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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】燃焼式熱源機およびCO2供給装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 8/00 20220101AFI20240724BHJP
   A01G 7/02 20060101ALI20240724BHJP
   A01G 9/18 20060101ALI20240724BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20240724BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240724BHJP
【FI】
F24H8/00
A01G7/02
A01G9/18
F24H1/14 C
F24H9/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020162352
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055012
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和則
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-032200(JP,A)
【文献】特開2005-180778(JP,A)
【文献】特開2002-098413(JP,A)
【文献】特開2011-080702(JP,A)
【文献】特開2020-000009(JP,A)
【文献】特開2009-133551(JP,A)
【文献】特開2000-274829(JP,A)
【文献】特開2011-069566(JP,A)
【文献】特開2014-190571(JP,A)
【文献】特開2013-088089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 - 15/493
A01G 7/02
A01G 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼により燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
発生した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、
前記1次熱交換器を通過した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備え、
前記2次熱交換器は、
燃焼ガスが上向きに流れる排気路と、
前記排気路に配置され、その内部を流体が流れるパイプと、
前記排気路の前記パイプの下方に設けられ、潜熱回収時に発生し前記パイプから落ちるドレン水を、その底面部で受けて、当該底面部から排出させることなく溜める貯留部と、
前記排気路に燃焼ガスを流入させる流入口と、を含み、
前記貯留部は、前記底面部が前記排気路全体を遮り、前記底面部の下面が、前記流入口から前記排気路に流入した燃焼ガスに接触して加熱されるとともに、前記底面部から上方に突出する筒状の開口部を有し、
前記開口部を前記燃焼ガスが上向きに通過し、
前記2次熱交換器は、前記排気路の前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から前記開口部を介して溢れるドレン水を受ける溢水受け部を、さらに含む、
ことを特徴とする燃焼式熱源機。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼式熱源機において、
前記流入口は、上方を向き、
水平面内において、前記流入口の位置が前記開口部の位置とずらされる、
ことを特徴とする燃焼式熱源機。
【請求項3】
燃焼により燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
発生した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、
前記1次熱交換器を通過した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備え、
前記2次熱交換器は、
燃焼ガスが上向きに流れる排気路と、
前記排気路に配置され、その内部を流体が流れるパイプと、
前記排気路の前記パイプの下方に設けられ、潜熱回収時に発生し前記パイプから落ちるドレン水を、その底面部で受けて、当該底面部から排出させることなく溜める貯留部と、
前記排気路に燃焼ガスを流入させるとともに、上方を向く流入口と、を含み、
前記貯留部は、前記底面部が前記排気路全体を遮り、前記底面部の下面が、前記流入口から前記排気路に流入した燃焼ガスに接触して加熱されるとともに、前記底面部から上方に突出する筒状の開口部を有し、
前記開口部を前記燃焼ガスが上向きに通過し、
水平面内において、前記流入口の位置が前記開口部の位置とずらされる、
ことを特徴とする燃焼式熱源機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の燃焼式熱源機において、
前記2次熱交換器は、前記燃焼器および前記1次熱交換器の側方に配置され、
燃焼ガスは、前記1次熱交換器を下向きに流れ、
前記1次熱交換器および前記2次熱交換器の下方に配置され、これら熱交換器に繋がり、燃焼ガスの流れを下向きから上向きに変えるダクトをさらに備え、
前記ダクトは、
ダクト本体部と、
前記ダクト本体部の内壁面に装着される吸音材と、
前記吸音材を覆い、前記2次熱交換器から漏れて前記ダクト本体部内に侵入した水が前記吸音材に接触するのを防止するカバーと、を含む、
ことを特徴とする燃焼式熱源機。
【請求項5】
燃焼により燃焼ガスを発生させる燃焼器と、
発生した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、
前記1次熱交換器を通過した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備え、
前記2次熱交換器は、
燃焼ガスが上向きに流れる排気路と、
前記排気路に配置され、その内部を流体が流れるパイプと、
前記排気路の前記パイプの下方に設けられ、潜熱回収時に発生し前記パイプから落ちるドレン水を、その底面部で受けて、当該底面部から排出させることなく溜める貯留部と、
前記排気路に燃焼ガスを流入させる流入口と、を含み、
前記貯留部は、前記底面部の下面が、前記流入口から前記排気路に流入した燃焼ガスに接触して加熱され、
前記2次熱交換器は、前記燃焼器および前記1次熱交換器の側方に配置され、
燃焼ガスは、前記1次熱交換器を下向きに流れ、
前記1次熱交換器および前記2次熱交換器の下方に配置され、これら熱交換器に繋がり、燃焼ガスの流れを下向きから上向きに変えるダクトをさらに備え、
前記ダクトは、
ダクト本体部と、
前記ダクト本体部の内壁面に装着される吸音材と、
前記吸音材を覆い、前記2次熱交換器から漏れて前記ダクト本体部内に侵入した水が前記吸音材に接触するのを防止するカバーと、を含む、
ことを特徴とする燃焼式熱源機。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項に記載の燃焼式熱源機において、
前記流入口は、前記底面部の下面と対向する、
ことを特徴とする燃焼式熱源機。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の燃焼式熱源機を含み、
栽培室内にCOを供給するために、前記燃焼式熱源機から、前記燃焼器の燃焼により発生し、前記次熱交換器と前記2次熱交換器で冷却された燃焼ガスを排出する、
ことを特徴とするCO供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼式熱源機に関する。また、本発明は、温室、ビニールハウス等の栽培室内にCOを供給するCO供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃焼器の燃焼により発生した燃焼ガスを、1次熱交換器および2次熱交換器を通過させ、燃焼ガスとの熱交換により回収した顕熱および潜熱により1次熱交換器および2次熱交換器を流れる流体を加熱する、潜熱回収型の燃焼式熱源機が知られている。
【0003】
上記構成の燃焼式熱源機は、たとえば、流体である水を加熱して湯を生成し、生成した湯を風呂、カラン等に供給する給湯装置に利用される。
【0004】
また、上記構成の燃焼式熱源機から燃焼ガスを排出させ、燃焼ガスに含まれるCOを、栽培室内で育成される農作物等の植物に供給するCO供給装置を実現することができる。燃焼ガスは、1次熱交換器および2次熱交換器を通過することにより冷却されて機外に排出される。よって、燃焼ガスが、高温のまま植物に接触することを防止できる。
【0005】
上記構成の燃焼式熱源機では、2次熱交換器において、潜熱が回収される際に、燃焼ガスに含まれる水分の凝縮による水(以下、「ドレン水」という)が発生する。ドレン水は、酸性であり、機内に設けられた中和器を介して機外に排出される。このような燃焼式熱源機の一例である給湯装置が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5212703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記構成の燃焼式熱源機では、当該機器の設置場所に、ドレン水を廃棄するための外部配管が必要となる。このため、外部配管がない場所に熱源機の取替や新設を行う場合は、外部配管の工事が必要となるため、設置が難しくなる。
【0008】
また、上記構成の燃焼式熱源機では、潜熱が回収されない潜熱非回収型の熱源機に比べてサイズが大きくなりやすい。よって、熱源機の取替や新設を行う場合に、設置スペースの関係からも設置が難しくなりやすい。なお、非潜熱回収型の熱源機では、2次熱交換器の位置と同様な位置に、消音のためのダクトが設けられることが多い。このため、特に中和器が、熱源機のサイズ増加の要因となりやすい。
【0009】
そこで、本発明は、ドレン水を廃棄するための外部配管が不要であり、また、機体をコンパクトにできる燃焼式熱源機、および、このような燃焼式熱源機を含むCO供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、燃焼式熱源機に関する。本態様に係る燃焼式熱源機は、燃焼により燃焼ガスを発生させる燃焼器と、発生した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、前記1次熱交換器を通過した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備える。ここで、前記2次熱交換器は、燃焼ガスが上向きに流れる排気路と、前記排気路に配置され、その内部を流体が流れるパイプと、前記排気路の前記パイプの下方に設けられ、潜熱回収時に発生し前記パイプから落ちるドレン水を、その底面部で受けて、当該底面部から排出させることなく溜める貯留部と、前記排気路に燃焼ガスを流入させる流入口と、を含む。前記貯留部は、前記底面部が前記排気路全体を遮り、前記底面部の下面が、前記流入口から前記排気路に流入した燃焼ガスに接触して加熱されるとともに、前記底面部から上方に突出する筒状の開口部を有する。前記開口部を前記燃焼ガスが上向きに通過する。前記2次熱交換器は、前記排気路の前記貯留部の下方に設けられ、前記貯留部から前記開口部を介して溢れるドレン水を受ける溢水受け部を、さらに含む。
【0011】
なお、「底面部から排出させることなく」とは、底面部に、ドレン水を積極的に排出させる排出口等が形成されてないことを意味する。
【0012】
本態様に係る燃焼式熱源機によれば、貯留部内に溜められたドレン水を、燃焼ガスの熱を利用して、効果的に蒸発させることができるので、貯留部からの機外への排水経路と、その途中に設けられる中和器とが不要となる。よって、燃焼式熱源機の設置場所に、機外へ排出されたドレン水を廃棄するための外部配管が不要であり、また、燃焼式熱源機をコンパクトにできる。
さらに、底面部の面積を広くできるので、貯留部内のドレン水が、底面部で拡がりやすくなり、蒸発しやすくなる。また、貯留部から開口部を介して溢れたドレン水を、溢水受け部で受けて、排気路を通る燃焼ガスの熱により蒸発させることができる。
【0013】
本態様に係る燃焼式熱源機において、前記流入口は、前記底面部の下面と対向し得る。
【0014】
上記の構成によれば、燃焼ガスが、下方から吹き付けられて底面部に強く接触するため、底面部の加熱効果が高くなり、貯留部内のドレン水の蒸発が促進される。
【0019】
さらに、上記の構成とされた場合、前記流入口が、上方を向き、水平面内において、前記流入口の位置が前記開口部の位置とずらされるような構成が採られ得る。
【0020】
このような構成とされれば、貯留部から開口部を介して溢れたドレン水が、直接、流入口に入りにくい。
【0021】
本態様に係る燃焼式熱源機において、前記1次熱交換器が、前記燃焼器および前記2次熱交換器の側方に配置され、燃焼ガスが、前記1次熱交換器を下向きに流れるような構成が採られ得る。この場合、前記1次熱交換器および前記2次熱交換器の下方に配置され、これら熱交換器に繋がり、燃焼ガスの流れを下向きから上向きに変えるダクトが、さらに備えられ得る。前記ダクトは、ダクト本体部と、前記ダクト本体部の内壁面に装着される吸音材と、前記吸音材を覆い、前記2次熱交換器から漏れて前記ダクト本体部内に侵入したドレン水が前記吸音材に接触するのを防止するカバーと、を含み得る。
【0022】
上記の構成によれば、2次熱交換器から漏れたドレン水がダクト本体部内に侵入しても、侵入したドレン水により吸音材が濡らされてしまうことを防止できる。
本発明の第2の態様は、燃焼式熱源機に関する。本態様に係る燃焼式熱源機は、燃焼により燃焼ガスを発生させる燃焼器と、発生した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、前記1次熱交換器を通過した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備える。前記2次熱交換器は、燃焼ガスが上向きに流れる排気路と、前記排気路に配置され、その内部を流体が流れるパイプと、前記排気路の前記パイプの下方に設けられ、潜熱回収時に発生し前記パイプから落ちるドレン水を、その底面部で受けて、当該底面部から排出させることなく溜める貯留部と、前記排気路に燃焼ガスを流入させるとともに、上方を向く流入口と、を含む。前記貯留部は、前記底面部が前記排気路全体を遮り、前記底面部の下面が、前記流入口から前記排気路に流入した燃焼ガスに接触して加熱されるとともに、前記底面部から上方に突出する筒状の開口部を有する。前記開口部を前記燃焼ガスが上向きに通過する。水平面内において、前記流入口の位置が前記開口部の位置とずらされる。
本発明の第3の態様は、燃焼式熱源機に関する。本態様に係る燃焼式熱源機は、燃焼により燃焼ガスを発生させる燃焼器と、発生した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却する1次熱交換器と、前記1次熱交換器を通過した燃焼ガスと流体との間で熱交換を行い、燃焼ガスを冷却して潜熱を回収する2次熱交換器と、を備える。前記2次熱交換器は、燃焼ガスが上向きに流れる排気路と、前記排気路に配置され、その内部を流体が流れるパイプと、前記排気路の前記パイプの下方に設けられ、潜熱回収時に発生し前記パイプから落ちるドレン水を、その底面部で受けて、当該底面部から排出させることなく溜める貯留部と、前記排気路に燃焼ガスを流入させる流入口と、を含む。前記貯留部は、前記底面部の下面が、前記流入口から前記排気路に流入した燃焼ガスに接触して加熱される。前記2次熱交換器は、前記燃焼器および前記1次熱交換器の側方に配置され、燃焼ガスは、前記1次熱交換器を下向きに流れる。前記燃焼式熱源機は、前記1次熱交換器および前記2次熱交換器の下方に配置され、これら熱交換器に繋がり、燃焼ガスの流れを下向きから上向きに変えるダクトをさらに備える。前記ダクトは、ダクト本体部と、前記ダクト本体部の内壁面に装着される吸音材と、前記吸音材を覆い、前記2次熱交換器から漏れて前記ダクト本体部内に侵入した水が前記吸音材に接触するのを防止するカバーと、を含む。
【0023】
本発明の第の態様は、CO供給装置に関する。本態様に係るCO供給装置は、第1ないし第3の態様に係る燃焼式熱源機を含み、栽培室内にCOを供給するために、前記燃焼式熱源機から、前記燃焼器の燃焼により発生し、前記次熱交換器と前記2次熱交換器で冷却された燃焼ガスを排出する。
【0024】
本態様に係るCO供給装置によれば、上記第1ないし3の態様に係る燃焼式熱源機と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のとおり、本発明によれば、ドレン水を廃棄するための外部配管が不要であり、また、機体をコンパクトにできる燃焼式熱源機、および、このような燃焼式熱源機を含むCO供給装置を提供できる。
【0026】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、実施の形態に係る、燃焼式熱源機の構成を示す概略図である。
図2図2は、実施の形態に係る、X-Z平面内で切断された2次熱交換器と連結ダクトの断面図である。
図3図3は、実施の形態に係る、Y-Z平面内で切断された2次熱交換器と連結ダクトの断面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、ドレン貯留部の斜視図である。
図5図5(a)は、実施の形態に係る、排気集合筒の分解斜視図であり、図5(b)は、実施の形態に係る、筒本体部の下部材から吸音材とカバーが分離された状態を示す斜視図である。
図6図6は、実施の形態に係る、CO供給システムが設置された栽培室を模式的に示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る、CO供給システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0029】
なお、各図には、便宜上、適宜、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸が付記されている。X-Y平面は水平面に平行であり、Z軸方向は鉛直方向である。Z軸正側が上方であり、Z軸負側が下方である。
【0030】
<燃焼式熱源機の構成>
まず、本実施の形態に係る燃焼式熱源機10について説明する。
【0031】
図1は、燃焼式熱源機10の構成を示す概略図である。なお、図1では、便宜上、2次熱交換器140と連結ダクト180が、水平方向に90度回転した状態で示されている。
【0032】
燃焼式熱源機10は、ほぼ方形の箱状を有する筐体100と、筐体100内に配置された、燃焼ユニット110と、給気ダクト120と、1次熱交換器130と、2次熱交換器140と、排気集合筒150と、中継タンク160と、リザーブタンク170と、連結ダクト180と、を備える。
【0033】
燃焼ユニット110は、缶体111と、缶体111内に収容された、燃焼器112と、燃焼ファン113と、を含む。燃焼器112には、供給管114が接続される。供給管114は、缶体111および筐体100の外に出て、燃料、たとえば灯油が貯留された燃料タンク(図示せず)に繋がる。供給管114には、供給ポンプ115が設けられる。また、燃焼器112には、気化ヒータ116とイグナイタ117とが設けられる。燃焼ファン113は、燃焼器112の上方に配置される。燃焼ファン113は、ファン113aと、ファン113aを回転させるモータ113bとを含む。
【0034】
給気ダクト120は、缶体111の上部に形成された連通口111aに繋がる。給気ダクト120の天面は、筐体100の天面100aから突出する。給気ダクト120の天面には、給気口121が形成される。
【0035】
1次熱交換器130は、燃焼ユニット110の下方に配置される。1次熱交換器130は、貯留槽131と、複数本の熱交換パイプ132とを含む。貯留槽131内は、流体、たとえば、水で満たされる。複数本の熱交換パイプ132は、たとえば、ステンレス製であり、上下方向に延びて貯留槽131の内部を貫通する。各熱交換パイプ132の入口132aは、缶体111の底面に接続される。各熱交換パイプ132を、燃焼器112で発生した燃焼ガスが下向きに流れる。燃焼ガスと流体との間で熱交換が行われ、燃焼ガスから顕熱が回収される。燃焼ガスは冷却され、流体は顕熱によって加熱される。
【0036】
2次熱交換器140は、燃焼ユニット110および1次熱交換器130の側方に配置される。2次熱交換器140は、ケース210と、熱交換パイプ220とを含む。ケース210の内部には、排気路211が構成される。排気路211内を燃焼ガスが上向きに流れる。熱交換パイプ220は、ケース210内、即ち排気路211内に配置される。熱交換パイプ220内を流体が流れる。燃焼ガスと流体との間で熱交換が行われ、燃焼ガスから潜熱が回収される。燃焼ガスは冷却され、流体は潜熱によって加熱される。
【0037】
ケース210の天面に設けられた排気ダクト230が、筐体100の天面100aから突出する。ケース210の底面に、連結ダクト180が接続される。
【0038】
2次熱交換器140の詳細な構成は、追って説明される。
【0039】
排気集合筒150は、1次熱交換器130および2次熱交換器140の下方に配置される。1次熱交換器130が、排気集合筒150の一端側に接続される。また、2次熱交換器140と排気集合筒150の他端側とが、連結ダクト180により連結される。1次熱交換器130の熱交換パイプ132の出口132bから排気集合筒150内に、燃焼ガスが下向きに排出される。排気集合筒150は、燃焼ガスの流れを下向きから上向きに変える。燃焼ガスは、排気集合筒150から連結ダクト180内に上向きに排出される。
【0040】
排気集合筒150の詳細な構成は、追って説明される。
【0041】
中継タンク160は、燃焼ユニット110および1次熱交換器130に隣接して配置される。中継タンク160内には、ほぼ満杯の状態で流体が収容される。中継タンク160の内壁には、中継タンク160内の流体の水位を検出するための水位センサ161が設置される。中継タンク160の上部には、圧力調整弁162が設けられる。圧力調整弁162は、受け部163により覆われる。中継タンク160の上部と貯留槽131の上部とが、バイパス管191により接続される。
【0042】
リザーブタンク170は、中継タンク160に隣接して配置される。リザーブタンク170には、流体が貯留されており、筐体100の外に出て流体を補給するための配管が接続される。リザーブタンク170と圧力調整弁162とが管192により接続される。リザーブタンク170と受け部163の底部に設けられた連通口163aとが管193により接続される。リザーブタンク170内において、管193の端部は流体に浸されないが、管192の端部は流体に浸される。
【0043】
筐体100内には、1次熱交換器130、2次熱交換器140および中継タンク160を流体が流れるよう、4つの接続管194、195、196、197が設けられる。筐体100には、流入口101と流出口102が設けられる。流入口101と中継タンク160とが接続管194により接続され、中継タンク160と熱交換パイプ220とが接続管195により接続される。さらに、熱交換パイプ220と貯留槽131とが接続管196により接続され、貯留槽131と流出口102とが接続管197により接続される。接続管195には、ポンプ198が設けられる。
【0044】
燃焼式熱源機10が、後述するCO供給装置に用いられる場合、筐体100の流入口101および流出口102には、それぞれ、放熱機に備えられた放熱器から延びる戻り管および往き管が接続される。この場合、ポンプ198が動作すると、流体が1次熱交換器130および2次熱交換器140と放熱器との間を循環する。
【0045】
図2は、X-Z平面内で切断された2次熱交換器140と連結ダクト180の断面図である。図3は、Y-Z平面内で切断された2次熱交換器140と連結ダクト180の断面図である。図4は、ドレン貯留部250の斜視図である。
【0046】
図2ないし図4を参照して、2次熱交換器140は、ケース210と、6本の熱交換パイプ220と、排気ダクト230と、仕切板240と、ドレン貯留部250とを含む。これら構成部品は、何れも、金属材料、たとえば、ステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)により形成される。
【0047】
ケース210は、所定形状の上下方向に長い箱形状を有する。ケース210の内部には、排気路211が構成される。ケース210の天面部210aには、排気ダクト230に対応する形状に形成された接続口212が設けられる。また、ケース210の底面部210bには、連結ダクト180に対応する形状に形成された接続口213が設けられる。
【0048】
6本の熱交換パイプ220は、蛇腹状に折り畳まれた形状を有し、上側の端部が入口となり、下側の端部が出口となる。6本の熱交換パイプ220は、互い違いに高さ位置がずらされて、各パイプが近接するようにY軸方向に配列される。各熱交換パイプ220の入口は、流入口221aを有する流入管221に接続され、各熱交換パイプ220の出口は、流出口222aを有する流出管222に接続される。流入口221aが接続管195に接続され、流出口222aが接続管196に接続される。流入管221に流入した流体は、各熱交換パイプ220に分かれ、各熱交換パイプ220を流れた流体は、流出管222で合流する。
【0049】
排気ダクト230は、円筒形状を有する。排気ダクト230の下端部は、ケース210内に僅かに突出するように、接続口212に接続される。排気ダクト230の下端の開口は、下方を向き、排気路211から燃焼ガスを流出させるための、2次熱交換器140の流出口214となる。
【0050】
仕切板240は、正側および負側のY軸方向と負側のX軸方向との3方向から6本の熱交換パイプ220を囲う。これにより、6本の熱交換パイプ220の部分で、排気路211が狭くなり、6本の熱交換パイプ220の部分を燃焼ガスが通過しやすくなる。
【0051】
ドレン貯留部250は、排気路211における、6本の熱交換パイプ220の下方に設けられる。ドレン貯留部250は、長方形のトレイ状を有し、長方形状の底面部251と、底面部251の外周縁から立ち上がる、長方形の枠状の周面部252とを含む。
【0052】
ドレン貯留部250は、底面部251が排気路211全体を遮るとともに、底面部251における、正側X軸方向のケース210の側面部に寄った位置に、底面部251から上方に突出する筒状の開口部253を有する。開口部253は、Y軸方向に長いほぼ方形状を有する。開口部253の突出高さ、即ち周壁253aの高さは、周面部252の高さよりも低くされる。
【0053】
連結ダクト180は、断面が長円の筒形状を有する。連結ダクト180の上端部は、ケース210内に僅かに突出するように、接続口213に接続される。連結ダクト180の上端の開口は、上方を向き、排気路211に燃焼ガスを流入させるための、2次熱交換器140の流入口215となる。水平面内において、流入口215の位置は、ドレン貯留部250の開口部253の位置とずらされており、鉛直方向から見たときに、流入口215と開口部253は、僅かに重なる程度であり、ほぼ重ならない。流入口215は、上方を向き、ドレン貯留部250の底面部251の下面と対向する。
【0054】
連結ダクト180の下端部には、フランジ部181が設けられる。連結ダクト180の下端は、正側Y軸方向が低くなるように、斜めに切断されている。
【0055】
2次熱交換器140のケース210の底部は、流入口215を除く領域が、ドレン貯留部250から開口部253を介して溢れるドレン水を受ける溢水受け部260として機能する。連結ダクト180の上端部がケース210の底面部210bから突出することにより、溢水受け部260に溜まったドレン水が、流入口215に入りにくい。
【0056】
図5(a)は、排気集合筒150の分解斜視図であり、図5(b)は、筒本体部151の下部材152から吸音材154とカバー155が分離された状態を示す斜視図である。なお、図5(a)および(b)では、便宜上、吸音材154にハッチングが施されている。
【0057】
図5(a)および(b)を参照して、排気集合筒150は、燃焼ガスが流れるダクトである筒本体部151を備える。筒本体部151は、上面が開口する皿状の下部材152と、下部材152の上面を閉塞する板状の上部材153により形成される。下部材152と上部材153は、金属材料、たとえば、ステンレス鋼により形成され、ネジ等により結合される。
【0058】
上部材153には、1次熱交換器130が接続される入口部153aと、連結ダクト180が接続される出口部153bとが形成される。連結ダクト180の下端部が出口部153bに挿入され、筒本体部151内に突出する。連結ダクト180のフランジ部181が出口部153bの周辺部に当接する。
【0059】
下部材152には、内底壁面152aと内周壁面152bに、これら内壁面を覆うように、ロックウール等の材料からなる吸音材154が装着される。吸音材154は、皿状のカバー155により上方から覆われる。カバー155は、金属材料、たとえば、ステンレス鋼により形成される。
【0060】
次に、本実施の形態に係る燃焼式熱源機10の動作について説明する。
【0061】
燃焼式熱源機10がCO供給装置に用いられるなど、循環する流体が1次熱交換器130および2次熱交換器140を流れる場合、燃焼式熱源機10の使用を開始するにあたり、流体が1次熱交換器130、2次熱交換器140、中継タンク160、4つの接続管194~197に満たされる。このとき、1次熱交換器130等の内部に残っている空気は、貯留槽131に設けられている微小な孔131aから排出されてバイパス管191を通り、中継タンク160へと流れる。中継タンク160は、大気圧に開放された状態であり、中継タンク160へと流れてきた空気は、中継タンク160から外部へ排出される。こうして、1次熱交換器130等の内部の空気が除去されるため、流体が円滑に循環できる。
【0062】
また、流体は、中継タンク160から管193を通じてリザーブタンク170へ流れ込む。これにより、リザーブタンク170にも流体が貯留される。
【0063】
燃焼式熱源機10の運転が開始されると、ポンプ198が動作する。流入口101から接続管194に流入した流体が、中継タンク160、接続管195、各熱交換パイプ220、接続管196、貯留槽131および接続管197を流れ、流出口102から流出する。
【0064】
また、燃焼ファン113、供給ポンプ115、気化ヒータ116およびイグナイタ117が動作する。外部の空気が、給気口121を通じて給気ダクト120内に取り込まれ、燃焼器112に供給される。燃料タンクから供給管114を通じて燃焼器112に燃料が供給され、供給された燃料が気化ヒータ116により気化される。イグナイタ117による点火が行われ、燃焼器112が着火して燃焼する。このようにして、燃焼器112でCOを含む高温の燃焼ガスが発生する。
【0065】
燃焼ガスは、缶体111内を下向きに流れて1次熱交換器130へ流入し、各熱交換パイプ132を下向きに流れる。熱交換パイプ132を流れる燃焼ガスと貯留槽131を流れる流体との間で熱交換が行われ、燃焼ガスが冷却されて、流体が加熱される。
【0066】
燃焼ガスは、排気集合筒150に流れ込み、下向きの流れを上向きに変えられて、連結ダクト180に排出される。燃焼ガスが排気集合筒150を流れる際、流れにより生じる音が吸音材154により吸収される。燃焼ガスは、連結ダクト180内を上向きに流れて2次熱交換器140の排気路211内に流れ込む。
【0067】
燃焼ガスは、6本の熱交換パイプ220に接触しつつ、排気路211内を上向きに流れる。燃焼ガスと熱交換パイプ220を流れる流体との間で熱交換が行われて、燃焼ガスが冷却され、流体が加熱される。
【0068】
ここで、排気路211内において、6本の熱交換パイプ220は、互い違いに高さ位置がずらされつつ、互いに近接している。このため、図3の矢印に示すように、燃焼ガスは、6本の熱交換パイプ220の間を縫うように蛇行しながら流れる。これにより、燃焼ガスが各熱交換パイプ220に接触しやすくなるため、熱交換効率が高まる。
【0069】
燃焼ガスは、排気路211から流出し、排気ダクト230内を流れて排気口231から外部に排出される。
【0070】
さて、2次熱交換器140では、熱交換パイプ220での熱交換により、燃焼ガスから潜熱が回収される。この潜熱回収時には、燃焼ガスに含まれる水分が熱交換パイプ220の外面で凝縮し、ドレン水が発生する。ドレン水は、熱交換パイプ220を伝って下方へ流れる。図2の実線矢印に示すように、ドレン水は、熱交換パイプ220の下端部から滴下し、ドレン貯留部250の底面部251で受けられてドレン貯留部250内に溜まる。底面部251には、ドレン水を積極的に排出させる排出口が形成されておらず、ドレン水は底面部251から排出されない。
【0071】
2次熱交換器140の流入口215は、上方を向き、ドレン貯留部250の底面部251の下面と対向している。このため、図2の破線矢印に示すように、流入口215から上方へ吹き出した燃焼ガスは、底面部251の下面に衝突し、その流れを変えて、ドレン貯留部250の開口部253へと向かう。そして、燃焼ガスは、開口部253を通って上方に流れる。流入口215から流入した燃焼ガスは、1次熱交換器130で冷却されるものの、たとえば、200℃程度と、未だ高温である。よって、ドレン貯留部250の底面部251は、高温の燃焼ガスの接触により積極的に加熱され、ドレン貯留部250内に溜められたドレン水が蒸発する。特に、燃焼ガスは、下方からの吹き付けにより、底面部251に強く接触する。このため、底面部251の加熱効果が高くなり、ドレン水の蒸発が促進される。
【0072】
燃焼ガスに含まれた水分の量が多く、ドレン水が多く発生した場合は、ドレン貯留部250内のドレン水の水位が開口部253の周壁253aの高さを超え、開口部253を介してドレン水が溢れ出すことがあり得る。この場合、図2の一点鎖線矢印に示すように、溢れ出したドレン水は、ケース210の底部の溢水受け部260で受けられる。なお、開口部253は、鉛直方向に流入口215とほぼ重なっていないので、溢れたドレン水は、直接、流入口215へは入りにくい。溢水受け部260に溜まったドレン水は、ケース210の底部を通る燃焼ガスの熱により蒸発する。
【0073】
溢水受け部260に溜まったドレン水が流入口215から溢れるなど、2次熱交換器140からドレン水が漏れた場合、ドレン水が連結ダクト180を通じて排気集合筒150、即ち筒本体部151内に侵入し得る。侵入したドレン水は、カバー155の底部に溜まり、吸音材154へのドレン水の接触が防止される。カバー155に溜まったドレン水は、筒本体部151内を通る燃焼ガスで加熱されることにより蒸発する。なお、連結ダクト180の下端が斜めに切断されているため、ドレン水がカバー155内に滴下しやすい。
【0074】
なお、燃焼式熱源機10の運転中、1次熱交換器130において、流体の温度上昇により貯留槽131内の内圧が上昇すると、圧力が中継タンク160に逃げ、中継タンク160の内圧が上昇する。圧力調整弁162の加圧弁が開き、中継タンク160から溢れた流体がリザーブタンク170に移動する。一方、流体の温度低下により貯留槽131内の内圧が低下すると、中継タンク160の内圧が低下する。圧力調整弁162の負圧弁が開き、リザーブタンク170内の流体が中継タンク160に移動する。これにより、貯留槽131および中継タンク160を含む循環路内の内圧が調整される。また、高温環境下で燃焼式熱源機10の使用され続けることにより、中継タンク160内の流体が蒸発すると、圧力調整弁162の負圧弁が開き、リザーブタンク170の流体が中継タンク160内に補充される。
【0075】
このようにして、燃焼式熱源機10が運転されることにより、機内に供給された流体が、2次熱交換器140で回収された潜熱と1次熱交換器130で回収された顕熱により加熱され、温度が上げられて機外に排出される。また、燃焼器112の燃焼により発生した燃焼ガスが、1次熱交換器130での一次冷却と2次熱交換器140での2次冷却により温度を下げられて、機外に排出される。
【0076】
<CO供給システムおよびCO供給装置の構成>
次に、本実施の形態に係るCO供給システム1およびCO供給装置2について説明する。
【0077】
燃焼式熱源機10は、CO供給装置2に用いることができる。CO供給装置2が、ダクトユニット3および放熱機4と組み合わされ、CO供給システム1が構成される。
【0078】
図6は、CO供給システム1が設置された栽培室5を模式的に示す図である。
【0079】
CO供給システム1は、温室、ビニールハウス等の栽培室5に設置され、栽培室5内で育成される農作物等の植物にCO(二酸化炭素)を供給し、植物の光合成を促進させる。CO供給システム1は、燃焼式のCO供給装置2と、ダクトユニット3と、空冷式の放熱機4とを備える。CO供給装置2は栽培室5内に設置され、放熱機4は栽培室5の外、即ち屋外に設置される。ダクトユニット3は、植物の近くへと延びる供給ダクト310を有し、この供給ダクト310により、植物の近くにCOが導かれる。
【0080】
なお、図1の例では、栽培室5は、植物が栽培される部屋とCO供給装置2が設置される部屋とに区切られていない。しかしながら、栽培室5は、上記2つの部屋に区切られていてもよい。この場合、CO供給装置2が設置された部屋から植物が栽培される部屋へ供給ダクト310が延びる。
【0081】
図7は、CO供給システム1の構成を示す概略図である。
【0082】
上述の通り、CO供給システム1は、CO供給装置2と、ダクトユニット3と、放熱機4とを備える。
【0083】
CO供給装置2は、燃焼式熱源機10と、ダクトフード20と、据付台30とを備える。燃焼式熱源機10は、据付台30に据え付けられる。また、燃焼式熱源機10の天面に、ダクトフード20が配置される。
【0084】
ダクトフード20は、箱型形状であり、給気口121と排気口231とを覆う。ダクトフード20の側壁のうち、給気口121に近い側壁に孔21が形成され、排気口231に近い側壁に孔22が形成される。ダクトフード20には、内部を給気口121側の領域と排気口231側の領域とに仕切る仕切板23が設けられる。仕切板23は、給気ダクト120の上端部を挟んで孔21と対向する側壁と、給気口121と対向する天壁とで構成され、ほぼ逆L字形を有する。ダクトフード20の天面には、排気口231の上方に位置するように、排気口24が形成される。
【0085】
ダクトユニット3は、供給ダクト310と、供給ファン320とを含む。供給ダクト310は、ダクトフード20の排気口24に接続される。供給ダクト310には、栽培室5内の植物に対応する位置に複数の放出口311が形成される。供給ファン320は、供給ダクト310の途中に配置される。供給ファン320は、ファン321と、ファン321を回転させるモータ322とを含む。
【0086】
放熱機4は、筐体400内に、第1放熱器410と、第2放熱器420と、第1放熱器410および第2放熱器420を冷却するための冷却ファン430と、第1放熱器410と第2放熱器420とを繋ぐ接続管440と、を備える。第1放熱器410と第2放熱器420は、冷却ファン430の正面に並ぶ。冷却ファン430は、ケーシング431と、ケーシング431内に配置されるファン432と、ファン432を回転させるモータ433とを含む。
【0087】
第1放熱器410の入口から延びる往き管451が、燃焼式熱源機10の流出口102に接続される。第2放熱器420の出口から延びる戻り管452が、燃焼式熱源機10の流入口101に接続される。
【0088】
次に、CO供給システム1によるCO供給運転について説明する。
【0089】
CO供給運転が開始されると、燃焼式熱源機10、ダクトユニット3および放熱機4が動作する。
【0090】
燃焼式熱源機10では、燃焼器112の燃焼により発生した燃焼ガスが、1次熱交換器130での一次冷却と2次熱交換器140での2次冷却により温度を下げられて、ダクトフード20内に排出される。たとえば、燃焼ガスの温度は、1次冷却により200℃程度に低下し、2次冷却により80℃程度に低下する。
【0091】
ダクトフード20内へ排出された燃焼ガスは、供給ダクト310に流入する前に、さらに冷却される。具体的には、燃焼ガスは、孔22を通じてダクトフード20内に取り込まれた空気と混ざり合うことで、温度がさらに低下する。この3次冷却により、燃焼ガスの温度は、たとえば、60℃程度となる。
【0092】
燃焼ガスは、ダクトフード20の排気口24から供給ダクト310に流入し、放出口311から植物の周囲に放出される。これにより、燃焼ガスに含まれるCOが植物に供給される。このとき、ダクトユニット3では、供給ファン320が動作しているため、ダクトフード20内に排出された燃焼ガスが供給ダクト310内に取り込まれやすくなり、放出口311から放出されやすくなる。
【0093】
燃焼式熱源機10では、放熱機4から送られてきた流体、たとえば、水や不凍液が、2次熱交換器140で回収された潜熱と1次熱交換器130で回収された顕熱とにより加熱され、温度が上げられて、放熱機4へ戻される。
【0094】
放熱機4では、燃焼式熱源機10から流出し、往き管451を流れてきた流体が、第1放熱器410と第2放熱器420とを順に流れる。冷却ファン430が動作し、冷却風が第1放熱器410および第2放熱器420に送られる。冷却風は、第2放熱器420、第1放熱器410の順に、これら放熱器を通り抜け、外部へ放出される。第1放熱器410および第2放熱器420を流れる流体と冷却風との間で熱交換が行われ、流体が冷却される。冷却された流体は、戻り管452を通って燃焼式熱源機10へと戻る。
【0095】
このように、CO供給システム1では、栽培室5内の植物にCOが供給されることにより、植物の成育が促進される。また、COが含まれる燃焼ガスが低温(60℃程度)であるため、栽培室5内が高温状態になりにくく、植物や作業者へ悪い影響が及びにくい。
【0096】
なお、栽培室5には、複数の畝が設けられ、各畝に植物が植えられ得る。よって、各畝の植物にCOが行き渡るよう、ダクトユニット3において、供給ダクト310は、複数のダクトに分岐し、分岐したダクトが各畝に配置されるとよい。この場合、供給ファン320は、供給ダクト310における分岐位置よりも上流側(ダクトフード20側)に設けられ、分岐した各ダクトに放出口311が形成される。
【0097】
<実施の形態の効果>
本実施の形態に係る燃焼式熱源機10およびCO供給装置2によれば、以下の効果が奏され得る。
【0098】
2次熱交換器140が、排気路211の熱交換パイプ220の下方に設けられ、潜熱回収時に発生し熱交換パイプ220から落ちるドレン水を、その底面部251で受けて、当該底面部251から排出させることなく溜めるドレン貯留部250と、排気路211に燃焼ガスを流入させる流入口215と、を含み、ドレン貯留部250は、底面部251の下面が、流入口215から排気路211に流入した燃焼ガスに接触して加熱される。これにより、ドレン貯留部250内に溜められたドレン水を、燃焼ガスの熱を利用して、効果的に蒸発させることができるので、ドレン貯留部250からの機外への排水経路と、その途中に設けられる中和器とが不要となる。よって、燃焼式熱源機10(CO供給装置2)の設置場所に、ドレン水を廃棄するための外部配管が不要であり、また、燃焼式熱源機10をコンパクトにできる。
【0099】
また、2次熱交換器140には、流入口215が、ドレン貯留部250の底面部251の下面と対向するように設けられている。これにより、燃焼ガスが、下方から吹き付けられて底面部251に強く接触するため、底面部251の加熱効果が高くなり、ドレン水の蒸発が促進される。
【0100】
さらに、ドレン貯留部250は、底面部251が排気路211全体を遮る、即ち排気路211の断面全体を占めるとともに、底面部251から上方に突出する筒状の開口部253を有し、開口部253を燃焼ガスが上向きに通過する構成とされている。これにより、底面部251の面積を広くできるので、ドレン水が、底面部251で拡がりやすくなり、蒸発しやすくなる。
【0101】
さらに、2次熱交換器140には、排気路211のドレン貯留部250の下方に、溢水受け部260が設けられる。これにより、ドレン貯留部250から開口部253を介して溢れたドレン水を、溢水受け部260で受けて、排気路211を通る燃焼ガスの熱により蒸発させることができる。
【0102】
さらに、2次熱交換器140では、水平面内において、流入口215の位置がドレン貯留部250の開口部253の位置とずらされている。これにより、開口部253を介して溢れたドレン水が、直接、流入口215に入りにくい。
【0103】
さらに、1次熱交換器130および2次熱交換器140の下方に、これら熱交換器に繋がり、燃焼ガスの流れを下向きから上向きに変える排気集合筒150が配置され、排気集合筒150が、筒本体部151と、筒本体部151の内壁面に装着される吸音材154と、吸音材154を覆い、2次熱交換器140から漏れて筒本体部151内に侵入したドレン水が吸音材154に接触するのを防止するカバー155と、を含む。これにより、ドレン水が筒本体部151内に侵入しても、吸音材154がドレイ水で濡らされてしまうことを防止できる。
【0104】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0105】
たとえば、上記実施の形態では、2次熱交換器140に、6本の熱交換パイプ220が配置された。しかしながら、熱交換パイプ220の個数は、何本であってもよい。また、複数の熱交換パイプ220が配置される場合に、互い違いに高さ位置が異なるように並べられなくてもよい。
【0106】
また、上記実施の形態では、ドレン貯留部250は、底面部251が排気路211全体を遮るとともに、底面部251から上方に突出する筒状の開口部253を有し、開口部253を燃焼ガスが上向きに通過する構成とされた。しかしながら、ドレン貯留部250は、底面部251が排気路211の一部を遮らず、開口部253を有さない構成とされてもよい。この場合、排気路211における、底面部251により遮られない部分を、燃焼ガスが上向きに流れる。
【0107】
さらに、上記実施の形態では、2次熱交換器140に、流入口215が、ドレン貯留部250の底面部251の下面と対向するように設けられた。しかしながら、流入口215が底面部251の下面と対向しない構成が採られてもよい。
【0108】
さらに、上記実施の形態では、燃焼式熱源機10が、燃焼ユニット110と1次熱交換器130の側方に2次熱交換器140が配置され、燃焼ユニット110と1次熱交換器130を下方に流れた燃焼ガスが、排気集合筒150で向きを変えられて、2次熱交換器140を上方に流れるような構成、即ち、いわゆる、逆燃焼式熱源機とされた。しかしながら、燃焼式熱源機10が、下から上に向かって順に、燃焼ユニット、1次熱交換器および2次熱交換器が配置され、燃焼ガスが燃焼ユニット、1次熱交換器および2次熱交換器を上方に流れる構成とされてもよい。
【0109】
さらに、上記実施の形態では、燃焼器112の燃料が灯油等の液体燃料であったが、プロパンガスなどの気体燃料であってもよい。
【0110】
さらに、上記実施の形態では、CO供給装置2が、ダクトフード20において、燃焼ガスが、孔22から取り込まれた空気と混合され、冷却されるような構成とされた。しかしながら、1次熱交換器130および2次熱交換器140による冷却能力が、上記実施の形態より高くされることにより、ダクトフード20内に排出される燃焼ガスの温度が十分に低下する場合には、CO供給装置2が、ダクトフード20に孔22が設けられず、燃焼ガスに空気が混合されないような構成とされてもよい。
【0111】
さらに、上記実施の形態では、燃焼式熱源機10が、CO供給装置2に適用された。しかしながら、燃焼式熱源機10を、栽培室5内の暖房を行う暖房機に適用することもできる。この場合、植物の近傍を通るように栽培室5内を循環する配管の一端および他端が、燃焼式熱源機10の流入口101および流出口102に接続される。燃焼式熱源機10により加熱され、配管を流れる流体によって、栽培室5内の植物の周囲が暖められる。
【0112】
さらに、燃焼式熱源機10を、給湯装置に適用することもできる。この場合、たとえば、水道栓から延びる流入管が流入口101に接続され、カランから延びる流出管が流出口102に接続される。燃焼式熱源機10により生成された湯がカランへ供給される。燃焼式熱源機10には、ポンプ198が設けられず、中継タンク160とリザーブタンク170も設けられない。
【0113】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 CO供給システム
2 CO供給装置
3 ダクトユニット
4 放熱機
5 栽培室
10 燃焼式熱源機
112 燃焼器
130 1次熱交換器
140 2次熱交換器
150 排気集合筒(ダクト)
151 筒本体部(ダクト本体部)
154 吸音材
155 カバー
210 ケース
211 排気路
215 流入口
220 熱交換パイプ(パイプ)
250 ドレン貯留部(貯留部)
251 底面部
253 開口部
260 溢水受け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7