(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】インテリジェント電源タップ用差込口突入電流リミッタ
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20240723BHJP
H01H 47/00 20060101ALI20240723BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02H7/00 A
H02H7/00 L
H01H47/00 C
H01H9/54 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023092592
(22)【出願日】2023-06-05
【審査請求日】2023-06-05
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506188585
【氏名又は名称】バーティブ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】ケビン アール. ファーガソン
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー ギルソン
(72)【発明者】
【氏名】スコット クーパー
(72)【発明者】
【氏名】ジェーソン アームストロング
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-019318(JP,A)
【文献】特表2018-513666(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0235017(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H01H 47/00
H01H 9/54
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック配電ユニットであって、
外部デバイスの交流(AC)電源コードの電源コンセントへの接続を可能にするように構成される少なくとも1つの電源コンセントと、
複数の双安定継電器を有し、前記少なくとも1つの電源コンセントに外部AC電源からAC電力を供給するために前記少なくとも1つの電源コンセントに関連付けられている電力出力モジュール(POM)と、を備え、前記双安定継電器の各々は、開位置および閉位置に設定することのできる接点を有し、前記POMが、
RMS電圧またはピーク電圧の少なくとも1つの変化に基づいて、前記複数の双安定継電器のうちの1つの開接点における負荷接続ステータスを判断することと、
前記外部AC電源からのライン電圧の電圧ゼロクロスを予測することと、
負荷接続ステータスと電圧ゼロクロスとを含む通信を交換可能監視デバイス(IMD)に伝送することと、
前記IMDからの命令に基づいて前記開接点を閉じることと、を行うように構成され、
前記IMDが、
前記双安定継電器の状態を監視することと、
前記POMから通信を受信することと、
前記通信に基づいて前記開接点を閉じるよう前記POMに命令することと、を行うよう
に構成され、前記開接点を閉じることが、前記ラック配電ユニットへの電流の突入を制限
する、ラック配電ユニット。
【請求項2】
前記POMは、RMS電圧またはピーク電圧の少なくとも1つの前記変化に基づいて、前記複数の双安定継電器のうちの1つの前記開接点における前記負荷接続ステータスを判断するために1つまたは複数の制御アルゴリズムを利用する、請求項1に記載のラック配電ユニット。
【請求項3】
前記制御アルゴリズムはファームウェアとして構成される、請求項2に記載のラック配電ユニット。
【請求項4】
前記少なくとも1つのAC電源コンセントは120ボルトを供給する、請求項1に請求されるラック配電ユニット。
【請求項5】
前記POMは、前記外部AC電源からの前記ライン電圧の前記電圧ゼロクロスを、前記ライン電圧のライン周波数を監視することによって予測するように構成される、請求項1に請求されるラック配電ユニット。
【請求項6】
前記POMは、前記外部AC電源からの前記ライン電圧の前記電圧ゼロクロスを、記憶されているゼロクロス電圧遷移データを監視することによって予測するように構成される、請求項1に請求されるラック配電ユニット。
【請求項7】
前記POMは、負荷検出回路部を介して前記負荷接続ステータスを判断するように構成される、請求項1に記載のラック配電ユニット。
【請求項8】
前記負荷検出回路部は、既知の抵抗をもつ複数の抵抗器と、
前記複数の抵抗器で分圧され、同複数の抵抗器のうち、ある一対の抵抗器間の電圧と、別の一対の抵抗器間の電圧との電圧の差に基づいて出力電圧を判断するように構成される差分増幅器とを含む、
請求項7に記載のラック配電ユニット。
【請求項9】
複数の負荷へのAC電力の印加を監視および制御するための方法であって、前記方法は、
独立した負荷デバイスの交流(AC)電源コード用の電力接続点を形成する少なくとも1つのAC電源コンセントを提供することと、
前記少なくとも1つの電源コンセントに外部AC電源からAC電力を供給するために前記少なくとも1つのAC電源コンセントの1つに関連付けられている少なくとも1つの双安定継電器を有する電力出力モジュール(POM)を使用することであって、前記双安定継電器は、開位置および閉位置に設定するように構成される接点を有することと、
前記POMを使用して、
RMS電圧またはピーク電圧の少なくとも1つの変化に基づいて、複数の双安定継電器のうちの1つの開接点における負荷接続ステータスを判断し、
前記外部AC電源からのライン電圧の電圧ゼロクロスを予測し、
前記負荷接続ステータスを含む通信を伝送し、および
前記負荷接続ステータスに基づいて前記接点を開閉することと、を備える、方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのAC電源コンセントは120ボルトを供給する、請求項9に記載される方法。
【請求項11】
前記外部AC電源からの前記ライン電圧の前記電圧ゼロクロスを予測することは、前記ライン電圧のライン周波数を監視することを含む、請求項9に記載される方法。
【請求項12】
前記外部AC電源からの前記ライン電圧の前記電圧ゼロクロスを予測することは、記憶されているゼロクロス電圧遷移データを監視することを含む、請求項9に記載される方法。
【請求項13】
ラック配電ユニットであって、
外部デバイスの交流(AC)電源コードの電源コンセントへの接続を可能にするように構成される少なくとも1つの電源コンセントと、
複数の双安定継電器を有し、前記少なくとも1つの電源コンセントに外部AC電源からAC電力を供給するために前記少なくとも1つの電源コンセントに関連付けられている電力出力モジュール(POM)と、を備え、前記双安定継電器の各々は、開位置および閉位置に設定することのできる接点を有し、前記POMが、
前記複数の双安定継電器のうちの1つの状態を監視することと、
RMS電圧またはピーク電圧の少なくとも1つの変化に基づいて、前記複数の双安定継電器のうちの1つの開接点における負荷接続ステータスを判断することと、
前記外部AC電源からのライン電圧の電圧ゼロクロスを予測することと、
前記負荷接続ステータスの判断と予測される電圧ゼロクロスとに基づいて、前記開接点を閉じることと、を行うように構成される、ラック配電ユニット。
【請求項14】
前記POMは、RMS電圧またはピーク電圧の少なくとも1つの前記変化に基づいて、前記複数の双安定継電器のうちの1つの前記開接点における前記負荷接続ステータスを判断するために1つまたは複数の制御アルゴリズムを利用する、請求項13に記載のラック
配電ユニット。
【請求項15】
前記制御アルゴリズムはファームウェアとして構成される、請求項14に記載のラック配電ユニット。
【請求項16】
前記少なくとも1つのAC電源コンセントは120ボルトを供給する、請求項13に記
載のラック配電ユニット。
【請求項17】
前記POMは、前記外部AC電源からの前記ライン電圧の前記電圧ゼロクロスを、前記ライン電圧のライン周波数を監視することによって予測するように構成される、請求項13に記載のラック配電ユニット。
【請求項18】
前記POMは、前記外部AC電源からの前記ライン電圧の前記電圧ゼロクロスを、記憶されているゼロクロス電圧遷移データを監視することによって予測するように構成される、請求項13に記載のラック配電ユニット。
【請求項19】
前記POMは、負荷検出回路部を介して前記負荷接続ステータスを判断するように構成される、請求項13に記載のラック配電ユニット。
【請求項20】
前記負荷検出回路部は、既知の抵抗をもつ複数の抵抗器と、
前記複数の抵抗器で分圧され、同複数の抵抗器のうち、ある一対の抵抗器間の電圧と、別の一対の抵抗器間の電圧との電圧の差に基づいて出力電圧を判断するように構成される差分増幅器とを含む、請求項19に記載のラック配電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、35 U.S.C.§119(e)に基づき、2022年6月6日に出願された米国特許仮出願第63/349,385号の利益を主張する。2022年6月6日に出願された米国特許仮出願第63/349,385号は、その全体を参照により本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、複数の差込口および双安定継電器を備えるインテリジェント電源タップに関し、より具体的には、差込口がオンにされている間に外部デバイスをインテリジェント電源タップに接続および切断しようとする時に突入電流を制限するように構成されるインテリジェント電源タップに関する。
【背景技術】
【0003】
サーバークラスタに使用するものなど、インテリジェント電源タップは、通例では定格が250V/20アンペアの電力継電器を使用して、サーバなどの接続される負荷デバイスを再起動するという主目的のためにコンセントのラインを開閉することが多い。負荷デバイスの内部電力供給設計によっては、入力バルクコンデンサがチャージアップしている間に継電器接点が閉じられた瞬間、実質的な突入電流が生じることがある。この、短いが大きな電流サージは継電器接点を永久的に損傷させる可能性がある。例えば、突入電流は、継電器接点がそれ以上作動しなくなるほど、継電器接点を閉じたまま溶着することがある。これらの高エネルギーイベントは、溶融金属の爆発的な膨張や噴出さえ引き起こすことがあり、場合によってはシャーシ内の二次的なアーク故障につながる。また、突入電流は、上流の回路保護器、通例では回路遮断器をトリップさせることもある。いくつかの継電器製造業者は、その設計定格の4倍までの瞬間的な電流サージに対応することのできる、より高価なデバイスを提供している。継電器接点の保護をさらに補助するために、ライン周波数の電圧ゼロクロスに従って継電器閉成のタイミングを調整することによって、突入電流を軽減することができる。
【0004】
サーバ機器を保持するラックで使用される、ラック配電ユニット(RPDU)と一般に呼ばれる種類のインテリジェント電源タップは、複数のコンセントに関連付けられている開閉能力を有する。開閉能力の理由は、(a)ハングアップしている接続機器に遠隔で電力を復旧させることができることと、(b)接続されているすべての負荷が同時に突入電流を引き込むことによって上流の遮断器がトリップしないことを確実にするために、すべての接続機器を順次起動できるようにすること、の2つの目的をもってきた。典型的なIT(情報技術)負荷、例えばサーバは、起動時に通常電流の5倍も多く引き込む可能性がある。
【0005】
双安定継電器は、そのコイルがその接点の状態を維持するために付勢しておく必要がないため、よりエネルギー効率がよいので、RPDUでますます使用されるようになっている。このような双安定継電器では、コイルは、接点の状態を開から閉に、およびその逆に変更するためにパルス駆動される。すると、接点は、コイルが再びパルス駆動されるまで、その現状を維持する。対して、典型的な常時開継電器では、継電器の接点を閉じるのが望ましいとき、継電器のコイルを付勢しておかなければならず、かつ接点を閉じておくために付勢し続けなければならない。典型的な常時開継電器のコイルが消勢されると、継電器の接点はその常時開の状態に戻る。同様に、典型的な常時閉継電器では、継電器の接点を開くのが望ましいとき、継電器のコイルを付勢しておかなければならず、かつ接点を開いておくために付勢し続けなければならない。典型的な常時閉継電器のコイルが消勢されると、継電器の接点はその常時閉の状態に戻る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
開閉能力を備えるRPDUは、それが規定の期間内に各コンセントに電力を順番に入れるようにプログラミングできる場合、パワーサイクルおよび回路遮断器の閉成中に突入電流を管理するのに特に有用である。しかし、コンセントに電力が供給されている間にユーザが手動で負荷を接続および/または切断する状況においては、RPDUは現在、潜在的な突入電流を軽減することができない。問題を複雑にしているのは、これらのシステムが、継電器の接点が開いているときに負荷デバイスが接続されているのか切断されているのかを示すことができないことである。負荷の接続性および突入電流の検出に対するRPDU内のこれらの制限が、上で列挙した高エネルギーイベントをもたらす可能性がある。
【0007】
そのため、システムおよび方法が、上で明記した従来のアプローチの欠点を改善することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本開示は、1つまたは複数のコンセントへの電力を自動的かつ安全に切り替えるラック配電ユニット(RPDU)に向けられる。RPDUは、負荷デバイスへの電力の手動接続/切断時に突入電流が最小限になるように双安定継電器を管理する制御アルゴリズムを利用する1つまたは複数のプロセッサを含む。具体的には、継電器接点のステータス(開/閉)は、負荷インピーダンスによって影響を受けるRMSまたはピーク電圧の変化に基づいて特定される。RPDUは、電圧ゼロクロスイベントのタイミングを予測するようにも構成される。このように、また継電器接点のステータスの判断と電圧ゼロクロス予測とに基づいて、開いている継電器接点を特定し、電圧ゼロクロス時に安全に閉じる。
【0009】
以上の概要説明および以下の詳細な説明は、ともに例示的で説明的なものにすぎず、必ずしも本開示の制限的なものではないことは理解されるべきである。本明細書に組み込まれて本明細書の一部をなす添付の図面は、本開示の主題を例示する。説明と図面は、合わせて、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の多数の利点は、添付の図面を参照することによって当業者にはよりよく理解できる。
【0011】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態によるラック配電ユニット(RPDU)を示すブロック図である。
【0012】
図2は、本開示の1つまたは複数の実施形態による双安定継電器に結合される電力出力モジュールを示すブロック図である。
【0013】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、異なる負荷および継電器の条件における負荷検出回路の模式図である。
【0014】
図4は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、RPDUがユーザデバイスにイベント通知を提供することを示すブロック図である。
【0015】
図5は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、RPDUがユーザデバイスからメッセージを受信することを示すブロック図である。
【0016】
図6は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、複数の負荷デバイスへのAC電力の印加を監視および制御するための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の1つまたは複数の実施形態を詳細に説明する前に、実施形態は、その用途が以下の説明に記載されるかまたは図面に図示される構造の詳細および構成要素またはステップの配列もしくは方法論に制限されないことは理解されるべきである。以下の実施形態の詳細な説明において、開示の理解をより完全にしてもらうために、多数の具体的な詳細を記載していることがある。しかし、本開示の利益を有する当業者には、本明細書で開示される実施形態がこれらの具体的な詳細のいくつかがなくても実施できることは明らかであろう。他の場合では、本開示を不必要に複雑にしないように、周知の特徴は詳細に説明していないことがある。
【0018】
本明細書で使用される場合、参照番号の後に続く文字は、同じ参照番号を付けた、以前に説明された要素または特徴(例えば、1、1a、1b)に似ている可能性があるが必ずしも同一ではない特徴または要素をもつ実施形態に言及することが意図される。このような簡略表記は、便宜上のためにのみ使用され、それに反することが明示的に記載されていない限り、本開示をいかなる形でも制限すると解釈するべきではない。
【0019】
さらに、それに反することが明示的に記載されていない限り、「or(または、もしくは)」は包含的なorを表し、排他的なorを表すのではない。例えば、条件AまたはBは、次のいずれか1つを満たすことによって満たされる。すなわち、Aが真(または存在する)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する)、およびAとBがともに真(または存在する)。
【0020】
さらに、「a」または「an」の使用は、本明細書で開示される実施形態の要素および構成要素を説明するために採用されることがある。これは単に便宜上行われるものであり、「a」および「an」は「1つ」または「少なくとも1つ」を含むことが意図され、単数は、他のことを意味するのが明白でない限り、複数も含む。
【0021】
最後に、本明細書で使用される場合、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して説明されるある特定の要素、特徴、構造または特性が、本明細書に開示される少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所での「実施形態では」というフレーズの出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及しているのではなく、実施形態は、本明細書に明示的に説明されるかもしくは本質的に存在する特徴のうちの1つまたは複数、または必ずしも本開示に明示的に説明されるかもしくは本質的に存在しない可能性がある任意の他の特徴とともに、2つ以上の当該特徴の組合せもしくは下位組合せを含んでもよい。
【0022】
本開示は、1つまたは複数のコンセントへの電力を自動的かつ安全に切り替えるラック配電ユニット(RPDU)に向けられる。RPDUは、負荷デバイスへの電力の手動接続/切断時に突入電流が最小限になるように双安定継電器を管理する制御アルゴリズムを利用する1つまたは複数のプロセッサを含む。具体的には、継電器接点のステータス(開/閉)は、負荷インピーダンスによって影響を受けるRMSまたはピーク電圧の変化に基づいて特定される。RPDUは、電圧ゼロクロスイベントのタイミングを予測するようにも構成される。このように、また継電器接点のステータスの判断と電圧ゼロクロス予測とに基づいて、開いている継電器接点を特定し、電圧ゼロクロス時に予測的に閉じる。
【0023】
図1を参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態によるラック配電ユニット(RPDU)を示すブロック図が示されている。RPDU100は、交換可能監視デバイス(IMD)104を含むことができる。例えば、IMD104は、RPDU100にインストールされているホットスワップ可能ウェブカードとして構成されてもよい。IMD104は、1つまたは複数のIMDマイクロコントローラ108、IMD電源109、ディスプレイインターフェース110を含むことができ、ならびにフラッシュメモリ112および/またはDDRメモリ116の形態の不揮発性(NV)メモリも含むことができる。IMD104は、1つまたは複数のLANイーサネットポート120a~b、1つまたは複数の1線式センサポート124、RD‐232/RS485ポート126、USBポート128、およびマイクロSDソケット130を含むがこれだけに制限されない、複数のポートを含むこともできる。IMDは、ユーザがIMD、RPDU100および/またはRPDU100内の他のサブシステムに強制リセットを開始することを可能にするために、リセットスイッチ131に結合することができる。IMD104は、RS‐485物理層を介して、他のRPDUの構成要素群と通信することもできる。
【0024】
RPDU100は、1つまたは複数の電力出力モジュール(POM)132をさらに含む。各POM132は、POMマイクロコントローラ152と複数の双安定継電器140とを含むことができる。POMマイクロコントローラ152は、開回路遮断器を検出すること、双安定継電器140を制御すること、電圧および電流を測定すること、ならびに各コンセントのエネルギー計量データを計算することを含むいくつかの機能を行うことができる。POMは、POM電圧検知回路部144、POM電流検知回路部148、1つまたは複数のPOMマイクロコントローラ152、POM電源156、およびPOMメモリ160をさらに含むことができる。
【0025】
IMD104は、RPDU100用の監視用ホストコントローラとして機能することができ、POM132と常時通信状態とすることができる。POM132と通信することによって、IMD104は、ユーザがRPDU100の1つまたは複数の機能をイネーブルまたはディセーブルにするための、また、ステータス情報を取得および表示するための手段を提供することができる。実施形態では、IMD104は、直接、コンセントの電圧を検知せず、および/または接続もしくは切断アルゴリズムを実行しない(例えば、電圧検知および実行はPOM132によって行ってもよい)。
【0026】
RPDU100は、POM132およびIMD104に(例えば、前述のRS‐485物理層を介して)通信可能に結合される電力入力モジュール(PIM)164をさらに含む。PIM164は、入力電圧および入力電流を測定し、入力およびRPDU100の分岐回路のエネルギー計量データを計算する。PIM164は、検知サブシステムを介して、電圧および電流を検出および測定することができる。例えば、PIM164は、PIM電流検知回路部168と、PIM電圧検知回路部172とを含むことができる。PIM164は、1つまたは複数のPIMマイクロコントローラ176、PIM電源180およびPIMメモリ184を含むこともできる。PIM164およびPOM132は、ともにRS‐485物理層および/または他の専有プロトコル(例えば、通信インターフェース)を介してIMD104と通信することができる。例えば、IMD104は、PIM164およびPOM132と通信して、これらの計量データを取得し、POM132に関しては、差込口電力継電器の状態を効果的に制御する。
【0027】
図1は、IMD104、POM132およびPIM164をRPDU100の個別に規定される構成要素として提示しているが、IMD104、POM132および/またはPIM164は、IMD104、POM132および/またはPIM164のうちの1つもしくは複数またはすべての構成要素を含んでもよく、IMD104、POM132および/またはPIM164のうちの1つもしくは複数またはすべての機能を実行してもよい。そのため、上記説明は本開示の実施形態に対する制限として解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈するべきである。
【0028】
図1は、複数の分岐回路遮断器(CB)188も示している。「分岐」回路遮断器によって、CB188の各々は一意に1つの特定のPOM132に関連付けられることを意味する。各POM132は複数の双安定継電器140を含み、これは、特定の一実施形態では、6つの双安定継電器を備える。しかし、分岐ごとに、これより多いまたは少ない数の双安定継電器140を設けてもよいことは認識されるであろう。機械的双安定継電器140はコイルおよび接点を有し、単コイルまたは複コイル継電器として構成することができる。各POM132に、2つ以上のCB188が存在してもよい。例えば、各POM132は、その双安定継電器140を2つのサブバンクに配列させることができ、個々のCB188は各サブバンクに関連付けられる。本明細書で使用する場合、POM132の各サブバンクは、POM132の分岐と考えることができる。
【0029】
図1は、複数のAC電源コンセント192も示している。各AC電源コンセント192は、第1関連光学素子196および第2関連光学素子200を含むことのできる光学素子セット194を有することができる。例えば、第1関連光学素子196は、各々がその特定のACコンセント192に関連付けられている特定の双安定継電器140のステータスを示す第1色、例えば緑色を有するLEDとして構成することができる。第2関連光学素子200は、ユーザに追加情報を提供するために、第1関連光学素子196とは異なる色、例えば赤色を有するLEDとして構成することができる。例えば、緑色LEDの各々は、例えば、その特定のACコンセント192に関連付けられている双安定継電器140が閉じていることを示すことができ、そのため、緑色LEDが消えていると、関連双安定継電器140が開いていることを示すことになる。RPDU100への入力電力は、無停電電源装置(UPS)204、スイッチモード電源装置(SMPS)205、AC入力ライン206、または任意の他のAC電源からにすることができる。光学素子196、200は、特定の双安定継電器の異なるイベント、ステータスおよび/または特性を示すことができ、RPDU100は、関連光学素子196、200の複数のセットを含むように構成することができる。
【0030】
PIM164はリアルタイムのRMS電圧測定およびRMS電流測定を行い、したがって、AC電源からの電力入力を監視することができる。監視された電力情報は、RPDU100の他の構成要素と共有することができる。PIM164は、その電流検知機能を実行するために使用する、POM132の各々から入力電流信号を受信することができる。各POM132は、双安定継電器140の各分岐に関連付けられているACコンセント192によって引き込まれる電流を独立して測定するために、複数の変流器(CT)を含むこともできる。
【0031】
図1に図示されるIMD104は、PIM164から取得されるRPDU100のエネルギー計量および配電ステータスに関する情報を管理し、監視し、ネットワーク接続されたソフトウェアクライアントに報告する。PIM164は、上で説明したように、エネルギー計量測定および計算、制御管理ならびにIMD104との通信インターフェースのサポートを提供する。IMD104は各POM132と通信し、電力損失時を除き、各POM132に命令メッセージを送信してそれに関連付けられている双安定継電器140の各々を独立して制御することによって(例えば、IMD104はPOM132に継電器の状態を設定するよう命令する)、各POM123の双安定継電器140を効果的に制御する。
【0032】
POM123は、マイクロコントローラ152を介してその双安定継電器140を直接制御する。POM132は、ライン周波数の監視によって個別コンセントの動作ステータスおよびAC入力電力信号の損失を検知し、開回路遮断器の状態を検出することもできる。例えば、各POM132の双安定継電器140は、状態を変更するために、すなわち、その接点を開または閉にするために、そのコイルに公称16msecのパルスを必要とするように構成することができる。本明細書において、双安定継電器140が「開」であるという言及は、その接点が開いていて、双安定継電器140が電力を切り替えるコンセント192で電力がオフであるまたは遮断されていることを意味する。本明細書で使用される場合、「電源投入」、「電源切断」、「電源障害」および「パワーサイクル」とは、入力ACライン電圧の特定の状態をいい、入力ACライン電圧は、各POM132の双安定継電器140を通してコンセント192に供給されるAC電力である。双安定継電器140に関連して使用される場合、「構成状態」という用語は、電力がオンのときに所与の双安定継電器が(すなわち開または閉)であるように構成される状態を意味する。
【0033】
実施形態では、IMDは、命令して、PIM164およびPOM132からエネルギー計量データを受信する。IMD104は、通信バス208を介してPIM164に命令することもでき、これが次いで、通信バス208を介してPOM132に各双安定継電器140の継電器状態を構成するよう命令することができる。例えば、IMD104は、PIM164およびPOM132の両方に接続されるバスマスターとして作用することができ、PIM164およびPOM132は互いにインタラクトしない。しかし、いくつかの実施形態では、PIM164はPOM132と直接インタラクトすることができる。実施形態では、PIM164は、IMD104の命令なしで自律的な挙動が可能である。1つまたは複数のPOM132の各々もPIM164の命令なしで自律的な挙動を可能にすることができる。
【0034】
図2を参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態による双安定継電器に結合される電力出力モジュールを示すブロック図が示されている。この実施例では、6個の双安定継電器140
1~140
6が示されているが、RPDU100は、これより多いまたは少ない数の双安定継電器140を制御してもよいことは認識されるであろう。POM132のPOMマイクロコントローラ152は、POMマイクロコントローラ152の他のサブシステムとの通信を管理するシリアルインターフェース(SPI)を含むことができる。POMマイクロコントローラ152は、双安定継電器140にそれぞれ第1状態(「セット」信号)または第2状態(「リセット」信号)をとるように独立して命令する信号を生成するための適切なロジックを含む。POMマイクロコントローラ152は、光学素子セット194(例えば、緑色LEDおよび/または赤色LED)を制御するためのロジックも含む。例えば、マイクロコントローラは、双安定継電器140の所与のバンクが所定の電流上限に近い電流を引き込んでいるとき、緑色LEDが第1速度で閃光するように緑色LEDを制御することができる。別の実施例では、POMマイクロコントローラ152は、過電流状態が生じている(すなわち、双安定継電器140の所与のバンクが許容されるよりも多くの電流を引き込んでいる)とき、第1速度とは異なる第2速度(例えば、より速い速度)で緑色LEDが閃光するように緑色LEDを制御することができる。別の実施例では、POMマイクロコントローラ152は、双安定継電器140の所与のバンクが許容されるよりも多くの電流を引き込んでいて過電流状態が生じている場合、赤色LEDのすべてが連続的に点灯したままであるように、赤色LEDを制御することができる。別の実施例では、赤色LEDは、開回路基板条件が生じる場合、閃光またはパルス駆動するように制御することもできる。
【0035】
いくつかの実施形態では、POM132、POM電圧検知回路部144およびPOM電流検知回路部148は、POM132の各々について、各CB188の負荷側のライン周波数の損失を監視する。例えば、各POM132は、配電およびAC電力供給用の2つのサブバンクを同じ位相または異なる位相のどちらにすることもできることを可能にすることができる。別の実施例では、双安定継電器140の各サブバンクは、任意選択で、それ自体のマイクロコントローラ152を有してもよい。
【0036】
1つまたは複数のPOM132の各々は、AC電源からのACライン信号のライン周波数の損失を検出することによって、差し迫った電力損失を推定する。各POM132はライン周波数を監視し、ACライン信号の検出電圧ゼロクロス遷移の発生が予想数よりも少なかった短期間の後、ライン周波数の真の損失ステータスを設定する。ライン周波数の真の損失とは、50/60Hzのどちらの運転も満たしながら、32.768ms間隔にわたって3回よりも少ないゼロ電圧遷移またはゼロクロスが起こるときと定義される。POM132の電圧ゼロクロス検出ハードウェアは内蔵ヒテリシスを有し、ライン周波数をデジタル化する。デジタル化されたライン周波数は、確実にトリガするためにデジタルフィルタリングを使用するPOM132に供給される。この点に関し、POM132は、この判断を行うためにゼロクロス電圧遷移をカウントする。遷移の数は、ゼロクロスについて、1回の最悪の場合の%サイクル遅延を考慮する。
【0037】
ライン周波数の損失を検出するための検出期間は、システム全体(すなわち、PIM164、POM132およびIMD104)に電力供給しているSMPS205に由来する各双安定継電器140の継電器コイル電圧が、POM132が開状態に開く必要のある双安定継電器140をパルス駆動するのに十分に長く(通例、約16ms)維持されるように小さくしなければならない。最悪の場合の全負荷条件(すなわち、70VACで電力供給され、IMD104がフル稼働)で、約64msの電力供給ホールドタイムになる。
【0038】
いくつかの実施形態では、POM132は、ライン電力の損失による電力損失かCB188の開条件によるかを区別しない。そのため、電力損失時、POM132は、影響を受けるサブバンクのすべての双安定継電器140を、その接点が開条件に切り替えられる(またはそのまま)になるように制御する。すなわち、電力損失時(例えば、Nサイクルにわたる電流RMSおよび/またはピークの突然の損失によって判断される)、POM132は、閉じられている双安定継電器の接点を開き、開いている双安定継電器の接点を開いたままにしておく。
【0039】
いくつかの実施形態では、命令されたコンセント192の状態は、自律的な電源投入状態挙動に優先する。例えば、電源投入サイクル中、閉じるべき双安定継電器140を閉じる順序のためにコンセント192の電源投入遅延が保留になっている場合、コンセントの電源をオンにする個別の命令で、そのコンセントの双安定継電器140の閉成を即座に処理するようにすることができる。
【0040】
初期のシステム起動時、1つまたは複数のCB188は、電力が印加される前、ユーザによって手動で開状態にトリップすることができる。この結果、IMD104は、電源投入時、影響を受けるPOM132に、すべての双安定継電器140を即座に開いて突入電流を軽減するよう自律的に命令する。その後、IMD104は各POM132に問い合わせて、その双安定継電器140のすべてが開いているかを確認し、開いていれば、今度はそのPOM132のCB188を閉じるようにユーザに警告する。そして、そのコンセントの双安定継電器140が閉じられると、各コンセント192に関連付けられているLED196がオンになる(例えば、点灯する)ことができ、そのコンセントの双安定継電器が開いているときはオフにされる。双安定継電器140は、通例、製造時にデフォルトで「開」位置に設定されるであろうが、輸送および/または設置中に過度な衝撃または振動の発生で状態の変化が生じる可能性がある。同じPOM132について、1つのCB188がライン電力損失(すなわち、ライン周波数の真の損失)時に閉じていると検出される場合、すべての双安定継電器140がIMD104によってその構成コンセント192電源投入状態に設定される。すなわち、ライン電力損失時に閉状態の双安定継電器140は、電源投入時に再び閉じるように設定され、開状態の双安定継電器140は、電源投入時に開いたままにするように設定される。同じPOM132について、両方のCB188がライン電力損失(ライン周波数の真の損失)時に開であると検出される場合、すべての双安定継電器140は、IMD104によって、CB188が閉じられるまで、これらの双安定継電器140のすべてが電源投入時に開のままであるように制御される。CB188が閉じられると、IMD104は、初期システム起動中に、上で述べたように進める。次に、POM132のすべての双安定継電器140が開いていることを確認すると、IMD104は、今度は続いて、POM132に、閉じるべき双安定継電器140を閉じるように命令し、これは、IMD104が以下に述べるように順次行うことができる。IMD104の電力供給がなくなる場合、IMD104およびPOM132は、それ以上動作しない。しかし、双安定継電器140は、その後のパワーサイクル中でも、最後の構成状態のままである。この側面において、IMD104の電力供給がPOM132に電力を供給する。
【0041】
いくつかの実施形態では、電流双安定継電器140の状態は、IMD104によって構成されるときおよび/またはPOM132によって自律的に変更されるとき、POM132の揮発性レジスタメモリ(図示せず)で即座に更新され、揮発性レジスタメモリは、各POM132からIMD104によって読み出すことができる。したがって、IMD104は、IMD104のフラッシュメモリ112またはDDRメモリ116に記憶されているその双安定継電器140の状態を更新する。
【0042】
いくつかの実施形態では、電力損失の場合に影響を受ける各POM132の影響を受ける各サブバンクの閉じている双安定継電器140のすべてが開く場合を除き、突入電流を軽減し、その特定の分岐に関連付けられているCB188が不意に開いたりトリップしたりすることを防止するために、POM132の分岐ごとに1つの双安定継電器のみに、Nラインサイクルごとに変更することが許可される。例えば、POM132の影響を受ける分岐の電源投入サイクル中、IMD104は、その影響を受ける分岐のどの双安定継電器140を閉じるべきかを判断する。次に、Nラインサイクルごとに異なる双安定継電器に対して1つの命令ずつ、POM132にその双安定継電器140を閉じるように順次命令を送信する。すなわち、IMD104は、Nラインサイクルごとに、閉じるべき双安定継電器140のうちの1つを閉じるための命令をPOM132に送信する。この結果、Nラインサイクルごとに、1つの当該双安定継電器140が閉じられることになる。すべてのPOM132のすべての双安定継電器140のリアルタイムの構成状態を記憶するために、IMD104のフラッシュメモリ112またはDDRメモリ116がIMD104によって使用されることは理解されるべきである。次に、IMD104は、記憶された構成状態に基づいて、電源投入サイクル中に、影響を受けるPOM132の影響を受ける分岐のどの双安定継電器を閉じるべきかを判断する。
【0043】
POM132は、ファームウェアに実装される完全デジタル位相同期回路を有することができる。例えば、POM132は、電圧および電流の測定のために、ライン周波数に固定し、アナログ・デジタル変換プロセスを正確に調整するように動作することができる。POM132は、突入電流を軽減するために、ライン周波数のゼロクロス時になる、最低電圧に同期させたタイミングに従って、それに関連付けられている双安定継電器140を閉じることもできる。IMD104および/またはPOM132は、ライン中性線間電圧およびライン間電圧の両方に同期させることができる。POM132は、接点アークを最小限にするために、ライン周波数の最低電流ゼロクロスに同期させたタイミングに従って、それに関連付けられている双安定継電器140を開くことができる(例えば、IMD104からの命令ありまたはなしで)。
【0044】
双安定継電器140の開閉のタイミングは、製造機能試験中に測定され、POM132の不揮発性メモリなどの不揮発性メモリに保存することができる。これらのタイミングはPOM132の不揮発性メモリに保存されて、代替的にまたは付加的にIMD104によって必要に応じて引き出すことができることは理解されるべきである。いくつかの実施形態では、POM132は、タイミング情報(例えば、開タイミングおよび閉タイミング)をIMD104と共有することができる。コイルの動作/復旧時間のために復旧/開状態が達成されるまでに、双安定継電器140が内在的な遅延応答を有することも理解されるであろう。これらのタイミング値は、電圧および電流のゼロクロス状態の到達に応じて実際の開/閉状態の同期を改善するために、命令実行タイミングを補償するためにPOM132によって使用される。例えば、特定の双安定継電器140が9msecの閉時間を有すると測定された場合、IMD104がその双安定継電器140を有するPOM132にそれを閉じさせる命令を送信しているとき、IMD104は、次のゼロ電圧ラインクロス点の前にも9msecを有する。
【0045】
POM132は、ライン電圧ゼロクロス点付近に典型的な1~2msecの接点バウンスが生じるように、閉状態を?1msec早く命令することによって、継電器の接点バウンスも補償することができる。双安定継電器140が9msecの閉時間を有する前述の実施例では、POM132(例えば、IMD104からの命令ありまたはなし)は、次の電圧ゼロクロス点の10msec前に、双安定継電器140を閉じる。
【0046】
IMD104が、ユーザのリクエストごとにコンセントへの電力をオンオフに切り替えるように、および/またはユーザに出力電力をオンにするための所望の起動シーケンスをプログラミングさせるようPOM132に命令することは理解されるべきである。しかし、IMD104は、これらの活動を調整するためのロジックを直接管理することはできない。例えば、IMDは、IMD104に決定論的リアルタイムオペレーティングシステムがないために、電力継電器の開閉タイミングを正確に制御することはできない。むしろ、POM132は、IMD104命令から、またはPOMマイクロコントローラ152上で実行しているコードから本明細書に説明される突入電流軽減アルゴリズムに従って自律的に、のいずれかで、電力継電器をオンオフに切り替えるためのロジックを直接管理することができる。POM132は、IMD104が差込口電力ステータスを監視プロトコルおよび/またはウェブインターフェースによりユーザに報告することができるように、実際の電力継電器状態をIMD104に伝え戻す。
【0047】
IMD104は、双安定継電器140が開くように命令されるが、それに流れる電流がなお測定される場合、異常動作条件も報告することができる。各コンセント192は、それに関連付けられて、コンセントによって引き込まれる電流を測定するために使用される変流器の1つを有することができる。この異常条件は、故障したまたは閉じたまま固まっている継電器接点に起因する可能性がある。POM132は、その変流器によって測定される電流からこのような異常動作条件が存在するかどうかを判断することができ、この異常条件をIMD104に通信することができる。
【0048】
図面に図示されるように、IMD104、PIM164およびPOM132は、それぞれIMDマイクロコントローラ108、PIMマイクロコントローラ176およびPOMマイクロコントローラ152を含むが、POMマイクロコントローラ152だけが、前述したロジック機能を実施するための適切なロジックを含む。デジタルプロセッサ(DSP)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)などの他の種類のデバイスを使用することができることは理解されるべきである。IMD104、PIM164またはPOM132が機能用のロジックを有すると言われるとき、このようなロジックは、マイクロコントローラに実装されるロジックを含め、ハードウェア、ソフトウェアまたはその組合せを含むことができることは理解されるべきである。
【0049】
上で説明したように、RPDU100は、パワーサイクルおよび回路遮断器の閉成中、制御されたやり方で突入電流を管理する。RPDU100は、コンセントに電力供給されている間、ユーザが手動で負荷を接続または切断する状況で発生する可能性のある突入電流も軽減する。このような軽減には、RPDU100がゼロクロスを予測し、予測されるゼロクロスイベント中に継電器を調整するように動作する必要がある。軽減には、負荷が接続または切断されているとき、継電器接点が開いているか閉じているかをRPDUが自動的に検出できることも必要である。開継電器接点または閉継電器接点いずれかでの負荷ステータスの検出は、開継電器接点および閉継電器接点における負荷の存在を判断する制御アルゴリズムを備える埋め込みファームウェアを有するPOM123内の電圧検知回路部によって促進される。制御アルゴリズムは、将来の電圧ゼロクロスを予測するためにも使用することができる。
【0050】
図3A、
図3Bおよび
図3Cを参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態による、異なる負荷および継電器の条件における負荷検出回路部の模式図が示されている。異なる負荷304および継電器140の条件における負荷検出回路部300の模式図が示されており、負荷検出回路部300は、負荷304が接続されているかまたは切断されているかを判断するように構成することができる。
【0051】
負荷検出回路部300は、POM132またはIMD104を含むがこれだけに制限されない、RPDU100の任意の構成要素群内に配設することができる。負荷検出回路部300は、継電器140、AC電源308(例えば、AC電源コンセント192から)を含むことができる。負荷検出回路部300は、それぞれ既知の抵抗R1~R7をもつ一連の抵抗器312a~gをさらに含み、抵抗器312a~fは直列に配列されている。抵抗器312cと312dとの間で回路部に接続されているアース線316のリード線は地面320につながるのに対し、抵抗器のペア312bと312c間および312dと312e間に接続されている対の比較器リード線324a~bは、差分増幅器326につながる。抵抗器312gは抵抗器312aに並列に配列され、抵抗器312aと312bとの間の接続部328で回路部に電気的に結合する。抵抗器312gは、接続部332でも回路部に結合する(例えば、継電器140は、接続部340aおよび接続部332によって両側に配置される)。負荷304は、既知の抵抗(RL)も有する。負荷インピーダンスは未知であるが、抵抗器312a、312gによって形成される回路の高インピーダンスに対して短絡として作用するのに十分に低い。
【0052】
差分増幅器326は、比較器リード線324a~bからそれぞれ電圧Vx2およびVy2を受け取り、Vx2とVy2との差に基づいて、電圧供給Vsを判断するように構成される。負荷検出回路部300内の異なる負荷304および継電器の条件について判断されると、Vsは、次に、継電器接点が開いている間に負荷304が接続されているか切断されているかを示すことができる。電圧Vx2およびVy2は、負荷検出回路部300内で行われる電圧RMSおよび/またはピーク電圧の測定の変化間の比較を利用する制御アルゴリズムのセットに基づいて判断される。これらの制御アルゴリズムで、POMは、開接点/負荷あり、開接点/負荷なし、閉接点/負荷あり、および閉接点/負荷なしの条件における電圧差を検出し、測定することができる。例えば、負荷ありまたは負荷なしの条件のいずれかについて、負荷304からのインピーダンスは、継電器140の開接点を橋絡させる電圧検知抵抗器312a、312gに小さな変化を生じさせる可能性がある。以下の段落は、異なる負荷304および継電器の条件においてVsをどのように決定できるかの3つの実施例を説明する。
【0053】
負荷304が接続されていて、継電器140の継電器接点が閉じている条件において(例えば、
図3Aのように)、コネクタリード線324aの電圧(例えば、Vx2)は、次の式:(Vx2=Vx
*(R3/((R1||R7)+R2+R3)))に基づいて決定することができ、Vxは、接続部340a(すなわち、一連の抵抗器312a~fの一端が、AC電源308と継電器140との間の回路部の1点で接続する接続部)の電圧を示す。コネクタリード線324bの電圧(例えば、Vy2)は、次の式:(Vy2=Vy
*(R6/(R4+R5+R6)))に基づいて決定することができ、Vyは、接続部340b(すなわち、一連の抵抗器312a~fの他端が、AC電源308と継電器304との間の回路部の1点で接続する接続部)の電圧を示す。これで、電圧供給(Vs)を差分増幅器326により求めることができる(すなわち、Vs=Vx2-Vy2)。
【0054】
負荷304が接続されていて、継電器140の継電器接点が開いている条件において(例えば、
図3Bのように)、コネクタリード線324aの電圧は、次の式:(Vx2≒Vx1
*(R3/(R2+R3)))に基づいて決定することができ、Vx1は、接続部328の電圧を示し、これは、次の式:(Vx1≒Vx
*((R7+RL)/(R1+R7+RL)))に基づいて決定することができる。コネクタリード線312bの電圧は、次の式:(Vy2=Vy
*(R6/(R4+R5+R6)))に基づいて決定することができる。これで、電圧供給(Vs)を差分増幅器326により求めることができる(すなわち、Vs=Vx2-Vy2)。
【0055】
負荷304が切断されていて、継電器140の継電器接点が開いている条件において(例えば、
図3Cのように)、コネクタリード線324aの電圧は、次の式:(Vx2=Vy
*(R3/(R1+R2+R3)))に基づいて決定することができる。コネクタリード線324bの電圧は、次の式:(Vy2=Vy
*(R6/(R4+R5+R6)))に基づいて決定することができる。これで、電圧供給(Vs)を差分増幅器326により求めることができる(すなわち、Vs=Vx2-Vy2)。
【0056】
エンドオブライン工場試験の初期パワーサイクル中、負荷なしおよび負荷ありでの電力継電器開閉電圧測定を機能的に検証して、制御アルゴリズムを処理するための区別の明確な電圧基準を確立する。次に、これらの値を現在決定されているVs値と比較して、負荷304および継電器140の条件を決定することができる。
【0057】
本明細書で述べるように、制御アルゴリズムを使用して、将来の電圧ゼロクロスの正確なタイミングを予測するためにライン周波数と整合させる。負荷が検出されて、電力継電器が閉にプログラミングされている場合、制御アルゴリズムは、継電器動作時間の内在的な遅延を考慮して、継電器に電圧ゼロクロスの前に閉じるように命令するので、接点は、最も低い突入電流の最も低い瞬間電圧(すなわち、ゼロクロス)で閉じる。継電器の動作時間を実行時間中にも測定して、将来の電圧ゼロクロスの予測の精度を上げることができる。このタイミング情報は、不揮発性メモリ112、116、160、184に保存され、ユーザ入力電圧供給条件が変動し、温度および製品寿命中に継電器の切り替え性能が変わるにつれて、自動的かつ定期的に更新される。着脱可能な現場支給ケーブルのためにその電力サービスが意図的に変更されるときにコンセントの電圧が大きく変動する可能性のあるRPDU100モデルについて、制御アルゴリズムは、区別の明確な電圧基準を確立し直さなければならないので、コンセントは、最初に「オン」にされるときに、負荷があり、電圧ゼロクロスで電力継電器を閉じると想定する。制御アルゴリズムは、電流引き込みが測定されない場合に即座に差込口の電力をオフに切り替え、その時点以降、RPDU100は、負荷なしおよび負荷ありの電圧動作条件を認識する。
【0058】
上で述べたように、継電器接点のステータスは、光学素子セット内の光学素子196、200によって示すことができる。例えば、POM132は、制御アルゴリズムに基づいて、継電器接点が開いていて負荷が切断されているとき、光学素子196、200(例えば、LED)のうちの1つをトリガして赤色または緑色に点滅させることができる。別の実施例では、光学素子196、200のうちの1つは、電流プログラミング状態または「電源オン」もしくは「電源オフ」に従って、赤色または緑色の点灯に戻ることができる。別の実施例では、光学素子196、200のうちの1つは、再接続されて電流引き込みが測定されると、以前の点灯色に復帰することができる。別の実施例では、光学素子196、200のうちの1つによる光学出力の変化は、ユーザ確認時に元の光学出力に復帰することができる。別の実施例では、制御アルゴリズムは、継電器接点が閉じられているとき、光学素子196、200のうちの1つをトリガして、赤色または緑色に点滅させることができる。
【0059】
図4を参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態による、RPDUがユーザデバイスにイベント通知を提供することを示すブロック図が示されている。いくつかの実施形態では、
図4に図示されるように、継電器接点の開/閉は、ユーザデバイス408(例えば、コンピュータ、タブレットまたはスマートフォン)に送信されるイベント通知404をトリガすることができる。例えば、RPDU100は、簡易ネットワーク管理プロトコル(SNMP)、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、ウェブアプリケーションまたはその他ソフトウェアプロトコルを介して、イベント通知404をユーザデバイス408に(例えば、無線または有線技術を通じて)送信するように構成することができる。イベント通知404は、イベントのいくつかのデータまたは記録を含むことができる。例えば、イベント通知404は、イベント発生時に存在する電圧波形の画像または記述子を含むことができる。例えば、電圧波形の画像は、電圧ゼロクロスで継電器接点が閉じた証拠をユーザに提供することができる。イベント通知404は、サーバを利用してIT技術者、IT管理者、またはサードパーティの顧客に直接送信することができるであろう。
【0060】
継電器接点が開いている間に負荷が接続または切断されている時を検出するRPDU100の能力は、工場設定によってイネーブルにするか、設置前にユーザによってイネーブルにするか、または永久的にイネーブルにすることができる。例えば、設置者がRPDU100をコミッショニングしているときに、設置者は各負荷304を順にコンセントにつなぎ、異なるコンセントに負荷を順次移動して、すべて継続的に突入電流を軽減しながら、理想的な平衡負荷条件を確立することができる。
【0061】
図5を参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態による、RPDUがユーザデバイスからメッセージを受信することを示すブロック図が示されている。いくつかの実施形態では、RPDU100は、ユーザデバイス408からメッセージ412を受信するように構成される。例えば、RPDU100は、ユーザデバイス408からメッセージ412を(ウェブアプリケーションまたはその他ソフトウェアを介して)受信して、コンセント192への電力を復帰する。この特徴は、継電器接点が開いているときに負荷ステータスを検出するように構成されていない(例えば、ハードウェア構成がない)がファームウェアのアップデートは受信することのできるRPDUにとって、特に便利であり得る。ファームウェアのアップデートにアップロードされる制御アルゴリズムは、RPDU100に電圧ゼロクロス予測の関数を取得させることができる。すると、ユーザは、ユーザデバイス408を介してRPDU100にメッセージ412を送信し、継電器接点を閉じることによってコンセント192への電力を復帰させることができる。別の実施例では、設置者は、RPDU100にメッセージ412を送信して、設置中にすべてのコンセント192をオフにすることができる。このように、設置者は、RPDU100が電源につながれていて、継電器接点が閉じているときに、各負荷デバイスをコンセントにつなげることができる。負荷デバイスがコンセントにつながれているとき、RPDU100は、さらに、突入電流を避けながら、電圧ゼロクロスで対応する各コンセントを付勢することができる。
【0062】
図6を参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態による、複数の負荷デバイスへのAC電力の印加を監視および制御するための方法600を示すフロー図が示されている。方法600は、本明細書で説明されるRPDU100を利用する。負荷デバイスは、サーバを含むがこれだけに制限されない、AC電力を利用する任意のデバイスを含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、方法600は、独立した負荷デバイスの交流(AC)電源コード用の電力接続点を形成する少なくとも1つのAC電源コンセント192を提供するステップ602を含む。例えば、RPDUは、サーバコンピュータの電源コードが差し込み接続可能な120ボルトの差込口を備えることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、方法600は、外部AC電源からコンセント192にAC電力を供給するために、コンセント192に関連付けられている少なくとも1つの双安定継電器140を有するPOM132を使用するステップ604をさらに含み、双安定継電器140は、開位置および閉位置に設定することのできる接点を有する。POM132は、接点を開位置と閉位置とに切り替えるように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法600は、POM132を使用して、RMS電圧またはピーク電圧の少なくとも1つの変化に基づいて、複数の双安定継電器140のうちの1つの開接点における負荷接続ステータスを判断するステップ606をさらに含む。例えば、POM132は、
図3A~
図3Cに実証されるように、負荷条件または無負荷条件のいずれかで継電器接点が開か閉かを判断するために制御アルゴリズムを利用することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法600は、POM132を使用して、外部AC電源からのライン電圧の電圧ゼロクロスを予測するステップ608をさらに含む。本明細書で述べるように、制御アルゴリズムを使用して、将来の電圧ゼロクロスのタイミングを予測するためにライン周波数と整合させる。例えば、RPDU100は、ライン周波数を監視し、記憶されているゼロクロス電圧遷移データを利用して次のゼロクロスを予測することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法600は、POM132を使用して、負荷接続ステータスと電圧ゼロクロスとを含む通信をIMD104に伝送するステップ610をさらに含む。電力をコンセントに適切に移行するには、継電器接点のステータスおよび将来のゼロクロスのタイミングを知る必要がある。これらのデータは、POM132からIMD104に送信されて、IMD104命令を生成できるようにする。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法600は、POM132を使用して、IMD104からの命令に基づいて開接点を閉じるステップ612をさらに含む。例えば、IMD104は、POM132に命令を送信して、予測されるゼロクロス時に特定のタイムフレームで継電器接点を閉じることができる。
【0069】
本明細書に説明されるように、POM132は、IMD104の1つもしくは複数またはすべての機能を行うように構成することができる。例えば、POM132は、複数の双安定継電器140のうちの1つまたは複数の状態を監視し、負荷接続ステータスの判断と予測される電圧ゼロクロスとに基づいて開接点を閉じる機能を備えて構成することができる(例えば、IMD104および/もしくは他の回路部との通信なしで、またはIMD104および/もしくは他の回路部なしで)。そのため、上記説明は本開示の実施形態に対する制限として解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈するべきである。
【0070】
当業者は、システムの諸態様のハードウェアとソフトウェアの実施態様間の区別がほとんど残されていないところまで技術水準が進歩していること、ハードウェアまたはソフトウェアの使用が一般に(ただし、ハードウェアとソフトウェア間の選択が重要になってくる可能性のある一定の状況においては、常にではない)コスト対効率のトレードオフを表す設計選択であることは認識するであろう。当業者は、本明細書で説明するプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を実装することのできる様々な媒体(例えば、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェア)があること、また好適な媒体はプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を配備する状況により変わることは理解するであろう。例えば、実装者が速度および精度が最重要であると判断する場合、実装者は、主にハードウェアおよび/またはファームウェア媒体を選ぶことができる。あるいは、柔軟性が最重要である場合、実装者は、主にソフトウェア実装を選ぶことができる。さらにあるいはまた、実装者はハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの何らかの組合せを選ぶことができる。そのため、本明細書で説明するプロセスおよび/またはデバイスおよび/または他の技術を実装してもよい候補媒体はいくつかあり、そのいずれも他方に対して本質的に優れているというわけではなく、どの媒体を利用するかは、媒体を配備する状況および実装者の特別な関心事(例えば、速度、柔軟性または予測可能性)に依存する選択であり、かかる関心事のいずれもが変わり得る。当業者は、実施態様の光学的な態様が通例では光学重視のハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアを採用することは認識するであろう。
【0071】
以上の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、および/または実施例の使用により、デバイスおよび/またはプロセスの様々な実施形態を記載してきた。当該ブロック図、フローチャートおよび/または実施例が1つまたは複数の機能および/または動作を含んでいる限り、当業者は、当該ブロック図、フローチャートおよび/または実施例内の各機能および/または動作が、幅広い範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはほぼあらゆるその組合せによって、個別におよび/または集合的に実施することができることを理解するであろう。一実施形態では、本明細書に説明される主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)またはその他統合フォーマットを介して実施してもよい。しかし、当業者は、本明細書で開示される実施形態のいくつかの態様は、全体的または部分的に、集積回路に、1つまたは複数のコンピュータ上で稼働する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つまたは複数のコンピュータシステム上で稼働する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で稼働する1つまたは複数のプログラムとして(例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で稼働する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、またはほぼあらゆるその組合せとして同様に実装することが可能であること、また回路部の設計ならびに/またはソフトウェアおよび/もしくはファームウェアのコードの書き込みは、本開示を考慮して十分に当業者の技術の範囲内であろうことは認識するであろう。さらに、当業者は、本明細書で説明される主題のメカニズムが多様な形態のプログラム製品として分散可能であること、また本明細書で説明される主題の例示的な実施形態が、実際に分散を行うために使用される特定の種類の信号担持媒体に関係なく適用されることを理解するであろう。信号担持媒体の例には次のものが含まれるが、これだけに制限されない。すなわち、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録可能なタイプの媒体、デジタルおよび/またはアナログ通信媒体などの伝送タイプの媒体(例えば、光ファイバーケーブル、導波路、有線通信リンク、無線通信リンク等)。
【0072】
一般的な意味で、当業者は、幅広い範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそのあらゆる組合せによって、個別にまたは集合的に実施することのできる、本明細書で説明される様々な態様が様々なタイプの「電気回路部」から構成されると考えることができることは認識するであろう。そのため、本明細書で使用される場合、「電気回路部」は、少なくとも1つのディスクリート電気回路を有する電気回路部、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路部、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路部、コンピュータプログラムによって構成される汎用コンピューティングデバイスを形成する電気回路部(例えば、本明細書で説明されるプロセスおよび/もしくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成される汎用コンピュータ、または本明細書で説明されるプロセスおよび/もしくはデバイスを少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されるマイクロプロセッサ)、メモリデバイスを形成する電気回路部(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)、および/または通信デバイスを形成する電気回路部(例えば、モデム、通信スイッチまたは光電気機器)を含むがこれらに制限されない。当業者は、本明細書で説明される主題がアナログもしくはデジタル方式で、またはその何らかの組合せで実施できることは認識するであろう。
【0073】
当業者は、本明細書に記載される方法でデバイスおよび/またはプロセスを説明し、その後に工学的手法を使用して、このように説明されたデバイスおよび/またはプロセスをデータ処理システムに統合することが当業界内で普通のことであることは認識するであろう。すなわち、本明細書で説明されるデバイスおよび/またはプロセスの少なくとも一部分は、妥当な量の実験でデータ処理システムに統合することができる。当業者は、典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイデバイス、揮発性および不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィカルユーザインターフェースおよびアプリケーションプログラムなどの計算エンティティ、タッチパッドもしくはスクリーンなどの1つまたは複数のインタラクションデバイス、ならびに/またはフィードバックループおよび制御モータを含む制御システム(例えば、位置および/または速度を検知するためのフィードバック、構成要素および/または量を移動および/または調整するための制御モータ)を含むことは認識するであろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティング/通信システムおよび/またはネットワークコンピューティング/通信システムで通例見られるものなど、任意の適切な市販の構成要素を利用して実施することができる。
【0074】
本明細書で説明される主題は、時として、異なる他の構成要素の中に含まれるかまたはそれに接続される、異なる構成要素を図示している。このように描かれるアーキテクチャは単なる例示的なものであり、実際、同じ機能が得られる多数の他のアーキテクチャを実施することができることは理解されるべきである。概念上の意味において、同じ機能が得られる構成要素の配列は、所望の機能が得られるように効果的に「関連付けられる」。そのため、本明細書においてある特定の機能を得るために組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能が得られるように互いに「関連付けられている」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられている任意の2つの構成要素は、所望の機能を得るために互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されていると考えることもでき、また、そのように関連付けることのできる任意の2つの構成要素は、所望の機能を得るために互いに「動作可能に結合可能」であると考えることもできる。動作可能に結合可能の具体的な例は、物理的に嵌まり合えるおよび/もしくは物理的にインタラクトする構成要素、ならびに/または無線でインタラクト可能なおよび/もしくは無線でインタラクトする構成要素、ならびに/または論理的にインタラクトするおよび/もしくは論理的にインタラクト可能な構成要素を含むがこれらに制限されない。
【0075】
本明細書で説明される本主題の具体的な態様を図示および説明してきたが、本明細書の教示に基づいて、本明細書で説明される主題およびそのより広い態様を逸脱することなく、変更および修正を行えることは当業者には明らかであり、そのため、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に当該変更および修正のすべてを本明細書で説明される主題の真の精神および範囲内にあるものとして包含するべきである。また、本発明が添付の特許請求の範囲によって定義されることは理解されるべきである。