(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ホスフェート誘導体の合成
(51)【国際特許分類】
C07H 19/207 20060101AFI20240723BHJP
A61K 31/7076 20060101ALN20240723BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
C07H19/207
A61K31/7076
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2023076006
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2019569286の分割
【原出願日】2018-06-14
【審査請求日】2023-05-19
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517395747
【氏名又は名称】ニューカナ パブリック リミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン ケンノヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカタ ラクシュミー ナラシンハ ラーオ ダムマラパテ
(72)【発明者】
【氏名】マニ ブスハン コタラ
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特許第7248209(JP,B2)
【文献】特許第7279991(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0232501(US,A1)
【文献】国際公開第2016/098123(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/161137(WO,A1)
【文献】特表2008-533191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/10
C07H 19/207
C07F 9/24
A61K 31/7076
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアステレオマー的純度95%より大を有する式(Ib)
【化1】
のNUC-7738
の(S
p
)-ジアステレオマー又は(R
p
)-ジアステレオマーを調製する方法であって、
前記方法は、
工程a)
ジアステレオマー的純度95%より大を有する式(IIb)
【化2】
の化合物
の(S
p
)-ジアステレオマー又は(R
p
)-ジアステレオマーを、塩基(B1)の存在下、式(IIIb)
【化3】
の化合物と反応させて、
それぞれ、ジアステレオマー的純度95%より大を有する式(IVb)
【化4】
の化合物
の(S
p
)-ジアステレオマー
【化5】
又は(R
p
)-ジアステレオマー
【化6】
を提供す
る;及び
工程b)
前記式(IVb)の化合物
の(S
p
)-ジアステレオマー又は(R
p
)-ジアステレオマーから保護基P
2、P
3及び/又はP
4を除去して、
それぞれ、ジアステレオマー的純度95%より大を有するNUC-7738
の(S
p
)-ジアステレオマー又は(R
p
)-ジアステレオマーを提供する
を含んでなり、ここで、
R
1
は、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、及びニトロから選ばれ;
aは1~5の整数であり;
P
2
は、水素、任意に置換された-Si(C
1
-C
6
-アルキル)
3
、任意に置換された-C(O)-C
1
-C
6
-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC
1
-C
6
-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH
2
-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)
3
、任意に置換された-(C
1
-C
3
-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH
2
-アリール、及び-C
1
-C
4
-アルキル-O-C
1
-C
4
-アルキルから選ばれ;
P
3
及びP
4
は、独立して、H、-C(O)OC
1
-C
6
-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH
2
-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH
2
-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)
3
、任意に置換された-(C
1
-C
3
-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C
1
-C
6
-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)
2
-C
1
-C
6
-アルキル、任意に置換された-S(O)
2
-アリール及び任意に置換された-Si(C
1
-C
6
-アルキル)
3
から選ばれ;及び
式(IIb)の化合物の(S
p
)-ジアステレオマーはNUC-7738の(S
p
)-ジアステレオマーを提供し、及び式(IIb)の化合物の(R
p
)-ジアステレオマーはNUC-7738の(R
p
)-ジアステレオマーを提供する、方法。
【請求項2】
P
2がt-ブチルジメチルシリルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
P
3及びP
4が、それぞれ、Hである請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
B1がグリニャール化合物である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
B1が
tBuMgClである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程a)を、エーテル溶媒中で行う請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程a)を、THF中で行う請求項6に記載の方法。
【請求項8】
方法が、
ジアステレオマー的純度95%より大を有するNUC-7738の(S
p)-ジアステレオマー
を製造する方法である請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
c)式(IIb)化合物の(R
p)-ジアステレオマー、又は式(IIb)の化合物の(R
p)-及び(S
p)-ジアステレオマーの混合物を、溶媒(S2)に懸濁又は溶解し;
d)溶液又は懸濁液を塩基(B2)にて処理して、
ジアステレオマー的純度95%より大を有する前記式(IIb)の化合物の(S
p)-ジアステレオマー
を得て;及び
e)前記式(IIb)化合物の(S
p)-ジアステレオマーを単離する
ことを含んでなる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
B2が3級アミンである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
B2がトリエチルアミンである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
S2が、炭化水素又は炭化水素を含んでなる混合物である請求項9~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
S2が、ヘキサン又はヘプタンと極性有機溶媒との混合物であり、前記混合物はヘキサン又はヘプタン50容量%以上を含んでなる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
S2が、ヘキサン又はヘプタンと酢酸エチルとの混合物であり、前記混合物はヘキサン又はヘプタン50容量%以上を含んでなる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程d)が、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、6時間以上、撹拌することを含んでなる請求項9~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
工程d)が、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、温度0~50℃において撹拌することを含んでなる請求項9~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
式(IIb)の化合物が、
【化7】
である請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、特別なホスフェートジアステレオマーとして、特定のProTideを製造する新規の方法に係る。特定のProTideとしては、癌の治療に有用なもの、例えば、NUC-3373(5-フルオロ-2’-デオキシウリジン-5’-O-[1-ナフチル(ベンジルオキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)、NUC-7738(3’-デオキシアデノシン-5’-O-[フェニル(ベンジルオキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)及びNUC-9701(8-クロロアデノシン-5’-O-[ナフチル(ベンジルオキシ-L-アラニニル)]ホスフェート)が含まれる。
【背景技術】
【0002】
ProTideは、ヌクレオシドのマスクドホスフェート誘導体である。これらは、抗ウイルス剤及び腫瘍学の両方の分野における特に有力な治療薬であることが示されている。ProTideは、より具体的には、モノリン酸化ヌクレオシドのプロドラッグである。これらの化合物は、親ヌクレオシドの利用性を制限する固有の又は獲得した抵抗機構の多くを回避するように思われる(例えば、「ゲムシタビンに対するProTide技術の応用:重要な中心抵抗機構を克服する成功法は、臨床開発において、新規の薬剤(NUC-1031)につながる」, Slusarczykら; J. Med. Chem.; 2014, 57, 1531-1542参照)。
【0003】
NUC-3373(5-フルオロ-2’-デオシウリジン-5’-O-[1-ナフチル(ベンジルオシ-L-アラニニル)]ホスフェートは、5FU/FUDRのProTide適応(結腸直腸癌に対する現在の基本治療法)である。NUC-3373及び一群の関連する化合物は、多くのケースにおいて、一群の癌モデルに対してインビトロ活性を示し、及び特にNUC-3373について、活性は傑出し、5-フルオロウラシルにて得られる結果よりもはるかに優れていることを示した。5-フルオロウラシル/FUDR分子へのProTideホスホルアミデート部分の付加は、重要な活性形の薬剤(FdUMP)を腫瘍細胞へ送達する特別な利点を与える。臨床研究では、NUC-3373が、5-FU及びその経口プロドラッグであるカペシタビンに関連する重要な中心抵抗機構を克服し、活性なFdUMP代謝物の高い細胞内レベルを発生し、結果として、腫瘍細胞の成長のより優れた阻害を提供することは全く証明されていない。さらに、正式のイヌ毒物学研究では、NUC-3373は、5-FUよりも、明らかに良好な耐性である(国際公開第2012/117246号;McGuiganら,「抗癌剤FUDRのホスホルアミデートProTideは、細胞において、予め形成されたバイオ活性モノホスフェートをうまく送達し、親ヌクレオシドを凌駕する利点を与える」; J. Med. Chem.; 2011, 54, 7247-7258;Vande Voordeら;「NUC-3073(5-フルオロ-2’-デオキシウリジンのホスホルアミデートプロドラッグ)の細胞増殖抑制活性は、チミジンキナーゼによる活性化に依存し、過リン酸分解酵素による分解に非感受性である」; Biochem. Pharmacol.; 2011, 82, 441-452参照)。
NUC-3373
【化1】
【0004】
プリンヌクレオシドのProTide誘導体、例えば、8-クロロアデノシン及び3’-デオキシアデノシン及び関連する化合物は、一群の固体腫瘍、白血病及びリンパ腫に対して優れたインビトロ活性も示す(国際公開第2016/083830号及び英国特許第1609602.6号参照)。3’-デオキシアデノシン自体は、特別有力な抗癌剤ではない。
【0005】
【0006】
【0007】
ProTideは、一般的には、2つのジアステレオマー(ホスフェート中心におけるエピマーである)の混合物として調製される。例えば、NUC-3373のジアステレオマーは、下記の構造(ここで、Npは1-ナフチルである)を有する:
(S
p
)-NUC-3373
【化4】
(R
p
)-NUC-3373
【化5】
【0008】
国際公開第2014/076490号には、ゲムシタビン又はその構造変異体を、金属塩、例えば、Cu(OTf)2、CuCl、CuBr、CuI、Cu(OAc)2、CuSO4、Cu(OC(O)CF3)2、Cu(OTf)2、Yb(OTf)3、Fe(OTf)3、La(OTf)3を含んでなる触媒の存在下、ホスホロクロリデートのジアステレオマー混合物と反応させることによって、ヌクレオシドプロドラッグ、例えば、ゲムシタビン-[フェニル(ベンゾキシ-L-アラニニル)]ホスフェートを収率~45%で製造する方法が開示されている。
【0009】
国際公開第2017/098252号(PCT/GB2016/053875)には、NUC-1031を、ジアステレオマー的に純粋な形で合成する方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の特定の具体例の目的は、NUC-3373、NUC-7738及び/又はNUC-9701を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供することにある。
【0011】
本発明の特定の具体例の目的は、NUC-3373、NUC-7738及び/又はNUC-9701の(Sp)-及び(Rp)-エピマーを、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する方法であって、スケーラブル、経済的及び/又は効果的である方法、例えば、HPLCを使用する方法よりもスケーラブル、経済的及び/又は効果的である方法を提供することにある。
【0012】
このように、本発明の特定の具体例の目的は、(Sp)-及び(Rp)-エピマーを、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する大規模製造に適する方法を提供することにある。
【0013】
本発明の特定の具体例の目的は、(Sp)-及び(Rp)-エピマーを実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する簡単な方法、すなわち、最少の工程数及び試薬数の方法を提供することにある。
【0014】
本発明の特定の具体例の他の目的は、分離された(Sp)-及び(Rp)-エピマーを、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供し、同時に、合成及び分離から生ずる各種の微量不純物の量及び性質に関する機関、例えば、US FDAによって規定された必要な限界値に適合する又は上回る方法を提供することにある。
【0015】
本発明の特定の具体例は、上記目的のいくつか又は全部を満足する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、式(Ia)
【化6】
のNUC-3373を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で調製する方法が提供され、該方法は、工程a)及び任意に工程b)を含んでなる:
工程a)
式(IIa)
【化7】
(式中、R
1は電子吸引基であり、aは1~5の整数である)の化合物を、塩基(B1)の存在下、式(IIIa)
【化8】
の化合物と反応させて、式(IVa)
【化9】
の化合物を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する(ここで、P
1は、独立して、水素及び保護基から選ばれ;及び式(IIa)の化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である);
工程b)
P
1が保護基である場合、任意に、式(IVa)の化合物から保護基P
1を除去して、NUC-3373を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、式(Ib)
【化10】
のNUC-7738を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で調製する方法が提供され、該方法は、工程a)及び任意に工程b)を含んでなる:
工程a)
式(IIb)
【化11】
(式中、R
1は電子吸引基であり、aは1~5の整数である)の化合物を、塩基(B1)の存在下、式(IIIb)
【化12】
の化合物と反応させて、式(IVb)
【化13】
の化合物を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する(ここで、P
2、P
3及びP
4は、独立して、水素及び保護基から選ばれ;及び式(IIb)の化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である);
工程b)
P
2、P
3及びP
4のいずれか1以上が保護基である場合、任意に、式(IVb)の化合物から保護基P
2、P
3及びP
4を除去して、NUC-7738を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、式(Ic)
【化14】
のNUC-9701を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で調製する方法が提供され、該方法は、工程a)及び任意に工程b)を含んでなる:
工程a)
式(IIa)
【化15】
(式中、R
1は電子吸引基であり、aは1~5の整数である)の化合物を、塩基(B1)の存在下、式(IIIc)
【化16】
の化合物と反応させて、式(IVc)
【化17】
の化合物を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する(ここで、P
5、P
6、P
7及びP
8は、独立して、水素及び保護基から選ばれ;及び式(IIa)の化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である);
工程b)
P
5、P
6、P
7及びP
8のいずれか1以上が保護基である場合、任意に、式(IVc)の化合物から保護基P
5、P
6、P
7及びP
8を除去して、NUC-9701を、実質的にジアステレオマー的に純粋な形で提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
R1は、ハログループ(例えば、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素から選ばれる)、トリフルオロメチル、シアノ、及びニトロからなる群から選ばれる。aは、1~5の整数である。R1は、各場面において、ハロ、例えば、フッ素であってもよい。aは、5であってもよい。
【0020】
置換フェノキシ基の置換は、選択的に、ホスフェート立体中心の転化にて行われる。
【0021】
一般的には、前駆体(式(IIa)又は(IIb)の化合物)の(Sp)-ジアステレオマーは、ProTideの(Sp)-ジアステレオマーを提供し、前駆体の(Rp)-ジアステレオマーは、ProTideの(Rp)-ジアステレオマーを提供する。これの例外は、脱離基OPh(R1)aが、ナフチル基よりも、カーン-インゴルド-プレローグ順位則における優先割当が低い場合(例えば、OPh(R1)aがパラニトロフェノキシである場合)である。このようなケースでは、前駆体(式(IIa)の化合物)の(Rp)-ジアステレオマーは、ProTideの(Sp)-ジアステレオマーを提供し、前駆体の(Sp)-ジアステレオマーは、ProTideの(Rp)-ジアステレオマーを提供する。本明細書を通して、ProTideの(Sp)-異性体を提供する式(IIa)の化合物の異性体を、X-ジアステレオマーと称し、ProTideの(Rp)-異性体を提供する式(IIa)の化合物の異性体を、Y-ジアステレオマーと称する。化合物IIbについては、常に、前駆体(式(IIb)の化合物)の(Sp)-ジアステレオマーは、ProTideの(Sp)-ジアステレオマーを提供し、前駆体の(Rp)-ジアステレオマーは、ProTideの(Rp)-ジアステレオマーを提供する。
【0022】
このように、第1、第2、又は第3の態様の方法は、ProTideの(Sp)-ジアステレオマーを、ジアステレオマー的に濃縮された形で生成する方法であってもよく、式(IIa)又は(IIb)の化合物は、ジアステレオマー的に濃縮された形であってもよい。
【0023】
第1、第2、又は第3の態様の方法は、ProTideの(Rp)-ジアステレオマーを、ジアステレオマー的に濃縮された形で生成する方法であってもよく、式(IIa)又は(IIb)の化合物は、ジアステレオマー的に濃縮された形であってもよい。
【0024】
塩基(B1)は窒素塩基である。窒素塩基としては、N-アルキルイミダゾール(例えば、N-メチルイミダゾール(NMI))、イミダゾール、任意に置換されたフェニル基ピリジン(例えば、コリジン、ピリジン、2,6-ルチジン)及びトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミン)が含まれる。或いは、塩基(B1)は、有機金属塩基又は金属水素化物塩基(例えば、NaH)である。このように、塩基は、グリニャール化合物(すなわち、アルキルマグネシウムヒドリッド)でもよい。例示すれば、グリニャール化合物としては、t-ブチルマグネシウムヒドリッド、例えば、tBuMgCl、tBuMgBrが含まれる。好ましくは、塩基はtBuMgClである。
【0025】
工程a)は、溶媒S1中で行われる。
【0026】
本発明の第4の態様では、式(IIa)の化合物をジアステレオマー的に濃縮する方法が提供され、該方法は、
c)式(IIa)の化合物のX-ジアクリレート単量体又は式(IIa)の化合物のXR-及びY-ジアステレオマーの混合物を、溶媒(S2)に懸濁又は溶解し;
d)溶液又は懸濁液を塩基(B2)で処理して、X-ジアステレオマーを、実質的にジアステレオマー的に濃縮された形で得て;及び
e)式(IIa)のX-ジアステレオマーを単離する
ことを含んでなる。一般的には、X-ジアステレオマーは、(S)-ジアステレオマーであり、Y-ジアステレオマーは、(R)-ジアステレオマーである。
【0027】
発明者らは、驚くべきことには、式(IIa)の化合物を塩基で処理する際、これらは異性化して、優先的に、Y-ジアステレオマー以上に、X-ジアステレオマーを形成するとの知見を得た。Y-ジアステレオマーは、X-ジアステレオマー又はY-ジアステレオマーのエピマー混合物に転化され、X-ジアステレオマーは、X-ジアステレオマーに転化される。これは、式(IIa)の化合物の全て(元来、Y-ジアステレオマーとして形成される物の一部であっても)が使用されることを意味するため、第1又は第3の態様の方法と合体するNUC-3373又はNUC-9701のX-ジアステレオマーを製造する各種の合成順序のネットの効率を増大させる。一般的には、X-ジアステレオマーは、(Sp)-ジアステレオマーであり、及びY-ジアステレオマーは、(Rp)-ジアステレオマーである。
【0028】
方法は、式(IIa)の化合物を、Y-及びX-ジアステレオマーの混合物として形成することを含んでいてもよく、及び工程c)は、式(IIa)の化合物のY-及びX-ジアステレオマーの混合物を溶媒(S2)に懸濁又は溶解することを含んでいてもよい。一般的には、X-ジアステレオマーは(Sp)-ジアステレオマーであり、及びY-ジアステレオマーは(Rp)-ジアステレオマーである。
【0029】
第1又は第3の態様の方法において使用される式(IIa)の化合物は、第4の態様の方法に従って形成されたX-ジアステレオマーであってもよい。一般的には、X-ジアステレオマーは(Sp)-ジアステレオマーであり、及びY-ジアステレオマーは(Rp)-ジアステレオマーである。
【0030】
本発明の第2の態様の方法は、
c)式(IIb)の化合物の(Rp)-ジアステレオマー、又は式(IIb)の化合物の(Rp)-及び(Sp)-ジアステレオマーの混合物を溶媒(S2)に懸濁又は溶解させ、
d)溶液又は懸濁液を塩基(B2)にて処理して、(Sp)-ジアステレオマーを、実質的にジアステレオマー的に濃縮された形で得て、
e)式(IIb)の化合物の(Sp)-ジアステレオマーを単離する
ことを含んでいてもよい。
【0031】
このように、本発明の第2の態様の方法は、式(IIb)の化合物を、(Rp)-及び(Sp)-ジアステレオマーの混合物として形成することを含んでいてもよく、及び工程c)は、式(IIb)の化合物の(Rp)-及び(Sp)-ジアステレオマーの混合物を溶媒(S2)に懸濁又は溶解することを含んでいてもよい。
【0032】
塩基(B2)は、有機アミン塩基(例えば、1級、2級、3級アミン、環状アミン;例示すれば、有機アミン塩基としては、N-アルキルイミダゾール[例えば、N-メチルイミダゾール(NMI)、イミダゾール、任意に置換されたピリジン(例えば、コリジン、ピリジン、2,6-ルチジン)及びトリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン、及びジイソプロピルエチルアミン)];又は無機塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アリールオキシド)からなる群から選ばれる。好ましくは、B2は3級アミンである。このように、B2はトリアルキルアミンでもよい。最も好ましくは、B2はトリエチルアミンである。
【0033】
溶媒S2は、アミド、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、ハロゲン化溶媒、ニトリル、スルホキシド、スルホン及びその混合物からなる群から選ばれる(ただし、これらに限定されない)。S2は、有機溶媒でもよい。有機溶媒としては、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル);ケトン(例えば、アセトン及びメチルイソブチルケトン);ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、及び1,2-ジクロロエタン);炭化水素(例えば、シクロヘキサンペンタン、ヘキサン、ヘプタン)、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン及びトルエン)、エステル(例えば、酢酸エチル)及びアミド(例えば、DMF、NMP);又はその混合物が含まれる(ただし、これらに限定されない)。好ましくは、S2は、炭化水素であるか、又は炭化水素を含んでなる混合物である。S2が混合物である場合、炭化水素50%以上(例えば、70%以上)を含んでなる混合物である。炭化水素はヘキサンでもよい。炭化水素はヘプタンでもよい。S2は、ヘキサン又はヘプタンと、極性有機溶媒(例えば、エーテル、エステル、アルコール又はハロゲン化溶媒)との混合物でもよい。S2は、ヘキサン又はヘプタンと極性有機溶媒との混合物(ヘキサン又はヘプタン50容量%以上(例えば、70容量%以上)を含んでなる)でもよい。S2は、ヘプタンと酢酸エチルとの混合物でもよい。S2は、ヘキサン又はヘプタンと酢酸エチルとの混合物(ヘキサン又はヘプタン50容量%以上(例えば、70容量%以上)を含んでなる)でもよい。S2は、ヘプタンと酢酸エチルとの混合物(ヘプタン50容量%以上(例えば、70容量%以上)を含んでなる)でもよい。S2は、ヘキサン又はヘプタンとメチル-t-ブチルエーテルとの混合物でもよい。S2は、ヘキサン又はヘプタンとメチル-t-ブチルエーテルとの混合物(ヘキサン又はヘプタン50容量%以上(例えば、70容量%以上)を含んでなる)でもよい。S2は、ヘキサンとメチル-t-ブチルエーテルとの混合物(ヘキサン50容量%以上(例えば、70容量%以上)を含んでなる)でもよい。
【0034】
工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、24時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、48時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、60時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、72時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、100時間以上、撹拌することを伴うことができる。
【0035】
工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、温度0~60℃において、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIa)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、温度20~40℃において、撹拌することを伴うことができる。
【0036】
工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、2時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、6時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、10時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、16時間以上、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、36時間以上、撹拌することを伴うことができる。
【0037】
工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、温度0~50℃において、撹拌することを伴うことができる。工程d)は、式(IIb)の化合物及び塩基(B2)の混合物を、温度10~35℃において、撹拌することを伴うことができる。
【0038】
本発明の第2の態様の特定の具体例において、式(IIb)の化合物は、下記の中から選ばれる化合物である:
【化18】
注:*は亜リン酸におけるキラル中心を示す。
【0039】
【0040】
【0041】
本発明の第1、第3及び第4の態様の特定の具体例において、式(IIa)の化合物は、下記の中から選ばれる化合物である:
【化21】
注:*は亜リン酸におけるキラル中心を示す。
【0042】
式(IIa)の化合物は、化合物12
【化22】
でもよい。
【0043】
式(IIa)の化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(Rp)-化合物12であってもよい。化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の、速く溶離される化合物12の異性体である。このように、化合物は、-1.41±0.02に31P NMRピークを有する(NMRスペクトルを、202MHz NMR装置において、CDCl3中において得た)化合物12の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。化合物は、保持時間12.96±0.20分を有する(分析HPLCを、Varian Pursuit XRs 5 C18, 150×4.6 mmにおいて、H2O/MeOH(20/80)にて、1ml/分、35分で溶離して実施した)化合物12の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。
【0044】
式(IIa)の化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(Sp)-化合物12であってもよい。化合物は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の、遅く溶離される化合物12の異性体である。このように、化合物は、-1.36±0.02に31P NMRピークを有する(NMRスペクトルを、202MHz NMR装置において、CDCl3中において得た)化合物12の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。化合物は、保持時間14.48±0.20分を有する(分析HPLCを、Varian Pursuit XRs 5 C18, 150×4.6 mmにおいて、H2O/MeOH(20/80)にて、1ml/分、35分で溶離して実施した)化合物12の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。
【0045】
【0046】
NUC-3373は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の、速く溶離されるNUC-3373の異性体である。このように、NUC-3337は、4.27±0.10に31P NMRピークを有する(NMRスペクトルを、202MHz NMR装置において、CD3OD中で得た)NUC-3373の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。NUC-3373は、保持時間16.03±0.20分を有する(分析HPLCを、Varian Pursuit XRs 5 C18, 150×4.6 mmにおいて、H2O/CH3CN(100/10~0/100)にて、1ml/分、35分で溶離して実施した)NUC-3373の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。
【0047】
NUC-3373は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の、遅く溶離されるNUC-3373の異性体である。このように、NUC-3337は、4.62±0.10に31P NMRピークを有する(NMRスペクトルを、202MHz NMR装置において、CD3OD中で得た)NUC-3373の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。NUC-3373は、保持時間16.61±0.20分を有する(分析HPLCを、Varian Pursuit XRs 5 C18, 150×4.6 mmにおいて、H2O/CH3CN(90/10~0/100)にて、1ml/分、35分で溶離して実施した)NUC-3373の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。
【0048】
NUC-9701は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の、速く溶離されるNUC-9701の異性体である。このように、NUC-9701は、3.93±0.04に31P NMRピークを有する(NMRスペクトルを、202MHz NMR装置において、CD3OD中で得た)NUC-9701の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。NUC-9701は、保持時間16.43±0.10分を有する(分析HPLCを、Varian Pursuit XRs 5 C18, 150×4.6 mmにおいて、H2O/CH3CN(90/10~0/100)にて、1ml/分、30分で溶離して実施した)NUC-9701の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。
【0049】
NUC-9701は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の、遅く溶離されるNUC-9701の異性体である。このように、NUC-9701は、3.83±0.04に31P NMRピークを有する(NMRスペクトルを、202MHz NMR装置において、CD3OD中で得た)NUC-9701の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。NUC-9701は、保持時間16.59±0.10分を有する(分析HPLCを、Varian Pursuit XRs 5 C18, 150×4.6 mmにおいて、H2O/CH3CN(100/10~0/100)にて、1ml/分、30分で溶離して実施した)NUC-9701の異性体であり、前記異性体は、実質的にジアステレオマー的に純粋な形である。
【0050】
式(IIa)の化合物は、本発明の第4の態様に従って調製される。
【0051】
本発明の第5の態様では、式(IIa)の化合物が提供される。この化合物は、式(IIa)の化合物の(Rp)-異性体である。
【0052】
本発明の第6の態様では、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(S
p)-NUC-3373
【化24】
が提供される。異性化により、優先的に式(IIa)の化合物のX-ジアステレオマーが形成されることは、NUC-3373のS
p異性体が、R
p異性体よりも容易に生成することを意味している。
【0053】
本発明の第7の態様では、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(R
p)-NUC-3373
【化25】
が提供される。
【0054】
本発明の第8の態様では、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(S
p)-NUC-7738
【化26】
が提供される。異性化により、優先的に式(IIb)の化合物の(S)-ジアステレオマーが形成されることは、NUC-7738のS
p異性体が、R
p異性体よりも容易に生成することを意味している。
【0055】
本発明の第9の態様では、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(R
p)-NUC-7738
【化27】
が提供される。
【0056】
本発明の第10の態様では、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(S
p)-NUC-9701
【化28】
が提供される。異性化により、優先的に式(IIa)の化合物のX-ジアステレオマーが形成されることは、NUC-9701のS
p異性体が、R
p異性体よりも容易に生成することを意味している。
【0057】
本発明の第11の態様では、実質的にジアステレオマー的に純粋な形の(R
p)-NUC-9701
【化29】
が提供される。
【0058】
本発明の第5、第6、第7、第8、第9、第10及び第11の態様の化合物は、本発明の第1、第2、及び第3の態様に関して上述したジアステレオマーであってよい。
【0059】
本発明は、本発明の第6、第7、第8、第9、第10、及び第11の態様の化合物及び薬学上許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物も提供する。
【0060】
本発明は、癌(例えば、固形腫瘍又は白血病)を治療する方法も提供し、癌方法は、必要とする対象に、治療上有効な量の本発明の第6、第7、第8、第9、第10、及び第11の態様の化合物を投与することを含んでなる。
【0061】
本発明の第6、第7、第8、第9、第10、及び第11の態様の化合物は、医学的利用のものである。本発明の第6、第7、第8、第9、第10、及び第11の態様の化合物は、癌(例えば、固形腫瘍又は白血病)に治療における使用のためのものである。
【0062】
本発明の第6、第7、第8、第9、第10、及び第11の態様の生成物は、本発明の第1、第2又は第3の態様によって得られる(又は得られた)ものである。
【0063】
ヒドロキシル基のための保護基(例えば、P1, P2, P5又はP6)は、独立して、任意に置換された-Si(C1-C6-alkyl)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリール、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、及び-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選ばれる。2つのヒドロキシル基が隣接する炭素原子に結合する場合(例えば、P5及びP6)、それらは、任意に置換された- C(C1-C4-アルキル)2基にて一緒に保護されてもよい。
【0064】
アミノ基のための保護基(例えば、P3, P4, P7又はP8)は、各場面において、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリール、及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれる。
【0065】
式(IIIa)(IIIb)又は(IIIc)の保護化原料化合物の多くは、当分野において知られている及び/又は公知の方法によって調製されるものである。例えば、式(IIIa)(IIIb)及び(IIIc)の原料化合物は、親ヌクレオシドから、ヒドロキシ及び/又はアミノ基を、好適な保護基によって保護することにより合成される。保護基は、一般的には、例えば、「有機化学における保護基」,J W F McOmie編 (1973);「有機合成における保護基」,2版, T W Greene (1991);及び「保護基」,3増補版,P. J Koscienski (1995)に記載されているように、一般的な保護基方法論を使用して付加及び除去される。
【0066】
一般的には、式(IIIa)(IIIb)及び(IIIc)の化合物を、初めに、親ヌクレオシドの5’-ヒドロキシ基を、3’及び/又は2’-ヒドロキシ及び/又はアミノ基を保護するために使用されるものに対してオルト位の保護基(すなわち、所望の2’-ヒドロキシル及び/又はアミノ保護基を除去することなく、5’-ヒドロキシル基から除去される基)にて保護することによって調製することが必要である。同時に又は続いて、3’、2’-ヒドロキシル及び/又はアミノ基を、所望の保護基にて保護し、5’-ヒドロキシル基保護基を除去して、式(IIIa)(IIIb)及び(IIIc)の化合物を生成することができる。特定の保護基は、同時に、3’及び/又は2’-ヒドロキシル及び5’-ヒドロキシル及び任意にアミノ基に導入され、ついで、3’及び/又は2’-ヒドロキシル及び任意にアミノ基から除去されることなく、5’-ヒドロキシル基から選択的に除去される。
【0067】
いくつかの具体例によれば、P1は、独立して、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、及び-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選ばれる。
【0068】
P1は、独立して、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル及び任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリルから選ばれる。好ましくは、P1は、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジル及び-C(O)OCH2-アリルから選ばれる。このように、P1は、-C(O)OCH2-アリールでもよい。P1は、-C(O)O-tBuでもよい。
【0069】
或いは、P1は、独立して、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル及び任意に置換された-C(O)-アリールから選ばれてもよく、例えば、P1は、独立して、ベンゾイル及びアセチルから選ばれてもよい。
【0070】
さらに、P1は、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3であってももよい。P1は、-Si(C1-C4-アルキル)3でもよい。アルキル基は未置換でもよい。P1は、t-ブチルジメチルシリルでもよい。
【0071】
いくつかの具体例によれば、P2は、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、及び-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選ばれる。
【0072】
P2は、独立して、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル及び任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリルから選ばれてもよい。好ましくは、P2は、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジル、及び-C(O)OCH2-アリルから選ばれる。このように、P2は、-C(O)OCH2-アリールでもよい。P2は、-C(O)O-tBuでもよい。
【0073】
或いは、P2は、独立して、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル及び任意に置換された-C(O)-アリールから選ばれてもよく、例えば、P2は、独立して、ベンゾイル及びアセチルから選ばれてもよい。
【0074】
さらに、P2は、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3でもよい。P2は、-Si(C1-C4-アルキル)3でもよい。P2は、t-ブチルジメチルシリルでもよい。
【0075】
P3は、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリール及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれる。
【0076】
P3は、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、任意に置換された-C(アリール)3及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれてもよい。好ましくは、P3は、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジル及び-C(O)OCH2-アリルから選ばれる。このように、P3は-C(O)OCH2-アリールでもよい。
【0077】
或いは、P3は、独立して、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル及び任意に置換された-C(O)-アリールから選ばれ、例えば、P3は、独立して、ベンゾイル及びアセチルから選ばれる。
【0078】
或いは、P3はHである。
【0079】
P4は、独立して、H、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリール及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれる。
【0080】
好ましくは、P4はHである。
【0081】
P3及びP4は、それぞれ、Hであってもよい。P3及びP4が、それぞれ、Hであり、及びP2がt-ブチルジメチルシリルであってもよい。
【0082】
いくつかの具体例によれば、P5及びP6は、それぞれ独立して、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された1-C(O)-アリール、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、及び-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキルから選ばれ、又はP5及びP6は、一緒に、任意に置換された-C(C1-C4-アルキル)2-基を形成する。P5及びP6は同一であってもよい。
【0083】
P5及びP6は、それぞれ、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3、任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル、及び任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリルから選ばれてもよい。好ましくは、P5及びP6 は、それぞれ、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジル、及び-C(O)OCH2-アリルから選ばれてもよい。このように、P5及びP6は、それぞれ、-C(O)OCH2-アリールであってもよい。P5及びP6は、それぞれ、-C(O)O-tBuであってもよい。
【0084】
或いは、P5及びP6は、それぞれ、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル及び任意に置換された-C(O)-リールから選ばれてもよく、例えば、P5及びP6は、それぞれ、ベンゾイル及びアセチルから選ばれてもよい。
【0085】
さらに、P5及びP6は、それぞれ、任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3であってよい。P2は-Si(C1-C4-アルキル)3でもよい。アルキル基は未置換であってもよい。P5及びP6 は、それぞれ、t-ブチルジメチルシリルであってもよい。
【0086】
しかし、好ましくは、P5及びP6は、一緒に、任意に置換された-C(C1-C4-アルキル)2-基を形成できる。P5及びP6は、一緒に、- C(Me)2-基を形成できる。
【0087】
P7は、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリール、及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれる。
【0088】
P7は、独立して、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、任意に置換された-C(アリール)3及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれてもよい。好ましくは、P7は、-C(O)O-tBu、-C(O)O-ベンジル及び-C(O)OCH2-アリルから選ばれる。このように、P7は、-C(O)OCH2-アリールであってよい。
【0089】
或いは、P7は、独立して、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル及び任意に置換された- C(O)-アリールから選ばれてもよく、例えば、P7 は、独立して、ベンゾイル及びアセチルから選ばれてもよい。
【0090】
さらに、P7はHであってもよい。
【0091】
同様に、P8は、独立して、H、-C(O)OC1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)OCH2-アリール、-C(O)-O-アリル、-C(O)-O-CH2-フルオレニル、任意に置換された-C(アリール)3、任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール、任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル、任意に置換された-C(O)-アリール、-S(O)2-C1-C6-アルキル、任意に置換された-S(O)2-アリール、及び任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3から選ばれる。
【0092】
好ましくは、P8はHである。
【0093】
P7及びP8は、それぞれ、Hであってもよい。P7及びP8がHであり、及びP5及びP6 が、一緒に、-C(Me)2-基を形成していてもよい。
【0094】
任意に置換された-Si(C1-C6-アルキル)3基は、-Si(C1-C4-アルキル)3であってもよい。基(すなわち、アルキル基)は、好ましくは、未置換である。例示すれば、トリエチルシリル及びt-ブチル-ジメチルシリルが含まれる。
【0095】
任意に置換された-C(O)-C1-C6-アルキル基は、-C(O)-C1-C6-アルキル基であってもよい。基(すなわち、アルキル基)は、好ましくは、未置換である。例示すれば、アセチル及びプロピオニルが含まれる。
【0096】
任意に置換された-C(O)-アリールは、-C(O)-フェニル基であってもよい。基(すなわち、フェニル基)は、好ましくは、未置換である。例示すれば、ベンゾイルが含まれる。
【0097】
任意に置換された-C(O)-OC1-C6-アルキル基は、-C(O)-OC1-C4-アルキル基であってもよい。基(すなわち、アルキル基)は、好ましくは、未置換である。例示すれば、-C(O)-O-メチル、及び-C(O)-O-エチルが含まれる。特に好ましい例は、C(O)OtBuである。
【0098】
任意に置換された-(C1-C3-アルキレン)-アリール基は、好ましくは、任意に置換されたベンジル基である。例示すれば、ベンジル、フェネチル、4-メトキシベンジル、4-ニトロベンジル、4-ブロモベンジル、2,3-ジメトキシベンジル、及び2,4-ジメトキシベンジルが含まれる。
【0099】
任意に置換された-C(O)OCH2-アリール基は、好ましくは、任意に置換された-C(O)Oベンジル基である。例示すれば、-C(O)Oベンジル、及び- C(O)O-(4-メトキシベンジル)が含まれる。
【0100】
任意に置換された-C1-C4-アルキル-O-C1-C4-アルキル基は、-C1-C2-アルキル-O-C1-C2-アルキル基であってもよい。基(すなわち、アルキル基)は、好ましくは、未置換である。例示すれば、メトキシ-メチル(MOM)及び2-メトキシ-エトキシ-メチル(MEM)が含まれる。
【0101】
任意に置換された-S(O)2-C1-C6-アルキル基は、-S(O)2-C1-C4-アルキル基であってもよい。基(すなわち、アルキル基)は、好ましくは、未置換である。例示すれば、メタンスルホネートが含まれる。
【0102】
任意に置換された-S(O)2-アリール基は、-S(O)2-フェニル基であってもよい。例示すれば、フェニルスルホネート、4-メチルフェニルスルホネート、及び4-ニトロフェニルスルホネートが含まれる。
【0103】
任意に置換された-C(アリール)3基は、-C(フェニル)3基であってもよい。例示すれば、トリチルが含まれる。
【0104】
P2、P3及びP4又はP5、P6、P7及びP8の2以上が保護基である場合、脱保護工程は、2又は3の個々の脱保護反応を含んでなることができる。これは、2又は3の異なった保護基が使用され、これら2又は3の保護基が、同一条件下では除去されない場合である。
【0105】
しかし、脱保護工程は、全ての保護基が除去される単一の脱保護反応を含んでなることもできる。このように、P2及びP3が、同一の条件下で除去される保護基であってよい。P2及びP3は同一であってもよい。同様に、P5及びP6は、同一の条件下で除去される保護基であってもよい。P5及びP6は同一であってもよい。
【0106】
本明細書を通して、「ジアステレオマー的に濃縮された形」及び「実質的にジアステレオマー的に純粋な形」とは、ジアステレオマー純度が95%より大であることを意味する。「ジアステレオマー的に濃縮された形」及び「実質的にジアステレオマー的に純粋な形」とは、ジアステレオマー純度が98%より大、99%より大、又は99.5%より大であることを意味してもよい。
【0107】
上述のアルキル基及びアリール基(例えば、フェニル(ベンジル基におけるフェニル基を含む))のいずれかは、任意に、化学的に可能であれば1~3の置換基によって置換されており、各置換基は、それぞれ、各場面において、独立して、オキソ、=NRa、=NORa、ハロ、ニトロ、シアノ、NRaRa、NRaS(O)2Ra、NRaCONRaRa、NRaCO2Ra、ORa;SRa、SORa、SO3Ra、SO2Ra、SO2NRaRa、CO2RaC(O)Ra、CONRaRa、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルケニル、及びC1-C4ハロアルキル(ここで、Raは、各場面において、独立して、H、C1-C4アルキル及びC1-C4ハロアルキルから選ばれる)からなる群から選ばれる。
【0108】
上述のアルキル基のいずれかは未置換であってもよい。
【0109】
上述のアリール基(例えば、フェニル(ベンジル基におけるフェニル基を含む))のいずれかは、任意に、化学的に可能であれば1~3の置換基によって置換されていてもよく、各置換基は、それぞれ、各場面において、独立して、ハロ、ニトロ、シアノ、NRaRa、NRaS(O)2Ra、NRaCONRaRa、NRaCO2Ra、ORa;SRa、SORa、SO3Ra、SO2Ra、SO2NRaRa、CO2RaC(O)Ra、CONRaRa、C1-C4-アルキル、C2-C4-アルケニル、C2-C4-アルケニル、及びC1-C4ハロアルキル(ここで、Raは、各場面において、独立して、H、C1-C4アルキル及びC1-C4ハロアルキルから選ばれる)からなる群から選ばれる。
【0110】
上述のアリール基(例えば、フェニル(ベンジル基におけるフェニル基を含む))のいずれかは、任意に、1~3個の置換基によって置換されていてもよく、各置換基は、各場面において、独立して、ハロ、ニトロ、ORa、C1-C4-アルキル、C1-C4ハロアルキル(ここで、Raは、各場面において、独立して、H、C1-C4アルキル及びC1-C4ハロアルキルから選ばれる)からなる群から選ばれる。
【0111】
アリール基は、必要に応じて、結合価要件を満足するように炭素原子6~20を有する。アリール基は、ヒュッケル則を満足する炭素環基である(すなわち、π電子2(2n+1)個を含有する炭素環系を含有する)。アリール基は、任意に置換されたフェニル基、任意に置換されたビフェニル基、任意に置換されたナフタレニル基、又は任意に置換されたアントラセニル基でもよい。同様に、アリール基は、非芳香族炭素環部分を含んでいてもよい。好ましくは、アリール基は、任意に置換されたフェニル基である。
【0112】
アルキル基は、直鎖状又は分枝状である。このように、例えば、C4アルキル基は、n-ブチル、i-ブチル、又はt-ブチルである。
【0113】
第1、第2又は第3の態様の工程a)は、有機溶媒(S1)中で行われる。有機溶媒としては、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル);ケトン(例えば、アセトン、及びメチルイソブチルケトン);ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、及び1,2-ジクロロエタン);及びアミド(例えば、DMF、NMP);及び又はその混合物)が含まれるが、これらに限定されない。工程a)がグリニャール化合物の存在下で行われる場合には、有機溶媒は、好ましくは、エーテルである。最も好ましくは、溶媒はテトラヒドロフランである。
【0114】
第1の態様の工程a)が窒素塩基の存在下で行われる場合、有機溶媒は、最も好ましくは、ハロゲン化溶媒又はアミドである。
【0115】
反応は、一般的には、好適な温度、例えば、約-5~40℃で行われる。好ましくは、反応温度は、約25~約30℃である。反応中、約15分から約16時間、好ましくは、約30~約60分間、撹拌されてもよい。
【0116】
本発明の方法は、ヒドロキシ及びアミノ保護基の脱保護も含むことができる。
【0117】
脱保護工程(工程b))は、工程a)の生成物を精製することなく行われてもよい。
【0118】
保護基が酸感受性である(例えば、トリチル、C(O)OtBu、MOM、MEM、2,4-ジメトキシベンジル、2,3-ジメトキシベンジル、-C(Me)2-)場合、脱保護工程は、好適な酸を使用して行われる。酸は、ブレンステッド酸(例えば、TFA、リン酸、HCl、又はギ酸)又はルイス酸(例えば、ZnBr2、CeCl3)である。ルイス酸(例えば、ZnBr2)は、あまり好ましくない。同様に、HClもあまり好ましくない。好ましくは、酸はTFAである。
【0119】
保護基が塩基感受性である(例えば、アセチル、ベンゾイル)場合、脱保護工程は、好適な塩基、例えば、NH3水溶液、又はNaOH水溶液を使用して行われる。塩基感受性基は、あまり好ましくない。
【0120】
保護基がシリル基(例えば、トリエチルシリル、又はt-ブチルジメチルシリル)である場合、脱保護工程は、好適な酸(例えば、TFA)を使用して、又は好適なフッ素源(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム、フルオロケイ酸、HF)を使用して行われる。
【0121】
保護基が、ベンジル基又はC(O)Oベンジル基である場合、脱保護工程は、H2及び好適な触媒(例えば、Pd/C)を使用して行われる。このような保護基は、あまり好ましくない。
【0122】
保護基が、4-メトキシ-ベンジル、2,3-ジメトキシベンジル、2,4-ジメトキシベンジル、又はC(O)O-(4-メトキシベンジル)である場合、脱保護工程は、好適な酸化剤(例えば、メタ-クロロ過安息香酸)を使用して行われる。
【0123】
保護基が-C(O)-O-アリルである場合、脱保護工程は、(PPh3)4Pdを使用して行われる。
【0124】
保護基が-C(O)-O-CH2-フルオレニルである場合、脱保護工程は、ピペリジンを使用して行われる。
【0125】
脱保護工程は、有機溶媒又はその混合物中で行われる。例示すれば、有機溶媒としては、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン);アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール);及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル)が含まれるが、これらに限定されない。
【0126】
脱保護工程が酸(例えば、TFA)の存在下で行われる場合、有機溶媒は、好ましくは、ハロゲン化溶媒、例えば、ジクロロメタンである。
【0127】
脱保護反応は、例えば、-10~約30℃の範囲の温度で行われる。反応を行う際の一般的な温度は、-5~5℃である。反応中、約15分~約16時間、好ましくは、約1~約4時間、さらに好ましくは、約2~約3時間、撹拌されてもよい。
【0128】
工程b)が、C1-C4-アルコール及び/又は水(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)及び水の混合物)を使用して行われる場合、反応混合物を、例えば、30~90℃の温度又は60~85℃の温度に加熱する。
【0129】
脱保護が酸(例えば、TFA)の存在下で行われる場合、脱保護の後に得られた生成物の単離は、一般的には、脱保護工程において使用された過剰の酸をクエンチし、水と混和しない有機溶媒にて生成物を抽出し、有機溶媒の蒸発によって生成物を回収することにより行われる
【0130】
抽出において有用な水と混和しない有機溶媒の例としては、エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等;塩素化溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等;芳香族炭化水素溶媒、例えば、トルエン、キシレン等が含まれ、好ましくは、酢酸エチルである。
【0131】
特定の具体例では、さらに、本発明の第1の態様の方法から得られるProTideを生成することが望ましい。同様に、本発明の第4の態様の方法から得られる式(IIa)の化合物を精製することが望ましい。精製方法は、当業者によく知られており、クロマトグラフィー(例えば、カラムクロマトグラフィー)、再結晶、及び蒸留が含まれる。他の具体例では、精製は不要である。
【0132】
ここに開示する具体例について、各種の変更が可能であることが理解されるであろう。それ故、上記記載は、限定を意図するものではなく、単なる好適な具体例の例示を目的とするものである。例えば、本発明の実施についての最良の形態として記載し、例示する機能は、単に説明を目的とするものである。本発明の精神の範囲を逸脱することなく、当業者により、他の配置及び方法も実施可能である。さらに、当業者であれば、本明細書の範囲及び精神内において、他の変更を想像できるであろう。
【0133】
本明細書を通して、次の略称を使用している:
ACN:アセトニトリル、AIBBr:臭化アセトキシイソブチリル、BOC:t-ブチルカーボネート、DCM:ジクロロメタン、DMAP:N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、DMF:N,N-ジメチルホルムアミド、eq.:モル当量、FUDR:5-フルオロ-2’-デオキシウリジン、IPA:イソプロピルアルコール、MEM:2-メトキシエトキシメチル、MOM:メトキシメチル、MTBE:メチル-t-ブチルエーテル、NMP:N-メチル-2-ピロリドン、Np:1-ナフチル、PTSA:p-トルエンスルホン(トシル)酸、RT:室温、TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム、TBDMS :t-ブチルジメチルシリル、TEA:トリエチルアミン、Tf:トリフルオロメチルスルホネート(トリフレート)、TFA:トリフルオロ酢酸、THF:テトラヒドロフラン。
【0134】
原料の質量(g)当たりの容積(ml)を表示するためにVを使用している。従って、原料が1gである場合、10Vは、示された液体10mlを意味する。
【0135】
[実施例]
下記の実施例によって、本発明を更に説明するが、これら実施例は、単に説明のためのものであって、本発明の範囲を限定すること意図するものではない。
【実施例1】
【0136】
2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル5のジアステレオマー混合物の調製(式(IIb)の化合物の実例)
【化30】
塩化メチレン(1L)中にL-アラニンベンジルエステル塩酸塩1(100g)を含む混合物に、撹拌下、25~35℃において、フェニルジクロロホスフェート2(77ml)を添加し、得られた混合物を-70~-78℃に冷却し、トリエチルアミン(130.5 ml)を添加し、混合物を、同じ温度において、1時間、撹拌した。反応系の温度を25~35℃に上げ、2時間、撹拌した。反応完了後、反応系を、35℃以下において、減圧下で濃縮して、残渣を得た。得られた残渣に、25~35℃において、ジイソプロピルエーテル(2L)を添加し、同じ温度において、30分間、撹拌した。反応系を濾過し、ジイソプロピルエーテル(500 ml)にて洗浄し、続いて、濾液を、35℃以下において、真空下で濃縮して、フェニル-(ベンゾキシ-L-アラニニル)-ホスホロクロリデート3を得た。得られた化合物を、25~35℃において、塩化メチレン(1L)に溶解し、-5℃~-10℃に冷却した。反応系に、同じ温度において、ペンタフルオロフェノール4(85.5g)、トリエチルアミン(65.2 ml)を添加し、2時間、撹拌した。反応完了後、反応系を、35℃以下において、真空下で濃縮し、25~35℃において、酢酸エチル(1L)を添加し、同じ温度において、30分間、撹拌した。固体を濾過し、酢酸エチル(1L)で洗浄した。濾液を、水(1L、10%炭酸ナトリウム(2×1L)、塩水(1L)での洗浄に供し、無水硫酸ナトリウムにて有機層を乾燥し、35~45℃において、真空下で濃縮して、題記化合物5のジアステレオマー混合物を、白色の半固体として得た。
収量:210g
HPLCによるキラル純度(%面積):33.74:66.26%(R
P:S
P)
【実施例2】
【0137】
2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル5のS
p
-ジアステレオマーの分離(式(IIb)の化合物の実例)
【化31】
化合物5のジアステレオマー混合物(210g;R
P:S
P:33.74:66.26%)を、25~35℃において、酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(1.2l)に充填し、1時間撹拌した。固体を濾過し、酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(300 ml)で洗浄して、化合物5のジアステレオマー混合物を得た。
収量:112g
HPLCによるキラル純度(%面積):22.13:77.87%(R
P:S
P)
濾液を真空下で濃縮して、化合物5のジアステレオマー混合物(75g;R
P:S
P:65.43:34.57%)を得た。
式(IIb)の化合物のジアステレオマー混合物(112g; R
P:S
P:22.13:77.87%)に、25~35℃において、酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(1.2L)を充填し、1時間、撹拌した。固体を濾過し、酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(300 ml)にて洗浄して、化合物5の実質的に純粋なS
p-ジアステレオマーを得た。
収量:80g
HPLCによるキラル純度(%面積):0.20:99.80%
1H NMR (300MHz, DMSO-d
6):7.18-7.41(m, 10H), 6.91-6.99(d, 1H), 5.10(s, 2H), 4.01-4.11(m, 1H), 1.30-1.32(d, 3H)
ESI-MS (m/z):524 (M+1)
濾液を真空下で濃縮して、化合物5のジアステレオマー混合物を得た(28g;R
P:S
P:80.77:19.23%)。
【実施例3】
【0138】
2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル5のS-異性体の濃縮(式(IIb)の化合物の実例)
【化32】
酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(1.1L)中ににおける2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル5(75g;R
p:S
p:65.43%:34.57%)の溶液に、撹拌しながら、25~35℃において、トリエチルアミン(7.5ml)を添加し、同じ温度において、6時間、撹拌した。反応完了後、反応系を、水(750 ml)に入れてクエンチし、酢酸エチル(750 ml)にて抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、真空下で濃縮して、題記化合物を固体として得た。
収量:45g
HPLCによるキラル純度(%面積):91.29:8.71%(S
P:R
P)
得られた2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル5のR
p及びS
p-ジアステレオマー混合物(45g;R
p:S
p:8.71:91.29%)を、25~30℃において、酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(1.1L)中でスラリー化し、同じ温度において、1時間、撹拌した。固体を濾過し、酢酸エチルの20%ヘキサン溶液(225 ml)にて洗浄して、題記化合物のS
p-ジアステレオマーを、固体として得た。
収量:19g
HPLCによるキラル純度(%面積):99.2:0.08%(S
p:R
p)
【実施例4】
【0139】
2-[(4-ニトロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル7のジアステレオマー混合物の調製(式(IIb)の化合物の実例)
【化33】
塩化メチレン(500 ml)におけるL-アラニンベンジルエステル塩酸塩1(50g)の混合物に、25~35℃において、撹拌しながら、フェニルジクロロホスフェート2(54g)を添加し、得られた混合物を-70~-78℃に冷却し、トリエチルアミン(65.2 ml)を添加し、同じ温度において、1時間、撹拌した。反応系の温度を25~35℃に上昇させ、2時間、撹拌した。反応完了後、反応系を、35℃以下において、減圧下で濃縮して、残渣を得た。得られた残渣に、25~35℃において、ジイソプロピルエーテル(1L)を添加し、同じ温度において、30分間、撹拌した。反応系を濾過し、ジイソプロピルエーテル(250 ml)にて洗浄し、続いて、濾液を、35℃以下において、真空下で濃縮して、フェニル-(ベンゾキシ-L-アラニニル)-クロロリン酸3を得た。得られた化合物を、25~35℃において、塩化メチレン(500 ml)に溶解し、-5~-10℃に冷却した。反応系に、同じ温度において、4-ニトロフェノール6(27.5g)、トリエチルアミン(65.2 ml)を添加し、2時間、撹拌した。反応完了後、反応系を、35℃以下において、真空下で濃縮し、25~35℃において、酢酸エチル(500 ml)を充填し、同じ温度において、30分間、撹拌した。固体を濾過し、酢酸エチル(500 ml)にて洗浄した。濾液を、水(500 ml)、10%炭酸ナトリウム(2×500 ml)、塩水(500 ml)での洗浄に供し、有機相を、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、35~40℃において、真空下で濃縮して、題記化合物7のジアステレオマー混合物を、粘稠な油状液体として得た。
収量:90g
HPLCによるキラル(%面積):45.6:54.94%(R
P:S
P)
上記のように得られた2-[(4-ニトロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル7のジアステレオマー混合物(40g;R
p:S
p:45.6:54.94%)を、分取HPLCによって、純粋なS
p及びR
p-ジアステレオマーに分離し、純粋なフラクションを、真空下で濃縮して、別々に、S
p及びR
p-ジアステレオマーを得た。
収量;S
p-ジアステレオマー:8g
1H NMR (300MHz, CDCl
3):8.15-8.19 (d, 2H), 7.15-7.37 (m, 12H), 5.12 (s, 2H), 4.02-4.24 (m, 2H), 1.39-1.42 (d, 3H)
ESI-MS (m/z):479 (M+Na)
R
p-ジアステレオマー:6g
1H NMR (300MHz, CDCl
3):8.08-8.13 (d, 2H), 7.15-7.34 (m, 12H), 5.10 (s, 2H), 4.48-4.56 (m, 1H), 4.11-4.20 (m, 1H), 1.39-1.41 (d, 3H)
ESI-MS (m/z): 457 (M+1)
+
S
p及びR
p-ジアステレオマー混合物:20g
【実施例5】
【0140】
(S
p
)-2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-フェノキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル5の調製(式(IIb)の化合物の実例)
【化34】
二塩化メチレン1000 ml中にL-アラニンベンジルエステル・HCl(100 g)を含む混合物に、30℃において、撹拌しながら、フェニルジクロロホスフェート2(97.8 g)を添加した。混合物を-20℃に冷却し、温度を-20℃に維持しながら、トリエチルアミン(93.8 g)を、ゆっくりと添加した。反応混合物を、-20℃において、1時間、撹拌し、ついで、10℃(10±5℃)に加温し、さらに1.5時間、撹拌した。
ペンタフルオロフェノール4(85.3 g)の二塩化メチレン(1000 ml)溶液を、ゆっくりと添加し、続いて、温度を10℃に維持しながら、トリメチルアミン(46.8 g)をゆっくりと添加した。窒素雰囲気下、10℃(10±5℃)において、トリエチルアミン46.9 gを、ゆっくりと反応系に添加した。混合物を、10℃において、2時間、撹拌し、ついで、温度を10℃に維持しながら、0.5N HCl溶液を、ゆっくりと添加することによってクエンチした。室温に加温した後、混合物を分離し、有機相を、飽和炭酸水素塩溶液、蒸留水、及び塩水にて洗浄し、ついで、真空濃縮した。
粗製の混合物を、25℃において、酢酸エチルの20%n-ヘプタン溶液1500 ml中に懸濁させた。トリエチルアミン(12.2 g)を添加し、混合物を、25℃において、撹拌した。混合物を濾過し、固体を、酢酸エチル2500 mlに溶解し、水及び塩水にて洗浄し、真空濃縮した。固体を、酢酸エチルの20%n-ヘプタン溶液1200 ml中に懸濁させ、45~60分間、撹拌し、濾過した。物質を、真空下で乾燥して、所望の生成物5-(S
p)を得た。収率は40~80%の範囲であり、ジアステレオマー純度は99%以上であった。
【実施例6】
【0141】
2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-ナフト-1-オキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル12のジアステレオマー混合物の調製(式(IIa)の化合物の実例)
【化35】
25℃において、α-ナフトール8(100 g)を、DCM(1L)に溶解し、25℃において、POCl
3 9(1.1eq)を添加し、10分間撹拌し、混合物を-70℃に冷却し、10分間、撹拌した。温度を-70℃以下に維持しながら、トリエチルアミン(1.1eq)をゆっくりと添加し、混合物を-70℃において、1時間、撹拌した。混合物を25℃に加温し、1時間、撹拌し、ついで、-50℃に冷却した。混合物に、L-アラニンベンジルエステル1(HCl塩;1eq)を添加し、10分間、撹拌し、ついで、-50℃において、DCM(200 ml)中のトリエチルアミン(2.2eq)を、30分間で添加した。混合物を、-50℃において、1時間、撹拌し、ついで、25℃に加温し、さらに1時間、撹拌した。混合物を-10℃に冷却し、10分間、撹拌し、ついで、反応系に、-10℃以下で、DCM(200 ml)中のペンタフルオロフェノール4を、ゆっくりと添加した。反応混合物を、-10℃において、10分間、撹拌し、-10℃において、トリエチルアミン(1.1eq)を、30分以上で添加した。混合物を、-10℃において、1時間、撹拌し、ついで、混合物を0℃に加温した。水(1L)を添加し、0℃において、混合物を、30分間、撹拌した。混合物を25℃に加温し、5~10分間、撹拌し、ついで、有機層を分離した。水層を、DCM(500 ml)にて抽出した。合わせた有機相を7%炭酸水素ナトリウム溶液(2×1L)にて洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥し、真空下で濃縮した。
50%IPA/水(2.4L)を粗製化合物に添加し、25℃において、1時間、撹拌した。固体化合物を濾過し、湿ったケーキを、50%IPA/水(500 ml)にて洗浄し、ついで、真空乾燥した。再度、50%IPA/水(2.4L)を粗製化合物に添加し、25℃において、1時間、撹拌し、ついで、濾過し、再度、ケーキを50%IPA/水(500 ml)にて洗浄し、ついで、真空乾燥した。半乾燥した化合物を、25~30℃において、シクロヘキサン(10v/w)にて、1時間、洗浄し、ついで、固体化合物を、シクロヘキサン(2L)にて洗浄し、湿った化合物12を、真空中、55~60℃において、12時間、乾燥した。
結果:
化合物の質量:252 g
全収率:66%
HPLC純度:98.31%(ジアステレオマー比:1:1)
31P NMR (202MHz, CDCl
3):δ
P 1.35, -1.41;
1H NMR (500MHz, CDCl
3):δ
H 8.13-8.10 (1H, m, H-Ar), 7.90-7.88 (1H, m, H-Ar), 7.73 (1H, 見掛けd, J= 8.5Hz, H-Ar), 7.62-7.55 (3H, m, H-Ar), 7.45-7.41 (1H, m, H-Ar), 7.36-7.28 (5H, m, H-Ar), 5.01 (1H, 見掛けs, CH
2Ph), 5.12 (1H, q, J=12.5Hz, CH
2Ph), 4.38-4.31 (1H, m, NHCHCH
3), 4.17-4.08 (1H, m, NHCHCH
3), 1.49, 1.47 (3H, 2 x d, J=3.5Hz, NHCHCH
3);
MS (ES+) m/z:574 (M+Na
+, 100%)、精密質量:C
26H
19F
5NO
5P理論値551.40、実測値574.05 (M+Na
+);
逆相HPLC(H
2O/MeOH(20/80)にて、F=1ml/分、35分で溶離、λ=254):2つのジアステレオマーについてのt
R=12.96分、14.48分を有する2つのピーク
化合物12のジアステレオマーを、Biotage社のIsoleraでのHPLCによって分離した:溶離剤としてのMeOH/H
2O(70/30)混合物とともに、C18 SNAP Ultra(30g)カートリッジを使用したところ、迅速に溶離される異性体(R
pジアステレオマーと考えられる)及びゆっくりと溶離される異性体(S
pジアステレオマーと考えらえる)が得られた。
注:C18(逆相)カートリッジ及びHPLC分析カラムにおける保持時間に基づき、異性体を、迅速溶離(FE)及び遅速溶離(SE)と名付ける。
迅速溶離異性体(R
pジアステレオマーと考えられる):
31P NMR (202MHz, CDCl
3):δ
P1.41;
1H NMR (500MHz, CDCl
3):δ
H8.02 (1H, dd, J=7.0, 2.0Hz, H-Ar), 7.79 (1H, dd, J=6.5, 3.0Hz, H-Ar), 7.64 (1H, d, J=8.5Hz, H-Ar), 7.53-7.45 (3H, m, H-Ar), 7.33 (1H, t, J=8.0Hz, H-Ar), 7.28-7.23 (5H, m, H-Ar), 5.09 (s, 2H, CH
2Ph), 4.29-4.21 (1H, m, NHCHCH
3), 4.02-3.97 (1H, m, NHCHCH
3), 1.38 (3H, d, J=7.0Hz, NHCHCH
3);
MS (ES+) m/z:574 (M+Na
+, 100%), 精密質量:C
26H
19F
5NO
5P理論値551.40、実測値574.05 (M+Na
+);
逆相HPLC(H
2O/MeOH(20/80)にて、F=1ml/分、35分で溶離、λ=254):t
R=12.96
遅速溶離異性体(S
pジアステレオマーと考えらえる):
31P NMR (202MHz, CDCl
3):δ
P 1.36;
1H NMR (500MHz, CDCl
3):δ
H 8.14-8.11 (1H, m, H-Ar), 7.90-7.87 (1H, m, H-Ar), 7.74 (1H, d, J=8.0Hz, H-Ar), 7.60 (1H, d, J=8.0Hz, H-Ar), 7.58-7.55 (2H, m, H-Ar), 7.44 (1H, t, J=8.0Hz, H-Ar), 7.34-7.30 (5H, m, H-Ar), 5.12 (2H, q, J=12.5Hz, CH
2Ph), 4.35-4.29 (1H, m, NHCHCH
3), 4.04-4.00 (1H, m, NHCHCH
3), 1.48 (3H, d, J=7.0Hz, NHCHCH
3);
MS (ES+) m/z: 574 (M+Na
+, 100%), 精密質量:C
26H
19F
5NO
5P 理論値551.40、実測値574.05 (M+Na
+);
逆相HPLC(H
2O/MeOH(20/80)にて、F=1ml/分、35分で溶離、λ=254):t
R=14.48.
【実施例7】
【0142】
2-[(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェノキシ)-ナフト-1-オキシ-ホスホリルアミノ]プロピオン酸ベンジルエステル12のS
p
-ジアステレオマーの濃縮(式(IIb)の化合物の実例)
【化36】
化合物12の1:1ジアステレオマー混合物(25g)を、10%MTBE/n-ヘキサン(500 ml)に溶解し、25℃において、反応系にトリエチルアミン(2.5ml)を添加した。混合物を、30℃において、80時間、撹拌した。混合物を濾過し、湿ったケーキを、10%MTBE/n-ヘキサン(75ml)にて洗浄し、ついで、30分間、真空乾燥した。50%IPA/水(200 ml)を、前記の粗製化合物に添加し、25~35℃において、1時間、撹拌し、ついて、濾過した。湿ったケーキを、50%IPA/水(100 ml)にて洗浄し、ついで、55~60℃において、真空乾燥した。
結果:
化合物の質量:17g
全収率:68%
HPLC純度:97.66%
遅速溶離異性体(S
pジアステレオマーと考えらえる):
31P NMR (202MHz, CDCl
3):δ
P 1.36;
1H NMR (500MHz, CDCl
3):δ
H 8.14-8.11 (1H, m, H-Ar), 7.90-7.87 (1H, m, H-Ar), 7.74 (1H, d, J=8.0Hz, H-Ar), 7.60 (1H, d, J=8.0Hz, H-Ar), 7.58-7.55 (2H, m, H-Ar), 7.44 (1H, t, J=8.0Hz, H-Ar), 7.34-7.30 (5H, m, H-Ar), 5.12 (2H, q, J=12.5Hz, CH
2Ph), 4.35-4.29 (1H, m, NHCHCH
3), 4.04-4.00 (1H, m, NHCHCH
3), 1.48 (3H, d, J=7.0Hz, NHCHCH
3);
MS (ES+) m/z:574 (M+Na
+, 100%), 精密質量:C
26H
19F
5NO
5P理論値551.40、実測値574.05 (M+Na
+);
逆相HPLC(H
2O/MeOH(20/80)にて、F=1ml/分、35分で溶離、λ=254):t
R=14.48
上記の2つの化合物12の異性体の立体化学(R
p対S
p)を、化合物12を使用して製造したNUC-3373の
31P化学シフト、1H NMRスペクトル及びHPLC保持時間と、文献において公知の他のProTideのものとの比較に基づいて、仮に、割り当てた。上述のように、ホスフェート立体中心の立体化学は、本発明の方法の間に逆転され、式12の化合物の(Sp)-ジアステレオマーは、NUC-3373の(Sp)-ジアステレオマーを形成し、同様に、式12の化合物の(R)-ジアステレオマーは、NUC-3373の(R)-ジアステレオマーを生成する。立体化学の割り当ては、2つの化合物12の異性体について行った粉末X線回折及び示差走査熱量測定によって支持されるが、これは、それ自体、決定的ではない。
【実施例8】
【0143】
NUC-3373のS
p
及びR
p
異性体の形成
3’-BOC保護FUDR 16は、下記のスキームに従って生成される。
【化37】
ついで、化合物16は、式(IIa)の化合物と結合される。
【化38】
化合物16(1g)及び化合物12のS
p異性体(1.2eq)をTHF(10ml)に溶解し、混合物を0℃に冷却した。混合物に、15分間で、塩化t-ブチルマグネシウム(2.5eq、2.0MTHF溶液)添加した。混合物を加温し、25℃において、4時間、撹拌した。混合物を10℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液(10ml)を添加した。混合物に、酢酸エチル(10ml)を添加し、有機層を分離した。水層を酢酸エチル(5ml)にて抽出した。合わせた有機層を、脱イオン水(5ml)、続いて、20%塩化ナトリウム溶液(5ml)にて洗浄した。有機相を、無水の硫酸ナトリウムにて乾燥し、続いて、真空下で濃縮して、化合物17 2.16 gを得た(粗製収率100%)。
化合物17(1g)をDCM(5ml)に溶解し、10℃に冷却した。温度を20℃以下に維持しながら、混合物に、TFA(2ml)を、ゆっくりと添加した。混合物を30℃に加温し、6時間、撹拌した。混合物を10℃に冷却し、温度を20℃以下に維持しながら、脱イオン水(5ml)をゆっくりと添加した。10分間、撹拌した後、有機層を分離し、水層をDCM(5ml)にて抽出した。合わせた有機層を、脱イオン水(2×5ml)、7%炭酸水素ナトリウム溶液(2×5ml)、及び20%塩化ナトリウム溶液(5ml)にて洗浄し、ついで、無水の硫酸ナトリウム(1w/w)にて乾燥し、真空下で濃縮した。粗製化合物を、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用する酢酸エチル/DCMにおけるカラムクロマトグラフィーにて精製した。純粋な化合物が、50%酢酸エチル/DCM~100%酢酸エチル中に溶離された。合わせた純粋なフラクションを真空下で濃縮し、ついで、化合物のスラリーをシクロヘキサン(5ml)にて洗浄した。
結果:
NUC-3373(S
p異性体)の質量:9.3g
全収率:70%
HPLC純度:96.86%
1H-NMR (500MHz, MeOD):δ
H 8.16-8.14 (m, 1H, H-Ar), 7.90-7.80 (m, 1H, H-Ar), 7.72-7.70 (m, 2H, H-Ar), 7.54-7.49 (m, 3H, H-Ar, H-6), 7.43 (見掛けt, 1H, J=8.0Hz, H-Ar), 7.35-7.27 (m, 5H, H-Ar), 6.16-6.13 (m, 1H, H-1’), 5.11 (AB系, J=12.0Hz, 2H, OCH
2Ph), 4.35-4.33 (m, 2H, 2xH-5’), 4.30-4.28 (m, 1H, H-3’), 4.14-4.08 (m, H, CHCH
3), 4.07-4.04 (m, 1H, H-4’), 2.14-2.09 (m, 1H, H-2’), 1.74-1.68 (m, 1H, H-2’), 1.35 (d, J=7.0Hz, 3H, CHCH
3)
13C-NMR (125MHz, MeOD):δ
C 174.92 (d,
3J
C-P=3.75Hz, C=O, エステル), 159.37 (d,
2J
C-F=25.9Hz, C=O, 塩基), 150.54 (d,
4J
C-F=4.0Hz, C=O, 塩基), 147.99 (d,
2J
C-P=7.1Hz, C-Ar, Naph), 141.75 (d,
1J
C-F=232.1Hz, CF-塩基), 137.18, 136.29 (C-Ar), 129.59, 129.36, 128.90, 127.91 (CH-Ar), 127.83 (d,
3J
C-P=5.4Hz, C-Ar, Naph), 127.59, 126.52, 126.50, 126.18 (CH-Ar), 125.54 (d,
2J
C-F=34.1Hz, CH-塩基), 122.64 (CH-Ar), 116.29 (d,
3J
C-P=2.75Hz, CH-Ar, Naph), 86.95 (C-1’), 86.67 (d,
3J
C-P=8.1Hz, C-4’), 72.12 (C-3’), 68.05 (OCH
2Ph), 67.85 (d,
2J
C-P=5.3 Hz, C-5’), 51.96 (CHCH
3), 40.84 (C-2’), 20.52 (d,
3J
C-P=7. Hz, CHCH
3)
31P NMR (202MHz, MeOD):δ
P 4.62
19F NMR (470MHz, MeOD):δ
F 167.19
(ES+) m/z:実測値 (M+Na
+) 636.1520、C
29H
29N
3O
9FNaP 理論値:(M
+), 613.15
逆相HPLC(Varian Pursuit XRs 5 C18, 150x4.6 mm;H
2O/AcCN(90/10から0/100へ)にて35分で溶離):t
R=16.61分
NUC-3373のR
p異性体は、上記の方法を実施することによって、ただし、化合物12のR
pジアステレオマーを原料として得られる。
1H-NMR (500MHz, MeOD):δ
H 8.17-8.15 (m, 1H, H-Ar), 7.91-7.88 (m, 1H, H-Ar), 7.72-7.69 (m, 2H, H-Ar), 7.56-7.52 (m, 2H, H-Ar, H-6), 7.50-7.48 (m, 1H, H-Ar), 7.39 (見かけt, J=8.0Hz, 1H, H-Ar), 7.35-7.28 (m, 5H, H-Ar), 6.16-6.09 (m, 1H, H-1’), 5.13 (s, 2H, OCH
2Ph), 4.35-4.25 (m, 3H, 2xH-5’, H-3’), 4.14-4.08 (m, 1H, CHCH
3), 4.05-4.03 (m, 1H, H-4’), 2.15-2.10 (m, 1H, H-2’), 1.74-1.68 (m, 1H, H-2’), 1.36 (d, J= 7.0Hz, 3H, CHCH
3);
13C-NMR (125MHz, MeOD):δ
C 174.58 (d,
3J
C-P=5.0Hz, C=O, エステル), 159.38 (d,
2J
C-F=26.3Hz, C=O), 150.48 (C=O 塩基), 147.80 (d,
2J
C-P=6.5Hz, C-Ar, Naph), 141.67 (d,
1J
C-F=232.5Hz, CF-塩基), 137.15, 136.26 (C-Ar), 129.62, 129.40, 129.36, 128.96, 127.89 (CH-Ar), 127.84 (d,
3J
C-P=5.5Hz, C-Ar, Naph), 127.59, 126.57, 126.55, 126.21 (CH-Ar), 125.61 (d,
2J
C-F=34.0Hz, CH-塩基), 122.62 (CH-Ar), 116.55 (d,
3J
C-P=3.75Hz, CH-Ar, Naph), 86.97 (C-1’), 86.66 (d,
3J
C-P=7.5Hz, C-4’), 72.01 (C-3’), 68.07 (OCH
2Ph), 67.84 (d,
2J
C-P=5.0Hz, C-5’), 51.83 (CHCH
3), 40.89 (C-2’), 20.42 (d,
3J
C-P=7.5Hz, CHCH
3);
31P-NMR (202MHz, MeOD):δ
P 4.27;
19F NMR (470MHz, MeOD):δ
F 167.27;
(ES+) m/z: 実測値: (M+Na
+) 636.1520、C
29H
29N
3O
9FNaP 理論値: (M
+), 613.15;
逆相HPLC (Varian Pursuit XRs 5 C18, 150 x 4.6 mm);H
2O/MeOH(35分で90/10から 0/100へ)にて溶離):t
R=16.03分
上記の2つのNUC-3373の異性体の立体化学(R
p対S
p)を、
31P化学シフト、1H NMRスペクトル及びHPLC保持時間と、文献において公知の他のProTideのものとの比較に基づいて、仮に、割り当てた。化合物12の立体化学は、化合物12を形成するNUC-3373のどちらかの異性体に基づいて、仮に、割り当てられている。
【実施例9】
【0144】
NUC-7738のSp及びR
p
異性体の形成
2’-TBDMS保護3’-デオキシアデノシン21は、下記のスキームに従って生成される。
【化39】
ついで、化合物21を、実施例8において記載したカップリング法の条件を使用して、式(IIb)の化合物と結合させる。NUC-7738を形成するため、THF中、TFAを使用してTBDMS基を除去できる。
【化40】
【化41】
アデノシン(18)からエポキシド19へ
アデノシン(18)1当量を、アセトニトリル10Vに溶解し、混合物を15℃に冷却した。臭化アセトキシイソブチリル3.0モル当量を、15℃において、ゆっくりと添加した。混合物を室温に加温し、8時間、撹拌した。炭酸水素ナトリウム溶液にて反応をクエンチし、酢酸エチルにて抽出した。合わせた有機相を、5%塩化ナトリウム溶液にて洗浄し、有機相を真空濃縮した。
生成物をメタノール15Vに溶解し、炭酸カリウム1当量を添加し、ついで、2時間、撹拌した。混合物を真空濃縮し、生成物を水で洗浄し、ついで、生成物を、真空下、60℃において乾燥して、2’,3’-アンヒドロアデノシンを、収率70~85%で得た。
2’,3’-アンヒドロアデノシン1当量及びイミダゾール1.6当量を、DMF 5Vに溶解した。混合物を15℃に冷却し、TBDMSCl 0.8当量を添加した。混合物を、30℃において、1~2時間、撹拌し、ついで、イミダゾール0.4当量及びTBDMSCl0.4当量を添加した。混合物を、30℃において、さらに1~2時間、撹拌し、ついで、水(5V)を添加した。混合物を、酢酸エチルにて抽出した。合わせた有機相を、7%炭酸水素ナトリウム溶液、水、及び5%塩化ナトリウム溶液にて、順次、洗浄し、ついで、真空濃縮した。生成物をヘプタンにて洗浄し、次いで、真空下、50℃において乾燥して、エポキシド19を、収率75~90%で得た。
【0145】
エポキシド19から5’-シリルコルジセピン21へ
エポキシド191当量を、DMSO(5V)及びTHF 5V)の混合物に溶解した。混合物を0℃に冷却し、混合物を、窒素ガスにて脱気した。1Mリチウムトリエチルボロヒドリッド(1eq)THF溶液を、0(±5)℃において、1~2時間で添加した。混合物を、0℃において、30分間、撹拌し、30℃に加温し、2時間、撹拌し、ついで、5℃において、メタノール(10V)を、ゆっくりと添加した。5℃において、10%水酸化ナトリウム10V、ついで、10%過酸化水素溶液10Vを滴加した。混合物を酢酸エチルにて抽出し、合わせた有機相を、連続して、10%メタ重亜硫酸ナトリウム溶液、反応基への水、7%炭酸水素ナトリウム溶液、及び10%塩化ナトリウム溶液にて洗浄し、ついで、真空濃縮した。生成物をヘプタンにて洗浄し、ついで、50℃において、真空濃縮して、2’-シリルコルジセピンを、収率70~100%で得た。
2’-シリルコルジセピン、イミダゾール2.5当量、及びDMAP 0.15当量を、DMF5Vに溶解した。混合物を15℃に冷却し、ついで、TBDMSCl 2.5当量を滴加した。反応系を、30℃において、4時間、撹拌した。水10Vを添加し、混合物を酢酸エチルにて抽出した。有機相を、7%炭酸水素ナトリウム溶液、水、及び5%塩化ナトリウム溶液にて洗浄し、真空濃縮した。
混合物を8Vに溶解し、水2Vを添加し、ついで、混合物を0℃に冷却した。反応混合物に、0℃において、30~60分間で、トリフルオロ酢酸2.5eqを添加した。反応混合物を10℃に加温し、10℃において、4~6時間、撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチルにて抽出した。合わせた有機相を、7%炭酸水素ナトリウム溶液、水(2回)、及び5%塩化ナトリウム溶液にて洗浄し、ついで、真空濃縮した。生成物をヘプタンにて洗浄し、真空乾燥して、5’-シリルコルジセピン21を、収率40~70%で得た。
【0146】
5’-シリルコルジセピン21からS
p
-NUC-7738へ
5’-シリルコルジセピン21を、0℃において、THF 10Vに溶解し、0℃に冷却した。2.0M t-BuMgCl(2.5当量)を添加し、混合物を、15分間、撹拌した。化合物5のSp-異性体(2.5eq)を、THF5Vに溶解し、0℃において、反応系に添加した。混合物を、0℃において、15分間、撹拌し、ついで、25℃に加温し、さらに2時間、撹拌した。10%塩化アンモニウム溶液(10容量)に注加して、反応をクエンチし、酢酸エチルにて抽出した。合わせた有機相を、水及び10%塩水にて洗浄し、ついで、真空濃縮した。
生成物を、THF(10V)に溶解し、ついで、0℃に冷却した。TFA及び水の(1:1)混合物10Vを、30分間で、反応系に添加し、ついで、混合物を、45分間、撹拌し、30℃に加温し、さらに16時間、撹拌した。0℃の7%NaHCO3溶液に注加して、反応をクエンチし、ついで、酢酸エチルにて抽出した。合わせた有機層を、水、7%炭酸水素ナトリウム溶液、及び10%塩水にて洗浄し、ついで、真空濃縮した。
生成物を、シリカゲル(100~200メッシュ)を使用するカラムクロマトグラフィーによって精製し、カラムを、MeOHの2~10%DCM溶液によって溶離して、Sp-NUC-7738を収率40%で得た。生成物のHPLC純度は99.50%であり、キラルHPLCは、Sp異性体が99.90%の量で存在し、及びRp異性体が0.10%の量で存在することを示した。
同じ方法を実施することにより、Rp-NUC-7738を提供できる。
Rp-NUC-7738:
1H NMR (500MHz, CDCl3):δH8.26 (s, 1H, H8), 8.22 (s, 1H, H2), 7.37-7.25 (m, 7H, Ar), 7.22-7.12 (m, 3H, Ar), 6.01 (d, J=1.5Hz, 1H, H1’), 5.12 (AB q, JAB=12.0Hz, AB= 0.04, 2H, CH2Ph), 4.74-4.70 (m, 1H, H2’), 4.69-4.62 (m, 1H, H4’), 4.44-4.38 (m, 1H, H5’), 4.28-4.21 (m, 1H, H5’), 3.99-3.90 (m, 1H, CHCH3 L-Ala), 2.35-2.27 (m, 1H, H3’), 2.09-2.02 (m, 1H, H3’), 1.29 (d, J=7.0Hz, 3H, CHCH3 L-Ala)
31P NMR (202MHz, CD3OD):δP3.91
MS (ES+) m/z:実測値569.2 [M+H+], 591.2 [M+Na+], 1159.4 [2M+Na+]、C26H29N6O7P理論値m/z 568.2 [M]
逆相HPLC (Varian Pursuit XRs 5 C18, 150x4.6mm、H2O/CH3CN(30分で、90/10から0/100へ)にて溶離、F=1ml/分、λ=200 nm):tR 14.02分を有する1つのピークを示す
Sp-NUC-7738:
1H NMR (500MHz, CDCl3):δH 8.24 (s, 1H, H8), 8.22 (s, 1H, H2), 7.36-7.26 (m, 7H, Ar), 7.22-7.13 (m, 3H, Ar), 6.01 (d, J=1.5Hz, 1H, H1’), 5.08 (AB q, JAB=12.0Hz, AB=0.01, 2H, CH2Ph), 4.70-4.67 (m, 1H, H2’), 4.66-4.60 (m, 1H, H4’), 4.41-4.35 (m, 1H, H5’), 4.26-4.19 (m, 1H, H5’), 4.02-3.94 (m, 1H, CHCH3 L-Ala), 2.36-2.27 (m, 1H, H3’), 2.08-2.01 (m, 1H, H3’), 1.34-1.30 (m, 3H, CHCH3 L-Ala)
31P NMR (202MHz, CD3OD):δP 3.73
MS (ES+) m/z 実測値569.2 [M+H+], 591.2 [M+Na+], 1159.4 [2M+Na+]、C26H29N6O7P理論値m/z 568.2 [M]
逆相HPLC (Varian Pursuit XRs 5 C18, 150x4.6mm、H2O/CH3CN(30分で90/10~0/100)にて溶離、F=1ml/分, λ=200nm):tR 14.26分を有する1つのピークを示す
上記の2つのNUC-7738異性体の立体化学(Rp対Sp)を、一般的なX線結晶解析によって確認した。
【実施例10】
【0147】
NUC-9701の形成
8-クロロ-アデノシン24のジメチルアセタール25は、下記のスキームに従って生成される(国際公開第2017/207989号)。
【化42】
ついで、実施例8において記載したカップリング法条件を使用して、化合物25を、式(IIa)の化合物と結合できる。NUC-9701を形成するため、TFA/水(1/1)を使用して、0℃において、5時間で、ジメチルアセタールを除去する。
【化43】
化合物25(30g;1当量)及び化合物12の所望の異性体(58.08g;1.2当量)を、THF 300 ml(10V)に溶解した。混合物を0℃に冷却し、ついで、温度を0℃に維持しながら、塩化t-ブチルマグネシウム(2.0M THF溶液76.8 ml;1.75当量)をゆっくりと添加し、混合物を、4時間、撹拌した。温度を15℃に維持しながら、10%塩化アンモニウム溶液300 ml(10V)を反応混合物に添加した。反応混合物を酢酸エチルにて抽出し、合わせた有機層を、7%炭酸水素ナトリウム溶液(2回)、水(2回)、及び20%塩化ナトリウム溶液にて洗浄し、ついで、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。真空下で、酢酸エチルを除去した。
得られた生成物に60%ギ酸水溶液600 ml(20V)を添加し、反応系を、25℃において、65~70時間、撹拌し、ついで、酢酸エチル(600 ml;20V)を、ゆっくりと添加した。20%塩化ナトリウム溶液600 ml(20V)を添加し、層を分離した。水層を酢酸エチルにて抽出し、ついで、合わせた有機層に、10%アンモニア溶液を滴加し、層を分離した。有機相を、水(3回)及び20%塩化ナトリウム溶液にて洗浄し、無水硫酸ナトリウム30g(1w/w)にて乾燥し、濾過し、ついで、真空濃縮した。粗製生成物を、カラムクロマトグラフィーにて精製して、NUC-9701 20~45gを得た。
S
p-NUC-9701:
1H-NMR (500MHz; MeOD-d4):δ
H 8.07 (1H, d J=8.5Hz, H-Napht), 8.05 (1H, s, 2-H), 7.87 (1H, d J=8.5Hz, H-Napht), 7.67 (1H, d J=8.5Hz, H-Napht) 7.54-7.48 (2H, m, H-Napht), 7.41-7.30 (1H, m, H-Napht), 7.36-7.33 (1H, m, H-Napht), 7.26-7.22 (5H, m, -CH
2Ph), 6.03 (1H, d J=5.0Hz, H-1’), 5.33 (1H, t J=5.0Hz, H-2’), 5.01, 4.98 (AB, J
AB=12.3Hz, CH
2Ph), 4.65 (1H t J=5.5Hz, H-3’), 4.49-4.45 (1H, m, H
a-5’), 4.41-4.36 (1H, m, H
b-5’), 4.22-4.20 (1H, m, H-4’), 3.94-3.90 (1H, m, -CHCH
3), 1.17 (1H, d J=7.0Hz, CH
3)
31P NMR (202MHz, MeOD-d4):δ
P 3.93 (1P, s)
逆相HPLC(H
2O/CH
3CN(30分で90/10から0/100)にて溶離、1ml/分、λ=254nm): t
R=16.43分を有するピークを示す
R
p-NUC-9701:
1H-NMR (500MHz; MeOD-d4):δ
H 8.10 (1H, s, H-2), 8.08 (1H, d J=8.5Hz, H-Napht), 7.87 (1H, d J=8.5Hz, H-Napht), 7.67 (1H, d J=8.5Hz, H-Napht), 7.53-7.50 (1H, m, H-Napht), 7.48-7.44 (1H, m, H-Napht), 7.40-7.38 (1H, m, H-Napht), 7.33-7.27 (6H, m, H-Napht及び-CH
2Ph), 6.02 (1H, d J=5.0Hz, H-1’), 5.28 (1H, t J=5.0Hz, H-2’), 5.04, 5.02 (AB, J
AB=12.2 Hz, CH
2Ph), 4.63 (1H t J=5.5Hz, H-3’), 4.48-4.46 (1H, m, H
a-5’), 4.38-4.35 (1H, m, H
b-5’), 4.23-4.20 (1H, m, H-4’),4.05-4.01 (1H, m, -CHCH
3), 1.17 (1H, d J=7.0Hz, CH
3)
31P NMR (202MHz, MeOD-d4):δ
P 3.83 (1P, s)
逆相HPLC(H
2O/CH
3CN(30分で90/10から0/100)にて溶離、1ml/分、λ=254nm): t
R=16.59分を有するピークを示す
上記のNUC-9701の2つの異性体の立体化学(R
p対S
p)を、
31P化学シフト、
1H NMRスペクトル及びHPLC保持時間と、文献において公知の他のProTideのものとの比較に基づいて、仮に、割り当てた。