(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】ガゼットピロー型包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 65/30 20060101AFI20240724BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20240724BHJP
【FI】
B65D65/30
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2020167425
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】396023328
【氏名又は名称】株式会社タケトモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大地
(72)【発明者】
【氏名】古越 敏之
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6651090(JP,B1)
【文献】特表2008-508148(JP,A)
【文献】特開2011-184064(JP,A)
【文献】国際公開第2012/100996(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面部側の合掌熱接着部と上下端部の端縁熱接着部とを備えたガゼットピロー型包装袋であって、該包装袋の背面部側に設け、該合掌熱接着部の基端付近から仰角で直線状に延びる背面切り裂き線と、該包装袋の左右の端面部側に設け、該背面切り裂き線の終端付近から連続し、該背面切り裂き線よりも大きな仰角で直線状に延びる端面切り裂き線と、からなる切り裂き線を備えてなり、
該包装袋を、透明バリアフィルム層の内面側に、ポリアミドフィルムを備えた熱接着性樹脂層を積層した構成を有する透明積層フィルムから形成してな
り、
前記切り裂き線は前記透明バリアフィルム層にのみ切り込みを入れて形成し、
当該切れ込みをPVDCコート又はバリア性を有する接着剤で埋めてある、
ガゼットピロー型包装袋。
【請求項2】
前記端面切り裂き線の終端を上端部の端縁熱接着部の基端付近に設けてなる請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記切り裂き線を複数の並行状の切れ込みから形成してなる請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記包装袋の背面部と左右の端面部との角部付近のみを一本の切れ込みからなる切り裂き線としてある請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
前記合掌熱接着
部の少なくとも前記透明バリアフィルム層に水平状に切れ込みを入れ、前記背面切り裂き線に連結させてなる請求項1~4のいずれかに記載の包装袋。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のガゼットピロー型包装袋の製造方法であって、
長尺状の前記透明積層フィルムの外面に、レーザー加工により
前記透明バリアフィルム層のみに切れ込みを入れて前記切り裂き線を設けた後、
PVDCコート液又はバリア性を有する接着剤で当該切れ込みを埋め合わせ、前記透明積層フィルムを適宜大きさに切断し、背面側の合掌熱接着部と上下端部の端縁熱接着部とを熱接着して形成するガゼットピロー型包装袋の製造方法。
【請求項7】
前記切り裂き線を、前記包装袋の背面部及び左右の端面部になる面に、並行状の複数の切れ込みを入れるとともに、前記包装袋の背面部と左右の端面部との角部になる箇所のみに一本の切れ込みを入れて設けた、請求項6に記載のガゼットピロー型包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食料品や医薬品などを封入するガゼットピロー型包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
背面側を合掌状に合わせて筒状にし、上下端部を接着した縦長状のピロー型包装袋が、食料品や医薬品などを包装するのに用いられている。厚みがあるものを包装する場合には、側端面部にマチを設けたガゼットピロー型包装袋にすることもある。このようなピロー型包装袋は、背面側の接合部から横方向に切り裂き開封できるようにしたものが多く見られる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、内面に熱接着性樹脂層を有する多層構成の積層フィルムからなり合掌熱接着部と合掌熱接着部の両端の端縁熱接着部により形成されたピロータイプ袋であって、一方の端縁熱接着部に近い合掌熱接着部の側端に切込が形成されるとともに、この切込から一方の端縁熱接着部の方向に斜めに広がる切目線が、積層フィルムを構成する少なくとも1層に形成された構成からなることを特徴とする包装袋が開示されている。
【0004】
また、本発明者らは、下記特許文献2に開示する、『アルミニウム箔層と、該アルミニウム箔層の内面に設けた熱接着性樹脂層と、該アルミニウム箔層の外面に設けた樹脂フィルム層とを少なくとも備えた積層フィルムからなり、背面部側の合掌熱接着部と上下端部の端縁熱接着部とにより形成されたガゼットピロー型包装袋であって、該樹脂フィルム層に切れ込みを入れて切り裂き線を設けてあり、該切り裂き線は、該袋の背面部側に形成した背面切り裂き線と、該袋の左右の端面部側に形成した端面切り裂き線とからなり、該背面切り裂き線は、該合掌熱接着部の基端付近から仰角で直線状に延び、該端面切り裂き線は、該背面切り裂き線の終端付近から該背面切り裂き線よりも大きな仰角で直線状に延びる、包装袋』を開発し、ガゼットピロー型包装袋において開封しやすく改良した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-31114号公報
【文献】特許第6651090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載のガゼットピロー型包装袋は、収容物の品質劣化を防止するため、アルミニウム箔を積層した積層フィルムから形成してあり、酸素や水蒸気の透過を防止している。
【0007】
しかし、アルミニウム箔は不透明であるため、収容物を封入した状態では、内部を視認することができず、どのような物が封入されているか確認することができなかった。
食料品などを封入した場合は、内部が視認できれば、顧客に商品をアピールすることができ、購買意欲を惹起することができる。そのため、従来の透明フィルムを用いて上記特許文献2に記載のガゼットピロー型包装袋と同じ形態にすることも想定できるが、透明フィルムに強度がなく、収容物を封入する際に切り裂き線部分にテンションがかかり、引き裂かれてしまうおそれがあった。
【0008】
また、包装材料は、近年、再生再利用をするサーキュラー・エコノミー(circular economy)の方向に進んでおり、アルミニウム箔を含む複合包装材料よりは、オールプラスチックの包装材料が現在の技術では再生再利用しやすい。すなわち、包装材料が回収されてケミカルリサイクルされる場合は、オールプラスチックの方が、熱分解油を製造するときにアルミニウム箔の剥離・分離の必要性がなく、余分な工程によるコスト負担、エネルギー消費が不要である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、開封しやすく、さらに、収容物を視認することができるようにしたガゼットピロー型包装袋を提供することにある。また、このガゼットピロー型包装袋は、再生再利用しやすいものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態のガゼットピロー型包装袋は、背面部側の合掌熱接着部と上下端部の端縁熱接着部とを備えたガゼットピロー型包装袋であって、包装袋の背面部側に設け、合掌熱接着部の基端付近から仰角で直線状に延びる背面切り裂き線と、包装袋の左右の端面部側に設け、背面切り裂き線の終端付近から連続し、背面切り裂き線よりも大きな仰角で直線状に延びる端面切り裂き線と、からなる切り裂き線を備えてなり、包装袋を、透明バリアフィルム層の内面側に、ポリアミドフィルムを備えた熱接着性樹脂層を積層した構成を有する透明積層フィルムから形成してなることを特徴とする。
【0011】
切り裂き線を設けて開封しやすくしたガゼットピロー型包装袋において、上記透明積層フィルムを用いることにより、透明でありながら収容物の封入作業時において引き裂かれにくいものにすることができる。
【0012】
上記一形態の包装袋は、端面切り裂き線の終端を上端部の端縁熱接着部の基端付近に設けることが好ましい。このようにすることにより、端縁熱接着部の基端付近がヒンジのような働きをし、切り裂いた上端部側を開封しやすくなる。
【0013】
上記一形態の包装袋は、切り裂き線を複数の並行状の切れ込みから形成することが好ましい。このように切り裂き線を複数の並行状の切れ込みにすることにより切り裂く際に切り裂き線から外れることなく切り裂き線に沿い開封することができる。
この場合、背面部と左右の端面部との角部付近のみを一本の切れ込みからなる切り裂き線にするのがさらに好ましい。角部は成形時に折り曲げて加工するため、ピンホールができやすい部分であるが、切れ込みを一本にしておくことにより、成形時にピンホールができにくくなる。
【0014】
上記一形態の包装袋は、合掌熱接着部部分の少なくとも透明バリアフィルム層に水平状に切れ込みを入れ、背面切り裂き線に連結させることが好ましい。このようにすることにより、合掌熱接着部から切り裂きやすくなり、開封作業がしやすくなる。
【0015】
上記一形態の包装袋において、バリア性の低下を防ぐため、切れ込み部分をコートするのが好ましい。このコートは、例えば、PVDCコートやゾルゲルコート剤などで行うことができ、また、バリア性を有する接着剤で埋めてもよい。PVDCコートは、例えば、インクジェットで行うことができる。
このようにすることにより、切れ込み部分のバリア性を確保することができる。例えば、透明バリアフィルムとして蒸着フィルムを用いた場合、透明バリアフィルムを高い出力でレーザー加工して切れ込みを設けると透明バリアフィルムの基材フィルムだけが切れるのではなく、バリア性を確保するための蒸着層もカットされ、あるいは、ひび割れを起こすおそれがある。その場合、切れ込み部分をコートしておけば、バリア性が低下するのを防ぐことができる。
【0016】
上記一形態の包装袋は、例えば、長尺状の透明積層フィルムの外面に、レーザー加工により切れ込みを入れて切り裂き線を設けた後、透明積層フィルムを適宜大きさに切断し、背面部側の合掌熱接着部と上下端部の端縁熱接着部とを熱接着して製造することができる。
【0017】
上記製造方法において、切り裂き線を、包装袋の背面部及び左右の端面部になる面に、並行状の複数の切れ込みを入れるとともに、包装袋の背面部と左右の端面部との角部になる箇所のみに一本の切れ込みを入れて設けることが好ましい。
なお、本発明でいう「透明」とは、封入した状態で収容物を視認できることであり、半透明も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態のガゼットピロー型包装袋を示し、(A)は背面側斜視図、(B)は正面側斜視図である。
【
図2】
図1の包装袋を製造するための透明積層フィルムの一例を模式的に示した断面図である。
【
図3】
図1の包装袋の切り裂き線が通る角部付近を示した部分拡大斜視図である。
【
図4】
図1の包装袋の製造方法の一例を示し、レーザー加工により切り裂き線を設けた状態を示した図である。
【
図5】
図1の包装袋を開封した状態を示した斜視図である。
【
図6】
図1の包装袋を用いて収容物を一時的に保管する状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態のガゼットピロー型包装袋を説明する。但し、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本発明の一実施形態のガゼットピロー型包装袋1は、
図1に示すように、背面部2と、左右の側端面部3a,3bと、正面部4と、切り裂き線5と、を備える。
【0021】
包装袋1は、背面部2の中心線付近には、合掌熱接着部6が高さ方向に沿い設けてある。左右の側端面部3a,3bには、中心線付近に内側に折り込む折り目3cを設けてある。折り目3cを内側に折り込んだ状態で上下を熱接着して上下端部の端縁熱接着部7a,7bを設けて、いわゆるガゼットピロー型としてある。
【0022】
包装袋1の大きさは、特に限定するものではないが、高さを100mm~200mmの範囲内、特に130mm~170mmの範囲内にするのが好ましく、幅を30mm~80mmの範囲内、特に40mm~60mmの範囲内にするのが好ましく、厚みを15mm~40mmの範囲内、特に20mm~30mmの範囲内にするのが好ましい。
【0023】
包装袋1は、透明積層フィルム8から形成してなり、透明積層フィルム8は、例えば、
図2に示すように、透明バリアフィルム層8a、その内面側に、ポリアミドフィルムを備えた熱接着性樹脂層8bを積層したものを用いることができる。
【0024】
透明バリアフィルム層8aは、透明乃至半透明であり、酸素を遮断する酸素バリア性と水蒸気を遮断する水蒸気バリア性に優れているフィルムからなり、例えば、アルミニウム箔と同等の酸素や水蒸気の透過防止性を有するのが好ましく、より具体的には、酸素バリア性が、1×10-2cc/m2・day以下、かつ水蒸気バリア性が、3×10-3g/m2・day以下であるのが好ましい。
透明バリアフィルム層8aとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリブチレンテレフタレートフィルム(PBT)、ナイロンフィルム(NY)などを基材とし、それにSiOx又は/及びAl2O3を蒸着したフィルム、有機又は/及び金属酸化物を蒸着したAtomic Layer Deposit(ADL)フィルム、無機又は/及び有機配合のゾルゲルコートしたフィルムを用いることができる。透明バリアフィルム層8aとして、紙ベースのバリア素材を用いることができる。なお、透明バリアフィルムは、透明ハイバリアフィルムを含むものである。
【0025】
透明バリアフィルム層8aの厚さは、特に限定するものではないが、5μm~50μmの範囲内、特に9μm~20μmの範囲内にするのが好ましい。
【0026】
熱接着性樹脂層8bは、熱接着して合掌熱接着部6及び上下端部の端縁熱接着部7a,7bを形成して袋状にするために設けてある。また、ポリアミドフィルムを備えることにより切り裂かれにくくなる。
熱接着性樹脂層8bは、ポリアミドフィルム(PA)に、熱接着フィルムを積層して形成することができる。
ポリアミドフィルムとしては、例えば、ナイロンフィルム(NY)、特に、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)を用いることができる。
【0027】
熱接着フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム(PE)、ポリプロピレンフィルム(PP)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-酢酸ビニル共重合フィルム(EVAC)、アイオノマーフィルム(ION)、エチレン-アクリル酸共重合体フィルム(EEA)、エチレン-プロピレン共重合樹脂フィルム(E/P)などを用いることができる。より具体的には直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)などを用いることができる。
【0028】
熱接着性樹脂層8bは、特に限定するものではないが、ポリアミドフィルムと熱接着フィルムとを、ドライラミネーションや共押出により積層するのが好ましい。
熱接着性樹脂層8bの好ましい積層例としては、PA/PE、PA/LLDPE、PA/CPP、PA/EVOH/PE、PA/EVOH/LLDPE、PA/EVOH/CPPなどを挙げることができる。これらは、ドライラミネーションにより接着させたフィルムとしてもよいが、共押出積層フィルムとするのが好ましい。
【0029】
熱接着性樹脂層8bの厚さは、特に限定するものではないが、15μm~120μmの範囲内、特に30μm~80μmの範囲内にするのが好ましい。
また、ポリアミドフィルムの厚さは、強度を確保する観点から、5μm~25μmの範囲内、特に10μm~20μmの範囲内にするのが好ましい。
熱接着フィルムの厚さは、厚くすると熱接着(ヒートシール)時の熱伝導性が悪くなり、収容速度が遅くなるとともに余分な熱エネルギーを必要とするめ、薄くするのが好ましく、具体的には20μm~80μmの範囲内、特に30μm~50μmの範囲内にするのが好ましい。
【0030】
透明積層フィルム8は、透明バリアフィルム層8aに熱接着性樹脂層8bを、例えば、押出ラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、サーマルラミネーション、サンドラミネーションなどにより積層して形成することができる。透明バリアフィルム層8aと熱接着性樹脂層8bとの間には印刷層を設けてもよい。
【0031】
透明積層フィルム8の全体厚さは、特に限定するものではないが、20μm~120μmの範囲内、特に50μm~90μmの範囲内にするのが好ましい。
透明積層フィルム8の好ましい積層例としては、バリア性PET/PA/PE、バリア性PET/PA/LLDPE、バリア性PET/PA/CPP、バリア性PBT/PA/PE、バリア性PBT/PA/LLDPE、バリア性PBT/PA/CPPなどを挙げることができる。
【0032】
切り裂き線5は、
図1に示すように、背面部2と左右の側端面部3a,3bの透明バリアフィルム層8aのみに切れ込みを入れて形成してある。この切れ込みはレーザー加工により設けるのが好ましい。
切り裂き線5の切れ込みの入れ方は、特許第6651090号公報に開示され、特に段落[0031]~[0034]に開示された切り裂き線と同様に入れることができる。
より具体的に説明すると、背面部2に形成した切り裂き線5の背面切り裂き線5aを、背面部2において、合掌熱接着部6の基端部付近から側端面部3a,3bに向かい仰角に直線状に延びるように形成することができる。
【0033】
また、左右の側端面部3a,3bに形成した切り裂き線5の端面切り裂き線5bを、左右の側端面部3a,3bにおいて、背面切り裂き線5aの終端付近から連続させ、正面部4に向かい背面切り裂き線5aの仰角よりも大きな仰角で直線状に延びるように形成することができる。
端面切り裂き線5bの終端は、上端部側の端縁熱接着部7aの基端付近に設けることが好ましい。このようにすることにより、端縁熱接着部の基端付近がヒンジのような働きをし、切り裂いた上端部側を開封しやすくなる。
【0034】
合掌熱接着部6にも、背面部切り裂き線5aに連続する切り裂き線5を設けておくのが好ましい。この場合、切り裂き線5は水平状にするのが好ましい。このようにすることにより、この個所から開封しやすくなる。
【0035】
切り裂き線5は、一本の切れ込みを入れて設けることができるが、並行状に複数本の切れ込みを入れて形成してもよく、
図3に示すように、三本の並行状の切れ込みを入れるのが好ましい。複数の切れ込みを設けることにより、開封する際に切り裂き線5に沿い切り裂きやすくなり、所望の位置を切り裂くことができる。切れ込みの間隔は、特に限定するものではないが1μm~3μm、特に1.5μm~2μmが好ましい。
切り裂き線5を複数本の切れ込みとした場合において、背面部2と左右の側端面部3a,3bの角部2a,2b付近の切り裂き線5は一本の切れ込みにするのが好ましい。切り裂き線5を設けることにより、角部2a,2b付近にピンホールができるおそれがあり、一本の切れ込みにしておくことによりピンホールを形成しにくくすることができる。
【0036】
包装袋1は、例えば、以下のように製造することができる。
ロール状にした長尺状の透明積層フィルム8を用い、透明バリアフィルム層8aに、レーザー加工などにより、切れ込みを入れて切り裂き線5を形成する。この際、
図4に示すように、三本の並行状の切れ込みを形成し、背面部2及び左右の側端面部3a,3bの角部になる箇所のみに一本の切れ込みを入れるのが好ましい。レーザー加工の条件を設定することにより、透明バリアフィルム層8aのみ、或いは、透明バリアフィルム層8a及び熱接着性樹脂層8bのポリアミドフィルムのみに切れ込みを設けることができる。
その後、長尺状の透明積層フィルム8を切断線9にて適宜大きさに切断し、左右の端部を合掌状に合わせて熱接着して合掌熱接着部6を形成し、縦長角筒状にする。そして、左右端面部3a,3bの折り目3cを内側に折込み、下端部を熱接着して下端部側の端縁熱接着部7bを形成する。収容物を収容して上端部側の端縁熱接着部7aを熱接着してガゼットピロー型包装袋1を製造することができる。
なお、
図4中の一点鎖線は折り曲げ箇所である。
【0037】
透明積層フィルム8は、レーザー加工をした際、その部分のバリア性が低下するおそれがある。例えば、透明バリアフィルム層8aを蒸着フィルムとした場合、その蒸着面がレーザーで切断され、あるいは、ひび割れしてバリア性が低下してしまうこともある。その場合は、コート液などを切れ込み部分に埋めて乾燥させ、皮膜を形成することにより、バリア性を確保することができる。コート液などを塗布するにはインクジェットなどで行うことができる。コート液としてはPVDCコート液が好ましく、このコート液は30~60%濃度、特に約50%濃度が好ましい。ゾルゲルコート剤を用いて皮膜を形成してもよい。
また、バリア性を有するドライラミの接着剤を使用し、レーザー加工の切れ込み箇所を埋めてバリア性を確保することもできる。バリア性を有するドライラミの接着剤としては、例えば、三菱瓦斯化学の商品名マクシーブなどを挙げることができる。
【0038】
包装袋1は、例えば、医薬品や食料品などを封入することができ、羊羹、ゼリーや固形状栄養食などの棒状の食料品10を封入するのが好ましい。
包装袋1は、透明積層フィルム8からなるため、内部を視認することができ、どのような収容物が封入されているか確認することができる。
包装袋1は透明積層フィルム8からなるため、透明バリアフィルム層8aにより、酸素や水蒸気の透過を阻止して封入した収容物の品質劣化を防ぎ、また、熱接着性樹脂層8bのポリアミドフィルムにより、強度が増し、収容物を封入する際に切り裂き線5から切り裂かれることを防ぐことができる。
【0039】
包装袋1は、切り裂き線5を設けることにより、
図5に示すように、背面部2側から背面切り裂き線5a及び端面切り裂き線5bに沿い開封することができる。この際、端面切り裂き線5bを大きな仰角としたため、収容物に引っ掛かりにくくなり、開封をスムーズに行うことができる。
また、正面部4側には切り裂き線を設けてないため、袋1の上端部側が袋1に連結したまま残り、開封後は、
図6に示すように、この部分を蓋として一時的に保管するために利用することができる。
包装袋1は、フィルムからなるため、再生再利用しやすいものである。
【0040】
さらには、包装袋1は、端面切り裂き線5bの終端を上端部側の端縁熱接着部7aの基端付近に設けることにより、端縁熱接着部7aの基端付近がヒンジのような働きをし、切り裂いた上端部側が開けやすくなる。
【符号の説明】
【0041】
1…ガゼットピロー型包装袋
2…背面部
2a…角部
3a,3b…側端面部
3c…折れ目
4…正面部
5…切り裂き線
5a…背面切り裂き線
5b…端面切り裂き線
6…合掌熱接着部
7a,7b…端縁熱接着部
8…透明積層フィルム
8a…透明バリアフィルム層
8b…熱接着性樹脂層
9…切断線
10…食料品