(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
(21)【出願番号】P 2023136475
(22)【出願日】2023-08-24
【審査請求日】2023-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-033591(JP,A)
【文献】特開2021-196914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得する取得部と、
前記ユーザから、複数の前記固有トークンのうち、他者に開示する前記固有トークンの指定を受け付ける受付部と、
前記
他者に開示する固有トークンが示す前記特性と、前記
他者に開示する固有トークン
に関連付けられた前記発行者
を識別するための識別情報と、の少なくとも一方に基づいて前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する特定部と、
前記提案物を示す情報を
、前記他者に開示する固有トークンに関連付けられた前記ユーザ
を識別するための識別情報又は
前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者
を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得する取得部と、
前記ユーザから、前記固有トークンを開示する相手である開示相手の指定を受け付ける受付部
と、
物品又はサービスの提供者が前記開示相手であることを条件として、
前記固有トークンが示す前記特性と、前記固有トークンに関連付けられた前記発行者を識別するための識別情報と、の少なくとも一方に基づいて、当該物品又はサービスを前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物として特定する特定部と、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項3】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得するとともに、記憶部に予め記憶された、前記特性と前記発行者
を識別するための識別情報との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が高いほど大きい値であって、前記特性と前記発行者
を識別するための識別情報との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が低いほど小さい値を含む関連性情報を取得
する取得部と、
前記取得部が取得した前記固有トークンが示す前記特性と前記取得部が取得した前記固有トークンの前記発行者
を識別するための識別情報との少なくとも一方との前記値が所定の閾値以上である物品又はサービスを、前記
ユーザに提案する物品又はサービスである提案物として特定する
特定部と、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項4】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得する取得部と、
記憶部に予め記憶された関連性情報が、前記特性と前記発行者
を識別するための識別情報との少なくとも一方と、
物品又はサービスの種類、提供者
を識別するための識別情報又は製造者
を識別するための識別情報と、が関連していることを示すことを条件として、
当該物品又はサービスを前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物
として特定する
特定部と、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項5】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得するとともに、前記発行者の信頼度を含む信頼性情報を取得する取得部と、
前記ユーザが複数の前記固有トークンを保有する場合に、
前記信頼度に従って複数の前記固有トークンを重み付けし、重み付けされた複数の前記固有トークンの前記特性と
、重み付けされた複数の前記固有トークンに関連付けられた前記発行者
を識別するための識別情報と
、の少なくとも一方に基づいて、前記
ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する
特定部と、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項6】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得する取得部と、
前記固有トークンが示す前記特性と、前記固有トークンに関連付けられた前記発行者を識別するための識別情報と、の少なくとも一方に基づいて前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する特定部と、
前記ユーザが複数の前記固有トークンを保有する場合に、複数の前記固有トークンのうち
、物品又はサービスに対応する種類の前記固有トークンの前記特性と
、当該種類の前記固有トークンに関連付けられた前記発行者
を識別するための識別情報と
、の少なくとも一方に基づいて、
当該物品又はサービスを前記
ユーザに提案する物品又はサービスである提案物
として特定する、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得する取得部と、
前記固有トークンが示す前記特性と、前記固有トークンに関連付けられた前記発行者を識別するための識別情報と、の少なくとも一方に基づいて前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する特定部と、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定部が特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させる表示制御部と、
を有し、
前記提案物の提供者は、前記ユーザに前記提案物を提供した後に、前記ユーザ
を識別するための識別情報に関連付けて前記固有トークンを発行する、
情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部は、前記ユーザが指定した物品又はサービスである指定物の情報と、前記特性と前記発行者
を識別するための識別情報との少なくとも一方と、に基づいて、前記提案物を特定し、
前記表示制御部は、前記指定物及び前記提案物を示す情報を前記情報端末に表示させる、
請求項1から
7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記指定物及び前記提案物を組み合わせた商品を前記ユーザに購入可能にする情報を前記情報端末に表示させる、
請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記発行者は、前記指定物の提供者である、
請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記発行者は、前記指定物又は前記提案物の提供者とは異なる事業者である、
請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
プロセッサが実行する、
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得するステップと、
前記ユーザから、複数の前記固有トークンのうち、他者に開示する前記固有トークンの指定を受け付けるステップと、
前記
他者に開示する固有トークンが示す前記特性と、前記
他者に開示する固有トークン
に関連付けられた前記発行者
を識別するための識別情報と、の少なくとも一方に基づいて前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定するステップと、
前記提案物を示す情報を
、前記他者に開示する固有トークンに関連付けられた前記ユーザ
を識別するための識別情報又は
前記特定するステップにおいて特定した前記提案物を提供する事業者
を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項13】
プロセッサが実行する、
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得するステップと、
前記ユーザから、前記固有トークンを開示する相手である開示相手の指定を受け付けるステップと、
物品又はサービスの提供者が前記開示相手であることを条件として、前記固有トークンが示す前記特性と、前記固有トークンに関連付けられた前記発行者を識別するための識別情報と、の少なくとも一方に基づいて、当該物品又はサービスを前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物として特定するステップと、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定するステップにおいて特定した前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項14】
プロセッサが実行する、
ユーザの特性を示す固有トークンであって、当該固有トークンを保有する前記ユーザを識別するための識別情報と、当該固有トークンを発行した発行者を識別するための識別情報と、に関連付けられた固有トークンを取得するステップと、
記憶部に予め記憶された、前記特性と前記発行者を識別するための識別情報との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が高いほど大きい値であって、前記特性と前記発行者を識別するための識別情報との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が低いほど小さい値を含む関連性情報を取得するステップと、
前記固有トークンを取得するステップにおいて取得した前記固有トークンが示す前記特性と前記固有トークンを取得するステップにおいて取得した前記固有トークンの前記発行者を識別するための識別情報との少なくとも一方との前記値が所定の閾値以上である物品又はサービスを、前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物として特定するステップと、
前記提案物を示す情報を、前記固有トークンに関連付けられた前記ユーザを識別するための識別情報又は前記特定するステップにおいて前記提案物を提供する事業者を識別するための識別情報に関連付けられた情報端末に表示させるステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーン上で管理されるトークンに関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの性別、年齢、職業等に基づいて、ユーザに広告として提示する商品情報を変更する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの自己申告に基づいて取得されたユーザの性別、年齢、職業等の特性は正確でない情報を含みやすいため、事業者は当該ユーザの特性に基づいてユーザに適した物品又はサービスを提案できない場合がある。また、事業者は、免許証又はマイナンバーカード等によって確認された正確なユーザの特性を自由に利用することができないことが多い。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザの特性に基づいてユーザに適した物品又はサービスを提案しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、ユーザがブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記ユーザの特性を示す固有トークンを取得する取得部と、前記固有トークンが示す前記特性と、前記固有トークンを発行した前記発行者と、の少なくとも一方に基づいて前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する特定部と、前記提案物を示す情報を前記ユーザ又は前記提案物を提供する事業者が利用する情報端末に表示させる表示制御部と、を有する。
【0007】
前記情報処理装置は、前記ユーザから、複数の前記固有トークンのうち、他者に開示する前記固有トークンの指定を受け付ける受付部をさらに有し、前記特定部は、前記他者に開示する固有トークンが示す前記特性と前記他者に開示する固有トークンを発行した前記発行者との少なくとも一方に基づいて、前記提案物を特定してもよい。
【0008】
前記情報処理装置は、前記ユーザから、前記固有トークンを開示する相手である開示相手の指定を受け付ける受付部をさらに有し、前記特定部は、前記提案物の提供者が前記開示相手であることを条件として、前記特性と前記発行者との少なくとも一方に基づいて、前記提案物を特定してもよい。
【0009】
前記取得部は、記憶部に予め記憶された、前記特性と前記発行者との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が高いほど大きい値であって、前記特性と前記発行者との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が低いほど小さい値を含む関連性情報を取得し、前記特定部は、前記取得部が取得した前記固有トークンが示す前記特性と前記取得部が取得した前記固有トークンの前記発行者との少なくとも一方との前記値が所定の閾値以上である物品又はサービスを、前記提案物として特定してもよい。
【0010】
前記特定部は、記憶部に予め記憶された関連性情報が、前記特性と前記発行者との少なくとも一方と、前記提案物の種類、提供者又は製造者と、が関連していることを示すことを条件として、当該提案物を特定してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記ユーザが複数の前記固有トークンを保有する場合に、複数の前記固有トークンを重み付けし、重み付けされた複数の前記固有トークンの前記特性と前記発行者との少なくとも一方に基づいて、前記提案物を特定してもよい。
【0012】
前記取得部は、前記発行者の信頼度を含む信頼性情報を取得し、前記特定部は、前記信頼度に従って複数の前記固有トークンを重み付けしてもよい。
【0013】
前記特定部は、前記ユーザが複数の前記固有トークンを保有する場合に、複数の前記固有トークンのうち前記提案物に対応する種類の前記固有トークンの前記特性と前記発行者との少なくとも一方に基づいて、前記提案物を特定してもよい。
【0014】
前記提案物の提供者は、前記ユーザに前記提案物を提供した後に、前記ユーザに対して前記固有トークンを発行してもよい。
【0015】
前記特定部は、前記ユーザが指定した物品又はサービスである指定物の情報と、前記特性と前記発行者との少なくとも一方と、に基づいて、前記提案物を特定し、前記表示制御部は、前記指定物及び前記提案物を示す情報を前記情報端末に表示させてもよい。
【0016】
前記表示制御部は、前記指定物及び前記提案物を組み合わせた商品を前記ユーザに購入可能にする情報を前記情報端末に表示させてもよい。
【0017】
前記発行者は、前記指定物の提供者であってもよい。
【0018】
前記発行者は、前記指定物又は前記提案物の提供者とは異なる事業者であってもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、ユーザがブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行された前記ユーザの特性を示す固有トークンを取得するステップと、前記固有トークンが示す前記特性と、前記固有トークンを発行した前記発行者と、の少なくとも一方に基づいて前記ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定するステップと、前記提案物を示す情報を前記ユーザ又は前記提案物を提供する事業者が利用する情報端末に表示させるステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ユーザの特性に基づいてユーザに適した物品又はサービスを提案しやすくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図3】ユーザの特性を示す固有トークンを説明するための模式図である。
【
図4】ユーザが開示条件を指定するための開示条件指定画面を表示しているユーザ端末の模式図である。
【
図6】特定部が複数の固有トークンに基づいて提案物を特定する方法を説明するための模式図である。
【
図7】提案情報を表示しているユーザ端末の模式図である。
【
図8】実施形態に係る情報処理装置が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、ユーザ端末2と、事業者端末3と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0023】
情報処理装置1は、ブロックチェーン上に記憶される情報に関する処理を行うコンピュータである。ブロックチェーンは、情報処理装置1の記憶部又は情報処理装置1とは異なる装置の記憶部に構築される。ブロックチェーンは複数の装置の記憶部に構築されてもよく、この場合に情報処理装置1は当該複数の装置のうちいずれかであってもよい。
【0024】
ブロックチェーン上に記憶される情報は、例えば、ユーザの特性を示す固有トークンを含む。固有トークンは、当該固有トークンを保有するユーザの特性を示す情報であり、例えばソウルバウンドトークン(SBT: SoulBound Token)である。ユーザの特性は、例えば、ユーザの個人情報、ユーザの行動の履歴等を含む。
【0025】
固有トークンは、ブロックチェーン上においてユーザ間で移転することが許可されないことにより、保有者であるユーザの特性を示すことが担保されている。固有トークンは、ブロックチェーン上でユーザが保有する情報であるため、従来の各事業者が管理するユーザの情報とは異なり、ユーザ自身が固有トークンの内容を他者に開示するか否かを切り替えることができるとともに、第三者(固有トークンの発行者等)が内容を保証することができる。
【0026】
固有トークンは、例えば、ネットワーク上の一又は複数の記憶部上のブロックチェーンによって、保有者であるユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID:Identifier)と関連付けて記憶される。ブロックチェーンは複数のデータのブロックを含み、各ブロックは固有トークンの保有者を示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0027】
ユーザ端末2は、ユーザが利用する情報端末である。事業者端末3は、事業者が利用する情報端末である。ユーザは、ブロックチェーン上で当該ユーザの特性を示す固有トークンを保有する人間である。事業者は、ユーザに対して物品又はサービスを提供する事業者である。
【0028】
ユーザ端末2及び事業者端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータである。ユーザ端末2及び事業者端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネル又はキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。ユーザ端末2及び事業者端末3は、ネットワークを介して情報処理装置1と通信可能である。
【0029】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。情報処理装置1は、ユーザがブロックチェーン上で保有する固有トークンであって、所定の発行者によって発行されたユーザの特性を示す固有トークンを取得する。
【0030】
情報処理装置1は、取得した固有トークンが示す特性と、取得した固有トークンの発行者と、の少なくとも一方に基づいて、ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する。情報処理装置1は、例えば、記憶部に予め記憶された、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と、物品又はサービスと、の関連性を示す関連性情報を取得する。情報処理装置1は、取得した固有トークンが示すユーザの特性又は発行者と関連していることを関連性情報が示す物品又はサービスを、提案物として特定する。
【0031】
情報処理装置1は、特定した提案物を示す情報を、ユーザ端末2又は事業者端末3に表示させる。
【0032】
このように、情報処理システムSは、ブロックチェーンからユーザの特性を示す固有トークンであって所定の発行者によって発行された固有トークンを取得し、取得した固有トークンが示すユーザの特性及び発行者の少なくとも一方に基づいて、ユーザに提案する提案物を特定する。これにより、情報処理システムSは、発行者によってブロックチェーン上に客観的に記録されたユーザの固有トークンに基づいてユーザに対して提案する物品又はサービスを特定できるため、ユーザに適した物品又はサービスを提案しやすくすることができる。
【0033】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0034】
情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報処理装置1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報処理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0035】
通信部11は、ネットワークを介してユーザ端末2及び事業者端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、ユーザ端末2及び事業者端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータをユーザ端末2及び事業者端末3に送信する。
【0036】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報処理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0037】
制御部13は、受付部131と、取得部132と、特定部133と、表示制御部134と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、受付部131、取得部132、特定部133及び表示制御部134として機能する。
【0038】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。まず、ユーザの特性を示す固有トークンについて説明する。固有トークンは、所定の発行者によって発行された情報であって、当該固有トークンを保有するユーザの特性を示す情報である。
【0039】
ブロックチェーンは、各ユーザの特性を示す固有トークンを予め記憶している。ユーザの特性は、例えば、性別、年齢、住所、出身地、職業、会員、家族構成、資産額等のユーザの個人情報を含む。また、ユーザの特性は、移動履歴、商品の購入履歴、サービスの契約履歴、グループへの加入履歴等のユーザの行動の履歴を含んでもよい。また、ユーザの特性は、通院歴、服薬歴、アレルギー歴等の医療情報を含んでもよい。
【0040】
また、ユーザの特性は、ユーザが本人確認済であることを示す情報を含んでもよい。本人確認済であることは、例えば、所定の機関がユーザから免許証、マイナンバーカード、保険証等の証明書の提示を受けることにより、当該ユーザの身元を確認したことである。ユーザが本人確認済であることを示す固有トークンの発行者は、当該ユーザに対して本人確認を行った機関であることが望ましい。
【0041】
図3は、ユーザの特性を示す固有トークンを説明するための模式図である。固有トークンは、例えば、固有トークンの発行者と、ユーザの特性の種類(項目ともいう)と、ユーザの特性の内容(値ともいう)と、を関連付けた情報である。ユーザの特性は、固有トークンが含むユーザの特性の種類及び内容の組み合わせによって表されている。また、固有トークンは、固有トークンの発行日時を含んでもよい。各ユーザは、ブロックチェーン上で、一又は複数の発行者により発行された一又は複数の固有トークンを保有する。
【0042】
固有トークンの発行者は、所定の情報端末を用いて、情報処理装置1又はその他の装置に対して固有トークンの発行要求を送信する。発行要求は、ユーザの特性の種類及び内容と、当該ユーザのユーザIDと、を含む。ユーザの特性は、例えば、ユーザがユーザ端末2において入力した情報(アンケート等)、又はユーザの情報を管理する事業者から提供された情報(契約情報等)に基づいて設定される。情報処理装置1又はその他の装置は、発行者から受け付けた発行要求に応じて、ユーザの特性を示す固有トークンを、当該ユーザを保有者としてブロックチェーンに発行させる。
【0043】
情報処理装置1又はその他の装置は、例えば、発行要求を行った発行者を識別するための発行者識別情報(発行者ID)と、発行要求が示すユーザの特性の種類及び内容と、を関連付けた固有トークンを、発行要求が示すユーザIDと関連付けてブロックチェーンに発行させる発行指示を、ブロックチェーンに送信する。ブロックチェーンは、情報処理装置1又はその他の装置が送信した発行指示に従って、固有トークンをユーザIDと関連付けて生成及び記憶する。これにより、ユーザの特性を示す固有トークンが、当該ユーザを保有者としてブロックチェーンに記憶される。
【0044】
あるユーザの特性を示す固有トークンは、ブロックチェーンにおいて、当該ユーザが保有者として記憶される。ユーザは、ブロックチェーン上で、当該ユーザの特性を示す固有トークンを保有する。ブロックチェーンにおいて、あるユーザの特性を示す固有トークンの保有者を、当該ユーザから他のユーザに変更することは許可されない。すなわち、固有トークンはユーザ間で移転不可能である。これにより、固有トークンは、保有者であるユーザの特性を示すことが担保される。
【0045】
次にユーザの固有トークンを他者に開示するための開示条件について説明する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザから、ユーザが有する固有トークンを他者に開示するための開示条件の指定を受け付ける。受付部131は、例えば、ユーザが開示条件を指定するための開示条件指定画面を表示するための表示情報を、ユーザが利用するユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2は、情報処理装置1から受信した表示情報に従って、開示条件指定画面を表示する。
【0046】
図4は、ユーザが開示条件を指定するための開示条件指定画面を表示しているユーザ端末2の模式図である。開示条件指定画面は、例えば、固有トークンを開示する相手である開示相手を指定するための領域と、他者に開示する固有トークンを指定するための領域と、を含む。開示相手を指定するための領域は、例えば、ユーザに物品又はサービスを提案し得る一又は複数の個人又は組織を表す選択肢を含む。固有トークンを指定するための領域は、例えば、ユーザが保有する一又は複数の固有トークンの種類を表す選択肢を含む。
図4の例では指定された一又は複数の開示相手それぞれに対して開示する固有トークンが指定されるが、指定された一又は複数の開示相手に対して開示する共通の固有トークンが指定されてもよい。
【0047】
ユーザ端末2は、ユーザにより所定の操作(例えば、送信ボタンの選択)が行われたことに応じて、開示条件指定画面において指定された開示相手及び他者に開示する固有トークンを含む開示条件を示す情報を、情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2から受信した情報が示す開示条件を受け付け、受け付けた開示条件をユーザのユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させる。また、受付部131は、ユーザから開示条件の指定を受け付けることなく、全ての相手を開示相手とし、全ての固有トークンを他者に開示する固有トークンとしてもよい。
【0048】
次にユーザに対して提案する物品又はサービスを特定するために用いる関連性情報について説明する。関連性情報は、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と、物品又はサービスと、の関連性を示す情報であり、事業者を識別するための事業者識別情報(事業者ID)と関連付けて記憶部12に予め記憶されている。関連性情報は、例えば、事業者によって生成され、又は既知の機械学習処理によって生成され、記憶部12に予め記憶されている。
【0049】
図5は、例示的な関連性情報の模式図である。関連性情報は、例えば、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と、一又は複数の商品それぞれと、の関連性の高さを示す関連値を含む。関連値は、例えば、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が高いほど大きい値であって、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性が低いほど小さい値である。関連値は、最低値(例えば、ゼロ)である場合にユーザの特性と発行者との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性がないことを示し、当該最低値より大きい場合にユーザの特性と発行者との少なくとも一方と物品又はサービスとの関連性があることを示してもよい。また、関連値は、関連性があることを示す値と関連性がないことを示す値とのどちらか一方のみを示してもよい。
【0050】
図5の例は、発行者eによって発行された特性aを示す固有トークンは、商品Cと最も関連性が低く、発行者eによって発行された特性bを示す固有トークンは、商品Bと最も関連性が高いことを表している。
【0051】
また、関連性情報は、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と、物品又はサービスの種類、提供者又は製造者と、の関連性を示す情報であってもよい。物品又はサービスの種類は、物品を分類した区分(衣料品におけるシャツ、ジャケット、ズボン、スカート等)又はサービスを分類した区分(音楽におけるジャズ、ロック、ポップス等)である。提供者は、ユーザに対して物品又はサービスを提供する事業者等である。製造者は、物品を製造する事業者等である。これにより、情報処理システムSは、事業者が各商品に対してユーザの特性又は発行者との関連性を設定する手間を削減することができる。
【0052】
次に情報処理装置1が固有トークンに基づいてユーザに物品又はサービスを提案する処理について説明する。ユーザは、ユーザ端末2上で、ユーザが興味を有する物品又はサービスを指定する。ユーザは、例えば、ユーザ端末2において、ユーザが興味を有する物品又はサービスを購入リスト(ショッピングカート等)に追加する操作を行う。
【0053】
ユーザ端末2は、ユーザが指定した物品又はサービスを示す情報を情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2が送信した情報に基づいて、ユーザが指定した物品又はサービスを指定物として受け付ける。
【0054】
取得部132は、記憶部12において指定物を提供する事業者の事業者IDに関連付けられた関連性情報を取得する。関連性情報は、例えば、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と、一又は複数の商品それぞれと、の関連性の高さを示す上述の関連値を含む。
【0055】
取得部132は、記憶部12においてユーザのユーザIDに関連付けられた、ユーザが固有トークンを他者に開示するための開示条件を取得する。取得部132は、ブロックチェーン上でユーザが保有する一又は複数の固有トークン(例えば、ユーザのユーザIDに関連付けられた一又は複数の固有トークン)のうち、開示条件を満たす固有トークンを取得する。開示条件を満たす固有トークンは、例えば、
図4の開示条件指定画面において指定された他者に開示する固有トークンである。ユーザにより開示条件が指定されていない場合に、取得部132は、ブロックチェーン上でユーザが保有する全ての固有トークンを取得してもよい。
【0056】
また、取得部132は、ブロックチェーン上でユーザが保有する一又は複数の固有トークンのうち、ユーザが指定した指定物を提供する提供者が発行者である固有トークンを取得してもよい。これにより、情報処理システムSは、指定物を提供する提供者自体が内容を担保している固有トークンを用いてユーザに物品又はサービスを提案することができる。
【0057】
また、取得部132は、ブロックチェーン上でユーザが保有する一又は複数の固有トークンのうち、ユーザが指定した指定物を提供する提供者とは異なる事業者が発行者である固有トークンを取得してもよい。また、取得部132は、ブロックチェーン上でユーザが保有する一又は複数の固有トークンのうち、後述の特定部133が特定する提案物を提供する提供者とは異なる事業者が発行者である固有トークンを取得してもよい。これにより、情報処理システムSは、指定物又は提案物を提供する提供者とは異なる第三者が内容を担保している固有トークンを用いてユーザに物品又はサービスを提案することができる。
【0058】
取得部132は、記憶部12に予め記憶された、固有トークンの発行者の信頼度を含む信頼性情報をさらに取得してもよい。発行者の信頼度は、例えば、発行者の信頼性が高いほど大きい値であって、発行者の信頼性が低いほど小さい値である。信頼度は、最低値(例えば、ゼロ)である場合に発行者の信頼性がないことを示し、当該最低値より大きい場合に発行者の信頼性があることを示してもよい。また、関連値は、発行者の信頼性があることを示す値と発行者の信頼性がないことを示す値とのどちらか一方のみを示してもよい。信頼性情報は、例えば、事業者によって生成され、又は既知の機械学習処理によって生成され、記憶部12に予め記憶されている。
【0059】
特定部133は、取得部132が取得した固有トークンが示すユーザの特性と、取得部132が取得した固有トークンを発行した発行者と、の少なくとも一方に基づいて、ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する。特定部133は、取得部132が取得した関連性情報が、固有トークンが示す特性と発行者との少なくとも一方と、物品又はサービスと、が関連していることを示すことを条件として、当該物品又はサービスを提案物として特定する。
【0060】
特定部133は、例えば、関連性情報から、固有トークンが示す特性と発行者との少なくとも一方と、一又は複数の物品又はサービスそれぞれと、の関連値を取得する。特定部133は、一又は複数の物品又はサービスのうち、取得した関連値が所定の閾値以上である物品又はサービスを抽出する。関連値の閾値は、記憶部12に予め記憶され、又は事業者により指定される。特定部133は、抽出した物品又はサービスを、提案物として特定する。これにより、情報処理システムSは、固有トークンが示すユーザの特性又は固有トークンの発行者との関連性の程度が高い提案物を特定できる。
【0061】
取得部132が取得した開示条件が特定の開示相手を示す場合に、特定部133は、抽出した物品又はサービスの提供者が開示相手である場合に、当該物品又はサービスを提案物として特定し、そうでない場合に、当該物品又はサービスを提案物として特定しなくてもよい。これにより、情報処理システムSは、提案物の提供者がユーザにより指定された開示相手であることを条件として、ユーザの固有トークンに基づいて提案物をユーザに提案できる。
【0062】
特定部133は、取得部132が取得した関連性情報が、固有トークンが示す特性と発行者との少なくとも一方と、物品又はサービスの種類、提供者又は製造者と、が関連していることを示すことを条件として、当該物品又はサービスを提案物として特定してもよい。この場合に、特定部133は、記憶部12に予め記憶された物品又はサービスの種類、提供者又は製造者を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて一又は複数の物品又はサービスそれぞれの種類、提供者又は製造者を特定する。
【0063】
特定部133は、例えば、関連性情報から、固有トークンが示す特性と発行者との少なくとも一方と、一又は複数の物品又はサービスそれぞれの種類、提供者又は製造者と、の関連値を取得する。特定部133は、一又は複数の物品又はサービスのうち、取得した関連値が所定の閾値以上である物品又はサービスを抽出する。特定部133は、抽出した物品又はサービスを、提案物として特定する。これにより、情報処理システムSは、ユーザの固有トークンと物品又はサービスの種類、提供者又は製造者との関連性に基づいて、ユーザに物品又はサービスを提案することができる。
【0064】
特定部133は、固有トークンが示す特性と発行者との少なくとも一方に加えて、指定物の情報に基づいて、提案物を特定してもよい。この場合に、関連性情報は、例えば、2つの物品又はサービス同士に関連性があるか否か(同時に購入可能か否か等)をさらに示す。特定部133は、例えば、関連性情報において、抽出した物品又はサービスが指定物と関連性が有る場合に、当該物品又はサービスを提案物として特定し、そうでない場合に、当該物品又はサービスを提案物として特定しない。これにより、情報処理システムSは、ユーザが指定した物品又はサービスに対して同時に購入可能である等の所定の関係性がある提案物をユーザに提案できる。
【0065】
ユーザが複数の固有トークンを保有する場合に、特定部133は、複数の固有トークンのうち物品又はサービスに対応する種類の固有トークンのみに基づいて提案物を特定してもよい。この場合に、特定部133は、例えば、記憶部12に予め記憶された、物品又はサービスに対応する固有トークンの種類を示す対応情報を取得する。衣料品である物品には、例えば、身長及び体重等のユーザの身体に関する種類の固有トークンが対応する。特定部133は、例えば、ユーザが保有する複数の固有トークンのうち、対応情報において物品又はサービスに対応する種類の固有トークンに基づいて、提案物を特定する。これにより、情報処理システムSは、提案物を特定する際に物品又はサービスと無関係な種類の固有トークンまで考慮することを抑制できる。
【0066】
ユーザが複数の固有トークンを保有する場合に、特定部133は、複数の固有トークンを重み付けすることによって提案物を特定してもよい。
図6は、特定部133が複数の固有トークンに基づいて提案物を特定する方法を説明するための模式図である。
【0067】
特定部133は、例えば、取得部132が取得した信頼性情報が示す発行者の信頼度を、取得部132が取得した関連性情報が示す当該発行者が発行した固有トークンの関連値に乗算することによって、複数の固有トークンを重み付けする。特定部133は、複数の固有トークンの重み付けされた関連値の合計値をスコアとし、最も高いスコアの物品又はサービスを提案物として特定する。
【0068】
図6の例では、商品Aのスコアは0.6×1=0.6であり、商品Bのスコアは0.1×1=0.1であり、商品Cのスコアは0.6×0.5=0.3である。特定部133は、関連値に信頼度を乗算して合計することによって算出したスコアが最も高い商品Aを提案物として特定する。これにより、情報処理システムSは、ユーザが保有する複数の固有トークンの影響を調整して提案物を特定できる。
【0069】
別の方法として、特定部133は、複数の固有トークンのうち信頼度が所定の閾値以上である固有トークンのみを用いて、提案物を特定してもよい。また、特定部133は、信頼度とは異なる指標を用いて複数の固有トークンを重み付けしてもよい。
【0070】
表示制御部134は、特定部133が特定した提案物を示す提案情報を、ユーザ端末2又は事業者端末3に表示させる。表示制御部134は、例えば、ユーザが利用するユーザ端末2又は事業者が利用する事業者端末3に、特定部133が特定した提案物を示す提案情報を送信する。ユーザ端末2又は事業者端末3は、情報処理装置1が送信した提案情報を表示する。
【0071】
図7は、提案情報を表示しているユーザ端末2の模式図である。提案情報は、ユーザが指定した指定物(
図7の商品X)に関する情報と、特定部133が特定した提案物(
図7の商品Y)に関する情報と、を含む。事業者端末3は、
図7と同様に提案情報を表示する。これにより、情報処理システムSは、固有トークンが示すユーザの特性及び発行者の少なくとも一方に基づいて、ユーザに物品又はサービスを直接的に提案し、又は事業者を介して物品又はサービスを間接的に提案できる。
【0072】
また、表示制御部134は、
図7に例示したように、指定物及び提案物を組み合わせた商品をユーザに購入可能にする情報(
図7の商品X及び商品Yの購入ボタン)をユーザ端末2に表示させてもよい。これにより、情報処理システムSは、ユーザが指定した指定物に関連する提案物をユーザに提案し、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0073】
提案物の提供者は、ユーザに提案物を提供した後に、ユーザに対して固有トークンを発行してもよい。受付部131は、例えば、提供者が利用する事業者端末3から、提供者がユーザに提案物を提供したことを示す情報を受信した場合に、ユーザが提案物の提供を受けたこと(提案物の購入履歴等)を示す固有トークンを、提供者を発行者としてブロックチェーンに発行させる。これにより、情報処理システムSは、ユーザが提案物の提供を受けたことを、次回以降ユーザに対して提案する物品又はサービスに自動的に反映することができる。
【0074】
[情報処理方法のフロー]
図8は、本実施形態に係る情報処理装置1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。ユーザは、ユーザ端末2上で、ユーザが興味を有する物品又はサービスを指定する。ユーザ端末2は、ユーザが指定した物品又はサービスを示す情報を情報処理装置1に送信する。情報処理装置1において、受付部131は、ユーザ端末2が送信した情報に基づいて、ユーザが指定した物品又はサービスを指定物として受け付ける(S11)。
【0075】
取得部132は、記憶部12において指定物を提供する事業者の事業者IDに関連付けられた関連性情報を取得する(S12)。関連性情報は、例えば、ユーザの特性と発行者との少なくとも一方と、一又は複数の商品それぞれと、の関連性の高さを示す関連値を含む。
【0076】
取得部132は、ブロックチェーン上でユーザが保有する固有トークン(例えば、ユーザのユーザIDに関連付けられた固有トークン)を取得する(S13)。ユーザが開示条件を予め指定した場合に、取得部132は、開示条件を満たす固有トークンのみを取得してもよい。
【0077】
特定部133は、取得部132が取得した固有トークンが示すユーザの特性と、取得部132が取得した固有トークンを発行した発行者と、の少なくとも一方に基づいて、ユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する(S14)。
【0078】
表示制御部134は、特定部133が特定した提案物を示す提案情報を、ユーザ端末2又は事業者端末3に表示させる(S15)。
【0079】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報処理装置1は、ブロックチェーンからユーザの特性を示す固有トークンであって所定の発行者によって発行された固有トークンを取得し、取得した固有トークンが示すユーザの特性及び発行者の少なくとも一方に基づいて、ユーザに提案する提案物を特定する。これにより、情報処理システムSは、発行者によってブロックチェーン上に客観的に記録されたユーザの固有トークンに基づいてユーザに対して提案する物品又はサービスを特定できるため、ユーザに適した物品又はサービスを提案しやすくすることができる。
【0080】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0082】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 受付部
132 取得部
133 特定部
134 表示制御部
2 ユーザ端末
3 事業者端末
【要約】
【課題】ユーザの特性に基づいてユーザに適した物品又はサービスを提案しやすくする。
【解決手段】情報処理装置1は、ユーザがブロックチェーン上で保有するトークンである固有トークンであって、所定の発行者によって発行されたユーザの特性を示す固有トークンを取得する取得部132と、固有トークンが示す特性と、固有トークンを発行した発行者と、の少なくとも一方に基づいてユーザに提案する物品又はサービスである提案物を特定する特定部133と、提案物を示す情報をユーザ又は提案物を提供する事業者が利用する情報端末に表示させる表示制御部134と、を有する。
【選択図】
図2