(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】冷凍食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/12 20160101AFI20240723BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A23L19/12 Z
A23L3/36 A
(21)【出願番号】P 2024026817
(22)【出願日】2024-02-26
【審査請求日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2023029160
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003274
【氏名又は名称】マルハニチロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 挙磨作
(72)【発明者】
【氏名】増田 康之
【審査官】水野 浩之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-182077(JP,A)
【文献】特開2021-141818(JP,A)
【文献】特開昭52-012941(JP,A)
【文献】特開2010-154799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
Google
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライドポテトの粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物を成形して一方に長い形状に形成してなる中種部と、当該中種部を被覆する外種部とを含有する冷凍食品。
【請求項2】
加工澱粉が酸化澱粉、アセチル化酸化澱粉及び酢酸澱粉から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の冷凍食品。
【請求項3】
保水材がα化澱粉を含む、請求項1又は2に記載の冷凍食品。
【請求項4】
外種部がミンチ状又は細切れ状の食肉を含有し、中種部を包餡してなる、請求項1又は2に記載の冷凍食品。
【請求項5】
フライドポテトの粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物である中種と外種とを自動包餡機に供することにより、中種の成形と外種による被覆とを行う工程を有する、冷凍食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
じゃがいもはそのホクホクした食感が世界中で愛されるじゃがいもである。
じゃがいもを利用した食品としては、例えば特許文献1に記載の食品が知られている。
また、じゃがいもを肉巻きした食品も知られている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://cookpad.com/recipe/1890673、2023年2月14日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載のようなじゃがいもを別食材で被覆した食品は、冷凍食品とする場合、塊状のじゃがいもの食感を有する食品にしようとすると、大量生産及び品質の安定化のために、一定形状にじゃがいもを切断することが必要となる。この場合、じゃがいもにおける不要箇所が多く生じてしまうため、切断工程において、適合するサイズに満たないじゃがいも片が廃棄物として生じてしまう。この点に関し、近年、SDGS(持続可能な社会)の観点から廃棄物の削減が課題となっている。
一方で、従来、じゃがいものホクホクした食感を維持しつつ、廃棄物を削減しながら大量生産可能な冷凍食品は検討されていない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、じゃがいものホクホクした食感を維持しつつ、廃棄物を削減しながら大量生産可能な冷凍食品を提供することを課題とする。
【0007】
本発明はじゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物を成形して一方に長い形状に形成してなる中種部と、当該中種部を被覆する外種部とを含有する冷凍食品を提供するものである。
【0008】
また本発明は、じゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物である中種と外種とを自動包餡機に供することにより、中種の成形と外種による被覆とを行う工程を有する、冷凍食品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、じゃがいものホクホクした食感が良好で、廃棄物を削減しながら大量生産可能な冷凍食品及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の冷凍食品の一例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明は、じゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物を成形して一方に長い形状に形成してなる中種部と、当該中種部を被覆する外種部とを含有する冷凍食品である。
【0012】
本発明では、中種部がじゃがいもの加熱物の粉砕物を含有することが重要である。じゃがいもの加熱物としては、フライドポテト、ブランチングしたじゃがいも等が挙げられる。ブランチングの例としては、70~100℃の熱湯に浸漬させる作業が挙げられる。特に、本発明では、じゃがいものほくほくした食感を効果的に得ることができる点で、フライドポテトを用いることが好ましい。フライドポテトは、じゃがいもを食べやすい大きさに切って油で揚げたものである。
本発明では、じゃがいも加熱物を粉砕物として用いるため、粉砕しない塊状のじゃがいもを用いる場合に比して、じゃがいもを適宜の大きさに切って切断したものを制限なく用いることができ、廃棄物を削減することができる。
原料となるじゃがいもは限定されないが、一定程度切断後に加熱されたものであることが好ましい。そのような加熱物は、市販において入手可能な一般的な大きさのものを用いることができる。
じゃがいも加熱物の粉砕は、サイレントカッターやフードカッター、ボールカッター、擂潰機、チョッパー等の粉砕装置で行うことができる。じゃがいも加熱物の粉砕の程度は特に限定されないが、例えば最大長さの平均値が50mm以下となるまで行うことが成形性、例えば成形機の詰まりを防止する点で好ましい。ここでいう最大長さとは、例えばじゃがいも片のうち最も面積の大きな面が底になるように平面に戴置して上方から当該じゃがいも片を当該平面に投影視したときに、投影視した形状における最大長さである。なお、最大長さとは前記投影視した形状を横断する線分のうち、最大の線分の長さを指す。平均値としては、ランダムに10片を採取し、それぞれについて求めた前記の最大長さの平均値とする。
【0013】
冷凍食品は、中種部がじゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とする。主成分とは、中種部の全原料の30質量%以上を占めることをいい、35質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、45質量%以上であってもよい。
【0014】
本発明において、中種部は、じゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物とする。これにより、中種部が一定の成形性を有し且つ当該中種部のじゃがいも由来のホクホクした食感を良好に維持できる上に大量生産が容易となる。
【0015】
加工澱粉としては、原料澱粉に、エーテル化、エステル化、架橋、酸化から選ばれる1種又は2種以上の化学修飾処理を施したものが挙げられる。ここでいう架橋としては、無水アジピン酸でエステル化するアジピン酸架橋、及び、トリメタリン酸ナトリウム若しくはオキシ塩化リンでエステル化するリン酸架橋が挙げられる。酸化とは、カルボキシ基を生じさせる処理であり、次亜塩素酸ナトリウムで処理する方法が挙げられる。α化処理を施された澱粉は本明細書でいう加工澱粉に含まれないものとする。
【0016】
加工澱粉における原料澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉が挙げられる。加工澱粉の具体例としては、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸化澱粉およびリン酸化モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられ、酸化澱粉、アセチル化酸化澱粉、酢酸澱粉から選ばれる1種以上が好ましく、特にホクホクした食感に優れる点から、酸化澱粉、アセチル化酸化澱粉から選ばれる1種以上が更に好ましい。
【0017】
加工澱粉の含有量は、中種部中、1質量%以上であることが、じゃがいものホクホクした食感が効果的に得やすい点で好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、2.5質量%以上が特に好ましい。また加工澱粉の含有量は、中種部中、20質量%以下であることが、風味の点で好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。これらの点から、加工澱粉は、中種部中、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
【0018】
更に、本発明では、中種部が保水材を含有することが好ましい。中種部が保水材を含有することで、包餡機で包餡する中具としての可塑性及び成形性の両立が良好となり、包餡機での成形に適したものとなる。
【0019】
保水材としては、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース又はその誘導体、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム、アラビアガム等のガム類、ペクチン、カラギーナン、アラビアガム、グルコマンナン、α化澱粉等のその他の多糖類(多くの場合、増粘多糖類)や粉末植物蛋白質等が挙げられる。これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。また、保水材は、上記の各種の多糖類に対し、乳化剤、糖類等を組み合わせて機能強化したものであってもよい。
【0020】
前記のα化澱粉としては、由来は問わず、トウモロコシ由来、馬鈴薯由来、小麦由来、米由来、タピオカ由来等のいずれであってもよい。またα化澱粉としては、α化以外に、エーテル化、エステル化、架橋、酸化等の化学修飾処理が施されたものであってもよい。
また本明細書ではα化澱粉として、α化小麦粉、α化米粉、α化コーンフラワー等のα化穀粉を用いることができる。α化穀粉は、主成分がα化澱粉である。このことを考慮し、本明細書では、α化澱粉は、穀粉から取り出された澱粉をα化したもののみならず、α化された穀粉を含む概念である。(ただし、後述する実施例中のα化澱粉という用語は、澱粉をα化したものを指す。)
【0021】
粉末状植物蛋白質としては、農林規格の粉末状植物性たん白に該当するものであり、例えば、分離大豆たん白や濃縮大豆たん白、粉末状小麦たん白等が挙げられる。
【0022】
前記の乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンが挙げられる。ここで、グリセリン脂肪酸エステルには、グリセリンと脂肪酸のエステルの外、グリセリン酢酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが含まれる。またレシチンには、分別レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチンが含まれる。
【0023】
前記の糖類としては単糖類、二糖類、オリゴ糖、糖アルコールが挙げられる。単糖類としては、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、キシロース、アラビノース、タガトース等が挙げられる。二糖類としては、ショ糖、麦芽糖、イソマルトース、トレハロース、セロビオース等が挙げられる。オリゴ糖は結合糖数が3~10の糖であり、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラクチュロース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、スタキオース、ラクトスクロース、大豆オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、乳化オリゴ糖等が挙げられる。糖アルコールとしては、還元麦芽糖、還元水あめ、還元パラチノース、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、キシロビイトール等が挙げられる。
【0024】
中種部は、保水材として、α化澱粉を含有することが好ましい。この場合、中種部の成形性が一層良好になることから、じゃがいものホクホクした食感と、成形性とを一層効果的に両立しやすい。この観点から、中種部中、α化澱粉の含有量が0.5~10質量%であることが好ましく、1~7質量%がより好ましく、1.5~5質量%であることがより好ましい。なお、α化澱粉としてα化穀粉を用いる場合、ここでいう量は、一般的な穀粉中の澱粉量に基づき算出できる。一般的な穀粉中の澱粉含量は概ね7割であるので、使用したα化穀粉量に0.7をかけた数値がα化穀粉におけるα化澱粉量とする。
【0025】
中種部は、保水材として、セルロース又はその誘導体を含有することも、ホクホクした食感と、成形性とを一層効果的に両立できる点で好ましい。この場合、当該効果を一層優れたものとする点から、中種部中、セルロース又はその誘導体の含有量が0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~2質量%であることがより好ましく、0.8~2質量%が特に好ましい。
【0026】
中種部が保水材として多糖類(例えば、α化澱粉及び/又はセルロース若しくはその誘導体等)を含有する場合、更に、乳化剤を含有することが好ましい。乳化剤は、多糖類(例えばα化澱粉及び/又はセルロース又はその誘導体)と作用し、じゃがいも加熱物の粉砕物、特に、油脂成分とじゃがいも成分とが混在するフライドポテト粉砕物の存在下における保水に効果的に働き、成形性を高めるとみられる。本明細書において、乳化剤としては、特に、グリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
【0027】
中種部が乳化剤を含有する場合、ホクホクした食感と、成形性とを両立しやすい観点から、中種部中、乳化剤の含有量が0.01~2質量%であることが好ましく、0.015~1.5質量%がより好ましく、0.02~1質量%であることが特に好ましい。特に乳化剤として、グリセリン脂肪酸エステルの量が上記範囲内であることが好ましい。
【0028】
ホクホクした食感と、成形性とを一層効果的に両立する点から、中種部の全原料中、水の使用量は5~40質量%が好適であり、10~20質量%がより好適である。
【0029】
中種部は、じゃがいもの加熱物の粉砕物に加えて、じゃがいも未加熱物を含有してもよい。例えば、角切り又は千切りのじゃがいもを含有することで、一層じゃがいもらしい食感を感じさせることができる。例えば、角切りの場合は最大長さが6mm以下であることが好ましい。千切りの場合は、最大長さが10mm以下であることがより好ましい。
成形性とホクホクした食感を両立する点から、じゃがいも未加熱物の量は、じゃがいも加熱物の粉砕物の100質量部に対し、10~60質量部が好ましく、20~50質量部であることが好ましく、25~45質量部であることがより好ましい。
【0030】
中種部は、じゃがいも加熱物の粉砕物、加工澱粉、保水材、水、じゃがいも未加熱物以外のその他の成分を含有していてもよい。その様な成分としては、タマネギ、ガーリック等の野菜類、調味料、日持ち剤、香辛料が挙げられる。中種部において、じゃがいも加熱物の粉砕物、加工澱粉、保水材、水、及び未加熱のじゃがいも以外の成分の含有量は例えば合計で、40質量%以下が好適に挙げられ、0.05~30質量%がより好適であり、0.1~25質量%が更に好適である。
【0031】
冷凍食品において、中種部は、一方向に長い形状に形成されてなる。一方向に長い形状としては、長手方向に沿う長さLと長手方向と直交する断面形状を横断する最大長さWとの比率L/Wが1.5~6.0である形状が好適であり、2.0~5.0である形状が好適である。中種部の形状としては、円柱状や角柱状等の柱状、板状、筒状等が挙げられ、いずれであってもよいが、中実の形状であると、じゃがいもの存在感に優れる食感が得られることから好ましい。ここでいう最大長さとは、前記断面を横断する線分のうち、最も長い線分の長さをいう。このように一方向に長い形状であることで、フライドポテト様の外観を生じさせることができる。
【0032】
中種部は、外種部に被覆されている。外種部は、食肉を含有することが惣菜として需要が高く、本発明の経済的効果が高い点で好ましい。食肉としては、牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉等が挙げられる。包餡による大量生産が一層容易である点で、食肉はミンチ状又は細切れ状であることが特に好ましく、ミンチ状であることが最も好ましい。細切れとは、例えばミンチには該当せず、最大長さが20mm未満である形状であることが好ましい。最大長さとは、例えば肉片のうち最も面積の大きな面が底になるように平面に戴置して上方から当該肉片を当該平面に投影視したときに、投影視した形状における最大長さである。なお、最大長さとは前記投影視した形状を横断する線分のうち、最大の線分の長さを指す。
【0033】
外種部は食肉を10質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは20~90質量%であり、更に好ましくは30~80質量%である。
【0034】
外種部は澱粉、加工澱粉及びα化澱粉から選ばれる1種以上を含有することが、伸びが出て包餡時の形状安定性が良好となることや食感の点で好ましい。澱粉、加工澱粉及びα化澱粉から選ばれる1種以上を含有する場合、合計量が1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、また10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。
また外種部はパン粉又は穀粉を含有していてもよい。この場合、外種部中、パン粉又は穀粉の量は合計で0~30質量%であってよく、2~20質量%であってもよい。穀粉としては、小麦粉、トウモロコシ粉、米粉等が挙げられる。
【0035】
外種部は植物蛋白質を含有していてもよく、それにより、作業性や包餡時の適正が良好となることから好ましい。植物蛋白質としては、粉状大豆蛋白質や粒状大豆蛋白質、グルテン等が挙げられる。上記の観点から、外種部は植物蛋白質量が外種部中、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~2質量%であることがより好ましい。
【0036】
外種部の全原料中、水の使用量は、例えば0~40質量%が好ましく、0~20質量%がより好ましい。
【0037】
図1に冷凍食品の一例である冷凍食品10を示す。
図1の例の通り、冷凍食品10は中種部12と中種部12を被覆する外種部11とを有する。中種部12は外種部11に被覆されている。本実施形態において、中種部12は外種部11に直接接触した状態にて外種部11に被覆されている。中種部12は、その表面全体が外種部11に被覆されているのであってもよく、表面の一部が外種部11に被覆されているのであってもよい。但し、中種部12の表面の一部が外種部11に被覆されている場合、中種部12において外種部11に被覆されていない開口部は、中種部12の長手方向Xの端部E、Eに偏在していることが、包餡機における大量生産が容易である点で好ましい。中種部12の長手方向Xの両端部E、Eが、外種部11に被覆されずに開口していることは惣菜としての外観上の点から好ましい。外種部11は一方向に長い中種部12における、中種部12の長手方向Xの両端部E、Eよりも、長手方向X内側の部分を連続的に被覆していることが好ましい。
図1の例にて中種部12と冷凍食品10とはその長手方向が一致している。
【0038】
外種部11は、中種部12の長手方向の全長L(
図1参照)における例えば80%以上、特に90%以上を外種部11が被覆するものであってもよい。外種部11は中種部12の長手方向の全長Lにおける例えば80%以上、特に90%以上を連続して被覆していることが好ましい。
【0039】
中種部12は外種部11に被覆されている場合、中種部12は一本のみ冷凍食品10中に存在してもよく、複数本が存在してもよいが、一本とすることが、包餡機での成形容易性や美観の点から好ましい。複数本の場合にはそれらの長手方向は略平行であることが好適である。
【0040】
外種部11は中種部12の長手方向Xと直交する断面の断面形状において、中種部12の全体を被覆していることが好適である。例えば、中種部12の長手方向Xにおいて長さLの10分の1の長さ離間した7カ所以上の前記断面の各断面形状において、中種部12の全体(全周)を被覆している(取り囲んだ形状をしている)ことが好適であり、8カ所以上の前記断面の各断面形状において、中種部12の全体(全周)を被覆している(取り囲んだ形状をしている)ことがより好適であり、9カ所以上の前記断面の各断面形状において、中種部の全体(全周)を被覆している(取り囲んだ形状をしている)ことがより好適である。当該形状としては
図1に示すような形状が挙げられる。
【0041】
中種部12を外種部11で被覆した冷凍食品10の形状としては、例えば、中種部12の長手方向Xと一致する長手方向を有する角柱状、円柱状等の形状が挙げられる。外種部11の形状としては、筒状であり、例えば、中種部12の形状に追随した形状が挙げられる。例えば中種部12が角柱状、円柱状の場合、外種部11の形状は長手方向Xと一致する長手方向を有する角筒状、円筒状が挙げられる。
【0042】
成形性と、じゃがいものホクホクした食感を一層効果的に両立させる点から、中種部と外種部との質量比率は前者:後者が1:1.1~1:4であることが好適であり、1:1.5~1:3であることがより好適である。
【0043】
冷凍食品は、外種部が冷凍食品の最も外側の表面を構成してもよく、或いは、外種部が別の層により被覆されていてもよい。
【0044】
中種部が外種部で被覆されてなる食品は、更に殺菌工程に付されてもよい。前記の食品は、更に、加熱工程を経たものであってもよい。加熱工程としては、焼成工程、油調工程、蒸煮工程、加熱加圧工程等が挙げられる。これらの工程は殺菌工程と兼ねたものであってもよい。
【0045】
冷凍食品は、一つの重さが12~40gであることが好適であり、16~25gであることがより好適である。
【0046】
例えば油調の場合には、外種部で被覆された中種部を、バッター液、或いは、揚げ物用の澱粉及び/又は穀粉で被覆し、油調することが挙げられる。
【0047】
次いで、本発明の冷凍食品の好適な製造方法について説明する。本製造方法は、フライドポテトの粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物である中種を、外種で包餡する工程を有する。
本発明は、上記の中種部の項で説明した各種の成分を混練した中種及び、上記の外種部の項で説明した各種の成分を混練した外種を自動包餡機にて包餡することで、中種の成形及び外種による包餡を行うことが好ましい。この工程によれば、中種の成形及び外種による包餡を同時に行うことが可能である。中種の成形と外種による被覆を同時ないし一度に行う工程としては、2種以上のノズルを用いた押出により中種を芯にして外種を周囲に被覆する中種及び外種からなる棒状素材を形成しながら、シャッターという切断装置で切断する工程が挙げられる。例えば自動包餡機として、例えばレオン自動機製のCN200、CN208、CN500、二列火星人、メガフォーマー等を用いることで中種の成形及び包餡を一度に行うことが可能である。
【0048】
例えば、長手方向の両端が開口した形状とするためには、自動包餡機においてシャッターやその開閉スピード、ノズルの種類等の組み合わせにより実現できる。
【0049】
以上、本発明をその好ましい態様に基づき適宜説明したが、本発明は上記記載に限定されない。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0051】
(実施例1)
(混合工程)
(中種)
フライドポテト54部を解凍後、サイレントカッターで粉砕した。得られた粉砕物に、ダイスカットポテト21部、水14部、加工澱粉(タピオカ澱粉由来酸化澱粉)2.9部、保水材(理研ビタミン 惣菜用保水ミックスS、セルロース37質量%、α化澱粉62質量%、グリセリン脂肪酸エステル1質量%を含有)3.6部、調味料・香辛料合計3.9部を混合した。
(外種)
フライドポテトについて上記のように粉砕した粉砕品5.2部、タマネギみじん切り7.8部、豚鶏肉ミンチ39部、固形油脂3.6部、水16部、植物蛋白質1.5部、卵白1質量部、澱粉、加工澱粉及びα化澱粉の合計4部、パン粉12部、植物油脂1.5部、調味料10部を混合した。
【0052】
(包餡及び成形工程)
上記で調製した外種及び中種を、包餡機(二列火星人、レオン自動機(株)製)の生地供給部および中具供給部にそれぞれ個別に供給し、中種を直径14mm×長さ60mmの略円柱状に押出すとともに、外種を、中種の円柱形状を被覆する厚みが略一定の略円筒状(内径14mm、外径20mm、長さ60mm)に押出成形した(中種:外種の質量比は1:2)。外種に被覆された食品を得た。バッターとして澱粉31部、水66部を混合したものを用いた。得られたバッターに前記で得られた包餡物を浸漬させて被覆した上で、食用油にて190℃で30秒、160℃で2分、油調した後、室温まで冷却し、次いで-30℃で冷凍し、冷凍食品を得た。中種の長さLと直径Wの比率L/Wは4.2であった。
【0053】
(実施例2)
(中種)の製造工程において、加工澱粉(酸化澱粉)の由来をタピオカからエンドウ豆に変更した。また、加工澱粉の使用量を2.9部から3.8部に変更した。その点以外は実施例1と同様として冷凍食品を得た。
【0054】
(実施例3)
保水材(理研ビタミン 惣菜用保水ミックスS、セルロース37質量%、α化澱粉62質量%、グリセリン脂肪酸エステル1質量%を含有)3.6部の代わりに、α化小麦粉3.6部を用いた。その点以外は実施例2と同様として冷凍食品を得た。
【0055】
(実施例4)
保水材(理研ビタミン 惣菜用保水ミックスS、セルロース37質量%、α化澱粉62質量%、グリセリン脂肪酸エステル1質量%を含有)3.6部の代わりに、粉末状植物蛋白質(分離大豆たん白)3.6部を用いた。その点以外は実施例2と同様として冷凍食品を得た。
【0056】
(比較例1)
加工澱粉を用いない以外は、実施例1と同様の冷凍食品を製造した。
【0057】
(比較例2)
保水材を用いない以外は、実施例1と同様の冷凍食品を製造した。
【0058】
上記で得られた冷凍食品について、以下の方法で評価した。結果を表1に示す。表1には、加工澱粉及び保水材の有無等を合わせて記載する。
上記の冷凍食品20gを電子レンジで500Wで1分間加熱した。
パネラー5名で喫食し、以下の評価項目を以下の評価基準で評価させた。
5名の平均点を表1に示す。
(成形性評価)
5 中種生地にまとまりがあり、良好に成形でき、整った形状で非常に見栄えが良い。
4 中種生地にまとまりがあり、良好に成形でき、整った形状で見栄えが良い。
3 中種生地にまとまりがあり、成形でき、整った形状である。
2 中種生地にまとまりがなく、成形が難しく、形状が整わず見栄えが悪い。
1 中種生地にまとまりがなく、成形が難しく、形状が整わず見栄えが非常に悪い。
【0059】
(食感評価)
5 ポテトのホクホクした食感が非常に良好である。
4 ポテトのホクホクした良好である。
3 ホクホクした食感がある。
2 ホクホクした食感が少ない。
1 ホクホクした食感がない。
【0060】
【符号の説明】
【0061】
10 冷凍食品
11 外種部
12 中種部
【要約】
【課題】じゃがいものホクホクした食感が良好で、廃棄物を削減して、大量生産可能な冷凍食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】じゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物を成形して一方に長い形状に形成してなる中種部と、当該中種部を被覆する外種部とを含有する冷凍食品。また、じゃがいも加熱物の粉砕物を主成分とし、加工澱粉及び保水材を含む混練物である中種と外種とを自動包餡機に供することにより、中種の成形と外種による被覆とを行う工程を有する、冷凍食品の製造方法。
【選択図】
図1