(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】薬品払出システム、薬品払出プログラム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240724BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2021114552
(22)【出願日】2021-07-09
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】湯山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 謙順
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-81837(JP,A)
【文献】特開2002-205805(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067929(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/104601(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品払出データに基づいて一又は複数の薬品収容部から一又は複数の種類の薬品を払い出す薬品払出動作における払出対象の薬品が予め設定された確認対象薬品であるか否かを判定する判定処理部と、
前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合に当該確認対象薬品の識別情報を表示する表示処理部と、
前記確認対象薬品について特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する制限処理部と、
を備える、薬品払出システム。
【請求項2】
薬品の識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた薬品の識別情報と前記確認対象薬品の識別情報とを照合する照合処理部と、
を備え、
前記特定の確認条件は、前記照合処理部による照合結果が一致であることである、
請求項1に記載の薬品払出システム。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記確認対象薬品の識別情報と共に、当該確認対象薬品に対応する確認操作部を表示し、
前記特定の確認条件は、前記確認操作部の操作を受け付けたことである、
請求項1又は2に記載の薬品払出システム。
【請求項4】
前記制限処理部は、前記薬品払出動作で払い出される複数種類の払出対象の薬品が前記確認対象薬品である場合には、全ての前記確認対象薬品について前記特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する、
請求項1~3のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項5】
前記表示処理部は、前記確認対象薬品の識別情報と共に、前記薬品払出動作における当該確認対象薬品の必要量又は当該薬品の包装単位数を表示する、
請求項1~4のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項6】
前記表示処理部は、前記確認対象薬品に対応付けられた前記薬品収容部が、他の薬品払出動作で使用されている場合、当該他の薬品払出動作の終了後に前記特定の確認条件を充足させる必要がある旨を表示する、
請求項1~5のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項7】
前記薬品収容部は、前記薬品払出システムで割り当てられる任意の種類の薬品を払い出し可能な可変収容部である、
請求項1~6のいずれかに記載の薬品払出システム。
【請求項8】
薬品払出データに基づいて一又は複数の薬品収容部から一又は複数の種類の薬品を払い出す薬品払出動作における払出対象の薬品が予め設定された確認対象薬品であるか否かを判定する判定ステップと、
前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合に当該確認対象薬品の識別情報を表示する表示ステップと、
前記確認対象薬品について特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する制限ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための薬品払出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品収容部から薬品を払い出す薬品払出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
予め薬品が収容されている薬品収容部から、処方データのような薬品払出データに基づいて薬品を払い出すことが可能な薬品払出システムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、薬品払出システムが利用される施設では、払出頻度の高い薬品については薬品の補充作業の頻度を下げるため、一度の補充作業で多くの薬品が薬品収容部に補充されることがある。一方、例えば湿気に弱い薬品又は払出頻度の低い薬品のような特定の薬品については、薬品払出システムで払い出す必要が生じた場合に、その都度、薬品収容部にその薬品を補充するという運用が採用されることがある。この場合、前記特定の薬品については、予め薬品収容部に薬品が収容されていない、又は予め薬品収容部に収容されている薬品が少ないため、前記薬品払出動作の開始後に薬品が不足して当該薬品払出動作が中断する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、特定の薬品が払い出される場合のユーザーの確認作業を支援することが可能な薬品払出システム及び薬品払出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る薬品払出システムは、薬品払出データに基づいて一又は複数の薬品収容部から一又は複数の種類の薬品を払い出す薬品払出動作における払出対象の薬品が予め設定された確認対象薬品であるか否かを判定する判定処理部と、前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合に当該確認対象薬品の識別情報を表示する表示処理部と、前記確認対象薬品について特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する制限処理部と、を備える。
【0007】
本発明に係る薬品払出プログラムは、薬品払出データに基づいて一又は複数の薬品収容部から一又は複数の種類の薬品を払い出す薬品払出動作における払出対象の薬品が予め設定された確認対象薬品であるか否かを判定する判定ステップと、前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合に当該確認対象薬品の識別情報を表示する表示ステップと、前記確認対象薬品について特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する制限ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための薬品払出プログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特定の薬品が払い出される場合のユーザーの確認作業を支援することが可能な薬品払出システム及び薬品払出プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの外観図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの固定薬品収容部の構成を説明するための斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの可変薬品収容部の構成を説明するための斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの可変薬品収容部の構成を説明するための斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの可変薬品収容部の構成を説明するための斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムの可変薬品収容部の装着部の構成を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムにおける薬品の分包結果の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用される薬品マスターの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用される割当情報の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで使用される割当情報の他の例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで実行される薬品払出処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図17】
図17は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の実施形態に係る薬品払出システムで表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る薬品払出システム100は、処方制御ユニット1、薬品供給ユニット2、分包ユニット5、分包制御ユニット6、及びコード読取部7などを備えている。前記処方制御ユニット1、前記薬品供給ユニット2、前記分包ユニット5、及び前記分包制御ユニット6は内部バスN1などによって接続されている。前記処方制御ユニット1及び前記コード読取部7は、無線LAN又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従って無線通信可能である。
【0012】
前記薬品払出システム100は、薬品払出データに基づいて、前記薬品供給ユニット2から一又は複数の種類の薬品を払い出す薬品供給動作と、当該薬品供給動作により払い出された薬品を前記分包ユニット5により服用時期などの分包単位で分包紙に分包する分包動作とを含む薬品払出動作を実行する。なお、他の実施形態として、前記薬品供給動作を本発明に係る薬品払出動作として捉えてもよい。
【0013】
また、本実施形態では、前記薬品払出システム100における払出対象の薬品が錠剤である場合を例に挙げて説明するが、本発明に係る薬品払出システムにおける払出対象の薬品は、錠剤に限らず、散薬、水剤、PTPシート、又はアンプル等の他の剤型の薬品であってもよい。例えば、前記薬品払出システム100は、予め散薬が収容された薬品収容部から当該散薬を分包して払い出す散薬自動分包機、予めPTPシートが収容された薬品収容部から当該PTPシートを払い出すシート払出装置などであってもよい。
【0014】
また、本実施形態において、前記薬品払出データは、患者に対応する処方箋の内容を示す処方データである。前記処方データは、後述の処方入力端末200等の上位システムから取得され、又は前記薬品払出システム100で入力される。前記処方データには、患者に関する情報、及び当該患者に処方される薬品の種類、用量、用法などの薬品に関する情報が含まれる。他の実施形態として、前記薬品払出データは、一人の患者に対応する処方箋の内容に基づいて前記薬品払出システム100に入力される調剤用のデータなどであってもよい。
【0015】
[薬品供給ユニット2]
前記薬品供給ユニット2は、予め定められた種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の固定薬品収容部21と、割り当てられる任意の種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の可変薬品収容部22とを備える。前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22は、本発明に係る薬品収容部の一例である。なお、他の実施形態として、前記薬品供給ユニット2は、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22のいずれか一種類の薬品収容部を有するものであってもよい。
【0016】
前記固定薬品収容部21各々は、前記薬品供給ユニット2に設けられた装着部211各々に着脱可能に構成されている。なお、他の実施形態として、前記固定薬品収容部21各々が前記装着部211に対して引き出し可能であり、当該固定薬品収容部21が前記装着部211から離脱しない構成であってもよい。また、前記固定薬品収容部21の一部が前記装着部211に設けられており、当該固定薬品収容部21の他の部分が前記装着部211に着脱可能であってもよい。
【0017】
前記装着部211各々は、前記固定薬品収容部21を個別に駆動させる第1駆動部23を備えている。前記第1駆動部23各々は、駆動モーター231及びRFIDリーダライタ232を備える。前記駆動モーター231は、前記固定薬品収容部21の駆動機構に駆動力を供給する。
【0018】
前記RFIDリーダライタ232は、前記固定薬品収容部21に設けられたRFIDタグ(不図示)に対してRFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段である。なお、前記RFIDタグ(不図示)及び前記RFIDリーダライタ232の設置箇所は、前記固定薬品収容部21が前記装着部211に装着された状態で前記RFIDリーダライタ232による前記RFIDタグ(不図示)の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
【0019】
前記RFIDタグ(不図示)は、前記固定薬品収容部21各々を識別するためのカセット識別情報などが記憶される不揮発性の記録媒体であり、前記カセット識別情報は前記薬品払出システム100の初期設定などにおいて前記処方制御ユニット1により書き込まれる。また、前記固定薬品収容部21には、当該固定薬品収容部21に対応する前記カセット識別情報が予め記憶された読み取り専用のRFIDタグが設けられていてもよい。
【0020】
前記可変薬品収容部22各々は、前記薬品供給ユニット2に設けられた装着部221各々に着脱可能に構成されている。なお、他の実施形態として、前記可変薬品収容部22各々が前記装着部221に対して引き出し可能であり、当該可変薬品収容部22が前記装着部221から離脱しない構成であってもよい。また、前記可変薬品収容部22の一部が前記装着部221に設けられており、当該可変薬品収容部22の他の部分が前記装着部221に着脱可能であってもよい。
【0021】
前記装着部221各々は、前記可変薬品収容部22を個別に駆動させる第2駆動部24を備えている。前記第2駆動部24各々は、駆動モーター241~244及びRFIDリーダライタ245を備える。前記駆動モーター241~244は、前記可変薬品収容部22の駆動機構に駆動力を供給する。
【0022】
前記RFIDリーダライタ245(
図7参照)は、前記可変薬品収容部22に設けられたRFIDタグ26(
図6参照)に対してRFIDの無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段である。なお、前記RFIDタグ26及び前記RFIDリーダライタ245の設置箇所は、前記可変薬品収容部22が前記装着部221に装着された状態で前記RFIDリーダライタ245による前記RFIDタグ26の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
【0023】
前記RFIDタグ26は、前記可変薬品収容部22各々を識別するためのカセット識別情報、及び、前記可変薬品収容部22に割り当てられた薬品の識別情報などが記録される不揮発性の記録媒体である。
【0024】
前記識別情報は、錠剤(薬品)の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬品ID、JANコード、RSSコード、QRコード(登録商標)などである。なお、前記JANコード及び前記RSSコードは、一次元コード(バーコード、GS1コード)で表現される数値又は文字の情報であり、前記QRコード(登録商標)は、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。
【0025】
[払出検出部225A]
また、前記薬品供給ユニット2は、前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22ごとに設けられる払出検出部225Aを備える。前記払出検出部225Aは、前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22各々から払い出される錠剤を検出するために、当該固定薬品収容部21及び当該可変薬品収容部22各々に設けられた光学式センサー等を含む。前記制御部61は、前記光学式センサー225Aを用いてカウントした錠剤の排出数に基づいて、前記可変薬品収容部22の駆動を制御し、予め設定された払出量(処方量)のみを前記可変薬品収容部22から払い出すことが可能である。また、前記制御部61は、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22による錠剤の払い出し動作の実行中に、予め設定された特定時間以上、前記払出検出部225Aにより錠剤の払い出しが検出されない場合には、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に欠品が発生したと判断し、その旨を前記処方制御ユニット1にも通知する。なお、他の実施形態として、前記払出検出部225Aは、複数の前記固定薬品収容部21及び複数の前記可変薬品収容部22からの錠剤の払出経路などに設けられ、当該払出経路を経て払い出される錠剤を検出可能な光学式センサー等であってもよい。
【0026】
[固定薬品収容部21]
ここで、
図3を参照しつつ、前記固定薬品収容部21の一例について説明する。なお、
図3は、前記固定薬品収容部21の上部を覆うカバー部材を省略した図である。
【0027】
前記固定薬品収容部21各々では、収容される錠剤の種類が予め定められている。例えば、前記固定薬品収容部21各々の前面には、前記固定薬品収容部21に収容される錠剤の識別情報が予め記載されている。
【0028】
図3に示すように、前記固定薬品収容部21は、複数の錠剤が収容される収容部212、及び剤前記収容部212に収容された錠剤を個別に排出する錠剤排出部213を備えている。前記錠剤排出部213は、前記収容部212の略中央部に形成された凹部に設けられており、前記収容部212内の錠剤は前記錠剤排出部213に向けて順次下降する。
【0029】
前記錠剤排出部213は、前記固定薬品収容部21の筐体で回転可能に支持されたローター214と、前記ローター214の外周を覆う内壁214Aとを備えている。前記ローター214は、前記固定薬品収容部21が前記装着部211に装着されたときに、各種のギアなどの駆動伝達系(不図示)を介して前記第1駆動部23の前記駆動モーター231に連結される。また、前記ローター214の外周面には、予め定められた配置間隔でリブ215及びリブ216が形成されている。これにより、前記ローター214の外周には、前記リブ215、前記リブ216、及び前記内壁214Aによって囲まれた間隙217が間欠的に形成されている。前記間隙217の幅は、前記固定薬品収容部21に収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められており、前記錠剤の1錠分の幅に相当する。
【0030】
また、前記リブ215及び前記リブ216の間には前記ローター214の外周面全体に亘る間隙218が形成されている。ここで、前記リブ215及び前記リブ216各々の上端の高さは、前記固定薬品収容部21に収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められている。具体的に、
図3に示す前記リブ215の上端の高さは前記錠剤の3錠分の高さに相当するものであり、前記ローター214の前記間隙217各々には前記錠剤が3錠ずつ挿入される。また、前記リブ216の上端の高さは、前記錠剤の1錠分の高さに相当する。
【0031】
一方、前記内壁214Aには、前記ローター214から錠剤を排出するための排出口219が形成されており、前記排出口219には前記間隙218に挿入される仕切板220が設けられている。これにより、前記排出口219では、前記間隙217に挿入されている3錠の錠剤のうち、上の2錠は前記仕切板220によって落下が規制され、下の1錠のみが排出される。従って、前記固定薬品収容部21では、前記駆動モーター231によって前記ローター214が駆動されることにより、前記収容部212に収容された錠剤が1錠単位で払い出される。
【0032】
[可変薬品収容部22]
次に、
図4~
図7を参照しつつ、前記可変薬品収容部22の一例について説明する。なお、ここで説明する前記可変薬品収容部22の構造は一例に過ぎず、任意の錠剤を1錠ずつ払い出すことが可能なものであれば他の構造であってもよい。例えば、特表2010-535683号公報又は特開2010-115493号公報には、前記可変薬品収容部22の他の例が開示されている。また、前記可変薬品収容部22が、螺旋状の内面を有する円筒状部材であって、当該円筒状部材が傾斜した状態で回転することにより前記円筒状部材内に収容されている錠剤が螺旋状の内面に沿って上部に移動して順に払い出される構成であってもよい。
【0033】
図4~
図6に示すように、前記可変薬品収容部22は、複数の錠剤が収容される収容部222と、前記収容部222から錠剤を払い出す第1回転体223及び第2回転体224とを備えている。なお、
図4~
図6は、前記可変薬品収容部22の上部を覆うカバー部材を省略した図である。また、前記可変薬品収容部22は、予め定められた単位量ごとに錠剤を払い出すことが可能であればよく、例えば1錠単位ではなく複数錠ごとの払い出しが可能な構成であってもよい。
【0034】
前記第1回転体223は、前記収容部222の底面を構成する円盤状の部材である。前記第1回転体223の回転軸は鉛直方向に対して予め定められた所定角度だけ傾斜しており、前記第1回転体223の上面が水平面に対して前記所定角度だけ傾斜している。また、前記第1回転体223の上面には放射状のリブ223Aが所定間隔ごとに形成されている。そして、前記第1回転体223は、前記可変薬品収容部22の筐体によって回転可能に支持されており、
図5及び
図6に示す駆動ギア223Bに連結されている。
【0035】
前記第2回転体224は、平面視で前記第1回転体223の周囲に配置された中空環状の部材であって、前記収容部222の錠剤を払出口225に搬送して前記払出口225から払い出す。また、前記第1回転体223の上端部は、前記第2回転体224と同一水平面上に位置している。そして、前記第2回転体224は、前記可変薬品収容部22の筐体によって回転可能に支持されており、
図6に示す駆動ギア224Aが外周面に形成されている。
【0036】
一方、
図7に示すように、前記装着部221は、前記可変薬品収容部22が装着されたときに前記第1回転体223の前記駆動ギア223Bに連結される駆動ギア221A、及び前記第2回転体224の前記駆動ギア224Aに連結される駆動ギア221Bを備える。前記駆動ギア221Aは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター241に連結されており、前記駆動ギア221Bは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター242に連結されている。
【0037】
さらに、
図4及び
図5に示すように、前記可変薬品収容部22は、前記第2回転体224により前記払出口225まで搬送される前記錠剤の払出経路上に配置された高さ規制部材226及び幅規制部材227を備えている。
【0038】
前記高さ規制部材226は、前記第2回転体224により前記払出口225まで搬送可能な錠剤の高さ方向のサイズを規制し、前記幅規制部材227は、前記第2回転体224により前記払出口225まで搬送可能な錠剤の幅方向のサイズを規制する。これにより、前記可変薬品収容部22では、前記第2回転体224に載置された錠剤のうち前記高さ規制部材226により規制される高さh1及び前記幅規制部材227により規制される幅w1に収まる錠剤のみが前記払出口225から払い出される。従って、前記可変薬品収容部22では、前記高さh1及び前記幅w1が前記収容部222に収容される錠剤の1錠分の高さ及び幅以上であって少なくとも2錠分の高さ及び幅より小さい場合に、その錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。より詳細に、前記可変薬品収容部22では、前記第2回転体224上に錠剤の重心が存在する場合に当該錠剤が前記第2回転体224上に残る可能性があるため、前記幅規制部材227によって規制される幅w1が、当該錠剤の0.5錠分の幅以上であって当該錠剤の1.5錠分の幅よりも小さく設定されることが考えられる。
【0039】
そして、前記可変薬品収容部22は、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を変更するための高さ調整部226Aと、前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更するための幅調整部227Aとを備えている。前記幅調整部227Aの外周面には、前記幅規制部材227に形成された長穴227Bの内周面に形成されたラック(ギア)に噛合されたピニオンギアが形成されている。
【0040】
前記高さ調整部226Aは、前記可変薬品収容部22の筐体によって回転可能に支持されており、
図6に示す駆動ギア226Bに連結されている。前記高さ調整部226Aは、回転駆動されることにより前記高さ規制部材226の下端部の位置を上下に移動させ、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を変更する。
【0041】
前記幅調整部227Aは、前記可変薬品収容部22の筐体によって回転可能に支持されており、
図6に示す駆動ギア227Cに連結されている。前記幅調整部227Aは、前記駆動ギア227Cが回転駆動されることにより前記幅規制部材227の前記収容部222側への突出量を変更し、前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更する。具体的に、前記幅規制部材227の前記収容部222側への突出量は、前記駆動ギア227Cの回転により前記幅調整部227A及び前記長穴227B各々が矢印R3方向(
図4参照)に相対的に移動することによって変更される。
【0042】
一方、
図7に示すように、前記装着部221は、前記可変薬品収容部22が装着されたときに前記駆動ギア226Bに連結される駆動ギア221C、及び前記駆動ギア227Cに連結される駆動ギア221Dを備えている。前記駆動ギア221Cは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター243に連結されており、前記駆動ギア221Dは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター244に連結されている。これにより、前記高さ規制部材226及び前記幅規制部材227は、前記駆動モーター243、244によって駆動可能である。
【0043】
なお、
図6及び
図7に示すように、前記可変薬品収容部22及び前記装着部221は、前記可変薬品収容部22が前記装着部221に装着されたときに連結される駆動ギア228A及び駆動ギア228Bを備えている。前記駆動ギア228Aは、前記第1回転体223を上下方向に昇降させる不図示の昇降機構に連結されており、前記駆動ギア228Bは不図示の駆動モーターに連結されている。これにより、前記駆動モーターが駆動されると、前記駆動ギア228Bから前記駆動ギア228Aに駆動力が伝達され、前記昇降機構により前記第1回転体223が昇降可能である。従って、前記薬品払出システム100では、前記第1回転体223を昇降させることにより、前記収容部222内の容積を変更することが可能であり、前記収容部222内に収容可能な錠剤数を任意に調整することが可能である。そのため、前記可変薬品収容部22は、収容される錠剤数が少ない用途、及び収容される錠剤数が多い用途の両方で使用可能である。
【0044】
そして、前記可変薬品収容部22では、前記第1回転体223が回転方向R1(
図4及び
図5参照)に回転されると、前記収容部222の錠剤が前記第1回転体223から前記第2回転体224に排出される。また、前記可変薬品収容部22では、前記第2回転体224が回転方向R2(
図4及び
図5参照)に回転されると、前記第2回転体224上の錠剤が前記払出口225に向けて搬送される。
【0045】
但し、前記第2回転体224により搬送される錠剤のうち高さ方向に積み重なった錠剤は前記高さ規制部材226に接触して前記収容部222に戻される。また、前記第2回転体224により搬送される錠剤のうち幅方向に並んで搬送されている錠剤は前記幅規制部材227に接触して前記収容部222に戻される。
【0046】
これにより、前記可変薬品収容部22では、前記高さ規制部226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1に対応するサイズの錠剤は、前記第2回転体224上の周方向に1錠ずつ並んだ状態で前記払出口225まで搬送される。そのため、前記可変薬品収容部22では、前記収容部222に収容された錠剤を1錠単位で払い出すことが可能であり、前記錠剤の払出量を制御することが可能である。
【0047】
このように、前記可変薬品収容部22を用いれば、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1が変更可能であるため、任意の種類の錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。
【0048】
また、前記可変薬品収容部22各々には、
図1及び
図4に示すように、表示内容が変更可能な表示部25が設けられている。前記表示部25は、通電により表示内容が書き込まれると、その後は無通電状態でも前記表示内容の表示が維持される電子ペーパーである。
【0049】
前記可変薬品収容部22及び前記装着部221各々には前記可変薬品収容部22が前記装着部221に装着されたときに接続される接点式のコネクタ(不図示)が設けられている。ここで、前記可変薬品収容部22側の前記コネクタには前記表示部25が接続されており、前記装着部221側の前記コネクタには前記処方制御ユニット1が接続されている。そして、前記可変薬品収容部22が前記装着部221に装着されると、前記表示部25及び前記処方制御ユニット1が前記コネクタによって電気的に接続される。これにより、前記処方制御ユニット1は、前記表示部25各々の表示を変更することが可能になる。なお、前記表示部25は、電子ペーパーに限らず、液晶ディスプレイ等の他の表示手段であってもよい。また、前記表示部25は、前記可変薬品収容部22各々に対応して前記可変薬品収容部22が装着される前記装着部221に設けられることも考えられる。
【0050】
さらに、前記可変薬品収容部22各々には、
図6に示すように、各種の情報を記憶する前記RFIDタグ26が内蔵されている。前記RFIDタグ26は、前記RFIDリーダライタ245による記憶情報の書き換えが可能な不揮発性の記録媒体であって、前述したように前記可変薬品収容部22各々のカセット識別情報、及び前記可変薬品収容部22各々に割り当てられた前記薬品の識別情報などの記憶に用いられる。前記RFIDタグ26は、前記可変薬品収容部22各々に設けられる制御基板に搭載されたものであり、前記制御基板は前記処方制御ユニット1からの制御信号に従って前記可変薬品収容部22の前記表示部25の表示を変更する機能も有している。なお、前記制御基板には、前記コネクタを介して供給される電力、前記制御基板に搭載された電池などの蓄電部から供給される電力、又は前記RFIDタグ26への情報の書き込み時に供給される電力により駆動する電気回路が搭載されている。また、前記可変薬品収容部22各々が、前記RFIDタグ26に代えて、前記処方制御ユニット1が前記コネクタを介して情報を読み書きすることのできるEEPROM等の他の記録媒体を有することも他の実施形態として考えられる。
【0051】
[分包ユニット5]
前記分包ユニット5は、前記薬品払出データに基づいて前記薬品払出システム100を制御し、前記薬品供給ユニット2から供給された一又は複数種類の薬品を服用時期などの分包単位で一つの分包紙に分包する分包動作を実行する。例えば、前記分包ユニット5は、透明又は半透明のロール状の薬包シート51により前記分包単位で薬品を包装して溶着等により封止する。これにより、前記分包単位で薬品が収容された前記薬包シート51が前記分包ユニット5から排出される。
図8は、前記分包ユニット5から排出される前記薬包シート51の一例を示す図である。
図8に示す前記薬包シート51では、前記分包単位で複数の錠剤が包装された複数の分包紙52が連続して形成されており、前記分包紙52各々の間には前記分包紙52各々を容易に切り離すための切り取り点線52A(ミシン目)が形成されている。
【0052】
[分包制御ユニット6]
前記分包制御ユニット6は、
図2に示すように、制御部61及び記憶部62を備える。前記制御部61は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する制御手段である。前記制御部61は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部62などの記憶手段に予め記憶された各種の制御プログラムに従った各種の処理を前記CPUなどのプロセッサーによって実行する。なお、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部61は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
【0053】
具体的に、前記制御部61は、前記薬品払出データに基づいて、前記薬品供給ユニット2及び前記分包ユニット5を制御し、前記薬品供給ユニット2から供給される一又は複数種類の薬品を払い出し、当該薬品を前記分包ユニット5によって分包単位で分包する前記薬品払出動作を実行させる。また、前記制御部61は、前記払出検出部225Aを用いて、前記薬品払出動作の途中で薬品の欠品を検出した場合に、当該薬品払出動作を中断し、前記薬品が補充された場合に、当該薬品払出動作を再開する。
【0054】
前記記憶部62は、前記制御プログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSD(SolidStateDrive)などの記憶手段である。前記制御部61は、前記制御プログラムに従って、前記薬品供給ユニット2及び前記分包ユニット5を制御し、前記薬品払出データに基づく前記薬品払出動作を実行させる。また、前記薬品払出システム100が、前記分包制御ユニット6を有しておらず、前記処方制御ユニット1が前記分包制御ユニット6として機能してもよい。
【0055】
[コード読取部7]
前記コード読取部7は、薬品を識別するコードを読み取るものであり、錠剤が包装されている薬箱、薬瓶、又はPTPシートなどの薬品包装部に記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコード(登録商標)などのコード情報を読み取り可能なバーコードリーダーである。
【0056】
なお、前記コード読取部7は、例えば薬剤師などが薬品のピッキングに使用する従来周知のピッキング補助装置などであってもよい。前記ピッキング補助装置は、薬剤師等が処方箋に従って薬品棚から薬品を取り出して手動で調剤する際に用いられ、例えば、前記収容容器に記載されたJANコードから薬品を読み取って、その読み取られた薬品と薬品払出データに含まれる払出対象の薬品との照合を行う。また、前記コード読取部7は、処方箋に記載されたバーコード又はQRコードなどの読み取りに用いられてもよい。
【0057】
そして、前記コード読取部7により読み取られた情報は、前記コード読取部7から無線通信により前記処方制御ユニット1に入力される。なお、前記コード読取部7が前記処方制御ユニット1に有線接続されることも考えられる。また、薬局内に前記薬品払出システム100が複数台設けられる場合には、前記薬品払出システム100各々に予め対応付けられた前記コード読取部7が個別に設けられる。
【0058】
[処方制御ユニット1]
前記処方制御ユニット1は、前記薬品払出システム100を統括的に制御するコンピュータである。
図1及び
図2に示すように、前記処方制御ユニット1は、制御部11、記憶部12、表示部13、操作部14、及び通信IF15等を備える。
【0059】
前記制御部11は、CPU、RAM、ROM及びEEPROMなどを有する。前記制御部11は、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記CPUは、各種の処理を実行する一又は複数のプロセッサーを含み、前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。なお、前記制御部11は、ASIC又はDSPなどの集積回路であってもよい。
【0060】
前記記憶部12は、各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSD(SolidStateDrive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部12には、前記制御部11等のコンピュータに後述の薬品払出処理(
図12参照)を実行させるための薬品払出プログラムが予め記憶されている。なお、前記薬品払出プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、不図示のディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部12にインストールされる。本発明は、前記薬品払出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な前記記録媒体の発明として捉えてもよい。
【0061】
本実施形態において、前記制御部11は、判定処理部111、表示処理部112、制限処理部113、照合処理部114、割当処理部115などの各種の処理部を含む。前記制御部11は、前記薬品払出プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。
【0062】
前記判定処理部111は、前記薬品払出データに基づいて一又複数の前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22から一又は複数の種類の薬品を払い出す薬品払出動作における払出対象の薬品の種類が、予め設定された確認対象薬品であるか否かを判定する。具体的に、前記判定処理部111は、後述の薬品マスターD1(
図9参照)において、前記払出対象の薬品の種類について「分包前照合」が「する」に設定されている場合に、当該払出対象の薬品が前記確認対象薬品に該当すると判定する。
【0063】
前記表示処理部112は、前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合に当該確認対象薬品の薬品名又は薬品IDなどの識別情報を表示する。また、前記表示処理部112は、前記確認対象薬品の識別情報と共に、前記薬品払出動作における当該確認対象薬品の必要量又は当該薬品の包装単位数を表示してもよい。さらに、前記表示処理部112は、前記確認対象薬品に対応付けられた前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22が、他の前記薬品払出動作で使用されている場合、当該他の薬品払出動作の終了後に後述の特定の確認条件を充足させる必要がある旨を表示する。
【0064】
前記制限処理部113は、前記確認対象薬品について特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する。特に、前記制限処理部113は、前記薬品払出動作で払い出される複数種類の払出対象の薬品が前記確認対象薬品である場合には、全ての前記確認対象薬品について前記特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する。なお、前記特定の確認条件は、前記照合処理部114による照合結果が一致であること、又は、前記表示処理部112によって表示される後述の確認操作部K32のユーザー操作を受け付けたことである。
【0065】
前記照合処理部114は、前記コード読取部7によって読み取られた薬品の識別情報と前記確認対象薬品の識別情報とを照合する照合処理を実行する。本実施形態では、前記照合処理部114による照合結果が一致であることが前記特定の確認条件の一例である。
【0066】
前記割当処理部115は、ユーザー操作に応じて、又は、自動的に、前記可変薬品収容部22に任意の錠剤の識別情報を割り当てることが可能である。具体的に、前記割当処理部115は、前記可変薬品収容部22と任意の錠剤の前記識別情報とを対応付けて、その対応関係を後述の割当情報D2に登録する。
【0067】
また、前記記憶部12には、例えば薬品マスターD1、患者マスター、カセットマスター、及び薬局マスターなどの各種のデータベースも記憶されている。なお、前記制御部11は、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどの記録媒体から不図示のディスクドライブなどの読取装置によって読み取られたデータに基づいて、前記記憶部12に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、前記制御部11は、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
【0068】
図9は、前記薬品マスターD1の一部を示す図である。
図9に示されるように、前記薬品マスターD1では、薬品ごとに、当該薬品の薬品ID及び薬品名などの識別情報と、分包前照合が必要であるか否かの情報とが対応付けて記憶されている。前記分包前照合は、前記薬品払出動作を実行する前に薬品の識別情報の照合を要する場合に「する」に設定され、前記薬品払出動作を実行する前に前記照合を要しない場合に「しない」に設定されている。前記制御部11は、前記薬品払出システム100の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて、前記薬品マスターD1における前記分包前照合の設定を薬品ごとに変更することが可能である。また、前記分包前照合の設定は、薬品単位で行われている場合に限らず、例えば向精神薬、ハイリスク薬、毒薬、劇薬のような薬品の分類ごとに設定可能であってもよく、薬品の包装形態がPTPシートであるか否かに応じて設定可能であってもよい。これにより、薬品ごとに前記分包前照合の設定を行うことなく、例えば包装形態がPTPシートである薬品について一括で前記分包前照合を「する」に設定することが可能である。
【0069】
なお、前記薬品マスターD1には、その他にも、薬品ごとに、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤のサイズ(高さ及び幅など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などに関する情報が登録されている。
【0070】
また、前記カセットマスターは、前記装着部211に装着されている前記固定薬品収容部21各々のカセット識別情報と前記固定薬品収容部21各々に割り当てられた錠剤の識別情報との対応関係を示す情報である。例えば、前記カセットマスターは、前記薬品払出システム100の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて前記制御部11によって登録される。また、前記カセットマスターは、前記装着部211各々に設けられた前記RFIDリーダライタ232によって、前記固定薬品収容部21各々に設けられたRFIDタグ(不図示)から読み取られる薬品の識別情報に基づいて前記制御部11によって更新される。
【0071】
さらに、前記記憶部12には、前記可変薬品収容部22のカセット識別情報と当該可変薬品収容部22から払出可能な錠剤の識別情報との対応関係を示す割当情報D2が記憶されている。
図10に示すように、前記割当情報D2では、前記可変薬品収容部22各々に現在割り当てられている錠剤の薬品ID(識別情報)が登録されている。なお、前記薬品IDに代えて薬品名称、又はJANコード(又はRSSコード)などの識別情報が記憶されていてもよい。また、ここでは前記薬品供給ユニット2において左から右に向かって順に並べられた4つの前記可変薬品収容部22に、カセット番号「C1」~「C4」が前記カセット識別情報として予め設定されているものとする。前記カセット識別情報は、前記可変薬品収容部22各々の前記RFIDタグ26にも記憶されている。
【0072】
また、他の実施形態として、前記制御部11が、前記装着部221に薬品の識別情報を割り当てることにより、当該薬品を間接的に前記可変薬品収容部22に割り当ててもよい。この場合、前記割当情報D2には、
図11に示されるように、前記装着部221の識別情報(W1~W4など)、前記薬品ID(薬品の識別情報)、前記装着部221に装着されている前記可変薬品収容部22のカセット識別情報(C1、C3など)が対応付けて記憶される。これにより、前記制御部11は、前記装着部221に割り当てられた薬品、及び当該装着部221に装着されている前記可変薬品収容部22を把握し、前記薬品払出システム100に前記薬品払出動作を実行させることが可能である。
【0073】
前記表示部13は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶ディスプレイ等の表示手段である。例えば、前記表示部13には、薬品払出データの入力画面、薬品払出データの選択画面、及び可変薬品収容部22の選択画面などの各種情報が表示される。
【0074】
前記操作部14は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部11に入力する。前記操作部14は、例えば前記薬品払出データに基づく薬品払出動作の開始要求操作などの各種操作入力を受け付けるタッチパネルである。
【0075】
前記通信IF15は、前記薬品払出システム100をLAN等の通信網N2に接続するための通信インターフェースであって、前記通信網N2を介して接続された処方入力端末200などの上位システムとの間でデータ通信を実行する。なお、前記処方入力端末200は、例えば病院及び老健施設などに配置される電子カルテシステム、院内又は院外の薬局に配置される調剤管理システムなどである。また、前記通信IF15は、前記コード読取部7等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信カードなどの無線通信インターフェースも備えている。
【0076】
そして、前記通信IF15は、前記処方入力端末200から薬品払出データを取得し、前記薬品払出データを前記制御部11に入力する。例えば、前記通信IF15は、前記処方入力端末200に設けられた記憶手段の所定の記憶領域に薬品払出データが記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に前記薬品払出データが記憶された場合に前記薬品払出データを前記所定の記憶領域から読み出す。もちろん、前記通信IF15は、前記処方入力端末200から送信された前記薬品払出データを受信するものであってもよい。
【0077】
ところで、前記薬品払出システム100が利用される施設では、前記薬品払出データに払出対象の薬品として特定の薬品が含まれる場合には、ユーザーが、前記薬品払出動作の開始前に当該特定の薬品についての確認作業を行うことがある。
【0078】
例えば、前記施設では、払出頻度の高い薬品については薬品の補充作業の頻度を下げるため、一度の補充作業で多くの薬品が前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に補充されることがある。一方、例えば湿気に弱い薬品又は払出頻度の低い薬品のような特定の薬品については、前記薬品払出システム100で払い出す必要が生じた場合に、その都度、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22にその薬品を補充するという運用が採用されることがある。この場合、前記特定の薬品については、予め前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に薬品が収容されていない、又は予め前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に収容されている薬品が少ないため、前記薬品払出動作の開始後に薬品が不足して当該薬品払出動作が中断する可能性がある。ここで、ユーザーが、前記薬品払出動作の開始前に前記薬品払出データに含まれる全ての払出対象の薬品について確認作業を行うことも考えられるが、この場合には、ユーザーに無駄な確認作業が強いられることになる。一方、ユーザーが、前記薬品払出動作の開始前に前記薬品払出データに含まれる全ての払出対象の薬品について確認作業を行わない場合には、誤った薬品が前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に収容されるおそれがある。
【0079】
これに対し、前記薬品払出システム100では、前記制御部11によって後述の薬品払出処理が実行されることにより、特定の薬品が払い出される場合のユーザーの確認作業を支援することが可能である。
【0080】
[薬品払出処理]
以下、
図12を参照しつつ、前記薬品払出システム100において、前記処方制御ユニット1の前記制御部11により実行される薬品払出処理の手順の一例について説明する。前記薬品払出処理は、前記制御部61によって実行されてもよく、前記制御部11及び前記制御部61によって協働して実行されてもよい。なお、前記薬品払出処理における各種の表示は前記表示部13によって行われ、ユーザーによる各種の操作は前記操作部14で受け付けられる。
【0081】
<ステップS1>
ステップS1において、前記制御部11は、前記薬品払出データを発行するか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、予め登録された前記薬品払出データのいずれかを選択する選択操作及び当該薬品払出データを発行するための発行操作が前記操作部14に対して行われた場合に前記薬品払出データを発行すると判断する。ここで、前記薬品払出データを発行すると判断されると(S1のYes側)、処理がステップS2に移行し、前記薬品払出データを発行すると判断されない場合は(S1のNo側)、処理がステップS21に移行する。
【0082】
なお、他の実施形態として、前記制御部11は、前記処方入力端末200等の上位システムから前記薬品払出データを受信した場合に、ユーザーによる前記発行操作を要することなく、当該薬品払出データを発行すると判断してもよい。さらに、前記制御部11は、前記記憶部12に記憶されている未処理の前記薬品払出データを入力順などの予め設定された順で自動的に発行すると判断してもよい。
【0083】
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部11は、前記薬品払出データに含まれる払出対象の薬品について前記可変錠剤収容部22への割当が必要であるか否かを判断する。ここで、割当が必要であると判断されると(S2:Yes)、前記制御部11は処理をステップS3に移行させる。また、割当が不要であると判断されると(S2:No側)、前記制御部11は、処理をステップS4に移行させる。
【0084】
具体的に、前記制御部11は、前記記憶部12に記憶されている前記カセットマスター及び前記割当情報D2に基づいて、前記払出対象の薬品が対応付けられた前記固定薬品収容部21が存在せず、且つ、前記払出対象の薬品が前記可変薬品収容部22に割り当てられていない場合に、当該払出対象の薬品について前記可変薬品収容部22への割当が必要であると判断する。以下、前記可変錠剤収容部22への割当が必要と判断された薬品を割当対象薬品と称することがある。また、前記制御部11は、前記薬品払出データに含まれる全ての払出対象の薬品について、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22のいずれかに既に対応付けられている薬品と一致する場合には、前記可変薬品収容部22への割当が不要であると判断する。
【0085】
<ステップS3>
ステップS3において、前記制御部11は、前記割当対象薬品の識別情報を、未割当の前記可変薬品収容部22に割り当てる薬品割当処理を実行する。
【0086】
具体的に、前記ステップS3において、前記制御部11は、前記割当情報D2に基づいて、前記可変薬品収容部22のうち薬品の識別情報が割り当てられていない未割当の前記可変薬品収容部22を特定し、当該可変薬品収容部22に前記割当対象薬品の識別情報を割り当てる。また、前記制御部11は、ユーザー操作によって選択される前記可変薬品収容部22に前記割当対象薬品の識別情報を割り当ててもよい。なお、前記薬品払出データに複数の前記割当対象薬品が含まれている場合、前記制御部11は、複数の前記割当対象薬品の識別情報を、複数の前記可変薬品収容部22にそれぞれ割り当てる。
【0087】
また、前記ステップS3において、前記制御部11は、前記RFIDリーダライタ245を制御することにより、前記割当対象薬品の識別情報を割り当てた前記可変薬品収容部22の前記RFIDタグ26に、当該割当対象薬品の識別情報を記録する。なお、他の実施形態として、前記可変薬品収容部22の前記RFIDタグ26に前記割当対象薬品の識別情報が記録されないことも考えられる。具体的に、前記RFIDタグ26に前記カセット識別情報が予め記録されており、前記RFIDリーダライタ245が情報の読み取りのみが可能なRFIDリーダーであることが考えられる。この場合でも、前記制御部11は、前記RFIDタグ26から読み取った前記カセット識別情報と前記割当情報D2とに基づいて、前記可変薬品収容部22に割り当てられた薬品の識別情報を認識することが可能である。
【0088】
さらに、前記ステップS3において、前記制御部11は、前記割当対象薬品に対応する払出経路の高さ及び前記払出経路の幅の情報を含む駆動条件を特定し、当該駆動条件と当該割当対象薬品が割り当てられた前記可変薬品収容部22のカセット識別情報とを含む制御指示を前記制御部61に送信する。なお、薬品ごとに対応する前記駆動条件は、前記薬品マスターに登録され又は当該薬品マスターとは別の情報として前記記憶部12に記憶されていればよい。前記制御部61は、前記制御部11からの前記制御指示に基づいて、前記可変薬品収容部22が装着された前記装着部221を制御することにより、前記可変薬品収容部22を前記駆動条件に従って駆動させ、当該可変薬品収容部22から前記割当対象薬品を払い出し可能な状態にする。例えば、前記制御部61は、前記可変薬品収容部22における前記払出経路の高さ及び前記払出経路の幅を前記駆動条件に基づいて変更する。このように、前記薬品払出システム100では、前記駆動条件に従って前記可変薬品収容部22が駆動されることにより、当該可変薬品収容部22で任意の錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。なお、前記可変薬品収容部22の前記払出経路の変更タイミングは、前記可変薬品収容部22への薬品の識別情報の割当タイミングに限らず、前記可変薬品収容部22が前記装着部221に装着されたタイミング、又は、前記可変薬品収容部22から薬品を払い出す前のタイミングなどであってもよい。なお、前記駆動条件は、前記払出経路の高さ及び幅などに限らず、前記可変薬品収容部22を駆動する前記駆動モーター242の駆動時の回転速度、回転間隔、スローダウンの有無、又は停止時の逆転動作の有無などであってもよい。
【0089】
<ステップS4>
ステップS4において、前記制御部11の前記判定処理部111は、前記薬品払出データに含まれる払出対象の薬品のいずれかが前記確認対象薬品であるか否かを判定する判定ステップを実行する。具体的に、前記制判定処理部111は、前記薬品払出データに含まれる払出対象の薬品について、前記薬品マスターD1で「分包前照合」の情報が「する」に設定されている場合に、当該薬品が前記確認対象薬品であると判断する。なお、前記薬品払出データに含まれる払出対象の薬品の種類が複数である場合には、当該薬品各々について前記確認対象薬品であるか否かが判定される。ここで、いずれかの前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判断されると(S4:Yes)、処理がステップS5に移行し、全ての前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品でないと判断されると(S4:No)、処理がステップS12に移行する。
【0090】
<ステップS5>
ステップS5において、前記制御部11の前記表示処理部112は、少なくとも前記確認対象薬品の識別情報が表示される確認画面P2を前記表示部13に表示させる第1表示ステップを実行する。
図13は、前記確認画面P2の一例を示す図である。
【0091】
図13に示されるように、前記確認画面P2の表示領域A2には、前記確認対象薬品について照合が必要である旨のメッセージと共に、照合が必要な前記確認対象薬品の種類数である「7」が表示され、照合が必要な前記確認対象薬品の識別情報である「薬品M1~薬品M7」が表示される。なお、前記表示処理部112は、前記表示領域A2に表示される前記確認対象薬品のうち前記特定の確認条件を充足すると判断された確認対象薬品についてはグレーアウトなどにより他の前記確認対象薬品とは識別可能に表示する。また、前記表示領域A2では、前記確認対象薬品のみが表示されてもよいが、前記薬品払出データに含まれる全ての払出対象の薬品が表示されており、前記確認対象薬品ではない薬品がグレーアウト表示されること、又は前記確認対象薬品がハイライト表示されることなどの手段により、前記確認対象薬品が識別可能に表示されてもよい。
【0092】
また、
図13に示されるように、前記確認画面P2には、ユーザー操作を受け付けるための操作部K2が表示されている。前記操作部K2は、前記確認画面P2を閉じて前記薬品払出データに基づく前記薬品払出動作を開始させるために操作される操作部である。ユーザーは、前記確認画面P2に表示されている全ての前記確認対象薬品を確認した後、前記操作部K2を操作する。
【0093】
ところで、前記ステップS5が実行される際に、前記確認対象薬品に対応する前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22が、前記薬品払出データとは異なる他の前記薬品払出データに基づく他の薬品払出動作で使用されていることがある。この場合、前記制御部11は、
図14に示されるように、前記表示領域A2に、現在使用中の前記確認対象薬品についての確認を前記他の薬品払出動作の完了後に行う必要がある旨のメッセージ等の情報を表示すると共に、前記他の薬品払出動作で使用中の前記確認対象薬品を識別可能に表示する。
【0094】
<ステップS6>
ステップS6において、前記制御部11は、前記確認画面P2に表示されている前記確認対象薬品のいずれかが選択されたか否かが判断される。例えば、前記制御部11は、前記確認画面P2の前記表示領域A2において前記確認対象薬品を選択するためのユーザー操作が行われた場合に当該確認対象薬品が選択されたと判断する。また、前記制御部11は、前記確認対象薬品を自動的に順次選択してもよい。ここで、前記確認対象薬品が選択されたと判断されると(S6:Yes)、処理がステップS7に移行し、前記確認対象薬品が選択されていなければ(S6:No)、処理が前記ステップS10に移行する。
【0095】
<ステップS7>
ステップS7において、前記制御部11の前記表示処理部112は、前記ステップS6で選択されたと判断された前記確認対象薬品の照合作業を支援するための照合画面P3を前記表示部13に表示させる第2表示ステップを実行する。
図15は、前記照合画面P3の一例を示す図である。
【0096】
図15に示されるように、前記照合画面P3の表示領域A3には、前記確認対象薬品の識別情報が表示される表示領域A31と、前記コード読取部7によって読み取られた薬品の識別情報が表示される表示領域A32とが表示される。なお、前記表示領域A32は、前記コード読取部7により薬品の識別情報が読み取られるまでの間は空白である。そして、前記制御部11は、薬品が包装されている薬品包装部材などに付されているバーコード等のシンボルから前記コード読取部7によって薬品の識別情報が読み取られた場合に、当該薬品の識別情報を前記表示領域A32に表示させる。
【0097】
また、
図15に示されるように、前記表示領域A3には、前記確認対象薬品についての確認を行っているユーザーを選択するための操作部A33も表示されている。前記制御部11は、前記操作部A33によって選択されたユーザーを前記確認対象薬品の確認を行ったユーザーとして前記記憶部12に履歴情報を記憶させる。
【0098】
また、
図15に示されるように、前記表示領域A3には、前記確認対象薬品を補充する場合に操作される操作部K31、及び前記確認対象薬品の照合をスキップする場合に操作される確認操作部K32も表示される。なお、前記制御部11は、前記表示領域A3において、前記表示領域A31及び前記表示領域A32に表示されている前記薬品の識別情報が一致した場合に前記操作部K31を操作可能な状態で表示させ、一致するまでの間は例えばグレーアウト表示等により操作不能な状態で表示させ又は非表示とする。
【0099】
なお、前記表示領域A3には、前記確認対象薬品の補充数の入力に用いられる操作部K33及び操作部A34が表示されており、前記制御部11は、ユーザーによって前記確認対象薬品が補充される際に前記操作部K33又は前記操作部A34を用いて前記確認対象薬品の補充数が入力されると、当該補充数の前記確認対象薬品が補充された旨を補充履歴として前記記憶部12に記憶させる。なお、前記制御部11は、前記コード読取部7によって前記識別情報が読み取られた薬品の前記薬品包装部材における包装単位数を前記操作部A34に表示させてもよい。また、前記制御部11は、前記薬品払出動作における前記確認対象薬品の必要量を前記操作部A34に初期表示させてもよい。
【0100】
<ステップS8>
ステップS8において、前記制御部11は、前記確認対象薬品について、予め設定された特定の確認条件を充足するか否かを判断する。ここで、前記特定の確認条件を充足すると判断されると(S8:Yes)、処理がステップS9に移行し、前記特定の確認条件を充足すると判断されるまでの間は(S8:No)、処理がステップS8で待機する。
【0101】
例えば、前記特定の確認条件は、前記確認対象薬品の照合結果が一致であることである。具体的に、前記制御部11は、前記コード読取部7によって薬品の識別情報が読み取られると、当該薬品の識別情報と、前記確認対象薬品の識別情報とを照合する照合処理を実行する。ここで、前記制御部11は、前記照合処理による照合結果が一致である場合には、その旨を前記表示部13等に表示してユーザーに報知する。そして、ユーザーは、前記コード読取部7によって補充対象の薬品の前記薬品包装部材から当該薬品の識別情報を読み取った後、前記照合結果が一致である場合に、続けて当該薬品包装部剤に包装されている前記確認対象薬品を当該確認対象薬品に対応付けられた前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に補充する。これにより、ユーザーによる前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22への前記確認対象薬品の入れ間違いが抑止される。なお、前記確認対象薬品の識別情報は、例えば当該確認対象薬品に対応付けられた前記固定薬品収容部21の前記RFIDタグ(不図示)又は前記可変薬品収容部22の前記RFIDタグ26に記憶されている薬品の識別情報である。そして、前記制御部11は、前記照合処理による照合結果が一致である場合に前記特定の確認条件を充足すると判断する。なお、前記制御部11は、前記コード読取部7によって薬品の識別情報が読み取られた場合であっても前記照合結果が一致でない場合には、前記確認条件を充足しないと判断し、不一致エラーを示すメッセージ等を前記表示部13に表示する。
【0102】
また、前記制御部11は、前記照合処理の結果が一致であるという前記特定の確認条件が充足していない場合であっても、前記確認操作部K32の操作が行われた場合には、前記照合処理をスキップして前記特定の確認条件を充足すると判断する。即ち、前記確認操作部K32の操作を受け付けたことも前記特定の確認条件の一例である。ユーザーは、前記確認対象薬品について前記照合処理が不要であると判断した場合には、当該照合処理を省略して作業を進めることが可能である。例えば、ユーザーが、前記確認対象薬品を、当該確認対象薬品に対応付けられた前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に、前記薬品払出動作で必要な必要量が既に補充されていることを知っている場合に前記照合処理を省略したいと考えることがある。なお、前記制御部11は、予め初期設定などによって設定される照合スキップ機能の有効・無効の設定内容に基づいて前記確認操作部K32の表示の有無を切り替え、前記照合スキップ機能が無効である場合には前記照合処理を必須としてもよい。
【0103】
<ステップS9>
ステップS9において、前記制御部11は、前記ステップS8で前記特定の確認条件を充足すると判断された前記確認対象薬品について確認終了処理を実行し、処理をステップS5に戻す。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS8で前記照合処理の照合結果が一致であると判断された場合には、前記確認対象薬品についての照合結果が一致である旨が履歴情報として前記記憶部12に記憶される。また、前記制御部11は、前記ステップS8で前記確認操作部K32が操作されたと判断された場合には、前記確認対象薬品について前記照合処理がスキップされた旨が履歴情報として前記記憶部12に記憶される。
【0104】
<ステップS10>
前記ステップS6において、前記確認対象薬品が選択されていないと判断された場合(S6:No)、続くステップS10において、前記制御部11は、前記確認対象薬品の照合作業を完了するための完了操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記確認画面P2の前記操作部K2が操作された場合に前記完了操作が行われたと判断する。ここで、前記完了操作が行われたと判断すると(S10:Yes)、処理がステップS11に移行し、前記完了操作が行われていなければ(S10:No)、処理が前記ステップS6に戻される。
【0105】
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11の前記制限処理部113は、全ての前記確認対象薬品について前記特定の確認条件を充足しているか否かを判断する。ここで、全ての前記確認対象薬品について前記特定の確認条件を充足していると判断されると(S11:Yes)、処理がステップS12に移行し、全ての前記確認対象薬品について前記特定の確認条件を充足していると判断されなければ(S11:No)、処理がステップS111に移行する。
【0106】
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11の前記制限処理部113は、前記薬品払出データに基づく前記薬品払出動作の開始要求を前記制御部61に送信し、処理を前記ステップS1に戻す。これにより、前記制御部61は、前記薬品払出データに基づいて、前記薬品供給ユニット2から一又は複数の種類の薬品を払い出し、当該薬品を前記分包ユニット5によって分包単位で分包する前記薬品払出動作を実行する。
【0107】
このように、前記ステップS12は、前記ステップS11において前記特定の確認条件が充足していると判断された場合に実行される処理である。即ち、前記制御部11の前記制限処理部112は、前記ステップS11において、前記確認対象薬品について前記特定の確認条件が充足したと判断されるまでの間は、前記薬品払出動作の実行を制限する制限ステップを実行する。特に、前記制限処理部113は、前記確認対象薬品である前記払出対象の薬品の種類が複数である場合には、全ての前記確認対象薬品について前記特定の確認条件が充足するまで前記薬品払出動作の実行を制限する。そして、前記制限処理部113は、前記ステップS11において前記確認対象薬品について前記特定の確認条件が充足したと判断すると、前記薬品払出動作の実行の制限を解除し、前記薬品払出動作を実行させる。
【0108】
<ステップS111>
ステップS111において、前記制御部11は、前記確認対象薬品の存在を報知する。具体的に、前記制御部11は、
図16に示されるように、前記確認対象薬品が残っており当該確認対象薬品について前記特定の確認条件を充足する必要がある旨のメッセージ等の情報が表示される報知画面P31を、前記照合画面P3の上にポップアップ表示させる。そして、前記制御部11は、前記報知画面P31において所定の操作が行われると、処理を前記ステップS5に戻す。
【0109】
<ステップS21>
ところで、前記ステップS1で前記薬品払出データを発行すると判断されない場合には(S1:No)、続くステップS21において、前記制御部11は、前記薬品払出動作において薬品に欠品が発生したか否かを判断する。具体的に、前記制御部61は、前記薬品払出動作において、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22が薬品を払い出すための動作を開始してから予め設定された時間経過後までの間に薬品の払い出しが前記払出検出部225Aによって検出されなかった場合に当該薬品について欠品が発生していると判断する。そして、前記制御部61は、前記薬品について欠品が発生した場合には、前記薬品払出動作を中断すると共に、当該薬品の欠品を通知するための欠品通知情報を前記制御部11に送信する。前記欠品通知情報には、例えば前記薬品払出動作で欠品が発生した薬品の識別情報、及び前記薬品払出動作における当該薬品の不足数などの情報が含まれる。これにより、前記制御部11は、前記制御部61から前記欠品通知情報を受信した場合に、前記薬品払出動作において薬品に欠品が発生したこと、及び欠品が発生した薬品の識別情報を把握することが可能である。ここで、薬品に欠品が発生したと判断されると(S21:Yes)、処理がステップS22に移行し、薬品に欠品が発生していないと判断されると(S21:No)、処理がステップS1に戻される。
【0110】
なお、本実施形態では、前記払出検出部225Aが、前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22ごとに設けられているため、前記ステップS21において、前記制御部11は、前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22ごとに対応する種類の薬品ごとに欠品の発生の有無を判断することが可能である。なお、前記払出検出部225Aが、複数の前記固定薬品収容部21及び複数の前記可変薬品収容部22に共通して設けられる場合には、前記ステップS21において、前記薬品払出システム100全体として薬品の欠品の発生の有無が判断されてもよい。また、前記払出検出部225Aが、複数の前記固定薬品収容部21及び複数の前記可変薬品収容部22に共通して設けられる場合であっても、複数の前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22から同時に薬品が払い出されず、複数の前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22から時間差を設けて順に薬品が払い出される場合には、前記固定薬品収容部21及び前記可変薬品収容部22に対応する種類の薬品ごとに欠品の発生の有無を判断することが可能である。
【0111】
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部11は、ユーザーに薬品の補充を促すための薬品補充画面P1を前記表示部13に表示させる。ここで、
図17は、前記薬品補充画面P1の一例を示す図である。
図17に示されるように、前記制御部11は、前記薬品補充画面P1の表示領域A1に、薬品に欠品が生じた旨のメッセージを表示させる。また、
図17には、前記制御部11が、前記欠品通知情報に基づいて、前記表示領域A1に、前記ステップS21で欠品が発生したと判断された薬品の識別情報を表示させると共に、当該薬品の不足数を表示させている。これにより、ユーザーは、前記薬品M2を少なくとも7錠は補充する必要がある旨を把握することが可能である。また、
図17では、前記薬品の不足数が表示されているが、前記薬品の不足数に代えて、又は前記薬品の不足数と共に、前記薬品が補充前に包装されている薬箱、薬瓶、又はPTPシートなどの薬品包装部材における包装単位数が表示されてもよい。例えば、前記薬品包装部材が、1枚あたり10錠単位で錠剤が収容されているPTPシートである場合には、「10錠」が包装単位数として表示される。なお、前記薬品包装部材の包装単位数などの情報は、前記コード読取部により当該薬品包装部材から読み取られるコード情報に含まれていてもよく、前記薬品マスターD1等において薬品の種類ごとに予め登録されていてもよい。
【0112】
そして、前記制御部11は、前記薬品補充画面P1の前記表示領域A1に表示される操作部K1が操作されると、前記ステップS7と同様に前記照合画面P3を前記表示部13に表示させる。なお、このとき前記照合画面P3の前記表示領域A31には、前記確認対象薬品に代えて、前記ステップS21で欠品が発生したと判断された薬品の識別情報が表示される。その後、前記制御部11は、前記ステップS21で欠品が発生したと判断された薬品の識別情報と、前記コード読取部7によって読み取られる薬品の識別情報とを照合する補充照合処理を実行する。なお、前記補充照合処理は、欠品が発生した薬品が前記確認対象薬品である場合であっても前記確認対象薬品ではない場合であっても実行される。そして、前記補充照合処理の照合結果が一致であり、前記操作部K1が操作されると、前記制御部11は、前記ステップS21で欠品が発生したと判断された薬品について前記操作部A34に表示されている補充数だけ補充された旨が履歴情報として前記記憶部12に記憶した後、前記照合画面P3を閉じて前記薬品補充画面P1を再度表示する。
【0113】
なお、前記制御部11は、前記薬品払出システム100の初期設定などにおいて、前記補充照合処理を実行するか否かをユーザー操作に応じて設定することが可能である。具体的に、前記補充照合処理を実行する旨が設定されている場合には、全ての種類の薬品について欠品発生時に前記補充照合処理が実行され、前記補充照合処理を実行しない旨が設定されている場合には、全ての種類の薬品について欠品発生時に前記補充支援処理が実行されない。なお、他の実施形態として、前記制御部11は、前記ステップS23における前記補充支援処理を実行しない旨が設定されている場合であっても、欠品が発生した薬品が前記確認対象薬品である場合には、前記補充支援処理を実行してもよい。
【0114】
そして、前記制御部11は、前記薬品補充画面P1の前記表示領域A1に表示される操作部K2が操作されると、前記制御部61に前記薬品払出動作の再開指示を送信し、処理を前記ステップS1に戻す。これにより、前記制御部61は、中断していた前記薬品払出動作を再開する。
【0115】
このように構成された前記薬品払出システム100では、前記薬品払出データに基づく前記薬品払出動作が実行される際に、当該薬品払出動作における必要量の薬品が前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に補充されていない場合には、当該薬品払出動作が開始された後、当該薬品の欠品が検出されて当該薬品払出動作が中断する。そして、欠品が検出された薬品が前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に補充され、前記薬品補充画面P1における前記操作部K2が操作されると、前記薬品払出動作が再開することになる。特に、払出頻度が低い薬品又は湿気に弱い薬品などについては、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22への一度の補充量を少なくすることがある。この場合、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に薬品が収容されていない場合、又は収容されている薬品が少ない可能性が高く、前記薬品払出動作の開始前に薬品が補充されなければ、前記薬品払出動作の開始後に当該薬品払出動作の中断、再開が必要となる可能性が高い。
【0116】
これに対し、本実施形態に係る前記薬品払出システム100では、一度の補充量が少ない特定の薬品、又は払い出しが必要になる場合にその都度補充される特定の薬品などを前記確認対象薬品として設定しておけば、前記薬品払出動作の開始前にユーザーに当該確認対象薬品の存在を報知して確認を促すことが可能である。従って、前記確認対象薬品として登録された特定の薬品について、当該特定の薬品が前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に補充されないまま前記薬品払出動作が開始され、薬品の欠品が生じて当該薬品払出動作の中断、再開が行われることが抑止される。
【0117】
ところで、例えば前記薬品払出データに含まれる全ての払出対象の薬品について前記特定の確認条件が充足しなければ前記薬品払出動作が開始できない構成も考えられるが、この場合には、ユーザーが全ての薬品について前記特定の確認条件を充足させるための作業を行う必要があり作業負担が大きくなる。また、例えば前記薬品払出データに含まれる全ての払出対象の薬品について前記特定の確認条件が充足しなくても前記薬品払出動作を開始可能な構成も考えられるが、この場合には、前記薬品払出動作の開始時にユーザーが誤った薬品を前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に補充するおそれがある。これに対し、前記薬品払出システム100によれば、ユーザーは、前記薬品払出動作の開始前に、前記確認対象薬品として設定された薬品のみについて前記特定の確認条件を充足させるための作業を行えばよいため、全ての薬品を対象にする場合に比べてユーザーによる確認作業の作業負担が軽い。そして、前記確認対象薬品については、前記薬品払出動作の開始前に、前記特定の確認条件を充足させるための前記照合処理などが実行されるため、ユーザーによる前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22への薬品の入れ間違いも抑止される。即ち、前記確認対象薬品については、欠品発生時に前記充填照合処理によって入れ間違いが抑止されるだけでなく、補充される可能性の高い前記薬品払出動作の開始前のタイミングでも、前記照合処理によって薬品の入れ間違いが抑止されることになる。
【0118】
また、前記薬品払出システム100において、前記制御部11が、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に残存する薬品量を管理することも考えられる。例えば、前記制御部11は、前記固定薬品収容部21又は前記可変薬品収容部22に薬品を補充する際に薬品の補充量を理論在庫量として記憶した後、当該薬品が払い出された数を前記理論在庫量から引くことにより当該理論在庫量を更新する。この場合、前記制御部11は、前記ステップS4で前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合であっても、当該確認対象薬品の前記理論在庫量が前記薬品払出データに基づく前記薬品払出動作における必要量以上である場合には、前記確認画面P2及び前記照合画面P3などを表示しないことが考えられる。さらに、前記制御部11は、前記ステップS4で前記払出対象の薬品が前記確認対象薬品であると判定された場合であっても、当該確認対象薬品の前記理論在庫量が前記薬品払出データに基づく前記薬品払出動作における必要量以上であるだけでなく、さらに前記確認対象薬品の補充日時から現時点までの経過時間が所定時間以内である場合に、前記確認画面P2及び前記照合画面P3などを表示しないことも考えられる。