(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】効率的なマルチリターン光検出器のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4865 20200101AFI20240723BHJP
【FI】
G01S7/4865
(21)【出願番号】P 2023112417
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2020531048の分割
【原出願日】2018-11-05
【審査請求日】2023-07-07
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518183103
【氏名又は名称】ベロダイン ライダー ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】グンナム、キラン クマル
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、カンケ
(72)【発明者】
【氏名】バロット、ニチンクマル サガルバイ
(72)【発明者】
【氏名】ゴパラン、アナンド
(72)【発明者】
【氏名】ホール、デイヴィッド
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-137076(JP,A)
【文献】特開2013-124882(JP,A)
【文献】特開2014-137374(JP,A)
【文献】特開2000-121726(JP,A)
【文献】特開平07-035857(JP,A)
【文献】米国特許第7456970(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の順序で複数のパルス波形を有する信号を有するレーザービームを放出するように構成された送信機と、
期間内の一連のN個のピークを含むマルチリターン信号をフィルタリングするように構成された整合フィルターあって、前記マルチリターン信号を、前記レーザービームの前記信号に相当する整合フィルター信号と畳み込む、整合フィルターと、
前記整合フィルターの出力を受信し、前記期間内の一連のN個のピークの各ピークのピーク大きさを決定するように構成されたピーク検出器と、
前記期間内の一連のN個のピークから
最も大きいピークおよび2番目に大きいピークを選択するように構成された最大ファインダーと、
最初のピークおよび最後のピークを選択するように動作可能なレジスタと、
選択された各ピークを中心とする多数のサンプルを生成するように動作可能なバッファと、
を備える装置。
【請求項2】
前記
最大ファインダーは、
前記最も大きいピーク、
前記2番目に大きいピーク、およびK個の他のピーク
を選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記選択された各ピークの周りに生成されたサンプルの数が10である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記選択された各ピークについて到着時
間を決定するように構成された重心計算部品をさらに含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
光検出および測距(LIDAR)システム用のマルチリターン光信号検出方法であって、
ある期間に複数のピークを有するマルチリターン信号を受信することと、
放出されたレーザービームのパルス波形に少なくとも部分的に基づいて前記マルチリターン信号をフィルタリングして、フィルタリングされた信号を生成することと、
前記期間内のフィルタリングされた信号の
一連のN個のピークを識別することと、
前記
一連のN個のピークから
最も大きいピーク、2番目に大きいピーク、最初のピーク、および最後のピークを選択することと、
選択された
各ピークを中心とする多数のサンプルを生成することと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記マルチリターン信号を受信する前に前記レーザービームを放出することをさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記マルチリターン信号をフィルタリングすることは、前記マルチリターン信号を、前記放出されたレーザービームのパルス波形を有する信号と畳み込むことを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項8】
選択された各ピークについて、前記選択されたピークの重心に基づいて、到着時
間を決定する、請求項
5に記載の方法。
【請求項9】
前記期間内のフィルタリングされた信号の
一連のN個のピークを識別することは、事前に設定された閾値を超えるそれぞれの振幅を有するフィルタリングされた信号の各ピークを識別することを含み、誤警報の確率は、前記事前に設定された閾値に依存する、請求項
5に記載の方法。
【請求項10】
光検出および測距(LIDAR)システムであって、
ある期間に複数のピークを含むマルチリターン信号を受信し、
放出されたレーザービームのパルス波形に少なくとも部分的に基づいて前記マルチリターン信号をフィルタリングして、フィルタリングされた信号を生成し、
前記期間内のフィルタリングされた信号の
一連のN個のピークを識別し、
前記
一連のN個のピークから
最も大きいピーク、2番目に大きいピーク、最初のピーク、および最後のピークを選択し、
選択
された各ピークを中心とする多数のサンプルを生成するように構成された1つ以上の信号処理コンポーネントを含む、システム。
【請求項11】
前記マルチリターン信号を受信する前に前記レーザービームを放出するように構成された送信機をさらに備える、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項12】
前記マルチリターン信号をフィルタリングすることは、前記マルチリターン信号を、前記放出されたレーザービームのパルス波形を有する信号と畳み込むことを含む、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の信号処理コンポーネントは、選択されたピークごとに、前記選択されたピークの重心に基づいて到着時
間を決定するようにさらに構成される、請求項1
0に記載のシステム。
【請求項14】
前記期間内のフィルタリングされた信号の
一連のN個のピークを識別することは、事前に設定された閾値を超えるそれぞれの振幅を有するフィルタリングされた信号の各ピークを識別することを含み、誤警報の確率は、前記事前に設定された閾値に依存する、請求項1
0に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連特許出願の相互参照]
この特許出願は、発明者として、グンナム、キラン クマル;ガオ、カンケ;バロット
、ニチンクマル サガルバイ;ゴパラン、アナンド;およびホール、デイヴィッドが記載
され、「効率的なマルチリターン光検出器のためのシステムおよび方法」を発明の名称と
する、共同所有された米国特許出願第15/835,374号(出願日:2017年12
月7日)に基づく優先権を主張する。この特許文書は、その全体があらゆる目的のために
参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、マルチリターン光信号を検出するためのシステムおよび方法に関す
る。より具体的には、本開示は、LIDAR(光検出および測距)システムに関連し得る
。
【背景技術】
【0003】
LIDARシステムなどの光検出および測距システムは、光パルスを使用して、各光パ
ルスの飛行時間(TOF)に基づいて物体までの距離を測定することができる。光検出お
よび測距システムの光源から放出された光のパルスは、遠位物体と相互作用する。光の一
部は、物体から反射し、光検出および測距システムの検出器に戻る。光パルスの放出と戻
り光パルスの検出との間の経過時間に基づいて、物体までの距離を推定することができる
。いくつかの実施形態では、光のパルスは、レーザーエミッターによって生成されてもよ
い。光パルスは、レンズまたはレンズアセンブリを通して集束されてもよい。光パルスは
、レーザーからの距離がそれぞれ異なる複数の物体に当たる可能性があり、光検出および
測距システム検出器によってマルチリターン信号が受信される原因となる。マルチリター
ン信号は、マッピングまたは再構築を改善するために環境のより多くの情報を提供する場
合がある。関連付けられた時間遅延情報を使用して各リターンを正確に識別するために、
専用の検出器が必要になる場合がある。
【0004】
一般に、光検出および測距システム検出器は、ピーク検出技術に基づいており、1つま
たは多くとも2つの戻りのみを検出および記録することができる。一実施形態では、ピー
ク検出器に関連付けられた整合フィルターは、1つの戻りのみを検出することができる。
そのような検出器方法は、マッピングまたは再構成の精度を制限する可能性がある。
【0005】
したがって、必要とされているのは、LIDARシステムなどの光検出および測距シス
テムにおいてマルチリターン光信号を効率的に検出することができるシステムおよび方法
である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の実施形態が参照され、その例が添付の図に示されている。これらの図は、限定
ではなく例示を意図したものである。本発明は一般にこれらの実施形態の文脈で説明され
ているが、本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定することを意図していないこと
を理解されたい。図中の項目は縮尺通りではない。
【0007】
【
図1】本文書の実施形態による光検出および測距システムの動作を示す。
【0008】
【
図2】本文書の実施形態による光検出および測距システムの動作を示す。
【0009】
【
図3】本文書の実施形態による回転ミラーを有するLIDARシステムを示す。
【0010】
【
図4A】本開示の実施形態によるピーク検出器を示す。
【0011】
【
図4B】本開示の実施形態による、動作ノイズ環境および目標誤り率(誤警報)に基づく閾値検出を示す。
【0012】
【
図4C】本開示の実施形態によるピーク検出器の閾値導出をグラフで示す。
【0013】
【
図4D】「晴れ」ノイズ環境における閾値の設定をグラフで示す。
【0014】
【
図4E】「霧」ノイズ環境における閾値の設定をグラフで示す。
【0015】
【
図5】本開示の実施形態による整合フィルターを示す。
【0016】
【
図6】本開示の実施形態による整合フィルターおよびピーク検出器に基づく光検出器を示す。
【0017】
【
図7】本文書の実施形態によるマルチリターン整合フィルター検出器を示す。
図1。
【0018】
【
図8】本文書の実施形態によるマルチリターン再帰整合フィルター検出器を示す。
【0019】
【
図9】本文書の実施形態によるマルチリターン再帰信号検出器による様々なマルチリターン信号シーケンスの最大ピークの選択をグラフで示す。
【0020】
【
図10】本文書の実施形態による、マルチリターン光信号を検出するためのフローチャートを示す。
【0021】
【
図11A】本文書の実施形態による、整合フィルターおよび最大ファインダーを備えるマルチリターン検出器を示す。
【0022】
【
図11B】本文書の実施形態による整合フィルターおよび最大ファインダーを備える別のマルチリターン検出器を描写する。
【0023】
【
図11C】本文書の実施形態による、整合フィルターおよび最大ファインダーを備えるさらに別のマルチリターン検出器を示す。
【0024】
【
図11D】本文書の実施形態による整合フィルターおよび最大ファインダーを備えるさらに別のマルチリターン検出器を示す。
【0025】
【
図12A】本文書の実施形態による、重なり合う波形1200を含む戻り信号の波形をグラフで示す。
【0026】
【
図12B】本文書の実施形態による
図12Aの2つの重なり合うピークの元の波形1220をグラフで示す。
【0027】
【
図13A】本文書の実施形態による、整合フィルター、最大ファインダー、およびブラインド防止処理を備えるマルチリターン検出器を示す。
【0028】
【
図13B】本文書の実施形態による、整合フィルター、最大ファインダー、およびブラインド防止処理を備える別のマルチリターン検出器を示す。
【0029】
【
図14】本文書の実施形態による、コンピューティング装置/情報処理システムの簡略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の理解を提供するために特定の詳細が示されて
いる。しかしながら、当業者には、これらの詳細なしで本発明を実施できることが明らか
であろう。さらに、当業者は、以下に記載される本発明の実施形態が、有形のコンピュー
タ読み取り可能な媒体上でプロセス、装置、システム、デバイス、または方法などの様々
な方法で実装され得ることを認識するであろう。
【0031】
図に示されるコンポーネントまたはモジュールは、本発明の例示的な実施形態の例示で
あり、本発明を不明瞭にしないようにすることを意図している。この議論全体を通して、
コンポーネントは、サブユニットを含み得る別個の機能ユニットとして説明され得るが、
当業者は、様々なコンポーネントまたはその一部が別個のコンポーネントに分割され得る
か、または単一のシステムまたはコンポーネント内への統合を含め、一緒に統合され得る
ことを理解できるであろう。本明細書で論じられる機能または動作は、コンポーネントと
して実装され得ることに留意されたい。コンポーネントは、ソフトウェア、ハードウェア
、またはそれらの組み合わせで実装できる。
【0032】
さらに、図内のコンポーネントまたはシステム間の接続は、直接接続に限定されること
を意図していない。むしろ、これらのコンポーネント間のデータは、中間コンポーネント
によって変更、再フォーマット、または変更される場合がある。また、追加またはより少
ない接続が使用される場合がある。「結合された」、「接続された」、または「通信可能
に結合された」という用語は、直接接続、1つまたは複数の中間デバイスを介した間接接
続、および無線接続を含むと理解されることにも留意されたい。
【0033】
本明細書における「一実施形態」、「好ましい実施形態」、「実施形態」、または「複
数の実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、特性、ま
たは機能が少なくとも含まれることを意味する。本発明の一実施形態は、複数の実施形態
であり得る。また、本明細書のさまざまな場所での上記の句の出現は、必ずしもすべて同
じ実施形態または複数の実施形態を参照しているとは限らない。
【0034】
本明細書の様々な場所での特定の用語の使用は、例示のためであり、限定として解釈さ
れるべきではない。サービス、機能、またはリソースは、単一のサービス、機能、または
リソースに限定されない。これらの用語の使用は、関連するサービス、機能、またはリソ
ースのグループを指し、分散または集約される場合がある。
【0035】
「含む(備える)」(include, including, comprises、
およびcomprising)という用語は、オープンな用語であると理解されるべきで
あり、以下のリストは例であり、リストされたアイテムに限定されることを意味しない。
本書で使用されている見出しは、整理を目的としたものであり、説明または特許請求の範
囲を限定するものではありません。この特許文書で言及されている各参考文献は、参照に
よりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
さらに、当業者は、以下を認識するであろう:(1)特定のステップは、任意に実行さ
れてもよく;(2)ステップは、ここに記載された特定の順序に限定されない場合があり
;(3)特定のステップは異なる順序で実行される場合があり;(4)特定のステップを
同時に実行し得る。
【0037】
A.光検出および測距システム
LIDARシステムなどの光検出および測距システムは、システムを取り巻く環境の形
状および輪郭を測定するためのツールであり得る。LIDARシステムは、自律航法と表
面の空中マッピングの両方を含む多くのアプリケーションに適用できる。LIDARシス
テムは、システムが動作する環境内の物体から反射される光パルスを放出する。各パルス
が放出されてから受信されるまでに移動する時間(即ち、飛行時間「TOF」)を測定し
て、物体とLIDARシステムとの間の距離を決定することができる。科学は、光と光学
の物理学に基づく。
【0038】
LIDARシステムでは、光は、急速発射レーザーから放出され得る。レーザー光は媒
体を通過し、建物、木の枝、乗り物などの環境内の物体のポイントに反射する。反射光エ
ネルギーはLIDAR受信機(検出器)に戻り、そこで記録されて環境のマッピングに使
用される。
【0039】
図1は、本文書の実施形態による光検出および測距システム102の動作100を示す
。光検出および測距システム102は、放出光信号110を送信する送信機104、検出
器を含む受信機106、およびシステム制御およびデータ取得108を含み得る。放出光
信号110は、媒体を通って伝播し、物体112に反射する。戻り光信号114は、媒体
を通って伝播し、受信機106によって受け取られる。システム制御およびデータ収集1
08は、送信機104による発光を制御することができ、データ収集は、受信機106に
よって検出された戻り光信号114を記録することができる。データ分析および解釈10
9は、システム制御およびデータ取得108から出力を受け取り、データ分析機能を実行
し得る。送信機104および受信機106は、光学レンズ(図示せず)を含み得る。光検
出および測距システム102は、LIDARシステムであってもよく、送信機104は、
特定のシーケンスで複数のパルスを有するレーザーがビームを放出してもよい。
【0040】
図2は、本文書の実施形態によるマルチリターン光信号:(1)戻り信号203および
(2)戻り信号205を含む光検出および測距システム202の動作200を示す。光検
出および測距システム202は、LIDARシステムであり得る。レーザーのビーム発散
により、1回のレーザー発射で複数の物体に衝突し、複数の反射が発生することがよくあ
る。光検出および測距システム202は、複数の戻りを分析し、最も強い戻り、最後の戻
り、または両方の戻りのいずれかを報告することができる。
図2に示すように、光検出お
よび測距システム202は、近くの壁204および遠い壁208の方向にレーザーを放出
する。図示のように、ビームの大部分は領域206で近位壁204に当たり、結果として
戻り信号203が生じ、ビームの他の部分は領域210で遠位壁208に当たり、戻り信
号205が生じる。戻り信号203は、戻り信号205と比較して、TOFが短く、受信
信号強度が強い場合がある。光検出および測距システム202は、2つの物体間の距離が
最小距離を超えているさえすれば、両方の戻りを記録する。シングルおよびマルチリター
ンLIDARシステムの両方で、正確なTOFが計算されるように、戻り(return
)信号が透過光信号と正確に関連付けられていることが重要である。
【0041】
LIDARシステムのいくつかの実施形態は、距離データを2D(即ち、単一平面)点
群方式でキャプチャすることができる。これらのLIDARシステムは、産業用アプリケ
ーションで使用されることが多く、測量、マッピング、自律航法、その他の用途に利用さ
れることがよくある。これらの装置のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの平面にわ
たる走査を実行するために、あるタイプの移動鏡と組み合わされた単一のレーザーエミッ
ター/検出器ペアの使用に依存する。この鏡は、ダイオードから放出された光を反射する
だけでなく、戻り光を検出器に反射する場合もある。このアプリケーションでの回転ミラ
ーの使用は、システム設計と製造可能性の両方を簡略化しながら、90-180-360
°の方位角ビューを実現するための手段になる場合がある。
【0042】
図3は、本文書の実施形態による回転ミラーを備えたLIDARシステム300を示し
ている。LIDARシステム300は、回転ミラーと組み合わせた単一のレーザーエミッ
ター/検出器を使用して、平面全体を効果的にスキャンする。そのようなシステムによっ
て実行される距離測定は事実上2次元(即ち、平面)であり、キャプチャされた距離ポイ
ントは2次元(即ち、単一平面)の点群としてレンダリングされる。いくつかの実施形態
では、限定はされないが、回転ミラーは非常に速い速度、例えば毎分数千回転で回転する
。回転ミラーは、回転ミラーとも呼ばれる。
【0043】
LIDARシステム300は、単一の発光器および光検出器を備えるレーザー電子機器
302を備える。放出されたレーザー信号301は、放出されたレーザー信号301を回
転ミラー306に反射する固定ミラー304に向けられ得る。回転ミラー306が「回転
」すると、放出されたレーザー信号301は、その伝搬経路内の物体308に反射し得る
。反射信号303は、回転ミラー306および固定ミラー304を介してレーザー電子機
器302の検出器に結合されてもよい。
【0044】
前述のように、飛行時間またはTOFはLIDARシステムが環境をマッピングするた
めに使用する方法であり、ターゲット物体の検出に使用される実行可能で実証済みの技術
を提供する。同時に、レーザーが発射されると、LIDARシステム内のファームウェア
が受信データを分析および測定し得る。LIDARシステム内の受光レンズは、環境から
戻ってくる光子の断片を集める望遠鏡のように機能する。システムで使用されるレーザー
が多いほど、環境に関する情報が多く収集される。単一のレーザーLIDARシステムは
、複数のレーザーを備えたシステムと比べて、取得される光子が少なく、取得できる情報
が少ないため、不利な場合がある。限定的ではないが、LIDARシステムのいくつかの
実施形態は、8、16、32、および64個のレーザーを用いて実装されている。また、
いくつかのLIDARの実施形態は、限定はしないが、0.3°程度の狭いレーザービー
ム間隔で30~40°の垂直視野(FOV)を有し、毎秒5~20回転の回転速度を有し
得る。
【0045】
回転ミラー機能は、MEMSなどのソリッドステートテクノロジーで実装することもで
きる。
【0046】
B.マルチリターン整合フィルター検出器
前述のように、LIDARシステムの1つの目的は、マルチリターン光信号の効率的な
検出である。この目的を達成するための1つの方法は、マルチリターン整合フィルター検
出器である。
【0047】
LIDARセンサーの場合、
図2に関連して説明したように、1つのレーザー発射が1
つのラインで異なる距離の複数の物体に当たって、複数の戻り信号が受信される場合があ
る。いくつかの実施形態では、各戻りを時間遅延情報で正確に識別するために、専用の検
出器が必要になる場合がある。マルチリターン認識は、マッピングまたは再構築のための
環境のより多くの情報を提供する。現在の多くのLIDAR検出器はピーク検出に基づい
ており、1つまたは多くても2つの戻りしか検出および記録できない。このアーキテクチ
ャは、マッピングまたは再構築の精度を制限する可能性がある。
【0048】
1.ピーク検出器
簡単に言えば、ピーク検出器は、その出力電圧が印加された信号の真のピーク値に近い
検出器であってもよい。ピーク検出器はサンプルモードで信号を追跡し、ホールドモード
で最も高い入力信号を保持する。
図4Aは、本開示の実施形態によるピーク検出器400
を示す。入力信号402は、閾値比較器404に結合されてもよく、次に、閾値比較器4
04は、バッファ406に結合されてもよく、バッファ406は、最大ファインダー40
8に結合されてもよい。最大ファインダー408の出力は、ピーク信号410であり得る
。ピーク検出器400のステップは、以下を含み得る:(1)閾値比較器404:入力信
号402を予め設定された閾値と比較し、予め設定された閾値よりも大きくなり得る出力
信号サンプルを生成する;(2)バッファ406:閾値比較器404から受け取ったバッ
ファ出力サンプラー;(3)最大ファインダー408:バッファ406内のサンプルの中
の最大出力信号サンプルを決定し、ピーク信号410を生成する。一実施形態では、最大
ファインダーが最大ピークを決定する。別の実施形態では、最大ファインダーは、最大ピ
ークおよび2番目に大きいピークを決定する。操作ステップは、特定の時間内に実行する
ことができる。例として、ただし制限なしに、検出器は、クロック周期あたり8サンプル
で動作することができる。したがって、1000サンプルの場合、特定の期間は1000
/8または125クロック期間になる。クロック周期はミリ秒であり得る。ピーク検出器
の課題は、信号とノイズを区別するために、最高の(信号対ノイズ)S/N比で動作する
必要があることである。これは、閾値比較器404において高い閾値を設定することを意
味し得る。
【0049】
図4Bは、本開示の実施形態による、動作ノイズ環境および目標誤り率(誤警報)に基
づく閾値検出421の実施形態420を示す。動作ノイズ422および目標エラー率42
4は、閾値426を決定することができる閾値検出421に入力することができる。動作
ノイズ422および/または目標エラー率が変化すると、閾値426を調整することがで
きる。閾値426は、ピーク検出器400の閾値比較器404の予め設定された閾値を定
義することができる。
【0050】
ピーク検出は、閾値検出または勾配検出に基づく場合がある。閾値検出の場合、
図4C
に示すように、ピーク検出器440の閾値導出を利用して、誤警報の特定の確率(Pf
a
)を達成することができる。目標は、特定のレベルの誤警報Pf
a、つまりエラー率を達
成することである。閾値の導出の条件には、信号がなく、加法性ホワイトガウスノイズ(
AWGN)のみが含まれる。受信された信号の分布は、
図4Cで見ることができる。
図4
Cは、本開示の実施形態によるピーク検出器の閾値導出をグラフで示す。
図4Cでは、y
軸は確率を表し、x軸はガウス分布で表示された受信信号の位置を表す。より具体的には
、
図4Cは、誤警報とノイズ特性との関係を示している。Pf
aの値は次のように計算で
きる。
【数1】
ここで、
σ=AWGNの標準偏差
【数2】
ノイズ統計の場合、入力信号のノイズの平均値とRMS値は、信号のピークの閾値を超
えるサンプルを除外することで計算できる。
【0051】
逆Q関数は、ノイズ環境に依存しない場合がある。第1の閾値は、動作ノイズ環境およ
びターゲット誤警報Pf
aに基づいて動的に決定され得る。整合フィルターを利用して運
用ノイズ環境を決定するために分析を行うことができる。閾値は、整合フィルターのノイ
ズ分析と対象の誤警報(エラー率)に基づいて調整できる。
図4Cでは、閾値は2.73
(または273)の値で示されている。網掛け部分は誤警報Pf
aの動作状況を示してい
る。距離dは、誤警報Pf
aが発生する可能性のある位置範囲(4-2.73=1.27
)を表する。ノイズ統計の場合、入力信号のノイズの平均値とRMS値は、信号のピーク
の閾値を超えるピークサンプルを除外することで計算できる。
【0052】
図4Dおよび
図4Eはまた、実施形態450および実施形態460を介した、動作ノイ
ズおよび目標誤警報(エラー率)に基づく閾値調整の概念を示す。
図4Dおよび
図4Eに
おいて、y軸は信号強度を表し、x軸は時間を表す。
図4Dでは、受信信号452は、「
日当たりの良い」環境で伝搬している可能性があり、ノイズレベル456を有する。目標
とするエラー率(誤警報、Pf
a)を達成するために、閾値454は、ノイズレベル45
6より上に設定され得る。
図4Eに示すように、受信信号452と同じ形状および振幅を
有する受信信号462は、「霧」環境で伝播している可能性があり、ノイズレベル466
を有する。
図4Dと同じ目標エラー率(誤警報、Pf
a)を達成するために、閾値464
は、ノイズレベル466より上に設定され得る。ノイズレベル456は、ノイズレベル4
66よりも低くなり得るので、閾値454は、閾値464よりも低くなり得る。「晴れ」
環境は、200メートルの範囲をサポートし、「霧」環境は100メートルの範囲をサポ
ートする場合がある。
【0053】
2.整合フィルター検出器ソリューション
電気通信およびその他のアプリケーションでは、整合フィルターは、追加の確率的ノイ
ズの存在下で既知の信号の信号対ノイズ比(SNR)を最大化するための最適な線形フィ
ルターである場合がある。既知の信号またはテンプレートを未知の信号と相関させて未知
の信号内のテンプレートの存在を検出するために、信号検出で整合フィルターがよく使用
される。より具体的には、整合フィルターは、既知のテンプレート(即ち、フィルター)
と相関させることによって受信信号を処理して信号対雑音比(SNR)を最大化するフィ
ルターのフレームワークであり得る。
図5は、本開示の実施形態による整合フィルター5
00を示す。
図5に示すように、加法性白色ガウス雑音(AWGN)の条件下で、信号の
値(s(t))がフィルターの値(h(t))に等しい場合、最適な整合フィルターが達
成され得る。
【0054】
図6は、本開示の実施形態による、整合フィルター604およびピーク検出606に基
づく光検出器600を示す。光検出器600は、マルチリターン信号601を入力信号6
03に変換することができるADC602を備える。入力信号603は、入力信号603
のS/N比を最適化するために整合フィルター604によって処理することができる。最
適化された信号605を、ピーク戻り信号608を生成するピーク検出606に結合する
ことができる。光検出器600は、戻り信号における単一のピークの検出に限定され得る
。
【0055】
図7は、本文書の実施形態によるマルチリターン整合フィルター検出器700を示す。
マルチリターン整合フィルター検出器700は、マルチリターン信号内の複数のピークを
検出することができてもよい。マルチリターン整合フィルター検出器700は、N個の並
列整合フィルター(704A、704B、・・・704N)およびN個の並列ピーク検出
検出器(706A、706B、・・・706N)を含み得る。ADC702は、マルチリ
ターン信号をN個の並列整合フィルターのための入力信号に変換することができる。
図6
に関して説明したように、整合フィルター604およびピーク検出606、N個の並列整
合フィルター(704A、704B、・・・704N)のそれぞれは、入力信号のS/N
比を最適化し、最適化信号を対応するN個の並列ピーク検出器(706A、706B、・
・・706N)に結合することができる。N個の並列ピーク検出検出器(706A、70
6B、706N)のそれぞれは、異なる値の信号ピークを識別するために、異なる閾値で
動作することができる。N個の並列ピーク検出検出器(706A、706B、・・・70
6N)は、それぞれ、対応するピーク戻り信号1個目、2個目、・・・N個目(708A
、708B、・・・708N)を生成する。ピーク戻り信号708A、708B、・・・
708Nから、最初の/最後の、そして最大のピークを決定することができる。
3.再帰整合フィルター検出器ソリューション
【0056】
並列構造および別個の閾値は、マルチリターン整合フィルター検出器700の効率を制
限し得る。
図8は、本文書の実施形態によるマルチリターン再帰整合フィルター検出器8
00の例示的な例を示す。マルチリターン再帰整合フィルター検出器800は、マルチリ
ターン信号801を入力信号803に変換するADC802を含み得る。マルチリターン
信号801は、期間Tにおける一連のNピークを含み得る。入力信号803は、入力信号
803のS/N比を最適化するために、送信されたレーザー信号のパルス波形を畳み込む
ように整合フィルター804によって処理されてもよい。整合フィルター804の出力は
、整合フィルター信号805であってもよい。整合フィルター信号805は、ピーク検出
806に結合されてもよい。ピーク検出806は、特定の期間におけるピーク検出信号8
07を決定する。ピーク検出806は、重心計算アルゴリズムを用いてシーケンス内の最
大ピークの位置を導出する重心計算808に結合されてもよい。重心計算808の重心出
力(2)811はゼロ化810に結合されてもよく、ゼロ化810は、ピーク値をゼロま
たはDCレベルに設定することにより、現在計算されたピークを除去する。ゼロ化出力8
13は、別のピーク検出信号807を生成するピーク検出806に結合され得る。別のピ
ーク検出信号807は、現在の計算されたピーク、即ち、以前の最大ピークを除去したゼ
ロ化810により、1つ少ないピークを有する。このプロセスは、所望の数(N)の戻り
ピークがピーク検出806、重心計算808およびゼロ化810によって処理されるまで
繰り返すことができる。重心計算808からの戻り出力812は、N個の戻りピークそれ
ぞれの位置および振幅を決定することができる。この決定から、マルチリターン信号80
1の最初、最後、および最大のピークが識別され得る。一部の実施形態では、Nは4の値
を有することができる。より正確な結果を要求する可能性がある他の実施形態の場合、N
は、4よりも大きい値、例えば10の戻りピークであり得る。
【0057】
図9は、本文書の実施形態によるマルチリターン再帰信号検出器による様々なマルチリ
ターン信号シーケンス900の最大ピークの選択をグラフで示す。
図9において、Y軸は
、マルチリターン信号シーケンス901~904の振幅を表し、X軸は、マルチリターン
信号シーケンス901~904の処理のための期間(T)を表す。マルチリターン信号シ
ーケンス901~904は、
図8のピーク検出806からの出力の例であってもよく、マ
ルチリターン信号801に含まれる複数の反射信号から生じた可能性がある。
図2は、N
=2を示す2つの反射信号、戻り信号203および戻り信号205の例を示す。
図8は、
4つの有意な反射信号(N=4)、および期間Tにおける4つのピークを識別するプロセ
スの例を示す。アプリケーションは、期間Tにおけるより多数のピークの識別を望む場合
がある。
【0058】
図9に示されるように、マルチリターン信号シーケンス901は、4つの有意なピーク
を含み得る。重心計算808は、期間(T)で最高のピークを選択し、このピークを第1
のピーク位置として割り当てる。セントロイド出力(2)811は、ゼロ化810に結合
されてもよく、第1のピーク位置でのピークは、ゼロまたはシーケンスにおけるDCレベ
ルに設定されてもよい。この処理は、期間(T)における3つのピークのシーケンスを含
むマルチリターン信号シーケンス902の生成を引き起こす。ピーク検出806および重
心計算808による同様の処理は、マルチリターン信号シーケンス902における最高の
ピークを識別し、このピークを第2のピーク位置として割り当てる。
【0059】
マルチリターン信号シーケンス902は、重心計算808を介してゼロ化810に結合
されてもよく、第2のピーク位置でのピークは、ゼロまたはDCレベルに設定されてもよ
い。この処理により、期間(T)における2つのピークのシーケンスを含むマルチリター
ン信号シーケンス903が生成される。ピーク検出806および重心計算808による同
様の処理は、マルチリターン信号シーケンス903における最高のピークを識別し、この
ピークを第3のピーク位置として割り当てる。
【0060】
同様に、マルチリターン信号シーケンス903は、重心計算808を介してゼロ化81
0に結合されてもよく、第3のピーク位置におけるピークは、ゼロまたはDCレベルに設
定されてもよい。この処理により、期間(T)における1つのピークのシーケンスを含む
マルチリターン信号シーケンス904が生成される。ピーク検出806および重心計算8
08による同様の処理は、マルチリターン信号シーケンス904の最高のピークを識別し
、このピークを第4のピーク位置として割り当てる。この時点で、マルチリターン再帰整
合フィルター検出器800などの検出器は、4つのピーク、つまりN=4を処理した。前
述の処理から、最初の戻り(第2のピーク位置)、最後の戻り(第4のピーク位置)、お
よび最大ピーク(第1のピーク位置)を同定できる。
【0061】
ピーク同定にはいくつかのプロトコルがある。これらは(1)最大リターン:提案され
た検出器からの最初のピーク出力;(2)MアウトまたはNリターン:N検出されたピー
クの簡単なM出力ピークはM最大有効リターンである;3)最初/最後の戻り:Mの出力
ピークを位置に従って並べ替える(最初と最後のピークは、それぞれ最初と最後の戻りに
対応する);(4)N個の検出されたピークからM個を選択する代わりに、N個の検出さ
れたピークを位置で並べ替える(最初のピークと最後のピークは、それぞれフロントピー
クとバックピークである)。
【0062】
図10は、本文書の実施形態による、マルチリターン再帰的信号検出器に基づいてマル
チリターン光信号を検出するためのフローチャート1000を示す。フローチャート10
00は、以下のステップを含む:
【0063】
複数の反射信号を含むマルチリターン光信号について、期間(T)で分析されるピーク
(N)の数を決定する。ピークのそれぞれは、単一の発光、例えば、レーザー発射から生
じる戻り光の信号を表すことができる(ステップ1002)。
【0064】
光検出および測距システムの検出器でマルチリターン信号を受信する(ステップ100
4)
【0065】
信号対雑音(SNR)比を最適化するために、整合フィルターでマルチリターン信号を
処理して、光送信信号のパルス波形と畳み込みを行う。整合フィルター出力をピーク検出
器に結合する(ステップ1006)。
【0066】
整合フィルター出力およびゼロ化出力に基づくマルチリターン信号シーケンスについて
、期間(T)におけるピーク検出器を用いてNZピークの値を決定する。ここで、Zはゼ
ロ化出力に基づく。ここで、最初の決定では、Z=0である(ステップ1008)。
【0067】
重心計算アルゴリズムを利用して、マルチリターン信号シーケンスにおけるN-Zピー
クのうちの最大ピークの位置を導出する(ステップ1010)
【0068】
N-Zが1に等しい場合(ステップ1012)、最初の戻り、最後の戻り、および最大
の戻りでピークを決定する(ステップ1014)。
【0069】
N-Zが1に等しくない場合(ステップ1012)、そのピークレベルをゼロまたはD
Cレベルに設定することにより、現在の計算された最大ピークを取り除く。Zを1増やす
。そして、N-Zピークに基づいて別のマルチリターン信号シーケンスを生成する(ゼロ
化)(ステップ1016)
【0070】
N-Zピークを含む別のマルチリターンピークシーケンスに基づいてステップ1008
を繰り返す。
【0071】
要約すると、マルチリターン検出器は、ある期間内にN個のピークを含むマルチリター
ン信号を受信するように動作可能な整合フィルター;整合フィルターの出力を受信するよ
うに結合され、期間内のマルチリターン信号の第1の最大ピークを決定するように動作可
能なピーク検出器;期間内のマルチリターン信号の第1の最大ピークの位置を導き出すよ
うに動作可能な重心計算;およびマルチリターン信号から第1の最大ピークを除去して、
ピーク検出器が2番目に大きいピークを決定できるようにし、重心計算により、期間内の
2番目に大きいピークの位置を導き出すゼロ化機能を備えてもよい。ピーク検出器、重心
計算、およびゼロ化機能は、N個のピークのうちM個のピークが期間内のマルチリターン
信号で検出されるまで、後続の最大ピークを決定する。重心計算では、期間内のマルチリ
ターン信号の最初のピーク、最後のピーク、および最大ピークを決定する。
【0072】
C.最大ファインダーソリューション
マルチリターン検出の効率のための本文書による別の実施形態は、整合フィルター機能
およびピーク検出器機能を備えた最大ファインディング機能を組み込んでいる。
図11A
~11Dおよび13は、本文書の実施形態による、整合フィルター検出器、ピーク検出器
、および最大ファインダーを備える、マルチリターン検出器1100~1160および1
300を示す。各実施形態は、以下の要素を含み得る:(1)ノイズ統計1101(平均
および分散ノイズ統計を含む)、(2)閾値計算1102、(3)整合フィルター110
3および(4)ピーク検出器1104。マルチリターン信号1111は、アナログ対デジ
タル変換(ADC)に結合され得、これは、入力信号1112を生成し、これは、次に、
ノイズ統計1101および整合フィルター1103に結合され得る。ノイズ統計1101
は、平均および本明細書で前に説明したRMSノイズ環境を定義し得る。入力信号111
2のノイズの平均値およびRMS値は、入力信号1112のピークの閾値を超えるサンプ
ルを除外することによって計算され得る。ノイズ統計1101の出力は、閾値計算110
2に結合され得る。閾値計算1102は、閾値を計算するために、ノイズ統計1101の
出力(即ち、ノイズ分散)に基づいたピーク検出器の閾値と、Pf
aに基づいて事前に計
算された一定のエラー率を決定する。閾値は、ピーク検出器1104の入力に結合され得
る。
【0073】
図9に示されるように、マルチリターン信号1111は、期間Tにおける一連のN個の
ピークを含み得る。先に論じたように、ADCは、入力信号1112のS/N比を最適化
するために、送信されたレーザー信号のパルス波形を畳み込むために整合フィルター11
03によって処理できる入力信号1112を生成する。整合フィルター1103の出力、
整合フィルター信号1113は、入力信号1112と同様にN個のピークのシーケンスを
含み得るが、最適化されたS/N比およびわずかな時間遅延を伴う。整合フィルター信号
1113は、ピーク検出器1104に結合され得、ピーク検出器1104は、期間Tにお
けるシーケンスNピークのピークの大きさおよび有効信号インデックスを決定する。一実
施形態において、整合フィルター1103は、クロックあたり8個のサンプルのレートで
動作する。
【0074】
本明細書で論じられるように、「最大のピーク」という用語は、ピークが、一連のピー
クにおいて比較されている他のピークよりも大きいことを示す場合がある。「2番目に大
きいピーク」という用語は、ピークが、一連のN個のピークの1番目に大きいピークと比
較して2番目に大きい大きさであることを示している。前述の説明は、
図11A-11D
および13Aに示されるように、マルチリターン検出器1100~1160および130
0に適用可能であり得る。
【0075】
図11Aおよびマルチリターン検出器1100に関して、ピーク検出器1104の出力
、ピーク検出器出力1114は、最大検出器1106および最後のピーク1108に結合
され得る。最大検出器1106は、ピーク検出器出力1114の期間TにおけるNピーク
のシーケンスを分析してシーケンスの最大ピークを決定する。最大ファインダー1106
は、最大ピークの振幅および位置を含む最大ファインダー出力1115を生成し得る。こ
の情報は、最大ピーク1107に格納できる。別に、最後のピーク1108は、ピーク検
出器出力1114を監視し、シーケンスの最後のピークの振幅と位置を格納し得る。
【0076】
バッファ1109は、配列の関心領域に基づいてサンプルを格納し得る。マルチリター
ン検出器1100の場合、関心領域は、最大のピークと最後に到着したピークを含むこと
ができる。バッファ1109は、ピーク検出器1104からトリガ信号1116を受信し
得、これは、最大ピーク1107および最後のピーク1108からのサンプルをバッファ
リングするアクションを開始する。バッファ1109は、最大ピークを中心とするS個の
サンプルおよび最後に到着したピークを中心とするR個のサンプルを格納し得る。いくつ
かの実施形態では、Sは10に等しくてもよく、Rは10に等しくてもよい。バッファ1
109の出力は、重心計算1105に結合されてもよく、次に、最大ピークおよび最後の
ピークの到着時間および強度飽和カウントを決定し得る。
【0077】
図11Bおよびマルチリターン検出器1120、ピーク検出器1104の出力、ピーク
検出器出力1114は、最大検出器1126および最後のピーク1128に結合され得る
。最大検出器1126は、ピーク検出器出力1114の期間TにおけるNピークのシーケ
ンスを分析してシーケンスの最大ピークを決定し得る。最大ファインダー1126は、最
大ピークおよび2番目に大きいピークの振幅および位置を含む最大ファインダー出力11
15を生成し得る。この情報は、最大ピーク/2番目に大きいピーク1127に格納され
得る。別個に、最後のピーク1128は、ピーク検出器出力1114を監視し、シーケン
スにおける最後のピークの振幅および位置を格納し得る。
【0078】
バッファ1129は、シーケンスの関心領域に基づいてサンプルを格納することができ
る。マルチリターン検出器1120の場合、関心領域は、最大ピーク、2番目に大きいピ
ーク、および最後に到着したピークを含むことができる。バッファ1129は、ピーク検
出器1104からトリガ信号1116を受信し得る。これは、最大ピーク/2番目に大き
いピーク1127および最後のピーク1128からサンプルをバッファリングするための
アクションを開始する。バッファ1129は、最大ピークを中心とするS個のサンプル、
2番目に大きいピークを中心とするQ個のサンプル、最後に到着したピークを中心とする
R個のサンプルを格納し得る。いくつかの実施形態では、Sは10に等しくてもよく、Q
は10に等しくてもよく、Rは10に等しくてもよい。バッファ1129の出力は重心計
算1125に結合され、次に最大ピーク、2番目に大きいピーク、および最後のピークの
到着時間および強度飽和カウントを決定し得る。
【0079】
図11Cおよびマルチリターン検出器1140に関して、ピーク検出器1104の出力
、ピーク検出器出力1114は、最大ファインダー1146および第1のピーク/最後の
ピーク1148に結合され得る。最大ファインダー1146は、ピーク検出器出力111
4の期間TにおけるNピークのシーケンスを分析して、シーケンスの最大ピークと2番目
に大きいピークを決定する。最大ファインダー1146は、最大ピークおよび2番目に大
きいピークの振幅および位置を含む最大ファインダー出力1115を生成し得る。この情
報は、最大ピーク/2番目に大きいピーク1147に格納できる。個別に、最初のピーク
/最後のピーク1148は、ピーク検出器の出力1114を監視し、シーケンスにおける
最初のピークと最後のピークの振幅と位置を格納できる。
【0080】
バッファ1149は、シーケンスの関心領域に基づいてサンプルを格納し得る。マルチ
リターン検出器1140の場合、関心領域は、最大ピーク、2番目に大きいピーク、最初
に到着したピーク、および最後に到着したピークを含むことができる。バッファ1149
は、ピーク検出器1104からトリガ信号1116を受信することができ、これは、最大
ピーク/2番目に大きいピーク1147および最初のピーク/最後のピーク1148から
サンプルをバッファリングするアクションを開始する。バッファ1149は、最大ピーク
を中心とするSサンパウル、2番目に大きいピークを中心とするQ個のサンプル、最初に
到着したピークを中心とするP個のサンプル、および最後に到着したピークを中心とする
R個のサンプルを格納し得る。いくつかの実施形態では、Sは10に等しくてもよく、Q
は10に等しくてもよく、Pは10に等しくてもよく、Rは10に等しくてもよい。バッ
ファ1149の出力は、重心計算1145に結合され、次に最大ピーク、2番目に大きい
ピーク、最初に到着したピーク、および最後のピークの到着時間および強度飽和カウント
を決定し得る。
【0081】
図11Dおよびマルチリターン検出器1160に関して、ピーク検出器1104の出力
、ピーク検出器出力1114は、最大ファインダー1166および第1のピーク/最後の
ピーク1168に結合され得る。最大ファインダー1166は、ピーク検出器出力111
4の期間TにおけるNピークのシーケンスを分析してシーケンス内の最大ピーク、2番目
に大きいピーク、および他のK個の潜在的なピークを決定し得る。最大ファインダー11
66は、最大ファインダー出力1115を生成し得る。これは、最大ピーク、2番目に大
きいピーク、およびK個の他の潜在的ピークの振幅および位置を含む。この情報は、最大
ピーク/2番目に大きいピーク1167と他のK個のピーク1170に格納できる。個別
に、最初のピーク/最後のピーク1168は、ピーク検出器の出力1114を監視し、シ
ーケンスにおける最初のピークと最後のピークの振幅と位置を格納する。
【0082】
バッファ1169は、シーケンスの関心領域に基づいてサンプルを格納し得る。マルチ
リターン検出器1160の場合、関心領域は、最大ピーク、2番目に大きいピーク、最初
に到着したピーク、最後に到着したピーク、およびK個の他の潜在的なピークを含み得る
。バッファ1169は、ピーク検出器1104からトリガ信号1116を受信することが
でき、これは、最大ピーク/2番目に大きいピーク1167、最初のピーク/最後のピー
ク1168、およびK個の他のピーク1170からサンプルをバッファするアクションを
開始する。バッファ1169は、最大ピークを中心とするS個のサンプル、2番目に大き
いピークを中心とするQ個のサンプル、最初に到着したピークを中心とするP個のサンプ
ル、最後に到着したピークを中心とするR個のサンプル、および他のK個のピークを格納
し得る。一部の実施形態では、Sは10に等しくてもよく、Qは10に等しくてもよく、
Pは10に等しくてもよく、Rは10に等しくてもよく、Kは4に等しくてもよい。バッ
ファ1169の出力は、重心計算に結合され得る。次に、最大ピーク、2番目に大きいピ
ーク、最初に到着したピーク、最後のピーク、およびその他のK個のピークの到着時間と
強度飽和カウントを決定する。
【0083】
要約すると、マルチリターン検出器は、期間内のN個のピークのシーケンスを含むマル
チリターン信号をフィルターリングするように動作可能な整合フィルター;整合フィルタ
ーの出力を受信するように結合され、期間内のN個のピークのシーケンスの各ピークのピ
ークの大きさを決定するように動作可能なピーク検出器;期間内のNピークのシーケンス
から1つ以上の最大ピークを選択するように動作可能な最大ファインダー;到着時刻に基
づいて1つ以上のピークを選択するように動作可能なレジスタ;および選択された各ピー
クを中心とする多数のサンプルを生成するように動作可能なバッファを含み得る。
【0084】
D.最大ピーク(隠れたピーク)の盲点
整合フィルターおよびピーク検出器を備えた最大ファインディング機能を組み込んだマ
ルチリターン検出器1100~1160は、ブラインド環境のように、リターン信号の複
数のピークが互いに近接する環境に挑戦される可能性がある。望ましいのは、最大ピーク
の盲点にあるピークを識別することである。
【0085】
例えば、レーザーベースの暗視システムは、反射率の高い物体に関連する目隠し効果を
克服できない場合がある。多くの標識は、車両のオペレーターが直接見やすいように、車
両のヘッドランプから放射されるような、白熱光を反射するための高反射面を備えている
。標識は多くの場合、大量の光を反射して画像の飽和を引き起こす可能性のある再帰反射
塗料で覆われている。飽和した画像は、一般的に不明瞭で読めない場合がある。トラック
、バス、バンなどの大きな平らな面でも、画像が飽和する可能性がある。
【0086】
LIDARシステムなどのレーザーベースの検出器の場合、アバランシェフォトダイオ
ード(APD)の逆バイアス状態のために、ブラインドが発生する可能性がある。APD
が逆ダイオード回復状態にある場合、APDは光に鈍感になることがある。この状況は、
APDが回復するまで、光検出システムのさらなる検出を妨げる可能性がある。一部の実
施形態では、限定はされないが、回復時間は数ナノ秒であり得、数メートルの盲点を引き
起こし得る。
【0087】
図12Aは、本文書の実施形態による、重なり合う波形1200を含む戻り信号の波形
をグラフで示す。重なり合う波形1200は、ピーク1202およびピーク1206を含
み、ピーク1202は最大ピークであり得、ピーク1206は隠れたピークまたは最大ピ
ークの盲点であり得る。潜在的に、2つのピークの時間的近接性が与えられると、マルチ
リターン検出器は、
図12Aの波形において1つのピークのみを検出し得る。
【0088】
重なり合う波形1200内の2つのピークを検出する方法は、最初に最大ピークを識別
し、次に計算バッファを利用して、最大ピークの波形の寄与をゼロにすることにより最大
ピークの直後に隠れているピークを識別することを含む。基本的に、このプロセスには、
戻り信号のピークの元の形状を再構築することが含まれる。最大ファインダー機能を使用
すると、最大のピークであるピーク1202を識別できる。関心領域について、
図12A
に示すように、重なり合う波形について20個のサンプルが得られる。この情報を使用し
て、最大ピークの振幅および位置を決定できる。
【0089】
図12Bは、本発明の実施形態による
図12Aの2つの重なり合うピークの元の波形1
220をグラフで示す。ピーク1202の波形の元の形状は、ピーク1202に関連する
波形の他の部分と組み合わされた波セグメント1214によって示されるように、勾配1
204に基づいて決定される。次に、ピーク1202の波形の元の形状が減算される(ゼ
ロにされた)2つのピークの元の重なり合う波形から、
図12Bに示されるように、ピー
ク1206に関連する波形の形状を得る。波セグメント1212を参照。ピーク1206
に関連付けられた波形の勾配は、勾配1208である場合がある。これは、波セグメント
1212の決定を支援する。いくつかの実施形態では、それぞれのピークを有する元の波
形を得るために計算バッファ機能は、ピーク1202およびピーク1206を試し得る。
最大のピークであるピーク1202を中心としたP個のサンプルがある場合がある。隠れ
たピークであるピーク1206を中心とするQ個のサンプルがあり得る。いくつかの実施
形態では、PおよびQは、10個のサンプルに等しくてもよい。
【0090】
図13Aは、整合フィルターリング、最大ファインダーおよび計算バッファを含むマル
チリターン検出器1300を示している。マルチリターン検出器1300は、最大ピーク
の盲点内の隠れたピークを検出するように動作可能であり得る。
図13Aおよびマルチリ
ターン検出器1300に関連して、ノイズ統計1101、閾値計算1102、整合フィル
ター1103、およびピーク検出器1104は、
図11Aに関して説明したのと同じ機能
を有することができる。
【0091】
図13Aおよびマルチリターン検出器1300、ピーク検出器1104の出力、ピーク
検出器出力1114は、最大検出器1306および最後のピーク1308に結合され得る
。最大検出器1306は、ピーク検出器出力1114の期間TにおけるN個のピークのシ
ーケンスを分析してシーケンスの最大ピークを決定し得る。最大ファインダー1306は
、最大ピークの振幅および位置を含む最大ファインダー出力1115を生成することがで
きる。この情報は、最大ピーク1307に格納され得る。別個に、最後のピーク1308
は、ピーク検出器出力1114を監視し、シーケンスにおける最後のピークの振幅および
位置を格納し得る。
【0092】
バッファ1309は、配列についての関心のある領域に基づいてサンプルを選択および
格納し得る。マルチリターン検出器1300の場合、関心領域は、最大のピークと最後に
到着したピークを含むことができる。バッファ1309は、ピーク検出器1104からト
リガ信号1116を受け取ることができ、これは、最大ピーク1307および最後のピー
ク1308からサンプルをバッファするアクションを開始する。バッファ1309は、最
大ピークを中心とするS個のサンプルおよび最後に到着したピークを中心とするR個のサ
ンプルを格納する。いくつかの実施形態では、Sは20に等しく、Rは10に等しくても
よい。バッファ1309の出力は、重心計算1305および計算バッファ1310に結合
されてもよい。
【0093】
計算バッファ1310は、関心領域に関連するサンプルを受け取ることができる。計算
バッファ1310は、最大ピークの寄与をゼロにすることにより、最大ピークの直後に隠
された潜在的なピークを識別することができる。計算バッファ1310は、最大ピークに
ついてのP個のサンプル、および最大ピークの盲点におけるピークについてのQ個のサン
プルを生成し得る。いくつかの実施形態では、PおよびQは10個のサンプルに等しい。
【0094】
重心計算1305は、バッファ1309および計算バッファ1310からサンプル情報
を受け取り、最大ピーク、最後のピーク、および最大ピークの盲点内のピークの到着時間
および強度飽和カウントを決定することができる。
【0095】
図13Bは、整合フィルターリング、最大ファインダーおよび計算バッファを含む別の
マルチリターン検出器1320を示す。マルチリターン検出器1320は、最大ピークの
盲点内の隠れたピークを検出するように動作可能であり得る。
図13Bおよびマルチリタ
ーン検出器1320に関して、ノイズ統計1101、閾値計算1102、整合フィルター
1103およびピーク検出器1104は、
図11Aに関して説明したのと同じ機能を有す
ることができる。
【0096】
図13Bおよびマルチリターン検出器1320に関して、ピーク検出器1104の出力
、ピーク検出器出力1114は、最大ファインダー1326および最初のピーク/最後の
ピーク1328に結合され得る。最大ファインダー1326は、ピーク検出器出力111
4の期間TにおけるN個のピークのシーケンスを分析してシーケンス内の最大ピークを決
定し得る。最大ファインダー1326は、最大ピーク、2番目に大きいピーク、およびK
個の他のピークの振幅および位置を含む、最大ファインダー出力1115を生成し得る。
この情報は、最大ピーク/2番目に大きいピーク1327およびK個のその他のピーク1
331に格納されてもよい。別個に、最初のピーク/最後のピーク1328は、ピーク検
出器出力1114を監視し、シーケンスの最初のピーク/最後のピークの振幅および位置
を格納してもよい。
【0097】
バッファ1329は、配列についての関心のある領域に基づいてサンプルを選択および
保存し得る。マルチリターン検出器1320の場合、関心領域は、最大ピーク、2番目に
大きいピーク、最初に到着したピーク、最後に到着したピーク、および他のK個の潜在的
なピークを含み得る。いくつかの実施形態では、Kは4に等しくてもよい。バッファ13
29は、ピーク検出器1104からトリガ信号1116を受け取ることができ、これは、
最大ピーク/2番目に大きいピーク1327、Kの他のピーク1331、および最初のピ
ーク/最後のピーク1328からサンプルをバッファするアクションを開始する。バッフ
ァ1329は、最大のピークを中心とするS個のサンプル、2番目に大きいピークを中心
とするP個のサンプル、最初に到着したピーク、最後に到着したピーク、およびその他の
K個の潜在的なピークを格納し得る。いくつかの実施形態では、Sは20に等しくてもよ
く、Pは10に等しくてもよく、Kは4に等しくてもよい。バッファ1329の出力は、
重心計算1325および計算バッファ1330に結合され得る。
【0098】
計算バッファ1330は、関心領域に関連するサンプルを受け取ることができる。計算
バッファ1330は、最大ピークの寄与をゼロにすることにより、最大ピークの直後に隠
された潜在的なピークを識別し得る。計算バッファ1330は、最大ピークについてP個
のサンプル、および最大ピークの盲点におけるピークについてQ個のサンプルを生成し得
る。いくつかの実施形態では、PおよびQは10個のサンプルに等しい。
【0099】
重心計算1325は、バッファ1329および計算バッファ1330からサンプル情報
を受け取り、最大ピーク、最初のピーク、最後のピーク、他のK個のピークおよび最大ピ
ークの盲点におけるピークの到着時間および強度飽和カウントを決定し得る。
【0100】
要約すると、マルチリターン検出器は、期間内のN個のピークのシーケンスを含むマル
チリターン信号をフィルターリングするように動作可能な整合フィルター;整合フィルタ
ーの出力を受信するように結合され、期間内のN個のピークのシーケンスの各ピークのピ
ークの大きさを決定するように動作可能なピーク検出器;期間内のN個のピークのシーケ
ンスから最大のピークを選択するように動作可能な最大ファインダー;期間内のN個のピ
ークのシーケンスから最後のピークを選択するように動作可能なレジスタ;最大のピーク
を中心とするX個のサンプルを生成し、最後のピークを中心とするY個のサンプルを生成
するように動作可能な第1のバッファ;最大ピークの波形の寄与をゼロにすることにより
最大ピークの直後に盲点に隠されたピークを検出するように動作可能な第2のバッファ;
および最大ピーク、最後のピーク、最大ピークの直後の盲点におけるピークについての到
着時間、最大ピークの強度飽和カウントを決定するために動作可能な重心計算を備える。
【0101】
E.システムの実施形態
実施形態では、本特許文書の態様は、情報処理システム/計算システムを対象とするか
、またはそれに実装することができる。この開示の目的のために、計算システムは、ビジ
ネス、科学、制御、またはその他の目的で、あらゆる形式の情報、インテリジェンス、ま
たはデータを計算(compute)、計算(calculate)、決定、分類、処理
、送信、受信、検索、創造、ルーティング、切り替え、保存、表示、通信、マニフェスト
、検出、記録、複製、操縦、または利用する。例えば、計算システムは、LIDAR装置
、パーソナルコンピューター(例えば、ラップトップ)、タブレットコンピューター、フ
ァブレット、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、スマートウォッチ、スマートパ
ッケージ、またはその他の適切な装置であり、サイズ、形状、性能、機能、価格は異なり
得る。計算システムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、中央処理装置(CPU)ま
たはハードウェアまたはソフトウェア制御ロジックなどの1つまたは複数の処理リソース
、ROM、および/または他のタイプのメモリを含み得る。計算システムの追加のコンポ
ーネントには、1つ以上のメモリ装置、外部装置と通信するための1つ以上のネットワー
クポート、およびタッチスクリーンやビデオディスプレイなどのさまざまな入出力(I/
O)装置が含まれる。計算システムはまた、様々なハードウェアコンポーネント間の通信
を送信するように動作可能な1つまたは複数のバスを含み得る。
【0102】
図14は、本開示の実施形態による、計算装置/情報処理システム(または計算システ
ム)の簡略化されたブロック図を示す。情報処理システムは異なる構成であり、異なるコ
ンポーネントを含み得ることもあるが、システム1400について示される機能は、情報
処理システムの様々な実施形態をサポートするように動作し得ることが理解されるであろ
う。
【0103】
図14を参照すると、システム1400は、計算リソースを提供し、計算装置を制御す
る1つまたは複数の中央処理装置(CPU)1401を含む。CPU1401は、マイク
ロプロセッサなどで実装されてもよく、1つまたは複数のグラフィックス処理ユニット(
GPU)1417および/または数学的計算または任意の他のタイプのコプロセッサのた
めの浮動小数点コプロセッサを含んでもよい。システム1400はまた、ランダムアクセ
スメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、またはその両方の形態であり得る
システムメモリ1402を含み得る。
【0104】
図14に示されるように、いくつかのコントローラおよび周辺機器も提供され得る。入
力コントローラ1403は、キーボード、マウス、またはスタイラスなどの様々な入力装
置1404へのインターフェースを表す。無線装置1406と通信する無線コントローラ
1405もあり得る。システム1400はまた、それぞれが様々なタイプの記憶媒体を含
む1つまたは複数の記憶装置1408とインターフェースするための記憶コントローラ1
407を含み得る。記憶装置1408はまた、本発明に従って処理されたデータまたは処
理されるべきデータを記憶するために使用されてもよい。システム1400はまた、ディ
スプレイ装置1411へのインターフェースを提供するためのディスプレイコントローラ
1409を含み得る。コンピューティングシステム1400はまた、1つ以上の自動推進
システム(例えば、自動運転システム)1413と通信するための自動車信号コントロー
ラ1412を含み得る。コントローラ1414は、1つまたは複数の通信装置1415と
インターフェースすることができ、それにより、システム1400が、インターネット、
クラウドリソース(例えば、イーサネットクラウド、ファイバチャネルオーバーイーサネ
ット(FCoE)/データセンターブリッジング(DCB)クラウドなど)、ローカルエ
リアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ストレージエリア
ネットワーク(SAN)、または赤外線信号を含む適切な電磁キャリア信号を含むさまざ
まなネットワークのいずれかを通じて遠隔装置に接続できるようになる。
【0105】
図示されたシステムでは、すべての主要なシステム構成要素は、バス1416に接続す
ることができ、それは2つ以上の物理バスを表すことができる。ただし、さまざまなシス
テムコンポーネントが互いに物理的に近接している場合とそうでない場合がある。例えば
、入力データおよび/または出力データは、1つの物理的な場所から別の場所にリモート
で送信され得る。さらに、本発明の様々な態様を実装するプログラムは、ネットワークを
介して遠隔地(例えば、サーバー)からアクセスすることができる。そのようなデータお
よび/またはプログラムは、以下を含むがこれらに限定されない様々な機械可読媒体のい
ずれかを介して伝達され得る:ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープ
などの磁気媒体;CD-ROMやホログラフィック装置などの光学メディア;光磁気メデ
ィア;アプリケーション固有の集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック装置(P
LD)、フラッシュメモリ装置、ROMおよびRAM装置など、プログラムコードを格納
または格納および実行するように特別に構成されたハードウェア装置。
【0106】
本発明の実施形態は、1つまたは複数のプロセッサまたは処理ユニットがステップを実
行させるための命令を用いて、1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体上にエ
ンコードすることができる。1つまたは複数の非一時的なコンピュータ可読媒体は、揮発
性および不揮発性メモリを含むことに留意されたい。ハードウェア実装またはソフトウェ
ア/ハードウェア実装を含む代替実装が可能であることに留意されたい。ハードウェア実
装機能は、ASIC、プログラマブルアレイ、デジタル信号処理回路などを使用して実現
できる。したがって、特許請求の範囲に記載の「手段」という用語は、ソフトウェアとハ
ードウェアの両方の実装を対象としている。同様に、本明細書で使用される「コンピュー
タ可読媒体」という用語は、その上に具現化された命令のプログラムを有するソフトウェ
アおよび/またはハードウェア、あるいはそれらの組み合わせを含む。これらの実装の代
替案を念頭に置いて、図および付随する説明では、当業者が、必要な処理を実行するため
にプログラムコード(即ち、ソフトウェア)を記述し、および/または回路(即ち、ハー
ドウェア)を製造するために必要とする機能情報を提供することを理解されたい。。
【0107】
本発明の実施形態はさらに、様々なコンピュータ実装操作を実行するためのコンピュー
タコードを有する、非一時的で有形のコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータ製品に
関連し得ることに留意されたい。媒体およびコンピュータコードは、本発明の目的のため
に特別に設計および構築されたものであり得、またはそれらは、関連分野の当業者に既知
または利用可能な種類のものであり得る。有形のコンピュータ可読媒体の例には、以下が
含まれるが、これらに限定されない:ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気
テープなどの磁気媒体;CD-ROMやホログラフィック装置などの光学メディア;光磁
気メディア;アプリケーション固有の集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック装
置(PLD)、フラッシュメモリ装置、ROMおよびRAM装置など、プログラムコード
を格納または格納および実行するように特別に構成されたハードウェア装置。コンピュー
タコードの例には、コンパイラによって生成されるようなマシンコード、およびインタプ
リタを使用してコンピュータによって実行されるより高いレベルのコードを含むファイル
が含まれる。本発明の実施形態は、処理装置によって実行されるプログラムモジュール内
にあり得る機械実行可能命令として、全体的または部分的に実装され得る。プログラムモ
ジュールの例には、ライブラリ、プログラム、ルーチン、物体、コンポーネント、および
データ構造が含まれる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ロ
ーカル、リモート、またはその両方の設定に物理的に配置できる。
【0108】
当業者は、本発明の実施にコンピューティングシステムまたはプログラミング言語が重
要でないことを認識するであろう。当業者はまた、上記のいくつかの要素が物理的および
/または機能的にサブモジュールに分離されてもよく、または一緒に組み合わされてもよ
いことを認識するであろう。
【0109】
前述の例および実施形態は例示であり、本開示の範囲を限定するものではないことは、
当業者に理解されるであろう。明細書を読み、図面を検討すると当業者に明らかなすべて
の置換、強化、等価物、組み合わせ、および改善は、本開示の真の精神および範囲内に含
まれることが意図されている。また、請求項の要素は、複数の引用関係、構成、および組
み合わせを含めて、異なるように配置され得ることにも留意されたい。