(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電流ケーブルをガイドするための装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20240723BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20240723BHJP
A47B 88/919 20170101ALI20240723BHJP
A47B 88/00 20170101ALI20240723BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240723BHJP
H01R 35/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H05K7/00 F
A47B97/00 M
A47B88/919
A47B88/00
H05K5/02 Z
H01R35/02 A
(21)【出願番号】P 2023515303
(86)(22)【出願日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 AT2021060304
(87)【国際公開番号】W WO2022051786
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-04-07
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カール バリコ
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0250509(US,A1)
【文献】特開2003-000372(JP,A)
【文献】特開2018-038246(JP,A)
【文献】実開昭62-030384(JP,U)
【文献】特開2004-141204(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0112739(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0035564(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/00
H05K 5/02
H01R 35/02
A47B 97/00
A47B 88/919
A47B 88/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出しに等しい引出し要素(32)の運動方向(19)に沿って電流ケーブル(6’)をガイドするための装置であって、少なくとも1つの電流ケーブル(6’)と、前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)用
の少なくとも1つのケーブルガイド(6)とを備える、装置において、
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を定置の給電装置(1)に、または前記引出し要素(32)内にまたは前記引出し要素(32)に接して配置されたエネルギー取出しステーション(10)に導電接触させることができる少なくとも1つの解離可能なコネクタ(4,5,7,8)が設けられており
、前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を定置の給電装置(1)に導電接触させることができる解離可能な第1のコネクタ(4,5)と、前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を、前記引出し要素(32)内にまたは前記引出し要素(32)に接して配置されたエネルギー取出しステーション(10)に導電接触させることができる解離可能な第2のコネクタ(7,8)とが設けられて
おり、
床下引出しガイドとして設計された少なくとも1つの引出しガイド(31)が設けられており、前記少なくとも1つの引出しガイド(31)は、家具キャビネット(33)に取り付けることができるキャビネットレール(14)を有し、前記ケーブルガイド(6)の第1の保持要素(11)が、前記キャビネットレール(14)の下面(27)に解離可能に、かつ/または、前記家具キャビネット(33)に解離可能に、取り付けられているかまたは取付け可能である
、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのケーブルガイド(6)は、線形に可動である、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ケーブルガイド(6)の前記第1の保持要素(11)が、前記キャビネットレール(14)の下面(27)に解離可能に付着式に、かつ/または、前記家具キャビネット(33)に解離可能に付着式に、取り付けられているかまたは取付け可能である、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの解離可能なコネクタ(4,5,7,8)は、定置の給電装置(1)への連結よりは後であって、可動の前記引出し要素(32)に設けられたエネルギー取出しステーション(10)への接続よりは前に設置されるように設けられ
ており、
保持要素(11,12)とコネクタ(5,7)とを備え
た前記ケーブルガイド(6)が設けられており、前記ケーブルガイド(6)の前記保持要素(11,12)および/または前記コネクタ(5,7)は、解離可能
に取り付けられているかまたは取付け可能である
ことを特徴とする、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記ケーブルガイド(6)の後ろに、前記引出し要素(32)に向けられて、解離可能なコネクタ(7,8)が設けられている、請求項1
から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記解離可能な取付けが、少なくとも1つの磁石結合を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの引出しガイド(31)は、前記引出し要素(32)に結合することができる引出しレール(13)を有し、前記ケーブルガイド(6)の第2の保持要素(12)が、前記引出しレール(13
)に解離可能に
、かつ/または前記引出し要素(32)に解離可能
に取り付けられているかまたは取付け可能であ
る、請求項1から
6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記ケーブルガイド(6)の前記第2の保持要素(12)が、前記引出しレール(13)の鉛直ウェブ(28)に解離可能に付着式に、かつ/または、前記引出し要素(32)に解離可能に付着式に、取り付けられているかまたは取付け可能である、請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記解離可能な取付けが、少なくとも1つの磁石結合を含む、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
前記引出しレール(13)は、掛込みフック(15)を有し、前記第2の保持要素(12)は、前記引出しレール(13)の前記掛込みフック(15)に係合する、請求項
7から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記ケーブルガイド(6)は、前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)が少なくとも部分的に内部に配置された少なくとも1つの蛇腹式ケーブルダクト(34)を有する、請求項1から
10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記ケーブルガイド(6)は、少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を有
する、請求項1から
11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)の少なくとも1つの端部(29,30)に、解離可能なコネクタ(5,7)が配置されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)の両方の端部(29,30)に、解離可能なコネクタ(5,7)が配置されている、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)は、第1の端部(29)と第2の端部(30)とを有し、前記電流ケーブル(6’)の前記第1の端部(29)が取り付けられた第1の保持要素(11)と、前記電流ケーブル(6’)の前記第2の端部(30)が取り付けられた第2の保持要素(12)とが設けられている、請求項1から
14までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を定置の給電装置(1)に導電接触させることができる解離可能な第1のコネクタ(4,5)と、前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を、前記引出し要素(32)内にまたは前記引出し要素(32)に接して配置されたエネルギー取出しステーション(10)に導電接触させることができる解離可能な第2のコネクタ(7,8)とが設けられており、両方の前記コネクタ(4,5,7,8)は、少なくとも1つの前記引出し要素(32)の、少なくとも1つの前記引出し要素(32)の閉鎖位置に相当する第1の位置において、前記運動方向(19)に関して第1の順序で相前後して配置されていて、少なくとも1つの前記引出し要素(32)の、少なくとも1つの前記引出し要素(32)の最大開放位置に相当する第2の位置において、前記運動方向(19)に関して、前記第1の順序とは逆の第2の順序で相前後して配置されている、請求項1から
15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)の第1の端部(29)が、少なくとも1つの前記引出し要素(32)の前記運動方向(19)に対して実質的に平行に配置されており、かつ/または前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)の第2の端部(30)が、少なくとも1つの前記引出し要素(32)の前記運動方向(19)に対して実質的に横方向に配置されている、請求項1から
16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
引出しに等しい少なくとも1つの引出し要素(32)と、前記少なくとも1つの引出し要素(32)の運動方向(19)に沿って電流ケーブル(6’)をガイドするための少なくとも1つの装置とを備えた家具(35)であって
、前記少なくとも1つの装置は、請求項1から
17までのいずれか1項記載のように構成されており、前記少なくとも1つの引出し要素(32)内にまたは前記少なくとも1つの引出し要素(32)に接して
、少なくとも1つのエネルギー取出しステーション(10)が配置されており、前記少なくとも1つの引出し要素(32)は底板(26)を有し、電流ケーブル(6’)をガイドするための前記少なくとも1つの装置は、少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を有する、家具(35)において、
少なくとも、前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)は、大部分において前記少なくとも1つの引出し要素(32)の前記底板(26)よりも下に配置されていることを特徴とする、家具(35)。
【請求項19】
前記少なくとも1つのエネルギー取出しステーション(10)は、前記少なくとも1つの引出し要素(32)の背壁(25)に配置されている、請求項18記載の家具(35)。
【請求項20】
前記家具(35)は家具キャビネット(33)を有し、前記少なくとも1つの引出し要素(32)を前記家具キャビネット(33)に可動に支持する少なくとも1
つの引出しガイド(31
)が設けられており、前記少なくとも1つの引出しガイド(31)は、家具キャビネット(33)に取り付けられたキャビネットレール(14)と、前記引出し要素(32)に結合されたかまたは結合可能な引出しレール(13)とを有する、請求項
18または19記載の家具(35)。
【請求項21】
前記引出しガイド(31)は、床下引出しガイドである、請求項20記載の家具(35)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)は、作動状態で常に前記少なくとも1つのエネルギー取出しステーション(10)に接続されている、請求項
18から21までのいずれか1項記載の家具(35)。
【請求項23】
前記少なくとも1つの電流ケーブル(6’)を作動状態で定置の給電装置(1)に導電接続する少なくとも1つの給電ケーブル(3)が設けられている、請求項
18から
22までのいずれか1項記載の家具(35)。
【請求項24】
前記少なくとも1つの引出し要素(32)の第1の面に、電流ケーブル(6’)をガイドするための前記少なくとも1つの装置が配置されており、前記少なくとも1つの引出し要素(32)の第2の面に、信号線路(36)および/または流体管路(37)をガイドするための装置が配置されている、請求項
18から
23までのいずれか1項記載の家具(35)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出しに等しい引出し要素の運動方向に沿って電流ケーブルをガイドするための装置、および引出しに等しい少なくとも1つの引出し要素と、引出し要素の運動方向に沿って電流ケーブルをガイドするための少なくとも1つの装置とを備えた家具に関する。
【0002】
電気機器は、引出し内に収容されることが多い。電気機器を極めて短い時間使用すること、および同時に使用箇所が引出しの近傍であることも稀ではない。つまり使用者にとっては、機器が既に引出し内で給電装置に接続されていて、使用後にコンセントからの切離しが不要であると楽である。ヘアドライヤは、このように使用することができる。引出し式の棚は、その技術的な構成が家具引出しに似ている。引出し式の棚には、単に鉛直の枠が存在しないだけである。このような引出し式の棚は、部分的に重い多数のキッチン機械のために理想的である。このような機器は、使用のために単にキャビネットから引き出されるが、棚から取り出されることはない。このような機器の例を挙げると、ケトル、ミキサ、トースタおよびコーヒーメーカがある。これらの用途に共通することは、使用者がいちいち給電の心配をしなくてよいと楽であるということである。
【0003】
消費電力が低い機器には、引出しの運動と一緒に動く電流貯蔵装置からも給電を行うことができる。独国実用新案第202019101563号明細書は、このようなエネルギー貯蔵装置を基礎とする電気式の引出し照明に関わっている。
【0004】
独国実用新案第1944858号明細書の核心テーマは、引出しの運動に追従するケーブルガイドの構成である。引出しの後ろ側領域における大きな収納空間損失は、この構成では特に不都合であるということが判明している。おそらく、記載されたケースではケーブルガイドの取付けのためにも、引出しの後ろに接近可能であることが必要である。
【0005】
以前は、通常、引出しガイドは引出しの外側に配置されていた。外観上の理由から、ここ数十年は、引出しガイドの大部分は引出しの下に敷設されている。すなわち、引出しの下には、使用者が収容スペースとして利用できない構造空間が存在している。今日の金具システムは、この領域を、突き出し機構または並走リンク機構(Parallellaufgestaenge)およびその他の多くのもののような機能要素を配置するために利用している。
【0006】
線形の運動用のケーブルガイドは、機械構造に基づき公知であり、広く使用されている。本発明は、主として、このテーマに関わるものではない。
【0007】
本発明の根底にある課題は、先行技術に基づき公知の欠点が少なくとも部分的に排除されていて、特に、1つには、簡単なかつ後付けの取付けオプションの点で優れており、もう1つには、引出し要素の不注意な取外しによる破壊の阻止を保証する点で優れている、先行技術に比べて改善された、引出しに等しい引出し要素の運動方向に沿って電流ケーブルをガイドするための装置を提供することである。さらに、特にスペースを節減する構造の点で優れている、先行技術に比べて改善された、引出しに等しい少なくとも1つの引出し要素と、少なくとも1つの引出し要素の運動方向に沿って電流ケーブルをガイドするための少なくとも1つの装置とを備えた家具を提供することが求められている。
【0008】
この課題は、請求項1、2および12の特徴によって解決される。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、装置は、少なくとも1つの電流ケーブルと、少なくとも1つの電流ケーブル用の、好ましくは線形に可動の少なくとも1つのケーブルガイドとを備え、少なくとも1つの電流ケーブルを定置の給電装置に、または引出し要素内にまたは引出し要素に接して配置されたエネルギー取出しステーションに導電接触させることができる少なくとも1つの解離可能なコネクタが設けられており、好ましくは、少なくとも1つの電流ケーブルを定置の給電装置に導電接触させることができる解離可能な第1のコネクタと、少なくとも1つの電流ケーブルを、引出し要素内にまたは引出し要素に接して配置されたエネルギー取出しステーションに導電接触させることができる解離可能な第2のコネクタとが設けられていることが特定されている。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、装置は、定置の給電装置への連結よりは後であって、可動の引出し要素に設けられたエネルギー取出しステーションへの接続よりは前に設置されるように設けられた少なくとも1つの解離可能なコネクタを備え、保持要素とコネクタとを備えた、好ましくは線形に可動のケーブルガイドが設けられており、ケーブルガイドの保持要素および/またはコネクタは、解離可能に、好ましくは付着式に取り付けられているかまたは取付け可能であることが特定されている。
【0011】
これら両方の態様によれば、装置を簡単に取り付けることができ、既存のシステムに後付けすることもできる。さらに、少なくとも1つの解離可能なコネクタと、第2の態様において特定されている、保持要素および/またはコネクタの解離可能な、好ましくは付着式の取付けとによって、引出し要素の不注意な取外しの際に装置が破壊される危険が減じられる。なぜならば、過負荷時に少なくとも1つのコネクタおよび/または保持要素のかつ/またはコネクタの取付け部が解離するからである。
【0012】
有利な実施形態によって構成された、引出しおよび類似の線形に可動の引出し要素用の給電装置は、満たされた蛇腹式ケーブルダクト(Kabelkette)から実質的に成っており、この蛇腹式ケーブルダクトの端部には、ケーブルの両方の端部に設けられたコネクタをそれぞれ有する引出しガイド固有の適切な保持要素が取り付けられている。
【0013】
少なくとも1つの引出しガイド、好ましくは床下引出しガイドが設けられていると、有利であることが判明している。引出しガイドが部分引出しであるか完全引出しであるかに左右されることなく、ガイドセットは少なくとも、キャビネットに不動に取り付けられたキャビネットレールと、可動にガイドされた引出しレールとから成っている。古いローラ式ガイドシステムでは、引出しレールは引出し要素に不動に取り付けられている。このような引出しガイドは、本発明の利用のためには限られた範囲でしか適していない。このような引出しガイドはその標準構成では、引出し要素の下における蛇腹式ケーブルダクト用の構造空間を利用することができない。
【0014】
好適な使用領域は、より新しい床下引出しガイドである。このようなシステムでは、不動に取り付けられたガイドレールと可動のガイドレールとが互いに結合されていて、これによって、キャビネットに分離不能に取り付けられている。引出しの取外しを可能にするために、引出しレールと引出しとの間の結合が解離される。すべてのガイド部分は、家具キャビネットに留まる。引出し自体は、取り外された状態でほぼすべての場合においてガイドレールから解放されている。
【0015】
給電ケーブルが電気エネルギーを給電部から第1の保持要素に導き、そこで、第1の保持要素のプラグが差し込まれるソケットで終端していることが特定されていてよい。引出し要素の形態に左右されることなく、好適な給電では、第1の保持要素は、不動に取り付けられたキャビネットレールに付着式に結合されている。この第1の保持要素のところで、可動のケーブル接続は、第1の保持要素に取り付けられたプラグで始まり、この位置固定の箇所から蛇腹式ケーブルダクトを介して第2の保持要素に通じ、この第2の保持要素自体は、線形に可動の引出しレールに付着式に取り付けられている。この第2の保持要素のところで可動のケーブルは、第2の保持要素に取り付けられたソケットに接続されている。この箇所で、引出しの適切な取外し時に引出し自体への給電が切断される。このとき、両方の保持要素および蛇腹式ケーブルダクトは、引出しガイドに結合されたままである。
【0016】
引出しとして形成された引出し要素では、引出し自体に、例えば引出しの背壁に、コンセントが取り付けられていてよく、このコンセント自体もまた、プラグを備えた給電路を有しており、このプラグは、第2の保持要素に取り付けられたソケットによって収容される。それぞれのプラグバリエーションの選択は、伝達すべき電流の電気的なデータによって決定される。広く使用されている多数の型式を選択することができる。引出しに不動に取り付けられたコンセントには、本来の機器が差し込まれる。
【0017】
有利な実施形態では、付着式の結合のための、引出しレールへの保持要素および/またはコネクタの付着式の取付けの場合に、磁石が提供される。なぜならば、引出しレールが、好ましくは鋼から製造されているからである。引出しの不適切な取外しの場合、つまり使用者が、引出しと第2の保持要素との間のコネクタを適正時機に解離することを忘れた場合、蛇腹式ケーブルダクトはもはや引出しの運動に追従することができない。このような場合に、蛇腹式ケーブルダクトの破壊が生じる前に、第2の保持要素の付着式の結合が解離する。更なる不適切な取扱いの場合には、さらに第1の保持要素も不動のキャビネットレールにおけるその位置から解離する。最後に、さらに給電ケーブルのコネクタまたは引出しコンセントのコネクタを互いに引き離すこともできる。重要なことは、装置の不適切な取扱いが、これによってコンポーネントの破壊を引き起こさないことである。
【0018】
技術的に見れば、高いエネルギー移動量を有する線路を、高速のデータ線路および敏感な信号線路から空間的に分離することが望ましい。好適な実施形態による装置の2つの引出しガイドはそれぞれ、両方の引出しガイドのうちの一方にだけ配置されているので、追加的に第2の同様な装置を、反対側に位置している引出しガイドに配置することができる。したがって、1つの引出し要素に2つの媒体を供給することが可能になる。引出し要素に電気エネルギーを供給する代わりに、液体またはガスを同様に供給できることが推考される。
【0019】
冒頭で述べたように、本発明の保護は、引出しに等しい少なくとも1つの引出し要素と、少なくとも1つの引出し要素の運動方向に沿って電流ケーブルをガイドするための少なくとも1つの装置とを備えた家具であって、少なくとも1つの引出し要素内にまたは少なくとも1つの引出し要素に接して、好ましくは少なくとも1つの引出し要素の背壁に少なくとも1つのエネルギー取出しステーションが配置されており、少なくとも1つの引出し要素は底板を有し、電流ケーブルをガイドするための少なくとも1つの装置は、少なくとも1つの電流ケーブルを有し、少なくとも、少なくとも1つの電流ケーブルは、大部分において少なくとも1つの引出し要素の底板よりも下に配置されている、家具に対しても求められる。こうして、少なくとも1つの電流ケーブルをスペースを節減して配置することができる。なお、このために、少なくとも1つの引出し要素のコンセプトにおいて失われることになる更なる構造空間を家具キャビネット内に準備する必要はない。
【0020】
単独でまたは互いの組合せにおいて実現することができる別の好適な実施形態は、従属請求項において定義されている。
【0021】
本発明の更なる詳細および利点については、以下において図面を参照しながら図面の記載によってさらに詳しく述べる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】床下引出しガイドの下面を概略的に示す図である。
【
図3】装置の好適な実施例のシステムコンポーネントおよびシステムコンポーネント相互の相対的な配置形態を示す図である。
【
図4】別の好適な実施例による取り付けられた装置を示す図である。
【
図5】別の有利な実施例による装置の一部を備えた引出し背側を部分的に示す図である。
【
図6】好適な実施例による家具を断面して上から見た概略図である。
【0023】
図1には、キャビネットレール14と引出しレール13とを含む右側の床下引出しガイド31が示してある。キャビネットレール14と引出しレール13との間には、中間レールが配置されていてよい。対応するように示した孔17は、キャビネットレール14を、例えばキャビネット側面にねじを用いて取り付けるために働く。
【0024】
線形に可動の引出しレール13には、後部領域に掛込みフック15が設けられていてよく、この掛込みフック15は、引出し32の背壁25における盲孔に係合し、これによって、引出し32を固定するために働くことができる。第2の保持要素12(後続の図を参照)は、付着式の固定に加えて、同様にこのフック15に係合しており、引出し32の不適切な取外しの場合に、同様に運動方向19でフック15から引き出すことができる。
【0025】
引出し32は、引出しレール13と関連する連結要素を有していてよい。この連結要素は、通常、良好にアクセスできるように、前面の近傍で引出し底板26の下に位置決めされている。連結装置の操作時に、例えばロックラッチが切欠き16から離れ、これによって、制限された機能ストロークを越えて運動方向19に引出し32を引き出すことを可能にする。
【0026】
引出しレール13の後方の端部には、好ましくは第2の保持要素12用の第2の付着ゾーン22がハッチングで示してある。
【0027】
同様に、引出しガイドの線形の運動方向19も示してあり、この運動方向19は、引出しの取出し方向にも相当している。
【0028】
図2には、キャビネットレール14と引出しレール13とから成る同じ引出しガイド31の下面27が示してある。引出しレール13の鉛直ウェブ28に配置された、第2の付着要素12用の好適な第2の付着ゾーン22のほかに、この図では、第1の付着要素11用の好適な第1の付着ゾーン21も見ることができ、この第1の付着ゾーン21はハッチングで示してある。
【0029】
図3には、システム全体に給電する給電コンセントとして形成された定置の給電装置1から始まる、コネクタとケーブルとの配置と順序とが概観的に示してある。第2のグループとして、給電プラグ2と、給電ケーブル3と、給電ソケット4とを備えた給電装置が概略的に示してある。次いで、ダクトグループが配置されている。このダクトグループは保持要素11で始まり、この保持要素11には、ダクトケーブル6’のダクト側プラグ5が取り付けられている。第1の保持要素11には、ダクトケーブル6’を収容しかつガイドする蛇腹式ケーブルダクト34を備えたケーブルガイド6の前方の端部29も取り付けられている。ケーブルガイド6の後方の端部30は、第2の保持要素12に取り付けられている。同様にダクトケーブル6’のダクト側ソケット7も第2の保持要素12に取り付けられている。最後のグループは、引出し32に割り当てられた引出しケーブル9を形成しており、この引出しケーブル9は、引出しプラグ8で始まっていて、引出しコンセントとして形成されたエネルギー取出しステーション10で終わっている。
【0030】
図4には、装置の、引出しガイド31に取り付けられている要素が示してある。引出しレール13には、下方から第1の保持要素11が付着式に位置決めされている。第1の保持要素11に固定されたダクト側プラグ5で始まって、内部に位置しているダクトケーブル6’を備えた蛇腹式ケーブルダクト34は、好ましくは引出しレール13の後部領域に付着している第2の保持要素12に向かって延びている。ダクトケーブル6’は、同様に第2の保持要素12に固定されたダクト側ソケット7に接続されている。ケーブルガイド6または蛇腹式ケーブルダクト34の経過を鏡像反転させて選択できることも明らかである。運動方向19も示してある。
【0031】
図面から分かるように、電流ケーブル6’を定置の給電装置1に導電接触させることができる解離可能な第1のコネクタ4,5と、電流ケーブル6’を、引出し要素32内にまたは引出し要素32に接して配置されたエネルギー取出しステーション10に導電接触させることができる解離可能な第2のコネクタ7,8とが設けられており、両方のコネクタ4,5,7,8は、引出し要素32の、引出し要素32の閉鎖位置に相当する第1の位置で運動方向19に関して第1の順序で相前後して配置されていて、引出し要素32の、引出し要素(32)の最大開放位置に相当する第2の位置で運動方向19に関して第1の順序とは逆の第2の順序で相前後して配置されている。
図4には、引出し要素32が引出しガイド31に配置されている場合の引出し要素32(図示せず)の閉鎖位置が示してある。
【0032】
電流ケーブル6’の第1の端部29は、運動方向19に対して実質的に平行に配置されていて、電流ケーブル6’の第2の端部30は、引出し要素32の運動方向19に対して実質的に横方向に配置されている。
【0033】
図5には、引出しとして形成された引出し要素32の一部が、後ろから見た図で示してあり、右側の引出し面23と、左側の引出し面24と、背壁25と、底板26とが概略的に示してある。同様に、付着している第2の保持要素12を備えた右側の引出しレール13と、ダクト側ソケット7に接続しているダクトケーブル6’とが示してある。背壁25の中央領域では、中空壁コンセント18が貫通していて、この中空壁コンセント18には、前方から引出しコンセント10が取り付けられていて、アクセス可能である。引出しコンセント10に接続されている同様に図示された引出しケーブル9は、この引出しケーブル9が引出しプラグ8に接続される前に、好ましくは長さの余裕を有している。長さの余裕は、引出しを適切に取り外す過程で、ダクト側ソケット7からの引出しプラグ8の分離を容易にし、付着要素11,12の早期の解離を阻止する。
【0034】
図6には、引出しに等しい引出し要素32を備えた家具35が示してあり、引出し要素32は、互いに離間させられた2つの引出しガイド31を介して、家具35の家具キャビネット33に可動に支持されている。引出し要素32の運動方向19に沿って電流ケーブル6’をガイドするための装置が設けられており、引出し要素32内にまたは引出し要素32に接して、好ましくは引出し要素32の背壁25に少なくとも1つのエネルギー取出しステーション10が配置されている。引出し要素32は底板26を有している。電流ケーブル6’をガイドするための装置は、少なくとも1つの電流ケーブル6’を有していて、この電流ケーブル6’は、その大部分において少なくとも1つの引出し要素32の底板26よりも下に配置されている。
図5では、見やすくするために、少なくとも1つの電流ケーブル6’が底板26の隣りに示してある。
【0035】
少なくとも1つの電流ケーブル6’は、作動状態で常に少なくとも1つのエネルギー取出しステーション10に接続されている。
【0036】
図示の実施例のように、引出し要素32の第1の面に、電流ケーブル6’をガイドするための装置が配置されていて、引出し要素32の第2の面に、信号線路36および/または流体管路37をガイドするための装置が配置されていて、これらの装置は同様に形成されていることが特定されていてよい。信号線路36および/または流体管路37をガイドするための装置は、特に信号および/または流体用の取出しステーション38、および/または信号線路36または流体管路37を信号源または流体源に連結するための連結装置39を含んでいてよい。
【符号の説明】
【0037】
1 定置の給電装置、好ましくは給電コンセント
2 給電プラグ
3 給電ケーブル
4 解離可能なコネクタ、好ましくは給電ソケット
5 解離可能なコネクタ、好ましくはダクト側プラグ
6 ケーブルガイド、好ましくは蛇腹式ケーブルダクト
6’ 電流ケーブル、好ましくはダクトケーブル
7 解離可能なコネクタ、好ましくはダクト側ソケット
8 解離可能なコネクタ、好ましくは引出しケーブルプラグ
9 引出しケーブル
10 エネルギー取出しステーション、好ましくは引出しコンセント
11 第1の保持要素
12 第2の保持要素
13 引出しレール
14 キャビネットレール
15 掛込みフック
16 連結係合部
17 取付け孔
18 中空壁コンセント
19 運動方向
21 第1の付着ゾーン
22 第2の付着ゾーン
23 左側の引出し面
24 右側の引出し面
25 引出し背壁
26 底板
27 下面
28 鉛直ウェブ
29 第1の端部
30 第2の端部
31 引出しガイド
32 引出し要素
33 家具キャビネット
34 蛇腹式ケーブルダクト
35 家具
36 信号線路
37 流体管路
38 取出しステーション
39 連結装置