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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】サーバ、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240723BHJP
   G06Q 50/00 20240101ALI20240723BHJP
【FI】
G06Q30/0201
G06Q50/00 300
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024032453
(22)【出願日】2024-03-04
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515282784
【氏名又は名称】株式会社BitStar
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄太
(72)【発明者】
【氏名】出水 厚輝
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2155342(KR,B1)
【文献】特表2020-514847(JP,A)
【文献】Find Modelがインフルエンサーを対象に実施したアンケート記事まとめ[online],2023年07月13日,[令和6年3月29日検索]、インターネット<URL :https://find-model.jp/insta-lab/influencer-questionnaire/>
【文献】インフルエンサーマーケティングプラットフォーム 「BitStar Match」、無料プランを大幅アップデート。インフルエンサーリスト機能の拡充や、インフルエンサー検索の精度が大幅に向上,Bit Star プレスリリース[online],2023年09月07日,[令和6年3月28日検索], インターネット<URL :https://bitstar.tokyo/corp/news_release/5116/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバであって、1以上のプロセッサと、メモリと、前記メモリに格納されたプログラムとを備え、前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
複数のインフルエンサーのそれぞれに関するベクトル化されたインフルエンサー情報を取得することと、
広告宣伝対象の商品またはサービスである商材に関する商材情報を取得することと、
前記商材情報をベクトル化することと、
ベクトル化された前記インフルエンサー情報と、ベクトル化された前記商材情報とから、類似度を算出することと、
算出した前記類似度に基づき、前記複数のインフルエンサーのうちから、前記商材と関連度の高い第1のインフルエンサーを選定することと、
前記第1のインフルエンサーの情報を出力することと、
を実行させ
前記商材に関する前記商材情報を取得することは、
ネットワークを介して前記サーバと接続されたクライアント端末から、第1の文章情報、第1の画像情報及びリンク情報の少なくともいずれかを含む前記商材に関する情報を受信することと、
前記商材に関する情報に前記リンク情報が含まれる場合に、前記リンク情報に基づきページ情報及び第2の画像情報の少なくともいずれかを取得することと、
前記第1の画像情報及び前記第2の画像情報のうち少なくともいずれかから抽出される第2の文章情報を取得することと、
前記第1の文章情報、前記第1の画像情報、前記ページ情報、前記第2の画像情報及び前記第2の文章情報のうち少なくともいずれかに基づき、前記商材情報を生成することと
を含み、
前記第1のインフルエンサーの前記情報を出力することは、前記クライアント端末に前記第1のインフルエンサーの前記情報を送信することを含む、サーバ。
【請求項2】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
前記複数のインフルエンサーに関する情報を収集することと、
収集した前記複数のインフルエンサーのそれぞれに関する情報から、それぞれのインフルエンサーに関する前記インフルエンサー情報を生成することと、
前記インフルエンサー情報をベクトル化することと、
ベクトル化された前記インフルエンサー情報を保存することと、
を実行させ、
前記複数のインフルエンサーのそれぞれに関するベクトル化されたインフルエンサー情報を取得することは、保存された前記インフルエンサー情報を取得することにより行われる、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記保存された前記インフルエンサー情報を取得することは、指定された条件を満たすインフルエンサーの前記インフルエンサー情報を取得することを含む、請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記複数のインフルエンサーに関する情報を収集することは、ネットワークを介して、ソーシャル・ネットワーク・サービスを提供する外部サーバから、それぞれのインフルエンサーに関する情報を取得すること、及び、前記それぞれのインフルエンサーから所定のアンケートに対する回答情報を取得することのうち、少なくともいずれかを含む、請求項に記載のサーバ。
【請求項5】
前記複数のインフルエンサーは、所定のソーシャル・ネットワーキング・サービスにおいて情報を発信している前記所定のソーシャル・ネットワーキング・サービスの登録ユーザであって、フォロワー数、投稿数、閲覧数、及び、高評価数のうち少なくともいずれかが所定数を超えている登録ユーザである、請求項に記載のサーバ。
【請求項6】
前記インフルエンサー情報は、プロフィール情報、投稿内容に関する情報、投稿の閲覧者の性年代割合情報のうち少なくともいずれかを含む、請求項に記載のサーバ。
【請求項7】
前記ベクトル化された前記インフルエンサー情報と、前記ベクトル化された前記商材情報とは、同一の次元数を有する、請求項に記載のサーバ。
【請求項8】
前記第1のインフルエンサーの選定は、算出した前記類似度が所定の閾値より大きいインフルエンサーを前記複数のインフルエンサーのうちから選定することにより行われる、請求項に記載のサーバ。
【請求項9】
前記類似度は、コサイン類似度、ユークリッド距離、マンハッタン距離、マハラノビス距離、ジャッカード類似度、ピアソン相関係数、スピアマンの順位相関係数、ハミング距離のうち、少なくともいずれかに基づいて算出される、請求項に記載のサーバ。
【請求項10】
前記商材情報は、前記商材に関する任意の形式の文章情報と、画像情報との少なくともいずれかを含む、請求項に記載のサーバ。
【請求項11】
前記商材に関する前記商材情報を取得することは前記ページ情報を取得した場合に、該ページ情報から抽出された前記商材と関連するキーワードに基づく検索を行って検索情報を取得することを更に含み、
前記商材情報は、前記第1の文章情報、前記第1の画像情報、前記ページ情報、前記第2の画像情報、前記検索情報及び前記第2の文章情報のうち少なくともいずれかに基づき生成される、請求項に記載のサーバ。
【請求項12】
前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
選定された前記第1のインフルエンサーの選定理由の説明情報を生成することを更に実行させる、請求項に記載のサーバ。
【請求項13】
前記説明情報は、ベクトル化されていない前記インフルエンサー情報と、ベクトル化されていない前記商材情報とに基づき、Transformerベースの大規模言語モデルにより生成する、請求項12に記載のサーバ。
【請求項14】
コンピュータを請求項1から13のいずれか1項に記載のサーバとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、及び、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、通信技術の発達により、様々な情報を多数のユーザ間で共有できるようにするソーシャル・ネットワーキング・サービス( Social Networking Service、SNS)が提供されるようになった。SNS上では、ユーザの誰でもが様々な情報、意見、主張、あるいは、レビュー等を発信することができるが、その中でも非常に影響力のある発信を行うユーザのことを「インフルエンサー」と呼ぶ。
【0003】
インフルエンサーは、特定のプラットフォームにおいて高い影響力を有するユーザであって、一般的にはフォロワー数、購読者数、再生数、閲覧数等が多いユーザが該当する。そして、近年は特にインフルエンサーの影響力を活用して宣伝対象を宣伝する「インフルエンサー・マーケティング」が注目されている。特許文献1は、広告対象商品またはサービスに適合したインフルエンサーを広告主に仲介する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2023-535974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、広告対象商品やサービスに適合したインフルエンサーをより効率的に選定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのある側面に対応する本発明は、サーバであって、1以上のプロセッサと、メモリと、前記メモリに格納されたプログラムとを備え、前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
複数のインフルエンサーのそれぞれに関するベクトル化されたインフルエンサー情報を取得することと、
広告宣伝対象の商品またはサービスである商材に関する商材情報を取得することと、
前記商材情報をベクトル化することと、
ベクトル化された前記インフルエンサー情報と、ベクトル化された前記商材情報とから、類似度を算出することと、
算出した前記類似度に基づき、前記複数のインフルエンサーのうちから、前記商材と関連度の高い第1のインフルエンサーを選定することと、
前記第1のインフルエンサーの情報を出力することと、を実行させ
前記商材に関する前記商材情報を取得することは、
ネットワークを介して前記サーバと接続されたクライアント端末から、第1の文章情報、第1の画像情報及びリンク情報の少なくともいずれかを含む前記商材に関する情報を受信することと、
前記商材に関する情報に前記リンク情報が含まれる場合に、前記リンク情報に基づきページ情報及び第2の画像情報の少なくともいずれかを取得することと、
前記第1の画像情報及び前記第2の画像情報のうち少なくともいずれかから抽出される第2の文章情報を取得することと、
前記第1の文章情報、前記第1の画像情報、前記ページ情報、前記第2の画像情報及び前記第2の文章情報のうち少なくともいずれかに基づき、前記商材情報を生成することと
を含み、
前記第1のインフルエンサーの前記情報を出力することは、前記クライアント端末に前記第1のインフルエンサーの前記情報を送信することを含む
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、広告対象商品やサービスに適合したインフルエンサーをより効率的に選定する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に対応するシステム10の構成の一例を示す図。
図2】実施形態に対応する情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図。
図3】実施形態に対応するサーバ101において実行される処理の一例に対応するフローチャート。
図4】実施形態に対応するサーバ101において実行される処理の他の一例に対応するフローチャート。
図5A】実施形態に対応するクライアント端末102の表示画面の一例を示す図。
図5B】実施形態に対応するクライアント端末102の表示画面の他の一例を示す図。
図5C】実施形態に対応するクライアント端末102の表示画面の更に他の一例を示す図。
図5D】実施形態に対応するクライアント端末102の表示画面の更に他の一例を示す図。
図5E】実施形態に対応するクライアント端末102の表示画面の更に他の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<システム構成>
図1は、実施形態に対応するシステム10の一般的な構成を示す。ここでは、本実施形態に対応するサービスを実施する情報処理装置であるサーバ101と、サーバ101から情報提供を受けるクライアントが使用する情報処理装置であるクライアント端末102と、サーバ101に対してインフルエンサーに関する情報を提供するSNSサーバ103とが、インターネット等のネットワーク104を介して接続されている。サーバ101には、SNSユーザ情報データベース105と、定性情報データベース106とが接続されており、SNSサーバ103には、SNS情報データベース107が接続されている。
【0011】
サーバ101は、本実施形態に対応する処理を主として実行する情報処理装置である。サーバ101はネットワーク104を介して、SNSサーバ103が提供するAPIを使用してSNSサーバ103において情報発信を行っている登録ユーザの情報を収集、取得し、SNSユーザ情報データベース105に保存する。SNSユーザ情報データベース105に登録するSNSユーザの情報については、所定の条件を満たすSNSユーザの情報だけを登録してもよい。所定の条件には、例えば、当該SNSユーザのチャンネルあるいはアカウントにおける投稿回数が所定回数以上である、当該チャンネル等のフォロワー登録者数(単に、フォロワー数ともいう)が所定数以上である、当該チャンネル等のコンテンツの閲覧回数の合計、あるいは、単体の閲覧回数の最大数が所定数以上である、当該チャンネル等のコンテンツに対する高評価(いわゆる、「いいね」)の数が所定数以上である、といった条件が含まれる。
【0012】
サーバ101はまた、SNSユーザ情報データベース105に保存されたSNSユーザの情報に基づいてインフルエンサー情報としての要約情報や定性情報を生成し、これらの情報を定性情報データベース106に保存する。要約情報や定性情報の生成方法については後述する。これらの情報は、例えば、一定期間ごとに更新されるか、または、SNSユーザ情報データベース105の登録内容の更新に応じて適宜更新されてもよい。
【0013】
サーバ101はまた、クライアント端末102からクライアントが宣伝広告を希望する商品やサービス(これらをまとめて「商材」ともいう)の情報を取得して、定性情報データベース106に保存した定性情報に基づき当該商材の宣伝広告に相応しいSNSユーザを選定(あるいは、選出、以下同様)し、クライアント端末102にSNSユーザのリストを提示することができる。本実施形態において宣伝広告の対象となる商材は、その種類が限定されない。任意のあらゆる種類の商品やサービスが対象となる。
【0014】
クライアント端末102は、汎用のパーソナルコンピュータやスマートフォン等の任意の情報処理装置として構成することができる。クライアント端末102は、クライアントが宣伝広告を希望する商品やサービスの情報をサーバ101に送信し、サーバ101から当該商品やサービスの宣伝広告に相応しいSNSユーザのリストを受信する。図1では、クライアント端末102を1つしか記載していないが、これはあくまで例示のためで、複数のクライアント端末102がネットワーク104に接続し、複数の異なるクライアントがそれぞれのクライアント端末102を介してサーバ101からの情報提供を受けることが可能である。
【0015】
SNSサーバ103は、ネットワーク104上でソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を提供するサーバである。SNS情報データベース107には、SNSサーバ103がSNSサービスを提供するための情報が登録されており、その中にはSNSにおける利用者(SNSユーザ)に関する情報が含まれている。SNSサーバ103はサーバ101に対しAPIを介してSNS情報データベース107に含まれるSNSユーザの情報を提供する。
【0016】
本実施形態において、クライアント端末102を使用するクライアントは、例えば、日本国内において商品やサービスの販売等を行っており、商品やサービスの販売促進のために、これらの認知度を上げることを目的として、SNS、その他の媒体上での広告を出す。また、インフルエンサーに自身のSNSアカウントやチャンネル上で商品やサービスを採り上げてもらうことにより、より認知効果を高めることを狙っている。その際、誰に依頼するかによって宣伝効果が異なるため、インフルエンサーの選定が重要である。そこで、サーバ101に対して、自身が扱っている商品やサービスを宣伝するのに適合したインフルエンサーに関する情報の提供を求める。インフルエンサーを選定する目的として、その他に例えば以下のようなものも想定される。
【0017】
・運用型広告において広告の配信先チャンネルを指定して配信する動画配信サイトのプレースメント型True View広告での配信先を選定する目的。ここで、TrueView広告は、ユーザが動画を視聴しようとしている際に割り込む形で表示される広告をいう。
・新製品のモニター調査を行うためのインタビュー対象として、対象商品と適合性の高いインフルエンサーを探す目的。
・検討中のPRの構成案(動画の流れ)を入力してその構成案とマッチするインフルエンサーを探す目的。
【0018】
本実施形態では、サーバ101が、クライアント端末102からの依頼に応じて、クライアント端末102のクライアントが取り扱う商品やサービスを宣伝するのに適合したインフルエンサーに関する情報を提供する。インフルエンサーの選定に当たって、商品やサービスとインフルエンサーの適合性はインフルエンサーのファンの規模や性年代等の指標だけに止まらず、インフルエンサーの持つ世界観や趣味嗜好、ファンとの関係性などの数値化が難しい多角的な要因をも考慮して決めることが望ましい。本実施形態におけるサーバ101では、定性情報データベース106において管理される定性情報に基づき、クライアントの商品やサービスと適合性の高いインフルエンサー(第1のインフルエンサー)を選定し、インフルエンサーリストとしてクライアント端末102に情報提供する。
【0019】
図1ではSNSサーバ103を単体のサーバとして記載したが、実施態様はこの形態に限定されるものではなく、SNSサービスの形態やプラットフォームに応じて異なる複数のSNSサーバ103が提供されてもよい。プラットフォームには、動画配信用プラットフォーム、静止画・動画配信用プラットフォーム、テキストメッセージ配信用プラットフォーム、静止画・動画・テキストを含むマルチメディア配信用プラットフォーム等が含まれる。1つのプラットフォームについて複数のサーバ、データベースが含まれてもよい。
【0020】
<ハードウェア構成>
次に、図2を参照して、サーバ101のハードウェア構成について説明する。サーバ101は、情報処理装置として、例えば、1以上のパーソナルコンピュータから構成することができる。図2において、1以上のプロセッサとしてのCPU/GPU201で、メモリとしてのRAM(ランダムアクセスメモリ)202やROM(リードオンリメモリ)205、内部記憶装置207等に格納されたプログラムやデータ等を用いてサーバ101の制御を行うと共に、後述する実施形態に対応する処理を実行する。RAM202は、内部記憶装置207内に格納された処理プログラムや外部記憶装置208に格納されている情報を読み込むエリアを備えると共に、CPU/GPU201が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアも備える。
【0021】
入力部203はサーバ101の管理者から入力を受付ける入力手段であって、キーボードやマウスなどで構成される。通信I/F(インタフェース)204は、ネットワーク104等に接続するためのI/Fとして機能する。ROM205は、サーバ101全体の制御を行うプログラム(例えばブートプログラム等)等を格納する。表示部206は表示画面としての表示部で、液晶表示装置等により構成されている。
【0022】
内部記憶装置207は、主としてハードディスクで構成され、サーバ101が処理を実行するためのプログラムや各種アプリケーションデータを格納する。ここに格納されているデータは必要に応じてRAM202に読み出される。外部記憶装置208は、データベースであり、SNSユーザ情報データベース105や定性情報データベース106と対応し、種々の情報等が随時格納される。バス209は上述の各ブロックの相互接続を提供する。
【0023】
図2はサーバ101のハードウェア構成として説明したが、ユーザ端末102やSNSサーバ103についても、基本的なハードウェア構成は図2に示したものと同様とすることができる。
【0024】
<定性情報の生成>
サーバ101における処理について説明する。図3は、サーバ101における処理の一例を示すフローチャートである。当該フローチャートに対応する処理は、例えば、サーバ101のCPU/GPU201が対応するプログラム(ROM205や内部記憶装置207等に格納)を実行することにより実現できる。
【0025】
S301において、サーバ101は、SNSサーバ103のAPIを利用して、SNSサーバ103の提供するサービスにおける所定の登録ユーザの情報を収集、取得する。取得した情報は、SNSユーザ情報データベース105に保存する。当該サービスには、例えば、YouTube(登録商標)、Instagram(登録商標)、TikTok(登録商標)、Facebook(登録商標)、X(旧Twitter(登録商標))等が含まれるが、これらに限定されるものではない。登録ユーザの情報には、登録者のプロフィール情報、登録者がSNSに投稿した内容に関連する情報(例えば、投稿タイトル、概要情報、ハッシュタグ、コメント等)、投稿閲覧者(視聴者)の性年代割合情報等、あるいは、そのうち少なくともいずれかが含まれる。SNSユーザの情報の取得方法は、上述の方法に限定されるものではなく、所定のアンケートをSNSユーザに送付・提供して、その回答をSNSユーザからサーバ101が受信することにより行ってもよい。あるいは、SNSユーザに対してインタビューを行い、そこで得られた回答をSNSユーザ情報として取得してもよい。S301において情報を収集、取得する対象のSNSユーザは、例えば、所定のSNSにおける投稿回数が所定回数以上である、フォロワー数が所定数以上である、閲覧回数の合計が所定数以上である、高評価の数が所定数以上であるといった条件を満たすSNSユーザとすることができる。このような条件を満たすSNSユーザのことを、本実施形態ではインフルエンサーと呼んでいる。
【0026】
続くS302において、取得した情報を統合して要約情報を生成する。要約情報を生成する元となる情報は、S301との関連で説明した取得の形態のうちいずれか1つの形態で取得した情報であってもよいし、任意の2以上の形態で取得した情報であってもよい。よって、アンケートの回答で得られた情報のみ、あるいは、インタビューの回答で得られた情報のみから要約情報を生成することも可能である。S301において収集する情報は、断片的なキーワードや単語を含む任意の情報であり、収集した情報から文章情報としての要約情報を生成する。当該要約情報は、例えば、大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)、再帰的ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、RNN)、あるいは、機械学習等の仕組みを利用して生成することができる。LLMについては例えばTransformerベースのモデル(GPT-4に実装)を利用することができる。例えば、あるインフルエンサーについて取得した情報を統合した要約情報を以下のように生成することができる。
【0027】
要約情報の例:美容家Xの美容チャンネル。Xは美容分野に関する動画を投稿し、トレンドに敏感なアイテムや透明感ある肌を追求したアイテムを紹介。18~34歳の女性をターゲットにし、低価格で手軽に試せるメイク方法も提供。親しみやすいトーンで提供される短い動画多めで視聴者に簡単に視聴できる点。
【0028】
続くS303において、生成した要約情報の文章をベクトル化して定性情報を生成する。定性情報は、サーバ101において、商品やサービスの情報との比較に用いられる、インフルエンサーに関する定性的特徴を表す情報である。要約情報のベクトル化(埋め込み表現化)は、要約情報中の単語を適切な類似度が出る特徴量に変換することにより行うことができる。ベクトル化処理では、テキストを所定の次元の配列に変換する。例えば、OpenAIのEmbeddings(text-embedding-3)では最大3072次元の配列に変換される。ベクトル化においては長文であっても短文であっても同次元数のベクトルに変換される。比較用にはベクトルの次元数を共通としておく必要がある。このようにベクトル化処理は、例えば、OpenAIのEmbeddingsを用いて実施することができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
続くS304では、S302で生成した要約情報と、S303で生成した定性情報とを定性情報データベース106に保存する。上記の処理は、インフルエンサーの要約情報のそれぞれについて定期的に実施することができる。
【0030】
<第1のインフルエンサーの選定>
次に、第1のインフルエンサーの選定方法について説明する。本実施形態では、定性情報データベース106に保存されたベクトル化されたインフルエンサー情報である定性情報に基づき、サーバ101はクライアントが宣伝広告を希望する商品やサービスを広告宣伝するのに適したインフルエンサーを選定する。この選定されたインフルエンサーのことを本実施形態では第1のインフルエンサーと呼んでいる。第1のインフルエンサーは、単一人でもよいし、複数人であってもよい。
【0031】
図4は、サーバ101において実行される処理の一例を示すフローチャートである。当該フローチャートに対応する処理は、例えば、サーバ101のCPU/GPU201が対応するプログラム(ROM205や内部記憶装置207等に格納)を実行することにより実現できる。
【0032】
S401において、サーバ101はクライアント端末102から、広告宣伝対象の商品またはサービスといった商材に関する情報の入力を受け付ける。本実施形態では、美容関連製品についての情報を受け付ける場合を説明する。受け付ける情報は、例えば、商品名、種別などの単語の羅列ではなく任意の形式の文章とすることができる。例えば、以下のような文章の入力を受け付けることができる。
【0033】
入力文章例:Aルームはスキンケア入浴料やタオルなどの美容関連製品を提供しています。2023年にはプラセンタ、ヒアルロン酸、ハチミツなどを配合した入浴料が発売され、肌を保湿しハリを与える商品が注目されました。同年、浸かる美容液コンセプトの貸切風呂やレシートキャンペーン、今治スキンケアタオル「〇×△」の販売が行われ、オンラインでのアソートセットの販売など複数のプロモーション活動が実施されています。スキンケアブランド「Aルーム」は、入浴料とタオルの新製品を発表し、複数のキャンペーンやコラボイベントを開催している。最新の入浴料には、プラセンタやヒアルロン酸などの保湿成分が配合されており、美肌効果を期待できるとしている。また、スキンケアタオルも発売し、ECサイトでの販売を開始している。さらに、インスタグラムキャンペーンなども実施中である。
【0034】
入力を受け付ける文章においては、ブランド名(上記の例では、Aルーム)、当該ブランド名で発売している製品の種別、性質、成分に関する情報(同スキンケア入浴料、タオル、美容関連製品、プラセンタ、ヒアルロン酸、はちみつ、美容液)、販売方法に関連する情報(同オンライン、ECサイト、インスタグラムキャンペーン)等を含めることができるが、これらの情報に限定されるものではなく、それ以外の情報を含んでいてもよい。また、上記情報の一部であってもよい。
【0035】
商材情報の文章形態は任意であって、定型的な形式に限定しなくてもよい。このような文章は、通常の商品やサービスの販売を行う際に販促情報として作成されることが多く、また、使用されるブランド名についても、予めブランドに関する説明情報が用意されていることが多い。本実施形態ではこのように既に用意されている文章を転用して入力する商材情報とすることを可能とするので、本システムを使用するために入力情報をわざわざ用意する必要がなく、利用者の負担を軽減することができる。
【0036】
また、入力を受け付ける情報は、クライアント端末102において直接に入力された商材に関する情報(テキスト情報)に限定されない。例えば、クライアント端末102から、リンク情報(例えば、特定のWebページ、動画像、静止画像といった画像情報のURL)の入力を受け付けることができる。サーバ101は、このリンク情報を用いてリンク先から対応する情報を取得し、該情報から抽出した商材に関する情報を入力として受け付けることができる。リンク先からWebページを取得した場合、Webページ内のテキスト情報についてはそのままテキスト入力として受け付けることができる。Webページ内の静止画像、その他リンク先から取得された静止画像については、そのまま静止画像データとして受け付けることができる。
【0037】
また、Webページ内の動画像、その他リンク先から出得された動画像については、サーバ101は動画像中から静止画像をキャプチャし、静止画像データの入力として受け付けることができる。静止画像データも含めるのは、これらの画像情報もベクトル化が可能であるため、類似度の判定に活用可能だからである。また、クライアント端末102から送信された情報や、ページ情報から抽出された情報からサーバ101はキーワードやタグ情報等を抽出し、インターネット検索やSNS上での検索を行って得られた情報を入力として受け付けることもできる。更には、サーバ101は、Webページ内の画像や、その他リンク先から取得された画像に含まれる文字情報をOCR技術により抽出して入力として受け付けてもよいし、これらの画像についてLLMに説明を要求し、得られた説明文章の情報を入力として受け付けてもよい。
【0038】
図5Aは、クライアント端末102側の入力画面の一例を示す。画面500は入力領域501が表示され、クライアント端末102のユーザであるクライアントは入力領域に上記のような文章を入力することができる。また、入力領域502には、クライアントが参照を要求するリンク情報を入力することができる。例えば、入力領域501に入力された商材に関するWebページや静止画像、動画像のリンク情報等を入力することができる。また、入力領域502に対し、静止画像や動画像をドラッグアンドドロップ操作により直接入力可能としてもよい。文章、リンク情報、画像等を入力して、推奨インフルエンサー検索ボタン503をクリックすると、入力領域501に入力された文章の情報と、入力領域502に入力された情報と共に、サーバ101に対してインフルエンサー検索依頼が送信される。S401では、このようにしてクライアント端末102から送信された情報の入力を受け付ける。
【0039】
続くS402において、サーバ101は、S401で説明した入力として受け付けることが可能な情報のうち、少なくともいずれかの実際に受け付けた情報を統合して商材情報を生成する。商材情報とは、サーバ101が取得した情報を統合して生成された商材に関する要約情報であり、テキスト情報(文章情報)及び画像情報のうち少なくともいずれかを含むことができる。サーバ101は、クライアント端末102から送信されたテキスト情報、静止画像、動画像の他、リンク情報に基づきリンク先から取得したページ情報、及び、ページ情報から抽出されたテキスト情報、キーワードに基づいてインターネット検索やSNS検索により得られた情報、更には、Webページ内の画像やその他リンク先から取得された画像からOCR技術により抽出された文字情報、画像についてLLMから得られた説明文章の情報等に基づき、商材情報を生成する。商材情報の生成はS302における要約情報の生成と同様に実施することができる。具体的に、当該商材情報は、例えば、大規模言語モデル(Large Language Models、LLM)、再帰的ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network、 RNN)、あるいは、機械学習等の仕組みを利用して生成することができる。LLMについては例えばTransformerベースのモデル(GPT-4に実装)を利用することができる。
【0040】
なお、S402における商材情報のLLMによる生成処理は、複数種類の情報を統合して要約情報を生成する必要がある場合に行われてもよい。例えば、クライアント端末102から受信した文章情報のみの場合には、当該文章情報をそのまま商材情報とすればよいので、LLM等を用いた生成処理を省略してもよい。あるいは、S401において情報入力を受け付ける際に、予めLLM等を用いた生成処理を省略可能な形態の入力のみを許容するように入力内容を制限してもよい。その場合、例えば、図5Aの入力領域501に対する文章情報の入力のみを許容してもよい。
【0041】
続くS403において、サーバ101はS402で生成した商材情報をベクトル化する。ベクトル化は、図3のS303における要約情報のベクトル化に用いた手法と同様の手法により、ベクトル化された商材情報が同一の次元数となるように実施する。ベクトル化は上記と同様に、例えばOpenAIのEmbeddings(text-embedding-3)を用いることができるが、これに限定されない。いずれにしても、S303における要約情報のベクトル処理結果と同じ次元数とする。
【0042】
続くS404では、定性情報データベース106内の定性情報と、S403において生成したベクトル化された商材情報との比較を行い、その後のS405では、類似度の高い定性情報から、第1のインフルエンサーを選定する。類似度の判定は、ベクトル情報のコサイン類似度に基づき判定することができる。コサイン類似度は、比較される2つのベクトルがどのくらい似ているかの類似性を表す尺度で、ベクトル空間における2つのベクトルがなす角のコサイン値で表される。具体的には、2つのベクトルの内積(=向きと大きさを持つベクトル同士の掛け算)を、2つのベクトルの大きさ(=L2ノルム)で割ることで計算することができる。この計算によって値が-1から1の範囲に正規化されるので、コサイン類似度が、1なら「0度で、同じ向きのベクトル=完全に似ている」、0なら「90度で、独立/直交した向きのベクトル=似ている/いない、のどちらにも無関係」、-1なら「180度で、反対向きのベクトル=完全に似ていない」と判定することができる。
【0043】
上記では、ベクトルの類似度(=距離)を判定する方法としてコサイン類似度を採用する場合を記載したが、ベクトルの類似度判定方法は、コサイン類似度に基づくものに限定されない。例えば、コサイン類似度以外に、以下の方法のうちの少なくともいずれかを代わりに用いることができる。
【0044】
・ユークリッド距離 (Euclidean Distance):ユークリッド距離は二つの点間の「直線距離」を測定することができる。また、多次元空間における二点間の距離を計算するのに使用され、ベクトルの大きさと向きの両方に依存する。
・マンハッタン距離 (Manhattan Distance):マンハッタン距離(またはL1距離)は、各次元の差の絶対値の和として計算される。格子状の道路を移動する際の距離に例えられる。
・マハラノビス距離 (Mahalanobis Distance):マハラノビス距離は、データの分布を考慮した距離の測定法。データの相関と分散を考慮し、多次元データの「真の」距離を測定する。
・ジャッカード類似度 (Jaccard Similarity):ジャッカード類似度は、二つの集合の間の類似性を測定する。二つのベクトルを集合と見なし、その交差部分と統合部分の比率で類似性を評価する。
・ピアソン相関係数 (Pearson Correlation Coefficient):ピアソン相関係数は、二つのベクトル間の線形関係の強さと方向を測定する。値は-1(完全な負の線形関係)から1(完全な正の線形関係)まで変動する。
・スピアマンの順位相関係数 (Spearman's Rank Correlation):スピアマンの順位相関係数は、二つのベクトルの順位に基づく非線形関係の強さを測定する。
・ハミング距離 (Hamming Distance):ハミング距離は、二つの同じ長さの文字列間の位置ごとの差異の数を計算する。主に文字列や二進数データに用いられる。
【0045】
S404において、ベクトル化された商材情報との比較対象となる定性情報は、例えば定性情報データベース106に保存されているすべての定性情報とすることができる。これ以外にも、予め比較対象の定性情報を絞り込んでからコサイン類似度を算出するようにしてもよい。絞り込みは、例えば、クライアント端末102から絞り込み条件の要求を受け付け、当該要求された絞り込み条件に従って実施してもよい。絞り込み条件には、例えばフォロワー数がいくつ以上であるか、専門分野(例えば、美容、あるいは、アウトドア等)やターゲット層(18~34歳等のような年齢層や性別)を特定するといった条件がある。なお、絞り込み条件はここに列挙したものに限定されることはなく、任意に入力可能としてもよい。
【0046】
絞り込み条件は図5Aの画面500の変形例を示す図5Bの画面500の領域504において、検索ボタン503が操作される前に指定可能としてもよい。指定された条件は、検索ボタン503が操作されると、入力領域501に入力された文章の情報及び入力情報502に入力されたリンク情報と共に、サーバ101に対して絞り込み条件が送信される。
【0047】
このような絞り込み条件を受け付ける場合には、定性情報に絞り込み条件に対応する属性情報を予め付与して定性情報データベース106において管理しておき、属性情報が絞り込み条件に合致する定性情報のみを読み出してコサイン類似度を算出するようにしてもよい。
【0048】
S405では、S403で算出されたコサイン類似度が最も高く、かつ、コサイン類似度が所定の閾値以上の定性情報を特定し、対応するSNSユーザを第1のインフルエンサーとする。第1のインフルエンサーは単数であってもよいし、複数であってもよい。複数とする場合、コサイン類似度が所定の閾値以上であって、高い順に所定数のSNSユーザを第1のインフルエンサーに特定する。コサイン類似度は、例えば、0.82561928714675、0.8216945111462等のように算出される。このようなコサイン類似度に基づき、所定の閾値(例えば、0.8)以上の類似度を有する定性情報を選定する。第1のインフルエンサーとして選定するSNSユーザの数は予め決められた数としてもよいし、あるいは、コサイン類似度が所定値以上のSNSユーザをすべて第1のインフルエンサーと選定してもよい。また、上位N%に相当するSNSユーザを第1のインフルエンサーに選定してもよい。
【0049】
続くS406では、サーバ101は、S404で選定したSNSユーザについて定性情報データベース106に記憶されている要約情報と、S402で生成した商材情報とに基づき、選定したSNSユーザが商材情報に対応する商品やサービスの広告宣伝に適した人材であることの理由を説明する説明文章を生成する。当該説明文書の生成は、例えば、TransformerベースのLLMを利用して、類似理由の説明を求めるプロンプトと共に定性情報と商材情報とを入力することで実行することができる。
【0050】
続くS407では、サーバ101は、S405で選定した第1のインフルエンサーのリストと、S406で生成した選定理由の説明文書とに基づき結果出力画面を生成し、クライアント端末102へ送信する。
【0051】
図5Cは、クライアント端末102側の結果出力画面の一例を示す。画面510には、選定されたインフルエンサーに関する情報511が表示される。情報511には、インフルエンサー名、当該インフルエンサーのコサイン類似度、詳細情報表示用のコントロール512が含まれる。結果出力画面では、選定されたインフルエンサーが、コサイン類似度の高い順に画面上から表示される。クライアントは情報511のコントロール512を操作することにより、選定されたインフルエンサーに関する詳細の情報を確認することができる。なお、コサイン類似度は小数点以下の大きい数字が示されているが桁数を絞り込んでもよい。
また、情報511においては、類似度のパーセンタイルで区切られた複数のインフルエンサーリストを含めるようにしてもよい。例えば、選定されたインフルエンサーをコサイン類似度の大きさによりグループ分けし、グループごとに表示してもよい。グループは、例えば、類似度が高・中・低の3グループに区分することができる。
【0052】
図5Dは、先頭に表示されている「美容家X」の詳細情報の表示の一例を示す。図5Cの画面520では、コントロール512がクリックされて、表示領域521内に、美容家Xが選定された詳細な理由が表示される。ここでは、例えば、宣伝広告のターゲット層の一致、インフルエンサーの専門性と影響力、インフルエンサーのコンセプトとの共通性、インフルエンサーのコンテンツの特性、インフルエンサーのキャンペーンとの連携、といった項目に関連して選定理由が示されている。
【0053】
画面520にはスクロールバー522が表示され、他の選定インフルエンサーの詳細情報を確認したい場合には、スクロールバー522を操作して、他の選定インフルエンサーの詳細情報が表示されている位置まで画面をスクロールすることができる。
以上のようにして選定されたインフルエンサーのリストが得られた後、条件を追加して絞り込みを行えるようにしてもよい。その際の追加条件には、予め用意された条件の他、例えば「より若年層に適したインフルエンサーを紹介して欲しい」と言った任意に入力された条件を含めることができる。このときの表示の一例を図5Eに示す。図5Eでは、図5Cの画面510に、図5Bの絞り込み条件504及び検索ボタン503を表示する入力領域530が重畳表示されている。入力領域530に対して絞り込み条件が入力され検索ボタン503が操作されると、サーバ101に対して絞り込み条件が送信され、絞り込み処理が実行される。
【0054】
以上に説明した本実施形態においては、商材情報と比較されるインフルエンサーの情報を予めベクトル化して定性情報として用意しておくことにより、インフルエンサーの選別を行う際の処理負荷を軽減することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、本実施形態ではベクトル化された商材情報と、ベクトル化されたインフルエンサーの情報(定性情報)とのコサイン類似度に基づきインフルエンサーの関連度を判定している。本実施形態では商材に関する情報をベクトル化して定性情報と比較するので、商材に関する入力情報の形態を定めず、任意の情報(文章、画像、動画像等)を入力として用いることが可能である。従って、これまでのように、インフルエンサーの特徴を数値化・キーワード化することで比較・検索可能とするために、商材情報も同じ形に数値化・キーワード化する必要がなく、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、商品紹介のWebページの文章データ等、既存の情報を用いて機械的に候補を選定することも可能となる。また、商材情報の情報精度を高めることにより、より関連性の高いインフルエンサーを選定することも可能となる。クライアントは自身のよく知る商品やサービスについての情報を入力するだけで、簡単に宣伝広告に適したインフルエンサーの候補と、その選定理由を文章で得ることができるので、専門家に頼る場合と近いクオリティの結果を即座に得られるようになる。 更には、絞り込み条件を設定することにより、インフルエンサーの選別精度を更に高めることも可能となる。
【0057】
また、本実施形態の拡張例として以下のようなものも考えられる。例えば、LLMの活用方法として、文章情報と共に、当該文章情報の加筆修正を依頼するプロンプトを入力し、加筆修正を行わせることができる。例えば「以下はインフルエンサーに紹介してもらいたいと考えている商材の文章情報と、その商材を紹介するインフルエンサーの特徴についての要望の文章です。これらを元に、インフルエンサーにどんな特徴が求められているかを明確にした商材の紹介文を作成してください」とプロンプトすると、指示に対応した加筆修正が可能となる。このようにして加筆修正された文章情報を図4のS401における入力情報として利用し、本実施形態の処理を行うことで、よりクライアントの希望に沿ったインフルエンサーの選定が可能となる。
【0058】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の情報処理装置、及び、コンピュータプログラムを少なくとも開示する。
(1) サーバであって、1以上のプロセッサと、メモリと、前記メモリに格納されたプログラムとを備え、前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
複数のインフルエンサーのそれぞれに関するベクトル化されたインフルエンサー情報を取得することと、
広告宣伝対象の商品またはサービスである商材に関する商材情報を取得することと、
前記商材情報をベクトル化することと、
ベクトル化された前記インフルエンサー情報と、ベクトル化された前記商材情報とから、類似度を算出することと、
算出した前記類似度に基づき、前記複数のインフルエンサーのうちから、前記商材と関連度の高い第1のインフルエンサーを選定することと、
前記第1のインフルエンサーの情報を出力することと、
を実行させる、サーバ。
(2) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
前記複数のインフルエンサーに関する情報を収集することと、
収集した前記複数のインフルエンサーのそれぞれに関する情報から、それぞれのインフルエンサーに関する前記インフルエンサー情報を生成することと、
前記インフルエンサー情報をベクトル化することと、
ベクトル化された前記インフルエンサー情報を保存することと、
を実行させ、
前記複数のインフルエンサーのそれぞれに関するベクトル化されたインフルエンサー情報を取得することは、保存された前記インフルエンサー情報を取得することにより行われる、(1)に記載のサーバ。
(3) 前記保存された前記インフルエンサー情報を取得することは、指定された条件を満たすインフルエンサーの前記インフルエンサー情報を取得することを含む、(2)に記載のサーバ。
(4) 前記複数のインフルエンサーに関する情報を収集することは、ネットワークを介して、ソーシャル・ネットワーク・サービスを提供する外部サーバから、それぞれのインフルエンサーに関する情報を取得すること、及び、前記それぞれのインフルエンサーから所定のアンケートに対する回答情報を取得することのうち、少なくともいずれかを含む、(1)から(3)のいずれか1つに記載のサーバ。
(5) 前記複数のインフルエンサーは、所定のソーシャル・ネットワーキング・サービスにおいて情報を発信している前記所定のソーシャル・ネットワーキング・サービスの登録ユーザであって、フォロワー数、投稿数、閲覧数、及び、高評価数のうち少なくともいずれかが所定数を超えている登録ユーザである、(1)から(4)のいずれか1つに記載のサーバ。
(6) 前記インフルエンサー情報は、プロフィール情報、投稿内容に関する情報、投稿の閲覧者の性年代割合情報のうち少なくともいずれかを含む、(1)から(5)のいずれか1つに記載のサーバ。
(7) 前記ベクトル化された前記インフルエンサー情報と、前記ベクトル化された前記商材情報とは、同一の次元数を有する、(1)から(6)のいずれか1つに記載のサーバ。
(8) 前記第1のインフルエンサーの選定は、算出した前記類似度が所定の閾値より大きいインフルエンサーを前記複数のインフルエンサーのうちから選定することにより行われる、(1)から(7)のいずれか1つに記載のサーバ。
(9) 前記類似度は、コサイン類似度、ユークリッド距離、マンハッタン距離、マハラノビス距離、ジャッカード類似度、ピアソン相関係数、スピアマンの順位相関係数、ハミング距離のうち、少なくともいずれかに基づいて算出される、(1)から(8)のいずれか1つに記載のサーバ。
(10) 前記商材情報は、前記商材に関する任意の形式の文章情報と、画像情報との少なくともいずれかを含む、(1)から(9)のいずれか1つに記載のサーバ。
(11) 前記商材に関する前記商材情報を取得することは、
ネットワークを介して前記サーバと接続されたクライアント端末から、第1の文章情報、第1の画像情報及びリンク情報の少なくともいずれかを含む前記商材に関する情報を受信することと、
前記商材に関する情報に前記リンク情報が含まれる場合に、前記リンク情報に基づきページ情報及び第2の画像情報の少なくともいずれかを取得することと、
前記ページ情報を取得した場合に、該ページ情報から抽出された前記商材と関連するキーワードに基づく検索を行って検索情報を取得することと、
前記第1の画像情報及び前記第2の画像情報のうち少なくともいずれかから抽出される第2の文章情報を取得することと、
前記第1の文章情報、前記第1の画像情報、前記ページ情報、前記第2の画像情報、前記検索情報及び前記第2の文章情報のうち少なくともいずれかに基づき、前記商材情報を生成することと
を含み、
前記第1のインフルエンサーの前記情報を出力することは、前記クライアント端末に前記第1のインフルエンサーの前記情報を送信することを含む、(1)から(10)のいずれか1つに記載のサーバ。
(12) 前記プログラムは、前記1以上のプロセッサにより実行されると、前記サーバに、
選定された前記第1のインフルエンサーの選定理由の説明情報を生成することを更に実行させる、(1)から(11)のいずれか1つに記載のサーバ。
(13) 前記説明情報は、ベクトル化されていない前記インフルエンサー情報と、ベクトル化されていない前記商材情報とに基づき、Transformerベースの大規模言語モデルにより生成する、(12)に記載のサーバ。
(14) コンピュータを(1)から(13)のいずれか1つに記載のサーバとして機能させるためのプログラム。
【0059】
[他の実施形態]
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。また本発明に係る情報処理装置は、1以上のコンピュータを該情報処理装置として機能させるコンピュータプログラムによっても実現可能である。該コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されることにより、あるいは電気通信回線を通じて、提供/配布することができる。
【符号の説明】
【0060】
10:システム、101:サーバ、102:クライアント端末、103:SNSサーバ、104:ネットワーク
【要約】
【課題】広告対象商品やサービスに適合したインフルエンサーをより効率的に選定する技術を提供する。
【解決手段】サーバであって、複数のインフルエンサーのそれぞれに関するベクトル化されたインフルエンサー情報を取得すること、広告宣伝対象の商品またはサービスである商材に関する商材情報を取得すること、前記商材情報をベクトル化すること、ベクトル化された前記インフルエンサー情報と、ベクトル化された前記商材情報とから、類似度を算出すること、算出した前記類似度に基づき、前記複数のインフルエンサーのうちから、前記商材と関連度の高い第1のインフルエンサーを選定すること、前記第1のインフルエンサーの情報を出力することを実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E