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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-23
(45)【発行日】2024-07-31
(54)【発明の名称】鳥害防止器
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20240724BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20240724BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021005744
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022110373
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-182349(JP,A)
【文献】特開2019-135964(JP,A)
【文献】特開2020-080800(JP,A)
【文献】特開2020-054275(JP,A)
【文献】特開2017-038488(JP,A)
【文献】中国実用新案第202374946(CN,U)
【文献】国際公開第2020/136637(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/32
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線に取り付けて用いられ、忌避線を前記架空線に沿って架ける鳥害防止器であって、
前記架空線に取り付け可能に構成された本体部と、
前記本体部が取り付けられた前記架空線の長さ方向に延びる連結片と、
を備え、
前記本体部は、前記長さ方向において、当該本体部と隣接本体部とが接触又は近接した状態で隣接連結片が前記本体部内に包含されるように、前記隣接連結片を保持可能に構成されており、
前記隣接連結片は、隣接する他の前記鳥害防止器である隣接鳥害防止器が備える前記連結片であり、
前記隣接本体部は、前記隣接鳥害防止器が備える前記本体部であり、
前記本体部は、
前記架空線を内部に収容可能に構成され、互いに対向する第1壁部及び第2壁部を備える収容部と、
回転操作が可能に構成された操作部材と、
前記収容部の内部に設けられ、前記操作部材の回転操作に伴い、前記第1壁部に近づき前記第2壁部から遠ざかる第1の方向と、前記第2壁部に近づき前記第1壁部から遠ざかる第2の方向と、に移動可能に構成された移動部と、を備え、
前記連結片は、前記長さ方向及び当該連結片の板厚方向に垂直な方向が法線方向となる平面に投影したときの形状が、直線状に延びる形状の板状であり、前記移動部とともに移動可能に構成され、
前記移動部は、
前記操作部材の回転操作により前記第1の方向に移動することで、前記隣接連結片を前記第1壁部との間に挟んで保持することが可能に構成され、
前記操作部材の回転操作により前記第2の方向に移動することで、前記架空線を前記第2壁部との間に挟んで保持することが可能に構成され、
前記移動部における前記第1壁部と対向する面には、前記移動部の移動方向を上下方向とした場合の高さが、前記連結片における前記第2壁部側の面と同じ高さである受け面が形成されており、
前記連結片は、その先端に、略U字状の切欠部を挟んで設けられた2つの端部を備え、
前記2つの端部は、前記移動部の移動方向を上下方向とした場合の高さが互いに異なる、鳥害防止器。
【請求項2】
請求項に記載の鳥害防止器であって、
前記本体部は、前記操作部材の回転操作に伴い前記第1の方向と前記第2の方向とに移動可能に構成され、先端が前記移動部における前記第1壁部と対向する面に連結する突出部を更に備え
前記突出部における先端は、前記移動部側に向かって広がるテーパー形状に構成され、
前記連結片における前記切欠部を形成する外縁は、前記突出部の先端の形状と対応するテーパー形状に構成されている、鳥害防止器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、架空線に取り付けられ、忌避線を架空線に架ける鳥害防止器に関する。
【背景技術】
【0002】
架空線への鳥類の飛来を防止するための忌避線を架空線の上方に架けるために用いられる鳥害防止器が知られている。この種の鳥害防止器は、架空線の長手方向に沿って所定間隔ごとに複数取り付けられる。
【0003】
複数の鳥害防止器を架空線に効率よく取り付けるための方法として、複数の鳥害防止器を連結して一体化し、一括して架空線に引っ掛けた後、連結を解除してそれらの配置間隔を広げた上で、各鳥害防止器を架空線に固定して取り付ける、という方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、複数の鳥害防止器を連結して一体化するための連結片を備える鳥害防止器が開示されている。この鳥害防止器は、架空線を内部に収容可能な枠本体の底面から連出形成された連結片を備えるとともに、枠本体の底面上壁と枠本体の内部を昇降移動可能な押し板の下面とで、他の鳥害防止器が備える連結片を挟持可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-80800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている鳥害防止器は、隣接する他の鳥害防止器が備える連結片の先端部分のみを保持可能に構成されている。このため、複数の鳥害防止器が連結された状態での鳥害防止器の本体部同士の間隔が広く、密着性が低い。したがって、一体化された複数の鳥害防止器の持ち運び等がしにくいという問題が考えられる。
【0007】
本開示の一局面は、複数の鳥害防止器を連結した際の密着性を向上できる鳥害防止器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、架空線に取り付けて用いられ、忌避線を架空線に沿って架ける鳥害防止器であって、本体部と、連結片と、を備える。本体部は、架空線に取り付け可能に構成される。連結片は、本体部が取り付けられた架空線の長さ方向に延びる。本体部は、長さ方向において、隣接連結片における隣接本体部よりも突出した範囲の大部分が本体部内に包含されるように、隣接連結片を保持可能に構成されている。隣接連結片は、隣接する他の鳥害防止器である隣接鳥害防止器が備える連結片である。隣接本体部は、隣接鳥害防止器が備える本体部である。
【0009】
このような構成によれば、複数の鳥害防止器を連結した際の密着性を向上できる。
本開示の一態様では、本体部は、収容部と、操作部材と、移動部と、を備えてもよい。収容部は、架空線を内部に収容可能に構成され、互いに対向する第1壁部及び第2壁部を備える。操作部材は、回転操作が可能に構成される。移動部は、収容部の内部に設けられ、操作部材の回転操作に伴い、第1壁部に近づき第2壁部から遠ざかる第1の方向と、第2壁部に近づき第1壁部から遠ざかる第2の方向と、に移動可能に構成される。連結片は、長さ方向及び当該連結片の板厚方向に垂直な方向が法線方向となる平面に投影したときの形状が、直線状に延びる形状の板状であり、移動部とともに移動可能に構成されてもよい。移動部は、操作部材の回転操作により第1の方向に移動することで、隣接連結片を第1壁部との間に挟んで保持することが可能に構成されてもよい。また、移動部は、操作部材の回転操作により第2の方向に移動することで、架空線を第2壁部との間に挟んで保持することが可能に構成されてもよい。また、移動部における第1壁部と対向する面には、移動部の移動方向を上下方向とした場合の高さが、連結片における第2壁部側の面と同じ高さである受け面が形成されていてもよい。
【0010】
本開示の一態様では、本体部は、操作部材の回転操作に伴い第1の方向と第2の方向とに移動可能に構成され、先端が移動部における第1壁部と対向する面に連結する突出部を更に備えてもよい。連結片の先端には、略U字状の切欠部が形成されてもよい。突出部における先端は、移動部側に向かって広がるテーパー形状に構成されてもよい。連結片における切欠部を形成する外縁は、突出部の先端の形状と対応するテーパー形状に構成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、隣接連結片が保持される過程において、突出部の先端が隣接連結片における切欠部を形成する外縁と当接し、隣接連結片を適切な位置に案内することができる。
【0012】
本開示の一態様では、連結片は、その先端に、略U字状の切欠部を挟んで設けられた2つの端部を備えてもよい。2つの端部は、移動部の移動方向を上下方向とした場合の高さが互いに異なってもよい。
【0013】
このような構成によれば、移動部と第1壁部との間に挟んで保持された状態で、連結片の先端に保持力に対する反力が生じるため、鳥害防止器同士の連結が外れて不意に落下してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の鳥害防止器を示す斜視図であって、図1Aは移動部を下方に移動させた状態の斜視図であり、図1Bは移動部を上方に移動させた状態の斜視図である。
図2】実施形態の鳥害防止器を示す右側面図である。
図3】実施形態の鳥害防止器を示す正面図である。
図4】実施形態の鳥害防止器について、鳥害防止器同士を連結する際の模式的な正面図である。
図5】実施形態の鳥害防止器について、複数の鳥害防止器が連結された状態を示す模式的な正面図である。
図6】実施形態の鳥害防止器を架空線に取り付けた状態を示す模式図である。
図7図5のVII-VII線断面図であって、突出部及び隣接連結片付近の模式的な断面図である。
図8】変形例の鳥害防止器を示す斜視図であって、移動部を上方に移動させた状態の斜視図である。
図9】変形例の鳥害防止器を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.構成]
[1-1.鳥害防止器の全体構成]
図1図3に示す鳥害防止器1は、架空線11に取り付けて用いられ、忌避線12(図6参照)を架空線11に沿って架ける装置である。ここでいう忌避線12とは、架空線11の上方に架空線11に沿って設けられる、鳥害防止用の線である。図1A図1Bに示すように、鳥害防止器1は、本体部2と、連結片3と、を備える。
【0016】
本体部2は、架空線11に取り付けられて忌避線12を架空線11に架けるという機能を実現する主要部であり、本実施形態では連結片3以外の部分である。本体部2は、取付部4と、延出部5と、を備える。
【0017】
以下では、説明の便宜上、上下左右及び前後の方向を用いて構造を説明する。しかしながら、本開示は、使用態様などが上記の方向に限定されることはない。なお、左右方向は架空線11に取り付けた際に架空線11の長さ方向となる方向である。また忌避線12は架空線11の上側に配置することで鳥害防止機能を発揮するため、通常は、忌避線12が架空線11の上側に位置するように配置される。
【0018】
[1-2.取付部]
取付部4は、収容部41と、蓋部42と、移動部43と、操作部材44と、突出部45と、を備える。取付部4は、架空線11に取り付け可能に構成されている。取付部4を架空線11に取り付けることにより、鳥害防止器1の架空線11への取り付けが実現される。
【0019】
収容部41は、略コの字形状である。本実施形態では、収容部41において開放されている側を前方とする。換言すれば、収容部41は、前方が開放された略環状形状である。架空線11は収容部41の内部に収容可能である。収容部41は、架空線11の下方側を覆う第1壁部411と、第1壁部411に対向し架空線11の上方側を覆う第2壁部412と、を備える。
【0020】
蓋部42は、略長方形の板状の部材であり、長手方向の一端が、第2壁部412の前方端部を支点として回転可能に支持されている。蓋部42は、収容部41の前方の開放部分を閉塞して収容部41と共に環状体を形成する閉位置と、収容部41の前方を開放する開位置と、の間で移動可能である。
【0021】
収容部41と、閉位置にある蓋部42と、により構成される環状体の内部の空間が、架空線11を差し入れることができる差入空間46である。蓋部42が開位置となっているとき、差入空間46への架空線11の出し入れが可能となる。蓋部42が閉位置となっているときには、差入空間46への架空線11の出し入れはできない。
【0022】
また、蓋部42の長手方向の他端側には固定用孔421が設けられている。第1壁部411の前端に設けられた突起部413は、固定用孔421に挿して嵌めることができる。また蓋部42は、第2壁部412と連結する一端側が、一端側とは逆の他端側に比べて幅広に形成されている。
【0023】
移動部43は、差入空間46の内部にて上下方向に移動可能に構成されている。換言すれば、移動部43は、互いに対向する第1壁部411と第2壁部412との間を移動可能に構成されている。第1壁部411に近づき第2壁部412から遠ざかる方向を第1の方向とし、第2壁部412に近づき第1壁部411から遠ざかる方向を第2の方向とすると、移動部43は、第1の方向と第2の方向とに移動可能に構成されているとも言える。
【0024】
移動部43における蓋部42側の端部には、蓋固定部431が形成されている。図1Aに示されるように、移動部43が相対的に第1壁部411に近い位置である開放位置にあるとき、差入空間46における架空線11を差し入れ可能な空間は広くなり、また蓋部42は自在に開閉可能である。また図1Bに示されるように、移動部43が相対的に第2壁部412に近い位置である固定位置にあるとき、当該空間は狭くなる。また、蓋固定部431が、閉位置にある蓋部42の幅広な部分を係止して、蓋部42が開くことを抑制する。
【0025】
操作部材44は、架空線11を保持する操作を行うための部分である。操作部材44は断面が六角形の柱状の部材であり、第1壁部411の下方にて、上下方向の回転軸441を中心として回転操作が可能に構成されている。
【0026】
突出部45は、第1壁部411を貫通するように配置され、上下方向に長さを有する円柱状の部材である。突出部45は、操作部材44に連結され、上方に突出し、その先端は移動部43における第1壁部411と対向する面である底面432に連結する。突出部45の先端は、移動部43側に向かって広がるテーパー形状に構成されている。換言すれば、突出部45の先端は、移動部43側に向かってその直径が徐々に大きくなる形状に構成されている。また、第1壁部411における底面432と対向する面には、突出部45を取り囲むように、環状の取付用円盤451が設けられている。
【0027】
突出部45は、操作部材44の回転操作に伴い第1の方向と第2の方向とに移動可能に構成されており、操作部材44が回転操作されると、回転方向に応じて、突出部45の第1壁部411からの突出量が増減する。つまり、操作部材44の回転操作により、突出部45が第1の方向又は第2の方向に移動し、それに伴って移動部43も第1の方向又は第2の方向に移動する。具体的には、操作部材44が左回りに回転操作されると、移動部43は第1の方向に移動し、操作部材44が右回りに回転操作されると、移動部43は第2の方向に移動する。
【0028】
以上のように構成された取付部4は、蓋部42が開位置であって、移動部43が開放位置であるときに、架空線11を差入空間46のうち第2壁部412と移動部43との間の空間に差し入れること、及び、当該空間から抜き取ることができる。差入空間46に架空線11が差し入れられた状態において、蓋部42を閉位置とし、操作部材44を操作して移動部43を固定位置に移動すれば、第2壁部412と移動部43との間に架空線11が挟まれて、鳥害防止器1が架空線11に固定される。すなわち、移動部43は、操作部材44の回転操作により第2の方向に移動することで、架空線11を第2壁部412との間に挟んで保持することが可能に構成されている。このとき、蓋部42は蓋固定部431を介して収容部41に係止される。そのため、架空線11が差入空間46から抜けてしまうことが抑制される。
【0029】
換言すれば、操作部材44の回転操作により、取付部4は、取付部4の架空線11に対する着脱が不能な状態と、取付部4の架空線11に対する着脱が可能な状態と、に遷移する。
【0030】
[1-3.延出部]
延出部5は、取付部4から延出している。延出部5は、左右一対の側板51を備える。側板51は、上下方向に長細い平板形状であって、互いに対向するように左右に並べて配置されており、上端部分で繋がっている。
【0031】
延出部5の上下方向の中央部には、架空線11から距離を開けた位置で忌避線12を支持する支持部52が設けられている。支持部52は、固定具521、開口部522、2つの忌避線係止溝523などを備える。
【0032】
固定具521は、軸方向が左右方向に沿った回転軸524に対して回転可能に支持されている。回転軸524は、開口部522の内部に設けられている。開口部522は、上下方向に細長い長方形状であり、鳥害防止器1の前後方向に開口している部分である。
【0033】
固定具521は、忌避線12を固定する際に操作される。固定具521は、所定の回転位置であり、主たる部分が開口部522の内部に収まる折畳位置に位置するとき、延出部5に対して固定される。
【0034】
忌避線係止溝523は一対の側板51それぞれに設けられた溝であり、忌避線12を通すことが可能に構成される。忌避線係止溝523のいずれか一方を通るように忌避線12を配置した後、固定具521を適切な折畳位置に移動させることで、忌避線12が鳥害防止器1に固定される。
【0035】
延出部5の上端部には、貫通穴である保持穴53が設けられる。保持穴53は、図示しないが、束ねた状態の忌避線12を挿入可能であって、挿入された忌避線12を保持可能に構成されている。
【0036】
[1-4.連結片]
連結片3は、底面432から左右方向に沿って延出する板状の部材である。本実施形態では、連結片3は、図1A及び図1Bに示すように、底面432から左方向に延出する。なお、延出する方向は左方向に限定されるものではなく、例えば、底面432から右方向に延出してもよい。また、図3に示すように、連結片3は、左右方向及び連結片3の板厚方向に垂直な方向が法線方向となる平面に連結片3を投影したとき、移動部43から直線状に延びる形状である。連結片3は、移動部43と一体成型されており、移動部43とともに移動可能に構成されている。
【0037】
また、連結片3は、その先端に、略U字状の切欠部31が形成され、切欠部31を挟んで設けられた2つの端部32を備える。連結片3における切欠部31を形成する外縁は、上方に広がるテーパー形状であり、突出部45の先端のテーパー形状と対応する形状に構成されている。
【0038】
[2.作用]
次に、複数の鳥害防止器1を架空線11に取り付ける方法について説明する。作業者は、複数の鳥害防止器1を連結して一体化し、一括して架空線11に引っ掛けた後、連結を解除してそれらの配置間隔を広げた上で、各鳥害防止器1を架空線11に固定して取り付ける。
【0039】
まず、作業者が、複数の鳥害防止器1を連結する方法について説明する。ここでは、図4に示すように、2つの鳥害防止器1を、鳥害防止器1a、当該鳥害防止器1aに隣接する隣接鳥害防止器1bと称して説明する。
【0040】
作業者は、鳥害防止器1aの操作部材44を回転操作して移動部43を第1の方向に移動させることで、隣接鳥害防止器1bが備える連結片3である隣接連結片3bを、当該移動部43の底面432と第1壁部411との間に挟んで保持させる。隣接連結片3bが保持される過程においては、鳥害防止器1aの突出部45におけるテーパー形状の先端が、テーパー形状である隣接連結片3bの切欠部31を形成する外縁と当接し、隣接連結片3bが前後左右方向において適切な位置に案内される。このようにして、作業者は、鳥害防止器1aと隣接鳥害防止器1bとを連結する。
【0041】
鳥害防止器1aの本体部2は、左右方向において、隣接連結片3bにおける隣接鳥害防止器1bが備える本体部2である隣接本体部2bよりも突出した範囲の大部分が当該本体部2内に包含されるように、隣接連結片3bを保持可能に構成されている。このため、図5に示すように、複数の鳥害防止器1が連結された状態では、各鳥害防止器1の本体部2同士の間隔が狭く、密着性が高い状態となる。
【0042】
また、図4に示すように、鳥害防止器1aの移動部43の底面432には、当該移動部43が隣接連結片3bを保持している状態において隣接連結片3bと接する面である受け面433が、上下方向の高さが鳥害防止器1aの連結片3における第2壁部412側の面と同じ高さとなるように形成されている。したがって、図5に示すように、複数の鳥害防止器1が連結された状態では、各鳥害防止器1における移動部43の高さ、ひいては本体部2の高さが等しくなる。なお、本実施形態では、受け面433は底面432と同一平面上に形成され、隣接連結片3bにおける隣接本体部2bよりも突出した範囲の大部分が受け面433に接するように、隣接連結片3bが保持される。
【0043】
続いて、作業者が、鳥害防止器1を架空線11に取り付ける方法について説明する。
作業者は、図5に示すように連結されて一体化した複数の鳥害防止器1のそれぞれの蓋部42を、開位置となるように回転させる。続いて、作業者は、差入空間46における架空線11を差し入れ可能な空間に架空線11を差し入れることで、複数の鳥害防止器1を一括して架空線11に引っ掛けるとともに、それぞれの蓋部42を、閉位置となるように回転させる。その後、作業者は、各鳥害防止器1の操作部材44を回転操作して移動部43を第2の方向に移動させることで、鳥害防止器1同士の連結を解除する。そして、作業者は、図6に示すように、連結が解除された鳥害防止器1同士の間隔を広げて配置し、各鳥害防止器1の操作部材44を再度回転操作して移動部43を更に第2の方向に移動させることで、架空線11を第2壁部412との間に挟んで保持させ、各鳥害防止器1を架空線11に固定して取り付ける。
【0044】
[3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(3a)移動部43は、左右方向において、隣接連結片3bにおける隣接本体部2bよりも突出した範囲の大部分が当該移動部43に包含されるように、隣接連結片3bを保持することが可能に構成されている。
【0045】
このような構成によれば、図5に示すように、複数の鳥害防止器1が連結された状態において、各鳥害防止器1の本体部2同士の間隔が狭く、密着性が高い状態にすることができる。そのため、複数の鳥害防止器1の持ち運び等がしやすく、ひいては、複数の鳥害防止器1を架空線11に取り付ける際の作業性を向上させることができる。
【0046】
(3b)連結片3は、左右方向及び連結片3の板厚方向に垂直な方向が法線方向となる平面に連結片3を投影したとき、移動部43から直線状に延びる形状である。
このような構成によれば、連結片に段差がある構成と比較して、連結片3に応力集中が発生することを抑制できる。
【0047】
(3c)突出部45の先端は、移動部43側に向かって広がるテーパー形状であるとともに、連結片3における切欠部31を形成する外縁は、上方に広がるテーパー形状であり、突出部45の先端のテーパー形状と対応する形状に構成されている。
【0048】
このような構成によれば、隣接連結片3bが保持される過程において、図7に示すように、鳥害防止器1aの突出部45におけるテーパー形状の先端が、テーパー形状である隣接連結片3bの切欠部31を形成する外縁と当接する。そのため、隣接連結片3bを前後左右方向において適切な位置に案内することができる。
【0049】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0050】
(4a)上記実施形態で例示した鳥害防止器1は、具体的な実施形態を示す例に過ぎず、取付部4における架空線11を取り付けるための具体的な構造、延出部5の形状、支持部52の具体的な構造などは何ら限定されることなく、様々な構成とすることができる。
【0051】
(4b)上記実施形態では、連結片3は、移動部43の底面432から延出するが、連結片3が延出する位置は底面432に限定されるものではなく、例えば、連結片3は、移動部43の左右いずれかの側面から延出してもよい。
【0052】
(4c)上記実施形態では、受け面433は底面432と同一平面上に形成されるが、これに限定されるものではなく、受け面433は底面432と異なる平面上に形成されてもよい。
【0053】
(4d)上記実施形態では、突出部45の先端は、移動部43側に向かって広がるテーパー形状であるとともに、連結片3における切欠部31を形成する外縁は、上方に広がるテーパー形状であり、突出部45の先端のテーパー形状と対応する形状に構成されているが、突出部45の先端及び連結片3における切欠部31を形成する外縁の形状はこれに限定されるものではない。例えば、突出部45の先端及び連結片3における切欠部31を形成する外縁の形状は、テーパーを付けない形状としてもよい。
【0054】
(4e)上記実施形態では、連結片3が備える2つの端部32は、上下方向の高さが同じであるが、これに限定されるものではなく、上下方向の高さが互いに異なっていてもよい。
【0055】
例えば、図8及び図9に示す鳥害防止器6は、上記実施形態の鳥害防止器1と比較すると、連結片3に代えて連結片7を備える点で相違する。具体的には、連結片3は、2つの端部32の高さが同じであるのに対し、連結片7は、2つの端部72の高さが互いに異なる点で、連結片3と相違する。
【0056】
このような構成によれば、連結片7が他の鳥害防止器6の移動部43と第1壁部411との間に挟んで保持された状態で、当該連結片7の2つの端部72に保持力に対する反力が生じる。換言すれば、連結片7が、周知のスプリングワッシャと同様の機能を発揮する。これにより、鳥害防止器6同士の連結を外れにくくできる。ひいては、鳥害防止器6を架空線11に取り付ける際に、不意に鳥害防止器6が落下することを抑制できる。
【0057】
(4f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,6…鳥害防止器、1b…隣接鳥害防止器、2…本体部、2b…隣接本体部、3,7…連結片、3b…隣接連結片、4…取付部、5…延出部、11…架空線、12…忌避線、31…切欠部、32,72…端部、41…収容部、42…蓋部、43…移動部、44…操作部材、45…突出部、46…差入空間、411…第1壁部、412…第2壁部、432…底面、433…受け面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9