(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240723BHJP
G06Q 20/38 20120101ALI20240723BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q20/38 310
(21)【出願番号】P 2023169689
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 高志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 創
(72)【発明者】
【氏名】梶岡 ゆき
(72)【発明者】
【氏名】武 恒宏
(72)【発明者】
【氏名】西分 嗣美
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特許第7292767(JP,B1)
【文献】特許第7349006(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ユーザが行った決済の
状況と、前記決済を行ったユーザと、前記決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴を記憶する
とともに、
(2)店舗と、ユーザに固有のトークンを該店舗に関連付けて発行するための決済の内容と、を関連付けた発行条件を記憶する、記憶部と、
前記決済履歴が示す店舗における前記ユーザの決済の状況
が、前記発行条件において該店舗に関連付けられた決済の内容を満たす場合に、前記トークンを前記ユーザ及び
該店舗に関連付けて発行する発行部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記トークンが発行された前記ユーザが
店舗において決済を行う決済要求を受付ける決済受付部と、
前記決済受付部が受付けた決済を行う前記ユーザに発行された前記トークンに基づいて、前記決済受付部が受付けた決済においてユーザに付与される便益を決定する便益付与部と、
をさらに有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発行部は、前記決済履歴が示す
店舗の店舗識別情報と、前記ユーザを示すユーザ識別情報と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーンに記録させて発行し、
前記決済受付部は、決済を行うユーザのユーザ識別情報と、決済を受付ける店舗の店舗識別情報と、を含む決済要求を取得し、
前記便益付与部は、前記決済要求に含まれる、前記ユーザ識別情報が示すユーザ及び前記店舗識別情報が示す店舗に関連付けてブロックチェーンに記録された前記トークンを特定し、特定した前記トークンに基づいて、前記決済受付部が受付けた決済においてユーザに付与される便益を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記発行部は、前記決済履歴が示す
店舗における決済金額に応じた前記トークンを発行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記発行部は、前記決済履歴が示す
店舗における決済金額が所定の金額以上である場合に、前記決済履歴が示す決済金額に応じた前記トークンを発行する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
店舗についての前記決済履歴が示す決済内容と、該決済内容に対応して発行されるトークンの内容とを関連付けた発行条件を
当該店舗から受付け、受付けた発行条件を
当該店舗と関連付けて記憶させる条件受付部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記トークンが発行された場合に、前記トークンが発行されたことを、前記
トークンにおいて関連付けられた店舗に通知する通知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記トークンを店舗に開示するか否かの選択を前記トークンが発行されたユーザから受付ける設定受付部と、
前記便益付与部は、前記トークンが
店舗に開示することが選択されている場合に、前記トークンに基づいて、前記決済においてユーザに付与される便益を決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記記憶部が記憶する決済履歴は、前記ユーザの実店舗における決済履歴を示す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記記憶部が記憶する決済履歴は、前記ユーザの仮想空間上の店舗における決済履歴を示す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記トークンは、前記決済履歴が示す決済内容に基づいて決定された前記ユーザの
前記トークンにおいて関連付けられた店舗における会員ランクを示す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記発行部は、前記トークンをブロックチェーン上に記録することで発行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記トークンは、前記決済を処理する決済事業者が発行する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータが実行する、
記憶部が記憶する、(1)ユーザが行った決済の
状況と、前記決済を行ったユーザと、前記決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴
と、(2)店舗と、ユーザに固有のトークンを該店舗に関連付けて発行するための決済の内容と、を関連付けた発行条件と、を参照し、前記決済履歴が示す店舗における前記ユーザの決済の状況
が、前記発行条件において該店舗に関連付けられた決済の内容を満たす場合に、前記トークンを前記ユーザ及び
該店舗に関連付けて発行するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
記憶部が記憶する、(1)ユーザが行った決済の
状況と、前記決済を行ったユーザと、前記決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴
と、(2)店舗と、ユーザに固有のトークンを該店舗に関連付けて発行するための決済の内容と、を関連付けた発行条件と、を参照し、前記決済履歴が示す店舗における前記ユーザの決済の状況
が、前記発行条件において該店舗に関連付けられた決済の内容を満たす場合に、前記トークンを前記ユーザ及び
該店舗に関連付けて発行するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
発行されたユーザ以外に譲渡できない性質を有するSBT(Soul Bound Token)が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】E. Glen Weyl, Puja Ohlhaver, Vitalik Buterin著, “Decentralized Society: Finding Web3's Soul”, https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=4105763[2023年9月25日閲覧]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
店舗とユーザとの取引実績に基づく互いの関係性をブロックチェーンのような信頼性の高いシステムにより管理する方法が望まれている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、店舗ごとのユーザとの関係に基づいてトークンを発行できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、ユーザが行った決済の金額と、前記決済を行ったユーザと、前記決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴を記憶する記憶部と、前記決済履歴が示す前記店舗における前記ユーザの決済の状況に基づいて、ユーザに固有のトークンを前記ユーザ及び前記店舗に関連付けて発行する発行部と、を有する。
【0007】
前記トークンが発行された前記ユーザが前記店舗において決済を行う決済要求を受付ける決済受付部と、前記決済受付部が受付けた決済を行う前記ユーザに発行された前記トークンに基づいて、前記決済受付部が受付けた決済においてユーザに付与される便益を決定する便益付与部と、をさらに有してもよい。
【0008】
前記発行部は、前記決済履歴が示す前記店舗の店舗識別情報と、前記ユーザを示すユーザ識別情報と、を関連付けた前記トークンをブロックチェーンに記録させて発行し、前記決済受付部は、決済を行うユーザのユーザ識別情報と、決済を受付ける店舗の店舗識別情報と、を含む決済要求を取得し、前記便益付与部は、前記決済要求に含まれる、前記ユーザ識別情報が示すユーザ及び前記店舗識別情報が示す店舗に関連付けてブロックチェーンに記録された前記トークンを特定し、特定した前記トークンに基づいて、前記決済受付部が受付けた決済においてユーザに付与される便益を決定してもよい。
【0009】
前記発行部は、前記決済履歴が示す前記店舗における決済金額に応じた前記トークンを発行してもよい。
【0010】
前記発行部は、前記決済履歴が示す前記店舗における決済金額が所定の金額以上である場合に、前記決済履歴が示す決済金額に応じた前記トークンを発行してもよい。
【0011】
前記店舗についての前記決済履歴が示す決済内容と、該決済内容に対応して発行されるトークンの内容とを関連付けた発行条件を前記店舗から受付け、受付けた発行条件を前記店舗と関連付けて記憶させる条件受付部をさらに有してもよい。
【0012】
前記トークンが発行された場合に、前記トークンが発行されたことを、前記店舗に通知する通知部をさらに有してもよい。
【0013】
前記トークンを店舗に開示するか否かの選択を前記トークンが発行されたユーザから受付ける設定受付部と、前記便益付与部は、前記トークンが前記店舗に開示することが選択されている場合に、前記トークンに基づいて、前記決済においてユーザに付与される便益を決定してもよい。
【0014】
前記記憶部が記憶する決済履歴は、前記ユーザの実店舗における決済履歴を示すものであってもよい。
【0015】
前記記憶部が記憶する決済履歴は、前記ユーザの仮想空間上の店舗における決済履歴を示すものであってもよい。
【0016】
前記トークンは、前記決済履歴が示す決済内容に基づいて決定された前記ユーザの前記店舗における会員ランクを示すものであってもよい。
【0017】
前記発行部は、前記トークンをブロックチェーン上に記録することで発行してもよい。
【0018】
前記トークンは、前記決済を処理する決済事業者が発行してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、ユーザが行った決済の金額と、前記決済を行ったユーザと、前記決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴を記憶する記憶部を参照し、前記決済履歴が示す前記店舗における前記ユーザの決済の状況に基づいて、発行されたユーザに固有のトークンを前記ユーザ及び前記店舗に関連付けて発行するステップと、を有する。
【0020】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、ユーザが行った決済の金額と、前記決済を行ったユーザと、前記決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴を記憶する記憶部を参照し、前記決済履歴が示す前記店舗における前記ユーザの決済の状況に基づいて、発行されたユーザに固有のトークンを前記ユーザ及び前記店舗に関連付けて発行するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、店舗ごとのユーザとの関係に基づいてトークンを発行できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。
【
図3】記憶部12が記憶する決済履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】記憶部12が記憶する発行条件テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】発行部131が発行するトークンのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】記憶部12が記憶する便益テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】情報処理装置1におけるトークン発行処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムSの概要]
図1は、実施形態にかかる情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、決済を処理するためのシステムである。情報処理システムにおいては、ユーザが行った決済の状況に応じたトークンを発行し、トークンが示す内容に応じてユーザに便益を付与する。情報処理システムSは、情報処理装置1、事業者端末2及びユーザ端末3を有する。
【0024】
情報処理装置1は、事業者端末2又はユーザ端末3の要求に応じて決済を処理するための決済処理装置である。情報処理装置1は、処理された決済の状況に応じて決済をしたユーザにトークンを発行する。情報処理装置1は、トークンを発行又は参照するためにブロックチェーンにアクセスする。トークンは、ブロックチェーンに記録されることによって発行される。トークンは、ユーザに固有のトークンであり、発行を受けたユーザ以外には譲渡不可能な性質を有する。トークンは、他のユーザに移転不可能な所謂SBT(Soul Bound Token)である。トークンは、一例として、決済履歴が示す決済内容に基づいて決定されたユーザの事業者における会員ランク(以下、単に「ランク」と言う場合がある)を示すがこれに限られない。トークンは、ユーザの事業者との結びつきや事業者に対する愛着の強さを示してもよい。情報処理装置1は、決済サービスを提供する決済事業者により管理される。
【0025】
事業者端末2は、店舗を運営する店舗事業者において利用される端末である。事業者端末2は、情報処理装置1にトークンの発行処理を要求してもよいし、トークンの発行条件を設定するための情報を情報処理装置1に送信してもよい。事業者端末2は、例えばPOS(Point of Sale)レジであってもよいし、スマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータであってもよい。以下では、店舗事業者は、ユーザに対して実空間又は仮想空間において商品を販売し、又はサービスを提供する店舗であることを例として説明する。なお、店舗事業者は、決済サービスを提供する決済事業者と異なっても良いし、同一でもよい。
【0026】
ユーザ端末3は、情報処理装置1が提供するサービスを利用するユーザが使用する端末である。ユーザ端末3は、例えばスマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末3は、発行されたトークンを格納し、ユーザの操作に応じて格納しているトークンを表示部に表示してもよい。ユーザ端末3は、情報処理装置1に決済を要求してもよい。
【0027】
情報処理システムSにおける処理について説明する。店舗事業者は、事業者端末2を操作し、トークンの発行条件を設定する(
図1における(1))。情報処理装置1は、ユーザの決済の状況に基づいてユーザにトークンを発行する。例えば、情報処理装置1は、ユーザが店舗事業者に対してした決済額の合計に基づいてユーザに発行するトークンの内容を決定する。一例として、情報処理装置1は、決済の状況に基づいてユーザの会員ランクを決定する。情報処理装置1は、決定した内容を含むトークンをユーザ及び店舗事業者と関連付けてブロックチェーンに記録することで、当該ユーザに対してトークンを発行する(
図1における(2))。
【0028】
ユーザ端末3、決済要求を情報処理装置1に送信する(
図1における(3))。決済要求は、決済を要求するユーザのユーザID(Identification)、決済の支払先の店舗事業者の事業者ID及び決済金額を含む。例えばユーザ端末3は、店舗において提示されたQR(Quick Response)コード(登録商標)又はバーコードに含まれる事業者情報を読み取り、読み取った事業者情報に含まれる事業者IDを含む決済要求を情報処理装置1に送信してもよい。なお、上記の説明においては決済要求をユーザ端末3が送信する例を説明したが、これに限られない。決済要求はユーザ端末3に表示された決済用コードを読み取った事業者端末2が送信してもよい。
【0029】
情報処理装置1は、決済要求に含まれるユーザID及び店舗事業者の事業者IDが示すユーザに発行されたトークンを特定する。(
図1における(4))。一例として、情報処理装置1は、ブロックチェーンにアクセスし、決済要求に含まれるユーザID及び店舗事業者の事業者IDが示すユーザに関連付けて発行されたトークンを特定する。なお、情報処理装置1は、決済要求とともにユーザ端末3からトークンを取得し、ユーザのトークンを特定してもよい。
【0030】
情報処理装置1は、特定したトークンに基づいて、ユーザに便益を付与するための処理をする(
図1における(5))。一例として、情報処理装置1は、特定したトークンが示す会員ランクに基づいて、会員ランクと便益との関係を示すテーブルを参照し、ユーザに付与される便益を決定する。情報処理装置1は、決定した便益をユーザと関連付けて記憶させる。情報処理装置1は、受付けた決済を処理する(
図1における(6))。情報処理装置1は、受付けた決済を処理する際、ユーザに付与された値引である便益を適用して決済を処理してもよいし、ポイントによるキャッシュバックがされたことを決済処理の結果とともにユーザに通知してもよい。
【0031】
なお、上記の説明においては、情報処理装置1がトークンをブロックチェーンに記録することでトークンを発行する例を説明したがこれに限られない。情報処理装置1は、不図示の外部装置にトークンを発行する処理を依頼するよう構成されてもよい。この場合、情報処理装置1は、不図示の外部装置に発行を依頼するトークンの内容を含む発行要求を送信する。
【0032】
このように構成されることで、情報処理システムSにおいては、店舗ごとのユーザとの関係に基づいてトークンを発行することができる。
【0033】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、発行部131、決済受付部132、便益付与部133、決済処理部134、条件受付部135、通知部136及び設定受付部137を有する。
【0034】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0035】
記憶部12は、ユーザが行った決済の金額と、決済を行ったユーザと、決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴を記憶する。
図3は、記憶部12が記憶する決済履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。決済履歴情報においては、「事業者」、「決済ユーザ」、「決済日時」及び「決済金額」を含む。「事業者」は、当該レコードが示す決済により支払われた店舗事業者を示す。「決済ユーザ」は、決済を行ったユーザを示す。「決済日時」は、決済が完了した日時を示す。「決済金額」は、当該レコードが示す決済において決済された金額を示す。なお、決済履歴情報においては、それぞれの店舗事業者においてそれぞれのユーザが所定の期間にした決済の決済金額の合計又は決済回数を含んでいてもよい。
【0036】
なお、記憶部12は、ブロックチェーンにおけるアドレスとユーザID又は事業者IDとを関連付けて記憶していてもよい。
【0037】
情報処理装置1は、実店舗における決済の結果に基づいてトークンを発行してもよい。この場合、記憶部12が記憶する決済履歴は、ユーザの実店舗における決済履歴を示す。また、情報処理装置1は、メタバース等の仮想空間における店舗における決済の結果に基づいてトークンを発行してもよい。この場合、記憶部12が記憶する決済履歴は、ユーザの仮想空間上の店舗における決済履歴を示す。
【0038】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、発行部131、決済受付部132、便益付与部133、決済処理部134、条件受付部135、通知部136及び設定受付部137として機能する。
【0039】
発行部131は、決済履歴が示す店舗におけるユーザの決済の状況に基づいて、発行されたユーザに固有のトークンをユーザ及び店舗に関連付けて発行する。発行部131は、決済履歴が示す店舗における決済金額に応じたトークンを発行してもよい。また、発行部131は、決済履歴が示す店舗における決済金額が所定の金額以上である場合に、決済履歴が示す決済金額に応じたトークンを発行してもよい。
【0040】
一例として、記憶部12は、店舗ごとのトークンの発行条件を記憶している。
図4は、記憶部12が記憶する発行条件テーブルのデータ構造の一例を示す図である。発行条件テーブルにおいては、「事業者」と、「決済金額」と、「ランク」と、を有する。「事業者」は、当該レコードが対象とするトークンを発行する決済事業者又は発行されたトークンにより便益を付与する店舗事業者を示す。「事業者」は、一例として、決済事業者や店舗事業者の事業者IDを含む。「決済金額」は、ユーザに発行されるトークンの内容を決定するための金額面における条件を示す。なお、「決済金額」が示す条件にユーザの決済金額が満たない場合は、当該ユーザに対してはトークンを発行しないことを示す。「ランク」は、「決済金額」が示す条件を満たした場合にユーザに発行されるトークンの内容を示す。発行条件テーブルにおいては、決済金額以外の条件が含まれていてもよい。
【0041】
発行条件テーブルにおいては、例えば決済の回数又は決済の頻度がトークンを発行する条件として設定されてもよい。発行条件テーブルにおいては、ユーザのランクに変えてユーザに付与される便益の内容が含まれていてもよい。
【0042】
発行部131は、所定のタイミングにおいて記憶部12が記憶する決済履歴情報に基づいて、それぞれの店舗事業者についてユーザごとの決済の状況を集計する。決済の状況は例えば所定の期間における決済金額である。所定の期間は例えば決済履歴を集計する日の前の月の月初めから月末までである。発行部131は、決済の状況として、例えば累積決済金額を集計してもよい。発行部131は、決済金額に変えて所定の期間における決済の回数を集計してもよい。所定のタイミングは、一例として、店舗事業者からトークンの発行依頼を受付けたタイミングであってもよいし、トークンを発行するタイミングとして予め設定されたタイミング(例えば月初め)であってもよい。
【0043】
発行部131は、集計した決済の状況に基づいて発行条件テーブルを参照し、ユーザに発行するトークンの内容を決定する。一例として、発行部131は、それぞれのユーザの発行対象の店舗事業者における決済金額の集計額に基づいて、発行条件テーブルが示す発行対象の店舗事業者についての発行条件を参照し、発行対象のユーザに発行されるトークンに含まれるユーザのランクを特定する。一例として、発行部131は、事業者Aについて集計したユーザCの決済金額が2万円である場合、発行条件テーブルを参照し、事業者Aにおける「ランクC」をユーザCに対して発行するトークンに含まれる内容として特定する。発行部131は、特定したランクを示す情報を含むトークンを発行対象のユーザに関連付けてブロックチェーンに記録し、トークンを発行させる。
【0044】
図5は、発行部131が発行するトークンのデータ構造の一例を示す図である。発行部131が発行するトークンにおいては、「トークンID」、「発行者」、「保有者」、「発行日」及び「ランク」を有する。「トークンID」は、発行されたトークンを識別するIDである。「発行者」は、トークンを発行する店舗事業者または決済事業者を示す情報である。「保有者」は、トークンを保有するユーザを示す情報である。一例として「発行者」及び「保有者」はそれぞれ、発行者及び保有者それぞれのブロックチェーンにおけるアドレスを含む。「発行日」は、トークンが発行された日付を示す。「ランク」は、保有者に対して与えられたランクを示す。なお、発行部131が発行するトークンにおいては、「ランク」に変えて又は加えて、保有者であるユーザに付与される便益の程度を示す情報が含まれていてもよい。
【0045】
なお、トークンを発行する事業者が決済事業者である場合、発行部131は、トークンが提示された場合に便益を付与する店舗事業者を示す情報を含むトークンを関連付けて発行してもよい。決済事業者がトークンを発行することにより、店舗事業者がSBTの取り扱いに不慣れな場合でも決済事業者がSBTを発行することができるという効果を奏する。
【0046】
情報処理装置1がこのように構成されることで、店舗ごとのユーザとの関係に基づいてトークンを発行できるようにすることができる。
【0047】
トークンが発行された場合、トークンを発行する事業者又は当該トークンが提示された場合に便益を付与する店舗事業者に通知するよう情報処理装置1が構成されてもよい。通知部136は、トークンが発行された場合に、トークンが発行されたことを、店舗事業者に通知する。通知部136は、発行部131がトークンを発行した場合、トークンの発行を受けたユーザ及び当該ユーザに発行されたトークンの内容を含む通知を、トークンに関連付けられた店舗事業者の事業者端末2に送信する。情報処理装置1がこのように構成されることで、トークンに関連付けられた店舗事業者が、ユーザに発行されたトークンの内容を認識することができる。
【0048】
決済の要求を受け付けた場合にユーザに付与する便益を決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0049】
決済受付部132は、トークンが発行されたユーザが店舗において決済を行う決済要求を受付ける。決済受付部132は、決済要求を店舗に設置された事業者端末2から取得してもよいし、ユーザ端末3から取得してもよい。
【0050】
決済受付部132は、決済要求に含まれるユーザID及び事業者IDに対応するユーザのトークンをブロックチェーンにアクセスして特定する。また、決済受付部132は、決済要求とともに事業者端末2又はユーザ端末3から決済をするユーザトークンを取得してもよい。
【0051】
便益付与部133は、決済受付部132が受付けた決済を行うユーザに発行されたトークンに基づいて、決済受付部132が受付けた決済においてユーザに付与される便益を決定する。一例として、記憶部12は、店舗とユーザに与えられたランクとユーザに付与される便益とを関連付けた便益テーブルを記憶している。
図6は、記憶部12が記憶する便益テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0052】
便益テーブルにおいては、「事業者」、「ランク」及び「便益」が関連付けられている。「事業者」は、便益を付与する店舗事業者を示す情報である。便益を付与する店舗事業者は、トークンを発行する事業者と同一であってもよい。「ランク」は、便益を付与するために条件として設定された会員ランクである。「便益」は、ユーザに発行されたトークンに含まれるランクが便益テーブルにおける「ランク」と一致する場合に付与される便益の内容を示す。
【0053】
便益付与部133は、決済受付部132が特定したトークンが示す店舗事業者とランクとに対応する便益を決定する。なお、決定した便益の内容が決済金額に基づいて決定される場合、便益付与部133は、決定した便益の内容と決済要求に含まれる決済金額とに基づいてユーザに付与される便益を決定する。
【0054】
便益付与部133は、決定した便益をユーザに付与するための処理をする。具体的には、便益付与部133は、所定の金額又は割合の値引き若しくはキャッシュバックを受けることができることを、決済要求に含まれるユーザIDと関連付けて記憶部12に記憶させ、ユーザ端末3に便益が付与されたこと及びユーザに付与された便益の内容を通知する。決定した便益の内容が決済金額からの値引きである場合、便益付与部133は、決済要求が示す決済金額からユーザに付与される値引額を控除した決済を決済処理部134に処理させ、決済が完了したことを店舗事業者の事業者端末2又はユーザ端末3に通知してもよい。便益付与部133は、トークンを提示したユーザに付与される便益の内容を示す情報をユーザ端末3に通知してもよい。また、便益付与部133は、便益を付与したユーザの情報を事業者端末2に送信してもよい。
【0055】
情報処理装置1がこのように構成されることで、店舗とユーザとの関係に基づいてユーザに便益を付与することができるという効果を奏する。
【0056】
トークンを発行する決済事業者が管理する情報処理装置1がトークンを発行する条件を店舗から受付けるように構成されてもよい。
【0057】
条件受付部135は、店舗についての決済履歴が示す決済内容と、該決済内容に対応して発行されるトークンの内容とを関連付けた発行条件を店舗から受付け、受付けた発行条件を店舗と関連付けて記憶させる。一例として、条件受付部135は、トークンを発行する条件としての決済金額と、当該決済金額を満たした場合に発行されるトークンの内容と、を含む発行条件を店舗事業者の事業者端末2から受付ける。条件受付部135は、発行条件を送信した事業者端末2を利用する店舗事業者の事業者IDと、トークンを発行する条件としての決済金額と、発行されるトークンの内容と、を関連付けて発行条件テーブルに記憶させる。なお、条件受付部135は、決済金額に変えて又は加えて決済回数や決済頻度を発行条件として受付け、発行条件テーブルに記憶させてもよい。
【0058】
情報処理装置1がこのように構成されることで、トークンを発行する条件を柔軟に設定することができる。
【0059】
ユーザによっては店舗にトークンを開示したくない場合がある。そこで、ユーザからトークンを開示するか否かの選択を受け付け、ユーザの選択に応じてトークンを開示するか否かを決定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0060】
設定受付部137は、トークンを店舗に開示するか否かの選択をトークンが発行されたユーザから受付ける。一例として、設定受付部137は、発行されたトークンを店舗事業者に開示するか否かの選択を受付ける画面をユーザ端末3に表示させ、表示された画面においてユーザの選択を受付ける。設定受付部137は、受付けた設定を記憶部12に記憶させる。設定受付部137は、店舗事業者ごとにトークンを開示するか否かの選択を受付けてもよい。
【0061】
便益付与部133は、トークンが店舗事業者に開示することが選択されている場合に、トークンに基づいて、決済においてユーザに付与される便益を決定する。便益付与部133は、決済要求を受け付けた場合、記憶部12を参照し、決済要求に含まれるユーザIDが示すユーザが、決済要求に含まれる事業者IDが示す店舗事業者に対してトークンを開示する設定をしているか否かを判定する。当該ユーザが当該店舗に対してトークンを開示する設定がされている場合、便益付与部133は、便益を付与するための処理をする。当該ユーザが当該店舗に対してトークンを開示しない設定がされている場合、便益付与部133は、便益を付与するための処理をスキップし、決済処理部134に決済を処理させる。
【0062】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザがユーザ自身の情報について提供するか否かをコントロールすることができる。
【0063】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図7は、情報処理装置1におけるトークン発行処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、トークンを発行する所定のタイミングが到来した時点から開始している。
【0064】
発行部131は、決済履歴を集計する(S01)。発行部131は、一例として、所定のタイミングが到来した店舗事業者について、ユーザごとの決済金額の合計を計算する。発行部131は、全てのユーザについてトークンの発行処理が完了したか否かを判定する(S02)。
【0065】
全てのユーザについてトークンの発行処理が完了していない場合(S02におけるNO)、発行部131は、決済履歴を集計したユーザのうち、発行処理を実施していないユーザを処理対象のユーザとして決済状況を取り出す(S03)。すなわち、発行部131は、決済履歴を集計した結果のうち、処理対象のユーザの集計結果を取得する。発行部131は、処理対象のユーザの集計結果について、発行条件テーブルを参照し、当該ユーザに発行するトークンの内容を決定する(S04)。
【0066】
発行部131は、処理対象のユーザがトークンの発行対象か否かを判定する(S05)。トークンの発行対象か否かは例えば、ユーザの決済金額の主計額が、発行条件テーブルが示すトークンの発行条件を満たさないことである。処理対象のユーザがトークンの発行対象でない場合(S05におけるNO)、情報処理装置1は、処理をS02に進める。
【0067】
処理対象のユーザがトークンの発行対象である場合(S05におけるYES)、発行部131は、処理対象のユーザについてトークンを発行する(S06)。発行部131は、特定したトークンの内容を含むトークンを、処理対象のユーザの識別情報に関連付け、ブロックチェーンに記録することでトークンを発行する。そして、情報処理装置1は、処理をS02に進める。
【0068】
全てのユーザについてトークンの発行処理が完了した場合(S02におけるYES)、通知部136は、トークンが発行されたことを店舗事業者に通知する(S07)。通知部136は、トークンの発行を受けたユーザと、当該ユーザに発行したトークンの内容と、を含む通知を店舗事業者に送信してもよい。そして、情報処理装置1は処理を終了する。
【0069】
情報処理装置1がこのように構成されることで、店舗ごとのユーザとの関係に基づいてトークンを発行できるようにすることができる。
【0070】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0071】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0072】
1 情報処理装置
2 事業者端末
3 ユーザ端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 発行部
132 決済受付部
133 便益付与部
134 決済処理部
135 条件受付部
136 通知部
137 設定受付部
【要約】
【課題】店舗ごとのユーザとの関係に基づいてトークンを発行できるようにする。
【解決手段】ユーザが行った決済の金額と、決済を行ったユーザと、決済を受付けた店舗と、を含む決済履歴を記憶する記憶部12と、決済履歴が示す店舗におけるユーザの決済の状況に基づいて、発行されたユーザに固有のトークンをユーザ及び店舗に関連付けて発行する発行部131と、を有する情報処理装置1である。情報処理装置1は、トークンが発行されたユーザが店舗において決済を行う決済要求を受付ける決済受付部132と、決済受付部132が受付けた決済を行うユーザに発行されたトークンに基づいて、決済受付部132が受付けた決済においてユーザに付与される便益を決定する便益付与部133と、をさらに有してもよい。
【選択図】
図2