(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】周波数基準システム内のエタロンの収容
(51)【国際特許分類】
H01S 3/137 20060101AFI20240723BHJP
H01S 3/106 20060101ALI20240723BHJP
H01S 3/042 20060101ALI20240723BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20240723BHJP
G02F 1/21 20060101ALI20240723BHJP
G02F 1/225 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01S3/137
H01S3/106
H01S3/042
H01S3/00 G
H01S3/00 Z
G02F1/21
G02F1/225
(21)【出願番号】P 2023545805
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 CA2021050716
(87)【国際公開番号】W WO2022165582
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-09-26
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521266918
【氏名又は名称】クオンタム ヴァリー アイデアズ ラボラトリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】アースキン ジェニファー アン ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ラミレス-セラーノ ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】キーヴニー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リウ チャン
(72)【発明者】
【氏名】アマルロー ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】ギレット ジョフリー ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー ジェームズ ピー
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228646(JP,A)
【文献】特開2008-304903(JP,A)
【文献】特開平04-181787(JP,A)
【文献】米国特許第05212745(US,A)
【文献】米国特許第05422970(US,A)
【文献】特開2000-236130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0231669(US,A1)
【文献】特表2014-517522(JP,A)
【文献】特開2019-149400(JP,A)
【文献】特開2003-214958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0329203(US,A1)
【文献】米国特許第06570893(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00 - 3/30
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光の
ための基準周波数を提供するためのデバイスであって、
第1及び第2の開口部を有し、かつセラミック材料で形成されたハウジングと、
前記第1の開口部を覆う第1の光学窓であって、前記第1の開口部の周りに気密シールを形成する第1のセラミック結合によって前記ハウジングに結合された第1の光学窓と、
前記第2の開口部を覆う第2の光学窓であって、前記第2の開口部の周りに気密シールを形成する第2のセラミック結合によって前記ハウジングに結合された第2の光学窓と、
前記ハウジングと前記第1の光学窓と前記第2の光学窓とによって封入された真空容積内に配置されたエタロンと、
前記
ハウジング内で前記エタロンを懸架する1又は2以上の支持体であって、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成された1又は2以上の支持体と、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記セラミック材料は、ガラス材料である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記セラミック材料は、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記1又は2以上の支持体を形成する前記材料は、セラミック材料である、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記エタロンは、
前記第1の光学窓から前記第2の光学窓まで前記真空容積を通る光路上の2つの反射面と、
前記反射面を互いから分離し、かつそれらの間に前記光路の一部である光路長を設定するように構成されたスペーサと、
を備える、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記スペーサは、室温で10
-5毎ケルビンよりも低い熱膨張係数を有する材料で形成される、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記スペーサは、前記熱膨張係数のゼロ交差温度を有する材料で形成される、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記真空容積は、10
-3トル以下の真空圧力を有する、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ハウジングは、
第1及び第2の開口端を有する円筒チューブと、
前記第1の開口端を覆い、かつ前記第1の開口端の周りに気密シールを形成する第3のセラミック結合を通して前記円筒チューブに結合された第1のプレートであって、前記ハウジングの前記第1の開口部として機能する第1の孔を備える、第1のプレートと、
前記第2の開口端を覆い、かつ前記第2の開口端の周りに気密シールを形成する第4のセラミック結合を通して前記円筒チューブに結合された第2のプレートであって、前記ハウジングの前記第2の開口部として機能する第2の孔を備える、第2のプレートと、
を備える、
請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記円筒チューブは、ガラスで形成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2のプレートは、シリコンで形成される、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジングの内部にある第1の光路であって、前記エタロンの反射面から前記第1の光学窓又は前記第2の光学窓に延びる、第1の光路と、
前記ハウジングの外部にある第2の光路であって、前記第1の光学窓又は前記第2の光学窓から外部光学デバイスに延びる、第2の光路と、
前記第1の光路又は前記第2の光路の少なくとも一部を定める光学アセンブリであって、
第1及び第2の溝をその中に有する平坦面を有する位置合わせプレートであって、前記第1及び第2の溝は、互いに垂直に向けられ、かつ前記第2の溝内の孔に隣接する交差部を有し、前記孔は、前記位置合わせプレートを通って延びる、位置合わせプレートと、
前記第1の溝に配置され、かつ光ファイバ及び前記第1の溝に沿って光をフォーカスさせるように構成されたレンズを備えるコリメータと、
前記第1の溝に配置され、かつ第1の反射面によって定められた端部を有する第1のロッドであって、前記第1の反射面は、前記レンズから光を受け取って光を前記第2の溝に沿うように向け直すように向けられる、第1のロッドと、
前記第2の溝に配置され、かつ第2の反射面によって定められた端部を有する第2のロッドであって、前記第2の反射面は、前記第1の反射面から光を受け取って光を前記孔を通るように向け直すように向けられる、第2のロッドと、
を
備える、光学アセンブリ
と、
を備える、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項13】
前記光学アセンブリは、前記第1の光路の少なくとも一部を定め、
前記第1の光学窓又は前記第2の光学窓は、前記第1の光路を終端するとき、
第2の窓面の反対側の第1の窓面であって、前記第1の窓面は、前記真空容積に露出され、前記第2の窓面は、前記ハウジングの外部に露出される、第1の窓面と、
前記第1の窓面を前記
光学アセンブリの前記光ファイバに光結合する前記真空容積内の第1の平行化パッケージであって、第1のレンズを備える、第1の平行化パッケージと、
前記ハウジングの外部にあり、かつ前記第2の窓面に光結合する第2の平行化パッケージであって、第2のレンズ及び第2の光ファイバを備える、第2の平行化パッケージと、
を備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記光学アセンブリは、前記第2の光路の少なくとも一部を定め、
前記光学アセンブリの
前記孔は、
前記第2の光路が前記第1の光学窓から延びるとき、前記ハウジングの前記第1の開口部と位置合わせされ、又は、
前記第2の光路が前記第2の光路窓から延びるとき、前記ハウジングの前記第2の開口部と位置合わせされる、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記エタロンは、ファブリペロー干渉計である、請求項1又は請求項2に記載のデバイス。
【請求項16】
基準周波数でレーザ光を提供するための周波数基準システムであって、
入力光信号を生成するように構成されたレーザシステムと、
前記入力光信号を受け取り、かつ応答して出力光信号を生成するように構成された干渉計であって、
第1及び第2の光学ポートを有し、かつセラミック材料で形成されて真空容積を封入するハウジング、
前記第1の光学ポートから前記第2の光学ポートまで前記真空容積を通る光路に沿って配置されたエタロン、及び
前記
ハウジング内で前記エタロンを懸架する1又は2以上の支持体であって、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成された、1又は2以上の支持体、
を備える干渉計と、
前記出力光信号を受け取り、かつ応答して前記出力光信号の周波数特性を表す検出器信号を生成するように構成された検出器と、
前記レーザシステム及び前記検出器と通信する制御システムであって、
前記検出器から前記検出器信号を受け取ること、
前記入力光信号の周波数と前記エタロンの共振周波数との間の周波数の差を前記検出器信号に基づいて決定すること、及び
前記差に基づく前記入力光信号の周波数の変化を表す周波数制御信号を前記レーザシステムに送ること、
を含む作動を実行するように構成された制御システムと、
を備える、周波数基準システム。
【請求項17】
前記セラミック材料は、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する、請求項16に記載の周波数基準システム。
【請求項18】
前記1又は2以上の支持体を形成する前記材料は、セラミック材料である、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項19】
前記エタロンは、
前記光路に沿って配置された第1及び第2の反射面と、
前記反射面を互いから分離し、かつそれらの間に前記光路の一部である光路長を設定するように構成されたスペーサと、
を備える、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項20】
前記スペーサは、室温で10
-5毎ケルビンよりも低い熱膨張係数を有する材料で形成される、請求項19に記載の周波数基準システム。
【請求項21】
前記干渉計は、ファブリペロー干渉計である、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項22】
前記レーザシステムと前記検出器は、同じ光学ポートを通して前記干渉計に光結合される、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項23】
前記レーザシステムと前記検出器は、別個の光学ポートを通して前記干渉計に光結合される、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項24】
前記レーザシステム及び前記検出器のうちの一方又は両方は、
前記レーザシステムに光結合された第1のサーキュレータポート、
前記干渉計の前記第1又は第2の光学ポートに光結合された第2のサーキュレータポート、及び
前記検出器に光結合された第3のサーキュレータポート、
を備えるファイバサーキュレータを通して前記干渉計に光結合される、
請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項25】
前記周波数基準システムは、
第2の入力光信号を生成するように構成された第2のレーザシステムであって、前記干渉計は、前記第2の入力光信号を受け取り、かつ応答して第2の出力光信号を生成するように構成される、第2のレーザシステムと、
前記第2の出力光信号を受け取り、かつ応答して前記第2の出力光信号の周波数特性を表す第2の検出器信号を生成するように構成された第2の検出器と、
を備え、
前記制御システムは、前記第2のレーザシステム及び前記第2の検出器と通信し、前記制御システムによって実行される前記作動は、
前記第2の検出器から前記第2の検出器信号を受け取ることと、
前記第2の入力光信号の周波数と前記エタロンの前記共振周波数との間の周波数の第2の差を前記第2の検出器信号に基づいて決定することと、
前記第2の差に基づく前記第2の入力光信号の周波数の変化を表す第2の周波数制御信号を前記第2のレーザシステムに送ることと、
を含む、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項26】
前記レーザシステム及び前記検出器は、前記第1の光学ポートを通して前記干渉計に光結合され、
前記第2のレーザシステム及び前記第2の検出器は、前記第2の光学ポートを通して前記干渉計に光結合される、
請求項25に記載の周波数基準システム。
【請求項27】
前記レーザシステム、前記検出器、前記第2のレーザシステム、及び前記第2の検出器は、同じポートを通して前記干渉計に光結合される、請求項25に記載の周波数基準システム。
【請求項28】
前記レーザシステム及び前記第2の検出器は、前記第1の光学ポートを通して前記干渉計に光結合され、
前記第2のレーザシステム及び前記検出器は、前記第2の光学ポートを通して前記干渉計に光結合される、
請求項25に記載の周波数基準システム。
【請求項29】
前記干渉計の前記ハウジングを囲む断熱材と、
前記断熱材と前記ハウジングの間に配置された加熱器と、
前記ハウジングに熱的に結合され、かつ前記ハウジングの温度を表すセンサ信号を生成するように構成されたセンサと、
前記センサ及び前記加熱器に通信する温度制御システムであって、
前記センサから前記センサ信号を受け取ること、
前記ハウジングの温度とターゲット温度との間の差を前記センサ信号に基づいて決定すること、及び
前記加熱器によって生成される熱の量を前記差に基づいて変更するために第1の温度制御信号を前記加熱器に送ること、
を含む作動を実行するように構成された、温度制御システムと、
を備える、請求項16又は請求項17に記載の周波数基準システム。
【請求項30】
前記断熱材と前記ハウジングの間に配置された冷却器を備え、
前記温度制御システムは、前記冷却器と通信し、前記温度制御システムによって実行される前記作動は、
前記ハウジングから除去される熱の量を前記差に基づいて変更するために第2の温度制御信号を前記冷却器に送ること、
を含む、請求項29に記載の周波数基準システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
この出願は、これにより引用によってその開示が組み込まれる2021年2月3日出願の米国特許出願第17/166,517号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
以下の説明は、周波数基準システム内のエタロンの収容に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザは、それらの光の品質に影響を及ぼすノイズを被る可能性がある。そのようなノイズのソースは、音響結合、温度変動、電力変動、及びレーザキャビティ及び利得媒質の摂動を含む。ノイズは、レーザのスペクトル帯域幅を拡幅する場合があり、かつレーザによって放出される光の周波数のドリフトを引き起こす場合もある。このノイズを軽減するための手法は、典型的には、制御された周囲環境内でレーザを作動させること、例えば、レーザを除振台に固定すること及び周囲環境内の空気を予め決められた温度に調整すること等々に関わるものである。しかし、商業的応用は、多くの場合にそのような運用を無視している。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】エタロンからの反射光の強度が周波数と共にどのように変化するかを示す例示的グラフである。
【
図2】2つの反射面を有する例示的エタロンの概略図である。
【
図3】エタロンの透過ピークが周波数と共にどのように変化するかを示す例示的グラフである。
【
図4】極低熱膨張(ULE)ガラスで形成されたスペーサによって分離された2つのミラーを含むエタロンの概略図である。
【
図5】光の基準周波数を提供するための例示的デバイスを提示する概略図である。
【
図6】エタロンを光学窓に光結合するための例示的光学アセンブリを斜視図に示す概略図である。
【
図7A】
図5の例示的デバイスの一部を詳細図に示すが、光学アセンブリがエタロンを光学窓に光結合している概略図である。
【
図7B】
図5の例示的デバイスの一部を詳細図に示すが、光学アセンブリがハウジングの外部に結合されてハウジングの開口部と位置合わせされた概略図である。
【
図8】環境温度の突然の変化に対する
図5の例示的デバイスの経時的な応答のグラフである。
【
図10A】例示的周波数基準システムの制御システムによって実行されるフィードフォワード作動に応答してレーザシステムによって放出される光の中心周波数のグラフである。
【
図10B】フィードフォワード作動が実行されない時の
図10Aの光の中心周波数のグラフである。
【
図11】ファブリペローエタロンに基づくオフセットロッキングを表すグラフである。
【
図12】レーザの周波数出力を安定化するためにエタロンと周波数測定サブシステムとを含む例示的周波数基準システムを提示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一般的態様では、構造体(structure)が、周波数基準システム(frequency reference system)内でエタロン(etalon)を収容する。一部の変形では、周波数基準システムは、レーザ光のための超安定周波数基準(ultra-stable frequency reference for laser light)を提供する。例えば、エタロン(例えば、ファブリペローエタロン)は、真空ガラス及びシリコンハウジング内に封入される場合がある。このデバイスの中に光ファイバを通して光を誘導することができ、ユーザによる光学的位置合わせの必要性が排除される。更に、このエタロン及びハウジングの設計は、温度変化に起因するエタロンの長さ変化を最小にすることができる。それを行うために、一部の事例では、エタロンのスペーサは、低熱膨張材料で製造される。同様に、エタロンを真空ハウジングの中に保って対流熱伝達を最小にし、エタロンが主として放射によって加熱されることを保証することができる。デバイスは、放射熱伝達が対流熱伝達よりもかなり低速である(たとえ対流熱伝達が存在したとしても)ように構成することができる。一部の事例では、本明細書に説明するシステム及び技術は、携帯可能デバイス、特に5kHzにわたるフィードバック帯域幅を必要とするものでレーザを安定化するのに有用である。
【0006】
本明細書に説明する技術は、実験室環境の内外の用途に展開することができる。レーザ光は、干渉測定の応用とそれが容易にする物質の精巧な制御とを通して多くの精密測定を可能にする。単一周波数レーザによって放出される光の精密な周波数又は色は、多くの場合にそのような制御を可能にする。時間及び周波数の測定、重量測定、電界感知、及び磁界感知を含む様々な用途では、周波数安定化レーザが有益である。重量測定のような一部の用途では、測定は、一般的に遠隔地で行われ、従って、レーザシステムの携帯性及び安定性を必要とする。周波数安定化レーザの他の用途は、宇宙空間での試験及び測定を含む。計器を宇宙空間に打ち上げるコストとアクセス可能性の欠如とに起因してこれらのタイプの用途は、極端なロバスト性と小型軽量設計との両方を必要とする。
【0007】
作動中に、レーザは、ノイズソースに結合する場合があり、この結合は、レーザによって生成される光の品質に影響を及ぼす場合がある。ノイズの例は、音響ノイズ、温度変動、電力変動、及びレーザキャビティ及び利得媒体の摂動を含む。これらのノイズソースは、レーザのスペクトル帯域幅を拡幅し、かつレーザの周波数のドリフトを引き起こす場合がある。実験室では、レーザの周波数を安定周波数基準に対して追跡することができる場合に(例えば、長さが安定化された干渉計、高い周波数安定性を有するレーザなど)、これらの効果は、能動フィードバック制御によって補償することができる。作動中に、安定周波数基準は、それに対して増加又は減少した可能性があるレーザの光学周波数に基づいてフィードバック信号を発生させることができる。次に、このフィードバック信号をレーザシステムに送り返して光学周波数を所望値に向けて押し戻すことができる。
【0008】
図1は、エタロンからの反射光の強度が周波数と共にどのように変化するかを示す例示的グラフを提示している。エタロンは、ファブリペロー干渉計とすることができ、反射光の強度を用いて光信号を生成することができる。例示的グラフでは、反射光の強度は、放物曲線によって表される。放物曲線の一方の側では、反射光の強度は、周波数と共にほぼ線形に変化する。矢印に示すように、強度は、周波数が増加した場合は高くなり、周波数が減少した場合は低くなる。従って、設定値に対応することができる基準点が選択されている時に、周波数の正の変化は、周波数の負の変化から区別することができる。基準点は、安定周波数基準に対して追跡されるレーザの能動フィードバック制御を可能にすることができる。例えば、フォトダイオードを用いて光信号を電気信号に変換することができ、その後に、この電気信号を処理して変換器にフィードバックすることができる。次に、変換器は、レーザ周波数を変更することができ、例えば、レーザキャビティミラーを変位させてレーザキャビティの長さを変更することができる。
【0009】
一部の実施では、エタロンは、周波数基準として機能する(serve)ことができる。エタロンは、定められた間隔だけ分離された2つの反射面を含むことができる。
図2は、2つの反射面を有する例示的エタロンの概略図を提示している。エタロンは、ファブリペロー干渉計のような干渉計の一部又は全てを定めることができる。2つの反射面の各々は、平坦なもの又は湾曲したもののいずれかとすることができ、かつミラーによって定めることができる。2つの反射面の間の定められた間隔は、一定に保たれてエタロンのキャビティを定めることができる。周波数フィードバック方式により、キャビティ長の安定性は、レーザの周波数安定性に変換することができる。キャビティからの反射ビーム又は透過ビームのいずれも周波数安定化に使用することができる。多くの変形では、反射ビームが周波数安定化に使用される。これらの変形では、反射ビームは、透過ビームよりも高い帯域幅フィードバックを与えることができる。
【0010】
エタロンのキャビティの特性を表すパラメータを使用することができる。パラメータの例は、自由スペクトル範囲(FSR)、フィネス、及び帯域幅を含む。キャビティに関する自由スペクトル範囲Δv
FSRは、キャビティからの連続する光学透過極大値間又は光学反射極小値間の周波数間隔である。例えば、ファブリペロー干渉計は、そのキャビティを光が透過する場合の共振が周期的であることで自由スペクトル範囲を有する。一般的に、エタロンのキャビティに関して自由スペクトル範囲(FSR)は、式(1)によって表すことができる。
上式中のnは、2つの反射面の間の媒質の屈折率であり、cは、光の速度であり、Lは、2つの反射面の間の物理的分離である。
【0011】
フィネスfは、光が端部ミラーを透過するか又はこれに代えて吸収又は散乱されるまでキャビティ内を循環することになる平均回数の尺度である。フィネスの大きさが大きい場合に、より多くの反射ビームがキャビティを透過するための干渉条件を満足する必要があることで高い空間分解能をもたらすことができる。レーザ周波数安定化に使用されるような高フィネスキャビティでは、フィネスは、2つの反射面の反射率にほぼ全面的に依存する。一般的に、エタロンキャビティのフィネスは、キャビティの内側での損失(例えば、吸収又は散乱に起因する)を無視した式(2)によって表すことができる。
上式中のRは、2つの反射面の反射率であり、0から1に及ぶ可能性がある。式(2)が示すように、高フィネスは、反射率が1に近い時にもたらされる。反射面(例えば、ミラー面)は、無限に滑らかにすることができず、反射コーティングは、完全な反射率(又は任意的に高い反射率)を有するようには製造することができないので、キャビティのフィネスは、製造制約条件による制限を受ける。従って、フィネスの大きさに対する制限は、微小ファブリペロー共振器では数万から数十万程度である場合がある。
【0012】
エタロンキャビティの帯域幅Δv
FWHMは、キャビティの透過のピークのスペクトル幅の尺度である。帯域幅は、式(3)によって表すことができる。
上式中のΔv
FSRは、キャビティの自由スペクトル範囲であり、fは、キャビティのフィネスである。
図3は、エタロンの透過ピークが周波数と共にどのように変化するかを示す例示的グラフを提示している。この例示的グラフには、帯域幅を示す記号Δv
FWHMと自由スペクトル範囲を示す記号Δv
FSRとを表示している。エタロンは、ファブリペロー干渉計とすることができ、周波数は、レーザによって放出される光の周波数に対応することができる。キャビティの帯域幅は、レーザの周波数安定化に重要な役割をすることができる。例えば、狭めの帯域幅は、利用することが困難である可能性があるが、より厳密なレーザ光の周波数安定化を可能にする。フィネスの大きさは、一般的に、製造制約条件による制限を受けるので、狭い帯域幅は、許容自由スペクトル範囲を制限し、従って、キャビティが一般的に約数cm又はそれよりも大きい最短長さを有することを必要とする場合がある。
【0013】
周波数基準用途(例えば、周波数安定化)では、エタロンの2つの反射面の間の光路長を可能な限り一定に保たなければならない。理想的には、光路長は、完全に一定でなければならない。光路長は、2つの反射面の間の媒質の屈折率nと2つの反射面の間の物理長Lとの積である。従って、キャビティを通過する光にドリフト及びノイズが伝達されることを防止するために、屈折率及び物理長(又はこれらの積)を可能な限り固定された状態に保持しなければならない。
【0014】
一部の実施では、物理長は、熱膨張に起因するキャビティ長の変化を最小にすることによって安定に保たれる。そのような膨張は、一般的に、物理長の変化の最大の原因である。これらの実施では、キャビティは、極低熱膨張(ULE)ガラスで製造されたスペーサによって分離された2つの端部ミラーを用いて製作することができる。
図4は、極低熱膨張(ULE)ガラスで形成されたスペーサによって分離された2つのミラーを含むエタロンの概略図を提示している。エタロンは、ファブリペロー干渉計の一部又は全てを定めることができる。ULEガラスは、室温を若干超える(例えば、300Kを若干超える)温度で約10
-6から10
-7までの1次熱膨張係数を有するように製造することができる。この温度は、ULEガラスに関する熱膨張係数のゼロ交差点に対応することができる。
【0015】
更に別の実施では、周囲環境との熱交換に起因する長さ変化を更に低減するために、キャビティをゼロ交差点温度に保つことができる。振動の影響を最小にすることは、キャビティの長さ安定性を改善することを助けることができる。一部の実施では、屈折率nは、キャビティを真空ハウジング内に保つことによって固定される。これらの実施では、nは、約1とすることができる(例えば、n≒1)。一部の変形では、皆無か又はそれに近いドリフトのみを有する10kHzよりも低い線幅を必要とするレーザ用途を可能にするために10-3から10-7までの真空がハウジングに印加される。一部の実施では、真空ハウジングは、ハウジングからキャビティへの対流熱伝達を最小にする。同じく対流熱伝達も低く保たれる場合に、エタロンは、主として、低速過程であるハウジングから発する放射によって加熱される。そのような制御式熱伝達は、ハウジング面上の温度変化に対するエタロンの感度を低くすることを可能にする。
【0016】
現在の実験室に基づくシステムでは、ファブリペロー干渉計のような超安定エタロンにステンレス鋼ハウジングが使用される。ステンレス鋼はガスを放出し(他の金属と同じく)、従って、これらのタイプのハウジングは、内側の真空状態を維持するために絶えずポンプ排気しなければならない。一部の実施では、本明細書に説明するシステムは、シリコン及び肉厚ガラスで製造されて排気後に永久に密封されるエタロンのためのハウジングを含む。シリコン及びガラスハウジング構成要素は、互いに陽極結合され、ガスを放出する可能性があると考えられるエポキシ又は他の結合剤が不在の真空気密シールを提供することができる。しかし、他の結合方法(例えば、接触結合)も可能である。更に、エタロンのためのハウジング及びそのホルダとしての働きをする内部支持体の内側でも低ガス放出材料が使用される。
【0017】
多くの実施では、ガラス及びシリコンハウジングは、システムがポンプ排気なしに長期(例えば、1年よりも長く)にわたって高真空(例えば、10-3トルよりも低い)に留まることを可能にすることができる低ガス放出構造体を定める。真空の存在は、キャビティ屈折率をほぼ1に維持すること、及びキャビティをハウジングの温度変化から熱的に隔離することの両方によって周波数基準安定性を高める。一部の実施では、エタロンには、光ファイバがハウジング内の透明な窓を通して結合することができる。光ファイバ結合の使用は(自由空間光学系と比較して)、位置合わせが経時的にそれほど変動しないことにより、より安定なシステムをもたらすことができる。光ファイバ結合の使用、能動真空ポンプ排気の排除、及びキャビティ周波数シフトに対する低速時定数は、このハウジングを現場展開可能な周波数基準に適するものにする。従って、このハウジングは、より小型、ロバスト、安定、かつ省電力の周波数基準システムを可能にすることができる。
【0018】
安定、携帯可能、ロバスト、かつ使用が簡単な周波数基準デバイスは、研究室内用途と現場用途の両方に有益とすることができる。エタロンは、レーザを周波数安定化する有効な手法である。一部の変形では、エタロンは、ファブリペローキャビティ又はファブリペロー干渉計によって定められる。他の干渉計基準と比較してファブリペローに基づく安定化方式は、信号処理を殆ど必要とせず、反射モードに使用される時に非常に大きいフィードバック帯域幅を可能にする。ファブリペローキャビティはまた、キャビティを2つのミラーとスペーサとで構成することができるので、実施することが最も簡単な干渉計のうちの1つでもある。ファブリペローキャビティは、現場環境では、特に広範囲の波長にわたって又は様々な原子遷移又は分子遷移の間で調整しなければならないレーザに光結合される時の周波数基準のための優れたオプションを表す。研究用途では、ファブリペローキャビティは、レーザが約1Hzの線幅の非常に高い周波数安定性をもたらすことを可能にする。しかし、一部の従来のファブリペロー干渉計は、大きいフットプリントを有し、かつ自由空間光学系、真空チャンバ、及び真空ポンプのような追加のインフラストラクチャと共に作動して機能する。
【0019】
高い安定性を維持することができるが、より現場向けの形状因子を有する周波数基準デバイス又は周波数基準システムは、様々な異なる用途で貴重である。そのようなデバイス又はシステムは、例えば、自由空間光学系を排除することができる。一般的に、自由空間光学系は、それを配置するために通常は光学ブレッドボード又はケージマウントシステムを含むことでかなりの空間を必要とする。光ファイバと比較すると、自由空間光学系は、振動に対して高い感度を有し、長期にわたる位置合わせ安定性が低い。より少ない又は皆無の自由空間光学系は、より小型で安定したシステムをもたらす。
【0020】
別の例では、本明細書に説明する技術は、エタロン内の真空容積の能動ポンプ排気を排除することができる。真空ポンプは、かなりのサイズを有し、一般的に電力を必要とする。低保守に起因してファブリペローレーザ安定化システムに対して好ましいポンプであるイオンポンプは、一般的に、数kV程度の電圧を必要とする。その上、イオンポンプは、真空容積の内側の真空圧力が過度に高くなった場合に作動(working)を停止することができる。このポンプが過度に長い間にわたって停止される場合に(例えば、電力の喪失)、イオンポンプが機能しなくなるまで真空ハウジングの内側の真空圧力が増大する場合がある。ゲッターポンプのような受動ポンプは、通常、周波数基準用途に使用するにはポンプ排気速度が不足する。一部の実施では、本明細書に説明する技術は、エタロンを真空ガラス及びシリコンハウジング内に密封することによって能動ポンプ排気を排除する。このハウジングは、気体原子、気体分子、又はその両方に対して非常に高い不透過性を有する層で被覆することができる。機械的シールの使用を排除することは、ハウジングの透過が、真空圧力が増大する可能性がある唯一の機構である場合があることを意味する。
【0021】
更に別の例では、デバイス又はシステムは、小型でロバストなハウジングを可能にすることができる。多くの用途に関して小さめでより軽量のフットプリントは、計器をより大きいシステムの中に組み込むことを容易にする。現場展開可能な計器では、ある程度の振動及び温度変化に耐える機能も重要である。一部の実施では、本明細書に説明するシステムは、セラミック装着構造体及び光ファイバのみを内側に有する固体ガラス及びシリコンハウジング内に装着されたファブリペロー干渉計を含む。そのようなアセンブリは、発泡体又は他の断熱材及び制振材が外面上に固定されたハウジングに配置することができる。環境隔離レベルは、予想環境及び望ましい安定性レベルに対して増減することができる。
【0022】
周波数基準システムは、携帯可能なレーザのための超安定周波数基準を提供することができる。一部の変形では、周波数基準は、ガラス及びシリコン真空セルの内側に保持されたファブリペロー干渉計のようなエタロンに基づいている。エタロンの中に、1又は2以上のレーザを結合することができる。更に、透過ビーム又は反射ビームの一方又は両方をキャビティから取り出すことができる。エタロンから反射(又はエタロンを透過)した光は、レーザの周波数を弁別し、次に、周波数を設定値に向けて能動的に調節して戻すのに使用することができる。周波数を設定値に向けて調節して戻す上でパウンド-ドレバー-ホール方法又はフリンジサイドロッキングのようなエタロンに対するレーザ周波数安定化に適する既存方式を使用することができる。多くの実施では、本明細書に説明する周波数基準システムは、高い光路長安定性とファイバ結合の位置合わせとの組合せを可能にすることができる。この周波数基準システムは、内部で真空を維持するのに能動ポンプ排気を必要としない真空ハウジングを可能にすることができる。
【0023】
次に、
図5を参照すると、光の基準周波数を提供するための例示的デバイス500の概略図が示されている。例示的デバイス500は、第1及び第2の開口部504、506を有し、セラミック材料で形成されたハウジング502を含む。セラミック材料は、ガラス材料(例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)とすることができるが、他のセラミック材料が可能である。一部の事例では、セラミック材料は、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する。本明細書に使用する時に、熱伝導度又は熱膨張係数のような材料特性に関する時の「室温」という用語は、300K又はその付近の温度を意味する。デバイスは、第1の開口部504(first opening)を覆い、第1の開口部504の周りに気密シールを形成する第1のセラミック結合(first ceramic bond)によって結合された第1の光学窓(first optical window)508をハウジング502に更に含む。更に、デバイスは、第2の開口部506を覆い、第2の開口部506の周りに気密シールを形成する第2のセラミック結合によって結合された第2の光学窓510をハウジング502に更に含む。第1及び第2の光学窓508、510は、ガラスで形成することができ、一部の実施形態ではそれを通る光の透過を改善するために反射防止被覆することができる。
【0024】
第1及び第2のセラミック結合は、その各々の光学窓、例えば、第1の光学窓508又は第2の光学窓510をハウジング502に化学的に接合するイオン結合、共有結合、又はそのあらゆる組合せに基づいている。多くの実施では、光学窓とハウジング502は、両方共にセラミック材料(例えば、シリコン、ホウケイ酸ガラス、アルミナ、シリカなど)で形成される。第1及び第2のセラミック結合は、それぞれの光学窓の面をハウジング502の嵌合面と反応させることによって形成することができる。この過程は、面を接触させることを含むことができる。例えば、これらの面を化学的に処理し、次に、接触させてセラミック結合を形成することができる(例えば、接触結合処理)。セラミック結合を形成することを容易にするために、必要に応じて熱を印加することができる。別の例では、これらの面は、接触させることができ、次に、熱及び電界のうちの一方又は両方を印加してセラミック結合を形成することができる(例えば、陽極結合処理)。一部の変形では、セラミック結合の形成は、セラミック材料(例えば、ガラスフリット)を含有する中間化合物によって容易にされる。中間化合物は、面が接触する前に一方又は両方の面に付加することができる。その後のエネルギ刺激(例えば、熱)の印加は、セラミック結合の形成を推進する(例えば、ガラスフリットの溶融により)。
【0025】
ハウジング502と第1の光学窓508と第2の光学窓510とによって真空容積(evacuated volume)512が封入される(enclosed)。そのような封入は、一部の事例では、セラミック結合及び他の副次的な構成要素の寄与を含むことができる。真空容積512は、10-3トルのような閾値真空圧力以下の真空圧力を有することができる。一部の実施形態では、真空容積512は、10-3トル以下の真空圧力を有する。一部の実施形態では、真空容積512は、10-4トル以下の真空圧力を有する。一部の実施形態では、真空容積512は、10-5トル以下の真空圧力を有する。一部の実施形態では、真空容積512は、10-6トル以下の真空圧力を有する。
【0026】
一部の実施形態では、ハウジング502、並びに第1及び第2の光学窓508、510は、真空容積が1年以上のような予め決められた期間にわたって閾値真空圧力を下回ったままに留まることを可能にするように構成することができる。セラミック結合及び他の副次的な構成要素は、この機能に寄与するように構成することができる。例えば、セラミック結合は、気密シールを定めることができる。予め決められた期間は、例示的デバイス500の作動寿命(operational lifetime)に対応することができる。一部の変形では、ハウジング502、並びに第1及び第2の光学窓508、510は、真空容積512が閾値真空圧力(又はそれ未満)を少なくとも1年間にわたって維持することを可能にするように構成される。一部の変形では、ハウジング502、並びに第1及び第2の光学窓508、510は、真空容積512が閾値真空圧力(又はそれ未満)を少なくとも3年間にわたって維持することを可能にするように構成される。一部の変形では、ハウジング502、並びに第1及び第2の光学窓508、510は、真空容積512が閾値真空圧力(又はそれ未満)を少なくとも5年間にわたって維持することを可能にするように構成される。一部の変形では、ハウジング502、並びに第1及び第2の光学窓508、510は、真空容積512が閾値真空圧力(又はそれ未満)を少なくとも10年間にわたって維持することを可能にするように構成される。
【0027】
デバイス500は、真空容積512の中に配置されたエタロン514を含む。デバイス500は、エタロン514を真空容積内に懸架する(suspending)1又は2以上の支持体516を更に含む。1又は2以上の支持体は、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成される。一部の事例では、1又は2以上の支持体は、室温で3W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成される。一部の事例では、1又は2以上の支持体は、室温で1W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成される。一部の事例では、1又は2以上の支持体は、室温で0.5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成される。一部の事例では、1又は2以上の支持体を形成する材料はセラミック材料である。
図5は、デバイス500を2つの支持体516を有するものとして示すが、他の個数の支持体が可能である。
【0028】
一部の実施では、エタロン514は、第1の光学窓508から第2の光学窓510まで真空容積512を通る光路520上に2つの反射面518を含む。2つの反射面518は、それぞれのミラーによって定めることができる。エタロン514は、これらの反射面を互いから分離し、その間に光路長524を設定するように構成されたスペーサ522を更に含む。光路長524は、光路の一部である。一部の変形では、スペーサ522は、室温で10-5毎ケルビンよりも低い熱膨張係数を有する材料で形成される。例えば、スペーサ522は、超低膨張(ULE)ガラスで形成することができる。一部の変形では、スペーサ522は、熱膨張係数のゼロ交差温度(zero-crossing temperature)を有する材料で形成される。ゼロ交差温度は、材料が熱を吸収するか又は失う時に材料の熱膨張が1又は2以上の方向に沿ってゼロである温度に対応することができる。一部の事例では、ゼロ交差温度は、15℃よりも高い。一部の事例では、ゼロ交差温度は、20℃よりも高い。一部の事例では、ゼロ交差温度は、25℃よりも高い。一部の事例では、ゼロ交差温度は、30℃よりも高い。
【0029】
図5に示すような一部の実施では、ハウジング502は、第1及び第2の開口端を有する円筒チューブ(cylindrical tube)526を含む。ハウジング502は、第1の開口端(first open end)を覆って円筒チューブ526に第1の開口端の周りに気密シールを形成する第3のセラミック結合を通して結合された第1のプレート528を更に含む。第1のプレート528は、ハウジング502の第1の開口部504として機能する第1の孔530を含む。ハウジング502は、第2の開口端を覆って円筒チューブ526に第2の開口端の周りに気密シールを形成する第4のセラミック結合を通して結合された第2のプレート532を更に含む。第2のプレート532は、ハウジング502の第2の開口部506として機能する第2の孔534を含む。第1及び第2のプレート528、532に関連して説明したセラミック結合は、第1及び第2の光学窓508、510に関して説明したセラミック結合と同様とすることができる。
【0030】
一部の実施では、円筒チューブ526は、ガラスで形成される。円筒チューブ526の壁は、真空容積512内へのヘリウム透過を低減する厚み(例えば、7mm厚)を有するように選択することができる。これらの実施では、円筒チューブ526は、同じくガラスで形成されて円筒チューブ526内の孔から延びる中空ステム536を含むことができる。中空ステム536は、孔によって形成されて円筒チューブ526の内部を周囲環境に接続する通路を延びる。中空ステム536は、真空容積512内の真空圧力を確立するためにデバイス500の製作中にポンプに結合することができる。真空圧力に達した後に、中空ステム536を溶融閉鎖して真空容積512内に真空圧力を封じ込めることができる。一部の実施では、第1及び第2のプレート528、532は、シリコンで形成される。第1及び第2のプレートは、真空容積512内へのヘリウム透過を低減する厚み(例えば、3mm厚)を有するように選択することができる。円筒チューブ526がガラスで形成され、第1及び第2のプレート528、532がシリコンで形成される実施では、第1及び第2のプレート528、532は、陽極結合によって円筒チューブ526の第1及び第2の開口端にそれぞれ結合することができる。陽極結合は、漏れる、劣化する、又はガスを放出する可能性があると考えられるエポキシ又は他の充填材の必要なしにロバストな真空気密シールを生成することができる。しかし、他のタイプの結合(例えば、接触結合)が可能である。
【0031】
一部の実施では、第1及び第2のプレート528、532は、ガラスで形成される。円筒チューブ526も同じくガラスで形成される実施では、当接シール又はガラスフリット結合を用いて第1及び第2のプレート528、532を円筒チューブ526に接合することができる。他のタイプの結合が可能である。
【0032】
一部の実施では、デバイス500は、エタロン514に光結合された(optically coupled)光学アセンブリを含む。
図6は、エタロンを光学窓に光結合するための例示的光学アセンブリ600の略斜視図を提示している。例示的光学アセンブリ600は、第1及び第2の溝606、608を中に有する平坦面(planar surface)604を有する位置合わせプレート(alignment plate)602を含む。位置合わせプレート602は、シリコンで形成することができ、第1及び第2の溝606、608は、V字形断面を有することができる。第1の溝606と第2の溝608は、互いに垂直に向けられ、第2の溝608内の孔612に隣接する交差部(intersection)610を有する。孔612は、位置合わせプレート602を通って延びる。例示的光学アセンブリ600は、第1の溝606に配置されて光ファイバ616とレンズ(勾配屈折率レンズ)とを含むコリメータ614を更に含む。レンズは、第1の溝606に沿って光をフォーカスさせる(focus)ように構成される。
【0033】
例示的光学アセンブリ600は、第1のロッド618と第2のロッド620とを更に含む。第1のロッド618は第1の溝606に配置され、第1の反射面622によって定められた端部を有する。第1の反射面622は、コリメータ614のレンズから光を受け取り、この光を第2の溝608に沿うように向け直すように向けられる。第2のロッド620は第2の溝608に配置され、第2の反射面624によって定められた端部を有する。第2の反射面624は、第1の反射面622から光を受け取り、この光を孔を通るように向け直すように向けられる。第1及び第2の溝606、608は、それぞれ第1及び第2のロッド618、620が並進及び回転することを可能にするように構成される。そのような運動は、組み立て中に第1及び第2のロッド618、620が位置合わされることを可能にする。
【0034】
ここで
図5を参照し直すと、一部の実施では、例示的デバイス500は、エタロン514を光学窓に、例えば、デバイス500の第1の光学窓508を第2の光学窓510に光結合する光学アセンブリを含むことができる。これらの実施では、エタロン514は、光路520上に第1及び第2のミラーを含む。第1及び第2のミラーは、それぞれエタロン514の2つの反射面518を定めることができる。第1及び第2のミラーの一方又は両方は、当該ミラーに結合された光学アセンブリのインスタンスを有することができる。光学アセンブリのインスタンスは、真空容積512内である。
図7Aは、
図5の例示的500デバイスの一部の詳細図であるが、光学アセンブリ750が、エタロン714を第2の光学窓710に光結合している。光学アセンブリ750は、真空容積712内である。
図5と
図7Aの両方に共通の特徴は、200の増分で異なる系統的な数字で関連付けている。
図7Aの光学アセンブリ750は、
図6に関して説明した例示的光学アセンブリ600と同様とすることができる。
【0035】
光学アセンブリ750に隣接する第2の光学窓710は、第2の窓面754と反対の第1の窓面752を含む。第1の窓面752は、真空容積712に対して露出され、第2の窓面754は、ハウジング702の外部に対して露出される。第2の光学窓710は、第1の窓面752を光学アセンブリ750の光ファイバ758に光結合する第1の平行化パッケージ(first collimation package)756を真空容積712内に更に含む。第1の平行化パッケージ756は、第1のレンズ(例えば、勾配屈折率レンズ)を含む。第2の光学窓710は、ハウジング702の外部にあって第2の窓面754に光結合された第2の平行化パッケージ760を更に含む。第2の平行化パッケージ760は、第2のレンズ(例えば、勾配屈折率レンズ)と第2の光ファイバ762とを含む。一部の事例では、第2の光ファイバ762は、レーザ光源(例えば、レーザシステム)に結合される。
【0036】
ここで
図5を参照し直すと、一部の実施では、例示的デバイス500は、ハウジング502の外面に結合された光学アセンブリを含むことができる。これらの実施では、ハウジング502の第1の開口部504及び第2の開口部506のうちの一方又は両方は、当該開口部に関する光学アセンブリのインスタンスを有する。更に、このインスタンスの孔は、関連の開口部、すなわち、第1の開口部504又は第2の開口部506と位置合わせされ、光学アセンブリを光路520に光結合することを可能にする。
図7Bは、
図5の例示的デバイス500の一部の詳細図を提示しているが、光学アセンブリ770が、ハウジング702の外部に結合され、第2の開口部706と位置合わせされている。
図5と
図7Bの両方に共通の特徴は、200の増分で異なる系統的な数字で関連付けている。
図7Bの光学アセンブリ770は、
図6に関して説明した例示的光学アセンブリ600と同様とすることができる。作動中に、光学アセンブリ770は、エタロン714と光学連通しており、光路720に沿って光信号を交換することができる。
【0037】
ロバスト性及び使い勝手に関して、本明細書に説明するシステムの光学系は、ユーザによる位置合わせが必要ではないように、製作中に位置合わせされて定位置に固定される(例えば、エポキシにより)。ユーザは、周波数基準ハウジングの外側でレーザ光源を光ファイバに接続するだけでよい。自由空間伝播が必要な場合に、小型光学系を用い、それを安定した基板にエポキシで接着することができる。レーザビームの各々の全自由空間伝播長は、光学系の配置に依存して1~3cmとすることができる。しかし、他の距離が可能である。反射信号を入力信号から分離するために、光ファイバサーキュレータを使用することができる。光ファイバサーキュレータは、低損失、偏光非感度であり、自由空間光学系代替物よりも安定したものとすることができる。
【0038】
周波数基準システムが能動ポンプ排気を用いずに真空を維持するためには、金属材料を避けてセラミック材料(例えば、ガラス材料)を使用することができる。セラミック材料からハウジングを形成することにより、ハウジングの真空容積内へのガス放出を有意に低減する又は排除することができる。一部の変形では、ハウジングは、シリコンで製造された各端部上にキャップを有する太いガラスチューブを含む。シリコンは、陽極結合処理によってガラスに取り付けることができる。陽極結合は、強力で真空気密なシールを生成することができる。そのような場合に、ガス放出のソースである可能性がある結合剤又はエポキシが必要とされない。太いガラスチューブに取り付けられたガラスステムを用いて、ハウジングに関連付けられた封入容積を排気することができる。例えば、ガラスチューブにポンプを結合して内部容積を望ましい真空レベルまで排気することができる。ハウジングが排気された後に、ガラスステムが、それを火炎で加熱することによって潰されて真空ハウジングが密封される。
【0039】
一部の実施では、エタロン514のスペーサ522は、超低膨張材料(例えば、Schottの市販品であるZerodur(登録商標)ガラス)で形成される。超低膨張材料は、温度が変動する時にスペーサ522がエタロン514を安定した長さに保つことを可能にすることができる。一部の実施では、1又は2以上の支持体は、機械加工可能セラミック(例えば、Corningの製品であるMacor(登録商標))で製造される。機械加工可能セラミックは、低い熱伝導度のみを有し、従って、エタロン514とハウジング502との間で無視することができるほどの熱のみが交換される。エタロン514を取り囲む真空は、放射をハウジング502からエタロン514への熱伝達の大半を占める過程として残しながら対流熱伝達を最小にする。熱平衡に達すると、放射熱伝達は、エタロン514が環境温度の瞬間的な変動にほぼ完全に影響されないほど非常に低速である。時定数が十分に低速である場合に、オフセットロックのロッキング周波数は、実行中に基準によって別の周波数基準に合うように調節することができ、又はエタロン長さ変化、従って、周波数シフトをフィードフォワードするように温度センサを使用することができる。オフセットロッキング作動(off-set locking operations)及びフィードフォワード作動(feed-forward operations)に関しては、
図9~
図12に関してより詳細に以下に説明する。
【0040】
一部の実施では、例示的デバイス500は、環境隔離を提供するためにボックスに配置される。ボックスの内側には断熱を提供するための発泡体を配置することができる。発泡体は、振動減衰を提供することができる。振動の減衰及び遮断に適する発泡体と類似の他の材料を使用することが可能である。エタロンからの周波数安定性の望ましいレベルに依存して、エタロン514の周りのハウジング502は、様々な度数に熱的に制御することができる。一部の用途、特に、望ましい測定の時間尺度がエタロンの熱ドリフトの時間尺度と比較して小さい時に、ハウジング502の周りの断熱は、温度制御に対して十分である。一例は、ターゲットレーザが波長計のような低速絶対周波数基準に基準設定される場合とすることができると考えられる。波長計を読み取ることができる速度と比較してドリフトが低速であることを前提として、波長計読取値を用いてキャビティのドリフトを補正することができると考えられる。更に、厳しい用途では、加熱器(heater)及び温度コントローラを用いてハウジングを安定した温度に保つことができる。冷却器の使用も可能である。最も安定した作動では、ハウジング温度は、能動的に制御され、スペーサ522がそのゼロ交差温度にあるように選ばなければならない。一部の用途では、ハウジング温度をモニタし、いずれの温度関連ドリフトも補正又は事前補償することが有益である場合がある。
【0041】
一部の実施では、例示的デバイス500は、真空容積512内でハウジング502の面とエタロン514の間に配置された放射シールドを含む。一部の事例では、放射シールドは、エタロン514の周りに巻き付けられる。放射シールドは、低い放射率を有する材料で形成することができ、非常に低いガス放出のみを呈する場合がある。例えば、材料は、0.2以下の放射率のみを有することができる。この材料はまた、ASTM-E595-93に従って試験した時に1.00%よりも低い質量損失比(TML)と、0.10%よりも低い再凝縮物質量比(CVCM)とのみを有する場合がある。一部の事例では、材料は、カプトンで形成されて一方又は両方の側で金属化されたポリマーフィルムである。金属化された側の放射率は、0.1よりも低いもの(例えば、約0.05)とすることができ、カプトン側(存在する場合)の放射率は、1.0よりも低いもの(例えば、約0.6)とすることができる。作動中に、放射シールドは、ハウジング502とエタロン514の間の放射熱伝達を抑制する働きをすることができる。この機能では、放射シールドは、ハウジング502からエタロン514に向けて放射される熱をハウジング502の外に反射して戻すことができる。そのような向け直しは、エタロン514がハウジング502の温度変化に応答する速度を更に低減することができると考えられる。一部の実施では、ハウジング502を形成するセラミック材料は、ハウジング502内の面上に金属化コーティングを有するセラミック材料である。例えば、セラミック材料は、管状形状を定め、その内面上に銀金属コーティングを有するホウケイ酸ガラスとすることができると考えられる。銀コーティング内面は、0.02~0.08の間に及ぶ放射率を有することができる。
【0042】
例示的デバイス500は、[1]真空容積を維持するのに例示的デバイス500が能動ポンプ排気を必要としないこと、[2]ユーザが光ファイバを入力に接続するだけでよいように例示的デバイス500が事前位置合わせすること、[3]ファイバサーキュレータが、自由空間光学系を頼りとせずに信号光の集光を可能にすること、[4]スペーサ522に対する超低膨張材料の使用が、熱膨張に対する感度を低減すること、[5]安定性を増すために例示的デバイス500をゼロ交差温度で作動させることができること、[6]1又は2以上の支持体516が、エタロン514を環境の温度変化から隔離することによって熱ドリフトを低減すること、及び[7]真空の容積512と1又は2以上の支持体516によって施される熱的隔離とに起因して、エタロン514が主としてハウジング502に放射結合によって加熱されることという利点を組合せで含む。多くの実施では、例示的デバイス500は、狭帯域幅の単一周波数レーザを必要とする現場利用可能デバイスでのレーザロッキング問題に対処する。
【0043】
図8は、環境温度の急激な変動(例えば、低下)に対する
図5の例示的デバイス500の応答の経時的なグラフを提示している。このグラフは、温度の度数(すなわち、℃)を示す左側縦座標と、周波数の大きさ(すなわち、MHz)を示す右側縦座標とを含む。
図8は、ハウジング502が円筒チューブ526と第1及び第2のプレート528、532とを含む例示的デバイス500の実施に対応する。円筒チューブ526はガラスで形成され、第1及び第2のプレート528、532はシリコンで形成される。実線は、環境温度の急激な変動に応答するハウジング502の温度を経時的に示しており、破線は、ハウジング502の温度に対するエタロン514の共振周波数のドリフトを例示している。
【0044】
図8は、ハウジング502の温度に対してエタロン514の共振周波数が時間遅延することを例示している。更に、共振周波数を表す曲線は、ハウジング502の温度を表す曲線よりも有意に滑らかである。温度データの小さい変動は、周波数データでは有意には現れていない。そのような挙動は、ハウジング502がエタロン514から熱的に隔離されている結果であり、これは、エタロン514の全体的により安定した共振周波数をもたらす。
【0045】
次に、
図9を参照すると、例示的周波数基準システム900の概略図が示されている。
図9では、黒色の点線は電気接続を表し、黒色の実線は光ファイバ接続を表している。例示的周波数基準システム900は、入力光信号を生成するように構成されたレーザシステム902を含む。更に、例示的周波数基準システム900は、入力光信号を受け取り、応答して出力光信号を生成するように構成された干渉計904を含む。一部の事例では、干渉計904はファブリペロー干渉計である。干渉計904は、第1及び第2の光学ポート908、910を有し、セラミック材料で形成されたハウジング906を含む。ハウジング906は真空容積を封入する。一部の事例では、セラミック材料は、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する。干渉計904は、第1の光学ポート908から第2の光学ポート910まで真空容積を通る光路に沿って配置されたエタロンを更に含む。更に、干渉計904は、真空容積内でエタロンを懸架する1又は2以上の支持体を含む。1又は2以上の支持体は、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成される。この材料は、セラミック材料とすることができる。多くの変形では、干渉計904は、
図5に関して説明した例示的デバイス500と同様である。一部の変形では、出力光信号は、反射モードで干渉計904から収集される。一部の変形では、出力光信号は、干渉計904を通る透過モードで干渉計904から収集される。
【0046】
更に、例示的周波数基準システム900は、検出器912と制御システム(図示せず)とを含む。検出器912は、出力光信号を受け取り、応答して検出器信号を生成するように構成される。検出器信号は、出力光信号の周波数特性を表している。制御システムは、レーザシステム902及び検出器912と通信している。制御システムは、検出器912から検出器信号を受け取ることと、入力光信号の周波数とエタロンの共振周波数の間の周波数差を検出器信号に基づいて決定することとを含む作動(operations)を実行するように構成される。これらの作動は、この差に基づく入力光信号の周波数の変化を表す周波数制御信号をレーザシステム902に送ることを更に含む。
図9に示すような一部の変形では、検出器912は、制御システムを含む。
【0047】
一部の実施では、干渉計904のエタロンは、光路に沿って配置された第1及び第2の反射面を含む。エタロンは、これらの反射面を互いに分離してこれらの面の間に光路の部分光路長である光路長を設定するように構成されたスペーサを更に含む。スペーサは、室温で10-5毎ケルビンよりも低い熱膨張係数を有する材料で形成することができる。
【0048】
図9に示すような一部の実施では、レーザシステム902と検出器912は、同じ光学ポート(例えば、第1の光学ポート908)を通して干渉計904に光結合される。他の実施では、レーザシステム902と検出器912は、別個の(例えば、異なる)光学ポートを通して干渉計904に光結合される。一部の実施では、レーザシステム902及び検出器912のうちの一方又は両方は、ファイバサーキュレータ914を通して干渉計904に光結合される。そのような光学的結合は、光ファイバ配線によって発生させることができる。ファイバサーキュレータ914は、レーザシステム902に光結合された第1のサーキュレータポート(first circulator port)916と、干渉計904の第1の光学ポート908又は第2の光学ポート910に光結合された第2のサーキュレータポート918とを含む。
図9では、第2のサーキュレータポート918は、第1の光学ポート908に光結合されたものとして示されている。ファイバサーキュレータ914は、検出器912に光結合された第3のサーキュレータポート920を更に含む。
【0049】
一部の実施では、例示的周波数基準システム900は、第2の入力光信号を生成するように構成された第2のレーザシステム922を含む。干渉計904は、第2の入力光信号を受け取り、応答して第2の出力光信号を生成するように構成される。例示的周波数基準システム900は、第2の光学構成要素信号を受け取り、応答して第2の検出器信号を生成するように構成された第2の検出器924を更に含む。第2の検出器信号は、第2の出力光信号の周波数特性を表している。第2のレーザシステム922及び検出器924のうちの一方又は両方は、第2のファイバサーキュレータ926を通して干渉計904に光結合することができる。この光学的結合は、レーザシステム902と検出器912とファイバサーキュレータ914との間と同様とすることができる。
【0050】
これらの実施では、制御システムは、第2のレーザシステム922及び第2の検出器924と通信している。更に、制御システムの作動は、第2の検出器924から第2の検出器信号を受け取ることと、第2の入力光信号の周波数とエタロンの共振周波数との間の第2の周波数差を第2の検出器信号に基づいて決定することとを更に含む。これらの作動は、第2の差に基づく第2の入力光信号の周波数の変化を表す第2の周波数制御信号を第2のレーザシステム922に送ることを更に含む。
【0051】
図9に示すような一部の実施では、レーザシステム902及び検出器912は、第1の光学ポート908を通して干渉計904に光結合される。更に、第2のレーザシステム922及び第2の検出器924は、第2の光学ポート910を通して干渉計904に光結合される。他の実施では、レーザシステム902と検出器912と第2のレーザシステム922と第2の検出器924とは、同じポートを通して干渉計904に光結合される。更に他の実施では、レーザシステム900及び第2の検出器924は、第1の光学ポート908を通して干渉計904に光結合され、第2のレーザシステム922及び検出器924は、第2の光学ポート910を通して干渉計904に光結合される。
【0052】
一部の実施では、例示的周波数基準システム900は、干渉計904のハウジング906を囲む(surrounding)断熱材926を含む。更に、例示的周波数基準システム900は、断熱材926とハウジング906の間に配置された加熱器928を含む。ハウジング906にはセンサが熱的に結合され、ハウジング906の温度を表すセンサ信号を生成するように構成される。更に、例示的周波数基準システム900は、センサ及び加熱器928と通信している温度制御システムを含む。温度制御システムは、制御システムの一部とすることができる。温度制御システムは、センサからセンサ信号を受け取ることと、ハウジング906の温度とターゲット温度の間の差をセンサ信号に基づいて決定することとを含む作動を実行するように構成される。これらの作動は、加熱器928が発生させる熱の量をこの差に基づいて変更するための第1の温度制御信号を加熱器928に送ることを更に含む。更に別の実施では、例示的周波数基準システム900は、断熱材926とハウジング906の間に配置された冷却器を含む。これらの実施では、温度制御システムは、冷却器と通信しており、温度制御システムによって実行される作動は、ハウジング906から除去される熱の量を上述の差に基づいて変更するための第2の温度制御信号を冷却器に送ることを含む。
【0053】
一部の実施では、ハウジング906の温度はモニタされるが、能動的に制御されない。これらの実施では、センサからの温度データを用いてエタロンの共振周波数のシフトを推定することができる。これらの推定シフトは、制御システムの中にフィードフォワードされ、制御システムが温度変化を実時間で補償することを可能にする。このフィードフォワード処理は、例示的周波数基準システム900が、フィードフォワードを用いないシステムと比較して高いレベルの周波数安定性を維持することを可能にすることができる。更に、ハウジングの能動温度安定化が必要とされず、例示的周波数基準システム900の電力消費量が有意に低減する。
【0054】
例えば、例示的周波数基準システム900は、ハウジング906に熱的に結合されてハウジング906の温度を表すセンサ信号を生成するように構成されたセンサを含むことができる。センサは、制御システムと通信している。制御システムは、センサからセンサ信号を受け取ることと、干渉計の熱伝達モデルとセンサ信号とに基づいてエタロンの温度変化を推定することとを含む作動を実行するように更に構成される。これらの作動は、エタロンの熱膨張モデルと推定温度変化とに基づいてエタロンの共振周波数のシフトを決定することを更に含む。レーザシステム902に送られる周波数制御信号によって表される入力光信号の周波数変動は、更にエタロンの共振周波数のシフトに基づいている。この例では、干渉計904のエタロンは、光路に沿って配置された第1及び第2の反射面を含むことができる。エタロンは、これらの反射面を互いに分離してこれらの面の間に光路の部分光路長である光路長を設定するように構成されたスペーサを更に含む。従って、エタロンの共振周波数のシフトを決定することは、熱膨張モデルと推定温度変化とに基づいて光路長の変化を決定することを含むことができる。
【0055】
熱伝達モデルは、直接測定することができる(例えば、センサにより)ハウジング906の温度ではなくエタロンの温度を推定するために制御システムによって発生させることができる。熱伝達モデルは、ハウジング906の現在及び過去の温度、並びにエタロンの現在の共振周波数を含む様々な入力に基づくことができる。熱伝達モデルは、モデル入力の変動に基づいてエタロンの温度の変動を推定するように作動可能である。エタロンの熱容量、並びに放射、伝導、及び対流による熱結合のような例示的周波数基準システム900の物理パラメータを用いて熱伝達モデルを発生させることができる。例えば、制御システムは、エタロンとハウジング906の間の熱伝達率(Q)をハウジング906の測定温度とエタロンの現在の推定温度との間の差に基づいて反復的に予想することができる。多くの場合に、熱伝達率は、放射に依存することになり、伝導及び対流による熱伝達の寄与は無視することができる。これらの場合に、熱伝達率は、式4によって表すことができるステファン-ボルツマンの法則を用いて計算することができる。
上式中のAは、エタロンの面積であり、σは、ボルツマン定数であり、εは、エタロンの放射率であり、T
housingは、ハウジング906の温度であり、T
etalonは、エタロンの温度である。次に、エタロンの熱容量を用いて、エタロンの新しい推定温度を計算することができる。しかし、温度差への線形依存性を仮定するものを含む他の熱伝達モデルを使用することができる。
【0056】
次に、熱伝達モデルを用いてエタロンに関して推定した温度変化に基づいて、熱膨張モデルを用いてエタロンの光路長変動を計算することができる。エタロンの共振周波数は、エタロンの光路長に依存し、従って、その後に共振周波数のシフトを光路長変動を用いて計算することができる。次に、制御システムは、レーザシステム902に送られた周波数制御信号を修正することによって共振周波数のシフトを補償することができる。一部の事例では、制御システムは、オフセットロッキング方式を用いて側波帯の周波数(f
mod)を調節し、側波帯の周波数(f
mod)は、エタロンのドリフトを補償するように調節することができる。この調節は、制御システムがレーザシステム902の搬送波周波数を安定した状態に保つことを可能にすることができる。オフセットロッキング方式に関しては、
図11に関して更に詳しく説明する。一部の事例では、例示的周波数基準システム900は、波長計又は原子基準のような絶対周波数基準を含む。次に、制御システムは、レーザシステム902の出力を絶対周波数基準に対して定期的に比較することができる。これらの比較は、モデル内のいずれのオフセット又は長期ドリフトも補正することを助けることができる。
【0057】
次に、
図10Aを参照すると、例示的な実施例により制御システムによって実行されたフィードフォワード作動に応答してレーザシステム902が放出した光の中心周波数のグラフが示されている。約16時間であるこのグラフが示す測定期間内の周波数の変動は約0.5MHzである。同時に、ハウジング906の温度のドリフトは約300mKである。対照的に、
図10Bは、フィードフォワード作動が実行されない時の光の中心周波数のグラフを提示している。
図10Bでは、周波数の変動は有意に大きく、同じ測定期間内で約2MHzである。ハウジング906の同時の温度ドリフトは約150mKである。
図10Aと
図10Bとを比較することによって証明されるように、ハウジング906の温度が測定期間にわたってより大きい量の変動を受けるのにも関わらず、中心周波数のドリフトは、制御システムによってフィードフォワード作動が実行されない時よりも実行される時の方が有意に小さい。更に、これら2つの場合を比較すると、温度の変動が大きい場合であっても、フィードフォワード有効時の例示的周波数基準システム900は、能動フィードフォワードを用いないシステム900よりも良好な周波数安定性をもたらすことが明らかである。
【0058】
作動中に、レーザシステム902からの入力光信号は、ファイバサーキュレータ914を通して干渉計904に進入する。ファイバサーキュレータ914は、巡回方式で3つのポートのうちの1つに入射した光が次のポートから射出する三ポート光ファイバデバイスとすることができる。入力光信号は、ファイバサーキュレータ914の第1のサーキュレータポート916の中に結合され、次に、第2のサーキュレータポート918からハウジング906に向けることができる。ハウジング906の内側で、入力光信号は、干渉計904の中に導入される。エタロンの反射面から反射された光は、第2のサーキュレータポート918の中に入ってファイバサーキュレータ914に戻り、次に、第3のサーキュレータポート920から出るように向けられる。第3のサーキュレータポート920は、光検出器とすることができる検出器912に光結合される。検出器信号に基づいて、制御システムからのフィードバックは、レーザシステム902に与えられ、それを設定周波数に向けて駆動する。フィードバックの性質は、使用されるロッキング方式のタイプに依存し、一部の場合では何らかの信号処理を必要とする場合がある。
【0059】
一部の変形では、抵抗加熱器であると考えられる加熱器928と、熱電冷却要素であると考えられる冷却器とが、ハウジング906の温度安定化を提供する。断熱及び防振に向けて、ハウジング906と加熱器928と冷却器とを断熱材926によって定められたボックスの内側に詰め込むことができる。断熱材926は、発泡体材料とすることができる。しかし、衝撃を吸収するのと同時に断熱材として作用することができる類似の材料を使用することができる。
【0060】
図9では、2つの異なるレーザシステム902、922が、干渉計904に光結合される。両方のレーザシステム902、922からの周波数の検出をエタロンの反射モード又は透過モードで実施することができる。多くの変形では、検出は、反射モードを用いて実施される。レーザの個数に対する制限は、干渉計904上のコーティングにより、例えば、光の特定の波長でのミラー反射率、ファイバデバイスの光学帯域幅、及び様々なレーザを独立した検出に向けて分離する機能によって決定される。一部の変形では、単一レーザシステムが使用される。他の変形では、3又は4以上のレーザシステムを使用することができる。様々なレーザシステムからの信号は、変調周波数、偏光、又は波長のような特性を用いて分離することができる。レーザシステムの検出は、反射ではなくエタロンの透過で実施することができるが、その場合に、レーザシステムへのフィードバック信号の帯域幅が縮小する場合がある。
【0061】
周波数安定化に加えて、例示的周波数基準システム900は、精密光学フィルタとして使用することができる。エタロンの透過は、安定した狭帯域光源を生成することができる。この場合に、例示的周波数基準システム900は、フィルタとして作動する。しかし、例示的周波数基準システム900を精密光学フィルタとして使用する時は、出力光信号の強度が有意に低減する場合がある。それにも関わらず、そのような低減は、例示的周波数基準システム900の携帯性を必要とするある一定の用途では許容可能とすることができる。
【0062】
次に、
図11を参照すると、ファブリペローエタロン(又は干渉計)に基づくオフセットロッキングを表すグラフが示されている。
図11では、最高強度の線(f
modと記号表示した)は、レーザの搬送波周波数であり、2つのより低い強度の線(f
c-f
mod及びf
c+f
modと記号表示した)は、位相変調又は周波数変調によって発生した周波数側波帯である。これらのガウス曲線は、ファブリペローエタロンの様々な共振である。このグラフでは、上側周波数側波帯がキャビティ共振にロックされる。
【0063】
高度の周波数安定性を有するレーザを利用する様々な用途が存在する。これらの用途の多くでは、レーザを特定の周波数に合わせて安定化しなければならない。多くの場合に、望ましい周波数は、絶対値で既知であり、例えば、既知の原子遷移の周波数である。一部の場合に、望ましいレーザ周波数を原子遷移又は分子遷移のような固定の周波数基準に合うように直接基準設定することができない。例えば、システムは、第2のレーザ又は公知の原子遷移又は分子遷移からの特定の周波数オフセットを必要とすることができると考えられる。望ましい周波数が絶対周波数基準に近いが、この基準にはない場合に、オフセットロッキング方式を適用することを有利とすることができる。オフセットロッキングでは、電気光学変調器(EOM)を用いて、EOMの無線周波数駆動によって決定された精密な周波数の場所に配置された基本レーザ周波数上に側波帯を生成することができる。EOM駆動周波数を変更することにより、基本レーザ周波数を絶対周波数基準に対して変更(又は調整)することができる。
【0064】
ファブリペローエタロンは、周波数では1つの自由スペクトル範囲(FSR)によって離間した周期的共振を有し、これらの共振のうちのいずれかに対してレーザをロックすることができる。多くの用途では、これらの共振が固定されてシフトしないようにエタロンを構成することが望ましい。オフセットロッキングを使用することにより、レーザを共振ピーク間の任意周波数に合わせて安定化することができる。
図11に示すように、EOMを用いて、搬送波周波数f
cにある基本レーザ周波数から固定量f
modだけオフセットされた周波数側波帯を発生させることができる。基本周波数ではなく周波数側波帯(f
c±f
mod)のうちの1つをキャビティ共振に対してロックすることができる。キャビティ共振の周波数は非常に安定しており、側波帯は、キャビティ共振に対してロックされた状態に保たれるので、変調周波数を変更することによってレーザの搬送波周波数が実質的に調整される。
【0065】
レーザを選択周波数に合わせて安定化するために、ファブリペローエタロンに対するオフセットロッキングを更に別の絶対周波数又は相対周波数の測定と組み合わせることができる。
図12は、レーザの周波数出力を安定化するためにファブリペローエタロンと周波数測定サブシステムとを含む例示的周波数基準システムの概略図を提示している。エタロンは、
図5の例示的デバイス500に関して説明したエタロン514と同様とすることができる。レーザの出力は、複数の経路に分割され、これらの経路のうちの1つは、EOMを通して側波帯を発生させ、次に、このビームは、ファブリペローエタロンに誘導される。周波数側波帯のうちの1つが、エタロンに対してロックされてレーザ周波数を安定化する。別のビーム経路は、絶対周波数又は相対周波数のいずれかの測定に向けて誘導される。一般的に、このビーム経路は、EOMを通らず、従って、基本周波数のみが存在する。絶対周波数測定の例は、波長計又は原子遷移を含む。相対周波数測定の例は、2つの別個のレーザ間の周波数差を測定するこれら2つのレーザの間のビートノート測定であると考えられる。絶対周波数又は相対周波数の測定を用いて、位相変調器に送られる変調周波数を設定し、基本周波数を望ましい値に合うように調整することができる。
【0066】
一部の場合に、レーザを周波数安定化するには、絶対周波数又は相対周波数の測定で十分であり、ファブリペローエタロンを必要としない。しかし、多くの場合に、ファブリペローキャビティが、他のオプションと比較して必要又は有利である。波長計のようないくつかの絶対周波数基準は、サブkHz程度の比較的低速のフィードバックしか与えない。ファブリペローエタロンは、特に反射モードに使用される時に、約数MHz又はそれよりも多いフィードバックを可能にし、遥かに良好な周波数安定化を可能にすることができる。原子遷移のような他の絶対周波数基準は、特定の個別周波数ではのみ有利とすることができる。原子遷移の周期的な共振に起因してファブリペローエタロンは、非常に広範囲の周波数にわたって使用することができる。その上、ファブリペローエタロンは、特定の共振帯域幅を有するように設計してユーザが自分達のシステムに適切な周波数安定化レベルをもたらすことを助けることができる。
【0067】
説明するものの一部の態様では、光の基準周波数を提供するためのデバイスは、以下の実施例によって説明することができる。
【実施例1】
【0068】
光の基準周波数を提供するためのデバイスであって、第1及び第2の開口部を有し、セラミック材料で形成されたハウジングと、上記第1の開口部を覆う第1の光学窓であって、上記ハウジングに、上記第1の開口部の周りに気密シールを形成する第1のセラミック結合によって結合された第1の光学窓と、上記第2の開口部を覆う第2の光学窓であって、上記ハウジングに、上記第2の開口部の周りに気密シールを形成する第2のセラミック結合によって結合された第2の光学窓と、上記ハウジングと上記第1の光学窓と上記第2の光学窓とによって封入された真空容積内に配置されたエタロンと、上記真空容積内に上記エタロンを懸架する1又は2以上の支持体であって、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成された1又は2以上の支持体とを備えるデバイス。
【実施例2】
【0069】
上記セラミック材料が、ガラス材料である実施例1のデバイス。
【実施例3】
【0070】
上記セラミック材料が、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する実施例1又は実施例2のデバイス。
【実施例4】
【0071】
上記1又は2以上の支持体を形成する上記材料が、セラミック材料である実施例1又は実施例2から実施例3のいずれか1項のデバイス。
【実施例5】
【0072】
上記エタロンが、上記第1の光学窓から上記第2の光学窓まで上記真空容積を通る光路上の2つの反射面と、上記反射面を互いから分離し、これらの面の間に上記光路の一部である光路長を設定するように構成されたスペーサとを備える実施例1又は実施例2から実施例4のいずれか1つのデバイス。
【実施例6】
【0073】
上記スペーサが、室温で10-5毎ケルビンよりも低い熱膨張係数を有する材料で形成される実施例5のデバイス。
【実施例7】
【0074】
上記スペーサが、熱膨張係数のゼロ交差温度を有する材料で形成される実施例5又は実施例6のデバイス。
【実施例8】
【0075】
上記真空容積が、10-3トル以下の真空圧力を有する実施例1又は実施例2から実施例7のいずれか1つのデバイス。
【実施例9】
【0076】
上記ハウジングが、第1及び第2の開口端を有する円筒チューブと、上記第1の開口端を覆い、上記第1の開口端の周りに気密シールを形成する第3のセラミック結合を通して上記円筒チューブに結合された第1のプレートであって、上記ハウジングの上記第1の開口部として機能する第1の孔を備える、第1のプレートと、上記第2の開口端を覆い、上記第2の開口端の周りに気密シールを形成する第4のセラミック結合を通して上記円筒チューブに結合された第2のプレートであって、上記ハウジングの上記第2の開口部として機能する第2の孔を備える、第2のプレートと、を備える実施例1又は実施例2から実施例8のいずれか1つのデバイス。
【実施例10】
【0077】
上記円筒チューブが、ガラスで形成される実施例9のデバイス。
【実施例11】
【0078】
上記第1及び第2のプレートが、シリコンで形成される実施例9又は実施例10のデバイス。
【実施例12】
【0079】
第1及び第2の溝をその中に有する平坦面を有する位置合わせプレートであって、上記第1の溝及び上記第2の溝は、互いに垂直に向けられ、かつ上記第2の溝内の孔に隣接する交差部を有し、上記孔は、上記位置合わせプレートを通って延びる、位置合わせプレートと、上記第1の溝に配置され、かつ光ファイバ及び上記第1の溝に沿って光をフォーカスさせるように構成されたレンズを備えるコリメータと、上記第1の溝に配置され、かつ第1の反射面によって定められた端部を有する第1のロッドであって、上記第1の反射面は、上記レンズから光を受け取って光を上記第2の溝に沿うように向け直すように向けられる、第1のロッドと、上記第2の溝に配置され、かつ第2の反射面によって定められた端部を有する第2のロッドであって、上記第2の反射面は、上記第1の反射面から光を受け取って光を上記孔を通るように向け直すように向けられる、第2のロッドとを含む光学アセンブリを備える実施例1又は実施例2から実施例11のいずれか1つのデバイス。
【実施例13】
【0080】
上記エタロンが、上記光路上に第1及び第2の反射面を含み、上記第1及び第2の反射面のうちの一方又は両方が、上記反射面に結合された上記光学アセンブリのインスタンスを有し、上記光学アセンブリの各インスタンスが、上記真空容積内に存在し、上記光学アセンブリのインスタンスに隣接する光学窓が、第2の窓面の反対側の第1の窓面であって、上記第1の窓面は、上記真空容積に対して露出され、上記第2の窓面は、上記ハウジングの外部に対して露出される、第1の窓面と、上記第1の窓面を上記インスタンスの上記光ファイバに光結合する上記真空容積内の第1の平行化パッケージであって、第1のレンズを備える、第1の平行化パッケージと、上記ハウジングの外部にあり、かつ上記第2の窓面に光結合する第2の平行化パッケージであって、第2のレンズ及び第2の光ファイバを備える、第2の平行化パッケージとを備える実施例12のデバイス。
【実施例14】
【0081】
上記ハウジングの上記第1の開口部及び上記第2の開口部のうちの一方又は両方が、それに関連する上記光学アセンブリのインスタンスを有し、上記光学アセンブリの各インスタンスが、上記ハウジングの外部に存在し、上記光学アセンブリの各インスタンスの孔が、上記光学アセンブリが上記光路に光結合することを可能にするように上記関連する開口部と位置合わせされる、実施例12又は実施例13のデバイス。
【実施例15】
【0082】
上記エタロンが、ファブリペロー干渉計である実施例1又は実施例2から実施例14のいずれか1つのデバイス。
【実施例16】
【0083】
上記真空容積内で上記ハウジングの内面と上記エタロンの間に配置された放射シールドを備える実施例1又は実施例2から実施例15のいずれか1つのデバイス。
【0084】
説明するものの一部の態様では、周波数基準システムは、以下の実施例によって説明することができる。
【実施例17】
【0085】
入力光信号を生成するように構成されたレーザシステムと、上記入力光信号を受け取り、応答して出力光信号を生成するように構成された干渉計であって、第1及び第2の光学ポートを有し、セラミック材料で形成され、真空容積を封入するハウジング、上記第1の光学ポートから上記第2の光学ポートまで上記真空容積を通る光路に沿って配置されたエタロン、及び、上記真空容積内に上記エタロンを懸架する1又は2以上の支持体であって、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する材料で形成された1又は2以上の支持体を備える干渉計と、上記出力光信号を受け取り、応答して上記出力光信号の周波数特性を表す検出器信号を生成するように構成された検出器と、上記レーザシステム及び上記検出器と通信する制御システムであって、上記検出器から上記検出器信号を受け取ること、上記入力光信号の周波数と上記エタロンの共振周波数の間の周波数差を上記検出器信号に基づいて決定すること、及び上記差に基づく上記入力光信号の周波数の変化を表す周波数制御信号を上記レーザシステムに送ることを含む作動を実行するように構成された制御システムとを備える周波数基準システム。
【実施例18】
【0086】
上記セラミック材料が、室温で5W/m・K以下の熱伝導度を有する実施例17の周波数基準システム。
【実施例19】
【0087】
上記1又は2以上の支持体を形成する上記材料が、セラミック材料である実施例17又は実施例18の周波数基準システム。
【実施例20】
【0088】
上記エタロンが、上記光路に沿って配置された第1及び第2の反射面と、上記反射面を互いから分離し、これらの面の間に上記光路の一部である光路長を設定するように構成されたスペーサとを備える実施例17又は実施例18から実施例19のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例21】
【0089】
上記スペーサが、室温で10-5毎ケルビンよりも低い熱膨張係数を有する材料で形成される実施例20の周波数基準システム。
【実施例22】
【0090】
上記干渉計が、ファブリペロー干渉計である実施例17又は実施例18から実施例21のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例23】
【0091】
上記レーザシステムと上記検出器とが、同じ光学ポートを通して上記干渉計に光結合される実施例17又は実施例18から実施例22のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例24】
【0092】
上記レーザシステムと上記検出器とが、別個の光学ポートを通して上記干渉計に光結合される実施例17又は実施例18から実施例22のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例25】
【0093】
上記レーザシステム及び上記検出器のうちの一方又は両方が、上記レーザシステムに光結合された第1のサーキュレータポートと、上記干渉計の上記第1又は第2の光学ポートに光結合された第2のサーキュレータポートと、上記検出器に光結合された第3のサーキュレータポートとを備えるファイバサーキュレータを通して上記干渉計に光結合される実施例17又は実施例18から実施例24のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例26】
【0094】
周波数基準システムが、第2の入力光信号を生成するように構成された第2のレーザシステムであって、上記干渉計が上記第2の入力光信号を受け取り、応答して第2の出力光信号を生成するように構成される、第2のレーザシステムと、上記第2の出力光信号を受け取り、応答して上記第2の出力光信号の周波数特性を表す第2の検出器信号を生成するように構成された第2の検出器とを備え、上記制御システムが、上記第2のレーザシステム及び上記第2の検出器と通信し、上記制御システムによって実行される作動が、上記第2の検出器から上記第2の検出器信号を受け取ることと、上記第2の入力光信号の周波数と上記エタロンの上記共振周波数の間の周波数の第2の差を上記第2の検出器信号に基づいて決定することと、上記第2の差に基づく上記第2の入力光信号の周波数の変化を表す第2の周波数制御信号を上記第2のレーザシステムに送ることとを含む、実施例17又は実施例18から実施例25のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例27】
【0095】
上記レーザシステム及び上記検出器が、上記第1の光学ポートを通して上記干渉計に光結合され、上記第2のレーザシステム及び上記第2の検出器が、上記第2の光学ポートを通して上記干渉計に光結合される実施例26の(かつ実施例24の主題を除く)周波数基準システム。
【実施例28】
【0096】
上記レーザシステムと上記検出器と上記第2のレーザシステムと上記第2の検出器とが、同じポートを通して上記干渉計に光結合される実施例26の(かつ実施例24の主題を除く)周波数基準システム。
【実施例29】
【0097】
上記レーザシステム及び上記第2の検出器が、上記第1の光学ポートを通して上記干渉計に光結合され、上記第2のレーザシステム及び上記検出器が、上記第2の光学ポートを通して上記干渉計に光結合される実施例26の(かつ実施例23の主題を除く)周波数基準システム。
【実施例30】
【0098】
上記第2のレーザシステム及び上記第2の検出器のうちの一方又は両方が、上記第2のレーザシステムに光結合された第1のサーキュレータポートと、上記干渉計の上記第1又は第2の光学ポートに光結合された第2のサーキュレータポートと、前記第2の検出器に光結合された第3のサーキュレータポートとを備えるファイバサーキュレータを通して上記干渉計に光結合される実施例26又は実施例27から実施例29のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例31】
【0099】
上記干渉計の上記ハウジングを囲む断熱材と、上記断熱材と上記ハウジングの間に配置された加熱器と、上記ハウジングに熱的に結合され、上記ハウジングの温度を表すセンサ信号を生成するように構成されたセンサと、上記センサ及び前記加熱器に通信する制御システムであって、上記センサから上記センサ信号を受け取ることと、上記ハウジングの温度とターゲット温度の間の差を上記センサ信号に基づいて決定することと、上記加熱器によって生成される熱の量を上記差に基づいて変更するための第1の温度制御信号を上記加熱器に送ることとを含む作動を実行するように構成された温度制御システムとを備える実施例17又は実施例18から実施例30のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例32】
【0100】
上記断熱材と上記ハウジングの間に配置された冷却器を備え、上記温度制御システムが、上記冷却器と通信し、上記温度制御システムによって実行される作動が、上記ハウジングから除去される熱の量を上記差に基づいて変更するための第2の温度制御信号を上記冷却器に送ることを含む、実施例31の周波数基準システム。
【実施例33】
【0101】
上記ハウジングに熱的に結合され、上記ハウジングの温度を表すセンサ信号を生成するように構成され、上記制御システムと通信しているセンサを備え、上記制御システムが、上記センサから上記センサ信号を受け取ることと、上記干渉計の熱伝達モデルと上記センサ信号とに基づいて上記エタロンの温度変化を推定することと、上記エタロンの上記共振周波数のシフトを上記エタロンの熱膨張モデルと上記推定温度変化とに基づいて決定することとを備える作動を実行するように更に構成され、上記入力光信号の上記周波数変更が、上記エタロンの上記共振周波数の上記シフトに更に基づく実施例17又は実施例18から実施例30のいずれか1つの周波数基準システム。
【実施例34】
【0102】
上記エタロンが、上記光路に沿って配置された第1及び第2の反射面と、上記反射面を互いから分離してこれらの面の間に上記光路の部分光路長である光路長を設定するように構成されたスペーサとを備え、上記共振周波数のシフトを決定することが、上記光路長の変更を上記熱膨張モデルと上記推定温度変化とに基づいて決定することを備える実施例33の(かつ実施例20の主題を除く)周波数基準システム。
【0103】
本明細書は多くの詳細を含むが、これらを主張することができるものに対する限定ではなく、特定の実施例に独特の特徴の説明であると理解しなければならない。本明細書では別個の実施の状況で説明するか又は図面に示すある一定の特徴を組み合わせることができる。それとは逆に、単一実施の状況で説明するか又は示す様々な特徴は、複数の実施形態で別個に又はあらゆる適切な部分的組合せに実施することができる。
【0104】
同様に、図面に作動を特定の順序で示すが、これは、望ましい結果をもたらすのにそのような作動を示す特定の順序又は順番を用いて実施することができ、又は示す全ての作動を実行することを必要とすると理解すべきではない。ある一定の状況では、多重タスク処理及び並列処理を有利とすることができる。更に、上述した実施での様々なシステム構成要素の分離を全ての実施でそのような分離を必要とするものと理解すべきではなく、説明したプログラム構成要素及びシステムを一般的に単一製品内に互いに統合する又は複数の製品の中に詰め込むことができることを理解しなければならない。
【0105】
一部の実施形態を説明した。それにも関わらず、様々な修正を加えることができることは理解されるであろう。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0106】
500 光の基準周波数を提供するためのデバイス
504 第1の開口部
508 第1の光学窓
512 真空容積
514 エタロン
526 円筒チューブ