(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】眼内レンズ選択のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240723BHJP
A61B 3/135 20060101ALI20240723BHJP
A61B 3/117 20060101ALI20240723BHJP
A61B 5/055 20060101ALI20240723BHJP
A61F 2/16 20060101ALI20240723BHJP
G16H 20/40 20180101ALI20240723BHJP
【FI】
A61B3/10 100
A61B3/135
A61B3/117
A61B5/055 380
A61B5/055 390
A61F2/16
G16H20/40
(21)【出願番号】P 2023145962
(22)【出願日】2023-09-08
(62)【分割の表示】P 2020570506の分割
【原出願日】2019-07-12
【審査請求日】2023-10-06
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】イムレ ヘゲダス
(72)【発明者】
【氏名】ジョルト ボー
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-51223(JP,A)
【文献】特開2012-152469(JP,A)
【文献】特表2012-521237(JP,A)
【文献】特開2018-33807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
A61B 5/055
A61F 2/16
G16H 20/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を、予測エンジンを実装する1つ又は複数のコンピュータ装置により受信することで
あって、前記眼の手術前多次元画像は、
前記眼の角膜の2つの角状凹部のそれぞれを連結する線の幅を説明するアングル・ツー・アングル幅;
前記眼の角膜の前記2つの角状凹部のそれぞれを連結する線上の交点と前記眼の後角膜表面との間の垂直距離として測定されるアングル・ツー・アングル深さ;
前記眼が固定点上に凝視されるときの手術前眼の瞳孔軸と前記眼の視線軸との角度;及び、
前水晶体半径と後水晶体半径との2つの交点のそれぞれの間の赤道線として判断される水晶体赤道の推定位置;
をそれぞれ含む、前記眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信すること;
前記眼の前記1つ又は複数の手術前画像に基づき前記眼の1つ又は複数の手術前測定結果を前記予測エンジンにより抽出すること;
前記眼の前記1つ又は複数の抽出された手術前測定結果に基づき眼内レンズの手術後位置を、機械学習戦略に基づき第1の予測モデルを使用する前記予測エンジンにより推定すること;
前記眼内レンズの少なくとも前記推定された手術後位置に基づき前記眼内レンズの度数を選択すること;
少なくとも前記選択された度数に基づき前記眼内レンズを推奨すること;
前記推奨された眼内レンズの移植後の前記眼の1つ又は複数の手術後多次元画像を受信すること;
前記眼の1つ又は複数の手術後測定結果を抽出すること;及び
前記1つ又は複数の手術前測定結果及び前記1つ又は複数の手術後測定結果に基づき前記第1の予測モデルを更新することを含む、眼内レンズ(IOL)選択プラットホームが実行する方法。
【請求項2】
前記第1の予測モデルはニューラルネットワークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼内レンズの前記手術後位置は前記眼内レンズの前角膜深さ(ACD)又は前記眼内レンズの赤道の位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記眼内レンズを推奨することは前記眼内レンズの前記推定
された手術後位置又は手術前水晶体の径のうちの1つ又は複数にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ又は複数の手術前測定結果は、
前記眼の手術前水晶体の径;
前記眼の手術前前房深さ;及び
前記眼の角膜の屈折力からなるグループのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記度数を選択することは、少なくとも前記推定
された手術後位置に基づき前記眼内レンズの推奨度数を、第2の予測モデルを使用する前記予測エンジンにより推奨することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記推奨度数及び前記選択された度数に基づき前記第2の予測モデルを更新することをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも前記推定
された手術後位置及び前記選択された度数に基づき、手術後自覚的等価球面屈折率(MRSE)を、第2の予測モデルを使用する前記予測エンジンにより推定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
実際の手術後MRSEを測定すること;及び
前記推定
された手術後MRSE及び前記実際の手術後MRSEに基づき前記第2の予測モデルを更新することをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の手術前多次元画像はそれぞれ、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置、回転シャインプルーフカメラ及び核磁気共鳴撮像(MRI)装置からなるグループから選択される診断装置から受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記眼内レンズの移植のための1つ又は複数の手順を計画することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
1つ又は複数の抽出された手術前測定結果により注釈された1つ又は複数の手術前多次元画像を表示することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1つ又は複数のプロセッサを備える予測エンジンであって、前記予測エンジンは、
診断装置によって得られた眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信することであって、前記眼の手術前多次元画像は、
前記眼の角膜の2つの角状凹部のそれぞれを連結する線の幅を説明するアングル・ツー・アングル幅;
前記眼の角膜の前記2つの角状凹部のそれぞれを連結する線上の交点と前記眼の後角膜表面との間の垂直距離として測定されるアングル・ツー・アングル深さ;
前記眼が固定点上に凝視されるときの手術前眼の瞳孔軸と前記眼の視線軸との角度;及び、
前水晶体半径と後水晶体半径との2つの交点のそれぞれの間の赤道線として判断される水晶体赤道の推定位置;
をそれぞれ含む、前記眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信すること;
前記眼の前記1つ又は複数の手術前画像に基づき前記眼の1つ又は複数の手術前測定結果を抽出すること;
前記眼の前記1つ又は複数の抽出された手術前測定結果に基づき眼内レンズの手術後位置を、機械学習戦略に基づく第1の予測モデルを使用して推定すること;
前記眼内レンズの少なくとも前記推定された手術後位置に基づき前記眼内レンズの度数を推奨すること;
移植のための前記眼内レンズの選択を容易にするために、ユーザに推奨された度数を提供すること;
前記選択された眼内レンズの移植後の前記眼の1つ又は複数の手術後多次元画像を受信すること;
前記眼の1つ又は複数の手術後測定結果を抽出すること;及び
前記1つ又は複数の手術前測定結果及び前記1つ又は複数の手術後測定結果に基づき前記第1の予測モデルを更新すること;
を行うように構成されている、予測エンジン。
【請求項14】
前記眼内レンズの前記手術後位置は前記眼内レンズの前角膜深さ(ACD)又は前記眼内レンズの赤道の位置である、請求項13に記載の予測エンジン。
【請求項15】
前記1つ又は複数の手術前測定結果は、
前記眼の手術前水晶体の径;
前記眼の手術前前房深さ;及び
前記眼の角膜の屈折力からなるグループのうちの1つ又は複数を含む、請求項13に記載の予測エンジン。
【請求項16】
少なくとも前記推定された手術後位置及び前記眼内レンズの前記選択された度数に基づき、手術後自覚的等価球面屈折率(MRSE)を、第2の予測モデルを使用する前記予測エンジンにより推定することをさらに含む請求項13に記載の予測エンジン。
【請求項17】
複数の機械可読命令を含む非一時的の機械可読媒体であって、1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサに、
眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信することであって、前記眼の手術前多次元画像は、
前記眼の角膜の2つの角状凹部のそれぞれを連結する線の幅を説明するアングル・ツー・アングル幅;
前記眼の角膜の前記2つの角状凹部のそれぞれを連結する線上の交点と前記眼の後角膜表面との間の垂直距離として測定されるアングル・ツー・アングル深さ;
前記眼が固定点上に凝視されるときの手術前眼の瞳孔軸と前記眼の視線軸との角度;及び、
前水晶体半径と後水晶体半径との2つの交点のそれぞれの間の赤道線として判断される水晶体赤道の推定位置;
をそれぞれ含む、前記眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信すること;
前記眼の前記1つ又は複数の手術前画像に基づき前記眼の1つ又は複数の手術前測定結果を抽出すること;
前記眼の前記1つ又は複数の抽出された手術前測定結果に基づき眼内レンズの手術後位置を、機械学習戦略に基づく予測モデルを使用して推定すること;
前記眼内レンズの少なくとも前記推定された手術後位置に基づき前記眼内レンズの度数を推奨すること;
移植のための前記眼内レンズの選択を容易にするために、ユーザに推奨された度数を提供すること;
前記選択された眼内レンズの移植後の前記眼の1つ又は複数の手術後多次元画像を受信すること;
前記眼の1つ又は複数の手術後測定結果を抽出すること;及び
前記1つ又は複数の手術前測定結果及び前記1つ又は複数の手術後測定結果に基づき前記予測モデルを更新すること;
を含む方法を実行させるように適合されている、複数の機械可読命令を含む非一時的の機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は参照のため本明細書にその全体を援用する2018年7月12日出願の米国仮特許出願第62/697,367号明細書、題名“OPTHALMIC IMAGING SYSTEM FOR INTRAOCULAR LENS POWER PREDICTION”からの利益を主張する。
【0002】
本開示は、移植されるべき眼内レンズの選択を支援するために眼の多次元画像を使用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
白内障手術は、眼の天然水晶体を除去することと、ほとんどの場合天然水晶体を人工眼内レンズ(IOL:artificial intraocular lens)で置換することとに関与する。最適な手術後視覚結果を実現するためには、良い手術前手術計画が極めて重要である。重要な手術前計画判断のうちのいくつかは、患者の眼の解剖学的及び光学的特徴に関して採取され1つ又は複数のIOL度数算出式において使用される測定結果に従って判断される適切なIOL度数の選択及び実効レンズ位置(ELP:effective lens position)の推定である。例えば、それぞれその全体を参照により本明細書に援用する下記非特許文献を参照されたい:Cooke,et al.,“Comparison of 9 Intraocular Lens Power Calculation Formulas,”J.Cataract Refract.Surg.Vol.42,pp.1157-64,2016;Goto,et al.,“Prediction of Postoperative Intraocular Lens Position with Angle-to-Angle Depth Using Anterior Segment Optical Coherence Tomography,”Ophthalmology Vol.123,pp.2474-80,2016;Kane,et al.,“Intraocular Lens Power Formula Accuracy:Comparison of 7 Formulas,”J.Cataract Refract.Surg.Vol.42,pp.1490-1500,2016;Martinez-Enriquez,et al.“Estimation of Intraocular Lens Position from Full Crystalline Lens Geometry:Towards a New Generation of Intraocular Lens Power Calculation Formulas,”Nature Scientific Reports Vol.8:9829,2018;Melles,et al.“Accuracy of Intraocular Lens Calculation Formulas,”Ophthalmology Vol.125(2),pp.1-10;Norrby,et al.“Prediction of the True IOL Position,”Ophthalmology Vol.101,pp.1440-46,2017;Olsen,“Calculation of Intraocular Lens Power:A Review,”Acta Ophthalmol Scand,Vol.85,pp.472-85,2007。
【0004】
通常、IOL予測式において使用される測定結果は、光学及び/又は超音波生体測定器を使用して光軸上で採取される一次元測定結果である。これらの伝統的測定慣習は、ELPの不正確性に至り、延いては患者の準最適視力結果を生じるIOL度数の選択に至る。
【0005】
したがって、患者の最適化された視力結果に至る移植のための眼内レンズをより良く選択するために使用され得る解剖学的パラメータを測定するために患者の眼を手術前に評価するための技術の必要性が、当該技術分野において、ある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態によると、方法は、眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を、予測エンジンを実装する1つ又は複数のコンピュータ装置により受信すること;眼の1つ又は複数の手術前画像に基づき眼の1つ又は複数の手術前測定結果を予測エンジンにより抽出すること;眼の1つ又は複数の抽出された手術前測定結果に基づき眼内レンズの手術後位置を、機械学習戦略に基づき第1の予測モデルを使用する予測エンジンにより推定すること;眼内レンズの少なくとも推定された手術後位置に基づき眼内レンズの度数を選択すること;及び少なくとも選択された度数に基づき眼内レンズを選択することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態によると、予測エンジンは1つ又は複数のプロセッサを含む。予測エンジンは、診断装置により取得された眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信し;眼の1つ又は複数の手術前画像に基づき眼の1つ又は複数の手術前測定結果を抽出し;眼の1つ又は複数の抽出された手術前測定結果に基づき眼内レンズの手術後位置を、機械学習戦略に基づき第1の予測モデルを使用して推定し;少なくとも眼内レンズの推定手術後位置に基づき眼内レンズの度数を推奨し;移植のための眼内レンズの選択を容易にするためにユーザへ推奨度数を提供するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態によると、1つ又は複数のプロセッサにより実行されると1つ又は複数のプロセッサに方法を行わせるように適合された複数の機械可読命令を含む、非一時的機械可読媒体。本方法は、眼の1つ又は複数の手術前多次元画像を受信すること;眼の1つ又は複数の手術前画像に基づき眼の1つ又は複数の手術前測定結果を抽出すること;機械学習戦略に基づき予測モデルを使用して、眼の1つ又は複数の手術前測定結果に基づき眼内レンズの手術後位置を推定すること;眼内レンズの少なくとも推定された手術後位置に基づき眼内レンズの度数を推奨すること;及び移植のための眼内レンズの選択を容易にするために推奨された度数をユーザへ提供することを含む。
【0009】
本技術、その特徴、及びその利点をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態によるIOL選択のためのシステムの線図である。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による予測エンジンを使用してIOLを移植する方法の線図である。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による眼の特徴を測定する方法の線図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による眼の線図及び眼の特徴である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による多層ニューラルネットワークの線図である。
【0011】
添付図面では、同じ標記を有する要素は同じ又は同様な機能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
独創的態様、実施形態、実装又はモジュールを示す本明細書及び添付図面は、保護される発明を定義する特許請求の範囲を制限するものととられるべきでない。様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び運用的変更は本明細書及び特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る。いくつかの例では、周知の回路、構造、又は技術は本発明を不必要に曖昧にしないために詳細に示されなかったか又は説明されなかった。2つ以上の図における同様な数字は同じ又は同様な要素を表す。
【0013】
本明細書において、特定の詳細が、本開示と整合するいくつかの実施形態を説明することにより記載される。非常に多くの特定詳細が本実施形態を完全に理解するために記載される。しかし、いくつかの実施形態はこれらの特定の詳細のいくつか又はすべてが無くても実施され得るということは当業者にとって明らかになる。本明細書において開示される特定の実施形態は例示的であるが限定的でないように意図されている。当業者は、特に本明細書において具体的に説明されないが本開示の範囲及び精神に入る他の要素を認識し得る。加えて、不要な反復を避けるために、1つの実施形態に関連して示され説明される1つ又は複数の特徴は、特記しない限り、又は1つ若しくは複数の特徴が実施形態を非機能的にするならば、他の実施形態へ取り込まれ得る。
【0014】
以下に説明される技術は、新しい患者の手術後前房深さ、眼内レンズ(IOL)の度数、及び手術後自覚的等価球面屈折率(MRSE:manifest refraction spherical equivalent)を予測するために、教師あり機械学習により患者をトレーニングする眼の手術前及び手術後多次元画像の集合を使用する、システム及び方法に関与する。
【0015】
上に説明したように、IOL度数予測は光学及び/又は超音波生体測定器からの測定結果に伝統的に依存してきた。IOL度数算出式において使用される眼のより一般的に使用される測定された特徴のうちのいくつかは角膜曲率半径(K)、軸方向長(AL)(眼の前房深さ(ACD)を含む)、水晶体厚さ、硝子体腔深さ、角膜縁の境界間の水平距離(角膜ホワイト・ツー・ホワイト距離(corneal white-to-white distance)としても知られる)などである。
【0016】
しかし、患者の眼の二次元又は三次元測定結果は、手術後前房深さ(推定レンズ位置(ELP)とも呼ばれる)及びIOL度数をより良く予測するために使用され得る追加解剖学的詳細を提供する。いくつかの例では、より良い予測機構の使用はMRSEの手術後屈折結果を改善するために使用され得る。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態は、一群の患者の眼の二次元又は三次元画像の形式の手術前及び手術後診断トレーニングデータを取得すること、新しい患者の手術前診断画像から複数の測定結果を取得すること、及び新しい患者の複数の測定結果に基づき新しい患者の手術後前房深さ(ACDpost)の推定を計算するための予測モデルを生成するために1つ又は複数の機械学習技術を使用することに関与する。次に、手術後前房深さは移植されるIOLの適切な度数を選択するために使用され得る。
【0018】
図1はいくつかの実施形態によるIOL選択のためのシステムのためのシステム100を示す。システム100は、ネットワーク115を介し1つ又は複数の診断トレーニングデータ源110と結合されたIOL選択プラットホーム105を含む。いくつかの例では、ネットワーク115は1つ又は複数の切り替え装置、ルータ、ローカルエリアネットワーク(例えばイーサーネット)、広域ネットワーク(例えばインターネット)などを含み得る。診断トレーニングデータ源110のそれぞれは、眼科手術診療所、眼科、医学大学、電子医療記録(EMR)レポジトリなどにより利用可能にされるデータベース、データレポジトリなどであり得る。診断トレーニングデータ源110のそれぞれは、患者の手術前及び手術後眼の多次元画像、手術計画データ、手術コンソールパラメータログ、手術合併症ログ、患者病歴、患者人口統計データなどのうちの1つ又は複数の形式のトレーニングデータをIOL選択プラットホーム105に提供し得る。IOL選択プラットホーム105は、トレーニングデータを匿名化する、暗号化する、及び/又はそうでなければ保護するように構成され得るトレーニングデータを、1つ又は複数のデータベース155内に格納し得る。
【0019】
IOL選択プラットホーム105は、受信されたトレーニングデータを処理し(以下に詳細に説明するように)、多次元画像から測定結果を抽出し、トレーニングデータに対し生データ解析を行い、手術前測定結果に基づきACDpostを予測するために機械学習アルゴリズム及び/又はモデルをトレーニングし、それらの移植後結果(例えば移植されたIOLによる眼のより良い光学特性)を改善するために将来患者に使用するACDpost予測を最適化するために機械学習を反復的に精緻化し得る、予測エンジン120を含む。いくつかの例では、予測エンジン120は、1つ又は複数の診断トレーニングデータ源110から取得される手術前測定結果及び対応手術後結果に基づきトレーニングされる1つ又は複数の予測モデル(例えば、1つ又は複数のニューラルネットワーク)を使用し得る。
【0020】
IOL選択プラットホーム105はさらに、ネットワーク115を介し眼科診療所125の1つ又は複数の装置へ結合される。1つ又は複数の装置は診断装置130を含む。診断装置130は患者135の眼の1つ又は複数の多次元画像を取得するために使用される。診断装置130は、眼生体構造の多次元画像を取得するための多くの装置(光コヒーレンストモグラフィ(OCT)装置、回転カメラ(例えばシャインプルーフカメラ)、核磁気共鳴撮像(MRI)装置など)のうちの任意のものであり得る。
【0021】
眼科診療所125はまた、診断装置130から患者135の多次元画像を取得し、そしてそれらをIOL選択プラットホーム105へ送信するための1つ又は複数のコンピュータ装置140を含み得る。1つ又は複数のコンピュータ装置140は、スタンドアロンコンピュータ、タブレット及び/又は他のスマート装置、手術コンソール、診断装置130などへ組み込まれたコンピュータ装置などのうちの1つ又は複数であり得る。
【0022】
IOL選択プラットホーム105は、患者135の多次元画像を受信し、これらの画像から測定結果を抽出し、この測定結果に基づきそして予測エンジン120を使用することにより予測ACDpostを生成し得る。次に、予測エンジンは患者135のIOL度数を選択するために使用され得る。次に、IOL選択プラットホーム105は眼科診療所125に予測ACDpost及び/又は選択されたIOL度数を提供し得る。
【0023】
診断装置130はさらに、患者が白内障除去を受け、そして予測エンジン120により提供される選択されたIOL度数を使用することによりIOL移植を受けた後に患者135の手術後多次元画像を取得するために使用される。次に、1つ又は複数のコンピュータ装置140は、患者135から将来の患者に使用するための情報を取り込むように反復的にトレーニングする際に及び/又は予測エンジン120により使用されるモデルを更新する際に使用するために患者135の手術後多次元画像をIOL選択プラットホーム105へ送信し得る。
【0024】
予測ACDpost及び/又は選択されたIOL度数は、コンピュータ装置140及び/又は別のコンピュータ装置、ディスプレイ、手術コンソールなどの上に表示され得る。加えて、IOL選択プラットホーム105及び/又は1つ又は複数のコンピュータ装置140は以下にさらに詳細に説明するように多次元画像内の患者135の生体構造の様々な特徴を識別及び/又は測定し得る。さらに、IOL選択プラットホーム105及び/又は1つ又は複数のコンピュータ装置140は、患者生体構造及び/又は測定された特徴を識別、ハイライト、及び/又はそうでなければ描写するグラフィック要素を生成し得る。IOL選択プラットホーム105及び/又は1つ又は複数のコンピュータ装置140はグラフィック要素により多次元画像を補完し得る。いくつかの例では、多次元画像は画像上にオーバレイされるグラフィック要素により表示され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、IOL選択プラットホーム105はさらに、予測ACDpost及び/又は選択されたIOL度数を使用する眼科診療所125へ1つ又は複数の手術計画を提供するために使用され得る手術プランナ150を含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、システム100はスタンドアロン手術プランナ160をさらに含み得る及び/又は眼科診療所125は1つ又は複数のコンピュータ装置140上に手術プランナモジュール170をさらに含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態によると、以下にさらに詳細に説明される方法は、光学及び/又は超音波生体測定器からの一次元軸上測定結果及び/又は眼の正面視画像(例えばPlacido画像)上で採取される角膜ホワイト・ツー・ホワイト距離測定結果を使用する代わりに眼生体構造の多次元画像から抽出され得る測定結果を活用し得る。一次元測定結果は通常、多くの理由のために、ACDpostを予測しIOL度数を選択するには準最適である。例えば、角膜ホワイト・ツー・ホワイト距離測定結果は、老人環などの解剖学的要因が存在する場合に角膜ホワイト・ツー・ホワイト距離を測定する間の人為的エラーのためにIOL選択における不正確性を与え得る。加えて、光学及び/又は超音波生体測定器は、手術前眼が固定点上に凝視される場合に手術前眼の瞳孔軸と手術前眼の視線軸との角度を測定しない。さらに、伝統的IOL選択式はレンズ厚さを一次元で単純に測定する。伝統的IOL選択式は、典型的光学レンズが水晶体赤道前の水晶体厚さより水晶体赤道後のより長いレンズ厚さを有する場合にレンズがレンズ厚さ測定の中心にその赤道を有すると仮定する。
【0028】
本明細書においてさらに詳細に説明される実施形態は、ACDpostを予測しIOL度数を選択するための光学及び/又は超音波生体測定器から生じる既知の測定結果より優れている多次元診断画像及び多様な新しい測定結果の使用によりこれらの不正確な又は準最適な測定を避ける。いくつかの実施形態によると、ACDpostの予測及び/又はIOL度数の選択を改善するために使用される測定結果は以下のうちの1つ又は複数を含み得る:
i.手術前眼の角膜の2つの角状凹部のそれぞれを連結する線の幅を説明するアングル・ツー・アングル(angle to angle)幅;
ii.手術前眼の角膜の2つの角状凹部のそれぞれを連結する線上の交点と手術前眼の後角膜表面との間の垂直距離として測定されるアングル・ツー・アングル深さ;
iii.手術前眼が固定点上に凝視されるときの手術前眼の瞳孔軸と手術前眼の視線軸との角度;及び/又は
iv.前水晶体半径と後水晶体半径との2つの交点のそれぞれの間の赤道線として判断される水晶体赤道の推定位置。
【0029】
上に論述したようにそしてここでさらに強調されるように、
図1は特許請求の範囲を過度に制限すべきでない一例に過ぎない。当業者は多くの変形、代替及び修正形態を認識するだろう。いくつかの実施形態によると、IOL選択プラットホーム130及び/又はIOL選択プラットホームの1つ又は複数の部品(データベース155、予測エンジン120及び/又は手術プランナ150など)は眼科診療所125の1つ又は複数の装置内へ組み込まれ得る。いくつかの例では、コンピュータ装置140はIOL選択プラットホーム105、データベース155、予測エンジン120、及び/又は手術プランナ150をホストし得る。いくつかの例では、手術プランナ150は手術プランナ170と組み合わせられ得る。
【0030】
図2はいくつかの実施形態による予測エンジンを使用してIOLを移植する方法200の線図である。方法200の処理210~290のうちの1つ又は複数は非一時的、有形、且つ機械可読媒体上に格納される実行可能コードの形式で少なくとも部分的に実施され得る。実行可能コードは、1つ又は複数のプロセッサ(例えば予測エンジン120のプロセッサ、IOL予測プラットホームのプロセッサ、診断装置140のプロセッサ、1つ又は複数のコンピュータ装置140のプロセッサ、及び/又は手術プランナ150、160及び/又は170のうちの1つ又は複数のプランナのプロセッサ)により実行されると1つ又は複数のプロセッサに処理210~290のうちの1つ又は複数を行わせ得る。
【0031】
処理210では、1つ又は複数の手術前画像が取得される。いくつかの例では、1つ又は複数の手術前画像は多次元画像を含み得る。いくつかの例では、1つ又は複数の手術前画像は、診断装置130、OCT装置、回転(例えばシャインプルーフ)カメラ、MRI装置などの診断装置を使用して取得され得る。いくつかの例では、1つ又は複数の手術前画像は予測エンジン120などの予測エンジンへ提供され得る。
【0032】
処理220では、1つ又は複数の手術前測定結果が1つ又は複数の手術前画像から抽出され得る。いくつかの例では、抽出は予測エンジン120などの予測エンジンにより行われ得る。いくつかの実施形態によると、1つ又は複数の手術前測定結果は、
図3に示す眼の特徴を測定する方法300に従って1つ又は複数の手術前画像内で捕捉される眼の生体構造の様々な態様の測定を介し抽出され得る。方法300の処理310~390のうちの1つ又は複数は、非一時的、有形、且つ機械可読媒体上に格納される実行可能コードの形式で少なくとも部分的に実施され得る。実行可能コードは1つ又は複数のプロセッサ(例えば予測エンジン120のプロセッサ、IOL予測プラットホームのプロセッサなど)により実行されると1つ又は複数のプロセッサに処理310~390のうちの1つ又は複数を行わせ得る。いくつかの実施形態では、処理340は任意選択的であり省略され得る。方法300のアプリケーションが、いくつかの実施形態による眼400の線図及び眼の特徴である
図4に関し説明される。
【0033】
処理310では、眼の前房480の鼻及び側頭角度405及び410がそれぞれ識別される。いくつかの例では、前房480の鼻及び側頭角度405及び410は、眼の前房480を識別する構造を識別することにより(例えば、1つ又は複数の縁検出及び/又は領域検出アルゴリズムを使用することにより)、そして前房480の側頭及び鼻広がり方向に位置する前房480の縁における鋭角に留意することにより眼の1つ又は複数の画像(例えば処理210中に取得される1つ又は複数の手術前画像)から識別され得る。
【0034】
処理320では、前房480のアングル・ツー・アングル幅が判断される。いくつかの例では、前房480のアングル・ツー・アングル幅は、処理310中に識別された鼻及び側頭角度405及び410間の線415の長さに対応する。
【0035】
処理330では、眼の後角膜表面420が識別される。いくつかの例では、後角膜表面420は、眼の角膜475及び/又は前房480を識別する構造を識別することにより(例えば、1つ又は複数の縁検出及び/又は領域検出アルゴリズムを使用することにより)、そして角膜475と前房480との遷移に留意することにより眼の1つ又は複数の画像(例えば処理210中に取得された1つ又は複数の手術前画像)から識別され得る。
【0036】
任意選択的処理340では、瞳孔面の深さが判断される。いくつかの例では、瞳孔面の深さは後角膜表面420からの垂直距離に対応し、角状凹部間の線415は、線415(処理320中に識別された)と、線415に対して垂直であり後角膜表面420へ到達する前に最長長さを有する後角膜表面420(処理330中に識別された)との間の線425の長さに対応する。
【0037】
処理350では、眼の瞳孔軸430及び視線軸435が識別される。いくつかの例では、瞳孔軸435は、処理340中に判断された垂直距離線425を延伸することにより形成される軸に対応する。いくつかの例では、視線軸435は、眼400の視野が固定される固定点440と窩445との間の線を識別することにより判断され得る。
【0038】
処理360では、瞳孔軸430と視線軸435との角度κが判断される。
【0039】
処理370では、眼の前水晶体表面450及び後水晶体表面455が識別される。いくつかの例では、前水晶体表面450及び/又は後水晶体表面455は、眼の水晶体を識別する構造を識別することにより(例えば、1つ又は複数の縁検出及び/又は領域検出アルゴリズムを使用することにより)、そして眼の水晶体と提靭帯、瞳、及び/又は硝子体液との遷移に留意することにより、眼の1つ又は複数の画像(例えば処理210中に取得された1つ又は複数の手術前画像)から識別され得る。
【0040】
処理380では、水晶体の赤道の位置が判断される。
図4の例では、水晶体の赤道は線460に対応する。いくつかの例では、水晶体の位置は、水晶体の赤道(例えば線460)と瞳孔軸430に沿って測定される後角膜表面420との間の垂直距離に対応する。いくつかの例では、水晶体の赤道は通常、水晶体の後部の厚さが水晶体の前部より通常厚いので、前水晶体表面450と後水晶体表面455との間の中間点(処理370中に識別されたように)には位置しない。いくつかの例では、前水晶体表面450からの水晶体の赤道(例えば線460)の位置は式1に従って推定され得、ここで、rは水晶体の径の半分(例えば線460の長さの半分)であり、R1は前水晶体表面450の半径である。いくつかの例では、後水晶体表面からの水晶体の赤道の位置は式2に従って推定され得、ここで、R2は後水晶体表面455の半径である。いくつかの例では、式1と2との組み合わせが水晶体の赤道の位置の推定を判断するために使用され得る。いくつかの例では、半径R1及び/又はR2は、前水晶体表面450と後水晶体表面455それぞれに対する最良適合円弧を発見するために回帰分析を使用することにより判断され得る。
【数1】
【0041】
処理390では、眼の前房深さ(ACD)が判断される。
図4の例では、ACDは、瞳孔軸430に沿った後角膜表面420と前水晶体表面450との間の垂直距離470に対応する。
【0042】
上に論述したように及びここでさらに強調されるように、
図3は特許請求の範囲を過度に制限すべきでない一例に過ぎない。当業者は多くの変形、代替及び修正形態を認識するだろう。いくつかの実施形態によると、眼の生体構造の追加測定結果が判断され得る。いくつかの例では、追加測定結果は眼の角膜度数を含み得る。
【0043】
図2に戻って参照すると、処理230では、手術後前房深さ(ACD
post)が予測モデルを使用して推定される。いくつかの例では、予測モデルは、以前の水晶体移植手順と処理290に関して以下にさらに詳細に説明される対応患者結果とに基づき以前にトレーニングされた予測エンジン120により使用される1つ又は複数の予測モデルのうちの1つに対応し得る。いくつかの例では、処理220中に判断された眼特徴のうちの1つ又は複数の特徴(例えば、
図3、4に関し説明された角膜のアングル・ツー・アングル幅、瞳孔面の深さ、眼の瞳孔軸430と視線435との角度、水晶体の径、水晶体赤道の位置の推定、手術前前房深さ(ACD
pre)、角膜度数などのうちの1つ又は複数)が推定ACD
postを生成する予測モデルへの入力として提供され得る。
【0044】
処理240では、眼内レンズ(IOL)度数が選択される。いくつかの例では、推奨IOL度数は予測モデルを使用することにより判断され得る。いくつかの例では、予測モデルは、以前の水晶体移植手順と処理290に関して以下にさらに詳細に説明される対応患者結果とに基づき以前にトレーニングされた予測エンジン120により使用される1つ又は複数の予測モデルのうちの1つに対応し得る。いくつかの例では、処理220中に判断された眼特徴及び/又は処理230中に推定されたACDpostのうちの1つ又は複数が、推奨IOL度数を生成する予測モデルへの入力として提供され得る。いくつかの例では、IOL度数を推奨するために使用される予測モデルは、ACDpostを推定するために使用される予測モデルと同じ予測モデルであってもよいし、又は異なる予測モデルであってもよい。いくつかの例では、推奨IOL度数は移植すべき水晶体のIOL度数として選択され得る、又は代替的に、外科医又は他の操作者が推奨IOL度数に少なくとも部分的に基づいた異なるIOL度数を選択し得る。
【0045】
処理250では、手術後MRSE(MRSEpost)が推定される。いくつかの例では、MRSEpostは予測モデルを使用して判断され得る。いくつかの例では、予測モデルは、以前の水晶体移植手順と処理290に関して以下にさらに詳細に説明される対応患者結果とに基づき以前にトレーニングされた予測エンジン120により使用される1つ又は複数の予測モデルのうちの1つに対応し得る。いくつかの例では、処理220中に判断された眼特徴、処理230中に推定されたACDpost及び/又は処理240中に選択されたIOL度数のうちの1つ又は複数が、推定MRSEpostを生成する予測モデルへの入力として提供され得る。いくつかの例では、を推奨するために使用される予測モデルは、ACDpostを推定するために使用される予測モデル及び/又はIOL度数を推奨するために使用される予測モデルと同じ予測モデルであってもよいし、又は異なる予測モデルであってもよい。
【0046】
処理260では、IOLが移植される。いくつかの例では、処理240中に選択されたIOL度数及び/又は水晶体の位置及び/又は径などに基づくサイズを有するIOLは処理380中に判断される水晶体の赤道の推定位置に対応する位置に移植され得る。
【0047】
処理270では、1つ又は複数の手術後画像が取得され得る。いくつかの例では、1つ又は複数の手術後画像は、処理210と同様な処理を使用することにより、しかし処理260中にIOLが移植された後に、取得され得る。
【0048】
処理280では、眼の1つ又は複数の手術後測定結果が取得される。いくつかの例では、1つ又は複数の手術後測定結果は、IOLの移植後のIOLのACDpost及び/又はIOLの移植後のMRSEpostを含み得る。いくつかの例では、ACDpostは、方法300の他の処理により支援される処理390と同様な処理を使用して抽出され得る。いくつかの例では、MRSEpostは眼の光学測定結果に基づき判断され得る。
【0049】
処理290では、1つ又は複数の予測モデルが更新される。いくつかの例では、処理220中に抽出された1つ又は複数の手術前測定結果、処理280中に抽出されたACDpost測定結果、処理240中に選択されたIOL度数、及び処理中に抽出されたMRSEpostは、新しいトレーニングデータ組み合わせを形成するために組み合わせられ得る。いくつかの例では、新しいトレーニングデータ組み合わせが1つ又は複数の診断トレーニングデータ源110へ追加され得る。いくつかの例では、新しいトレーニングデータ組み合わせは、方法200の次の使用中(例えば方法200が次の患者へ適用される場合)に、より正確なACDpostが処理230中に推定され得、IOL度数のより良い推奨が処理240中になされ得、及び/又はより正確なMRSEpostが処理250中に推定され得、したがって次の患者のより良い手術後視覚結果が取得され得るように、予測モデルを反復的に改善するために使用され得る。いくつかの例では、推定ACDpostと実際のACDpostとの差、推奨IOL度数と選択されたIOL度数との差、及び/又は推定MRSEpostと実際のMRSEpostとの差はトレーニングフィードバックを1つ又は複数のモデルへ(例えば誤差逆伝播を介して)提供するために使用され得る。
【0050】
上に論述したようにそしてここでさらに強調されるように、
図2は特許請求の範囲を過度に制限すべきでない一例に過ぎない。当業者は多くの変形、代替及び修正形態を認識するだろう。いくつかの実施形態によると、予測エンジンはACD
post以外の推定レンズ位置の異なる測度を推定するために使用され得る。いくつかの例では、推定手術後レンズ位置はIOLの赤道に対応し得、IOLの赤道の推定手術後位置は処理230中にIOL度数を選択するために使用される。
【0051】
いくつかの実施形態では、他の予測モデル(例えばニューラルネットワークモデル)が、例えば処理240中にIOL度数を選択するための予測モデルを含む方法200の他の態様を改善するためにトレーニングされ使用され得る。
【0052】
図5A、5Bはいくつかの実施形態による処理システムの線図である。2つの実施形態が
図5A、5Bに示されるが、当業者はまた、他のシステム実施形態が可能であるということを容易に理解することになる。いくつかの実施形態によると、
図5A及び/又は5Bの処理システムは、IOL選択プラットホーム105、眼科診療所125、予測エンジン120、診断装置130、1つ又は複数のコンピュータ装置140、手術プランナ150、160及び/又は170のうちの任意の手術プランナなどのうちの1つ又は複数のものに含まれ得るコンピュータシステムを表す。
【0053】
図5Aは、システム500の部品がバス505を使用することにより互いに電気的通信状態にあるコンピュータシステム500を示す。システム500は、プロセッサ510と、読み出し専用メモリ(ROM)520、ランダムアクセスメモリ(RAM)525など(例えばPROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、及び/又は任意の他のメモリチップ又はカートリッジ)の形式のメモリを含む様々なシステム部品をプロセッサ510へ結合するシステムバス505とを含む。システム500はさらに、プロセッサ510へ直接接続される、その極近傍に接続される、又はその一部として一体化される高速メモリのキャッシュ512を含み得る。システム500は、プロセッサ510による高速アクセスのためのキャッシュ512を介し、ROM520、RAM525、及び/又は1つ又は複数のストレージ装置530内に格納されたデータにアクセスし得る。いくつかの例では、キャッシュ512は、キャッシュ512内に以前に格納されたデータにメモリ515、ROM520、RAM525、及び/又は1つ又は複数のストレージ装置530からアクセスする際のプロセッサ510による遅延を回避するパフォーマンスブーストを提供し得る。いくつかの例では、1つ又は複数のストレージ装置530は1つ又は複数のソフトウェアモジュール(例えばソフトウェアモジュール532、534、536など)を格納する。ソフトウェアモジュール532、534、及び/又は536は、方法200及び/又は300の処理などの様々な行為を行うためにプロセッサ510を制御し得る及び/又は制御するように構成され得る。そしてシステム500は1つのプロセッサ510だけを備えて示されるが、プロセッサ510は1つ又は複数の中央処理ユニット(CPU)、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィック処理ユニット(GPU)、テンソル処理ユニット(TPU)などを表し得るということが理解される。いくつかの例では、システム500はスタンドアロンサブシステムとして及び/又はコンピュータ装置へ追加される基板として又は仮想機械として実装され得る。
【0054】
システム500とのユーザ相互作用を可能にするために、システム500は1つ又は複数の通信インターフェース540及び/又は1つ又は複数の入力/出力(I/O)装置545を含む。いくつかの例では、1つ又は複数の通信インターフェース540は、1つ又は複数のネットワーク及び/又は通信バス標準規格に従って通信を提供するために1つ又は複数のネットワークインターフェース、ネットワークインターフェースカードなどを含み得る。いくつかの例では、1つ又は複数の通信インターフェース540はネットワーク115などのネットワークを介しシステム500と通信するためのインターフェースを含み得る。いくつかの例では、1つ又は複数のI/O装置545は、1つ又は複数のユーザインターフェース装置(例えば、キーボード、ポインティング/選択装置(例えばマウス、タッチパッド、スクロールホイール、トラックボール、タッチスクリーンなど)、オーディオ装置(例えば、マイクロホン及び/又はスピーカ)、センサ、アクチュエータ、ディスプレイ装置など)を含み得る。
【0055】
1つ又は複数のストレージ装置530のそれぞれは、ハードディスク、光学媒体、ソリッドステートドライブなどにより提供されるような非一時的且つ不揮発性ストレージを含み得る。いくつかの例では、1つ又は複数のストレージ装置530のそれぞれは、システム500(例えばローカルストレージ装置)と同一場所に配置され得る及び/又はシステム500(例えばクラウドストレージ装置)から遠く離れ得る。
【0056】
図5Bは、本明細書において説明される方法(例えば方法200及び/又は300)のうちの任意の方法を行う際に使用され得るチップセットアーキテクチャに基づくコンピュータシステム550を示す。システム550は、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は他の計算を実行することができる任意数の物理的及び/又は論理的個別資源(1つ又は複数のCPU、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、FPGA、ASIC、GPU、TPUなど)を表すプロセッサ555を含み得る。示されるように、プロセッサ555はまた、1つ又は複数のCPU、マルチコアプロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、DSP、FPGA、ASIC、GPU、TPU、コプロセッサ、符号器/復号器(CODEC)などを含み得る1つ又は複数のチップセット560により支援される。示されるように、1つ又は複数のチップセット560は、プロセッサ555と、1つ又は複数のI/O装置565、1つ又は複数のストレージ装置570、メモリ575、ブリッジ580、及び/又は1つ又は複数の通信インターフェース590とをインターフェースする。いくつかの例では、1つ又は複数のI/O装置565、1つ又は複数のストレージ装置570、メモリ、及び/又は1つ又は複数の通信インターフェース590は、
図5Aにおいて同様に名付けられたカウンターパートとシステム500とに対応し得る。
【0057】
いくつかの例では、ブリッジ580はシステム550に、1つ又は複数のユーザインターフェース(UI)部品、例えば、1つ又は複数のキーボード、ポインティング/選択装置(例えばマウス、タッチパッド、スクロールホイール、トラックボール、タッチスクリーンなど)、オーディオ装置(例えば、マイクロホン及び/又はスピーカ)、ディスプレイ装置などへのアクセスを提供する追加インターフェースを提供し得る。
【0058】
いくつかの実施形態によると、システム500及び/又は560は、方法200及び/又は300の処理の性能に関しユーザ(例えば、外科医及び/又は他の医療関係者)を支援するのに好適なグラフィックユーザインターフェース(GUI)を提供し得る。GUIは、行われるべき次の行為に関する命令、眼の手術前及び/又は手術後画像(例えば
図4に描写されるような)などの注釈付き及び/又は注釈無し生体構造の線図、入力要求などを含み得る。いくつかの例では、GUIは生体構造などのトゥルーカラー画像及び/又は疑似カラー画像を表示し得る。
【0059】
図6はいくつかの実施形態による多層ニューラルネットワーク600の線図である。いくつかの実施形態では、ニューラルネットワーク600は、処理230、240、250、及び/又は290に関し説明され予測エンジン120により使用される1つ又は複数の予測モデルのそれぞれを実施するために使用されるニューラルネットワークを表し得る。ニューラルネットワーク600は入力層620を使用して入力データ610を処理する。いくつかの例では、入力データ610は、処理230中に1つ又は複数の予測モデルへ提供される入力データ、及び/又は処理290中の更新中に1つ又は複数の予測モデルへ提供され1つ又は複数の予測モデルをトレーニングするために使用されるトレーニングデータに対応し得る。入力層620はスケーリング、範囲制限、等々することにより入力データ610を調節するために使用される複数のニューロンを含む。入力層620内のニューロンのそれぞれは隠れ層631の入力へ供給される出力を生成する。隠れ層631は入力層620からの出力を処理する複数のニューロンを含む。いくつかの例では、隠れ層631内のニューロンのそれぞれは、隠れ層639で終了する1つ又は複数の追加隠れ層を介し伝播される出力を生成する。隠れ層639は前の隠れ層からの出力を処理する複数のニューロンを含む。隠れ層639の出力は出力層640へ供給される。出力層640はスケーリング、範囲制限、等々することにより隠れ層639からの出力を調節するために使用される1つ又は複数のニューロンを含む。ニューラルネットワーク600のアーキテクチャは代表的に過ぎないということと、1つの隠れ層だけを有するニューラルネットワーク、入力層及び/又は出力層の無いニューラルネットワーク、再帰層を有するニューラルネットワークなどを含む他のアーキテクチャが可能であるということとを理解すべきである。
【0060】
いくつかの例では、入力層620、隠れ層631~639、及び/又は出力層640のそれぞれは1つ又は複数のニューロンを含む。いくつかの例では、入力層620、隠れ層631~639、及び/又は出力層640のそれぞれは同じ数又は異なる数のニューロンを含み得る。いくつかの例では、ニューロンのそれぞれは、式3に示すように出力を生成するために、その入力xの組み合わせ(例えばトレーニング可能重み付け行列Wを使用する加重和)をとり、任意選択的トレーニング可能バイアスbを加え、そして活性化関数fを適用する。いくつかの例では、活性化関数fは、線形活性化関数、上限及び/又は下限を有する活性化関数、対数シグモイド(log-sigmoid)関数、双曲正接関数、ReLU(rectified linear unit)関数などであり得る。いくつかの例では、ニューロンのそれぞれは同じ又は異なる活性化関数を有し得る。
a=f(Wx+b) 式3
【0061】
いくつかの例では、ニューラルネットワーク600は(例えば、処理290中に)教師あり学習を使用することによりトレーニングされ得る。ここで、トレーニングデータの組み合わせは入力データとグラウンドトゥルース(例えば、期待)出力データとの組み合わせを含む。ニューラルネットワーク600の出力間の差は、入力データ610の入力データを使用して、及びニューラルネットワーク600により生成されたグラウンドトゥルース出力データと比較することにより生成される。次に、生成された出力データ650とグラウンドトゥルース出力データとの差は、様々なトレーニング可能重み付け及びバイアスに対する補正をするためにニューラルネットワーク600内へフィードバックされ得る。いくつかの例では、この差は、確率的勾配降下アルゴリズムなどを使用する誤差逆伝播技術(back propagation technique)を使用してフィードバックされ得る。いくつかの例では、大きな一組のトレーニングデータ組み合わせは、全体損失関数(例えば各トレーニング組み合わせの差に基づく平均二乗誤差)が許容可能レベルへ収束するまで、ニューラルネットワーク600へ複数回提示され得る。
【0062】
上に説明された実施形態による方法は、非一時的、有形、且つ機械可読媒体上に格納される実行可能命令として実施され得る。実行可能命令は、1つ又は複数のプロセッサ(例えば、プロセッサ510及び/又は処理555)により実行されると、1つ又は複数のプロセッサに方法200及び/又は300の1つ又は複数の処理を行わせ得る。方法200及び/又は300の処理を含み得る機械可読媒体のいくつかの共通形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、任意の他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する任意の他の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH-EPROM、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、及び/又はプロセッサ又はコンピュータが読み出すように適合された任意の他の媒体である。
【0063】
これらの開示による方法を実施する装置は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを含み得、多様な形態要素のうちの任意の形態要素を採り得る。このような形態要素の典型的な例はラップトップ、スマートフォン、小型形態要素パーソナルコンピュータ、携帯情報端末などを含む。本明細書において説明された機能の一部分はまた、周辺装置及び/又はアドインカード内に具現化され得る。このような機能はまた、別の例として、単一装置内で実行する様々なチップ間又は様々な処理間の回路基板上に実装され得る。
【0064】
例示的実施形態が示され説明されたが、広範囲の修正、変更及び置換が前述の開示において企図され、いくつかの例では、実施形態のいくつかの特徴は他の特徴の対応使用無しに採用され得る。当業者は多くの変形、代替及び修正形態を認識するだろう。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲だけにより制限されるべきであり、特許請求の範囲は広く且つ本明細書において開示される実施形態の範囲と整合するやり方で解釈されることが適切である。