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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】樹脂ボトルの搬送処理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/86 20060101AFI20240724BHJP
   B67C 3/24 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
B65G47/86 B
B67C3/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020186469
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076175
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】西出 泰土
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-29225(JP,A)
【文献】特開2016-30643(JP,A)
【文献】特開2006-199309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 - 47/96
B67C 3/00 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ部の下方にカブラ部と円筒部とフランジが順に形成される首部を有する樹脂ボトルのフランジの下面側を支持して回転搬送する上流側機器と、
前記上流側機器から前記樹脂ボトルを受け取り、首部を把持して吊り下げた状態で回転搬送する中間ホイールと、
前記中間ホイールから受け取った樹脂ボトルを、前記フランジの下面側を支持して回転搬送する下流側機器と、を備え、
前記中間ホイールが、揺動する一対のグリッパ部材によって樹脂ボトルの首部を把持するグリッパを円周方向に複数有する樹脂ボトルの搬送処理システムにおいて、
前記中間ホイールのグリッパは、
前記各グリッパ部材に設けられ、第1の樹脂ボトルを把持する際と、当該第1の樹脂ボトルの首部よりも大径の首部を有する第2の樹脂ボトルを把持する際に、各樹脂ボトルの首部に当接する共通当接部と、
前記第1の樹脂ボトルを把持する際には当該第1の樹脂ボトルの首部から離間しており、前記第2の樹脂ボトルを把持する際には当該第2の樹脂ボトルの首部に当接する大径ボトル当接部と、を備えており、
前記共通当接部は、前記第1の樹脂ボトルを把持する際には当該第1の樹脂ボトルの首部のうちのカブラ部の下面とフランジの上面に当接し、前記第2の樹脂ボトルを把持する際には当該第2の樹脂ボトルの首部のうちのカブラ部の下面に当接しつつ、フランジの上面からは離間する形状を有しており、
前記大径ボトル当接部は、前記第2の樹脂ボトルを把持する際に当該第2の樹脂ボトルの首部のうちの少なくともフランジの上面に当接する形状を有する
ことを特徴とする樹脂ボトルの搬送処理システム。
【請求項2】
前記大径ボトル当接部は、前記第2の樹脂ボトルを把持する際に当該第2の樹脂ボトルの首部のうちのカブラ部の下面とフランジの上面に当接する形状を有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂ボトルの搬送処理システム。
【請求項3】
前記大径ボトル当接部は、前記各グリッパ部材のうちの前記共通当接部が設けられる箇所よりも前記中間ホイールの内部側に位置する箇所に設けられることを特徴とする請求項1に記載の樹脂ボトルの搬送処理システム。
【請求項4】
前記大径ボトル当接部は、前記一対のグリッパ部材の間に配置される当接部材に設けられ、前記各グリッパ部材のうちの前記共通当接部よりも前記中間ホイールの内部側に位置することを特徴とする請求項1に記載の樹脂ボトルの搬送処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂ボトルの首部のフランジ(サポートリング)を中心にグリッパで首部を把持して樹脂ボトルを搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ボトルのフランジの上面側と下面側をグリッパで交互に把持しながら樹脂ボトルを搬送するシステムが知られている(特許文献1参照)。例えば、特許文献1のシステムでは、フィラとキャッパは、樹脂ボトルのフランジの下面側を把持して樹脂ボトルを回転搬送しつつ充填やキャッピングを行う。フィラとキャッパの間において樹脂ボトルの受け渡しを行う中間ホイールは、フランジの上面側を把持して樹脂ボトルを回転搬送する。中間ホイールによる樹脂ボトルの搬送時に樹脂ボトルの姿勢が乱れると樹脂ボトル内の充填液がこぼれるので、その姿勢を直立状態に安定させることが必要である。そのため、特許文献1では、グリッパ23、24の上方にガイド70を設けており、ガイド70の先端の傾斜面72によって樹脂ボトルのカブラ部Kの上面を覆うことで、カブラ部Kの上面を規制し、搬送中の樹脂ボトルの姿勢を安定させている。また、特許文献1のシステムでは、カブラ部とフランジとの間の円筒部の軸方向長さが異なる樹脂ボトルを扱うために、中間ホイールのグリッパの高さを変更可能とした構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6350075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の中間ホイールのグリッパによって、首部の口径やカブラ部の形状が異なる容器を兼用しようとした場合に、共通の形状を有するガイド70によってカブラ部Kの上面を規制することが困難な場合がある。
【0005】
本発明は、口径などの寸法やカブラ部の形状が異なる首部を有する樹脂ボトルに対して安定した搬送が可能な搬送処理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である樹脂ボトルの搬送処理システムは、ねじ部の下方にカブラ部と円筒部とフランジが順に形成される首部を有する樹脂ボトルのフランジの下面側を支持して回転搬送する上流側機器と、前記上流側機器から前記樹脂ボトルを受け取り、首部を把持して吊り下げた状態で回転搬送する中間ホイールと、前記中間ホイールから受け取った樹脂ボトルを、前記フランジの下面側を支持して回転搬送する下流側機器と、を備え、前記中間ホイールが、揺動する一対のグリッパ部材によって樹脂ボトルの首部を把持するグリッパを円周方向に複数有する樹脂ボトルの搬送処理システムにおいて、前記中間ホイールのグリッパは、前記各グリッパ部材に設けられ、第1の樹脂ボトルを把持する際と、当該第1の樹脂ボトルの首部よりも大径の首部を有する第2の樹脂ボトルを把持する際に、各樹脂ボトルの首部に当接する共通当接部と、前記第1の樹脂ボトルを把持する際には当該第1の樹脂ボトルの首部から離間しており、前記第2の樹脂ボトルを把持する際には当該第2の樹脂ボトルの首部に当接する大径ボトル当接部と、を備えており、前記共通当接部は、前記第1の樹脂ボトルを把持する際には当該第1の樹脂ボトルの首部のうちのカブラ部の下面とフランジの上面に当接し、前記第2の樹脂ボトルを把持する際には当該第2の樹脂ボトルの首部のうちのカブラ部の下面に当接しつつ、フランジの上面からは離間する形状を有しており、前記大径ボトル当接部は、前記第2の樹脂ボトルを把持する際に当該第2の樹脂ボトルの首部のうちの少なくともフランジの上面に当接する形状を有する
ことを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である樹脂ボトルの搬送処理システムは、第1の発明において、前記大径ボトル当接部は、前記第2の樹脂ボトルを把持する際に当該第2の樹脂ボトルの首部のうちのカブラ部の下面とフランジの上面に当接する形状を有することを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である樹脂ボトルの搬送処理システムは、第1の発明において、前記大径ボトル当接部は、前記各グリッパ部材のうちの前記共通当接部が設けられる箇所よりも前記中間ホイールの内部側に位置する箇所に設けられることを特徴としている。
【0009】
本発明の第4の発明である樹脂ボトルの搬送処理システムは、第1の発明において、前記大径ボトル当接部が、前記一対のグリッパ部材の間に配置される当接部材に設けられ、前記各グリッパ部材のうちの前記共通当接部よりも前記中間ホイールのうちの内部側に位置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、口径などの寸法やカブラ部の形状が異なる首部を有する樹脂ボトルに対して安定した搬送が可能な搬送処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態である樹脂製ボトル搬送システムの全体的な配置を示す平面図である。
図2】中間ホイールの左側半分の縦断面図であり、フィラホイールまたはキャッパホイールのグリッパとの間でボトルを受け渡す状態が示される。
図3】第1実施形態のグリッパにより小径ボトルおよび大径のボトルが把持された状態を示すグリッパの拡大平面図である。
図4】第1実施形態のグリッパ部材と、グリッパに挟持された小径ボトルとの位置関係を示す模式的な一部縦断面図である。
図5】第1実施形態のグリッパ部材と、グリッパに挟持された大径ボトルとの位置関係を示す模式的な一部縦断面図である。
図6】第2実施形態のグリッパにより小径ボトルおよび大径のボトルが把持された状態を示すグリッパの拡大平面図である。
図7】第2実施形態のグリッパ部材と、グリッパに挟持された小径ボトルとの位置関係を示す模式的な一部縦断面図である。
図8】第2実施形態のグリッパ部材と、グリッパに挟持された大径ボトルとの位置関係を示す模式的な一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態である樹脂製ボトル搬送システムの全体的な配置を示す平面図である。
【0013】
第1実施形態の樹脂ボトルの搬送処理システム10は、ねじ部Vtの下方にカブラ部Vbと円筒部Vcとフランジ(サポートリング)Vfが順に形成される首部Vnを有する樹脂製ボトルV(樹脂ボトル)を搬送する(図2図4参照)。容器Vは供給コンベヤ12から1列で供給され。供給ホイール14を介してフィラホイール16へと受け渡される。フィラホイール16では、ボトルVを回転搬送する間に充填液が充填され、中間ホイール18を介してキャッパホイール20へと受け渡される。キャッパホイール20では、ボトルVを回転搬送するに間にキャップが装着され、キャッピングが完了したボトルVは、排出ホイール22を介して排出コンベヤ24から排出される。
【0014】
フィラホイール16、中間ホイール18、キャッパホイール20では、グリッパによるネック搬送が行われる。図2に示されるように、フィラホイール16およびキャッパホイール20のグリッパ17はフランジVfの下側を把持し、中間ホイール18のグリッパ30はフランジVf側のカブラ部Vbの下側を把持する。なお、図2は、中間ホイール18の左側半分の縦断面図であり、フィラホイール16またはキャッパホイール20のグリッパ17との間でボトルVを受け渡す状態が示される。
【0015】
中間ホイール18は、支持本体26に支持される円板状の回転ホイール28を備え、回転ホイール28は、図示しないサーボモータ等の駆動源により支持本体26を中心に回転される。回転ホイール28には、その周縁部に沿ってグリッパ30が一定間隔毎に設けられる。グリッパ30はボトルVの首部を挟持するために設けられ、後述するようにカムによって開閉駆動される。
【0016】
グリッパ30は、一対のグリッパ部材30Aから構成され、グリッパ部材30Aの基端部は、一対の回転軸32に取り付けられる。回転軸32は、回転ホイール28の周縁部に設けられ、各回転軸32には互いに噛み合うギヤ32Aが各々取り付けられる。これにより一対のグリッパ部材30Aは、各回転軸32の軸心周りに反対向きに回動してグリッパ30を開閉可能である。
【0017】
回転軸32の一方の下端にはアーム34の一端が固定される。アーム34の他端にはカムフォロア36が設けられる。カムフォロア36は、第1および第2カム38、40に係合可能であり、第1および第2カム38、40は、図示しない支持台に取付けられたエアシリンダ42、44よって進退駆動される。
【0018】
回転ホイール28に取り付けられたピン46の下端には、バネ48の一端が連結され、バネ48の他端は回転軸32の一方に一端が固定された連結部材(アーム)50の他端に連結される。バネ48は常時連結部材50を、カムフォロア36が回転ホイール28の中心側に近づく方向、すなわちカムフォロア36をカム面に押し付ける方向に付勢され、グリッパ部材30Aは、カムフォロア36の変位に応じて開閉する。すなわちグリッパ部材30Aは、カムフォロア36が第1または第2カム38、40の何れか一方に係合することにより開閉される。
【0019】
フィラ(上流側機器)およびキャッパ(下流側機器)においても同様に、フィラホイール16、キャッパホイール20の周縁部に沿ってグリッパ17が一定間隔毎に設けられる。グリッパ17は従来公知のように、例えばカム機構や板バネ等の弾性力によって容器を挟持するように構成されている。
【0020】
第1および第2カム38、40は回転ホイール28の下方であってフィラホイール16およびキャッパホイール20に近接した部分、すなわちボトルVの受取位置P1および受渡位置P2付近に設けられる。第1および第2カム38、40の外周面は共に、回転ホイール28の軸心を中心とする円弧を若干変形させた形状を呈する。
【0021】
搬送経路に沿ってフィラホイール16側(受取位置P1側)の第1および第2カム38、40の近傍からキャッパホイール20側(受渡位置P2側)の第1および第2カム38、40の近傍までの間には第1固定カム52が設けられる。第1固定カム52は回転ホイール28の軸心を中心とする円弧状の板部材であり、カムフォロア36が第1固定カム52と係合するとき、カムフォロア36は相対的に径方向内側に変位し、グリッパ30は閉じた状態に維持される。
【0022】
一方、搬送経路に沿ってキャッパホイール20側(受渡位置P2側)の第1および第2カム38、40の近傍からフィラホイール16側(受取位置P1側)の第1および第2カム38、40の近傍まで間には第2固定カム(不図示)が設けられる。第2固定カムも回転ホイール28の軸心を中心とする円弧状の板部材であり、その外径は第1固定カム52よりも大きく、カムフォロア36が第2固定カムと係合するとき、カムフォロア36は相対的に径方向外側に変位し、グリッパ30は開かれた状態に維持される。
【0023】
第1および第2カム38、40は選択的に前進してカムフォロア36に係合可能な位置に定められる。第1カム38は相対的に口径の小さい首部を有する小径ボトル(第1のボトル)V1を搬送するときに用いられ、第2カム40は相対的に口径の大きい首部を有する大径ボトル(第2のボトル)V2を搬送するときに用いられる。すなわち、小径ボトルV1の搬送を行うときには、第1カム38が前進位置に配置されるとともに第2カム40は後退位置に配置され、大径ボトルV2の搬送を行うときには、第1カム38が後退位置に配置されるとともに第2カム40が前進位置に配置される。
【0024】
第1カム38または第2カム40が前進位置にあるとき、前進されたカム(38、40)の外周面は、第1固定カム52および第2固定カムの外周面に滑らかに接続する。第2固定カムの外径が第1固定カム52の外径よりも大きいことから、前進位置にある受取位置P1側の第1カム38、第2カム40の上流端の外径は、第2固定カムと同じ外径を有し、下流側に向けて滑らかに第1固定カム52の外径よりも僅かに凹み、その後、下流端において第1固定カム52の外径と等しくなる。この曲面に沿ってカムフォロア36が移動することにより、グリッパ30は、小径ボトルV1または大径ボトルV2に合わせたタイミングで閉じられる。
【0025】
一方、前進位置にある受渡位置P2側の第1カム38、第2カム40の上流端の外径は、第1固定カム52と同じ外径を有し、下流側に向けて滑らかに第2固定カムの外径よりも僅かに膨らみ、その後、下流端において第2固定カムの外径と等しくなる。この曲面に沿ってカムフォロア36が移動することにより、グリッパ30は、小径ボトルV1または大径ボトルV2に合わせたタイミングで開放される。
【0026】
また、フィラやキャッパのグリッパ17は、小径ボトルV1、大径ボトルV2のフランジVfの下面に係合してボトルV1、V2を保持するため、フランジVfの下面高さがフィラやキャッパでの搬送基準となる。一方、中間ホイール18のグリッパ30は、ボトルV1、V2のカブラ部Vbの下側外周部と係合してボトルV1、V2を保持する。小径ボトルV1と大径ボトルV2では、口径のみならずフランジVfとカブラ部Vbの間の円筒部Vcの長さも異なる。そのため小径ボトルV1、大径ボトルV2の何れを搬送するかにより、グリッパ17とグリッパ30の相対的な高さを調整する必要がある。
【0027】
一般的に、円筒部Vcの長さは、大径ボトルV2の方が大きいため、大径ボトルV2を搬送する場合には、中間ホイール18のグリッパ30のグリッパ17に対する相対的な高さを、小径ボトルV1を搬送する場合よりも高くする必要がある。本実施形態では、中間ホイール18の回転ホイール28の高さを、搬送されるボトルの種類に応じて調整することにより、円筒部Vcの長さの違いに対応する。すなわち、グリッパ30や回転軸32、カムフォロア36などは、例えば、特許第6350075号公報に記載されるような公知の昇降機構によって、円筒部Vcの長さに対応して回転ホイール28と一体的に昇降され、これによりグリッパ17に対するグリッパ30の高さが調整される。
【0028】
図3は、第1実施形態のグリッパ30により小径のボトルV1および大径のボトルV2が把持された状態を示すグリッパ30の拡大平面図であり、上半分に小径のボトルV1の首部が把持された状態が示され、下半分に大径のボトルV2の首部が把持された状態が示される。
【0029】
図3に示されるように、グリッパ部材30Aの基端部はそれぞれ回転軸32に取り付けられ、回転軸32は、一対のギヤ32Aの噛み合いにより互いに反対向きに同じ角度だけ回転される。一対のグリッパ部材30Aは、左右対称に形成され、その先端部内側には、互いに対面するようにボトルV(V1またはV2)の首部Vnを把持するための凹部54が設けられる。
【0030】
凹部54の形状は、小径ボトルV1および大径ボトルV2がグリッパ部材30Aにより挟持されるとき、各々の首部の中心が凹部54内において略同じ位置Cに位置するように形成される。各凹部54は、小径ボトルV1とは先端側の2ヶ所(共通当接部)Q1、Q2で係合し、大径ボトルVとは共通当接部Q1、Qに基端側の1ヶ所(大径ボトル当接部)Q3を加えた3ケ所で係合する。すなわち、一対のグリッパ部材30Aは、小径ボトルV1を4ヶ所(4当接部)で保持し、大径ボトルV2を6ヶ所(6当接部)で保持する。
【0031】
ここで、共通当接部Q1は、中心位置Cよりも先端側に位置し、共通当接部Q2は、中心位置Cよりも僅かに基端側に位置する。すなわち、中心位置Cは、4つの共通当接部Q1-Q2-Q2-Q1を結ぶ四辺形の内側に位置し、グリッパ30が閉じられるとき、小径ボトルV1は、これら4点のみにより安定的に保持される。一方、大径ボトル当接部Q3は、凹部54の最も基端側に位置し、上述したように、グリッパ30が閉じられるとき、大径ボトルV2は、共通当接部Q1、Q2の4点に大径ボトル当接部Q3を加えた、6点によって安定的に保持される。
【0032】
図4図5は、グリッパ部材30Aと、グリッパ30に挟持された小径ボトルV1との位置関係、およびグリッパ部材30Aと、グリッパ30に挟持された大径ボトルV2との位置関係をそれぞれ示す模式的な一部縦断面図である。図4図5には、小径ボトルV1、大径ボトルV2の首部Vnの側面と、共通当接部Q1、Q2、大径ボトル当接部Q3における断面が模式的に描かれる。
【0033】
図4に示されるように、共通当接部Q1、Q2におけるグリッパ部材30Aの厚さは、小径ボトルV1における円筒部Vcの長さに略等しい。すなわち、小径ボトルV1がグリッパ30により挟持されるとき、共通当接部Q1、Q2のグリッパ部材30Aは、フランジVfの上面とカブラ部Vbの下面の間にぴったりと嵌合し、グリッパ30に挟持された小径ボトルV1の軸が振れることが防止される。これにより、フィラにおいて内容物が充填された小径ボトルV1であっても安定した状態で搬送が可能である。
【0034】
図5に示されるように、大径ボトルV2の円筒部Vcの長さは、小径ボトルV1の円筒部Vcの長さよりも長いため、共通当接部Q1、Q2におけるグリッパ部材30Aの厚さは、大径ボトルV2における円筒部Vcの長さよりも短い。そのため、グリッパ30が大径ボトルV2を挟持するとき、共通当接部Q1、Q2のグリッパ部材30Aは、カブラ部Vbの下面のみに係合し、フランジVfからは離間している。そのため、共通当接部Q1、Q2は、カブラ部Vbに係合して大径ボトルV2を吊架するものの、大径ボトルV2の軸の振れを防止することはできない。
【0035】
一方、グリッパ30で大径ボトルV2を挟持する場合、図5に示されるように、大径ボトル当接部Q3が首部Vnと係合する。大径ボトル当接部Q3におけるグリッパ部材30Aの厚さは、例えば大径ボトルV2における円筒部Vcの長さに略等しい。すなわち、大径ボトルV2がグリッパ30により挟持されるとき、大径ボトル当接部Q3のグリッパ部材30Aは、大径ボトルV2のフランジVfの上面とカブラ部Vbの下面の間にぴったりと嵌合する。これにより、グリッパ30に挟持された大径ボトルV2の軸が振れることが防止され、フィラにおいて内容物が充填された大径ボトルV2であっても安定した状態で搬送が可能である。
【0036】
以上のように、第1実施形態のグリッパを用いた搬送処理システムによれば、口径などの寸法が異なる首部を有する樹脂ボトルに対して安定した搬送が可能となる。なお、大径ボトル当接部を用いてボトルを把持する場合、当接部の数が多いので、大径ボトル当接部はカブラ部Vbの下面にのみ当接する構成としても安定した搬送が可能である。
【0037】
次に図6図8を参照して、第2実施形態の中間ホイールのグリッパの構成について説明する。なお、図6図7図8は、第1実施形態の図3図4図5に対応する。なお、第1実施形態と異なるのは、中間ホイールのグリッパの大径ボトル当接部の構成のみであり、その他の構成は第1実施形態と同様である。同様の構成に関しては同一参照符号を用い、その説明も省略する。
【0038】
中間ホイール18の第2実施形態のグリッパ60は、左右対称に形成された一対のグリッパ部材60Aから構成され、各グリッパ部材60Aの先端部内側には、互いに対面するようにボトルV(V1またはV2)の首部Vnを把持するための凹部62が設けられる。第1実施形態の凹部54は、共通当接部Q1、Q2と大径ボトル当接部Q3を備えたが、第2実施形態の凹部62は、共通当接部Q1、Q2のみを備える。
【0039】
図6に示されるように、第2実施形態のグリッパ60では、基端部側において一対のグリッパ部材60Aの中間には、グリッパ部材60Aと同じ高さに大径ボトルV2の首部Vnに係合する当接部材64が設けられる。当接部材64はグリッパ部材60Aの対称軸に沿って配置され、挟持された大径ボトルV2の首部Vnに、その先端が当接する位置まで外側に突出する。また、当接部材64は、ブラケット66に取り付けられ、ブラケット66は一対の回転軸32に支持される(なお、回転軸32は、ブラケット66に対して回転自在である)。
【0040】
グリッパ60により小径ボトルV1が挟持される場合には、第1実施形態と同様に、ボトルV1は共通当接部Q1、Q2のみによって挟持される。図7に示されるように、第2実施形態の共通当接部Q1、Q2におけるグリッパ部材60Aの厚さは、小径ボトルV1の円筒部Vcの長さに略等しく、第1実施形態と同様に、小径ボトルV1はグリッパ60により確りと保持される。
【0041】
一方、グリッパ60により大径ボトルV2が挟持される場合には、大径ボトルV2の首部Vnは共通当接部Q1、Q2に係合するとともに、当接部材64の先端に係合する。図6に示されるように、当接部材64の先端は、大径ボトルV2の首部Vnの外周にぴったりと係合するように円弧状に形成され、大径ボトル当接部Q3を構成する。当接部材64の大径ボトル当接部Q3の厚さは、第1実施形態と同様に、大径ボトルV2の円筒部Vcに対応する。すなわち、大径ボトルV2がグリッパ60により挟持されると、当接部材64の大径ボトル当接部Q3は、フランジVf上面とカブラ部Vb下面に当接し、これらの間にぴったりと嵌合する(大径ボトル当接部はカブラ部Vbの下面にのみ当接する構成としてもい)。このとき、大径ボトルV2は、4つの共通当接部Q1、Q2と1つの大径ボトル当接部Q3の合計5ヶ所で保持される。
【0042】
以上のように、第2実施形態のグリッパを用いても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、各グリッパ部材において共通当接部は2ヶ所に設けられたが、3以上であってもよく、大径ボトル当接部の数も2以上であってもい。また、第2実施形態の当接部材を第1実施形態のグリッパに組み合わせることもできる。
【符号の説明】
【0044】
10 搬送処理システム
16 フィラホイール(上流側機器のホイール)
17 グリッパ
18 中間ホイール
20 キャッパホイール(下流側機器のホイール)
30 グリッパ
30A グリッパ部材
Q1、Q2 共通当接部
Q3 大径ボトル当接部
V 樹脂製ボトル
V1 小径ボトル(第1のボトル)
V2 大径ボトル(第2のボトル)
Vb カブラ部
Vf フランジ
Vn 首部
Vt ねじ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8