(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240723BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310E
B65B1/30 A
(21)【出願番号】P 2023556431
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2022039549
(87)【国際公開番号】W WO2023074631
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021176521
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 慎一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 芳朗
(72)【発明者】
【氏名】東 武
(72)【発明者】
【氏名】平井 靖士
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】実公昭57-2241(JP,Y2)
【文献】特開2013-227070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に並び、薬剤を排出する複数のタブレットケースと、
前記複数のタブレットケースよりも低い位置に配置され、前記薬剤を搬送する経路を有しており、前記薬剤が前側及び後ろ側からこぼれることを防ぎつつ前記薬剤を搬送するシュートと、を備え、
前記シュートの前後方向の幅は、下流側ほど狭くなっており、
前記経路は、前記前側から見て屈曲した形状となっている屈曲部を有している、
薬剤供給装置。
【請求項2】
前記シュートは、前記屈曲部よりも上流側に配置された上流側シュートと、前記屈曲部よりも下流側に配置された下流側シュートとを備える、
請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記経路は、前記屈曲部において、前側から見て折り返した形状となっている、
請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記シュートは、前記屈曲部において、前記上流側シュートを通過した前記薬剤を前記下流側シュートに向けて跳ね返す跳ね返し壁を有する、
請求項3に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記跳ね返し壁は、斜め下方を向くように配置されている、
請求項4に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記下流側シュートの前後方向の幅の変化率は、前記上流側シュートの前後方向の幅の変化率よりも小さい、
請求項
2に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
前記上流側シュートに取り付けられ、かつ、前記薬剤を前記シュートの下流側に送り出す送り出し部をさらに備え、
前記上流側シュートの前後方向の幅の変化率は、前記下流側シュートの前後方向の幅の変化率よりも小さい、
請求項
2に記載の薬剤供給装置。
【請求項8】
前記シュートは、前記薬剤が前側からこぼれ落ちることを防ぐ前側壁および前記薬剤が後ろ側からこぼれ落ちることを防ぐ後ろ側壁を備える、
請求項
1に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下方向および前後方向に複数並べられたタブレットケースから処方せんによって指定された薬剤を排出し、排出された薬剤をこれらのタブレットケースの下部に配置されたホッパで集めて包装紙で包装する薬剤供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の薬剤供給装置において、例えば前後方向に並べられるタブレットケースの個数が増加すると、ホッパの前後方向の長さが長くなり、ホッパが大型化する。これにより、ホッパの取り扱いが困難になる。また、薬剤がホッパで搬送されている途中で減速してホッパから導出されるタイミングが遅れると、薬剤が包装されるタイミングひいては薬剤が患者に提供されるタイミングが遅くなる。
【0005】
そこで、タブレットケースとホッパとの間に、薬剤を搬送するシュートが配置される。シュートは、例えば、薬剤を左右方向に沿って搬送するように、かつ、シュートの前後方向の幅が下流側ほど狭くなるように形成されている。
【0006】
この場合、前後方向に沿って並べられるタブレットの個数が増加すると、シュートの上流側の前後方向の幅は大きくなり、シュートの下流側の前後方向の幅との差、つまり、シュートの前後方向の幅の変化率が大きくなる。これにより、シュートが薬剤をスムーズに搬送できないことがある。具体的には、シュートの前後方向の幅を定める側壁に沿って薬剤が進むことで薬剤の速度が遅くなったり、その側壁に薬剤が当たることで薬剤が搬送方向と大きくずれた方向に跳ね返ったりする。これによって、薬剤がシュートから導出されるタイミングが遅くなると、薬剤が患者に提供されるタイミングが遅くなる。
【0007】
本開示は、薬剤をスムーズに供給することができる薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示における薬剤供給装置は、前後方向に並び、薬剤を排出する複数のタブレットケースと、複数のタブレットケースよりも低い位置に配置され、薬剤を搬送する経路を有しており、薬剤が前側及び後ろ側からこぼれることを防ぎつつ薬剤を搬送するシュートと、を備え、シュートの前後方向の幅は、下流側ほど狭くなっており、経路は、前側から見て屈曲した形状となっている屈曲部を有している。
【発明の効果】
【0009】
本開示の薬剤供給装置によれば、薬剤をスムーズに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る薬剤供給装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の薬剤供給装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、
図1の矢印で示されるように、棚13の把手13aが配置されている側を薬剤供給装置1の前方とする。薬剤供給装置1の前後方向は、後述するように棚13内に収納されているタブレットケースCが並ぶ方向である。また、薬剤供給装置1を前方から見たときの左右方向を薬剤供給装置1の左右方向とする。また、薬剤供給装置1が設置される面から離れる側を薬剤供給装置1の上方とし、薬剤供給装置1の上下方向は、薬剤供給装置1の前後方向および左右方向に直交する方向とする。
【0012】
図1は、薬剤供給装置1の一例を示す斜視図である。薬剤供給装置1は、1階部10および2階部20を有する。
【0013】
1階部10は、操作部11と、取り出し部12とを備える。また、1階部10は、入力部(不図示)を備える。
【0014】
操作部11は、作業者によって操作される装置であり、例えば、ディスプレイ、操作ボタン等を備える。作業者によって操作部11が操作されることにより、薬剤供給装置1に対して各種情報が入力される。
【0015】
取り出し部12からは、薬剤供給装置1において分包された薬剤が取り出される。取り出し部12は開口を有し、作業者は開口から薬剤を取り出す。
【0016】
入力部は、外部機器から各種情報が入力される入力装置である。入力部は、例えば、パーソナルコンピュータに接続され、パーソナルコンピュータから、例えば、医療機関において発行された処方せんの情報が入力される。
【0017】
図2は、薬剤供給装置1の縦断面図である。薬剤供給装置1は、複数の棚13、シュートユニット14、ホッパ15、および、包装ユニット16、および、薬剤供給装置1を統括制御する制御部(不図示)を備える。
【0018】
複数の棚13は、2階部20において、複数のタブレットケースCを分担して収納するものである。複数の棚13は、把手13aを操作されることで、前後方向に沿って引き出されるように配置されている。薬剤供給装置1は、棚13を30個備えている。複数の棚13は、上下方向に5段、左右方向に6列並ぶように配置されている。なお、2階部20が備える棚13の数および配置は、本実施形態のものに限られず、上下の段数および/または左右の列数が、上述のものより多くても少なくてもよい。
【0019】
複数の棚13それぞれには、複数のタブレットケースCが、棚13の左右方向両側において前後方向に沿って並ぶように収納されている。各タブレットケースCには、複数の薬剤が収納されている。複数のタブレットケースCそれぞれは、薬剤を1錠ずつ排出するように構成されている。
【0020】
タブレットケースCから排出された薬剤は、通路を落下して、1階部10に導出される。通路は、複数の棚13それぞれを上下方向に貫通するように設けられている。複数の棚13は、上記のように左右方向に6列並ぶように配置されている。つまり、薬剤供給装置1は6つの第1~6の通路W1~W6を有している。第1~6の通路W1~W6は、前後方向に並ぶタブレットケースCに対応するように前後方向に沿って延びるように形成されている。
【0021】
シュートユニット14は、1階部10すなわちタブレットケースCより低い位置に配置されており、第1~6の通路W1~W6から導出された薬剤をホッパ15に導出するものである。薬剤供給装置1は、2つのシュートユニット14を有している。2つのシュートユニット14は、薬剤供給装置1の左右方向に沿って並ぶように配置されている。2つのシュートユニット14は、互いと同様に形成されており、前側から見て左右対称となるように配置されている。
【0022】
薬剤供給装置1の左側に配置されているシュートユニット14は、第1~3の通路W1~W3から導出された薬剤を受け止めて、ホッパ15に導出する。薬剤供給装置1の右側に配置されているシュートユニット14は、第4~6の通路W4~W6から導出された薬剤を受け止めて、ホッパ15に導出する。なお、シュートユニット14の個数、および、どの通路から排出された薬剤をどのシュートユニット14が受け止めるかということが、上記のように限定されないことは言うまでもない。シュートユニット14の詳細は後述する。
【0023】
ホッパ15は、シュートユニット14から導出された薬剤を受け止めて、受け止めた薬剤を導出口15aから包装ユニット16に導出するものである。導出口15aは、ホッパ15のおよそ中央部に設けられている。ホッパ15は、導出口15aを開閉するシャッタ15bを有している。
【0024】
包装ユニット16は、ホッパ15から導出された複数の薬剤を包装するものである。包装ユニット16は、搬送部16a、プリンタ16b、および、シール装置16cを有する。
【0025】
搬送部16aは、例えば、二つ折りにされた帯状の包装紙が巻かれたローラ(不図示)から包装紙を繰り出し、繰り出した包装紙をシール装置16cに向けて搬送する装置である。ホッパ15から導出された薬剤は、包装紙に乗せられて、包装紙とともにシール装置16cに向けて搬送される。
【0026】
プリンタ16bは、ローラから繰り出された包装紙の表面に、例えば、患者の氏名、当該包装紙に供給される薬剤の名称、および、服用日時などを印刷する印刷機である。
【0027】
シール装置16cは、薬剤が包まれた包装紙を封止する装置である。
【0028】
薬剤が封入された包装紙は、例えば、所定のタイミングで切断されるとともに、所定の装置によって取り出し部12に向けて搬送される。
【0029】
次に、シュートユニット14について説明する。
図3は、シュートユニット14の側面視である。シュートユニット14は、第1~3シュート30~50、および、シャッタ部60を備えている。
【0030】
図4は、シュートユニット14の上面視である。第1~3シュート30~50は、それぞれ、前後方向に沿って並ぶ一対のシュートによって構成されている。具体的には、第1シュート30は、互いに前後方向に対称な形状である後ろ側に配置された第1後側シュート30aと前側に配置された第1前側シュート30bとによって構成されている。同様に、第2シュート40は、互いに前後方向に対称な形状である第2後側シュート40aと前側に配置された第2前側シュート40bとによって構成され、第3シュート50は、互いに前後方向に対称な形状である第3後側シュート50aと前側に配置された第3前側シュート50bとによって構成されている。
【0031】
以下、第1後側シュート30a、第2後側シュート40aおよび第3後側シュート50aの構成について、符号の末尾に「a」を付けて説明する。なお、
図3~7において、第1~3前側シュート30b~50bの構成要素の符号は、第1~3前側シュート30b~50bの構成要素に対応する第1~3後側シュート30a~50aの構成要素の末尾の符号「a」を「b」に置き換えて付けられている。
【0032】
図4に示されるように、第1後側シュート30aは、シュートユニット14の左側に配置されている。第1後側シュート30aは、第4の通路W4から導出された薬剤を受け止めて、シャッタ部60に導出する。
【0033】
図5は、
図4のV-V線に沿ったシュートユニット14の断面図である。
図4、5に示されるように、第1後側シュート30aは、第1底壁31a、第1前壁32a、第1後ろ壁33a、および、第1天壁34aによって形成されている。第1後側シュート30aは、第1導入口35a、および、第1導出口36aを有している。
【0034】
第1導入口35aは、第1後側シュート30aの左端部において、上方に向けて開口するように形成されている。第1導入口35aには、第4の通路W4から導出された薬剤が導入される。第1導入口35aは、棚13に収納されているタブレットケースCの配列方向に対応するように、前後方向を長手方向とするように形成されている。
【0035】
図5に示されるように、第1導出口36aは、第1後側シュート30aの右端に、第1導入口35aより下方に形成されており、第1後側シュート30aからシャッタ部60に薬剤を導出する。第1導出口36aの前後方向の幅は、第1導入口35aの前後方向の幅より短い。
【0036】
第1後側シュート30aにおいて、薬剤が搬送される経路は、第1底壁31a、第1前壁32a、第1後ろ壁33a、および、第1天壁34aに取り囲まれるように形成されている。
【0037】
第1底壁31aは、薬剤が上流側(第1導入口35a側)から下流側(第1導出口36a側)に向かうにしたがって上側から下側に向かって板面上を進むように、傾けて配置されている。
【0038】
第1前壁32aおよび第1後ろ壁33aは、薬剤が前側および後ろ側からこぼれることを防ぐように、第1後側シュート30aの前後方向において対向するように配置されている。また、第1前壁32aおよび第1後ろ壁33aは、薬剤を第1導入口35aから第1導出口36aへ案内する。第1後側シュート30aの前後方向の幅は、下流側ほど狭くなっている。具体的には、第1後ろ壁33aは、第1後側シュート30aの前後方向の幅が下流側ほど狭くなるように傾斜する第1傾斜面37aを有する。
【0039】
また、第1傾斜面37aは、左右方向に対する傾斜角度が45度以下となるように形成されている。これにより、第1後側シュート30aは、後に詳しく述べるように、薬剤をスムーズに搬送することができる。なお、第1傾斜面37aの左右方向に対する傾斜角度は、第1底壁31aの板面に直交する方向に沿って見たときの左右方向に対する角度である。
【0040】
第1天壁34aは、薬剤が前側または後ろ側からこぼれることをより確実に防ぐように、第1底壁31aに対向するように配置されている。
【0041】
第2後側シュート40aは、シュートユニット14の右側に配置されている。第2後側シュート40aは、第2底壁41a、第2前壁42a、第2後ろ壁43a、および、第2天壁44aによって、第1後側シュート30aと同様に形成されており、第2導入口45a、および、第2導出口46aを有している。
【0042】
第2導入口45aには、第6の通路W6から導出された薬剤が導入される。第2後側シュート40aは、第1後側シュート30aと異なり、薬剤を右側から左側に向けて搬送する。つまり、第2導入口45aは、第2後側シュート40aの右端部に形成されており、第2導出口46aは、第2後側シュート40aの左端に第2導入口45aより下方に形成されている。
【0043】
第2後側シュート40aにおいて、薬剤が搬送される経路は、第2底壁41a、第2前壁42a、第2後ろ壁43a、および、第2天壁44aに取り囲まれるように形成されている。第2後側シュート40aにおける第2導入口45aと第2導出口46aとの間の左右方向の距離は、第1後側シュート30aにおける第1導入口35aと第1導出口36aとの間の左右方向の距離より長い。よって、第2後側シュート40aにおける薬剤が搬送される経路の長さは、第1後側シュート30aの経路の長さより長い。
【0044】
また、第2底壁41aの水平方向に対する傾斜角度は、第1底壁31aの水平方向に対する傾斜角度より小さい。さらに、第2後側シュート40aにおける第2後ろ壁43aの第2傾斜面47aにおける左右方向に対する傾斜角度は、第1後側シュート30aの第1傾斜面37aの左右方向に対する傾斜角度より小さく、45度より小さい。
【0045】
第3後側シュート50aは、シュートユニット14の左右方向中央部に配置されている。第3後側シュート50aは、第5の通路W5から導出された薬剤を受け止めて、シャッタ部60に導出する。第3後側シュート50aにおいて薬剤を搬送する経路Rは、
図5にて太矢印によって示されている。第3後側シュート50aは、上流側シュート70a、接続部80a、および、下流側シュート90aを備えている。
【0046】
上流側シュート70aは、接続部80aよりも上流側に配置されている。
図5、6に示されるように、上流側シュート70aは、第3底壁71a、第3前壁72a、第3後ろ壁73a、および、第3天壁74aによって形成されている。上流側シュート70aは、第3導入口75aを有している。
図6は、第3底壁71aの板面と平行な面にて切断した上流側シュート70aを、第3底壁71aの板面と直交する方向に沿って見た断面図である。
【0047】
第3導入口75aは、第3後側シュート50aの上端部において、上方に向けて開口するように形成されている。第3導入口75aには、第5の通路W5から導出された薬剤が導入される。第3導入口75aは、棚13に収納されているタブレットケースCの配列方向に対応するように、前後方向を長手方向とするように形成されている。
【0048】
上流側シュート70aにおいて、薬剤が搬送される経路Rは、第3底壁71a、第3前壁72a、第3後ろ壁73a、および、第3天壁74aによって取り囲まれるように形成されている。
【0049】
図5に示されるように、第3底壁71aは、薬剤が上流側(第3導入口75a側)から下流側(左側:接続部80a側)に向かうにしたがって上側から下側に向かって板面上を進むように、傾けて配置されている。
【0050】
第3前壁72aおよび第3後ろ壁73aは、薬剤が前側および後ろ側からこぼれることを防ぐように、上流側シュート70aの前後方向において対向するように配置されている。また、第3前壁72aおよび第3後ろ壁73aは、薬剤を第3導入口75aから接続部80aへ案内する。上流側シュート70aの前後方向の幅は、下流側ほど狭くなっている。具体的には、第3後ろ壁73aは、上流側シュート70aの前後方向の幅が下流側ほど狭くなるように傾斜する第3傾斜面76aを有する。
【0051】
図6に示すαは、第3傾斜面76aの左右方向に対する傾斜角度(以下、上流側傾斜角度と記載する。)を示している。このように、第3傾斜面76aが上流側傾斜角度αで傾斜するように配置されることで、上流側シュート70aの前後方向の幅は、下流側ほど一定の変化率で狭くなる。
【0052】
図5に示されている第3天壁74aは、薬剤が前側及び後ろ側からこぼれることをより確実に防ぐように、第3天壁74aに対向するように配置されている。
【0053】
接続部80aは、上流側シュート70aと下流側シュート90aとを接続し、上流側シュート70aを通過した薬剤を下流側シュート90aに導出する。接続部80aは、
図5、6に示されるように、跳ね返し壁81a、および、第4前壁82a、および、第4後ろ壁83aによって形成されている。
【0054】
接続部80aにおいて、薬剤が搬送される経路Rは、跳ね返し壁81a、第4前壁82a、および、第4後ろ壁83aによって取り囲まれるように形成されている。接続部80aにおいて形成されている経路Rは、前側から見て屈曲した形状となっている屈曲部Bを有している。屈曲部Bは、
図5に示されるように、接続部80aにおいて経路Rが屈曲している部位である。また、接続部80aにおいて形成されている経路Rは、屈曲部Bにおいて、前側から見て折り返した形状となっている。
【0055】
跳ね返し壁81aは、上流側シュート70aを通過した薬剤を下流側シュート90aに向けて跳ね返す。跳ね返し壁81aは、具体的には、板面が斜め下方を向くように配置されている。よって、薬剤は、跳ね返し壁81aによって、確実に下流側シュート90aに向けて跳ね返される。
【0056】
第4前壁82aおよび第4後ろ壁83aは、薬剤が前側及び後ろ側からこぼれることを防ぐように、接続部80aの前後方向において対向するように配置されている。第4前壁82aおよび第4後ろ壁83aは、上流側シュート70aを通過した薬剤を下流側シュート90aに案内する。接続部80aの前後方向の幅は、下流側ほど狭くなっている。具体的には、第4後ろ壁83aの板面と、鉛直方向とのなす角度は、45度以下となるように定められている。
【0057】
下流側シュート90aは、接続部80aよりも下流側に配置されている。下流側シュート90aは、
図5、7に示されるように、第4底壁91a、第5前壁92a、第5後ろ壁93a、および、第4天壁94aによって形成されている。下流側シュート90aは、第3導出口95aを有している。
図7は、第4底壁91aの板面と平行な面にて切断した下流側シュート90aを、第4底壁91aの板面と直交する方向に沿って見た断面図である。
【0058】
第3導出口95aは、第3後側シュート50aの下端部において第3導入口75aより下方に形成されている。第3導出口95aは、下流側シュート90aを通過した薬剤を、第1後側シュート30aを介してシャッタ部60に導出する。第3導出口95aと第3導入口75aとの間の左右方向の距離は、第1後側シュート30aの第1導出口36aと第1導入口35aとの間の左右方向の距離より短い。
【0059】
下流側シュート90aにおいて、薬剤が搬送される経路Rは、第4底壁91a、第5前壁92a、第5後ろ壁93a、および、第4天壁94aによって取り囲まれるように形成されている。
【0060】
第4底壁91aは、薬剤が上流側(接続部80a側)から下流側(右側:第3導出口95a側)に向かうにしたがって上側から下側に向かって板面上を進むように、傾けて配置されている。
【0061】
第5前壁92aおよび第5後ろ壁93aは、薬剤が前側および後ろ側からこぼれることを防ぐように、下流側シュート90aの前後方向において対向するように配置されている。また、第5前壁92aおよび第5後ろ壁93aは、接続部80aを通過した薬剤を第3導出口95aへ案内する。下流側シュート90aの前後方向の幅は、下流側ほど狭くなっている。具体的には、第5後ろ壁93aは、下流側シュート90aの前後方向の幅が下流側ほど狭くなるように傾斜する第4傾斜面96aを有するように形成されている。また、第4傾斜面96aは、斜め上方を向くように形成されている。
【0062】
図7に示すβは、第4傾斜面96aの左右方向に対する傾斜角度(以下、下流側傾斜角度と記載する。)を示している。このように、第4傾斜面96aが下流側傾斜角度βで傾斜するように配置されることで、下流側シュート90aの前後方向の幅は、下流側ほど一定の変化率で狭くなる。
【0063】
また、上流側シュート70aの前後方向の幅の変化率は、下流側シュート90aの前後方向の幅の変化率より小さい。具体的には、上流側傾斜角度αは、下流側傾斜角度βより小さくなるように定められている。さらに、上流側傾斜角度αおよび下流側傾斜角度βは、45度以下となるように定められている。これにより、第3後側シュート50aは、後に詳しく述べるように、薬剤をスムーズに搬送することができる。
【0064】
図5に示されている第4天壁94aは、薬剤が前側及び後ろ側からこぼれることをより確実に防ぐように、第4底壁91aに対向するように配置されている。
【0065】
シャッタ部60は、上側および下側に開口を有し、内側を薬剤が通る筒部材61、および、筒部材61の開口を開閉するシャッタ62を備えている。シャッタ62が閉状態であるとき、薬剤を貯留することができる。シャッタ62が開状態であるとき、薬剤はホッパ15に導出される。
【0066】
また、
図5、6に示されるように、シュートユニット14は、回転部材100をさらに備えている。回転部材100は、第1後側シュート30a、第2後側シュート40a、および、第3後側シュート50aの上流側シュート70aそれぞれにおける上流側の端部に配置されている。以下、上流側シュート70aに配置されている回転部材100について説明する。
【0067】
回転部材100は、第3導入口75aから導入された薬剤を貯留し、回転することで、貯留した薬剤を上流側シュート70aの下流側に送り出す。回転部材100は、軸部材101、貯留部102、および、送り出し部103を備えている。
【0068】
軸部材101は、軸線が前後方向に沿って延びるように、かつ、上流側シュート70aに対して軸線回りに回転可能に配置されている。軸部材101は、例えばステッピングモータ(不図示)によって回転される。
【0069】
貯留部102は、薬剤を貯留する。貯留部102は、軸部材101から遠心方向に向かって突出しており、軸部材101の軸線方向に沿って延びている板状である。
【0070】
送り出し部103は、貯留部102によって貯留された薬剤を送り出す。送り出し部103は、軸部材101の周方向において貯留部102と異なる位置で、軸部材101から遠心方向に向かって突出しており、軸部材101の軸線方向に沿って延びている板状である。
【0071】
貯留部102および送り出し部103は、それぞれ、先端部がゴム等の弾性材料によって形成されている。これにより、貯留部102および送り出し部103の先端が第3底壁71aおよび第3天壁74aに接触したとしても、回転部材100の回転は妨げられない。なお、貯留部102および送り出し部103は、ブラシによって構成されてもよい。
【0072】
回転部材100は、貯留部102の先端が第3底壁71aに対向しており、かつ、送り出し部103の先端が第3天壁74aに対向している貯留位置に位置することで、薬剤を貯留する。具体的には、貯留部102は、第3導入口75aから導入された薬剤を堰き止めることで薬剤を貯留する。そして、回転部材100は、
図5の時計回り方向に回転することで、貯留部102に貯留されている薬剤を送り出し部103が押し出す、または、たたき出すことで、上流側シュート70aの下流側へ送り出す。
【0073】
次に、第3後側シュート50aが搬送する薬剤の動きを説明する。第3導入口75aには、第5の通路W5から導出された薬剤が導入される。薬剤は、貯留位置に位置する回転部材100の貯留部102によって貯留される。
【0074】
回転部材100が
図5の時計回りに回転することで、薬剤は送り出し部103によって送り出される。送り出された薬剤は、第3底壁71aの板面に沿って下流側に進む。薬剤の一部は、第3傾斜面76aに沿って進んだり、第3傾斜面76aに当たり跳ね返ったりする。
【0075】
上流側シュート70aを通過した薬剤は、接続部80aを下流側に進む。薬剤の一部は、跳ね返し壁81aに当たって、跳ね返し壁81aによって下方に向けて跳ね返される。
【0076】
薬剤は、接続部80aから下流側シュート90aに導出され、第4底壁91aに沿って下流側に進む。薬剤の一部は、第4傾斜面96aに沿って進んだり、第4傾斜面96aに当たって跳ね返ったりする。
【0077】
上記のように、上流側傾斜角度αおよび下流側傾斜角度βは、45度以下となるように定められている。これにより、薬剤が傾斜面76a、96aに沿って進むことで薬剤の速度が遅くなったり、薬剤が傾斜面76a、96aに当たることで薬剤が搬送方向から大きくずれた方向に向かって跳ね返ったりすることを防ぐことができる。
【0078】
また、第3後側シュート50aにおける第3導入口75aと第3導出口95aとの間の左右方向の距離は、比較的短い。よって、第3後側シュート50aが接続部80aを有していない場合、接続部80aを有する場合と比べて、薬剤を搬送する経路が屈曲部Bを有さず、経路の長さが短くなり、ひいては、第3後側シュート50aの前後方向の幅の変化率が大きくなる。
【0079】
具体的には、側壁の傾斜面における左右方向に対する傾斜角度は大きくなる。これにより、傾斜角度が45度を超える場合、第3後側シュート50aは、薬剤をスムーズに搬送することができない。具体的には、薬剤が傾斜面に沿って進むことで薬剤の速度が遅くなったり、薬剤が傾斜面に当たることで薬剤が搬送方向から大きくずれた方向に向かって跳ね返ったりすることでで、薬剤はスムーズに搬送されない。
【0080】
そこで、第3後側シュート50aが接続部80aを有することで、接続部80aを有さない場合に比べて、薬剤を搬送する経路が屈曲部Bを有し、経路の長さが長くなり、ひいては、第3後側シュート50aの前後方向の幅の変化率が小さくなる。具体的には、上流側傾斜角度αおよび下流側傾斜角度βが小さくなる。つまり、第3導入口75aと第3導出口95aとの間の左右方向の距離が比較的短い場合においても、上流側傾斜角度αおよび下流側傾斜角度βを45度以下となるように定めることができ、第3後側シュート50aは、薬剤をスムーズに搬送することができる。つまり、第3後側シュート50aは、薬剤が傾斜面に沿って進むことで薬剤の速度が遅くなったり、薬剤が傾斜面に当たることで薬剤が搬送方向から大きくずれた方向に向かって跳ね返ったりすることを防ぐことができる。
【0081】
また、送り出し部103によって薬剤が送り出されることで、薬剤の速度は、第3後側シュート50aの下流側より上流側の方が速い。よって、薬剤が上流側シュート70aの第3傾斜面76aに当たったときの跳ね返りの大きさは、下流側シュート90aの第4傾斜面96aに当たった場合より大きくなる。
【0082】
そこで、上記のように、上流側傾斜角度αは、下流側傾斜角度βより小さくなるように定められている。これにより、上流側シュート70aにおいて、薬剤が第3傾斜面76aに当たったときの跳ね返りの大きさを抑制することができる。よって、薬剤が搬送方向から大きくずれた方向に向かって大きく跳ね返ることで、薬剤が導出されるタイミングが遅れることを防ぐことができる。
【0083】
薬剤は、下流側シュート90aから、第1後側シュート30aを介して、シャッタ部60に導出される。シャッタ部60において、シャッタが開状態となると、薬剤は、ホッパ15に導出される。
【0084】
本開示は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれる。
【0085】
例えば、第3シュート50は、断面四角状であるが、断面円状、断面U字状、および、断面V字状でもよい。つまり、例えば上流側シュート70aが、第3底壁71a、第3前壁72a、第3後ろ壁73aおよび第3天壁74aと明確に区別することができる部分を有していない側壁にて形成されてもよい。
【0086】
また、上流側シュート70a、接続部80aおよび下流側シュート90aは一体であるが、別体でもよい。また、第3シュート50は、接続部80aを有さずに、上流側シュート70aおよび下流側シュート90aによって形成されてもよい。この場合、下流側シュート90aは、上流側シュート70aを通過した薬剤を受け止めるように形成されている。
【0087】
また、経路Rは、屈曲部Bにおいて折り返さずに屈曲している形状でもよい。この場合、第3後側シュート50aの上面視において、第3導入口75aおよび第3導出口95aが接続部80aを挟んで互いと反対側に位置するように接続部80aが形成される。
【0088】
また、跳ね返し壁81aは、斜め下方以外の方向を向いていてもよい。また、接続部80aは、跳ね返し壁81aを有さなくてもよい。
【0089】
また、上流側シュート70a、接続部80aおよび下流側シュート90aの前後方向の幅の変化率は、一定でなくてもよい。具体的には、第3後側シュート50aにおいて、前壁72a、82a、92aおよび後ろ壁73a、83a、93aは、曲がっている板状でもよい。
【0090】
また、シュートユニット14は、回転部材100を有さなくてもよい。この場合、薬剤は、第1~3シュート30~50を自重のみによって通過する。よって、薬剤の速度は、下流側ほど速くなる。したがって、薬剤が下流側シュート90aの第4傾斜面96aに当たったときの跳ね返りの大きさは、上流側シュート70aの第3傾斜面76aに当たった場合より大きくなる。
【0091】
そこで、下流側シュート90aの前後方向の幅の変化率が、上流側シュート70aの前後方向の幅の変化率より小さくなるようにしてもよい。具体的には、下流側傾斜角度βが上流側傾斜角度αより小さくなるように定められてもよい。これにより、下流側シュート90aにおいて、第4傾斜面96aに当たったときの跳ね返りの大きさを抑制することができる。よって、薬剤が搬送方向から大きくずれた方向に向かって大きく跳ね返ることで、薬剤が導出されるタイミングが遅れることを防ぐことができる。
【0092】
2021年10月28日出願の特願2021-176521の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、薬剤供給装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 薬剤供給装置
14 シュートユニット
30 第1シュート
40 第2シュート
50 第3シュート
70a 上流側シュート
80a 接続部
81a 跳ね返し壁
90a 下流側シュート
100 回転部材
103 送り出し部
B 屈曲部
C タブレットケース
R 経路