電池の厚さは、第1の方向に沿って延び、複数の前記電池は、前記第1の方向に沿って順に配列されて前記電池列を形成し、電池は、ケースと、前記ケース内に封止された複数の電極体とを含み、少なくとも2つの隣接する電池の間に隙間のみがあり、該隙間と前記電池の厚さとの比率は、cであり、cは、(a-b)<c<(a×t)という関係式を満たし、
ここで、aは、前記電池の第1の方向における膨張率を示し、
bは、前記電極体の第1の方向における圧縮率を示し、
tは、前記電池の有効圧縮後の厚さと前記電池の圧縮前の厚さとの百分率を示し、
a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%であり、
b=(電極体の圧縮前の厚さ-電極体の圧縮後の厚さ)/電極体の圧縮前の厚さ×100%であり、
t=電池の有効圧縮後の厚さ/電池の圧縮前の厚さ×100%であり、
前記電池の膨張前の厚さは、前記電池の使用前の初期厚さであり、前記電池の膨張後の厚さは、前記電池の容量がその初期容量の80%以下に減衰した時に測定された厚さであり、
aの値の範囲は、5.8%~17.5%であり、bの値の範囲は、3.21%~8.8%であり、tの値の範囲は、81%~97%である、ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記ケースは、開口部を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは前記ケース本体の開口部を封止接続して、封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
2つの隣接する電池の間の隙間は、第1の隙間を含み、前記第1の隙間は、前記2つの隣接する電池の、同一の側に位置する2つのカバープレートの間の最小距離であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記ケースは、開口部を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートは前記ケース本体の開口部を封止接続して、封止された収容キャビティを形成し、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記電池は、前記第1の方向に沿って2つの反対側に位置する第1の表面を有し、
2つの隣接する電池の間の隙間は、第2の隙間を含み、前記第2の隙間は、2つの隣接する電池の対向する2つの第1の表面の間の最小間隔であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である、ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池の使用前の第2の隙間は、前記電池の使用後の第2の隙間よりも大きい、ことを特徴とする請求項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電池の長さは、第2の方向に沿って延び、前記電池の長さは、400~2500mmであり、前記第2の方向は、前記第1の方向と異なる、ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池パックを含む、ことを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の電池パックを含む、ことを特徴とするエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、出願日が2020年5月25日、出願番号が202010447938.3、名称が「電池パック、電池モジュール、車両及びエネルギー貯蔵装置」である特許出願の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の分野に属し、特に電池パック、車両及びエネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車の電池パックのエネルギー密度がますます高まっている環境において、耐用年数の延長は、克服しなければならない課題の1つとなり、ユーザー体験を左右する非常に重要な指標となり、各電池企業及び新エネルギー車両企業が最適化を求め続ける方向ともなる。電池パックにおいて、電気化学システムは、電池の耐用年数に影響を与え、これ以外に、外部環境も電池の耐用年数に大きな影響を与え、影響が深刻なのは、電池がサイクル中に膨張し、隣接する電池が膨張した後に互いに押圧するため、電池性能の悪化を起こし、深刻な場合に、安全上の問題を起こすことである。
【0004】
関連技術において、電池の膨張を軽減するために、電池パック/電池モジュール内の隣接する電池の間に一定の隙間を残すことが現在最もよく研究されているが、隙間は、電池パックの内部空間を占め、電池パック内の電池の数が大きく、残された隙間が大き過ぎ、2つの隣接する電池の間にいずれも隙間を残すと、必ず電池パックの空間利用率を大幅に低下させ、その一方、隙間が小さ過ぎると、電池の膨張を効果的に軽減することができない。したがって、電池の膨張を軽減するだけでなく、電池パックの内部空間を過度に占めないようにし、さらに電池パックの総合性能を最大化するように、どのように隣接する電池の間の隙間を合理的に設計するかは、現在早急に解決すべき課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくとも上記問題を解決するために、本願は、電池の膨張を軽減し、電池のサイクル寿命を長くするだけでなく、電池パックの配置空間を十分に利用することができる電池パックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の態様に係る電池パックは、複数の電池を含む電池列を少なくとも1つ含み、前記電池の厚さは、第1の方向に沿って延び、複数の前記電池は、前記第1の方向に沿って順に配列されて前記電池列を形成し、少なくとも1つの前記電池は、ケースと、前記ケース内に封止された電極体とを含み、少なくとも2つの隣接する電池の間に隙間があり、該隙間と前記電池の厚さとの比率は、cであり、cは、(a-b)<c<(a×t)という関係式を満たし、
ここで、aは、前記電池の膨張率を示し、
bは、前記電極体の圧縮率を示し、
tは、前記電池の有効圧縮後の厚さと前記電池の圧縮前の厚さとの百分率を示す。
【0007】
本願のいくつかの実施形態において、aは、電池の第1の方向における膨張率を示し、bは、電極体の第1の方向における圧縮率を示す。
【0008】
本願のいくつかの実施形態において、a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%であり、
b=(電極体の圧縮前の厚さ-電極体の圧縮後の厚さ)/電極体の圧縮前の厚さ×100%であり、
t=電池の有効圧縮後の厚さ/電池の圧縮前の厚さ×100%である。
【0009】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の膨張前の厚さは、前記電池の使用前の初期厚さであり、前記電池の膨張後の厚さは、前記電池の容量がその初期容量の80%以下に減衰する時に測定された厚さである。
【0010】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースは、開口部を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートと前記ケース本体の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記電池の膨張前の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法であり、
前記電池の膨張後の厚さは、第1の方向に沿って前記電池を仮想的に挟持する2つの平行平面の間の間隔である。
【0011】
本願のいくつかの実施形態において、bは、前記電極体の第1の方向における限界圧縮率を示し、前記電極体の圧縮後の厚さは、前記電極体の圧縮破壊前の限界厚さである。
【0012】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の有効圧縮後の厚さは、前記電極体の圧縮後の限界厚さよりも大きい。
【0013】
本願のいくつかの実施形態において、前記電極体の圧縮前の厚さは、前記電極体の使用前の初期厚さであり、前記電極体の圧縮後の厚さは、前記電極体の圧縮後の、前記電極体の第1の方向に沿った2つの反対側に位置する表面の間の平均距離である。
【0014】
本願のいくつかの実施形態において、前記電極体の圧縮後の厚さは、前記電極体に圧力Pが加えられ、所定時間後に測定された前記電極体の厚さである。
【0015】
本願のいくつかの実施形態において、前記圧力は、前記第1の方向に沿って前記電極体の外面に加えられ、P=0.5Mpa~0.7MPaであり、前記所定時間T=60s~180sである。
【0016】
本願のいくつかの実施形態において、a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%であり、
b=(電池の使用前の初期厚さ-電極体の圧縮後の厚さ)/電池の使用前の初期厚さ×100%であり、
t=電池の有効圧縮後の厚さ/電池の圧縮前の厚さ×100%である。
【0017】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の圧縮前の厚さは、前記電池の圧縮前の、直流内部抵抗がrである時に測定された厚さであり、
前記電池の有効圧縮後の厚さは、前記電池に圧力Pが加えられ、前記電池の直流内部抵抗がrである時に測定された厚さであり、rとrは、(r-r)/r×100%=2%~8%を満たす。
【0018】
本願のいくつかの実施形態において、前記圧力Pは、前記第1の方向に沿って前記電池の外面に加えられる。
【0019】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の圧縮前の厚さは、前記電池の充電状態が20%SOC~80%SOCである場合に、圧縮前に測定された厚さであり、前記電池の有効圧縮後の厚さは、前記電池の充電状態が20%SOC~80%SOCである場合に、圧縮後に測定された厚さである。
【0020】
本願のいくつかの実施形態において、前記隣接する2つの電池の間の隙間は、隣接する2つの電池の使用前の隙間であり、前記電池の厚さは、電池の使用前の初期厚さである。
【0021】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースは、開口部を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートと前記ケース本体の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第1の隙間を含み、前記第1の隙間は、前記2つの隣接する電池の、同一の側に位置する2つのカバープレートの間の最小距離であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である。
【0022】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースは、開口部を有するケース本体と、カバープレートとを含み、前記カバープレートと前記ケース本体の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、前記電極体は、前記収容キャビティ内に位置し、
前記電池は、前記第1の方向に沿って2つの反対側に位置する第1の表面を有し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第2の隙間を含み、前記第2の隙間は、前記2つの隣接する電池の反対側に位置する2つの第1の表面の間の最小間隔であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第1の方向に沿った寸法である。
【0023】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の使用前の第2の隙間は、前記電池の使用後の第2の隙間よりも大きい。
【0024】
本願のいくつかの実施形態において、aの値の範囲は、5.8%~17.5%であり、bの値の範囲は、3.21%~8.8%であり、tの値の範囲は、81%~97%である。
【0025】
本願のいくつかの実施形態において、前記電池の長さは、第2の方向に沿って延び、前記電池の長さは、400~2500mmであり、前記第2の方向は、前記第1の方向と異なる。
【0026】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケース内に封止された電極体は、複数あり、複数の前記電極体は、複数の電極体群に分けられ、前記電極体群は、直列接続される。
【0027】
本願のいくつかの実施形態において、前記ケースと前記電極体との間に封止膜がさらに設けられ、前記電極体は、封止膜内に封止される。
【0028】
本願の第2の態様に係る車両は、上記電池パックを含む。
【0029】
本願の第3の態様に係るエネルギー貯蔵装置は、上記電池パックを含む。
【発明の効果】
【0030】
上記技術手段によれば、本願は、以下の有益な効果を達成する。電池の膨張に緩衝空間を提供するために、隣接する電池の間に隙間を残す時、電池の膨張率と、電極体の圧縮率と、電池性能に有利な圧縮厚さなどの多くの要因の影響を総合的に考慮するとともに、上記多くの要因の影響に対して合理的な特定設計を行うことにより、電池の間の隙間の設計は、より科学的、より合理的になる。上記関係式に基づいて隙間を残すと、電池の間の隙間を大きく設定して電池パックの空間を無駄にすることがなく、電池の間の隙間を小さく設定して緩衝作用を果たさないこともない。これにより、電池パックの耐用年数を延長するだけでなく、電池パックの空間利用率を兼ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本願に係る電池パックの概略図である。
図2】本願に係る電池列の概略図である。
図3】本願に係る電池の概略図である。
図4】本願に係る電池の断面図である。
図5】本願に係る電池モジュールの概略図である。
図6】本願に係る電池パックのブロック図である。
図7】本願に係る車両のブロック図である。
図8】本願に係るエネルギー貯蔵装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願に係る電池パック200は、複数の電池100を含む電池列201を少なくとも1つ含み、電池100の厚さは、第1の方向(図において、Aは、第1の方向を示し、Bは、第2の方向を示す)に沿って延び、複数の電池100は、第1の方向に沿って順に配列されて電池列201を形成し、少なくとも1つの電池200は、ケース101と、上記ケース101内に封止された電極体102とを含み、少なくとも2つの隣接する電池100の間に隙間があり、該隙間と電池100の厚さとの比率は、cであり、cは、(a-b)<c<(a×t)という関係式を満たし、ここで、aは、上記電池100の膨張率を示し、bは、上記電極体102の圧縮率を示し、tは、上記電池100の有効圧縮後の厚さと上記電池100の圧縮前の厚さとの百分率を示す。
【0033】
本願では、電池パック200は、1つ以上の電池列201を含んでもよく、複数の電池列201を含む場合、複数の電池列201は、直列接続及び/又は並列接続されて電池パック200を形成し、各電池列201は、2つ以上の電池100を含み、実際の製造において、電池100の数及び電池列201の数は、実際の必要に応じて設定されてもよく、本願では限定されない。
【0034】
電池100の厚さが第1の方向に沿って延び、複数の電池100が第1の方向に沿って順に配列されることは、少なくとも1つの電池列201において、複数の電池100がそれらの厚さ方向に沿って配列され、電池100の厚さ方向において反対側に位置する2つの表面の面積が最も大きく、電池100が厚さ方向に沿って配列されると理解されてもよく、換言すれば、電池100は、大面が大面に対向するように順に配列され、面積の大きい表面がより膨張しやすいため、電池100の間に設けられた一定の隙間は、電池100の膨張に緩衝空間を残すことができる。
【0035】
電池100が膨張する時に発熱し、電池100の間に一定の隙間を残すと、該隙間は、また放熱通路、例えば、空気ダクトとして機能することができ、電池100の面積の大きい面の放熱効果がより高いため、電池パック200又は電池モジュール300の放熱効率を向上させ、さらに電池パック200の安全性能を向上させることができる。
【0036】
上記解決手段において、隣接する2つの電池100の間に隙間を残すことは、電池100の間にいかなる構造部材が設けられず、単に一定の空間を残すと理解されてもよく、隣接する2つの電池100の間に他の構造部材が設けられることにより電池100と電池100とが該構造部材によって隔てられると理解されてもよい。
【0037】
なお、隣接する2つの電池100の間に構造部材が設けられる場合、電池100の間の隙間は、該構造部材と電池100との間の間隔ではなく、該構造部材の両側の電池100の間の距離であると理解すべきである。
【0038】
なお、構造部材と該構造部材の両側の電池100とは、それらの間に一定の隙間を残してもよく、直接接触してもよく、構造部材がその両側の電池100と直接接触する場合、構造部材は、電池100の膨張に緩衝作用を果たすことができるように、一定の可撓性を有する必要がある。
【0039】
構造部材としては、エアロゲル、熱伝導性構造用接着剤又は断熱綿を含むが、これらに限定されない。
【0040】
本願では、電池パック200が複数の電池列201を含む場合、隣接する2つの電池の間の隙間は、異なる2つの電池列201における隣接する2つの電池100の間の間隔ではなく、同一の電池列201における隣接する2つの電池100の間の間隔を指す。当然のことながら、異なる電池列201における隣接する2つの電池100の隙間は、上記関係式を参照して設定されてもよく、本願では、これは限定されない。
【0041】
同一の電池列201において、隣接する2つの電池100の間にいずれも一定の隙間を残してもよく、一部の隣接する2つの電池100の間に一定の隙間を残してもよい。
【0042】
なお、隣接する2つの電池100の隙間は、電池100の動作時間の増加に伴って変化するが、動作中又は動作後又は電池100の出荷前のいずれであっても、隣接する2つの電池100の隙間が上記関係式を満たす技術手段であれば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0043】
本願では、電池100は、全固体電池又はゲルポリマー電池であってもよく、液体電池であってもよく、パウチ電池であってもよく、角型電池であってもよく、電極体102は、正極板、固体電解質層及び負極が順に巻回されるか又は積層されて形成された電極アセンブリを含み、或いは、電極体102は、正極板、セパレータ、負極が順に巻回されるか又は積層されて形成された電池アセンブリを含む(電極体102は、電解液をさらに含む)。
【0044】
電池100の膨張は、電池100の厚さに関連し、電池100の厚さが大きいほど、電池100が膨張しやすいため、隣接する2つの電池100の間の隙間を設定する時に電池100の厚さを考慮する必要がある。
【0045】
電池100の劣化中に、電池100の容量の減衰に伴って、電池100のケース101の内部の電極体102の厚さは、徐々に増加し、電池100は、膨張し、異なる電気化学システムにおける電池100の膨張性能が異なり、電池100の膨張率aは、電池100の膨張性能を特徴付け、パラメータaが大きいほど、電池100が膨張しやすく、パラメータaが小さいほど、電池100が膨張しにくい。電池100の膨張性能aが直接電池100の耐用年数に影響を与えるため、隣接する2つの電池100の間の隙間を設定することは、電池100の膨張性能を十分に考慮する必要がある。
【0046】
電池100が膨張する時に、ケース101の内部に位置する電極体102の自由膨張は、一定の拘束を受け、ケース101によって拘束されるため、電極体102は、その膨張方向において圧縮されることに相当し、異なる電気化学システムにおける電極体102の圧縮可能性が異なり、電極体102の圧縮率bは、電極体102の圧縮性能を特徴付け、セルの耐用年数と電極体102の圧縮可能程度とは直接関係があり、bが小さ過ぎると、電極体102が過度に圧縮され、電池100の耐用年数の減少を加速し、優れたb値は、電池100の正常な電気化学的寿命の実現に有利となる。したがって、残された隙間を設定する時、電極体102の圧縮性能の影響を総合的に考慮する必要がある。
【0047】
電池100が膨張すると、電池100の内部の正極板、負極板及びセパレータの間に隙間が生じ、互いに密着せず、リチウムイオンの物質移動抵抗を増加させ、リチウムイオンの伝播に不利となる。したがって、隣接する2つの電池100の間の適度な押圧は、電池100内の界面に対して整形作用を果たし、正極板、セパレータ及び負極板が密着されることを保証し、リチウムイオンの物質移動抵抗を低下させ、リチウムイオンの伝達速度を向上させ、電池100の内部動力学を促進し、電池100の耐用年数を延長することができ、パラメータtは、電池100の耐用年数に対する電池100の膨張応力の延長作用を特徴付ける。なお、電池の有効圧縮後の厚さは、電池が最適な性能を保持し、かつ電池が最大圧縮可能量だけ圧縮される時の電池の厚さであってもよい。
【0048】
本願の発明者は、複数回の実験により、以下のことを見出した。c≦(a-b)である場合、サイクルに伴って電池100の容量の減衰が加速する現象が生じることが多い。
c>a×tである場合、サイクルに伴って電池100の容量の減衰が加速し、かつガスを発生させ、膨張が起こる現象を伴う。
【0049】
本願の発明者は、以上の因子を総合的に考慮し、複数回の実験により、隣接する2つの電池100の間の隙間と電池100の厚さとの比であるcを上記範囲、即ち、(a-b)<c<(a×t)に限定する場合、電池100の間に残された隙間は、電池100の自由膨張の需要を満たし、隣接する電池100が過度に押圧して、電池100のケース101の不均一な応力を起こし、リチウム析出及び電池100の大幅な減衰などの現象の発生を回避し、電池100のサイクル寿命を延長することができるだけでなく、電池100の間に残された隙間が大き過ぎて、電池100の配置空間を無駄にし、電池パック200の体積利用率を低下させることを回避することができ、また、該隙間の設定により、隣接する電池100の間に適度な押圧空間を提供し、電極体102の内部界面の密着性をより高くすることを保証し、電池100のリチウムイオンの物質移動能力を向上させ、電池100の総合性能を向上させることができることを見出した。
【0050】
電池100が膨張すると、電池100の体積は、電池100の長さ、幅及び厚さなどの各方向に同時に膨張し、電池100及び電極体102の各方向における膨張率が異なり、圧縮率も異なるが、電池100及び電極体102に対して、長さ方向における膨張率又は圧縮率でも、厚さ方向における膨張率又は圧縮率でも、幅方向における膨張率又は圧縮率でも、本願に係る関係式を満たせば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0051】
電池100の厚さ方向において反対側に位置する2つの表面は、面積が大きいため、膨張又は収縮がより明らかである。したがって、本願の一実施形態において、aは、電池100の第1の方向における膨張率を示し、それに応じて、bは、電極体102の第1の方向における圧縮率を示し、電池100の厚さ方向は、第1の方向に平行であり、電極体102の厚さ方向は、第1の方向に平行である。
【0052】
本願のいくつかの実施形態において、電池100の第1の方向における膨張率の計算式は、
a=(電池100の膨張後の厚さ-電池100の膨張前の厚さ)/電池100の膨張前の厚さ×100%であり、
電極体102の第1の方向における圧縮率の計算式は、
b=(電極体102の圧縮前の厚さ-電極体102の圧縮後の厚さ)/電極体102の圧縮前の厚さ×100%であり、
隣接する2つの電池100の間の隙間と電池100の膨張前の厚さとの比率の計算式は、
c=隣接する2つの電池100の間の隙間/電池100の使用前の初期厚さであり、
tの計算式は、
t=電池100の有効圧縮後の厚さ/電池100の圧縮前の厚さ×100%である。
【0053】
上記解決手段において、電池100の膨張前の厚さは、電池100の使用前の初期厚さであると理解されてもよく、電池100の膨張後の厚さは、電池100の使用後の厚さであると理解されてもよい。
【0054】
「使用前」は、電池100が組み立てられた後に出荷される前、又は出荷されたが、外部への電力供給が開始される前であると理解されてもよく、「使用後」は、電池100が外部に電力を供給した後であると理解されてもよい。例えば、電池パック200が電気自動車に組み立てられている場合、使用前の状態は、新車の状態であると理解されてもよく、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0055】
いくつかの実施形態において、電池100の膨張後の厚さは、電池100の容量がその初期容量の80%以下に減衰する時に測定された厚さであり、電池100の容量がその初期容量の80%以下に減衰する場合、電池100は、電池100の寿命の末期にあり、この時に充電能力が最も弱く、特に、膨張力による影響が最も大きく、電池100の容量がその初期容量の80%以下に減衰する時に測定された厚さが上記関係式を満たす場合、電池100が寿命サイクル全体を通じて正常に動作することを保証することができる。したがって、本願の電池100の膨張後の厚さは、電池100の容量がその初期容量の80%以下に減衰する時に測定された厚さであってもよい。
【0056】
初期容量は、電池100の使用前の容量を指し、「使用前」は、上記説明と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0057】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101は、開口部を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、カバープレート1011とケース本体1012の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、電極体102は、収容キャビティ内に位置する。
【0058】
ケース本体1012は、一端のみが開口してもよく、それに応じて、カバープレート1011は、1つのみあり、ケース本体1012は、両端が開口してもよく、それに応じて、カバープレート1011は、2つある。
【0059】
上記実施形態において、カバープレート1011は、強度が高いため、ケース本体1012に比べて、膨張しにくく、電池100が一定の時間動作した後、内部で化学反応が発生しても、カバープレート1011の膨張を無視することができるため、電池100の膨張前の初期厚さ又は電池100の使用前の初期厚さは、カバープレート1011の第1の方向に沿った寸法にほぼ等しいとみなすことができ、即ち、カバープレート1011の電池100の厚さ方向に沿った寸法は、電池100の厚さにほぼ等しい。
【0060】
電池100は、一定の時間使用された後に、電池100の厚さ方向において反対側に位置する2つの表面が明らかに膨張し、かつこれらの表面の中心に近いほど、電池100の膨張がより明らかであり、この時に、電池100の各点の厚さは、一致せず、電池100の膨張後の厚さを実際に測定する場合、以下の2種類の測定方法を用いることができる。
【0061】
方法1、電池100の平均厚さを計算する。電池100のケース本体1012において一定の間隔でn個の点を任意に選択し、それぞれn個の点の厚さを測定し、それぞれd1、d2、d3……dnとし、電池100の膨張後の厚さは、d=(d1+d2+d3+……dn)/nである。該方法では、nが大きいほど、n個の点の分布がより均一になり、計算した結果の誤差がより小さく、本実施形態において、n≧5である。
【0062】
方法2、電池100の膨張後の厚さは、第1の方向に沿って上記電池100を仮想的に挟持する2つの平行平面の間の間隔であると理解されてもよいため、換言すれば、電池100の厚さ方向において反対側に位置する2つの表面の間の最大距離、即ち、電池100の膨張の最も明らかな点の厚さを測定して、電池100の膨張後の厚さにほぼ等しいとみなす。実際の測定において、まず表面が平らな2枚の板により第1の方向に沿って電池100の2つの表面をそれぞれ挟持し、互いに平行であるように2枚の板を保持し、2枚の板の間の距離を電池100の膨張後の厚さとする。
【0063】
「挟持」は、板が電池100のケース本体1012の表面に密着するが、板がケース本体1012に付勢力を加えず、つまり、板とケース本体1012とが互いに押圧されないと理解すべきである。
【0064】
以上の2種類の方法は、参考のためのものに過ぎず、本願は、電池100の膨張後の厚さの測定方法を限定せず、実際の応用において、他の方法で測定された電池100の膨張後の厚さは、上記関係式を満たせば、いずれも本出願の保護範囲内にある。
【0065】
上記解決手段において、電極体102の圧縮前の厚さは、電極体102の使用前の初期厚さであり、「電極体102の使用前」は、正極、セパレータ、負極が順に積層されるか又は巻回されて形成された電極アセンブリが、電池100のケース101に挿入される前の、該電極アセンブリの第1の方向に沿った厚さであると理解されてもよく、電極体102がケース101に挿入されており、かつ電池100が一定の時間使用された後、ケース101の内部の電極体102は、徐々に膨張し、電極体102の初期厚さを測定しにくく、電極体102の圧縮率を容易に計算するために、以下の2種類の方法を用いて電極体102の初期厚さを近似的に計算することができる。
【0066】
方法1、電極体102の初期厚さ=電池100の使用前の初期厚さ-2×ケース101の厚さである。
電極体102がケース101に挿入された初期に、電極体102は、必ずしもケース101の内面と完全に密着するとは限らなず、電極体102とケース101の内面との間に隙間があるが、電池100の容量を増加させるために、一般的に、該隙間を非常に小さくし、無視することができるため、方法1で計算した電極体102の初期厚さの誤差は小さい。
該方法では、電池100の使用前の初期厚さは、上記説明を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0067】
方法2、電池100の使用前の初期厚さで電極体102の初期厚さを代替して電極体102の圧縮率を近似的に計算する。
電極体102の圧縮率b=(電池100の使用前の初期厚さ-電極体102の圧縮後の厚さ)/電池100の使用前の初期厚さ×100%である。
電池100が組み立てられた直後に出荷される前に、ケース101内の電極体102とケース101との間の隙間は、一般的に小さく、ケース101の厚さも小さく、電極体102の初期厚さは、電池100の初期厚さにほぼ等しいとみなされてもよく、計算を容易にするために、電極体102の圧縮率を計算する式において、電池100の使用前の初期厚さで電極体102の初期厚さを代替して電極体102の圧縮率を近似的に計算することができる。
電極体102の圧縮後の厚さは、電極体の圧縮後の、電極体の第1の方向において反対側に位置する2つの表面の間の平均距離である。該平均距離の測定方式について、上記方法1における電池の膨張後の厚さの測定を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0068】
上記2種類の方法は、参考のためのものに過ぎず、本願は、電極体102の初期厚さ及び電極体の圧縮後の厚さの測定方法を限定せず、他の方法で得られた電極体102の初期厚さは、上記関係を満たせば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0069】
本願のいくつかの実施形態において、bは、電極体102の厚さ方向における限界圧縮率を示し、電極体102の圧縮後の厚さは、電極体102の圧縮破壊前の限界厚さであり、該限界厚さは、電池100のライフサイクルの任意の時点で、電極体102を最大限に圧縮した後に測定することができる。
【0070】
即ち、電極体の厚さ方向における限界圧縮率b=(電極体の圧縮前の厚さ-電極体の限界厚さ)/電極体の圧縮前の厚さ×100%である。
【0071】
電極体102の圧縮破壊前の状態は、電極体102の限界状態であり、限界状態にあることは、電極体102がこのような状態に圧縮された後、電池100の容量減衰が加速する状況が発生することであると理解されてもよい。
【0072】
隣接する電池100の間の隙間を設定する場合、電池100の使用中にその膨張による電極体102への押圧を十分に考慮する必要がある。電極体102の限界圧縮率は、電極体102が一定程度の押圧を適切に受けることができることを特徴付け、電極体102の限界圧縮率の範囲内で、隣接する2つの電池100が互いに押圧しても、電池100の性能を損傷することがなく、電極体102の圧縮の限界厚さを超えると、電極体102が圧縮され続けることができないを示し、圧縮され続けると電極体102が深刻に損傷し、電池100の性能が悪化し、電池100の耐用年数が減少する。
【0073】
これに鑑み、電池100の間の隙間は、電極体102の圧縮率が電極体102の限界圧縮率の範囲内にあるように残されればよい。これにより、電池100の間の隙間を合理的に設計することができる。
【0074】
電極体102において、正極板又は負極板の活物質層が充放電時に膨張又は収縮するため、活物質層からの活物質の剥離、脱落が発生し、これは、内部短絡の原因となる。また、上記活物質層の膨張又は収縮は、さらに、正極板と負極板とセパレータとの間の不密着を引き起こし、リチウムイオンの物質移動に影響を与え、電池100の内部抵抗が増加し、電池100のサイクル特性が悪くなる。したがって、活物質層の膨張又は収縮を防止するために、電池100への一定程度の押圧は、活物質層のさらなる膨張を防止することにより、膨張した場合に正極板と負極板とセパレータとは、依然として密着し、リチウムイオンの物質移動能力に影響を与えず、電池100のサイクル性能の向上に有利となる。
【0075】
したがって、隣接する電池100の間の隙間が大きいほど好ましいことではなく、該隙間が大きいほど、電池パック200のエネルギー密度の向上に不利となるだけでなく、電池100のサイクル性能のさらなる悪化を引き起こす。隣接する電池100の間の隙間を設定する場合、隣接する電池100の互い押圧を適度に考慮することは、明らかに、電池100のサイクル性能の発揮に有利となる。
【0076】
電池100の有効圧縮後の厚さは、電池100の性能を促進する前提で電池100を圧縮した後に測定した厚さである。
【0077】
電池100の有効圧縮後の厚さは、電極体102の圧縮後の限界厚さよりも大きい。これは、電池100の電極板とセパレータとの間に一定の隙間があり、これらの隙間は、電池100の内部のリチウムイオン輸送の抵抗を増加させ、有効圧縮は、主に、電池100の電極板とセパレータとの間の隙間を除去し、抵抗を低下させるという役割を果たし、その一方、限界厚さは、電池100の限界圧縮状態で、電池100の電極板とセパレータとの間の隙間が除去されるだけでなく、正極板及び負極板中の孔隙がさらに圧縮された場合の厚さであり、電池100の厚さもさらに減少するため、電池100の有効圧縮後の厚さは、電極体102の圧縮後の限界厚さよりも大きい。
【0078】
本願では、電池100のライフサイクルは、電池100の製造終了時から電池100の容量がその初期容量の80%に減衰する時までの時間である。
【0079】
電池100の製造終了とは、電池100が組み立てられた後に出荷される前、又は出荷されたが、外部への電力供給が開始される前を指す。
【0080】
つまり、電極体102の圧縮率を測定する場合、電池100の使用前に測定してもよく、電池100の使用後に測定してもよい。
【0081】
電極体102の圧縮後の厚さの測定方法について、上述した電池100の膨張後の厚さの測定方法を参照することができる。
【0082】
本願のいくつかの実施形態において、電極体102の圧縮後の厚さは、上記電極体102に圧力Pが加えられ、所定時間後に測定された上記電極体102の厚さである。
【0083】
本願のいくつかの実施形態において、圧力Pは、第1の方向に沿って電極体102の外面に加えられ、P=0.5Mpa~0.7MPaであり、所定時間T=60s~180sである。電極体102の厚さ方向は、第1の方向に平行である。
【0084】
本願のいくつかの実施形態において、電極体102の圧縮率の測定方法は、
電極体102の使用前の初期厚さbを取得し、該初期厚さを電極体102の圧縮前の厚さとするステップS1と、
ステップS1における電極体102に圧力Pを加え、所定時間t後、電極体102の厚さbを取得し、b=(b-b)/b×100%であるステップS2とを含む。
【0085】
ステップS1において、電極体102の使用前の厚さbは、上記2種類の方法で得ることができるため、ここでは説明を省略する。
【0086】
ステップS2において、電池100のライフサイクルの任意の時点で、電極体102をケース101から外し、電極体102の表面に一定の圧力を加えることができる。
【0087】
電池100が膨張すると、電極体102の厚さ方向における2つの表面は、ケース101の拘束により、最も大きな圧縮量を受け、電極体102の厚さ方向における2つの表面は、表面積が大きくて、耐圧縮性能が高いため、ステップS2において、いくつかの実施形態において、圧力は、電極体102の厚さ方向に沿って加えられ、本実施形態において、圧力の大きさP=0.5Mpa~0.7MPaであり、所定時間T=60s~180sであり、該範囲内で、圧力の大きさと圧縮時間とは、電極体102が最大限に圧縮されるが性能が悪化しないことを保証することができる。
【0088】
本願では、パラメータtは、電池100の性能に有益な圧縮を特徴付ける。実際の製造において、どんな圧縮厚さ(即ち、有効圧縮後の厚さ)が電池100の性能に有益であるかをどのように判定するかは、当業者が実際の製造状況に応じて決定することができ、例えば、交流抵抗の電荷移動抵抗(Rct)を測定することにより有効圧縮後の厚さを計算することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、電池100の圧縮前の厚さは、該電池100の圧縮前の直流内部抵抗がrである時に測定された厚さであり、
電池100の有効圧縮後の厚さは、該電池100に圧力Pが加えられ、電池100の直流内部抵抗がrである時に測定された厚さであり、rとrは、(r-r)/r×100%=2%~8%を満たす。
【0090】
本願の具体的な実施形態において、測定を容易にするために、電池100の直流内部抵抗を利用して電池100の有効圧縮厚さを判定することができる。
【0091】
いくつかの実施形態において、パラメータtの測定方法は、
電池100の圧縮前の厚さt及び圧縮前の直流内部抵抗rを取得するステップS1と、
ステップS1における電池100に圧力Pを加え、電池100の直流内部抵抗がrである時の電池100の圧縮後の厚さtを取得し、tが、電池100の有効圧縮後の厚さであり、rとrが、(r-r)/r×100%=2%~8%を満たすステップS2とを含む。
【0092】
tの計算式は、t=t/t×100%である。
【0093】
上記測定方法において、電池100の圧縮前の厚さtは、電池100のライフサイクル内の任意の時点での厚さであってもよく、電池100の圧縮後の厚さtは、電池100のライフサイクル内の任意の時点での圧縮後の厚さであってもよい。
【0094】
ステップS2において、圧力Pの大きさは、限定されず、(r-r)/r×100%=2%~8%を満たせばよく、電池100の有効圧縮後、電極体102の内部の、電極板とセパレータとの間の隙間は、除去され、電池100の内部抵抗rは、低下し、リチウムイオン輸送に有利となるため、電池100の性能を促進することができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、電池100の圧縮前の厚さは、電池100の充電状態が20%SOC~80%SOCである場合に、電池100の圧縮前に測定された厚さであり、電池100の圧縮後の厚さは、電池100の充電状態が20%SOC~80%SOCである場合に、電池100の圧縮後に測定された厚さである。電池100の充電状態が20%SOC~80%SOCである時に、電池100の直流内部抵抗を正確に測定し、電池100の性能に有益な圧縮量をより正確に定量分析することができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、圧力は、上記電池100の厚さ方向に沿って加えられ、圧力の加え時間T2=60s~180sである。
【0097】
本願に係る電池パック200において、ケース101は、開口部を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、カバープレート1011とケース本体1012の両端の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、電極体102は、上記収容キャビティ内に位置する。
【0098】
2つの電池100の間の隙間は、第1の隙間を含み、第1の隙間は、2つの隣接する電池100の、同一の側に位置する2つのカバープレート1011の間の最小距離であり、電池100の厚さは、カバープレート1011の上記第1の方向に沿った寸法である。
【0099】
上記実施形態において、カバープレート1011は、強度が高いため、ケース本体1012に比べて、膨張しにくく、電池100が一定の時間動作した後、内部で化学反応が発生し、電池100が膨張して、隣接する電池100を押圧し、第1の隙間が変化しても(例えば、徐々に大きくなる)、該変化が小さく、無視することができ、或いは、変化しても、第1の隙間と電池100の厚さとの比率は、依然として上記関係式を満たす。
【0100】
上記実施形態において、ケース本体1012の両端にそれぞれカバープレート1011が設けられ、電池100が厚さ方向に沿って電池列201になるように配列される場合、2つの電池100の間の隙間とは、電池100の異なる端に位置する2つのカバープレート1011の間の間隔ではなく、電池列201の同一の端に位置する2つのカバープレート1011の間の最小間隔を指す。
【0101】
本願のいくつかの実施形態において、電池100は、第1の方向に沿って2つの反対側に位置する第1の表面を有し、2つの隣接する電池100の間の隙間は、第2の隙間を含み、第2の隙間は、2つの隣接する電池100のケース101の互いに対向する2つの第1の表面の間の最小間隔であり、電池100の厚さは、カバープレート1011の第1の方向に沿った寸法である。
【0102】
本出願のいくつかの実施形態において、電池100の使用前の第2の隙間は、電池100の使用後の第2の隙間よりも大きく、「使用前」は、電池100が組み立てられた後に出荷される前、又は出荷されたが、外部への電力供給が開始される前であると理解されてもよく、「使用後」は、電池100が外部に電力を供給した後であると理解されてもよい。例えば、電池100が組み立てられて電池パック200が形成され、かつ電気自動車に搭載されている場合、使用前の状態は、新車の状態であると理解されもよく、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0103】
該実施形態において、第2の隙間とは、2つの隣接する電池100の対向する2つの第1の表面の間の最小間隔を指し、該間隔は、電池100の使用時間の増加に伴って徐々に小さくなり、これは、主に、電池100が膨張した後、隣接する2つの大面の間の間隔が徐々に小さくなるためである。
【0104】
本願に係る電池パック200において、aの値の範囲は、5.8%~17.5%である。
【0105】
bの値の範囲は、3.21%~8.8%であり、b<3.21%である場合、セルは、圧縮可能性が低く、膨張力によりサイクル劣化が起こりやすく、b>8.8%である場合、セルの圧縮量は、大き過ぎ、これは、元の電極体102内の隙間が大き過ぎ、容量の減衰も激しくなりやすく、ガス発生を伴うことを証明する。
【0106】
tの値の範囲は,81%~97%であり、t<81%である場合、電池の電極体102内の隙間が多く、電池100の有効圧縮量が大きいことを示す。t>97%である場合、電池の電極体102の内部の余分な隙間が少なく、電池100の有効圧縮量が小さいことを示す。
【0107】
本発明に係る電池パック200において、電池100の長さは、第2の方向に沿って延び、電池100の長さは、400~2500mmであり、本願のいくつかの実施例において、電池100の長さは、600~1000mmであり、本願のいくつかの実施例において、電池100の長さは、1000mm~2000mmであり、本願のいくつかの実施例において、電池100の長さは、1300mm~2200mmである。
【0108】
本願では、長さが400mmよりも大きい電池100により適し、電池100が膨張すると、隣接する2つの電池100のケース101が接触し、接触した部位は、電池100の内部に対して電極体102に向かう圧力を加え、電池100が長いほど、現在市販されている短い電池100に比べて、隣接する電池100の間の接触部位が長く、これは、長さ方向における異なる領域で電池100が受ける、内部の電極板に向かう押圧力の不均一な分布を起こしやすく、不均一な圧力分布は、電池100のリチウムイオン放出を起こしやすいため、電池100に安全上の問題又は容量の大幅減衰などが発生する。
【0109】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101内に封止された電極体102は、複数あり、複数の上記電極体102は、複数の電極体群に分けられ、電極体群は、直列接続される。
【0110】
換言すれば、ケース101内に複数の電極体群が直列接続され、各電極体群は、少なくとも1つの電極体102を含み、電池100内に複数の電極体群を設けることは、1つのみの電極体102を設ける従来の方法に比べて、長い電池100をより容易に製造することができる。一般的な場合に、電池100が長いと、それに応じて、内部の、集電体として使用された銅アルミニウム箔の長さは、増加し、電池100の内部抵抗を増大させ、電力及び急速充電についての高い要求が増加しつつあるのに対応できない。
【0111】
電池100の長さが同じである場合、ケース101の内部に複数の電極体群が設けられ、本実施例は、電池100内部の抵抗をさらに大幅に減少させ、高電力出力、急速充電などの場合の、電池100の過熱などによる問題を回避することができる。同時に、電池100の容量を増加させ、電池100の製造コストを削減することができる。
【0112】
本願のいくつかの実施形態において、ケース101と電極体102との間に封止膜がさらに設けられ、電極体102は、上記封止膜内に封止される。
【0113】
つまり、電極体102を封止膜内に封止してから、封止膜の外にケース101を覆設することにより、電極体102の二次封止を実現し、電池100の封止性能を向上させる。理解できるように、封止膜内に電解液がさらに注入される。したがって、上記方式により、さらに、電解液とケース101との接触を回避し、ケース101の腐食又は電解液の分解を回避することができる。
【0114】
上記解決手段において、封止膜は、一体的に設けられてもよく、複数の電極体102は、同一の封止膜内に封止され、電極体102は、複数の電極体群に分けられ、各電極体群は、少なくとも1つの電極体102を含み、同一の電極体群内の複数の電極体102は、並列接続され、電極体群は、直列接続される。これにより、電池100の容量を増加させ、製造コストを削減することができる。
【0115】
封止膜は、複数あってもよく、電極体群は、少なくとも1つの電極体102を含み、各封止膜内に1つの電極体群が封止されて電極体アセンブリが形成され、電極体アセンブリは、直列接続される。
【0116】
換言すれば、複数の電極体群の封止膜は、互いに独立し、封止膜の数と電極体群の数とは、1対1に対応し、各電極体群は、1つの封止膜に単独で封止され、このような実施形態において、複数の電極体群を製造した後、各電極体群の外に1つの封止膜を単独で覆い、その後に電極体アセンブリを直列接続してもよい。
【0117】
いくつかの実施例において、封止膜の材料は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)又は多層複合膜であってもよい。
【0118】
例えば、封止膜が多層複合膜である場合、封止膜は、積層された非金属外層膜及び非金属内層膜を含んでもよい。内層膜は、電極体102の外周に被覆され、外層膜は、非金属内層膜に被覆され、即ち、内層膜は、外層膜と電極体102との間に位置する。
【0119】
内層膜は、化学的安定性が高く、例えば、ポリプロピレンPP、ポリエチレンPE、ポリエチレンテレフタレートPET、又は上記材料のうちの複数種の組み合わせなど、耐電解液腐食性を有する材料を用いてもよい。
【0120】
外層膜は、保護層であり、外層膜を利用して空気、特に水蒸気、酸素などの浸透を阻止することができ、外層膜の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド又はポリプロピレン、又は上記材料のうちの複数種の組み合わせを用いってもよい。
【0121】
本願の実施例において、外層膜の融点が内層膜の融点よりも大きいため、熱融着して封止する場合、外層膜が溶融しないが、内層膜がタイムリーに溶融して優れた封止性を保証することができる。本願のいくつかの実施例において、外層膜と内層膜との融点差は、30℃~80℃であってもよく、例えば、両者の融点差は、50℃又は70℃などであってもよく、具体的な材料選択は、実際の必要に応じて決定することができる。
【0122】
本願の実施例において、非金属外層膜と非金属内層膜とは、接着剤で接着して複合される。具体的な接着剤は、非金属外層膜及び非金属内層膜の性能に応じて選択することができ、例えば、PP膜とPET膜を複合する場合、両者の適合性が低く、分離しやすいため、好ましくは、ポリオレフィン系接着剤で接着して、複合膜を形成する。
【0123】
別のいくつかの実施形態において、封止膜は、アルミニウムプラスチック複合膜であってもよい。
【0124】
本願では、電池100は、パウチ電池であってもよく、それに応じて、ケース101は、アルミニウムプラスチックフィルムであってもよく、電池は、ハードケース電池であってもよく、それに応じて、ケース101は、金属ケースであり、金属ケースは、アルミニウムケース又は鋼ケースを含むが、これらに限定されない。
【0125】
図5及び図2に示すように、本願の第2の態様に係る電池モジュール300は、複数の電池100を含む電池列201を少なくとも1つ含み、上記電池100の厚さは、第1の方向に沿って延び、複数の上記電池100は、上記第1の方向に沿って順に配列されて上記電池列201を形成し、少なくとも1つの上記電池100は、ケース101と、上記ケース101内に封止された電極体102とを含み、少なくとも2つの隣接する電池100の間に隙間があり、該隙間と上記電池100の厚さとの比率は、cであり、cは、(a-b)<c<(a×t)という関係式を満たし、
ここで、aは、上記電池100の膨張率を示し、
bは、上記電極体102の圧縮率を示し、
tは、上記電池100の有効圧縮後の厚さと上記電池100の圧縮前の厚さとの百分率を示す。
【0126】
本願のいくつかの実施形態において、aは、電池100の第1の方向における膨張率を示し、bは、電極体102の第1の方向における圧縮率を示す。
【0127】
いくつかの実施形態において、
a=(電池100の膨張後の厚さ-電池100の膨張前の厚さ)/電池100の膨張前の厚さ×100%であり、
b=(電極体102の圧縮前の厚さ-電極体102の圧縮後の厚さ)/電極体102の圧縮前の厚さ×100%であり、
t=電池100の有効圧縮後の厚さ/電池100の圧縮前の厚さ×100%である。
【0128】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100の膨張前の厚さは、上記電池100の使用前の初期厚さであり、上記電池100の膨張後の厚さは、上記電池100の容量がその初期容量の80%以下に減衰する時に測定された厚さである。
【0129】
本願のいくつかの実施形態において、上記ケース101は、開口部を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、上記カバープレート1011と上記ケース本体1012の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、上記電極体102は、上記収容キャビティ内に位置し、
上記電池100の膨張前の厚さは、上記カバープレート1011の上記第1の方向に沿った寸法であり、
上記電池100の膨張後の厚さは、第1の方向に沿って上記電池100を仮想的に挟持する2つの平行平面の間の間隔の最小値である。
【0130】
本願のいくつかの実施形態において、bは、上記電極体102の第1の方向における限界圧縮率を示し、上記電極体102の圧縮後の厚さは、上記電極体102の圧縮破壊前の限界厚さである。
【0131】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100の有効圧縮後の厚さは、上記電極体102の圧縮後の限界厚さよりも大きい。
【0132】
本願のいくつかの実施形態において、上記電極体102の圧縮前の厚さは、上記電極体102の使用前の初期厚さであり、上記電極体102の圧縮後の厚さは、上記電極体102の圧縮後の、上記電極体の第1の方向に沿った2つの反対側に位置する表面の間の平均距離である。
【0133】
本願のいくつかの実施形態において、上記電極体102の圧縮後の厚さは、上記電極体102に圧力Pが加えられ、所定時間後に測定された上記電極体102の厚さである。
【0134】
本願のいくつかの実施形態において、上記圧力は、上記第1の方向に沿って上記電極体102の外面に加えられ、P=0.5Mpa~0.7MPaであり、上記所定時間T=60s~180sである。
【0135】
本願のいくつかの実施形態において、a=(電池の膨張後の厚さ-電池の膨張前の厚さ)/電池の膨張前の厚さ×100%であり、
b=(電池の使用前の初期厚さ-電極体の圧縮後の厚さ)/電池の使用前の初期厚さ×100%であり、
t=電池の有効圧縮後の厚さ/電池の圧縮前の厚さ×100%である。
【0136】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100の圧縮前の厚さは、上記電池100の圧縮前の、直流内部抵抗がrである時に測定された厚さであり、
上記電池100の有効圧縮後の厚さは、上記電池100に圧力Pが加えられ、上記電池100の直流内部抵抗がrである時に測定された厚さであり、rとrは、(r-r)/r×100%=2%~8%を満たす。
【0137】
本願のいくつかの実施形態において、上記圧力は、上記第1の方向に沿って上記電池100の外面に加えられる。
【0138】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100の圧縮前の厚さは、上記電池100の充電状態が20%SOC~80%SOCである場合に、圧縮前に測定された厚さであり、前記電池100の有効圧縮後の厚さは、上記電池100の充電状態が20%SOC~80%SOCである場合に、圧縮後に測定された厚さである。
【0139】
本願のいくつかの実施形態において、上記隣接する2つの電池100の間の隙間は、隣接する2つの電池100の使用前の隙間であり、上記電池100の厚さは、電池100の使用前の初期厚さである。
【0140】
本願のいくつかの実施形態において、上記ケース101は、開口部を有するケース本体1012と、カバープレート1011とを含み、上記カバープレート1011と上記ケース本体1012の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように封止接続され、上記電極体102は、上記収容キャビティ内に位置し、
上記2つの隣接する電池100の間の隙間は、第1の隙間を含み、上記第1の隙間は、上記2つの隣接する電池100の、同一の側に位置する2つのカバープレート1011の間の最小距離であり、上記電池100の厚さは、上記カバープレート1011の上記第1の方向に沿った寸法である。
【0141】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100は、上記第1の方向に沿って2つの反対側に位置する第1の表面を有し、
上記2つの隣接する電池100の間の隙間は、第2の隙間を含み、上記第2の隙間は、上記2つの隣接する電池100のケース101の対向する2つの第1の表面の間の最小間隔であり、上記電池100の厚さは、上記カバープレート1011の上記第1の方向に沿った寸法である。
【0142】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100の使用前の第2の隙間は、上記電池100の使用後の第2の隙間よりも大きい。
【0143】
本願のいくつかの実施形態において、aの値の範囲は、5.8%~17.5%であり、bの値の範囲は、3.21%~8.8%であり、tの値の範囲は、81%~97%である。
【0144】
本願のいくつかの実施形態において、上記電池100の長さは、第2の方向に沿って延び、上記電池100の長さは、400~2500mmであり、上記第2の方向は、上記第1の方向と異なる。
【0145】
本願のいくつかの実施形態において、上記ケース101内に封止された電極体102は、複数あり、複数の上記電極体102は、複数の電極体群に分けられ、上記電極体群は、直列接続される。
【0146】
本願のいくつかの実施形態において、上記ケース101と上記電極体102との間に、封止膜がさらに設けられ、上記電極体102は、封止膜内に封止される。
【0147】
本願に係る電池モジュールは、耐用年数が長く、安全性能が高い。
【0148】
図6に示すように、本願の第3の態様に係る電池パック200は、上記電池モジュール300を含む。本願に係る電池パック200は、耐用年数が長く、安全性能が高く、体積利用率が高い。
【0149】
図7に示すように、本願の第4の態様に係る車両400は、上記電池パック200を含む。
【0150】
図8に示すように、本願の第5の態様に係るエネルギー貯蔵装置500は、上記電池パック200を含む。
【0151】
なお、本願の説明において、別に明らかな規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介した接続であってもよく、2つの部品の間の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0152】
本明細書の説明において、用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を示すことではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0153】
本願の実施例を例示し説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原則及び精神から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその等価範囲で限定される。
【0154】
以下に、具体的な実施例を参照しながら、本願をさらに説明し、これらの実施例は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願の使用範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0155】
図1図4に示すように、電池パック200は、トレイ202と、トレイ内に位置する電池列201とを含み、電池列201は、複数の電池100を含み、複数の電池100の厚さは、第1の方向Aに沿って延び、複数の電池100の長さは、第2の方向Bに沿って延び、複数の電池100は、第1の方向Aに沿って順に配列されて電池列201を形成し、隣接する2つの電池の間に隙間Sが設けられる。
【0156】
各電池100は、ケース(アルミケース)101を含み、アルミケース101は、両端が開口したケース本体1012と、2つのカバープレート1011とを含み、カバープレート1011とケース本体1012の開口部とは、封止された収容キャビティを形成するように接続され、電極体102は、上記収容キャビティ内に位置し、電極体102は、複数あり、各電極体は、封止膜(図示せず)内に封止され、各電極体は、電流を引き出す正極タブ1021及び負極タブ1022を含み、正極タブ1021と負極タブ1022とは、電極体の長さ方向に沿って電極体の反対側に位置する両端にそれぞれ設けられ、複数の電極体102は、電池の長さ方向に沿って順に配列されて電極体列を形成し、複数の電極体102が互いに直列接続されるように、隣接する2つの電極体102のうちの一方の電極体102の正極タブ1021は、他方の電極体102の負極タブに電気的に接続される。
【0157】
一、電池に関連するパラメータの測定方法
(1)電池の膨張率aの測定
電池パックを一定の時間動作させ、電池100のカバープレート1011の第1の方向A(電池の厚さ方向)に沿った寸法を測定し、電池の膨張前の初期厚さDとし、電池の、厚さ方向に沿って電池を仮想的に挟持する2つの平行平面の間の距離を測定し(明細書に記載された、電池の膨張後の厚さを測定する方法2を参照して測定する)、電池の膨張後の厚さd1とし、電池の膨張率a=(d1-D)/D×100%である。
(2)電極体の圧縮率bの測定
電極体をアルミケースから外し、電極体の圧縮前の厚さを電池の膨張前の初期厚さDで代替し、電極体を万能圧縮試験機に置き、第1の方向A(電極体の厚さ方向)に沿って0.7Maの圧力を加え、その後、電極体の、厚さ方向に沿って電極体を仮想的に挟持する2つの平行表面の間の距離を測定し(明細書に記載された、電池の膨張後の厚さを測定する方法2を参照して測定する)、圧縮後の厚さb1とし、電極体の圧縮可能率=(D-b1)/D×100%である。
(3)tの測定
電池の充電状態が80%SOCである時の電池の厚さt0を測定し(明細書に記載された電池の膨張後の厚さを測定する方法2を参照して測定する)、電池を1Cの電流で、30s充電し、電池の直流内部抵抗(DCIR)を測定し、DCIR=(充電前の電圧V1-充電終了後の最高点電圧V2)/電流であり、そして、電池を万能圧縮試験機に置き、電池の厚さ方向に沿って圧力を加え、上記方法で電池のDCIRを測定し(電池を1Cの電流で、30s充電し、DCIR=(充電前の電圧V1-充電終了後の最高点電圧V2)/電流である)、電池のDCIRが5%低下すると停止し、この時の電池の厚さt1を測定し、電池の有効圧縮比t=t1/t0である。
【0158】
二、電池パックのサイクル性能の試験
25℃で、実施例及び比較例の電池を0.75Cのレートで充電し、0.75Cのレートで放電し、満充電・満放電サイクル試験を行い、電池パック内の各電池の容量減衰を記録し、ある電池の容量が80%に低下すると停止する。サイクル数を出力する。正極材料がリン酸鉄リチウムの電池の電圧範囲は、2.5V~3.8Vであり、三次元電池の電圧範囲は、3V~4.2Vである。
【0159】
以下の実施例において、いずれもリン酸鉄リチウム電池を例とする。
【0160】
表1 実施例及び比較例の測定結果
【0161】
表中の実験データから分かるように、隣接する2つの電池の間の隙間と電池の厚さとの比率が本願において限定された範囲内にある場合、電池の耐用年数は、大幅に延長され、隙間が大き過ぎても、小さ過ぎても、いずれも電池の容量の減衰を起こす。
【符号の説明】
【0162】
200 電池パック
201 電池列
202 トレイ
300 電池モジュール
400 車両
500 エネルギー貯蔵装置
100 電池
101 ケース
1011 カバープレート
1012 ケース本体
102 電極体
1021 正極タブ
1022 負極タブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8