IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ PayPay株式会社の特許一覧

特許7525696情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
<>
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図1
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図2
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図3
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図4
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図5
  • 特許-情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1053 20230101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023100089
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 善哉
(72)【発明者】
【氏名】東海林 勝進
(72)【発明者】
【氏名】廣川 めぐみ
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-258519(JP,A)
【文献】特開2019-125299(JP,A)
【文献】特開2020-113218(JP,A)
【文献】日経BPムック 進化が止まらない 超人間AI テックビジネス百花繚乱 Artificial Intelligence,日本,日経BP 吉田 琢也,2021年07月22日,第98~103頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する応募書類取得部と、
応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける評価項目受付部と、
前記応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得するスコア取得部と、
前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを評価モデルに入力することで、前記応募者を評価した値である内定率を導出する導出部と、
を備え、
前記評価モデルは、過去の応募者の応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記過去の応募者の応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、前記AIチャットボットに入力することで得られた前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアと、前記過去の応募者の応募書類に対応する応募者の内定が出されたか否かを示す情報とが対応付けられた学習データが学習されたモデルであり、
前記評価項目受付部は、段階的に行われる採用試験のそれぞれの段階に応じた複数の評価項目の入力を受け付け、
前記スコア取得部は、前記段階ごとに複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得し、
前記導出部は、前記段階に応じた評価モデルを用いて前記内定率を導出する、
情報処理システム。
【請求項2】
少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する応募書類取得部と、
応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける評価項目受付部と、
前記応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得するスコア取得部と、
前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを評価モデルに入力することで、前記応募者を評価した値である内定率を導出する導出部と、
を備え、
前記評価モデルは、過去の応募者の応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記過去の応募者の応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、前記AIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアと、前記過去の応募者の応募書類に対応する応募者の内定が出されたか否かを示す情報とが対応付けられた学習データが学習され、決定木の形態で生成されたモデルである、
情報処理システム。
【請求項3】
前記AIチャットボットは、前記情報処理システムの外部にある装置により提供される機能である、
請求項1または2記載の情報処理システム。
【請求項4】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する処理と、
応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける処理と、
前記応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得する処理と、
前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを評価モデルに入力することで、前記応募者を評価した値である内定率を導出する処理と、
を備え、
前記評価モデルは、過去の応募者の応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記過去の応募者の応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、前記AIチャットボットに入力することで得られた前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアと、前記過去の応募者の応募書類に対応する応募者の内定が出されたか否かを示す情報とが対応付けられた学習データが学習されたモデルであり、
前記受け付ける処理は、段階的に行われる採用試験のそれぞれの段階に応じた複数の評価項目の入力を受け付ける処理であり、
前記スコアを取得する処理において、前記段階ごとに複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得し、
前記導出する処理において、前記段階に応じた評価モデルを用いて前記内定率を導出する、
情報処理方法。
【請求項5】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する処理と、
応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける処理と、
前記応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得する処理と、
前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを評価モデルに入力することで、前記応募者を評価した値である内定率を導出する処理と、
を備え、
前記評価モデルは、過去の応募者の応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記過去の応募者の応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、前記AIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアと、前記過去の応募者の応募書類に対応する応募者の内定が出されたか否かを示す情報とが対応付けられた学習データが学習され、決定木の形態で生成されたモデルである、
情報処理方法。
【請求項6】
情報処理システムに、
少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する処理と、
応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける処理と、
前記応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得する処理と、
前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを評価モデルに入力することで、前記応募者を評価した値である内定率を導出する処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記評価モデルは、過去の応募者の応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記過去の応募者の応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、前記AIチャットボットに入力することで得られた前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアと、前記過去の応募者の応募書類に対応する応募者の内定が出されたか否かを示す情報とが対応付けられた学習データが学習されたモデルであり、
前記受け付ける処理は、段階的に行われる採用試験のそれぞれの段階に応じた複数の評価項目の入力を受け付ける処理であり、
前記情報処理システムに、
前記スコアを取得する処理において、前記段階ごとに複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得させ、
前記導出する処理において、前記段階に応じた評価モデルを用いて前記内定率を導出させる、
プログラム。
【請求項7】
情報処理システムに、
少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する処理と、
応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける処理と、
前記応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを取得する処理と、
前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアを評価モデルに入力することで、前記応募者を評価した値である内定率を導出する処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記評価モデルは、過去の応募者の応募書類と前記複数の評価項目と前記評価項目が取り得る値の範囲と前記過去の応募者の応募書類について前記範囲内で前記複数の評価項目のそれぞれに対してスコアを付与するリクエストとを、前記AIチャットボットに入力することで、前記AIチャットボットから出力される前記複数の評価項目ごとの前記範囲内のスコアと、前記過去の応募者の応募書類に対応する応募者の内定が出されたか否かを示す情報とが対応付けられた学習データが学習され、決定木の形態で生成されたモデルである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人気企業においては、採用予定者の数に対して応募者の数が非常に多くなる傾向がある。応募者の数が非常に多くなると、採用担当者の業務負担が増大し、適切な採用を行うことが困難になる場合もあり得る。このため、求人データなどをコンピュータ処理し、自動的に応募者を絞り込む試みがなされている。例えば、特許文献1には、求人データの品質に関するスコアを算定し、採用者が求める人材の専門性に関する要素を含む2以上の評価要素の各々のスコアを出力し、それらの要素は、採用者が求める人材の職務内容を表す用語が求人データに含まれることに基づいて算定される採用支援装置の発明が開示されている。自動的に応募者を絞り込むことで、採用される可能性(例えば内定率)の高い応募者に対して優先的に面接を行ったり、事業者の方からスカウトを行ったりすることも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7242944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、応募者の評価精度が十分でない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、より精度よく応募者を評価することができる情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する応募書類取得部と、応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける評価項目受付部と、前記応募書類と前記複数の評価項目を、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記複数の評価項目ごとのスコアを取得するスコア取得部と、前記複数の評価項目ごとのスコアに基づいて、前記応募者を評価した値である内定率を導出する導出部と、を備える情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、より精度よく応募者を評価することができる情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システム1の構成図である。
図2】評価項目受付部20が表示装置に表示させる、評価項目入力のためのインターフェース画面の一例である。
図3】評価モデル66の一部を概念的に示す図である。
図4】学習段階において情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示す図である。
図5】推論段階において情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示す図である。
図6】情報処理システム1Aの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。情報処理システムは、一以上のプロセッサにより実現される。情報処理システムは、少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類に基づいて、当該応募者を評価した値である内定率を導出するシステムである。なお以下の説明において学習段階の構成要素と推論段階の構成要素とを特に区別していないが、それらは別のソフトウェアコンポーネントであってもよい。
【0010】
図1は、情報処理システム1の構成図である。情報処理システム1は、例えば、応募書類取得部10と、評価項目受付部20と、スコア取得部30と、導出部40と、記憶部60とを備える。記憶部60以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0011】
記憶部60は、RAM(Random Access Memory)やHDD、フラッシュメモリなどである。記憶部60には、過去採用データ62、応募書類データ64、評価モデル66などのデータやモデルが格納される。
【0012】
情報処理システム1には、入力装置80や出力装置90が接続されてよい。入力装置80は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネル、タッチパッドなどである。出力装置90は、例えば、表示装置やスピーカなどである。入力装置80や出力装置90は、コンピュータ周辺機器ではなくパーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォンなどのコンピュータ装置であってもよい。
【0013】
情報処理システム1は、ネットワークNWを介してAIチャットボットサーバ100と通信する。AIチャットボットサーバ100の詳細については後述する。
【0014】
応募書類取得部10は、自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を、記憶部60に格納された応募書類データ64から読み出して取得する。なお応募書類には、自然文以外のQ&A形式などで作成された情報が含まれてもよい。応募書類取得部10は、例えば、推論段階(後述)において応募者一人ずつの応募書類を記憶部60から順に取得する。
【0015】
評価項目受付部20は、応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける。評価項目受付部20は、入力装置80を介して評価項目の入力を受け付けてもよいし、図示しないドライブ装置に装着された可搬型記憶装置から評価項目を読みだすことで評価項目の入力を受け付けてもよいし、イントラネットなどのネットワークを介して評価項目の入力を受け付けてもよい。評価項目受付部20は、例えば、評価モデル66の学習段階(後述)において複数の評価項目の入力を受け付ける。
【0016】
図2は、評価項目受付部20が表示装置に表示させる、評価項目入力のためのインターフェース画面の一例である。入力装置80や出力装置90がコンピュータ装置である場合、評価項目受付部20は係る画面をコンピュータ装置に表示させるためのウェブサーバ機能を有してもよい。評価項目には、例えば、業務目標達成度、課題目標達成度、企画力、学習意欲といったワードが入力されるが、評価項目は人を採用する事業者のニーズに応じて自由に決定されてよいものである。抽象度の高い例えば「実行力」といったワードよりも、「コストを考慮しながら業務を実行する実行力」といった具体的なワードが入力されると情報処理システム1の評価精度が向上する。このとき、評価項目受付部20は、それぞれの評価項目に対応して重み(重要度)の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0017】
スコア取得部30は、応募書類と複数の評価項目を、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、複数の評価項目ごとのスコアを取得する。スコア取得部30は、例えば、AIチャットボットサーバ100が提供するAIチャットボットに応募書類と複数の評価項目、および評価項目がとり得る値の範囲などを自然文の質問の形式でAIチャットボットに入力(送信)する。スコア取得部30は、例えば、応募書類から個人を特定可能な氏名、住所などの情報を削除し、自然文で記載された部分を抽出してAIチャットボットに入力する。
【0018】
スコア取得部30がAIチャットボットに入力する質問文は、応募書類(レジュメ)の一部または全部、および「次に挙げる項目について、レジュメからわかるものについて1(全然ダメ)~5(素晴らしい)の5段階で点数を付けて下さい。業務目標達成度、課題目標達成度、企画力、学習意欲、…」といった文章である。
【0019】
AIチャットボットサーバ100は、インターネットサイトなどの情報源200からクロールなどによって定期的に情報を得ており、世間の常識知に基づいて種々の回答を作成するように学習されたAIチャットボットを提供する。AIチャットボットは、例えば、ChatGPT()、Marvinなどの名称で知られているものである。
【0020】
導出部40は、複数の評価項目ごとのスコアに基づいて、応募者を評価した値である内定率を導出する。導出部40は、例えば、複数の評価項目ごとのスコアを評価モデル66に入力することで、内定率を導出する。評価モデル66は、例えば、過去の応募者についてAIチャットボットから取得された複数の評価項目ごとのスコアを入力データ(学習データ)、それぞれの応募者に対して内定が出されたか否かを示すラベルを目的変数(ラベル、教師データ)とした機械学習(教師あり学習)によって生成されたモデルである。これらの情報は、過去採用データ62として記憶部60に格納されている。
【0021】
評価モデル66は、例えば決定木(回帰木)の形態で生成される。図3は、評価モデル66の一部を概念的に示す図である。この場合、評価モデル66の学習は、例えば、LightGBM(Light Gradient Boosting Machine)によって行われる。LightGBMは、「勾配ブースティング」という方法を用いて、複数回の決定木分析を行う手法である。これに代えて、「ランダムフォレスト」などの他の決定木解析手法が用いられてもよい。また、評価モデル66は、ニューラルネットワークなどのネットワークを用いた機械学習で生成されたモデルであってもよいし、導出部40は、複数の評価項目ごとのスコアに対して重みを乗算して集計するなどのルールベースの手法で内定率を導出してもよい。
【0022】
このようにして内定率を導出することで、より精度よく応募者を評価することができる。応募書類を項目列挙型に指定したり、単にキーワードにヒットするか否かでスコアを算出するのでは、応募者の真の属性が埋もれてしまう場合も想定されるところ、実施形態ではAIチャットボットで解析した結果を評価モデルに入力するため、より多面的かつ人が行った評価に近い評価がなされることが期待できる。更に、AIチャットボットの精度は自動的に日々改善されていくものであるため、システム更新の負担も軽減することができる。なお、内定率は、出力装置90によって表示されたり、後日参照するためのデータとして記憶部60に記憶されたりする。
【0023】
[処理フロー]
(学習段階)
図4は、学習段階において情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示す図である。スコア取得部30が、過去の応募書類と内定有無を示すデータの組を複数取得する(S1)。次に、評価項目受付部20が、複数の評価項目の入力を受け付ける(S2)。
【0024】
次に、スコア取得部30が、複数の過去の応募書類のそれぞれに複数の評価項目を対応付けた質問文をAIチャットボットに入力して評価項目ごとのスコアを取得する(S3)。そして、導出部40が、評価項目ごとのスコアと、そのスコアが得られるに至った応募者に関する内定有無のデータとに基づいて、評価モデル66を学習する(S4)。
【0025】
(推論段階)
図5は、推論段階において情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示す図である。まず、応募書類取得部10が、応募書類を一つ取得する(S11)。次に、スコア取得部30が、S11で取得された応募書類と、学習段階で入力された複数の評価項目(つまりは評価モデル66の前提となった評価項目)とをAIチャットボットに入力し、評価項目ごとのスコアを取得する(S12)。そして、導出部40が、評価項目ごとのスコアを評価モデル66に入力して内定率を導出する(S13)。その後、全ての応募者について処理を終了したか否かが判定され(S14)、終了していない場合はS11に処理が戻される。
【0026】
図1では、AIチャットボットは情報処理システムの外部の装置によって提供されるものとしたが、AIチャットボットは情報処理システムの内部機能であってもよい。図6は、情報処理システム1Aの構成図である。図6に示す構成では、情報処理システム1AがAIチャットボット機能部50を備える。AIチャットボット機能部50の機能は、図1におけるAIチャットボットサーバ100の機能と同等である。
【0027】
上記説明した情報処理システムは、図5および図6で説明したように用いられる他、推論段階で精度の検証を行った後に、複数の評価項目を変更して再学習を行い、更に精度を向上させることも可能である。また、複数の評価項目と評価モデル66のセットを一つだけ備えるのではなく、例えば採用の一次試験用のセット、二次試験用のセット、というように複数の、複数の評価項目と評価モデル66のセットが予め用意されて用いられてもよい。
【0028】
以上説明した実施形態によれば、より精度よく応募者を評価することができる。
【0029】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0030】
10 応募書類取得部
20 評価項目受付部
30 スコア取得部
40 導出部
50 AIチャットボット機能部
60 記憶部
62 過去採用データ
64 応募書類データ
66 評価モデル
100 AIチャットボットサーバ
200 情報源
【要約】
【課題】より精度よく応募者を評価することができる情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】少なくとも一部が自然文で作成された、事業者の採用に応募する応募者の応募書類を取得する応募書類取得部と、応募者に関する複数の評価項目の入力を受け付ける評価項目受付部と、前記応募書類と前記複数の評価項目を、自然文が入力されると質問に回答するように学習されたAIチャットボットに入力することで、前記複数の評価項目ごとのスコアを取得するスコア取得部と、前記複数の評価項目ごとのスコアに基づいて、前記応募者を評価した値である内定率を導出する導出部と、を備える情報処理システム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6