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特許7525878積層型半導体装置及びこれに用いる搭載部品、基体及びバンプ接続体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】積層型半導体装置及びこれに用いる搭載部品、基体及びバンプ接続体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240724BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240724BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240724BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240724BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20240724BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240724BHJP
【FI】
H01L21/92 602R
H01L27/146 D
H01L21/92 602C
H01L23/12 Z
H01L25/08 B
H01L21/60 311Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020104924
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197519
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】313003358
【氏名又は名称】東北マイクロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100218280
【弁理士】
【氏名又は名称】安保 亜衣子
(74)【代理人】
【識別番号】100108914
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
(74)【代理人】
【識別番号】100173864
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】元吉 真
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/105432(WO,A1)
【文献】特開平09-092651(JP,A)
【文献】特開平09-129648(JP,A)
【文献】特開平09-116249(JP,A)
【文献】特開2000-183507(JP,A)
【文献】特表2016-512929(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 27/146
H01L 23/12
H01L 25/07
H01L 23/065
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板搭載面、該基板搭載面に対向する基体裏面を有し、主基板回路を設けた主基板と、
搭載素子側回路及び前記基板搭載面に対峙した接続面を有する搭載素子と、
前記基板搭載面に設けられ、前記基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、前記主基板回路に電気的に接続された親バンプと、
前記接続面に設けられ、第1層と該第1層よりも硬度が高い第2層との積層構造を含む多層構造からなり、前記接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し前記搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプであって、前記接続面の法線方向から見た平面パターンにおける前記基体側曲面と前記リペア側曲面の交点において、前記基体側曲面にナイフ・エッジのような深い切れ込みを設けて前記親バンプと互いに食い込み合うリペアバンプと、
を備え、前記第1層の厚さは、前記第2層の厚さより薄く、前記互いに食い込み合った前記基体側曲面と前記リペア側曲面の交点と該交点の近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれていることを特徴とする積層型半導体装置。
【請求項2】
前記基体側曲面、互いに硬度の異なる2層以上の導電体層の積層構造を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層型半導体装置。
【請求項3】
基板搭載面、該基板搭載面に対向する基体裏面を有し、マクロ格子に沿って複数の主基板回路を配列した主基板と、前記基板搭載面に前記マクロ格子とメッシュ数の等しい、若しくは前記マクロ格子をピッチ変換したピッチの接続用格子が定義され、該接続用格子に沿って設けられ、前記基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、前記主基板回路に電気的に接続された複数の親バンプとを有する基体にのみに搭載されるように用意された複数の搭載部品であって、該複数の搭載部品のそれぞれは、
搭載素子側回路及び前記基板搭載面に対峙した接続面を有する搭載素子と、
前記接続面に設けられ、第1層と該第1層よりも硬度が高い第2層との積層構造を含む多層構造からなり、前記接続面に垂直な壁状のリペア側曲面をそれぞれ有し前記搭載素子側回路に電気的にそれぞれ接続された複数のリペアバンプ
を備え、前記第1層の厚さは、前記第2層の厚さより薄く、前記接続面に垂直方向から見た平面パターンにおける前記基体側曲面のそれぞれと対応する前記リペア側曲面のそれぞれの交点において、前記基体側曲面のそれぞれにナイフ・エッジのような深い切れ込みを設けて前記複数の親バンプのそれぞれと互いに食い込み合うことが可能な位置関係となるように、複数のリペアバンプが設計されて配置されていることを特徴とする搭載部品。
【請求項4】
接続面及び搭載素子側回路をそれぞれ設けた複数の搭載素子と、前記接続面に設けられ、前記接続面に垂直な壁状のリペア側曲面をそれぞれ有し前記搭載素子側回路に電気的に接続された複数のリペアバンプとを有する複数の搭載部品のみ基板搭載格子に沿って搭載するように用意された基体であって、
前記接続面に対向して前記搭載部品を搭載する基板搭載面、該基板搭載面に対向する基体裏面を有し、前記基板搭載格子よりもメッシュ数の多いマクロ格子に沿って複数の主基板回路を配列した主基板と、
前記基板搭載面に前記マクロ格子とメッシュ数の等しい、若しくは前記マクロ格子をピッチ変換したピッチの接続用格子が定義され、該接続用格子に沿って設けられ、第1層と該第1層よりも硬度が高い第2層との積層構造を含む多層構造からそれぞれなり、前記基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面をそれぞれ有し、前記主基板回路のそれぞれに電気的に接続された複数の親バンプと、
を備え、前記基板搭載面の法線方向から見た平面パターンにおける前記基体側曲面のそれぞれと対応する前記リペア側曲面のそれぞれの交点において、前記リペア側曲面のそれぞれにナイフ・エッジのような深い切れ込みが設けられることにより前記複数のリペアバンプと互いに食い込み合うことが可能な位置関係となるように設計されて配置されていることを特徴とする基体。
【請求項5】
基板搭載面、該基板搭載面に対向する基体裏面を有し主基板回路を設けた主基板と、接続面及び搭載素子側回路を有する搭載素子とを互いに結合し、前記主基板回路と前記搭載素子側回路を電気的に接続するバンプ接続体であって、
前記基板搭載面に設けられ、前記基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、前記主基板回路に電気的に接続された親バンプと、
前記接続面に設けられ、第1層と該第1層よりも硬度が高い第2層との積層構造を含む多層構造からなり、前記接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し前記搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプであって、前記接続面の法線方向から見た平面パターンにおける前記基体側曲面と前記リペア側曲面の交点において、前記基体側曲面にナイフ・エッジのような深い切れ込みを設けて前記親バンプと互いに食い込み合うリペアバンプと、
を備え、前記第1層の厚さは、前記第2層の厚さより薄く、前記互いに食い込み合った前記基体側曲面と前記リペア側曲面の交点と該交点の近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれていることを特徴とするバンプ接続体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型半導体装置及びこれに用いる搭載部品、基体及びバンプ接続体に係り、特に大口径の主基板とこの主基板に搭載される搭載チップとの積層構造を有する積層型半導体装置のリペア技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画素電極を含むアクティブマトリクス基板と、各画素電極に接続する導電性バンプによりアクティブマトリクス基板に貼り合わせられた対向基板とを有する放射線二次元検出器を開示する。このようなフリップチップボンディングでは、画素電極のピッチが微細になると均一なバンプにより接続を行うことが困難になる問題があった。これに対して、特許文献2は、搭載チップとなる信号読出チップの各画素電極と対向基板との間を接続する筒状電極により、接続を確実に行うことができる固体検出器を開示する。
【0003】
しかしながら、大口径の主基板に小口径の搭載チップを複数枚搭載する積層型半導体装置では、微細な搭載チップ側回路が集積化された搭載チップに不良があると、積層型半導体装置が動作しなくなる問題があった。イメージセンサ等に用いる大口径の主基板では、検出素子を画素として配置した主基板は緩いデザインルールで作ることができ、搭載チップ側回路的にもシンプルであるので製造が容易で、不良の発生する確率が低い。又、主基板の主基板回路や接続配線等に不良があってもランダムで、主基板の出力にはほとんど見えてこない。
【0004】
一方、大口径の主基板に搭載される搭載チップは集積度が高く、主基板より遙かに細かなデザインルールで製造されるので、不良の発生の確率が高い。しかし、バンプ等による接続で主基板に搭載チップを搭載して試験することによって、はじめて搭載チップに集積化された搭載チップ側回路の良否が分かる。このため、搭載チップで不良率が高い場合やブロック不良がある場合、積層型半導体装置の全体の不良になり、製造効率が悪く、主基板や主基板に搭載された正常動作している搭載チップが無駄に浪費されてしまう。
【0005】
斯かる事情を鑑みると、不良な搭載チップのみを主基板から剥がして、不良な搭載チップのみを別の正常動作する搭載チップに交換することが望まれる。しかしながら、現在の技術レベルにおいて、不良がある場合に簡単に特定の搭載チップのみを剥がして別の搭載チップが簡単に接続できるバンプ等は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2014/006812号
【文献】国際公開第2017/081798号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑み、主基板に搭載される搭載素子のリペアの処理が容易、且つ多数回のリペア処理が可能で製造時間が短縮され、資源の浪費を防ぐことが可能な積層型半導体装置及びこれに用いる搭載部品、基体及びバンプ接続体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(a)基板搭載面、この基板搭載面に対向する基体裏面を有し、主基板回路を設けた主基板と、(b)搭載素子側回路及び基板搭載面に対峙した接続面を有する搭載素子と、(c)基板搭載面に設けられ、基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、主基板回路に電気的に接続された親バンプと、(d)接続面に設けられ、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプであって、接続面の法線方向から見た平面パターンにおける基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプと互いに食い込み合うリペアバンプを備える積層型半導体装置であることを要旨とする。本発明の第1の態様に係る積層型半導体装置の互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、基板搭載面、この基板搭載面に対向する基体裏面を有し、主基板回路を設けた主基板と、基板搭載面に設けられ、基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、主基板回路に電気的に接続された親バンプとを有する基体に搭載される搭載部品に関する。本発明の第2の態様に係る搭載部品は、搭載素子側回路及び基板搭載面に対峙した接続面を有する搭載素子と、接続面に設けられた接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプであって、接続面に垂直方向から見た平面パターンにおける基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプと互いに食い込み合うリペアバンプを備える。本発明の第2の態様に係る搭載部品において、基体側曲面とリペア側曲面の交点において、リペアバンプに親バンプよりも硬度の高い導電体が含まれていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、接続面及び搭載素子側回路を有する搭載素子と、接続面に設けられ、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプとを有する搭載部品を搭載する基体に関する。本発明の第3の態様に係る基体は、接続面に対向して搭載部品を搭載する基板搭載面、この基板搭載面に対向する基体裏面を有し、主基板回路を設けた主基板と、基板搭載面に設けられ、基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、主基板回路に電気的に接続された親バンプであって、基板搭載面の法線方向から見た平面パターンにおける基体側曲面とリペア側曲面の交点において、リペアバンプと互いに食い込み合う親バンプを備える。本発明の第3の態様に係る基体において、基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプにリペアバンプよりも硬度の高い導電体が含まれていることを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の態様は、基板搭載面、この基板搭載面に対向する基体裏面を有し主基板回路を設けた主基板と、接続面及び搭載素子側回路を有する搭載素子とを互いに結合し、主基板回路と搭載素子側回路を電気的に接続するバンプ接続体に関する。本発明の第4の態様に係るバンプ接続体は、基板搭載面に設けられ、基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有し、主基板回路に電気的に接続された親バンプと、接続面に設けられ、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプであって、接続面の法線方向から見た平面パターンにおける基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプと互いに食い込み合うリペアバンプを備える。本発明の第4の態様に係るバンプ接続体において、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主基板に搭載される搭載素子のリペアの処理が容易、且つ多数回のリペア処理が可能で製造時間が短縮され、資源の浪費を防ぐことが可能な積層型半導体装置及びこれに用いる搭載部品、基体及びバンプ接続体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置(固体撮像装置)を説明する平面図である。
図2図1のII-II方向から見た断面図である。
図3図3(a)は、第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続前の状態、図3(b)は、図3(a)に対応する図で、第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続の状態を説明する特定の方向から見た模式的な一部断面図である。
図4図3に示した断面図の切断面の位置と方向を説明する平面図である。
図5図5(a)は、第1実施形態に係る積層型半導体装置の親バンプに形成されるナイフ・エッジ状の切れ込みを説明する模式的平面図で、図5(b)は対応する模式的側面図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置の親バンプとリペアバンプの間の4つの交点を説明する平面図である。
図7図7(b)は、図6のVIIB-VIIB方向からみた第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の断面図で、図7(a)は図7(b)に示すバンプ接続体の構造に至る前のリペアバンプと親バンプが分離した状態を説明する模式的断面図である。
図8】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図9】本発明の第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図11】本発明の第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図12】本発明の第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図14】本発明の第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図15】本発明の第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図16】本発明の第4実施形態に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図17】本発明の第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図18】本発明の第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のリペアバンプと親バンプの関係を説明する模式的な鳥瞰図である。
図19図19(a)は、その他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続前の状態、図19(b)は、図19(a)に示したその他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続の状態を説明する特定の方向から見た模式的な一部断面図である。
図20図20(a)は、更に他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続前の状態、図20(b)は、図20(a)に示した更に他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続の状態を説明する特定の方向から見た模式的な一部断面図である。
図21】更に他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続の状態を説明する特定の方向から見た模式的な一部断面図である。
図22】更に他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体の仮接続前の状態を説明する特定の方向から見た模式的な一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の第1~第4実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は実際のものとは異なる場合がある。又、図面相互間においても寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。又、以下に示す第1~第4実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0015】
又、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置は、図1及び図2に示すように、大口径の主基板81と、主基板81の一方の主面である基板搭載面(第1主面)に複数の矩形の搭載素子Xij(i=1~n:j=1~m:n,mは1以上の正の整数)を搭載した積層構造をなしている。即ち、第1実施形態に係る積層型半導体装置は、n=m=1の1チップ(搭載素子)の積層構造でもよい。主基板81は基板搭載面と基体裏面(第2主面)が平行に対向した並行平板構造をなしている。積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、主基板81の基板搭載面に対向する基体裏面(第2主面)が、図2に示すように電磁波Φxが入射する入力面を構成する。一方、積層型半導体装置が、マイクロLEDディスプレイのような固体表示装置であれば、主基板81である駆動パネル上に、数十万~数百万個のLEDチップが搭載素子Xijとしてマトリクス状に搭載され、積層構造を構成する。主基板81の基板搭載面(第1主面)には、マクロ格子(第1格子)に沿って分割された画素領域が定義され、この画素領域に主基板回路を構成する検出素子アレイが配列されている。
【0017】
主基板81の基板搭載面は、マクロ格子よりメッシュ数の少ない基板搭載格子(第2格子)によって定義される基板搭載領域に分割されている。搭載素子Xijは、分割されたそれぞれの基板搭載領域からの信号を読み出す。逆に言えば、搭載素子Xijの配列位置に対応して、主基板81の基板搭載面は、マクロ格子よりメッシュ数の少ないp×q(p<n,q<m)の基板搭載格子を構成する基板搭載領域に分割されている。主基板81は、p-nダイオード、n-i-nダイオード、p-i-pダイオード等の検出素子をマクロ格子に沿って分割された画素領域に配列した主基板回路を集積化した構造をなし、例えば10cm×10cmの大きさである。搭載素子Xijは主基板81よりも小さな面積であり、複数個の搭載素子Xijが主基板81の大きさに対応して2×2~8×8等の基板搭載格子が定義する領域に、主基板81のほぼ全面を覆うように配列される。
【0018】
図1において、一番上の搭載素子X11,X12,X13,……,X1mの配列に沿って、主基板81の周辺にはボンディングパッドPk1,Pk2,Pk3,……,Pksが配列されている。ボンディングパッドPk1,Pk2,Pk3,……,Pksの配列された主基板81の辺を「第1辺」と定義すると、第1辺に連続し第1辺に直交する主基板81の第2辺にそって、主基板81の周辺にはボンディングパッドPl1,Pl2,Pl3,……,Pltが配列されている。第2辺に連続し第2辺に直交する主基板81の第3辺にそって、主基板81の周辺にはボンディングパッドPm1,Pm2,Pm3,……,Pmsが配列されている。第3辺に連続し第3辺に直交する主基板81の第4辺にそって、主基板81の周辺にはボンディングパッドPn1,Pn2,Pn3,……,Pntが配列されている。
【0019】
図2の断面図に示すように、主基板81の上にはフィールド絶縁膜82が形成されている。図2の断面図において、フィールド絶縁膜82を介して主基板81の左端に搭載素子X21が配置され、搭載素子X21と主基板81の間にマクロ格子とメッシュ数の等しい接続用格子(第3格子)の領域に配列されたバンプ接続体B11,B12,B13,……,B1pの一列分の配列が示されている。搭載素子X21の上(図2においての下面)には多層配線絶縁層20が設けられている。図2に示す搭載素子X21に設けられた多層配線絶縁層20の内部には、搭載素子X21に設けられた搭載素子側回路に対応するように上層配線層、中間層配線、下層配線等の多層配線層が互いに離間して埋め込まれている。例えば、多層配線絶縁層20は、支持基体である搭載素子X21の表面(図2において下面)に配置された複数の第1配線パターン層、多層配線絶縁層20の上面から下面方向に貫通する複数の貫通ビア、及び多層配線絶縁層20の下部に配置された複数の第2配線パターン層等を有していてもよい。「回路」とは「電流の通路」である(広辞苑第4版)。一般には、トランジスタやダイオード等の能動素子や抵抗、コンデンサ、コイル等の受動素子が含まれる場合が多い。しかし単なる電流通路も高周波の分布定数回路の概念からは抵抗、コンデンサ、コイルが含まれているので電気回路である。したがって、搭載素子X21(より一般的には搭載素子Xij)が、マイクロLEDディスプレイを構成するLEDチップのような単純なダイオードの回路であっても、「搭載素子側回路」に該当する。主基板回路についても同様であり、単純なダイオードの回路や、能動素子等を含まない配線回路等であっても構わない。又、搭載素子Xijに設けられる搭載素子側回路は温度センサや発熱体等の単純な抵抗回路でも構わないので種々の電気回路素子が搭載素子Xijとして採用可能である。
【0020】
多層配線絶縁層20は3層以上の多層絶縁層で構成でき、例えば更に第3配線パターン層、第4配線パターン層、第5配線パターン層、……等を有していてもよい。第1配線パターン層は、搭載素子X21の配列にそれぞれ電気的に接続される。多層配線絶縁層20の貫通ビアは、第1配線パターン層及び第2配線パターン層の間をそれぞれ電気的に接続する。多層配線絶縁層20の第2配線パターン層の下面には、外部回路と接合するためのはんだバンプが配置することが可能である。
【0021】
或いは、SOI構造のように、多層配線絶縁層20の内部に設けられた薄膜集積回路によって、搭載素子側回路(信号読出回路)のそれぞれを構成しても良い。この場合、層間絶縁膜を介して、上層配線層、中間層配線、下層配線等の多層配線層によって、薄膜トランジスタからなるスイッチング素子や読出コンデンサを多層配線絶縁層20の内部に構成してもよい。或いは搭載素子Xijの多層配線絶縁層20の内の下層配線側の搭載素子側回路をシリコン(Si)基板の表面に形成された集積回路に対応させ、多層配線絶縁層20の内の中間層配線を層間絶縁膜中の表面配線層に対応するように、図2の構造を読み替えてもよい。又、主基板81の主基板回路の単位素子の配列に対応した読出コンデンサ及びスイッチング素子の組からなる搭載素子側回路の単位をSi基板からなる搭載素子X21の上部に集積化して構成してもよい。バンプ接続体B11,B12,B13,……,B1pを配列する接続用格子のメッシュのピッチはマクロ格子と同じでもよいが、マクロ格子をピッチ変換したものでもよい。
【0022】
図2のフィールド絶縁膜82の上において、搭載素子X21の右横に搭載素子X22が配置され、搭載素子X22と主基板81の間にマクロ格子とメッシュ数の等しい接続用格子の領域に配列されたバンプ接続体B21,B22,B23,……,B2pの一列分の配列が示されている。搭載素子X21の下面には搭載素子X21と同様に多層配線絶縁層20が設けられている。多層配線絶縁層20の内部には、搭載素子X22に設けられた搭載素子側回路に対応するように上層配線層、中間層配線、下層配線等の多層配線層が互いに離間して埋め込まれている。同様に、搭載素子X2(m-1)と主基板81の間には、接続用格子の領域に配列されたバンプ接続体B(m-1)1,B(m-1)2,B(m-1)3,……,B(m-1)pの一列分の配列が示されている。搭載素子X2(m-1)の下面には搭載素子X21と同様に多層配線絶縁層20が設けられている。多層配線絶縁層20の内部には、搭載素子X2(m-1)に設けられた搭載素子側回路に対応するように上層配線層、中間層配線、下層配線等の多層配線層が互いに離間して埋め込まれている。
【0023】
更に、フィールド絶縁膜82を介して主基板81の右端側に搭載素子X2mが配列され、搭載素子X2mと主基板81の間には接続用格子の領域に配列されたバンプ接続体Bm1,Bm2,Bm3,……,Bmpの一列分の配列が示されている。搭載素子X2mの下面には搭載素子X21と同様に多層配線絶縁層20が設けられている。多層配線絶縁層20の内部には、搭載素子X2mに設けられた搭載素子側回路に対応するように上層配線層、中間層配線、下層配線等の多層配線層が互いに離間して埋め込まれている。
【0024】
即ち、図2に一列分の配列を例示した断面構造では、搭載素子Xijと主基板81との間には、主基板回路を構成する検出素子アレイのマクロ格子で規定される配置に対応して、接続用格子の領域に配列された複数のバンプ接続体Buv(u=1~m,v=1~p:m,pは2以上の正の整数)が示されているが、図2の断面以外においても同様な構造が存在することは勿論である。図2の搭載素子X21,X22,X23,……,X2mの配列の左側には、ボンディングパッドPn(t-3)が示され、搭載素子X21,X22,X23,……,X2mの配列の右側には、ボンディングパッドPl4が示されている。以下の説明では、図2の断面以外に存在する他のバンプ接続体を含めた、バンプ接続体を総称して、「バンプ接続体Buv」と呼ぶ。バンプ接続体Buvのそれぞれは、主基板81の基板搭載面(第1主面)にマクロ格子に沿って分割された画素領域に配列した主基板回路を構成する検出素子アレイのそれぞれと、対応する搭載素子Xijのそれぞれとを、互いに独立して電気的に接続している。
【0025】
主基板81は緩いデザインルールで作り、レイアウト的にもシンプルであるので製造が容易で、不良の発生する確率が低い。又、主基板81の主基板回路(検出素子アレイ)や接続配線等に不良があってもランダムで、主基板81の出力にはほとんど見えてこない。一方、搭載素子Xijは集積度が高く、バンプ接続体Buvで搭載素子Xijを主基板81に接続して試験することによって、はじめて搭載素子Xijに集積化された搭載素子側回路の良否が分かる。もし複数個接続された搭載素子Xijで不良率が高い場合やブロック不良がある場合、第1実施形態に係る積層型半導体装置の不良になる。一方、マイクロLEDディスプレイでは駆動パネル上に数十万~数百万個もの大量のLEDチップが積層されるので、大量のLEDチップに不良品が混じる確率が存在する。このため、各搭載素子Xijを主基板81に仮接続し、特定の搭載素子Xstに集積化された搭載素子側回路に不良がある場合は、その搭載素子Xstを剥がして別の搭載素子Xxyを仮接続して、問題が無いかを確認するリペアの作業が必要になる。リペアの作業を予定しているので、搭載素子Xijの数は、主基板81に定義される基板搭載格子のメッシュの数よりも多く用意される。
【0026】
なおバンプ接続体Buvの詳細は図3図7を参照して後述する。バンプ接続体Buvは、主基板81に集積化された主基板回路からの信号を、搭載素子Xijにそれぞれ集積化された搭載素子側回路に独立して伝達するように配置されている。第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、主基板81の基板搭載面(第1主面)に配列した主基板回路を構成する検出素子アレイの配列は、イメージセンサ(積層型半導体装置)の画素の配置に対応するが、マイクロLEDディスプレイであればLEDチップの配列に対応する。又温度センサアレイであれば、温度センサの配列に対応する。固体撮像装置の場合には、搭載素子Xijの搭載素子側回路(信号読出回路)のそれぞれは、スイッチング素子Qijやバッファ増幅器等の能動素子回路を備える。搭載素子Xijは、主基板81の基板搭載面の対応する分割箇所に配列された画素のマクロ格子からの信号を、それぞれ読み出す。
【0027】
以下の第1実施形態の説明において、主基板81の材料や用途は問わない。即ち、第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、主基板81をシリコン(Si)とすることにより、第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置は可視光の波長領域のイメージセンサとして好適である。又、第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置である場合において、主基板81に配列される主基板回路を構成する単位素子(検出素子)がテルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、テルル化カドミウム亜鉛(Cd1-xZnxTe)、ガリウムヒ素(GaAs)等の化合物半導体からなる場合であれば、放射線イメージセンサとして好適である。又、水銀カドミウムテルル(Hg1-xCdxTe)やインジウムアンチモン(InSb)等の半金属やゲルマニウム(Ge)等の赤外線検出素子を、主基板81に配列すれば赤外線イメージセンサになる。よって、本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置は、例えば種々の波長を有する電磁波のイメージセンサに適用可能であるが、固体撮像装置(イメージセンサ)に限定されるものではない。
【0028】
第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置の場合は、主基板81の内部にマクロ格子に沿って分割された画素領域に配置された主基板回路の単位素子のキャリア生成層で電子正孔対として生成されたキャリアである信号が、それぞれの主基板回路のフィールド絶縁膜82の開口部(コンタクトホール)から読み出される。図3に示すように、フィールド絶縁膜82の下の主基板81の領域は、受信した電磁波の量に応じた信号を出力する1画素分の検出要素をなす。第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、フィールド絶縁膜82中に設けられる開口部(コンタクトホール)は、搭載素子Xijの下面に互いに離間して2次元配列され、主基板81において生成されたキャリアを示す信号は、フィールド絶縁膜82の内部に埋め込まれた出力電極から読み出される。これにより、主基板81は、電磁波を検出するための検出基板として機能し、フィールド絶縁膜82中の開口部に設けられた第1ランド(表面電極)は、主基板回路(画素)毎のキャリア信号を出力する主基板回路の出力電極として機能する。
【0029】
主基板81は、主基板回路を構成する単位素子(検出素子)の一方の電極が露出する基板搭載面(第1主面)に、主基板回路の画素アレイの配列に対応するバンプ接続体Buvのそれぞれを構成する親バンプ(第1バンプ)11を接続用格子の領域に配列している。親バンプ11は、図3図7に示すように、 主基板81の基板搭載面(第1主面)の上にフィールド絶縁膜82を介して設けられている。親バンプ11は主基板81の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の箱状である。矩形の箱状であるので、基体側曲面は平板状であるが、数学的には直線は曲率半径無限大の曲線であるので、本明細書では平板状の壁も「曲面」と称する。親バンプ11は、図3等に例示した主基板81の上に配置したフィールド絶縁膜82に埋め込まれた表面電極(第1ランド)に底面を接し、主基板81に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。図3(a)に示すように、主基板81と、フィールド絶縁膜82及び親バンプ11により、第1実施形態に係る積層型半導体装置の要素となる「基体1」が構成されている。
【0030】
一方、図3(a)に示す搭載素子Xijは、搭載素子Xijの表面(図3(a)において下面)を接続面(読出回路主面)とし、接続面に対向する接続反対面とで平行平板構造をなす場合を例示しているが、平行平板構造に限定されない。例えば搭載素子Xijが砲弾型のLED素子であれば、搭載素子Xijは平行平板構造ではない。接続面に対向する接続反対面は蒲鉾状やドーム状であってもよく、複雑な曲面をなしていてもよい。例えば、搭載素子Xijは、半導体集積回路を搭載基板側回路として設けた半導体基板から構成される場合が一例であるが、LEDチップのような単純な電気回路を搭載基板側回路として有する場合でも構わない。説明の便宜上、第1実施形態に係る積層型半導体装置においては、半導体基板を支持基体とし、図3(a)に示すように半導体基板の上に配置された多層配線絶縁層20とで複合構造をなしている場合で例示的に説明する。搭載素子Xijの接続面の上の多層配線絶縁層20の上には、図3図7に示すように、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されたリペアバンプ(21,22,23)が設けられている。図3(a)に示すように、搭載素子Xijと、多層配線絶縁層20及びリペアバンプ(21,22,23)で、第1実施形態に係る積層型半導体装置の要素となる「搭載部品2」が構成されている。リペアバンプ(21,22,23)は、多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)を介して、搭載素子Xijに設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。図4に示す接続面の法線方向から見た平面パターンにおいて、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わっている。基体側曲面とリペア側曲面はいずれも矩形の形状であるが、既に述べたとおり、数学的には直線は曲率半径無限大の曲線であるので、平板状の状の壁も「曲面」の一類型である。なお、現実の製品段階のバンプ接続体Buvは、親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)が互いに無秩序且つ不定形の断片状に畳込まれた構造になり、接合前のトポロジである平面の形態を失うため、複数の曲率半径を有した多様な曲面になっている。
【0031】
図3図7等から分かるように、リペアバンプ(21,22,23)は、箱状の最外層21、中間層22,最内層23からなる3層構造である。中間層22の硬度は、最外層21及び最内層23の硬度より高い値である。最外層21及び最内層23の硬度は、親バンプ11の硬度と同程度である。即ち、中間層22の硬度は、親バンプ11の硬度より高い。例えば、親バンプ11並びにリペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の導電体として金(Au)を使用した場合、中間層22の導電体としてコバルト(Co),ニッケル(Ni),イリジウム(Ir),クロム(Cr),タングステン(W),チタン(Ti),チタンタングステン(TiW)、アルミナ(Al23),シリコン(Si)等のAuよりも2倍以上硬度の高い金属や化合物が使用可能である。例えば、Tiを中間層22に選べば、リペアバンプ(21,22,23)の側壁は、Au/Ti/Auという3層構造になる。或いは、中間層22の導電体としてAu-Co,Au-Ni,Au-Ir,Au-Cr,Au-W,Au-Ti,Au-Si等の合金や混合物が使用しても、Auよりも2倍以上高い硬度が実現可能である。Co,Ni,Ir,Cr,W,Ti、Si等の内から選ばれた2種以上の材料とAuが75%未満の合金である3元合金や4元合金等でもよい。Auの高導電度性を生かすためにはAuが70%以上の合金が好ましい。一方、Co,Ni,Ir,Cr,W,Ti、Si等の高硬度性を生かすためにはAuが30%未満の合金が好ましい。
【0032】
組成にも依存するが、一般に金属は合金化することにより硬度が増大する。単体のAuのビッカース硬さが25Hv程度であるのに対し、錫(Sn)を20%含むAu-20Sn合金のビッカース硬さは118Hv程度であり、ゲルマニウム(Ge)を12%含むAu-12Ge合金のビッカース硬さは108Hv程度であるので、それぞれ単体のAuの4.7倍、4.3倍の硬度になり、Au-Sn合金やAu-Ge合金も中間層22の導電体として使用可能である。シリコン(Si)を3.15%含むAu-3.15Si合金のビッカース硬さは86Hv程度であるので単体のAuの3.4倍の硬度であり、中間層22の導電体として使用可能である。一方、Snを90%含むAu-90Sn合金のビッカース硬さはSnの低硬度性が顕著になるため16Hv程度となり、単体のAuのビッカース硬さより低くなり中間層22の導電体としては不適当である。Au-90Sn合金は親バンプ11並びにリペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の導電体としては使える。親バンプ11並びにリペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の導電体としては、Au-90Sn合金の他、Auを30%未満含むAu-錫(Sn),Au-鉛(Pb),Au-亜鉛(Zn)等の合金を使用してもよい。
【0033】
このような硬度の異なる導電体の組み合わせを選んだ結果、図4に示すように、親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)とが交わる基体側曲面とリペア側曲面の4つの交点において、親バンプ11の硬度よりリペアバンプ(21,22,23)の中間層22の硬度が高いので、図3(b)に示すように、リペアバンプ(21,22,23)は親バンプ11の内部に食い込んで固相拡散接合をなしている。即ち、基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)のいずれか一方に残余の部分よりも硬度の高い導電体が含まれている。親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)によって、図3(b)に示すように第1実施形態に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体Buvが構成される。
【0034】
第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvでは、3層構造の箱状のリペアバンプ(21,22,23)の構造の中間層22に、親バンプ11に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、図5に示すように相手の親バンプ11に切れ込み13a,13b,13c,13dが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層22が図5(b)に示すナイフ・エッジのような深い切れ込み13a,13bが構成され固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。図3(b)に示したような切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ11との固相拡散接合ができるようになる。
【0035】
既に述べたとおり、用途によって、搭載素子Xijは集積度が高い場合がある。集積度が高い構造の場合は、バンプ接続体Buvで搭載素子Xijを主基板81に接続して試験することによって、はじめて搭載素子Xijに設けられた搭載素子側回路の良否が分かる。一方、マイクロLEDディスプレイのような場合は、駆動パネルとしての主基板81上に数十万~数百万個もの大量のLEDチップが積層される。このLEDチップは輝度等に厳格な仕様が要求されるので、大量のLEDチップに不良品が混じる場合がある。もし特定の搭載素子Xstに設けられた搭載素子側回路に不良があれば、図1及び図2に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の全体が不良になる。このため、各搭載素子Xijを主基板81に仮接続し、特定の搭載素子Xstに設けられた搭載素子側回路に不良があるか否かを確認する必要がある。このため、第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvは、図3に示すようにフィールド絶縁膜82に埋め込まれた第1ランド(表面電極)に底部を接合した親バンプ11と、多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)に底面を接合したリペアバンプ(21,22,23)とを互いに接触させて、仮接続をする。なお、第1ランドや第2ランドは、図19等を用いて後述するように、フィールド絶縁膜82や多層配線絶縁層20から露出した構造であっても構わない。
【0036】
第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvは、比較的小さい圧力でリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ11を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品2を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第1実施形態に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(21,22,23)の一部である中間層22にバンプ接合する親バンプ11の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ11の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。同一若しくは同等の硬度の側壁(サイドウオール)を接合する場合は、一回の仮接合で、リペアバンプと親バンプの両方がかなり潰れて変形する。しかし、この変形だけでは清浄な金の露出面積は大きくないのですぐに剥がれる。一方、リペアバンプ(21,22,23)の中間層22の硬度を他の部分より固い材料にし、リペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の厚さを薄くすることにより、硬い材料がナイフのように相手のサイドウォールに食い込み、露出面積が増え、仮接合後にはがれにくくなる。仮接合後にはがれにくくなるので、リペア回数を増やすことができるという顕著な効果を奏する。
【0037】
一方、親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)が仮接続又は再仮接続された状態での搭載素子Xijの動作の確認で、搭載素子Xijの正常動作が確認された場合は、搭載素子Xijを主基板81に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子Xijと主基板81の間隔を更に縮める。主基板81に対する搭載素子Xijを押圧する力が更に増大されると、搭載素子Xijと主基板81が本接続される。親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)の本接続時においては、親バンプ11の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(21,22,23)の下端側の頂部が親バンプ11の底部に金属学的に接合される。押圧により主基板81載基板Xijの距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体Buvの高さは、図3に示した仮接続のときのバンプ接続体Buvの高さよりも低くなり、且つ親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になり、箱状の形態を失う。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層22を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ箱状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体Buvの内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。
【0038】
本接続により、搭載素子Xijを構成する搭載素子側回路(信号読出回路)は多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)を介してリペアバンプ(21,22,23)が親バンプ11に金属学的に接続され、更にフィールド絶縁膜82に埋め込まれた表面配線(第1ランド)を介して、主基板81の主基板回路に電気的に接続される。即ち、主基板回路を設けた主基板81と、搭載素子側回路を設けた搭載素子Xijとがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、図3(b)に示すような第1実施形態に係る積層型半導体装置が構成されている。この積層型半導体装置は、主基板81、フィールド絶縁膜82及び親バンプ11を含む基体1と、搭載素子Xij、多層配線絶縁層20及びリペアバンプ(21,22,23)を含む搭載部品2で構成される。
【0039】
第1実施形態に係る積層型半導体装置の搭載部品2は、搭載素子Xijを構成するSi基板の表面の集積回路で搭載素子側回路(信号読出回路)を構成した場合であっても、上層配線層、中間層配線、下層配線等の多層配線層によって搭載素子側回路(信号読出回路)を構成した場合であっても、或いはそれ以外のLED素子等の個別素子を含む単純な構造の場合であっても構わない。搭載部品2を構成しているリペアバンプ(21,22,23)は、多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)を介して搭載素子側回路に接続され、搭載素子側回路はリペアバンプ(21,22,23)を介して、基体1の親バンプ11に金属学的に接続される。親バンプ11は、フィールド絶縁膜82に埋め込まれた表面配線(第1ランド)を介して主基板81に集積化された主基板回路に電気的に接続される。バンプ接続体Buvは、リペアバンプ(21,22,23)と親バンプ11によって構成される。この結果、搭載部品2の搭載素子側回路がバンプ接続体Buvを介して基体1の主基板回路に電気的に接続される。
【0040】
例えば、フィールド絶縁膜82に埋め込まれた表面配線(第1ランド)を経由して主基板81から信号が搭載素子側回路(信号読出回路)に伝達させることにより、搭載素子Xijは、主基板81から信号を読み出す複数の搭載素子側回路(信号読出回路)を、画素の配列に合わせて接続用格子に沿って配列された入力電極を有する読出回路搭載素子(読出チップ)として機能することができる。この場合、多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)は、フィールド絶縁膜82に埋め込まれた表面配線(第1ランド)から主基板回路毎の信号を読み出し、搭載素子Xijにそれぞれ集積化された集積回路に信号を入力する入力電極として機能する。
【0041】
図3に示すように、第1実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvのそれぞれを構成する親バンプ11は、フィールド絶縁膜82に埋め込まれた第1ランドに接した底部と、底部の外周に連結し、底部を囲む囲壁をなす垂直側壁部とを有する箱状の形状をなす。バンプ接続体Buvのそれぞれを構成するリペアバンプ(21,22,23)は、多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)に底面を接した箱状の形状をなす多層構造体である。フィールド絶縁膜82及び多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)の平面パターンは、例えば矩形でよいが、矩形に限定されるものではない。バンプ接続体Buvを構成する親バンプ11の仮接続前の高さは、例えば1μm以上5μm未満に決定できる。リペアバンプ(21,22,23)の壁の高さは、親バンプ11を構成する箱状の垂直側壁部の深さよりも高く設定すればよい。
【0042】
フィールド絶縁膜82に埋め込まれた表面配線(第1ランド)及び多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)のそれぞれは、例えば、Au又はAuを80%以上含むAu-Si,Au-Ge,Au-Sb,Au-Sn,Au-Pb,Au-Zn,Au-Cu等の合金で形成することが可能であり、下地にニッケル(Ni)等の金属層を用いた多層構造でも構わない。搭載素子Xijと多層配線絶縁層20からなる積層構造は、例えば、支持基体の上面に互いに離間して配置された第1下層配線及び第2下層配線と、第1下層配線及び第2下層配線を上方から埋め込むように配置された第1絶縁層と、第1絶縁層の上面に互いに離間して配置された第1中間層配線及び第2中間層配線と、第1中間層配線及び第2中間層配線を上方から埋め込むように配置された第2絶縁層とを有する構造が採用可能である。第1下層配線、第2下層配線、第1中間層配線及び第2中間層配線等には、例えば、アルミニウム(Al)、アルミニウム-銅合金(Al-Cu合金)或いは銅(Cu)ダマシン等の金属層が採用可能である。又、第1絶縁層及び第2絶縁層は、図2等に示す多層配線絶縁層20に相当する。
【0043】
多層配線絶縁層20には、例えば、シリコン酸化膜(SiO膜)、シリコン窒化膜(Si膜)、燐珪酸ガラス膜(PSG膜)、フッ素含有酸化膜(SiOF膜)、炭素含有酸化膜(SiOC膜)等の無機系絶縁層の他、メチル含有ポリシロキサン(SiCOH)、水素含有ポリシロキサン(HSQ)、ポーラスメチルシルセスキオキサン膜やポリアリレン膜等の有機系絶縁層が使用可能で、これらの種々の絶縁膜層を組み合わせて積層して、多様な多層構造の多層配線絶縁層20を構成することが可能である。第2中間層配線を、第1絶縁層を介して一列分の配列が第2下層配線と対向するように配置してもよい。第2中間層配線は、導電体を介して多層配線絶縁層20に埋め込まれた表面配線(第2ランド)に電気的に接続されており、第2下層配線は接地電位に接続されている。これにより、第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、第2中間層配線及び第2下層配線は、主基板回路において生成された信号を電荷として蓄積する薄膜コンデンサである読出コンデンサを構成する。
【0044】
又、図示を省略しているが、多層配線絶縁層20に接する搭載素子Xijの表面側の内部には、第1下層配線に電圧が印加されることにより、第1中間層配線及び第2中間層配線の間にチャネルを形成するチャネル領域が形成されている。これにより、第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、第1下層配線、第1中間層配線及び第2中間層配線は、読出コンデンサに蓄積された電荷を信号として読み出す薄膜トランジスタであるスイッチング素子を構成する。第1下層配線がゲート電極、第1中間層配線及び第2中間層配線それぞれがドレイン電極及びソース電極等として機能する。
【0045】
スイッチング素子のゲート電極、即ち第1下層配線は、画素の行方向(X軸方向)に延伸するゲート信号ラインに接続される。ゲート信号ラインは、画素の行毎に配置され、同一行の各ゲート電極に接続される。各ゲート信号ラインは、図示を省略したゲート駆動搭載素子側回路に接続され、ゲート駆動搭載素子側回路から順次ゲート駆動信号を印加される。ゲート駆動信号は、所定の走査周期で順次列方向に印加される。又、スイッチング素子のドレイン電極、即ち第1中間層配線は、画素の列方向に延伸する信号読出ライン82に接続される。信号読出ライン82は、画素の列毎に配置され、同一列の各ドレイン電極に接続される。各信号読出ライン82は、図示を省略した読出駆動搭載素子側回路に接続され、読出駆動搭載素子側回路により順次行方向(X軸方向)に走査される。これにより読出駆動搭載素子側回路は、ゲート駆動搭載素子側回路の各走査周期において、ゲート駆動信号が印加された行の各主基板回路の信号を順次列方向に読み出す。
【0046】
以上のように、第1実施形態に係る積層型半導体装置が固体撮像装置であれば、読み出された各主基板回路(画素)の信号を、図示を省略した画像処理搭載素子側回路において画素値に変換し、各主基板回路に対応してマッピングすることにより、入射した電磁波の量の2次元分布を示す画像が生成される。以上述べたとおり、本発明の第1実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板81に搭載される複数の搭載素子Xijの内から不良な搭載素子のみを選択的にリペア処理する等の場合において、このリペア処理が容易な積層型半導体装置、及びこれに用いる複数の搭載素子Xij等を提供することができる。この結果、第1実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板81に多数の搭載素子Xijをマトリクス状に配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している主基板81や正常動作している搭載素子Xijを無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができるので、資源の浪費を防ぐことができる。
【0047】
(第1実施形態の第1変形例)
本発明の第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置は図3に示した構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から推定できるように、第1変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図8に示した板状の親バンプ14aを有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図8に示した矩形箱状の多層構造をなすリペアバンプ(21,22,23)を有している構造を想定できるが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0048】
親バンプ14aは主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する平行平板の板状である。既に述べたとおり、直線は曲率半径無限大の曲線であるので、本明細書では平板状の壁も「曲面」と称して一般化している。親バンプ14aは、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に底面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(21,22,23)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(21,22,23)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。図8から分かるように、基体側曲面とリペア側曲面は2つの交点で交わる。
【0049】
リペアバンプ(21,22,23)は、箱状の最外層21、中間層22,最内層23からなる3層構造である。中間層22の硬度は、最外層21及び最内層23の硬度より高い値である。最外層21及び最内層23の硬度は、親バンプ14aの硬度と同程度である。即ち、中間層22の硬度は、親バンプ14aの硬度より高い。例えば、親バンプ14a並びにリペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の導電体としてAuを使用した場合、中間層22の導電体としてCo,Ni,Ir,Cr,W,Ti,TiW等の硬度の高い金属が採用できる。或いは中間層22の導電体としてAuを70%以上含むAu-Co,Au-Ni,Au-Ir,Au-Cr,Au-W,Au-Ti,Au-Al23,Au-Si、Au-Ge等の合金や混合物が使用可能である。Co,Ni,Ir,Cr,W,Ti、Si、Ge等の内から選ばれた2種以上の材料とAuとの3元合金や4元合金等でもよい。
【0050】
Snを20%含むAu-20Sn合金のビッカース硬さは118Hv程度であるが、Snを90%含むAu-90Sn合金のビッカース硬さは16Hv程度となるので、Au-Sn合金は組成に注意が必要である。親バンプ14aとリペアバンプ(21,22,23)とが交わる基体側曲面とリペア側曲面の2つの交点において、親バンプ14aの硬度よりリペアバンプ(21,22,23)の中間層22の硬度が高いので、リペアバンプ(21,22,23)は親バンプ14aの内部に食い込んで固相拡散接合をなすことができる。即ち、第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置は、基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプ14aとリペアバンプ(21,22,23)のいずれか一方に、残余の部分よりも硬度の高い導電体が含まれている構造である。親バンプ14aとリペアバンプ(21,22,23)によって、第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0051】
第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の箱状のリペアバンプ(21,22,23)の構造の中間層22に、親バンプ14aに使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ14aに切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層22がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ14aとの固相拡散接合ができるようになる。
【0052】
第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ14aを圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(21,22,23)の一部である中間層22にバンプ接合する親バンプ14aの金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ14aの金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0053】
一方、親バンプ14aとリペアバンプ(21,22,23)が仮接続又は再仮接続された状態での搭載素子の動作の確認で、搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ14aとリペアバンプ(21,22,23)の本接続時においては、親バンプ14aの垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(21,22,23)の下端側の頂部が親バンプ14aの底部に金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ14aとリペアバンプ(21,22,23)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層22を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ箱状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。
【0054】
本接続により、リペアバンプ(21,22,23)が親バンプ14aに金属学的に接続され、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。以上のように本発明の第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に搭載される複数の搭載素子の内から、不良な搭載素子のみを選択的にリペア処理する等の場合において、このリペア処理が容易な積層型半導体装置、及びこれに用いる搭載素子等を提供することができる。この結果、第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している主基板や正常動作している搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができるので、資源の浪費を防ぐことができる。
【0055】
(第1実施形態の第2変形例)
本発明の第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置は図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第2変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図9に示した円筒状の親バンプ15を有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図9に示した矩形箱状の多層構造をなすリペアバンプ(21,22,23)の構造が想定されるが、図3とは異なるLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0056】
親バンプ15は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する円筒状の皿である。親バンプ15は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に円筒状の皿の底面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(21,22,23)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(21,22,23)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。図9から分かるように、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わる。
【0057】
リペアバンプ(21,22,23)は、箱状の最外層21、中間層22,最内層23からなる3層構造である。中間層22の硬度は、最外層21及び最内層23の硬度より高い値である。最外層21及び最内層23の硬度は、親バンプ15の硬度と同程度である。即ち、中間層22の硬度は、親バンプ15の硬度より高い。例えば、親バンプ15並びにリペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の導電体としてAuを使用した場合、中間層22の導電体としてCo,Ni,Ir,Cr,W,Ti,TiW等の硬度の高い金属が採用できる。或いは中間層22の導電体としてAuを70%以上含むAu-Co,Au-Ni,Au-Ir,Au-Cr,Au-W,Au-Ti,Au-Al23,Au-Si、Au-Ge等の合金や混合物が使用可能である。Co,Ni,Ir,Cr,W,Ti、Si、Ge等の内から選ばれた2種以上の材料とAuとの3元合金や4元合金等でもよい。
【0058】
Snを20%含むAu-20Sn合金のビッカース硬さは118Hv程度であるが、Snを90%含むAu-90Sn合金のビッカース硬さは16Hv程度となるので、Au-Sn合金は組成に注意が必要である。親バンプ15とリペアバンプ(21,22,23)とが交わる基体側曲面とリペア側曲面の4つの交点において、親バンプ15の硬度よりリペアバンプ(21,22,23)の中間層22の硬度が高いので、リペアバンプ(21,22,23)は親バンプ15の内部に食い込んで固相拡散接合をなすことができる。即ち、第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置は、基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプ15とリペアバンプ(21,22,23)のいずれか一方に、残余の部分よりも硬度の高い導電体が含まれている構造である。親バンプ15とリペアバンプ(21,22,23)によって、第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0059】
第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の箱状のリペアバンプ(21,22,23)の構造の中間層22に、親バンプ15に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ15に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層22がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ15との固相拡散接合ができるようになる。
【0060】
第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ15を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(21,22,23)の一部である中間層22にバンプ接合する親バンプ15の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ15の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0061】
一方、親バンプ15とリペアバンプ(21,22,23)が仮接続又は再仮接続された状態での搭載素子の動作の確認で、搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ15とリペアバンプ(21,22,23)の本接続時においては、親バンプ15の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(21,22,23)の下端側の頂部が親バンプ15の底部に金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ15とリペアバンプ(21,22,23)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層22を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ箱状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。
【0062】
本接続により、搭載素子に設けられた搭載素子側回路は多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介してリペアバンプ(21,22,23)が親バンプ15に金属学的に接続され、更にフィールド絶縁膜に埋め込まれた表面配線を介して、主基板の主基板回路に電気的に接続される。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0063】
以上のように本発明の第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に搭載される複数の搭載素子の内から、不良な搭載素子のみを選択的にリペア処理する等の場合において、このリペア処理が容易な積層型半導体装置及びこれに用いる搭載素子等を提供することができる。この結果、第1実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している主基板や正常動作している搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができるので、資源の浪費を防ぐことができる。
【0064】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る積層型半導体装置は図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第2実施形態に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図10に示した矩形の箱状の親バンプ16を有している点では図3と同様である。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図10に示した底付円筒状(茶筒状)の構造をなすリペアバンプ(24,25,26)を有している構造を想定できるが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0065】
親バンプ16は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の箱である。親バンプ16は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に矩形の箱の底面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。図10から分かるように、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わる。
【0066】
リペアバンプ(24,25,26)は、底付円筒状の最外層24、中間層25,最内層26からなる3層構造である。中間層25の硬度は、最外層24及び最内層26の硬度より高い値である。最外層24及び最内層26の硬度は、親バンプ16の硬度と同程度である。即ち、中間層25の硬度は、親バンプ16の硬度より高い。例えば、親バンプ16並びにリペアバンプ(24,25,26)の最外層24及び最内層26の導電体としてAuを使用した場合、中間層25の導電体としてCo,Ni,Ir,Cr,W,Ti,TiW等の硬度の高い金属が採用できる。或いは中間層25の導電体としてAuを70%以上含むAu-Co,Au-Ni,Au-Ir,Au-Cr,Au-W,Au-Ti,Au-Al23,Au-Si、Au-Ge等の合金や混合物が使用可能である。Co,Ni,Ir,Cr,W,Ti、Si、Ge等の内から選ばれた2種以上の材料とAuとの3元合金や4元合金等でもよい。
【0067】
Snを20%含むAu-20Sn合金のビッカース硬さは118Hv程度であるが、Snを90%含むAu-90Sn合金のビッカース硬さは16Hv程度となるので、Au-Sn合金は組成に注意が必要である。親バンプ16とリペアバンプ(24,25,26)とが交わる基体側曲面とリペア側曲面の4つの交点において、親バンプ16の硬度よりリペアバンプ(24,25,26)の中間層25の硬度が高いので、リペアバンプ(24,25,26)は親バンプ16の内部に食い込んで固相拡散接合をなすことができる。即ち、第2実施形態に係る積層型半導体装置は、基体側曲面とリペア側曲面の交点において、親バンプ16とリペアバンプ(24,25,26)のいずれか一方に、残余の部分よりも硬度の高い導電体が含まれている構造である。親バンプ16とリペアバンプ(24,25,26)によって、第2実施形態に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0068】
第2実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の底付円筒状のリペアバンプ(24,25,26)の構造の中間層25に、親バンプ16に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ16に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層25がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(24,25,26)と親バンプ16との固相拡散接合ができるようになる。
【0069】
第2実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(24,25,26)と親バンプ16を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第2実施形態に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(24,25,26)の一部である中間層25にバンプ接合する親バンプ16の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ16の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。同一若しくは同等の硬度の側壁(サイドウオール)を接合する場合は、一回の仮接合で、リペアバンプと親バンプの両方がかなり潰れて変形する。しかし、この変形だけでは清浄な金の露出面積は大きくないのですぐに剥がれる。一方、リペアバンプ(24,25,26)の中間層25の硬度を他の部分より固い材料にし、リペアバンプ(24,25,26)の最外層24及び最内層26の厚さを薄くすることにより、硬い材料がナイフのように相手のサイドウォールに食い込み、露出面積が増え、仮接合後にはがれにくくなる。仮接合後にはがれにくくなるので、リペア回数を増やすことができるという顕著な効果を奏する。
【0070】
一方、親バンプ16とリペアバンプ(24,25,26)が仮接続又は再仮接続された状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ16とリペアバンプ(24,25,26)の本接続時においては、親バンプ16の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(24,25,26)の下端側の頂部が親バンプ16の底部に金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ16とリペアバンプ(24,25,26)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層25を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ底付円筒状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。
【0071】
本接続により、リペアバンプ(24,25,26)が親バンプ16に金属学的に接続され、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第2実施形態に係る積層型半導体装置が構成できる。以上のように本発明の第2実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に搭載される複数の搭載素子の内から、不良な搭載素子のみを選択的にリペア処理する等の場合において、このリペア処理が容易な積層型半導体装置及びこれに用いる搭載素子等を提供することができる。この結果、第2実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している主基板や正常動作している搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができるので、資源の浪費を防ぐことができる。
【0072】
(第2実施形態の第1変形例)
本発明の第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置は図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図11に示した平行平板状の親バンプ14aを有している点では図8に示した第1実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置と同様である。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図11に示した底付円筒状(茶筒状)の構造をなすリペアバンプ(24,25,26)を有している構造を想定できるが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。その他の点では図10に示した第2実施形態に係る積層型半導体装置と同様である。
【0073】
親バンプ14aは主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の平行平板である。親バンプ14aは、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に矩形の平行平板の下端面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。図11から分かるように、基体側曲面とリペア側曲面は2つの交点で交わる。
【0074】
リペアバンプ(24,25,26)は、底付円筒状の最外層24、中間層25,最内層26からなる3層構造である。中間層25の硬度は、最外層24及び最内層26の硬度より高い値である。最外層24及び最内層26の硬度は、親バンプ14aの硬度と同程度である。即ち、中間層25の硬度は、親バンプ14aの硬度より高い。例えば、親バンプ14a並びに(24,25,26)の最外層24及び最内層26の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ14aとリペアバンプ(24,25,26)によって、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0075】
第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の底付円筒状のリペアバンプ(24,25,26)の構造の中間層25に、親バンプ14aに使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ14aに切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層25がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(24,25,26)と親バンプ14aとの固相拡散接合ができるようになる。
【0076】
第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(24,25,26)と親バンプ14aを圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(24,25,26)の一部である中間層25にバンプ接合する親バンプ14aの金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ14aの金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0077】
一方、親バンプ14aとリペアバンプ(24,25,26)が仮接続又は再仮接続された状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ14aとリペアバンプ(24,25,26)の本接続時においては、親バンプ14aの垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(24,25,26)の下端側の頂部が親バンプ14aの底部に金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ14aとリペアバンプ(24,25,26)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層25を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ底付円筒状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0078】
以上のように本発明の第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、不良な搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第2実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常動作している主基板や正常動作している搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0079】
(第2実施形態の第2変形例)
本発明の第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置は図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図12に示した底付楕円筒状の親バンプ15を有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図12に示した底付円筒状(茶筒状)の構造をなすリペアバンプ(24,25,26)を有した構造を想定できるが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。その他の特徴は図10に示した第2実施形態に係る積層型半導体装置と同様であるが、リペアバンプ(24,25,26)の平面パターンは、親バンプ15の長軸に直交する方向の長軸を有する楕円であることが好ましい。
【0080】
親バンプ15は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する底付楕円筒状の皿である。親バンプ15は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に底付楕円筒状の皿の下面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(24,25,26)と親バンプ15は、互いに直交する方向の長軸を有する関係であれば、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わる。図12から分かるように、仮にリペアバンプ(24,25,26)の平面パターンが真円に近い形状であるとしても、親バンプ15の長軸がリペアバンプ(24,25,26)の直径よりも長ければ、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わることができる。逆に、親バンプ15の平面パターンが真円に近い形状であっても、リペアバンプ(24,25,26)の長軸が親バンプ15の直径よりも長い関係にあれば、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わることができる。
【0081】
リペアバンプ(24,25,26)は、底付円筒状の最外層24、中間層25,最内層26からなる3層構造である。中間層25の硬度は、最外層24及び最内層26の硬度、並びに親バンプ15の硬度より高い。例えば、親バンプ15並びにリペアバンプ(24,25,26)の最外層24及び最内層26の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ15とリペアバンプ(24,25,26)によって、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0082】
第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の底付円筒状のリペアバンプ(24,25,26)の構造の中間層25に、親バンプ15に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ15に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層25がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(24,25,26)と親バンプ15との固相拡散接合ができるようになる。
【0083】
第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(24,25,26)と親バンプ15を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(24,25,26)の一部である中間層25にバンプ接合する親バンプ15の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ15の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0084】
一方、親バンプ15とリペアバンプ(24,25,26)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ15とリペアバンプ(24,25,26)の本接続時においては、親バンプ15の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(24,25,26)の下端側の頂部が親バンプ15の底部に金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ15とリペアバンプ(24,25,26)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層25を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ底付円筒状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0085】
以上のように本発明の第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、不良な搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第2実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0086】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る積層型半導体装置は、図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第3実施形態に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図13に示した平行平板状の親バンプ14bを有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下端面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図13に示した平行平板状の構造をなすリペアバンプ(27,28,29)を有している構造を想定しているが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。平行平板状のリペアバンプ(27,28,29)の主面と、平行平板状の親バンプ14bの主面は、互いに直交する方向の関係であることが好ましい。
【0087】
親バンプ14bは主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する平行平板状の板である。親バンプ14bは、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に平行平板状の板の下端面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)と親バンプ14bは、互いに主面が交わる方向の関係にあれば、基体側曲面とリペア側曲面は1つの交点で交わる。
【0088】
リペアバンプ(27,28,29)は、平行平板状の第1層27、第2層28,第3層29からなる3層構造である。第2層(中間層)28の硬度は、第1層27及び第3層29の硬度、並びに親バンプ14bの硬度より高い。親バンプ14bとリペアバンプ(27,28,29)の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ14bとリペアバンプ(27,28,29)によって、第3実施形態に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0089】
第3実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の平行平板状のリペアバンプ(27,28,29)の中間層28に、親バンプ14bに使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ14bに切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層28がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(27,28,29)と親バンプ14bとの固相拡散接合ができるようになる。
【0090】
第3実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(27,28,29)と親バンプ14bを圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第3実施形態に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(27,28,29)の一部である中間層28にバンプ接合する親バンプ14bの金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ14bの金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。同一若しくは同等の硬度の側壁(サイドウオール)を接合する場合は、一回の仮接合で、リペアバンプと親バンプの両方がかなり潰れて変形する。しかし、この変形だけでは清浄な金の露出面積は大きくないのですぐに剥がれる。一方、リペアバンプ(27,28,29)の中間層(第2層)28の硬度を他の部分より固い材料にし、リペアバンプ(27,28,29)の第1層27及び第3層29の厚さを薄くすることにより、硬い材料がナイフのように相手のサイドウォールに食い込み、露出面積が増え、仮接合後にはがれにくくなる。仮接合後にはがれにくくなるので、リペア回数を増やすことができるという顕著な効果を奏する。
【0091】
一方、親バンプ14bとリペアバンプ(27,28,29)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ14bとリペアバンプ(27,28,29)の本接続時においては、親バンプ14bの垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(27,28,29)の下端側の頂部が親バンプ14bの下端部側に向かって金属学的に接合される。
【0092】
押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ14bとリペアバンプ(27,28,29)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層28を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ板状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第3実施形態に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0093】
以上のように本発明の第3実施形態に係る積層型半導体装置によれば、不良な搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第3実施形態に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0094】
(第3実施形態の第1変形例)
本発明の第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置は、図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図14に示した底付円筒状の親バンプ15を有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下端面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図14に示した平行平板状の構造をなすリペアバンプ(27,28,29)を有した構造を例示的に想定しているが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0095】
親バンプ15は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する底付円筒状の皿である。親バンプ15は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に底付円筒状の皿の底面を接合し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)の下端面と親バンプ15の上端面は、図14に示すように2つの交点で交わる。
【0096】
リペアバンプ(27,28,29)は、図13に示した構造と同様に平行平板状の第1層27、第2層28,第3層29からなる3層構造である。第2層(中間層)28の硬度は、第1層27及び第3層29の硬度、並びに親バンプ15の硬度より高い。親バンプ15とリペアバンプ(27,28,29)の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ15とリペアバンプ(27,28,29)によって、第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0097】
第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の平行平板状のリペアバンプ(27,28,29)の中間層28に、親バンプ15に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ15に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層28がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(27,28,29)と親バンプ15との固相拡散接合ができるようになる。
【0098】
第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(27,28,29)と親バンプ15を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(27,28,29)の一部である中間層28にバンプ接合する親バンプ15の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ15の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0099】
一方、親バンプ15とリペアバンプ(27,28,29)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ15とリペアバンプ(27,28,29)の本接続時においては、親バンプ15の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(27,28,29)の下端側の頂部が親バンプ15の下端部側に向かって金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ15とリペアバンプ(27,28,29)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層28を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ板状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0100】
以上のように本発明の第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第3実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0101】
(第3実施形態の第2変形例)
本発明の第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置は、図3に示した第1実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図15に示した矩形箱状の親バンプ11を有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下端面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図15に示した平行平板状の構造をなすリペアバンプ(27,28,29)を有している構造を例示的に想定しているが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0102】
親バンプ11は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する箱状の皿である。親バンプ11は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に箱状の皿の底面を接合し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28,29)の下端面と親バンプ11の上端面は、図15に示すように2つの交点で交わる。
【0103】
リペアバンプ(27,28,29)は、図13に示した構造と同様に平行平板状の第1層27、第2層28,第3層29からなる3層構造である。第2層(中間層)28の硬度は、第1層27及び第3層29の硬度、並びに親バンプ11の硬度より高い。親バンプ11とリペアバンプ(27,28,29)の導電体として第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ11とリペアバンプ(27,28,29)によって、第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0104】
第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、3層構造の平行平板状のリペアバンプ(27,28,29)の中間層28に、親バンプ11に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ11に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、硬度の高い中間層28がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(27,28,29)と親バンプ11との固相拡散接合ができるようになる。
【0105】
第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(27,28,29)と親バンプ11を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(27,28,29)の一部である中間層28にバンプ接合する親バンプ11の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ11の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0106】
一方、親バンプ11とリペアバンプ(27,28,29)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ11とリペアバンプ(27,28,29)の本接続時においては、親バンプ11の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(27,28,29)の下端側の頂部が親バンプ11の下端部側に向かって金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ11とリペアバンプ(27,28,29)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において中間層28を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ板状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0107】
以上のように本発明の第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第3実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、大口径の主基板に多数の搭載素子を配列した積層型半導体装置を含む、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0108】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る積層型半導体装置は、図3に示した第1の実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第4実施形態に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図16に示した平行平板状の親バンプ14bを有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下端面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図16に示した平行平板状の構造をなすリペアバンプ(27,28)を有している構造を例示的に想定しているが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。平行平板状のリペアバンプ(27,28)の主面と、平行平板状の親バンプ14bの主面は、互いに直交する方向の関係であることが好ましい。
【0109】
親バンプ14bは主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する平行平板状の板である。親バンプ14bは、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に平行平板状の板の下端面を接し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)と親バンプ14bは、互いに主面が交わる方向の関係にあれば、基体側曲面とリペア側曲面は1つの交点で交わる。
【0110】
リペアバンプ(27,28)は、平行平板状の低硬度層27及び高硬度層28からなる2層構造である。高硬度層28の硬度は、低硬度層27の硬度及び親バンプ14bの硬度より高い。親バンプ14bとリペアバンプ(27,28)の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ14bとリペアバンプ(27,28)によって、第4実施形態に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0111】
第4実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、2層構造の平行平板状のリペアバンプ(27,28)の高硬度層28に、親バンプ14bに使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ14bに切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い高硬度層28がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(27,28)と親バンプ14bとの固相拡散接合ができるようになる。
【0112】
第4実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(27,28)と親バンプ14bを圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第4実施形態に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(27,28)の一部である高硬度層28にバンプ接合する親バンプ14bの金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ14bの金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。同一若しくは同等の硬度の側壁(サイドウオール)を接合する場合は、一回の仮接合で、リペアバンプと親バンプの両方がかなり潰れて変形する。しかし、この変形だけでは清浄な金の露出面積は大きくないのですぐに剥がれる。一方、リペアバンプ(27,28)の高硬度層28の硬度を他の部分より固い材料にし、リペアバンプ(27,28)の低硬度層27の厚さを薄くすることにより、硬い材料がナイフのように相手のサイドウォールに食い込み、露出面積が増え、仮接合後にはがれにくくなる。仮接合後にはがれにくくなるので、リペア回数を増やすことができるという顕著な効果を奏する。
【0113】
一方、親バンプ14bとリペアバンプ(27,28)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ14bとリペアバンプ(27,28)の本接続時においては、親バンプ14bの垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(27,28)の下端側の頂部が親バンプ14bの下端部側に向かって金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ14bとリペアバンプ(27,28)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において高硬度層28を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ板状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第4実施形態に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0114】
以上のように本発明の第4実施形態に係る積層型半導体装置によれば、搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第4実施形態に係る積層型半導体装置によれば、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0115】
(第4実施形態の第1変形例)
本発明の第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置は、図3に示した第1の実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図17に示した底付円筒状の親バンプ15を有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下端面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図17に示した平行平板状の構造をなすリペアバンプ(27,28)を有している構造を例示的に想定しているが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0116】
親バンプ15は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する底付円筒状の皿である。親バンプ15は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に底付円筒状の皿の底面を接合し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)の下端面と親バンプ15の上端面は、図17に示すように2つの交点で交わる。
【0117】
リペアバンプ(27,28)は、図16に示した構造と同様に平行平板状の低硬度層27及び高硬度層28からなる2層構造である。高硬度層28の硬度は、低硬度層27の硬度及び親バンプ15の硬度より高い。親バンプ15とリペアバンプ(27,28)の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ15とリペアバンプ(27,28)によって、第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0118】
第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、2層構造の平行平板状のリペアバンプ(27,28)の高硬度層28に、親バンプ15に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ15に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い高硬度層28がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(27,28)と親バンプ15との固相拡散接合ができるようになる。
【0119】
第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(27,28)と親バンプ15を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(27,28)の一部である高硬度層28にバンプ接合する親バンプ15の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ15の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0120】
一方、親バンプ15とリペアバンプ(27,28)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ15とリペアバンプ(27,28)の本接続時においては、親バンプ15の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(27,28)の下端側の頂部が親バンプ15の下端部側に向かって金属学的に接合される。押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ15とリペアバンプ(27,28)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において高硬度層28を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ板状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0121】
以上のように本発明の第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第4実施形態の第1変形例に係る積層型半導体装置によれば、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0122】
(第4実施形態の第2変形例)
本発明の第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置は、図3に示した第1の実施形態に係る積層型半導体装置の構造と同様な基体と搭載部品で構成される積層構造である。図3から理解できるように、第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の基体も、図示を省略した主基板、主基板の上に設けられたフィールド絶縁膜を備え、このフィールド絶縁膜の上に図18に示した矩形箱状の親バンプ11を有している。一方、搭載部品は、図示を省略した搭載素子、搭載素子の下端面に設けられた多層配線絶縁層を備え、この多層配線絶縁層の下面に、図18に示した平行平板状の構造をなすリペアバンプ(27,28)を有している構造を例示的に想定しているが、搭載素子はLEDチップ等の個別素子の構造でも構わない。
【0123】
親バンプ11は主基板の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する箱状の皿である。親バンプ11は、フィールド絶縁膜に埋め込まれた表面電極に箱状の皿の底面を接合し、主基板に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)は、搭載素子の接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有し搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)は、多層配線絶縁層に埋め込まれた表面配線を介して、搭載素子に設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(27,28)の下端面と親バンプ11の上端面は、図18に示すように2つの交点で交わる。
【0124】
リペアバンプ(27,28)は、図16に示した構造と同様に平行平板状の低硬度層27及び高硬度層28からなる2層構造である。高硬度層28の硬度は、低硬度層27の硬度及び親バンプ11の硬度より高い。親バンプ11とリペアバンプ(27,28)の導電体として、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。親バンプ11とリペアバンプ(27,28)によって、第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体が構成される。
【0125】
第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体では、2層構造の平行平板状のリペアバンプ(27,28)の高硬度層28に、親バンプ11に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ11に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い高硬度層28がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(27,28)と親バンプ11との固相拡散接合ができるようになる。
【0126】
第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置のバンプ接続体は、比較的小さい圧力でリペアバンプ(27,28)と親バンプ11を圧着しても固相拡散接合部以外の大部分のバンプが変形を抑えられるため弱い力で圧着して仮接続して電気的評価後に不具合があれば搭載部品を取り換えて再仮接続できる。再仮接続による電気的評価に合格すれば本接続の接合に進めることができる。なお、第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置において、リペアバンプ(27,28)の一部である高硬度層28にバンプ接合する親バンプ11の金属と化合してその化合物の硬度がバンプ金属より高くなるような材料を入れ、その化合物が相手の親バンプ11の金属を局所的に大きく変形させるもしくは亀裂を入れる働きをさせるようにしてもよい。
【0127】
一方、親バンプ11とリペアバンプ(27,28)が仮接続等の状態で搭載素子の正常動作が確認された場合は、搭載素子を主基板に対して押圧する力を更に増大し、搭載素子と主基板の間隔を更に縮める。主基板に対する搭載素子を押圧する力が更に増大されると、搭載素子と主基板が本接続される。親バンプ11とリペアバンプ(27,28)の本接続時においては、親バンプ11の垂直側壁部は押圧により更に変形し、リペアバンプ(27,28)の下端側の頂部が親バンプ11の下端部側に向かって金属学的に接合される。
【0128】
押圧により主基板と搭載素子の距離が圧縮されるので、本接続の段階でのバンプ接続体の高さは、仮接続のときのバンプ接続体の高さよりも低くなり、且つ親バンプ11とリペアバンプ(27,28)は互いに無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序且つ断片状に畳込まれた構造になる。無秩序に畳込まれた混乱状態において高硬度層28を構成していた硬度の高い導電体のパターンの断片的残滓が、歪んだ板状の痕跡に不定形状に沿って、バンプ接続体の内部に不均一に分布している。この結果、互いに食い込み合った基体側曲面とリペア側曲面の交点とその近傍の空間内に硬度の異なる導電体が不均一に含まれている。即ち、主基板回路を設けた主基板と、搭載素子側回路を設けた搭載素子とがバンプ接続体で電気的に接続されることにより、第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置が構成できる。
【0129】
以上のように本発明の第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、搭載素子のリペア処理が容易な積層型半導体装置及び搭載素子等を提供することができる。この結果、第4実施形態の第2変形例に係る積層型半導体装置によれば、種々の積層型半導体装置の製造時間が短縮され、正常な主基板や正常な搭載素子を無駄に失うこともなく、且つリペア処理の回数を増やすことができる。
【0130】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明の第1~第4実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、図19(a)に示すように、表面電極(第1ランド)を露出した基体1と表面電極(第2ランド)19を露出した搭載部品2で構成される積層構造であってもよい。基体1は、主基板81と、主基板81の上面に設けられたフィールド絶縁膜82と、フィールド絶縁膜82の上面に選択的に設けられた第1ランド12と、第1ランド12の上面に設けられた親バンプ11により構成されている。搭載部品2は、搭載素子Xijと、搭載素子Xijの下面に設けられた多層配線絶縁層20と、多層配線絶縁層20の下面に選択的に設けられた第2ランド19と、第2ランド19の下面に設けられたリペアバンプ(21,22,23)で構成されている。
【0131】
図19(a)に示す主基板81は、基板搭載面と、この基板搭載面に対向する基体裏面を有する平行平板状であり主基板回路を設けている。搭載素子Xijは、接続面と、この接続面に対向する接続反対面を有する平行平板状の構造を例示的に示しているが平行平板状に限定されるものではない。例えば、搭載素子がLEDチップ等の個別素子である場合は砲弾状の構造でもよい。搭載素子Xijは、搭載素子側回路を設け、主基板81の基板搭載面に接続面を対峙させている。親バンプ11は主基板81の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の箱状である。親バンプ11はフィールド絶縁膜82の上面に露出した第1ランド12に箱の底面を接し、第1ランド12はフィールド絶縁膜82の上面に設けられている。第1ランド12は、図示を省略したコンタクトビアを介して主基板81に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ(21,22,23)は、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有する矩形の箱状である。リペアバンプ(21,22,23)は、多層配線絶縁層20の下面に露出した第2ランド19に箱の底面(図19において天井側)を接し、第2ランド19は多層配線絶縁層20中の配線に図示を省略したコンタクトビアを介して接続されている。多層配線絶縁層20中の配線は搭載素子Xijに設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されているので、リペアバンプ(21,22,23)は第2ランド19を介して、搭載素子側回路に接続される。図4に示した平面パターンと同様に、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わる。
【0132】
第1ランド12及び第2ランド19の平面パターンの図示を省略しているが、例えば正方形状でよいが、正方形状に限定されるものではない。図19(a)に示すリペアバンプ(21,22,23)は、箱状の最外層21、中間層22,最内層23からなる3層構造である特徴は第1実施形態と同様である。中間層22の硬度は、最外層21及び最内層23の硬度、並びに親バンプ11の硬度より高い。親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金の組み合わせが使用可能である。第1ランド12は、親バンプ11に選ばれた金属や合金との接触抵抗を低減できる導電体を選択し、第2ランド19はリペアバンプ(21,22,23)に選ばれた金属や合金との接触抵抗を低減することができる導電体を選択することが好ましい。第1ランド12及び第2ランド19には、例えばAu又はAuを80%以上含むAu-Si,Au-Ge,Au-Sb,Au-Sn,Au-Pb,Au-Zn,Au-Cu等の合金で形成することが可能であり、下地にニッケル(Ni)等の金属層を用いた多層構造でも構わない。図19(b)に示すように、親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)によって、他の実施形態に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体Buvが構成される。
【0133】
図19(b)に示す他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvでは、3層構造の箱状のリペアバンプ(21,22,23)の中間層22に、親バンプ11に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ11に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い中間層22がナイフ・エッジのような深い切れ込みを構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ11との固相拡散接合ができるようになる。他は既に説明した第1実施形態に係る積層型半導体装置と実質的に同様であるので重複した説明を省略する。
【0134】
又、図20(a)に示すように、基体1と搭載部品2で構成される積層構造において、基体1側に硬度の高い導電体を用いる図19(a)とは反対の構造でも構わない。図20(a)に示す基体1は、主基板81と、主基板81の上面に設けられたフィールド絶縁膜82と、フィールド絶縁膜82の上面に選択的に設けられた第1ランド12と、第1ランド12の上面に設けられた親バンプ(31,32,33)により構成されている。一方、搭載部品2は、搭載素子Xijと、搭載素子Xijの下面に設けられた多層配線絶縁層20と、多層配線絶縁層20の下面に選択的に設けられた第2ランド19と、第2ランド19の下面に設けられたリペアバンプ41で構成されている。
【0135】
主基板81は、基板搭載面と、この基板搭載面に対向する基体裏面を有する平行平板状であり主基板回路を設けている。搭載素子Xijは、接続面と、この接続面に対向する接続反対面を有する平行平板状の構造を例示的に示しているが平行平板状に限定されるものではない。例えば、搭載素子がLEDチップ等の個別素子である場合は砲弾状の構造でもよい。搭載素子Xijは搭載素子側回路を設け、主基板81の基板搭載面に接続面を対峙させている。親バンプ(31,32,33)は主基板81の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の箱状である。親バンプ(31,32,33)はフィールド絶縁膜82の上面に露出した第1ランド12に箱の底面を接し、第1ランド12はフィールド絶縁膜82の上面に設けられている。第1ランド12は、図示を省略したコンタクトビアを介して主基板81に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。リペアバンプ41は、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有する矩形の箱状であり、多層配線絶縁層20の下面に露出した第2ランド19に箱の底面(図20において天井側)を接している。第2ランド19は多層配線絶縁層20中の配線に図示を省略したコンタクトビアを介して接続され、多層配線絶縁層20中の配線は搭載素子Xijに設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されているので、リペアバンプ41は第2ランド19を介して、搭載素子側回路に接続される。図4に示した平面パターンと同様に、基体側曲面とリペア側曲面は4つの交点で交わる。
【0136】
親バンプ(31,32,33)は、箱状の最外層31、中間層32,最内層33からなる3層構造である。中間層32の硬度は、最外層31及び最内層33の硬度、並びにリペアバンプ41の硬度より高い。親バンプ(31,32,33)とリペアバンプ41の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金による高硬度導電体と低高度導電体の組み合わせが使用可能である。第1ランド12は、親バンプ(31,32,33)に選ばれた金属や合金との接触抵抗を低減できる導電体を選択し、第2ランド19はリペアバンプ41に選ばれた金属や合金との接触抵抗を低減することができる導電体を選択することが好ましい。第1ランド12及び第2ランド19には、例えばAu又はAuを80%以上含むAu-Si等の合金で形成することが可能であり、下地にニッケル(Ni)等の金属層を用いた多層構造でも構わない。図20(b)に示すように、親バンプ(31,32,33)とリペアバンプ41によって、更に他の実施形態に係る積層型半導体装置の要素となるバンプ接続体Buvが構成される。
【0137】
図20(b)に示す更に他の実施形態に係る積層型半導体装置のバンプ接続体Buvでは、3層構造の箱状の親バンプ(31,32,33)の中間層32に、リペアバンプ41に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手のリペアバンプ41に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い中間層32がナイフ・エッジのような深い切れ込みをリペアバンプ41に構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ41と親バンプ(31,32,33)との固相拡散接合ができるようになる。他は既に説明した第1実施形態に係る積層型半導体装置と実質的に同様であるので重複した説明を省略する。第2~第4実施形態に係る積層型半導体装置に関しても、図20に示したように、基体1側の親バンプの構造を硬度の高い導電体の層を含む多層構造を採用し、搭載部品2側のリペアバンプに親バンプの硬度の高い導電体の層が食い込む構造にしてもよい。
【0138】
更に、図21にその一部の構造を示すように、図19(b)に示した構造と図20(b)に示した構造とを混在させて構造でもよい。図21に示す基体1は、主基板81と、主基板81の上面に設けられたフィールド絶縁膜82と、フィールド絶縁膜82の上面に選択的に設けられた左側第1ランド12a及び右側第1ランド12bと、左側第1ランド12aの上面に設けられた親バンプ11と、右側第1ランド12bの上面に設けられた親バンプ(31,32,33)により構成されている。一方、搭載部品2は、搭載素子Xijと、搭載素子Xijの下面に設けられた多層配線絶縁層20と、多層配線絶縁層20の下面に選択的に設けられた左側第2ランド19a及び右側第2ランド19bと、左側第2ランド19aの下面に設けられたリペアバンプ(21,22,23)と、右側第2ランド19bの下面に設けられたリペアバンプ41で構成されている構造を例示的に示しているが搭載素子Xijの形状は平行平板状に限定されるものではない。例えば、搭載素子がLEDチップ等の個別素子である場合は砲弾状の構造でもよい。
【0139】
主基板81は、基板搭載面と、この基板搭載面に対向する基体裏面を有する平行平板状であり主基板回路を設けている。搭載素子Xijは、接続面と、この接続面に対向する接続反対面を有する平行平板状であり、搭載素子側回路を設け、主基板81の基板搭載面に接続面を対峙させている。親バンプ11及び親バンプ(31,32,33)のそれぞれは主基板81の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の箱状である。親バンプ11及び親バンプ(31,32,33)はフィールド絶縁膜82の上面に露出した左側第1ランド12a及び右側第1ランド12bのそれぞれに箱の底面を接し、左側第1ランド12a及び右側第1ランド12bはフィールド絶縁膜82の上面に設けられている。左側第1ランド12a及び右側第1ランド12bのそれぞれは、図示を省略したコンタクトビアをそれぞれ介して主基板81に集積化された主基板回路に電気的に独立して接続されている。
【0140】
リペアバンプ(21,22,23)及びリペアバンプ41のそれぞれは、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有する矩形の箱状であり、多層配線絶縁層20の下面に露出した左側第2ランド19a及び右側第2ランド19bに箱の底面(図21において天井側)を接している。左側第2ランド19a及び右側第2ランド19bのそれぞれは多層配線絶縁層20中の配線に図示を省略したコンタクトビアを介してそれぞれ独立して接続され、多層配線絶縁層20中の配線は、それぞれ個別に搭載素子Xijに設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されているので、リペアバンプ(21,22,23)は左側第2ランド19aを介して、リペアバンプ41は右側第2ランド19bを介して、搭載素子側回路にそれぞれ独立して接続される。親バンプ11の基体側曲面とリペアバンプ(21,22,23)のリペア側曲面は4つの交点で交わり、親バンプ(31,32,33)の基体側曲面とリペアバンプ41のリペア側曲面は4つの交点で交わる。
【0141】
図21に示すリペアバンプ(21,22,23)は、箱状の最外層21、中間層22,最内層23からなる3層構造であり、中間層22の硬度は、最外層21及び最内層23の硬度、並びに親バンプ11の硬度より高い。親バンプ(31,32,33)は、箱状の最外層31、中間層32,最内層33からなる3層構造であり、中間層32の硬度は、最外層31及び最内層33の硬度、並びにリペアバンプ41の硬度より高い。親バンプ11、親バンプ(31,32,33)、リペアバンプ(21,22,23)及びリペアバンプ41の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金による高硬度導電体と低高度導電体の組み合わせが使用可能である。図21に示すように、、親バンプ11とリペアバンプ(21,22,23)によって左側のバンプ接続体Buvが構成され、親バンプ(31,32,33)とリペアバンプ41によって右側のバンプ接続体Buvが構成される。
【0142】
図21に示す左側のバンプ接続体Buvでは、リペアバンプ(21,22,23)の中間層22に、親バンプ11に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手の親バンプ11に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。右側のバンプ接続体Buvでは、親バンプ(31,32,33)の中間層32に、リペアバンプ41に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手のリペアバンプ41に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い中間層22及び中間層32がナイフ・エッジのような深い切れ込みを相手の親バンプ11又はリペアバンプ41に構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもリペアバンプ(21,22,23)と親バンプ11との固相拡散接合及びリペアバンプ41と親バンプ(31,32,33)との固相拡散接合ができるようになる。他は既に説明した第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様であるので重複した説明を省略する。第2~第4実施形態に係る積層型半導体装置に関しても、図21に示したような基体1側の親バンプに硬度の高い導電体領域を用いる構造と搭載部品2側のリペアバンプに硬度の高い導電体領域を用いる構造とが混在した構造にしてもよい。
【0143】
更に、図22にその一部の構造を示すように、図19(b)に示した構造と図20(b)に示した構造を同一バンプ内で混在させて構造でもよい。図22に示す基体1は、主基板81と、主基板81の上面に設けられたフィールド絶縁膜82と、フィールド絶縁膜82の上面に選択的に設けられた第1ランド12と、第1ランド12の上面に設けられたハイブリッド型親バンプ(31,32,33)により構成されている。一方、搭載部品2は、搭載素子Xijと、搭載素子Xijの下面に設けられた多層配線絶縁層20と、多層配線絶縁層20の下面に選択的に設けられた第2ランド19と、第2ランド19の下面に設けられたハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)で構成されている。
【0144】
主基板81は、基板搭載面と、この基板搭載面に対向する基体裏面を有する平行平板状であり主基板回路を設けている。搭載素子Xijは、接続面と、この接続面に対向する接続反対面を有する平行平板状であり、搭載素子側回路を設け、主基板81の基板搭載面に接続面を対峙させている構造を例示的に示しているが搭載素子Xijの形状は平行平板状に限定されるものではない。例えば、搭載素子がLEDチップ等の個別素子である場合は砲弾状の構造でもよい。ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)は主基板81の基板搭載面に垂直な壁状の基体側曲面を有する矩形の箱状である。ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)はフィールド絶縁膜82の上面に露出した第1ランド12に箱の底面を接し、第1ランド12はフィールド絶縁膜82の上面に設けられている。第1ランド12は、図示を省略したコンタクトビアを介して主基板81に集積化された主基板回路に電気的に接続されている。
【0145】
ハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)は、接続面に垂直な壁状のリペア側曲面を有する矩形の箱状であり、多層配線絶縁層20の下面に露出した第2ランド19に箱の底面(図22において天井側)を接している。第2ランド19は多層配線絶縁層20中の配線に図示を省略したコンタクトビアを介して接続され、多層配線絶縁層20中の配線は搭載素子Xijに設けられた搭載素子側回路に電気的に接続されているので、ハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)は第2ランド19を介して、搭載素子側回路に接続される。ハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)のリペア側曲面とハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の基体側曲面とは4つの交点で交わる。
【0146】
図22に示すハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の左側は最外層21、中間層22,最内層23からなる3層構造であるが、右側は中間層22がない2層構造である。ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の右側は、最外層31、中間層32,最内層33からなる3層構造であるが、左側は中間層32がない2層構造である。ハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の中間層22の硬度は、最外層21及び最内層23の硬度、並びにハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の最外層31及び最内層33よりも高い。ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の中間層32の硬度は、最外層31及び最内層33の硬度、並びにハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の最外層21及び最内層23の硬度より高い。ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)及びハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の導電体には、第1実施形態で説明したような金属や合金による高硬度導電体と低高度導電体の組み合わせが使用可能である。
【0147】
図22に示す左側の領域においては、ハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の中間層22に、対向するハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の左側に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の左側に切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。図22に示す右側の領域においては、ハイブリッド型親バンプ(31,32,33)の中間層32に、対向するハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の右側に使う金属より硬度の高い材料を入れ、接合時に加える圧力により、相手のハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)のに切れ込みが入り食い込むようにして固相拡散接合をなしている。即ち、相対的に硬い中間層22及び中間層32がナイフ・エッジのような深い切れ込みを相手のハイブリッド型親バンプ(31,32,33)又はハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)の相対的に硬度の低い領域に構成して固相拡散接合をなすため、変形する領域は小さいが清浄面どうしの接触面積が大きくとれる。
【0148】
切れ込みによる固相拡散接合の構造にすることによりバンプ全体の変形量は従来の同等硬度接合型バンプより小さいが、清浄な金属同士の固相拡散接合部分の面積が大きくなる。低温でもハイブリッド型リペアバンプ(21,22,23)とハイブリッド型親バンプ(31,32,33)との固相拡散接合ができるようになる。他は既に説明した第1実施形態に係る積層型半導体装置と同様であるので重複した説明を省略する。第2~第4実施形態に係る積層型半導体装置に関しても、図13及び図16に示した構造以外の構造であれば、即ち、リペアバンプと親バンプの交点が2以上生じる構造の場合であれば、図22に示したような基体1側の親バンプに硬度の高い導電体領域を用いる構造と搭載部品2側のリペアバンプに硬度の高い導電体領域を用いる構造とが同一バンプ内で混在した構造を採用可能である。
【0149】
本発明の第1~第4実施形態に係る積層型半導体装置として、大口径の主基板81がフォトダイオード等の検出素子を画素としてマトリクス状に配置した検出器基板であり、搭載素子Xijが各画素からの信号を読み出す読出回路搭載素子(読出チップ)側回路を集積化した半導体集積回路チップである場合を主に例示的に説明したが、本発明の積層型半導体装置は固体撮像装置やマイクロLEDディスプレイに限定されるものではない。例えば、主基板81をDRAMやSRAM等のメインメモリとし、このメインメモリの上にALUを集積化した搭載素子Xijを搭載して積層型半導体装置を構成してもよい。メインメモリの分割された領域に、ALUを等集積化した搭載素子Xijを搭載すれば、メインメモリの分割されたブロックのそれぞれからの信号を、搭載素子Xijが並列処理やパイプライン処理する並列計算機が実現できる。
【0150】
このように、上記の第1~第4実施形態において説明した技術内容は例示に過ぎず、第1~第4実施形態の各構成を任意に応用した構成等に適用できる。よって、本発明は第1~第4実施形態に係る積層型半導体装置では記載していない様々な第1~第4実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当と解釈できる技術的事項であれば、特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0151】
1…基体、2…搭載部品、11,14a,14b,15,16…親バンプ、12,12a,12b…第1ランド、19,19a,19b…第2ランド、20…多層配線絶縁層、21,31…最外層、22,32…中間層、23,33…最内層、25…中間層、27…低硬度層(第1層)、28…中間層(第2層:高硬度層)、29…第3層、41…リペアバンプ、81…主基板、82…フィールド絶縁膜、B11,B12,B13,B21,B22,B23,Buv…バンプ接続体、X21,X22,X2m、Xij,Xst,Xxy…搭載素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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