(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
(21)【出願番号】P 2023094286
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2022119190の分割
【原出願日】2022-07-27
【審査請求日】2023-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-160652(JP,A)
【文献】特開2020-170360(JP,A)
【文献】特開2019-012303(JP,A)
【文献】国際公開第2020/246549(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/065831(WO,A1)
【文献】特開2022-060089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置に記憶された登録データを登録した登録者の
属性であって、前記登録者に関連付けられた地域と、前記登録者の国籍と、前記登録者の年齢と、前記登録者の性別と、前記登録者が有する資格と、のうち少なくとも1つである属性が
、暗号資産を利用可能な条件を満たすか否かに基づいて、前記登録データを前記暗号資産で購入可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を示す情報を情報端末に送信する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
購入要求者から前記暗号資産を利用して保有者が保有する前記登録データを購入するための購入要求を受け付ける受付部をさらに有し、
前記出力部は、前記受付部が前記購入要求を受け付け、前記判定部により前記登録データが前記暗号資産で購入可能であると判定されたことを条件として、前記暗号資産を保有するユーザを前記購入要求者から前記保有者に変更するとともに、前記登録データを保有するユーザを前記保有者から前記購入要求者に変更するための指示を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記登録者によって登録された前記登録データを識別するためのデータ識別情報と、前記登録データを保有するユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を関連付けて前記記憶装置に記憶させる登録部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記条件は、前記暗号資産に関連付けられた
条件である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記暗号資産は、所定の利用可能地域での決済に利用可能であり、
前記判定部は、前記登録者に関連付けられた地域が、前記利用可能地域に含まれている場合に、前記暗号資産で前記登録データを購入可能であると判定する、
請求項
1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記登録者が、前記利用可能地域を管轄する自治体であること又は前記利用可能地域内の店舗である場合に、前記暗号資産で前記登録データを購入可能であると判定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記暗号資産を用いた決済は、前記利用可能地域内の店舗において実行可能であり、前記利用可能地域外の店舗において実行不可能である、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記データ識別情報と前記暗号資産とは同一のプラットフォームで管理される、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プラットフォームは、ブロックチェーンによって、前記データ識別情報及び前記暗号資産を記録する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記登録部は、前記データ識別情報と前記ユーザ識別情報とを関連付けた情報を、NFT(Non-Fungible Token)として前記記憶装置に記憶させる、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記購入要求者が購入した前記登録データは、前記購入要求者とは異なる者が前記暗号資産を利用して購入可能である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力部は、前記判定部が判定を行った後に、前記登録データの価格を示す情報を前記情報端末に送信する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記出力部は、前記判定部が判定を行った後に、前記登録者の前記属性を示す情報を前記情報端末に送信する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記出力部が前記判定結果を送信した前記情報端末から、前記判定部により前記登録データを購入可能であると判定された一又は複数の前記暗号資産の中から、購入要求者が指定した前記登録データの購入に利用する暗号資産を示す情報を受信する受付部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記判定部は、前記登録者の前記属性と、前記登録データの購入に利用され得る一又は複数の前記暗号資産それぞれと、の関係に基づいて、当該暗号資産で前記登録データを購入可能か否かを判定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記登録者の前記属性は、前記登録者が有する資格を含む、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項17】
プロセッサが実行する、
記憶装置に記憶された登録データを登録した登録者の
属性であって、前記登録者に関連付けられた地域と、前記登録者の国籍と、前記登録者の年齢と、前記登録者の性別と、前記登録者が有する資格と、のうち少なくとも1つである属性が暗号資産を利用可能な条件を満たすか否かに基づいて、前記登録データを前記暗号資産で購入可能か否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおける判定結果を示す情報を情報端末に送信するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子的なデータの取引に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが暗号資産を用いてデジタル著作物等のデータの使用権を売買するためのシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の地域や年代等の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させるために、当該属性を有するユーザに対して暗号資産を発行することが考えられる。このような暗号資産を用いて電子的なデータを自由に購入できるようにすると、暗号資産が特定の属性を有するユーザ以外に容易に流出するため、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させる目的を十分に達成できない可能性がある。一方、暗号資産を用いて電子的なデータを購入できないようにすると、暗号資産の利便性が低下し、暗号資産の普及が妨げられる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、記憶装置に記憶された登録データを登録した登録者の属性が暗号資産を利用可能な条件を満たすか否かに基づいて、前記登録データを前記暗号資産で購入可能か否かを判定する判定部と、前記判定部による判定結果を示す情報を情報端末に送信する出力部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、購入要求者から前記暗号資産を利用して保有者が保有する前記登録データを購入するための購入要求を受け付ける受付部をさらに有し、前記出力部は、前記受付部が前記購入要求を受け付け、前記判定部により前記登録データが前記暗号資産で購入可能であると判定されたことを条件として、前記暗号資産を保有するユーザを前記購入要求者から前記保有者に変更するとともに、前記登録データを保有するユーザを前記保有者から前記購入要求者に変更するための指示を出力してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記登録者によって登録された前記登録データを識別するためのデータ識別情報と、前記登録データを保有するユーザを識別するためのユーザ識別情報と、を関連付けて前記記憶装置に記憶させる登録部をさらに有してもよい。
【0009】
前記判定部は、前記登録者に関連付けられた地域と、前記登録者の国籍と、前記登録者の年齢と、前記登録者の性別と、前記登録者が有する資格と、のうち少なくとも1つが、前記暗号資産に関連付けられた前記条件を満たす場合に、前記暗号資産で前記登録データを購入可能であると判定してもよい。
【0010】
前記暗号資産は、所定の利用可能地域での決済に利用可能であり、前記判定部は、前記登録者に関連付けられた地域が、前記利用可能地域に含まれている場合に、前記暗号資産で前記登録データを購入可能であると判定してもよい。
【0011】
前記判定部は、前記登録者が、前記利用可能地域を管轄する自治体であること又は前記利用可能地域内の店舗である場合に、前記暗号資産で前記登録データを購入可能であると判定してもよい。
【0012】
前記暗号資産を用いた決済は、前記利用可能地域内の店舗において実行可能であり、前記利用可能地域外の店舗において実行不可能であってもよい。
【0013】
前記データ識別情報と前記暗号資産とは同一のプラットフォームで管理されてもよい。
【0014】
前記プラットフォームは、ブロックチェーンによって、前記データ識別情報及び前記暗号資産を記録してもよい。
【0015】
前記登録部は、前記データ識別情報と前記ユーザ識別情報とを関連付けた情報を、NFT(Non-Fungible Token)として前記記憶装置に記憶させてもよい。
【0016】
前記購入要求者が購入した前記登録データは、前記購入要求者とは異なる者が前記暗号資産を利用して購入可能であってもよい。
【0017】
前記出力部は、前記判定部が判定を行った後に、前記登録データの価格を示す情報を前記情報端末に送信してもよい。
【0018】
前記出力部は、前記判定部が判定を行った後に、前記登録者の前記属性を示す情報を前記情報端末に送信してもよい。
前記情報処理装置は、前記出力部が前記判定結果を送信した前記情報端末から、前記判定部により前記登録データを購入可能であると判定された一又は複数の前記暗号資産の中から、購入要求者が指定した前記登録データの購入に利用する暗号資産を示す情報を受信する受付部をさらに有してもよい。
前記判定部は、前記登録者の前記属性と、前記登録データの購入に利用され得る一又は複数の前記暗号資産それぞれと、の関係に基づいて、当該暗号資産で前記登録データを購入可能か否かを判定してもよい。
前記登録者の前記属性は、前記登録者が有する資格を含んでもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、記憶装置に記憶された登録データを登録した登録者の属性が暗号資産を利用可能な条件を満たすか否かに基づいて、前記登録データを前記暗号資産で購入可能か否かを判定するステップと、前記判定するステップにおける判定結果を示す情報を情報端末に送信するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】情報処理システムが暗号資産及び登録データを管理する方法を説明するための模式図である。
【
図4】実施形態においてユーザ端末が表示する例示的な画面の模式図である。
【
図5】判定部が登録データを暗号資産で購入可能か否かを判定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】実施形態においてユーザ端末が表示する画面の模式図である。
【
図7】本実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【
図8】本変形例においてユーザ端末が表示する例示的な画面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、管理サーバ1と、ユーザ端末2と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
管理サーバ1(情報処理装置)は、暗号資産に関する情報を管理するとともに、ユーザ間で取引される電子的なデータである登録データを管理するためのコンピュータである。管理サーバ1は、ネットワークを介してユーザ端末2と通信可能である。
【0024】
暗号資産は、代金の決済等に利用可能であり、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、法定通貨を裏付けとした電子的な資産、例えば法定通貨と同等の価値及び保証を有する電子的な資産であってもよい。暗号資産は、自治体や会社等の発行事業者によって、ユーザに対して発行される。暗号資産は、例えば、記憶装置において当該暗号資産を保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際にあるユーザから別のユーザに移転される。
【0025】
暗号資産は、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産は、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0026】
本実施形態において、暗号資産は、例えば、所定の地域において利用可能な地域デジタル通貨である。地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、当該地域外の店舗において実行不可能である。また、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の所定の店舗(例えば、登録された店舗)のみにおいて実行可能であってもよい。
【0027】
また、2人のユーザ間で商品の売買(例えば、個人間取引のWebサイトにおける売買)がなされる場合に、商品を販売するユーザ個人を店舗として扱ってもよい。この場合に、商品を販売するユーザの住所に基づいて、店舗が地域内にあるか否かの判定が行われてもよい。
【0028】
管理サーバ1は、各ユーザが保有する暗号資産を、当該ユーザに関連付けられた暗号資産口座において管理する。管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンにおいて暗号資産の保有者をあるユーザから別のユーザに変更することにより、暗号資産をあるユーザの暗号資産口座から別のユーザの暗号資産口座に移転する。
【0029】
登録データは、ユーザ間で取引される、絵画、写真、音楽、プログラム、ゲームのキャラクターやアイテム等の電子的なデータである。ユーザは、例えば、記憶装置において登録データの保有権を有すると記録されることによって、当該登録データを保有する。
【0030】
登録データの保有権は、例えば、ブロックチェーンによって、NFT(Non-Fungible Token)として管理される。NFTは、例えば、登録データを識別するためのデータ識別情報(データID)と、当該登録データを保有するユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID)と、を示す情報である。データIDは、例えば、登録データにアクセスするためのURI(Uniform Resource Identifier)である。登録データは、URIに対応するネットワーク上の記憶装置に記憶されている。また、登録データの保有権は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理されてもよい。
【0031】
管理サーバ1は、各ユーザの登録データの保有権を、当該ユーザに関連付けられたデータ管理アカウントにおいて管理する。管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンにおいて登録データの保有者をあるユーザから別のユーザに変更することにより、登録データの保有権をあるユーザのデータ管理アカウントから別のユーザのデータ管理アカウントに移転する。
【0032】
ユーザ端末2は、登録者や購入要求者等のユーザが利用するコンピュータである。登録者は、例えば、管理サーバ1に対して登録データを登録したユーザである。購入要求者は、例えば、暗号資産を利用して登録データの購入を希望するユーザである。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末2は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。ユーザ端末2は、ネットワークを介して管理サーバ1と通信可能である。
【0033】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。管理サーバ1は、登録者が利用しているユーザ端末2から、登録データを登録するための登録要求を受け付ける(1)。登録要求は、例えば、登録データのデータID及び登録者のユーザIDを示す情報である。
【0034】
管理サーバ1は、登録要求に応じて、登録データのデータIDと、登録者のユーザIDと、を関連付けて登録する。これにより、登録データが登録された時点において、登録者が登録データの保有者となる。その後、ユーザ間の譲渡等によって登録データの保有権が移転された場合に、登録者とは異なるユーザが登録データの保有者となる。
【0035】
管理サーバ1は、購入要求者が利用しているユーザ端末2から、登録データを購入するための購入要求を受け付ける(2)。購入要求は、例えば、購入要求者のユーザIDと、購入に用いる暗号資産と、を示す情報である。
【0036】
管理サーバ1は、登録者の属性と、暗号資産を利用可能な条件と、の関係に基づいて、登録データを暗号資産で購入可能か否かを判定する(3)。管理サーバ1は、例えば、所在地、国籍、年齢、性別等の登録者の属性が、暗号資産に予め関連付けられた条件を満たす場合に、登録データを暗号資産で購入可能であると判定する。
【0037】
管理サーバ1は、暗号資産で登録データを購入可能であると判定されたことを条件として、暗号資産を保有するユーザを購入要求者から保有者に変更するとともに(4)、登録データを保有するユーザを保有者から購入要求者に変更する(5)。これにより、登録データの価格に対応する暗号資産が購入要求者から保有者に支払われ、購入要求者が登録データを保有する新たな保有者となる。
【0038】
このように、情報処理システムSは、登録データを登録した登録者の属性が、暗号資産を利用可能な条件を満たすことを条件として、購入要求者が登録データを暗号資産で購入可能にする。これにより、情報処理システムSは、特定の属性を有するユーザが登録した登録データの購入に暗号資産の用途を制限できるため、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させることができる。
【0039】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0040】
管理サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。管理サーバ1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0041】
通信部11は、ネットワークを介してユーザ端末2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、ユーザ端末2からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータをユーザ端末2に送信する。
【0042】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、登録データの登録者の属性を示す属性情報を予め記憶している。また、記憶部12は、暗号資産を利用可能な条件である利用可能条件を予め記憶している。また、記憶部12は、登録データの保有者によって指定された、登録データの価格を予め記憶している。記憶部12は、管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0043】
制御部13は、登録部131と、登録データ処理部132と、受付部133と、判定部134と、出力部135と、暗号資産処理部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、登録部131、登録データ処理部132、受付部133、判定部134、出力部135及び暗号資産処理部136として機能する。登録部131、登録データ処理部132、受付部133、判定部134、出力部135及び暗号資産処理部136それぞれが行う処理については後述する。
【0044】
[口座及びアカウントの説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産及び登録データを管理する方法を説明する。
図3は、情報処理システムSが暗号資産及び登録データを管理する方法を説明するための模式図である。
【0045】
管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザのユーザIDに関連付けられている。管理サーバ1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で通貨を移転する。
【0046】
管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。管理サーバ1は、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたデータ(ブロック)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。各ブロックは、ユーザの暗号資産口座間で暗号資産が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0047】
管理サーバ1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの暗号資産口座において管理されている暗号資産と、を関連付けたデータを、管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0048】
管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有する登録データを、データ管理アカウントにおいて管理する。複数のユーザそれぞれのデータ管理アカウントは、当該ユーザのユーザIDに関連付けられている。管理サーバ1は、登録データの管理として、データ管理アカウントに対して登録データの保有権を付与し、又は複数のデータ管理アカウント間で登録データの保有権を移転する。
【0049】
管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、登録データの保有権を管理する。管理サーバ1は、例えば、登録データのデータIDと、当該登録データを保有するユーザのユーザIDと、を関連付けたNFTを示すデータ(ブロック)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。各ブロックは、ユーザのデータ管理アカウント間でNFTが移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0050】
管理サーバ1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザのデータ管理アカウントにおいて管理されている登録データの保有権と、を関連付けたデータを、管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0051】
登録データのデータID(例えば、上述のNFT)と、当該登録データの購入に利用される暗号資産と、は同一のプラットフォームで管理されることが望ましい。この場合に、管理サーバ1が利用するプラットフォームは、1つのブロックチェーンによって、データID及び暗号資産の両方を記録する基盤である。これにより、管理サーバ1は、登録データのデータID及び暗号資産を共通のプラットフォームで管理することができ、システムの保守及び運用の手間を削減できる。
【0052】
データ管理アカウントに関連付けられたユーザ(例えば、登録データを保有するユーザ)と、暗号資産口座に関連付けられたユーザ(例えば、暗号資産を保有するユーザ)と、は共通のユーザIDを用いて管理されることが望ましい。これにより、管理サーバ1は、ユーザが1つのユーザIDを用いて登録データ及び暗号資産の保有状況を容易に把握可能にすることができる。
【0053】
[登録処理の説明]
情報処理システムSが登録データを登録する処理を実行するための構成を以下に説明する。登録者が利用しているユーザ端末2は、登録者によって所定の操作が行われたことに応じて、登録データを登録するための登録要求を管理サーバ1に送信する。登録要求は、例えば、登録データのデータID及び登録者のユーザIDを示す情報である。
【0054】
管理サーバ1において、登録部131は、ユーザ端末2から登録要求を受け付ける。登録部131は、登録要求が示すデータID及びユーザIDを関連付けて記憶装置に記憶させるための情報を登録データ処理部132に通知することにより、登録データを登録する。登録データ処理部132は、登録部131から通知された情報に従って、登録データの保有権を登録者に付与する。登録データ処理部132は、例えば、ブロックチェーンに対して、登録者のデータ管理アカウントに、登録要求が示すデータID及びユーザIDを関連付けたNFTを登録することを示すトランザクションを追加する。これにより、登録データが登録された時点において、登録者が登録データの保有者となる。
【0055】
ユーザ間の譲渡等によって登録データの保有権が移転される場合に、登録データ処理部132は、ユーザ間で登録データの保有権を移転する。登録データ処理部132は、例えば、ブロックチェーンに対して、移転対象の登録データの保有権を移転前の保有者(すなわち登録者又はその他のユーザ)のデータ管理アカウントから移転後の保有者のデータ管理アカウントに移転することを示すトランザクションを追加する。以下、登録データが取引される時点で登録データの保有権を有するユーザを、当該登録データの保有者という。
【0056】
[移転処理の説明]
情報処理システムSが登録データの保有権を移転する処理を実行するための構成を以下に説明する。管理サーバ1において、受付部133は、ブロックチェーン又はデータベースに記憶されている情報に基づいて、登録データの登録者及び保有者のユーザIDを取得する。また、受付部133は、記憶部12に予め記憶された、登録データの登録者の属性情報を取得する。また、受付部133は、記憶部12に予め記憶された登録データの価格を取得する。ブロックチェーン又はデータベースに複数の登録データが登録されている場合に、管理サーバ1は、複数の登録データそれぞれについて以降の処理を行う。
【0057】
受付部133は、登録者及び保有者のユーザIDと、登録者の属性情報と、登録データの価格と、を含む登録データ情報を、購入要求者が利用しているユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した登録データ情報を表示部上に表示する。購入要求者は、保有者が保有する登録データの購入を希望する場合に、購入要求者が利用しているユーザ端末2において、登録データの購入に利用する暗号資産を指定する。
【0058】
図4は、本実施形態においてユーザ端末2が表示する例示的な画面の模式図である。ユーザ端末2は、例えば、管理サーバ1から受信した登録データ情報に基づいて、保有者が保有する登録データの内容と、登録データの登録者及び保有者のユーザIDと、登録者の属性情報(
図4では登録者の所在地)と、登録データの価格と、を表示部上に表示する。
【0059】
ユーザ端末2は、登録データの購入に利用する暗号資産の指定を受け付ける。ユーザ端末2は、購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、暗号資産を利用して保有者が保有する登録データを購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する。購入要求は、例えば、購入要求者のユーザIDと、購入対象の登録データのデータIDと、購入要求者によって指定された暗号資産と、を示す情報である。
【0060】
管理サーバ1において、受付部133は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。判定部134は、例えば、記憶部12に予め記憶された、購入要求が示すデータIDに対応する登録データを登録した登録者の属性を示す属性情報を取得する。属性情報は、例えば、登録者に関連付けられた地域(所在地等)と、登録者の国籍と、登録者の年齢と、登録者の性別と、登録者が有する資格(所定の国家資格等)と、のうち少なくとも1つを示す情報である。
【0061】
判定部134は、取得した属性情報が示す登録者の属性と、購入要求が示す暗号資産と、の関係に基づいて、購入要求が示すデータIDに対応する登録データを当該暗号資産で購入可能か否かを判定する。
【0062】
判定部134は、例えば、記憶部12に予め記憶された、暗号資産を利用可能な条件である利用可能条件を取得する。利用可能条件は、例えば、登録者に関連付けられた地域と、登録者の国籍と、登録者の年齢と、登録者の性別と、登録者が有する資格と、のうち少なくとも1つが、所定の値であること又は所定の範囲内であることである。判定部134は、属性情報が示す登録者の属性が、取得した利用可能条件を満たす場合に、登録データを暗号資産で購入可能であると判定し、そうでない場合に、登録データを暗号資産で購入可能でないと判定する。
【0063】
変形例において後述するように、判定部134は、受付部133が購入要求を受け付ける前に、登録データを暗号資産で購入可能か否かを判定してもよい。
【0064】
図5(a)、
図5(b)は、判定部134が登録データを暗号資産で購入可能か否かを判定する方法を説明するための模式図である。
図5(a)は、判定部134が登録者に関連付けられた地域に基づいて判定を行う例を表している。
【0065】
この場合に、暗号資産は、例えば、所定の利用可能地域内の店舗における決済に利用可能であり、利用可能地域外の店舗における決済に利用不可能である。暗号資産は、例えば、利用可能地域を管轄する自治体によって発行される。利用可能条件は、登録者に関連付けられた地域が、暗号資産の利用可能地域に含まれていることである。
【0066】
判定部134は、登録者の属性が示す登録者に関連付けられた地域を、暗号資産の利用可能地域と比較する。登録者に関連付けられた地域は、例えば、登録者である自治体が管轄する地域、又は登録者である店舗が位置する地域である。判定部134は、例えば、登録者が、利用可能地域を管轄する自治体であること又は利用可能地域内の店舗である場合に、登録データを暗号資産で購入可能であると判定し、そうでない場合に登録データを暗号資産で購入可能でないと判定する。
【0067】
これにより、管理サーバ1は、暗号資産の利用可能地域に関係のある登録者が登録した登録データの購入に暗号資産の用途を制限できるため、暗号資産の利用可能地域外への流出を抑制し、利用可能地域における経済循環を活性化させることができる。
【0068】
図5(b)は、判定部134が登録者に関連付けられた地域以外の登録者の属性に基づいて判定を行う例を表している。判定部134は、登録者の属性が示す登録者の国籍と、登録者の年齢と、登録者の性別と、登録者が有する資格と、のうち少なくとも1つを、利用可能条件が示す値又は範囲と比較する。判定部134は、例えば、登録者が特定の国の国籍を有する場合、登録者が特定の年代(若年者又は高齢者)である場合、登録者が特定の性別である場合、又は登録者が特定の資格を有する場合等に、登録データを暗号資産で購入可能であると判定し、そうでない場合に登録データを暗号資産で購入可能でないと判定する。
【0069】
これにより、管理サーバ1は、特定の属性を有する登録者が登録した登録データの購入に暗号資産の用途を制限できるため、暗号資産の特定の属性を有するユーザ外への流出を抑制し、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させることができる。
【0070】
出力部135は、受付部133が購入要求を受け付け、判定部134によって登録データを暗号資産で購入可能でないと判定されたことを条件として、購入要求が示す暗号資産で登録データを購入可能でないことを示す情報をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した情報を表示部上に表示する。
【0071】
図6は、本実施形態においてユーザ端末2が表示する画面の模式図である。ユーザ端末2は、例えば、管理サーバ1から受信した情報に基づいて、購入要求者によって指定された暗号資産で登録データを購入可能でないことを示すメッセージを表示部上に表示する。これにより、ユーザは、指定した暗号資産では登録データを購入できないことを容易に把握し、別の暗号資産を利用して登録データの購入要求を行うことができる。
【0072】
一方、出力部135は、判定部134によって登録データを暗号資産で購入可能であると判定されたことを条件として、購入要求が示す暗号資産を保有するユーザを購入要求者から保有者に変更するための暗号資産移転指示と、登録データを保有するユーザを保有者から購入要求者に変更するための登録データ移転指示と、を出力する。暗号資産移転指示は、例えば、購入要求者のユーザIDと、保有者のユーザIDと、登録データの価格に対応する暗号資産の金額と、を示す情報である。登録データ移転指示は、例えば、購入要求者のユーザIDと、保有者のユーザIDと、登録データのデータIDと、を示す情報である。
【0073】
出力部135は、暗号資産移転指示を、暗号資産処理部136に通知する。暗号資産処理部136は、出力部135が出力した暗号資産移転指示に従って、登録データの価格に対応する暗号資産を購入要求者の暗号資産口座から保有者の暗号資産口座に移転する。暗号資産処理部136は、例えば、ブロックチェーンに対して、登録データの価格に対応する一又は複数のコインを購入要求者の暗号資産口座から保有者の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加する。
【0074】
出力部135は、登録データ移転指示を、登録データ処理部132に通知する。登録データ処理部132は、出力部135が出力した登録データ移転指示に従って、登録データの保有権を保有者のデータ管理アカウントから購入要求者のデータ管理アカウントに移転する。登録データ処理部132は、例えば、ブロックチェーンに対して、登録データの保有権を保有者のデータ管理アカウントから購入要求者のデータ管理アカウントに移転することを示すトランザクションを追加する。これ以降、購入要求者が登録データの新たな保有者となり、購入要求者が購入した登録データは購入要求者とは異なる者が暗号資産を利用して購入可能となる。
【0075】
さらに出力部135は、登録データが購入された場合に、購入要求者に対して、購入に用いられた暗号資産の利用可能地域で利用可能な暗号資産又はポイントを付与するための情報を出力してもよい。また、出力部135は、登録データが購入された場合に、登録者に対して、購入に用いられた暗号資産の利用可能地域で利用可能な暗号資産又はポイントを付与するための情報を出力してもよい。購入要求者又は登録者に付与される暗号資産は、例えば、登録データの購入に用いられた暗号資産である。購入要求者又は登録者に付与される暗号資産は、決済に利用可能な、暗号資産とは異なるポイントである。ポイントは、例えば、暗号資産と同様に、ブロックチェーンを用いて暗号資産口座において管理される。
【0076】
出力部135は、例えば、購入された登録データの価格が大きいほど大きい値となるように、購入要求者又は登録者に付与される暗号資産又はポイントの値を算出する。出力部135は、例えば、ブロックチェーンに対して、算出した値の暗号資産又はポイントを購入要求者の暗号資産口座に加算することを示すトランザクションを追加する。これにより、管理サーバ1は、購入要求者が登録データを購入したことに応じて購入要求者に暗号資産又はポイントを付与できるため、購入要求者による登録データの購入を促進することができる。
【0077】
また、出力部135は、例えば、ブロックチェーンに対して、算出した値の暗号資産又はポイントを登録者の暗号資産口座に加算することを示すトランザクションを追加する。これにより、管理サーバ1は、購入要求者が登録データを購入したことに応じて登録者に暗号資産又はポイントを付与できるため、登録者による登録データの登録及び販売を促進することができる。
【0078】
[情報処理方法のシーケンス]
図7は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。登録者が利用しているユーザ端末2は、登録者によって所定の操作が行われたことに応じて、登録データを登録するための登録要求を管理サーバ1に送信する(S11)。
【0079】
管理サーバ1において、登録部131は、ユーザ端末2から登録要求を受け付ける。登録部131は、登録要求が示すデータID及びユーザIDを関連付けて記憶装置に記憶させるための情報を登録データ処理部132に通知することにより、登録データを登録する(S12)。登録データ処理部132は、登録部131から通知された情報に従って、登録データの保有権を登録者に付与する。これにより、登録データが登録された時点において、登録者が登録データの保有者となる。ユーザ間の譲渡等によって登録データの保有権が移転される場合に、登録データ処理部132は、ユーザ間で登録データの保有権を移転する。
【0080】
受付部133は、登録者及び保有者のユーザIDと、登録者の属性情報と、登録データの価格と、を含む登録データ情報を、購入要求者が利用しているユーザ端末2に送信する(S13)。購入要求者のユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した登録データ情報を表示部上に表示する。
【0081】
購入要求者のユーザ端末2は、購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、暗号資産を利用して保有者が保有する登録データを購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する(S14)。
【0082】
管理サーバ1において、受付部133は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。判定部134は、例えば、記憶部12に予め記憶された、購入要求が示すデータIDに対応する登録データの登録者の属性を示す属性情報を取得する。判定部134は、取得した属性情報が示す登録者の属性と、購入要求が示す暗号資産と、の関係に基づいて、購入要求が示すデータIDに対応する登録データを当該暗号資産で購入可能か否かを判定する(S15)。
【0083】
出力部135は、受付部133が購入要求を受け付け、判定部134によって登録データを暗号資産で購入可能でないと判定されたことを条件として(S16のNO)、購入要求が示す暗号資産で登録データを購入可能でないことを示す情報を購入要求者のユーザ端末2に送信し、処理を終了する。
【0084】
出力部135は、判定部134によって登録データを暗号資産で購入可能であると判定されたことを条件として(S16のYES)、購入要求が示す暗号資産を保有するユーザを購入要求者から保有者に変更するための暗号資産移転指示と、登録データを保有するユーザを保有者から購入要求者に変更するための登録データ移転指示と、を出力する。
【0085】
出力部135は、暗号資産移転指示を、暗号資産処理部136に通知する。暗号資産処理部136は、出力部135が出力した暗号資産移転指示に従って、登録データの価格に対応する暗号資産を購入要求者の暗号資産口座から保有者の暗号資産口座に移転する(S17)。
【0086】
出力部135は、登録データ移転指示を、登録データ処理部132に通知する。登録データ処理部132は、出力部135が出力した登録データ移転指示に従って、登録データの保有権を保有者のデータ管理アカウントから購入要求者のデータ管理アカウントに移転する(S18)。
【0087】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、管理サーバ1は、登録データを登録した登録者の属性が、暗号資産を利用可能な条件を満たすことを条件として、購入要求者が登録データを暗号資産で購入可能にする。これにより、情報処理システムSは、特定の属性を有するユーザが登録した登録データの購入に暗号資産の用途を制限できるため、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させることができる。
【0088】
[変形例]
上述の実施形態では購入要求者が購入要求を行った後に登録データを暗号資産で購入可能か否かが判定されるのに対して、本変形例では購入要求者が購入要求を行う前に登録データを暗号資産で購入可能か否かが判定される。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0089】
購入要求者が購入要求を行う前に、管理サーバ1において、判定部134は、ブロックチェーン又はデータベースに記憶されている情報に基づいて、登録データの登録者及び保有者のユーザIDを取得する。また、判定部134は、記憶部12に予め記憶された、登録データの登録者の属性情報を取得する。また、判定部134は、記憶部12に予め記憶された登録データの価格を取得する。ブロックチェーン又はデータベースに複数の登録データが登録されている場合に、管理サーバ1は、複数の登録データそれぞれについて以降の処理を行う。
【0090】
判定部134は、取得した属性情報が示す登録者の属性と、登録データの購入に利用され得る一又は複数の暗号資産それぞれと、の関係に基づいて、登録データを当該暗号資産で購入可能か否かを判定する。登録データの購入に利用され得る一又は複数の暗号資産は、情報処理システムSに予め設定されている。
【0091】
判定部134は、例えば、記憶部12に予め記憶された、暗号資産を利用可能な条件である利用可能条件を取得する。利用可能条件は、例えば、登録者に関連付けられた地域と、登録者の国籍と、登録者の年齢と、登録者の性別と、登録者が有する資格と、のうち少なくとも1つが、所定の値であること又は所定の範囲内であることである。判定部134は、属性情報が示す登録者の属性が、取得した利用可能条件を満たす場合に、登録データを暗号資産で購入可能であると判定し、そうでない場合に、登録データを暗号資産で購入可能でないと判定する。
【0092】
受付部133は、登録者及び保有者のユーザIDと、登録者の属性情報と、登録データの価格と、を含む登録データ情報を、判定部134による一又は複数の暗号資産それぞれで登録データを購入可能である否かの判定結果を示す判定情報とともに、購入要求者が利用しているユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した登録データ情報及び判定情報を表示部上に表示する。
【0093】
図8は、本変形例においてユーザ端末2が表示する例示的な画面の模式図である。ユーザ端末2は、例えば、管理サーバ1から受信した登録データ情報に基づいて、保有者が保有する登録データの内容と、登録データの登録者及び保有者のユーザIDと、登録者の属性情報と、登録データの価格と、を表示部上に表示する。
【0094】
また、ユーザ端末2は、例えば、管理サーバ1から受信した判定情報に基づいて、登録データの購入に利用され得る一又は複数の暗号資産それぞれで登録データを購入可能である否かの判定結果を表示部上に表示する。ユーザ端末2は、例えば、判定結果に応じて、登録データを購入可能であると判定された暗号資産を指定可能にし、登録データを購入可能でないと判定された暗号資産を指定不可能にする。
【0095】
ユーザ端末2は、登録データを購入可能であると判定された一又は複数の暗号資産の中から、登録データの購入に利用する暗号資産の指定を受け付ける。ユーザ端末2は、購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、暗号資産を利用して保有者が保有する登録データを購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する。購入要求は、例えば、購入要求者のユーザIDと、購入対象の登録データのデータIDと、購入要求者によって指定された暗号資産と、を示す情報である。
【0096】
管理サーバ1において、受付部133は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。判定部134は、購入要求が示す暗号資産で登録データを購入可能であるか否かを再び判定してもよく、再判定を行わずに購入要求者が購入要求を行う前の判定結果を用いてもよい。
【0097】
出力部135は、受付部133が購入要求を受け付け、判定部134によって登録データを暗号資産で購入可能であると判定されたことを条件として、購入要求が示す暗号資産を保有するユーザを購入要求者から保有者に変更するための暗号資産移転指示と、登録データを保有するユーザを保有者から購入要求者に変更するための登録データ移転指示と、を出力する。
【0098】
本変形例に係る情報処理システムSによれば、購入要求者が購入要求を行う前に、暗号資産で登録データを購入できるか否かを購入要求者に通知できるため、購入要求者が登録データの購入に用いる暗号資産を選択しやすくすることができる。また、情報処理システムSは、上述の実施形態と同様に、特定の属性を有するユーザが登録した登録データの購入に暗号資産の用途を制限できるため、特定の属性を有するユーザにおける経済循環を活性化させることができる。
【0099】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0100】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0101】
S 情報処理システム
1 管理サーバ
2 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 登録部
132 登録データ処理部
133 受付部
134 判定部
135 出力部
136 暗号資産処理部