(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】映像ピクチャヘッダにおけるフィルタリングパラメータ信号通知
(51)【国際特許分類】
H04N 19/70 20140101AFI20240723BHJP
H04N 19/82 20140101ALI20240723BHJP
H04N 19/86 20140101ALI20240723BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/82
H04N19/86
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023180325
(22)【出願日】2023-10-19
(62)【分割の表示】P 2022565702の分割
【原出願日】2021-04-27
【審査請求日】2023-10-27
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520477474
【氏名又は名称】バイトダンス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BYTEDANCE INC.
【住所又は居所原語表記】12655 West Jefferson Boulevard, Sixth Floor, Suite No. 137 Los Angeles, California 90066 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン イェクイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー ジジョン
【審査官】岩井 健二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/201551(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/172471(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/167830(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/155740(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/188944(WO,A1)
【文献】Jizheng Xu, et al.,Chroma deblocking parameters based on chroma coding tools,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-R0077-v1,18th Meeting: by teleconference,2020年04月02日,pp.1-3
【文献】Karam Naser, Fabrice Le Leannec, Tangi Poirier, and Franck Galpin,AhG 9: Removed Redundant Coding of Chroma Deblocking Filter Parameters,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-R0172-r1,18th Meeting: by teleconference,2020年04月06日,pp.1-9
【文献】Anand Meher Kotra, et al.,AHG9: Modified signalling of Chroma deblocking control parameters,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-R0206-v1,18th Meeting: by teleconference,2020年04月03日,pp.1-9
【文献】Kyohei Unno, Kei Kawamura, and Sei Naito,AHG9: Decoding conditions of deblocking control parameters for chroma,Joint Video Experts Team (JVET) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11,JVET-R0218,18th Meeting: by teleconference,2020年04月04日,pp.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像の映像ピクチャと前記映像のビットストリームとの変換を行うこと、を含む映像処理方法であって、
前記変換は、再構成された映像ブロックの少なくとも一部のサンプルが、そのパラメータが示されたデブロッキングフィルタを用いて選択的にフィルタリングされるデブロッキングフィルタリング動作を行うことを含み、
第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第1の構文要素と、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第2の構文要素とが、前記ビットストリームに含まれない前記第1の構文要素および前記第2の構文要素に応じて規則に従って決定され、
前記規則は、(1)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在することを示す場合、前記第1の構文要素は、第2の映像ユニットに関連する彩度成分に適用される2で割ったβに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの第3の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第2の映像ユニットに関連する前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第2の映像ユニットレベルの第4の構文要素に等しく、かつ、(2)前記構文フラグが、前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットに存在しないことを示す場合、前記第1の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスに対する輝度成分に適用される2で割ったβに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第5の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記輝度成分に適用される2で割ったtCに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第6の構文要素に等しい、ことを規定
し、
前記第1の映像ユニットレベルは、ピクチャヘッダであり、前記第2の映像ユニットレベルは、前記ピクチャパラメータセットであり、
前記第1の構文要素は、現在のピクチャ内のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定し、前記第2の構文要素は、前記現在のピクチャ内のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する、
映像処理方法。
【請求項2】
前記彩度成分はcb成分である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記彩度成分はcr成分である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の映像ユニットはピクチャであり、前記第2の映像ユニットは1つ以上のピクチャを含む、
請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットに存在することに応じて、前記構文フラグは1に等しい、
請求項1~
4のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項6】
前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットから省略されることに応じて、前記構文フラグは0に等しい、
請求項1~
4のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項7】
前記変換は、前記映像を前記ビットストリームに符号化することを含む、
請求項1~
4のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項8】
前記変換は、前記ビットストリームから前記映像を復号することを含む、
請求項1~
4のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項9】
映像データを処理する装置であって、プロセッサと、その上に命令を有する非一過性メモリとを備え、前記命令が前記プロセッサによって実行されて、
映像の映像ピクチャ
と前記映像のビットストリーム
との間で変換を行うこと、
前記
変換は、再構成された映像ブロックの少なくとも一部のサンプルが、そのパラメータが示されたデブロッキングフィルタを用いて選択的にフィルタリングされるデブロッキングフィルタリング動作を行うことを含み、
第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第1の構文要素と、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第2の構文要素とが、前記ビットストリームに含まれない前記第1の構文要素および前記第2の構文要素に応じて規則に従って決定され、
前記規則は、(1)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在することを示す場合、前記第1の構文要素は、第2の映像ユニットに関連する彩度成分に2で割ったβに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの第3の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第2の映像ユニットに関連する前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第2の映像ユニットレベルの第4の構文要素に等しく、かつ、(2)前記構文フラグが、前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットに存在しないことを示す場合、前記第1の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスに対する輝度成分に適用される2で割ったβに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第5の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記輝度成分に適用される2で割ったtCに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第6の構文要素に等しい、ことを規定
し、
前記第1の映像ユニットレベルは、ピクチャヘッダであり、前記第2の映像ユニットレベルは、前記ピクチャパラメータセットであり、
前記第1の構文要素は、現在のピクチャ内のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定し、前記第2の構文要素は、前記現在のピクチャ内のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する、
装置。
【請求項10】
前記第1の映像ユニットはピクチャであり、前記第2の映像ユニットは、1つまたは複数のピクチャを含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ピクチャパラメータセット内に前記彩度ツールオフセットが存在することに応答して、前記構文フラグは1に等しい、
請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記ピクチャパラメータセットにおいて前記彩度ツールオフセットが省略されていることに応答して、前記構文フラグは0に等しい、
請求項9または10に記載の装置。
【請求項13】
プロセッサに実行させる命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読記録媒体であって、
映像の映像ピクチャ
と前記映像のビットストリーム
との間で変換を行うこと、
前記
変換は、再構成された映像ブロックの少なくとも一部のサンプルが、そのパラメータが示されたデブロッキングフィルタを用いて選択的にフィルタリングされるデブロッキングフィルタリング動作を行うことを含み、
第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第1の構文要素と、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第2の構文要素とが、前記ビットストリームに含まれない前記第1の構文要素および前記第2の構文要素に応じて規則に従って決定され、
前記規則は、(1)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在することを示す場合、前記第1の構文要素は、第2の映像ユニットに関連する彩度成分に適用される2で割ったβに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの第3の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第2の映像ユニットに関連する前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第2の映像ユニットレベルの第4の構文要素に等しく、かつ、(2)前記構文フラグが、前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットに存在しないことを示す場合、前記第1の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスに対する輝度成分に適用される2で割ったβに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第5の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記輝度成分に適用される2で割ったtCに対する
前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第6の構文要素に等しい、ことを規定
し、
前記第1の映像ユニットレベルは、ピクチャヘッダであり、前記第2の映像ユニットレベルは、前記ピクチャパラメータセットであり、
前記第1の構文要素は、現在のピクチャ内のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定し、前記第2の構文要素は、前記現在のピクチャ内のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する、
非一時的なコンピュータ可読記録媒体。
【請求項14】
映像のビットストリームを記憶する方法であって、
前記ビットストリームを生成し、
前記ビットストリームを非一時的なコンピュータ可読記録媒体に記憶し、
前記生成は、再構成された映像ブロックの少なくとも一部のサンプルが、そのパラメータが示されたデブロッキングフィルタを用いて選択的にフィルタリングされるデブロッキングフィルタリング動作を行うことを含み、
第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第1の構文要素と、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第2の構文要素とが、前記ビットストリームに含まれない前記第1の構文要素および前記第2の構文要素に応じて規則に従って決定され、
前記規則は、(1)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在することを示す場合、前記第1の構文要素は、第2の映像ユニットに関連する彩度成分に2で割ったβに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの第3の構文要素に等しいとともに、前記第2の構文要素は、前記第2の映像ユニットに関連する前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第2の映像ユニットレベルの第4の構文要素に等しく、かつ、(2)前記構文フラグが、前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットに存在しないことを示す場合、前記第1の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスに対する輝度成分に適用される2で割ったβに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第5の構文要素に等しく、前記第2の構文要素は、前記第1の映像ユニットにおける前記1つ以上のスライスの前記輝度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する前記第1の映像ユニットレベルの第6の構文要素に等しいことを規定し、
前記第1の映像ユニットレベルは、ピクチャヘッダであり、前記第2の映像ユニットレベルは、前記ピクチャパラメータセットであり、
前記第1の構文要素は、現在のピクチャ内のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定し、前記第2の構文要素は、前記現在のピクチャ内のスライスの前記彩度成分に適用される2で割ったtCに対する前記デブロッキングパラメータオフセットを規定する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年4月29日に出願された米国仮出願第US63/017,499号の優先権及び利益を主張する2021年4月27日に出願された国際特許出願第PCT/US2021/029416号に基づく、2021年4月27日に出願された日本国特許出願第2022-565702号に基づくものである。前述のすべての特許出願は、開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
この特許明細書は、画像および映像コーディングおよび復号に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル映像は、インターネットおよび他のデジタル通信ネットワークにおいて最大の
帯域幅の使用量を占めている。映像を受信および表示することが可能である接続されたユ
ーザ機器の数が増加するにつれ、デジタル映像の使用に対する帯域幅需要は増大し続ける
ことが予測される。
【発明の概要】
【0004】
本願は、コーディングされた表現の復号に有用な制御情報を使用して、映像のコーディ
ングされた表現を処理するために、映像エンコーダおよびデコーダにより使用され得る技
術を開示する。
【0005】
1つの例示的な態様において、映像処理方法が開示される。この方法は、映像の映像ピ
クチャと映像のビットストリームとの変換を行うことを含む。この変換は、再構成された
映像ブロックの少なくとも一部のサンプルが、そのパラメータが示されたデブロッキング
フィルタを用いて選択的にフィルタリングされるデブロッキングフィルタリング動作を行
うことを含む。第1の映像ユニット内の1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で
割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレ
ベルの第1の構文要素と、第1の映像ユニット内の1つ以上のスライスの彩度成分に適用
される2で割ったtCに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の構
文要素とが、ビットストリームに含まれていない第1の構文要素および第2の構文要素に
応じて規則に従って決定される。この規則は、(1)構文フラグが、彩度ツールオフセッ
トがピクチャパラメータセットに存在することを示す場合、第1の構文要素は、第2の映
像ユニットに関連する彩度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメ
ータオフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの第3の構文要素に等しいとともに
、第2の構文要素は、第2の映像ユニットに関連する彩度成分に適用される2で割ったt
Cに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの
第4の構文要素に等しく、かつ、(2)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在しないことを示す場合、第1の構文要素は、第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスに対する輝度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第5の構文要素に等しいとともに、第2の構文要素は、第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスの輝度成分に適用される2で割ったtCに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第6の構文要素に等しい、ことを規定する。
【0006】
1つの例示的な態様において、映像処理方法が開示される。この方法は、1つ以上の映
像ブロックを含む映像と映像のコーディングされた表現との変換を行うことを含み、この
変換は、フォーマット規則に従ってコーディングされた表現において、そのパラメータが
信号通知されるデブロッキングフィルタを用いて再構成された映像ブロックを選択的にフ
ィルタリングするデブロッキングフィルタリング動作を行うことを含み、フォーマット規
則は、彩度成分に対して用いられるデブロッキングフィルタのパラメータがコーディング
された表現から推論される推論規則を含む。
【0007】
さらに別の例示的な態様において、映像エンコーダ装置が開示される。この映像エンコ
ーダは、上述した方法を実装するように構成された処理装置を備える。
【0008】
さらに別の例示的な態様において、映像デコーダ装置が開示される。この映像デコーダ
は、上述した方法を実装するように構成された処理装置を備える。
【0009】
さらに別の例示的な態様では、コードが記憶されたコンピュータ可読媒体が開示される
。このコードは、本明細書に記載の方法の1つを処理装置が実行可能なコードの形式で実
施する。
【0010】
これらのおよび他の特徴は、本明細書全体にわたって説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】映像処理システム例を示すブロック図である。
【
図3】映像処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態による映像コーディングシステムを示すブロック図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態によるエンコーダを示すブロック図である。
【
図6】本発明のいくつかの実施形態によるデコーダを示すブロック図である。
【
図7】本技術にしたがって映像処理の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、理解を容易にするために章の見出しを使用しており、その技術および各
章に記載された実施形態の適用可能性をその章のみに限定するものではない。さらに、H
.266という用語は、ある説明において、理解を容易にするためだけに用いられ、開示
される技術の範囲を限定するために用いられたものではない。このように、本明細書で説
明される技術は、他の映像コーデックプロトコルおよび設計にも適用可能である。
【0013】
1. 概要
本明細書は、映像コーディング技術に関する。具体的には、デブロッキングパラメータ
の信号通知の改善に関する。この考えは、個々に又は様々な組み合わせで、マルチレイヤ
映像コーディング、例えば、現在開発されているVVC(Versatile Vide
o Coding)をサポートする任意の映像コーディング規格又は非標準映像コーデッ
クに適用されてもよい。
【0014】
2. 略語
ALF Adaptive Loop Filter(適応ループフィルタ)
APS Adaptation Parameter Set(適応パラメータセット
)
AU Access Unit(アクセスユニット)
AUD Access Unit Delimiter(アクセスユニット区切り文字
)
AVC Advanced Video Coding(高度映像コーディング)
CLVS Coded Layer Video Sequence(コーディングされ
たレイヤ映像シーケンス)
CPB Coded Picture Buffer(コーディングされたピクチャバ
ッファ)
CRA Clean Random Access(クリーンランダムアクセス)
CTU Coding Tree Unit(コーディングツリーユニット)
CVS Coded Video Sequence(コーディングされた映像シーケ
ンス)
DCI Decoding Capability Information(復号能
力情報)
DPB Decoded Picture Buffer(復号されたピクチャバッフ
ァ)
DU Decoding Unit(復号ユニット)
EOB End Of Bitstream(ビットストリーム終端)
EOS End Of Sequence(シーケンス終端)
GDR Gradual Decoding Refresh(漸次的復号リフレッシ
ュ)
HEVC High Efficiency Video Coding(高効率映像コ
ーディング)
HRD Hypothetical Reference Decoder(仮想参照
デコーダ)
IDR Instantaneous Decoding Refresh(瞬時復号
リフレッシュ)
JEM Joint Exploration Model(共同探索モデル)
LMCS Luma Mapping with Chroma Scaling(彩度
スケーリングを伴う輝度マッピング)
MCTS Motion-Constrained Tile Sets(動き制約タイ
ルセット)
NAL Network Abstraction Layer(ネットワーク抽象化
レイヤ)
OLS Output Layer Set(出力レイヤセット)
PH Picture Header(ピクチャヘッダ)
PPS Picture Parameter Set(ピクチャパラメータセット)
PTL Profile, Tier and Level(プロファイル、層および
レベル)
PU Picture Unit(ピクチャユニット)
RADL Random Access Decodable Leading(Pic
ture) (ランダムアクセス復号可能リード)(ピクチャ)
RAP Random Access Point(ランダムアクセスポイント)
RASL Random Access Skipped Leading(Pictu
re) (ランダムアクセススキップリード)(ピクチャ)
RBSP Raw Byte Sequence Payload(生バイトシーケンス
ペイロード)
RPL Reference Picture List(参照ピクチャリスト)
SAO Sample Adaptive Offset(サンプル適応オフセット)
SEI Supplemental Enhancement Informatio
n(補足強化情報)
SPS Sequence Parameter Set(シーケンスパラメータセッ
ト)
STSA Step-wise Temporal Sublayer Access(
段階的時間的サブレイヤアクセス)
SVC Scalable Video Coding(スケーラブル映像コーディン
グ)
VCL Video Coding Layer(映像コーディングレイヤ)
VPS Video Parameter Set(映像パラメータセット)
VTM VVC Test Model(VVC試験モデル)
VUI Video Usability Information(映像ユーザビリ
ティ情報)
VVC Versatile Video Coding(汎用映像コーディング)
【0015】
3. 初期の協議
映像コーディング規格は、主に周知のITU-TおよびISO/IEC規格の開発によ
って発展してきた。ITU-Tは、H.261およびH.263を作り、ISO/IEC
は、MPEG-1およびMPEG-4Visualを作り、両団体は、H.262/MP
EG-2VideoとH.264/MPEG-4AVC(Advanced Video
Coding)とH.265/HEV規格を共同で作った。H.262以来、映像コー
ディング規格は、時間予測と変換コーディングが利用されるハイブリッド映像コーディン
グ構造に基づく。HEVCを超えた将来の映像コーディング技術を探索するため、201
5年には、VCEGとMPEGが共同でJVET(Joint Video Explo
ration Team)を設立した。それ以来、多くの新しい方法がJVETによって
採用され、JEM(Joint Exploration Model)と呼ばれる参照
ソフトウェアに組み込まれてきた。JVETは四半期に1回開催され、新しいコーディン
グ規格は、HEVCに比べて50%のビットレート低減を目指している。2018年4月
のJVET会議において、新しい映像コーディング規格を「VVC(Versatile
Video Coding)」と正式に命名し、その時、第1版のVVCテストモデル
(VTM)をリリースした。VVCの標準化に寄与する努力が続けられているため、すべ
てのJVET会議において、VVC規格に新しいコーディング技術が採用されている。毎
回の会議の後、VVC作業草案およびテストモデルVTMを更新する。VVCプロジェク
トは、現在、2020年7月の会合における技術完成(FDIS)を目指している。
【0016】
3.1. パラメータセット
AVC、HEVC、VVCはパラメータセットを規定する。パラメータセットのタイプ
は、SPS、PPS、APS、VPS等である。SPS、PPSは、AVC、HEVC、
VVCのすべてにおいてサポートされている。VPSは、HEVCから導入されたもので
あり、HEVCおよびVVCの両方に含まれる。APSは、AVCまたはHEVCに含ま
れていなかったが、最近のVVC草案のテキストに含まれている。
【0017】
SPSは、シーケンスレベルのヘッダ情報を伝送するように設計され、PPSは、頻繁
に変化しないピクチャレベルのヘッダ情報を伝送送するように設計された。SPSおよび
PPSを用いると、シーケンスまたはピクチャごとに頻繁に変化する情報を繰り返す必要
がないので、この情報の冗長な信号通知を回避することができる。さらに、SPSおよび
PPSを使用することは、重要なヘッダ情報の帯域外伝送を有効化し、それにより、冗長
な伝送の必要性を回避するだけでなく、誤り耐性を改善する。
【0018】
VPSは、マルチレイヤのビットストリームのすべてのレイヤに共通するシーケンスレ
ベルのヘッダ情報を伝送するために導入された。
【0019】
APSは、コーディングするためにかなりのビットを必要とし、複数のピクチャによっ
て共有され得る、このようなピクチャレベルまたはスライスレベルの情報を伝送するため
に導入された。そして、シーケンスにおいて、非常に多くの異なる変形例が存在し得る。
【0020】
3.2. VVCにおけるスライスヘッダおよびピクチャヘッダ
HEVCと同様に、VVCにおけるスライスヘッダは、特定のスライスに関する情報を
伝達する。これは、スライスアドレス、スライスタイプ、スライスQP、ピクチャオーダ
カウント(POC)最下位ビット(LSBs)、RPSおよびRPL情報、重み付け予測
パラメータ、ループフィルタリングパラメータ、タイルのエントリオフセット、およびW
PPなどを含む。
【0021】
VVCは、特定のピクチャのためのヘッダパラメータを含むピクチャヘッダ(PH)を
導入した。各ピクチャは、1つのPHまたは1つのPHのみを有する必要がある。PHは
、基本的に、PHが導入されなかったとした場合に、それぞれが1つのピクチャのすべて
のスライスに対して同じ値を有するとき、スライスヘッダにあったであろうパラメータを
伝送する。これらは、IRAP/GDRピクチャ指示、インター/イントラスライス許可
フラグ、POC LSB、およびオプションとしてPOC MSB、RPL情報、デブロ
ッキング、SAO、ALF、QPデルタ、および重み予測、コーディングブロック分割情
報、仮想境界、同一位置ピクチャ情報等に関する情報等を含む。ピクチャのシーケンス全
体における各ピクチャは、1つのスライスのみを含むことが多い。このような場合、各ピ
クチャに少なくとも2つのNALユニットを有することを許可しないために、PH構文構
造は、PH NALユニット又はスライスヘッダのいずれかに含めることができる。
【0022】
VVCにおいて、時間的動きベクトル予測に使用される同一位置のピクチャの情報は、
ピクチャヘッダ又はスライスヘッダのいずれかにおいて信号通知される。
【0023】
3.3 VVCにおけるデブロッキングフィルタ(DB)
VVCにおいて、CU、TU、サブブロックの境界に隣接するサンプルにデブロッキン
グフィルタが適用されるが、境界がピクチャ境界でもある場合、またはスライス、タイル
、サブピクチャの境界でデブロッキングが無効になっている場合(これはエンコーダから
信号通知できるオプションである)は除く。デブロッキングフィルタリング処理は、CU
境界と変換サブブロック境界には4×4グリッド、予測サブブロック境界には8×8グリ
ッドで適用される。予測サブブロック境界には、SbTMVPモードとアフィンモードに
よってもたらされる予測単位境界が含まれ、変換サブブロック境界には、SBTモードと
ISPモードによって導入される変換ユニット境界と、大規模なCUの暗黙の分割による
変換が含まれる。デブロッキングフィルタの処理順序は、HEVCと同様に、まずピクチ
ャ全体の垂直方向のエッジに対して水平方向のフィルタリングを行い、次に水平方向のエ
ッジに対して垂直方向のフィルタリングを行うように定義されている。この順序により、
複数の水平フィルタリングまたは垂直フィルタリング処理を並列スレッドで適用したり、
CTB単位で実装したりしてもわずかな処理遅延で済むようになる。
【0024】
VVCは、ロングデブロッキングフィルタを規定する。このフィルタリング処理は、H
EVCと同様である。デブロッキングフィルタの境界フィルタ強度(bS)は、隣接する
2つのブロックの複数の構文要素の値によって制御され、フィルタ強度と隣接ブロックの
平均量子化パラメータに応じて、2つの閾値tCとβがあらかじめ定義されたテーブルか
ら決定される。輝度サンプルについては、βとブロックサイズに基づいて、フィルタリン
グなし、弱フィルタリング、ショートストロングフィルタリング、ロングストロングフィ
ルタリングの3つの4つのケースから1つを選択する。彩度サンプルに対して、フィルタ
リングなし、通常フィルタリング、強フィルタリングの3つのケースがある。VVCにお
いて、HEVCと比較して、輝度サンプルに対するロングストロングフィルタリングと彩
度サンプルに対する強フィルタリングが新たに導入される。ロング輝度ストロングフィル
タリングは、境界の片側のサンプルが1つの大きなブロックに属する場合に使用される。
大型ブロックに属するサンプルは、垂直エッジに対する幅が32以上、または水平エッジ
に対する高さが32以上として定義される。強フィルタでは、境界の片側で最大7サンプ
ルまでフィルタリングされる。ストロング彩度フィルタリングは、彩度エッジの両側が8
以上(彩度サンプルのユニットにおいて)である場合に適用され、左右各3つの彩度サン
プルがフィルタリングされる。
【0025】
VVCにおける輝度適応型デブロッキングは、さらに、再構成されたサンプルの平均化
輝度レベルに基づいて、デブロッキングフィルタのtCとβを調整する。輝度適応型デブ
ロッキングが有効化された場合、フィルタリング境界付近の平均化輝度レベルに基づいて
導出されるオフセットqpOffsetが、隣接する2つのブロックの平均量子化パラメ
ータに加算される。qpOffset と輝度レベルのマッピング関数は、映像コンテン
ツの伝達特性(電気光学伝達関数(EOTF)、光学伝達関数(OOTF))に応じて導
出する必要があり、SPSにおいて信号通知される。
【0026】
3.4 VVCにおけるデブロッキング信号通知
いくつかの実施形態におけるデブロッキング信号通知は、以下のように定義される。
【0027】
7.3.2.4 ピクチャパラメータセットRBSP構文
【0028】
【0029】
7.4.3.4 ピクチャパラメータセットRBSP意味論
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
pps_deblocking_filter_disabled_flagが0に等し
い場合、以下の2つの条件のうちいずれかが成立するPPSを参照するスライスに対して
、デブロッキングフィルタの動作を適用することを規定する。1)ph_deblock
ig_filter_disabled_flagとslice_deblocking
_filter_disabled_flagが存在しない、2)ph_deblock
ig_filter_disabled_flagまたはslice_deblocki
ng_filter_disabled_flagが存在し、かつ、0に等しいことを規
定し、さらに、ph_deblockig_filter_disabled_flag
またはslice_deblocking_filter_disabled_flag
が存在し、かつ、1に等しいPPSを参照しているスライスに対して、デブロッキングフ
ィルタの動作を適用しないことを規定する。
存在しない場合、pps_deblocking_filter_disabled_f
lagの値は、0に等しいと推論される。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
7.3.2.7 ピクチャヘッダ構造構文
【0039】
【0040】
7.4.3.7 ピクチャヘッダ構造意味論
【0041】
【0042】
【0043】
ph_deblocking_filter_disabled_flagが0に等しい
場合、slice_deblocking_filter_disabled_flag
がSHに存在せず0に等しいと推論される、または、SHに存在し0に等しいPHと関連
するスライスに対してデブロッキングフィルタの動作が適用されることを規定するととも
に、slice_deblocking_filter_disabled_flagが
SHに存在せず1に等しいと推論される、または、SHに存在し1に等しいPHと関連す
るスライスに対してデブロッキングフィルタの動作が適用されないことを規定する。
ph_deblocking_filter_disabled_flagが存在しない
場合、以下のように推論される。
- pps_deblocking_filter_disabled_flagとph
_deblocking_filter_override_flagとがともに1に等
しい場合、ph_deblocking_filter_disabled_flagの
値は0と推論される。
- そうでない場合(pps_deblocking_filter_disabled
_flag、または、ph_deblocking_filter_override_
flagが0に等しい)、ph_deblocking_filter_disable
d_flagの値はpps_deblocking_filter_disabled_
flagに等しいと推論される。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
7.3.7.1 一般スライスヘッダ構文
【0048】
【0049】
7.4.8.1 一般スライスヘッダ意味論
【0050】
【0051】
【0052】
- pps_deblocking_filter_disabled_flagとslice_deblocking_filter_override_flagとがとも
に1に等しい場合、slice_deblocking_filter_disable
d_flagの値は0と推論される。
- そうでない場合(pps_deblocking_filter_disabled
_flagまたはslice_deblocking_filter_override
_flagが0に等しい)、slice_deblocking_filter_dis
abled_flagの値はph_deblocking_filter_disabl
ed_flagに等しいと推論される。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
4. 開示される技術的解決策および実施例によって解決される技術的課題
いくつかの実施形態における既存の設計は、以下の課題を有する。
1)ph_cb_beta_offset_div2およびph_cb_tc_of
fset_div2が存在しない場合、推論において、pps_cb_beta_off
set_div2およびpps_cb_tc_offset_div2の値を無意味にす
る。
2)ph_cr_beta_offset_div2およびph_cr_tc_of
fset_div2が存在しない場合、推論は、pps_cr_beta_offset
_div2およびpps_cr_tc_offset_div2の値を無意味にする。
3)slice_cb_beta_offset_div2およびslice_cb
_tc_offset_div2が存在しない場合、推論において、ph_cb_bet
a_offset_div2およびph_cb_tc_offset_div2の値を無
意味にする。
4)slice_cr_beta_offset_div2およびslice_cr
_tc_offset_div2が存在しない場合、推論において、ph_cr_bet
a_offset_div2およびph_cr_tc_offset_div2の値を無
意味にする。
【0057】
5. 解決策および実施形態の一覧
上記課題を解決するために、以下に示す方法が開示されている。本発明は、一般的な概念
を説明するための例と見なされるべきであり、狭義に解釈されるべきではない。さらに、
本発明は、個々に適用されてもよいし、任意に組み合わせて適用されてもよい。
1)課題1を解決するために、ph_cb_beta_offset_divおよびp
h_cb_tc_offset_div2が存在しない場合の推論について、以下のよう
に変更される。
存在しない場合、ph_cb_beta_offset_div2およびph_cb
_tc_offset_div2の値は以下のように推論される。pps_chroma
_tool_offsets_present_flagが0に等しい場合、ph_cb
_beta_offset_div2およびph_cb_tc_offset_div2
は、それぞれph_luma_beta_offset_div2およびph_luma
_tc_offset_div2に等しいと推論される。そうでない場合、ph_cb_
beta_offset_div2およびph_cb_tc_offset_div2は
、それぞれpps_cb_beta_offset_div2およびpps_cb_tc
_offset_div2に等しいと推論される。
2)課題2を解決するために、ph_cr_beta_offset_div2および
ph_cr_tc_offset_div2が存在しない場合の推論について、以下のよ
うに変更される。
存在しない場合、ph_cr_beta_offset_div2およびph_cr
_tc_offset_div2の値は以下のように推論される。pps_chroma
_tool_offsets_present_flagが0に等しい場合、ph_cr
_beta_offset_div2およびph_cr_tc_offset_div2
は、それぞれph_luma_beta_offset_div2およびph_luma
_tc_offset_div2に等しいと推論される。そうでない場合、ph_cr_
beta_offset_div2およびph_cr_tc_offset_div2は
、それぞれpps_cr_beta_offset_div2およびpps_cr_tc
_offset_div2に等しいと推論される。
3)課題3を解決するために、slice_cb_beta_offset_div2
およびslice_cb_tc_offset_div2が存在しない場合の推論につい
て、以下のように変更される。
存在しない場合、slice_cb_beta_offset_div2およびsl
ice_cb_tc_offset_div2の値は、以下のように推論される。pps
_chroma_tool_offsets_present_flagが0に等しい場
合、slice_cb_beta_offset_div2およびslice_cb_t
c_offset_div2は、それぞれslice_luma_beta_offse
t_div2およびslice_luma_tc_offset_div2に等しいと推
論される。そうでない場合、slice_cb_beta_offset_div2およ
びslice_cb_tc_offset_div2は、それぞれph_cb_beta
_offset_div2およびph_cb_tc_offset_div2に等しいと
推論される。
4)課題4を解決するために、slice_cr_beta_offset_div2
およびslice_cr_tc_offset_div2が存在しない場合の推論につい
ては、以下のように変更される。
存在しない場合、slice_cr_beta_offset_div2およびsl
ice_cr_tc_offset_div2の値は、以下のように推論される。pps
_chroma_tool_offsets_present_flagが0に等しい場
合、slice_cr_beta_offset_div2およびslice_cr_t
c_offset_div2は、それぞれslice_luma_beta_offse
t_div2およびslice_luma_tc_offset_div2に等しいと推
論される。そうでない場合、slice_cr_beta_offset_div2およ
びslice_cr_tc_offset_div2は、それぞれph_cr_beta
_offset_div2およびph_cr_tc_offset_div2に等しいと
推論される。
【0058】
6. 実施形態
【0059】
【0060】
6.1. 第1の実施形態
本実施形態は1、2、3、および4項に対するものである。
【0061】
7.4.3.7 ピクチャヘッダ構造意味論
【0062】
【0063】
【0064】
ph_deblocking_filter_disabled_flagが0に等しい
場合、slice_deblocking_filter_disabled_flag
がSHに存在せず0に等しいと推論される、または、SHに存在し0に等しいPHと関連
するスライスに対してデブロッキングフィルタの動作が適用されることを規定するととも
に、slice_deblocking_filter_disabled_flagが
SHに存在せず1に等しいと推論される、または、SHに存在し1に等しいPHと関連す
るスライスに対してデブロッキングフィルタの動作が適用されないことを規定する。
ph_deblocking_filter_disabled_flagが存在しない
場合、以下のように推論される。
- pps_deblocking_filter_disabled_flagとph
_deblocking_filter_override_flagとがともに1に等
しい場合、ph_deblocking_filter_disabled_flagの
値は0と推論される。
- そうでない場合(pps_deblocking_filter_disabled
_flag、または、ph_deblocking_filter_override_
flagが0に等しい)、ph_deblocking_filter_disable
d_flagの値はpps_deblocking_filter_disabled_
flagに等しいと推論される。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
[[存在しない場合、ph_cb_beta_offset_div2およびph_cb
_tc_offset_div2の値は、それぞれph_luma_beta_offs
et_div2およびph_luma_tc_offset_div2に等しいと推論さ
れる。]]
【0069】
【0070】
【0071】
[[存在しない場合、ph_cr_beta_offset_div2およびph_cr
_tc_offset_div2の値は、それぞれph_luma_beta_offs
et_div2およびph_luma_tc_offset_div2に等しいと推論さ
れる。]]
...
【0072】
7.4.8.1 一般スライスヘッダ意味論
【0073】
【0074】
【0075】
slice_deblocking_filter_disabled_flagが存在
しない場合、以下のように推論される。
- pps_deblocking_filter_disabled_flagとslice_deblocking_filter_override_flagとがとも
に1に等しい場合、slice_deblocking_filter_disable
d_flagの値は0と推論される。
- そうでない場合(pps_deblocking_filter_disabled
_flagまたはslice_deblocking_filter_override
_flagが0に等しい)、slice_deblocking_filter_dis
abled_flagの値はph_deblocking_filter_disabl
ed_flagに等しいと推論される。
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
[[存在しない場合、slice_cb_beta_offset_div2およびsl
ice_cb_tc_offset_div2の値は、それぞれslice_luma_
beta_offset_div2およびslice_luma_tc_offset_
div2に等しいと推論される。]]
【0080】
【0081】
【0082】
[[存在しない場合、slice_cr_beta_offset_div2およびsl
ice_cr_tc_offset_div2の値は、それぞれslice_luma_
beta_offset_div2およびslice_luma_tc_offset_
div2に等しいと推論される。]]
【0083】
図1は、本明細書で開示される様々な技術が実装され得る例示的な映像処理システム1
900を示すブロック図である。様々な実装形態は、システム1900のモジュールの一
部又は全部を含んでもよい。システム1900は、映像コンテンツを受信するための入力
ユニット1902を含んでもよい。映像コンテンツは、未加工または非圧縮フォーマット
、例えば、8または10ビットのマルチコンポーネント画素値で受信されてもよく、また
は、圧縮または符号化フォーマットで受信されてもよい。入力ユニット1902は、ネッ
トワークインターフェース、周辺バスインターフェース、または、ストレージインターフ
ェースを表してもよい。ネットワークインターフェースの例は、イーサネット(登録商標
)、パッシブ光ネットワーク(PON)等の有線インターフェース、およびWi-Fiま
たはセルラーインターフェース等の無線インターフェースを含む。
【0084】
システム1900は、本明細書に記載される様々なコーディングまたは符号化方法を実
装することができるコーディングコンポーネント1904を含んでもよい。コーディング
コンポーネント1904は、入力1902からの映像の平均ビットレートをコーディング
コンポーネント1904の出力に低減し、映像のコーディングされた表現を生成してもよ
い。したがって、このコーディング技術は、映像圧縮または映像トランスコーディング技
術と呼ばれることがある。コーディングコンポーネント1904の出力は、コンポーネン
ト1906によって表されるように、記憶されてもよいし、接続された通信を介して送信
されてもよい。入力1902において受信された、記憶されたまたは通信された映像のビ
ットストリーム(またはコーディングされた)表現は、コンポーネント1908によって
使用されて、表示インターフェース1910に送信される画素値または表示可能な映像を
生成してもよい。ビットストリーム表現からユーザが見ることができる映像を生成する処
理は、映像展開と呼ばれることがある。さらに、特定の映像処理動作は「コーディング」
動作またはツールと呼ばれるが、コーディングツールまたは動作は、エンコーダで使用さ
れ、コーディングの結果を逆にする復号ツール又は動作が、デコーダによって行われるこ
とが理解されよう。
【0085】
周辺バスインターフェースまたは表示インターフェースの例は、ユニバーサルシリアル
バス(USB)またはハイビジョンマルチメディアインターフェース(HDMI(登録商
標))またはディスプレイポート等を含んでもよい。ストレージインターフェースの例は
、SATA(Serial Advanced Technology Attachm
ent)、PCI、IDEインターフェース等を含む。本明細書に記載される技術は、携
帯電話、ノートパソコン、スマートフォン、またはデジタルデータ処理および/または映
像表示を実施可能な他のデバイス等の様々な電子デバイスに実施されてもよい。
【0086】
図2は、映像処理装置3600のブロック図である。装置3600は、本明細書に記載
の方法の1つ以上を実装するために使用してもよい。装置3600は、スマートフォン、
タブレット、コンピュータ、モノのインターネット(IoT)受信機等に実施されてもよ
い。装置3600は、1つ以上の処理装置3602と、1つ以上のメモリ3604と、映
像処理ハードウェア3606と、を含んでもよい。1つ以上のプロセッサ3602は、本
明細書に記載される1つ以上の方法を実装するように構成されてもよい。メモリ(複数可
)3604は、本明細書で説明される方法および技術を実装するために使用されるデータ
およびコードを記憶するために使用してもよい。映像処理ハードウェア3606は、本明
細書に記載される技術をハードウェア回路にて実装するために使用してもよい。
【0087】
図4は、本開示の技法を利用し得る例示的な映像コーディングシステム100を示すブ
ロック図である。
【0088】
図4に示すように、映像コーディングシステム100は、送信元デバイス110と、送
信先デバイス120と、を備えてもよい。送信元デバイス110は、映像符号化装置とも
称され、符号化映像データを生成する。送信先デバイス120は、送信元デバイス110
によって生成された、コーディング映像データを復号してよく、映像復号デバイスと呼ば
れ得る。
【0089】
送信元デバイス110は、映像ソース112と、映像エンコーダ114と、入出力(I
/O)インターフェース116と、を備えてもよい。
【0090】
映像ソース112は、映像キャプチャデバイスなどのソース、映像コンテンツプロバイ
ダからの映像データを受信するためのインターフェース、および/または映像データを生
成するためのコンピュータグラフィックスシステム、またはこれらのソースの組み合わせ
を含んでもよい。映像データは、1つ以上のピクチャを含んでもよい。映像エンコーダ1
14は、映像ソース112からの映像データを符号化し、ビットストリームを生成する。
ビットストリームは、映像データのコーディングされた表現を形成するビットのシーケン
スを含んでもよい。ビットストリームは、コーディングされたピクチャおよび関連付けら
れたデータを含んでもよい。コーディングされたピクチャは、ピクチャのコーディングさ
れた表現である。関連付けられたデータは、シーケンスパラメータセット、ピクチャパラ
メータセット、および他の構文構造を含んでもよい。I/Oインターフェース116は、
変復調器(モデム)および/または送信機を含んでもよい。符号化された映像データは、
ネットワーク130aを介して、I/Oインターフェース116を介して送信先デバイス
120に直接送信されてよい。符号化された映像データは、送信先デバイス120がアク
セスするために、記録媒体/サーバ130bに記憶してもよい。
【0091】
送信先デバイス120は、I/Oインターフェース126、映像デコーダ124、およ
び表示装置122を含んでもよい。
【0092】
I/Oインターフェース126は、受信機および/またはモデムを含んでもよい。I/
Oインターフェース126は、送信元デバイス110または記憶媒体/サーバ130bか
ら符号化された映像データを取得してもよい。映像デコーダ124は、符号化された映像
データを復号してもよい。表示装置122は、復号された映像データをユーザに表示して
もよい。表示装置122は、送信先デバイス120と一体化されてもよく、または外部表
示装置とインターフェースで接続するように構成される送信先デバイス120の外部にあ
ってもよい。
【0093】
映像エンコーダ114および映像デコーダ124は、高効率映像符号化(HEVC)規
格、汎用映像符号化(VVVM)規格、および他の現在のおよび/または更なる規格等の
映像圧縮規格に従って動作してもよい。
【0094】
図5は、映像エンコーダ200の一例を示すブロック図であり、
図4に示されるシステ
ム100における映像エンコーダ114であってもよい。
【0095】
映像エンコーダ200は、本開示の技術のいずれかまたは全部を行うように構成されて
もよい。
図5の実施例において、映像エンコーダ200は、複数の機能性モジュールを含
む。本開示で説明される技法は、映像エンコーダ200の様々なモジュール間で共有され
てもよい。いくつかの例では、処理装置は、本開示で説明される技術のいずれかまたはす
べてを行うように構成してもよい。
【0096】
映像エンコーダ200の機能性モジュールは、分割ユニット201、予測ユニット20
2を含んでもよく、予測ユニット202は、モード選択ユニット203、動き推定ユニッ
ト204、動き補償ユニット205、およびイントラ予測ユニット206、残差生成ユニ
ット207、変換ユニット208、量子化ユニット209、逆量子化ユニット210、逆
変換ユニット211、再構成ユニット212、バッファ213、およびエントロピー符号
化ユニット214を含んでもよい。
【0097】
他の例において、映像エンコーダ200は、さらに多くの、さらに少ない、または異な
る機能コンポーネントを含んでもよい。一例において、予測ユニット202は、イントラ
ブロックコピー(IBC)ユニットを含んでもよい。IBCユニットは、少なくとも1つ
の参照ピクチャが、現在の映像ブロックが位置するピクチャであるIBCモードにおいて
予測を実行してもよい。
【0098】
さらに、動き推定ユニット204および動き補償ユニット205などのいくつかのモジ
ュールは、高度に統合されてもよいが、説明のために、
図5の例においては別個に表現さ
れている。
【0099】
分割ユニット201は、ピクチャを1つ以上の映像ブロックに分割してもよい。映像エ
ンコーダ200および映像デコーダ300は、様々な映像ブロックサイズをサポートして
もよい。
【0100】
モード選択ユニット203は、例えば、誤りの結果に基づいて、イントラまたはインタ
ーのコーディングモードのうちの1つを選択し、得られたイントラまたはインターコーデ
ィングされたブロックを残差生成ユニット207に供給し、残差ブロックデータを生成し
て再構成ユニット212に供給し、符号化されたブロックを参照ピクチャとして使用する
ために再構成してもよい。いくつかの例において、モード選択ユニット203は、インタ
ー予測信号およびイントラ予測信号に基づいて予測を行うCIIP(Combinati
on of Intra and Inter Prediction)モードを選択し
てもよい。モード選択ユニット203は、インター予測の場合、ブロックのために動きベ
クトルの解像度(例えば、サブピクセル又は整数ピクセル精度)を選択してもよい。
【0101】
現在の映像ブロックに対してインター予測を行うために、動き推定ユニット204は、
バッファ213からの1つ以上の参照フレームと現在の映像ブロックとを比較することに
より、現在の映像ブロックに対する動き情報を生成してもよい。動き補償ユニット205
は、動き情報および現在の映像ブロックに関連付けられたピクチャ以外のバッファ213
からのピクチャの復号化されたサンプルに基づいて、現在の映像ブロックに対する予測映
像ブロックを決定してもよい。
【0102】
動き推定ユニット204および動き補償ユニット205は、現在の映像ブロックがIス
ライスであるか、Pスライスであるか、またはBスライスであるかに基づいて、例えば、
現在の映像ブロックに対して異なる動作を行ってもよい。
【0103】
いくつかの例において、動き推定ユニット204は、現在の映像ブロックに対して単一
方向予測を行い、動き推定ユニット204は、現在の映像ブロックに対して、参照映像ブ
ロック用のリスト0またはリスト1の参照ピクチャを検索してもよい。そして、動き推定
ユニット204は、参照映像ブロックと、現在の映像ブロックと参照映像ブロックとの間
の空間的変位を示す動きベクトルとを含む、リスト0またはリスト1における参照ピクチ
ャを示す参照インデックスを生成してもよい。動き推定ユニット204は、参照インデッ
クス、予測方向インジケータ、および動きベクトルを、現在の映像ブロックの動き情報と
して出力してもよい。動き補償ユニット205は、現在の映像ブロックの動き情報が示す
参照映像ブロックに基づいて、現在のブロックの予測映像ブロックを生成してもよい。
【0104】
他の例において、動き推定ユニット204は、現在の映像ブロックを双方向予測しても
よく、動き推定ユニット204は、現在の映像ブロックに対する参照映像ブロックについ
て、リスト0から参照ピクチャを検索してもよく、また、現在の映像ブロックに対する別
の参照映像ブロックについて、リスト1における参照ピクチャも検索してもよい。そして
、動き推定ユニット204は、参照映像ブロックを含むリスト0およびリスト1における
参照ピクチャを示す参照インデックスと、参照映像ブロックと現在の映像ブロックとの間
の空間的変位を示す動きベクトルとを生成してもよい。動き推定ユニット204は、現在
の映像ブロックの動き情報として、現在の参照ブロックの参照インデックスと動きベクト
ルとを出力してもよい。動き補償ユニット205は、現在の映像ブロックの動き情報が示
す参照映像ブロックに基づいて、現在の映像ブロックの予測映像ブロックを生成してもよ
い。
【0105】
いくつかの例において、動き推定ユニット204は、デコーダの復号化処理のために、
動き情報のフルセットを出力してもよい。
【0106】
いくつかの例では、動き推定ユニット204は、現在の映像のための動き情報のフルセ
ットを出力しなくてもよい。むしろ、動き推定ユニット204は、別の映像ブロックの動
き情報を参照して、現在の映像ブロックの動き情報を信号通知してもよい。例えば、動き
推定ユニット204は、現在の映像ブロックの動き情報が隣接する映像ブロックの動き情
報に十分に類似していることを判定してもよい。
【0107】
一例において、動き推定ユニット204は、現在の映像ブロックに関連付けられた構文
構造において、現在の映像ブロックが別の映像ブロックと同一の動き情報を有することを
映像デコーダ300に示す値を示してもよい。
【0108】
他の例において、動き推定ユニット204は、現在の映像ブロックに関連付けられた構
文構造において、別の映像ブロックと、動きベクトル差分(MVD;Motion Ve
ctor Difference)とを識別してもよい。動きベクトル差分は、現在の映
像ブロックの動きベクトルと、指定された映像ブロックの動きベクトルとの差分を示す。
映像デコーダ300は、指定された映像ブロックの動きベクトルと動きベクトル差分とを
使用して、現在の映像ブロックの動きベクトルを決定してもよい。
【0109】
上述したように、映像エンコーダ200は、動きベクトルを予測的に信号通知してもよ
い。映像エンコーダ200によって実装され得る予測信号通知技術の2つの例は、高度動
きベクトル予測(AMVP)およびマージモード信号通知を含む。
【0110】
イントラ予測ユニット206は、現在の映像ブロックに対してイントラ予測を行っても
よい。イントラ予測ユニット206が現在の映像ブロックをイントラ予測する場合、イン
トラ予測ユニット206は、同一ピクチャにおける他の映像ブロックの復号されたサンプ
ルに基づいて、現在の映像ブロックに対する予測データを生成してもよい。現在の映像ブ
ロックのための予測データは、予測された映像ブロックおよび様々な構文要素を含んでも
よい。
【0111】
残差生成ユニット207は、現在の映像ブロックから現在の映像ブロックの予測された
映像ブロックを減算することによって(例えば、マイナス符号によって示されている)、
現在の映像ブロックに対する残差データを生成してもよい。現在の映像ブロックの残差デ
ータは、現在の映像ブロックにおけるサンプルの異なるサンプル成分に対応する残差映像
ブロックを含んでもよい。
【0112】
他の例において、例えば、スキップモードにおいて、現在の映像ブロックに対する残差
データがなくてもよく、残差生成ユニット207は、減算動作を行わなくてもよい。
【0113】
変換処理ユニット208は、現在の映像ブロックに関連付けられた残差映像ブロックに
1つ以上の変換を適用することによって、現在の映像ブロックのための1つ以上の変換係
数映像ブロックを生成してもよい。
【0114】
変換処理ユニット208が現在の映像ブロックに関連付けられた変換係数映像ブロック
を生成した後、量子化ユニット209は、現在の映像ブロックに関連付けられた1つ以上
の量子化パラメータ(QP:Quantization Parameter)値に基づ
いて、現在の映像ブロックに関連付けられた変換係数映像ブロックを量子化してもよい。
【0115】
逆量子化ユニット210および逆変換ユニット211は、変換係数映像ブロックに逆量
子化および逆変換をそれぞれ適用し、変換係数映像ブロックから残差映像ブロックを再構
成してもよい。再構成ユニット212は、予測ユニット202によって生成された1つ以
上の予測映像ブロックに対応するサンプルに再構成された残差映像ブロックを追加して、
バッファ213に格納するための現在のブロックに関連付けられた再構成された映像ブロ
ックを生成してもよい。
【0116】
再構成ユニット212が映像ブロックを再構成した後、映像ブロックにおける映像ブロ
ッキングアーチファクトを縮小するために、ループフィルタリング動作が行われてもよい
。
【0117】
エントロピーエンコーディングユニット214は、映像エンコーダ200の他の機能コ
ンポーネントからデータを受信してもよい。エントロピーエンコーディングユニット21
4がデータを受信すると、エントロピーエンコーディングユニット214は、1つ以上の
エントロピーエンコーディング動作を行い、エントロピーエンコードされたデータを生成
し、エントロピーエンコードされたデータを含むビットストリームを出力してもよい。
【0118】
図6は、映像デコーダ300の一例を示すブロック図であり、映像デコーダ300は、
図4に示すシステム100における映像デコーダ114であってもよい。
【0119】
映像デコーダ300は、本開示の技術のいずれかまたは全てを行うように構成されても
よい。
図6の実施例において、映像デコーダ300は、複数の機能性モジュールを含む。
本開示で説明される技法は、映像デコーダ300の様々なモジュール間で共有されてもよ
い。いくつかの例では、処理装置は、本開示で説明される技術のいずれかまたはすべてを
行うように構成してもよい。
【0120】
図6の実施例において、映像デコーダ300は、エントロピー復号ユニット301、動
き補償ユニット302、イントラ予測ユニット303、逆量子化ユニット304、逆変換
ユニット305、および再構成ユニット306、並びにバッファ307を含む。映像デコ
ーダ300は、いくつかの例では、映像エンコーダ200(
図5)に関して説明したエン
コーディングパスとほぼ逆のデコーディングパスを行ってもよい。
【0121】
エントロピー復号ユニット301は、符号化されたビットストリームを取り出す。符号
化されたビットストリームは、エントロピーコーディングされた映像データ(例えば、映
像データの符号化されたブロック)を含んでもよい。エントロピー復号ユニット301は
、エントロピーコーディングされた映像データを復号し、エントロピー復号された映像デ
ータから、動き補償ユニット302は、動きベクトル、動きベクトル精度、参照ピクチャ
リストインデックス、および他の動き情報を含む動き情報を決定してもよい。動き補償ユ
ニット302は、例えば、AMVPおよびマージモードを行うことで、このような情報を
決定してもよい。
【0122】
動き補償ユニット302は、動き補償されたブロックを生成してもよく、場合によって
は、補間フィルタに基づいて補間を行う。構文要素には、サブピクセルの精度で使用され
る補間フィルタのための識別子が含まれてもよい。
【0123】
動き補償ユニット302は、映像ブロックの符号化中に映像エンコーダ200によって
使用されるような補間フィルタを使用して、参照ブロックのサブ整数画素のための補間値
を計算してもよい。動き補償ユニット302は、受信した構文情報に基づいて、映像エン
コーダ200により使用される補間フィルタを決定し、予測ブロックを生成に補間フィル
タを使用してしてもよい。
【0124】
動き補償ユニット302は、エンコードされた映像シーケンスのフレームおよび/また
はスライスをエンコードするために使用されるブロックのサイズを判定するための構文情
報、エンコードされた映像シーケンスのピクチャの各マクロブロックがどのように分割さ
れるかを記述する分割情報、各分割がどのようにエンコードされるかを示すモード、各イ
ンターエンコードされたブロックに対する1つ以上の参照フレーム(および参照フレーム
リスト)、およびエンコードされた映像シーケンスをデコードするための他の情報のうち
いくつかを使用してもよい。
【0125】
イントラ予測ユニット303は、例えば、ビットストリームにおいて受信したイントラ
予測モードを使用して、空間的に隣接するブロックから予測ブロックを形成してもよい。
逆量子化ユニット303は、ビットストリームに提供され、エントロピー復号ユニット3
01によって復号された量子化映像ブロック係数を逆量子化(すなわち、逆量子化)する
。逆変換ユニット303は、逆変換を適用する。
【0126】
再構成ユニット306は、残差ブロックと、動き補償ユニット202またはイントラ予
測ユニット303によって生成された対応する予測ブロックとを合計し、復号されたブロ
ックを形成してもよい。所望であれば、ブロックアーチファクトを除去するために、復号
されたブロックをフィルタリングするためにデブロッキングフィルタも適用してもよい。
復号された映像ブロックは、バッファ307に記憶され、バッファ307は、後続の動き
補償/イントラ予測のために参照ブロックを提供し、表示装置に表示するために復号され
た映像を生成する。
【0127】
次に、いくつかの実施形態において好適な解決策を列挙する。
【0128】
以下の解決策は、前章(例えば、項目1から4)で論じた技術の例示的な実施形態を示
す。
【0129】
1.1つ以上の映像ブロックを含む映像と映像のコーディングされた表現との変換を行
うこと(3002)を含み、この変換は、フォーマット規則に従ってコーディングされた
表現においてパラメータが信号通知されるデブロッキングフィルタを用いて再構成された
映像ブロックを選択的にフィルタリングするデブロッキングフィルタリング動作を行うこ
とを含み、フォーマット規則は、彩度成分に対して用いられるデブロッキングフィルタの
パラメータがコーディングされた表現から推論される推論規則を含む、映像処理方法(例
えば、
図3に示す方法3000)。
【0130】
2.彩度成分がcr成分である解決策1に記載の方法。
【0131】
3.彩度成分がcb成分である解決策1~2のいずれかに記載の方法。
【0132】
4.前記推論規則は、前記デブロッキングフィルタのベータパラメータおよび前記デブ
ロッキングフィルタのオフセットパラメータを、前記コーディングされた表現に含まれる
フラグの値に基づいて推論することを規定する、解決策1~3のいずれかに記載の方法。
【0133】
5.前記推論規則は、前記フラグの第1の値に対して、前記ベータパラメータおよび前
記オフセットパラメータがゼロであると推論されることを規定する、解決策4に記載の方
法。
【0134】
6.前記推論規則は、前記フラグの第2の値に対して、ベータパラメータおよびオフセ
ットパラメータが、対応する輝度ブロックのベータおよびオフセットパラメータから導出
されることを規定する、解決策4~5のいずれかに記載の方法。
【0135】
7.前記変換は、前記映像を前記コーディング表現に符号化することを含む、解決策1
~6のいずれかに記載の方法。
【0136】
8.前記変換は、前記映像の画素値を生成するために前記コーディング表現を復号する
ことを含む、解決策1~6のいずれかに記載の方法。
【0137】
9.解決策1~8の1つ以上に記載の方法を実行するように構成された処理装置を備え
る、映像復号装置。
【0138】
10.解決策1~8の1つ以上に記載の方法を実行するように構成された処理装置を備
える、映像符号化装置。
【0139】
11.コンピュータコードが記憶されたコンピュータプログラム製品であって、前記コ
ードは、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、解決策1~8のいずれかに
記載の方法を実行させるコンピュータプログラム製品。
【0140】
12.本明細書に記載の方法、装置またはシステム。
【0141】
図7は、本技術にしたがって映像処理の方法700を示すフローチャートである。この
方法700は、工程710において、映像の映像ピクチャと映像のビットストリームとの
変換を行うことを含む。この変換は、再構成された映像ブロックの少なくとも一部のサン
プルが、そのパラメータが示されたデブロッキングフィルタを用いて選択的にフィルタリ
ングされるデブロッキングフィルタリング動作を行うことを含む。第1の映像ユニット内
の1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラ
メータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第1の構文要素と、第1の映像
ユニット内の1つ以上のスライスの彩度成分に適用される2で割ったtCに対するデブロ
ッキングパラメータオフセットを規定する第2の構文要素とが、ビットストリームに含ま
れていない第1の構文要素および第2の構文要素に応じて規則に従って決定される。この
規則は、(1)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在
することを示す場合、第1の構文要素は、第2の映像ユニットに関連する彩度成分に適用
される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第2の映像
ユニットレベルの第3の構文要素に等しいとともに、第2の構文要素は、第2の映像ユニ
ットに関連する彩度成分に適用される2で割ったtCに対するデブロッキングパラメータ
オフセットを規定する第2の映像ユニットレベルの第4の構文要素に等しく、かつ、(2
)構文フラグが、彩度ツールオフセットがピクチャパラメータセットに存在しないことを
示す場合、第1の構文要素は、第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスに対する
輝度成分に適用される2で割ったβに対するデブロッキングパラメータオフセットを規定
する第1の映像ユニットレベルの第5の構文要素に等しいとともに、第2の構文要素は、
第1の映像ユニットにおける1つ以上のスライスの輝度成分に適用される2で割ったtC
に対するデブロッキングパラメータオフセットを規定する第1の映像ユニットレベルの第
6の構文要素に等しい、ことを規定する。
【0142】
いくつかの実施形態において、前記彩度成分はcb成分である。いくつかの実施形態に
おいて、前記彩度成分はcr成分である。いくつかの実施形態において、前記第1の映像
ユニットレベルは、ピクチャヘッダであり、前記第2の映像ユニットレベルは、ピクチャ
パラメータセットである。いくつかの実施形態において、前記第1の映像ユニットはピク
チャであり、前記第2の映像ユニットは1つ以上のピクチャで構成される。いくつかの実
施形態において、前記第1の映像ユニットレベルは、スライスヘッダであり、前記第2の
映像ユニットレベルは、ピクチャヘッダである。いくつかの実施形態において、前記第1
の映像ユニットはスライスであり、前記第2の映像ユニットはピクチャである。
【0143】
いくつかの実施形態において、前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセ
ット内に存在することに応じて、前記構文フラグは1に等しい。いくつかの実施形態にお
いて、前記彩度ツールオフセットが前記ピクチャパラメータセットから省略されているこ
とに応じて、前記構文フラグは0に等しい。
【0144】
いくつかの実施形態において、前記変換は、前記映像を前記ビットストリームに符号化
することを含む。いくつかの実施形態において、前記変換は前記ビットストリームから前
記映像を復号することを含む。
【0145】
本明細書では、「映像処理」という用語は、映像符号化、映像復号、映像圧縮、または
映像展開を指してよい。例えば、映像圧縮アルゴリズムは、映像の画素表現から対応する
ビットストリーム表現への変換、またはその逆の変換中に適用されてもよい。現在の映像
ブロックのビットストリーム表現は、例えば、構文によって規定されるように、ビットス
トリーム内の同じ場所または異なる場所に広がっているビットに対応していてもよい。例
えば、1つのマクロブロックは、変換およびコーディングされた誤り残差値の観点から、
かつ、ビットストリームにおけるヘッダおよび他のフィールドにおけるビットを使用して
符号化されてもよい。さらに、変換中、デコーダは、上記解決策で説明されているように
、決定に基づいて、いくつかのフィールドが存在しても存在しなくてもよいという知識を
持って、ビットストリームを構文解析してもよい。同様に、エンコーダは、特定の構文フ
ィールドが含まれるべきであるか、または含まれないべきであるかを判定し、構文フィー
ルドをコーディング表現に含めるか、またはコーディング表現から除外することによって
、それに応じてコーディング表現を生成してもよい。
【0146】
本明細書に記載された開示された、およびその他の解決策、実施例、実施形態、モジュ
ール、および機能動作の実装形態は、本明細書に開示された構造およびその構造的等価物
を含め、デジタル電子回路、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しく
はハードウェアで実施されてもよく、またはそれらの1つ以上の組み合わせで実施しても
よい。開示された、およびその他の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品
、すなわち、データ処理装置によって実装されるため、またはデータ処理装置の動作を制
御するために、コンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1
つ以上のモジュールとして実施することができる。このコンピュータ可読媒体は、機械可
読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播信号をもたらす物質
の組成物、またはこれらの1つ以上の組み合わせであってもよい。「データ処理装置」と
いう用語は、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッ
サ、若しくはコンピュータを含む、データを処理するためのすべての装置、デバイス、お
よび機械を含む。この装置は、ハードウェアの他に、問題になっているコンピュータプロ
グラムの実行環境を作るコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタッ
ク、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはこれらの1つ以上の
組み合わせを構成するコードを含むことができる。伝播信号は、人工的に生成された信号
、例えば、機械で生成した電気、光、または電磁信号であり、適切な受信装置に送信する
ための情報を符号化するために生成される。
【0147】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション
、スクリプト、またはコードとも呼ばれる)は、コンパイルされた言語または解釈された
言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、また、それは、スタ
ンドアロンプログラムとして、またはコンピューティング環境で使用するのに適したモジ
ュール、成分、サブルーチン、または他のユニットとして含む任意の形式で展開すること
ができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステムにおけるファイルに対
応するとは限らない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの
一部(例えば、マークアップ言語文書に格納された1つ以上のスクリプト)に記録されて
いてもよいし、問題になっているプログラム専用の単一のファイルに記憶されていてもよ
いし、複数の調整ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコ
ードの一部を格納するファイル)に記憶されていてもよい。コンピュータプログラムを、
1つのコンピュータで実行するように展開することができ、あるいは、1つのサイトに位
置する、または複数のサイトにわたって分散され通信ネットワークによって相互接続され
る複数のコンピュータで実行するように展開することができる。
【0148】
本明細書に記載された処理およびロジックフローは、入力データに対して動作し、出力
を生成することによって機能を行うための1つ以上のコンピュータプログラムを実行する
1つ以上のプログラマブル処理装置によって行うことができる。処理およびロジックフロ
ーはまた、特定用途のロジック回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲー
トアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって行うことができ、装置はま
た、特別目的のロジック回路として実装することができる。
【0149】
コンピュータプログラムの実行に適した処理装置は、例えば、汎用および専用マイクロ
処理装置の両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上の処理装置
を含む。一般的に、プロセッサは、読み出し専用メモリまたはランダムアクセスメモリま
たはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの本質的な要素は、命令を
行うためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイス
とである。一般的に、コンピュータは、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デ
バイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含んでもよく、またはこれ
らの大容量記憶デバイスからデータを受信するか、またはこれらにデータを転送するよう
に動作可能に結合されてもよい。しかしながら、コンピュータは、このようなデバイスを
有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコン
ピュータ可読媒体は、あらゆる形式の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含
み、例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュ記憶装置、磁気ディスク、例えば内
部ハードディスクまたはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、およびCD-ROMお
よびDVD-ROMディスク等の半導体記憶装置を含む。処理装置およびメモリは、特定
用途のロジック回路によって補完されてもよく、または特定用途のロジック回路に組み込
まれてもよい。
【0150】
本特許明細書は多くの詳細を含むが、これらは、任意の主題の範囲または特許請求の範
囲を限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、特定の技術の特定の実施形態に特
有であり得る特徴の説明と解釈されるべきである。本特許文献において別個の実施形態の
コンテキストで説明されている特定の特徴は、1つの例において組み合わせて実装しても
よい。逆に、1つの例のコンテキストで説明された様々な特徴は、複数の実施形態におい
て別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで実装してもよい。さらに、特徴は、
特定の組み合わせで作用するものとして上記に記載され、最初にそのように主張されてい
てもよいが、主張された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わ
せから抜粋されることができ、主張された組み合わせは、サブコンビネーションまたはサ
ブコンビネーションのバリエーションに向けられてもよい。
【0151】
同様に、動作は図面において特定の順番で示されているが、これは、所望の結果を達成
するために、このような動作が示された特定の順番でまたは連続した順番で行われること
、または示された全ての動作が行われることを必要とするものと理解されるべきではない
。また、本特許明細書に記載されている例における様々なシステムの構成要素の分離は、
全ての実施形態においてこのような分離を必要とするものと理解されるべきではない。
【0152】
いくつかの実装形態および例のみが記載されており、この特許文献に記載され図示され
ているコンテンツに基づいて、他の実施形態、拡張および変形が可能である。