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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】勤怠管理サーバ及び勤怠管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1091 20230101AFI20240724BHJP
   G06Q 10/0631 20230101ALI20240724BHJP
【FI】
G06Q10/1091
G06Q10/0631
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020079861
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021174411
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】519223240
【氏名又は名称】株式会社ラクロー
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 奈緒己
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156207(JP,A)
【文献】特開2014-048940(JP,A)
【文献】特開2010-176456(JP,A)
【文献】特開2012-141766(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104282050(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報を所定の間隔で取得する交通情報取得部と、
社員の交通経路情報と業務時間情報とを少なくとも格納する記憶部と、
前記社員の出勤時刻を取得する出勤時刻取得部と、
取得された前記出勤時刻に基づいて前記社員の勤怠管理を行う勤怠管理部と、
取得した前記交通情報及び前記出勤時刻に基づいて前記勤怠管理を補正する補正部と、
前記社員に関して、特定の時刻に特定の場所にいたことを証明する二次情報を取得する二次情報取得部と、
取得した前記二次情報と前記出勤時刻とを比較し、取得した前記二次情報の種別に基づいて整合性を評価する評価部と、
を備える、勤怠管理サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の勤怠管理サーバであって、
前記交通情報には、少なくとも路線又は所定駅間における遅延時間情報が含まれており、
前記交通経路情報には、前記社員の利用路線情報及び利用駅情報が含まれており、
前記補正部は、前記利用路線情報及び利用駅情報と、前記遅延時間情報とに基づいて当該遅延の影響を受ける前記社員を特定して、当該社員に関る前記勤怠管理の補正を行う、
勤怠管理サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の勤怠管理サーバであって、
前記補正部は、前記社員の前記出勤時刻が前記遅延時間情報に基づいて算出された遅延時間内である場合には、遅刻の処理を行わない、
勤怠管理サーバ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員による前記補正に対する承認を受け付ける承認受付部を更に備える、
勤怠管理サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員による前記補正に対する編集を受け付ける編集受付部を更に備える、
勤怠管理サーバ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員から、少なくとも、出勤の有無、出勤時刻又は出勤地の少なくともいずれかに関する事前申請を受け付ける申請受付部を更に備え、
前記勤怠管理部は、前記事前申請に基づいて前記社員の勤怠管理を行い、
前記補正部は、前記事前申請をも考慮して前記勤怠管理を補正する、
勤怠管理サーバ。
【請求項7】
交通情報を提供する交通情報提供サーバと、社員の勤怠を関する勤怠管理サーバとを含む、勤怠管理システムであって、
前記交通情報提供サーバは、
リクエストに応じて少なくとも路線又は所定駅間における遅延時間情報を提供し、
前記勤怠管理サーバは、
前記社員の交通経路情報と業務時間情報とを少なくとも保有しており、
前記社員の出勤時刻を取得し、
取得された前記出勤時刻に基づいて前記社員の勤怠管理を行い、
取得した前記遅延時間情報と前記出勤時刻とに基づいて前記勤怠管理を補正
前記社員に関して、特定の時刻に特定の場所にいたことを証明する二次情報を取得し、
取得した前記二次情報と前記出勤時刻とを比較し、取得した前記二次情報の種別に基づいて整合性を評価する、
勤怠管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は勤怠管理サーバ及び勤怠管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが利用する交通機関の遅延を自動的に反映させることによって出勤時刻または退勤時刻の記録を行う技術が提案されている(特許文献1及び特許文献2)。
【0003】
特許文献1には、ユーザが取得した遅延証明書をスキャンすることにより遅延情報を取得して、ユーザが利用する交通機関の遅延を自動的に反映させて、出勤時刻または退勤時刻の記録を行う時間情報を修正する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、電車の遅延情報が電車内端末を介してユーザの携帯端末に通知され、当該ユーザが遅延証明の発行を依頼すると、該端末から電車内端末に対して端末の所有者の氏名(ユーザの氏名),ユーザの所属する会社のサーバHPアドレス,社員番号などの個人情報に基づき、電車管理サーバにて遅延証明データが生成され、対応する会社勤怠管理サーバの送信通知される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-156207号公報
【文献】特開2002-245133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術は、いずれも、ユーザが取得した遅延証明や、ユーザから依頼されて発行された遅延証明を利用して、勤怠情報を修正することとしている技術である。遅延情報の勤怠への反映をユーザ起点により行うこととした場合は、ユーザによる手続の負担の問題や(遅刻をして時間的にひっ迫している状態や、必ずしもユーザが端末を所持していない場合には利用できない状態)、ユーザによる誤操作や不正申告等の問題が生じ得る。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザに負担をかけることなく適切な勤怠情報の管理を行う技術を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
交通情報を所定の間隔で取得する交通情報取得部と、
社員の交通経路情報と業務時間情報とを少なくとも格納する記憶部と、
前記社員の出勤時刻を取得する出勤時刻取得部と、
取得された前記出勤時刻に基づいて前記社員の勤怠管理を行う勤怠管理部と、
取得した前記交通情報及び前記出勤時刻に基づいて前記勤怠管理を補正する補正部と、を備える、
勤怠管理サーバが得られる。
【0009】
また、本発明によれば、
運行情報を提供する運行情報提供サーバと、社員の勤怠を関する勤怠管理サーバとを含む、勤怠管理システムであって、
前記運行情報提供サーバは、
リクエストに応じて少なくとも路線又は所定駅間における遅延時間情報を提供し、
前記勤怠管理サーバは、
前記社員の交通経路情報と業務時間情報とを少なくとも保有しており、
前記社員の出勤時刻を取得し、
取得された前記出勤時刻に基づいて前記社員の勤怠管理を行い、
取得した前記遅延時間情報と前記出勤時刻とに基づいて前記勤怠管理を補正する、
勤怠管理システムが得られる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザが遅延証明を取得することなく、会社側の勤怠管理サーバが自ら運行情報を取得して、予め登録されたユーザの通勤経路情報を参照し、遅延の影響を受けているユーザ(社員)に対して自動で勤怠情報を補正することとしたため、ユーザによる負担をなくすことができ、かつユーザによる誤操作や不正申告等を行うことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態によるシステムの構成例を示す図である。
図2図1のシステムに用いられる運行情報提供サーバである。
図3図1のシステムに用いられる勤怠管理サーバである。
図4図3の勤怠管理サーバの処理ブロック図である。
図5図4の記憶部に格納される通勤経路データベースを示す図である。
図6図1のシステムの処理の流れを示す図である。
図7図6に示される補正後の勤怠管理情報のデータ内容を示す図である。
図8図1のシステムをバス通勤に適用した図である。
図9図1のシステムをバス通勤に適用した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、以下のような構成を備える。
[項目1]
交通情報を所定の間隔で取得する交通情報取得部と、
社員の交通経路情報と業務時間情報とを少なくとも格納する記憶部と、
前記社員の出勤時刻を取得する出勤時刻取得部と、
取得された前記出勤時刻に基づいて前記社員の勤怠管理を行う勤怠管理部と、
取得した前記交通情報及び前記出勤時刻に基づいて前記勤怠管理を補正する補正部と、を備える、
勤怠管理サーバ。
[項目2]
項目1に記載の勤怠管理サーバであって、
前記交通情報には、少なくとも路線又は所定駅間における遅延時間情報が含まれており、
前記交通経路情報には、前記社員の利用路線情報及び利用駅情報が含まれており、
前記補正部は、前記利用路線情報及び利用駅情報と、前記遅延時間情報とに基づいて当該遅延の影響を受ける前記社員を特定して、当該社員に関る前記勤怠管理の補正を行う、
勤怠管理サーバ。
[項目3]
項目2に記載の勤怠管理サーバであって、
前記補正部は、前記社員の前記出勤時刻が前記遅延時間情報に基づいて算出された遅延時間内である場合には、遅刻の処理を行わない、
勤怠管理サーバ。
[項目4]
項目1乃至項目3のいずれかに記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員による前記補正に対する承認を受け付ける承認受付部を更に備える、
勤怠管理サーバ。
[項目5]
項目4に記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員による前記補正に対する編集を受け付ける編集受付部を更に備える、
勤怠管理サーバ。
[項目6]
項目1乃至項目5のいずれかに記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員に関して、特定の時刻に特定の場所にいたことを証明する二次情報を取得する二次情報取得部と、
取得した前記二次情報と前記出勤時刻とを比較し整合性を評価する評価部と、を更に備える、
勤怠管理サーバ。
[項目7]
項目6に記載の勤怠管理サーバであって、
前記評価は、取得した前記二次情報の種別に基づいて定められる、
勤怠管理サーバ。
[項目8]
項目1乃至項目7のいずれかに記載の勤怠管理サーバであって、
前記社員から、少なくとも、出勤の有無、出勤時刻又は出勤地の少なくともいずれかに関する事前申請を受け付ける申請受付部を更に備え、
前記勤怠管理部は、前記事前申請に基づいて前記社員の勤怠管理を行い、
前記補正部は、前記事前申請をも考慮して前記勤怠管理を補正する、
勤怠管理サーバ。
[項目9]
交通情報を提供する交通情報提供サーバと、社員の勤怠を関する勤怠管理サーバとを含む、勤怠管理システムであって、
前記交通情報提供サーバは、
リクエストに応じて少なくとも路線又は所定駅間における遅延時間情報を提供し、
前記勤怠管理サーバは、
前記社員の交通経路情報と業務時間情報とを少なくとも保有しており、
前記社員の出勤時刻を取得し、
取得された前記出勤時刻に基づいて前記社員の勤怠管理を行い、
取得した前記遅延時間情報と前記出勤時刻とに基づいて前記勤怠管理を補正する、
勤怠管理システムが得られる。
【0013】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<概要>
本発明の実施の形態によるシステムは、社員(ユーザ)による出退勤情報に基づいて社員の勤怠を管理する技術に関し、特に、出社してから到着までの間において発生した交通事情によって出勤時刻(到着時刻)が影響を受けた場合に、その事情を自動で勤怠に反映させる。例えば、電車通勤であれば自宅最寄り駅から勤務先の最寄り駅までの間において発生した電車の遅延状況や、バス通勤であれば最寄りのバス停留所から勤務先の最寄りのバス停留所までの間において発生した遅延状況や、自動車通勤の場合には自宅から勤務先までの間における渋滞状況や事故状況などが考慮され得る。即ち、本発明によれば、ユーザが遅延証明等や道路事情の情報を共有する必要なく、会社側の勤怠管理サーバが自ら運行情報を取得し、予め登録されたユーザの通勤経路情報を参照して、遅延の影響を受けている社員に対して自動で勤怠情報を補正する。かかる構成により、社員による負担をなくすことができ、かつ社員による誤操作や不正申告等を行うことを防止できる。
【0015】
<構成>
以下、電車通勤を例にとって説明する。図1に示されるように、本システムは、運行情報提供サーバ1と、勤怠管理サーバ2と、これらを通信可能に接続するネットワークを備えている。
【0016】
<ハードウェア構成>
本実施の形態による、運行情報提供サーバ1と、勤怠管理サーバ2とは、以下のようなハードウェア構成を有する。なお、以下の構成は一例であり、これ以外の構成を有していても良い。
【0017】
<運行情報提供サーバ1>
図2に示されるように、運行情報提供サーバ1は、勤怠管理サーバ2と通信を介して情報処理を実行することにより、システムの一部を構成する。運行情報提供サーバ1は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、或いはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。なお、本実施の形態による運行情報提供サーバ1は、各鉄道会社が公開している運行情報や、所定の事業者が公開している運行情報や、一般ユーザから寄せられるリアルタイム運行状況等の情報を集約して構成された運行情報等を適宜利用することが可能である。
【0018】
運行情報提供サーバ1は、少なくとも、プロセッサ10、メモリ11、ストレージ12、送受信部13、入出力部14等を備え、これらはバス15を通じて相互に電気的に接続される。
【0019】
プロセッサ10は、運行情報提供サーバ1全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えばプロセッサ10はCPU(Central Processing Unit)であり、ストレージ12に格納されメモリ11に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0020】
メモリ11は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ11は、プロセッサ10のワークエリア等として使用され、また、運行情報提供サーバ1の起動時に実行されるBIOS(Basic Input / Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0021】
ストレージ12は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータや運行情報等を格納したデータベースがストレージ22に構築されていてもよい。
【0022】
送受信部13は、運行情報提供サーバ1をネットワーク3に接続する。なお、送受信部13は、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の近距離通信インタフェースを備えていてもよい。本実施の形態による運行情報は、当該送受信部13を介して所定のリクエストに応じて必要な運行情報を提供するAPI(Application Programming Interface)として提供されていてもよい。
【0023】
入出力部14は、必要に応じて使用するキーボード・マウス類等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0024】
バス15は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0025】
<勤怠管理サーバ2>
図3に示されるように、勤怠管理サーバ2は、運行情報提供サーバ1と通信を介して情報処理を実行することにより、システムの一部を構成する。勤怠管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータであってもよい。
【0026】
勤怠管理サーバ2は、少なくとも、プロセッサ20、メモリ21、ストレージ22、送受信部23、入出力部24等を備え、これらはバス25を通じて相互に電気的に接続される。本実施の形態による勤怠管理サーバ2は、上述した運行情報提供サーバ1と同様の構成を採用することができるが、特に異なる点としては、入出力部24として社員の勤怠情報(例えば打刻情報や会社インフラヘのログイン情報等)を入力可能となっている点である。
【0027】
<機能>
図4に示されるように、勤怠管理サーバ2は、運行情報を取得する運行情報取得部200と、社員の交通経路情報と、業務時間情報とを少なくとも格納する記憶部201と、社員の出勤時刻を取得する出勤時刻取得部202と、取得された出勤時刻に基づいて社員の勤怠の記録及び履歴の管理を行う勤怠管理部203と、取得した運行情報及び出勤時刻に基づいて勤怠の記録及び履歴を補正する補正部210と、補正部210による補正処理について社員(本人や上司や人事担当者等を含む)から承認を受け付ける承認受付部220と、補正処理の編集を受け付ける編集受付部230を備えている。
【0028】
本実施の形態による運行情報には、少なくとも鉄道の路線毎に遅延の有無や遅延時間に関する情報が含まれている。また、所定駅間における遅延時間情報が含まれていてもよい。交通経路情報には、社員の利用する路線情報や出発駅の情報、乗換駅の情報、到着駅の情報等の利用駅情報が含まれている。業務時間情報は当該社員が雇用契約で定められている出勤すべき時刻に関する情報が含まれている。
【0029】
なお、出勤すべき時間には例えば、出勤の有無、出勤時刻又は出勤地の少なくともいずれかに関する事前申請が反映されていてもよい。例えば、午前休暇を取得していた場合や、遅刻の申請など、業務を開始すべき時間に変更がある場合には当該変更が反映されたものが出勤すべき時刻となる。なお、そもそも全日休暇を取得していた場合には勤怠補正自体を行う必要はない。また例えば、支店や現場等へ直行しなければならない場合についても同様である。即ち、どこで何時から業務を開始するか、について定められた場所と時間によって出勤時刻は定められる。
【0030】
本実施の形態による補正部202は、利用路線情報及び利用駅情報と、遅延時間情報とに基づいて遅延の影響を受ける社員を特定して、社員に関る前記勤怠管理の補正を行う。具体的には、補正部202は、記社員の前記出勤時刻が前記遅延時間情報に基づいて算出された遅延時間内である場合には、遅刻の処理を行わないこととしている。
【0031】
図5に示されるように、交通経路情報は、社員の氏名、会社の最寄駅(複数ある場合にはいずれか一の降車駅を登録する)、利用路線、乗車駅(自宅の最寄り駅等)が登録されている。なお、図示されるデータテーブルの一例は、説明を簡単にするために利用路線が1つの場合を説明しているが、乗換等によって複数路線を利用する社員の場合は乗換駅の情報や乗換前後に利用する路線情報が登録されることとしてもよい。
【0032】
続いて、図6を参照して具体的な処理を説明する。運行管理サーバ1は、勤怠管理サーバ2に対して、(自動で又はリクエストに応じて)運行情報を提供する(ステップS601)。勤怠管理サーバ2は、社員から出勤時刻を取得し(ステップS602)、遅延の影響を受ける社員であれば、勤怠管理(勤怠記録)を補正する(ステップS603)。本実施の形態においては、補正が行われた際に、社員本人や、本人の上司や人事部門の担当者等しかるべき権限を有する者に対して問い合わせを送信する(ステップS604、S605)。なお当該ステップは省略することとしてもよい。承認や編集が終わると、補正された勤怠管理情報が登録されることとなる(ステップS606)。
【0033】
図5及び図7を参照して、具体例を説明する。例えば、会社の最寄り駅が田町駅及び三田駅である会社の社員である、鈴木一郎、佐藤二郎、田中三郎の交通経路情報は図5に示されるとおりである。勤怠管理サーバ2は、山手線において20分の遅延が生じ、三田線において15分の遅延が生じていることを運行情報提供サーバ1より取得する。
【0034】
山手線を利用して遅延の影響を受ける鈴木一郎の始業時間は9:00であり、この日の出勤時間は9:12であった。通常であれば始業時間よりも12分の遅刻であることから勤怠のレコードには遅刻が登録される。しかしながら、利用している山手線が20分遅延していたということは、本来であれば、鈴木一郎は、始業時間前である8:52には会社に到着していたはずであるため、補正後の勤怠は正常となる。
【0035】
一方、山手線を利用して遅延の影響を受ける佐藤二郎の場合、始業時間は9:00であり、この日の出勤時間は9:30であった。通常であれば始業時間よりも30分の遅刻であることから勤怠のレコードには遅刻が登録される。しかしながら、佐藤二郎の出勤時間は山手線の遅延時間である20分よりも10分多い30分の遅刻である。即ち、佐藤二郎は、仮に山手線の遅延がなかった場合でも、出勤時間は9:10であった可能性が高く始業時間である9:00には会社に到着していなかった可能性が高いため、補正後の勤怠も依然として遅刻となる。なお、実際には、電車遅延時には駅のホームや改札等が混雑することが多いことから、補正によって遅刻としない許容範囲内を「遅延時間+所定時間」というようにバッファを持たせることとしてもよい。また、佐藤二郎は、30分遅れたことについて、正当な理由の申請と共に(上司等の許可を得た上で)編集等行うこととしてもよい。
【0036】
なお、三田線を利用して遅延の影響を受ける田中三郎の始業時間は9:00であり、遅延があったにも関わらずこの日の出勤時間は8:50であった。この場合、遅延の影響を受けていたものの始業時間前には会社に到着しているため勤怠は正常となり、特に補正はなされない。
【0037】
更に、上述したように、事前申請によって通常とは異なる場所へ直行出勤していた場合には、当該出勤場所への経路において遅延が生じていたかを取得することとすればよい。
【0038】
<二次情報の利用>
上述した説明は、運行管理サーバ1からの情報のみを利用して遅延状況を自動で把握することとしていた。しかしながら、例えば、他の方法によって当該遅延状況を補完することとしてもよい。例えば、交通機関が発行する電子決済用のカードや社員のスマートフォンのGPS機能等、特定の時刻に特定の場所(駅)にいたことを証明する二次情報を勤怠管理サーバ2が収集し、取得した出勤時刻と比較することにより、遅延時間との整合性を評価することとしてもよい。
【0039】
この場合、例えば、交通機関が発行する電子決済用のカードの場合、本人が所持していれば、その社員の経路を確度にトレースすることが可能となるため、信頼度の高い二次情報と言える。一方、スマートフォンの位置情報の場合、数キロ単位で誤差が生じてしまう場合もあることから、信頼度は中程度と言える。このように、二次情報の種別に基づいて整合性の確からしさを評価することとしてもよい。また、これらの情報は、社員から提供されることによって、承認の否決操作や、編集作業等における証拠として用いることとしてもよい。
【0040】
以上説明した例は、電車の遅延に関するものであったが、バス通勤や自動車通勤についても同様の処理を行うことが可能である。以下、図8及び図9を例に説明する。
【0041】
図8に示されるように、バス停留所A乃至Dの路線があり、かつこの路線を通勤経路としている場合、運行管理サーバ1は、各区間のバスの遅延状況や道路交通状況などを収集し、勤怠管理サーバ2に提供可能にされている。運行管理サーバ1としては、例えばバス会社等が各バスに設けられたGPSやバス無線等を利用して把握することとしてもよい。
【0042】
図示される例においては、AB間で4分遅れ、CD間で5分の遅れが発生している。当該社員は合計9分遅れの影響を受けることとなるため、勤怠の補正に際しては、9分(9分+α)以内の遅れであれば、遅刻処理等にはしないこととなる。
【0043】
図9に示されるように、自宅Pから、インターチェンジQ及びR間の高速道路を利用して、会社駐車場Sまで通勤する場合は、道路交通情報等を公開提供する道路交通サーバ11が各道路状況を収集し、勤怠管理サーバ2に提供可能にされている。
【0044】
図示される例においては、QR間において2kmの渋滞が発生し、通過に20分かかる情報が提供されている。当該社員は合計20分遅れの影響を受けることとなるため、勤怠の補正に際しては、9分(9分+α)以内の遅れであれば、遅刻処理等にはしないこととなる。
【0045】
以上説明したように、本発明によれば、ユーザが遅延証明を取得することなく、会社側の勤怠管理サーバが自ら運行情報を取得して、予め登録されたユーザの通勤経路情報を参照し、遅延の影響を受けているユーザ(社員)に対して自動で勤怠情報を補正することとしたため、ユーザによる負担をなくすことができ、かつユーザによる誤操作や不正申告等を行うことを防止できる。
【0046】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 運行情報提供サーバ
11 道路交通サーバ
2 勤怠管理サーバ
4 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9