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特許7525889LED専用の制御基板およびマザーボード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】LED専用の制御基板およびマザーボード
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/00 20220101AFI20240724BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240724BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240724BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240724BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240724BHJP
【FI】
H05B45/00
H05K1/18 J
H05K1/18 S
H05K1/14 G
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/00 140
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020181567
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072232
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】518379360
【氏名又は名称】株式会社シロハチ
(74)【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
(72)【発明者】
【氏名】八坂 頼史
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150042(JP,A)
【文献】特開2009-037771(JP,A)
【文献】特開2019-192623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05K 1/00
F21V 19/00
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のパッドの組み合わせが複数組、同じ組のパッド同士が隣合わせになるようにしてそれぞれ端縁部に配置され、制御用のマイコンを含む複数の部品が搭載されたプリント基板であって、
複数組のうちの一組に相当する一対のパッドを電源供給用の陽極パッドおよび陰極パッドとしてそれらを前記マイコンの対応する極性の電源端子に接続する回路と、残りの組の各々の一対のパッドをLED駆動用の陽極パッドおよび陰極パッドとして各組の一方の極性のパッドを前記マイコンの出力端子に接続する回路と、マイコンに接続されない極性のLED駆動用のパッドに当該極性に適合する電圧を印加する回路とが設けられると共に、前記電源供給用およびLED駆動用の全てのパッドが、基板本体の上面側から厚み部分を形成する端面を経て底面側の端縁に至るまでの範囲に形成されており、
前記マイコンには、前記LED駆動用のパッドが接続されている出力端子の少なくとも1つからLEDを点灯させる駆動パルスを所定のシーケンスに従って出力する処理のためのプログラムが保存されている、
ことを特徴とするLED専用の制御基板。
【請求項2】
請求項1に記載された基板であって、
矩形状の基板本体の一辺に沿う端縁部に前記電源供給用の一対のパッドが設けられ、その他の三辺のうちの少なくとも一辺に沿う端縁部に、複数組のLED駆動用のパッドが一列に並んだ状態で配備される、LED専用の制御基板。
【請求項3】
請求項1に記載された基板であって、
矩形状の基板本体の一辺に沿う端縁部に前記電源供給用の一対のパッドが設けられ、当該一対のパッドに対向しない二辺に沿う端縁部のそれぞれに、二組のLED駆動用のパッドが各々の組のマイコンの出力端子に接続されない極性のパッドが隣合うように一列に並んだ状態で配備されると共に、各組の前記マイコンの出力端子に接続されない極性のパッドの間に両者を繋ぐ導電パターンが形成される、LED専用の制御基板。
【請求項4】
請求項3に記載された基板であって、
前記基板本体の前記マイコンの出力端子に接続されない極性のLED駆動用のパッドを繋ぐ導電パターンおよびこれらのパッドと同じ極性の電源供給用のパッドに連なる導電パターンに、それぞれスルーホールが設けられると共に、これらのスルーホールが前記基板本体の裏面側で電気接続される、LED専用の制御基板。
【請求項5】
一対のパッドの組み合わせが複数組設けられると共に制御用のマイコンを含む複数の部品が搭載されて成る子基板を、1または複数枚、搭載かつ電気接続することが可能なプリント基板を主体とするマザーボードであって、
前記子基板は、対をなす2つのパッドが隣合わせになるようにして各パッドが端縁部に配置されると共に、複数組のうちの一組に相当する一対のパッドを電源供給用の陽極パッドおよび陰極パッドとしてそれらを前記マイコンの対応する極性の電源端子に接続する回路と、残りの組の各々の一対のパッドをLED駆動用の陽極パッドおよび陰極パッドとして各組の一方の極性のパッドを前記マイコンの出力端子に接続する回路と、マイコンに接続されない極性のLED駆動用のパッドに当該極性に適合する電圧を印加する回路とが設けられると共に、前記電源供給用およびLED駆動用の全てのパッドが基板本体の上面側から厚み部分を形成する端面を経て底面側の端縁に至るまでの範囲に形成され、前記マイコンに、前記LED駆動用のパッドが接続されている出力端子の少なくとも1つからLEDを点灯させる駆動パルスを所定のシーケンスに従って出力する処理のためのプログラムが保存された構成のものであり、
前記プリント基板は、上記の子基板の各パッドに対応する場所にそれぞれ設けられる複数の連絡パッドと、子基板の電源供給用の一対のパッドに対応する各連絡パッドにそれぞれの極性に適合する電圧を印加する回路と、子基板の各LED駆動用パッドに対して1個または複数個ずつ設けられる拡張パッドと、子基板のLED駆動用の陽極パッドに対応する拡張パッドと当該陽極パッドと対をなすLED駆動用の陰極パッドに対応する拡張パッドとの間に、当該対をなすLED駆動用のパッドの間に流れるより大きな電流を流すための電流増幅回路とを備え、
前記電流増幅回路には、当該回路が対象とする拡張パッドに対応するLED駆動用パッドが前記マイコンから受けた駆動パルスが当該LED駆動用パッドへの連絡パッドを介して伝達され、この駆動パルスによって当該電流増幅回路が導通する、
ことを特徴とするLED専用のマザーボード。
【請求項6】
前記各拡張パッドは、前記子基板におけるパッドの組分けに基づき、同じ組のLED駆動用のパッドに対応する拡張パッドが一列に並ぶ状態にして、前記プリント基板の1以上の辺に沿う端縁部に配備される、
請求項5に記載されたLED専用のマザーボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを接続するための電極(パッド)を備え、当該パッドに接続されたLEDが所定のシーケンスに従って点灯および消灯するように制御する制御基板に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の制御基板に該当するものとして、特許文献1には、LEDの取付パターン(電極)が複数形成された頭部に一対の脚部および引出部を連続させ、脚部や引出部に取付パターンへの通電用の導体パターンが形成されたフレキシブル基板が開示されている。さらに特許文献1には、上記のフレキシブル基板を、駆動用の電池が設けられた制御回路に接続することによって、各LEDを順に発光させたり、発光中のLEDを暗くした状態で次のLEDを点灯させるなどの制御を行うことが記載されている。
【0003】
制御基板に近い構成の装置として、特許文献2には、交流電源に接続される一対の入力端子部と、照明負荷となるLEDに接続される複数対の出力端子部とが、それぞれ上面の端縁部に配置されたハウジングの内部に、入力端子部から入力される交流電力を直流電力に変換して各出力端子部を介して照明負荷に出力する電源回路部が組み込まれた構成の装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-109030号公報
【文献】特開2005-285369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、様々な形態のLEDが手頃な価格で入手できるようになったことに伴い、室内外のイルミネーションの自作を試みようとする人や、本物に近い状態で発光するライトや華やかな電飾設備を加えた模型を作ることを希望する人が増えている。しかし、LEDを通電させるための回路や制御用のプログラムを設計することは、それらに関する相当な知識を持つ人でなければ不可能である。
【0006】
また特許文献1に記載されているようなタイプの基板は、LED専用であっても実装できるLEDの種類が限定され、導入できる範囲も限られ、様々な目的に対応することは困難である。
【0007】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、LEDを半田付けする作業を行うだけで当該LEDを所定のシーケンスで点灯させることが可能になると共に、様々な種類のLEDを容易に接続することが可能な制御基板を提供することを課題とする。
【0008】
さらに本発明は、上記の制御基板の機能を拡張してより多くのLEDを接続し、それらの点灯動作を制御するLED専用のマザーボードを提供することを、第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点による制御基板は、一対のパッドの組み合わせが複数組、同じ組のパッド同士が隣り合わせになるようにしてそれぞれ端縁部に配置されると共に、制御用のマイコンを含む複数の部品が搭載されたプリント基板である。この制御基板には、複数組のうちの一組に相当する一対のパッドを電源供給用の陽極パッドおよび陰極パッドとしてそれらをマイコンの対応する極性の電源端子に接続する回路と、残りの組の各々の一対のパッドをLED駆動用の陽極パッドおよび陰極パッドとして各組の一方の極性のパッドをマイコンの出力端子に接続する回路と、マイコンに接続されない極性のLED駆動用のパッドに当該極性に適合する電圧を印加する回路とが設けられる。これら電源供給用およびLED駆動用のパッドは、基板本体の上面側から厚み部分を形成する端面を経て底面側の端縁に至るまでの範囲に形成されている
【0010】
さらに上記のマイコンには、LED駆動用のパッドが接続されている出力端子の少なくとも1つからLEDを点灯させる駆動パルスを所定のシーケンスに従って出力する処理のためのプログラムが保存される。
【0011】
上記の構成によれば、電源供給用の一対のパッドを電池などの直流電源に接続し、その他の対をなす陽極パッドと陰極パッドとの間にLEDを接続することによって、マイコンを動かして当該マイコンに保存されているプログラムに基づきLEDの点灯動作を制御することができる。いずれのパッドも基板の端縁部に配置され、対をなす陽極パッドと陰極パッドとが隣り合わせに配置されているので、それらの近傍に目印を付けるなどの各パッドを見分けるための対策をとれば、電気回路への知識が乏しいユーザでも、電源やLEDの各端子に対応するパッドを容易に見分けて、接続作業(半田付け)を行うことができる。
【0012】
また、いずれのパッドも基板本体の端縁部に配置されているので、半田付け作業が容易になり、ワイヤー付きのLEDや砲弾型などの大型のLEDでも、容易に取り付けることができる。また、基板の他の回路パターンや部品を損傷する可能性を低くすることができる。
【0013】
一般的なマイコンは複数の出力端子を備えるので、これらの出力端子の数の範囲内でLED駆動用のパッドの組を複数組設けることができる。このマイコンに、LED駆動用のパッドが接続された各出力端子からそれぞれ独立したシーケンスに基づく駆動パルスを出力するように組まれたプログラムを書き込むことによって、各組のパッドに接続されたLEDを、点灯のタイミングや点灯時間を異ならせて発光させることができる。
【0014】
ただし、LED駆動用のパッドが接続された出力端子の全てから駆動パルスを出力することは必ずしも必要ではない。たとえば複雑なシーケンスが記述されてプログラムの容量が大きくなる場合のマイコンには、そのシーケンスによる駆動パルスを一部の出力端子のみから出力させるアルゴリズムを表すプログラムが保存される。
【0015】
複数の出力端子から駆動パルスが出力されるように記述されたプログラムがマイコンに保存されている場合でも、それらの出力端子に接続されたパッドの全てにLEDを接続する必要はなく、LEDが接続されるパッドは、ユーザが自由に選択することができる。
【0016】
本発明の一実施形態にかかる制御基板では、矩形状の基板本体の一辺に沿う端縁部に電源供給用の一対のパッドが設けられ、その他の三辺のうちの少なくとも一辺に沿う端縁部に、複数組のLED駆動用のパッドが一列に並んだ状態で配備される。この構成によれば、ユーザは、一組だけで配置されているパッドが電源供給用で、複数組分のパッドが一列に配置されているパッドがLED駆動用である、というように、2種類のパッドを容易に見分けることができ、半田付けの対象箇所を誤って作業が進められるのを防ぐことができる。
【0017】
本発明の他の実施形態にかかる制御基板では、矩形状の基板本体の一辺に沿う端縁部に電源供給用の一対のパッドが設けられ、当該一対のパッドに対向しない二辺に沿う端縁部のそれぞれに、二組のLED駆動用のパッドが各々の組のマイコンの出力端子に接続されない極性のパッドが隣合うように一列に並んだ状態で配備されると共に、各組のマイコンの出力端子に接続されない極性のパッドの間に両者を結ぶ導電パターンが形成される。
【0018】
上記の実施形態でも、一組だけで配置されているか、二組分が一列に配置されているかによって、各パッドの種類を見分けることができる。
さらに上記の実施形態では、一列に並ぶ4個のLED駆動用のパッドのうちのマイコンの出力端子に接続されない側のパッドが導電パターンを介して電気接続されるので、その導電パターンより後の回路(各パッドに対応する極性に適合する電圧を印加するための回路)を共通にすることができ、構成を簡単にすることができる。
【0019】
たとえば、基板本体のマイコンの出力端子に接続されない極性のLED駆動用のパッドを繋ぐ導電パターン、およびこれらのパッドと同じ極性の電源供給用のパッドに連なる導電パターンに、それぞれスルーホールを設け、これらのスルーホールを基板本体の裏面側で電気接続することによって、基板の上面の配線パターンが複雑になるのを防ぐことができる。
【0020】
他の観点による制御基板は、一対のパッドの組み合わせが1つと、3個のパッドの組み合わせが少なくとも1つできる数のパッドがそれぞれ端縁部に配置され、制御用のマイコンを含む複数の部品が搭載された構成となる。一対のパッドは電源供給用の陽極パッドおよび陰極パッドとして隣合わせにされて基板本体の一辺に沿う端縁部に配置される。一方、3個で一組とされたパッドは、それらのうちの1つがLED駆動用の陽極パッドまたは陰極パッドに設定され、残りの2つのパッドがLED駆動用の他方の極性のパッドに設定されて、前者のパッドを中央として一列に並ぶ状態にして基板本体の電源供給用のパッドが配置されていない端縁部に配置される。
【0021】
さらにこの制御基板には、電源供給用の陽極パッドおよび陰極パッドをマイコンの対応する極性の電源端子に接続する回路と、LED駆動用のパッドの列の両端に配置されたパッドをそれぞれマイコンの出力端子に接続する回路と、LED駆動用のパッドの列の中央に配置されたパッドに当該パッドの極性に適合する電圧を印加する回路とが設けられる。
【0022】
上記構成の制御基板でも、同じ端縁部に並ぶパッドの数によって電源供給用のパッドとLED駆動用のパッドとを見分けることができる。またLED駆動用のパッドのうち、マイコンの出力端子に接続されない極性のパッドが共通化され、その両側のパッドのいずれとの間にもLEDを接続することができ、回路構成も簡単になる。
【0023】
上記の各種実施形態を含む本発明の制御基板のマイコンには、LED駆動用のパッドに接続された1以上の出力端子からそれぞれ独立したシーケンスに基づく制御信号を出力するためのプログラムとして、あらかじめ開発された複数種のプログラムのうちのいずれかを保存することができる。言い換えると、同一のハードウェア構成で、マイコンのプログラムを変更することによって、点灯制御の態様が異なる複数種の制御基板を製作することができる。
【0024】
さらに、本発明は、第1の観点による制御基板を子基板として、1または複数枚、搭載かつ電気接続することが可能なプリント基板を主体とするマザーボードを提供する。
このマザーボードのプリント基板には、子基板の各パッドに対応する場所にそれぞれ設けられる複数の連絡パッドと、子基板の電源供給用の一対のパッドに対応する各連絡パッドにそれぞれの極性に適合する電圧を印加する回路と、子基板の各LED駆動用パッドに対して1個または複数個ずつ設けられる拡張パッドと、子基板のLED駆動用の陽極パッドに対応する拡張パッドと当該陽極パッドと対をなすLED駆動用の陰極パッドに対応する拡張パッドとの間に、当該対をなすLED駆動用のパッドの間に流れるより大きな電流を流すための電流増幅回路とを備える。
【0025】
上記の電流増幅回路には、当該回路が対象とする拡張パッドに対応するLED駆動用パッドがマイコンから受けた駆動パルスが当該LED駆動用パッドへの連絡パッドを介して伝達される。電流増幅回路はこの駆動パルスによって導通する。
【0026】
上記の構成によれば、マザーボードの拡張パッドも、それぞれに対応する子基板のパッドと同様の極性を有するLED駆動用パッドとなり、子基板のパッドとの対応関係に基づいて組分けすることができる。したがって、子基板でマイコンからの駆動パルスを受けることが可能なLED駆動用パッドおよびこれと対をなすLED駆動用パッドのそれぞれに対応する2つの拡張パッドの間にLEDを接続すると、そのLEDに駆動パルスにより導通した電流増幅回路からの電流を流して、当該LEDを点灯させることができる。
【0027】
よって、拡張パッドに接続されたLEDも、マイコンのプログラムに基づくシーケンスどおりに点灯させることができる。また、電流増幅回路の機能によって、対をなす拡張パッドの間に子基板の対応するパッドの間に流れるよりも大きな電流を流すことができるので、拡張パッドに多数のLEDを接続して、それらの点灯動作をマイコンからの駆動パルスによって一括して制御することができる。
【0028】
さらに、上記の各拡張パッドを、子基板におけるパッドの組分けに基づき、同じ組のLED駆動用のパッドに対応する拡張パッドが一列に並ぶ状態にして、プリント基板の1以上の辺に沿う端縁部に配備すれば、各拡張パッドと子基板の各LED接続用パッドとの対応関係が明確になる。よって、パッドの数が増えても、ユーザは、半田付けの対象のパッドを容易に判別することができる。
【0029】
また、子基板の電源供給用およびLED駆動用の各パッドが、基板本体の上面から厚み部分を形成する端面を経て底面側の端縁に至るまでの範囲に形成されるので、子基板の各パッドの端縁をマザーボードの対応する連絡パッドに載せ、その端面と連絡パッドとを半田付けすることができ、半田付けの作業が容易になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の制御基板によれば、電気回路やプログラミングの知識のない人であっても、LED駆動用のパッドにLEDを半田付けする作業を行うだけで、当該LEDを所定のシーケンスに従って点灯させることができ、所望する照明装置を容易に製作することができる。またLED駆動用のパッドを基板本体の端縁部に設けたことによって、様々な形態のLEDを容易に接続することができ、幅広い用途に対応することができる。
【0031】
また、マイコンに組み込むプログラムを変更するだけで、LEDの点灯のシーケンスが異なる複数のタイプの制御基板を製作することができ、一般ユーザに提供できる商品の種類を豊富にすることも容易である。
【0032】
さらに本発明のマザーボードによれば、制御基板単体には接続できない数のLEDを接続し、それらの点灯動作を制御基板のマイコンによって制御することができる。これにより、多数のLEDを使用する電飾用の照明装置も容易に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明が適用されたLED制御基板の一構成例を表す平面図である。
図2】上記LED制御基板の回路図である。
図3】上記LED制御基板へのLEDの実装例を表す図である。
図4】上記LED制御基板の変形例を表す斜視図である。
図5LED制御基板の他の構成例を表す平面図である。
図6】本発明が適用されたマザーボードの一構成例を表す平面図である。
図7】上記マザーボードに子基板が実装された状態を表す平面図である。
図8】上記マザーボードにおける一枚の子基板に対する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明が適用されたLED専用の制御基板1の一実施形態の外観を表す平面図であり、図2は当該制御基板の電気構成を表す回路図である。以下、これらの図を参照して、この実施例の制御基板1の構成を説明する。
【0035】
この実施例の制御基板1は、10個のパッド10を含む回路パターンが形成された矩形状のプリント配線板による基板本体100に、制御用のマイコン11,抵抗R1~R5,コンデンサC0が実装されて成るものである。各パッド10は、それぞれ隣合う2つずつが対になるように組み合わせられて基板本体100の端縁部に配置される。各組のパッド10,10の一方が陽極パッドとなり、他方が陰極パッドとなる。
【0036】
マイコン11は、2方向に3本ずつ端子を突出させた形態のICチップである。具体的には図2に示すように、マイコン11の本体部の一端縁部に、陰極(グランド電位)の端子GNDを挟んで2本の出力端子T1,T2が設けられ、これらに対向する側の端縁部に、陽極の端子VCCを挟んで出力端子T3とリセット端子RESとが設けられる。
なお、この実施例のリセット端子RESは、マイコン11のプログラムの設定によって出力端子として機能させることができるので、以下では、出力端子として説明する。
【0037】
パッド10の5つの組み合わせのうちの1組は、基板本体100のマイコン11の端子群に対向しない側の端縁部に設けられる。この組のパッド10,10の一方は、電源供給用の陽極パッドD+としてマイコン11の電源端子VCCに接続され、他方は電源供給用の陰極パッドD-としてマイコン11の電源端子GNDに接続される。
【0038】
その他の4組のパッド10,10は、LED駆動用の陽極パッドおよび陰極パッドとして機能するもので、基板本体100のマイコン11の端子群に対向する2辺に沿う端縁部に2組ずつに分けて配備される。以下、これらのパッド10に個別に言及する場合には、陽極パッドをD1+,D2+,D3+,D4+と言い、陰極パッド10をD1-,D2-,D3-,D4-と言う。
【0039】
パッドD1+,D1-の組とパッドD2+,D2-の組は、各々の陰極パッドD1-,D2-を隣合わせにして、D1+,D1-,D2-,D2+の順に並ぶように配備される。パッドD3+,D3-の組とパッドD4+,D4-の組も、各々の陰極パッドD3-,D4-を隣合わせにして、D4+,D4-,D3-,D3+の順に並ぶように配備される。
【0040】
電気接続の観点では、陽極パッドD1+,D2+,D3+,D4+はそれぞれ電流制限用の抵抗R1,R2,R3,R4を介してマイコン11の出力端子T1,T2,T3,RESに接続される。陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-は電源供給用の陰極パッドD-に接続される。
【0041】
この実施例では、隣合わせに配備された陰極パッドD1-とD2-との間、および陰極パッドD3-とD4-との間に、それぞれ2つの陰極パッドを繋ぐ導電パターン12,13が形成されると共に、これらの導電パターン12,13の一端部に、それぞれスルーホールh1,h2が形成されている。電源供給用の陰極パッドD-に連なる導電パターン14の一端部にもスルーホールh3が形成されている。
【0042】
図示は省略するが、基板本体100の裏面にも、各スルーホールh1,h2,h3およびマイコン11に対応する箇所を含む範囲に導電パターンが形成される。前述したLED駆動用の各陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-と電源供給用の陰極パッドD-との電気接続は、この裏面の導電パターンおよび表側の導電パターン12~14ならびにそれらを繋ぐスルーホールh1,h2,h3を介して行われる。マイコン11の陰極端子GNDも裏面側に突き抜けて、裏面の導電パターン,スルーホールh3,導電パターン14等を介して電源供給用の陰極端子D-に電気接続される。
【0043】
なお、コンデンサC0は、陽極パッドD+と陽極端子VCCとの接続ラインと、陰極パッドD-と陰極端子GNDとの接続ラインとに、バイパスコンデンサとして接続される。また、図2に示すように、端子RESとLED駆動用のパッドD4+との接続ラインと電源供給用の陽極パッドD+とを繋ぐ配線が形成され、その配線内に抵抗R5が介装される。
【0044】
マイコン11には、あらかじめ設計された複数種のプログラムのいずれか一種が保存される。これらのプログラムは、上記4つのLED駆動用の陽極パッドD1+,D2+,D3+,D4+に連なる出力端子T1,T2,T3、RESのうちの少なくとも1つから、所定のシーケンスに従ってLED駆動用のパルス信号(以下、「駆動パルス」という。)を出力するように設計されている。
【0045】
いずれのプログラムも、駆動パルスのパルス幅や間隔を様々な値に変化させることによって、その駆動パルスを受けるLEDを興趣のある態様で点灯させる内容になっている。また、2以上の出力端子から完全に同期する駆動パルスが出力されるように設計されたプログラムもあれば、駆動パルスのシーケンスは同一であるが各出力端子からの出力のタイミングがずれるように設計されたプログラムもあれば、出力端子毎にそれぞれ異なるシーケンスに従って駆動パルスが出力されるように設計されたプログラムもあるなど、プログラムの内容も千差万別である。
したがって、制御基板1のハードウェア構成は同じでも、マイコン11に組み込まれるプログラムによって、各出力端子からの駆動パルスの出力の態様を様々に変化させることができる。
【0046】
プログラムは、シーケンスが複雑になってデータ量がマイコン11のメモリ容量を超えることがない限り、4個の出力端子T1,T2,T3,RESの全てから駆動パルスが出力されるように設計することができる。一部の出力端子のみから駆動パルスを出力させる場合には、その出力の対象となる端子がプログラム上で定義される。
【0047】
端子RESのリセット機能を有効にしたい場合には、マイコン11には、この端子RESから駆動パルスを出力するアルゴリズムを含まないプログラムが書き込まれる。なお、マイコン11をリセットするための信号は、パッドD4+にグランド電圧を印加することにより電源供給用パッドD+から端子RESに流れる電流によって生成される。
【0048】
上記の構成において、電源供給用の陽極パッドD+には、外部の電池ホルダーに支持されたリチウム電池(図示せず。)の陽極に接続するためのケーブル6aが半田付けされ、電源供給用の陰極パッドD-には上記リチウム電池の陰極に接続するためのケーブル6cが半田付けされる(後述する図3を参照。)。これらの半田付けによってマイコン11に駆動用のDC電源が供給されると共に、陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4にグランド電圧が印加される。
【0049】
上記の接続が完了した制御基板1のマイコン11からの駆動パルスが出力される端子に接続されている陽極パッド(D1+,D2+,D3+,D4+のうちの1以上)にLEDのアノードの電極端子を接続し、この陽極パッドと対をなす陰極パッド(D1-,D2-,D3-,D4-のうちの1以上)に上記のLEDのカソードの電極端子を接続することによって、当該LEDを駆動パルスにより導通させて点灯させることができる。
【0050】
図1では記載を省略したが、基板本体100の上面には、各パッド10を見分けるためのマーキング(D1+,D2+などの文字)が施されている。また、ユーザには、別途、紙または電子データによる説明書によって、LEDを接続できるパッド(マイコン11からの駆動パルスが供給される陽極パッドとこれと対をなす陰極パッド)の位置や、LEDがどのようなパターンで点灯するかなどが教示される。ユーザは、これらのマーキングや説明書を参照することによって、LEDを適所に半田付けすることができる。
【0051】
図3は、上記構成の制御基板100にLEDを接続して点灯させた事例を3例、並列させて表したものである。いずれの例でも、端子T1,T2,T3から駆動パルスが出力されるように設計されたプログラムがマイコン11に保存され、それらに対応する3組の陽極パッドと陰極パッドとの間(D1+とD1-との間、D2+とD2-との間、D3+とD3-との間)にLEDが接続されている。
なお、図3の各例では、端子T1,T3から同時に駆動パルスが出力されたときの状態を表している。
【0052】
図3(A)の例では、表面実装タイプのチップ型のLED3Aのアノードおよびカソードの各電極端子が、対応する極性のパッド10に半田付けされている。
図3(B)の例のLED3Bもチップ型であるが、アノードおよびカソードの各電極端子に可撓性を有するワイヤー4a,4cが一体に設けられ、それらのワイヤー4a,4cが対応する極性のパッド10に半田付けされている。
図3(C)の例では、砲弾型のLED3Cのアノードおよびカソードの各電極ピン5a,5cが対応する極性のパッド10に半田付けされている。
【0053】
上記のLED3A,3B,3Cのいずれについても、発光色は問わず、ユーザの好みの色彩を発するものを選択することができる。また各パッド10の組ごとにLEDの発光色を変更することもできる。
同一の制御基板1に複数種のLEDを接続することもできる。たとえば、パッドD1+とD1-との間にLED3Aを接続し、パッドD2+とD2-との間にLED3Bを接続し、パッドD3+とD3-との間にLED3Cを接続することができる。
【0054】
この実施例の制御基板1では、電源供給用のパッドD+,D-を含む全てのパッド10が基板本体100の端縁部に配置されているので、図3(B)のような長尺のワイヤー4a,4cや図3(C)の例のような大型のLED3Cが半田付けの対象になった場合でも、半田付けの作業を容易に行うことができる。また各パッド10を基板本体100の端縁部に配置したことによって、半田付け作業の際に、パッド以外の場所に半田が落ちる可能性が低くなるので、短絡や部品の破損などの損傷も生じにくい。よって、初心者でも容易に半田付け作業を行うことができる。
【0055】
したがって、マイコン11に書き込まれたプログラムの内容が異なる複数種の制御基板1を製作してユーザに提供する体制を整えれば、ユーザは、自身の目的に適した点灯パターンを実現できる制御基板1を選択し、その制御基板1に自身の目的に適したLEDを接続することによって、その目的を達成することができる。
【0056】
図4および図5は、上記の制御基板1の変形例を表したものである。以下、これらの変形例を順に説明するが、いずれの例でも、図1および図2に対応する構成を同一の符号で表すことによって、詳細な構成の説明を省略する。
【0057】
図4の例の制御基板1Aは、部品点数や回路構成は先の制御基板1と変わらないが、各パッド10が、基板本体100の上面のLEDが実装される範囲から上面側の端縁および端面を経て底面側の端縁に至る範囲にまでに形成されていることを特徴とする。この構成によれば、後述するマザーボード2に制御基板1を子基板として接続する作業を容易に行うことができる。
【0058】
上記の制御基板1Aでも、基板本体100の同じ端縁部に配置された4個のLED駆動用のパッド10のうちの内側の陰極パッド(D1-とD2-、およびD3-とD4-)が導線パターン12,13を介して接続され、その導線パターン12,13の一端部にスルーホールh1,h2が形成されている。電源供給用の陰極パッドD-にも、スルーホールh3を含む導電パターン14が接続され、基板本体100の裏面側にも導電パターンが形成されている。各陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-は、これらの導電パターンやスルーホールh1,h2,h3を介して電源供給用の陰極端子D-に電気接続される。マイコン11の陰極端子GNDも、基板裏面の導電パターン,スルーホールh3,導電パターン14等を介して電源供給用の陰極端子D-に電気接続される。
【0059】
図5の例の制御基板1Bでは、電源供給用のパッドD+,D-やLED駆動用の陽極パッドD1+,D2+,D3+,D4+の形状および位置は図1の例と同じであるが、LED駆動用の陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-が、隣合う関係にあるもの毎に一体化されて、2つの陰極パッドDCOM1-,DCOM2-となっている。具体的には、陽極パッドD1+とD2+との間に、両者に共通の陰極パッドDCOM1-が設けられ、陽極パッドD3+とD4+との間に、両者に共通の陰極パッドDCOM2-が設けられている。
【0060】
図5の構成によれば、陰極パッドDCOM1-を挟んで配備される陽極パッドD1+とD2+にアノードが接続されるLEDのカソードは、いずれも陰極パッドDCOM1-に接続される。陰極パッドDCOM2-を挟んで配備される2つの陽極パッドD3+,D4+にアノードが接続されるLEDのカソードは、いずれも陰極パッドDCOM2-に接続される。よって、回路も図2と殆ど変わらない構成になる。
【0061】
図5の例の制御基板1Bでも、各陰極パッドDCOM1-,DCOM2-は、それぞれから延びる導電パターン12,13、電源供給用の陰極パッドD-から延びる導電パターン14、スルーホールh1,h2,h3、基板本体100の裏面の導電パターン等を介して電源供給用の陰極パッドD-に電気接続される。マイコン11の陰極端子GNDも裏面の導電パターン,スルーホールh3,導電パターン14等を介して電源供給用の陰極パッドD-に電気接続される。
【0062】
以下、上記以外の変形例について簡単に説明する。
図1および図4に示した制御基板1,1Aでは、陰極側の配線を簡単にする目的で、基板本体100の同じ側の端縁部に配置される4個のLED駆動用のパッド10のうち、グランド電圧に接続される陰極パッド(D1-とD2-、またはD3-とD4-)を隣合わせにして、4個のパッド10を+,-,-,+の順に配置した。しかし、陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-のそれぞれに対し、個別にスルーホール等の接続経路を確保して電源供給用の陰極パッドD-に接続するのであれば、パッド10の配置順序は上記に限らず、-,+,+,-の順にしてもよい。または、初心者のユーザがパッド10の極性を誤る可能性を低くするために、+,-,+,-のような規則的な順序で配置してもよい。
【0063】
パッド10の数や配列も上記の例に限定されるものではない。
たとえば、マイコン11の出力端子が5個以上になった場合には、当該マイコン11の一辺に配備される出力端子の数の2倍に相当する数のLED駆動用のパッドを一列に並べることができる。マイコン11の出力端子が多数になった場合や、部品本体の四方から端子が突出するタイプのマイコンが使用される場合は、基板本体100の電源供給用の端子D+,D-が配置される箇所を除く三辺に沿ってLED駆動用のパッドを配列してもよい。
【0064】
また、図1等と同じ構成のマイコン11で端子RESを出力端子にしない場合には、基板本体100の一辺をやや長くして、その長手側の一方の端縁部に3組のLED駆動用パッド(D1+とD1-、D2+とD2-、D3+とD3-)を一列に並べてもよい。図4図5の構成例でも同様のアレンジが可能である。
【0065】
いずれの場合も、基板本体100の大きさや形状は、一列に並べられるLED駆動用のパッド10の数に応じて変更される。いずれの形態でも、電源供給用の一対のパッドD+,D-をLED駆動用のパッドの配列とは別の端縁部に配置することによって、ユーザは一列に並ぶパッドの数によって、各パッド10の種類を容易に見分けることができる。ただし、パッド10の種類によって形態や大きさを変えるなどの工夫をすれば、電源供給用のパッドD+,D-をLED駆動用のパッドと同じ列に並べて配置することもできる。
【0066】
なお、ここまでは、複数のLEDをカソードコモンの関係をもって接続することを前提に説明したが、各LEDをアノードコモンの関係をもって接続する場合には、LED駆動用の陽極パッドと陰極パッドとの配置は逆になり、陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-がマイコン11の出力端子T1,T2,T3,RESに接続され、陽極パッドD1+,D2+,D3+,D4+は電源供給用の陽極パッドD+に接続される。また、これらのパッドに接続されたLEDは、マイコン11から各出力端子T1,T2,T3,RESへの負の駆動パルスによって点灯する。
【0067】
各種変形例を含む本発明の制御基板では、LED駆動用の一対の陽極パッドと陰極パッドとの間に接続できるLEDは1個に限らず、数個のLEDを並列で接続することもできる。しかし、マイコン11が出力できる電流の容量だけでは、多数のLEDを接続してそれらに点灯に必要な電流を流すことは不可能である。
しかし、この問題は、以下に述べるマザーボードによって解決することができる。
【0068】
図6は、図4に例示した制御基板1Aを子基板として実装することが可能なマザーボード2の構成例を表したものである。図7は、上記のマザーボード2に制御基板1Aを実装した例を表したものである。なお、このマザーボード2に実装できる制御基板は1Aに限らず、図1の例の制御基板1を実装することもできる。
【0069】
この実施例のマザーボード2は、2枚の制御基板1A(以下「子基板1A」という。)を実装可能な大きさの長方形状の基板本体200に、複数のパッドを含む導電パターンが形成されると共に、抵抗,コンデンサ,トランジスタがそれぞれ複数個実装された構成のものである。なお、図示はしないが、マザーボード2には、基板本体200を支える脚部などの付属物を含めることができる。
【0070】
基板本体200の一端部には、USB規格の電源コネクタを含む電源ボックス21やスイッチ回路を含む操作ボックス22が設けられる。これらのボックス21,22の近傍(図6中の破線枠で示す範囲)には、電源コネクタに連なる電源回路や外部機器を保護するための保護回路を構成する導電パターンや部品(抵抗やコンデンサ)が配備される。その他の構成は子基板1Aの実装に関するもので、子基板1Aの基板本体100の端縁部を除く部分が載せられる面積の大きな基板実装用パッドP0と、基板実装用パッドP0の近傍に配備される陽極パッドPと、基板実装用パッドP0の両側に4個ずつ並べられた合計8個の連絡パッドと、16個の拡張パッドとを含む回路が、子基板1Aごとに設けられている。
なお、陽極パッドPおよび基板実装用パッドP0も、子基板1Aの電源供給用パッドD+,D-の連絡パッドとして機能する。
【0071】
8個の連絡パッドは、子基板1AのLED駆動用の各パッドを接続する目的のもので、LED駆動用パッドと同じ位置関係をもって配置される。図6では、子基板1Aの陽極パッドD1+,D2+,D3+,D4+が接続される連絡パッドをそれぞれP1+,P2+,P3+,P4+の符号で表し、子基板1Aの陰極パッドD1-,D2-,D3-,D4-が接続される連絡パッドをそれぞれP1-,P2-,P3-,P4-の符号で表している。なお、陰極側の連絡パッドP1-,P2-,P3-,P4-は、基板実装用パッドP0に連通している。
【0072】
拡張パッドは、子基板1AのLED駆動用の陽極パッドと陰極パッドとの組ごとに2組ずつ設けられる。子基板1Aの対をなすLED駆動用パッドをDn+,Dn-(n=1~4 以下も同じ。)として各パッドの対応関係を具体的に述べると、子基板1Aの陽極パッドDn+と陰極パッドDn-との組み合わせには、拡張パッドLn1+とLn1-との組み合わせと、拡張パッドLn2+とLn2-との組み合わせとが対応づけられる。
【0073】
拡張パッドLn1+,Ln2+は陽極パッドとして設定され、拡張パッドLn1-,Ln2-は陰極パッドとして設定される。これら4個のパッドは、子基板1AのLED駆動用のパッドの配列に準じて、Ln1+,Ln1-,Ln2-,Ln2+の順に並べられ、基板本体200の端縁部に配置される。
【0074】
さらに、連絡パッドPn+とこれに対応する拡張パッドLn1+,Ln1-,Ln2-,Ln2+との間には、電流増幅用のトランジスタTRnや電流制限抵抗(符号省略)を含む回路(図8を参照。)が設けられる。
【0075】
図6の例のマザーボード2では、基板本体200のサイズの都合で、実装される2枚の子基板1A,1Aに対応する領域の間における基板実装用パッドP0の形状や各拡張パッドの配置に違いがあるが、回路構成は同一である。また、図7に示すように、電源供給用の端子D+,D-を電源回路の方に向けた姿勢にした子基板1Aを基板実装用パッドP0の上に載せることによって、子基板1Aの各LED駆動用パッドDn+,Dn-の端縁部が対応する連絡パッドPn+,Pn-の上に載り、陰極の電源供給用パッドD-の端縁部が基板実装用パッドP0の一端部の上に載り、陽極の電源供給用パッドD+が陽極パッドPの上に載る状態となる。この状態下で、子基板1Aの各パッド10の基板本体100の端面側に露出している部分をそのパッド10が置かれたマザーボード2側のパッドに半田付けすることによって、子基板1Aをマザーボード2に電気接続することができる。
【0076】
図8は、上記のマザーボード2の1枚の子基板1Aに対応する領域内の電気構成を表した回路図である。
基板実装用パッドP0および陰極側の連絡パッドPn-は電源回路の陰極(グランド電圧)に接続され、陽極パッドPは電源回路の陽極(+Vの電圧)に接続される。陽極側の連絡パッドPn+は、電流増幅用のトランジスタTRnのベースに接続される。
【0077】
連絡パッドPn+,Pn-と同じLED駆動用のパッドDn+,Dn-に対応する4つの拡張パッドLn1+,Ln1-,Ln2+,Ln2-のうち、陽極の拡張パッドLn1+,Ln2+は、それぞれ電流制限抵抗(符号省略)を介して電源回路の陽極に接続される。一方、陰極パッドLn1-,Ln2-は、上記トランジスタTRnのコレクタに接続される。
【0078】
上記の回路構成や先に述べたパッドの対応関係によれば、図7に示した姿勢にされた子基板1Aの基板本体100の裏面の導電パターンおよび電源供給用の陰極パッドD-を基板実装用パッドP0に半田付けし、電源供給用の陽極パッドD+を陽極パッドPに半田付けし、各LED駆動用パッドDn+,Dn-を対応する連絡パッドPn+,Pn-に半田付けすることによって、子基板1Aのマイコン11を導通状態にし、プログラムが示すシーケンスに従って駆動パルスを出力させることができる。
【0079】
よって、マイコン11からの駆動パルスを受けることができるLED駆動用パッドDn+に対応する拡張パッドLn1+,Ln2+とこれらと対をなす拡張パッドLn1-,Ln2-との間にLEDを接続すると、マイコン11からLED駆動用パッドDn+および連絡パッドPn+を経由してトランジスタTRnのベースに届いた駆動パルスによってトランジスタTRnにベース電流が流れ、その電流から増幅されたコレクタ電流がLEDに流れて、当該LEDを点灯させることができる。
【0080】
上記の構成によれば、マイコン11の1つの出力端子からの駆動パルスによって、2組の拡張パッド(Ln1+とLn1-、およびLn2+とLn2-)の間に、子基板1Aの対応するパッドDn+とDn-との間に流れるよりはるかに大きな電流を流すことができる。よって、これらの拡張パッドに多数のLEDを並列に接続し、これらを同一の駆動パルスによって一斉に点灯させることができる。
【0081】
したがって、たとえば複数のLEDをケーブルやフレキシブルワイヤーで接続し、そのケーブルやワイヤーを湾曲または屈曲させて所定の形状を形作り、各LEDの点灯により当該形状を反映した照明パターンを発現させることができる。発光色が異なる複数のLEDを接続し、それらの色彩の組み合わせによる照明パターンを発現することもできる。よって、ユーザの創意工夫により様々な形状の照明装置を製作することができる。
【0082】
なお、上記の実施例では、トランジスタTRnと複数の抵抗とによって、マイコン11からの駆動パルスにより導通して陽極の拡張パッドLn1+,Ln2+と陰極の拡張パッドLn1-,Ln2-との間に大きな電流を流す電流増幅回路を形成したが、電流増幅回路の構成はこれに限らず、同様の機能を有する種々の構成の回路を適用することができる。
また、LEDを接続できる場所は拡張パッドに限らず、連絡パッドPn+とPn-との間にもLEDを接続し、このLEDをマイコンからの駆動パルスによって点灯させることができる。
【0083】
拡張パッドLn1+とLn1-との間や拡張パッドLn2+とLn2-との間に複数のLEDを接続した場合には、これらのLEDの点灯や消灯のタイミングは完全に同期するが、個々のLEDの発光色は必ずしも同じにする必要はない。すなわち、一連に連なる複数のLEDの発光色を統一しても良いし、複数の色彩を採用してもよい。LEDの形態も統一する必要はなく、たとえば拡張パッドLn1+とLn1-との間にチップ型のLEDを接続し、拡張パッドLn2+とLn2-との間に砲弾型のLEDを接続してもよい。
【0084】
また、図6に示した構成によれば、マザーボード2に実装される2枚の子基板1A,1Aの各マイコン11,11に組み込まれるプログラムによって、最大8通りのシーケンスによる点灯制御を同時に行うことができる。よって、これらのシーケンスと複数個のLEDによる形状との組み合わせによって、多種・多様な電飾を行うことができる。
【0085】
マザーボード2にも、子基板1A,1Aと同様に、様々な種類のLEDを接続することができる。拡張パッドLn1+,Ln1-,Ln2+,Ln2-は全てマザーボード2の端縁部に配置されているので、子基板1A,1Aについて述べたのと同様に、容易に半田付けをすることができ、短絡等の不具合が生じる可能性を少なくすることができる。
【0086】
万一、ユーザの作業ミスでマザーボード2または子基板1A上に短絡箇所が生じたり、許容できる数を超えるLEDが接続またはLED以外の部品が接続されるなどして、マザーボード2に許容量を超える大電流が流れようとした場合には、マザーボード2の保護回路が働いて外部電力から電源回路が遮断される。この仕組みにより、マザーボード2が燃えるような事故を防いで、安心して使用することができる。
【0087】
上記の実施例のマザーボード2は、子基板1A(または1)を2枚まで搭載可能であるが、より多くの子基板を搭載できるマザーボードを提供することもできる。逆に、搭載できる子基板1A(または1)を1枚だけにした小型のマザーボードを提供することもできる。
【0088】
LED駆動用の各パッドに対応づける拡張パッドの数も1つのみとしても良いし、3個以上を設けることもできる。拡張パッドの数が少ない場合には、それらをマザーボード2の基板本体200の一端縁部のみに配列させることもできる。
【0089】
また図8に示した基本の回路に、拡張パッドの組ごとに通電・非通電を切り替える回路や、拡張パッドに流れる電流を調整する回路を加え、これらの切り替えや調整をスイッチ操作により行うことによって、よりきめ細かい制御を行うことができる。
【0090】
さらに、上記のマザーボード2には、マイコン11を直接に実装できるパッドと、このパッドに実装されたマイコン11の各出力端子T1,T2,T3,RESを連絡パッドP1+,P2+,P3,P4+に接続するための導電パターンを設けることもできる。この構成によれば、子基板1A,1に代えてマイコン11を実装することによっても、対をなす拡張パッド(T1n+とT1n-、T2n+とT2n-)にLEDを接続し、これらのLEDをマイコン11からの駆動パルスによって点灯させることができる。したがって、ユーザがプログラミングの技量を持つ場合には、子基板1A,1を使用せずに、自作のプログラムが保存されたマイコン11と必要な数のLEDとをマザーボード2に実装することによって、自作のプログラムにより動作する電飾装置を製作することができる。
【0091】
図5に示した別例の制御基板1Bについても、電源回路,LED駆動用の陰極パッドDCOM1-およびDCOM2-を含む8個のパッド10にそれぞれ対応する連絡パッド,LED駆動用の6個のパッドに対応する拡張パッド,LED駆動用の陽極パッドDn+(n=1~4)から連絡パッドPn+を介して駆動パルスを受ける電流増幅用のトランジスタTRnを含む回路等を有するマザーボードを提供することができる。その回路構成は、陰極の連絡パッドP1-とP2-、P3-とP4-とがそれぞれ一体化される以外は、図8と同様でよい。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B 制御基板 (子基板)
2 マザーボード
3A,3B,3C LED
10 パッド
11 マイコン
100,200 基板本体
+,D- 電源供給用のパッド
D1+,D2+,D3+,D4+ LED駆動用の陽極パッド
D1-,D2-,D3-,D4- LED駆動用の陰極パッド
P1+,P2+,P3+,P4+ LED駆動用の連絡パッド(陽極)
P1-,P2-,P3-,P4- LED駆動用の連絡パッド(陰極)
P0 基板実装用パッド
陽極パッド
L11+,L12+,L21+,L22+ 拡張パッド(陽極)
L31+,L32+,L41+,L42+ 拡張パッド(陽極)
L11-,L12-,L21-,L22- 拡張パッド(陰極)
L31-,L32-,L41-,L42- 拡張パッド(陰極)
TR1,TR2,TR3,TR4 電流増幅用トランジスタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8