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特許7525722電極リード一体型電極組立体及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電極リード一体型電極組立体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/54 20210101AFI20240723BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01M50/54
H01M50/533
H01M50/536
H01M50/534
H01M4/66 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023503233
(86)(22)【出願日】2022-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 KR2022011451
(87)【国際公開番号】W WO2023014071
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0101915
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホ・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ル・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ギュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヒュン・チョ
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-185938(JP,A)
【文献】特開2013-008564(JP,A)
【文献】特開2013-239266(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0049520(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0003483(KR,A)
【文献】特開2013-101860(JP,A)
【文献】特許第6893575(JP,B1)
【文献】特開2011-113970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50-50/598
H01M 4/64-4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在される分離膜を含み、
複数の正極及び複数の負極の少なくとも一側外周辺から突出した電極タブは積層方向に沿って密着結合して電極タブ束を形成し、
前記電極タブ束を貫通する貫通口が少なくとも一つ以上形成されており、
前記貫通口には電気伝導性素材からなる連結部材が挿入されており、
電極リードは前記連結部材によって前記電極タブ束と電気的に連結されており
前記連結部材は低融点金属からなり、
前記電極リードには、前記電極タブ束の前記貫通口に対応する大きさの溝が形成されている、電極組立体。
【請求項2】
前記連結部材は、前記貫通口に挿入されて前記電極タブ束を貫通する棒形態を有する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記電極リードは、前記電極タブ束の上面または下面に結合する、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記正極及び負極は、絶縁層の両面に金属層が結合された形態の電極集電体を含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記絶縁層の厚さは一つの前記金属層の厚さより大きい、請求項に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記絶縁層の密度は前記金属層の密度より小さい、請求項に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記連結部材の融点は前記絶縁層の融点より低い、請求項に記載の電極組立体。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法であって、
(a)電極タブに貫通口を形成する段階と、
(b)前記電極タブが積層されるように配置して電極タブ束を形成する段階と、
(c)前記電極タブ束に電極リードを配置する段階であって前記電極リードには、前記電極タブに形成された前記貫通口に対応する大きさの溝が形成されている、段階と、
(d)前記貫通口に連結部材を挿入する段階であって前記連結部材は低融点金属からなる、段階と、
(e)前記連結部材を溶融させる段階と、
を含む、電極組立体の製造方法。
【請求項9】
前記段階(e)は、前記電極タブ束を加熱及び押圧する過程を含む、請求項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項10】
前記段階(e)で、前記電極タブ束を構成する前記電極タブ及び前記電極リードを同時に結合させる、請求項に記載の電極組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電極リード一体型電極組立体に関するものである。具体的には、電気伝導性及び熱溶融性素材を使って電極リードと電極タブ束とを結合させた形態の電極リード一体型電極組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートブック型コンピュータ、ウェアラブルデバイスなどの電子機器または電気自動車などのエネルギー源として二次電池に対する需要が増加している。二次電池は、電極の種類によって、ニッケル-カドミウム二次電池、ニッケル-水素二次電池、リチウム二次電池などに分類される。このうち、高い作動電圧、単位重量当たり高エネルギー密度の利点を有するリチウム二次電池に対する研究開発が活発に遂行されている。
【0003】
前記リチウム二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が金属缶に内蔵される角型二次電池及び円筒型二次電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートからなるパウチケースに内蔵されているパウチ型二次電池とに分類される。
【0004】
前記リチウム二次電池が適用されるデバイスが多様化するのに伴い、電池の重さを減らしながらエネルギー密度を高めた形態の電池セルも必要になっている。したがって、絶縁層の両面に金属層が結合された形態の電極集電体を適用しようとする試みがある。
【0005】
また、リチウム二次電池の容量が増加するのに伴い、過充電、高温露出及び外部衝撃などによって発火または爆発事故の規模が大きくなっている。前記発火または爆発の主原因は、電極組立体の内部の正極と負極とが直接接触することで発生するショート現象に起因することができる。このような短絡発生の際、正極と負極との接触部位に沿ってリチウムイオンだけでなく電子の移動が集中して電池内部の発熱を促進する。
【0006】
したがって、電池の内部温度の増加の際、電子及びリチウムイオンの移動を抑制するために、金属箔の間に絶縁層が介在された形態の電極集電体の使用が提案された。
【0007】
しかし、このように絶縁層を含む電極集電体を使う場合、従来のように超音波溶接やレーザー溶接のような溶接方式では複数の正極タブまたは複数の負極タブを結合して電極タブ束を形成しにくい問題がある。
【0008】
このような問題を解決するために、前記電極タブに貫通口を形成し、前記電極タブを積層して電極タブ束を形成した状態で前記貫通口に低融点金属を挿入した後、加熱及び押圧することで、電極タブを互いに電気的に連結することができる。
【0009】
前記電極組立体は、低融点金属によって複数の電極タブが互いに電気的に連結された状態で電極リードと結合し、前記電極リードが電極端子になることができる。
【0010】
前記電極タブ束と電極リードとを結合するために、従来においては超音波溶接またはレーザー溶接のような溶接方式を使っていた。
【0011】
これに関連して、特許文献1は、導電層の間に絶縁層が配置された形態の多層構造を有する集電体及び前記集電体上に形成された活物質層を含む電極と、前記電極と接続される配線引出用タブ電極とを備え、電池内部の発熱によって溶融する金属材料から構成される導電材を介して前記タブ電極が前記電極と電気的に接続される二次電池を開示している。
【0012】
特許文献1は、前記タブ電極と電極とを接続するための方法として、超音波溶接、レーザー溶接、抵抗溶接、スポット溶接などを用いている。
【0013】
しかし、このような溶接過程で発生する不純物によって電極タブ束及び電極リードの結合部が汚染するおそれがある。
【0014】
したがって、軽くエネルギー密度の高い電池セルを製造することができるとともに、溶接による問題を遮断することができる形態の電極組立体に対する必要性が高いことが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特公第5784928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、連結部材を用いて電極タブ束を構成する電極タブを電気的に連結し、前記連結部材を加熱及び押圧する方法で前記電極タブ束と電極リードとを結合することができる電極リード一体型電極組立体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明による電極組立体は、正極、負極、及び前記正極と負極との間に介在される分離膜を含み、複数の正極及び複数の負極の少なくとも一側外周辺から突出した電極タブは積層方向に沿って密着結合して電極タブ束を形成し、前記電極タブ束を貫通する貫通口が少なくとも一つ以上形成されており、前記貫通口には電気伝導性素材からなる連結部材が挿入されており、電極リードは溶融した連結部材によって前記電極タブ束と電気的に連結されている。
【0018】
前記連結部材は前記貫通口に挿入されて前記電極タブ束を貫通する棒形態を有することができる。
【0019】
前記連結部材は低融点金属からなることができる。
【0020】
前記電極リードには、前記電極タブ束の貫通口に対応する大きさの溝または開口が形成されており、前記電極リードは、前記電極タブ束の上面または下面に結合することができる。
【0021】
前記電極リードには、前記電極タブ束の貫通口に対応する大きさの開口が形成されており、前記電極リードは前記電極タブ束の内部に位置し、前記電極リードの開口及び前記電極タブ束の貫通口に前記連結部材が挿入されることができる。
【0022】
前記正極及び負極は、絶縁層の両面に金属層が結合された形態の電極集電体を含むことができる。
【0023】
前記絶縁層の厚さは一つの前記金属層の厚さより大きくてもよい。
【0024】
前記絶縁層の密度は前記金属層の密度より小さくてもよい。
【0025】
前記連結部材の融点は前記絶縁層の融点より低くてもよい。
【0026】
また、本発明は、前記電極組立体の製造方法を提供し、この製造方法は、詳細には(a)電極タブに貫通口を形成する段階と、(b)電極タブが積層されるように配置して電極タブ束を形成する段階と、(c)前記電極タブ束に電極リードを配置する段階と、(d)前記貫通口に連結部材を挿入する段階と、(e)前記連結部材を溶融させる段階とを含むことができる。
【0027】
前記段階(e)は、前記電極タブ束を加熱及び押圧する過程を含むことができる。
【0028】
前記段階(e)で、電極タブ束を構成する電極タブ及び電極リードを同時に結合させることができる。
【0029】
前記電極リードには、前記電極タブに形成された貫通口に対応する大きさの溝または開口が形成されることができる。
【0030】
また、本発明は、前記課題の解決手段を多様に組み合わせた形態としても提供可能である。
【発明の効果】
【0031】
以上で説明したように、本発明による電極組立体は、電極タブに形成された貫通口に電気伝導性素材からなる連結部材を挿入し、前記連結部材を加熱及び押圧することで、複数の電極タブを互いに電気的に連結することができる。
【0032】
また、絶縁層の両面に金属層が結合された形態の電極を使うことで、電極集電体の重さを減らすことができ、エネルギー密度が向上する効果を得ることができる。
【0033】
また、電極タブ束を形成するとき、電極タブ束と電極リードとを結合する過程を一緒に遂行することができるので、電極組立体の製造工程を簡素化して時間を縮めることができる。
【0034】
また、低融点合金からなる連結部材を使うことで、電池セルの温度上昇の際、前記連結部材が溶融することにより電極リードと電極タブ束との間の結合が分離されることができる。このように、充電を遮断することで、電池セルの発火及び爆発に繋がることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明による電極組立体の分解斜視図である。
図2】本発明による電極組立体の垂直断面図及び電極集電体の拡大図である。
図3】本発明による電極リードの斜視図である。
図4】電極タブ束及び電極リードの結合部の側面図である。
図5】本発明による電極組立体の製造方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能を有すると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0037】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0038】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0039】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0040】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、A及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0041】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0042】
図1は本発明による電極組立体の分解斜視図である。
【0043】
図1を参照すると、本発明による電極組立体100は、複数の正極110と複数の負極120との間に分離膜(図示せず)が介在されて積層されており、正極110は一側外周辺から突出した正極タブ115を含み、負極120は一側外周辺から突出した負極タブ125を含む。
【0044】
図1には正極タブと負極タブとが同じ一側外周辺から突出した形態を示しているが、正極タブの突出方向と負極タブの突出方向とが互いに異なってもよく、一つの正極及び負極から突出した正極タブ及び負極タブの個数がそれぞれ2個以上ずつ形成されることができる。
【0045】
正極タブ115と負極タブ125とは一定の位置に1個以上の貫通口117、127が形成されており、貫通口117、127には電気伝導性素材からなる連結部材210が挿入される。
【0046】
正極タブ115の下部には正極リード310が配置され、負極タブ125の下部には負極リード320が配置され、貫通口に挿入された連結部材210が加熱及び押圧されることによって溶融する。このように溶融した連結部材により、正極タブ115が積層方向に沿って密着結合して形成された正極タブ束と正極リード310とが結合され、負極タブ125が積層方向に沿って密着結合して形成された負極タブ束と負極リード320とが結合される。
【0047】
したがって、正極タブ115と正極リード310とが電気的に連結され、負極タブ125と負極リード320とが電気的に連結されることができる。
【0048】
このように、本発明による電極組立体は、正極タブ束と正極リードとの結合、及び負極タブ束と負極リードとの結合のために、超音波溶接やレーザー溶接のような溶接を使わず、正極タブ及び負極タブに形成された貫通口に連結部材を挿入し、前記連結部材を溶融させる方法を使う。
【0049】
連結部材210は貫通口117、127に挿入されることで、電極タブが重畳した電極タブ束の貫通口に挿入され、連結部材は円筒状または多角柱状の棒状に形成されることができる。
【0050】
図2は本発明による電極組立体の垂直断面図及び電極集電体の拡大図である。
【0051】
図2を参照すると、図2の電極組立体は図1に示す電極組立体と同じ形態に積層されたものであり得る。
【0052】
図2は負極タブが負極リードと結合された形態を示している。以下では、負極タブ束及び負極リードの結合部について説明する。これについての説明は正極タブ束及び正極リードの結合部に対しても同様に適用することができる。
【0053】
図2に示す電極組立体で、正極110は、正極集電体111の両面に正極合剤層112が塗布された両面電極であり、負極120は負極集電体121の両面に負極合剤層122が塗布された両面負極である。
【0054】
負極タブ125の下部には負極リード320が配置され、負極リード320には負極タブ125に形成された貫通口に対応する大きさの開口が形成されている。
【0055】
したがって、負極タブ125に形成された貫通口の内部に挿入された連結部材210は負極リード320の開口まで延びて挿入される。
【0056】
したがって、連結部材210によって負極タブ125と負極リード320とが接触した状態になることができる。
【0057】
連結部材210は低融点金属からなることができる。前記低融点金属は、ビズマス、スズ、鉛、カドミウム、亜鉛及びインジウムからなる群から選択される2種以上を含む合金とすることができる。
【0058】
このように、低融点金属からなる連結部材210が貫通口及び開口に挿入された状態で、負極タブ束及び負極リードの結合部の上部及び下部のそれぞれで加熱部材400で押圧する場合、連結部材が溶融して貫通口及び開口の内部を満たすことができ、負極タブ束と負極リードとの間の結合力を確保することができる。
【0059】
このように、本発明は、負極タブ束と負極リードとの結合のために低融点金属を使っているので、従来において溶接を使う場合に溶接過程で発生する不純物によって電極組立体が汚染するか短絡が発生する問題を防止することができる。
【0060】
一方、前記連結部材として低融点高分子を使う場合には、電気伝導性を確保するために前記低融点高分子及び金属パウダーの混合形態を使うことができる。
【0061】
負極タブ束と負極リード320とが積層された後、連結部材210が負極タブ束の貫通口に挿入された状態での長さは少なくとも前記電極タブ束の高さと同じかそれより長い形態を有することができる。
【0062】
負極集電体121は、絶縁層121aの両面に金属層121bが結合された形態を有する。絶縁層121aの厚さD1は金属層121bの厚さD2より大きくてもよい。例えば、絶縁層の厚さは4μm~15μmとすることができ、一つの金属層の厚さは0.1μm~3μmとすることができる。
【0063】
また、絶縁層の密度は金属層の密度より小さくてもよい。このように、本発明による負極集電体は相対的に密度が低い絶縁層を含んでいるので、負極集電体全体が金属層のみで構成される場合より軽い負極集電体を提供することができる。よって、電池セルの全重量を減らすことができ、エネルギー密度が向上した電池セルを製造することができる。
【0064】
前記絶縁層として高分子フィルムを使うことができる。ただ、正極及び負極の製造には、正極合剤層及び負極合剤層をコーティングした後、溶媒乾燥のための乾燥段階を経ることになる。前記乾燥段階の温度は約100℃~130℃程度とすることができる。
【0065】
したがって、前記乾燥段階で前記絶縁層が溶融することを防止するために、前記高分子フィルムは溶融点が150℃より高いものを使うことができる。
【0066】
例えば、前記高分子フィルムの素材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)及びシクロオレフィンポリマー(COP)からなる群から選択される1種以上とすることができる。
【0067】
このように、本発明は絶縁層の両面に金属層が結合された形態の電極集電体を使うことができるので、絶縁層の両面にある金属層が前記絶縁層によって電気的に連結されない状態になる。
【0068】
また、このような形態の電極集電体では、電極タブ束が密着することのみでは互いに異なる電極タブが互いに電気的に連結されることができない。
【0069】
よって、電極タブに貫通口を形成し、低温で溶融するとともに電気伝導性を有する低融点金属を前記貫通口に挿入した後、前記低融点金属を溶融させれば、単一の電極タブ内で金属層と金属層とが電気的に連結されることができ、電極タブ束を形成する複数の電極タブも互いに電気的に連結されることができる。また、前記電極タブ束に電極リードを接触させた状態で低融点金属を溶融させれば、前記電極タブ束と電極リードとの接触面で前記低融点金属を介して電気的に連結されることができる。
【0070】
一方、前記連結部材を溶融させる過程で電極集電体の内部の絶縁層が溶融することを防止しなければならないので、前記連結部材の融点は前記絶縁層の融点より低い素材を使うことができる。ただ、前記低融点金属は電極タブに形成された貫通口にのみ挿入される点を考慮すると、前記低融点金属は融点が60℃~250℃の範囲にあるものを使うことができる。
【0071】
図3は本発明による電極リードの斜視図であり、図4は電極タブ束及び電極リードの結合部の側面図である。
【0072】
図3及び図4を参照すると、図3の負極リード330は、連結部材が接触する部分に負極タブ束190の貫通口に対応する大きさの溝332が形成されている。よって、連結部材210が溝332に挿入された状態で溶融すれば、負極リード330と負極タブ束190とが互いに電気的に連結されることができる。
【0073】
負極リード330のように、溝332の形成された負極リード330を使う場合には、溶融した連結部材が負極リードを貫通して流れないので、きれいな外観を形成することができる。
【0074】
図4の(a)及び(b)は、負極リード330を使って電極タブ束を結合した状態を示している。図4の(a)で、負極リード330は負極タブ束190の上面に位置する状態で連結部材210の溶融によって負極リードと負極タブ束とが結合され、図4の(b)で、負極リード330は負極タブ束190の下面に位置する状態で連結部材210の溶融によって負極リードと負極タブ束とが結合される。
【0075】
図3に示す負極リード340には、負極タブ束190の貫通口に対応する大きさの開口342が形成されている。
【0076】
図4の(c)では、開口342が形成された負極リード340が負極タブ束190の内部に位置し、連結部材210が負極タブ束190の貫通口及び負極リード340の開口342に挿入された状態を示している。
【0077】
図4の(a)及び(b)のように、負極リードが負極タブ束の上面または下面に位置する場合、開口が形成された負極リード340を使うことができるというのは言うまでもない。
【0078】
このように、低融点金属を連結部材として使う場合には、電池の異常作動によって電池の温度が低融点金属の融点以上に上昇する場合、電極リード及び電極タブ束の結合部が分離されることで、電流の流れを遮断することができる。よって、熱暴走現象によって電池セルが発火及び爆発する前に電流の流れを遮断することで、これを防止することができる。
【0079】
図5は本発明による電極組立体の製造方法の模式図である。
【0080】
図5は負極タブ束に負極リードを結合する方法を示しているが、これについての説明は正極タブ束に正極リードを結合する場合にも同様に適用することができる。
【0081】
図5を参照すると、本発明による電極組立体を製造するために、負極集電体を準備し、負極タブ125に貫通口127を形成し、負極タブ125が一致するように積層されるように配置することで負極タブ束190を形成する。
【0082】
したがって、貫通口127が積層方向に重畳することができ、負極タブが密着した負極タブ束の内部で貫通口が連通することができる。
【0083】
負極タブ束190の下面に開口342が形成された負極リード340を配置し、貫通口127及び開口342に連結部材210を挿入する。
【0084】
このように、連結部材が貫通口及び開口に挿入された状態で、負極タブ束の上面及び負極リードの下面のそれぞれに加熱部材400を配置し、加熱部材400を負極タブ束190及び負極リード340に向けて押圧する。このように、加熱部材400の押圧過程によって温度が上昇した連結部材210が溶融する。
【0085】
溶融した連結部材210は貫通口127及び開口342の内部空間をいっぱいに満たした状態になる。よって、負極タブが内部に絶縁層を含み、金属層が前記絶縁層に結合された構造を有していても、単一負極タブで金属層が互いに電気的に連結され、負極タブ束190を構成する負極タブ125が互いに電気的に連結されるだけでなく、負極タブ束190と負極リード340とが電気的に連結されることができる。
【0086】
このように、本発明は、負極タブ束を構成する負極タブ間の結合過程、及び前記負極タブ束と負極リードとの結合過程を同時に遂行することができるので、電極組立体の製造過程を簡素化することができる。
【0087】
一方、負極リードとして、図3の負極リード330のように、溝332が形成された構造の負極リードを使う場合、負極タブ束の貫通口及び負極リードの溝332の内部に形成された空間に連結部材を挿入してから溶融すれば、負極タブ束と負極リードとが電気的に連結されることができる。
【0088】
また、溝開口が形成されていない負極リードも本発明による電極リードとして使うことができる。負極タブ束の貫通口に連結部材が挿入されると、負極リードの表面に連結部材が接触するようになる。よって、連結部材が溶融すれば、負極リードと連結部材との接触面で連結部材を介して結合することができる。
【0089】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形が可能であろう。
【符号の説明】
【0090】
100 電極組立体
110 正極
111 正極集電体
112 正極合剤層
115 正極タブ
117、127 貫通口
120 負極
121 負極集電体
122 負極合剤層
121a 絶縁層
121b 金属層
125 負極タブ
190 負極タブ束
210 連結部材
310 正極リード
320、330、340 負極リード
332 溝
342 開口
400 加熱部材
D1 絶縁層の厚さ
D2 金属層の厚さ
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5